以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図26を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車(可動部材310を図示し、その他は図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、16R確変大当たり、16R時短大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「16R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「15R時短大当たり」は、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
これにより、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
なお、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなった場合に選択される大当たりの種別の選択比率が異なるようにしてもよい。具体的には、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率を、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定する。これにより、上述した球の打ち方による変化を、より明確にすることができる。
第1入賞口64の上方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を右側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の正面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253、特定入賞ユニット650内に配設される、第1入球センサ650aと第2入球センサ650bとが接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22、第1役物モータ330c、第2役物モータ340c、入口センサ651a、出口センサ652a、迂回センサ653aなどがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ472が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図26を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図5から図7を参照して、背面ケース210への各ユニット300及び400の収容構造について説明する。
図5は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図6及び図7は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図7では、複合動作ユニット400が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図5から図7に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図6紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、正面ユニット300及び複合動作ユニット400がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、複合動作ユニット400は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する形状よりも若干小さな外形で形成され、外壁部212の内側面に当接しながら、外壁部212に囲われる態様で底壁部211に配設される(図7参照)。複合動作ユニット400は、組立状態(図5参照)において、正面視で背面ケース210の開口211aと一致する位置に矩形状の開口が形成される。
この図7に示す状態に対し、正面ユニット300は、複合動作ユニット400の正面側に、重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図5参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、複合動作ユニット400)に対し、他の動作ユニット(例えば、正面ユニット300)が正面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットを、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13(図2参照)が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図8を参照して、複合動作ユニット400の動作態様の概略について説明する。なお、図8の説明においては、図5から図7を適宜参照する。
図8は、動作ユニット200の正面図である。なお、図8では、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420が張出位置に配置された状態が図示される。
図5に示す退避位置では、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420は、背面ケース210の開口211aの上方および下方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図8に示す張出位置では、一対のスライド部材420が互いに対向する向きにスライド移動され、一対のスライド部材420が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
これら各動作ユニット300及び400は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300及び400のうちの層を違えて配設されるものについては、例え動作部材が背面ケース210の開口211aの内方に張り出す態様のものであっても同時に動作させることができる。即ち、各動作ユニット300及び400をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
なお、複合動作ユニット400は、一対のスライド部材420の退避位置および張出位置が、一対のスライド部材420の可動範囲の終端として形成される。
次いで、図9から図24を参照して、複合動作ユニット400について説明する。図9(a)及び図9(b)は、複合動作ユニット400の正面斜視図である。なお、図9(a)では、スライド部材420及び半月部材460が退避位置に配置され、図9(b)では、スライド部材420及び半月部材460が張出位置に配置された状態が図示される。なお、スライド部材420及び半月部材460の張出位置は、スライド部材420の可動範囲の終端のうち上述した退避位置の反対側に位置する終端として形成される。
図9に示すように、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420は、上下方向にスライド移動され、そのスライド移動の過程で、半月部材460がスライド部材420の軸支孔421a(図12参照)を中心に回転される。次に、複合動作ユニット400の全体構成について説明する。
図10は、複合動作ユニット400の分解正面斜視図であり、図11は、複合動作ユニット400の分解背面斜視図であり、図12は、一対のスライド部材420、背面カバー430、第1ギア群440及び第2ギア群450の正面分解斜視図であり、図13は、一対のスライド部材420、背面カバー430、第1ギア群440及び第2ギア群450の背面分解斜視図である。
図10から図13に示すように、複合動作ユニット400は、左右一対で配設されると共に背面ケース210に締結固定される一対のベース部材410と、それらのベース部材410を連結すると共に上下方向にスライド移動可能に形成される一対のスライド部材420と、それらのスライド部材420の本体部421の背面に締結されることで本体部421との間に空間を形成する背面カバー430と、スライド部材420と背面カバー430との間に配設される第1ギア群440と、同じくスライド部材420と背面カバー430との間に配設される第2ギア群450と、第2ギア群450の反転ギア453に係止される半月部材460と、スライド部材420を移動させる駆動力を発生させる駆動装置470と、を主に備えて構成される。
ベース部材410は、上下方向に長尺の矩形板形状に形成されると共に複合動作ユニット400の骨格となる部材であって、厚み方向を前後方向と一致させる長尺板形状の本体部411と、厚み方向に穿設され上下方向に延びる複数のスライド孔412と、そのスライド孔412の延設方向と平行な壁面として一対のベース部材410の対向する面に形成される位置合わせ壁413と、組立状態(図9参照)においてその位置合わせ壁413に当接される側面の反対側の側面にラックギア414a,414bが形成される固定ラックギア部材414と、を備える。
スライド孔412は、スライド部材420のスライド方向を規制する長孔であって、各ベース部材410の略中央に連設されると共に延設方向が一致される一対の中間スライド孔412aと、その中間スライド孔412aの外方(一対のベース部材410が対向する側の反対側)に形成される外方スライド孔412bと、中間スライド孔412aの内方(一対のベース部材410の対向側)に形成される内方スライド孔412cと、を備える。なお、外方スライド孔412bと内方スライド孔412cとは上下互い違いに形成される。即ち、例えば、外方スライド孔412bがベース部材410の上部に形成される場合には、内方スライド孔412cはベース部材410の下部に形成される。
固定ラックギア部材414は、第1ギア群440及び第2ギア群450に駆動力を伝達する目的で位置合わせ壁413に当接された状態でベース部材410に締結されると共に断面矩形の棒形状に形成される部材であって、位置合わせ壁413に当接される側面である外側面と、その外側面と平行に形成される外側面の反対側の面に亘って刻設される常設ラックギア414aと、その常設ラックギア414aの正面側(図10手前側)に隣接して刻設されるラックギアであってベース部材410の中央部付近にのみ刻設される限定ラックギア414bと、を主に備える。
なお、常設ラックギア414aは、第2ギア群450に歯合され、限定ラックギア414bは、第1ギア群440に歯合されるが、詳細は後述する。また、限定ラックギア414bは第1ギア群440の異形ギア441と歯合し始める側に配置される始動ギア歯414b1(端のギア歯)が、その他のギア歯に比較して大型に形成される(図10参照)。
スライド部材420は、中央部分に半月部材460が配設されると共に上下スライドされる部材である。なお、スライド部材420は上下一対で形成され、各スライド部材420の構成は共通(正面視における中心点で点対称)なので、一方(上側)のスライド部材420のみ説明し、他方(下側)のスライド部材420の説明を省略する。
即ち、一方のスライド部材420は、左右方向に長尺の矩形板状に形成されると共に両端部において正面側へ段が形成される本体部421と、その本体部421の両端部から鉛直下方に延設される一対の被伝達脚部422と、本体部421の上下両端から背面側(図11手前側)へ板状に延設される一対の側壁部423と、本体部421の背面から突設されると共に複数が左右方向に連設される第1軸支ピン424と、本体部421の一方(図11右方)の端部の背面から複数が突設される第2軸支ピン425と、を主に備える。
本体部421は、中央部に穿設される大径の軸支孔421aと、その軸支孔421aと同軸の円弧状に穿設される回転規制孔421bと、上端の側壁部423と対向配置されると共に中央側が側壁部423に一段近接されるスライド規制壁部421cと、両端部において背面側へ突設されると共に上下一対で形成されるスライド規制ピン421dと、を主に備えて構成される。
軸支孔421aは、半月部材460の円弧状壁部461cが挿通される開口であって、軸支孔421aの直径は円弧状壁部461cの外径よりも若干大きな直径で形成される。この軸支孔421aを通して半月部材460と反転ギア453とが相対回転不能に連結される。
回転規制孔421bは、半月部材460の係止ピン461eが挿通される開口であって、回転規制孔421bの幅は係止ピン461eの直径よりも若干大きな幅で形成される。回転規制孔421bの端部に係止ピン461eが当接されることで半月部材460のそれ以上の回転が規制される。
スライド規制壁部421cは、本体部421の上側の側壁部423との間に第1ギア群440のスライドラック442を収容する部分であって、段に形成される部分がスライドラック442に付勢力を与える付勢バネ442cの一端をせき止める態様で形成される。
スライド規制ピン421dは、リング状のカラー部材Cに挿入されると共にベース部材410の中間スライド孔412aに挿通される筒状の部材であって、先端において抜け止め板Bが締結固定される。
カラー部材C(図17(a)参照)は、フランジ(大径部)を有するリング状に形成される。フランジの外径は中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも大径に形成され、フランジの形成されるリング部分の外径は中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも若干小さく形成される。そのため、フランジがスライド部材420の本体部421とベース部材410の本体部411との間に介在すると共に、カラー部材Cのリング部分が中間スライド孔412aに若干の隙間を空けて収容される。これにより、スライド規制ピン421dは、中間スライド孔412aの延設方向に自由に移動可能に形成される一方、中間スライド孔412aの延設方向と直交する方向への移動を規制される。
抜け止め板B(図19(a)参照)は、本体部が中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも大きな幅で形成される。そのため、抜け止め板Bがスライド規制ピン421dに締結された状態において、スライド部材420はベース部材410と引き抜き不能に連結される。
また、抜け止め板Bは、スライド規制ピン421dの端部に当接する面に締結孔が穿設されると共にその締結孔の周りがカラー部材Cのリング部分と同形に肉盛りされる。その肉盛り部分は、中間スライド孔412aに収容される。これにより、スライド規制ピン421dの根本部分にはカラー部材Cが配設されると共に先端部分には抜け止め板Bの肉盛り部分が配設されるので、スライド規制ピン421dの軸を中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの開口方向に一致させながら安定して支持することができる(図19(a)参照)。
被伝達脚部422は、駆動装置470の駆動力が伝達される部分であって、駆動装置470の駆動ギア473に歯合されるラックギア422aと、本体部421のスライド規制ピン421dと同じ態様で突設されるスライド規制ピン422bと、ラックギア422aの前側の歯幅方向(ギア歯の連設方向に垂直な方向)側面に覆設される前側壁部422cと、その前側壁部422cに形成される円弧状の切り欠きである切り欠き部422dと、を主に備える。
スライド規制ピン422bは、スライド規制ピン421dと同様にカラー部材C及び抜け止め板Bが配設され、ベース部材410の各スライド孔412b,412cに挿通される。本実施形態では、正面視右方の被伝達脚部422のスライド規制ピン422bがベース部材410の外方スライド孔412cに挿通されると共に、正面視左方の被伝達脚部422のスライド規制ピン422bがベース部材410の内方スライド孔412cに挿通される。これにより、抜け止め板Bがスライド規制ピン422bに締結された状態において、スライド規制ピン422bの軸を各スライド孔412b,412cの開口方向に一致させながら安定して支持すると共にスライド部材420及びベース部材410を引き抜き不能に連結することができる。
前側壁部422cは、組立状態(図18参照)の正面視において、駆動ギア473のギア歯と重なり可能な態様で形成される。
切り欠き部422dは、一対のスライド部材420が退避位置(図9(a)参照)に配置された状態において、駆動ギア473の歯先円より若干大きな代表円が駆動ギアの回転軸と中心軸を合わせて配置された場合に、正面視でその代表円が前側壁部422cに投影される部分に形成される。
側壁部423は、本体部421の軸支孔421aの穿設される領域の上下において切り欠かれる切り欠き部423aを備える。切り欠き部423aは、半月部材460の駆動レバー467が通過する部分としての役割を有する。
第1軸支ピン424は、スライド部材420の背面から複数(本実施形態では3箇所)が連設される嵩上げ軸支ピン424aと、スライド部材420の軸支孔421aに隣接される二層ギア軸支ピン424bと、を主に備える。
嵩上げ軸支ピン424aは、周囲に同一高さのリング状部を備えるため、挿通される第2ギア群450がスライド部材420の本体部421から嵩上げされて(本体部421から所定距離空けて)軸支される。これにより、その空間に第1ギア群440を配設することができる。
背面カバー430は、スライド部材420の背面に締結固定されることでスライド部材420の本体部421及び一対の側壁部423に蓋をする部材であって、スライド規制ピン421dが挿通される一対の挿通孔430aがそれぞれ一方の端部に穿設される。
第1ギア群440は、スライド部材420及び背面カバー430の間に収容されると共に限定ラックギア414bに歯合されるギア群であって、限定ラックギア414bに歯合される異形ギア441と、側面にラックギア442bが刻設されると共にスライド部材420のスライド規制壁部421cに沿ってスライド移動されるスライドラック442と、異形ギア441の回転をスライドラック442に伝達させる一対の伝達ギア443と、異形ギア441及び一対の伝達ギア443のうち異形ギア441側に配設される伝達ギア443に軸方向から蓋をする板状部材であってスライド部材420の本体部421に締結固定される中間板444と、を主に備える。
異形ギア441は、刻設されるギア歯のうち、他の歯に比較して大型に形成される始動ギア歯441aを備える。
異形ギア441及び一対の伝達ギア443は、それぞれスライド部材420の複数の第2軸支ピン425に軸支される。
スライドラック442は、矩形棒形状に形成される本体部442aと、その本体部442aの一方の側面に形成されると共に伝達ギア443に歯合されるラックギア442bと、本体部442aの側面から突設される突部に係止される付勢バネ442cと、を主に備える。
付勢バネ442cは、スライド部材420のスライド規制壁部421cの段部に係止されることで、スライドラック442を伝達ギア443側へ押し戻す付勢力を発生させる。
中間板444は、第1ギア群440と第2ギア群450とを前後に区分けする板であって、正面側へ軸支ピン444aが突設される。
軸支ピン444aには、第2ギア群450の複数のギアのうち、ベース部材410の常設ラックギア414aに歯合される伝達ギア451が軸支される。
第2ギア群450は、スライド部材420の上下方向の変位を利用して反転ギア453を回転させることで半月部材460を反転させる役割を有し、左右方向に複数個(本実施形態では4個)が連設されると共に外端部のギアがベース部材410の常設ラックギア414aに歯合される複数の伝達ギア451と、その複数の伝達ギア451のうち常設ラックギア414aの反対側の内端部に軸支される伝達ギア451に上層(背面側の層)のギア歯452aが歯合される二層ギア452と、その二層ギア452の下層(正面側の層)の分断ギア歯452bに歯合される反転ギア453と、を主に備える。
伝達ギア451は、複数のギアのうち、ベース部材410の常設ラックギア414a側の端のギアは第1ギア群440の軸支ピン444aに軸支され、その他のギアはスライド部材420の嵩上げ軸支ピン424aに軸支される。
上述したように、嵩上げ軸支ピン424aは、周囲に同一高さのリング状部を備えるため、伝達ギア451はスライド部材420の本体部421から嵩上げされて(本体部421から所定距離空けて)軸支される。これにより、第1ギア群440の軸支ピン444aに軸支される伝達ギア451と、その他の伝達ギア451との軸方向高さを一致させることができる。即ち、複数の伝達ギア451は、スライド部材420の本体部421から所定距離空けた状態で互いに軸支される。
二層ギア452は、樹脂材料から形成され、上層(背面側の層)に刻設されるギア歯452aと、下層(正面側の層)に刻設される分断ギア歯452bと、上層と下層との間に形成される円板部452cと、反転ギア453の円弧状凹部453cに摺動される円弧状の壁面である摺動壁部452dと、を主に備える(図20参照)。
ギア歯452aは、伝達ギア451と常時歯合されるため、スライド部材420が上下にスライド移動すると二層ギア452は常時回転される。
二層ギア452の下層は、分断ギア歯452bが刻設される領域と摺動壁部452dが形成される領域とで構成され、分断ギア歯452b及び摺動壁部452dの境界に他の中間ギア歯452b2よりも大型の始動ギア歯452b1が刻設される。なお、ギア歯の受け入れ部分として始動ギア歯452b1の両側に形成される窪み部452b3,452b4(図20参照)は、中間ギア歯452b2のギア歯間の窪みに比較して深く形成される。これにより、後述する反転ギア453の中間ギア歯453b2より大型に形成される始動ギア歯453b1を噛み合い良好(ギア歯が深く噛み合う状態)に受け入れることができる。従って、ギア歯の大きさが歯ごとに異なる場合でも、二層ギア452と反転ギア453との歯合関係を良好に保つことができる。
始動ギア歯452b1の両側に形成される窪み部452b3,452b4は、反転ギア453の始動ギア歯453b1の受け入れ部分として働く(図23(b)参照)。なお、窪み部452b3,452b4のうち、摺動壁部452dに近接される側を第1窪み部452b3とし、その第1窪み部452b3の反対側を第2窪み部452b4とする。
ギア歯452bは、分断ギア歯452bの始動ギア歯452b1より小型に形成されると共に中間ギア歯452b2より大型に形成される。これにより、後述するように、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453の始動ギア歯453b1との歯合開始時の歯合ずれを抑制すると共に歯合継続時の回転の精度を向上させることができる。
なお、歯合開始時とは、二層ギア452の始動ギア歯452b1と、反転ギア453とが当接し始める時を意味し、ギア歯同士が当接され始める場合に限るものではない。本実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1と、反転ギア453の係合突状受け部453dとが当接される時を意味する。
また、歯合継続時とは、始動ギア歯452b1,453b1が歯合した後で中間ギア歯452b2,453b2が歯合される状態を意味する。
始動ギア歯452b1を大型にする方法としては、歯幅(歯車の軸方向に沿った長さ)を大型にする方法も考えられる。しかし、本実施形態では、二層ギア452を二層構造にしやすいという理由から、始動ギア歯452b1と中間ギア歯452b2との歯幅を同一に形成し、歯厚(歯の連設方向の寸法)及び歯たけを大きくしている。
円板部452cは、二層ギア452に隣接する伝達ギア451のギア歯や二層ギア452に隣接する反転ギア453のギア歯に軸方向視において重ね合わされて形成される(図21(b)参照)。これにより、伝達ギア451や反転ギア453が軸方向に動いた場合に、それぞれのギア歯が円板部452cに当接されることで、伝達ギア451や反転ギア453がぐらつくことを抑制することができると共に伝達ギア451や反転ギア453のそれ以上の移動を抑制することができる。
反転ギア453は、二層ギア452に歯合され回転されることで半月部材460を反転させる部材であって、半月部材460の筒状本体462aが挿通可能な筒状に形成される本体部453aと、その本体部453aの一方の端部から外方へ向けて形成される反転ギア歯453bと、筒状本体462aの外周に沿った方向で反転ギア歯453bと隣接して形成され本体部453aの軸対象に配置されると共に二層ギア452の摺動壁部452dに摺動される円弧状の壁面である円弧状凹部453cと、その円弧状凹部453cが形成される幅広の突出部である係合突状受け部453dと、本体部453aの外周面を三等分した位置から径方向に突設される係止突部453eと、を主に備える。
反転ギア歯453bは、その両端部に、中間ギア歯453b2(両端部以外のギア歯)よりも(歯厚および歯たけが)大型の始動ギア歯453b1が刻設される。なお、ギア歯の受け入れ部分として始動ギア歯453b1と係合突状受け部453dとの間に形成される窪み部453b3は、中間ギア歯453b2のギア歯間に形成される窪みに比較して深く形成される。これにより、二層ギア452の中間ギア歯452b2より大型に形成される始動ギア歯452b1を噛み合い良好(ギア歯が深く噛み合う状態)に受け入れることができる。従って、ギア歯の大きさが歯ごとに異なる場合でも、二層ギア452と反転ギア453との歯合関係を良好に保つことができる。
円弧状凹部453cは、二層ギア452の摺動壁部452dに当接される部分であって、その摺動壁部452dの半径と略同一の曲率半径で形成される。
係止突部453eは、半月部材460の本体部461に形成される円弧状壁部461cに相対回転不能な態様で嵌合される。これにより、反転ギア453と半月部材460とが一体で回転される。
次いで、図14及び図15を参照して、半月部材460について説明する。図14は、半月部材460の正面斜視図であり、図15は、半月部材460の背面斜視図である。なお、図14及び図15では、半月部材460の本体部461から前カバー466が取り外された状態が図示される。
半月部材460は、スライド部材420(図10参照)の中央に配設されると共にスライド部材420のスライド移動に伴って上下が反転する態様で軸回転される部材であって、半円形状の板部材であって半月部材460の骨格をなす本体部461と、その本体部461の中央付近に穿設される連結孔461aに挿通される筒状本体462aを有する中心ギア462と、その中心ギア462の回転に伴って本体部461に沿ってスライド移動される複数の爪部材463と、その爪部材463の根本に形成されるスライド孔463aに挿通されるスライドピン464bを備えるクランクギア464と、中心ギア462とクランクギア464との間に配設されると共に中心ギア462とクランクギア464とに歯合される伝達ギア群465と、本体部461の正面側から締結固定される前カバー466と、中心ギア462の筒状本体462aの端部に締結固定される駆動レバー467(図12参照)と、を主に備える。
本体部461は、中心ギア462が挿通される連結孔461aと、クランクギア464及び伝達ギア群465が軸支される複数の軸支ピン461bと、連結孔461aの周囲に反転ギア453の内周径より若干小さい外径で突設されると共に係止突部453eを嵌め合わせられる切り欠きが形成される円弧状壁部461cと、付勢バネを引っかけられる鉤爪状の鉤部461dと、背面から突設される係止ピン461eと、を主に備える。
係止ピン461eは、組立状態(図21(a)参照)でスライド部材420の回転規制孔421bに挿通される。これにより、半月部材460の回転角度が規制される。
中心ギア462は、本体部461の連結孔461aに挿通される筒状本体462aと、その筒状本体462aの一方の端部から径方向にフランジ状に形成されるフランジ部462bと、そのフランジ部462bの外周面から径方向内方に刻設されるギア歯462cと、筒状本体462aの一方の端部の反対側の端部である他方の端部に駆動レバー467を締結固定可能に形成される締結孔462dと、一端が本体部461の鉤部461dに係止される付勢バネの他端が引っかけられる鉤爪状の鉤部462eと、を主に備える。
爪部材463は、クランクギア464のスライドピン464bが挿通される長孔状のスライド孔463aと、正面側に突設される長尺の板状体であるスライド板部463bと、を主に備える。
スライド板部463bは、前カバー466に穿設される長孔状のスライド孔466aに挿通される。これにより、爪部材463は前カバー466のスライド孔466aの延設方向にスライド移動可能に形成される。
クランクギア464は、本体部461の軸支ピン461bに軸支されると共に外周面にギア歯が刻設される本体部464aと、その本体部464aの回転軸とは偏心して突設されるスライドピン464bと、を主に備える。
本体部464aは、中心ギア462及び伝達ギア群465に歯合されることで、中心ギア462の回転に伴って回転される。
スライドピン464bは、本体部464aが回転されることで、それぞれの軸支ピン461bを軸にして移動される。それにより、スライドピン464bは、中心ギア462に近接して配置される第1位置(図14参照)と、中心ギア462から遠ざけられて配置される第2位置との間を移動される。このスライドピン464bの移動により、爪部材463が前カバー466のスライド孔466aに沿って移動される(図26(b)参照)。
前カバー466は、本体部461の正面側に締結固定されると共に半月部材460の各部材を本体部461との間に収容する部材であって、爪部材463のスライド板部463bが挿通される長孔状のスライド孔466aが穿設される。
駆動レバー467は、径方向外方に延設される長尺板形状のレバー部467a(図13参照)と、中心ギア462の締結孔462dと合致する位置に穿設される挿通孔467b(図13参照)と、を主に備える。
レバー部467a(図13参照)は、スライドラック442に押される部分であって、スライドラック442にレバー部467aが押されることで中心ギア462が回転される。
図10から図13に戻って説明する。駆動装置470は、ベース部材410の中央部において正面側へ嵩上げして配設されると共にベース部材410に締結固定される締結板部471と、その締結板部471に締結固定される駆動モータ472と、その駆動モータ472の駆動軸に挿通される駆動ギア473と、を主に備える。
締結板部471は、駆動ギア472のモータケースの外形に沿って断面円弧状に形成されると共に正面側へ延設される一対の規制壁部471a,471bを備え、一方の規制壁部471a(組立状態において内側)がモータケースの略中間位置まで延設され、他方の規制壁部471b(組立状態において外側)が一方の規制壁部471aの延設端よりも長く延設される。これら一対の規制壁部471a,471bは駆動モータ472を締結板部471から引き抜く際のガイドとして利用される。
駆動ギア473は、一対のスライド部材420のラックギア422aに両側から対向配置され、両側から歯合される。
次いで、図16から図19を参照して、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420の移動の概要について説明する。図16及び図18は、複合動作ユニット400の部分正面図であり、図17(a)は、図16のXVIIa−XVIIa線における複合動作ユニット400の部分断面図であり、図17(b)は、図17(a)から駆動装置470を移動させた後の複合動作ユニット400の部分断面図であり、図19(a)は、図18のXIXa−XIXa線における複合動作ユニット400の部分断面図であり、図19(b)は、図19(a)から駆動モータ472を駆動ギア473から分離させた後の複合動作ユニット400の部分断面図である。なお、図16及び図17は一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態が図示され、図18及び図19は一対のスライド部材420が張出位置に配置された状態が図示される。
図16及び図18に示すように、一対のスライド部材420は、互いの被伝達脚部422同士で駆動装置470の駆動ギア473を挟む。このとき、駆動ギア473を挟んで対向配置される被伝達脚部422のラックギア422aが単一の駆動ギア473と歯合される。これにより、駆動ギア473が駆動モータ472により回転されることで、駆動ギア473を挟んで対向配置される被伝達脚部422が同期してスライド移動される。
即ち、スライド部材420が退避位置(図16参照)に配置された状態において、駆動ギア473が正面視時計回りに回転されることで、上側のスライド部材420は下方へ、下側のスライド部材420は上方へ互いに等速で移動される。このとき、左右に一対で配設される駆動モータ472は同期制御され、一対のスライド部材を安定してスライド移動させることができる。
また、一対のスライド部材420のそれぞれの重量が、駆動ギア473に対して相反する方向にかけられる。例えば、正面視右側の駆動ギア473には、上側のスライド部材420からは駆動ギア473を時計回りに回転させる方向へ重量がかけられ、下側のスライド部材420からは駆動ギア473を反時計回りに回転させる方向へ重量がかけられる。これにより、一対のスライド部材420の重量をそれぞれ等しくしておけば、駆動モータ472の動力を切断しても、一対のスライド部材420の重量の釣り合いにより駆動ギア473を停止したままにできる。そのため、一対のスライド部材420を任意の位置に配置した時に駆動モータ472の動力を切断しても、一対のスライド部材420をその位置で停止させたままにすることができる。
スライド部材420の一対の被伝達脚部422は、駆動ギア473に同方向から歯合される。即ち、例えば、上側のスライド部材420の左右一対の被伝達脚部422は左右共に正面視右側から駆動ギア473に歯合され、下側のスライド部材420の左右一対の被伝達脚部422は左右共に正面視左側から駆動ギア473に歯合される。
これにより、駆動ギア473に歯合される一方の被伝達脚部422が突発的に移動しても(例えば歯合される駆動ギア473からの距離が増大する方向へ移動しても)、その一方の被伝達脚部422と本体部421を介して連結されている他方の被伝達脚部422は一方の被伝達脚部422と同方向へ移動される。即ち、歯合される駆動ギア473から遠ざかる方向へ移動されるので、他方の被伝達脚部422に歯合される駆動ギア473に大きな荷重を加えることを抑制することができる。
ここで、例えば、スライド部材420の一方の被伝達脚部422は駆動ギア473に正面視右側から歯合されると共に他方の被伝達脚部422は駆動ギア473に正面視左側から歯合されると、一方の被伝達脚部422が駆動ギア473から距離が増大する方向へ移動されることで他方の被伝達脚部422が駆動ギア473に押しつけられる。これにより、他方の被伝達脚部422に歯合される駆動ギア473に大きな荷重を加えることになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように駆動ギア473に大きな荷重が加えられることを防止することができるので、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの歯合関係の適正化を図ることができる。また、一対のスライド部材420の形状を同等にすることができ、部材の共通化をすることができる。
図19(a)に示すように、駆動ギア473と前側壁部422cとは、前後方向(図19(a)紙面上下方向)に干渉する。一方、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態(図16参照)において、正面視で切り欠き部422dの外形から間隔を空けた状態で駆動ギア473を視認することができる。なお、この「正面視で切り欠き部422dの外形から間隔を空けた状態で駆動ギア473を視認することができる」スライド部材420と駆動ギア473との位置関係を特定位相位置として説明する。
そのため、一対のスライド部材420が可動範囲の終端である退避位置(特定位相位置)に配置された状態において、駆動ギア473を被伝達脚部422に形成される切り欠き部422dを通して引き抜くことができる。これによりスライド部材420をベース部材410から取り外すことなく駆動ギア473を交換することができる(図17(b)参照)。よって、駆動ギア473のメンテナンス性を向上させることができる。
ここで、一対のスライド部材420は、駆動ギア473を挟んで対向配置され、それぞれの被伝達脚部422のラックギア422aで駆動ギア473に歯合される。この状態で、一対のスライド部材420は双方が同様に退避位置(図16参照)に配置される状態を形成する必要があるので、駆動ギア473とラックギア422aとは任意のギア歯で歯合させれば良いものではない。即ち、駆動ギア473と一対のスライド部材420のラックギア422aとは、相互に噛み合うギア歯の関係が固定される(歯合時に駆動ギア473の代表ギア歯と当接されるラックギア422aの代表ギア歯が規定される)適正歯合状態を形成する。
その適正歯合状態を形成するために、スライド部材420の切り欠き部422dを利用することができる。即ち、切り欠き部422dは、上述した通り、一対のスライド部材420が退避位置(図16参照)に配置された状態において、駆動ギア473の歯先円より若干大きな代表円が駆動ギア473の回転軸と中心軸を合わせて配置された場合に、前後方向(図16紙面垂直方向)で前側壁部422cに投影される部分に形成される。
そのため、一対のスライド部材420を退避位置に配置させた状態(図16参照)で、切り欠き部422dが対向配置される。この状態で、駆動ギア473が切り欠き部422dを通して移動される(図16紙面垂直方向へ移動される)ことで、駆動ギア473とラックギア422aとを適正歯合状態で噛み合わせることができる。
一対のスライド部材420を退避位置(特定位相位置)に配置した状態において、一対のスライド部材420は上下方向外側への移動が遮られる(上側のスライド部材420は上方への、下側のスライド部材420は下方へのそれ以上の移動が遮られる)。即ち、スライド部材420を退避位置側へ無作為に移動させた場合、スライド部材420は少なくとも退避位置で停止される(移動抵抗が増加する)。
よって、メンテナンス作業者が駆動ギア473を取り替える際のスライド部材420の位置調節において、スライド部材420を無作為に退避方向へ移動させてもスライド部材420は可動範囲の終端である退避位置(特定位相位置)で停止される。これにより、切り欠き部422dを通して駆動ギア473を容易に取り出すことができ、また、その状態で駆動ギア473を一対のスライド部材420のラックギア422aに容易に噛み合わせることができる。従って、メンテナンス性を向上させることができる。
図17(a)を参照して、駆動装置470の配置について説明する。上述した通り、一対のスライド部材420には切り欠き部422dが形成されるので、一対のスライド部材420を退避位置に配置した状態で、ベース部材410に、組立状態の駆動装置470を締結固定することができる。これにより、駆動装置470の配設自由度を向上させることができる。
即ち、スライド部材420の前側壁部422cに切り欠き部422dが形成されていない場合(例えば、ラックギア422aの全領域において前側壁部422cが形成されている場合)、駆動装置470をベース部材410に組み付けようとしても、駆動ギア473が前側壁部422cに当接してしまい、駆動装置470をベース部材410に組み付けることができない。そのため、駆動装置470を前側壁部422cの反対側に配設せざるを得ず、駆動装置470の配設自由度が低かった。
これに対し、本実施形態では、前側壁部422cに切り欠き部422dが形成されるので、その切り欠き部422dを通して駆動ギア473を前後方向へ移動させることで、駆動装置470をスライド部材420の前側(前側壁部422cの配設される側)に配設することができる。よって、駆動装置470の配設自由度を向上させることができる。
また、駆動ギア473と駆動モータ472との間の層にスライド部材420の前側壁部422cが形成され、スライド部材420を退避位置から移動させることで、駆動ギア473と前側壁部422cとを前後方向視(図16紙面垂直方向視)で重ねることができる。これにより、駆動装置470の交換の際に、駆動モータ472と駆動ギア473とを合わせて外すか、駆動ギア473は残して駆動モータ472だけを外すかを選択することができる。
即ち、スライド部材420の前側壁部422cに駆動ギア473を当接させたまま駆動モータ472を引き抜くことで、駆動モータ472と駆動ギア473とを分離させることができる(図19(b)参照)。これにより、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの歯合状態を維持したまま駆動モータ472を交換することができる。よって、駆動モータ472の交換の前後において、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの再度の噛み合わせ調整を不要とすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
このとき、駆動ギア473は、駆動ギア473を挟んで対向配置される一対の被伝達脚部422の前側壁部422cと前後方向視(図18紙面垂直方向視)で重なる(図18参照)。よって、駆動モータ472から駆動ギア473が引き抜かれる際には、少なくとも回転軸を挟んで対向配置される2点から駆動ギア473に力が加えられる。そのため、駆動ギア473に対して駆動モータ472が傾斜することが抑制される。
また、駆動モータ472を締結板部471から引き抜く際に、駆動モータ472を規制壁部471a,471bに押し当てながら規制壁部471a,471bに沿わせて移動させることができるので、駆動モータ472の軸心が駆動ギア473に対して傾くことを抑制することができる。これにより、駆動ギア473が変形することを抑制することができる。
図19(a)に示すように、一方の規制壁部471aが駆動モータ472のモータケースの前端面よりも締結板部471側へ退避して形成される。これにより、一方の規制壁部471aの延設端を支点Sにして駆動モータ472を引き抜くことができる。即ち、一方の規制壁部471aの延設端と駆動モータ472の側面とは隣接配置されるので、一方の規制壁部471aの延設端を支点Sとすると共に駆動モータ472の側面(図19(a)では理解を容易とするために作用点Wが駆動モータ472の内部に図示される)を作用点Wとして駆動モータ472に力を加える場合の支点Sと作用点Wとの距離を最短とすることができる。それにより、力点の設定次第で、駆動モータ472の引き抜きに要する力を抑えることができる。なお、図19(a)に支点Sと作用点Wとの関係および仮想的な梃子を図示する。
また、一方の規制壁部471aと対向配置される他方の規制壁部471bに駆動モータ472を押し当てながら駆動モータ472を引き抜くことができる。これにより、駆動モータ472を引き抜く際に駆動モータ472が駆動ギア473に対して傾く傾斜の度合いを抑えることができる。
図19(a)に示すように、他方の規制壁部471bは一方の規制壁部471aの延設端部よりも前方(図19(a)上方)へ張り出して形成される。これにより、一方の規制壁部471aを支点Sとして駆動モータ472を引き抜く場合に、作用点Wが他方の規制壁部471bに最も近接される状態W1において、他方の規制壁部471bから駆動モータ472に対して作用点Wへ押し戻す方向へ向いた力をかけることができる。そのため、他方の規制壁部471bにより駆動モータ472の駆動軸と垂直方向への移動を防止することができる。これにより、駆動モータ472を引き抜く際に駆動モータ472が一方の規制壁部471aから離間する方向へ移動することを確実に防止することができる。
次いで、図20を参照して、複合動作ユニット400の半月部材460の回転に関わる二層ギア452について説明する。図20(a)は、二層ギア452の正面図であり、図20(b)は、二層ギア452の背面図である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、二層ギア452は円板部452cを境に正面側と背面側とで異なるギア歯が刻設されるギア部材である。図20(a)に示すように、摺動壁部452dに隣接される始動ギア歯452b1が、中間ギア歯452b2に比較して大型に形成される。そのため、後述するように、反転ギア453との衝突(当接)に耐え得る耐久性を始動ギア歯452b1に持たせることができる。本実施形態では、摺動壁部452dに隣接される始動ギア歯452b1のみを大型に形成し、中間ギア歯452b2は小型に形成しているので、耐久性の向上と、材料費用の抑制との両立を図ることができる。
二層ギア452は、第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4の底を形成する壁面としての窪み底壁部452eと、その窪み底壁部452e及びリング状のリブを連結する押し返しリブ452fと、を備える。
ここで、第2窪み部452b4は反転ギア453(図23参照)の始動ギア歯453b1を受け入れる窪みとして十分な深さが必要とされる一方で、第1窪み部452b3は反転ギア453の係合突状受け部453dが進入する窪みである。そのため、第2窪み部452b4ほどの深さは必要とされないが、本実施形態では、第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4の深さが略同一で形成されている。これにより、二層ギア452の成型時における第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4付近の樹脂材料の熱収縮量を均一化することができ、二層ギア452の成型性を向上させることができる。
図20(a)に示すように、摺動壁部452d、中間ギア歯452b2の歯底が形成する壁部および窪み底壁部452eで囲まれる領域に空間が形成される。このとき、摺動壁部452d及び窪み底壁部452eの板厚が略同一で形成されることで、樹脂成形に特有なヒケの発生を抑制することができる。また、樹脂材料の材料費用を抑制することができる。
ここで、窪み底壁部452eは、二層ギア452の機能を確保するために必ずしも必要ではない。一方で、窪み底壁部452eによって、始動ギア歯452b1及び摺動壁部452dが連結される態様で形成されている。そのため、始動ギア歯452b1が反転ギア453と当接する際の衝撃を分散させることができる(図23(b)参照)。
押し返しリブ452fは、第2窪み部452b4の窪み底壁部452eと連結される。ここで、始動ギア歯452b1に反転ギア453が当接される際に生じる力Fの力線の方向(図23(b)参照)が押し返しリブ452fへ向いている。これにより、二層ギア452の摺動壁部452d、中間ギア歯452b2の歯底が形成する壁部および窪み底壁部452eで囲まれる領域に空間を形成する場合であっても、押し返しリブ452fにより力Fに対する抵抗力を向上させることができる。よって、当接時の衝撃で始動ギア歯452b1が変形することを防止することができる。
図20(b)に示すように、ギア歯452aは二層ギア452の周囲に亘って形成される。ギア歯452aは、伝達ギア451と常時歯合されるため(図21(b)参照)、スライド部材420が上下にスライド移動すると二層ギア452は常時回転される(図21(a)参照)。
次いで、図21から図26を参照して、複合動作ユニット400の移動の詳細について、即ち、駆動装置470の駆動力が伝達されることで移動されるスライド部材420及び半月部材460の動作について説明する。図21から図26は複合動作ユニット400の動作を時系列で説明するものである。なお、図21から図26では、理解を容易とするために、背面カバー430の図示が省略される。
図21(a)及び図22(a)は、複合動作ユニット400の背面図であり、図21(b)及び図22(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図21では、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態が図示され、図22では、一対のスライド部材が退避位置から所定距離スライド移動されると共に、反転ギア453の係合突状受け部453dの端部が二層ギア452の第1窪み部452b3と対向配置される状態が図示される。また、図21(b)及び図22(b)において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図21(b)に示すように、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態において、反転ギア453は、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cが二層ギア452の摺動壁部452dに面で外接される。これにより、反転ギア453の姿勢を維持することができる。
この場合、係合突状受け部453dと摺動壁部452dとの機械的嵌合が反転ギア453の姿勢を維持する保持機構として作用する。そのため、反転ギア453の姿勢を維持するために、弾性バネなどの他の部材を配設することを不要とできる。
また、二層ギア452の摺動壁部452dと反転ギア453の係合突状受け部453dとが、二層ギア452の回転軸と反転ギア453の回転軸とを結ぶ直線の両側で当接される。そのため、反転ギア453の回転方向に寄らず反転ギア453の回転を防止することができ、反転ギア453の姿勢を維持することができる。
図22(b)に示すように、一対のスライド部材420が移動されると、複数の伝達ギア451のうちベース部材410の常設ラックギア414aと歯合される伝達ギア451が回転される。その回転に伴いその他の伝達ギア451及び伝達ギア451にギア歯452で歯合される二層ギア452も回転される。その一方で、反転ギア453は二層ギア452に歯合されていないので、退避位置と同様の姿勢に維持される。
一対のスライド部材420が移動している間、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cは、二層ギア452の摺動壁部452dから摺動摩擦を受ける。本実施形態では、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cが二層ギア452の摺動壁部452dに面で外接されることで、摺動摩擦が一箇所に集中することを抑制し、円弧状凹部453cの全体に摩擦力を分散させることができる。これにより、反転ギア453に二層ギア452から局所的に大きな力が加えられることを抑制することができる。また、二層ギア452と反転ギア453とが当接する箇所が増加することで、反転ギア453の姿勢を維持する効果を向上させることができる。
図23(a)及び図23(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図23(a)では、図22(b)から二層ギア452が背面視で反時計回りに所定量回転された状態が図示され、図23(b)では、図23(a)の状態から更に二層ギア452が背面視で反時計回りに所定量回転された状態が図示される。また、図23において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図22(b)で上述したように、反転ギア453が二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される前に、反転ギア453の係合突状受け部453dの端部が二層ギア452の第1窪み部452b3と対向配置される。
このとき、第1窪み部452b3と対向配置される係合突状受け部453dの端部は二層ギア452と当接されていないので、反転ギア453の姿勢を維持する効果が解除され、少なくとも1の回転方向(図22(b)紙面時計回り方向)への回転が可能となる。
図23(a)に示すように、二層ギア452が図23(a)の反時計回りに所定量回転されることで、反転ギア453が二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される前に回転される。即ち、二層ギア452の摺動壁部452dから反転ギア453の係合突状受け部453dにかけられる摺動摩擦により反転ギア453が回転される。このとき、反転ギア453は、係合突状受け部453dを二層ギア452の第1窪み部452b3に進入させる態様で回転される。
即ち、反転ギア453は、二層ギア452の摺動壁部452dから反転ギア453の係合突状受け部453dにかけられる摺動摩擦により若干回転された(図23(a)参照)後で、二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される(図23(b)参照)。これにより、反転ギア453と二層ギア452の始動ギア歯452b1とが当接する時の衝撃を抑制することができる。
図23(b)に示すように、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453とが当接され始める位置が、二層ギア452の回転軸と反転ギア453の回転軸とを結ぶ直線よりも、二層ギア452の回転方向の逆側へ戻された位置(図23(b)上方)に形成される。
これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453とが当接され始める際に反転ギア453に加えられる力が、反転ギア453の回転方向を向く成分と、反転ギア453の回転軸へ向く成分とに分けて伝えられる。そのため、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453との当接開始時に反転ギア453が回転しすぎることを抑制することができる。
即ち、二層ギア452の始動ギア歯452b1が反転ギア453に当接され始める場合、はじめから複数歯で互いに歯合されるわけでは無い。そのため、二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される際に反転ギア453の回転方向に加えられる力が過剰な場合、反転ギア453が二層ギア452の回転速度よりも高速で回転(移動)することがある。その場合、二層ギア452と反転ギア453との噛み合わせに失敗する恐れがある。
一方、本実施形態によれば、当接開始時に二層ギア452から反転ギア453へ加えられる力を、反転ギア453の回転方向と垂直な方向(回転軸へ向く方向)にも生じさせることによって、反転ギア453の回転抵抗を一時的に上昇させることができる。即ち、反転ギア453を回転軸に押しつけることで、回転抵抗を上昇させることができる。これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1との当接開始時に反転ギア453が回転しすぎることを抑制することができる。
また、始動ギア歯452b1,453b1が二層ギア452のギア歯452aよりも大型に形成されることで、二層ギア452と反転ギア453との歯合開始時における歯外れを防止することができる。
ここで、ギア歯は大型化するほど形成される遊び(バックラッシ)が大きくなるため、歯が大型化するほど途中から歯合されるギア同士の位置関係(位相関係)のずれを大きく許容できるようになる。即ち、ギアの歯が小型化すると、歯合されるギア同士の位置関係(位相関係)がわずかにずれるだけでも、歯合される歯が一歯ずれる恐れがある。
本実施形態では、駆動装置470(図10参照)の駆動力が伝達される伝達ギア451と二層ギア452のギア歯452aとの間で発生する遊び(バックラッシ)よりも、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453の始動ギア歯453b1との間で発生する遊び(バックラッシ)の方が大きくなる。即ち、伝達ギア451との関係で生じる二層ギア452の位相関係のずれは、二層ギア452と反転ギア453との間で生じる位相関係のずれより小さく、許容可能なものである。これにより、二層ギア452と反転ギア453との歯合開始時における歯のずれを防止することができる。
二層ギア452が回転方向で反転ギア453と当接され始める場合、二層ギア452の始動ギア歯452b1が反転ギア453の係合突状受け部453dに当接され始める。即ち、係合突状受け部453dが、始動ギア歯452b1と歯合され始めるギア歯の代わりとして使用される。これにより、反転ギア453の耐久性を向上させることができる。
即ち、円弧状凹部453cが形成される係合突状受け部453dは、二層ギア452のギア歯と歯合する役割の部分ではなく、二層ギア452の外周面に当接することで反転ギア453の姿勢の維持を図る役割の部分である。そのため、ギア歯のように、歯合される相手側のギア歯の大きさに合わせて大きさが制限されるものではない。また、二層ギア452の係合突状受け部453dと反転ギア453との当接開始時に当接される部分は大型で丈夫であることが望ましく、係合突状受け部453dをその部分に使用することで、反転ギア453の耐久性を向上させることができる。
スライド部材420が駆動装置470(図10参照)の駆動力で移動されることで常設ラックギア414aと歯合される伝達ギア451が回転され、それに伴い二層ギア452が回転される。即ち、駆動装置470と二層ギア452とは直接歯合されるものではなく、少なくとも駆動ギア473に歯合される被伝達脚部422が、駆動装置470と二層ギア452との間に介在する。これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453との当接時の衝撃が、緩和された状態で駆動装置470に伝えられる。そのため、当接時の衝撃によって駆動装置470が破損することを防止することができる。
図24(a)及び図25(a)は、複合動作ユニット400の背面図であり、図24(b)及び図25(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図24では、一対の半月部材460が図22(a)の状態からそれぞれ所定量回転された状態が図示され、図25では、一対の半月部材460が図22(a)の状態からそれぞれ180度回転し終えた直後の状態が図示される。また、図24(b)及び図25(b)において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図24(b)に示すように、半月部材460が回転される状態では、二層ギア452の中間ギア歯452b2と反転ギア453の中間ギア歯453b2とが歯合される。
本実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1が中間ギア歯452b2に比較して大型に形成される。そのため、反転ギア453との当接開始時に反転ギア453に当接される始動ギア歯452b1の耐久性が向上され、二層ギア452の破損を防止することができる。
また、図24(b)に示すように、二層ギア452と反転ギア453とが中間ギア歯452b2,453b2で歯合されることで、歯合開始時よりも歯合継続時の方がバックラッシを小さくすることができる。これにより、歯合継続時における反転ギア453の回転を滑らかなものにすることができる。よって、歯合開始時に衝突される始動ギア歯452b1の耐久性向上と、反転ギア453の回転の滑らかさの向上との両立を図ることができる。
また、二層ギア452の中間ギア歯452b2がギア歯452aに比較して小型に形成されるので、二層ギア452の中間ギア歯452b2と反転ギア453の中間ギア歯453b2との周方向の噛み合いの誤差(遊び)は、ギア歯452aと伝達ギア451との噛み合いの誤差に比較して小さく生じる。これにより、歯合継続時の反転ギア453の動作の正確さを、ギア歯452aと伝達ギア451との噛み合いの誤差以下に維持することができる。
図25に示すように、半月部材460が180度回転し終えたところで、二層ギア452と反転ギア453との歯合は解除され、二層ギア452の摺動壁部452dと反転ギアの円弧状凹部453cとが面で当接される。そのため、反転ギア453の姿勢が維持され、その反転ギア453の係止突部453e(図12参照)と円弧状壁部461c(図15参照)とが相対回転不能に嵌合される半月部材460の姿勢も維持される。
次いで、図26を参照して、半月部材460の爪部材463の動作について説明する。図26(a)及び図26(b)は、複合動作ユニット400の部分背面図である。
なお、図26では、ベース部材410の常設ラックギア414aの図示が部分的に省略され、限定ラックギア414bが視認可能とされると共にその部分が拡大視される。また、図26(a)は、異形ギア441の始動ギア歯441aが限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1に当接される直前の状態が図示され、図26(b)は、スライドラック442が移動終端まで到達した状態が図示される。
異形ギア歯441と限定ラックギア414bとの歯合は、異形ギア441が適切な姿勢で限定ラックギア414bに当接されないと、不良となる。即ち、異形ギア441の始動ギア歯441aと限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1とが当接される姿勢で異形ギア441が限定ラックギア414bに当接されれば、良好に歯合される。その一方で、例えば、異形ギア441のギア歯であって始動ギア歯441a以外のギア歯と限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1とが当接される場合、歯合の途中で歯合不良をおこし、異形ギア441の回転が継続不能となる。この場合、スライド部材420のスライド移動も停止されるので、スライド部材420が動作不良を起こす。
本実施形態では、スライドラック442が付勢バネ442cの付勢力により左右外方に維持される。異形ギア441は伝達ギア443を介してスライドラック442から力を受ける。そのため、異形ギア441の姿勢を上述した適切な姿勢に維持することができる。
図26(b)に示すように、異形ギア441が限定ラックギア414bに歯合され回転されることで、伝達ギア443が回転されると共にスライドラック442が移動される。スライドラック442は、移動の途中で駆動レバー467に当接し、駆動レバー467が回転する。駆動レバー467は、半月部材460の中心ギア462(図15参照)に締結固定されているため、駆動レバー467が回転することで中心ギア462が回転する。これにより、クランクギア464が回転され(図14参照)、爪部材463が張り出す方向へ移動される。よって、スライド部材420の移動に連動して爪部材463を移動させることができる。
次いで、図27及び図28を参照して、第2実施形態における複合動作ユニット2400について説明する。
第1実施形態では、スライド部材420が退避位置に配置された状態において被伝達脚部422の切り欠き部422dが駆動ギア473の正面側で対向配置される場合を説明したが、第2実施形態における複合動作ユニット2400は、スライド部材2420が退避位置から張出位置へ移動する途中で被伝達脚部2422の切り欠き部2422dが駆動ギア473の正面側で対向配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図27及び図28は一対のスライド部材2420の正面図である。なお、図27は、一対のスライド部材2420が退避位置に配置された状態が図示され、図28は、一対のスライド部材2420が退避位置から移動され第2ギア群450の始動ギア歯452b1及び始動ギア453b1(図23(b)参照)が当接され始める状態が図示される。また、理解を容易とするために駆動装置470の図示が省略される。
図27に示すように、一対のスライド部材2420が退避位置に配置された状態において、駆動ギア473の正面側(図27紙面手前側)にラックギア422aの前側の歯幅方向側面に覆設される前側壁部2422cが重ねられる。
図28に示すように、一対のスライド部材2420が、二層ギア452の始動ギア歯452b1及び反転ギア453の始動ギア歯453b1(図23(b)参照)が当接され始める位置に配置された状態において、切り欠き部2422dが駆動ギア473の正面側(図27紙面手前側)に形成される。切り欠き部2422dは、駆動ギア473の歯先円より若干大きな円形状に形成される。
図28に示すように、正面視で切り欠き部2422dの外形から離間された状態で駆動ギア473を視認することができる(特定位相位置)。そのため、駆動ギア473を被伝達脚部2422に形成される切り欠き部2422dを通して引き抜くことができるので、これによりスライド部材2420をベース部材2410から取り外すことなく駆動ギア473を交換することができる。よって、駆動ギア473のメンテナンス性を向上させることができる。
本実施形態では、一対のスライド部材2420が退避位置から移動され第2ギア群450の始動ギア歯452b1及び始動ギア歯453b1(図23(a)参照)が当接され始める状態で特定位相位置をとるため、メンテナンス作業者はスライド部材2420を移動させる際の抵抗が上昇することを頼りに特定位相位置にスライド部材2420を移動させることができる。
即ち、スライド部材2420は移動される際、伝達ギア451(図24(a)参照)がベース部材2410の常設ラックギア414aに常に歯合されている。そのため、伝達ギア451の回転の抵抗が上昇すると、それはスライド部材2420の移動抵抗として把握できる。ここで、伝達ギア451は、二層ギア452と歯合されているため、二層ギア452と反転ギア453とが歯合を開始する際に生じる抵抗が伝達ギア451に伝わる。すると、伝達ギア451の回転の抵抗が上昇するので、スライド部材2420の移動抵抗が上昇する。これにより、メンテナンス作業者は、スライド部材2420の移動抵抗が上昇することを頼りに特定位相位置にスライド部材2420を移動させることができる。
ここで、特定位相位置では、前側壁部2422cが駆動ギア473と重ならないため、駆動ギア473に前側壁部2422cを当接させ駆動ギア473の回転時のぐらつきを抑制する効果が弱まる。
本実施形態では、一対のスライド部材2420の移動中、即ち、駆動ギア473の回転中に特定位相位置(切り欠き部2422dが駆動ギア473と合致する状態)が形成される。そのため、特定位相位置に駆動ギア473が差し掛かる際には駆動ギア473は十分な回転方向(軸垂直方向)への速度を備えている。そのため、特定位相位置において発生しがちな駆動ギア473のぐらつきを、駆動ギア473の回転方向の勢いで緩和させることができる。
ベース部材2410は、組立状態において中央側(図27中心側)に突設される三角突起部2415を備える。この三角突起部2415を頼りに一対のスライド部材2420を特定位相位置まで移動させることを容易にすることができる。
ここで、遊技機13のメンテナンスにおいて、駆動ギア473ごと駆動モータ472を取りはずす場合、スライド部材2420を特定位相位置に配置させる必要がある。しかし、駆動モータ472がスライド部材2420を隠す態様で正面側に配設されているため(図9参照)、正面側から切り欠き部2422dが駆動ギア473と一致する状態を視認することが困難である。そのため、特定位相位置にスライド部材2420を配置させることが難しい。
一方、三角突起部2415は正面側から視認可能な位置に配置されるため、メンテナンスにおいて三角突起部2415を頼りにスライド部材2410の位置あわせを行うことを容易にすることができる。本実施形態では、一対のスライド部材2420が特定位相位置に配置されると三角突起部2415と、スライド部材2420の端部に形成される三角形の模様とが一連の模様を形成する。これにより、メンテナンス作業者が駆動ギア473を取り外してメンテナンスを行うことを容易にすることができる。
次いで、図29及び図30を参照して、第3実施形態における二層ギア3452及び反転ギア3453について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452及び反転ギア453の始動ギア歯452b1,453b1が回転軸方向視で大型に形成される場合、即ち、歯たけ及び歯厚が大きくされる場合を説明したが、第3実施形態における二層ギア3452及び反転ギア3453は、始動ギア歯3452b1,3453b1が回転軸方向視では他のギア歯と同一形状に形成される一方で軸方向に大型に形成される、即ち、歯幅が大きく形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図29(a)は、二層ギア3452の正面図であり、図29(b)は、二層ギア3452の底面図であり、図29(c)は、二層ギア3452の側面図である。
