JP2016046600A - 耳軟骨の伝導音の予測装置及びその方法 - Google Patents

耳軟骨の伝導音の予測装置及びその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低周波数帯域での、軟骨伝導による音圧を精度良く再現及び予測する。【解決手段】疑似耳軟骨部(30)は、ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である材質が一方向に延設され、内部には貫通穴(31)が形成されている。人工外耳道(22)と貫通穴(31)とが繋がるように人工外耳道(22)の入口付近に疑似耳軟骨部(30)の一端(32)が接触し、且つ振動子(40)が疑似耳軟骨部(30)の他端(33)に配置された状態において、測定プローブ(50)は、低周波数帯域にて振動子(40)が振動する際の、疑似耳軟骨部(30)を伝導する音圧を測定する。【選択図】図3

Description

本発明は、耳軟骨の伝導音を予測する装置及びその方法に関する。
音の伝達経路としては、気導及び骨導が良く知られている。気導とは、図1の破線にて示すように、振動した空気(音)が外耳道を経由して鼓膜に到達すると該鼓膜が振動し、これにより振動が聴覚神経に作用する経路である。骨導とは、図1の一点鎖線にて示すように、振動が外耳道ではなく側頭骨を経由して内耳の蝸牛に伝達され、これにより振動が聴覚神経に作用する経路である。
上記の各伝達経路を応用した補聴器等の電子機器は、既に数多く市販されている。これらの電子機器の評価には、人工耳を内蔵した人体模型を利用して気導音を再現し測定する方法(非特許文献1)、人工マストイドを用いて骨導音を再現し測定する方法、人工鼓膜部における振動を再現して検出する方法(特許文献1)、人工外耳道における振動を再現して検出する方法(特許文献2)等が用いられている。
一方、気導及び骨導とは異なる第3の音の伝達経路として、耳軟骨の振動に伴う音聴取現象(以下、軟骨伝導)が見いだされている。軟骨伝導とは、図1の実線にて示すように、音により耳軟骨が振動すると、その振動によって外耳道内に音が放射され、放射された音が鼓膜を振動させて聴覚神経に作用する現象である。出願人は、軟骨伝導を応用した電子機器の開発を行っており(非特許文献2)、当該電子機器の一例としては、補聴器がある(特許文献3)。
特開2014−30156号公報 特開2014−99927号公報 特開2013−232860号公報
IEC 60318-4, Electroacoustics-Simulations of human head and ear-Part 4: Occluded-ear simulator for the measurement of earphones coupled to the ear by means of ear inserts (International Electrotechnical Commission, Geneva, 2010). Shimokura, R., Hosoi, H., Iwakura, T., Nishimura, T., Matsui, T. "Development of monaural and binaural behind-the-ear cartilage conduction hearing aids," Applied Acoustics 74 (2013) 1234-1240.
しかしながら、軟骨伝導を応用した電子機器の評価の際に必要となる、軟骨伝導による音圧を再現する方法は、未だ確立されていない。上述した各種方法の利用も考えられるが、軟骨伝導は、気導や骨導とは音の伝達経路が異なっている。故に、現に存在する上述した各種方法では、軟骨伝導における音圧を適切に再現することができず、軟骨伝導を応用した電子機器の評価は困難である。
特に、上記非特許文献1に係る方法では、振動する周波数が低い程、測定した音圧と実際の軟骨伝導による音圧とが乖離することが、出願人によって見出された。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、少なくとも低周波数帯域において、実際の軟骨伝導による音圧を精度良く再現及び予測することを目的とする。
