JP2016018022A - 波長イコライザー - Google Patents

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洋一 鈴木
友弘 藤沢
Tomohiro Fujisawa
友弘 藤沢
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Hirotaka Kawai
博貴 河合
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】EDFAに適した波長イコライザーを提供する。【解決手段】光ファイバーFからの順方向の光の光路上に、直交して振動する二つの直線偏光を二つの光路で出射する複屈折素子10、光学軸21が直線偏光から45?方向となる1/4波長板20、平行光を出射するコリメートレンズCL、入射光を複数の波長の光に分離する回折格子30、複数の波長の光を複数の平行光束として出射する像側テレセントリックレンズTL、電極間(42aー42b)に強誘電体41が挟持された空間光変調器40、入射した光束の位相を反転させる反射板Mを備え、光空間変調器が電極間に印加された電圧に応じた位相差を入射光に与え、二つの光路で逆方向から複屈折素子に入射した光が位相差に応じた割合で常光と異常光に分離されて光ファイバーに結合することで損失を可変させる波長イコライザー1としている。【選択図】図2

Description

この発明は波長が異なる複数の光信号の強度を個別に制御する波長イコライザーに関する。
近年、既存の光ファイバーケーブル網を利用しつつ、伝送容量を飛躍的に増大させることができる光波長多重通信が急速に普及してきている。周知のごとく、光波長多重通信は複数の異なる波長の光信号を一本の光ファイバーで伝送することによって高速かつ大容量のデータ伝送が可能となっている。
ところで、光波長多重通信を含め、光ファイバーを用いた光通信ではデータ伝送媒体となる光がその伝搬中に減衰する。そのため一定の間隔で光を増幅させてやる必要があり、その光の増幅を行う装置が光アンプである。光アンプとしては、エルビウムドープファイバー(EDF)を用いた自己増幅型の光アンプ(EDFA)がよく知られている。しかし、EDFはそれ自体の励起準位寿命が長いため、ランダムバースト信号の発生、あるいは光伝送路の各ノードにおける信号の分岐(ドロップ)や合流(アド)に伴う光伝送システムの自動再構築などによる利得の変動といった問題がある。とくに光波長多重通信では、分割された各波長の光信号にとって他の波長の光信号が雑音として作用することになるため、分割された波長ごとに変動する利得を平準化する必要がある。そしてその利得を自動的に平準化する装置が可変光利得等化器(以下、波長イコライザーとも言う)である。
波長イコライザーは基本的に、分波器、空間光変調器、合波器から構成される。分波器と合波器は、光多重信号から各波長の個別の光信号を取り出したり、個別の光信号を多重化したりするための光学部品であり、回折格子やアレイ導波路型回折格子(AWG)などが用いられる。そして分波器によって分割された波長ごとの光信号について、利得を平準化するための光部品が空間光変調器(SLM)である。SLMとしては微小電気機械素子(MEMS)で構成されたミラー(MEMSミラー)を用いたもの、電気光学効果(以下、EO効果とも言う)を発現する電気光学物質(以下、EO物質とも言う)を利用した電気光学素子(以下、EO素子とも言う)を利用したもの、マッハツェンダ型などがある。なお、波長イコライザーやSLMに関する技術については、以下の特許文献1〜3に記載されている。
特開2003−329993号公報 特開2006−293022号公報 特開2013−145338号公報
波長イコライザーに利用される光学部品において、分波器と合波器には上記のごとく回折格子(グレーティング)やAWGがある。回折格子は比較的安価で効率よくパワーを利用できる。AWGは周知の平面光回路(PLC)で構成されており、回折格子と比較すると小型化が容易であるものの結合損失が大きいという欠点を有する。なおこの欠点は、AWGに限らずPLCからなる光部品全般に言えることでもある。またPLCからなる光学部品では偏波依存性(PDL)が存在し、偏光を扱う場合では消光比が低いといった問題もある。さらにPLCからなる分波器や合波器では、光を波長成分毎に分岐させる際、二つの光路にしか分岐できない。すなわち3以上の出力ポートを備えさせるためには、複数の分波器と合波器を並列に配置させる必要がある。
SLMとしてはマッハツェンダ型変調器などがよく使われるが、マッハツェンダ型変調器はPLCで構成されており、上述したPDLなどの各種問題があり、そのPDLを考慮すると基板の方位を制御することが必要となる。これは設置の自由度を低下させる要因となる。またPLCはニオブ酸リチウム(LN)からなる基板を用いて作製されることが多く、LN基板を用いたPLCではそのPLCを構成する各種光素子を駆動するための電圧が高くなる。MEMSミラーはヒンジ、すなわち可動部があるため耐久性などの信頼性に関わる問題がある。また応答速度も低い。EO素子の一種である液晶も応答速度が低い。しかし同じEO素子でもPLZTなどの強誘電体では応答速度が高い。
このように、波長イコライザーを構成する分波器と合波器、およびSLMには動作原理が異なる各種光学部品を採用することができるが、上述したEDFAによる利得変動を平準化するための波長イコライザーであれば、高速応答性やポートの増減に対する柔軟性が特に求められる。また光伝送路上の各所に設置されることになるため低価格で提供できるように製造が容易で簡素な構成であることも求められる。もちろん小型化に適した構成を備えていることも要求される。そこで本発明は、簡素で小型化し易い構成としつつ、高速応答性を有するとともにポートの増減にも柔軟に対応できるEDFAに適した波長イコライザーを提供することを主な目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、光波長多重通信網から分岐された光ファイバーから出射される入力光に含まれている複数の波長成分の光信号のそれぞれに対して強度を変調した上で光多重通信網へ帰還させる波長イコライザーであって、
前記入力光が辿る順方向の光路上に、複屈折素子、1/4波長板、コリメートレンズ、回折格子、像側テレセントリックレンズ、空間光変調器、および反射板がこの順に配置されてなり、
前記複屈折素子は、前記入力光を振動方向が互いに直交する常光と異常光の二つの直線偏光に分離するととともに、当該二つの直線偏光をそれぞれ互いに離間する第1の光路と第2の光路上に出射し、
前記1/4波長板は、前記第1の光路を順方向から見たときに、光学軸の方位が前記複屈折素子が出射する前記直線偏光の振動方向に対して45°傾いており、