図29に示すように、二層ギア3452は、摺動壁部452dに隣接して配設されると共に歯幅が大きく形成される始動ギア歯3452b1と、その始動ギア歯3452b1の歯元側の円周方向の側面から二層ギア3452の同心円に沿って延設されると共に始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2の歯元側の正面側端面に固着される円周リブ3452eと、始動ギア歯3452b1の歯元側の径方向の側面から回転軸へ向けて延設されると共に二層ギア3452の本体部の正面側端面に固着される径方向リブ3452fと、を主に備える。
始動ギア歯3452b1は、歯たけ及び歯厚は中間ギア歯452b2と略同一とされるが、歯幅は中間ギア歯452b2に比較して大きく形成される。これにより、始動ギア歯3452b1の剛性を向上させることができ、反転ギア3453との歯合開始時に始動ギア歯3452b1が破損することを抑制することができる。
円周リブ3452eは、始動ギア歯3452b1の側面、即ち延設基点において二層ギア3452の軸方向に最も幅広に形成され、始動ギア歯3452b1から離れるほど幅が徐々に短縮される。即ち、図29(b)に示すように、底面視で略三角形状に視認される。円周リブ3452eにより、二層ギア3452の円周方向に沿った始動ギア歯3452bの剛性を向上させることができ、始動ギア歯3452b1が回転方向に屈曲することを防止することができる。
また、円周リブ3452eは、始動ギア歯3452b1の付近(本実施形態では始動ギア歯3452b1の2つ隣まで)の中間ギア歯452b2まで延設される。これにより、円周リブ3452eを利用して中間ギア歯452b2の歯元を始動ギア歯3452b1側へ引く力を生じさせることが可能になる。
即ち、始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2と反転ギア3453とが歯合した場合に中間ギア歯452b2に生じる変形(始動ギア歯3452b1から離間する方向へ向けた変形)を、円周リブ3452eにより抑制することができる。
円周リブ3452eが始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2までに限って固着されるのは、始動ギア歯3452b1から離れた位置にある中間ギア歯452b2は、回転が定常状態になってから反転ギア3453と歯合されることによる。
即ち、始動ギア歯3452b1から離れた中間ギア歯452b2(例えば、一対の始動ギア歯3452b1の中間付近の中間ギア歯452b2)が反転ギア3453と歯合される場合には、既に回転が定常状態となり、反転ギア3453は十分な回転速度を有している。そのため、中間ギア歯452b2が反転ギア3453から受ける力は小さく、円周リブ3452eによる補強が不要なためである。
径方向リブ3452fは、始動ギア歯3452b1の歯元側の径方向の側面から回転軸へ向けて延設されると共に二層ギア3452の本体部の正面側端面に固着されるので、始動ギア歯3452b1の径方向の剛性を向上させることができる。これにより、二層ギア3452に歯合される反転ギア3453が軸方向に移動され、がたつくことで、始動ギア歯3452b1の正面側端部(図29(b)上端)が回転軸へ向けて力を受けたとしても、始動ギア歯3452b1が倒れることを防止することができる。従って、始動ギア歯3452b1の耐久性を向上させることができる。
図30(a)は、反転ギア3453の正面図であり、図30(b)は、反転ギア3453の底面図であり、図30(c)は、反転ギア3453の側面図である。
図30に示すように、反転ギア3453は、円弧状凹部453cに隣接される始動ギア歯3453b1と、その始動ギア歯3453b1の歯元側の側面から反転ギア3453の同心円に沿って延設されると共に反転ギア3453の本体部に固着される円周リブ3453fと、を主に備える。
始動ギア歯3453b1は、歯たけ及び歯厚は他の中間ギア歯453b2と略同一とされる一方、歯幅は他の中間ギア歯453b2に比較して大きく形成される。これにより、始動ギア歯3453b1の剛性を向上させることができる。
円周リブ3453fは、始動ギア歯3453b1の側面、即ち延設基点において軸方向に最も幅広に形成され、始動ギア歯3453b1から離れるほど幅が徐々に短縮される。即ち、図30(b)に示すように、底面視で略三角形状に視認される。円周リブ3453fにより、始動ギア歯3453b1が回転方向に屈曲することを防止することができる。
また、円周リブ3453fは、始動ギア歯3453b1に隣接される係合突状受け部453d側へ向けて延設される。これにより二層ギア3452から力が加えられる方向(始動ギア歯3453b1から隣接する係合突状受け部453dへ向かう方向)に対する始動ギア歯3453b1の剛性が向上する。従って、始動ギア歯3453b1の耐久性を向上させることができる。
次いで、図31及び図32を参照して、第4実施形態における二層ギア4452及び反転ギア4453について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1が回転軸方向視で大型に形成される場合、即ち、歯たけ及び歯厚が大きくされる場合を説明したが、第4実施形態における二層ギア4452は、始動ギア歯4452b1が回転軸方向視では他のギア歯と同一形状に形成される一方で歯幅が大きく形成されると共に、始動ギア歯4452b1に挟まれる中間ギア歯4452b2の歯幅が、始動ギア歯4452b1から離れるほどより短縮される態様で形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図31(a)は、二層ギア4452の正面図であり、図31(b)は、二層ギア4452の底面図であり、図31(c)は、図31(b)のXXXIc−XXXIc線における二層ギア4452の断面図である。
図31に示すように、二層ギア4452は、摺動壁部452dに隣接される一対の始動ギア歯4452b1と、それらの始動ギア歯4452b1の間に形成される中間ギア歯4452b2と、始動ギア歯4452b1と中間ギア歯4452b2との正面側側面に覆設される板状部4452eと、を主に備える。
図31(b)に示すように、始動ギア歯4452b1と中間ギア歯4452b2とで構成される分断ギア歯4452bの歯幅は、始動ギア歯4452b1において最大となり、中間ギア歯4452b2の歯幅が始動ギア歯4452b1から遠ざかるにつれて始動ギア歯4452b1を基準に階段状に短縮される。
板状部4452eは、正面視で分断ギア歯4452bの歯底側から歯先円と同等の位置まで張り出す態様で形成されると共に分断ギア歯4452bの正面側側面に覆設される。板状部4452eは分断ギア歯4452bの正面側側面の形成位置に合わせて底面視で滑らかな曲線を描く態様で形成される(図31(b)参照)。
ここで、分断ギア歯4452bの正面側側面が同一平面上に形成され、板状部4452eも平面上に形成される場合を考える。この場合、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時に反転ギア4453が二層ギア4452の軸方向に位置ずれすることの許容量を大きくするために円板部452cと板状部4452eとの距離を大きくすると、回転中の反転ギア4453の軸方向位置が定まらない。一方で、回転中の反転ギア4453の軸方向位置を正確に定めようとすると、歯合開始時に反転ギア4453が軸方向にわずかに位置ずれすることで、反転ギア4453が板状部4452eの外周面に当接し、歯合不良が生じる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、反転ギア4453が二層ギア4452に歯合される前に生じる恐れのある軸方向への(図31(b)上方への)位置ずれを、歯合開始位置である始動ギア歯4452b1付近で最大限許容することができる。
また、板状部4452eが底面視(図31(b)参照)で始動ギア歯4452b1から離間するほど円板部452cとの距離が短縮される滑らかな曲線を描く態様で形成されている。そのため、反転ギア4453が板状部4452eに当接されることで、歯合が進むにつれて反転ギア4453の軸方向の位置をより大きく修正することができる(図31(b)下方に移動させることができる)。従って、二層ギア4452と反転ギア4453との歯合時の軸方向での位置ずれを、歯合が進むにつれて修正することができる。
図32(a)は、反転ギア4453の正面図であり、図32(b)は、反転ギア4453の底面図であり、図32(c)は、図32(a)の矢印XXXIIc方向視における反転ギア4453の部分側面図である。
図32に示すように、反転ギア4453は、一対の円弧状凹部453cにそれぞれ隣り合って配設される一対の始動ギア歯4453b1と、その始動ギア歯4453b1に挟まれた領域に形成される中間ギア歯4453b2と、を主に備える。
図32(b)に示すように、反転ギア4453は、始動ギア歯4453b1の歯幅が最大とされ、始動ギア歯4453b1から遠ざかるにつれて中間ギア歯4453b2の歯幅が短縮される態様で形成される。その短縮の度合い(図32(b)における各ギア歯の上端を結ぶ線の傾き)が、二層ギア4452の分断ギア歯4452bの歯幅の短縮の度合い(図31(b)における各ギア歯の上端を結ぶ線の傾き)に比較して緩やかに形成される。
図32(c)に示すように、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2は、一対の係合突状受け部453dから最も遠ざかって形成される中間ギア歯4453b2を除いて、幅方向の端面(図32(b)上端面)が係合突状受け部側に下降傾斜して形成される。これにより、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への相対的な位置ずれの許容量を大きく保持しつつ、位置ずれの修正をより急激におこなうことができる。
即ち、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2が二層ギア4452に歯合される場合、各ギア歯4453b1,4453b2は係合突状受け部側(歯幅が最短側、図32(c)右側)から歯合され始める。そのため、例えば、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅方向の寸法が歯幅最長側(図32(c)左側)で一定とされる場合に比較して、歯合開始時の板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を大きく確保することができる。従って、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への位置ずれの許容量を大きく確保することができる。
一方、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2と二層ギア4452との歯合が進むと、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅最長側(図32(c)左側)が二層ギア4452の板状部4452eの背面側(図31(b)下方)へ入り込む。これにより、例えば、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅方向の寸法が歯幅最短側(図32(c)右側)で一定とされる場合に比較して、歯合解除(互いの各歯が逃げる時)直前の板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を小さくすることができる。
従って、各ギア歯4453b1,4453b2が二層ギア4452と噛み合う際に、ギア歯4453b1,4453b2ごとの噛み合い始めから噛み合い解除までの間で、板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を小さくすることができる。これにより反転ギア4453と二層ギア4452との、位置ずれの修正をより急激におこなうことができる。
また、本実施形態では、板状部4452eの傾斜(図31(b)参照)が反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2の傾斜(図32(c)参照)と逆向きに形成されるので、上述した反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への位置ずれの許容量を大きく保持しつつ位置ずれの修正をより急激にする効果を向上させることができる。
なお、一対の係合突状受け部453dから最も遠ざかって形成される中間ギア歯4453b2の幅方向の端面(図32(b)上端面)は反転ギア4453の回転軸に垂直な平面で形成される。
次いで、図33から図35を参照して、第5実施形態における第2ギア群5450について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452が単一の樹脂材料のみから形成される場合を説明したが、第5実施形態における二層ギア5452は、始動ギア歯5452b1の内部に磁性材料が埋設される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図33は、二層ギア5452の正面図である。図33に示すように、二層ギア5452は、始動ギア歯5452b1に回転軸と平行な方向に沿って埋め込み孔5452gが穿設され、その埋め込み孔5452gに埋め込み部材5452hが埋設される。
埋め込み孔5452gは、断面円径の有底孔形状に形成され、埋め込み部材5452hは、埋め込み孔5452gの直径と同等か若干大きな直径の円柱形状に形成される。これにより、埋め込み部材5452hは埋め込み孔5452gに嵌め込み固定される。
埋め込み部材5452hは、金属磁性材料やプラスチック磁性材料から形成される円柱形状の部材であって、軸に沿った平面でS極とN極とが二分割される。なお、図33から図35において、埋め込み部材5452hの黒塗り側がN極で、その反対側がS極でそれぞれ形成される。
図34は、第2ギア群5450の部分正面図である。なお、図34は、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1が反転ギア5453の係合突状受け部453dに当接する直前の状態が図示される。また、二層ギア5452の円板部452c及びギア歯452aと伝達ギア451とが想像線で図示される。
図34に示すように、反転ギア5453は、始動ギア歯5453b1に軸と平行な方向に沿って埋め込み孔5453fが穿設され、その埋め込み孔5453fに埋め込み部材5453gが埋設される。これにより、埋め込み部材5453gは埋め込み孔5453fに嵌め込み固定される。
埋め込み部材5453gは、金属磁性材料やプラスチック磁性材料から形成される円柱形状の部材であって、軸に沿った平面でS極とN極とが二分割される。
図34に示すように、磁極を二分割する平面は、径方向に沿って形成されると共に軸を通る平面とされ、始動ギア歯5452b1,5453b1は向かい合う側に反対の極を向けて埋め込まれる。即ち、始動ギア歯5452b1は歯合時に始動ギア歯5453b1と対向する側(図34上側)にN極が形成され、始動ギア歯5453b1は歯合時に始動ギア歯5452b1と対向する側(図34下側)にS極が形成される。これにより、二層ギア5452と反転ギア5453との歯合において、歯合ギア歯5452b1,5453b1を引きつけ合わせる磁力が発生する。
即ち、図34に示す状態から二層ギア5452が図34反時計回りに回転されるにつれて埋め込み部材5452h,5453gの距離が縮まるので間に発生する磁力は大きくなり、始動ギア歯5453b1が始動ギア歯5452b1に引きつけられる。これにより、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1と反転ギア5453の係合突状受け部453dとが当接する前に反転ギア5453が磁力に引かれて回転される。そのため、静止状態の反転ギア5453に始動ギア歯5452b1が当接する場合に比較して、当接時の衝撃や当接時に二層ギア5452及び反転ギア5453が受ける荷重を緩和することができる。
図35は、第2ギア群5450の部分正面図である。なお、図35は、図34の状態から、所定量だけ二層ギア5452が図35反時計回りに回転された状態が図示される。また、二層ギア5452の円板部452c及びギア歯452aと伝達ギア451とが想像線で図示される。
図35に示すように、二層ギア5452の回転方向前方において二層ギア5452と反転ギア5453との間に隙間が形成される。これにより、二層ギア5452と反転ギア5453との当接開始時だけでなく、二層ギア5452と反転ギア5453とが歯合により回転される間において係合突状受け部453dに加えられる荷重を抑制することができる。従って、係合突状受け部453dに必要な強度を低くすることができ、係合突状受け部453dの設計自由度を向上させることができる。
次いで、図36及び図37を参照して、第6実施形態における第2ギア群6450について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452が一体で形成される場合を説明したが、第6実施形態における二層ギア6452は、始動ギア歯452b1が省略されると共に、中間ギア歯452b2とは別体の異形ギア歯部材6452gを備えて構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図36は、二層ギア6452の正面分解斜視図である。なお、図36では、異形ギア歯部材6452gが円板部452cから取り外された状態が図示される。本実施形態では異形ギア歯部材6452gが鉄などの金属材料から形成されることで、二層ギア6452の異形ギア歯部材6452g以外の部分であって樹脂材料から一体に形成される部分に比較して異形ギア歯部材6452gの剛性が高くされる。また、部分的に金属材料とすることで、二層ギア6452全体を金属材料で形成する場合に比較して軽量化でき、二層ギア6452を回転させるために必要な駆動力を抑制することができる。
図36に示すように、二層ギア6452は、一対の異形ギア歯部材6452gと、その異形ギア歯部材6452gが挿通される孔であって円板部452cに穿設される差し込み孔6452c1と、第1窪み部452b3と第2窪み部452b4との間に形成される切り欠きであって異形ギア歯部材6452gのギア歯本体部6452g1が挟み込まれるギア歯側切り欠き6452b5と、摺動壁部452dに形成される切り欠きであって異形ギア歯部材6452gの摺動受け部6452g3が挟み込まれる摺動部切り欠き6452d1と、摺動壁部452dの両端部にL字の鉤形状に形成される鉤型受け部6452d2と、を主に備える。
異形ギア歯部材6452gは、第1実施形態における始動ギア歯452b1を歯底側に延長した形状からなるギア歯本体部6452g1と、そのギア歯本体部6452g1の歯先の反対側の端部から背面側に突設される円柱状の差し込みピン6452g2と、組立状態(図37参照)において側面が摺動壁部452dの一部を形成する摺動受け部6452g3と、ギア歯本体部6452g1と摺動受け部6452g3とを連結する連結部6452g4と、を主に備える。
ギア歯本体部6452g1は、ギア歯側切り欠き6452b5に挟まれる部分の歯厚がギア歯側切り欠き6452b5の寸法と同等か若干大きく形成される。これにより、組立状態(図37参照)でギア歯本体部6452g1がギア歯側切り欠き6452b5に挟持される。
摺動受け部6452g3は組立状態(図37参照)で外周面が摺動壁部452dの外周面と滑らかにつながる態様で形成される。連結部6452g4の外周面は窪み底壁部452eと組立状態(図37参照)で若干の間隔をあけて対向配置される。
組立状態(図37参照)において、差し込みピン6452g2が差し込み孔6452c1に挿通されると共にギア歯本体部6452g1がギア歯側切り欠き6452b5に挟まれる。更に、連結部6452g4が第2窪み部452b4の窪み底壁部452eと若干の間隔をあけて対向配置され、摺動受け部6452g3の内周側が鉤型受け部6452d2に当接される。これにより、ギア歯本体部6452g1が反転ギア453に当接されることで差し込み孔6452c1を軸に回転する回転量を抑制することができる。
図37は、二層ギア6452及び反転ギア453の正面図である。なお、図37では、異形ギア歯部材6452gのギア歯本体部6452g1が反転ギア453の係合突状受け部453dに当接された状態が図示されると共に、円板部452cが想像線で図示される。
図37に示すように、異形ギア歯部材6452gが反転ギア453から加えられる荷重を反転ギア453の係合突状受け部453dに受けさせることができる。
即ち、異形ギア歯部材6452gを金属材料から形成したとしても、その異形ギア歯部材6452gを支持する部分は樹脂材料から形成される。また、二層ギア6452は成型時のヒケの発生を防ぐため径方向の厚さが略一定に形成されるので剛性が十分ではない。そのため、二層ギア6452と反転ギア453とが当接される場合に生じる荷重により、異形ギア歯部材6452gが移動する(差し込み孔6452c1を軸に回転する)と、異形ギア歯部材6452gから押圧力を受ける異形ギア歯部材6452g以外の部分(窪み底壁部452e等)が破損する恐れがある。
一方、本実施形態では、異形ギア歯部材6452gが、連結部6452g4の外周面と窪み底壁部452eとの間に形成される若干の間隔を埋める方向に移動され始める(差し込み孔6452c1を軸に回転され始める)と、反転ギア453の円弧状凹部453cに異形ギア歯部材6452gの摺動受け部6452g3が押しつけられる。円弧状凹部453cは径方向の厚みが十分に確保され剛性の大きい部分である。
これにより、異形ギア歯部材6452gが反転ギア453から加えられる荷重を反転ギア453の係合突状受け部453dに受けさせることができ、二層ギア6452の部分であって異形ギア歯部材6452g以外の部分(窪み底壁部452e等)に加えられる荷重を抑制することができる。また、反転ギア453の円弧状凹部453cを利用して異形ギア歯部材6452gを支えることができる。
次いで、図38から図45を参照して、第7実施形態における複合動作ユニット7400について説明する。
第1実施形態では、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置が一通りに限定される場合を説明したが、第7実施形態における複合動作ユニット7400は、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を少なくとも2通り形成可能である。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図38(a)から図38(c)は、二層ギア7452の背面図である。なお、図38(a)では、二層ギア7452の回転が停止される静止状態が図示され、図38(b)では、二層ギア7452の回転速度Vが境界速度Vbより低速な第1回転速度V1である状態が図示され、図38(c)では、二層ギア7452の回転速度Vが境界速度Vbより高速な第2回転速度V2である状態が図示される。
なお、理解を容易にするために、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。これは、以降の図面でも同様である。また、境界速度Vbとは、突出ギア部材7452eが没入状態から張出状態へ切り替えられる時の二層ギア7452の回転速度Vを意味する。
図38に示すように、二層ギア7452は、回転軸から径方向外側へ向けて形成される断面矩形の溝である案内溝7452dと、その案内溝7452dの溝幅より若干小さな幅で形成されると共に先端がギア歯形状に形成される突出ギア部材7452eと、その突出ギア部材7452eと二層ギア7452の回転軸とを連結する付勢バネ7452fと、を主に備えて構成される。
案内溝7452dは、二層ギア7452の外周を円周方向に3等分する配置で3箇所形成され、それぞれの案内溝7452dに突出ギア部材7452eおよび付勢バネ7452fが配設される。また、各案内溝7452dを結ぶ二層ギア7452の外周面に中間ギア歯452b2が形成される。
突出ギア部材7452eは、各突出ギア部材7452e1〜7452e3がそれぞれ同じ質量で形成され、各付勢バネ7452fはそれぞれ同一のバネ定数で形成される。
図38(a)に示すように、二層ギア7452の停止状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯底を連ねた面よりも回転軸側へ没入する。このとき、不正バネ7452fは自然長とされる。
図38(b)に示すように、二層ギア7452が境界速度Vbより低速な第1回転速度V1で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア7452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ7452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも回転軸側に位置される(没入状態)。
そのため、後述するように、二層ギア7452が第1回転速度V1で回転される場合には、二層ギア7452は反転ギア7453(図42参照)と歯合開始されない。即ち、二層ギア7452は反転ギア7453に対して空回りする。
図38(c)に示すように、二層ギア7452が境界速度Vbより高速な第2回転速度V2で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア7452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ7452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、後述するように、二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合には、二層ギア7452の突出ギア部材7452eが反転ギア7453(図39参照)に当接することで、二層ギア7452が反転ギア7453に歯合され始める。
即ち、二層ギア7452の回転速度Vを境界速度Vbに対して高速とするか、低速とするかで、二層ギア7452が反転ギア7453(図39参照)と歯合し始めるか否かを選択することができる。そのため、二層ギア7452の回転速度Vを回転の途中で変化させることで(スライド部材420(図40参照)の移動速度を移動の途中で変化させることで)、半月部材460(図40参照)が回転される時のスライド部材420の配置のバリエーションを複数通り用意することができる。
次いで、図39から図44を参照して、半月部材460が回転され始める時のスライド部材420の配置のバリエーションについて説明する。まず、図39から図41を参照して、移動部材420の退避位置からの移動開始直後から主動ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合(第1速度パターン)を説明する。
図39(a)から図39(e)は、二層ギア7452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア7452及び反転ギア7453の背面図であり、図40(a)、図40(b)、図41(a)及び図41(b)は、スライド部材420のスライド移動および半月部材460の姿勢変化を時系列で図示した複合動作ユニット7400の正面図である。なお、理解を容易にするために、図39では、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略され、図40及び図41では締結板部471及び駆動モータ472の図示が省略される。
なお、図39(a)及び図40(a)、図39(b)及び図40(b)、図39(c)及び図41(a)、そして図39(d)及び図41(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図39では、二層ギア7452の回転方向が矢印で図示され、図39に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア7452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図39(a)に示すように、二層ギア7452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)から第2回転速度V2で回転され、二層ギア7452が所定量回転されると第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接される(図39(b)参照)。これにより、反転ギア7453が回転され始め、半月部材460が姿勢変化し始める(図40(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図39(c)及び図41(a)参照)。
二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア7452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア7452と外接され(図39(d)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共にスライド部材420に対する半月部材460の姿勢が固定される(図41(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア7452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する(図39(e)参照)。その後、突出ギア部材7452eが付勢バネ7452fの付勢力で二層ギア7452の径方向内側へ移動される。
ここで、図39(d)から図39(e)の状態まで二層ギア7452が回転される場合には、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が係合突状受け部453dに当接し、二層ギア7452と反転ギア7453とが再度噛み合う恐れがある。
これに対し、本実施形態では、係合突状受け部453dの一端(図39(e)上側の端)に円弧状の面取り部7453eが形成される。
第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が面取り部7453eに当接されると、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1に二層ギア7452の径方向内側へ向く力が作用される。これにより、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が反転ギア745と噛み合う前に、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1をそれぞれ没入状態にすることができる。従って、二層ギア7452と反転ギア7453とが再度噛み合うことを防止することができる。
次いで、図42から図44を参照して、移動部材420の退避位置からの移動開始直後は二層ギア7452が第1回転速度V1で回転され、回転の途中で二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される(回転速度Vが変化される)場合(第2速度パターン)を説明する。
図42(a)から図42(e)は、二層ギア7452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア7452及び反転ギア7453の背面図であり、図43(a)、図43(b)、図44(a)及び図44(b)は、スライド部材420のスライド移動および半月部材460の姿勢変化を時系列で図示した複合動作ユニット7400の正面図である。なお、理解を容易にするために、図42では、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略され、図43及び図44では締結板部471及び駆動モータ472の図示が省略される。
なお、図42(a)及び上述した図40(a)、図42(b)及び図43(a)、図42(c)及び図43(b)、図42(d)及び図44(a)、そして図42(e)及び図44(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図42では、二層ギア7452の回転方向が矢印で図示され、図42(a)に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア7452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図42(a)に示すように、二層ギア7452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)では第1回転速度V1で回転されるため、突出ギア部材7452eが没入状態を形成する。
そのため、二層ギア7452が所定量回転されても第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接されないため、二層ギア7452と反転ギア7453との歯合は開始されない(図42(b)参照)。これにより、半月部材460の姿勢が維持されたままスライド部材420が移動される(図43(a)参照)。
二層ギア7452が回転を継続され、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453の係合突状受け部453dに近接するまでに、二層ギア7452の回転速度Vが第2回転速度V2に変更される。これにより、突出ギア部材7452eが張出状態を形成し(図42(c)参照)、第2突出ギア部材7452e2が係合突状受け部453dに当接されることで反転ギア7453が回転され始めると共に半月部材460が姿勢変化し始める(図43(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図42(d)及び図44(a)参照)。
二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア7452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア7452と外接され(図42(e)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共にスライド部材420に対する半月部材460の姿勢が固定される(図44(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア7452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する。
なお、二層ギア7452の回転速度Vとスライド部材420の移動速度とは比例関係にあるので、二層ギア7452の回転速度Vを変化させることは駆動モータ472の回転速度を変化させることで容易に行うことができる。
このように、本実施形態によれば、スライド部材420が退避位置から張出位置までスライド移動される間において半月部材460が回転され始める時の、スライド部材420の位置を少なくとも2通りで変更することができる。即ち、回転開始時から二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合(図39から図41まで参照)に比較して、回転途中で第1回転速度V1から第2回転速度V2に変化される場合(図42から図44まで参照)に、半月部材460の回転する時のスライド部材420の配置を中央側(上下方向中心側)に寄せることができる(図40(b)及び図43(b)参照)。これにより、演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図45を参照して、上述した第1速度パターン及び第2速度パターンの代表例について説明する。図45は、二層ギア7452の速度変化を示すグラフである。なお、図45において、横軸は、退避位置(P=0)から張出位置(P=Pmax)の間におけるスライド部材420の位置(P)が示され、縦軸は、スライド部材420のスライド移動時に回転される二層ギア7452の回転速度Vが示される。
なお、図45の横軸において、第1位置P1は、第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図39(b)参照)を意味し、第2位置P2は、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図42(c)を意味する。実線は上述した第1速度パターンが示され、破線は上述した第2速度パターンが示される。
上述したとおり、本実施形態では、第1速度パターンで二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第1位置P1に到達した直後に姿勢変化され始める。これに対し、第2速度パターンで二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第2位置P2に到達した直後に姿勢変化され始める。
即ち、スライド部材420のスライド移動中に二層ギア7452の回転速度Vを変えることにより、半月部材460の姿勢変化がされ始める時のスライド部材420の位置を変化させることができる。従って、スライド部材420および半月部材460の演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図46から図48を参照して、第8実施形態における複合動作ユニット8400について説明する。
第7実施形態では、二層ギア7452の回転速度Vを回転の途中で変更することで半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を変更する場合を説明したが、第8実施形態における複合動作ユニット8400は、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を二層ギア8452の回転速度は等速に維持したまま変更可能に形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図46(a)及び図46(b)は、二層ギア8452の背面図である。なお、図46(a)では、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転される状態が図示され、図46(b)では、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される状態が図示される。二層ギア8452の回転が停止される静止状態は図38(a)と同様なので、説明を省略する。
なお、理解を容易にするために、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。これは、以降の図面でも同様である。また、分離回転速度V3とは、第1突出ギア部材7452e1は没入状態を形成する一方で第2突出ギア部材7452e2は張出状態を形成する回転速度を意味し、共同回転速度V4とは、第1突出ギア部材7452e1及び第2突出ギア部材7452e2が共に張出状態を形成する回転速度を意味する。
図46(a)に示すように、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転されると、各突出ギア部材7452eがそれぞれ異なる張出量で二層ギア8452の径方向外側へ向けて移動される(少なくとも第2突出ギア部材7452e2の方が第1突出ギア部材7452e1よりも移動量が大きい)。
本実施形態では、各突出ギア部材7452eと二層ギア7452の回転軸とを連結する付勢バネ8452fのバネ定数がそれぞれ異なって形成される。即ち、第1突出ギア部材7452e1と二層ギア8452の回転軸とを連結する第1付勢バネ8452f1のバネ定数は、第2突出ギア部材7452e2と二層ギア8452の回転軸とを連結する第2付勢バネ8452f2のバネ定数よりも大きくされる。なお、第3付勢バネ8452f3のバネ定数は第1付勢バネ8452f1のバネ定数よりも大きくされる。
図46(a)に示すように、二層ギア7452が分離回転速度V3で回転されると、第1突出ギア部材7452e1は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも回転軸側に位置され(没入状態)、第2突出ギア部材7452e2は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、後述するように、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転される場合には、二層ギア8452は第1突出ギア部材7452e1では反転ギア7453と歯合開始されず、第2突出ギア部材7452e2で反転ギア7453と歯合される。
図46(b)に示すように、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア8452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ8452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、少なくとも第1突出ギア部材7452e1及び第2突出ギア部材7452e2は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される場合には、二層ギア8452の突出ギア部材7452eのうち第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に当接することで、二層ギア7452が反転ギア7453に歯合され始める。
なお、二層ギア8452が共同回転速度V4で等速回転される場合の二層ギア8452、反転ギア7453及びスライド部材420の動作は図39から図41に図示される動作と同様であるため、説明を省略する。
図47(a)から図47(e)は、二層ギア8452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア8452及び反転ギア7453の背面図である。なお、図47の説明においては、図40、図43及び図44を適宜参照すると共に、図47では、理解を容易とするためにギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。
なお、図47(a)及び上述した図40(a)、図47(b)及び図43(a)、図47(c)及び図43(b)、図47(d)及び図44(a)、そして図47(e)及び図44(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図47では、二層ギア8452及び反転ギア7453の回転方向が矢印で図示され、図47に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア8452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図47(a)に示すように、二層ギア8452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)から分離回転速度V3で回転されるため、第1突出ギア部材7452e1が没入状態を形成すると共に、第2突出ギア部材7452e2は張出状態を形成する。
そのため、二層ギア8452が所定量回転されても第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接されないため、二層ギア8452と反転ギア7453との歯合は開始されない(図47(b)参照)。これにより、半月部材460の姿勢が維持されたままスライド部材420が移動される(図43(a)参照)。
二層ギア8452が分離回転速度V3のまま回転を継続され、第2突出ギア部材7452e2が係合突状受け部453dに当接されることで反転ギア7453が回転され始めると共に半月部材460が姿勢変化し始める(図43(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア8452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図47(d)及び図44(a)参照)。
二層ギア8452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア8452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア8452と外接され(図47(e)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共に半月部材460の姿勢が固定される(図44(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア8452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する。
このように、本実施形態によれば、スライド部材420が退避位置から張出位置までスライド移動される間において半月部材460が回転され始める時の、スライド部材420の位置を少なくとも2通りで変更することができ、そのためにスライド部材420のスライド移動中の速度変化を要しない。
即ち、二層ギア8452が共同回転速度V4で定速回転される場合(図40及び図41参照)に比較して、二層ギア8452が分離回転速度V3で定速回転される場合(図43及び図44参照)に、半月部材460の回転する時のスライド部材420の配置を中央側(上下方向中心側)に寄せることができる(図40(b)及び図43(b)参照)。これにより、演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図48を参照して、上述した分離回転速度V3および共同回転速度V4をグラフにして説明する。図48は、二層ギア7452の回転速度Vを示すグラフである。なお、図48において、横軸はスライド部材420が退避位置(P=0)から張出位置(P=Pmax)の間におけるスライド部材420の位置(P)が示され、縦軸はスライド部材420のスライド移動時に回転される二層ギア7452の回転速度Vが示される。
なお、図48の横軸において、第1位置P1は、第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図39(b)参照)を意味し、第2位置P2は、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図42(c)を意味する。
上述したとおり、本実施形態では、共同回転速度V4で二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第1位置P1に到達した直後に姿勢変化され始める。これに対し、分離回転速度V3で二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第2位置P2に到達した直後に姿勢変化され始める。
即ち、スライド部材420のスライド移動の速度を2種類設定しておけば、移動中にスライド部材420のスライド移動の速度を変化させなくとも、半月部材460の姿勢変化がされ始める時のスライド部材420の位置を変化させることができる。従って、スライド部材420および半月部材460の演出のバリエーションを増やすことができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、スライドラック442の移動に起因して半月部材460の爪部材463が移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、半月部材460が回転されることにより駆動レバー467が回転される回転軌跡状に係止ピンが配設され、駆動レバー467がその係止ピンにせき止められることで半月部材460と駆動レバーとの間に回転角度差が生じ、爪部材463が移動される態様でも良い。この場合、半月部材460の回転と爪部材463の移動とを連動させることができる。
上記各実施形態では、スライド部材420の切り欠き部422dが円弧状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動ギア473から離間する方向へ向けて矩形状に切り欠かれても良い。これにより、切り欠き部422dの設計自由度を向上させると共に、スライド部材420に必要な材料を削減することができる。
上記各実施形態では、駆動ギア473の歯先を連ねた形状が略円形である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動ギア473が周方向に4分割され、その分割された各部分ごとにギア歯の歯たけを異ならせても良い。この場合、ギア歯の歯たけが短い部分を被伝達脚部422へ向けて駆動ギア473を取り付けることで、駆動ギア473を通すために被伝達脚部422の切り欠き部422dに要求される大きさを小さくすることができる。その一方で、ギア歯の歯たけが長い部分で被伝達脚部422への駆動力の伝達を確保することができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
上記各実施形態では、対向配置される一対の被伝達脚部422に形成される切り欠き部422dを通して駆動ギア473を付け外しする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、被伝達脚部422に切り欠き部422dは形成されず、被伝達脚部422が互いに遠ざかる方向(スライド方向と垂直な方向)へ移動可能に形成されても良い。この場合、一対の被伝達脚部422が近づいて配置されると駆動ギア473は取り外し不能である一方、一対の被伝達脚部422が距離を空けて配置されると駆動ギア473は取り外し可能とすることができる。
上記第5実施形態では、二層ギア5452の埋め込み孔5452gに磁性材料から形成される埋め込み部材5452hが埋設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1の周囲を磁性材料で覆う態様でも良い。これにより、磁性材料を始動ギア歯5452b1の外側に配設できるので、反転ギア5453と磁性材料との間隔を縮めることができ、二層ギア5452と反転ギア5453との間で歯合開始時に働く磁力をより強力にすることができる。
上記第5実施形態では、反転ギア5453の始動ギア歯5453b1に埋め込み孔5453fが穿設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、埋め込み孔5453fが係合突状受け部453dに穿設され埋め込み部材5453gが埋設される態様で形成しても良い。この場合、埋め込み部材5453gの磁力と、二層ギア5452に埋設される埋め込み部材5452hの磁力とが反発しあう関係となるように埋め込み部材5452h,5453gを埋設することで、二層ギア5452と反転ギア5453の当接時の衝撃を緩和することができる。即ち、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1が反転ギア5453の係合突状受け部453dに当接される前に、反発する磁力により反転ギア5453を始動ギア歯5452b1から遠ざかる方向へ回転させることができる。従って、始動ギア歯5452b1の耐久性を向上させることができる。
上記第7実施形態では、各突出ギア部材7452eの質量がそれぞれ等しい場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各突出ギア部材7452eがそれぞれ質量を違えて形成され、質量のより大きい突出ギア部材7452eを付勢する付勢バネ7452fのバネ定数をより大きく形成しても良い。これにより、質量の大小による突出ギア部材7452eの張出方の違いを付勢バネ7452fの付勢力の大小により緩和することができる。
上記第7及び第8実施形態では、二層ギア7452,8452の突出ギア部材7452eが移動可能に形成されることで、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能な場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反転ギア7453が二層ギア7452,8452の軸直角方向に移動可能に形成されても良い。この場合、反転ギア7453が二層ギア7452,8452から離間することで、互いに当接されない状態を形成可能である一方、反転ギア7453が二層ギア7452,8452に近づくことで、互いに当接可能とすることができる。そのため、移動可能な突出ギア部材7452eを不要とした場合でも、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能とすることができる。
上記第7及び第8実施形態では、二層ギア7452,8452の突出ギア部材7452eが移動可能に形成されることで、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能な場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、二層ギア7452,8452が、反転ギア7453及び伝達ギア451と歯合されない第1状態と、反転ギア7453及び伝達ギア451と歯合される第2状態とを形成可能としても良い。この場合、第1状態では二層ギア7452,8452に駆動力を非伝達とする一方、第2状態では二層ギア7452,8452に駆動力を伝達することができる。そのため、移動可能な突出ギア部材7452eを不要とした場合でも、反転ギア7453が動作開始するタイミングを変化可能とすることができる。
上記第8実施形態では、各突出ギア部材7452eの質量がそれぞれ等しく、各付勢バネ8452fのバネ定数がそれぞれ異なる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各付勢バネ8452fのバネ定数はそれぞれ同一とし、各突出ギア部材7452eの質量をそれぞれ異ならせても良い。これにより、バネ定数を調整するよりも容易に各突出ギア部材7452eの張出量を調節することができる。
上記各実施形態では、駆動ギア473が駆動モータ472の駆動軸に一点で軸支される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動モータ472の駆動軸に固着される軸支部材の端部にピンが複数突設されると共に、駆動ギア473の回転体部に複数のピンが嵌合される嵌合部が複数形成され、軸支部材と駆動ギア473とが複数点で係合されても良い。この場合、駆動モータ472の駆動軸と駆動ギア473との位相関係をピンが回転方向で駆動ギア473に引っかかることにより維持することができるので、駆動ギア473と複数のピンとの嵌め合わせを緩く形成することができる。
これにより、駆動モータ472と駆動ギア473の回転体部とを分離するために必要な力を小さくできるので、被伝達脚部422の前側壁部422cが変形したり駆動モータ472に過大な応力が付加されたりすることを防止することができる。
<第1制御例>
次いで、図49から図121を参照して、第1制御例におけるパチンコ機10について説明する。以下、上記各実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。本制御例では、大当たり時に特定入賞口65aが開閉される上述した各実施形態と異なり、大当たり時に特定入賞装置650の入球規制板654が開閉される点で相違する。以下、上述した各実施形態と同一の部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、本制御例では、大当たり時に特定入賞装置650の入球規制板654が開閉されるように構成したが、これに限られず、大当たり種別に応じて、特定入賞口65aが開放されるか、特定入賞装置650の入球規制板654が開閉されるかが変化するようにしても良いし、一の大当たりにおける、ラウンド毎に変化するようにしても良い。これにより、遊技のバリエーションが増えることとなり、遊技者の興趣を向上させることができる。
まず、図49から図52を参照して、本制御例における特定入賞装置650について説明する。図49(a)は、特定入賞装置650の正面斜視図であり、図49(b)は、特定入賞装置650の背面斜視図である。また、図50は、分解した特定入賞装置650の分解正面斜視図であり、図51は、分解した特定入賞装置650の分解背面斜視図である。さらに、図52は、特定入賞装置650の正面図および側面断面図である。なお、図52では、前面カバー体651を取り外した状態が図示される。
図49(a),(b)に示すように、特定入賞装置650は、前面カバー体651と、ベース部材652と、背面カバー体655とを備える。前面カバー体651と背面カバー体655とは、それぞれ、ベース部材652の背面側からネジにより締結され、前面カバー体651はベース部材652の前面側に、背面カバー体655はベース部材652の背面側になるよう勘合される。これにより、特定入賞装置650の内部に遊技球が流下可能な領域が形成される。また、ベース部材652は、遊技盤13にルータによって加工された開口穴に挿入された状態で取り付けられる。これにより、特定入賞装置650が遊技盤13に取り付けられる。
なお、詳細は後述するが、特定入賞装置650の内部には、遊技球が流下したことを検知する複数のセンサが設けられており、それらのセンサの検出結果に基づいて、大当たり遊技中の演出が変化するように構成されている。
図50から図52を参照して、特定入賞装置650の詳細について説明する。図50は、特定入賞装置650を前面カバー体651とベース部材652と背面カバー体655とに分解した分解正面斜視図である。図51は、特定入賞装置650を図50と同様に分解した分解背面斜視図である。図52(a)は、特定入賞装置650の前面カバーを取り外した正面図であり、図52(b)は、図52(a)のLIIb−LIIb線における断面図であり、図52(c)は、図52(a)のLIIc−LIIc線における断面図である。
前面カバー体651は、前面カバーと、その外縁から立設される外壁部とを備え、一面側(図50紙面奥側)が開放された箱状に、光透過性材料により形成される。また、外壁部の右側上部および左側中央部には遊技球が流下可能な幅の開口部が設けられている。これにより、前面カバー体651とベース部材652とを勘合した際に、右側上部の開口部が特定入賞装置650の内部へ遊技球が流下可能な入口部651aとなり、左側中央部の開口部が、特定入賞装置650の内部の遊技球が外部へ流下可能な出口部652cとなる。また、右側上部の開口部から中央部にかけては誘導壁が形成されており、入口部651aに入球した遊技球が後述する第1特定入賞口650aへと誘導されるよう構成されている。なお、入口部651aには入口センサ900aが、出口部652cには出口センサ900cが配設され、それぞれを通過した遊技球を検出可能となっている。
ベース部材652の上部には、第2入賞口が設けられており、右下部には第1特定入賞口650aが、左下部には第2特定入賞口650bが前面および背面側に突出して形成されている。第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとの上部には、それぞれ第1入球センサ652aと第2入球センサ652bとが配設され、それぞれの特定入賞口への入球が検出される。第1入球センサ652aと第2入球センサ652bとの上部には、パチンコ機10の前後方向にスライド可能な入球規制板654が設けられている。この入球規制板がスライドすることにより、第1特定入賞口650aまたは第2特定入賞口650bに、遊技球が入球可能な状態と入球不可能な状態とに可変される。
この入球規制板654の上部近傍であって、第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとの間に、迂回流路653が設けられている。特定入賞装置650の入口部651aへ入球した遊技球は、まず、第1特定入賞口650aの上方であって迂回流路653の手前まで流下することとなる。ここで、入球規制板654が開いている(奥にスライドしている)と、遊技球は第1特定入賞口650aへと入球することとなり、一方、入球規制板654が閉じている(手前にスライドしている)と、遊技球は迂回流路653へと流下することとなる。なお、迂回流路653の上流側入口部653aには迂回センサ900bが設けられており、通過する遊技球を検出可能となっている。
迂回流路653を流下した遊技球は、第2特定入賞口650bの上方であって出口部652cの手前まで流下することとなる。ここで、入球規制板654が開いている(奥にスライドしている)と、遊技球は第2特定入賞口650bへと入球することとなり、一方、入球規制板654が閉じている(手前にスライドしている)と、遊技球は出口部652cから特定入賞装置650の外部へと流下することとなる。
ここで、第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとは、いずれも入賞に基づいて賞球(遊技球)の払い出しが行われる。即ち、入球規制板654が閉じているタイミングに特定入賞口650に入球し、第1特定入賞口650aへと入球しなかった遊技球であっても、迂回流路653の通過後に入球規制板654が開くタイミングとなっていれば、第2特定入賞口650bへと入球することとなり、入賞に基づいて賞球の払出が行われることとなる。よって、特定入賞装置650へ入球した遊技球に基づいて、賞球の払出が行われやすくすることができる。
なお、迂回流路653は、ベース部材652の前面側と背面側とに、遊技球が蛇行して流下するように形成されている。これにより、遊技球が蛇行せずに流下するように形成する場合に比べ、迂回流路の流下する経路長を長くできるので、遊技球が迂回流路を流下する時間を長くすることができる。したがって、入球規制板654が開くタイミングが遅い場合でも、迂回流路653を通過した遊技球が第2特定入賞口650bへと入球することが可能となる。
詳細は後述するが、この迂回経路653を遊技球が通過する時間に応じて、入球規制板654の開閉パターンを定めることにより、迂回流路653を通過した遊技球が第2特定入賞口650bへ入球し易い開閉パターンと、入球しにくい開閉パターンとを定めることができる。また、迂回経路653の経路長を調整できるように構成すれば、迂回流路653を通過した遊技球が第2特定入賞口650bへ入球し易いか否かを調整可能とすることができる。なお、迂回経路653の通過する時間は、経路長に限らず、遊技球が流下する路面の摩擦係数を変更する(例えば、滑りにくい素材にする)などで調整してもよい。
第2入賞口640の上部には、突起部652dが形成され、左右には電動役物640aが配設される。これにより、第2入賞口640への遊技球の入球は、電動役物640aが開放されている場合にのみ可能となる。なお、これに限られず、突起部652dを形成せずに、電動役物640aが開放されていない場合でも、第2入賞口640へ入球可能としてもよい。
背面カバー体655には、上述した第2入賞口640、第1特定入賞口650aおよび第2特定入賞口650bに入球した遊技球が流下する排出流路が形成されると共に、電動役物640aを駆動するための電動役物用ソレノイド645と、入球規制板654を可変させるための可変ソレノイド670とが設けられている。
次に、図53を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図53は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図53(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図53(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄により構成されている。各主図柄は、「0」から「9」の数字で構成されている。なお、各主図柄は数字と共に図柄などが付属して表示されるものであっても良い。
また、本制御例のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図4参照)により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
例えば、特別図柄の抽選結果が「大当たりA」であれば、奇数番号である「1,3,5,7,9」が付加された主図柄が揃う変動表示が行われる。また、「大当たりB」であれば、偶数番号である「0,2,4,6,8」が付加された主図柄が揃う変動表示が行われる。一方、特別図柄の抽選結果が外れであれば、同一番号の主図柄が揃わない変動表示が行われる。尚、詳細については後述するが、本制御例では、特別図柄の抽選結果が外れである場合に、特別図柄の大当たりになる可能性が高いことを示唆(予告)するSW演出や背景変更演出が行われることがあり、その場合には、変動表示が行われる表示領域が変更されることがある。
図53(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出、キャラクタおよび保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。この主表示領域Dmの中段部が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本制御例では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの小領域Ds1〜Ds3に等区分されている。このうち、小領域Ds1は、第1入賞口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域であり、小領域Ds2およびDs3は、予告演出画像を表示する領域である。
実際の表示画面では、図53(b)に示すように、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、右の小領域Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の小領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本制御例ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。
一方、第3図柄表示装置81(第1図柄表示装置37)にて変動表示が行われている間に球が第1入賞口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、副表示領域Dsの小領域Ds1においても示される。小領域Ds1には、保留球数1球につき1つの保留球数図柄が表示され、その保留球数図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。即ち、小領域Ds1に1つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が1球であることを示し、4つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が4球であることを示す。また、小領域Ds1に保留球数図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。
なお、本制御例においては、第1入賞口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。更に、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを最大保留数分の4つ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
次に、図54と図55とを参照して、特定入賞装置650の入球規制板654の開閉パターンと、遊技球の入球タイミングについて説明する。図54は入球規制板654の開閉動作における、入球タイミングを模式的に示した模式図である。図54の上段は、入球規制板654の開閉状態を示したものであり、中段は、発射した遊技球が特定入賞装置650の入口部651aへと入球するタイミングを示したものであり、下段は、第1特定入賞口650aへと入球せず迂回流路へと流下した遊技球が、迂回流路を流下し終えるタイミングを示したものである。
