JP2016039398A - 残響判定装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 音信号に残響成分があるか否かを簡単な構成で判定できる残響判定装置を提供する。
【解決手段】 本発明の残響判定装置は、少なくとも2本のマイクロホンが周囲音を捕捉して得られた入力音信号に基づき、目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する音源方位抑圧信号生成部と、生成された音源方位抑圧信号の時間変化を反映させた特徴量を閾値と比較して、入力音信号における残響成分の有無を決定する残響判定部とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロホンが捕捉して得た音信号(音声信号や音響信号などをまとめて「音信号」と呼ぶ)に残響成分があるか否かを判定する残響判定装置及びプログラムに関し、例えば、スマートフォン等の携帯型音声通信端末に適用し得るものである。
携帯型音声通信端末は、その可搬性のために、音声通信が実行される環境が一意的ではなく、使用環境によっては、マイクロホンが捕捉して得た音信号に残響成分が含まれていることもある。例えば、会議室や乗用車内など密閉空間で話者が音声通信端末に発した音声(以下、目的音と呼ぶこともある)は、話者の口元から直線的にマイクロホンに到達するだけでなく、話者の口元から出た後、壁や天井などで1又は複数回反射してマイクロホンに到達することもあり、残響成分となる。
残響成分があると、音声認識や音声通信に供する音声信号の音質が低下する。
最近、音声認識機能を搭載し、音声入力に対応できる携帯型音声通信端末が多くなってきている。密閉空間で、携帯型音声通信端末に搭載されている音声認識機能を用いる場合、残響成分が原因で音声認識率が低下する。
ところで、音声信号等に含まれている残響成分を除去する残響除去装置も既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−171076号公報 特開2013−126026号公報
上述したように、携帯型音声通信端末は、会議室や乗用車内などの残響成分が生じる密閉空間で使用されることがあれば、屋外などの残響成分が生じない環境で使用されることもあり、どちらかと言えば、後者の環境で使用されることの方が多い。
このような種々の環境で使用される携帯型音声通信端末に残響除去装置を搭載することは、効果を発揮する場合が限られている状況下での搭載であり、コストパフォーマンスが低く、通信端末を徒に複雑、高価にしているということができる。因みに、特許文献1は、ほぼ常時、残響成分が問題となる会議装置に搭載する残響除去装置を意図している。
そこで、残響除去装置を搭載する代わりに、残響成分があるか否かを判定し、その判定結果を、音声処理機能で利用することが考えられる。例えば、判定結果に応じて、残響成分が生じる場合には音声認識機能を実行できなくし、残響成分が生じない場合に音声認識機能を実行できるようにすることが考えられる。また例えば、雑音抑圧装置(特許文献2参照)の抑圧ゲインを、残響成分の有無で切り替えるようにすることが考えられる。
しかし、従来、マイクロホンの捕捉音信号に残響成分があるか否かを判定するだけの装置は提案されていない。
残響除去装置における残響除去前後の信号の相違を閾値等と比較したり、除去パラメータの大きさ等を閾値と比較したりすることで、残響成分の有無を判定可能である。しかし、これでは、複雑な残響除去装置を搭載していると同様であり、残響判定装置を搭載している意味合いは薄れてしまう。
そのため、音信号に残響成分があるか否かを簡単な構成や簡単な処理で判定することができる残響判定装置及びプログラムが望まれている。
第1の本発明の残響判定装置は、(1)少なくとも2本のマイクロホンが周囲音を捕捉して得られた入力音信号に基づき、目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する音源方位抑圧信号生成手段と、(2)生成された音源方位抑圧信号の時間変化を反映させた特徴量を閾値と比較して、上記入力音信号における残響成分の有無を決定する残響判定手段とを有することを特徴とする。
第2の本発明の残響判定プログラムは、コンピュータを、(1)少なくとも2本のマイクロホンが周囲音を捕捉して得られた入力音信号に基づき、目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する音源方位抑圧信号生成手段と、(2)生成された音源方位抑圧信号の時間変化を反映させた特徴量を閾値と比較して、上記入力音信号における残響成分の有無を決定する残響判定手段として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、音信号に残響成分があるか否かを簡単な構成や簡単な処理で判定することができる残響判定装置及びプログラムを実現できる。
