JP2016021032A - 高周波逓倍装置及び逓倍方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い帯域の高周波信号を生成することが可能な高周波逓倍装置を提供する。
【解決手段】周波数逓倍装置100は,駆動信号源10と,第1の光周波数逓倍器20と,第2の光周波数逓倍器30とを備える。駆動信号源10は,周波数fの駆動信号を発生させる。第1の光周波数逓倍器20には,駆動信号が印加される。第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる。第2の光周波数逓倍器30には,第1の周波数逓倍信号が印加される。第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる。
【選択図】図1
【解決手段】周波数逓倍装置100は,駆動信号源10と,第1の光周波数逓倍器20と,第2の光周波数逓倍器30とを備える。駆動信号源10は,周波数fの駆動信号を発生させる。第1の光周波数逓倍器20には,駆動信号が印加される。第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる。第2の光周波数逓倍器30には,第1の周波数逓倍信号が印加される。第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる。
【選択図】図1
Description
本発明は,高周波信号を生成するのに適した周波数逓倍装置及び周波数逓倍方法に関する。具体的に説明すると,本発明は,2つ以上の光周波数逓倍器を縦続接続することにより,4逓倍以上(好ましくは8逓倍以上)の逓倍信号を生成することが可能な逓倍装置及び逓倍方法に関するものである。
搬送波周波数の高周波化は,無線通信レーダ技術の大容量化及び高精度化に寄与する。このため,次世代無線技術では,搬送波周波数の高精度化が必須とされており,実際に,空港滑走路面監視レーダは,90GHzのミリ波の利用を前提に研究開発が進められている。ただし,そのような高周波は,大気減衰が大きく,また,波長の短さに起因する自由空間伝搬損失の増大により,伝搬可能距離が短い傾向にある。そこで,現在では,光ファイバネットワークに直結することが可能な高周波ミリ波信号発生技術が求められている。
従来から,光変調器用いて周波数2逓倍信号や周波数4逓倍信号を得る技術の研究開発が行われている(特許文献1,特許文献2等)。このような逓倍技術では,例えばマッハツェンダ干渉計型の光強度変調器(MZM)が利用されている。このような光変調器を備えた光周波数逓倍器は,例えば,MZMの駆動点を調整して抑圧搬送波両側波帯(DSB−SC)変調を行い,±1次成分を強調して,その周波数差を検出することで,周波数2逓倍信号を得ることができる。また,例えば,MZMの駆動点を調整して全搬送波両側波帯(DSB−WC)変調を行い,波長フィルタにて搬送波を抑圧することにより,±2次成分を強調して,その周波数差を検出することで,周波数4逓倍信号を得ることができる。さらには,MZMに印加する電力を増大させて,更なる高調波成分を誘引し,複雑な波長フィルタを適用することで,±3次成分又は±4次成分を強調して,周波数6逓倍信号又は周波数8逓倍信号を得ることも可能である。
ところで,光周波数逓倍器によって最終的に得られる周波数逓倍信号は,光変調器に導入可能な駆動信号の周波数に律速される。ここで,一つの光変調器に導入可能な駆動信号は,一般的に,35GHz程度の周波数のものが限界であるとされている。このため,従来の光変調器による周波数2逓倍技術又は周波数4逓倍技術では,最大で140GHz程度の周波数を得ることが限界であるとされていた。また,一つの光変調器を用いた光周波数8逓倍技術では,高度な光変調が必要となることから,装置の複雑化及び光SN比の低下が問題となっていた。
このため,現在では,単純な構成であって,光SN比の低下を抑制しつつ,マイクロ波帯〜サブミリ波帯までの幅広い高周波信号を生成することが可能な高周波逓倍装置及び逓倍方法が求められている。
そこで,本発明の発明者らは,上記の従来技術の問題を解決する手段について鋭意検討した結果,第1の光周波数逓倍器によって第1の周波数逓倍信号を得て,この第1の周波数逓倍信号を第2の光周波数逓倍器に導入し,第2の光周波数逓倍器によって第2の周波数逓倍信号を得るという構成を発案した。例えば,光周波数4逓倍器と光周波数2逓倍器を縦続接続することで,周波数8逓倍信号を生成することができる。つまり,従来技術のように,一つの光変調器によって周波数8逓倍信号を得ようとすると,その構造が複雑になるとともに光SN比が低下するという問題があった。これに対し,本発明は,比較的構造が単純な光周波数4逓倍器と光周波数2逓倍器を縦続接続するものであるため,より簡易な構造で周波数8逓倍信号を得ることが可能となる。併せて,光SN比の低下を抑制することができる。そして,本発明者らは,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
本発明の第1の側面は,周波数逓倍装置に関する。
本発明の周波数逓倍装置は,駆動信号源10と,第1の光周波数逓倍器20と,第2の光周波数逓倍器30と,を備える。