前記コリメートレンズは、前記入力光を起源として順方向に向かって徐々にスポット径が拡径する光を平行光として出射するとともに、逆方向から入射した平行光を前記光ファイバーの開口に結合させ、
前記回折格子は、前記コリメートレンズから前記第1の光路と第2の光路を順方向に辿って入射した二つの平行光のそれぞれを前記光波長多重通信に用いられている複数の波長成分の光に所定の角度ごとに分離して出射し、
前記像側テレセントリックレンズは、前記回折格子からの所定の角度で出射された各波長成分の光を平行な複数の光束として前記空間光変調器に入射させ、
前記空間変調器は、前記回折格子による光の分離方向に直交する方向に互いに対面する電極間に電気光学効果を有するとともに電界が印加されていない状態で所定の残留位相差による複屈折効果を有する強誘電体からなる電気光学物質が挟持されてなり、
前記互い対面する電極の少なくとも一方の側の電極は、一つの波長成分のみに対応するセル電極が前記光の分離方向に複数配置されてなり、外部の駆動回路により前記セル電極とそれに対面する電極間に電圧が印加されると、各セル電極のそれぞれに対応して前方から入射した各波長成分の光に前記電圧に応じた位相差が与えられ、
前記反射板は、波長成分ごとに、前記第1および第2の光路を順方向に辿ってきた光の位相を反転させるとともに、それぞれ当該第1および第2の光路を逆方向に辿る光路に向けて反射し、
前記複屈折素子が前記第1および第2の光路を逆方向に辿って入射した光のそれぞれを前記空間変調器によって与えられた前記位相差に応じた割合で常光と異常光に分離した上で逆方向に出射することで、前記光ファイバーに結合する光の損失を可変させる、
ことを特徴とする波長イコライザーとしている。
また一つの波長成分の光についての前記第1の光路と前記第2の光路との離間方向は、前記空間変調器における電界の印加方向に一致することを特徴とする波長イコライザーとしてもよい。
一つの波長成分の光についての前記第1の光路と前記第2の光路との離間方向は、前記光空間変調器における電界の印加方向と直交する方向であることを特徴とする波長イコライザーとすることもできる。この場合、一つの波長についての前記第1の光路と前記第2の光路のそれぞれを辿って前記光空間変調器に入射した光がそれぞれ個別のセル領域に入射されることとしてもよい。あるいは一つの波長についての前記第1の光路と前記第2の光路のそれぞれを辿って前記光空間変調器に入射した光がそれぞれ同じセル領域に入射されることとしてもよい。
前記電気光学物質は一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質であることを特徴とする波長イコライザーとすることもできる。
本発明の波長イコライザーによれば、EDFAによる利得変動を平準化するのに適した性能を備えつつ、簡素な構成を備えて低価格での提供も可能となる。また小型化に適した構成を備えている。その他の効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の実施例に係る波長イコライザーを構成する空間変調器(SLM)の動作原理を示す図である。 本発明の第1の実施例に係る波長イコライザーの構成を示す図である。 上記第1の実施例に係る波長イコライザーを構成する複屈折素子、1/4波長板、および回折格子の配置関係を示す図である。 上記回折格子の動作を説明するための図である。 上記第1の実施例に係る波長イコライザーを構成する空間光変調器(SLM)の構造を示す図である。 上記第1の実施例に係る波長イコライザーの動作を示す図である。 上記第1の実施例に係る波長イコライザーを通過する光の偏光状態の遷移を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る波長イコライザーの設計条件を示す図である 上記第2の実施例に係る波長イコライザーを構成する複屈折素子、1/4波長板、および回折格子の配置関係を示す図である。 上記第2の実施例に係る波長イコライザーを構成するSLMに入射する光の位置を示す図である。 上記第2の実施例に係る波長イコライザーの光損失特性を示す図である。 その他の実施例に係る波長イコライザーを構成する複屈折素子、1/4波長板、および回折格子のその他の配置関係を示す図である。 上記その他の実施例に係る波長イコライザーを構成するSLMにおけるセル電極の配置を示す図である。 上記その他の実施例に係る波長イコライザーを構成するSLMにおけるセル電極のその他の配置を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===動作原理===
本発明の実施例に係る波長イコライザーは、高速応答性やポート数に対する柔軟性、および構成の簡素化などの要求に応えるため、波長イコライザーの主要な光学部品であるSLMの動作原理として、EO物質の電気光学効果に基づく位相差の変化を用いることとした。図1に本実施例の波長イコライザーを構成するEO素子の動作原理を示した。図1(A)はEO素子110の光減衰動作を説明するための原理モデル100の概略図である。この図1(A)に示したように、前後方向に延長する光軸120を設定すると、当該原理モデル100では前方から偏光子101a、EO素子110、検光子101bがこの順に光軸50に沿って配置された構成となっている。図1(B)は当該原理モデル100の構成に含まれる偏光子101aと検光子101bの光学軸(102a、102b)の方向を示す図であり、ここでは後方から見たときの光学軸(102a、102b)の方向を示した。
EO素子110はEO物質111を互いに対面する二つの電極(112−112)で挟持した構造である。図1(A)に示したようにEO物質111は光軸120を法線方向とした前後の面を光の入出射面とし、外部の駆動回路103により二つの電極(112−112)間に電圧が印加されると、EO物質111内には前後方向に対して直交する方向に電界Eが発生する。
偏光子101aと検光子101bは、光学軸(102a、102b)を光の透過軸とし、後方から見たときの光学軸(102a、102b)の方位は、図1(B)に示したようにEO素子20に印加される電界E方向に対して45゜傾いている。また偏光子101aと検光子101bは、互いの光学軸(102a、102b)が直交あるいは平行となるように配置される。ここでは直交している場合を示している。
ここでEO素子110における二つの電極(112−112)の対面方向(電界Eの印加方向)を左右方向とするとともに、前方から後方を見た状態で左右の各方向を規定することとする。また前後左右の各方向と直交する方向を上下方向とする。ここでは図1(A)に示したように上下の各方向を規定することとする。つぎにこの原理モデル100の動作について説明する。
