JP2016103089A - 情報処理装置、信号処理方法、プログラム - Google Patents

情報処理装置、信号処理方法、プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2016103089A
JP2016103089A JP2014240135A JP2014240135A JP2016103089A JP 2016103089 A JP2016103089 A JP 2016103089A JP 2014240135 A JP2014240135 A JP 2014240135A JP 2014240135 A JP2014240135 A JP 2014240135A JP 2016103089 A JP2016103089 A JP 2016103089A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vector
signal
filter
information processing
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014240135A
Other languages
English (en)
Inventor
崇之 原
Takayuki Hara
崇之 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2014240135A priority Critical patent/JP2016103089A/ja
Publication of JP2016103089A publication Critical patent/JP2016103089A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】任意の信号位置に対し少ないメモリ使用量でフィルタ処理を施すことができる情報処理装置を提供すること。【解決手段】信号に線形フィルタを適用する情報処理装置100であって、 初期値として与えられた1番目のベクトルを用いると共に、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルと行列の積にn番目の信号値を加算してn番目のベクトルを求めるベクトル算出部12と、前記ベクトル算出部が算出したn個のベクトルから取り出した2つのベクトルのうち、一方のベクトルと前記行列のべき乗との積から、他方のベクトルと前記行列のべき乗との積を減じた差分を線形フィルタの出力値として出力する出力値算出部14と、を有することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、情報処理装置、信号処理方法及びプログラムに関する。
画像の平滑化、ノイズ除去、又は、濃度勾配の検出などにフィルタが用いられることは少なくない。フィルタを画像処理などの信号処理に適用する際に利用される演算方法の1つとして畳み込み演算が知られている。畳み込み演算は数学的には関数(信号)と関数(フィルタ)の積の積分で表されるが、画像データのようにデジタル信号が演算対象の場合、掛け算の結果を足し合わせることで求められる。
信号数Nの信号系列f(f0, f1, …, fN-1)に対するカーネルサイズKの線形フィルタg(g0, g1, …, gK-1)の信号位置xにおける出力値(g*f)xは次式で定義される。
Figure 2016103089
右辺が線形フィルタgと信号系列fとの畳み込み演算を表している。計算機などが右辺の計算をそのまま計算すると、K回の乗算とK−1回の加算が必要なので計算量はカーネルサイズKに比例する。計算量がKに比例することをO(K)と称する。したがって、全信号位置{x=1, 2, …, N}において、線形フィルタの出力値を求める際の計算量はO(NK)となる(計算量がNとKの積に比例する)。このため、カーネルサイズが大きい線形フィルタでは計算量が膨大となることが知られている。
線形フィルタの畳み込み演算を高速化する方法の1つとして、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, 以下FFTと称する。)を用いる方法が知られている。空間領域の線形フィルタには等価な周波数領域のフィルタが存在するため、FFTを用いることで空間領域での畳み込み演算を周波数領域の演算に変換することができる。FFTを用いた際の全信号位置での線形フィルタの計算量はO(NlogN)である。したがって、logN < K であれば、FFTを利用することで畳み込み演算をより高速に実行することが可能となる。
これに対し、畳み込み演算の計算量をO(N)程度に低減する方法が考案されている(例えば、非特許文献1、2参照)。非特許文献1には、矩形領域の画素値の累積値をテーブルとして保持することにより、カーネルサイズに非依存の計算量で畳み込み演算が可能な線形フィルタについて開示されている。非特許文献2には、矩形領域の画素値の累積値をインテグラルイメージと称して、インテグラルイメージを利用したリアルタイムの物体認識について開示されている。
図1を用いて非特許文献1,2における計算量の低減について説明する。図1(a)は積分計算の計算量を説明する図の一例である。f(x)を関数としf(x)とx軸の間のx=bからx=aまでの面積Aは「A=f(b)+f(b+1)+f(b+2)+…+f(a)」で表すことができる(1,2…はサンプリング間隔の増分を表す)。また、x=0からx=aまでの面積をF(a)、x=0からx=bまでの面積をF(b)とすれば面積Aは「A=F(a)−F(b)」で表すことができる。したがって、F(a)とF(b)が予め計算されていれば、1回の減算で積分計算と同等の結果を得ることができる。
次に図1(b)を用いてインテグラルイメージについて説明する。インテグラルイメージは上記一次元の計算を二次元で行うものである。点1のインテグラルイメージは領域Aの画素値の合計であり、点2のインテグラルイメージは領域AとBの画素値の合計であり、点3のインテグラルイメージは領域AとCの画素値の合計であり、点4のインテグラルイメージは領域A、B、C、Dの画素値の合計である。したがって、点1〜点4のインテグラルイメージが求められていれば、領域A、B、C、Dのうち任意の領域の画素値の合計を求めることができる。例えば、領域Dの画素値の合計は、インテグラルイメージを使って「点4+点1−(点2+点3)」で求められる。
図1(a)や(b)で求められる面積や画素値の合計の計算量は信号数Nに比例するため、カーネルサイズに依存しない。また、いったん面積や画素値の合計等を計算しておけば、決まった回数の加減算で積分計算と同等の結果を得ることができる。
ところで、図1で示した例は、信号であるf(x)や画素にフィルタ係数が1のフィルタによる畳み込み演算が施された例となっている。そこで、フィルタ係数を1以外の一般的な係数にも適用するための技術の1つとして三角関数を用いる計算方法が考案されている(例えば、非特許文献3、4参照。)。
非特許文献3には、フィルタ係数にCos関数とSin関数を適用するコサインインテグラルイメージ(Cosine Integral Image, 以下CIIと称す。)について開示されている。しかしながら、非特許文献3のCIIは実部(Cos関数)と虚部(Sin関数)の2つの値を保持するためメモリ使用量が多い。また、非特許文献4には、CIIが必要とする大きなメモリ容量と頻繁なメモリアクセスを低減するため、画素値の合計を連続的に更新するCIIについて開示されている。すなわち、画素値の合計が連続的に更新されるため画素値の合計を保持するためのメモリ容量を低減できる。