駆動信号源10は,周波数fの駆動信号を発生させる。
第1の光周波数逓倍器20には,駆動信号が印加される。第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる。
第2の光周波数逓倍器30には,第1の周波数逓倍信号が印加される。第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる。なお,MはNと同じ値であっても良いし,異なる値であってもよい。
本発明の周波数逓倍装置は,駆動信号源10と,第1の光周波数逓倍器20と,第2の光周波数逓倍器30と,を備える。
駆動信号源10は,周波数fの駆動信号を発生させる。
第1の光周波数逓倍器20には,駆動信号が印加される。第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる。
第2の光周波数逓倍器30には,第1の周波数逓倍信号が印加される。第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる。なお,MはNと同じ値であっても良いし,異なる値であってもよい。
上記のように,本発明の周波数逓倍装置は,第1の光周波数逓倍器20と第2の光周波数逓倍器30とを縦続接続した構成を有している。これにより,周波数逓倍装置は,駆動信号の周波数を少なくとも4逓倍以上,好ましくは8逓倍以上させた周波数逓倍信号を得ることができる。従って,本発明は,比較的単純な構成で,幅広い周波数帯の高周波信号を生成することができる。さらに,本発明は,光周波数8逓倍器のような複雑な構造を用いる必要がないため,光周波数逓倍波の光SN比が低下することを抑制することができる。
本発明の周波数逓倍装置において,第1の光周波数逓倍器20は,光源から入力された光を駆動信号(f)によって変調し,奇数次又は偶数次の両側波帯成分を得て,当該両側波帯成分の周波数差を検出することで,当該周波数差に応じた第1の周波数逓倍信号(2Nf)を発生させるものであることが好ましい。同様に,第2の光周波数逓倍器30は,光源から入力された光を第1の周波数逓倍信号(2Nf)によって変調し,奇数次又は偶数次の両側波帯成分を得て,当該両側波帯成分の周波数差を検出することで,当該周波数差に応じた第2の周波数逓倍信号(2M・2Nf)を発生させるものであることが好ましい。
上記のように,第1の光周波数逓倍器20と第2の光周波数逓倍器30は,駆動信号によって入力光を両側波帯(DSB)変調する光変調器を備えるものであることが好ましい。そして,変調光の両側波帯の周波数差に基づいて周波数逓倍信号を得ることにより,駆動信号の周波数を正確に逓倍化させた逓倍信号を生成することができる。
本発明の周波数逓倍装置は,N>Mの条件を満たすことが好ましい。つまり,周波数逓倍装置は,その前段部分に,より逓倍数の高い第1の光周波数逓倍器20を配置し,その後段部分に逓倍数の低い第2の光周波数逓倍器30を配置したものであることが好ましい。
上記構成のように構成することで,周波数逓倍装置全体の構造の複雑化を防止すると同時に,得られる光周波数逓倍波の光SN比が低下することを抑制できる。つまり,光周波数逓倍器によって,より逓倍数の高い周波数逓倍信号を得ようとすると,より電力の大きい駆動信号を印加する必要がある。このため,例えば,光周波数2逓倍器の後に光周波数4逓倍器を接続した場合,これらの両逓倍器の間に大電力のRF増幅器を設置する必要が生じる。これに対し,光周波数4逓倍器を,より駆動信号源10に近い位置に設け,光周波数4逓倍器の後に光周波数2逓倍器を接続することで,両逓倍器の間に設置するRF増幅器を比較的単純なものとすることができる。さらに,光周波数4逓倍器の後段に光周波数2逓倍器を設けることで,最終段の逓倍器を単純な構成とすることができるため,得られる光周波数逓倍波の光SN比が低下することを抑制できる。
本発明の周波数逓倍装置は,N=2,且つ,M=1であることが好ましい。これにより,本発明は,駆動信号の周波数fを8逓倍させた周波数8fの第2の周波数逓倍信号を発生させる。
上記のように,第1の光周波数逓倍器20が光周波数4逓倍器であり,第2の光周波数逓倍器30が光周波数2逓倍器であって,これらの逓倍器を縦続接続することで,周波数8逓倍信号を得ることが,本発明の好ましい形態である。このように,光周波数8逓倍器のような複雑な構造を用いなくても,単純な光周波数2逓倍器と光周波数4逓倍器と接続することで,周波数8逓倍信号を容易に得ることができる。
本発明の第2の側面は,周波数逓倍方法に関する。
本発明の周波数逓倍方法は,
駆動信号源10により,周波数fの駆動信号を発生させる工程と,
駆動信号を第1の光周波数逓倍器20に印加する工程と,
第1の光周波数逓倍器20により,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる工程と,
第1の周波数逓倍信号を第2の光周波数逓倍器30に印加する工程と,
第2の光周波数逓倍器30により,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる工程と,を含む。
本発明の周波数逓倍方法は,
駆動信号源10により,周波数fの駆動信号を発生させる工程と,