原理モデル100の前方から光B0を後方に向かって入射すると、偏光子101aは自身の光学軸102aの方向に振動する直線偏光B1を後方に向けて出射する。EO素子110の電極間(112−112)に駆動回路103により電圧が印加されて、EO物質111内に電界Eが発生していると、EO物質111は、電界Eに基づく電気光学効果により、入射した直線偏光B1を電界E方向に平行な方向に振動する光(以下、TE光)BTEと電界方向に垂直な方向に振動する光(以下、TM光)BTMに分離する。そしてTE光BTEとTM光BTMとの間には、印加した電界Eと入射した光が出射するまでの光路長Leoとに応じた位相差が生じ、その位相差に応じた楕円偏光B2が後方に向けて出射される。電界Eを印加していないときは、入射光B1の偏光状態を維持した光B2が出射される。
検光子101bは、EO素子110から光B2が入射されると、その光B2において、自身の光学軸102bと直交する方向の成分を遮断し、光学軸102bの方向と一致する成分の直線偏光B3を後方に出力する。それによって偏光子101aに入射した光B0の強度が減衰され光損失が生じる。またここに示した原理モデル100では、偏光子101aと検光子101bの光学軸(102a、102b)が互いに直交しているため、電界Eを印加していないときにはEO素子110から入射した光B2は検光子101bを透過できず遮光状態(オフ状態)となる。すなわちここに示した原理モデル100はノーマリオフ型として構成されている。また電界EによりTE光BTEとTM光BTMとの間でπ(rad)=180°の位相差が生じれば、入射した直線偏光B2が光軸120周りに90°回転した光B2として後方に出射することになり、その光B2が検光子101bを透過しオン状態となる。
なお上述した原理モデル100を波長イコライザーに適用する際には、波長が異なる複数の光を上下方向に並べてEO素子110に入射させることになる。概略的には、EO素子110の左右一方の面には共通電極を形成し、他方には入射される光の数に応じて複数のセル電極を上下方向に並列に形成しておく。そしてEO物質111内の各セル電極に対応する領域に異なる強度の電界Eを印加することで、各波長の光の損失を個別に制御する。
===分波器、合波器について===
波長イコライザーを構成する主要な光学部品としては、SLMの他に、分波器と合波器がある。波長イコライザーを構成するのにあたり、分波器と合波器はより簡素な構成であることが望まれる。また本実施例に係る波長イコライザーではSLMの動作原理としてEO素子による可変的な光損失制御を採用していることから、オン状態での光損失は可能な限り小さくしたい。そのためAWGは使いにくい。したがって分波器および合波器としては回折格子が最適である。
===光学部品の条件など===
以上から本発明の実施例に係る波長イコライザーでは、SLMにEO素子を用い、分波器および合波器(以下、分波・合波器とも言う)に回折格子を用いることとした。しかしながら、EO素子を用いたSLMに回折格子を組み合わせただけでは実用的な波長イコライザーを構成することができない。SLM、分波・合波器以外の光学部品についても適切なものを用い、かつ波長イコライザーに光が入射して出射するまでの光路上にそれらの光学部品を適切に配置する必要がある。
例えば、本発明の実施例に係る波長イコライザーでは、先に図1に示したSLMの原理モデル100の動作を利用することとしている。そのため偏光子101aと検光子101bが必須の構成要件となる。そして上記の原理モデル100では偏光子101aと検光子101bに偏光板を用いていた。しかし偏光板は入射した光の光学軸(102a、102b)方向以外の振動成分を吸収することで直線偏光を出射する。そのため理想的な偏光板であっても光透過光強度が半減する。すなわちオン状態での光透過光強度を入射光B0の50%よりも大きくすることができない。したがってオン状態とオフ状態の光強度比である光損失を大きくすることができない。偏光子や検光子には偏光板とは異なる原理で直線偏光を出射できる光学部品を採用する必要がある。
また偏光子と検光子を用いること自体にも課題がある。本実施例では分波・合波器に回折格子を用いることとしている。回折格子は偏光依存性がなく自然光を分波することができるものの、回折格子における溝の延長方向に振動する直線偏光、あるいはそれに直交する方向に振動する直線偏光とでは分光特性に差が生じる。そのため直線偏光を直接回折格子に入射させないようにする構成が必要となる。
さらにEO素子を構成するEO物質に起因する問題もある。具体的には、EO物質は電気光学効果であるカー効果、あるいはボッケルス効果を発現する物質であるが、EO素子を少なくとも数十V程度の実用的な電圧で駆動させたいという要求や、より低電圧で駆動したいという要求があることから、EO物質には必然的に強誘電体を用いることになる。しかし強誘電体は一度でも電界を印加してしまうと、電荷が残留して弱い電界が印加されたときと同じ状態となり、電界を印加していない初期状態でも複屈折効果による位相差(以下、残留位相差とも言う)が生じた状態になってしまう。また、十分に電界を印加した場合でも初期状態における複屈折の影響が残留し、入射した直線偏光が楕円偏光として出射される。そのためオフ状態でより大きな光損失を必要とする用途には使用しづらいという問題がある。そのため残留位相差を補償するための何らかの構成や構造も必要となる。
以上のようにEO素子と回折格子を組み合わせただけでは実用的な波長イコライザーを構成することが難しい。もちろん「実用」には現実的な価格であることも含まれ、より安価に提供できるように部品点数を可能な限り削減するとともに、より簡素な構成であることも必要となる。小型であることも重要な要件となる。そして本発明の実施例に係る波長イコライザーでは、上述した各光学部品に求められる性能や特性を満足しつつ、小型化が容易な構成となっている。またより安価に提供することも期待できる。
===第1の実施例===
以下では本発明の実施例に係る波長イコライザーの概略構成について説明するとともに、当該波長イコライザーを構成する各種光学部品の構造や動作などについて説明する。
<概略構成>
まず本発明の第1の実施例として、基本的な構成や動作を説明するための波長イコライザーを挙げる。図2は第1の実施例に係る波長イコライザー1の構成を示す図である。この図に示したように、光波長分割多重通信網を構成する伝送路2を伝搬する光信号は、光サーキュレーター3によって分岐され、その分岐先の光ファイバーFの末端から光ビームとして出射し、波長イコライザー1へ案内される。ここに示した波長イコライザー1は、偏光子および検光子として機能する複屈折素子10、1/4波長板(以下、λ/4板20とも言う)、コリメートレンズCL、分波・合波器となる回折格子30、像側テレセントリックレンズTL、EO素子からなるSLM40、および反射板Mから構成され、SLM40を駆動するための駆動回路50が付帯している。そして第1の実施例に係る波長イコライザー1は、上記のEO素子における残留位相差を補償するために反射型としている。