第1の実施形態に係る残響判定装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の残響判定装置における正面抑圧信号生成部が生成する正面抑圧信号の指向性を示す説明図である。 第1の実施形態の残響判定装置における残響判定部の詳細構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の残響判定装置における正面抑圧信号生成部が生成した正面抑圧信号の挙動を示す説明図である。 第1の実施形態の残響判定装置における残響判定部内の判定部の処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る残響判定装置の構成を示すブロック図である。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による残響判定装置及びプログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る残響判定装置の構成を示すブロック図である。ここで、一対のマイクロホンm1及びm2を除いた部分は、ハードウェアで構成することも可能であり、また、CPUが実行するソフトウェア(残響判定プログラム)とCPUとで実現することも可能であるが、いずれの実現方法を採用した場合であっても、機能的には図1で表すことができる。
図1において、第1の実施形態の残響判定装置10は、マイクロホンm1、マイクロホンm2、FFT(高速フーリエ変換)部11、正面抑圧信号生成部12及び残響判定部13を有する。
一対のマイクロホンm1、m2は、所定距離(若しくは任意の距離)だけ離れて配置され、それぞれ、周囲の音声を捕捉するものである。各マイクロホンm1、m2は、無指向のもの(若しくは、正面方向にごくごく緩やかな指向性を有するもの)である。この第1の実施形態は、両マイクロホンm1及びm2から等距離にある、残響判定装置を搭載した装置(例えば、音声通信端末)の正面方位(法線方向)に話者の口元(音源)があり、正面方位から目的音が到来することを想定している。各マイクロホンm1、m2で捕捉された音信号(入力音信号)は、図示しない対応するA/D変換器を介してデジタル信号s1(n)、s2(n)に変換されてFFT部11に与えられる。なお、nはサンプルの入力順を表すインデックスであり、正の整数で表現される。本文中では、nが小さいほど古い入力サンプルであり、大きいほど新しい入力サンプルであるとする。
FFT部11は、マイクロホンm1及びm2から入力信号系列s1(n)及びs2(n)を受け取り、その入力信号s1及びs2に高速フーリエ変換(あるいは離散フーリエ変換)を行うものである。これにより、入力信号s1及びs2を周波数領域で表現することができる。なお、高速フーリエ変換を実施するにあたり、入力信号s1(n)及びs2(n)から、所定のN個のサンプルからなる分析フレームFRAME1(K)及びFRAME2(K)を構成して適用する。入力信号s1(n)から分析フレームFRAME1(K)を構成する例を以下の(1)式に示すが、分析フレームFRAME2(K)も同様である。
Figure 2016039398
なお、Kはフレームの順番を表すインデックスであり、正の整数で表現される。本文中では、Kが小さいほど古い分析フレームであり、大きいほど新しい分析フレームであるとする。また、以降の説明において、特に但し書きがない限りは、分析対象となる最新の分析フレームを表すインデックスはKであるとする。
FFT部11は、分析フレームごとに高速フーリエ変換処理を施すことで、周波数領域信号X1(f,K)、X2(f,K)に変換し、得られた周波数領域信号X1(f,K)及びX2(f,K)を正面抑圧信号生成部12に与える。なお、fは周波数を表すインデックスである。また、X1(f,K)は単一の値ではなく、(2)式に示すように、複数の周波数f1〜fmのスペクトル成分から構成されるものである。X2(f,K)や後述するN(f,K)も同様である。
Figure 2016039398
正面抑圧信号生成部12は、周波数毎に、(3)式に示す演算を実行して周波数別正面抑圧信号N(f,K)を生成した後、さらに、(4)式に示す演算を実行して周波数別正面抑圧信号N(f,K)の平均値である正面抑圧信号AVE_N(K)を生成し、残響判定部13に与えるものである。(3)式の演算は、一対のマイクロホンm1及びm2の捕捉信号から得られた2つのX1(f,K)及びX2(f,K)のいずれも遅延させることなく減算しているので、図2に示すように、正面に死角を有する指向性信号を形成する処理に相当する。なお、周波数別正面抑圧信号N(f,K)の演算式は(3)式に限定されず、(3)式の演算値の絶対値を周波数別正面抑圧信号N(f,K)とするようにしても良い。
Figure 2016039398
残響判定部13は、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルや分散の度合に基づいて、残響成分の有無を判定し、判定結果R(K)を図示しない後段の信号処理部に与えるものである。
図3は、残響判定部13の詳細構成を示すブロック図である。残響判定部13は、正面抑圧信号受信部21、レベル・分散計算部22、判定部23及び判定結果送信部24を有する。
正面抑圧信号受信部21は、正面抑圧信号生成部12によって算出された正面抑圧信号AVE_N(K)を取込むものである。