駆動信号を第1の光周波数逓倍器20に印加する工程と,
第1の光周波数逓倍器20により,駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる工程と,
第1の周波数逓倍信号を第2の光周波数逓倍器30に印加する工程と,
第2の光周波数逓倍器30により,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる工程と,を含む。
本発明によれば,単純な構成で,光SN比の低下を抑制しつつ,マイクロ波帯だけでなく,ミリ波帯(例えば100〜300GHz)やサブミリ波帯(例えば1THz〜)にまで達する高周波逓倍信号を得ることができる。また,通常の電気逓倍器では狭帯域動作しかできないのに対し,本発明の光周波数逓倍器を利用した逓倍装置であれば,光の原理的な広帯域性を利用することによって,逓倍帯域の超広帯域化が可能となる。さらに,一般的な電気逓倍器では増幅器等に起因した位相雑音の劣化が発生するのに対し,本発明の光周波数逓倍器を利用した逓倍装置であれば,理論位相雑音付加のみで逓倍動作が可能であり,原理的に雑音の小さい逓倍器構成が可能である。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
図1は,本発明に係る周波数逓倍装置及び周波数逓倍方法の基本原理を示している。周波数逓倍方法は,周波数逓倍装置100により実現される。図1に示されるように,本発明に係る周波数逓倍装置100は,基本的に,駆動信号源10と,第1の光周波数逓倍器20と,第2の光周波数逓倍器30と,を備えている。
本発明に係る周波数逓倍装置100は,駆動信号源10から発生された電気信号の周波数を逓倍化させることができる。図1に示されるように,第1の光周波数逓倍器20と第2の光周波数逓倍器30は縦続接続されている。まず,駆動信号源10から,周波数fの駆動信号が第1の光周波数逓倍器20に入力される。すると,第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号の周波数を2N逓倍させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる(ただしNは1以上の整数)。また,この第1の周波数逓倍信号は,第1の光周波数逓倍器20の後段に位置する第2の光周波数逓倍器30に入力される。そして,第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる(ただしMは1以上の整数)。
具体的に説明すると,駆動信号源10は,逓倍の対象となる駆動信号(電気信号)を発生させる。駆動信号源10としては,公知の電気信号源を用いることができる。例えば,駆動信号源10は,ラジオ周波数(RF)信号などの変調信号を発生する信号源を用いればよい。また,駆動信号源10には,電気信号の電力を増幅させるための増幅器が接続されていてもよい。本願明細書において,駆動信号の周波数は“f”で定義される。
第1の光周波数逓倍器20は,駆動信号源10からの駆動信号の周波数を逓倍化させた第1の周波数逓倍信号を生成する。第1の光周波数逓倍器20は,まず,光変調器を含む。第1の光周波数逓倍器20の光変調器には,所定の光源から発生された光が入力される。そして,第1の光周波数逓倍器20の光変調器は,駆動信号源10から印加された駆動信号に応じて,光源からの光を光強度変調する。そうすると,この変調光には,駆動信号と周波数が一致する搬送波成分(周波数f)とともに,奇数次及び/又は偶数次の両側波帯成分(±Nf)が発生する。ここで,Nは1以上の整数である。つまり,Nは,側波帯成分の次数を意味しているということもできる。光変調器による変調方式は,搬送波成分を抑圧しない全搬送波両側波帯(DSB−WC)変調であってもよいし,搬送波成分を抑圧した抑圧搬送波両側波帯(DSB−SC)変調であってもよい。なお,搬送波成分が抑圧されない場合,光変調器からの出力光を光フィルタに入力して,搬送波成分を除去すればよい。このように動作する光変調器であれば,適宜公知のものを採用することができる。
例えば,第1の光周波数逓倍器20に含まれる光変調器としては,マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器(MZM)を利用することが好ましい。MZMは,入力された光を2つの導波路に分岐させて,各導波路を通過させた後に,再度合波させる構成をもつ光変調器である。2つの導波路には,それぞれ駆動信号源10からの駆動信号が印加されており,これにより駆動信号に応じた光変調信号が得られる。また,バイアス電源(図示省略)によって各導波路に印加するバイアス信号を調整して,各導波路を導波する光の位相変化量の差を変化させることで,変調器から出力される光成分の強度を変化させることができる。例えば,MZMに印加するバイアス電圧を伝達関数の透過極大点に設定することで,MZMからの出力光は,奇数次成分が抑圧され,偶数次成分と搬送波成分(0次成分)とが増強されるようになる。他方,MZMに印加するバイアス電圧を伝達関数の透過極小点に設定することで,MZMからの出力光は,奇数次成分が増強され,偶数次成分と搬送波成分(0次成分)が抑圧されるようになる。つまり,MZMによって強調する側波帯成分は,±1次成分であってもよいし,±2次成分であってもよいし,±3次成分以上の高調波成分であってもよい。なお,このようなMZMの駆動方法は公知であるため,適宜公知の方法を用いることができる。