本発明に係る耳軟骨の伝導音予測装置は、振動子と、頭部模型と、疑似耳軟骨部と、測定部とを備える。頭部模型は、人工外耳道が形成された側頭部分を少なくとも模した模型である。疑似耳軟骨部は、ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である材質が一方向に延設されたものであって、その内部には該一方向に貫通した貫通穴が形成されている。測定部は、前記人工外耳道と前記貫通穴とが繋がるように該人工外耳道の入口付近に前記疑似耳軟骨部の前記一方向における一端側が接触し、且つ前記振動子が前記疑似耳軟骨部の前記一方向における他端側に配置された第1状態において、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧を測定する。そして、前記測定部は、人体の耳の甲介裏の位置での振動加速度レベルが減衰をし始める周波数である基準周波数、よりも低い周波数で前記振動子が振動する際の、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧を測定する。
また、本発明に係る耳軟骨の伝導音予測方法は、第1工程、第2工程及び第3工程を備える。第1工程では、ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である材質が一方向に延設されたものである疑似耳軟骨部のうち、該疑似耳軟骨部の前記一方向における一端側が、少なくとも側頭部分を模した頭部模型における人工外耳道の入口付近に接触する。第2工程では、前記疑似耳軟骨部の前記一方向における他端側に、振動子が取り付けられる。第3工程では、前記第1工程及び前記第2工程の後、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧が測定される。そして、前記第1工程の際、前記疑似耳軟骨部の内部に形成されている前記一方向に沿った貫通穴が前記人工外耳道と繋がるように、前記疑似耳軟骨部が前記頭部模型に取り付けられる。前記第3工程の際、人体の耳の甲介裏の位置での振動加速度レベルが減衰をし始める周波数である基準周波数、よりも低い周波数で、前記振動子が振動する。
本発明によれば、低い周波数帯域において、実際の軟骨伝導による音圧を精度良く再現及び予測することができる。従って、当該予測結果を用いて、軟骨伝導を応用した電子機器を適切に評価することが可能となる。
図1は、3つの音の伝達経路を表した図である。 図2は、第1実施形態に係る予測装置の構成要素を表す図である。 図3は、図2における測定時の状態を表す図である。 図4は、図3の状態における音圧の測定結果の推移を、振動子の周波数の変化と共に表すグラフである。 図5は、被験者の耳の各部位における振動加速度レベルの推移を、振動子の周波数の変化と共に表すグラフである。 図6は、第2実施形態において、耳介模型が頭部模型に取り付けられた状態を表す図である。 図7は、疑似耳軟骨部を用いた低周波数帯域での測定結果と、耳介模型を用いた高周波数帯域での測定結果とを組合せたグラフである。 図8は、実施例の軟骨モデルを示す図である。 図9は、実施例における軟骨モデルとの比較例を示す図である。 図10は、実施例において、図8の軟骨モデルによる測定結果と図9の状態による測定結果とを比較した図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、当該実施形態は、本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、当該実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
≪第1実施形態≫
<構成>
本実施形態に係る耳軟骨の伝導音の予測装置(10)は、図1の実線で示された軟骨伝導による音圧を再現し、再現された音圧を測定する装置である。即ち、当該予測装置(10)は、耳軟骨の振動によって外耳道内に生成されるであろう音の音圧を予測する。予測結果は、軟骨伝導を応用して開発された電子機器(携帯電話、補聴器等)を評価及び校正するために用いられる。
以下では、当該予測装置(10)を、単に“予測装置(10)”と呼称する。