ここで残留位相差の相殺原理を説明すると、残留位相差はEO物質内でTE光とTM光の一方の成分の光の位相がδ(deg)だけ遅れて(あるいは進んで)いることに相当する。そこで何らかの構成を用いて他方の成分の光の位相をδだけ遅らせ(進ませ)ればよい。そこで同じ残留位相差δを有するEO素子を相反的に用いる構成として反射型にすることを考えた。すなわち光は反射に際して位相が反転することから往路で発生した残留位相差δが復路で相殺されることになる。もちろん反射型とすれば、SLM40以外の光学部品を半減させることができ、小型化も達成できる。そして反射型の構成としたことで、SLM40の光の入射面43が光の出射面を兼ね、偏光子が検光子を兼ね、回折格子30は分波器であるとともに合波器でもある。以下に当該波長イコライザー1を構成する各種光学部品の構成と動作、および波長イコライザー1の動作などについてより詳しく説明する。
<複屈折素子、λ/4板、コリメートレンズ、回折格子>
まず複屈折素子10について説明すると、図1に示したSLMの原理モデル1では偏光子101aと検光子101bに偏光板を用いていたが、第1の実施例の波長イコライザー1では検光子を兼ねる偏光子にルチル結晶などからなる周知の複屈折素子10を用いている。周知のごとく複屈折素子10は、入射した光を振動方向が互い直交する常光と異常光の二つの直線偏光に分離するとともに、異常光を光学軸11の方向に屈折させて常光と異常光のそれぞれに対応する二つの直線偏光を個別の光路上に出射する、所謂「ウォークオフプリズム」である。
このように第1の実施例では偏光子と検光子に複屈折素子10を用いている。しかし複屈折素子10も直線偏光を出射するため、この直線偏光を回折格子30からなる分波器に入射するのには問題がある。そこで第1の実施例の波長イコライザー1ではλ/4板20を用いて直線偏光を円偏光に変換させている。また光ファイバーFから出射した光は、スポット径が徐々に拡径しながら複屈折素子10とλ/4板20を透過することになる。そこでλ/4板20から出射するスポット径が徐々に拡径していく光をコリメートレンズCLを用いて平行光(以下、コリメート光とも言う)に整形し、そのコリメート光を回折格子30に入射させている。
図3に複屈折素子10、λ/4板20、および回折格子30の配置関係を示した。光ファイバーFから光が出射する方向を上下方向とすると、第1の実施例の波長イコライザー1では光ファイバーFの下方に複屈折素子10から回折格子30に至る構成が配置されていることになる。そして回折格子30より上方に配置されている複屈折素子10、λ/4板20およびコリメートレンズCLは、上下方向を法線とした光の入出斜面を有している。また回折格子30の溝31は上下方向に対して直交する方向32に延長している。以下では、この溝31の延長方向32を左右方向とする。さらに上下左右の各方向に対して直交する方向を前後方向とし、回折格子30は前側に溝31が形成されていることとする。そして前方から後方を見たときに左右の各方向を規定することとする。したがって図3(A)は右上前方から見たときの斜視図となる。ここではコリメートレンズを省略している。図3(B)は下方から見たときの複屈折素子10とλ/4板20の光学軸(11、21)の方位、および回折格子30における溝31の延長方向32を示している。また図3(B)では、複屈折素子10の下面から出射される常光oと異常光eに対応する直線偏光(o、e)の位置も示し、その直線偏光の振動方向を両矢印で示した。
周知のごとく、λ/4板20は自身の光学軸21の方位に対して45度方向に振動する直線偏光を入射して円偏光を出射する。したがって下方から見ると、λ/4板20の光学軸21の方位は複屈折素子10における常光oおよび異常光eの離間方向に対して45゜の方向に傾いていることになる。また第1の実施例では複屈折素子10の光学軸11が回折格子30の溝31の延長方向32に対して45°傾いており、λ/4板20の光学軸21はその複屈折素子10の光学軸11に対して45度傾いている。ここではλ/4板20の光学軸(遅相軸または真相軸の一方の軸)21の方位が前後方向に一致している例を示した。もちろん光学軸21の方位が左右方向であってもよい。
<回折格子と像側テレセントリックレンズの動作>
図4は回折格子30と像側テレセントリックレンズTLの動作を示す図である。この図に示したように、回折格子30は溝周期Pgのサブ波長構造を有する光学部品であり、第1の実施例では光の入射方向となる上下方向に対して溝31の延長方向が直交するように配置されている。上述したように回折格子30の溝31の延長方向(紙面奥行き方向)を左右方向とすると、回折格子30は左右方向から見ると上下方向に対して傾いている。またここに示した回折格子30は透過型であるため、上方から下方に向かうコリメート光Lは回折格子30を透過する際に所定の方向へ屈曲し、その屈曲方向に像側テレセントリックレンズTLから反射板Mに至る構成が配置されることになる。回折格子30は入射されたコリメート光Lに多重化されている波長が異なる複数チャンネル分の光信号のそれぞれを各チャンネルに対応する波長の光Lλごとに分離角αの角度間隔で分波して出射する。
回折格子30とSLM40は、ともに像側テレセントリックレンズTLの像側焦点位置に配置されており、像側テレセントリックレンズTLは回折格子30から出射した各波長の光Lλを互いに平行な光束(平光束)Lになるように屈折させた上でSLM40に各波長の光Lを個別に入射させる。またSLM40からの光束Lを回折格子30に集光させる。ここで像側テレセントリックレンズTLに対して回折格子30側の像側焦点位置を前方焦点位置と称することとし、反射板M側の像側焦点位置を後方焦点位置と称することとする。なお像側テレセントリックレンズTLが出射する光束Lの進行方向(以下、光軸方向60とも言う)は、回折格子30の溝31の延長方向32である左右方向とは直交しているものの、前後方向とは必ずしも直交しているとは限らない。そして回折格子30による分波方向61はこの光軸方向60と左右方向とに直交する方向となり、分波方向61の上側が長波長側となり下側が短波長側となる。
<SLM、反射板>
図4にも示したように、SLM40と反射板Mは像側テレセントリックレンズTLからの光束Tの進行方向(以下、光軸方向60とも言う)を法線とした光の入射面を有している。反射板Mはその前面が像側テレセントリックレンズTLの後方焦点位置に一致するように配置されている。図5にSLM40と反射板Mの概略構造を示した。第1の実施例の波長イコライザー1では、回折格子30が光軸方向60に向かって上下方向にチャンネル数分に分波した各波長の光を出射するためSLM40はEO物質41の左右一方の面に1チャンネル分の波長に対応するセル電極42bが形成され、他方の面に共通電極42aが形成された構造を有している。SLM40は、外部の駆動回路50により特定のセル電極42bと共通電極42aとの対向領域(以下、セル領域とも言う)に電界Eが発生すると、そのセル領域を通過する光に電界強度に応じた位相差を与える。