また,第1の光周波数逓倍器20は,光検出器をさらに含む。光検出器は,MZMなどの光変調器び出力光を検出して電気信号に変換する。例えば,光検出器としては,公知のフォトダイオード(PD)などを用いることができる。具体的には,光検出器は,光変調器から出力された変調光に含まれる両側波帯成分の周波数差を検出する。変調光の両側波帯成分の周波数は,それぞれ,±Nfで表すことができる。つまり,下側波帯成分の周波数は−Nfであり,上側波帯成分の周波数は+Nfとなる。このため,両側波帯成分の周波数差は,2Nfとなる。従って,光変調器と光検出器を含む第1の光周波数逓倍器20によれば,駆動信号の周波数fを2N逓倍させた第1の周波数逓倍信号(周波数2Nf)を生成することができる。例えば,光変調器によって±1次成分を増強させる場合,第1の光周波数逓倍器20は,周波数2逓倍信号を生成することができる。また,例えば,光変調器によって±2次成分を増強させる場合,第1の光周波数逓倍器20は,周波数4逓倍信号を生成することができる。同様に,周波数6逓倍信号や周波数8逓倍信号を生成することも,理論上可能である
第2の光周波数逓倍器30には,第1の周波数逓倍器20によって得られた第1の周波数逓倍信号が駆動信号として入力される。これにより,第2の光周波数逓倍器30は,第1の周波数逓倍信号の周波数を逓倍化させた第2の周波数逓倍信号を生成する。第2の光周波数逓倍器30は,上述した第1の光周波数逓倍器20と同じ原理で,周波数逓倍信号を生成することが可能である。つまり,第2の光周波数逓倍器30は,第1の光周波数逓倍器20と同様に,光変調器(マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器等)と光検出器(フォトダイオード等)とを含んで構成されている。
具体的に説明すると,第2の光周波数逓倍器30の光変調器には,所定の光源から発生された光が入力される。なお,第2の光周波数逓倍器30に光を供給する光源と,第1の光周波数逓倍器20に光を供給する光源は,同一であってもよいし異なっていてもよい。そして,第2の光周波数逓倍器30の光変調器は,第1の光周波数逓倍器20から印加された第1の周波数逓倍信号に応じて,光源からの光を光強度変調する。そうすると,この変調光には,第1の周波数逓倍信号と周波数が一致する搬送波成分(周波数2Nf)とともに,奇数次及び/又は偶数次の両側波帯成分(±M・2Nf)が発生する。ここで,Mは1以上の整数である。つまり,Mは,側波帯成分の次数を意味しているということもできる。なお,NとMは,同一であってもよいし異なっていてもよい。また,光変調器による変調方式は,搬送波成分を抑圧しない全搬送波両側波帯(DSB−WC)変調であってもよいし,搬送波成分を抑圧した抑圧搬送波両側波帯(DSB−SC)変調であってもよい。搬送波成分が抑圧されない場合,光変調器からの出力光を光フィルタに入力して,搬送波成分を除去すればよい。
第2の光周波数逓倍器30の光検出器は,光変調器からの出力光を検出して電気信号に変換する。具体的には,光検出器は,光変調器から出力された変調光に含まれる両側波帯成分の周波数差を検出する。第2の光周波数逓倍器30の変調光が出力する両側波帯成分の周波数は,それぞれ,±M・2Nfで表すことができる。つまり,下側波帯成分の周波数は−M・2Nfであり,上側波帯成分の周波数は+M・2Nfとなる。このため,両側波帯成分の周波数差は,2M・2Nfとなる。従って,第1の光周波数逓倍器20と第2の光周波数逓倍器30とを縦続接続した構成によれば,元となる駆動信号の周波数fを2M×2N逓倍させた第2の周波数逓倍信号(周波数2M・2Nf)を生成することができる。例えば,駆動信号の周波数を,第1の光周波数逓倍器20によって2逓倍させて,第2の光周波数逓倍器30によって2逓倍させる場合,結果として周波数4逓倍信号を得ることができる。また,駆動信号の周波数を,第1の光周波数逓倍器20によって4逓倍させて,第2の光周波数逓倍器30によって2逓倍させる場合,結果として周波数8逓倍信号を得ることができる。また,同様に,周波数12逓倍信号,周波数16逓倍器,及びさらに逓倍数の高い信号を生成することも,理論上可能である
また,第1の光周波数逓倍器20と第2の光周波数逓倍器30を縦続接続する構成において,第1の光周波数逓倍器20により得られる逓倍信号の逓倍数と,第2の光周波数逓倍器30により得られる逓倍信号の逓倍数とが重要になる。第1の光周波数逓倍器20の逓倍数は2Nであり,第2の光周波数逓倍器30の逓倍数は2Mである。このとき,Nの値は,Mの値よりも大きいことが好ましい(N>M)。特に,第1の光周波数逓倍器20の逓倍数は4であり,第2の光周波数逓倍器30の逓倍数は2であることが好ましい。(2N=4,2M=2)。すなわち,光周波数逓倍器によって,より逓倍数の高い周波数逓倍信号を得ようとすると,より電力の大きい駆動信号を印加する必要がある。このため,例えば,光周波数2逓倍器の後に光周波数4逓倍器を接続した場合,これらの両逓倍器の間に大電力のRF増幅器を設置する必要が生じる。これに対し,光周波数4逓倍器を,より駆動信号源10に近い位置に設け,光周波数4逓倍器の後に光周波数2逓倍器を接続した構成とすることで,両逓倍器の間に設置するRF増幅器を比較的単純なものとすることができる。さらに,光周波数4逓倍器の後段に光周波数2逓倍器を設けることで,最終段の逓倍器を単純な構成とすることができるため,得られる光周波数逓倍波の光SN比の低下を抑制することができる。