レベル・分散計算部22は、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルLv(K)及び分散Vr(K)を計算するものである。レベル・分散計算部22は、例えば、直前所定期間の正面抑圧信号AVE_N(K−M)〜AVE_N(K)の平均値(平滑化値であっても良い)や2乗和や2乗和平方根などを、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルLv(K)として計算する。レベル・分散計算部22は、例えば、直前所定期間の正面抑圧信号AVE_N(K−M)〜AVE_N(K)の分散Vr(K)を計算するものである。レベル・分散計算部22は、分散に代え、標準偏差や変動係数などの他のばらつき度合いを表す統計量を計算するものであっても良い。
判定部23は、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルLv(K)をレベル用閾値Θと比較すると共に、正面抑圧信号AVE_N(K)の分散Vr(K)を分散用閾値Ψと比較し、残響成分の有無を決定するものである。判定部23は、レベルLv(K)がレベル用閾値Θ以上でしかも正面抑圧信号AVE_N(K)の分散Vr(K)が分散用閾値Ψ以上の場合に残響成分が「有る」と決定し、他の場合に、残響成分が「無い」と決定する。
判定結果送信部24は、判定部23による判定結果R(K)を図示しない後段の信号処理部へ出力するものである。
(A−2)正面抑圧信号を利用することとした理由
次に、残響成分の有無判定に正面抑圧信号を利用することとした理由を説明する。
残響成分は、目的音が反射して生じたものであるので、音源からマイクロホンへ直接伝達された直接音と特性が似ている。そのため、信号やその周波数成分に基づいて残響成分を波形的に分析して検出しようとしても(時間領域信号で検出しようとしても周波数領域信号で検出しようとしても)、かなり困難なものである。
そこで、観点を変えて、信号の波形的な分析ではなく、残響成分を認識し得ないか検討してみる。
残響成分は、音源からの目的音が反射して発生する成分である。反射していない直接音は、一対のマイクロホンの正面から到来する。一方、残響成分は反射しているため、一対のマイクロホンへの到来方位が四方八方である。話者の背後で反射した残響成分は、話者に遮られてマイクロホンには到達しない。
そこで、到来方位に着目した分析が利用できそうである。
一対のマイクロホンが捕捉した信号のそれぞれから、指向方位が異なる2つの指向性信号を形成し、2つの指向性信号の相関を反映させたパラメータとしてコヒーレンスがある(特許文献2参照)。残響成分は、目的音との時間差が小さい。そのため、目的音の期間と残響成分の期間とが重なってしまい、コヒーレンスに基づいて残響成分を検出することは困難である。
第1の実施形態は、目的音がマイクロホンの正面から到来することを想定している。正面以外に指向性を有する「正面抑圧信号」は、話者が発声している目的音がある期間でも、目的音が抑圧されたものとなっている。一方、「正面抑圧信号」は、話者が発声して残響がある状況では、正面以外からの残響が到達するので値が大きくなる。これに対して、「正面抑圧信号」は、話者が発声していても反射する部材がない残響がない状況では、当然に、残響が到達しないので値は小さくなる。さらに、「正面抑圧信号」は、話者が発声していない状況では、当然に小さな値をとる。
以上を整理すると、「正面抑圧信号」が大きな値をとるのは残響成分がある場合だけであり、話者が発生していない場合を含めて残響成分がない場合には「正面抑圧信号」が小さな値をとる。すなわち、「正面抑圧信号」の挙動に基づいて残響成分の有無を検出することができる。
図4(A)は、吸音室内で話者が発声したような残響が生じない環境でマイクロホンが捕捉した信号に基づいて生成した正面抑圧信号の変化を示し、図4(B)は、乗用車内で話者が発声したような残響が生じる環境でマイクロホンが捕捉した信号に基づいて生成した正面抑圧信号の変化を示している。図4から分かるように、正面抑圧信号は、残響が生じる環境下で、レベルや分散が著しく増大する。
そこで、第1の実施形態では、正面抑圧信号のレベルや分散が、所定の値に達しているか否かに基づいて、残響成分の有無を判定(検出)することとした。
(A−3)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の残響判定装置10の動作を、図面を参照しながら、全体動作、残響判定部13における動作の順に説明する。
一対のマイクロホンm1及びm2から入力された信号s1(n)、s2(n)はそれぞれ、FFT部11によって時間領域から周波数領域の信号X1(f,K)、X2(f,K)に変換されて正面抑圧信号生成部12に与えられる。
正面抑圧信号生成部12においては、周波数毎に、(3)式に示す演算が実行されて周波数別正面抑圧信号N(f,K)が生成され、さらに、(4)式に示す演算が実行されて正面抑圧信号AVE_N(K)が生成され、残響判定部13に与えられる。
残響判定部13においては、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルや分散が算出され、算出された正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルや分散がそれぞれ閾値と比較される。そして、2つの比較結果が共に残響成分の存在を表している場合に「残響成分有り」を表し、他の場合に「残響成分無し」を表す判定結果R(K)が形成されて図示しない後段の信号処理部に与えられる。