入球規制板654が開いているタイミングは、発射した遊技球が第1特定入賞口650aへ入球するタイミング(第1入球タイミング)である。一方、入球規制版654が閉じているタイミングは、発射した遊技球が第1特定入賞口650aへ入球しないタイミングであり、迂回流路653を流下した遊技球が、第2特定入賞口650bへ入球するタイミング(第2入球タイミング)と、第2特定入賞口650bへ入球せず出口部652cから外部へ流下するタイミング(出口通過タイミング)とのタイミングがある。
この第2入球タイミングと、出口通過タイミングとは、遊技球が迂回経路653を流下し終えるタイミングに、入球規制板654が開いているか否かによって定まるものである。図54では、第1入球タイミングの経過後から第2入球タイミングとなっており、このタイミングに発射された遊技球は、第1特定入賞口650aへ入球せず、迂回流路653を流下することとなる。その後、遊技球が迂回流路653を流下し終えると、入球規制板654が開くタイミングとなっているので、遊技球は第2特定入賞口650bへと入球する。一方、第2入球タイミングの経過後の出口通過タイミングでは、遊技球が迂回流路653を流下し終えると、入球規制板654は開くタイミングではない(即ち、閉じている)ので、遊技球は第2特定入賞口650bへと入球せず、出口部652cを通過することとなる。
このように、第1特定入賞口650aへ入球しなかった遊技球が、第2特定入賞口650bへ入賞するか否かは、入賞規制板654の開閉タイミングによって定めることができる。
次いで、図55を参照して、本制御例における入賞規制板654の開閉パターンについて説明する。図55(a)は、第1特定入賞口650aへ入球しなかった遊技球が、第2特定入賞口650bへ入賞しやすい開閉パターンAを模式的に示した模式図であり、図55(b)は、第1特定入賞口650aへ入球しなかった遊技球が、第2特定入賞口650bへ入賞しにくい開閉パターンBを模式的に示した模式図である。
詳細は後述するが、この開閉パターンは、大当たり種別に基づいて選択されるものである。なお、本制御例では開閉パターンは大当たり種別に基づいて選択するように構成したが、これに限られず、大当たり種別と無関係に選択するように構成してもよい。これにより、同一の大当たり種別でも開閉パターンにより、遊技者が獲得できる遊技価値に変化が生まれるため、遊技者の興趣を向上させることができる。
図55(a)および(b)の上段、中段、下段は、それぞれ図54と同様のタイミングを示すものであるので、その詳細な説明を省略する。
図55(a)に示す開閉パターンAでは、一定間隔で発射される遊技球のうち、2球に1球は入賞規制板654が開いている場合に入球し、他のもう1球は入賞規制板654が閉じている場合に入球するように開閉される。ここで、迂回した遊技球は、図示する通り、迂回流路653を流下し終えると入賞規制板654が開状態となっているため、第2特定入賞口650bへと入球することとなる。
一方、図55(b)に示す開閉パターンBでは、一定間隔で発射される遊技球のうち、2球に1球が入賞規制板654の開いているタイミングで、特定入賞装置650へ入球するのは同様である。しかし、開閉パターンAと比べ、2回目に入球規制板654が開放状態となるタイミングが早く、迂回した遊技球の1球目が迂回流路653を流下し終えるタイミングは、図示する通り、入球規制板654が閉鎖状態であるため、第2特定入賞口650bへ入球しない。よって、開閉パターンAに比べ、開閉パターンBは、特定入賞口へ遊技球が入球しにくい開閉パターンとなる。
なお、上述した開閉パターンに限られることなく、入球規制板654の開閉タイミングは、適宜設定してもよい。例えば、第1特定入賞口650aに入球しなかった遊技球が、全て第2特定入賞口650bへと入球するように設定してもよいし、全て第2特定入賞口650bへと入球しない(即ち、全て出口部652cを通過する)ように設定してもよい。また、入球規制板654の開閉タイミングは、迂回流路の形状や全長など(遊技球が通過に必要な所要時間)に応じて、適宜設定するものである。
さらに、遊技球が通過する時間の異なる迂回経路を複数設け、第1特定入賞口650aに入球しなかった遊技球が、それらの迂回経路へ振り分けられるようにしてもよい。例えば、第1特定入賞口650aに入球しなかった遊技球が、第2特定入賞口650bへ入球しやすい迂回経路と、入球しにくい迂回経路とを設けてもよい。これにより、開閉パターンが同一であっても、入球のし易さを変化させることができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
さらに、本制御例では、第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとへの入球を規制するため、一の入球規制板654を用いるようにしたが、これに限られず、それぞれの入球を規制する入球規制板を個別に設けてもよい。これにより、各特定入賞口への入球を規制するバリエーションを増やすことができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、特定入賞装置650内の入球規制板654により、特定入賞口の一部である第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとへの入球が規制される場合について説明したが、これに限られず、第1特定入賞口650aまたは第2特定入賞口650bの代わりに、第2入賞口640を設けても良いし、一般入賞口63などを設けるようにしてもよい。
次に、図56から図59を参照して、特定入賞装置650の内部に設けられた各種センサの検出結果と、その検出結果に基づく大当たり遊技中の演出表示について説明する。図56は、各種センサの検出タイミングと、その検出結果に基づく演出表示の内容を模式的に示した模式図である。また、図57から図59は、各演出表示の内容を例示した模式図である。
大当たり遊技開始後に、1球目の遊技球が特定入賞装置650へ入球すると、その入球が入口センサ900aにより検出される(図56内の1球目入口センサ検出時)。これにより、1球目の遊技球に基づく演出(図56内の1球目演出)が開始され、登場演出が表示される(図57(a)参照)。この場合の演出画面は、最下段に示す通り、1画面で表示される通常演出画面となっている。
次いで、登場演出の表示中に、2球目および3球目の入球が入口センサ900aにより検出されると(図56内の、2球目入口センサ検出時、3球目入口センサ検出時)、2球目および3球目の遊技球に基づく演出(図56内の、2球目演出、3球目演出)が開始され、それぞれの検出結果に基づいて登場中数演出が表示される。登場中数演出により、図57(a)のように、右下部にネコ登場中数を示すネコの絵柄が表示される。このネコ登場中数は、演出の保留数を示すものであり、1球目の遊技球に基づく演出が終了すると、ネコ登場中数が1減らされて2球目の遊技球に基づく演出が実行されることとなる。
1球目の遊技球が第1特定入賞口650aへ入球せず、迂回流路653の迂回入口部653aを通過したと迂回センサ900bにより検出された場合は(図56内の迂回センサ検出時)、1球目の遊技球に基づく演出が登場演出から逃走演出へと変更される(図57(b)参照)。この場合の演出画面は、最下段に示す通り、2画面で表示される特殊演出画面となっている。この特殊演出画面により、画面左側には1球目の遊技球に基づく演出(逃走演出)を表示すると共に、画面右側に2球目の遊技球に基づく演出(登場演出)を表示することができる(図57(b)参照)。
その後、2球目の遊技球が第1特定入賞口650aへ入球したと、第1入球センサ652aにより検出されると、画面右側の2球目の遊技球に基づく登場演出が捕獲演出へと変更される(図58(a)参照)。この捕獲演出が終了すると、画面右側には3球目の遊技球に基づく登場演出が表示されることとなる。
次いで、1球目の遊技球が迂回流路653を流下し終え、第2特定入賞口650bへ入球したと、第2入球センサ652bにより検出されると、画面左側の1球目の遊技球に基づく逃走演出が再捕獲演出へと変更される(図58(b)参照)。この再捕獲演出が終了すると、画面左側に表示する演出がなくなるので、演出画面は最下段に示す通り、1画面で表示される通常演出画面となり、3球目の遊技球に基づく登場演出が表示されることとなる。
一方、1球目の遊技球が迂回流路653を流下し終え、第2特定入賞口650bへ入球せず出口部652cを通過したと、出口センサ900cにより検出されると、画面左側の1球目の遊技球に基づく逃走演出が捕獲失敗演出に変更される(図59(a)参照)。この捕獲失敗演出が終了すると、上述した図58(b)と同様に、画面左側に表示する演出がなくなるので、3球目の遊技球に基づく登場演出が通常演出画面として表示されることとなる。
ここで、図59(b)を参照して、通常演出画面において、捕獲演出が実行される場合について説明する。図59(b)は、上述した図57(a)が表示されている場合において、1球目の遊技球が第1特定入賞口650aへと入球した場合に表示される演出表示である。上述したように、迂回流路653を流下している遊技球と、入口部651aから迂回流路653までの間の遊技球とが有る場合に、特殊演出画面によってそれぞれの遊技球に基づく演出を同時に視認可能としている。一方、いずれか一方にのみ遊技球がある場合には、通常演出画面によって該当する遊技球に基づく演出を表示するように構成している。
次に、図60と図61とを参照して、役物連動演出の表示内容について説明する。図60と図61とは、第3図柄表示装置81の表示内容と、第1球状役物330および第2球状役物340とを模式的に示した模式図である。
役物連動演出は、変動表示中に実行される演出である。この役物連動演出が実行されると、実行中の変動表示は図60(a)に示すように、第3図柄表示装置81の左下に縮小して表示される。また、第1球状役物330と第2球状役物340とは点灯され、画面右上および左上にPUSHの文字を円形に囲んだ絵柄(PUSH絵柄)が表示される(図60(a)参照)。この左上に表示されたPUSH絵柄は右下へと移動し、右上に表示されたPUSH絵柄は左下へと移動される(図60(b))。
そして、2つのPUSH絵柄は画面中央にて重なり合うように移動されていき(図61(a)参照)、2つのPUSH絵柄が完全に重なり合ったタイミングで、第1球状役物330および第2球状役物340とが消灯され、ボタン押下残時間を示すゲージが画面右下に表示される(図61(b)参照)。ここで、第1球状役物330と第2球状役物とは、それぞれ第1球状カバー体(330a,330b)と第2球状カバー体(340a,340b)とを備えており、第1球状役物330および第2球状役物340とが消灯されるタイミングで、球状役物の前面部を覆う位置に可動される。これらの球状カバー体は、図示しない第1役物モータ330cと第2役物モータ340cとによって可動されるものである。
次に、図62から63を参照して、背景連動演出について説明する。図62から図63は、第3図柄表示装置81に表示される背景連動演出の表示内容を模式的に示した模式図である。
本制御例では、大当たりとなる期待度を示唆する表示が、背景表示の一部として画面右上に表示される。具体的には、第3図柄表示装置81の右上部に「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、「レベル4」の背景レベルが表示される。「レベル1」の背景レベルは、大当たりとなる期待度が最も低いことを示唆する表示であり、「レベル4」の背景レベルは、大当たりとなる期待度が最も高いことを示唆する表示である。この背景レベルは、変動表示中や変動開始時に変更されるものであり、背景変更抽選処理(図92参照)において、所定の条件が成立した場合に変更される。詳細な説明は後述する。
ここで、図62を参照して、変動表示中に背景レベルが変更される場合について説明する。背景レベルが「レベル1」の場合において、変動表示の左側列と右側列の図柄が停止され、中央に「継続レベル2」の文字が表示される(図62(a)参照)。その後、変動表示が再び開始されると共に、背景レベルが「レベル2」へと変更される(図62(b)参照)。ここでは、背景レベルが「レベル1」から「レベル2」へと変更される場合を説明したが、1の変動表示中に「レベル1」から「レベル3」や「レベル4」となる場合もある。
次いで、図63を参照して、変動表示開始時に背景レベルが変更される場合について説明する。上述した図62(b)において、背景レベルが「レベル2」へと変更された後に、変動表示が停止される(図63(a)参照)。その後、次の変動表示が開始されると共に、画面上部に「レベルアップ!」との文字が表示され、背景レベルが「レベル3」へと変更される。
上述した通り、本制御例では、図62で説明したように1の変動表示中に背景レベルを変更することが可能であり、図63で説明したように、変更した背景レベルはその後の変動表示においても継続して利用することができる。これにより、大当たりとなる期待度が高い表示が行われた、1の変動表示の後の変動表示においても、継続して大当たりとなる期待度が高い状態とすることができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、本制御例では、説明を省略したが、通常、遊技機では、特別図柄の変動を実行する場合に様々大当たりの期待度を示すキャラクタやコメントの表示、音声等の演出が実行される。このような構成では、様々な異なる期待度を示す予告表示態様が表示されるので、遊技者はどの期待度を見て大当たりへの期待度を判断すべきか分からず、期待度を表す予告表示について興味を持たなくなったり、予告の内容が理解できず遊技に早期に飽きてしまうという不具合がある。しかしながら、本制御例では、特別図柄の変動表示中に背景画面に総合的な期待度として背景レベルが表示されるので、その期待度を参考にして遊技を行うことができる。よって、遊技を分かり易く行うことができる。さらに、第3図柄が仮停止される疑似停止が実行される毎に、背景レベルが変更されるので、疑停止の予告における期待度から総合的な期待度が変更されたことが分かりより遊技者は分かり易く遊技を行うことができる。
なお、本実施形態では、疑似停止が行われることで、背景レベルが変更されるように構成したがそれに限らず、キャラクタ等やコメント等の予告が表示されることに基づいて背景レベルを変更するように構成してもよい。さらに、背景レベルで総合的な期待度を表示するのに限らず、例えば、第3図柄の色を可変させることで期待度を表示したり、総合的な期待度を示すキャラクタを常時表示するようにして、そのキャラクタの表示態様を可変させる(例えば、服の模様や色等を可変させる)ことで総合的な期待度を表すように表示してもよい。
さらに、本制御例では、背景レベルを当該変動だけでなく、当該変動が停止されて、次変動が開始された場合にも引き継いで表示されるように構成した。このように構成することで、第3図柄が仮停止される回数の期待度を可変させるようにできるように構成した。具体的には、背景レベルが3の状態で特別図柄の変動表示が開始された場合には、1回仮停止が実行されることにより、大当たりへの期待度が高い変動態様が表示されることとなる。よって、遊技者に背景レベルがいくつであるかを常に意識させて遊技を行わせることができる。
また、本制御例では、疑似停止が行われた場合の総合的な期待度として背景レベルを用いているがそれに限らず、疑似停止が行われない場合の変動表示では、現在のモード状態を背景レベルで表示するように構成してもよい。この場合には、背景レベルが変更されることで、音声ランプ制御装置113のMPU221により選択される変動態様のテーブルが切り替えられる。具体的には、主制御装置110より通知される変動時間と大まかな表示態様(リーチ、非リーチ等)とは変えないようにして、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の表示態様が変わるように構成する(例えば、背景レベル1では、表示領域が分割されないシングル表示の変動態様、背景レベル2では、表示領域が2分割され、そのそれぞれに第3図柄が独立して表示されるダブル表示態様の変動パターン、背景レベル3では、同様に3分割されてそれぞれに第3図柄が変動表示されるマルチ表示態様)。このように構成することで、背景レベルの表示が特別図柄の変動態様の内容(仮停止の変動がされるか否か)により期待度を示す場合と、変動パターンの選択モードを示す場合とで切り替えることができる。
さらに、本制御例の構成に加えて、通常遊技状態と確変遊技状態等の遊技状態によって、背景レベルの上がる頻度や上がる幅、または下がる頻度や下がり幅等を可変させるように構成してもよい。さらに、背景レベルが高くなるほど、疑似停止(仮停止)が実行される変動パターンが選択され易く構成してもよい。反対に、背景レベルが低くなるほど疑似停止が実行され易くしてもよい。さらに、変動表示される変動パターンに予め背景レベルが設定されており、その変動パターンを変動表示する場合には、設定されている背景レベルに設定するように構成してもよい。
<第1制御例における電気的構成について>
次に、図4および図64から図76を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図であり、上述した各制御例と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
まず、図64から図67を参照して、主制御装置110の電気的構成について説明する。主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置(図示せず)における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。
ここで、図64を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置(図示せず)における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図77参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図86参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファ203jに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる左第1入賞口64aまたは右第1入賞口64bへの入賞に対応する特別図柄1保留球格納エリア203aが設けられており、これらの各エリアには、左第1入賞口64aまたは右第1入賞口64bへの入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、球が普通始動口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
図64を参照して、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図77参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図86参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本制御例ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202aによって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブルは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。尚、特別図柄の高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aと、特別図柄の低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aとは、主制御装置110のROM202内に設けられている(図66参照)。
ここで、第1当たり乱数テーブル202aについて説明する。第1当たり乱数テーブル202aは、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選において、各遊技状態で当たりと判定される乱数値(判定値)が設定されたテーブルである。具体的には、遊技状態が高確率遊技状態である場合には、特別図柄の抽選において、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜9」のいずれかであるかが判別されて、「0〜9」のいずれかであれば、大当たりであると判別される。また、遊技状態が通常遊技状態である場合には、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が「0」であるか判別されて、「0」であれば大当たりであると判別される。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本制御例ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が左第1入賞口64aまたは右第1入賞口64bに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
ここで、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本制御例のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜399の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は1個あり、その乱数値である「0」は、低確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が1なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/400」となる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は10個あり、その値である「0〜9」は、高確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が10なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/40」となる。
尚、本制御例では、低確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている大当たりとなる乱数値と、高確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている大当たりとなる乱数値とで、重複した値とならないように、それぞれの大当たりとなる乱数値を設定している。ここで、大当たりとなる乱数値としてパチンコ機10の状況にかかわらず常に用いられる値が存在すれば、その乱数値が外部より入力されて、不正に大当たりを引き当てられやすくなるおそれがある。これに対して、本制御例のように、状況に応じて(即ち、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態か、特別図柄の低確率状態かに応じて)、大当たりとなる乱数値を変えることで、特別図柄の大当たりとなる乱数値が予測され難くすることができるので、不正に対する抑制を図ることができる。
また、本制御例のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。そして、この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜49」のいずれかであった場合の大当たり種別は、「大当たりA」となる。また、乱数値が「50〜99」のいずれかであった場合の大当たり種別は、「大当たりB」となる。なお、本制御例では、大当たりの種類は2種類としたが、それに限らず、1種類でもよいし、2種類以上設けるように構成してもよい。また、第1入賞口64への入球に基づく大当たりと、第2入賞口640への入球に基づく大当たりとで、同じ第1当たり種別カウンタC2の値であっても、異なる大当たり種別が選択されるように構成してもよい。このように構成することで、例えば、第2入賞口640への入球に基づく大当たりとなる場合に、遊技者にとって有利となる大当たり種別が選択されやすくしておくことで、第2入賞口640への入球に基づく大当たりをより遊技者に期待させることができる。ここで、第2入賞口640は後述する時短遊技状態において入球しやすくなる入賞口である。よって、時短遊技状態へ移行した場合に、遊技者にとってより有利な状態とすることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
停止種別選択カウンタC3は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。本制御例では、停止種別選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される外れ時の停止種別が選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄以外で停止する「外れリーチ」(例えば90〜99の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば0〜89の範囲)との2つの停止(演出)パターンが選択される。停止種別選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本制御例ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
尚、停止種別選択カウンタC3の値(乱数値)から、特別図柄の停止種別を決定するための乱数値は、停止種別選択テーブル(図示せず)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。また、本制御例ではこのテーブルを、特別図柄の高確率時用と、特別図柄の低確率時用とに分けており、テーブルに応じて、外れの停止種別ごとに設定される乱数値の範囲を変えている。これは、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態であるか、特別図柄の低確率状態であるか等に応じて、停止種別の選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜89と広い高確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。また、低確率状態であれば、第1入賞口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜79と狭い低確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間はずれ、長時間はずれ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図86参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターンテーブル202d(図67(a)参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
変動パターンテーブル202dには、例えば、外れ用の変動パターンとして、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種が規定され、大当たりAの変動パターンとして、「ノーマルリーチ」各種、「スーパーリーチ」各種が規定されている。そして、変動パターンテーブル202dに規定された各種変動パターンから、予測された抽選結果や、予測された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に応じて変動パターンが選定される。なお、音声ランプ制御装置113にも変動パターンテーブル222aが設定されており、主制御装置110が出力する変動パターンコマンドが示す変動パターンの種別に対応して更に詳細な変動パターン内容が変動パターンテーブル222aより選択される。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本制御例ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が普通始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される普通図柄当たり乱数テーブル(図示せず)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、普通図柄当たり乱数テーブルによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この普通図柄当たり乱数テーブルは、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
図66(c)に示すように、普通図柄の低確率時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5〜28」となっている。これら乱数値は、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている。このように普通図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、通過口645が「0.2秒間×1回」だけ開放される。尚、本制御例では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら通過口645が「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640に付随する電動役物が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640に付随する電動役物の開放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第2入賞口640へ球が入球し易い状態となる。尚、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本制御例では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなると第2入賞口640に付随する電動役物が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図16参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図26参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
次に、図65から図67を参照して、主制御装置110のROM202について説明する。主制御装置110のMPU201には、MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202が設けられている。
図65(a)は、主制御装置110に設けられているROM202の内容を模式的に示した図である。図65(a)に示した通り、ROM202には、第1当たり乱数テーブル202aと、第1当たり種別選択テーブル202bと、第2当たり乱数テーブル202cと、変動パターンテーブル202dとが少なくとも設けられている。
第1当たり乱数テーブル202a(図66(a)参照)は、上述した通り、特別図柄の大当たりとなる乱数の値が規定されたテーブルである。この第1当たり乱数テーブル202aに規定されている乱数値と、第1当たり乱数カウンタC1の値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブル202aには、特別図柄の低確率時に特別図柄の大当たりか否かを判別するためのテーブル(低確率時用の第1当たり乱数テーブル202a)と、特別図柄の高確率時に特別図柄の大当たりか否かを判別するためのテーブル(高確率時用の第1当たり乱数テーブル202a)とが設けられており、それぞれのテーブルに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なっている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。
第1当たり種別選択テーブル202b(図66(b)参照)は、大当たりAと大当たりBとがそれぞれ選択可能となるように設定されている。具体的には、大当たりAの判定値として第1当たり種別カウンタC2の値「0〜49」が、大当たりBの判定値として「50〜99」が設定されている。
第2当たり乱数テーブル202c(図66(c)参照)は、普通図柄の当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。図66(c)に示した通り、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態中)は、第2当たり乱数カウンタバッファに格納された第2当たり乱数カウンタC4の値が5〜28の範囲の場合に普通図柄の当たりと判定される。なお、上述の通り、普通図柄の当たりと判定された場合は、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、通過口645に付随する電動役物が「0.2秒間×1回」だけ開放される。
変動パターンテーブル202d(図67(a)参照)は、変動パターンの表示態様を決定するために用いられるデータテーブルであり、変動種別カウンタCS1の値毎に表示態様が規定されている。この変動パターンテーブル202dには、特別図柄の抽選結果に対応した複数の異なるテーブルが規定されている。具体的には、図67(a)に示すように、大当たり用変動パターンテーブル202d1(図67(b)参照)と、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2(図67(c)参照)と、外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3(図67(d)参照)とが少なくとも規定されている。なお、図示は省略したが、このほかにも、時短遊技状態における変動パターンテーブル等が設定されている。
図67(b)を参照して、大当たり用変動パターンテーブル202d1について説明する。図67(b)は、この大当たり用変動パターンテーブル202d1の内容を模式的に示した模式図である。大当たり用変動パターンテーブル202d1は、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。大当たりの変動パターンとしては、ノーマルリーチ各種(30秒)、スーパーリーチ各種(60秒)、スペシャルリーチ(90秒)がそれぞれ設定されている。各変動パターンに対して、それぞれ変動種別カウンタCS1の値が判定値として設定されている。
具体的には、ノーマルリーチ各種(30秒)の変動パターンについては、「0〜50」が、スーパーリーチ各種(60秒)の変動パターンについては、「51〜179」が、スペシャルリーチ各種(90秒)の変動パターンについては、「180〜198」がそれぞれ変動種別カウンタCS1の判定値として設定される。主制御装置110のMPU201は、特別図柄の抽選結果が大当たりとなる場合の変動パターンを選択する時には、取得している変動種別カウンタCS1の値に対応する判定値が設定されている変動パターンを大当たり用変動パターンテーブル202d1より選択する。
図67(c)は、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2の内容を模式的に示した模式図である。外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2は、特別図柄の抽選結果が外れである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。特別図柄の抽選結果が外れである場合には、上述したように、図示しない停止種別選択テーブルより停止種別が完全外れ(非リーチ)であるか、リーチ外れ(リーチ共通)であるかが停止種別選択カウンタC3の値によって決定される。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80〜99」の範囲にあれば外れリーチを設定する。
ここで、変動パターン種別が、完全外れである場合には、変動時間の比較的に短い短外れ(7秒)と変動時間の長い長外れ(10秒)が設定されている。短外れ(7秒)に対しては、「0〜98」が、長外れ(10秒)に対しては、「99〜198」が変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
また、外れリーチに対しては、外れのノーマルリーチ各種(30秒)に対して「0〜149」が、外れのスーパーリーチ各種(60秒)に対して「150〜197」が、外れのスペシャルリーチ各種(90秒)に対して「198」が、変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
このように、主制御装置110のMPU201は、通常遊技状態時に特別図柄の抽選結果が外れである場合には、停止種別が決定され、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2より取得している変動種別選択カウンタCS1の値に基づいて、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2より変動パターンを選択する。
図67(c)は、外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3の内容を模式的に示した模式図である。この外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3は、遊技状態が確変遊技状態である場合に、外れとなる特別図柄の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。この外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3では、設定されている変動種別選択カウンタCS1の値が、上述した外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2とは異なる点で相違する。
なお、上述したように、遊技状態が確変遊技状態である場合には、図示しない停止種別選択テーブルにより停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れが決定され、「90〜99」の範囲にあれば外れリーチが決定される。
このように、通常遊技状態よりも確変遊技状態である場合には、外れである場合にリーチとなる確率が低く設定されている。よって、確変時に外れの変動時間が長くなってしまい、大当たりとなるまでの期間が長くなってしまうことを抑制できる。よって、大当たりし易い確変遊技状態時に遊技が間延びしてしまい、遊技者が退屈に感じる不具合を抑制できる。
図65に戻り、説明を続ける。図65(b)は主制御装置におけるRAM203の内容を模式的に示した模式図である。RAM203は、図64に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図86参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図85参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図84参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図65(b)に示すように、特別図柄保留球格納エリア203a、普通図柄保留球格納エリア203b、特別図柄保留球数カウンタ203c、普通図柄保留球数カウンタ203d、確変フラグ203e、時短中カウンタ203f、その他メモリエリア203zを少なくとも有している。
特別図柄保留球格納エリア203aは、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したことに基づいて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本制御例では、特別図柄1保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
普通図柄保留球格納エリア203bは、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球がスルーゲート67を通過したタイミングで、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄保留球数カウンタ203cは、第1入賞口64または第2入賞口640への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる第1特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄保留球数カウンタ203cは、初期値がゼロに設定されており、第1入賞口64または第2入賞口640へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図80のS404参照)。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図78のS205参照)。
この特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図78のS206、図80のS405参照)。保留球数コマンドは、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
尚、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81の保留球数図柄(保留図柄)を表示する。
普通図柄保留球数カウンタ203dは、スルーゲート67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、球がスルーゲート67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図83のS704参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図82のS605参照)。
球がスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203bに記憶される(図83のS705参照)。一方、球がスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203bには新たに何も記憶されない(図83のS703:No)。
確変フラグ203eは、現在の遊技状態が確変遊技状態(確変遊技状態)であるか否かを示すフラグである。確変フラグ203eがオンに設定されていると、遊技状態が確変遊技状態であることを示し、オフであると低確率遊技状態(時短遊技状態含む)であることを示している。本制御例では、大当たり遊技終了時に大当たり種別が大当たりA(16R確変大当たり)であると判別されると、確変フラグ203eがオンに設定される(図87のS1114参照)。そして、大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図87のS1102参照)。なお、初期化された状態では、オフに設定され、通常の電源断が発生した場合には、電源断直前の状態がバックアップされるように構成されている。
時短中カウンタ203fは、時短遊技状態における残りの特別図柄の変動回数をカウントするためのカウンタである。この時短中カウンタ203fは、大当たり遊技終了時に大当たり種別が大当たりB(16R時短大当たり)であると判別されると、100が設定される。即ち、本制御例では、大当たり遊技後に確変遊技状態に設定されない場合には、100回の時短遊技状態に移行する。
その他メモリエリア203zは、遊技に必要なその他のデータや、カウンタ、フラグ等が設定(記憶)されるものである。
次いで、図68と図69とを参照して、音声ランプ制御装置の電気的構成について説明する。音声ランプ制御装置113のMPU221には、上述したようにアドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22、その他装置228、第1役物モータ330c、第2役物モータ340c、入口センタ900a、迂回センサ900b、出口センサ900cなどがそれぞれ接続されている(図4参照)。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。本制御例の背面画像には、上述したように、大当たりとなる期待度を示唆する表示(レベル表示)が表示されるものが含まれている。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
図68(a)を参照し、音声ランプ制御装置113のROM222について説明する。音声ランプ制御装置113のROM222には、図68(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222a、役物連動演出テーブル222b、開閉パターン記憶エリア222c、背景抽選テーブル222d、SWシナリオ記憶エリア222e、その他、遊技の制御に必要な各種データやプログラム等が記憶されている。
変動パターン選択テーブル222aは、図示しない変動パターン選択用のカウンタ値に各変動パターンの種別(外れ、リーチ外れ、リーチ各種等)の変動パターンがそれぞれ設定されている。音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンを選択する。これにより、変動時間や変動パターンの種別等の大まかな情報は厳守しつつ、音声ランプ制御装置113が多種多様の変動態様を選択することができる。よって、同じ変動表示態様等が頻繁に表示されることが防止でき、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。
役物連動演出テーブル222bは、上述した役物連動演出を実行するための、球状役物(330,340)の動作パターンと第3図柄表示装置81に表示される演出のパターンとを規定したテーブルである。このテーブルに基づいて球状役物の動作と表示演出とを設定することで、球状役物の動作と表示演出とを連動させる役物連動演出を実行することができる。役物連動演出テーブル222bの詳細な内容については、図69(a)を参照して後述する。
開閉パターン記憶エリア222cは、大当たり遊技中における特定入賞装置650の入球規制板653の開閉パターンと大当たり種別との関係を規定したものである。具体的には、大当たりAの場合は開閉パターンAが選択され、大当たりBの場合は開閉パターンBが選択されるようになっている。大当たりAは、上述したように、確変状態となる点で、大当たりBに比べ遊技者に有利となるものである。また、開閉パターンAは、上述したように、第2特定入賞口650bへ遊技球が入球し易い点で、開閉パターンBに比べ遊技者に有利となるものである。よって、大当たりAで開閉パターンAが選択されるため、大当たりAはより遊技者に有利な大当たりとなる。したがって、遊技者はより大当たりAとなることを期待して遊技を実行することとなり、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、上記したものに限られず、大当たりAの場合に開閉パターンBが選択され、大当たりBの場合に開閉パターンAが選択されるようにしてもよい。また、開閉パターンの選択は、大当たり種別に基づくものでなくてもよく、例えば、後述する演出カウンタ223jの値に基づいて選択されるようにしてもよい。これにより、同一の大当たり種別であっても、選択される開閉パターンによって、遊技者にとって有利となるか否かが変化するため、遊技者は大当たり種別と開閉パターンとのいずれにも興味を持つこととなり、遊技者の興趣を向上させることができる。さらに、上述した大当たり種別と演出カウンタに基づいて開閉パターンを選択するようにしてもよいし、大当たり種別と開閉パターンを更に増やしても良く、例えば、大当たり種別Cや開閉パターンCを増やしてもよい。
背景抽選テーブル222dは、当否判定結果と、現在の背景レベルと、後述する演出カウンタ223jとの値に基づいて、移行する背景レベルを規定したものである。このテーブルに基づいて、背景変更抽選処理(図92参照)において、背景レベルを変更することができる。背景抽選テーブル222dの詳細については、図69(b)を参照して後述する。
SWシナリオ記憶エリア222eは、上述した役物連動演出において、SWの押下が有効になる期間を規定したSWシナリオを記憶しているエリアである。このSWシナリオに基づいて、球状役物(330,340)や枠ボタン22の点灯動作を制御することにより、表示制御装置113により第3図柄表示装置81に表示される演出内容と、球状役物(330,340)や枠ボタン22の点灯動作とを連動させて演出することができる。
ここで、枠ボタン22は、SWシナリオに基づいて、SW有効期間において点灯されるものである。この枠ボタン22が点灯されることにより、遊技者にSWが押下可能な期間であることを認識させることができる。
次いで、図68(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図68(b)に示すように、音声ランプ制御装置113のRAM223には、入賞情報格納エリア223a、特別図柄保留球数カウンタ223bと、変動開始フラグ223c、停止種別選択フラグ223d、大当たり有効フラグ223e、第1入球フラグ223f、第2入球フラグ223g、残カウンタ223h、計測カウンタ223i、演出カウンタ223j、開閉パターン格納エリア223k、ラウンド中フラグ223m、出口タイミングカウンタ223n、SWシナリオ設定エリア223o、連続背景フラグ223p、背景フラグ223q、電源断処理中フラグ223x、電源断フラグ223y、その他メモリエリア223zとが少なくとも設けられている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。この入賞情報格納エリア223aに格納される情報により、保留球の抽選結果等が変動開始前に音声ランプ制御装置113により判別できる。
特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。即ち、第1特別図柄に対応する保留球の数が、主制御装置110より出力される保留球数コマンドに基づいて設定される。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入賞口64または第2入賞口640への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(図90のS1408参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
変動開始フラグ223cは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合にオンされ(図91のS1603参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図97のS2102参照)。変動開始フラグ223cがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図89参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223dは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図90のS1405参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図97のS2108参照)。停止種別選択フラグ223dがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に基づいて、停止種別がそのまま設定される。
大当たり有効フラグ223eは、大当たり遊技の1ラウンド目が開始され、大当たり演出が有効となる場合にオンされ(図94のS1808参照)、大当たり遊技が終了してから5秒経過後にオフされるものである(図94のS1819参照)。この大当たり有効フラグ223eがオンにされることにより、大当たり中演出処理(図98)において、特定入賞装置650内に配設された各種センサの検出結果に基づく大当たり演出(図57から図59参照)が実行されることとなる。
第1入球フラグ223fは、主制御装置110より第1入球コマンドを受信した場合にオンにされ(図95のS1903参照)、大当たり中演出処理において第1入球コマンドの受信に基づく処理を実行した場合にオフされる(図98の2211参照)。第1入球コマンドは、第1入球センサ650aにより第1特定入賞口650aへ遊技球が入球した場合に送信されるコマンドである。この第1入球フラグ223fがオンされることにより、主制御装置110の第1入球センサ650aによる遊技球の検出結果に基づいて、音声ランプ制御装置113より表示用捕獲コマンドを表示制御装置114へ送信することができる。表示制御装置114は、表示用捕獲コマンドを受信すると、第3図柄表示装置に捕獲演出(図58(a)参照)を表示する処理を実行する。
第2入球フラグ223gは、主制御装置110より第2入球コマンドを受信した場合にオンされ(図95のS1905参照)、大当たり中演出処理において第2入球コマンドの受信に基づく処理を実行した場合にオフされる(図98のS2214参照)。第2入球コマンドは、第2入球センサ650bにより第2特定入賞口650bへ遊技球が入球した場合に送信されるコマンドである。この第2入球フラグ223gがオンされることにより、主制御装置110の第2入球センサ650bによる遊技球の検出結果に基づいて、音声ランプ制御装置113より表示用再捕獲コマンドを表示制御装置114へ送信することができる。表示制御装置114は、表示用再捕獲コマンドを受信すると、第3図柄表示装置に再捕獲演出(図58(b)参照)を表示する処理を実行する。
残カウンタ223hは、大当たり演出におけるエンディング演出が実行されてからの経過時間を計測するためのカウンタであり、エンディング演出が実行された後、大当たりコマンド処理が実行される毎に1加算されるものである(図94のS1816参照)。また、大当たりコマンド処理において残カウンタが5秒以上の値となった場合に、リセットされる(図94のS1818参照)。
計測カウンタ223iは、主制御装置110により開閉される特定入賞装置650の入球規制板654の開閉タイミングを計測するためのカウンタであり、上述した大当たり有効フラグ223eがオンである場合、即ち、大当たり遊技が実行されている場合に、大当たり中演出処理が実行される毎に1加算される(図98のS2202参照)。また、上述した大当たり有効フラグ223eがオフされる場合に、共にリセットにされる(図94のS1817参照)。この計測カウンタ223iは、入口通過処理(図99)において、開閉パターン格納エリアの情報と共に参照され、特定入賞装置650へ遊技球が入球したタイミングがどのタイミングであるかを判別するのに利用される(図99のS2303参照)。
演出カウンタ223jは、役物連動演出や、背景抽選など、各種抽選に使用されるカウンタであり、0〜399の範囲で繰り返し更新される。この演出カウンタ223jは、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するメイン処理(図89参照)が実行される毎に、S1315の処理によって1ずつ更新される。
開閉パターン格納エリア223kは、主制御装置110よりオープニングコマンドを受信した場合に、大当たり種別に対応する開閉パターン記憶エリア222cの情報が格納されるものである(図94のS1802)。この開閉パターン格納エリア223kは、上述したように、入口通過処理において計測カウンタ223iと共に参照され、特定入賞装置650へ遊技球が入球したタイミングがどのタイミングであるかを判別するのに利用される(図99のS2303参照)。なお、本制御例では、大当たりが開始されるタイミングであるオープニングコマンドを受信した場合に、開閉パターン記憶エリアを、クリアを兼ねて更新するようにしたが、大当たり有効フラグ223eがオフされる場合などに、クリアするようにしてもよい。
ラウンド中フラグ223mは、大当たり遊技のラウンド中(特定入賞装置650の入球規制板654の開放中)であるか否かを示すフラグである。このラウンド中フラグ223mは、主制御装置110よりラウンド開始コマンドを受信した場合にオンに設定され(図94のS1806)、主制御装置110よりラウンド終了コマンドを受信した場合にオフに設定される(図94のS1810)。
出口タイミングカウンタ223nは、大当たり遊技のラウンド中に特定入賞装置650へ入球するタイミングが、出口通過タイミングであった遊技球の数をカウントするものである。この出口タイミングカウンタ223nは、特定入賞装置650への入球を検知した場合に実行される入口通過処理において、通過タイミングが出口タイミングであると判別された場合に1加算されるものである(図99のS2305)。また、入口通過処理において、大当たり遊技が終了し、上述した大当たり有効フラグ223eがオフされる場合に、共にリセットされるものである(図94のS1817)。
この出口タイミングカウンタは、入口通過処理において参照され、第2特定入賞口650bに入球し易い開閉パターンAの大当たり遊技のラウンド中に、出口タイミングカウンタが所定数以上となった場合(即ち、第2特定入賞口650bへ入球せず、出口部652cを通過する遊技球が所定数より多い場合)に、表示用タイミング報知コマンドが表示制御装置114に対して送信される(図99のS2307)。表示制御装置114は表示用タイミング報知コマンドを受信すると、遊技者の発射タイミングを変更させるための演出表示を実行する。これにより、第2特定入賞口650bに入球し易い開閉パターンAであるにも関わらず、第2特定入賞口650bへ入球し難いタイミングで遊技球を発射している遊技者に対して、その発射タイミングを変更させることができるので、遊技者にとって不利となることを抑制できる。
連続背景フラグ223pは、主制御装置110より大当たりの始動入賞に基づく入賞コマンドを受信した場合に、当該始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでに、上述した大当たり期待度を示唆する背景レベルのレベルを連続して変更(上昇)させるためのフラグである。この連続背景フラグ223pは、入賞コマンド受信処理において、大当たりのコマンドを受信したと判別した場合に、演出カウンタが「0〜49」である場合にオンに設定される(図93のS1708参照)。この連続背景フラグ223pがオンに設定される場合には、保留球に対してそれぞれ背景変更データが設定されている(図93のS1707参照)。よって、その後に実行される背景変更抽選処理では、連続背景フラグ223pを参照し、オンである場合には背景変更の処理をスキップするようにしている(図92のS1601参照)。なお、この連続背景フラグ223pは、大当たり遊技の開始時に自動的にオフされるフラグである。
また、本実施形態では、入賞コマンドを受信した場合にその結果が大当たりである場合に連続的に背景の期待度を上昇させる演出を行うように構成したが、それに限らず、外れである場合に実行するように構成してもよい。この場合には、外れリーチや外れスーパーリーチとなる場合に連続的に背景変更することで、より大当たりへの期待度を当該変動が開始された場合にも維持させることができる。
背景フラグ223qは、背景変更抽選処理(図92)や、変動表示設定処理(図97)において、背景が変更された場合に、設定された背景レベルを格納しておくものである。この背景フラグ223qは、背景変更抽選処理において参照され、現在の背景レベルに応じた処理が実行される(図92のS1604参照)。
電源断処理中フラグ223xは、主制御装置110が電源断を検知すると音声ランプ制御装置113へ電源断コマンドが送られ、音声ランプ制御装置113がその電源断コマンドを受信すると、電源断フラグ223yがオンに設定され、電源断処理が実行される(図89のS1318)。そして、電源断処理が終了すると、電源断処理中フラグ223xがオフに設定される(図89のS1320)。この電源断処理中フラグ223xは、立ち上げ処理で参照され(図88のS1202参照)、オンである場合は、電源断処理の実行中で電源断となった(即ち、RAM破壊されている)と判断し、RAM破壊のチェックをすることなく、RAM破壊された場合の処理を実行する。
電源断フラグ223yは、主制御装置110が電源断を検知すると音声ランプ制御装置113へ電源断コマンドが送られ、音声ランプ制御装置113がその電源断コマンドを受信すると、電源断フラグ223yがオンに設定され、電源断処理が実行される(図89のS1318)。そして、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理(図88)において、電源断フラグ223yがオンの場合に、RAMの作業領域がクリアされ、電源断フラグ223yがオフに設定される(図88のS1210)。
その他メモリエリア223zは、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図90参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
ここで、図69(a)を参照して、役物連動演出テーブル222bの詳細について説明する。図69(a)は、役物連動演出テーブル222bの内容を模式的に示した模式図である。
この役物連動演出テーブル222bは、変動パターン種別と演出カウンタの値とにより選択される演出を規定したものである。具体的には、変動パターンの種別が「ノーマルリーチ」である場合において、演出カウンタが「0〜199」であればSW演出A1が選択され、演出カウンタが「200〜349」であればSW演出A2が選択され、演出カウンタが「350〜399」であればSW演出A3が選択されるものである。また、変動パターンの種別が「スーパーリーチ」である場合において、演出カウンタが「0〜199」であればSW演出B1が選択され、演出カウンタが「200〜349」であればSW演出B2が選択され、演出カウンタが「350〜399」であればSW演出B3が選択されるものである。さらに、変動パターンの種別が「スペシャルリーチ」である場合において、演出カウンタが「0〜199」であればSW演出C1が選択され、演出カウンタが「200〜349」であればSW演出C2が選択され、演出カウンタが「350〜399」であればSW演出C3が選択されるものである。
ここで、各変動パターン種別は、上述したように、異なる変動時間が設定されているものである。本制御例では、変動パターン種別に応じて、選択されるSW演出を変更するように構成している。これにより、変動パターンに応じて、適切な演出時間のSW演出を選択することができる。
次に、図69(b)を参照して、背景抽選テーブル222dの詳細について説明する。図69(b)は、背景抽選テーブル222dの内容を模式的に示した模式図である。
背景抽選テーブル222dは、現在の背景レベルと演出カウンタ223jとに基づいて、移行先の背景レベルを規定したものであり、当否判定結果が当たりと外れの場合で異なるように規定されている。
具体的には、まず、当否判定結果が当たりの場合について説明する。当否判定結果が当たりであり、現在の背景レベルが「レベル1」である場合において、演出カウンタ223jの値が、「0〜199」であれば移行先の背景レベルが「レベル2」となり、「200」であれば移行先の背景レベルが「レベル4」となり、「201〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。また、現在の背景レベルが「レベル2」の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜19」であれば移行先の背景レベルが「レベル1」となり、「20〜159」であれば移行先の背景レベルが「レベル3」となり、「200」であれば移行先の背景レベルが「レベル4」となり、「201〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。さらに、現在の背景レベルが「レベル3」である場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜29」であれば移行先の背景レベルが「レベル2」となり、「30〜139」であれば移行先の背景レベルが「レベル4」となり、「140〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。また、現在の背景レベルが「レベル4」である場合は、演出カウンタ223jの値が「0〜39」であれば移行先の背景レベルが「レベル3」となり、「40〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。
次いで、当否判定結果が外れの場合について説明する。当否判定結果が外れであり、現在の背景レベルが「レベル1」である場合において、演出カウンタ223jの値が、「0〜149」であれば移行先の背景レベルが「レベル2」となり、「150〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。また、現在の背景レベルが「レベル2」の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜49」であれば移行先の背景レベルが「レベル1」となり、「50〜99」であれば移行先の背景レベルが「レベル3」となり、「100〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。さらに、現在の背景レベルが「レベル3」である場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜79」であれば移行先の背景レベルが「レベル2」となり、「80〜99」であれば移行先の背景レベルが「レベル4」となり、「100〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。また、現在の背景レベルが「レベル4」である場合は、演出カウンタ223jの値が「0〜299」であれば移行先の背景レベルが「レベル3」となり、「300〜399」であれば背景レベルが変更されないように規定されている。
このように、当否判定結果が当たりである場合は、背景レベルが上がりやすく下がりにくくなるように規定され、当否判定結果が外れである場合は、背景レベルが上がりにくく下がりやすいように規定されている。これにより、当否判定結果が外れであるにも関わらず、大当たりとなる期待度を示す背景レベルが頻繁に高くなってしまうことを抑制できる。
次に、図70を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図70は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本制御例において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本制御例では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本制御例において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図101のS2401参照)の終了後に実行される初期化処理(図100のS2402参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図76参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本制御例では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図102(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、第3図柄エリア235d、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235f、が設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235bが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入賞口64または第2入賞口640への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図100のS2403,S2404参照)。