続いて,本発明に係る周波数逓倍装置及び周波数逓倍方法の実施例について説明する。図2は,実施例に係る周波数逓倍装置100を示している。本実施例では,2つの光周波数逓倍器を縦続接続することによって,周波数8逓倍装置100を構築した。周波数8逓倍装置100は,光周波数4逓倍器20と,光周波数2逓倍器30を含む。まず,光周波数4逓倍器20に駆動信号を入力し,周波数4逓倍信号を得た後,この周波数4逓倍信号を光周波数2逓倍器30に入力した。これにより,2つの光周波数逓倍器20,30によって,周波数8逓倍信号が得られた。
具体的に説明すると,光源として,波長可変レーザ(TLD)1を用いた。TLD1は,+14dBmの出力光強度を有する波長約1550.7nmの光を発生させるように調整した。TLDからの出力光は,2つに分離され,それぞれ,偏波コントローラ(PC)2,3を介して,光周波数4逓倍器20の光変調器(MZM)21と,光周波数2逓倍器30の光変調器(MZM)31に入力された。
光周波数4逓倍器20において,マッハツェンダ干渉計型の光強度変調器(MZM)21は,変調器駆動増幅器(AMP)11を備えるマイクロ波信号源(SG)10により駆動した。このMZM21のバイアスは,伝達関数の透過極大点に設定した。すなわち,このMZM21は,出力光の奇数次成分が抑圧され,偶数次成分と搬送波成分(0次成分)が増強されるように,バイアス電圧が印加されている。なお,バイアス電圧系は図示していない。MZM21からの出力光は,添加光ファイバ増幅器(EDFA)22,光帯域除去フィルタ(OBEF)23,添加光ファイバ増幅器(EDFA)24,光パンドパスフィルタ(OBPF)25,及びフォトダイオード(PD)26の順に入力される。前段のEDFA22は,MZM21における挿入損失を補償するために設置した。OBEF23は,EDFA22を通過した搬送波成分を抑圧するためのノッチフィルタとして利用した。後段のEDFA24は,OBEF23を通過した出力光を再び増幅するために設置した。OBPF25は,EDFA24に起因して増幅された自然放出雑音光を抑圧するためフィルタとして用いた。PD26は,入力される光信号の光強度を検出可能なように最適化した。PD26は,入力された光信号の周波数差を,これに対応する周波数成分を有する電気信号に直接変換する。±2次成分の間の周波数差は,SG10から出力された駆動信号(電気信号)の4倍であるため,これらの成分の差周波を取ることによって,周波数4逓倍信号(電気信号)が生成された。
光周波数4逓倍器20のPD26と光周波数2逓倍器30のMZM31とを,電線路4によって接続した。この電線路4には,周波数4逓倍信号を増幅するための変調器駆動増幅器(AMP)27を設けた。これにより,電線路4を介して,光周波数4逓倍器20で生成された周波数4逓倍信号が,AMP27によって増幅された後,光周波数2逓倍器30のMZM31に印加された。
光周波数2逓倍器30に含まれるMZM31用の光源は,上記したTLD1から出力されて分離されたもう一方の光とした。MZM31に入力される光の偏光状態は,PC3によって維持されている。光周波数2逓倍器30において,MZM31のバイアス点は,上記した光周波数4逓倍器20とは反対に,伝達関数の透過極小点に設定した。つまり,このMZM31には,出力光の奇数次成分が増強され,偶数次成分と搬送波成分(0次成分)が抑圧されるように,バイアス電圧を印加した。MZM31から出力された変調光は,前段のEDFA32を通過して増幅された後,OBEF33によって残留搬送波成分が抑圧された。その後,後段のEDFA34によって,PD36による検出のために,光信号を増幅した。最後に,PD36によって,±1次成分が増強された光2トーン信号から周波数差を検出した。これにより,PD36によって,元となる駆動信号の周波数を8倍にした周波数8逓倍信号が得られた
ここで,光周波数4逓倍器20と光周波数2逓倍器30を縦続接続する順序は,ミリ波信号などの高周波信号を生成するために,非常に重要となる。一般的に,光変調器(MZM)からの出力光の振幅(光強度)は,印加されるRF信号周波数(特に50GHzの周波数)の増幅に伴って減少する。また,光変調器において,電気−光変換の周波数応答の劣化を防止するためには,RF信号の入力振幅をより増幅させる必要がある。しかし,偶数次成分(±2次成分)を増強させる必要のある光周波数4逓倍器20は,光変調器の半波長電圧の1.5倍以上の入力RF振幅で動作させる必要がある。また,光周波数2逓倍器30は,入力RF振幅の半波長電圧を必要とする。従って,本実施例において,光周波数4逓倍器の後段に光周波数2逓倍器を設けることは,光変調器と駆動条件を考慮する上で有益である。