図2及び図3に示すように、予測装置(10)は、主として、頭部模型(20)と、疑似耳軟骨部(30)と、振動子(40)と、測定部に相当する測定プローブ(50)とを備える。
−頭部模型−
頭部模型(20)は、側頭部分(21)を含む人体の頭部を模したものであって、例えばプラスチック等の樹脂によって構成されている。側頭部分(21)には、人体の骨性の外耳道を模した人工外耳道(22)が形成されている。人工外耳道(22)は、図2に示すように、側頭部分(21)において円形状に開口すると共に、図3(B)に示すように、頭部模型(20)の内側に向けて所定の深さ(L1)を有している。本実施形態では、人工外耳道(22)の深さ(L1)は、約15mmとなっている。
−疑似耳軟骨部−
疑似耳軟骨部(30)は、人体の耳軟骨のうち特に軟骨性の外耳道部分を模したものであって、ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である比較的柔らかい材質によって成形されている。耳軟骨を含む部位には、甲介裏、耳珠及び舟状窩が挙げられるが、疑似耳軟骨部(30)を成形する材質のヤング率は、これらの部位のヤング率の少なくとも1つに近似した値であるとより好ましい。
そして、疑似耳軟骨部(30)は、伸縮していない状態にてX方向(一方向に相当)に長い円柱状の形状を有しており、その内部の約中央部には、長手方向(即ちX方向)に貫通した貫通穴(31)が形成されている。貫通穴(31)の直径は、人工外耳道(22)の直径と概ね同じ大きさとなっている。本実施形態では、疑似耳軟骨部(30)の内径は約10mm、外径は15mmとなっている。
疑似耳軟骨部(30)は、頭部模型(20)に対して着脱可能であって、頭部模型(20)への取り付けの際には、側頭部分(21)から外方に突出するようにして側頭部分(21)に取り付けられる。具体的には、図3(B)に示すように、人工外耳道(22)と貫通穴(31)とが繋がるように、人工外耳道(22)の入口付近に、疑似耳軟骨部(30)のX方向における一端(32)側が接触する。
そして、疑似耳軟骨部(30)のX方向への長さ、即ち貫通穴(31)のX方向への長さ(L2)は、当該長さ(L2)と人工外耳道(22)の深さ(L1)との合計値である全長(L3)が、実際の人体における外耳道の平均的な長さと概ね同一となる条件を満たすように決定されている。人体の外耳道の平均的な長さは、成長過程によって異なるため、全長(L3)は、成長過程毎の外耳道の平均的な長さに合わせて決定されることが好ましい。特に、本実施形態では、貫通穴(31)のX方向の長さ(L2)と人工外耳道(22)の深さ(L1)とは、概ね同一となっている。
例えば、成人の耳軟骨の伝導音を予測する際、全長(L3)は、成人の外耳道の平均的な長さにあわせて約30mmと決定され、乳児の耳軟骨の伝導音を予測する際、全長(L3)は、乳児の外耳道の平均的な長さにあわせて約10mmと決定される。従って、貫通穴(31)のX方向の長さ(L2)及び人工外耳道(22)の深さ(L1)それぞれは、成人の耳軟骨の伝導音を予測する際には約15mm、乳児の耳軟骨の伝導音を予測する際には約5mm、と決定される。
なお、疑似耳軟骨部(30)が頭部模型(20)に取り付けられた際、疑似耳軟骨部(30)と頭部模型(20)との接合部分付近は、図3に示すように遮音部材(35)によって覆われる。遮音部材(35)は、測定プローブ(50)が音圧を測定する際に、人工外耳道(22)及び貫通穴(31)内部の音がこれらの外部へと漏れることを防ぐためのものであって、ゴム等の材質によって構成されている。
−振動子−
振動子(40)は、図2及び図3に示すように、疑似耳軟骨部(30)の他端(33)側に配置され、疑似耳軟骨部(30)を振動させる。振動子(40)は、主として、接触部(41)と振動部(43)とを有する。
接触部(41)は、疑似耳軟骨部(30)に接触する部分であって、中央部には貫通穴(31)に対応した孔(42)が形成されている。従って、接触部(41)は、頭部模型(20)に取り付けられた疑似耳軟骨部(30)の他端(33)に接触した際、人工外耳道(22)及び貫通穴(31)を塞ぐことなく開放する。
振動部(43)は、振動を発生させて出力する部分であって、接触部(41)の疑似耳軟骨部(30)との接触面とは反対側の面に位置している。振動部(43)は、図4に示すように、約0.1kHz強から約20kHz弱までの範囲内にて、出力周波数を変化させる。