例えば、後段の信号処理部が雑音抑圧処理部であれば、残響成分の有無に応じて適用する抑圧ゲインを切り替える。また例えば、後段の信号処理部が音声認識部であれば、残響成分の有無に応じて音声認識を実行するか否か切り替える。また、処理負担は大きいが認識精度が高い第1の音声認識部と、処理負担は小さいが認識精度が低い第2の音声認識部とを有する場合であれば、「残響成分有り」の場合に第1の音声認識部を動作させ、「残響成分無し」の場合に第2の音声認識部を動作させるようにしても良い。
残響判定部13の内部では以下のような処理が実行されている。正面抑圧信号生成部12によって算出された正面抑圧信号AVE_N(K)が正面抑圧信号受信部21はよって取込まれ、レベル・分散計算部22において、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルLv(K)及び分散Vr(K)が計算される。判定部23においては、図5に示すように、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルLv(K)がレベル用閾値Θと比較されると共に、正面抑圧信号AVE_N(K)の分散Vr(K)が分散用閾値Ψと比較され(ステップS101)、レベルLv(K)がレベル用閾値Θ以上でしかも正面抑圧信号AVE_N(K)の分散Vr(K)が分散用閾値Ψ以上の場合には「残響成分有り」の判定結果R(K)が形成され(ステップS102)、他の場合には「残響成分無し」の判定結果R(K)が形成される(ステップS103)。
そして、このようにして形成された判定結果R(K)が、判定結果送信部24から、図示しない後段の信号処理部へ出力される。
(A−4)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、一対のマイクロホンが捕捉して得た音信号から、正面抑圧信号を形成し、そのレベルと分散に基づいて、残響成分の有無を判定するようにしたので、音信号に残響成分があるか否かを簡単な構成や簡単な処理で判定することができる。
後段の処理部を残響成分の有無に応じて制御することにより、後段の処理部に適切な動作を実行させることができる。これにより、第1の実施形態の残響判定装置若しくはプログラムを適用したスマートフォンや音声会議装置や音声認識装置における性能の向上が期待できる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による残響判定装置及びプログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
第1の実施形態は、話者が発声した音声が装置正面から到来することを前提として構成されたものである。しかし、スマートフォンを多少傾けて持って発声するなど、同じ発声時点の音を、一対のマイクロホンm1及びm2が捕捉するのに時間差があることもある。第2の実施形態は、音源方位を学習し、学習した音源方位の成分(目的音)を抑圧した抑圧信号(音源方位抑圧信号)を形成し、その抑圧信号に基づいて残響成分の有無を判定しようとしたものである。
図6は、第2の実施形態に係る残響判定装置の構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
図6において、第2の実施形態の残響判定装置10Aは、マイクロホンm1、マイクロホンm2、FFT部11、音源方位抑圧信号生成部12A、残響判定部13及び音源方位学習部14を有する。音源方位抑圧信号生成部12A及び音源方位学習部14だけが第1の実施形態とは異なるので、以下では、音源方位抑圧信号生成部12A及び音源方位学習部14について説明する。
音源方位学習部14は、例えば、学習モードにおいて音源方位を学習するものである。例えば、当該残響判定装置を搭載した装置に音源方位の学習モードを持たせ、マニュアルなどで残響が生じない環境で学習モードを起動して音声を発することを利用者に指示する。このようなときにマイクロホンm1及びm2が捕捉して得た信号s1(n)、s2(n)に基づいて音源方位を学習する。音源方位の検出方法としては、特開2009−042552号公報(以下、参考文献1と呼ぶ)に記載のようなコヒーレンスを利用した既存の方法を適用することができる。また、信号s1(n)及びs2(n)間の相関が最も大きい時間差を音源方位情報として検出するようにしても良い。
音源方位抑圧信号生成部12Aは、学習された音源方位に死角を有するような音源方位抑圧信号を形成して残響判定部13に与えるものである。参考文献1には、方位が分かっている非目的音の抑圧方法が記載されており、この抑圧方法を音源方位抑圧信号の形成方法として利用することができる。また、信号s1(n)及びs2(n)間の相関が最も大きい時間差を音源方位情報としている場合であれば、その時間差に応じた分だけ一方の信号s1(n)又はs2(n)を遅延させて信号s1(n)及びs2(n)の時間軸を揃えた後、第1の実施形態で説明したFFT部11と正面方位抑圧信号生成部12を機能させることにより、音源方位抑圧信号生成部12Aとして機能させることができる。