また,周波数8逓倍装置100の各ポイントにおいて生成された信号の性質を評価するために,時間領域と周波数領域を評価する2つのシステムを用いた。図2には,評価装置200の概要が示されている。オシロスコープ(Scope)210は,信号の時間領域を評価するために使用した。なお,スコープの帯域幅は最終出力信号(周波数8逓倍信号)の測定には不十分であったため,周波数下方変換のために,局部発振器220に接続された二重平衡ミキサ(DBM)230を備えるヘテロダイン検出器を使用し,局部発振器220を周波数75GHzで駆動させた。この周波数領域において,単側波帯(SSB)位相雑音測定機能を有する電気スペクトルアナライザ(ESA)240を,高調波ミキサ(HM)250と共に使用した。
[A.光周波数4逓倍]
光スペクトルは,光変調器による光周波数逓倍の評価のための指標となる。図3は,図2に示した光周波数8逓倍器100の光周波数4逓倍器20で観察された光信号の光スペクトルを示している。SG10は,周波数12.5GHzで駆動した。図3に示されるように,光変調器(MZM21)からの多くの調波成分が,偶数次成分を増幅させた条件として観察された。ただし,光変調器の消光比が低いため,1次成分が残留したままとなっている。本実施例では,光ファイバ通信用の市販の光変調器が用いられており,この変調器は20〜30dBの典型的な消光比を有していた。このように消光比が低い値であると,奇数次成分(特に1次成分)を十分に抑制することができない。また,2つのマッハツェンダ干渉計を並列した構造の高消光比光変調器を用いることで,より鮮明な光信号を得ることができる。このようなマッハツェンダ干渉計並列型の光変調器を採用することも,本発明の好ましい形態である。また,OBEF23は,搬送波成分とともに高次調和成分を抑圧することに成功し,OBEF23を通過した光は20dBを超える抑圧比を有していた。これにより,40dBを超えるサイドモード抑圧比(SMSR)によって,50GHzの周波数差を有する光2トーン信号が生成された。
光スペクトルは,光変調器による光周波数逓倍の評価のための指標となる。図3は,図2に示した光周波数8逓倍器100の光周波数4逓倍器20で観察された光信号の光スペクトルを示している。SG10は,周波数12.5GHzで駆動した。図3に示されるように,光変調器(MZM21)からの多くの調波成分が,偶数次成分を増幅させた条件として観察された。ただし,光変調器の消光比が低いため,1次成分が残留したままとなっている。本実施例では,光ファイバ通信用の市販の光変調器が用いられており,この変調器は20〜30dBの典型的な消光比を有していた。このように消光比が低い値であると,奇数次成分(特に1次成分)を十分に抑制することができない。また,2つのマッハツェンダ干渉計を並列した構造の高消光比光変調器を用いることで,より鮮明な光信号を得ることができる。このようなマッハツェンダ干渉計並列型の光変調器を採用することも,本発明の好ましい形態である。また,OBEF23は,搬送波成分とともに高次調和成分を抑圧することに成功し,OBEF23を通過した光は20dBを超える抑圧比を有していた。これにより,40dBを超えるサイドモード抑圧比(SMSR)によって,50GHzの周波数差を有する光2トーン信号が生成された。
また,図4は,光周波数4逓倍器20によって生成された周波数50GHzの4逓倍信号の電気スペクトルを示している。周波数12.5,25,及び37.5GHzのサブ調和成分が観測されたが,30dBを超えるサイドモード抑圧比(SMSR)を達成することに成功した。スプリアス成分(擬似成分)が調和成分に伴って現れていないため,鮮明な周波数4逓倍信号の生成に成功したといえる。
[B.光周波数8逓倍]
周波数8逓倍信号を得るためには,上述した周波数4逓倍信号をさらに2逓倍する必要がある。図5は,周波数2逓倍器の各ポイントで観測された光信号の光スペクトルを示している。図5の上段に示されるように,バイアス点が透過極小点に設定されたMZM31により,抑圧搬送波両側波帯(DSB−SC)変調が行われた。光変調器(MZM31)の消光比が20dB未満であったため,搬送波成分の抑圧比は約10dB程度であった。また,増幅器が低出力であったため,周波数50GHzの高速変調では,入力信号のため十分な振幅を得ることができなかった。ただし,大きな周波数差は,例えばファイバブラッグ格子フィルタ(FBGF)のような高消光比光フィルタに適用することができる。このように,MZM31の出力光の搬送波成分は,OBEF33を用いて,60dBを超える消光比で抑圧された。これにより,100GHzの周波数差を有する光2トーン信号が生成された。この光2トーン信号の光成分のサイドモード抑圧比(SMSR)は,30dBを超えるものであった。また,光検出は二乗検波によって続けられるため,電気領域において実現可能なサイドモード抑圧比(SMSR)は60dBであった。以上のように,光変調技術によって,12.5GHzの電信信号周波数から,100GHzの光周波数を得ることが可能な周波数8逓倍が実証された。