−測定プローブ−
図3(B)に示すように、人工外耳道(22)の入口付近に疑似耳軟骨部(30)の一端(32)側が接触し且つ振動子(40)が疑似耳軟骨部(30)の他端(33)側に配置された第1状態において、測定プローブ(50)は、振動子(40)の孔(42)を介して疑似耳軟骨部(30)の貫通穴(31)の内部に挿入される。そして、測定プローブ(50)の先端部分が、疑似耳軟骨部(30)の一端(32)付近である疑似耳軟骨部(30)と頭部模型(20)との接合部分に位置した状態にて、測定プローブ(50)は、疑似耳軟骨部(30)を伝導する音圧を測定する。つまり、測定プローブ(50)は、人工外耳道(22)及び貫通穴(31)の全長(L3)の中央部の位置にて、音圧を測定する。
特に、測定プローブ(50)は、第1状態において、図4の基準周波数よりも低い周波数で振動子(40)が振動する際の、疑似耳軟骨部(30)を伝導する音圧を測定する。即ち、基準周波数よりも低い周波数で振動子(40)が振動すると疑似耳軟骨部(30)も振動するが、測定プローブ(50)は、この疑似耳軟骨部(30)の振動によって貫通穴(31)及び人工外耳道(22)内に生成される音の音圧を生成する。
ここで、基準周波数について、図5を用いて説明する。図5は、上述した振動子(40)を被験者の外耳道の入口付近に配置させた状態で、当該振動子(40)の振動周波数を約0.1kHz強から約20kHz弱まで変化させた際の、耳の甲介裏、耳珠及び舟状窩それぞれの位置での振動加速度レベルの測定結果を示している。図5の一点鎖線で示される耳珠及び二点鎖線で示される舟状窩それぞれの位置における振動加速度レベルは、約1.0kHzよりも低い周波数では約50dB以上と高くなっているが、約1.0kHzよりも高い周波数では急激に低下している。図5の実線で示される甲介裏の位置における振動加速度レベルは、約1.5kHzよりも低い周波数では約50dB以上と高くなっているが、約1.5kHzよりも高い周波数では急激に低下している。このように、甲介裏の位置では、耳珠及び舟状窩の各位置よりも、比較的高い振動加速度レベルを維持可能な周波数の幅が広い。本実施形態では、この甲介裏における振動加速度レベルの高低の境界となっている“約1.5kHz”を、「基準周波数」と定義している。即ち、基準周波数は、人体の耳の甲介裏の位置での振動加速度レベルが減衰をし始める周波数、と言うことができる。
以下では、説明の便宜上、基準周波数よりも低い周波数帯域を「低周波数帯域」、基準周波数よりも高い周波数帯域を「高周波数帯域」と呼称する。
再び図4に着目し、測定プローブ(50)の測定結果を考察する。図4では、被験者の耳軟骨の伝導音を実際に計測した実測結果を破線で表し、本実施形態に係る予測装置(10)を用いて耳軟骨の伝導音を再現し測定した結果を実線で表している。図4によれば、測定プローブ(50)の測定結果(即ち、予測装置(10)における予測結果)は、高周波数帯域では実線のグラフと破線のグラフとは乖離しているものの、低周波数帯域では、実線のグラフと破線のグラフとは概ね近似している。従って、本実施形態に係る予測装置(10)は、低周波数帯域において、耳軟骨の伝導音の音圧を精度良く再現できていると言える。
<予測装置を用いた耳軟骨の伝導音の予測方法>
上述した予測装置(10)を用いて耳軟骨の伝導音を予測する方法について説明する。
先ず、作業者は、人工外耳道(22)と疑似耳軟骨部(30)の貫通穴(31)とが繋がるようにして、頭部模型(20)における人工外耳道(22)の入口付近に疑似耳軟骨部(30)の一端(32)を接触させて接合させる(第1工程)。次いで、作業者は、頭部模型(20)と疑似耳軟骨部(30)との接合部分付近を、遮音部材(35)で覆う。また、作業者は、疑似耳軟骨部(30)の他端(33)に、貫通穴(31)と振動子(40)の孔(42)とが繋がるようにして、振動子(40)を取り付ける(第2工程)。
なお、第2工程は、第1工程の後に行われてもよいし、第1工程の前に行われても良い。