SLM40の後方には反射板Mが個別の光学部品として配置されている。もちろんEO物質41の後面に反射膜を形成してこれを反射板Mとしてもよい。前方から光軸方向60に沿ってSLM40に入射した光は、SLM40の後方で反射板Mにて位相が反転された上で反射され、光軸方向60に沿って前方に出射される。セル領域に入射した特定の波長の光はそのセル領域に印加されている電界Eの強度に応じ、SLM40に入射してから出射するまでに0゜〜180゜(1/2波長分)に対応する位相差板を透過するのと同様に振る舞う。
===波長イコライザーの動作===
図6および図7は第1の実施例の波長イコライザー1の動作を示す図である。これらの図では説明を容易にするために、光波長多重通信における複数の波長成分のうち特定の一つの波長の光信号を減衰させる動作を示した。したがって図中のSLM40では一つのセル領域のみが示されている。また前後方向が光軸方向60に一致するものとしている。そして図6は波長イコライザー1を構成する各光学部品を透過す光の光路を示しており、図6(A)は光ファイバーFから出射した光ビーム(以下、入力光B0とも言う)が反射板Mにまで至る「順方向」の光路を示しており、図6(B)は「逆方向」の光路を示している。
図7は図6に示した各面s1〜s10における光の偏光状態を示す図である。なお面s1〜s5は順方向の光路上に介在する面であり、面s6〜s10は逆方向の光路上に介在する面である。そして図7(A)〜(J)はオフ状態における各面s1〜s10での光の偏光状態を示しており、図7(A)〜(D)、(K)〜(P)はオン状態における各面s1〜s10での光の偏光状態を示している。なお偏光状態については、直線偏光を両矢印で、円偏光を矢印付きの円弧で示した。また図7では面s1〜s3およびs8〜s10を下方から見ており、面s4〜s7については後方から光軸方向60に沿って見ている。
まず図6(A)、図7(A)に示したように、光ファイバーFからの入力光B0が複屈折素子10の上面s1から入射し、複屈折素子10はその入射光B0を振動方向が互いに直交する常光B1oと異常光B1eの二つの直線偏光に分離する。常光B1oは下方から見て光学軸11と直交する方向に振動し、複屈折素子10内を直進する。一方異常光B1eは、光学軸11と同じ方向に振動し、常光B1oに対して光学軸11に沿って離間する方向に屈折する(以下、「ウォークオフする」とも言う)。そして図7(B)に示したように、複屈折素子10の下面s2から常光B1oと異常光B1eのそれぞれに対応して互いに直交する方向に振動する直線偏光(B11、B12)が光軸11方向に距離Wf(以下、ウォークオフ量Wfとも言う)だけ離間した位置から出射する。ここで常光B1oに対応して出射した光B11がその後に辿る光路を第1の光路とし、異常光B1eに対応して出射した光B12がその後に辿る光路を第2の光路とする。
複屈折素子10の下面s2から出射した直線偏光(B11、B12)は、λ/4板20の上面から下面s3に透過する際、それぞれの直線偏光の電場成分の位相が磁場成分に対して所定方向に90゜ずれる。それによって図7(C)に示したように互いに逆方向に回転する円偏光(B21、B22)に変換される。そしてこれらの第1の光路と第2の光路を辿る円偏光(B21、B22)がコリメートレンズCLによりコリメート光(B31、B32)に整形された上で回折格子30に入射する。回折格子30は第1の光路と第2の光路のそれぞれを辿って入射してきたコリメート光(B31、B32)を個別に複数の波長成分の光ごとに分波する。すなわち分波された各波長の光のそれぞれがさらに第1の光路と第2の光路の辿る光として分波される。このとき入射光(B31、B32)の偏光状態は維持される。
ここでは一つの波長についての出射光(B41、B42)について着目しており、この出射光(B41、B42)は、図7(D)に示したように偏光状態を維持しつつ像側テレセントリックレンズTLを経て他の波長成分の光と平行に進行する光(B51、B52)としてSLM40の前面s4に入射する。SLM40の電極間(42a−42b)に電界が印加されていない場合では、SLM40内を通過する光(B61、B62)は偏光状態を維持する。すなわち、図7(E)に示したように反射板Mに入射する光(s71、s72)は、λ/4板20からの出射光(B21、B22)と同じ偏光状態となっている。
つぎに図6(B)を参照しつつ逆方向の光路を見ていくと、反射板Mは入射光(B71、B72)を反射すると、その入射光(B71、B72)の位相を逆転させてSLM40の後面s6に逆方向に入射する。すなわち図7(F)に示したように、順方向に進む入射光(B71、B72)と逆方向に進む反射光(B101、B102)は、後方から見たときに同じ方向に回転することになる。言い換えれば、順方向と逆方向では光の進行方向が反対向きなので円偏光の回転方向が反対となる。ここではSLM40の電極間(42a−42b)に電界Eが印加されていないので、この二つの円偏光(B101、B102)が偏光状態を維持してSLM40の前面s7から出射し、さらに図7(G)、(H)にも示したように、逆方向に第1および第2の光路(B111〜B151、B112〜B152)を辿ってλ/4板20の下面s8に入射するまでその偏光状態を維持する。λ/4板20は順方向において入射した円偏光の回転方向と、逆方向において入射した円偏光の回転方向が反対であるため、順方向において第1および第2の光路から入射した光(B11、B12)に対し、逆方向において第1および第2の光路から入射した光の位相差は180゜となる。
図7(I)と(J)は複屈折素子10を光が逆方向に透過する以前と以後の偏光状態を示しており、複屈折素子10内では、順方向において異常光B1eとして振る舞って第2の光路を辿ってきた光B162は逆方向では常光B172oとして振る舞い、そのまま直進する。それによって複屈折素子10の後面s10では入力光B0の入射位置からウォークオフ量Wfだけ離間した位置から出射する。一方、順方向において常光B1oとして振る舞って第1の光路を辿ってきた光B161は逆方向では異常光B171eとして振る舞い、複屈折素子10内では常光B172oに対してさらに離間する方向にウォークオフする。それによって、複屈折素子10からの出射光(B181、B182)は、入力光B0に対して対称となるようにウォークオフ量Wfの2倍の距離だけ離間して出射する。その結果、出射光(B181、B182)は光ファイバーFに結合できず光が遮断されたオフ状態となる。