ここで、図72を参照して、電源投入時変動画像について説明する。図72は、表示制御装置114が電源投入直後において、常駐用ビデオRAM235に対して格納すべき画像データをキャラクタROM234から転送している間に、第3図柄表示装置81にて表示される電源投入時画像を説明する説明図である。
表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、図72(a)に示す電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、図72(b)に示すように、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、図72(c)に示すように、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は図72(b)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合は図72(c)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、図72(b)及び(c)に示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図70に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。ここで、図73を参照して、背面画像と、その背面画像のうち、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。図73は、背面画像と、各背面画像に対して常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲を説明する説明図であり、図73(a)は、「街中ステージ」に対応する背面Aに対して、図73(b)は、「空ステージ」に対応する背面Bに対してそれぞれ示したものである。
各背面A,Bのうち、背面A及びBに対応する背面画像は、図73に示すように、いずれも第3図柄表示装置81において表示される表示領域よりも水平方向に長い画像が、キャラクタROM234に用意されている。画像コントローラ237は、その画像を水平方向に左から右へスクロールさせながら背面画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像の描画をおこなう。
各背面A及びBに用意された画像(以下、「スクロール用画像」と称す。)は、いずれも位置aおよび位置cのところで背面画像が連続するように画像が構成されている。そして、位置cから位置dの間の画像および位置aから位置a’の間の画像は、表示領域の水平方向の幅分の画像によって構成されており、位置cから位置dの間にある画像が表示領域として第3図柄表示装置81に表示された後に、位置aから位置a’の間にある画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示させると、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
遊技者によって枠ボタン22が操作されてステージが「街中ステージ」または「空ステージ」に変更されると、MPU231は、対応する背面画像のまず位置aから位置a’の間を表示領域の初期位置として設定し、その初期位置の画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像コントローラ237を制御する。そして、時間の経過とともに、表示領域をスクロール用画像に対して左から右に移動させ、順次その表示領域が第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御し、更に、表示領域が位置cから位置dの間の画像に到達した場合、再び表示領域を位置aから位置a’の画像として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。よって、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像を、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
次いで、各背面画像において、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。初期ステージである街中ステージに対応する背面Aは、図73(a)に示すように、その背面Aの全範囲、即ち、位置aから位置dに対応する画像データが全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。通常、初期ステージである街中ステージを表示させたまま、ステージを変更せずに遊技が行われる場合が多いので、多頻度で表示される街中ステージに対応する背面Aの画像データを全て背面画像エリア235cに常駐させておくことで、キャラクタROM234へのデータアクセス回数を減らすことができ、表示制御装置114にかかる負荷を軽減することができる。
一方、空ステージに対応する背面Bは、図73(b)に示すように、その背面の一部領域、即ち、位置aから位置bの間の画像に対応する画像データだけを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納する。
ここで、ステージを変更するために遊技者による行われる枠ボタン22の操作は、遊技者の意思に基づき任意のタイミングで行われるものであるので、任意のタイミングで枠ボタン22が操作されても即座に背面画像を変更するためには、全ての背面画像について全範囲の画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておくことが理想的であるが、そのようにすると常駐用ビデオRAM235として非常に大きな容量のRAMを用いなければならず、コストの増大につながるおそれがある。
これに対し、本パチンコ機10では、ステージが変更された場合に最初に表示される背面画像の初期位置を、位置aから位置a’の範囲に固定し、その初期位置を含む位置aから位置bの間の画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納しておくので、キャラクタROM234を読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者による枠ボタン22の操作によって任意のタイミングでステージが変更された場合に、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されている画像データを用いることによって、即座にその背面Bの初期位置を第3図柄表示装置81に表示させることができ、また、時間経過とともにスクロール表示または色調を変化させながら表示させることができる。また、背面Bについては、一部範囲の画像に対応する画像データだけを格納するので、常駐用ビデオRAM235の記憶容量の増大を抑制でき、コストの増大を抑えることができる。
また、背面Bは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて位置aから位置bの範囲を左から右に向けてスクロールさせている間に、位置b’から位置dの画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送完了できるように、その位置aから位置bの範囲が設定されている。これにより、位置aから位置bの範囲をスクロールさせる間に位置b’から位置dの画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置aから位置bの範囲をスクロールさせた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、位置b’から位置dの範囲をスクロールさせて第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、背面Bにおいて、通常用ビデオRAM236に格納される画像データは、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236a(図70参照)に設けられた背面画像専用のサブエリアに格納される。これにより、背面画像専用のサブエリアに格納された背面画像データが、他の画像データによって上書きされることがないので、背面画像を確実に表示させることができる。
また、背面Bにおいて、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される画像データと、通常用ビデオRAM236に格納される画像データとでは、位置b’から位置bの間の画像に対応する画像データが重複して格納される。そして、MPU231による画像コントローラ237の制御により、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置bまでの画像を第3図柄表示装置81に表示させ、次いで、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて位置b’からの画像を第3図柄表示装置81に表示させることで、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
更に、MPU231は、通常用ビデオRAM236の画像データを用いて、位置cから位置dの間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御すると、次いで、MPU231は、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cの画像データを用いて、位置aから位置a’の間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。これにより、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像が、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
図70に戻って、説明を続ける。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄(図53参照)に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入賞口64または第2入賞口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
次に、図71を参照して、表示制御装置114に設けられたワークRAM233について説明する。ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233j、描画対象バッファフラグ233k、登場演出中フラグ223m、登場中カウンタ223n、逃走中カウンタ223p、捕獲カウンタ233r、再捕獲カウンタ223s、その他記憶エリア223zを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア434に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている特定入賞装置650の入球規制板654が繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知すると共に、大当たり終了後に遊技者に付与される遊技価値(普通図柄の時短期間)を遊技者に報知する、または、保留されている特別図柄の抽選において抽選結果が大当たりとなることを遊技者に報知するための演出である。
エンディング演出において普通図柄の時短期間を報知することによって、遊技者は、普通図柄の時短期間を容易に認識することができる。この普通図柄の時短期間が長ければ長い程、球がスルーゲート67を通過する機会が多くなるので、普通図柄の抽選が行われる機会が多くなり、普通図柄の当たりになる機会も多くなる。よって、普通図柄の大当たりとなって電動役物が開放される機会も多くなるので、球が第2入賞口640へ入球し易くなり、特別図柄の抽選が行われ易くなる。従って、表示される普通図柄の時短期間が長いほど、特別図柄の大当たりになるという期待感を強く、遊技者に対して持たせることができるので、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができる。故に、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
また、第1入賞口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口であるので、普通図柄の大当たりとなって電動役物が開放され、球が第1入賞口64へ入り易くなると賞球が多くなる。これにより、パチンコ機10は、遊技を行っても、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態になるので、遊技者は、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態で特別図柄の大当たりを得られるという期間感を得ることができる。従って、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
また、エンディング演出において、保留されている特別図柄の抽選のうち何れかの抽選結果が特別図柄の大当たりになることを報知することによって、遊技者は、保留されている特別図柄の抽選において特別図柄の大当たりになることを認識できるので、確実に特別図柄の大当たりになるという期待感を、遊技者に対して持たせることができる。よって、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
尚、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図74を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図74は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本制御例では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されているステージ(「街中ステージ」、「空ステージ」のいずれか)に対応する背面A,Bのいずれかを表示させるか、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、背面A,Bのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A,Bのうち遊技者によって指定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
尚、本制御例では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図14の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図76参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図75を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図75は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図75のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図75のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図75の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図76参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図75の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図72(a)〜(c)に示す電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図100参照)の中でオンに設定される(図100のS2405参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図120(b)のS4905参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図36()のS2101参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図102(b)のS2708参照)および簡易表示設定処理(図102(b)のS2709参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図103〜図116参照)および表示設定処理(図117〜図119参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図102(b)の2705参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図120(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図121参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図76参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図76参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図76参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図102(b)のS2703参照)の中で、ポインタ更新処理(図117のS4505参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図76参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置341の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図76を参照して、描画リストの詳細について説明する。図76は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図76に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233kで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本制御例では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図102(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図117のS4507参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233jは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233jは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図100のS2402参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233jは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233jの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図121参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233jを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図121のS5013参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図121のS5014参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233kは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図122のS5102参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233kは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233kの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図102(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われる(図122のS5102参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
図71に戻り、説明を続ける。登場演出中フラグ233mは、大当たり遊技中において、上述した登場演出(図57(a),(b)参照)が表示されているか否かを示すフラグである。この登場演出中フラグ233mは、音声ランプ制御装置113より表示用登場コマンドを受信した場合に、登場演出処理においてオンに設定され(図109のS3607)、逃走演出処理(図110)または捕獲演出処理(図112)においてオフに設定される。
登場中カウンタ233nは、上述した登場演出と登場演出の保留数(図57(a),(b)参照)を示すカウンタである。この登場中カウンタ233nは、音声ランプ制御装置113より表示用登場コマンドを受信した場合に1加算され(図109のS3608)、逃走演出処理(図110)または捕獲演出処理(図112)において1減算される。
逃走中カウンタ233nは、上述した逃走演出と逃走演出の保留数(図57(b)、図58(a),(b)参照)を示すカウンタである。この逃走中カウンタ233pは、音声ランプ制御装置113より表示用逃走コマンドを受信した場合に1加算され(図110のS3705またはS3707)、失敗演出処理(図111)または再捕獲演出処理(図113)において1減算される。
捕獲カウンタ233rは、上述した捕獲演出(図58(a)、図59(b)参照)が実行された回数、即ち、第1特定入賞口650aへ入球した遊技球の数をカウントするためのカウンタである。この捕獲カウンタ223rは、音声ランプ制御装置113より表示用捕獲コマンドを受信した場合に1加算されるものであり(図112のS3901参照)、大当たり遊技の終了時にリセットされる。
再捕獲カウンタ233sは、上述した再捕獲演出(図58(b)参照)が実行された回数、即ち、第2特定入賞口650bへ入球した遊技球の数をカウントするためのカウンタである。この再捕獲カウンタ233sは、音声ランプ制御装置113より表示用再捕獲コマンドを受信した場合に1加算されるものであり(図113のS4002)、大当たり遊技の終了時にリセットされる。
その他記憶エリア233zは、その他、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。表示制御装置113のコマンド判定処理(図103参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
<第1制御例における主制御装置の制御処理について>
次に、図77から図87のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本制御例では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図77は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
なお図示は省略したが、S101の処理において、特定入賞装置650における第1特定入賞口650aへの入球を第1入球センサ652aにより検知した場合には、第1入球コマンドが設定され、第2特定入賞口650bへの入球を第2入球センサ652bにより検知した場合には、第2入球コマンドが設定される。ここで設定される第1入球コマンドおよび第2入球コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では399)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本制御例ではそれぞれ、399,99,99,239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37において表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行し(S104)、次いで、第1入賞口64への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、及び、始動入賞処理の詳細は、図78〜図81を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置83において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、スルーゲート67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図82および図83を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図78を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図78は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図77参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S203)。次に、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0よりも大きいか否かを判別し(S204)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0であれば(S204:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S206の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、第1図柄表示装置37において変動表示を開始するための特別図柄変動開始処理を実行する(S208)。なお、特別図柄変動開始処理については、図79を参照して後述する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S209)。第1図柄表示装置37において実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S209:No)、本処理を終了する。
一方、S209の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S209:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S210)。停止図柄の設定は、図79を参照して後述する特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるかが決定される。
尚、本制御例では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S210の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S211)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S211:Yes)、大当たり種別に基づいて大当たりデータを設定する(S212)。
そして、特別図柄の大当たりの開始を設定し(S213)、S216の処理へ移行する。S217の処理によって、特別図柄の大当たりの開始が設定されると、メイン処理(図86参照)の大当たり制御処理(S1004)において、大当たりが開始されたと判別されることとなる(S1101:Yes)。これにより、S1103の処理によりオープニングコマンドが設定され、大当たりの開始を報知するオープニング演出が実行される。大当たり遊技が開始された後は、大当たり遊技が終了するまで、S1104の処理において大当たり中であると判別されるようになる(S1104:Yes)。その後、大当たり遊技が終了するタイミングとなると、S1111の処理においてエンディング演出の開始タイミングであると判別され、エンディングコマンドが設定されると共に、大当たり種別に応じて、確変フラグがオンされるか(S1114)、時短中カウンタが設定されることとなる(S1115)。
S211の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S211:No)、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S214)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S214:Yes)、時短中カウンタ203fの値を1減算して(S215)、S216の処理へ移行する。一方、時短中カウンタ203fの値が0であれば(S214:No)、S215の処理をスキップして、S216の処理へ移行する。
S213、S214またはS215の処理を終えると、停止コマンドを設定し(S216)、本処理を終了する。ここで設定された停止コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、停止コマンドを受信すると、実行中の変動表示を、停止種別コマンドにより受信した停止種別で停止させる処理を実行する。
次に、図79を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図79は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図77参照)の特別図柄変動処理(図78参照)の中で実行される処理であり、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理では、まず、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び、停止種別選択カウンタC3の各値を取得する(S301)。
次に、RAM203の確変フラグ203eがオンであるか否かを判定する(S302)。確変フラグ203eがオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であることを示し、確変フラグ203eの値がオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であることを示す。
確変中フラグ203eの値がオンである場合は(S302:Yes)、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であるので、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S303)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0〜9」の10個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
一方、S302の処理において、確変フラグ203eがオフである場合は(S302:No)、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であるので、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S304)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と1つ1つ比較する。特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0」の1個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
そして、S303またはS304の処理によって取得した特別図柄の抽選結果が、特別図柄の大当たりであるかを判定し(S305)、特別図柄の大当たりであると判定された場合には(S305:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいて、大当たり時の表示態様を設定する(S306)。より具体的には、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、特別図柄大当たり種別テーブルに格納されている乱数値とを比較し、3種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別が何であるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜49」の範囲にあれば、大当たりA(16R確変大当たり)であると判定し、「50〜99」の範囲にあれば、大当たりB(16R時短大当たり)であると判定する(図66(b)参照)。
このS306の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)が停止種別として設定される。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S307)。S307の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係は、テーブル等により予め規定されている。
例えば、外れ用の変動パターンとしては、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。
S305の処理において、特別図柄の外れであると判定された場合には(S305:No)、外れ時の表示態様を設定する(S308)。S308の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別として、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。
ここでは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であれば、S301の処理で取得した停止種別選択カウンタC3の値と、高確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「90〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。一方、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であれば、停止種別選択カウンタC3の値と、低確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。
次に、外れ時の変動パターンを決定する(S309)。ここでは、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S307の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。
S307の処理またはS309の処理が終わると、次に、S307の処理またはS309の処理で決定した変動パターンを表示制御装置114へ通知するための変動パターンコマンドを設定する(S310)。次いで、S306又はS308の処理で設定された停止種別を表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定する(S311)。これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図86)のS1001の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、停止種別コマンドをそのまま表示制御装置114へ送信する。S311の処理が終わると、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、説明の便宜上、まず始動入賞情報処理(S105)を説明し、その後、先読み処理(S407)を説明する。まず、図80のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図80は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図77参照)の中で実行され、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタが示す値の保留処理と、その保留された各種乱数カウンタが示す値から、特別図柄における抽選結果の先読みを実行するための処理である。
始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S401)。ここでは、第1入賞口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入賞口64又は第2入賞口640に入賞したと判別されると(S401:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S402)。そして、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が上限値(本制御例では4)未満であるか否かを判定する(S403)。
そして、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞がないか(S401:No)、或いは、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞があっても特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満でなければ(S403:No)、S407の処理へ移行する。一方、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞があり(S401:Yes)、且つ、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満であれば(S403:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1加算する(S404)。そして、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S405)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S405の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S406)。尚、S406の処理では、特別図柄保留球カウンタ203cの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。次いで、後述するS407の先読み処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図81を参照して、先読み処理(S407)の詳細について説明する。図81は先読み処理(S407)を示すフローチャートである。この先読み処理(S407)は、上述した始動入賞処理(図80参照)の中で実行され、始動入賞に基づいて取得された各種乱数カウンタが示す値から、特別図柄における抽選結果の先読みを実行するための処理である。
先読み処理(S407)では、まず、第1入賞口64又は第2入賞口640への新たな入賞があるか否かを判別する(S501)。S501の処理において、新たな入賞がないと判別された場合は(S501:No)、先読み処理を実行する必要がないため、そのまま本処理を終了する。一方、S501の処理において、新たな入賞があると判別された場合は(S501:Yes)、その入賞に基づく変動が開始される時点での遊技状態が確変遊技状態であるか否かを判別する(S502)。
S502の処理において、変動開始時点での遊技状態が確変であると判別された場合は(S502:Yes)、上述した始動入賞処理(図80参照)において取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の第1当たり乱数テーブル(図66(a)参照)とに基づいて、抽選結果を取得する。
一方、S502の処理において、変動開始時点での遊技状態が確変でないと判別された場合は(S502:No)、上述した始動入賞処理(図80参照)において取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の第1当たり乱数テーブル(図66(a)参照)とに基づいて、抽選結果を取得する。
S503またはS504の処理における、抽選結果の取得方法は、上述した特別図柄変動開始処理(図79参照)のS303またはS304の処理と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
S503またはS504の処理を終えると、抽選結果に基づいて入賞情報コマンドを設定し(S505)、本処理を終了する。ここで設定された入賞情報コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、この入賞情報コマンドを受信することにより、保留球についての抽選結果を、変動開始前に判別することができる。これにより、後述する背景連動演出など好適に実行することができる。なお、ここで設定される入賞情報コマンドには、抽選結果の他に変動パターンなどの情報を含むものとしてもよい。これにより、音声ランプ制御装置113において、保留球に基づく変動時間や変動演出を変動開始前に判別することができる。
次に、図82を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図82は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図77参照)の中で実行され、第2図柄表示装置83において行う第2図柄の変動表示や、第2入賞口640に付随する電動役物の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S601)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされている最中と、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S601:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S601:No)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S602)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中でなければ(S602:No)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S603)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S604)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0であれば(S604:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0でなければ(S604:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1減算する(S605)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S606)。S606の処理では、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203bの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S607)。
次に、RAM203の時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定する(S608)。尚、時短中カウンタ203fは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203fの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。
時短中カウンタ203fの値が1以上である場合は(S608:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S609)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S609:Yes)、S611の処理に移行する。本制御例では、特別図柄の大当たり中は、普通図柄の抽選が当たりとなりにくくなるように構成されている。これは、特別図柄の大当たり中(即ち、特別遊技状態中)は、遊技者は特定入賞装置650に入賞させようとして球を打つ。しかし、第2入賞口640に付随する電動役物が開放されると、特定入賞装置650に入賞させようとした球が、第2入賞口640に入ることとなる。よって、第2入賞口640に付随する電動役物が開放されることを抑制し、特定入賞装置650に入賞させやすい状態とするためである。尚、特定入賞装置650は、第2入賞口640の直ぐ下に設けられているので、特別図柄の大当たり中に第2入賞口640に球が入ることを抑制していても、第2入賞口640には球が多く入球する。その結果、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、第2入賞口640についての保留球数は最大(4回)になる。
S609の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S609:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルと基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S610)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図66(c)参照)。
S608の処理において、時短中カウンタ203fの値が0である場合は(S608:No)、S611の処理へ移行する。S611の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S611)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,29〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図66(c)参照)。
次に、S610またはS611の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S612)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S612:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S613)。このS613の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S614)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S614:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S615)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S615:Yes)、S617の処理に移行する。本制御例では、特別図柄の大当たり中は、球が第2入賞口640に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物の開放回数および開放時間が設定される。
S615の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S615:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物の開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S616)、S619の処理へ移行する。S614の処理において、時短中カウンタ203fの値が0である場合は(S614:No)、S617の処理へ移行する。S617の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物の開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S617)、S619の処理へ移行する。
S612の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S612:No)、外れ時の表示態様を設定する(S618)。このS618の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S619の処理へ移行する。
S619の処理では、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S619)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S619:Yes)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S620)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203fの値が0であれば(S619:No)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S621)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、電動役物の開放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第2入賞口640へ球が入球し易い状態となる。
S602の処理において、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であれば(S602:Yes)、第2図柄表示装置83において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S622)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置83において変動表示が開始される前に、S620の処理またはS621の処理によって予め設定された時間である。
S622の処理において、変動時間が経過していなければ(S622:No)、本処理を終了する。一方、S622の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S622:Yes)、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S623)。S623の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S613の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S618の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S623の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図86参照)の第2図柄表示更新処理(S1007参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S613の処理またはS618の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置83において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S624)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S624:Yes)、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御開始を設定し(S625)、本処理を終了する。S625の処理によって、電動役物の開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図86参照)の電動役物開閉処理(S1005参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S624の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S624:No)、S625の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図83のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図83は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図77参照)の中で実行され、スルーゲート67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理では、まず、球がスルーゲート67を通過したか否かを判定する(S701)。ここでは、スルーゲート67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球がスルーゲート67を通過したと判定されると(S701:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S702)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が上限値(本制御例では4)未満であるか否かを判定する(S703)。
球がスルーゲート67を通過していないか(S701:No)、或いは、球がスルーゲート67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満でなければ(S703:No)、本処理を終了する。一方、球がスルーゲート67を通過し(S701:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満であれば(S703:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1加算する(S704)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S705)、本処理を終了する。尚、S705の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図84は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S801)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図85を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図85は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本制御例では1秒)を実行する(S902)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S903)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S904)、オンされていれば(S904:Yes)、処理をS912へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S904:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S905)、記憶されていなければ(S905:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS912へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S905:Yes)、RAM判定値を算出し(S906)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S907:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS912へ移行する。なお、図86のS1014の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S912の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S912)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S913,S914)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。RAMの初期化処理(S913,S914)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S913)、その後、RAM203の初期値を設定する(S914)。RAM203の初期化処理の実行後は、S910の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S904:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S905:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S907:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S908)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S909)、S910の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S910の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。次いで、割込みを許可して(S911)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図86を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図86は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1001〜S1007の各処理が実行され、その残余時間でS1010,S1011のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図77参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1001)。具体的には、タイマ割込処理(図77参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図78参照)や始動入賞処理(図80参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、始動入賞処理で設定された入賞情報コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図87参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1002)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1003)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可変入賞装置65の特定入賞装置650の入球規制板654を開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1004)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞装置650の入球規制板654を開放し、特定入賞装置650の入球規制板654の最大開放時間が経過したか、第1特定入賞口650aまたは第2特定入賞口650bに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞装置650の入球規制板654を閉鎖する。この特定入賞装置650の入球規制板654の開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本制御例では、大当たり制御処理(S1004)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次に、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1005)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図82参照)のS625の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37の表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1006)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図79参照)のS307の処理またはS309の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37において開始する。本制御例では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図79参照)のS307の処理またはS309の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37において実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図79参照)のS306の処理またはS308の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37に停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置83の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1007)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図82参照)のS620の処理またはS621の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置83において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置83では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図82参照)のS623の処理によって第2図柄表示装置83の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置83において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図82参照)のS613の処理またはS618の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1008)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1008:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本制御例では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1009)、既に所定時間が経過していれば(S1009:Yes)、処理をS1001へ移行し、上述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1009:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1010,S1011)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1010)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1002の処理と同一の方法によって実行する(S1011)。
ここで、S1001〜S1007の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1008の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1008:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図84のNMI割込処理が実行されたということなので、S1012以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1012)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1013)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1014)、RAM203のアクセスを禁止して(S1015)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1008の処理は、S1001〜S1007で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1010とS1011の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1001の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1001の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S901)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1001の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図87のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1004)を説明する。図87は、この大当たり制御処理(S1004)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1004)は、メイン割込処理(図86参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞装置650の入球規制板654を開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるかを判定する(S1101)。具体的には、特別図柄変動処理(図78参照)のS208の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始されると判定する。S1101の処理において、特別図柄の大当たりが開始される場合には(S1101:Yes)、確変フラグ203eをオフし(S1102)、オープニングコマンドを設定して(S1103)、本処理を終了する。