周波数8逓倍信号を得るためには,上述した周波数4逓倍信号をさらに2逓倍する必要がある。図5は,周波数2逓倍器の各ポイントで観測された光信号の光スペクトルを示している。図5の上段に示されるように,バイアス点が透過極小点に設定されたMZM31により,抑圧搬送波両側波帯(DSB−SC)変調が行われた。光変調器(MZM31)の消光比が20dB未満であったため,搬送波成分の抑圧比は約10dB程度であった。また,増幅器が低出力であったため,周波数50GHzの高速変調では,入力信号のため十分な振幅を得ることができなかった。ただし,大きな周波数差は,例えばファイバブラッグ格子フィルタ(FBGF)のような高消光比光フィルタに適用することができる。このように,MZM31の出力光の搬送波成分は,OBEF33を用いて,60dBを超える消光比で抑圧された。これにより,100GHzの周波数差を有する光2トーン信号が生成された。この光2トーン信号の光成分のサイドモード抑圧比(SMSR)は,30dBを超えるものであった。また,光検出は二乗検波によって続けられるため,電気領域において実現可能なサイドモード抑圧比(SMSR)は60dBであった。以上のように,光変調技術によって,12.5GHzの電信信号周波数から,100GHzの光周波数を得ることが可能な周波数8逓倍が実証された。
また,SSB位相雑音は,通信システムやレーダ装置などのアプリケーション用の電気信号の重要な特性の一つである。図6は,SG10から発生した周波数12.5GHzの駆動信号(a),周波数50GHzの周波数4逓倍信号(b),及び周波数100GHzの周波数8逓倍信号(c)のそれぞれについて,電気スペクトラム(上段)とSSB位相雑音特性(下段)を示している。所望の信号付近における周波数領域でのスペクトルは,スプリアス成分(擬似成分)を一切伴わずに,鮮明に現れている。結果的に得られた信号対雑音比(SNR)は,50GHzでは50dB以上であり,100GHzでは70dB以上であった。このようなSNRの違いは,電気スペクトルアナライザ(ESA)のノイズレベルが原因であると考えられる。一般的に,高調波ミキサ(HM)に対する局部発振器の周波数は,50GHzよりもノイズレベルが良好な20GHz以下である。
また,図6には,観測されたそれぞれの信号(a)〜(c)について,位相雑音のスペクトルが示されている。50GHz(b)及び100GHz(c)で観測された位相雑音は,それぞれ,100kHzのオフセット周波数において,約11.6db及び19.2dBまで減衰していた。これらの値は,20log・mによる周波数逓倍によって得られた単一の位相雑音減衰とよく一致している。なお,ここで,“m”は,逓倍数を意味している。これらの値は,m=4及び8である場合に,それぞれ,約12及び18dBであった。このような結果は,縦続接続された2つの光周波数逓倍器を利用した光周波数8逓倍装置100が,単一の周波数8逓倍器と同様に機能していたことを示している。ただし,100〜10kHzにおけるオフセット周波数でのピーク構造は,光周波数逓倍によって観測され,波長可変レーザ(TLD)1に存在する自動出力制御信号によって引き起こされた可能性がある。100GHz信号に対して観測された位相雑音は,50GHz信号に対するものより低いものであったが,上述したように,電気スペクトルアナライザ(ESA)240の減衰されたノイズレベルによって引き起こされたと考えられる。
[C.周波数チャープ信号の生成]
レーダシステムのような画像化アプリケーションを,本発明に係る縦続接続型の周波数逓倍装置100によって構成することが可能であることを実証するために,ここでは,周波数チャープ信号の生成を検討する。
レーダシステムのような画像化アプリケーションを,本発明に係る縦続接続型の周波数逓倍装置100によって構成することが可能であることを実証するために,ここでは,周波数チャープ信号の生成を検討する。
周波数逓倍装置100を用いた周波数チャープの生成は,オシロスコープ210によって構成された時間領域評価装置(図7)を用いて実証されている。入力光源として用いられる周波数ランプ信号(傾斜信号)は,0.5sのパルス持続時間を有する10〜12.5GHzの帯域幅に設定されている。結果として得られた周波数チャープ信号は,同じ持続時間を有する80〜100GHzで明確に観測された。周波数約100GHzでのピーク構造は,オシロスコープの漏れたクロック信号に起因するものであった。マイクロ波シンセサイザは,メインピークの周囲に従属ピークを提供している。50Gsamples/sのサンプリングレートを有する任意波形発生器を高速周波数信号源として使用したため,ある程度の従属ピークが,デジタル/アナログ変換のフォールディングモード(Folding Modes)に起因して存在していると予想された。図7に示された鮮明なチャープの反応は,本発明に係る縦続接続型の周波数逓倍装置100の構成が,より高い周波数帯域の周波数変調信号源に適用可能であるという,優れた可能性を示している。
[D.Gバンド信号の生成]