しかしながら、非特許文献4の計算方法ではメモリ使用量を抑制できるが、画素値の合計を連続的に合計する処理を含むため、非特許文献4の計算方法を適用できるのは全信号位置においてフィルタ処理を行う場合のみであるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、任意の信号位置に対し少ないメモリ使用量でフィルタ処理を施すことができる情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題に鑑み、信号に線形フィルタを適用する情報処理装置であって、 初期値として与えられた1番目のベクトルを用いると共に、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルと行列の積にn番目の信号値を加算してn番目のベクトルを求めるベクトル算出部と、前記ベクトル算出部が算出したn個のベクトルから取り出した2つのベクトルのうち、一方のベクトルと前記行列のべき乗との積から、他方のベクトルと前記行列のべき乗との積を減じた差分を前記信号に対する線形フィルタの出力値として出力する出力値算出部と、を有することを特徴とする。
任意の信号位置に対し少ないメモリ使用量でフィルタ処理を施すことができる情報処理装置を提供することができる。
積分計算の計算量を説明する図の一例である。 同伴行列べき乗型インテグラルイメージによる線形フィルタの計算方法を実行する情報処理装置のハードウェア構成図の一例である。 入力信号の一例及び標準のテンプレートの一例を示す図である。 情報処理装置の機能構成図の一例である。 情報処理装置がテンプレートマッチングを行う手順を示すフローチャート図の一例である。 二分法を模式的に説明する図の一例である。 ガウシアンフィルタの一例を示す図である。 情報処理装置が平滑化を行う手順を示すフローチャート図の一例である。 ガボールフィルタの一例を示す図である。 情報処理装置がエッジ抽出を行う手順を示すフローチャート図の一例である。 離散信号のリサンプリングの手順を模式的に示す図の一例である。 情報処理装置がリサンプリングを行う手順を示すフローチャート図の一例である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
<インテグラルイメージの基本原理>
本実施形態の線形フィルタについて説明するため、インテグラルイメージを用いたフィルタ処理の基本原理を説明する。背景技術で述べたようにインテグラルイメージを用いたフィルタ処理ではフィルタ係数に特徴があるが、以下ではこれらのインテグラルイメージを一般化したべき乗型インテグラルイメージが示される。後述するように、べき乗型インテグラルイメージには、フィルタ係数が実数のいわゆる通常のインテグラルイメージだけでなくCII(Cosine Integral Image)などのインテグラルイメージが内包されている。そして、べき乗型インテグラルイメージから、本実施形態のインテグラルイメージ(後述する同伴行列べき乗型インテグラルイメージ)が新たに導出されることを説明する。なお、以下の説明で式の導出における動作の主体は出願人又は発明者である。
<<べき乗型インテグラルイメージ>>
信号数Nの信号系列f(f0, f1, …, fN-1)に対するカーネルサイズKの線形フィルタg(g0, g1, …, gK-1)の信号位置xにおける出力値(g*f)xを求める場合を例にして、べき乗型インテグラルイメージを導出する。なお、本実施形態の信号処理は代数学における環の定義を満たすことを前提とする。
Figure 2016103089
式(1)において説明したように、右辺の畳み込み演算を式(2)のまま計算する際の計算量はO(K)である(K回の乗算とK−1回の加算)。
このフィルタ処理の高速化を図るため、N個の中間変数として(F0, F1, …, FN-1)を導入する(本実施形態では、この中間変数を「累積値」と称する。)。Fnは次の漸化式により算出される。
Figure 2016103089
後述する情報処理装置は、この漸化式をn=0からN-1まで逐次計算することでn個のFnを求め、(F0, F1, …, FN-1)をメモリに記憶しておく。なお、nは2以上の整数であるとする。このように計算されたFnは、次のように変形することでfとαの積和で表現できることが分かる。
Figure 2016103089
次に、Fn+KとαKFnを式(4)に代入して両者の差分を算出する。
Figure 2016103089
さらに両辺にαmを乗ずると下式が得られる。
Figure 2016103089
式(6)と式(2)を比較すると、式(2)の線形フィルタのフィルタ係数guを以下のように置き換えた場合に式(6)の左辺が線形フィルタの出力値(g*f)xと一致することが分かる。
Figure 2016103089
したがって、後述する情報処理装置が式(6)の左辺に示されるαのべき乗及びFnを事前にテーブルで保持しておくことで、線形フィルタの出力値(g*f)xを得ることができる。式(6)の左辺は2回の乗算と1回の減算により求められるので、計算量のオーダーで言えば、O(1)である。すなわち、カーネルサイズに関わらず一定回数の計算量でフィルタ処理を実行できる。カーネルサイズKに依存しないため、カーネルサイズが大きい線形フィルタでも固定時間で計算することができる。
なお、式(6)で必要な式(3)に基づくFnの計算の計算量(こちらも事前に算出される)は、1つのnについて1回の乗算と1回の加算が必要なので、すべてのnについてO(N)である。すなわち、式(6)により全信号位置で線形フィルタ処理を行う場合のフィルタ処理の計算量はカーネルサイズKに依存せずO(N)である。畳み込み演算を行う場合のO(NK)及びFFTを利用する場合のO(NlogN)よりも小さいことが分かる。
また、Fnはメモリに構築されたテーブル等に予め保持されることが可能なので、後述する情報処理装置などがいったんFnを計算した後は、任意のカーネルサイズKの線形フィルタによる任意の信号位置における計算をO(1)の計算量で計算できる。
式(6)の左辺による線形フィルタの計算方法を「べき乗型インテグラルイメージ」と称することにする。
<<従来のインテグラルイメージの位置付け>>
従来のインテグラルイメージとは、背景技術などで述べた非特許文献1〜4のインテグラルイメージをいう。まず、一様係数の線形フィルタ(背景技術で述べたフィルタ係数が1の線形フィルタ)が用いられたインテグラルイメージに関し、べき乗型インテグラルイメージの式(6)においてα=1と置くと一様係数の線形フィルタに対する通常のインテグラルイメージが導かれる。
また、フィルタ係数を複素数に拡張しα=exp(-jω)=cosω−jsinωと置けば、非特許文献3のCIIと同等の処理が可能である(jは虚数単位)。
このように、べき乗型インテグラルイメージは従来のインテグラルイメージの一般化となっている。
<<同伴行列べき乗型インテグラルイメージ>>
これまではFnをスカラー値の信号系列としていたが、べき乗型インテグラルイメージはFnがD次元ベクトル(あるいは「環上の加群」の元)の場合、及び、αがD次元正方行列(正方行列とするのはべき乗するため)であっても成り立つ。
ここでαとして次の同伴行列Aを用いる。