つぎにオン状態における光路と光の偏光状態の遷移について説明する。まず図6(A)および図7(A)〜(D)に示したように、光ファイバーFから出射した光がSLM40の前面s4に至るまでの光路や偏光状態は上述したオフ状態のときと同じである。しかしオン状態ではSLM40を透過する光(B61、B62)には電気光学効果に基づく位相差が与えられる。ここでは1/4波長に相当する位相差が与えられ、SLM40が実質的にλ/4板として機能していることとする。そのため順方向において反射板Mに入射した光(B71、B72)は、図7(K)に示したように、複屈折素子10から出射した二つの直線偏光(B11、B12)に対して位相が180゜(1/2波長分)ずれた直線偏光となる。すなわち振動方向が入れ替わる。
以下図6(B)を参照しつつ逆方向の光路について説明すると、反射板Mは入射した二つの直線偏光(B71、B72)の位相を反転させ、図7(L)に示したように反射板Mは位相がさらに180゜ずれた直線偏光(B101、B102)を逆方向に反射する。SLM40は逆方向に入射した光(B101、B102)に対してもλ/4板として機能し、位相を90゜ずらす。したがってSLM40に入射した光(B51,B52)は往復で360゜の位相差、すなわち0゜の位相差が与えられることになり、図7(M)に示したように、後方から見たときに回転方向が逆転した二つの円偏光(B121、B122)がSLM40から出射される。言い換えれば、光の進行方向に対してはSLM40に入射した光(B51、B52)と同じ方向に回転する円偏光(B121、B122)が出射される。
SLM40から前方に向かって出射された二つの円偏光(B121、B122)は、図7(N)にも示したように、逆方向に第1および第2の光路(B131〜B151、B112〜B152)を辿ってλ/4板20の下面s8に入射する。λ/4板20は入射した光(B151、B152)にさらに90゜(1/4波長分)の位相差を与えるため、λ/4板20に順方向に入射した光(B11、B12)は、第1および第2の光路を辿って再び戻ってきてλ/4板を逆方向に出射されるまでに所定の方向に1波長分の位相差が与えられることになる。すなわち順方向および逆方向では振動方向が同じ直線偏光が入射および出射されることになる。
図7(O)に示したように、複屈折素子10に逆方向から入射された二つの直線偏光(B161、B162)は、順方向において出射した光(B11、B12)と振動方向が同じであるため、複屈折素子10内では、順方向において常光B1oとして振る舞って第1の光路を辿ってきた光B161は逆方向でも常光B171oとして振る舞いそのまま直進する。順方向において異常光B1eとして振る舞って第2の光路を辿ってきた光B162は逆方向でも異常光B172eとして振る舞い、順方向での光路を逆に辿るようにウォークオフする。それによって複屈折素子10に入射した光(B161、B162)は、図7(P)に示したように入力光B0の入射位置から出射し、その出射光180が光ファイバーに結合してオン状態となる。そしてSLM40に往復で0゜〜180゜の範囲の位相差を発生させることで光損失をオン状態からオフ状態の値の範囲で可変制御することができる。
===波長イコライザーの特性===
本発明の実施例に係る波長イコライザーの性能を評価するために、図2に示した第1の実施例1と同様の構成を備えた波長イコライザーを作製し、その波長イコライザーの光損失特性を測定した。図8に作製した波長イコライザー(以下、第2の実施例に係る波長イコライザー1aとも言う)における各部位のサイズや光学的な設計条件(焦点距離など)を示した。また図中では円C内を拡大した図も併せて示している。
ここに示した第2の実施例に係る波長イコライザー1aでは、まず回折格子30に入射されたコリメート光が所定の光通信規格方式に基づく波長間隔(分解能)で分光されるように、回折格子30の溝周期PgとコリメートレンズCLの焦点距離fcやコリメート径φを設定する必要がある。ここでは光通信におけるCバンド(1528nm〜1564nm)の光を複数チャンネル分(例えば45チャンネル分)の光信号に分波することとし、100GHzでの通信方式に準拠した0.8nmの分解能でコリメート光Lを分光している。そして、その分解能を得るために、回折格子12の溝周期Pg=1μm、コリメートレンズCLの焦点距離fc=9.8mm、コリメート径φ=1.9mmとした。なお回折格子30は、コリメート光Lが入射角θ=50゜で入射したときにプラス1次の回折に光強度を集中できるものとなっている。また光ファーバーFにはコア径φ=10μmのシングルモードファイバーを使用した。
回折格子30は、0.8nmピッチで分光された各波長成分の光Lλを、分離角α=0.07゜ごとに出射する。また分離した最も短い波長成分の光と最も長い波長成分の光とは角度β=3.86゜で分離している。集光レンズとして機能する像側テレセントリックレンズTLは焦点距離ft=9.8mmである。そして上述したように当該レンズTLの前側焦点位置ffに回折格子30が配置され、後側焦点位置fbに反射板Mが配置されることで、回折格子30から角度α=0.07゜ごとに出射された波長成分ごとの光Lλが互いに平行な光束Lとして出射される。そしてこの光束Lの出射方向が光軸方向60であり、上記の最短波長から最長波長までの角度βの等角二等分線62の延長方向でもある。上下方向とこの等角二等分線62との公差角度θは51.6°であり、光軸方向60が前後方向に対して1.6°傾いている。なお以下では説明を容易にするために、上記の等角二等分線62を光軸62と称し、便宜的に光軸方向60を前後方向と見なして説明する。
上下方向で隣接する光束間(L−L)はピッチP=12μm(≒ft×tanα)であり、円C内の拡大図に示したように、ビームウエスト部となる後側焦点位置fbでは各光束Lのスポット径(ビームウエスト径)φ=10μmである。ここで上記光軸方向60と最短波長あるいは最長波長の光の分離方向とのなす角度を画角γ(=β/2=1.93゜)とする。
SLM40は一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される強誘電体(以下、KTNとも言う)をEO物質41とし、そのEO物質41の左右両面にPt(白金)薄膜からなる電極(42a、42b)を形成したものである。KTNは室温において巨大な誘電率を有するとともに、鉛を含まないため環境にも優しい物質である。そしてここで用いたKTNでは、温度25℃のときに比誘電率εr=20000であった。また25℃の温度で波長λ=1550nmの光に対し、屈折率n=2.185であった。また電気光学定数g11およびg12は、それぞれg11=0.0809m/C、g12=−0.0227m/Cであった。