ここでは,本発明に係る縦続接続型の周波数逓倍装置100の構成が,高周波信号を生成するための能力を備えることを説明する。図8は,22.5〜25GHzの周波数範囲における入力駆動信号から得られた最終的な周波数8逓倍信号のスペクトルを示している。図8の上段に示されるように,約180〜200GHzの高周波信号を生成することに成功した。周波数180GHzの信号から得られた電気SNRの観測値は,約20dBであった。約−98dBの小さな信号ピークが,高調波ミキサ(HM)上の画像から生じている。出力周波数で観測されたピーク電力の変動は,光信号のSNRの減衰によるものであった。図8の下段は,2トーン信号の光SNRが周波数の増幅に伴って減衰することを示している。これは,100GHz変調時の光変調器と変調器ドライバの周波数応答とによって引き起こされた光変調器の変調指数の減少が原因であると考えられる。一方,高調波ミキサ(HM)の周波数応答の変動が,観測されたパワーの変動を引き起こしていると考えられる。縦続接続型の周波数逓倍装置100は,低位相雑音特性を有するサブミリ波信号(テラヘルツ信号ともいう)を生成することが可能であることが実証された。
ここでは,本発明に係る縦続接続型の周波数逓倍装置100の構成が,高周波信号を生成するための能力を備えることを説明する。図8は,22.5〜25GHzの周波数範囲における入力駆動信号から得られた最終的な周波数8逓倍信号のスペクトルを示している。図8の上段に示されるように,約180〜200GHzの高周波信号を生成することに成功した。周波数180GHzの信号から得られた電気SNRの観測値は,約20dBであった。約−98dBの小さな信号ピークが,高調波ミキサ(HM)上の画像から生じている。出力周波数で観測されたピーク電力の変動は,光信号のSNRの減衰によるものであった。図8の下段は,2トーン信号の光SNRが周波数の増幅に伴って減衰することを示している。これは,100GHz変調時の光変調器と変調器ドライバの周波数応答とによって引き起こされた光変調器の変調指数の減少が原因であると考えられる。一方,高調波ミキサ(HM)の周波数応答の変動が,観測されたパワーの変動を引き起こしていると考えられる。縦続接続型の周波数逓倍装置100は,低位相雑音特性を有するサブミリ波信号(テラヘルツ信号ともいう)を生成することが可能であることが実証された。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態及び実施例の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
例えば,第1の光周波数逓倍器と第2の光周波数逓倍器だけでなく,さらに第3の光周波数逓倍器や第4の光周波数逓倍器を縦続接続して,周波数逓倍装置を構築することも理論上可能である。この場合,第2の光周波数逓倍器によって生成された周波数逓倍信号を,第3の光周波数逓倍器の光変調器に印加して周波数逓倍信号を生成したり,さらに,第3の光周波数逓倍器によって生成された周波数逓倍信号を,第4の光周波数逓倍器の光変調器に印加して周波数逓倍信号を得ることもできる。
本発明は,サブミリ波帯にまで達する幅広い高周波信号を生成することが可能な高周波逓倍装置及び逓倍方法に関する。従って,本発明は,例えば,ミリ波・サブミリ波の高精度信号源や,ミリ波・サブミリ波のレーダ信号発生源として有効に利用することができる。
10…駆動信号源
20…第1の光周波数逓倍器
30…第2の光周波数逓倍器
100…周波数逓倍装置
20…第1の光周波数逓倍器
30…第2の光周波数逓倍器
100…周波数逓倍装置
Claims (5)
- 周波数fの駆動信号を発生させる駆動信号源(10)と,
前記駆動信号が印加され,前記駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる第1の光周波数逓倍器(20)と,
前記第1の周波数逓倍信号が印加され,前記第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる第2の光周波数逓倍器(30)と,を備える
周波数逓倍装置。 - 前記第1の光周波数逓倍器(20)は,
光源から入力された光を前記駆動信号(f)によって変調し,奇数次又は偶数次の両側波帯成分を得て,当該両側側波帯成分の周波数差を検出することで,当該周波数差に応じた前記第1の周波数逓倍信号(2Nf)を発生させるものであり,
前記第2の光周波数逓倍器(30)は,
光源から入力された光を前記第1の周波数逓倍信号(2Nf)によって変調し,奇数次又は偶数次の両側波帯成分を得て,当該両側側波帯成分の周波数差を検出することで,当該周波数差に応じた前記第2の周波数逓倍信号(2M・2Nf)を発生させるものである
請求項1に記載の周波数逓倍装置。 - N>Mの条件を満たす
請求項1又は請求項2に記載の周波数逓倍装置。 - N=2,且つ,M=1であることにより,
駆動信号の周波数fを8逓倍させた周波数8fの第2の周波数逓倍信号を発生させる
請求項3に記載の周波数逓倍装置。 - 駆動信号源(10)により,周波数fの駆動信号を発生させる工程と,
前記駆動信号を第1の光周波数逓倍器(20)に印加する工程と,
前記第1の光周波数逓倍器(20)により,前記駆動信号の周波数を2N逓倍(Nは1以上の整数)させた周波数2Nfの第1の周波数逓倍信号を発生させる工程と,
前記第1の周波数逓倍信号を第2の光周波数逓倍器(30)に印加する工程と,
前記第2の光周波数逓倍器(30)により,前記第1の周波数逓倍信号の周波数を2M逓倍(Mは1以上の整数)させた周波数2M・2Nfの第2の周波数逓倍信号を発生させる工程と,を含む
周波数逓倍方法。
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