Figure 2016103089
式(3)のFnに一次元の信号系列fを適用し、αに同伴行列Aを適用すると式(9)のように書き直すことができる。式(9)の第一式は累積値Fnの初期値を与え、第二式はF0とn−1番目のFn-1からn番目のFnを求める漸化式である。すなわち、初期値として与えられた1番目のベクトルが与えられれば、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルFn-1と同伴行列Aの積に、n番目の信号値fnを加算することでn番目のベクトルを求めることができる。
Figure 2016103089
式(9)−1、式(9)−2、式(9)−3はそれぞれ説明のために示したF3までの計算結果である。式(9)の第二式(漸化式)と式(9)−1、式(9)−2、式(9)−3を見ると、Fnの第i要素はFn-1の第i-1要素と等しいことが分かる。すなわち、Fの第一要素はF2の第2要素に現れ、F2の第一要素はF3の第二要素に現れている。すなわちFn,i= Fn-1,i-1の関係がある。したがって、後述する情報処理装置はFnの第一要素のみをメモリに記録しておけば、すべてのnについてFnを再現することができる。
次に、同伴行列Aを使って式(6)を書き直す。
Figure 2016103089
一方のベクトルFn+Kと行列のべき乗との積から、他方のベクトルFnと行列のべき乗との積を減じた差分により信号に対する線形フィルタの出力値が得られる。すなわち、式(10)の左辺のベクトルの第一要素をメモリに記憶しておくことで、Aのべき乗の1行1列の成分がフィルタ係数となる線形フィルタを実現できることが分かる。計算回数としては、2D回の乗算(第1項と第2項の行列計算における乗算)、2D−1回の加算又は減算(第1項の行列計算のD−1回の加算、第2項の行列計算のD−1回の加算、第1項と第2項の減算)であり、計算量はO(D)である。
なお、Aのべき乗の1行1列の成分がフィルタ係数となる点について補足しておく。説明のためAのべき乗を式(10)−1のように置く(後述する式(13)を簡易化したものである)。
Figure 2016103089
(m) ijは行列Aをm乗した行列のi行j列の成分を意味する。Aが二次元ならば、式(10)は式(10)−2のように表せる。また、式(10)−2の右辺は式(10)−3のように展開できる。
Figure 2016103089
式(10)−3に示すように、ベクトルの第一要素はAのべき乗の行列の1行1列成分との畳み込みになっており、ベクトルの第二要素はAのべき乗の行列の2行1列成分との畳み込みになっている。Aのべき乗の行列の1行1列成分と2行1列成分は、後述する式(13)で示すように位相しか違わない。また、位相は式(10)のmで調整できるため、ベクトルの第2要素は不要になる。したがって、Aのべき乗の1行1列の成分がフィルタ係数となる。
続いて、D=2の場合について具体的な例を用いて説明する。固有値がexp(-jω)の同伴行列Aは式(11)のように表現できる。
また、式(11)の同伴行列A及び前述の関係Fn,i= Fn-1,i-1により得られるFn-1を用いて式(9)の第二式を書き直すと式(9)の第二式は式(11)−1のようになる。
Figure 2016103089
したがって、式(9)の更新式(第二式)からFnの第一要素は次の通りとなる。Fn,1はベクトルとして表された累積値Fnの第一要素である。
Figure 2016103089
次に線形フィルタの出力値の計算式を考える。Aのべき乗は次の通りである。
Figure 2016103089
式(13)を式(10)に代入し両辺にsinωを乗じると式(14)が得られる。式(14)を導出する過程で、式の変形に前述の関係Fn,i= Fn-1,i-1を利用している(ベクトルの第一要素のみを取り出している)。
Figure 2016103089
式(14)によれば、Fn+k,1、Fn+k-1,1、Fn,1、及び、Fn-1,1を式(12)により求めれば、Aのべき乗が式(13)で表わされるフィルタ計算を実行できる。式(14)を見ると明らかなように、右辺の信号値fxと三角関数との畳み込み演算が、左辺の累積値Fnに関する4回の乗算と3回の加算又は減算で実現できることが分かる。三角関数で計算される値は予めテーブルとして保持しておく。したがって、カーネルサイズKに非依存で、式(11)の同伴行列Aによるフィルタ計算が可能であることを確認できる。
同伴行列Aによって変わりうるが式(14)又は式(12)が本実施形態において線形フィルタの処理に用いられる式となる。式(14)の左辺による線形フィルタの計算方法を「同伴行列べき乗型インテグラルイメージ」と称することにする。
<<CIIとの比較>>
式(14)で示す線形フィルタの処理についてCII等と比較する。上記のCII又はべき乗型インテグラルイメージにおいてα=exp(-jω)とした場合のCIIと同等のインテグラルイメージでも、畳み込み演算はカーネルサイズKに非依存である。しかし、αとして複素数を用いた場合はFnも複素数であるので、実部と虚部の二つの値を保持しておく必要がある。
これに対して本実施形態のようにαに同伴行列を用いる場合、Fnの第一要素のみを保持しておけばよいので、CIIと比較してメモリ使用量を半分に低減することができる。
また、CIIを高速に計算する手法である非特許文献4はFnをメモリに保存する必要がない。しかし、非特許文献4では信号の合計を連続的に算出する処理を繰り返すため、非特許文献4の手法は全信号位置に対して線形フィルタを施す場合のみに効果的となる。すなわち、任意の信号位置に対し線形フィルタを適用することができない。
これに対して本実施形態の同伴行列べき乗型インテグラルイメージは、情報処理装置がフィルタを適用する位置に応じて累積値Fnを読み出すことで、任意の信号位置に対し線形フィルタを適用することができる。
<<複数周波数への対応>>
同伴行列べき乗型インテグラルイメージは、単一周波数の三角関数との畳み込み演算を高速化する。これに対し、任意係数の線形フィルタの処理を高速化するためには、予め線形フィルタの係数を異なる周波数に分解し、周波数ごとにインテグラルイメージを適用して出力値を得て、その出力値の加重和を取ることで目的の線形フィルタの出力値を得ることができる。周波数分解にはフーリエ変換、離散コサイン変換、離散サイン変換などを使うことができる、また、式(14)においてmにより位相の調整ができる。
このように任意係数の線形フィルタの処理を高速化するためには、周波数ごとにインテグラルイメージを用意する必要があるため、本実施形態において高速化の効果が高いのは、線形フィルタが少数の周波数の三角関数の線形結合で近似できる場合である。後述するように、ガウシアンフィルタやガボールフィルタなど実用上重要な線形フィルタは少数の周波数の三角関数の線形結合で近似できる。また、周波数の数を制限しなければ任意の線形フィルタの係数を扱うことができる。
<< 多次元への対応>>
これまでの説明では、一次元の信号系列f(f0, f1, …, fN-1)に対する線形フィルタについて説明したが、同伴行列べき乗型インテグラルイメージは静止画や動画などの多次元信号にも適用することができる。
一例としてi, jの二つのインデックスを持つ二次元信号{fij}を例にして説明する。まず、次の漸化式によりiに関する累積値Fijをすべてのj(0〜J−1)に対して算出する。
Figure 2016103089