ここで設定されたオープニングコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、オープニングコマンドを受信すると、表示用オープニングコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用オープニングコマンドが受信されると、第3図柄表示装置81においてオープニング演出が開始される。
一方、S1101の処理において、特別図柄の大当たりが開始されない場合には(S1101:No)、特別図柄の大当たり中であるかを判定する(S1104)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1104の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1104:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1104の処理において、特別図柄の大当たり中であれば(1104:Yes)、新たなラウンドの開始タイミングであるかを判定する(S1105)。新たなラウンドの開始タイミングであれば(S1105:Yes)、特定入賞装置650の入球規制板654を開放し(S1106)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する(S1107)。ラウンド数コマンドを設定した後は、本処理を終了する。ここで設定されたラウンド数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、ラウンド数コマンドを受信すると、そのラウンド数コマンドからラウンド数を抽出する。そして、抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用ラウンド数コマンドが受信されると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出が開始される。
一方、S1105の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでなければ(S1105:No)、特定入賞装置650の入球規制板654の閉鎖条件が成立したかを判定する(S1108)。具体的には、特定入賞装置650の入球規制板654を開放した後に所定時間(例えば、30秒)が経過した場合、または、第1特定入賞口650aと第2特定入賞口650bとに球が所定数(例えば、合計10個)入賞した場合に、閉鎖条件が成立したと判定する。
S1108の処理において、特定入賞装置650の入球規制板654の閉鎖条件が成立した場合には(S1108:Yes)、特定入賞装置650の入球規制板654を閉鎖して(S1109)、ラウンド終了コマンドを設定して(S1110)、本処理を終了する。一方、特定入賞装置650の入球規制板654の閉鎖条件が成立していない場合には(S1108:No)、エンディング演出の開始タイミングであるかを判定する(S1111)。具体的には、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる特別遊技状態(16ラウンド全て)が終了した場合に、エンディング演出の開始タイミングであると判定する。
S1111の処理において、エンディング演出の開始タイミングである場合には(S1111:Yes)、エンディングコマンドを設定し(S1112)、実行されていた特別遊技が大当たりAであったか否かを判別する(S1113)。S1113の処理において、大当たりA(16R確変大当たり)であったと判別された場合は(S1113:Yes)、確変フラグ203eをオンに設定して(S1114)、本処理を終了する。一方、S1113の処理において、大当たりB(16R時短大当たり)であったと判別された場合は(S1113:No)、時短中カウンタ203fに100を設定して(S1115)、本処理を終了する。
ここで設定されたエンディングコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図86参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、エンディングコマンドを受信すると、RAM223の入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報に基づいて、エンディング演出の表示態様を選択する。そして、選択したエンディング演出の表示態様に応じた表示用エンディングコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用エンディングコマンドが受信されると、第3図柄表示装置81においてエンディング演出が開始される。一方、S1111の処理において、エンディングの開始タイミングでない場合には(S1111:No)、本処理を終了する。
<第1制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図88から図99を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図88を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図88は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1201)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1319の電源断処理(図89参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1202)。図89を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図89のS1316参照)、S1319の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1319の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1202:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1319の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1203)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1206の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1203:Yes)、S1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1203:No)、S1208へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1203:Yes)、S1204へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1319の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1203:No)、S1208へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1202:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1319の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1204の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1204)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1205:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1206)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1205:No)、RAM223の異常を報知して(S1207)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1208の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1208)。電源断フラグはS1319の電源断処理の実行時にオンされる(図89のS1318参照)。つまり、電源断フラグは、S1319の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1319の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1208:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1209)、電源断フラグ223yをオフに設定する(S1210)。その後、RAM223の初期値を設定した後(S1211)、割込み許可を設定して(S1212)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグ223yがオフされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1208:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1209およびS1210をスキップして、処理をS1211へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1211)、割込み許可を設定して(S1212)、メイン処理へ移行する。
なお、S1209のクリア処理をスキップするのは、S1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至った場合には、S1204の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図89を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図89は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1301の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1301)、1m秒以上経過していなければ(S1301:No)、S1302〜S1311の処理を行わずにS1312の処理へ移行する。S1301の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1302〜S1311が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1312のコマンド判定処理、S1313の変動表示設定処理、S1314の大当たり中演出処理、S1315のカウンタ値を更新する処理は、短い周期で実行する方が好ましいからである。S1312の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1313の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1301の処理で1m秒以上経過していれば(S1301:Yes)、まず、S1303〜S1314の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1302)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1308の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1303)、その後電源投入報知処理を実行する(S1304)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1305の処理へ移行する。
S1305の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1306)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1307)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。この枠ボタン入力監視・演出処理の詳細については、図96を参照して後述する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1308)、その後音編集・出力処理を実行する(S1309)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1309の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1310)、次に役物動作処理が実行され(S1311)、S1312の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1308のランプ編集処理が実行される。なお、S1309の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S1310の処理が終わると、役物動作処理を実行し(S1311)、S1312の処理へ移行する。役物動作処理は、枠ボタン入力監視・演出処理(図96)や変動表示設定処理(図97)などで設定した役物可動データに基づいて、球状役物(330,340)などの動作を制御するための処理である。ここで、役物可動データは、SW演出におけるSWシナリオに基づいて設定されるものであるので、表示制御装置114により第3図柄表示装置81に表示されるSW演出と球状役物(330,340)の動作とを連動させることができる。
S1312の処理では、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1312)。このコマンド判定処理の詳細については、図90を参照して後述する。
そして、コマンド判定処理の後、S1313の処理では、変動表示設定処理が実行される(S1313)。変動表示設定処理では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図97を参照して後述する。
次に、大当たり中演出処理を行う(S1314)。この大当たり中演出処理の詳細については、図98を参照して後述する。
S1314の処理が終わると、上述した役物連動演出や、背景レベルの抽選に用いるカウンタである演出カウンタ223jを更新する(S1315)。具体的には、演出カウンタ223jの値をRAM223から読み出し、それに1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では399)に達した際、0にクリアする。そして、演出カウンタ223jの更新値を、演出カウンタ223jに格納する。
S1315の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1316)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1316の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1316:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1318)、電源断処理を実行する(S1319)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1320)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1316の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1316:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1317)、RAM223が破壊されていなければ(S1317:No)、S1301の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1317:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図90を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1312)について説明する。図90は、このコマンド判定処理(S1312)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1312)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図89参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。また、この処理では、主制御装置110から保留球数コマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81による連続予告演出の開始の決定も行う。
コマンド判定処理では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1401)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1401:Yes)、変動パターン設定処理を行い(S1402)、その後に背景変更抽選処理を行い(S1403)、メイン処理に戻る。また、この変動パターン設定処理の詳細については図91を参照して、背景変更抽選処理の詳細については図92を参照して後述する。
一方、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1401:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1404)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1404:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223dをオンに設定し(S1405)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1406)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図97参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1404:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1407)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1407:Yes)、受信した保留球数コマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(S1408)。また、S1408の処理では、更新された特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する。S1408の処理の終了後は、メイン処理に戻る。
ここで、保留球数コマンドは、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1408の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値が主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を修正し、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値に合わせることができる。尚、S1408の処理が実行されると、更新された特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄が第3図柄表示装置81に表示される。
S1407の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1407:No)、次いで、主制御装置110より入賞コマンドを受信したか否かを判定する(S1409)。そして、入賞コマンドを受信した場合には(S1409:Yes)、入賞コマンド処理を実行して(S1410)、メイン処理に戻る。上述したように、本パチンコ機10では、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)すると、主制御装置110において各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得された各カウンタC1〜C3の各値が、特別図柄保留球格納エリア203aに記憶される。また、主制御装置110において各カウンタC1〜C3の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、取得された各カウンタC1〜C3の各値から、その本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が先読み(予測)される。そして、主制御装置110において先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞コマンドが、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信される。
入賞コマンド処理では、受信した入賞コマンドから、主制御装置110における先読みによって得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を入賞情報として抽出し、その抽出した入賞情報をRAM223の入賞情報格納エリア223aに格納する。そして、入賞情報格納エリア223aに記憶されている入賞情報と、特別図柄保留球数カウンタ223bの値と、演出カウンタ223jの値とに基づいて、その時点で保留されている変動演出に対して、一連の演出を行うか否かを決定する。また、この入賞コマンド処理の詳細については、図93を参照して後述する。
S1409の処理において、入賞コマンドを受信していない場合には(S1409:No)、次いで、主制御装置110より大当たり関連のコマンドを受信したか否かを判定する(S1411)。そして、大当たり関連のコマンドを受信した場合には(S1411:Yes)、大当たりコマンド処理を実行して(S1412)、メイン処理に戻る。また、この大当たりコマンド処理の詳細については、図94を参照して後述する。
一方、S1411の処理において、大当たり関連のコマンドを受信していない場合には(S1411)、次いで、第1入球コマンド又は第2入球コマンドを受信したか否かを判定する(S1413)。そして、第1入球コマンド又は第2入球コマンドを受信した場合には(S1413:Yes)、大当たり入賞処理を実行し(S1414)、メイン処理に戻る。また、この大当たり入賞処理の詳細については、図95を参照して後述する。
一方、S1413の処理において、第1入球コマンド又は第2入球コマンドを受信していない場合には(S1413:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行して(S1415)、メイン処理に戻る。例えば、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図91を参照して、コマンド判定処理(図90参照)の中で実行される変動パターン設定処理(S1402)について説明する。図91は、変動パターン設定処理(S1402参照)を示したフローチャートである。この変動パターン設定処理は(S1402)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信した場合に実行される処理であり、受信したコマンドに基づいて変動パターンを選択し、必要な演出コマンド(SW演出コマンド、予告演出コマンド)を設定するものである。
この変動パターン設定処理(S1402)では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223cをオンに設定し(S1501)、受信した変動パターンコマンドに基づいて、変動パターンテーブル222aより変動パターンを選択する(S1502)。次いで、選択された変動パターンはSW演出の変動パターンか否かを判定する(S1503)。S1503の処理において、選択された変動パターンがSW演出の変動パターンではあると判定された場合は(S1503:Yes)、SW演出を実行するためにS1504〜S1506の処理を実行する。
一方、S1503の処理において、選択された変動パターンがSW演出の変動パターンでないと判定された場合には(S1503:No)、SW演出を実行する必要がないので、S1504〜S1506の処理をスキップして、S1507の処理へ移行する。
S1504の処理では、S1502の処理により選択された変動パターンと演出カウンタ223jとに基づいて、役物連動演出テーブルよりSW演出を選択する(S1504)。次いで、S1504の処理により選択されたSW演出を示す表示用SW演出コマンドを設定し(S1505)、S1504の処理により選択されたSW演出に基づいて、SWシナリオ記憶エリア222eからSWシナリオを取得し、取得したSWシナリオをSWシナリオ格納エリア223oへ格納して(S1506)、S1507の処理へ移行する。
ここで、SWシナリオとは、特別図柄の変動期間に合わせて枠ボタン22が有効に設定される期間や、予告表示内容や、枠ボタン22が押下された場合に表示される表示内容等が設定されているものである。このSWシナリオは、枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)内のS2002の処理により順次更新されてその更新されたシナリオが設定される。これにより、更新されて設定されたシナリオが枠ボタン22の有効期間であることが設定されたシナリオである場合には、枠ボタン22の操作が有効として判別される。また、SWシナリオには、球状役物330,340の可動データも設定されており、役物を可動するタイミング等がSW有効時間の開始タイミングと一致するように設定されている。
S1507の処理では、予告演出を選択し(S1507)、選択した予告演出を示す表示用予告演出コマンドを設定して(S1508)、本処理を終了する。なお、SW演出が選択された場合は、予告演出が選択されず、予告演出が実行されないように構成してもよい。これにより、SW演出と予告演出とが同時に実行されることがなく、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。また、SW演出と予告演出とが同時に実行される場合には、それぞれが示唆する大当たりの期待度を同一または近似するものとなるよう構成してもよい。これにより、例えば、SW演出では期待度の高い演出が実行される一方で、予告演出では期待度の低い演出が実行されてしまうことにより、遊技者にとってわかりにくい遊技機となってしまうことを抑制することができる。
次に、図92を参照して、コマンド判定処理(図90参照)の中で実行される背景変更抽出処理(S1403)について説明する。図92は、背景変更抽選処理(S1403)を示したフローチャートである。
この背景変更抽選処理では、まず、連続背景フラグ223qがオンか否か判定する(S1601)。連続背景フラグ223qがオンであると判定された場合は(S1601:Yes)、既に保留球に対して背景変更データが設定されているため、背景変更の抽選を行わず、S1602の処理へ移行する。S1602の処理では、現在の背景レベルが「レベル4」であるか否かを判定する(S1602)。現在の背景レベルが「レベル4」であると判定された場合は(S1602:Yes)、背景レベルを変更する必要がないため、そのまま本処理を終了する。現在の背景レベルが「レベル4」の背景ではないと判定された場合は(S1602:No)、S1605の処理へ移行する。
一方、S1601の処理において、連続背景フラグ223qがオフであると判定された場合は(S1601:No)、保留球に対して背景変更データが設定されておらず、背景変更の抽選を行うため、S1603の処理へ移行する。S1603の処理では、当たり疑似変動が1回の変動パターンであるか否かを判定し(1603)、当たり疑似変動が1回の変動パターンではないと判定された場合は(S1603:No)、S1606の処理へ移行する。一方、当たり疑似変動が1回の変動パターンであると判定された場合は(S1603:Yes)、現在の背景レベルがレベル2以下であるか否かを判定する(S1604)。
S1604の処理において、現在の背景レベルがレベル2以下であると判定された場合は(S1604:No)、S1605の処理へ移行する。また、S1604の処理において、現在の背景レベルがレベル3以上であると判定された場合は(S1604:No)、S1606の処理へ移行する。
S1602またはS1604の処理を終えると、レベルを1つ加算した背景を設定し、S1609の処理へ移行する。
一方、S1603またはS1604の処理の後に実行されるS1606の処理では、演出カウンタ223jの値を取得し(S1606)、当否判定結果と演出カウンタ223jの値とに基づいて、背景抽選テーブル222dより背景抽選を実行する(S1607)。その後、背景に変更があるか否かを判定し(S1608)、背景に変更がなければ(S1608:No)、そのまま本処理を終了し、背景に変更があれば(S1608:Yes)、S1609の処理へ移行する。
S1609の処理では、設定した背景フラグ223qをオンに設定し(S1609)、設定した背景を示す表示用背景変更コマンドを設定し(S1610)、本処理を終了する。この表示用背景変更コマンドが設定されることで、表示制御装置114で設定されている背景に変更される。
次に、図93を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される入賞コマンド処理(S1410)について説明する。図93は、入賞コマンド処理(S1410)を示したフローチャートである。入賞コマンド処理(S1410)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理の中で実行されるもので(図90のS1410参照)、入賞コマンドを受信した場合に、連続して背景変更する演出を開始するか否かの判定を行う。
この入賞コマンド処理では、まず、受信した入賞コマンドに基づいた入賞情報をRAM223の入賞情報格納エリア223aに格納し(S1701)、連続背景フラグ223pがオンであるか否かを判定する(S1702)。連続背景フラグ223pがオンであると判定された場合は(1702:Yes)、そのまま本処理を終了する。連続背景フラグ223pがオフであると判定された場合は(S1702:No)、他の入賞情報に当たりがあるか否かを判定する(S1703)。他の入賞情報に当たりがあると判定された場合は、(S1703:Yes)、当該入賞に基づく始動入賞が実行される前に大当たりとなり、連続して背景変更する演出が実行できないので、そのまま本処理を終了する。他の入賞情報に当たりがないと判定された場合は(S1703:No)、次に、当否判定は当たりであるか否かを判定する(S1704)。当否判定が当たりではないと判定された場合は(S1704:No)、そのまま本処理を終了する。当否判定が当たりであると判定された場合は(1704:Yes)、S1705の処理へ移行する。
S1705の処理では、演出カウンタ223jの値を取得し、その演出カウンタ223jの値が「0〜49」の範囲であるか否かを判定し(S1706)、演出カウンタ223jのあたいが「0〜49」の範囲でない場合は(1706:No)、そのまま本処理を終了する。S1706の処理において、演出カウンタ223jの値が「0〜49」の範囲であれば(S1706:Yes)、保留球に対して、それぞれ背景変更データを設定し(S1707)、次いで、連続背景フラグ223pをオンに設定し(S1708)、本処理を終了する。
次に、図94を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される大当たりコマンド処理(S1412)について説明する。図94は、大当たりコマンド処理(S1412)を示したフローチャートである。この大当たりコマンド処理(S1412)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理の中で実行されるもので(図90のS1412参照)、大当たり関連のコマンドを受信した場合に、エンディング演出の表示態様を決定するための処理である。
本制御例では、主制御装置110において「特別図柄の大当たり」と判定されると、その「特別図柄の大当たり」に対応する変動演出が終了した後に、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると共に、第3図柄表示装置81において大当たり演出が開始される。大当たり演出は、オープニング演出が行われる期間と、ラウンド演出が行われる期間と、エンディング演出が行われる期間との3つの期間に分けられる。大当たり演出が開始されると、まず、オープニング演出が行われて、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行することが遊技者に報知される。次に、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると共に、ラウンド演出が開始され、新たなラウンドが開始される毎に、今回のラウンド数が遊技者に報知される。そして、特別遊技状態(16ラウンド全て)が終了すると、最後に、エンディング演出が行われ、特別遊技状態の終了が遊技者に報知される。本制御例では、このエンディング演出が行われた場合に、保留されている始動入賞の中に「特別図柄の大当たり」となる始動入賞があることを報知する確定演出表示か、または、実行中の「特別図柄の大当たり」に対応する普通図柄の時短期間を報知する時短期間表示かが行われる。
大当たりコマンド処理では、まず、オープニングコマンドを受信したか否かを判定する(S1801)。S1801の処理において、オープニングコマンドを受信したと判定された場合には(S1801:Yes)、大当たり種別に対応する開閉パターン記憶エリア222cの開閉パターンの情報を、開閉パターン格納エリア223kに格納し(S1802)、表示用オープニングコマンドを設定して(S1803)、本処理を終了する。
一方、S1801の処理において、オープニングコマンドを受信していないと判定された場合は(S1801:No)、ラウンド開始コマンドを受信したか否かを判定する(S1804)。ラウンド開始コマンドを受信したと判定された場合は(S1804:Yes)、表示用ラウンドコマンドを設定し(S1805)、ラウンド中フラグ223mをオンに設定する(S1806)。その後、受信したコマンドが1ラウンド目のコマンドであるか否かを判定する(S1807)。現在が1ラウンド目であると判定された場合は(S1807:Yes)、大当たり有効フラグ223eをオンに設定し(S1808)、本処理を終了する。また、S1807の処理において、現在が1ラウンド目ではないと判定された場合にも(S1807:No)、そのまま本処理を終了する。
S1804の処理において、ラウンド開始コマンド受信していないと判定された場合は(S1804:No)、ラウンド終了コマンドを受信したか否かを判定する(S1809)。ラウンド終了コマンドを受信したと判定された場合は(S1809:Yes)、ラウンド中フラグ223mをオフに設定し(S1810)、本処理を終了する。
S1809の処理において、ラウンド終了コマンドを受信していないと判定された場合は(S1809:No)、エンディングコマンドを受信したか否かを判定する(S1811)。エンディングコマンドを受信したと判定された場合は(S1811:Yes)、表示用エンディングコマンドを設定し(S1812)、残カウンタ223hの値に1を加算して(S1813)、本処理を終了する。
S1811の処理において、エンディングコマンドを受信していないと判定された場合は(S1811:No)、残カウンタ223hの値が0より大きいか否かを判定する(S1814)。残カウンタ223hの値が0であると判定された場合は(S1814:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S1814の処理において、残カウンタ223hの値が1以上であると判定された場合は(S1814:Yes)、次いで、残カウンタ223hの値が5秒を示す値以上であるか否かを判定する(S1815)。具体的には、残カウンタ223hは、4ms毎に実行される大当たりコマンド処理が実行される度に1加算されるものであるので、残カウンタ223hの値が1250以上であるか否かで判定する。
S1815の処理において、残カウンタ223hの値が5秒を示す値より少ないと判定された場合は(S1815:No)、大当たり遊技の終了後から5秒を経過していない場合であるので、残カウンタ223hの値に1を加算して(S1816)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1815の処理において、残カウンタ223hの値が5秒以上であると判定された場合は(S1815:Yes)、大当たり遊技の終了後から5秒を経過した場合であるので、計測カウンタ223iと、タイミング変更カウンタの値をリセットし(S1817)、次いで、残カウンタ223hの値をリセットし(S1818)、大当たり有効フラグ223eをオフに設定し(S1819)、本処理を終了する。
次に、図95を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される大当たり入賞処理(S1414)について説明する。図95は、大当たり入賞処理(S1414)を示したフローチャートである。この大当たり入賞処理(S1414)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理の中で実行されるもので(図90のS1414参照)、主制御装置110より第1入球コマンド又は第2入球コマンドを受信した場合に実行される処理である。
大当たり入賞処理では、まず、大当たり有効フラグ223eがオンであるか否かを判定する(S1901)。S1901の処理において、大当たり有効フラグ223eがオフであると判定された場合は(S1901:No)、大当たり遊技中でないにもかかわらず、第1特定入賞口650aまたは第2特定入賞口650bへの入球があった場合であるので、エラー報知を行い(S1906)、本処理を終了する。
一方、S1901の処理において、大当たり有効フラグ223eがオンであると判定された場合には(S1901:Yes)、次いで、第1入球コマンドを受信したか否かを判定する(S1902)。S1902の処理において、第1入球コマンドを受信したと判定された場合は(S1902:Yes)、第1特定入賞口650aに遊技球が入球した場合であるので、当該入球に基づく演出を実行するために、第1入球フラグ223fをオンに設定し(S1903)、S1904の処理へ移行する。一方、第1入球コマンドを受信していないと判定された場合は(S1902:No)、S1903の処理をスキップして、S1904の処理へ移行する。
S1902またはS1903の処理を終えると、次いで、第2入球コマンドを受信したか否かを判定する(S1904)。S1904の処理において、第2入球コマンドを受信したと判定された場合は(S1904:Yes)、第2特定入賞口650bに遊技球が入球した場合であるので、当該入球に基づく演出を実行するために、第2入球フラグ223fをオンに設定し(S1905)、本処理を終了する。
一方、S1904の処理において、第2入球コマンドを受信していないと判定された場合は(S1904:No)、そのまま本処理を終了する。
次に、図96を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)について説明する。図96は、この枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)を示したフローチャートである。この枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図89参照)の中で実行される。
枠ボタン入力監視・演出処理では、まず、SWシナリオ設定エリア223oにSWシナリオが設定されているか否かを判定する(S2001)。SWシナリオの設定がないと判定された場合は(S2001:No)、そのまま本処理を終了する。一方、SWシナリオの設定があると判定された場合は(S2001:Yes)、SWシナリオを更新し(S2002)、更新したシナリオに設定されている役物可動データを設定する(S2003)。
その後、現在がSW有効期間であるか否かを判定し(S2004)、SW有効期間でないと判定された場合は(S2004:No)、S2007の処理へ移行する。一方、S2004の処理において、SW有効期間であると判定された場合は(S2004:No)、SWが押下されたか否かを判定する(S2005)。SWが押下されたと判定された場合は(S2005:Yes)、SW押下を示す表示用押下コマンドを設定し(S2006)、S2008の処理へ移行する。
S2005の処理において、SWが押下されていないと判定された場合は(S2005:No)、S2007の処理へ移行する。
S2007の処理では、更新したSWシナリオがSWシナリオのエンドデータであるか否かを判定する(S2007)。SWシナリオのエンドデータでないと判定された場合は(S2007:No)、そのまま本処理を終了し、SWシナリオのエンドデータであると判定された場合は(S2007:Yes)、SWシナリオに基づく演出の終了タイミングであるので、SWシナリオ設定エリア223oの値をリセットし(S2008)、本処理を終了する。
次に、図97を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1313)について説明する。図97は、この変動表示設定処理(S1313)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1313)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図89参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223cがオンか否かを判別する(S2101)。そして、変動開始フラグ223cがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S2101:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S2107の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223cがオンであると判別された場合(S2101:Yes)、変動開始フラグ223cをオフし(S2102)、次いで、変動パターン設定処理(図91参照)のS1502の処理において、選択した変動演出における変動パターン種別を、RAM223より取得する(S2103)。
そして、選択した変動パターン基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S2104)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
次いで、入賞情報格納エリア223aに格納されたデータをシフトする(S2105)。S2105の処理では、入賞情報格納エリア223aの第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、SWシナリオ格納エリアのSWシナリオに基づいて役物可動データを設定し(S2106)、S2107の処理へ移行する。S2106の処理により設定された役物可動データは、役物動作処理(図89のS1311)によって参照され、設定された役物可動データに基づいて、球状役物(330,340)の動作と枠ボタン22の点灯動作が設定される。
S2107の処理では、RAM233に設けられた停止種別選択フラグ223dがオンか否かを判別する(S2107)。そして、停止種別選択フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S2107:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223dがオンであると判別された場合(S2107:Yes)、停止種別選択フラグ223dをオフし(S2108)、次いで、コマンド判定処理(図90参照)のS1406の処理において、停止種別コマンドから抽出された変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S2109)。
次に、主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定し(S2110)、設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S2111)。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
次に変動パターンが疑似変動の変動パターンであるか否かを判定し(S2112)、変動パターンが疑似変動の変動パターンではないと判定された場合は(S2112:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S2112の処理において、変動パターンが疑似変動の変動パターンであると判定された場合は(S2112)、疑似変動回数に対応する背景レベルを加算した背景フラグ223qをオンに設定し(S2113)、本処理を終了する。
ここで、疑似変動が行われる場合には、表示制御装置114内で設定される表示データで予め背景レベルが一つあげられるように設定している。これにより、疑似変動における仮停止タイミングを監視して背景レベルを上げる(可変させる)ようにする処理をする必要が無く処理負荷を軽減することができる。
なお、本制御例では、説明を省略したが、通常、遊技機では、特別図柄の変動を実行する場合に様々大当たりの期待度を示すキャラクタやコメントの表示、音声等の演出が実行される。このような構成では、様々な異なる期待度を示す予告表示態様が表示されるので、遊技者はどの期待度を見て大当たりへの期待度を判断すべきか分からず、期待度を表す予告表示について興味を持たなくなったり、予告の内容が理解できず遊技に早期に飽きてしまうという不具合がある。しかしながら、本制御例では、特別図柄の変動表示中に背景画面に総合的な期待度として背景レベルが表示されるので、その期待度を参考にして遊技を行うことができる。よって、遊技を分かり易く行うことができる。さらに、第3図柄が仮停止される疑似停止が実行される毎に、背景レベルが変更されるので、疑停止の予告における期待度から総合的な期待度が変更されたことが分かりより遊技者は分かり易く遊技を行うことができる。
なお、本実施形態では、疑似停止が行われることで、背景レベルが変更されるように構成したがそれに限らず、キャラクタ等やコメント等の予告が表示されることに基づいて背景レベルを変更するように構成してもよい。さらに、背景レベルで総合的な期待度を表示するのに限らず、例えば、第3図柄の色を可変させることで期待度を表示したり、総合的な期待度を示すキャラクタを常時表示するようにして、そのキャラクタの表示態様を可変させる(例えば、服の模様や色等を可変させる)ことで総合的な期待度を表すように表示してもよい。
さらに、本制御例では、背景レベルを当該変動だけでなく、当該変動が停止されて、次変動が開始された場合にも引き継いで表示されるように構成した。このように構成することで、第3図柄が仮停止される回数の期待度を可変させるようにできるように構成した。具体的には、背景レベルが3の状態で特別図柄の変動表示が開始された場合には、1回仮停止が実行されることにより、大当たりへの期待度が高い変動態様が表示されることとなる。よって、遊技者に背景レベルがいくつであるかを常に意識させて遊技を行わせることができる。
また、本制御例では、疑似停止が行われた場合の総合的な期待度として背景レベルを用いているがそれに限らず、疑似停止が行われない場合の変動表示では、現在のモード状態を背景レベルで表示するように構成してもよい。この場合には、背景レベルが変更されることで、音声ランプ制御装置113のMPU221により選択される変動態様のテーブルが切り替えられる。具体的には、主制御装置110より通知される変動時間と大まかな表示態様(リーチ、非リーチ等)とは変えないようにして、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の表示態様が変わるように構成する(例えば、背景レベル1では、表示領域が分割されないシングル表示の変動態様、背景レベル2では、表示領域が2分割され、そのそれぞれに第3図柄が独立して表示されるダブル表示態様の変動パターン、背景レベル3では、同様に3分割されてそれぞれに第3図柄が変動表示されるマルチ表示態様)。このように構成することで、背景レベルの表示が特別図柄の変動態様の内容(仮停止の変動がされるか否か)により期待度を示す場合と、変動パターンの選択モードを示す場合とで切り替えることができる。
さらに、本制御例の構成に加えて、通常遊技状態と確変遊技状態等の遊技状態によって、背景レベルの上がる頻度や上がる幅、または下がる頻度や下がり幅等を可変させるように構成してもよい。さらに、背景レベルが高くなるほど、疑似停止(仮停止)が実行される変動パターンが選択され易く構成してもよい。反対に、背景レベルが低くなるほど疑似停止が実行され易くしてもよい。さらに、変動表示される変動パターンに予め背景レベルが設定されており、その変動パターンを変動表示する場合には、設定されている背景レベルに設定するように構成してもよい。
次に、図98を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される大当たり中演出処理(S1314)について説明する。図98は、この大当たり中演出処理(S1314)を示したフローチャートである。この大当たり中演出処理(S1314)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図89参照)の中で実行される。
大当たり中演出処理では、まず、RAM223に設けられた大当たり有効フラグ223eがオンであるか否かを判定する(S2201)。大当たり有効フラグ223eがオフであると判定された場合は(S2201:No)、そのまま本処理を終了する。一方、大当たり有効フラグ223eがオンであると判定された場合は(S2201:Yes)、計測カウンタ223iの値に1を加算して(S2202)、入口センサ900aがオンであるか否かを判定する(S2203)。入口センサ900aがオフであると判定された場合は(S2203:No)、S2204とS2205の処理をスキップし、S2206の処理へ移行する。一方、S2203の処理において、入口センサ900aがオンであると判定された場合は(S2203:Yes)、入口通過処理を実行し(S2204)、表示用登場コマンドを設定し(S2205)、S2206の処理へ移行する。また、入口通過処理(S2204)の詳細については、図99を参照して後述する。
S2206の処理では、迂回センサ900bがオンであるか否かを判定する(S2206)。迂回センサ900bがオフであると判定された場合は(S2206:No)、S2207の処理をスキップし、S2208の処理へ移行する。一方、S2206の処理において、迂回センサ900bがオンであると判定された場合は(S2206:Yes)、表示用逃走コマンドを設定し(S2207)、S2208の処理へ移行する。
S2208の処理では、出口センサ900cがオンであるか否かを判定する(S2208)。出口センサ900cがオフであると判定された場合は(S2208:No)、S2209の処理をスキップし、S2210の処理へ移行する。一方、S2208の処理において、出口センサ900cがオンであると判定された場合は(S2208:Yes)、表示用失敗コマンドを設定し(S2209)、S2210の処理へ移行する。
S2210の処理では、第1入球フラグ223fがオンであるか否かを判定する(S2210)。第1入球フラグ223fがオフであると判定された場合は(S2210:No)、S2211とS2212の処理をスキップし、S2213の処理へ移行する。一方、S2210の処理において、第1入球フラグ223fがオンであると判定された場合は(S2210:Yes)、第1入球フラグ223fをオフに設定し(S2211)、表示用捕獲コマンドを設定し(S2212)、S2213の処理へ移行する。
S2213の処理では、第2入球フラグ223gがオンであるか否かを判定する(S2213)。第2入球フラグ223gがオフであると判定された場合は(S2213:No)、S2214とS2215の処理をスキップし、本処理を終了する。一方、S2213の処理において、第2入球フラグ223gがオンであると判定された場合は(S2213:Yes)、第2入球フラグ223gをオフに設定し(S2214)、表示用再捕獲コマンドを設定し(S2215)、本処理を終了する。
次に、図99を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される入口通過処理(S2204)について説明する。図99は、この入口通過処理(S2204)を示したフローチャートである。この入口通過処理(S2204)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される大当たり中演出処理(図98参照)の中で実行される。
入口通過処理では、まず、RAM223に設けられたラウンド中フラグ223mがオンであるか否かを判定する(S2301)、ラウンド中フラグ223mがオフであると判定された場合は(S2301:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S2301の処理において、ラウンド中フラグ223mがオンであると判定された場合は(S2301:Yes)、次いで、大当たり種別がAであるか否かを判定する(S2302)。
S2302の処理において、大当たり種別がAではないと判定された場合は(S2302:No)、そのまま本処理を終了する。一方、大当たり種別がAであると判定された場合は(S2302:Yes)、開閉パターン格納エリア223kの情報と、計測カウンタ223iの値とに基づいて、通過タイミングを判別する(S2303)。
次に、通過タイミングが出口通過タイミングであるか否かを判定する(S2304)。通過タイミングが出口通過タイミングではないと判定された場合は(S2304:No)、そのまま本処理を終了する。一方、通過タイミングが出口通過タイミングであると判別された場合は(S2304:Yes)、出口タイミングカウンタ223nの値に1を加算して(S2305)、その後、出口タイミングカウンタ223nの値が10より大きいか否かを判定する(S2306)。
S2306の処理において、出口タイミングカウンタ223nの値が10以下であると判定された場合は(S2306:No)、そのまま本処理を終了する。一方、出口タイミングカウンタ223nの値が10より大きいと判定された場合は(S2306:Yes)、表示用タイミング報知コマンドを設定し(S2307)、その後、出口タイミングカウンタ223nの値をリセットし(S2308)、本処理を終了する。
<第1制御例における表示制御装置の制御処理について>
次に、図100から図122を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図100を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図100は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本制御例のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S2401)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図101を参照して、ブート処理(S2401)について説明する。図101は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S2401)を示すフローチャートである。
上述したように、本制御例では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S2501)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S2502)。これにより、MPU231は、S2501の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S2502の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S2502の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S2503)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S2504)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図100のS2401参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図100のS2402参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S2505)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S2401)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図101に示すブート処理では、S2501の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S2501の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S2502の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S2503〜S2505の処理を実行するようにしてもよい。
また、S2501の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S2501及びS2502の処理を含めて複数回繰り返した後、S2503〜S2505の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本制御例では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S2501及びS2502の処理を行わずに、S2503〜S2505の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図100の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S2402)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S2403)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S2403の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S2404)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S2404の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S2405)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図120(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図120(a)のS4802参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図102(b)参照)において、図72に示す電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図102(b)のS2708参照)および簡易表示設定処理(図102(b)のS2709参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入賞口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、図72(b),(c)に示す電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S2405の処理の後、割込許可を設定し(S2406)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S2406の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図102(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図102(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2601)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図102(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図102(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図76参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図102(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2701)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2701:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、図72に示した電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2702)を実行し、次いで、表示設定処理(S2703)を実行する。
コマンド判定処理(S2702)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図103〜図116を参照して後述する。
表示設定処理(S2703)では、コマンド判定処理(S2702)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。尚、この表示設定処理の詳細については、図117〜図119を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2704)。このタスク処理では、表示設定処理(S2703)もしくは簡易表示設定処理(S2709)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S2705)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図120および図121を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2706)。この描画処理では、タスク処理(S2704)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2705)により設定された転送指示とから、図76に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図122を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2707)。そして、V割込処理を終了する。S2707の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2701の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2701:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、図72に示した電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2708)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2709)を実行して、S2704の処理へ移行する。