以上の点を除けば、第2の実施形態も第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態によれば、話者(音源)の方位が装置正面でない場合であっても、一対のマイクロホンが捕捉して得た音信号に残響成分があるか否かを簡単な構成や簡単な処理で判定することができる。
(C)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
上記各実施形態では、正面抑圧信号AVE_N(K)を残響判定部13に入力するものを示したが、2、3フレーム程度の正面抑圧信号AVE_N(K)を平均化した正面抑圧信号を残響判定部13に入力するようにしても良く、このようにした場合には、突発的な変動の影響を受け難くすることができる。
上記各実施形態では、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルとばらつきの双方を用いて残響成分があるか否かを判定するものを示したが、正面抑圧信号AVE_N(K)のレベルとばらつきの一方に基づいて残響成分があるか否かを判定するようにしても良い。
第2の実施形態では、音源方位を学習モードで学習するものを示したが、残響成分の判定動作と並行して音源方位を検出し、第2の実施形態と同様に処理するようにしても良い。
上記各実施形態では、マイクロホンが2つの場合を示したが、マイクロホンは2つに限定されず、3以上あっても良い。
上記各実施形態では、一対のマイクロホンが捕捉した信号を直ちに処理する装置やプログラムを示したが、一対のマイクロホンが捕捉した信号を記録媒体に記録し、それを再生する場合にも、本発明を適用することができる。
10、10A…残響判定装置、m1、m2…マイクロホン、11…FFT(高速フーリエ変換)部、12…正面抑圧信号生成部、12A…音源方位抑圧信号生成部、13…残響判定部、14…音源方位学習部、21…正面抑圧信号受信部、22…レベル・分散計算部、23…判定部、24…判定結果送信部。

Claims (8)

  1. 少なくとも2本のマイクロホンが周囲音を捕捉して得られた入力音信号に基づき、目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する音源方位抑圧信号生成手段と、
    生成された音源方位抑圧信号の時間変化を反映させた特徴量を閾値と比較して、上記入力音信号における残響成分の有無を決定する残響判定手段と
    を有することを特徴とする残響判定装置。
  2. 上記音源方位抑圧信号生成手段は、装置正面を音源方位として音源方位抑圧信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の残響判定装置。
  3. 上記目的音音源の方位を学習する学習手段をさらに備え、
    上記音源方位抑圧信号生成手段は、学習された目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の残響判定装置。
  4. 上記残響判定手段は、
    音源方位抑圧信号の時系列から、音源方位抑圧信号のレベルを計算するレベル計算部と、
    音源方位抑圧信号のレベルがレベル用閾値以上の場合に残響成分有りと判定し、それ以外の場合には残響成分無しと判定する判定部とを有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の残響判定装置。
  5. 上記残響判定手段は、
    音源方位抑圧信号の時系列から、音源方位抑圧信号の分散を計算する分散計算部と、
    音源方位抑圧信号の分散が分散用閾値以上の場合に残響成分有りと判定し、それ以外の場合には残響成分無しと判定する判定部とを有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の残響判定装置。
  6. 上記残響判定手段は、
    音源方位抑圧信号の時系列から、音源方位抑圧信号のレベルと分散とを計算するレベル・分散計算部と、
    音源方位抑圧信号のレベルがレベル用閾値以上で音源方位抑圧信号の分散が分散用閾値以上の場合に残響成分有りと判定し、それ以外の場合には残響成分無しと判定する判定部とを有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の残響判定装置。
  7. 上記音源方位抑圧信号生成手段は、一旦計算で得られた音源方位抑圧信号を複数フレーム分平均して、上記残響判定手段へ与える音源方位抑圧信号を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の残響判定装置。
  8. コンピュータを、
    少なくとも2本のマイクロホンが周囲音を捕捉して得られた入力音信号に基づき、目的音音源の方位に死角を有する音源方位抑圧信号を生成する音源方位抑圧信号生成手段と、
    生成された音源方位抑圧信号の時間変化を反映させた特徴量を閾値と比較して、上記入力音信号における残響成分の有無を決定する残響判定手段と
    して機能させることを特徴とする残響判定プログラム。
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