次に、次の漸化式により累積値Fijを用いてjに関する累積値Gijをすべてのi(0〜I−1)に対して算出する。
Figure 2016103089
式(6)などこれまでの議論と同様に次式が成り立つ。
Figure 2016103089
式(17)(18)を利用すると、二次元信号{fij}とべき乗型係数との畳み込み演算が、次のようにGijの加減算で実行できることが分かる。
Figure 2016103089
なお、式(19)の第二行から第三行への変形で、αとβの乗算の順序を入れ替えた。したがって、式(19)が成り立つのはαとβについて乗法に対する可換性がある場合である。たとえば、αとβが実数体や複素数体の元であれば乗法の可換性があるので、本式を利用することができる。乗法の可換性がない場合は、各次元で線形フィルタを適用し、その線形フィルタの出力値に対して別の次元で線形フィルタを適用する、という逐次的なフィルタ処理を行うことで対応が可能である。
α、βが行列環の元である場合は一般には乗法の可換性がないので、逐次的なアプローチを取る必要がある。
式(19)から明らかなように、α=β=1とおいた場合、式(19)から一様係数の線形フィルタに対する通常のインテグラルイメージが導かれる。したがって、式(19)はインテグラルイメージの一般化になっている。
また、式(19)は二次元信号の例を説明しているが、一般に、D−1次元の累積値(二次元の例ではFij)の累積値(二次元の例ではGij)を取ることで、D次元での線形フィルタの計算が可能となる。したがって、多次元信号に対して高速かつ少ないメモリ使用量で線形フィルタの処理が可能となる。
以上説明したように、同伴行列べき乗型インテグラルイメージは、線形フィルタの処理を、漸化式による累積値の算出と累積値の差分演算で実現できるため、線形フィルタのカーネルサイズに依存しないで計算できる。また、同伴行列により累積値を求めるため累積値の第一成分のみをメモリに記憶しておけばよくメモリ使用量を低減することができる。
以下の実施例では、上述した同伴行列べき乗型インテグラルイメージの適用例を説明する。本実施例では、一次元の離散信号の中から標準のテンプレートと類似した形状の信号列を検知するテンプレートマッチングへの適用例を説明する。
図2は、同伴行列べき乗型インテグラルイメージによる線形フィルタの計算方法を実行する情報処理装置100のハードウェア構成図の一例を示す。情報処理装置100は、汎用PC(Personal Computer)の他、プロジェクタなどの投影装置、電子黒板、スマートフォン、タブレット型端末、汎用PC(Personal Computer)、携帯電話、ウェアラブルPC、ゲーム機器、カーナビゲーション端末、又は、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
情報処理装置100は、バス310に接続されたCPU301、ROM302、RAM303、HDD305、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、メディアドライブ307、及び、光学ドライブ314を有する。CPU301は、HD304に記憶されているプログラム320を実行して、情報処理装置100の全体の動作を制御する。ROM302はIPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶している。RAM303はCPU301のワークエリアとして使用される。HD304は不揮発性メモリを搭載した記憶装置であり、同伴行列べき乗型インテグラルイメージによる線形フィルタの計算を行うプログラム320を記憶している。
HDD(Hard Disk Drive)305はCPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ308はカーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ネットワークI/F309はLANやインターネットなどのネットワークとのインタフェースであり、他の機器との通信を行う。キーボード311及びマウス312は入出力装置であり、キーボード311は文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えこれらからの入力を受け付ける。マウス312はマウスポインターの移動及び各種指示の選択や実行、処理対象の選択などを受け付ける。
メディアドライブ307はフラッシュメモリ等のメディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。光学ドライブ314は着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)313等に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
なお、上記プログラム320は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、メディア306やCD−ROM313等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。あるいは、プログラム320は、任意のサーバ型の情報処理装置からダウンロードされる形態で配布されてもよい。
<信号波形の具体的な形状>
図3を用いて本実施例で扱う信号波形等について説明する。図3(a)は入力信号の一例を、図3(b)は標準のテンプレートの一例を示す。本実施例の情報処理装置100は入力信号が標準のテンプレートと最も近い形状となる位置を探索する。
図3(b)に示すように、情報処理装置100は標準のテンプレートを異なるいくつかの角周波数で分解しておく。あるいは、既知の異なるいくつかの角周波数の波形を合成して標準のテンプレートを作成してもよい。図3(b)では標準のテンプレートがsinω1xとsinω2xとの線形結合で表されている。
情報処理装置100は、単一の周波数ごとに線形フィルタを入力信号に適用し、その出力値を加重加算することでテンプレートマッチングを実現する。加重加算にあたって、図2の例ではω1、ω2の正弦関数の重みをw(ω1)、w(ω1)として、各重みと単一周波数の線形結合で標準のテンプレートを表している。
<情報処理装置の機能について>
図4は、本実施例における情報処理装置100の機能構成図の一例である。情報処理装置100は信号入力部11、累積値算出部12、フィルタ位置決定部13、累積差分算出部14、加重加算部15、終了判定部16、データ出力部17、複数周波数分解部18、及び、記憶部19を有している。
信号入力部11はRAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段である。この信号はHD304、メディア306又はCD−ROM313に記憶されていてもよいし、ネットワークI/F309によりネットワークを介して取得されてもよい。信号入力部11はテンプレートマッチングの対象となる信号の入力を受け付ける。
複数周波数分解部18は、RAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、線形フィルタの係数を複数の周波数に分解する。複数周波数分解部18はフィルタ係数取得部の一例である。
累積値算出部12は、RAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、式(12)により累積値Fnを算出して記憶部19に記憶させる。累積値算出部12はベクトル算出部の一例である。