次いで、図103〜図116を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2702)の詳細について説明する。まず、図103は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図103に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2801)、未処理の新規コマンドがなければ(S2801:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2801:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(図117参照)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2802)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2803)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2804)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2804:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2805)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図104(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S2805)の詳細について説明する。図104(a)は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2901)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2901の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本制御例のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S2901で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S2902)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S2901の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S2903)。表示設定処理では、S2903の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S2901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S2904)、ポインタ233fを0に初期化する(S2905)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S2906)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S2905の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S2901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S2902の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S2904の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図103の説明に戻る。S2804の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2804:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2806)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2806:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2807)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図104(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S2807)の詳細について説明する。図104(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S3001)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図102(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S3002)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S3002の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定し(S3003)、本処理を終了する。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S3002の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(図102(b)のS2704参照)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S3003によって設定された停止図柄判別フラグからS3002の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
尚、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S3001の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS3002の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本制御例のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図103に戻り、説明を続ける。S2806の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S2806:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用の大当たり関連コマンドがあるか否かを判別し(S2808)、表示用の大当たり関連コマンドがあれば(S2808:Yes)、大当たり表示処理を実行して(S2809)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図105を参照して、大当たり表示処理(S2809)の詳細について説明する。図105は、大当たり表示処理を示すフローチャートである。この大当たり表示処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用の大当たり関連コマンドに対応する処理を実行するものである。
大当たり表示処理(S2809)では、まず、表示用オープニングコマンドを受信したか否かを判別する(S3101)。S3101の処理において、表示用オープニングコマンドを受信したと判別された場合は(S3101:Yes)、オープニングコマンド処理を実行し(S3102)、S3103の処理へ移行する。一方、S3101の処理において、表示用オープニングコマンドを受信していないと判別された場合は(S3101:No)、S3102の処理をスキップして、S3103の処理へ移行する。
ここで、図106(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S3102)の詳細について説明する。図106(a)は、オープニングコマンド処理(S3102)を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理(S3102)は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用オープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
オープニングコマンド処理(S3102)では、まず、オープニング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3201)。次いで、その設定したオープニング表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読みだして、転送データテーブルバッファ233eに設定する(S3202)。
そして、S3201の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたオープニング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3203)、ポインタ233fを0に初期化する(S3204)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3205)、コマンド判定処理に戻る。
図105に戻り、説明を続ける。S3101またはS3102の処理を終えると、表示用ラウンド数コマンドを受信したか否かを判別する(S3103)。S3103の処理において、表示用ラウンド数コマンドを受信したと判別された場合は(S3103:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行し(S3104)、S3105の処理へ移行する。一方、S3103の処理において、表示用ラウンド数コマンドを受信していないと判別された場合は(S3103:No)、S3104の処理をスキップして、S3105の処理へ移行する。
ここで、図106(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理について(S3104)説明する。図106(b)は、ラウンド数コマンド処理を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3301)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3302)。
そして、S3301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3303)、ポインタ233fを0に初期化する(S3304)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3305)、コマンド判定処理に戻る。
図105に戻り、説明を続ける。S3103またはS3104の処理を終えると、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別する(S3105)。S3105の処理において、表示用エンディングコマンドがあれば(S3105:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S3106)、S3107の処理へ移行する。一方、S3105の処理において、表示用エンディングコマンドがないと判別された場合は(S3105:No)、S3106の処理をスキップして、S3107の処理へ移行する。
ここで、図107を参照して、エンディングコマンド処理(S3106)の詳細について説明する。図107は、エンディングコマンド処理を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるエンディング演出の表示態様に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したエンディング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3401)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3402)。そして、各エンディング演出の表示態様に対応するエンディング表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S3401の処理によって設定されたエンディング表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他のエンディング表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S3403)。表示設定処理では、S3403の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルが、どのエンディング演出の表示態様に対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S3401の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3404)、ポインタ233fを0に初期化する(S3405)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3406)、コマンド判定処理に戻る。
図105に戻り、説明を続ける。S3105またはS3106の処理を終えると、次いで、未処理のコマンドの中に、入球関連のコマンドがあるか否かを判別する(S3107)。S3107の処理において、入球関連のコマンドがあると判別された場合は(S3107:Yes)、入球演出処理を実行し(S3108)、本処理を終了する。一方、入球関連のコマンドがないと判別された場合は(S3107:No)、S3108の処理をスキップして、本処理を終了する。
ここで、図108を参照して、入球演出処理(S3108)の詳細について説明する。図108は、入球演出処理(S3108)を示すフローチャートである。この入球演出処理は、音声ランプ制御装置113より受信した入球関連のコマンドに対応する処理を実行するものである。
この入球演出処理(S3108)では、まず、表示用登場コマンドを受信したか否かを判別する(S3501)。S3501の処理において、表示用登場コマンドを受信したと判別された場合は(S3501:Yes)、登場演出処理を実行し(S3502)、S3503の処理へ移行する。この登場演出処理(S3502)の詳細については、図109を参照して後述する。一方、S3501の処理において、表示用登場コマンドを受信していないと判別された場合は、S3502の処理をスキップし、S3503の処理へ移行する。
S3501またはS3502の処理を終えると、次いで、表示用逃走コマンドを受信したか否かを判別する(S3503)。S3503の処理において、表示用逃走コマンドを受信したと判別された場合は(S3503:Yes)、逃走演出処理を実行し(S3504)、S3505の処理へ移行する。この逃走演出処理(S3504)の詳細については、図110を参照して後述する。一方、S3503の処理において、表示用逃走コマンドを受信していないと判別された場合は(S3503:No)、S3504の処理をスキップして、S3505の処理へ移行する。
S3504またはS3505の処理を終えると、次いで、表示用失敗コマンドを受信したか否かを判別する(S3505)。S3505の処理において、表示用失敗コマンドを受信したと判別された場合は(S3505:Yes)、失敗演出処理を実行し(S3506)、S3507の処理へ移行する。この失敗演出処理(S3506)の詳細については。図111を参照して後述する。一方、S3505の処理において、表示用失敗コマンドを受信していないと判別された場合は(S3505:No)、S3506の処理をスキップして、S3507の処理へ移行する。
S3505またはS3506の処理を終えると、次いで、表示用捕獲コマンドを受信したか否かを判別する(S3507)。S3507の処理において、表示用捕獲コマンドを受信したと判別された場合は(S3507:Yes)、捕獲演出処理を実行し(S3508)、S3509の処理へ移行する。この捕獲演出処理(S3508)の詳細については、図112を参照して後述する。一方、S3507の処理において、表示用捕獲コマンドを受信していないと判別された場合は(S3507:No)、S3508の処理をスキップして。S3509の処理へ移行する。
S3507またはS3508の処理を終えると、次いで、表示用再捕獲コマンドを受信したか否かを判別する(S3509)。S3509の処理において、表示用再捕獲コマンドを受信したと判別された場合は(S3509:Yes)、再捕獲演出処理を実行し(S3510)、本処理を終了する。この再捕獲演出処理(S3510)の詳細については、図113を参照して後述する。一方、S3509の処理において、表示用再捕獲コマンドを受信していないと判別された場合は(S3509:No)、S3510の処理をスキップして、本処理を終了する。
ここで、図109を参照して、登場演出処理(S3502)の詳細について説明する。図109は、登場演出処理(3102)を示すフローチャートである。この登場演出処理(S3502)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用登場コマンドに対応する処理を実行するものであり、大当たり遊技中に特定入賞装置650の入口部651aへ遊技球が入球した場合の演出を実行するための処理である。
登場演出処理(S3502)では、まず、登場演出中フラグ233mがオンであるか否かを判別する(S3601)。S3601の処理において、登場演出中フラグがオンであると判別された場合は(S3601)、既に登場演出が実行されているので(図57(a)参照)、登場中カウンタ233nを1加算し(S3602)、その加算後の登場中カウンタ233nの値に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dへ設定する(S3603)。S3603の処理を終えると、S3609の処理へ移行する。S3602およびS3603の処理により、大当たり遊技中に表示されるネコ登場中数内のネコの絵柄(図57〜図59参照)が1増加して表示される。
一方、S3601の処理において、登場演出中フラグ233mがオフであると判別された場合は(S3601:No)、次いで、逃走中カウンタ233pが0より大きいか否かを判別する(S3604)。S3604の処理において、逃走中カウンタ233pが0であると判別された場合は(S3604:No)、登場演出と逃走演出とのどちらもが表示されていない場合であるので、通常登場演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3605)。
このS3605の処理により設定される通常登場演出は、上述したように、1画面で大当たり遊技中の演出が表示される演出であり、登場演出と逃走演出とのどちらか一方が表示される場合に表示されるものである。本制御例では、大当たり遊技中の演出として、登場演出と逃走演出との2種類の演出を、第3図柄表示装置81の画面を2分割して同時に表示できるように構成している。しかし、登場演出と逃走演出とのどちらか一方のみを表示すれば良い場合については、S3605の処理により設定される通常登場演出によって、登場演出のみを1画面として第3図柄表示装置81に表示することができるので、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。
一方、S3604の処理において、逃走中カウンタ233pが0より大きいと判別された場合は(S3604:Yes)、登場演出は表示されていないが逃走演出が表示されている場合であるので、特殊登場演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3606)。これにより、逃走演出のみが1画面として第3図柄表示装置81に表示されている状態から、登場演出と逃走演出とを同時に表示される状態へと切り替えることができる。
S4705またはS4706の処理を終えると、登場演出中フラグ233mをオンに設定し(S4707)、登場中カウンタ233nを1加算し(S4708)、S4709の処理へ移行する。
S4703またはS4708の処理を終えると、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3609)。そして、S表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3610)、ポインタ233fを0に初期化する(S3611)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3612)、コマンド判定処理に戻る。
次いで、図110を参照して、逃走演出処理(S3504)の詳細について説明する。図110は、逃走演出処理(S3504)を示すフローチャートである。この逃走演出処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用逃走コマンドに対応する処理を実行するものであり、大当たり遊技中に特定入賞装置650へ入球した遊技球が迂回流路653へ流下した場合の演出を実行するための処理である。
逃走演出処理(S3504)では、まず、登場中カウンタ233nを1減算し(S3701)、その減算後の登場中カウンタ233nが0であるか否かを判別する(S3702)。S3702の処理において、登場中カウンタ233nが0であると判別された場合は(S3702:Yes)、表示する登場演出がなくなるため、登場演出中フラグ233mをオフに設定し(S3703)、S3704の処理へ移行する。一方、S3702の処理において、登場中カウンタ233nが0でないと判別された場合は、表示する登場演出があるため、S3703の処理をスキップして、S3704の処理へ移行する。
S3702またはS3703の処理を終えると、逃走中カウンタ233pが0より大きいか否かを判別する(S3704)。S3704の処理において、逃走中カウンタ233pが0より大きいと判別された場合は(S3704:Yes)、逃走中カウンタ233pを1加算して(S3705)、その加算後の逃走中カウンタ233pの値に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3706)、S3711の処理へ移行する。このS3705およびS3706の処理により、大当たり遊技中に表示される逃走中数内にネコの絵柄(図57〜図59参照)が1増加して表示される。
一方、S3704の処理において、逃走中カウンタ233pが0であると判別された場合は(S3704:No)、逃走中カウンタ233pを1加算して(S3707)、登場演出中フラグ233mがオンであるか否かを判別する(S3708)。S3708の処理において、登場演出中フラグ233mがオフであると判別された場合は(S3708:No)、表示する登場演出がないため、通常逃走演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3709)、S3711の処理へ移行する。
一方、S3708の処理において、登場演出中フラグ233mがオンであると判別された場合は(S3708:Yes)、表示する登場演出があるため、特殊逃走演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3710)、S3711の処理へ移行する。
上述した、通常逃走演出は、第3図柄表示装置81に1画面で逃走演出を表示する演出であり、特殊逃走演出は、第3図柄表示装置81に2画面で逃走演出と登場演出とを表示する演出である(図57(b)参照)。
S3706,S3709またはS3710の処理を終えると、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3711)。そして、表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3712)、ポインタ233fを0に初期化する(S3713)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3714)、コマンド判定処理に戻る。
次いで、図111を参照して、失敗演出処理(S3506)の詳細について説明する。図111は、失敗演出処理(S3506)を示すフローチャートである。この失敗演出処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用失敗コマンドに対応する処理を実行するものであり、大当たり遊技中に特定入賞装置650へ入球した遊技球が第1特定入賞口650aおよび第2特定入賞口650bのいずれにも入球せず、出口部652cを通過した場合の演出を実行するための処理である。
失敗演出処理(S3506)では、まず、逃走中カウンタ223pを1減算して(S3801)、登場演出中フラグ233mがオンであるか否かを判別する(S3802)。S3802の処理において、登場演出中フラグ233mがオフであると判別された場合は(S3802:No)、表示する登場演出がない場合であるので、通常失敗演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3803)、S3805の処理へ移行する。一方、S3802の処理において、登場演出中フラグ233mがオンであると判別された場合は(S3802:Yes)、表示する登場演出があり、2画面での演出表示を行う場合であるので、特殊失敗演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dn設定し(S3804)、S3805の処理へ移行する。
S3803またはS3804の処理を終えると、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3805)。そして、表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3806)、ポインタ233fを0に初期化する(S3807)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3808)、コマンド判定処理に戻る。
次に、図112を参照して、捕獲演出処理(S3508)の詳細について説明する。図112は、捕獲演出処理(S3508)を示すフローチャートである。この捕獲演出処理は、音声ランプ制御処理113より受信した表示用捕獲コマンドに対応する処理を実行するものであり、大当たり遊技中に特定入賞装置650へ入球した遊技球が第1特定入賞口650aへ入球した場合の演出を実行するための処理である。
捕獲演出処理(S3506)では、まず、捕獲カウンタ233rを1加算し(S3901)、登場中カウンタ233nを1減算する(S3902)。次いで、S3902の処理により減算した登場中カウンタ233nが0であるか否かを判別する(S3903)。S3903の処理において、登場中カウンタ233nが0であると判別された場合は、表示する登場演出がなくなるため、登場演出中フラグ233mをオフし(S3904)、S3905の処理へ移行する。一方、S3903の処理において、登場中カウンタ233nが0でないと判別された場合は(S3903:No)、表示する登場演出があるため、S3904の処理をスキップしてS3905の処理へ移行する。
S3903またはS3904の処理を終えると、次いで、逃走中カウンタ233pが0より大きいか否かを判別する(S3905)。S3905の処理において、逃走中カウンタ233pが0であると判別された場合は(S3905:No)、表示している逃走演出がなく1画面での捕獲演出を実行するために、捕獲カウンタを示す通常捕獲演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3906)、S3908の処理へ移行する。
一方、S3905の処理において、逃走中カウンタ233pが0より大きいと判別された場合は(S3905:Yes)、表示している逃走演出があり2画面での捕獲演出を実行するために、捕獲カウンタを示す特殊捕獲演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3907)、S3908の処理へ移行する。
S3906またはS3907の処理を終えると、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3908)。そして、表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3909)、ポインタ233fを0に初期化する(S3910)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3911)、コマンド判定処理に戻る。
次に、図113を参照して、再捕獲演出処理(S3510)の詳細について説明する。図113は、再捕獲演出処理(S3510)を示すフローチャートである。この再捕獲演出処理113は、音声ランプ制御処理113より受信した表示用再捕獲コマンドに対応する処理を実行するものであり、大当たり遊技中に特定入賞装置650へ入球した遊技球が第2特定入賞口650bへ入球した場合の処理を実行するための処理である。
再捕獲演出処理(S3510)では、まず、逃走中カウンタ233pを1減算し(S4001)、再捕獲カウンタ233sを1加算する(S4002)。次いで、登場演出中フラグ233mがオンであるか否かを判別する(S4003)。S4003の処理において、登場演出中フラグ233mがオンであると判別された場合は(S4003:No)、表示している登場演出がなく1画面での再捕獲演出を実行するために、再捕獲カウンタを示す通常再捕獲演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファに設定し(S4004)、S4006の処理へ移行する。
一方、S4003の処理において、登場演出中フラグ233mがオンであると判別された場合は(S4003:Yes)、表示している登場演出があり2画面での再捕獲演出を実行するために、再捕獲カウンタを示す特殊再捕獲演出に対応した表示データテーブルを決定して、表示データテーブルバッファに設定し(S4005)、S4006の処理へ移行する。
S4004またはS4005の処理を終えると、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4006)。そして、表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4007)、ポインタ233fを0に初期化する(S4008)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S4009)、コマンド判定処理に戻る。
図103に戻り、説明を続ける。S2808の処理において、表示用の大当たり関連コマンドがないと判別されると(S2808:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用タイミング報知コマンドがあるか否かを判別し(S2810)、表示用タイミング報知コマンドがあれば(S2810:Yes)、タイミング報知処理を実行して(S2811)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図114を参照して、タイミング報知処理(S2811)の詳細について説明する。図114は、タイミング報知処理(S2811)を示すフローチャートである。このタイミング報知処理(S2811)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用タイミング報知コマンドに対応する処理を実行するものである。このタイミング報知コマンドは、上述したように特定入賞装置650へ入球した遊技球が第2特定入賞口650bへ入球せず、出口部652cを通過する遊技球が多い場合に送信されるものである。
タイミング報知処理(S2811)では、まず、タイミング報知表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4101)、タイミング報知表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S4102)。その後、タイミング報知表示データテーブルを基にその演出時間を表す時間データを計時カウンタに設定し(S4103)、ポインタ233fを0に初期化する(S4104)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S4105)、コマンド判定処理に戻る。
ここで設定されるタイミング報知表示データテーブルでは、遊技者による遊技球の発射タイミングを変更させる演出表示が設定される。具体例としては、画面と枠ボタン22とを同時に押すことを促す演出などであり、この演出により画面と枠ボタン22とを同時に押すためには、遊技者は発射ハンドルから手を放す必要があるため、遊技球の発射タイミングを変更させることができる。この演出により、特定入賞装置650へ入球した遊技球が、第2特定入賞口650bへ入球し難いタイミングで発射されることを救済でき、遊技者にとって不利な状態となることを抑制できる。
図103に戻り、説明を続ける。S2810の処理において、表示用タイミング報知コマンドがないと判別された場合は(S2810:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用背景変更コマンドがあるか否かを判別し(S2812)、表示用背景変更コマンドがあれば(S2812:Yes)、背景変更コマンド処理を実行して(S2813)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図115(a)を参照して、背面変更コマンド処理(S2815)の詳細について説明する。図115(a)は、背面変更コマンド処理を示すフローチャートである。この背面変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した背面変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面変更コマンド処理では、まず、オン状態で背面変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S4803)に通知する背面画像変更フラグをオンに設定する(S4201)。そして、背面画像種別(背面A〜C)毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、背面変更コマンドによって示された背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンすると共に、その他の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオフに設定して(S4202)、この背面変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、S4201の処理により設定される背面画像変更フラグがオンされていることを検出すると、S4202の処理によって設定される背面画像判別フラグから、変更後の背面画像種別を特定する。そして、その特定された背面画像種別が背面B又は背面Cである場合は、上述したように、それらの背面画像に対応する画像データの一部が常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されていないので、所定の範囲の背面画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送するよう、画像コントローラ237に対する転送指示の設定を行う。
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A〜Cのいずれかを表示させることが規定されていた場合、S4202によって設定された背面画像判別フラグから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
尚、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S4202の処理では、2以上の背面変更コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面変更コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよいし、後に受信した背面変更コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。また、任意の1の背面変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
図103に戻り、説明を続ける。S2812の処理において、背面変更コマンドがないと判別されると(S2812:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、予告演出コマンドがあるか否かを判別し(S2814)、予告演出コマンドがあれば(S2814:Yes)、予告演出コマンド処理を実行して(S2815)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図116を参照して、予告演出コマンド処理(S2815)の詳細について説明する。図116は、予告演出コマンド処理(S2815)を示すフローチャートである。この予告演出コマンド処理(S2815)は、音声ランプ制御装置113より受信した予告演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
予告演出コマンド処理(S2815)では、まず、表示用SW演出コマンドを受信したか否かを判別する(S4401)。_S4401の処理において、表示用SW演出コマンドを受信したと判別された場合は(S4401:Yes)、受信した表示用SW演出コマンドが示すSW演出表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4402)、S4403の処理へ移行する。一方、S4401の処理において、表示用SW演出コマンドを受信していないと判別された場合は(S4401:No)、S4402の処理をスキップし、S4403の処理へ移行する。S4402の処理が実行されることにより、上述した役物連動演出におけるSW演出(図60、図61)が、第3図柄表示装置81に表示される。S4402の処理により表示されるSW演出の演出パターンは、上述したように、音声ランプ制御装置113のRAM222内のSWシナリオ設定エリア223oに格納されている。これにより、音声ランプ制御装置113により動作が制御される球状役物(330,340)の点灯および開閉動作や枠ボタン22の点灯動作を連動させることができる。
S4401またはS4402の処理を終えると、次いで、表示用予告演出コマンドを受信したか否かを判別する(S4403)。S4403の処理において、表示用予告演出コマンドを受信したと判別された場合は(S4403:Yes)、受信した表示用予告演出コマンドが示す予告演出表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4404)、S4405の処理へ移行する。一方、S4403の処理において、表示用予告演出コマンドを受信していないと判別された場合は(S4403:No)、S4404の処理をスキップし、S4405の処理へ移行する。S4404の処理により表示される予告演出は、例えば、キャラクタが出現する演出など、枠ボタン22の操作が不要な予告演出である。
S4403またはS4404の処理を終えると、次いで、表示用押下コマンドを受信したか否かを判別する(S4405)。S4405の処理において、表示用押下コマンドを受信したと判別された場合は(S4405:Yes)、設定されているSW演出の押下演出に対応する予告表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4406)、本処理を終了する。一方、S4405の処理において、表示用押下コマンドを受信していないと判別された場合は(S4405:No)、S4406の処理をスキップし、本処理を終了する。
図103に戻り、説明を続ける。S2814の処理において、予告演出コマンドがないと判別されると(S2814:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2816)、エラーコマンドがあれば(S2816:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2817)、S2801の処理へ戻る。
ここで、図115(b)を参照して、エラーコマンド処理(S2817)の詳細について説明する。図115(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S4301)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S4302)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S4301の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S4302の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
尚、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S4302に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図103の説明に戻る。S2816の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2816:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2818)、S2801の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2801の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2801:Yes)、再びS2802〜S2818の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2801〜S2818の処理が繰り返し実行され、S2801の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
尚、V割込処理(図102(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2709)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、図72に示す電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図104(a)参照)および停止種別コマンド処理(図104(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図104(a)参照)では、S2901の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S2902の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図117〜図119を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2703)の詳細について説明する。図117は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図117に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S4501)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S4501:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S4502〜S4504の処理をスキップし、S4505の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S4501:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S4502)、S4503〜S4504の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S4503の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S4503)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S4503:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S4504)。
ここで、図118を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図118は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S4601)。
タスク処理では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S4601の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S4602)、表示設定処理に戻る。
ここで、図117の説明に戻る。警告画像設定処理(S4504)の後、又は、S4503の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S4503:No)、次いで、S4505の処理へ移行する。
S4505では、ポインタ更新処理を実行する(S4505)。ここで、図119を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図119は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S4701)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S4701の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S4702)。その結果、End情報であれば(S4702:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S4703)、デモ用表示データテーブルであれば(S4703:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4704)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S4705)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S4703の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S4703:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S4706)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S4702の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S4702:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図117に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S4506)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S4506の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S4507)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S4508)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S4508:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S4508:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S4509)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S4509:Yes)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4510)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4511)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4512)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S4513)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S4514)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S4515)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S4515の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2704)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S4515によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S4509の処理において、確定表示フラグがオンではなくオフであれば(S4509:No)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S4516)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S4516:Yes)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4517)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4518)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S4519)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S4520)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S4521)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S4516の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S4516:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図102(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2709)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像(図72(b)および(c)のいずれか)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図120及び図120を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2705)の詳細について説明する。まず、図120(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S4801)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S4801:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S4802)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図120(b)を参照して後述する。
一方、S4801の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S4801:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S4803)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図120を参照して後述する。
次いで、図120(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2705)の一処理である常駐画像転送設定処理(S4802)について説明する。図120(b)は、この常駐画像転送設定処理(S4802)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S4901)、転送指示を送信していれば(S4901:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S4902)。このS4902の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S4902の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S4902:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S4902:Yes)、S4903の処理へ移行する。また、S4901の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S4901:No)、S4903の処理へ移行する。
S4903の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S4903)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S4903:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S4904)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S4903の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S4903:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S4905)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図102(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図102(b)のS2708参照)および簡易表示設定処理(図102(b)のS2709参照)ではなく、コマンド判定処理(図103〜図115参照)および表示設定処理(図117〜図119参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図120参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図120(a)のS4801:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図120を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2705)の一処理である通常画像転送設定処理(S4803)について説明する。図120は、この通常画像転送設定処理(S4803)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2703)のポインタ更新処理(S4505)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S5001)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S5002)、転送データ情報であれば(S5002:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S5003)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S5004)、S5005の処理へ移行する。
また、S5002の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S5002:No)、S5003及びS5004の処理をスキップして、S5005の処理へ移行する。S5005の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S5005)、転送指示を設定していれば(S5005:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S5006)。
このS5006の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S5006の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S5006:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S5006:Yes)、S5007の処理へ移行する。また、S5005の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S5005:No)、S5007の処理へ移行する。
S5007の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S5007)、転送開始フラグがオンであれば(S5007:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S5008)、S5003の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S5017の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S5007:No)、背面画像変更フラグがオンであるか否かを判別する(S5013)。そして、背面画像変更フラグがオンではなく、オフであれば(S5009:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更フラグがオンであれば(S5009:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグをオフに設定した後(S5010)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S5011)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S5012)、S5013の処理へ移行する。
S5013の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S5013)。このS5013の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233jを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233jより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S5013の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S5013:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S5013の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S5013:Yes)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S5014)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S5014の処理の後、格納画像データ判別フラグ233jを更新し(S5015)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233jの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、大当たり時の演出などにおいて使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本制御例では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図122を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2706)の詳細について説明する。図122は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2704)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2705)により設定された転送指示から、図76に示す描画リストを生成する(S5101)。即ち、S5101の処理では、タスク処理(S2704)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2705)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233kによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S5102)。ここでは、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233kが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S5102の処理の後、描画対象バッファフラグ233kを更新する(S5103)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233kの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図102(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
<第2制御例について>
次いで、図123から図132を参照して、第2制御例におけるパチンコ機10について説明する。上述の第1制御例におけるパチンコ機10では、変動パターンに基づいてSW演出が選択された場合に、球状役物(330,340)と第3図柄表示装置81に表示されるSW演出とを連動して演出する役物連動演出を実行する場合について説明した。
これに対し、本第2制御例におけるパチンコ機10では、変動パターンに基づいてSW演出が選択された場合に、複数回の枠ボタン22を押下する演出が実行される場合について説明する。具体的には、SW演出として、枠ボタン22の押下に基づいて、第3図柄表示装置81に表示されるコメントの内容やコメントの背景によって、大当たりの期待度を示唆するコメント系演出と、枠ボタン22の押下に基づいて、特定の絵柄が第3図柄表示装置81に表示されるか否かにより大当たりの期待度を示唆する連打系演出とが設けられている。このコメント系演出と連打系演出とは、所定の条件が成立した場合に切り替えられるものである。
この第2制御例におけるパチンコ機10が第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113において、ROM222とRAM223の内容が一部異なっている点である。また、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される枠ボタン入力監視・演出処理に代えて枠ボタン入力監視・演出処理2が実行される点と、表示制御装置114のMPU231によって実行される予告演出コマンド処理(S2815)の一部処理が変更されている点で相違し、その他の各種処理については第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図123から図125を参照して、本第2制御例で表示されるSW演出の表示内容について説明する。図123(a)及び(b)は、コメント系演出のSW演出の表示内容を模式的に示した模式図である。
本第2制御例では、コメント系演出のSW演出が実行されると、変動表示は第3図柄表示装置81の左下部に縮小して表示される。そして、SW演出における枠ボタン22の押下回数(本制御例では4回)に応じたPUSHボタンの絵柄が、画面中央部に縦に並んで表示される。その後、枠ボタン22の押下に基づいて、PUSHボタンの絵柄がコメント表示に変更されることとなる(図123(a)参照)。この枠ボタン22の押下に基づいて表示されるコメント表示は、コメントの内容とコメントの背景とで、大当たりとなる期待度を示唆するものである。
ここで、大当たりとなる期待度が高いことを示唆するコメント表示が表示された場合、その後の枠ボタン22の押下に基づいて表示されるコメント表示は、大当たりとなる期待度が高いものに固定される。例えば、1回目の枠ボタン22の押下に基づいて、背景が魚群のコメント表示が表示された後は、2回目、3回目の枠ボタン22の押下に基づいて表示されるコメント表示の背景も魚群となる(図123(b)参照)。これにより、大当たりとなる期待度が成り下がることがなく、遊技者の興趣を向上することができる。
次に、図124を参照して、第2制御例における連打系演出のSW演出について説明する。図124(a)及び(b)は、連打系演出のSW演出の表示内容を模式的に示した模式図である。
本第2制御例では、連打系演出のSW演出が実行されると、上述したコメント系演出のSW演出と同様に、変動表示が第3図柄表示装置81の左下部に縮小して表示され、SW演出における枠ボタン22の押下回数(本制御例では4回)に応じたPUSHボタンの絵柄が画面中央部に縦に並んで表示される。その後、枠ボタン22の押下に基づいて、PUSHボタンの絵柄が消去され、代わりに、特定の絵柄(本制御例ではクジラの絵柄)の一部または全部が表示されることとなる(図124(a)参照)。
上述したクジラの絵柄は、枠ボタン22の押下に基づいて、画面右側から画面中央へと移動する。例えば、1回目の押下に基づいて、画面右側からクジラの絵柄の1/4が表示され、2回目の押下に基づいて、クジラの絵柄の2/4が表示され、3回目の押下に基づいて、クジラの絵柄の3/4が表示され、4回目の押下に基づいて、クジラの絵柄が全て表示されることとなる(図124(b)参照)。このように連打系演出のSW演出では、クジラの絵柄が全て表示された場合は、大当たりとなることが示唆され、そうでない場合には大当たりとならないことが示唆されるものである。
次に、図125を参照して、SW演出においてタッチセンサによる検出があった場合に実行されるタッチ演出について説明する。このタッチ演出は、上述したコメント系演出と連打系演出とにおいて、枠ボタン22の押下によって大当たりとなる期待度の高い演出が実行される場合に実行されるものである。
まず、上述したコメント系演出または連打系演出において、SW演出における枠ボタン22の押下回数(本制御例では4回)に応じたPUSHボタンの絵柄が画面中央部に縦に並んで表示される(図125(a))。その後、タッチセンサによる検出があった場合に、枠ボタン22の押下に基づいて、大当たりとなる期待度の高い演出が表示されるPUSHボタンの絵柄が拡大されて表示される。
例えば、枠ボタン22の押下回数が4回のコメント系演出において、2回目の枠ボタン22の押下がされるとコメント予告の背景として魚群が表示される場合には、上から2番目のPUSHボタンの絵柄が拡大して表示されることとなる(図125(b))。ここで、各押下回数におけるSW演出の表示内容は、SW演出の開始時に先読みして取得することで、判定するものである。これにより、枠ボタン22を押下する前に、大当たりとなる期待度が高い演出(即ち、表示される確率の低い演出)が表示されることを報知することができるので、遊技者に対して枠ボタン22の押下を促すことができる。
<第2制御例における電気的構成について>
次に、図126から図129を参照して、第2制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図126は第2制御例の音声ランプ制御装置113におけるROM222とRAM223の内容を模式的に示した模式図である。
まず、図126(a)を参照して、音声ランプ制御装置113のROM222について説明する。音声ランプ制御装置113のROM222には、図126(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222a、役物連動演出テーブル222b、開閉パターン記憶エリア222c、背景抽選テーブル222d、SWシナリオ記憶エリア222e、SW演出選択テーブル222fが設けられており、その他、遊技の制御に必要な各種データやプログラム等が記憶されている。なお、変動パターン選択テーブル222aからSWシナリオ記憶エリア222eまでは第1制御例と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
SW演出選択テーブル222fは、上述したコメント系演出と連打系演出とのSW演出の表示内容を規定したものであり、当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1と、当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2と、外れ時コメント背景テーブル222f3と、外れ時固定コメント背景テーブル222f4と、当たり時固定コメント背景テーブル222f5と、コメントテーブル222f6と、連打系演出抽選テーブル222f7とが少なくとも設けられている。それぞれのテーブルについての詳細な説明は図127から図129を参照して、後述する。