第1工程及び第2工程の後、作業者は、測定プローブ(50)を孔(42)を介して貫通穴(31)に挿入する。挿入後、振動子(40)の振動周波数は、低周波数帯域にて変化し、測定プローブ(50)は、その際に疑似耳軟骨部(30)を伝導する音圧を測定する(第3工程)。
これにより、図4の低周波数帯域にて実線で示された結果が得られる。
<効果>
本実施形態に係る予測装置(10)は、疑似耳軟骨部(30)を用いた構成を採用している。これにより、予測装置(10)は、低周波数帯域において、実際の軟骨伝導による音圧を精度良く再現及び予測することができる。従って、当該予測結果を用いて、軟骨伝導を応用した電子機器を適切に評価することが可能となる。
例えば、携帯電話やイヤホンの場合には、当該予測結果を用いて出力電圧を制御し、適度な音量設定及び耳への安全性に配慮した製品開発が可能となる。補聴器の場合には、当該予測結果を用いることにより、装用者の聴力特性に応じた細やかな出力調整(いわゆるフィッティング)が可能となる。
また、本実施形態では、人工外耳道(22)の深さ(L1)と貫通穴(31)の長さ(L2)との合計値である全長(L3)は、人体の外耳道の平均的な長さと概ね同一である。従って、人体の実際の音圧に近似した、より精度の高い予測結果を得ることができる。
特に、本実施形態では、人工外耳道(22)の深さ(L1)と貫通穴(31)の長さ(L2)とは概ね同一であり、全長(L3)の中央部の位置にて音圧の測定が行われる。それによって、精度の高い予測結果を容易に得ることができる。
≪第2実施形態≫
本実施形態に係る予測装置(10)は、上記第1実施形態に係る構成に加えて、更に図6に示す耳介模型(70)を備えている。
図6に示すように、耳介模型(70)は、人体の耳介を模したものであって、頭部模型(60)における人工外耳道(61)の入口付近に着脱可能に構成されている。耳介模型(70)には、人体の外耳道の入口を模した開口(71)が形成されている。一例として、本実施形態の耳介模型(70)は、耳輪の最上端から耳垂の最下端までの大きさが約63mm、耳介側頭溝からの突出長さが約18mmの大きさを有する。耳介模型(70)の材質としては、例えばIEC60318-7に準拠した素材や、ゴム等の素材が挙げられる。
耳介模型(70)は、上述した疑似耳軟骨部(30)に代えて頭部模型(60)に取り付けられる。この取り付けの際、作業者は、開口(71)と人工外耳道(61)とが繋がるように、開口(71)に人工外耳道(61)の開口を近接させて耳介模型(70)を頭部模型(60)に取り付ける(第4工程)。耳介模型(70)が頭部模型(60)に取り付けられた状態を、第2状態と言う。また、作業者は、耳介模型(70)の開口(71)に、上記第1実施形態と同様の振動子(40)を取り付ける(第5工程)。
第5工程は、第4工程の後に行われてもよいし、第4工程の前に行われても良い。
なお、本実施形態に係る頭部模型(60)は、図2等で示した上記第1実施形態に係る頭部模型(20)と形状が異なってはいるが、人工外耳道(61)が形成された側頭部分を少なくとも模したものであることに変わりはない。従って、耳介模型(70)は、上記第1実施形態に係る形状の頭部模型(20)に取り付けられても良い。図6では、頭部模型(60)の人工外耳道(61)が、約10mmの深さである場合を例示している。
また、本実施形態の測定部(80)は、予め頭部模型(60)内部に取り付けられている。具体的に、測定部(80)は、頭部模型(60)の内部であって、人工外耳道(61)の最深部に位置している。
そして、第2状態における耳介模型(70)の開口(71)に振動子(40)が取り付けられた状態にて、測定部(80)は、高周波数帯域にて振動子が振動する際の、耳介模型(70)を伝導する音圧を測定する(第6工程)。
なお、本実施形態に係る測定部(80)は、上記第1実施形態に係る測定プローブ(50)と形状が異なってはいるが、音圧を測定するためのものであることに変わりはない。従って、測定部(80)は、図6で示した形状とは異なる形状であっても良い。
図7では、被験者の耳軟骨の伝導音を実際に計測した実測結果を破線で表し、本実施形態に係る予測装置(10)を用いて耳軟骨の伝導音を再現し測定した結果を実線で表している。図7によれば、耳介模型(70)を用いて測定された高周波数帯域、及び、疑似耳軟骨部(30)を用いて測定された低周波数帯域の双方によって、実線のグラフと破線のグラフとが概ね近似している。従って、本実施形態に係る予測装置(10)は、低周波数帯域のみならず、高周波数帯域においても、耳軟骨の伝導音の音圧を再現できていると言える。