フィルタ位置決定部13は、RAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、フィルタ処理を施す入力信号の位置n(フィルタの適用位置)を決定する。フィルタ位置決定部13は適用位置決定部の一例である。
累積差分算出部14はRAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、記憶部19から累積値Fnを読み出して単一周波数のフィルタ出力値hnを算出する。累積差分算出部14は出力値算出部の一例である。
加重加算部15はフィルタ係数が複数の周波数の線形結合で表されている場合、累積差分算出部14が算出した各周波数のフィルタ出力値hnを加重加算する。
終了判定部16はRAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、フィルタによる計算(テンプレートマッチング)を終了するか否かを判定する。
データ出力部17はRAM303上に展開されたプログラム320に従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は機能される手段であり、計算結果をディスプレイ308等に出力したりHD304に記憶したりする。データ出力部17は適用位置出力部の一例である。なお、信号出力部171については実施例2、4にて説明し、エッジ強度出力部172については実施例3で説明する。
記憶部19は、RAM303、HD304及びメディア306などの記憶手段に構築され、累積値、フィルタ処理が施される入力信号の位置及びフィルタ出力値が記憶される。
図5は、本実施例において情報処理装置100がテンプレートマッチングを行う手順を示すフローチャート図の一例である。
S101:まず、信号入力部11が入力信号を取得する。また、複数周波数分解部18はテンプレートとなるフィルタの係数を複数の周波数(例えば2〜3個)に分解する。あるいはテンプレートを線形結合で近似するための複数の周波数が与えられていてもよい。
S102:累積値算出部12は入力信号に対して式(12)により、全信号位置(n=0, 1, …, N-1)における累積値Fnを計算して記憶部19に保存する。この時、式(12)の角周波数ωは標準のテンプレートから分解された複数の周波数に対応して複数個用意される。図3の例では角周波数ωはω1とω2である。ωの集合をΩと称することにする。累積値はそれぞれの角周波数ωごとに算出される。ωに対応した累積値をF(ω)nと表記する。
S103:次に、フィルタ位置決定部13がフィルタ処理を行う入力信号の位置nを決定する。これにより、全信号位置で式(14)を算出する必要がなくなり計算量を低減できる。本実施例では、二分法でフィルタ処理を行う位置nを決定する。
図6は二分法を模式的に説明する図の一例である。h(x)は信号の位置xにおけるフィルタの出力値を示す。図6(a)に示すように、フィルタ位置決定部13は最初に一次元の信号系列の全体の両端x1とx2で式(14)を用いてフィルタ出力値を求める。フィルタ位置決定部13は両端のフィルタ出力値を比較する。次のサイクルでは(ステップS106でNoと判定される場合)、フィルタ出力値が大きい側の端点x2と(図6(a)では端点x2の方が大きいとした)、探索区間(x1とx2)の中点x3との区間が新たなフィルタ処理を行う位置nとなる。図6(b)では中点x3のフィルタ出力値の方が端点x2のフィルタ出力値よりも大きいと判断されるものとする。このため、図6(c)に示すように、次のサイクルでは中点x3のフィルタ出力値と、中点x3と端点x2との中点x4のフィルタ出力値とが比較される。このように、フィルタの適用位置が連続的でなくてもフィルタ処理が可能である。
フィルタ位置決定部13はステップS106の判断で繰り返されるサイクルごとに、フィルタ処理を行う位置nを決定する。
S104:次に、累積差分算出部14は、フィルタ位置決定部13が決定した入力信号の位置nにおける累積値を記憶部19から読み出し、式(14)を用いて角周波数ω∈Ωに対するフィルタ出力値h(ω) nを算出する。
S105:次に、加重加算部15は重みw(ω)の下で算出されたh(ω) nを加重加算し、ステップS102で求めた入力信号の位置nにおけるフィルタ出力値hnを算出する。
Figure 2016103089
S106:終了判定部16はテンプレートマッチングの終了を判定する。終了基準としては、例えば、二分法の探索区間が信号の1サンプリング区間となり、これ以上探索区間を分割できなくなった場合に終了とする。あるいは、フィルタ出力値が特定閾値以上となった場合に終了としてもよい。終了と判定すればステップS107へ処理が進み、そうでなければ処理がステップS103に戻る。
S107:データ出力部17は最終的に得られた、入力信号の位置を出力して処理を終了する。すなわち、二分法により最後にフィルタ出力値が大きい方であると判断された入力信号の位置が、線形フィルタのフィルタ出力値が最大となる位置なので、最もテンプレートと一致する入力信号の位置である。
以上の処理によって、入力信号中からテンプレートに類似する形状の部分の位置を高速に求めることができる。ステップS102の累積値の算出では計算量は信号数Nに比例するためO(N)で累積値を算出できる。ステップS104〜S105で累積値に対して決まった回数の計算(4回の乗算、3回の加算又は減算)で線形フィルタのフィルタ出力値hnが算出される。したがって、カーネルサイズ(テンプレートのサイズ)に非依存でテンプレートマッチングの処理が可能である。
本実施例の同伴行列べき乗型インテグラルイメージは信号位置に対して一つの累積値をメモリに保存すればよいので、2つの累積値(実部と虚部)の保存が必要なCIIよりもメモリ使用量が少ない。また、非特許文献4の手法ではメモリ使用量は低減できるが、本実施例のステップS103に示したように任意のフィルタ位置を決定してフィルタ処理を行うことができない。
なお、本実施例の適用例には種々のバリエーションが含まれ得る。例えば、標準のテンプレートの周波数分解にはフーリエ変換、離散コサイン変換、離散サイン変換などを使うことができる。また、AIC(赤池情報量基準)、TIC(竹内情報量基準)、BIC(ベイズ情報量基準)などの情報量基準を用いて、モデル化する周波数の数を最適化することもできる。
また、ステップS103では二分法によりフィルタ位置を決定したが、入力信号を数個に区切ってフィルタ出力値を求めてから、フィルタ出力値が大きい位置の近傍を細かく探索してもよい。また、ランダムサンプリングを用いてもよいし、模擬焼きなまし法(Simulated Annealing)を用いてもよい。この場合、ステップS106の終了判定は新しく探索する位置がなくなった時に終了とすればよい。
本実施例ではガウシアンフィルタによる信号平滑化を同伴行列べき乗型インテグラルイメージにより実行する情報処理装置100について説明する。本実施例では一次元の離散信号に対してガウシアンフィルタを適用し平滑化を行う。
ガウシアンフィルタのフィルタ係数guは、パラメータσを用いて次のように表される。
Figure 2016103089