テレセントリックレンズTLからSLM40に向けて出射する各光束Lは、隣接する光束Lの波長λが異なっている。そのため各光束Lは、EO物質41内で電気的に分離する必要があり、一つのセル領域43には一つの波長成分の光束Lのみが入射されなくてはならない。すなわちテレセントリックレンズTLから出射した光束Lは、その出射時点でのスポット径(=φc=1.9mm)が像側テレセントリックレンズの後側焦点fbとなる反射板Mの位置でウエスト径φ=10μmにまで収束し、その収束の途上でSLM40に入射する。そのため各光束Lのスポット径φは、SLM40の前面44では隣接する光束間(L−L)のピッチP(≒12μm)以下にまで収束していなくてはならない。そして光束Lが収束していく状態は周知のガウスの伝播則から求められ、SLM40の前面44と反射板Mの位置である後面45までの距離を屈折率n=1の媒質中(空気中など)では33.7μmに設定する必要がある。ここではEO物質41であるKTNの屈折率を考慮してSLM40の前後長Leoを73.6μmに設定した。
SLM40の分光方向61の高さ(以下、素子高Heoとも言う)は光軸62と最短波長(あるいは最長波長)の光束Lまでの距離(以下、分光距離Hλとも言う)に基づいて設定することができる。分光距離Hλは上記の画角γと像側テレセントリックレンズTLの焦点距離ftとからHλ=ft×tanγ≒329.4μmとなる。したがって素子高Heoは、SLM40の前面44における光束Lのスポット径φが12μm以下である条件を考慮して、例えば分光距離Hλの2倍の長さにこのスポット径φ=12μmを加算してHeo=341.4μmとすればよい。もちろんHeo>341.4μmであってもよい。
SLM40において左右で対面する電極間(42a−42b)の距離は複屈折素子10によるウォークオフ量Wfに基づいて設定される。具体的には、光束Lは反射板Mの位置でビームウエスト径φw=10μmとなる。そしてSLM40には一つの波長について第1の光路と第2の光路を辿ってきた二つの光束Lが入射することになる。そこで、一つの波長の光について、第1の光路を辿ってSLM40に入射する光束Lと、第2の光路を辿ってSLM40に入射する光束Lとのクロストークによる光損失に基づいてウォークオフ量Wfを設定する。ここでは互いに平行な二つの光束Lを一つの光ファイバーに入射したときの光損失が30dB以上であれば十分に二つの光束が離間していると見なし、そのときのウォークオフ量Wfは13.2μmであった。複屈折素子10は、このウォークオフ量Wf=13.2μmとなるようにルチル結晶を切り出したものであり、そのときの複屈折素子10の上下長Lpは0.132mmであった。
なお第2の実施例に係る波長イコライザー1aでは、図2に示した波長イコライザー1に対し、複屈折素子10とλ/4板20を上下方向を軸として回転させて第1の光路と第2の光路がSLMに40おける電界Eの方向に離間するようにしている。図9に第2の実施例に係る波長イコライザー1aにおける複屈折素子10、λ/4板20および回折格子30の配置関係を示した。図9(A)は、当該配置を示す斜視図であり、ここではコリメートレンズCLを省略している。図9(B)は下方から見たときの複屈折素子10とλ/4板20の光学軸(11、21)の方位と、回折格子30における溝31の延長方向32を示している。また図9(C)に複屈折素子10の光学軸11の立体的な方位を示した。
図9(A)(B)に示したように、複屈折素子10によるウォークオフの方向が回折格子30の溝31に対して直交している。また図9(C)に示したように、上下方向をZ軸とし、直方体状の複屈折素子10の上面をXY面とすると、複屈折素子10は光学軸11の立体的な方位が∠XOA=47゜(=∠AOY)となるようにルチル結晶から切り出されたものである。それによって上記のウォークオフ量Wf=13.2μmが上記の上下長Lp=0.132mmによって得られるようになっている。そしてここに示した複屈折素子10、λ/4板20および回折格子30の配置では、SLM40には一つのセル領域43に第1および第2の光路に対応して左右に離間した二本の光束Lが入射されることになる。したがってSLM40の電極間(42a−42b)の距離は、この二本の光束Lが「ケラレ」を生じることなく一つのセル領域43に入射するサイズに設定されている必要がある。
図10にSLM40における電極間距離Dの設定条件を示した。当該図10ではSLM40における光の入射面(以下、前面44とも言う)を光軸方向60に沿って前方から見たときの平面図を示している。SLM40の前面44には波長(図中ではλ〜λ)ごとに最大12μmのスポット径φを有して第1の光路上を辿って入射した光束LT1と第2の光路を辿って入射した光束LT2とが左右にウォークオフ量Wf=13.2μmだけ離間して入射される。そのためSLM40の電極間距離DはD=25.2μmに設定されている。
<光減衰特性>
図11に第2の実施例に係る波長イコライザー1aの光損失特性を示した。SLM40の電極間(42a−42b)に20Vの電圧を印加したときにSLM40に入射した光Lは出射するまでの1往復で180°の位相差が与えられるようになっている。すなわちオン状態にするための電圧が20Vであった。そして電圧が0Vのときのオフ状態では十分に大きな35dB以上の光損失が得られた。またオン状態における過剰ロスもなくEO物質41における残留位相差が相殺されていることも確認できた。
===その他の実施例===
図2に示した第1の実施例に係る波長イコライザー1では、複屈折素子10とλ/4板20の光学軸(11、21)の方向、および回折格子30の溝31の延長方向32の相対的な角度から、SLM40の一つのセル領域43には第1光路と第2光路を辿ってきた同じ波長の2本の光束Lが上下方向に対して45°の方向にウォークオフ量Wfだけ離間した状態で入射することになる。また第2の実施例に係る波長イコライザー1aでは、図9、図10にも示したように、複屈折素子10によるウォークオフの方向が回折格子30の溝31に対して直交する方向、すなわちSLM40における電界Eの印加方向となるように設定されていた。そのため第2の実施例の波長イコライザー1aは、SLM40の上下幅Heoを最も小さくできる構成であった。SLM40の前後長LeoはSLM40の前面44に光束Lが入射するときのスポット径φから規定されており、素子高Heoが電極間距離Dより一桁大きいことから素子高Heoを小さくすることは波長イコライザー(1、1a)の小型化に大きく寄与する。
しかしその一方で、SLM40の駆動電圧をより低くしたいという要求もある。この要求に応えるためには、SLM40の電極間距離Dを小さくすればよい。具体的には第1の光路と第2の光路とを電界Eの方向に対して直交させれば電極間距離Dは実質的に光束Lのスポット径φだけあればよいことになり、電極間距離Dを最小にすることができる。図12に電極間距離Dを最小にするための複屈折素子10、λ/4板20、および回折格子30の配置を示した。図12(A)はその配置を右上前方から見たときの斜視図であり、図12(B)は下方から見たときの複屈折素子10とλ/4板20の光学軸(11、21)の方位、および回折格子30の溝31の延長方向32を示している。この図に示したように、下方から見たときの複屈折素子10の光学軸11の方位が回折格子30の溝31の延長方向32と直交するように配置している。それによって第1の光路と第2の光路がSLM40における電界Eの方向と直交する上下方向に離間する。