<効果>
本実施形態では、低周波数帯域の音圧の予測には疑似耳軟骨部(30)を用い、高周波数帯域の音圧の予測には耳介模型(70)を用いている。これにより、幅広い周波数帯域にて、耳軟骨の伝導音の予測を精度良く行うことができる。従って、当該予測結果を用いて、軟骨伝導を応用した電子機器をより適切に評価することが可能となる。
<その他の実施形態>
第1及び第2実施形態において、頭部模型(20,60)は、人工外耳道(22,61)が形成された側頭部分のみを模したものであっても良い。
第1実施形態において、人工外耳道(22)の深さ(L1)と貫通穴(31)の長さ(L2)との合計値である全長(L3)は、必ずしも人体の外耳道の平均的な長さと概ね同一でなくても良い。また、全長(L3)が人体の外耳道の平均的な長さと概ね同一であったとしても、人工外耳道(22)の深さ(L1)と貫通穴(31)の長さ(L2)とは、同一でなくても良い。
第1実施形態において、測定プローブ(50)の測定位置は、人工外耳道(22)及び貫通穴(31)の全長(L3)の中央部でなくてもよい。測定プローブ(50)の測定位置は、第2実施形態に係る測定部(80)と同様、人工外耳道(22)の内部であっても良い。
疑似耳軟骨部(30)を構成する材質は、例えば図2に示すように一方向に延設されていれば良いため、疑似耳軟骨部(30)の形状は、円柱に限定されず角柱等であってもよい。
疑似耳軟骨部(30)及び耳介模型(70)は、一体化されたモデルであってもよい。この場合、当該モデルを頭部模型(20,60)に取り付けるだけで、低周波数帯域から高周波数帯域までの音圧の予測が可能である。従って、疑似耳軟骨部(30)及び耳介模型(70)を着脱する必要がなく、作業者の利便性が向上する。
以下、本発明に係る予測装置(10)及び予測方法の一実施例について説明する。
<装置>
頭蓋骨モデル(A20, 3B Scientific社製、頭部模型に相当)の骨部外耳道(深さ15mm、人工外耳道に相当)に、人肌ゲル(エクシールコーポレーション社製)で成形したチューブ(外径:15mm、内径:10mm、長さ:15mm)を疑似軟骨(疑似耳軟骨部に相当)として接続した(図8)。疑似軟骨は、人間の外耳道軟骨部を模している。人肌ゲルは、人肌に近似した弾性を持つ軟質ウレタン樹脂である。頭蓋骨モデルと疑似軟骨との接続には、音漏れがないように、ラバーセメント(Blu・Tack, Bostik Australia Pty.社製)を使用した。これを軟骨モデルと呼ぶ。
疑似軟骨の外端部に、刺激音呈示用のリング状振動子(NECトーキン社製、振動子に相当)を両面テープで接続した。125Hzから16kHzの正弦波を入力刺激(入力電圧:0.5, 1.0, 2.0 V)とし、1/12オクターブ刻みで順次加振した。そして、プローブマイクロフォン(type 4182, Bruel & Kjaer社製、測定部に相当)の先端を、振動子のリングにおける中央部の孔から挿入し、その応答を計測した(図8)。プローブの挿入深度は、疑似軟骨の外端部から15mmとした。
比較のため、気導音の応用機器の測定に用いられるHead and Torso Simulator(HATS, Bruel & Kjaer社製)でも同様の計測を行った。リング状振動子をHATSの耳介シミュレータにかけ、その応答をHATSに内蔵されるイヤーシミュレータで計測した(図9)。
<結果>
軟骨モデル及びHATSによる測定結果を、図10の(A)(B)の実線にそれぞれに示す。横軸は周波数kHz、縦軸は音圧レベルdBを意味している。線の色の違いは、入力電圧の違いを意味している(黒:2V、濃いグレイ:1V、薄いグレイ:0.5V)。また、破線は、被験者7名を集め計測した軟骨伝導音の計測値である。被験者には同じ振動子を外耳道開口部に装用し、外耳道内に起こる軟骨伝導音を同じプローブマイクロフォンで計測した。挿入深度は、外耳道開口部から15mmである。以下、軟骨モデル及びHATSによる計測値を「予測値」、被験者による計測値を「実測値」と呼ぶ。