図7はガウシアンフィルタの一例を示す図である。ガウシアンフィルタは低周波成分を多く含むため、信号の高周波成分を低減して平滑化することができる。平滑化効果を高めるためにはガウシアンフィルタのパラメータのσを大きくすることが好ましいが、これはカーネルサイズが大きくなることを意味する。従来の畳み込み演算でフィルタ処理を行うと処理時間が増大する。これに対し、本実施例ではカーネルサイズに非依存の計算量でガウシアンフィルタにより信号の平滑化を行うことができる。
ところで、ガウシアンフィルタのフィルタ係数guはDCTを用いて、少数(2~3個)の異なる周波数のcosの線形結合で高精度に近似できることが知られている(非特許文献3参照)。本実施例においても少数の角周波数の集合Ωに対して、式(22)のように余弦関数の線形結合でガウシアンフィルタのフィルタ係数guを近似する。
Figure 2016103089
なお、式(14)では正弦関数での畳み込み演算で定式化を行っているが、sin(x+π/2) = cos(x)の関係があるので、変数mを調整することで余弦関数の畳み込み演算が可能である。
また、本実施例における情報処理装置100の機能ブロック図は実施例1の図4と同じものを使用できる。しかしながら、フィルタ位置決定部13は二分法ではなく記憶部19に記憶されたフィルタ位置テーブルからフィルタ処理を行う入力信号の位置nを読み出す。フィルタ位置テーブルには予めフィルタ計算を行いたい位置nが登録されている。フィルタ位置テーブルは位置登録情報の一例である。
図8は、本実施例において情報処理装置100が平滑化を行う手順を示すフローチャート図の一例である。
S201:信号入力部11が入力信号を取得する。また、複数周波数分解部18はガウシアンフィルタの係数を複数の周波数(例えば2〜3個)に分解する。あるいはガウシアンフィルタの係数を線形結合で近似するための複数の周波数が与えられていてもよい。
S202:累積値算出部12は全信号位置(n=0, 1, …, N-1)における角周波数ω∈Ωに対し式(12)により累積値F(ω)nを算出し、記憶部19に保存する。
S203:フィルタ位置決定部13はフィルタ処理を行う入力信号の位置nを決定する。フィルタ位置はフィルタ位置テーブルから読み出すことで決定する。
S204:累積差分算出部14が記憶部19から累積値F(ω)nを読出し、式(14)に基づき角周波数ω∈Ωに対するフィルタ出力値h(ω) nを算出する。
S205:加重加算部15は、算出されたh(ω) nを重みw(ω)の下で加重加算し、入力信号の位置nにおけるフィルタ出力値hnを算出する。
S206:終了判定部16は終了判定を行う。フィルタ位置テーブルに記録された全ての入力信号の位置でフィルタ処理がされていれば処理はステップS207に進む。ステップS206の判定がNoの場合、処理はステップS203に戻る。
S207:信号出力部171は得られたフィルタ出力値hnを平滑化された信号として出力する。当然ながらフィルタ出力値hnは元の画像の画素の順番に並べられる。
以上の処理によって、カーネルサイズに非依存の計算量でガウシアンフィルタによる入力信号の平滑化を行うことができる。ステップS202の計算量はO(N)であり、S204、S205では累積値に対して決まった計算量で線形フィルタのフィルタ出力値が算出されるため、計算量はカーネルサイズに非依存である。実施例1と同様にCII及び非特許文献4に対する優位性も得られる。
なお、本実施例のS203では予めフィルタ位置テーブルにフィルタ位置を記録していたが、平滑化を行いたい箇所をユーザがユーザインターフェースを通じてインタラクティブに指定してもよい。
本実施例ではガボールフィルタによるエッジ抽出を同伴行列べき乗型インテグラルイメージにより実行する情報処理装置100について説明する。本実施例では一次元の離散信号に対してガボールフィルタを適用しエッジ抽出を行う。
ガボールフィルタのフィルタ係数guは、パラメータσ, θ、及び
Figure 2016103089
を用いて次のように表される。
Figure 2016103089
図9は、ガボールフィルタの一例を示す図である。形状から見て分かる通り、ガボールフィルタは信号値が大きく変化する位置でフィルタ出力値の絶対値が大きくなるので、エッジ抽出に利用することができる。
次に、ガボールフィルタを同伴行列べき乗型インテグラルイメージに適用するために式(23)を変形する。式(23)は三角関数の加法定理を用いて次のように書き直すことができる。
Figure 2016103089
実施例2のガウシアンフィルタと同様に余弦関数の線形結合でガボールフィルタのカーネルを近似する。
Figure 2016103089
これにより式(26)が得られる。
Figure 2016103089
そして、Ω´={ω±θ|ω∈Ω}とし以下のように置く
Figure 2016103089
ことで式(26)は以下のように変形できる。
Figure 2016103089
このようにガボールフィルタも少数の周波数の三角関数の線形結合として近似することができる。周波数にはωの他に
Figure 2016103089
が含まれるので、ガウシアンフィルタの二倍(
Figure 2016103089
の分だけ周波数が多い)の数の周波数により近似できる。
ここで、FFTの計算量はO(NlogN)、同伴行列べき乗型インテグラルイメージの計算量は累積値Fnを算出しさえすれば、1つの周波数について決まった計算量である。よって、周波数の数をsとすると下式が成り立つ場合にべき乗型インテグラルイメージを利用することに有効性がある。
s<O(NlogN)
なお、本実施例における情報処理装置100の機能ブロック図は実施例1の図4と同じものを使用できる。フィルタ位置決定部13がフィルタ処理を行う入力信号の位置を決定する方法は実施例2と同様である。
図10は、本実施例において情報処理装置100がエッジ抽出を行う手順を示すフローチャート図の一例である。
S301:信号入力部11が入力信号を取得する。また、複数周波数分解部18はガボールフィルタの係数を複数の周波数(例えば4〜6個)に分解する。あるいはガボールフィルタの係数を線形結合で近似するための複数の周波数が与えられていてもよい。
S302:累積値算出部12は全信号位置(n=0, 1, …, N-1)における角周波数ω∈Ω'に対し式(12)により累積値F(ω)nを算出し、記憶部19に保存する。
S303:フィルタ位置決定部13がフィルタ処理を行う入力信号の位置を決定する。本実施例では、予めフィルタ計算を行いう入力信号の位置が記録されたフィルタ位置テーブルから読み出す。
S304:累積差分算出部14は記憶部19から累積値F(ω)nを読出し、式(14)に基づき角周波数ω∈Ω'と
Figure 2016103089
に対するフィルタ出力値h(ω) nを算出する。
S305:加重加算部15は算出されたh(ω)nを重みw(ω)の下で加重加算し、入力信号の位置nにおけるフィルタ出力値hnを算出する。
S306:終了判定部16は終了判定を行う。フィルタ位置テーブルに記録された入力信号の全ての位置でフィルタ処理が行われていれば、処理はステップS307に進む、ステップS306の判定がNoであれば処理はステップS303に戻る。
S307:エッジ強度出力部172はステップS305で得られたフィルタ出力値hnを、フィルタ処理を行った入力信号の位置nに対応づけてエッジ強度信号として出力する。
以上のように、本実施例の情報処理装置100は、ステップS302においてO(N)で累積値を算出し、ステップS304、S305で累積値に対して決まった計算量の計算で線形フィルタのフィルタ出力値を算出できる。このため、カーネルサイズに非依存の計算量でガボールフィルタによる信号のエッジ抽出を行うこができる。実施例1、2と同様にCII及び非特許文献4に対する優位性も得られる。