図13、図14にSLM40に上下方向に離間する2本の光束(LT1、LT2)を入射させる場合のセル電極42bの配置を示した。図13、図14では前方から見たときのSLM40の平面図を示しており、三つの波長λ〜λのそれぞれについて、第1の光路と第2の光路を辿る2本の光束(LT1、LT2)がSLM40の前面44に入射することとしている。図13は同じ波長(λ、λ、λのいずれか)で第1の光路と第2の光路のそれぞれを辿る2本の光束(LT1、LT2)を一つのセル領域43に入射させる場合を示している。この場合は同じ波長(λ、λ、λのいずれか)の光束(LT1、LT2)を同じセル領域43で減衰させるので駆動制御が容易である。図14は第1の光路と第2の光路を辿る同じ波長(λ、λ、λのいずれか)の2本の光束(LT1、LT2)を個別のセル領域43に入射させる場合を示している。この場合は(λ、λ、λのいずれか)の光束(LT1、LT2)を異なるセル領域43で同期的に制御するため、セル電極間(42b−42b)の配線の引き回しや駆動制御が図13に示した構成に対して複雑になるものの、ウォークシフト量Wfが大きく、クロストークを極めて低くすることができる。いずれにしても波長イコライザーに求められるサイズや必要とする性能に合わせて複屈折素子によるウォークオフの方向やウォークシフト量を設定するとともに、SLMにおけるセグメント領域の配置をそのウォークシフトの状態に応じて設定すればよい。
上記各実施例に係る波長イコライザー(1、1a)では透過型の回折格子30をコリメート光Lの入射方向に対して斜めに設置することで波長イコライザー(1、1a)内に屈曲した光路を形成していたが、回折格子は反射型であってもよい。この場合は回折格子からSLMに至る光学部品が図2に示した構成に対して前後対称に配置されることになる。もちろん屈曲した光路を形成せず、直線的な光路が形成されるように複屈折素子からSLMに至る光学部品を直線的に配置してもよい。光ファイバーから出射した光の光路上に複屈折素子、λ/4板、コリメートレンズ、回折格子、像側テレセントリックレンズ、SLM、および反射板がこの順に配置されていればよい。
この発明は、光波長多重通信網内に設置されるEDFAによる利得変動を平準化するための波長イコライザーに適用することができる。
1,1a 波長イコライザー、2 光伝送路、3 光サーキュレーター、
10 複屈折素子、11 複屈折素子の光学軸、20 1/4波長板(λ/4板)、
21 λ/4板の光学軸、30 回折格子、31、回折格子の溝、
40 光空間変調器(SLM)、41 電気光学物質(EO物質)、
42a 共通電極、42b セル電極、CL コリメートレンズ、F 光ファイバー、
コリメート光、L 光束、M 反射板、TL 像側テレセントリックレンズ

Claims (6)

  1. 光波長多重通信網から分岐された光ファイバーから出射される入力光に含まれている複数の波長成分の光信号のそれぞれに対して強度を変調した上で光多重通信網へ帰還させる波長イコライザーであって、
    前記入力光が辿る順方向の光路上に、複屈折素子、1/4波長板、コリメートレンズ、回折格子、像側テレセントリックレンズ、空間光変調器、および反射板がこの順に配置されてなり、
    前記複屈折素子は、前記入力光を振動方向が互いに直交する常光と異常光の二つの直線偏光に分離するととともに、当該二つの直線偏光をそれぞれ互いに離間する第1の光路と第2の光路上に出射し、
    前記1/4波長板は、前記第1の光路を順方向から見たときに、光学軸の方位が前記複屈折素子が出射する前記直線偏光の振動方向に対して45°傾いており、
    前記コリメートレンズは、前記入力光を起源として順方向に向かって徐々にスポット径が拡径する光を平行光として出射するとともに、逆方向から入射した平行光を前記光ファイバーの開口に結合させ、
    前記回折格子は、前記コリメートレンズから前記第1の光路と第2の光路を順方向に辿って入射した二つの平行光のそれぞれを前記光波長多重通信に用いられている複数の波長成分の光に所定の角度ごとに分離して出射し、
    前記像側テレセントリックレンズは、前記回折格子からの所定の角度で出射された各波長成分の光を平行な複数の光束として前記空間光変調器に入射させ、
    前記空間変調器は、前記回折格子による光の分離方向に直交する方向に互いに対面する電極間に電気光学効果を有するとともに電界が印加されていない状態で所定の残留位相差による複屈折効果を有する強誘電体からなる電気光学物質が挟持されてなり、
    前記互い対面する電極の少なくとも一方の側の電極は、一つの波長成分のみに対応するセル電極が前記光の分離方向に複数配置されてなり、外部の駆動回路により前記セル電極とそれに対面する電極間に電圧が印加されると、各セル電極のそれぞれに対応して前方から入射した各波長成分の光に前記電圧に応じた位相差が与えられ、
    前記反射板は、波長成分ごとに、前記第1および第2の光路を順方向に辿ってきた光の位相を反転させるとともに、それぞれ当該第1および第2の光路を逆方向に辿る光路に向けて反射し、
    前記複屈折素子が前記第1および第2の光路を逆方向に辿って入射した光のそれぞれを前記空間変調器によって与えられた前記位相差に応じた割合で常光と異常光に分離した上で逆方向に出射することで、前記光ファイバーに結合する光の損失を可変させる、
    ことを特徴とする波長イコライザー。
  2. 請求項1において、一つの波長成分の光についての前記第1の光路と前記第2の光路との離間方向は、前記空間変調器における電界の印加方向に一致することを特徴とする波長イコライザー。
  3. 請求項1において、一つの波長成分の光についての前記第1の光路と前記第2の光路との離間方向は、前記光空間変調器における電界の印加方向と直交する方向であることを特徴とする波長イコライザー。
  4. 請求項3において、一つの波長についての前記第1の光路と前記第2の光路のそれぞれを辿って前記光空間変調器に入射した光は、それぞれ個別のセル領域に入射されることを特徴とする波長イコライザー。
  5. 請求項3において、一つの波長についての前記第1の光路と前記第2の光路のそれぞれを辿って前記光空間変調器に入射した光は、それぞれ同じセル領域に入射されることを特徴とする波長イコライザー。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記電気光学物質は一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質であることを特徴とする波長イコライザー。
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