軟骨モデルの予測値は、1.5kHz以下の低周波数帯域では実測値と近似する(被験者による標準偏差内に収まる)ものの、高周波数帯域では実測値から大きく外れた(図10(A))。一方、HATSの予測値は、1.5kHz以上の高周波数帯域では実測値と近似し、低周波数帯域では実測値から大きく外れた(図10(B))。
従って、低周波数帯域は軟骨モデルで、高周波数帯域はHATSで出力を計測することによって、広い帯域に渡って軟骨伝導音を高い精度で予測することができる。
本発明は、耳軟骨を伝導する音圧の予測に利用可能である。
10 予測装置
20,60 頭部模型
22,61 人工外耳道
30 疑似耳軟骨部
31 貫通穴
40 振動子
50 測定プローブ(測定部)
70 耳介模型
80 測定部

Claims (6)

  1. 振動子と、
    人工外耳道が形成された側頭部分を少なくとも模した頭部模型と、
    ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である材質が一方向に延設され、その内部には該一方向に貫通した貫通穴が形成された疑似耳軟骨部と、
    前記人工外耳道と前記貫通穴とが繋がるように該人工外耳道の入口付近に前記疑似耳軟骨部の前記一方向における一端側が接触し、且つ前記振動子が前記疑似耳軟骨部の前記一方向における他端側に配置された第1状態において、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧を測定する測定部と
    を備え、
    前記測定部は、人体の耳の甲介裏の位置での振動加速度レベルが減衰をし始める周波数である基準周波数、よりも低い周波数で前記振動子が振動する際の、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧を測定する、
    耳軟骨の伝導音予測装置。
  2. 前記人工外耳道の深さと前記貫通穴の前記一方向への長さとの合計値は、人体の外耳道の長さと概ね同一である、
    請求項1に記載の耳軟骨の伝導音予測装置。
  3. 前記人工外耳道の深さと前記貫通穴の前記一方向への長さとは、概ね同一である、
    請求項2に記載の耳軟骨の伝導音予測装置。
  4. 開口が形成された耳介模型、
    を更に備え、
    前記開口と前記人工外耳道とが繋がるように前記耳介模型が配置された第2状態において、前記振動子は、前記耳介模型の前記開口に取り付けられ、
    前記測定部は、前記第2状態時、前記基準周波数よりも高い周波数で前記振動子が振動する際の前記耳介模型を伝導する音圧を、更に測定する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の耳軟骨の伝導音予測装置。
  5. ヤング率が0.001GPa〜0.1GPaの範囲である材質が一方向に延設されたものである疑似耳軟骨部のうち、該疑似耳軟骨部の前記一方向における一端側を、少なくとも側頭部分を模した頭部模型における人工外耳道の入口付近に接触させる第1工程と、
    前記疑似耳軟骨部の前記一方向における他端側に、振動子を取り付ける第2工程と、
    前記第1工程及び前記第2工程の後、前記疑似耳軟骨部を伝導する音圧を測定する第3工程と
    を備え、
    前記第1工程の際、前記疑似耳軟骨部の内部に形成されている前記一方向に沿った貫通穴が前記人工外耳道と繋がるように、前記疑似耳軟骨部が前記頭部模型に取り付けられ、
    前記第3工程の際、人体の耳の甲介裏の位置での振動加速度レベルが減衰をし始める周波数である基準周波数、よりも低い周波数で、前記振動子が振動する、
    耳軟骨の伝導音予測方法。
  6. 前記疑似耳軟骨部に代えて、耳介を模した耳介模型を、該耳介模型に形成された開口が前記人工外耳道と繋がるように前記頭部模型に取り付ける第4工程と、
    前記開口に前記振動子を取り付ける第5工程と、
    前記第4工程及び前記第5工程の後、前記基準周波数よりも高い周波数にて前記振動子が振動する際の、前記耳介模型を伝導する音圧を測定する第6工程と
    を更に備える、
    請求項5に記載の耳軟骨の伝導音予測方法。
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