なお、ステップS303ではフィルタ位置テーブルからフィルタ処理を行う入力信号の位置を記録しておくのでなく、エッジ抽出を行いたい箇所をユーザがユーザインターフェースを通じてインタラクティブに指定してもよい。
本実施例では同伴行列べき乗型インテグラルイメージを用いて1次元の離散信号から信号をリサンプリングする情報処理装置100について説明する。入力信号のリサンプリングを動的に行う場合に有効である。
図11は、離散信号のリサンプリングの手順を模式的に示す図の一例である。図11(a)は入力信号として入力された離散信号を示す。情報処理装置100は、離散信号の間の値をいったんゼロ(0)で埋めて連続信号に変換する。図11(b)は離散信号がないxの信号値がゼロにより埋められた離散信号を示す。
次に、情報処理装置100はsinc関数の線形フィルタ(以下、sincフィルタと呼ぶ)でエイリアス除去(アンチエイリアス処理)を行う。エイリアス除去はサンプリングされた位置で各値にsinc関数をそれぞれ適用して、適用結果を重ね合わせることで得られる。これにより、図11(c)に示すようになめらかに連続する入力信号が得られる。
したがって、情報処理装置100は、図11(d)に示すように信号の任意の位置で信号をリサンプリングすることができる。
原信号がサンプリング周波数の半分以下の周波数成分のみを含む場合、この方法で完全に原信号を再現することができる(サンプリング定理)。
実際のリサンプリングの計算では連続信号を再現する必要はないので、リサンプリングしたい位置で入力信号に対してsincフィルタを適用し、その出力値をリンサンプリング後の値とすれば良い。すなわち、一次元離散信号系(f0, f1, …, fN-1)から、位置x(実数)の信号値fxは次式で計算できる。
Figure 2016103089
sinc(x)はsinc関数であり次のように定義される。
Figure 2016103089
式(28)を直接計算すると、N回の乗算とN−1回の加算が必要であり、計算量が大きい。そこで、同伴行列べき乗型インテグラルイメージを導入して式(28)を計算することで高速化を行う。
実施例1〜3と同様に、sinc関数を少数の周波数の三角関数の線形結合で近似する。
Figure 2016103089
なお、本実施例における情報処理装置100の機能ブロック図は実施例1の図4と同じものを使用できる。フィルタ位置決定部13がフィルタ処理を行う入力信号の位置を決定する方法は実施例2と同様である。
図12は、本実施例において情報処理装置100がリサンプリングを行う手順を示すフローチャート図の一例である。
S401:信号入力部11が入力信号を取得する。また、複数周波数分解部18はsinc関数を複数の周波数(例えば、2〜6個)の線形結合で近似する。あるいはsinc関数を線形結合で近似するための複数の周波数が与えられていてもよい。
S402:累積値算出部12が全信号位置(n=0, 1, …, N-1)における角周波数ω∈Ωに対し式(12)により累積値F(ω)nを算出し、記憶部19に保存する。
S403:フィルタ位置決定部13がフィルタ処理を行う入力信号の位置を決定する。フィルタ処理が行われる入力信号の位置はフィルタ位置テーブルから読み出す。
S404:累積差分算出部14は記憶部19から累積値F(ω)nを読み出し、式(14)に基づき角周波数ω∈Ωに対するフィルタ出力値h(ω) nを算出する。
S405:加重加算部15はステップS404で算出されたh(ω)nを重みw(ω)の下で加重加算し、位置nにおけるフィルタ出力値hnを算出する。
S406:終了判定部16は終了判定を行う。フィルタ位置テーブルに記録された入力信号の全ての位置でフィルタ処理が行われていれば処理はステップS407に進む。ステップS406の判定がNoの場合、処理はステップS403に戻る。
S407:信号出力部171は得られたフィルタ出力値hnをリサンプリング信号として出力する。
以上のように、本実施例の情報処理装置100はステップS402のO(N)の計算量で累積値を算出し、ステップS404、S405で累積値に対して決まった計算量の計算で線形フィルタのフィルタ出力値を算出する。したがって、カーネルサイズに非依存の計算量でsincフィルタによる信号のリサンプリングを行うこができる。実施例1〜3と同様にCII及び非特許文献4に対する優位性も得られる。
なお、ステップS403ではフィルタ位置テーブルからフィルタ処理を行う入力信号の位置を記録しておくのでなく、エッジ抽出を行いたい箇所をユーザがユーザインターフェースを通じてインタラクティブに指定してもよい。
また、情報処理装置100は一度計算した累積値F(ω)nを使い続けることができるので、リサンプリングを繰り返し行う場合により高い計算効率を発揮する。たとえばディスプレイに拡大率を動的に変更しながら信号を表示する場合、動くCG物体のテクスチャのレンダリングする場合などである。
<変形例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本実施形態ではべき乗型インテグラルイメージに同伴行列を適用したが、同伴行列と同等の性質を有する行列を適用することを制限するものではない。
また、本実施形態では、同伴行列べき乗インテグラルイメージをテンプレートマッチング、ガウシアンフィルタ、ガボールフィルタ、及び、信号のリサンプリングに適用したが、同伴行列べき乗インテグラルイメージの適用範囲はこれらに限られない。
11 信号入力部
12 累積値算出部
13 フィルタ位置決定部
14 累積差分算出部
15 加重加算部
16 終了判定部
17 データ出力部
18 複数周波数分解部
19 記憶部
100 情報処理装置
F.C. Crow, "Summed-area tables for texture mapping," in Proceedings of the 11th annual conference on Computer graphics and interactive techniques. ACM, 1984, pp. 207-212. P. Viola and M. Jones, "Rapid object detection using a boosted cascade of simple features," in IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, 2001, vol. 1. E. Elboher and M. Werman, "Cosine integral images for fast spatial and range filtering," in Image Processing (ICIP), 2011 18th IEEE International Conference on. IEEE, pp. 89-92, 2011. K. Sugimoto and S. Kamata, "Fast Image Filtering by DCT-Based Kernel Decomposition and Sequential Sum Update," in Image Processing (ICIP), 2012 19th IEEE International Conference on. IEEE, pp.125-128, 2012.