図126(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のRAM223について説明する。本制御例における音声ランプ制御装置113のRAM223には、図126(b)に示すように、上述した第1制御例の各領域に加え、固定フラグ223r、SW押下カウンタ223sが設けられている。
固定フラグ223rは、後述するSW演出選択処理において(図131参照)、コメント系演出の固定条件が成立した場合にオンに設定される。この固定フラグ223rがオンに設定された場合は、その後のSW演出選択処理において選択されるSW演出は、固定テーブルより選択されることとなる。これにより、コメント系演出から連打系演出へと切り替わってしまうことを防ぐことができる。
なお、これに限られず、連打系演出において演出が切り替わらないようにしたい場合に、固定フラグ223rをオンするように構成してもよい。
SW押下カウンタ223sは、枠ボタン22が押下された回数をカウントするためのカウンタである。このSW押下カウンタ223sは、SW演出中に枠ボタン22が押下された場合に実行される、SW演出選択処理が実行される毎に1加算されるものであり、SW押下回数が上限値となった場合にSWシナリオがリセットされることとなる。
次に、図127から図129を参照して、SW演出選択テーブル222fの内容について説明する。まず、図127(a)を参照して、当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1の内容について説明する。図127(a)は、当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1の内容を模式的に示した模式図である。この当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1は、当否判定結果が当たりでノーマルリーチが実行される場合において、選択されるコメント系演出のコメント背景を規定するものである。このコメント背景は、枠ボタン22の押下回数と、演出カウンタとにより選択されるように規定されている。
ここで、コメント背景としては、コメント予告表示の表示領域が、青色で表示される「青背景」と、黄色で表示される「黄背景」、赤色で表示される「赤背景」、魚群柄で表示される「魚群背景」とがある。大当たりとなる期待度としては、「青背景」に比べて「黄背景」のほうが期待度の高いものであり、「黄背景」に比べて「赤背景」のほうが期待度の高いものであり、「赤背景」にくらべて「魚群背景」のほうが期待度の高いものである。
この当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1は、枠ボタン22の押下回数が1回目の場合に、演出カウンタ223jの値が、「0〜299」の場合は「青背景」が選択され、「300〜396」の場合は「黄背景」が選択され、「397〜398」の場合は「赤背景」が選択され、「399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。また、枠ボタン22の押下回数が2回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜249」の場合は「青背景」が選択され、「250〜349」の場合は「黄背景」が選択され、「350〜397」の場合は「赤背景」が選択され、「398〜399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。さらに、枠ボタン22の押下回数が3回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜149」の場合は「青背景」が選択され、「150〜299」の場合は「黄背景」が選択され、「300〜396」の場合は「赤背景」が選択され、「397〜399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。また、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合は、演出カウンタ223jが、「0〜249」の場合は「黄背景」が選択され、「250〜349」の場合は「赤背景」が選択され、「350〜399」の場合は「魚群背景」が選択され、「青背景」は選択されないものである。
次いで、図127(b)を参照して、当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2について説明する。図127(b)は、当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2の内容を模式的に示した模式図である。この当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2は、上述した当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1に比べ、大当たりとなる期待度の高いコメント背景が選択されるように規定されている。
この当たりスーパーリーチ時コメントテーブル背景222f2は、枠ボタン22の押下回数が1回目の場合に、演出カウンタ223jの値が、「0〜149」の場合は「青背景」が選択され、「150〜349」の場合は「黄背景」が選択され、「350〜397」の場合は「赤背景」が選択され、「398〜399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。また、枠ボタン22の押下回数が2回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜149」の場合は「青背景」が選択され、「150〜299」の場合は「黄背景」が選択され、「300〜396」の場合は「赤背景」が選択され、「397〜399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。さらに、枠ボタン22の押下回数が3回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜249」の場合は「黄背景」が選択され、「250〜349」の場合は「赤背景」が選択され、「350〜399」の場合は「魚群背景」が選択され、「青背景」は選択されないものである。また、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合は、演出カウンタ223jが、「0〜249」の場合は「赤背景」が選択され、「250〜399」の場合は「魚群背景」が選択され、「青背景」および「黄背景」は選択されないものである。
このように、当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2は、当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1に比べ、大当たりとなる期待度の高いコメント背景が選択され易いように規定されている。これにより、スーパーリーチのコメント系演出では、ノーマルリーチに比べ大当たりとなる期待度が高いものが表示されやすいようにできる。なお、本制御例では、スーパーリーチとノーマルリーチとで枠ボタン22の押下回数を同じ(4回)としたが、これに限られず、ノーマルリーチにおける枠ボタン22の押下回数が少なくなるようにしてもよい。これにより、スーパーリーチとノーマルリーチとで同一のテーブルを用いて背景表示を選択するようにしても、スーパーリーチはノーマルリーチに比べ、大当たりとなる期待度の高い演出となりやすい構成としつつ、ROM222の領域を節約することができる。
次いで、図128(a)を参照して、外れ時コメント背景テーブル222f3の内容について説明する。図128(a)は、外れ時コメント背景テーブル222f3の内容を模式的に示した模式図である。この外れ時コメント背景テーブル222f3は、上述した当たりノーマルリーチ時コメント背景テーブル222f1や、当たりスーパーリーチ時コメント背景テーブル222f2に比べ、大当たりとなる期待度の低いコメント背景が選択されるように規定されている。
この外れ時コメントテーブル背景222f3は、枠ボタン22の押下回数が1回目の場合に、演出カウンタ223jの値が、「0〜349」の場合は「青背景」が選択され、「350〜396」の場合は「黄背景」が選択され、「397〜398」の場合は「赤背景」が選択され、「399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。また、枠ボタン22の押下回数が2回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜299」の場合は「青背景」が選択され、「300〜396」の場合は「黄背景」が選択され、「397〜398」の場合は「赤背景」が選択され、「399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。さらに、枠ボタン22の押下回数が3回目の場合は、演出カウンタ223jの値が、「0〜249」の場合は「青背景」が選択され、「250〜349」の場合は「黄背景」が選択され、「350〜398」の場合は「赤背景」が選択され、「399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。また、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合は、演出カウンタ223jが、「0〜149」の場合は「青背景」が選択され、「150〜349」の場合は「黄背景」が選択され、「350〜397」の場合は「赤背景」が選択され、「398〜399」の場合は「魚群背景」が選択されるものである。
次に、図128(b)を参照して、外れ時固定コメント背景テーブル222f4の内容について説明する。図128(b)は、外れ時固定コメント背景テーブル222f4の内容を模式的に示した模式図である。この外れ時固定コメント背景テーブル222f4は、コメント系演出の固定条件が成立し、固定フラグ223rがオンとなった場合に、コメント系演出の選択に利用されるものである(図131のS6103)。また、この外れ時固定コメント背景テーブル222f4は、前回の背景種別と演出カウンタ223jとに基づいて、選択されるコメント背景が規定されているものである。
具体的には、前回のコメント背景の種別が「赤背景」である場合に、演出カウンタ223jの値の1桁目が、「0〜7」である場合は「赤背景」が選択され、「8〜9」である場合は「魚群背景」が選択される。また、前回のコメント背景の種別が「魚群背景」である場合は、演出カウンタ223jの1桁目が「0〜9」であれば(即ち、全ての場合において)「魚群背景」が選択される。これにより、コメント系演出の固定条件が成立した場合においては、コメント背景により示唆される大当たりとなる期待度が成り下がることはなく、遊技者の興趣を向上させることができる。
次いで、図128(c)を参照して、当たり時固定コメント背景テーブル222f5の内容について説明する。図128(c)は、当たり時固定コメント背景テーブル222f5の内容を模式的に示した模式図である。この当たり時固定コメント背景テーブル222f5は、上述した外れ時固定コメント背景テーブル222f4と同様に、コメント系演出の固定条件が成立した場合に利用されるものである。この当たり時固定コメント背景テーブル222f5は、当否判定結果が外れの場合に利用される外れ時固定コメント背景テーブル222f4と異なり、当否判定結果が当たりの場合に利用されるものである。
具体的には、前回のコメント背景の種別が「赤背景」である場合に、演出カウンタ223jの値の1桁目が、「0〜3」である場合は「赤背景」が選択され、「4〜9」である場合は「魚群背景」が選択される。また、前回のコメント背景の種別が「魚群背景」である場合は、演出カウンタ223jの1桁目が「0〜9」であれば(即ち、全ての場合において)「魚群背景」が選択される。これにより、コメント系演出の固定条件が成立した場合においては、コメント背景により示唆される大当たりとなる期待度が成り下がることはなく、遊技者の興趣を向上させることができる。
次に、図129(a)を参照して、コメントテーブル222f6の内容について説明する。図129(a)は、コメントテーブル222f6の内容を模式的に示した模式図である。このコメントテーブル222f6は、上述したコメント系演出において表示されるコメント予告の内容を規定したものである。
コメントテーブル222f6は、背景種別と演出カウンタ223jとに基づいて、表示するコメント予告の内容を規定したものである。具体的には、背景種別が「青背景」である場合において、演出カウンタ223jの値の一桁目が、「0〜3」である場合はコメント予告の内容として「がんばれ」が選択され、「4〜6」である場合はコメント予告の内容として「まだまだ」が選択され、「7〜8」である場合はコメント予告の内容として「いけいけ」が選択され、「9」である場合はコメント予告の内容として「もうすこし」が選択される。また、背景種別が「黄背景」である場合において、演出カウンタ223jの値の一桁目が、「0〜3」である場合はコメント予告の内容として「チャンス?」が選択され、「4〜6」である場合はコメント予告の内容として「おや?」が選択され、「7〜8」である場合はコメント予告の内容として「これは?」が選択され、「9」である場合はコメント予告の内容として「もしかして?」が選択される。さらに、背景種別が「赤背景」である場合において、演出カウンタ223jの値の一桁目が、「0〜3」である場合はコメント予告の内容として「チャンス!」が選択され、「4〜6」である場合はコメント予告の内容として「よし!」が選択され、「7〜8」である場合はコメント予告の内容として「いいよ!」が選択され、「9」である場合はコメント予告の内容として「そーれ!」が選択される。また、背景種別が「魚群背景」である場合において、演出カウンタ223jの値の一桁目が、「0〜3」である場合はコメント予告の内容として「大チャンス!!」が選択され、「4〜6」である場合はコメント予告の内容として「よーし!!」が選択され、「7〜8」である場合はコメント予告の内容として「すごいぞ!!」が選択され、「9」である場合はコメント予告の内容として「激アツ!!」が選択される。
このように、表示するコメント予告の内容は背景種別に基づいて選択されるため、コメント予告の内容とコメント背景とにより示唆される大当たりとなる期待度を一致させることができ、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。また、コメント背景とコメント予告の内容とを演出カウンタ223jに基づいて選択するようにしているが、コメント予告の内容の選択においては、演出カウンタ223jの値の一桁目に基づいて選択するようにしている。これにより、コメント背景とコメント予告との内容とをランダムに選択でき、コメント系演出において表示されるバリエーションを多くすることができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、本制御例では、コメント背景の種別に基づいてコメント予告の内容を選択するように構成したが、これに限られず、コメント背景の種別と無関係にコメント予告の内容を選択するように構成してもよい。また、先にコメント予告の内容を選択した後に、コメント予告の内容に基づいてコメント背景の種別を選択するように構成してもよい。
次いで、図129(b)を参照して、連打系演出抽選テーブル222f7の内容について説明する。図129(b)は、連打系演出抽選テーブル222f7の内容を模式的に示した模式図である。この連打系演出抽選テーブル222f7は、当否判定結果と枠ボタン22の押下回数と演出カウンタ223jの値とによって、特定の絵柄が表示されるか否かを規定しているものである。
具体的には、当否判定結果が当たりで、枠ボタン22の押下回数が1回目の場合において、演出カウンタ223jの値が、「0〜199」であれば特定の絵柄であるクジラの絵柄が1/4表示され(図124(a)参照)、「200〜399」であれば表示されない。また、枠ボタン22の押下回数が2回目の場合においては、演出カウンタ223jの値が、「0〜149」であればクジラの絵柄が2/4表示され、「150〜399」であれば前回の表示のままとなる。さらに、枠ボタン22の押下回数が3回目の場合においては、演出カウンタ223jの値が、「0〜119」であればクジラの絵柄が3/4表示され、「120〜399」であれば前回の表示のままとなる。また、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合においては、演出カウンタ223jの値が、「0〜99」であればクジラの絵柄が全て表示され大当たりとなることが報知され(図124(b)参照)、「100〜399」であれば前回の表示のままとなる。ここで、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合に、演出カウンタ223jの値が「100〜399」となり、クジラの絵柄が全て表示されなかった場合は、その後に別途大当たりとなったことが報知される。
一方、当否判定結果が外れで、枠ボタン22の押下回数が1回目の場合において、演出カウンタ223jの値が、「0〜199」であれば特定の絵柄であるクジラの絵柄が1/4表示され(図124(a)参照)、「200〜399」であれば表示されない。また、枠ボタン22の押下回数が2回目の場合においては、演出カウンタ223jの値が、「0〜99」であればクジラの絵柄が2/4表示され、「100〜399」であれば前回の表示のままとなる。さらに、枠ボタン22の押下回数が3回目の場合においては、演出カウンタ223jの値が、「0〜49」であればクジラの絵柄が3/4表示され、「50〜399」であれば前回の表示のままとなる。また、枠ボタン22の押下回数が4回目の場合においては、演出カウンタ223jの値に関わらず前回の表示のままとなり、大当たりの報知は表示されない。
上述したように、コメント系演出では、遊技者はコメントの内容を読むことにより、その内容や大当たりの期待度を認識するものであり、一方、連打系演出では、遊技者は特定の絵柄(本制御例ではクジラの絵柄)が全て表示されるか否かに着目すればよいため、コメント系演出は、連打系演出に比べて演出期間を長くしなければならない。本制御例では、後述するS6104の処理によって、SW有効時間が短くなった場合には、遊技者が短時間の演出でも認識可能な連打系演出が表示されるように構成されている。これにより、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。
<第2制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図130および図131を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各制御処理について説明する。本制御例におけるパチンコ機10は、第1実施例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される、枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)に代えて、枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)が実行される点で相違し、その他の点で同一である。以下、第1制御例と同一の要素には、同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図130を参照して、枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)の詳細について説明する。図130は、枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)を示すフローチャートである。この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)は、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信し、SW演出が選択された場合に実行される処理である。
この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)では、まず、SWシナリオ記憶エリア223oにSWシナリオがあるか否かを判別する(S6001)。S6001の処理において、SWシナリオがあると判別された場合は(S6001:Yes)、SWシナリオを更新し(S6002)、更新したSWシナリオに基づいて、SW有効期間であるか否かを判別する(S6003)。一方、S6001の処理において、SWシナリオがないと判別された場合は(S6001:No)、SW演出が実行されていない場合であるので、そのまま本処理を終了する。
S6003の処理において、SW有効期間であると判別された場合は(S6003:Yes)、演出カウンタ223jの値を取得し(S6004)、S6005の処理へ移行する。S6004の処理で取得した演出カウンタ223jの値は、後述するSW演出選択処理(S6006)において利用される。一方、S6003の処理において、SW有効期間でないと判別された場合は(S6003:No)、SW押下に基づく演出を実行するタイミングではないので、そのまま本処理を終了する。
S6005の処理では枠ボタン22の押下があったか否かを判別し(S6005)、枠ボタン22の押下があったと判別された場合は(S6005:Yes)、枠ボタン22の押下に基づく演出を実行するために、SW演出選択処理(S6006)を実行し、本処理を終了する。一方、S6005の処理において、枠ボタン22の押下がなかったと判別された場合は、タッチセンサがオンであるか否かを判別する(S6007)。
S6007の処理において、タッチセンサがオンであると判別された場合は(S6007:Yes)、上述したSW演出におけるタッチ演出(図125参照)を表示するために、表示用タッチセンサコマンドを設定し(S6008)、本処理を終了する。一方、S6007の処理において、タッチセンサがオフであると判別された場合は(S6007:No)、そのまま本処理を終了する。ここで、S6008の処理において設定された表示用タッチセンサコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図89参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用タッチセンサコマンドを受信すると、上述したSW演出におけるタッチ演出(図125参照)を第3図柄表示装置81に表示する。
次に、図131を参照して、SW演出選択処理(S6006)の詳細について説明する。図131は、SW演出選択処理(S6006)を示すフローチャートである。このSW演出選択処理は、SW演出の表示中において枠ボタン22が押下された場合に、表示する演出を選択する処理である。
SW演出選択処理(S6006)では、まず、SW押下カウンタ223sを1加算し(S6101)、固定フラグ223rがオンであるか否かを判別する(S6102)。S6102の処理において、固定フラグ223rがオンであると判別された場合は(S6102:Yes)、SW演出を固定する固定条件が成立している場合であるので、固定テーブル(222f4または222f5)より演出を選択し、S6110の処理へ移行する。
一方、S6102の処理において、固定フラグ223rがオフであると判別された場合は(S6102:No)、SWシナリオ格納エリア223oに格納されているSWシナリオに基づいて、SW有効時間が5秒以下であるか否かを判別する(S6104)。
S6104の処理において、SW有効時間が5秒以下であると判別された場合は(S6104:Yes)、残演出期間が短いため、コメント系演出と比較して演出期間を短く表示できる連打系演出を実行するために、連打系演出選択テーブル222f7より演出カウンタ223jとSW押下カウンタ223sとに基づいてSW演出を選択する。一方、SW有効時間が5秒より大きいと判別された場合は(S6104:No)、残演出期間が十分にあるため、コメント系演出選択テーブル(222f1,222f2,222f3,222f6)より演出カウンタ223jとSW押下カウンタ223sとに基づいてSW演出を選択する。ここで、コメント系演出の選択方法は、まず当否判別結果と変動パターン種別に応じたコメント背景テーブル(222f1〜222f3)より、コメント背景を選択し、その後、選択したコメント背景と演出カウンタ223jの値とに応じて、コメントテーブルよりコメント予告の内容を選択するものである。
S6106の処理を終えると、次いで、固定条件が成立したか否かを判別する(S6107)。具体的には、選択したコメント背景が「赤背景」または「魚群背景」の場合に、固定条件が成立したと判別する。これにより、大当たりとなる期待度として高い演出が表示されたにもかかわらず、その後、大当たりとなる期待度が著しく低い演出が表示されることによって、遊技者の遊技意欲を損なってしまうとの不具合を抑制することができる。なお、本制御例では、コメント背景の期待度が損なわれないように、固定条件を設定したが、これに限られず、例えば、コメント予告の内容としてストーリー性のあるもの(1回目から4回目の予告の内容が全て表示されて内容がわかるようになっているもの)が選択された場合に固定条件が成立するようにしてもよい。これにより、ストーリー性のあるコメント予告の内容が表示されたにもかかわらず、途中で連打系の演出に切り替わることによって、遊技者が困惑してしまうことを抑制できる。
S6108の処理において、固定条件が成立したと判別された場合は(S6107:Yes)、固定フラグ223rをオンに設定し(S6109)、S6110の処理へ移行する。一方、S6108の処理において、固定条件が成立していないと判別された場合は(S6108:No)、S6109の処理をスキップして、S6110の処理に移行する。
S6110の処理では、S6103、S6106またはS6107の処理において選択された演出を示す表示用押下演出コマンドを設定し(S6110)、SW押下カウンタ223sに基づいて、SW押下回数が上限値(本制御例では4回)であるか否かを判別する(S6111)。
S6111の処理において、SW押下回数が上限値であると判別された場合は(S6111:Yes)、SWシナリオ格納エリア223oをリセットし(S6112)、本処理を終了する。一方、S6111の処理において、SW押下回数が上限値でないと判別された場合は(S6111:No)、S6112をスキップして本処理を終了する。
<第2制御例における表示制御装置の制御処理について>
次に、図132を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される制御処理について説明する。本制御例におけるパチンコ機10は、第1制御例における表示制御装置114のMPU231によって実行される、予告演出コマンド(S2815)の一部処理が変更されている点で相違し、その他の点で同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
図132を参照して、予告演出コマンド処理(S2815)の詳細について説明する。図132は予告演出コマンド処理(S2815)を示すフローチャートである。この予告演出コマンド処理(S2815)は、音声ランプ制御装置113より受信した予告演出コマンドに対応する処理を実行するためのものである。
この予告演出コマンド処理(S2815)では、第1制御例と同じく、S4401からS4405の処理を実行する。S4405の処理において、表示用押下コマンドを受信したと判別された場合は(S4405:Yes)、設定されているSW演出の押下演出に対応する予告表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4406)、押下回数を更新した表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定して(S4450)、本処理を終了する。一方、S4405の処理において、表示用押下コマンドを受信していないと判別された場合は(S4405:No)、S4406とS4450との処理をスキップし、本処理を終了する。
このS4450の処理により、枠ボタン22の押下回数の応じた押下演出(図123,図124参照)を実行することができる。また、S4406の処理により、音声ランプ制御装置113より受信した押下コマンドに基づいて、連打系演出とコメント系演出とを切り替えることができる。
<第3制御例について>
次いで、図133から図141を参照して、第3制御例におけるパチンコ機10について説明する。上述の第2制御例におけるパチンコ機10では、変動パターンに基づいてSW演出が選択された場合に、複数回の枠ボタン22を押下する演出が実行される場合について説明した。具体的には、SW演出として、枠ボタン22の押下に基づいて、第3図柄表示装置81に表示されるコメントの内容やコメントの背景によって、大当たりの期待度を示唆するコメント系演出と、枠ボタン22の押下に基づいて、特定の絵柄が第3図柄表示装置81に表示されるか否かにより大当たりの期待度を示唆する連打系演出とが設けられている。このコメント系演出と連打系演出とは、所定の条件が成立した場合に切り替えられるものである。一方、本第3制御例では、枠ボタン22を連打する演出において、その押下回数や、SW有効時間の残り時間によって演出の選択される確率が異なる選択テーブルに切り替えられるように制御される点で相違する。なお、第2制御例と相違する点のみ説明し、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である点については、その説明を省略する。以下、第2制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図133〜図134を参照して、本第3制御例における第3図柄表示装置81で表示される枠ボタン22を使用した連打演出における表示態様の一例について説明する。本第3制御例では、SW予告演出を実行する変動パターンを音声ランプ制御装置113のMPU221が選択した場合に、その変動パターンに設定されているSW予告演出が設定されて、第3図柄の変動表示中に図133(a)に示すような枠ボタン22を連打させるように遊技者に報知する演出が実行される。本第3制御例におけるSW予告演出では、枠ボタン22を押下して抽選(演出を表示するか否かの抽選)に当選すると大当たりへの期待度を示す表示態様が表示される。
図133(a)は、SW予告演出の開始時に表示される表示態様である。SW予告演出が設定されている変動パターンが音声ランプ制御装置113のMPU221により選択されて、第3図柄の変動表示中に予め定められた所定のタイミングとなると枠ボタン22を押下させるSW予告演出の開始を遊技者に報知する表示態様(図133(a))が表示される。本第3制御例におけるSW予告演出では、図133(a)に示すように、高速で変動表示されていた第3図柄が右上に縮小表示され、その他の表示領域に、SW予告演出の表示態様が表示されるように構成されている。図133(a)に示すように、インジケータが表示され、そのインジケータ(メータ)が枠ボタン22を押下することで、可変(押下することによりインジケータのメモリの色が可変)して表示される。このインジケータのメモリは、枠ボタン22の押下に合わせて右のメモリから順に色が可変されて、MAXのメモリまで色が可変されると大当たりへの期待度が高いことが遊技者に報知される(図134(a)参照)。
また、SW予告演出の表示態様には、枠ボタン22を模した図柄が表示され、その上に「連打!!」の文字が表示されて、枠ボタン22を連打する遊技方法であることが報知されている。また、枠ボタン22を模した図柄の下には、枠ボタン22を押下できる残り時間(SW有効期間の残り期間)を示す残量メータMが表示される。この残量メータMは、SW有効時間の減少に合わせて内部の色が右から左へと可変されるように構成されている。SW予告演出の開始時には、残量メータMの内部が全て赤色で表示されているが、右側から順に白色に可変(赤色の表示が減少)して表示される(図133(b)参照)。全て内部が白色に可変されるとSW有効時間が終了したことを遊技者に報知している。また、SW予告演出の開始時には、SW予告演出の遊技説明(「メータをMAXにしろ!!」、「MAXになると激アツ!!」という文字表示が該当)がされる。その後、SW有効時間の開始となるが、それまでは、残量メータMの色は可変されず、SW有効時間が開始されていないことが遊技者に認識できる構成となっている。
図134(a)は、枠ボタン22を押下することにより演出の抽選に当選した場合に表示される表示態様の一例である。図134(a)に示すように、演出の抽選に当選した場合には、インジケータのMAXのメモリまで色が可変(白色から赤色に可変)され、大当たり期待度を示す「激アツ!!」の文字が表示される。一方、図134(b)に示すように、SW有効時間が経過して残り時間がなくなっても演出の抽選に当選できなかった場合には、「残念!」の文字が表示されて、大当たり期待度を報知する演出が表示されない。本制御例では、枠ボタン22を押下した場合に、演出の当たりであるかが毎回抽選される。その抽選確率は、変動表示されている変動パターンの抽選結果が当たりである場合の方が外れである場合よりも高く設定されており、「激アツ!!」の文字が表示されることで、大当たりとなる変動パターンが実行されているのでは、と期待することができる。
なお、本制御例では、SW予告演出が設定されている変動パターンは、当たりとなる変動パターンか、外れのスーパーリーチの変動パターンに限られている。よって、遊技者は、SW予告演出が実行されていると、必ずリーチとなることが認識でき、枠ボタン22を押下して、「激アツ!!」の文字を表示させることができれば、大当たりとなる変動パターンであることを期待することができる。
なお、本制御例では、第3図柄の変動中に大当たりの期待度を表示するように構成したが、それに限らず、抽選結果を直接報知するように構成してもよい。大当たりに限らず、演出上のポイントを付与して、そのポイントによって、演出上のアイテムを付与したり、二次元バーコード等を表示して、携帯電話等で取り込むことにより、インターネット上で待ち受け画像等の特典を得られるように構成してもよい。
次に、図135を参照して、本第3制御例における電気的構成について説明する。本第3制御例における電気的構成は、第2制御例に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222とRAM223との内容が変更されている。図135(a)は、本第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容を模式的に示した模式図である。本第3制御例におけるROM222では、第2制御例におけるROM222に対して、抽選テーブル222gが追加されている。その他の構成については、第2制御例と同一であるので、その説明は省略する。
図136(a)〜(f)を参照して、本第3制御例における抽選テーブル222gについて説明する。抽選テーブル222gは、第1抽選テーブル222g1、第2抽選テーブル222g2、第3抽選テーブル222g3、第4抽選テーブル222g4、第5抽選テーブル222g5、第6抽選テーブル222g6とで構成されている。第1〜第3抽選テーブル222g1〜g3は、枠ボタン22の押下回数によって演出の当選と判定される演出カウンタ223jの値の数が異なるように設定されている。また、各抽選テーブルでは、変動している特別図柄(第3図柄)の抽選結果が当たりである場合の方が当たりと判定される演出カウンタ223jの数が多く設定されている。
第1抽選テーブル222g1〜第3抽選テーブル222g3は、SW有効時間(本制御例では、10秒に設定)の残り時間が5秒より多い場合、及び5秒以下において10回以上枠ボタン22を押下している場合において選択される抽選テーブルである。第1抽選テーブル222g1は、枠ボタン22の押下回数が1回〜19回である場合に選択され、第2抽選テーブル222g2は、枠ボタン22の押下回数が20回〜39回である場合に選択され、第3抽選テーブル222g3は、枠ボタン22の押下回数が40回以上である場合に選択される抽選テーブルである。
第4抽選テーブル222g4〜第6抽選テーブル222g6は、SW有効時間の残り時間が5秒以下である場合に、枠ボタン22の押下回数が10回未満である場合に選択される抽選テーブルである。第4抽選テーブル222g4〜第6抽選テーブル222g6は、第1抽選テーブル222g1〜第3抽選テーブル222g3と抽選確率は同一に設定されているが、枠ボタン22の押下回数が半分に設定されている。よって、枠ボタン22の押下回数が少ない遊技者に対しても、演出に当たり易く設定することができるように構成されている。
なお、本制御例では、枠ボタン22の押下回数により、選択確率の異なる抽選テーブルを切り替えるように構成したが、それに限らず、図137(a)〜(c)に示すように、SW有効時間の残り時間によって、抽選確率の異なる抽選テーブルを切り替えるように構成してもよい。さらに、上記した、枠ボタン22の押下回数とSW有効時間の残り時間とでそれぞれ抽選テーブルを切り替える構成を合わせて構成するようにしてもよい。この場合には、枠ボタン22の押下回数が多ければ多いほど抽選確率は高く設定され、さらに残り時間が少なくなると、その抽選確率が高く設定される。これにより、枠ボタン22を押下する遊技者であれば、SW有効期間の間、枠ボタン22を押下し続けることで、演出に当選することができる可能性をより高くすることができる。
次に、図135(b)を参照して、本第3制御例における音声ランプ制御装置113のRAM223について説明する。本第3制御例におけるRAM223は、上述した第1制御例に対し、間隔カウンタ223t、インジケータレベル223u、順応済みフラグ223v、切替フラグ223wが追加されている点で相違し、その他の点で同一である。同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
間隔カウンタ223tは、上述したSW演出(図133参照)の実行中に、音声ランプ制御装置113のMPU201により実行されるメイン処理(図89参照)において周期的(4ms毎)に実行される、枠ボタン入力監視・演出処理3(図138参照)において、枠ボタン22の押下が無かった場合に1加算されるものである。この間隔カウンタ223tは、枠ボタン入力監視・演出処理3において参照され、間隔カウンタ223tの値が上限値(本制御例では750、即ち、3秒に相当)であると判別されると、インジケータレベル223uが1減算される。これにより、上述したSW演出(図133参照)の実行中に、枠ボタン22が所定時間(本制御例では3秒)押下されないと、インジケータレベルの表示が1減ることとなる。このインジケータレベルを表示する演出は、インジケータレベルが最大値まで増えることで、大当たりとなる期待度が高いことを示唆するものである。よって、遊技者にインジケータレベルが減少しないよう、枠ボタン22を継続的に押下するように促すことができ、遊技者が枠ボタン22を押下する意欲を向上させることができる。
インジケータレベル223uは、上述したSW演出(図133参照)において、表示させるインジケータの量を記憶しておくためのものである。具体的には、SW演出において表示されるインジケータは、左右方向に8個の領域に分かれており、左の領域から順に点灯されることとなる。本制御例では、インジケータレベル223uの値に基づいて、上述した8個の領域をどこまで点灯させるかを決定する。例えば。インジケータレベル223uの値が、「1」であれば一番左の領域のみが点灯され、「4」であれば一番左から4番目までの領域が点灯され、「8」であれば全ての領域が点灯される。
このインジケータレベル223uは、後述する枠ボタン入力監視・演出処理3(図138)、SW演出選択処理2(図140)またはSW演出選択処理3(図141)において設定されるものである。
順応済みフラグ223vは、上述したSW演出(図133参照)において、SW演出を選択するための抽選テーブル223gが切り替えられたか否かを判別するために利用するフラグである。この順応済みフラグ223vは、上述したSW演出のSW有効期間が5秒以下となった場合に実行される、SW押下順応処理(図139)において、枠ボタン22の押下回数が所定回数(本制御例では10回)未満である場合に、オンに設定されるものである。この場合、後述する切替フラグ223wがオンに設定され、SW演出を選択するテーブルが切り替えられることとなる。順応済みフラグ223vがオンになることにより、このSW演出を選択するテーブルの切り替えが行われたことを判別することができる。
切替フラグ223wは、上述したSW演出(図133参照)において、SW演出を選択するための抽選テーブル223gを切り替えるか否かを判別するために利用するフラグである。この切替フラグ223wは、上述したSW演出のSW有効期間が5秒以下となった場合に実行される、SW押下順応処理(図139)において、枠ボタン22の押下回数が所定回数(本制御例では10回)未満である場合に、オンに設定されるものである。この切替フラグ223wがオンになると、SW演出を選択する処理が、第1〜第3抽選テーブルを利用するSW演出選択処理2から、第4〜第6抽選テーブルを利用するSW演出選択処理3へと切り替わることとなる。これにより、SW演出において押下回数が少ない遊技者に対しても、大当たりとなる期待度の高い演出を表示することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
次に、図138〜図141を参照して、本第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される制御処理について説明する。なお、主制御装置110の制御処理については、第2制御例と同一であるのでその説明は省略する。
図138を参照して、本第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される枠ボタン入力監視・演出処理3(S1360)について説明する。図138は、この枠ボタン入力監視・演出処理3(S1360)の内容を示したフローチャートである。枠ボタン入力監視・演出処理3(S1360)では、S6001〜S6004までは、第2制御例における枠ボタン入力監視・演出処理2(S1350)と同一の処理が実行される。S6004の処理が実行された後には、SW有効期間の残り期間は5秒以下であるか判別する(S6050)。なお、このSW有効期間は、SWシナリオに設定されており、SWシナリオが更新されることで減算される。SW有効期間の残り期間が5秒以下であると判別した場合には(S6050:Yes)、SW押下順応処理を実行する(S6051)。このSW押下順応処理(S6051)の詳細については、図139を参照して後述する。
一方、S6050の処理において、SW有効期間の残り期間が5秒より多いと判別された場合は(S6050:No)、枠ボタン22の押下があったか否かを判別する(S6052)。S6052の処理において、枠ボタン22の押下があったと判別された場合は(S6052:Yes)、間隔カウンタ223tをリセットし(S6053)、SW演出選択処理2を実行して(S7008)、本処理を終了する。このSW演出選択処理2(S7008)の詳細については、図140を参照して後述する。
S6052の処理において、枠ボタン22の押下がなかったと判別された場合は(S6052:No)、間隔カウンタ223tを1加算し(S6055)、その間隔カウンタ223tが上限であるか否かを判別する(S6056)。S6056の処理において、間隔カウンタが上限値であると判別された場合は、インジケータレベル223uを1減算し(S6057)、その更新したインジケータレベル223uを示す表示用コマンドを設定し(S6058)、間隔カウンタ223tをリセットして(S6059)、本処理を終了する。
一方、S6056の処理において、間隔カウンタが上限値でないと判別された場合は、S6057からS6059の処理をスキップして、本処理を終了する。
ここで、図139を参照して、枠ボタン入力監視・演出処理3(S1360)の詳細について説明する。図139は、枠ボタン入力監視・演出処理3(S1360)内の一処理であるSW押下順応処理(S6051)の内容を示したフローチャートである。
SW押下順応処理(S6051)では、まず、順応済みフラグ223vがオンであるか判別する。この順応済みフラグ223vは、SW有効期間の前半(残り期間が10秒〜5秒まで)の枠ボタン22の押下回数により、遊技者の押下状態を判別する処理(S7002〜S7004の処理)が実行されているか否かを示すフラグである。順応済みフラグ223vがオフであると判別した場合には(S7001:No)、順応済みフラグ223vをオンに設定する(S7002)。SW押下回数カウンタ223sの値が10未満であるか判別する(S7003)。SW押下回数カウンタ223sの値が10未満であると判別した場合には(S7003:No)、S7005の処理を実行する。一方、SW押下回数カウンタ223sの値が10以上であると判別した場合には(S7003:Yes)、切替フラグ223wをオンに設定する(S7004)。その後、S7005の処理を実行する。切替フラグ223wは、遊技者の枠ボタン22の前半の押下回数が少ないので、押下回数が少なくても抽選テーブルが切り替えるように設定することを示すフラグである。
S7005では、枠ボタン22を押下したか否かを判別する(S7005)。枠ボタン22を押下していないと判別した場合には(S7005:No)、この処理を終了する。一方、枠ボタン22を押下したと判別した場合には(S7005:Yes)、切替フラグ223wをオンであるか判別する(S7006)。切替フラグ223wがオフであると判別した場合には(S7006:No)、SW演出選択処理2を実行し(S7008)、本処理を終了する。このSW演出選択処理2(S7008)の詳細ついては、図140を参照して後述する。
一方、S7006の処理において、切替フラグ223wがオンであると判別された場合は(S7006:Yes)、SW演出選択処理3を実行し(S7007)、本処理を終了する。このSW演出選択処理2(S7007)の詳細ついては、図141を参照して後述する。
ここで、図140を参照して、SW演出選択処理2(S7008)の詳細について説明する。図140は、このSW演出選択処理2(S7008)の内容を示したフローチャートである。このSW演出選択処理2(S7008)は、上述したように、枠ボタン入力監視・演出処理3(図138参照)およびSW押下順応処理(S6051)において実行される処理である。
SW演出選択処理2(S7008)では、まず、SW押下カウンタ223sの値に1加算して更新する(S7101)。第1抽選テーブル222g1が設定されているか判別する(S7102)。第1抽選テーブル222g1が設定されていると判別した場合には(S7102:Yes)、SW押下カウンタ223sの値が20未満であるか判別する(S7103)。SW押下回数カウンタ223sの値が20未満であると判別した場合には(S7103)、抽選テーブルの切り替えは行わずにS7108の処理を実行する。一方、S7103の処理において、SW押下カウンタ223sの値が20以上であると判別した場合には(S7103:Yes)、第2抽選テーブル222g2に切り替えて設定する(S7104)。その後、S7108の処理を実行する。
S7102の処理において、第1抽選テーブル222g1が設定されていないと判別した場合には(S7102:No)、第2抽選テーブル222g2が設定されているか判別する(S7105)。第2抽選テーブル222g2が設定されていると判別した場合には(S7105:Yes)、SW押下回数カウンタ223sの値が40未満であるか判別する(S7106)。一方、S7105の処理において、第2抽選テーブル222g2が設定されていないと判別された場合は(S7105:No)、S7108の処理へ移行する。
S7106の処理において、SW押下カウンタ223sの値が40未満であると判別された場合は(S7106:Yes)、第3抽選テーブル223g3に切り替えて設定し(S7107)、S7108の処理へ移行する。一方、SW押下カウンタ223sの値が40以上であると判別された場合は(S7106:No)、S7107の処理をスキップしてS7108の処理へ移行する。
S7108の処理では、実行中の変動表示に係る当否判定結果が当たりであるか否かを判別する(S7108)。S7108の処理において、判定結果が当たりであると判別された場合は(S7108:Yes)、インジケータレベルを8に設定し(S7109)、その設定したインジケータレベルを示す表示用コマンドを設定し(S7110)、報知音、ランプデータを設定し(S7111)、SW有効時間をリセットして(S7112)本処理を終了する。
一方、S7108の処理において、判定結果が当たりでないと判別された場合は(S7108:No)、インジケータレベル223uが6以下であるか否かを判別する(S7113)。S7113の処理において、インジケータレベル223uが6以下であると判別された場合は(S7113:Yes)、インジケータレベル223uを1加算し(S7114)、その加算したインジケータレベル223uを示す表示用コマンドを設定し(S7115)、本処理を終了する。
ここで、S7110およびS7115において設定されたインジケータレベル223uを示す表示用コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図89参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、この表示用コマンドを受信すると、第3図柄表示装置81に受信したコマンドのインジケータレベル223uに応じてSW演出を実行する(図133参照)。
一方、S7113の処理においてインジケータレベル223uが6より大きいと判別された場合は(S7113:No)、S7114およびS7115の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図141を参照して、SW演出選択処理3(S7007)の詳細について説明する。図141は、SW演出選択処理3(S7007)を示すフローチャートである。このSW演出選択処理3(S7007)は、上述したSW押下順応処理(図139)において、切替フラグ223wがオンである場合に、SW演出を選択するために実行される処理である。
このSW演出選択処理3は(S7007)は、上述したSW演出選択処理2(S7008)と第1抽選テーブルに代えて第4抽選テーブルを、第2抽選テーブルに代えて第5抽選テーブルを、第3抽選テーブルに代えて第6抽選テーブルを使用する点において相違し、その他の点で同一であるため、その詳細な説明を省略する。
このように、本制御例では、枠ボタン22を連続して押下する連打演出において、その連打回数によって演出を表示すると判別する確率を変更する処理をテーブルの切り替えによって行うように構成した。よって、簡易な処理で選択確率が変更できるので、遊技の興趣を変えることができる。
なお、本実施形態では、特別図柄の変動時間中に実行される予告演出で所定の演出が連打することで表示される場合について説明したがそれに限らず、第3図柄では、大当たりとなった場合に、確変大当たりであるか、通常大当たりであるかを報知せず、大当たり遊技中や通常の遊技中等に枠ボタン22を連打することで、確変が付与されるか(確変遊技状態であるか)を遊技者に抽選により報知するようにする演出で用いるように構成してもよい。このような場合にも、枠ボタン22を連打できる期間を設定しておき、その期間における連打回数や有効時間の残り時間等で演出を報知するか否かの抽選テーブルを切り替えて設定するように構成することで、枠ボタン22を押下した場合に演出が報知されるタイミングをランダムにすることができる。また、枠ボタン22の連打回数が少なかったり、連打速度が遅い遊技者には、選択確率が高いテーブルを切り替えて設定することで、遊技者に合わせた演出を行うことができる。
<第4制御例について>
次いで、図142から図146を参照して、第4制御例におけるパチンコ機10について説明する。上述の第1制御例におけるパチンコ機10では、周期的に遊技球が特定入賞装置650の入口部651aへと案内された場合における第2特定入賞口650bへ案内される構成について説明した。一方本第4制御例では、遊技球が特定入賞装置650の入口部651aへランダムに案内される構成において、第2特定入賞口650bへ入球し易くなる場合と、第2特定入賞口650bに入球し難く制御する場合とについて設定された構成について説明する。なお、第1制御例と相違する点のみ説明し、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である点については、その説明を省略する。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
図142は、本第4制御例における特定入賞装置650の入口部651aに遊技球が案内される場合における特定入賞装置650の入球規制板654の開放パターンと、案内された遊技球の入球、非入球のパターンをそれぞれ示したタイミングチャートである。図142(a)は、大当たりC(16ラウンド大当たり)が選択された場合における1ラウンドから2ラウンドの入球の仕方を示したタイミングチャートである。図142(a)に示すように、大当たりCでは、1ラウンド目で入球規制板654の1秒間の開放動作が行われ、2ラウンド目では1.6秒間の開放動作が行われる。その後、10秒間のインターバル(入球規制板654の閉鎖動作)後、3ラウンド目が実行される。3ラウンド目以降は、30秒の開放または10球の遊技球が第1入球センサ652aまたは第2入球センサ652bに検出されるまで(第1特定入賞口650aまたは第2特定入賞口650bに10球入球するまで)実行される。
なお、これに限られず、特定入賞装置650の入口部651aに10球入球するまでとしても良い。その場合、特定入賞装置650の入口部651aに10球入球した後には、特定入賞装置650の入口部への入球を規制する手段を設けても良い。
1ラウンド目と2ラウンド目との間のインターバル時間(入球規制板654の閉鎖時間)は、1秒間で構成されている。その間に第1特定入賞口650aに流下した遊技球は、第1特定入賞口650aには入球できず、迂回流路653へと流下する。迂回流路653を流下して第2特定入賞口650bに到達するまでの迂回時間は、1.6秒で構成されているので、1ラウンド後の閉鎖時にすぐに到達した遊技球であっても、閉鎖時間の間に第2特定入賞口650bに到達するころには、入球規制板654は開放時間となっている。よって、第2特定入賞口650bへ向かった遊技球は第2特定入賞口650bに入球することができる。また、2ラウンド目の開放期間は1.6秒に設定されているので、2ラウンド目の開始間際に第1特定入賞口650aに到達して、迂回流路653へと流下した遊技球であっても、第2特定入賞口650bへと入球することができる。よって、インターバル期間中(閉鎖時間中)に第1特定入賞口650aに誘導された遊技球は、すべて2ラウンド目に第2特定入賞口650bに入球することができるように構成されている。
図142(b)を参照して、本第4制御例における小当たり(2ラウンド)の場合に第2特定入賞口650bへの入球状態を示したタイミングチャートである。小当たりは、2ラウンドの遊技で構成されている。1ラウンド目と2ラウンド目の開放期間は1秒間で設定されており、1ラウンド目と2ラウンド目とのインターバル期間は0.6秒間で設定されている。このように、大当たりCの1ラウンド目〜2ラウンド目と小当たりの1ラウンド目〜2ラウンド目とは、開放期間とインターバル期間とがわずかに異なるのみであり、この違いは、ごく短時間の違いであるため、遊技者には違いを判別することが困難に構成されている。よって、第3図柄表示装置81でも、小当たりと大当たりCとの違いを見分けることが困難に構成されているので、遊技者は、当たり遊技の開始がされた場合に、小当たりである大当たりCであるかを判別することは難しい。
小当たりのインターバル期間は、0.6秒間であり、さらに2ラウンド目の開放期間は1秒であるので、その加算した時間は1.6秒間であり、迂回に要する期間も1.6秒で構成されているので、迂回した遊技球が2ラウンド目に第2特定入賞口650bに入球することができない構成となっている。よって、小当たり遊技の2ラウンドでは、第1特定入賞口650aに入球することはあっても、第2特定入賞口650bに入球し難く構成されている。
本第4制御例では、大当たりCと小当たりの2ラウンド終了後のインターバル期間(10秒)でこの当たり遊技が大当たりCであるか否かの演出が第3図柄表示装置81を使用して行われる。この演出では、1ラウンドから2ラウンドの間に第2特定入賞口650bに入球した遊技球の数が多ければ多いほど、遊技者に有利となるような演出が表示される。具体的には、敵が表示されて、主人公がその敵と戦い勝てれば、大当たりCであることが報知される。この場合に、第2特定入賞口650bに入球した数によって、主人公のライフゲージが多く設定される。よって、敵から攻撃を受けても負けてしまい難く構成される。このように、本制御例では、1〜2ラウンドの遊技中に大当たりCであるかを早期に遊技者が知ることができる権利が付与されるように構成されているので、遊技球を大量に得ることができない開放パターンの期間も遊技者に遊技球を発射させて遊技を行わせることができる。
次に、図143〜図146を参照して、本第4制御例における制御処理について説明する。まず、図143を参照して、本第4制御例における主制御装置110のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図143は特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。第4制御例における特別図柄変動処理が、上述した第1制御例に対し、抽選結果が小当たりであるか否かを判別し(S250)、抽選結果が小当たりであった場合に(S250:Yes)、小当たりの開始を設定する(S251)点でのみ相違し、その他の点で同一である。同一の部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
次に、図144を参照して、本第4制御例における主制御装置110のMPU201により実行される大当たり制御処理2(S1050)について説明する。図144は、主制御装置110のMPU201により実行される大当たり制御処理2(S1050)の内容を示したフローチャートである。この大当たり制御処理2(S1050)では、第1制御例では、大当たりのみの制御であったのが、小当たりの制御についても加えられている。具体的には、S1150とS1151の処理において大当たりまたは小当たりの開始であるか判断し、S1151の処理においても大当たり中、小当たり中であるか判別するように構成されている。その他の部分は同一であり、同一の部分には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
次に、図145を参照して、本第4制御例における大当たりコマンド処理(S1412)について説明する。図145は、この大当たりコマンド処理2(S1420)を示したフローチャートである。この大当たりコマンド処理2(S1420)では、第1制御例における大当たりコマンド処理(S1420)に対して、S1810の処理がラウンド間処理(S1850)に変更されている。このラウンド間処理(S1850)について、図146を参照して詳細について説明する。
図146は、このラウンド間処理(S1850)の内容を示したフローチャートである。ラウンド間処理(S1859)では、まず、ラウンド中フラグ223mをオフに設定する(S8001)。その後、小当たりまたは大当たりCであるか判別する(S8002)。小当たりまたは大当たりCであると判別した場合には(S8002:Yes)、2ラウンド目の終了タイミングであるか判別する(S8003)。2ラウンド目の終了タイミングであると判別した場合には、実行している大当たり種別(大当たりCであるか、小当たりであるか)と第2特定入賞口650bへの入球個数とを示した表示用コマンドが設定される(S8004)。S8004にて設定された表示用コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図89参照)のコマンド出力処理(S1402)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用コマンドを受信すると、大当たり種別に基づいて、主人公が勝利するか、敵が勝利するか、また、第2特定入賞口650bへの入球個数に対応したライフゲージの表示設定が実行される。
一方、S8002の処理において、小当たりまたは大当たりCでないと判別した場合(S8002:No)、S8003の処理において、2ラウンド目の終了タイミングでないと判別した場合には(S8003:No)、この処理を終了する。
なお、本第4制御例では、小当たりでは、ラウンド間の遊技球が第2特定入賞口650bに入球しないように構成したが、それに限らず、1球程度入賞可能なように、2ラウンド目の開放期間を1.2秒等に設定してもよい。このように構成することで、小当たりであっても大当たりCであることの期待感をより持続させることができる。
また、上述した迂回流路654において、遊技球の流下速度が低下するように路面の摩擦係数が高くなるように、例えば、路面部分に、摩擦係数の高い素材を用いたり、凹凸を設けたりしてもよい。これにより、遊技球が迂回流路654を通過するのに必要な時間が増加することで、インターバル時間が長くなった場合においても、インターバル時間中に遊技球が迂回流路654に滞在することとなるので、その後、インターバル時間が終了し、第2特定入賞口650bに入球するようにできる。
さらに、上述した迂回流路は通過時間が可変されるように構成してもよい。例えば、通過時間の異なる迂回流路を複数設け、遊技球がそれらの迂回流路に振り分けられるようにしてもよいし、迂回流路内に可動する可動壁部を設け、その可動壁部が可動することにより迂回流路を通過する時間が変化するようにしてもよい。そのほか、迂回流路内に遊技球の通過時間がランダムとなるような機構、例えば、クルーンなどを設けるようにしてもよい。これにより、迂回流路の通過時間にバリエーションを持たせることができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、上述した特定入賞装置650内に設けられる特定入賞口は2つに限られず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。さらに、特定入賞装置650内に設けられる特定入賞口は、特定入賞口に限られず、特別図柄の始動を開始するための始動入賞口であってもよいし、入球に基づいて所定の賞球が支払われる一般入賞口であってもよいし、それらを組み合わせたものであってもよい。
また、上述した第1から第4制御例では、第1入賞口64と第2入賞口640への入球に基づいて、同一の特別図柄についての抽選を行うように構成したが、第1入賞口64と第2入賞口640への入球に基づいて、例えば、第1入賞口64への入球に基づいて第1特別図柄の抽選を行い、第2入賞口640への入球に基づいて第2特別図柄の抽選を行うように構成してもよい。これにより、遊技のバリエーションを増やすことができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
さらに、上述した第1から第4制御例では、主制御装置110からのコマンドを受信した音声ランプ制御装置113により、各種演出が実行されるように構成したが、これに限られず、各種演出を主制御装置110により実行するよう構成してもよい。これにより、コマンドの授受が不要となるため、設計コストを低減することができる、安価な遊技機を提供することができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<駆動ギア473と切り欠き部422dとが重なる技術思想の一例>
ベース部材に支持され側面にギア歯が刻設されると共に互いに歯合される第1ギア部材および第2ギア部材を備え、少なくとも前記第1ギア部材は回転ギアから形成され、前記第2ギア部材は、前記ギア歯の側面に覆設される板状部を備え、その板状部が、前記第1ギア部材の回転軸方向視において前記第1ギア部材の前記ギア歯であって前記第2ギア部材と歯合している前記ギア歯に重なり可能に形成される遊技機であって、前記板状部は、前記第2ギア部材のギア歯の歯先側から歯底側へえぐられて形成される切り欠き部を備え、前記切り欠き部と前記第1ギア部材とが所定位置に配置されることで、少なくとも前記第1ギア部材と前記板状部とが前記第1ギア部材の回転軸方向視で間隔を空けて視認される特定位相位置を形成可能であることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、互いに歯合される一対のギア部材の内の一方のギア部材のギア歯の側面に板状部が形成されることで、一対のギア部材の内の一方のギア部材の反対側のギア部材である他方のギア部材の軸方向への移動を防止する遊技機がある(例えば特開2012−217702号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、他方のギア部材を抜き取る際に、一方のギア部材を予め抜き取る必要があった。そのため、メンテナンス性が低くなるという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、板状部に切り欠き部が形成されることで、少なくとも特定位相位置において第1ギア部材の回転軸方向視で板状部と第1ギア部材とが間隔を空けて視認される。そのため、特定位相位置において、第1ギア部材を板状部の切り欠き部を通して引き抜くことができるので、第2ギア部材を予め抜き取ることなく第1ギア部材を交換することができる。よって、歯合される一対のギア部材のメンテナンス性を向上させることができる。
なお、第1ギア部材が回転ギアで形成されているので、板状部が形成される第2ギア部材は、回転ギアであってもラックギアであっても良い。
遊技機A1において、前記切り欠き部は、前記第2ギア部材の歯先側において、その第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った形成幅が、前記第2ギア部材の歯先を連ねた外形と前記第1ギア部材の歯先円とが交差する点間の前記第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った距離と、同等か若干大きく設定されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、第1ギア部材の回転軸方向視において第1ギア部材が切り欠き部と重なる期間を最小限に短くすることができる。これにより、第1ギア部材が回転軸方向に移動することを規制する作用を板状部により確保することができる。
なお、切り欠き部の形状は特に限定されるものではなく、円弧状でもよいし、矩形状でもよい。
また、第2ギア部材のギア歯の大きさは均一である必要は無い。例えば、第2ギア部材が周方向に4分割され、その分割された部分ごとにギア歯の大きさ(特に歯たけ)が異なって形成される場合、小さなギア歯の歯先円と第2ギア部材の歯先を連ねた外形とが交差する点間の距離で切り欠き部を形成することで、大きなギア歯の歯先円を基に切り欠き部を形成する場合に比較して、切り欠き部が大型化することを抑制することができる。従って、第1ギア部材が回転軸方向に移動することを規制する作用を板状部により確保することができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
遊技機A1又はA2において、前記切り欠き部は、前記第1ギア部材と同軸に形成される円であってその第1ギア部材の歯先円より若干大きな直径に形成される円を、前記第1ギア部材の回転軸方向から前記板状部に投影した場合に重なる形状で形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A1又はA2の奏する効果に加え、切り欠き部は、第1ギア部材の歯先円より若干大きな直径に形成されると共に第1ギア部材と同軸の円を第1ギア部材の回転軸方向から板状部に投影した場合に重なる形状に形成される。そのため、切り欠き部の大きさを最小限に抑えると共に、板状部の形成面積を最大限に確保することができ、板状部の剛性を向上させることができる。