Claims (10)

  1. 信号に線形フィルタを適用する情報処理装置であって、
    初期値として与えられた1番目のベクトルを用いると共に、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルと行列の積にn番目の信号値を加算してn番目のベクトルを求めるベクトル算出部と、
    前記ベクトル算出部が算出したn個のベクトルから取り出した2つのベクトルのうち、一方のベクトルと前記行列のべき乗との積から、他方のベクトルと前記行列のべき乗との積を減じた差分を前記信号に対する線形フィルタの出力値として出力する出力値算出部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記ベクトル算出部が算出するn番目のベクトルの第i要素はn−1番目のベクトルの第i-1と等しく、前記ベクトル算出部は1番目のベクトルからn番目のベクトルの第一要素のみを記憶手段に記憶しておく請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記ベクトル算出部は、前記行列として固有値がexp-jω(jは虚数単位)の同伴行列を用いて、n番目のベクトルの第一要素Fn,1を次式で算出する請求項2に記載の情報処理装置。
    Figure 2016103089
  4. 複数の周波数の線形結合で近似された線形フィルタの係数を取得するフィルタ係数取得部と、
    前記出力値算出部が前記周波数ごとに算出した前記差分を加重加算して線形フィルタの出力値を算出する加重加算部と、を有する請求項1〜3いずれか1項に記載の情報処理装置。
  5. 二分法で区切られた前記信号の両端を線形フィルタの適用位置に決定する適用位置決定部と、
    テンプレートマッチングのためのテンプレートとして線形フィルタを用い、前記適用位置が決定されるごとに求められた複数の線形フィルタの出力値のうち出力値が最も大きい前記適用位置を出力する適用位置出力部と、を有する請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 線形フィルタを複数の周波数の線形結合で表されたガウシアンフィルタ又はガボールフィルタとした場合、
    前記加重加算部は、ガウシアンフィルタ又はガボールフィルタを線形結合で表す前記周波数ごとに算出された前記差分を加重加算することで線形フィルタの出力値を算出する請求項4に記載の情報処理装置。
  7. 前記信号が離散信号である場合、前記フィルタ係数取得部は複数の周波数の線形結合で近似された所定の関数を取得し、
    前記信号から信号値を取得する位置が登録された位置登録情報を参照してフィルタ処理を施す前記信号の位置を決定する適用位置決定部を有し、
    前記出力値算出部は前記適用位置決定部が決定した前記位置において前記差分を前記周波数ごとに算出し、
    前記加重加算部は、前記周波数ごとに算出された前記差分を加重加算して前記離散信号が前記信号値を有さない前記位置における前記信号値を算出する請求項4に記載の情報処理装置。
  8. 前記信号がD次元の信号(Dは2以上の整数)である場合、D−1次元までの信号に対応した線形フィルタの出力値に対して、D次元の信号に対応した線形フィルタを適用することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  9. 信号に線形フィルタを適用する情報処理装置によって行われる信号処理方法であって、
    初期値として与えられた1番目のベクトルを用いると共に、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルと行列の積にn番目の信号値を加算してn番目のベクトルを求めるベクトル算出ステップと、
    前記ベクトル算出ステップにより算出されたn個のベクトルから取り出した2つのベクトルのうち、一方のベクトルと前記行列のべき乗との積から、他方のベクトルと前記行列のべき乗との積を減じた差分を線形フィルタの出力値として出力する出力値算出ステップと、を有することを特徴とする信号処理方法。
  10. 信号に線形フィルタを適用する情報処理装置に、
    初期値として与えられた1番目のベクトルを用いると共に、n−1番目(nは2以上の整数)のベクトルと行列の積にn番目の信号値を加算してn番目のベクトルを求めるベクトル算出ステップと、
    前記ベクトル算出ステップにより算出されたn個のベクトルから取り出した2つのベクトルのうち、一方のベクトルと前記行列のべき乗との積から、他方のベクトルと前記行列のべき乗との積を減じた差分を線形フィルタの出力値として出力する出力値算出ステップと、を実行させるためのプログラム。
JP2014240135A 2014-11-27 2014-11-27 情報処理装置、信号処理方法、プログラム Pending JP2016103089A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014240135A JP2016103089A (ja) 2014-11-27 2014-11-27 情報処理装置、信号処理方法、プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014240135A JP2016103089A (ja) 2014-11-27 2014-11-27 情報処理装置、信号処理方法、プログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016103089A true JP2016103089A (ja) 2016-06-02

Family

ID=56088975

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014240135A Pending JP2016103089A (ja) 2014-11-27 2014-11-27 情報処理装置、信号処理方法、プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016103089A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109375896A (zh) * 2018-10-29 2019-02-22 广东电网有限责任公司 一种类似积分方法及装置
JP2019220114A (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 株式会社リコー 信号処理装置、畳み込みニューラルネットワーク、信号処理方法及び信号処理プログラム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019220114A (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 株式会社リコー 信号処理装置、畳み込みニューラルネットワーク、信号処理方法及び信号処理プログラム
JP7031511B2 (ja) 2018-06-22 2022-03-08 株式会社リコー 信号処理装置、畳み込みニューラルネットワーク、信号処理方法及び信号処理プログラム
CN109375896A (zh) * 2018-10-29 2019-02-22 广东电网有限责任公司 一种类似积分方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2019201961B2 (en) System for content-aware vector path creation from raster image data
RU2429540C2 (ru) Устройство для обработки изображений, способ обработки изображений и считываемый компьютером носитель информации
Ganapathysubramanian et al. Modeling diffusion in random heterogeneous media: Data-driven models, stochastic collocation and the variational multiscale method
Nochetto et al. Piecewise polynomial interpolation in Muckenhoupt weighted Sobolev spaces and applications
US9916521B2 (en) Depth normalization transformation of pixels
JP2006268188A (ja) 曲面生成方法及びプログラム並びに3次元形状処理装置
US10607374B2 (en) Generating enhanced digital images by selectively transforming raster images to vector drawing segments
Park 2D discrete Fourier transform on sliding windows
Zhang et al. A fractional diffusion-wave equation with non-local regularization for image denoising
JP2010003297A (ja) バイラテラルフィルタおよびパワー画像を用いて画像をフィルタリングする方法
Bj⊘ rke et al. Wavelets applied to simplification of digital terrain models
JP2011134102A (ja) 情報処理装置及び情報処理方法
Brandt et al. Optimal Spline Approximation via ℓ0‐Minimization
JP5539555B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
JP4053021B2 (ja) 画像拡大装置、及びプログラム
JP2016103089A (ja) 情報処理装置、信号処理方法、プログラム
JP2006313518A (ja) 多次元高速フーリエ変換
JP6769558B2 (ja) 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
JP2015118646A (ja) 画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理装置
US20150142433A1 (en) Irregular Pattern Identification using Landmark based Convolution
JP2021144428A (ja) データ処理装置、データ処理方法
Sloboda Boundary transformation representation of attractor shape deformation
CN113641785A (zh) 基于多维度的科技资源相似词检索方法及电子设备
JP6361195B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体
Unat et al. An adaptive sub-sampling method for in-memory compression of scientific data