なお、第2ギア部材のギア歯の大きさは均一である必要は無い。例えば、第2ギア部材が周方向に4分割され、その分割された部分ごとにギア歯の大きさ(特に歯たけ)が異なって形成される場合、小さなギア歯の歯先円と第2ギア部材の歯先を連ねた外形とが交差する点間の距離で切り欠き部を形成することで、大きなギア歯の歯先円を基に切り欠き部を形成する場合に比較して、切り欠き部が大型化することを抑制することができる。従って、板状部の形成面積を最大限に確保することができ、板状部の剛性を向上させることができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
遊技機A2又はA3において、前記第1ギア部材に刻設される前記ギア歯と前記第2ギア部材に刻設される前記ギア歯とは、噛み合うギア歯の関係が固定される適正歯合状態を形成するものであって、その適正歯合状態は、前記第1ギア部材を、前記第2ギア部材に形成される前記切り欠き部に沿って移動させると共に前記第2ギア部材に歯合させることで形成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、第2ギア部材の板状部の切り欠き部の外形に沿って第1ギア部材を移動させ、第1ギア部材と第2ギア部材とを歯合させると、ギア歯が適正歯合状態で歯合される。
そのため、適正歯合状態に第1ギア部材と第2ギア部材とを歯合させる場合において、板状部の切り欠き部で第1ギア部材と第2ギア部材との歯合時の位置合わせを行うことができる。これにより、第1ギア部材と第2ギア部材との噛み合わせ調整を容易にすることができるので、ギア交換のメンテナンス性を向上することができる。
なお、第1ギア部材と第2ギア部材とが相互に噛み合う歯の関係が固定される場合とは、歯合される回転ギア部材が側面の一部に歯が刻設される不完全ギアである場合や、回転ギア部材に対して往復移動する移動ラック部材が歯合される場合などが例示される。
なお、ギア交換時には、例えば、第1ギア部材の各歯を第2ギア部材のどの歯に歯合させるかが問題となるが、この場合に、相互に噛み合う歯の関係において適正歯合状態に歯合させるためには、相互に噛み合うギア歯が少なくとも一歯ずれることを抑制できればよい。
遊技機A1からA4において、少なくとも前記特定位相位置において、前記第1ギア部材または前記第2ギア部材の少なくとも一方のギア部材の移動抵抗が増加することを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A1からA4の奏する効果に加え、少なくとも前記特定位相位置において、第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方のギア部材の移動抵抗が増加する。そのため、メンテナンス作業者は移動抵抗が増加することを頼りに作業することで、例えば一対のギア部材を噛み合わせる(適正歯合位置でギア部材を嵌め込む)作業を容易とすることができる。
即ち、第1ギア部材と第2ギア部材とが移動の途中で止まった状態において、板状部の切り欠き部が第1ギア部材と合致していない場合には、第1ギア部材を抜き取ろうとしても、板状部が邪魔となり抜き取ることができない。そのため、第2ギア部材を移動させる必要がある。この場合に、抵抗が増加する位置まで第2ギア部材を移動させることで、板状部の切り欠き部を第1ギア部材と合致する位置に形成させることができ、第1ギア部材を抜き取ることが容易となる。
なお、移動抵抗が増加する場合としては、例えば、特定位相位置において第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方と擦れる摩擦部材が配設される場合や、特定位相位置において第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方が移動終端に到達する場合等が例示される。
遊技機A1からA4において、前記第1ギア部材および前記第2ギア部材がそれぞれ移動終端まで移動される態様で形成され、それぞれの前記移動終端に前記第1ギア部材および前記第2ギア部材が配置された場合に、前記第1ギア部材の回転軸方向視において前記板状部と前記第1ギア部材とが少なくとも一部重なることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1からA4のいずれかの奏する効果に加え、第1ギア部材と第2ギア部材とが移動終端に配置された場合に、第1ギア部材の回転軸方向視において板状部と第1ギア部材とが少なくとも一部重なる。即ち、第1ギア部材および前記第2ギア部材の移動終端と異なる位置に特定位相位置(切り欠き部が第1ギア部材と合致する状態)が形成される。そのため、第1ギア部材および第2ギア部材が移動され、特定位相位置に第1ギア部材が差し掛かる際には第1ギア部材は十分な回転方向(軸垂直方向)への速度を備えている。よって、特定位相位置において発生しがちな第1ギア部材のぐらつきを、第1ギア部材の回転方向の勢いで緩和させることができる。
遊技機A1からA6において、駆動力を発生する駆動モータを備え、前記第1ギア部材は引き抜き可能な態様で前記駆動モータに軸支され、その駆動モータと前記第1ギア部材との間の層に前記板状部が形成されることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A1からA6の奏する効果に加え、第1ギア部材が引き抜き可能な態様で駆動モータに軸支される。
ここで、板状部が形成される側から第1ギア部材を第2ギア部材に歯合させようとしても、第1ギア部材が板状部に当接され移動が防止されるので、第1ギア部材と前記第2ギア部材とを歯合させることができない。そのため、駆動モータに第1ギア部材が軸支される場合は、駆動モータの配設位置が限定される恐れがあった。
これに対し、遊技機A7によれば、板状部の切り欠き部を第1ギア部材が通過できるので、駆動モータの配設位置が板状部との関係で限定されることはなく、駆動モータの配設自由度を向上させることができる。
また、駆動モータと第1ギア部材との間の層に第2ギア部材の板状部が形成されるので、駆動モータの交換の際に、駆動モータと第1ギア部材とを合わせて外すか、駆動モータだけを外すかを選択することができる。
即ち、板状部に第1ギア部材を当接させたまま駆動モータを引き抜くことで、駆動モータと第1ギア部材とを容易に分離させることができる。このように駆動モータを交換することで、第1ギア部材と第2ギア部材との歯合状態を維持したまま駆動モータを交換することができ、第1ギア部材と第2ギア部材との再度の噛み合わせ調整を不要とすることができる。これによりメンテナンス性を向上させることができる。
なお、第1ギア部材が駆動モータから引き抜き可能な態様で軸支される場合としては、第1ギア部材が駆動モータの駆動軸に外嵌固定される場合や、駆動モータの駆動軸の先端に配設されたアダプタから複数のピンが突設されると共に第1ギア部材にそれらの複数のピンが差し込まれる場合等が例示される。
遊技機A7において、前記第1ギア部材は、一方の端部が前記駆動モータの駆動軸に固着される軸部と、その軸部の前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部に連結される回転体部とを備え、前記軸部と前記回転体部とは分離可能に形成され、前記軸部は、前記他方の端部の端面から軸心方向に突設される複数の突設ピンを備え、前記回転体部は、前記複数の突設ピンがそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を備え、前記軸部と前記回転体部との連結は、前記複数の突設ピンが前記複数の嵌合部に嵌合されることで形成されることを特徴とする遊技機A8。
ここで、第1ギア部材を板状部に当接させて駆動モータの駆動軸から直接引き抜くためには、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との間で生じる静止摩擦以上の力が必要となり、その静止摩擦以上の力が第1ギア部材に当接される板状部を通して第2ギア部材に付加される。静止摩擦は、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との位相関係を維持するために大きく設定されるので、板状部が変形したり駆動モータに過大な応力が付加されたりする恐れがある。
これに対し、遊技機A8によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、駆動モータの駆動軸に固着される軸部の端部に突設ピンが複数突設されると共に回転体部に突設ピンが嵌合される嵌合部が複数形成される。即ち、軸部と回転体部とが複数点で係合されることで、静止摩擦を大きくすることなく、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との位相関係を維持することができる。
そのため、駆動モータと第1ギア部材の回転体部とを分離するために必要な力を小さくできる。よって、第2ギア部材の板状部が変形したり駆動モータに過大な応力が付加されたりすることを防止する事ができる。
なお、嵌合部としては、貫通孔や、有底筒状に形成される窪みが例示される。
遊技機A7又はA8において、前記駆動モータに近接して配設されると共に、その駆動モータのモータケースの側面に沿って前記駆動モータの前記駆動軸の延設方向の反対方向へ延設される規制部を備えることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A7又はA8の奏する効果に加え、駆動モータを第1ギア部材から引き抜く際に、駆動モータの側面に沿って延設される規制部に駆動モータを押し当てながら引き抜くことができる。これにより、駆動モータの軸心が第1ギア部材に対して傾くことを抑制することができ、第1ギア部材が変形することを抑制することができる。
遊技機A9において、前記規制部が前記駆動モータのモータケースを間に挟んで一対で形成され、その一対の規制部の内の一方の規制部の延設端は、前記駆動モータの前記モータケースの端面であって前記駆動軸が配設される端面の反対側の端面より前記駆動軸側に形成されることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、一対で形成される規制部の内の一方の規制部の延設端が駆動モータのモータケースの端面よりも駆動軸側に形成されるので、一方の規制部の延設端を駆動モータの引き抜きの支点として有効に利用することができる。即ち、規制部の延設端と駆動モータの側面とは隣接配置されるので、規制部の延設端を支点とすると共に駆動モータの側面を作用点として駆動モータに力を加える場合に支点と作用点との距離を最短とすることができる。それにより、引き抜きに要する力を抑えることができる。
また、一方の規制部の延設端を支点として駆動モータを引き抜く場合に、一方の規制部の反対側の規制部に駆動モータを押し当てながら駆動モータを引き抜くことができる。これにより、駆動モータを引き抜く際に駆動モータが他方のギアに対して傾く傾斜の度合いを抑えることができる。
遊技機A10において、前記一対の規制部の内、前記一方の規制部の反対側の規制部である他方の規制部が、前記一方の規制部の延設端部と同等に張り出すか、又は前記一方の規制部の延設端部よりも前記駆動モータの前記駆動軸の反対側へ張り出して形成されることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A11の奏する効果に加え、駆動モータの引き抜き時に駆動モータが押しつけられる他方の規制部が、少なくとも一方の規制部の延設端部よりも駆動モータの駆動軸の反対側へ張り出して形成される。そのため、一方の規制部の延設端を支点として駆動モータを引き抜く際に作用点が他方の規制部に最も近接される状態(即ち、作用点が駆動モータの駆動軸に垂直な平面であって一方の規制部の延設端を含む平面に配置される状態)において、他方の規制部により駆動モータの移動を防止することができる。
これにより、駆動モータを引き抜く際に駆動モータが一方の規制部から離間する方向へ移動することを確実に防止することができる。
遊技機A7からA11において、前記第1ギア部材を挟んで前記第2ギア部材と対向配置される移動当接部材を備え、その移動当接部材は、前記特定位相位置において前記第1ギア部材の軸心方向視において前記第1ギア部材と間隔を空けて配設され、かつ、前記第2ギア部材の前記板状部が前記第1ギア部材に前記第1ギア部材の軸心方向視において重なる状態の内の少なくとも1の状態において、前記第1ギア部材の軸心方向視において前記第1ギア部材と前記移動当接部材とが重なることを特徴とする遊技機A12。
遊技機A12によれば、遊技機A7からA11の奏する効果に加え、第1ギア部材が第2ギア部材の板状部と、その第2ギア部材と対向配置される移動当接部材とに同時に当接される。これにより、駆動モータから第1ギア部材が引き抜かれる際の第1ギア部材の傾きを抑制することができる。
<噛み合わせ用の始動ギア歯452b1が大型に形成される技術思想の一例>
回転ギアとして形成される主動ギア部材と、その主動ギア部材の回転途中に歯合を開始される従動ギア部材とを備え、それら主動ギア部材および従動ギア部材の少なくとも一方は、歯合開始時に当接される噛み合い歯と、その噛み合い歯が歯合した後の歯合継続時に噛み合う中間歯とを備え、前記噛み合い歯が、前記中間歯に比較して大型に形成されることを特徴とする遊技機B1。
ここで、主動ギア部材(駆動モータで回転される側)の回転途中に主動ギア部材と従動ギア部材(主動ギア部材の回転が伝達される側)との歯合が開始される遊技機がある(例えば特開2013−244210号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時に噛み合う歯は、噛み合いはじめに衝突を受け、破損しやすかった。一方、ギアの歯を大きくすればギア歯の破損防止をすることはできるが、バックラッシが大きくなり、従動ギア部材を滑らかに回転させることが難しくなる。そのため、耐久性と回転の滑らかさの両立を達成することは困難であった。
これに対し、遊技機B1によれば、噛み合い歯が中間歯に比較して大型に形成されるので、主動ギア部材と従動ギア部材との少なくとも一方は歯合開始時に噛み合う噛み合い歯の耐久性が向上され、噛み合い歯の破損を防止することができる。また、中間歯において主動ギア部材と従動ギア部材とのバックラッシを小さくできるので、噛み合い歯が歯合した後で中間歯が歯合される歯合継続時における従動ギア部材の回転を滑らかなものにすることができる。これにより、噛み合い歯の耐久性向上と、従動ギア部材の回転の滑らかさの向上とを両立させることができる。
なお、歯合開始時とは、主動ギア部材または従動ギア部材の少なくとも一方に形成される噛み合い歯が、その一方のギア部材の反対側の他方のギア部材に当接され始める状態を意味する。
また、噛み合い歯を大型に形成するとは、歯幅、歯厚または歯たけの内の少なくとも1つを中間歯に比較して大きく形成することを意味する。
遊技機B1において、前記従動ギア部材の姿勢を保持する保持機構を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、従動ギア部材の姿勢を保持する保持機構を備えるため、主動ギア部材に歯合されていない状態における従動ギア部材の姿勢を安定させることができる。
なお、保持機構としては、従動ギア部材を軸方向に挟持して保持する機構や、機械的な位置合わせにより保持を行う機構等が例示される。
遊技機B2において、前記従動ギア部材が前記主動ギア部材から退避する方向に切り欠かれる切り欠き部を備え、その切り欠き部が、前記主動ギア部材の外周に少なくとも2点で当接されることにより、前記保持機構が形成されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、従動ギア部材を保持する保持機構を、主動ギア部材と従動ギア部材との2点での当接で形成することができる。これにより、従動ギア部材の姿勢を保持するための別部材を配設不要とすることができる。
なお、切り欠き部は、主動ギア部材の歯先円に干渉しない形であれば良く、形状は限定されるものではないが、少なくとも、切り欠き部の曲率半径が主動ギア部材の歯先円の半径以下に形成される。
遊技機B3において、前記切り欠き部が、前記主動ギア部材に外接する円弧状の凹部として形成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、従動ギア部材の切り欠き部が主動ギア部材の外周に面で当接されることで、従動ギア部材の姿勢を保持する効果を向上させることができる。
即ち、従動ギア部材の切り欠き部が主動ギア部材の外周に面で当接されることで、当接時の摩擦力が一箇所に集中することを抑制し、切り欠き部の全体に摩擦力を分散させることができる。これにより、主動ギア部材で従動ギア部材を保持する箇所を増加させ、従動ギア部材の姿勢を維持する効果を向上させることができる。
なお、切り欠き部が主動ギア部材に外接される態様は特に限定されるものではない。即ち、例えば、主動ギア部材の歯先円に外接される態様でも良いし、主動ギア部材にギア歯が省略される面が形成されその省略される面に外接される態様でも良い。
遊技機B4において、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材の前記切り欠き部とは、互いの当接点が前記主動ギア部材の中心軸から前記従動ギア部材の歯底を連ねた面に引かれた垂線の少なくとも両側に形成されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、主動ギア部材と従動ギア部材の切り欠き部との当接点が主動ギア部材の中心軸から従動ギア部材の歯底を連ねた面に引かれた垂線の少なくとも両側に形成されるので、切り欠き部が主動ギア部材に当接されている状態において、従動ギア部材の両方向への回転(移動)を防止することができる。
なお、従動ギア部材としては、回転ギアとして形成される回転ギア部材や、平行移動するギアとして形成されるラックギア等が例示される。
遊技機B2からB5のいずれかにおいて、前記従動ギア部材は、前記噛み合い歯よりも大型に形成される係合突状受け部を備え、その係合突状受け部に前記切り欠き部が形成され、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との歯合は、前記主動ギア部材の前記噛み合い歯と前記係合突状受け部とが当接した後で開始されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B2からB5のいずれかの奏する効果に加え、係合突状受け部を主動ギア部材に当接される歯の代わりとして利用することで、従動ギア部材の耐久性を向上させることができる。
切り欠き部が形成される係合突状受け部は、本来、主動ギア部材のギア歯と歯合する役割の部分ではなく、主動ギア部材の外周面に当接することで従動ギア部材の姿勢の維持を図る役割の部分である。そのため、ギア歯のように、歯合されるギア歯の大きさに合わせて大きさが制限されるものではない。よって、ギア歯よりも頑丈に形成された係合突状受け部を主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時に当接される部分に使用することで、従動ギア部材の耐久性を向上させることができる。
遊技機B6において、前記主動ギア部材は、前記噛み合い歯に隣接して形成される窪みである窪み部を備え、前記主動ギア部材の前記噛み合い歯が前記係合突状受け部に当接される前に前記係合突状受け部が前記窪み部に進入する態様で前記従動ギア部材が回転されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B6の奏する効果に加え、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に当接する前に従動ギア部材が回転されるので、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時の衝撃を抑制することができる。
ここで、従動ギア部材が主動ギア部材の外周面に2点で当接されている場合、主動ギア部材が回転しても、従動ギア部材は姿勢が維持される。一方で、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に近接すると、その噛み合い歯に隣接して形成される窪み部が係合突状受け部と対面する。窪み部は係合突状受け部と当接されないので、従動ギア部材の姿勢を維持する効果が解除される。そして、主動ギア部材の外周面と係合突状受け部との間に生じる摩擦力により、従動ギア部材がわずかに回転され、係合突状受け部が窪み部に進入する。これにより、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に当接される前に従動ギア部材が回転を開始するので、主動ギア部材と従動ギア部材とが歯合を開始する際の衝撃を抑制することができる。
<突出ギア部材7452eが二層ギア7452の径方向に移動する技術思想の一例>
駆動力を発生させる駆動源と、その駆動源の駆動力で回転される主動ギア部材と、その主動ギア部材の回転と連動して移動される第1移動部材と、前記主動ギア部材の回転の途中で前記主動ギア部材と連動して移動開始される従動ギア部材と、その従動ギア部材の移動と連動して移動される第2移動部材と、前記主動ギア部材および前記従動ギア部材の連動を開始させる調整装置と、を備え、前記第1移動部材は、移動基端から移動終端までの移動範囲で移動され、前記調整装置により前記従動ギア部材が前記主動ギア部材と連動して移動開始する時における前記第1移動部材の位置を複数形成可能であることを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、単一の駆動源の駆動力で移動される第1移動部材と第2移動部材とを備える遊技機がある(例えば特開2009−125092号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、第1移動部材の移動途中の特定の位置における第2移動部材の態様が一通りに限定されるため、演出のバリエーションが少ないという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、調整装置により従動ギア部材が主動ギア部材と連動して移動を始める時における第1移動部材の位置を複数形成可能なので、従動ギア部材と連動する第2移動部材が移動を始める時の第1移動部材の位置を複数形成することができる。よって、第1移動部材および第2移動部材の演出のバリエーションを複数形成することができる。
なお、主動ギア部材と連動して従動ギア部材が移動を始める場合としては、主動ギア部材と従動ギア部材とが歯合されることで従動ギア部材が移動される態様や、主動ギア部材と従動ギア部材との間で生じる摩擦で従動ギア部材が移動される態様や、主動ギア部材と従動ギア部材とが磁性体材料から形成され、それら主動ギア部材と従動ギア部材との間で生じる磁力で従動ギア部材が移動される態様等が例示される。
また、調整装置の形成態様としては、主動ギア部材または従動ギア部材の少なくとも一方のギア歯が回転軸から離間する方向に張り出し可能に形成される態様や、主動ギア部材および従動ギア部材の軸間距離を変更可能に形成される態様等が例示される。
遊技機C1において、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との連動は歯合によるものであって、前記調整装置は、前記主動ギア部材に配設されると共に前記主動ギア部材の径方向に移動可能とされる突出部材を備え、その突出部材は、前記従動ギア部材に前記主動ギア部材の回転方向から当接可能な位置まで張り出す張出状態と、前記従動ギア部材に回転方向から当接不能な位置に配置される没入状態と、を形成可能とされ、前記突出部材が前記張出状態を形成しながら前記主動ギア部材が回転する場合に、前記従動ギア部材に前記突出部材が当接され、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との歯合が開始されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、調整装置の突出部材が張出状態となるか、没入状態となるかによって、主動ギア部材と従動ギア部材との連動の仕方を異ならせることができる。
ここで、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合の開始および解除は、主動ギア部材と従動ギア部材との軸間距離を変化させることでも行うことができる。しかしその場合、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合抵抗を抑制するために回転軸の平行度を維持したまま回転軸を軸垂直方向に移動させる必要があり、移動の平行度に精度が要求される。そのため、主動ギア部材と従動ギア部材とを移動させる機構が複雑化する恐れがある。
これに対し、遊技機C2では、主動ギア部材が径方向に移動可能に形成される突出部材を備え、その突出部材が張り出す場合(張出状態を形成する場合)に主動ギア部材と従動ギア部材との歯合が開始される。そのため、主動ギア部材と従動ギア部材との回転軸を移動させることは不要であるので回転軸の平行度は保持される。従って、突出部材を移動させる機構に精度が要求されず、突出部材を移動させる機構を単純化できる。
なお、突出部材を張出状態に形成させる方法としては、主動ギア部材を回転させた時に生じる遠心力で突出部材を張り出させる方法や、突出部材の内側にソレノイドが配設されソレノイドの駆動により突出部材を張り出させる方法等が例示される。また、突出部材は一つでも複数でも良い。
遊技機C2において、前記突出部材は、前記主動ギア部材の回転軸側へ向けて生じる付勢力を受けることで少なくとも前記主動ギア部材の静止状態において前記没入状態を形成され、前記主動ギア部材を回転させる回転速度を切り替えることによって前記没入状態と前記張出状態とを切り替え可能に形成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を異ならせることで、突出部材が従動ギア部材と当接する張出状態と、突出部材が従動ギア部材に対して空転する没入状態とを切り替えることができる。
これにより、駆動源の動作速度の制御と突出部材の状態とを連動させることができるので、例えば突出部材をソレノイドで張り出させる場合に比較して、主動ギア部材と従動ギア部材との連動の制御を単純化することができる。
なお、付勢力を生じさせる部材としては、コイルスプリングやねじりバネなどの弾性バネや、伸縮性の十分あるゴム材料からなる部材等が例示される。
また、突出部材は、位相違いで主動ギア部材に複数配設されても良い。この場合、各突出部材の重量や、各突出部材に作用する付勢力を調整することで各突出部材が張り出す量を調整することができる。
遊技機C2又はC3において、前記突出部材は、第1突出部材と、その第1突出部材と位相違いで形成される第2突出部材とを備え、それらの第1突出部材と第2突出部材とは前記主動ギア部材の回転により張り出される量が略同等とされ、前記主動ギア部材は、前記第1突出部材および前記第2突出部材が前記没入状態を形成する第1回転速度と、前記第1突出部材および前記第2突出部材が前記張出状態を形成する第2回転速度とを形成可能とされ、前記主動ギア部材の回転速度を、前記第1回転速度と前記第2回転速度との間で前記主動ギア部材の回転途中に切り替え可能とされることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を回転中に変化させることで、第1突出部材で従動ギア部材に当接され始める位相と、第2突出部材で従動ギア部材に当接され始める位相との少なくとも2種類の位相で主動ギア部材を従動ギア部材に当接させることができる。
即ち、第1回転速度で主動ギア部材を回転させておいて、第1突出部材が従動ギア部材側に位置される直前に主動ギア部材の回転速度を第2回転速度に変更することで、第1突出部材で従動ギア部材との歯合を開始させることができる。また、一方で、第1回転速度で主動ギア部材を回転させておいて、第2突出部材が従動ギア部材側に位置される直前に主動ギア部材の回転速度を第2回転速度に変更することで、第2突出部材で従動ギア部材との歯合を開始させることができる。
換言すると、主動ギア部材の回転速度を上昇させるタイミングを任意に選択することで、突出部材の張出、没入のタイミングを任意に選択することができる。即ち、第1移動部材の移動開始時の移動速度が同じでも、第1移動部材の移動速度を上昇させるタイミングによって第2移動部材を移動させるタイミングを変化させることができる。これにより、第1移動部材の移動開始時の速度を確認するだけでその後の演出を予想することを困難とでき、第1移動部材および第2移動部材の動作の注目度を向上させることができる。従って、第1移動部材および第2移動部材の演出効果を向上させることができる。
なお、第1突出部材と第2突出部材とが略同等な張出量で張り出す場合としては、第1突出部材と第2突出部材との質量が同等とされると共にそれぞれに作用される付勢力が同等とされる場合や、第1突出部材と第2突出部材との質量は異なるため主動ギア部材の回転により生じる径方向外向きの力は異なるが、その違いを解消する態様で各突出部材に作用される付勢力が変化される場合等が例示される。例えば、付勢力が弾性バネにより生じる場合には、第1突出部材に付勢力を与える弾性バネと第2突出部材に付勢力を与える弾性バネとのバネ定数を変化させることが例示される。
遊技機C2又はC3において、前記突出部材は、第1突出部材と、その第1突出部材と位相違いで形成されると共に前記主動ギア部材の回転途中で前記第1突出部材が前記従動ギア部材に近接した後で前記従動ギア部材に近接する第2突出部材と、を備え、それらの第1突出部材と第2突出部材とは前記主動ギア部材の回転により張り出される張出量が異なって形成され、前記主動ギア部材は、前記突出部材のうち、前記第1突出部材は没入状態を形成すると共に前記第2突出部材は前記張出状態を形成する分離回転速度と、前記第1突出部材および前記第2突出部材の双方が前記張出状態を形成する共同回転速度と、を形成可能とされることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を回転中に変化させずに、第1突出部材で従動ギア部材に当接させる状態と、第2突出部材で従動ギア部材に当接させる状態とを形成することができる。
即ち、分離回転速度で主動ギア部材が定速回転されることで主動ギア部材は従動ギア部材に第2突出部材で歯合開始される。一方で、共同回転速度で主動ギア部材が回転されることで主動ギア部材は従動ギア部材に第1突出部材で歯合開始される。
即ち、第2移動部材が移動開始する時における第1移動部材の位置を変化させるために、駆動源の回転速度を主動ギア部材の回転途中に変化させる必要が無いので、駆動源の制御を単純化することができる。
<特徴D群>(迂回することで入賞できたことを演出で報知)
遊技球が入球可能な入球手段と、その入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、前記入球手段に遊技球が入球可能となる開放位置と、遊技球の入球を規制する規制位置とに可変可能な可変手段と、その可変手段を特定条件の成立に基づいて、前記規制位置から前記開放位置へと所定条件が成立するまで可変させる開放動作が複数回設定された特定遊技を実行する特定遊技実行手段と、
その特定遊技実行手段により前記特定遊技が実行されている場合において、前記可変手段の前記規制位置上の遊技球を次以降の前記開放動作で前記入球手段に入球し易くする入球補助手段とを有するものであることを特徴とする遊技機D1。
ここで、従来、遊技機の1つとして図柄表示装置を備えたパチンコ機があり、このパチンコ機では、始動口に遊技球が入ることによって始動条件が成立し、図柄表示装置の図柄が変動を開始し、変動終了後の停止図柄が予め定められた図柄の組み合わせであれば大当たりとなって、遊技者にとって有利な特別遊技状態が発生して、多量の賞球が払出可能な状態となる。具体的には、特別遊技状態では、可変入賞装置の大入賞口が所定時間(又は所定個数入賞するまでの時間)開放された後閉鎖され、かかる開閉動作が予め定められた最大回数(例えば16回)だけ繰り返される。開放された状態にある大入賞口に遊技球を入賞させることにより、多量の賞球を払い出させることができる(例えば、特許文献1:特開平9−700号公報)。しかしながら、かかる遊技機に対し、開閉動作が繰り返し行われる場合に、閉動作をしている場合に可変入賞装置に到達した遊技球は入球することができず、発射した遊技球が無駄になってしますという不具合があり、遊技者の興趣を低下させるという問題があった。本発明は、上記例示した事情などを鑑みてなされたものであり、遊技者が発射した遊技球が無駄になってしまうことを抑制して、遊技者の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機D1によれば、可変手段の規制位置上に流下した遊技球であっても、入球補助手段により次ぎ以降の開放位置で入球手段に入球し易くされるので、入球手段に入球しない遊技球の数を抑制でき、遊技者の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機D1において、前記入球補助手段は、前記可変手段の前記規制位置上の遊技球を前記入球手段に入球可能な位置に誘導する誘導路を有するものであることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、入球補助手段は、可変手段の規制位置上の遊技球を入球手段に入球可能な位置に誘導する誘導路を有しているので、より入球手段に入球する遊技球の数を増やすことができるという効果がある。
遊技機D1またはD2において、前記入球補助手段は、前記可変手段が前記開放位置へと可変される期間まで前記入球手段に入球可能な範囲を流下する速度となるように流下速度を低下させる流下速度低下手段とを有するものであることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1またはD2において,可変手段が開放位置へと可変される期間まで入球手段に入球可能な範囲を遊技球が流下する速度となるように流下速度を低下させる流下速度低下手段を入球補助手段が有しているので、より入球手段に多くの遊技球を入球させることができるという効果がある。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記特定遊技が実行されている場合に、前記可変手段が前記規制位置であることにより入球することができなかった遊技球を検出する第1検出手段と、その第1検出手段により検出された遊技球が前記入球補助手段により前記入球手段に入球した場合にその遊技球を検出可能な第2検出手段と、前記第1検出手段により遊技球が検出されたことに基づいて、第1演出を実行し、前記第2検出手段により遊技球が検出された場合に前記第1演出とは異なる第2演出を実行する演出実行手段とを有するものであることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定遊技が実行されている場合に、可変手段が規制位置であることにより入球することができなかった遊技球が第1検出手段により検出される。その第1検出手段により検出された遊技球が入球補助手段により入球手段に入球した場合にその遊技球が第2検出手段により検出される。第1検出手段により遊技球が検出されたことに基づいて、第1演出が演出実行手段に実行される。また、第2検出手段により遊技球が検出された場合に第1演出とは異なる第2演出が演出実行手段により実行される。これにより、遊技者が入球手段に遊技球が入球した場合に、本来入球しなかった遊技球が入球補助手段により入球手段に入球したか否かを演出実行手段により実行される演出により判別することができる。よって、遊技者が有利となっていることを第2演出により認識することができるという効果がある。
遊技機D4において、所定の表示態様を表示可能な表示手段を有し、前記演出実行手段は、前記第1演出に対応する第1演出態様と前記第2演出に対応する第2演出態様とを少なくとも前記表示手段に表示させることが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、表示手段に第1演出と第2演出とにそれぞれ対応した演出態様が表示されるので、より演出が示す意味を分かりやすく認識できるという効果がある。
遊技機D4またはD5において、前記第2演出は、前記入球手段が前記規制位置であったにもかかわらず、前記入球補助手段により前記入球手段に入球した遊技球であることを示唆する演出で構成されているものであることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D4またはD5の奏する効果に加え、第2演出により規制位置上にあった遊技球が入球補助手段により入球手段に入球したことを認識できるので、遊技者の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機D4からD6のいずれかにおいて、前記特定遊技が実行されている場合に、前記第2検出手段により検出された遊技球の数をカウントするカウント手段と、そのカウント手段によるカウント値に基づいた報知態様を報知する報知手段とを有していることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D4からD6のいずれかの奏する効果に加え、第2検出手段により検出された数が報知手段により報知されたので、遊技者に有利となった遊技球の個数を判別することができるという効果がある。
遊技機D4からD7のいずれかにおいて、前記第1検出手段により遊技球が検出された場合に、その検出された遊技球が前記入球手段に入球したかを判別する判別手段を有し、前記演出実行手段は、前記判別手段により遊技球が入球しなかったと判別された場合には、前記第1演出および前記第2演出とは異なる第3演出を実行するものであることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D1からD7のいずれかの奏する効果に加え、規制位置により入球できなかった遊技球が最終的に、入球手段に入球できなかったことを第3演出により認識させることができ、遊技にメリハリを与えることができるという効果がある。
遊技機D1からD8において、前記特定遊技実行手段により実行される前記特定遊技の種別を決定する特定遊技種別決定手段と、その特定遊技種別決定手段により決定される前記特定遊技の種別として、少なくとも前記開放動作の実行間隔が異なる前記特定遊技が複数記憶された特定遊技記憶手段とを有するものであることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、遊技機D1からD8の奏する効果に加え、特定遊技の種別として、開放動作の実行間隔が異なる種別が設定されているので、入球補助手段により入球され易さを特定遊技の種別により可変させることができるという効果がある。
遊技機D10において、前記特定遊技記憶手段に記憶される前記特定遊技には、前記入球補助手段により遊技球が前記入球手段に入球され易くなる前記実行間隔が多く設定された第1特定遊技と、その第1特定遊技よりも前記入球補助手段により遊技球が前記入球手段に入球され易くなる前記実行間隔が少ない第2特定遊技とが含まれているものであることを特徴とする遊技機D11。
遊技機D11によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、入球補助手段により入球され易さを特定遊技の種別により可変させることができるという効果がある。
遊技機D11において、前記第1特定遊技と前記第2特定遊技とは、前記開放動作の回数が異なるように設定されているものであることを特徴とする遊技機D12。
遊技機D12によれば、遊技機D11の奏する効果に加え、第1特定遊技と第2特定遊技との価値に差を付けることができ、遊技にメリハリをより付与することができるという効果がある。
<特徴E群>(ジャンプアップボーナスの入賞制御)
遊技球が入球可能な入球手段と、その入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、その入球手段を遊技球が入球可能な開放位置と遊技球の入球を規制する規制位置とに可変可能な可変手段と、特定条件の成立に基づいて、前記可変手段を前記規制位置から開放位置へと可変させる開放動作が複数回設定された特定遊技を実行する特定遊技実行手段と、その特定遊技実行手段により実行される特定遊技の種別を決定する特定遊技種別決定手段と、その特定遊技種別決定手段により決定される前記特定遊技として、少なくとも前記開放動作のパターンが異なる複数の前記特定遊技が記憶された記憶手段とを有していることを特徴とする遊技機E1。
ここで、従来、遊技機の1つとして図柄表示装置を備えたパチンコ機があり、このパチンコ機では、始動口に遊技球が入ることによって始動条件が成立し、図柄表示装置の図柄が変動を開始し、変動終了後の停止図柄が予め定められた図柄の組み合わせであれば大当たりとなって、遊技者にとって有利な特別遊技状態が発生して、多量の賞球が払出可能な状態となる。具体的には、特別遊技状態では、可変入賞装置の大入賞口が所定時間(又は所定個数入賞するまでの時間)開放された後閉鎖され、かかる開閉動作が予め定められた最大回数(例えば16回)だけ繰り返される。開放された状態にある大入賞口に遊技球を入賞させることにより、多量の賞球を払い出させることができる(例えば、特許文献1:特開平9−700号公報)しかしながら、かかる遊技機に対し、可変入賞装置の開放パターンが一定であり、遊技が単調になってしまい、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうという問題があった。本発明は、上記例示した事情などを鑑みてなされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制することができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機E1によれば、遊技球が入球可能な入球手段に遊技球が入球したことに基づいて、遊技者に有利となる特典が特典付与手段により付与される。その入球手段を遊技球が入球可能な開放位置と遊技球の入球を規制する規制位置と可変手段により可変される。特定条件の成立に基づいて、可変手段を規制位置から開放位置へと可変させる開放動作が複数回設定された特定遊技が特定遊技実行手段により実行される。その特定遊技実行手段により実行される特定遊技の種別が特定遊技種別決定手段により決定される。特定遊技種別決定手段により決定される特定遊技として、少なくとも開放動作のパターンが異なる複数の特定遊技が記憶手段により記憶されている。これにより、特定遊技が単調になることを抑制できる。よって、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機E1において、前記特定遊技が実行されている場合に、前記可変手段の前記規制位置上の遊技球を、次以降の前記開放動作で前記入球手段に入球し易くする入球補助手段を有するものであることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、特定遊技が実行されている場合に、可変手段の規制位置上の遊技球が入球補助手段により次以降の開放動作で入球手段に入球し易くされるので、より遊技者に有利とすることができるという効果がある。
遊技機E2において、前記記憶手段に記憶されている前記複数の特定遊技には、前記可変手段が前記開放位置に可変される場合に遊技球が前記入球補助手段により前記入球手段に入球され易くなる前記開放動作のパターン内の一つである有利開放動作パターンが多く含まれた第1特定遊技とその第1特定遊技よりも有利開放動作パターンが少なく構成された第2特定遊技とが少なくとも設定されていることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、遊技者に有利となる特定遊技と、それよりも不利となる特定遊技とが設定することができるので、遊技にメリハリを付与することができるという効果がある。
遊技機E3において、前記第1特定遊技は、予め定められた回数で前記有利開放動作パターンを実行した後に、前記有利開放動作パターンにおける前記開放動作よりも長い期間で前記可変手段が開放位置に可変される前記開放動作が少なくとも1回設定されているものであり、前記第2特定遊技は、前記予め定められた回数の前記入球補助手段により前記入球補助手段に遊技球が入球されることが困難となる不利開放動作パターンの開放動作で構成されているものであることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E3の奏する効果に加え、遊技者に有利となる特定遊技と、それよりも不利となる特定遊技とが設定することができるので、遊技にメリハリを付与することができるという効果がある。
遊技機E4において、前記入球補助手段により前記入球手段に入球された遊技球を検出可能な検出手段と、その検出手段により遊技球が検出されたことに基づいて特定演出を実行する演出実行手段とを有するものであることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、入球補助手段により入球手段に入球した遊技球が検出されたことに基づいて、特定演出が実行されることで、遊技者に有利な状態となったことを分かり易く報知できるという効果がある。
遊技機E5において、前記第1特定遊技には、前記予め定められた回数の前記有利開放動作パターンの後に、次の開放動作が実行されるまでの間に、他の開放動作の実行間隔よりも長い長間隔が設定されており、前記第2特定遊技には、前記予め定められた回数の前記不利開放動作パターンの後に、前記長間隔以上の前記特定遊技の終了期間が設定されているものであることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E5の奏する効果に加え、第1特定遊技と第2特定遊技との識別が予め定められた回数の開放動作パターンまでは識別困難にすることができ、遊技者に第1特定遊技であるか第2特定遊技であるかを期待させることができるという効果がある。
遊技機E6において、前記長間隔と前記終了期間とにおいて、前記第1特定遊技または前記第2特定遊技中に前記検出手段による遊技球の検出結果に基づいた演出を実行する入球演出実行手段とを有するものであることを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、長間隔と終了期間とで実行される演出により、第1特定遊技であるか第2特定遊技であるかを識別することができる。よって、特定遊技が単調になってしまう不具合を抑制できるという効果がある。
<特徴F群>(SW押下テーブル切替)
遊技者による操作を受け付ける操作受付手段と、その操作受付手段により前記操作を受け付けることが可能な有効期間を設定する期間設定手段と、前記操作受付手段により操作を受け付けられた場合に、演出を実行する演出実行手段と、その演出実行手段により実行される前記演出を選択する演出選択手段と、その演出選択手段により選択される複数の前記演出が記憶された記憶手段と、その記憶手段には、前記複数の演出の一つとして特定演出が記憶されており、その特定演出が前記選択手段により選択される確率を前記有効期間内で可変させる確率可変手段とを有しているものであることを特徴とする遊技機F1。
ここで、パチンコ機等の遊技機では、液晶ディスプレイ(以下「LCD」と略す)等の表示装置に演出表示を行わせつつ遊技を展開するものが主流になっている。どのような演出が行われるかは、例えば遊技領域へ弾発された球が始動口へ入球したタイミングで決定される。即ち、球が始動口へ入球したタイミングで、どのパターンの演出が、どのように、何秒間行われ、その演出結果がどうなるか決定される。その上で、遊技の制御を行う主制御装置から表示の制御を行う表示制御装置へ、演出パターンが指示され、表示制御装置によって指示された演出表示が行われる。演出パターンは、その演出パターンの一連の演出表示の指示なので、結果的に、演出パターンには演出表示の所要時間の指示も含まれたものとなっている(特許文献1)。一連の演出表示に何秒かかるかが予め定められているからである。また近年では、遊技者参加型のパチンコ機が多数開発されている。これらは所定の演出期間中にボタン操作を要求し、そのボタン操作のタイミングによって異なる演出を展開するものである。例えば、演出表示の中の一部分で図柄の変動表示をし、ボタン操作に応じてその変動表示を停止させ、停止結果に応じて所謂大当たり等を発生させるように、演出表示を行うものである(例えば、特許文献1:特開2000−350846号公報)。しかしながら、ボタン操作によって、他の多種多様な演出をすることで、遊技の興趣を向上することができる遊技機が求められていた。本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技の興趣を向上できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機F1によれば、遊技者による操作が操作受付手段により受け付けられる。その操作受付手段により操作を受け付けることが可能な有効期間が期間設定手段により設定される。操作受付手段により操作を受け付けられた場合に、演出が演出実行手段により実行される。その演出実行手段により実行される演出が演出選択手段により選択される。その演出選択手段により選択される複数の演出が記憶手段により記憶される。その記憶手段には、複数の演出の一つとして特定演出が記憶されており、その特定演出が選択手段により選択される確率が有効期間内で確率可変手段により可変される。これにより、遊技者が操作を行った場合に、特定演出が選択される確率が異なるように設定することができるので、遊技に変化を持たせることができる。よって、遊技の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機F1において、前記記憶手段には、前記特定演出の選択率が異なる前記複数の演出で構成された演出群が複数記憶されており、前記確率設定手段は、前記記憶手段に記憶された前記複数の演出群のうち、1の演出群を設定するものであり、前記演出選択手段は、前記確率設定手段により設定された前記演出群より演出を選択するものであることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、演出群を切り替えて設定することで、特定演出の選択率を確率設定手段が演出群を切り替えて設定することで可変させることができるので、容易に特定演出の選択確率を可変させることができるという効果がある。
遊技機F2において、前記操作受付手段により操作が受け付けられた回数をカウントするカウント手段を有し、前記確率設定手段は、前記カウント手段のカウントに基づいて前記演出群を切り替えて設定するものであることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、操作が受け付けられた回数により演出群が切り替えられるので、遊技者が操作をすることで、遊技に新鮮味を与えることができるという効果がある。
遊技機F2またはF3において、前記確率設定手段は、前記期間設定手段により設定された期間の残り期間に基づいて、前記演出群を切り替えて設定するものであることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F2またはF3の奏する効果に加え、期間設定手段により設定された残り期間に基づいて演出群が確率設定手段により切り替えられるので、有効期間の変化により遊技の趣向性を異ならせることができるという効果がある。
遊技機F2からF4のいずれかにおいて、前記操作受付手段により操作が受け付けられた場合に、その受付履歴を記憶可能な履歴記憶手段を有し、前記確率設定手段は、前記履歴記憶手段に記憶された受付履歴に基づいて、前記演出群を切り替えて設定するものであることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F2からF4のいずれかも奏する効果に加え、受付履歴によって演出群が切り替えられるので、遊技者の操作に合わせて確率を可変させることができるという効果がある。
<特徴G群>(SW有効期間を音声ランプが制御する役物で報知)
遊技の制御を実行する第1制御手段と、その第1制御手段からの制御信号に基づいて、遊技の制御を実行する第2制御手段と、遊技者が操作可能な操作部とを有した遊技機において、前記第1制御手段は、遊技者による操作部の操作を受け付ける受付手段と、その受付手段により操作が受け付けられたことに基づいて、前記第2制御手段に前記操作を受け付けたことを示す受付信号を送信する受付送信手段と、その受付手段により遊技者の操作を受け付けることが可能な有効期間を設定する期間設定手段と、その期間設定手段により設定された前記有効期間を示す有効信号を前記第2制御手段に送信可能な有効信号送信手段と、前記期間設定手段により設定された有効期間となったことに基づいて、前記操作部の操作が有効に設定されたことを示す報知態様を報知する報知手段と、少なくとも第1状態とその第2状態とは異なる第2状態とに作動可能な作動手段と、前記期間設定手段により設定された有効期間の開始に基づいて、前記作動手段を前記第1状態から前記第2状態に作動させる作動制御手段とを有し、前記第2制御手段は、演出態様を表示可能な表示手段と、その表示手段に演出態様を表示させる表示制御手段とを有し、その表示制御手段は、前記受付送信手段から前記受付信号を受信したことに基づいて、所定の演出態様を前記表示手段に表示させるものであり、前記有効信号送信手段から送信された前記有効信号に基づいて、前記有効期間を示す演出態様を前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機G1。
ここで、パチンコ機等の遊技機では、液晶ディスプレイ(以下「LCD」と略す)等の表示装置に演出表示を行わせつつ遊技を展開するものが主流になっている。どのような演出が行われるかは、例えば遊技領域へ弾発された球が始動口へ入球したタイミングで決定される。即ち、球が始動口へ入球したタイミングで、どのパターンの演出が、どのように、何秒間行われ、その演出結果がどうなるか決定される。その上で、遊技の制御を行う主制御装置から表示の制御を行う表示制御装置へ、演出パターンが指示され、表示制御装置によって指示された演出表示が行われる。演出パターンは、その演出パターンの一連の演出表示の指示なので、結果的に、演出パターンには演出表示の所要時間の指示も含まれたものとなっている(特許文献1)。ここで、遊技者が操作可能なボタンを遊技機に備えて、遊技者が操作することで、液晶表示装置にキャラクタ等の予告演出等を表示させる遊技機が提案されている。このような遊技機では、操作手段を操作した場合に、予告演出等が表示されることとなる有効期間が遊技者に液晶表示装置等に表示されるものがある(例えば、特許文献1:特開2000−350846号公報)。しかしながら、表示装置を制御する表示制御装置等が操作手段の入力の判別や有効期間の管理をしていない場合には、表示されている有効期間と実際の有効期間がずれてしまい、遊技者の興趣を低下させるという不具合があった。本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技の興趣を向上できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機G1によれば、遊技の制御が第1制御手段により制御される。その第1制御手段からの制御信号に基づいて、遊技の制御が第2制御手段により実行される。第1制御手段では、遊技者による操作部の操作が受付手段により受け付けられる。その受付手段により操作が受け付けられたことに基づいて、第2制御手段に操作を受け付けたことを示す受付信号が受付送信手段により送信される。その受付手段により遊技者の操作を受け付けることが可能な有効期間が期間設定手段により設定される。その期間設定手段により設定された有効期間を示す有効信号が有効信号送信手段により第2制御手段に送信される。期間設定手段により設定された有効期間となったことに基づいて、操作部の操作が有効に設定されたことを示す報知態様が報知手段により報知される。少なくとも第1状態とその第2状態とは異なる第2状態とに作動手段により作動される。期間設定手段により設定された有効期間の開始に基づいて、作動手段が第1状態から第2状態に作動制御手段により作動される。第2制御手段では、演出態様が表示手段により表示される。その表示手段に演出態様が表示制御手段により表示される。その表示制御手段は、受付送信手段から受付信号を受信したことに基づいて、所定の演出態様が表示手段に表示制御手段により表示される。有効信号送信手段から送信された有効信号に基づいて、有効期間を示す演出態様が表示手段に表示される。これにより、第2制御手段により作動される有効期間を報知する報知態様と、第2制御手段により制御される有効期間を示す演出態様にズレがあった場合にも作動手段が第2状態に作動されるタイミングにより有効期間を識別することができる。よって、遊技者が有効期間を認識し易くなり、遊技の興趣を向上することができるという効果がある。
遊技機G1において、前記第1制御手段に対して遊技を制御するための制御信号を出力可能なメイン制御手段を有し、前記メイン制御手段は、抽選条件の成立に基づいて、抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を前記表示手段に動的表示させるための動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、開始条件の成立に基づいて、前記第1制御手段に対して、前記識別情報の動的表示を前記動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間で動的表示を開始させる開始信号を出力可能な出力手段と、を有し、前記第1制御手段の前記期間設定手段は、前記開始信号を受信したことに基づいて、前記決定された動的表示期間内で前記有効期間を設定するものであることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、第1制御手段を制御するメイン制御手段により受信した開始信号に基づいて動的表示期間内で有効期間を設定するので、より正確に有効期間を設定することができるという効果がある。
遊技機G2において、
前記有効信号送信手段は、前記識別情報の動的表示が開始される前に、前記有効信号を前記第2制御手段に対して送信するものであることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G2の奏する効果に加え、識別情報の動的表示が開始される前に、有効信号が第2制御手段に対して有効送信手段により送信されるので、有効期間の開始を判別することができるという効果がある。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記作動手段は、前記有効期間の開始前に、前記第2状態とは異なる特定状態に作動されるものであることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかの奏する効果に加え、作動手段が有効期間の開始前に特定状態に作動されるので、有効期間が開始となることを事前に遊技者に報知することができるという効果がある。
遊技機G4において、前記作動手段は、前記表示手段の表示領域と重なる前面側に作動する作動部が配置されるように設けられており、前記第2制御手段の表示制御手段は、前記有効期間の開始前に前記作動手段が前記特定状態に作動される期間と重なる期間内に特定演出態様を前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、作動手段と表示手段とを近接して配置することで、表示手段での有効期間の報知と作動手段での報知とを容易に認識できるという効果がある。
遊技機G5において、前記特定演出態様は、前記作動手段の作動部と重なる表示領域から特定の図柄情報が可変表示される演出であることを特徴とする遊技機G6。
遊技機G6によれば、遊技機G5の奏する効果に加え、特定演出が作動部と重なる表示領域から可変表示される特定の図柄表示で構成されているので、作動部と特定演出とが連動していることを遊技者に認識させることができるという効果がある。
<特徴H群>(疑似連と背景レベルを連動)
抽選条件の成立に基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、前記識別情報が特定の抽選結果を示す識別情報で表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段とを有した遊技機において、前記動的表示実行手段により動的表示される前記識別情報の動的表示時間を決定する動的表示時間決定手段と、その動的表示時間決定手段により決定された動的表示時間内に、前記抽選手段による抽選結果が前記特定の抽選結果であることを示す期待度によって演出態様が可変して設定される複数の期待度予告表示態様と、その複数の期待予告表示態様における総合的な期待度を示す総合期待度予告表示態様とを少なくとも前記表示手段に表示させる予告表示制御手段とを有するものであることを特徴とする遊技機H1。
ここで、LCDなどの表示画面が設けられている遊技機がある。遊技機の一例であるパチンコ機に表示画面が設けられている場合、始動条件の成立に基づいて表示画面に複数の図柄を変動表示させることがある。かかるパチンコ機では、例えば、始動条件の成立に基づいて抽選を行い、その抽選により所定の結果が選ばれた場合に、変動表示される複数の図柄を所定の組み合わせ(例えば、777等、同一の数字が並ぶ組み合わせ)で停止させ、その停止後に特別遊技状態(例えば、当たりと呼ばれる遊技状態など)を発生させる遊技が行われることが多い(例えば、特許文献1:特開2011−072569号公報)。このような遊技機では、当たりとなる期待度を表示画面にキャラクタ等を表示することにより報知している。上記例示した遊技機では、期待度を示す予告表示等を複数表示すると、総合的な期待度が分かり難くなっていた。本発明は、分かり易い演出を実行するように構成することで、遊技の興趣向上を図ることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機H1によれば、抽選条件の成立に基づいて抽選が抽選手段により実行される。その抽選手段による抽選結果を示す識別情報が表示される表示手段に識別情報が動的表示手段により動的表示される。識別情報が特定の抽選結果を示す識別情報で表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。動的表示実行手段により動的表示される識別情報の動的表示時間が動的表示時間決定手段により決定される。その動的表示時間決定手段により決定された動的表示時間内に、抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す期待度によって演出態様が可変して設定される複数の期待度予告表示態様と、その複数の期待予告表示態様における総合的な期待度を示す総合期待度予告表示態様とが少なくとも表示手段に予告表示制御手段により表示される。これにより、総合的な期待度が総合期待度予告表示態様により識別できるので、遊技者が分かり易く遊技を行うことができるという効果がある。
遊技機H1において、前記予告表示制御手段により表示される前記期待度予告表示態様には、表示されることにより、前記総合期待度予告表示態様で表示している期待度以上の期待度を示す総合期待度予告表示態様に可変させる可変予告表示態様が設定されていることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、期待度予告表示態様が表示されることで、総合期待度予告表示態様で表示されている期待度を上げることが可能となるので、期待度予告表示態様についても遊技者が興味を持つことができるという効果がある。
遊技機H1またはH2において、前記動的表示時間決定手段により前記動的表示時間が決定された場合に、その決定された動的表示時間に基づいて、前記識別情報の動的表示態様を決定する動的表示態様決定手段と、その動的表示態様決定手段により決定された動的表示態様に基づいて、前記予告表示制御手段により表示される前記期待度予告表示態様の種別を決定する期待度予告表示態様決定手段とを有するものであることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1またはH2の奏する効果に加え、動的表示態様に基づいて期待度予告表示態様の種別が決定されるので、動的表示態様と関連させた期待度を遊技者に報知することができ、動的表示態様の内容と期待度とが伴わないことにより遊技者に与える違和感を軽減できるという効果がある。
遊技機H2またはH3において、前記識別情報を所定の態様で仮停止した後に、動的表示を開始する演出を少なくとも1回実行する疑似停止手段と、その疑似停止手段により実行される仮停止の回数を前記動的表示時間決定手段により決定された動的表示時間と前記抽選手段による抽選結果とに基づいて決定する回数決定手段と、を有し、前記期待度予告表示制御手段は、前記疑似停止手段により前記仮停止が実行されることに基づいて、前記可変予告表示態様を前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H2または遊技機H3の奏する効果に加え、仮停止することに価値を付与することができ、遊技者に仮停止することを期待させて遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機H3またはH4において、前記動的表示態様決定手段により決定される動的表示態様には、所定の期待度を示す前記総合期待度予告表示態様が前記期待度予告表示態様決定手段により決定されるように設定された特定動的表示態様が設定されているものであることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H3または遊技機H4の奏する効果に加え、動的表示態様に総合期待度予告表示態様が関連して設定されているので、動的表示態様と関連させた総合期待度を遊技者に報知することができ、動的表示態様の内容と総合期待度とが伴わないことにより遊技者に与える違和感を軽減できるという効果がある。
遊技機H1からH5のいずれかにおいて、前記予告表示制御手段は、1の前記動的表示時間内で表示された前記総合期待度予告表示態様は、所定条件が成立している場合に次の識別情報の動的表示においても引き続き同じ期待度を示す前記総合期待度予告表示態様を表示させるものであることを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H1からH5のいずれかの奏する効果に加え、複数の動的表示に跨って総合期待度が引き継がれるので、遊技を積み重ねる楽しみを持つことができるという効果がある。
遊技機H3からH6のいずれかにおいて、前記動的表示態様決定手段により決定される動的表示態様として、複数の異なる動的表示態様で構成された動的表示態様群が複数記憶された記憶手段と、前記動的表示態様決定手段が前記動的表示態様を決定する前記動的表示態様群を設定する設定手段と、を有し、
1の動的表示時間内に表示された前記総合期待度予告表示態様は、その動的表示時間後には、前記設定手段により設定されている前記動的表示態様群を示す表示態様として表示されるものであることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H3からH6の奏する効果に加え、総合期待度により設定されている動的表示態様群についても報知することができるので、遊技者に多様な演出を行うことができるという効果がある。
遊技機H7において、前記設定手段は、前記動的表示手段により前記動的表示が開始される場合に、表示されている前記総合期待度予告表示態様の種別に対応する前記演出態様群を設定するものであることを特徴とする遊技機H8。
遊技機H8によれば、遊技機H7の奏する効果に加え、総合期待度に合わせた演出態様群が設定されるので、総合期待度と演出態様群とに関連を持たせることができ、遊技者に分かり易く報知を行うことができるという効果がある。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5,D1からD12,E1からE7,F1からF5,G1からG6,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5,D1からD12,E1からE7,F1からF5,G1からG6,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5,D1からD12,E1からE7,F1からF5,G1からG6,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。