JP2016014038A - プロテアソーム阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】多触媒性プロテアーゼであるプロテアソーム阻害剤として有用である新規化合物及びそれを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはボロン酸無水物及びそれらを含有する医薬組成物。
Figure 2016014038

(Aはハロゲン原子で置換されたフェニル基を、Z及びZは各々独立にヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、又はアラルコキシ;Z及びZは共に、ボロン酸錯化剤に由来する部分であってもよい)
【選択図】なし

Description

本発明は、プロテアソーム阻害剤として有用であるボロン酸およびボロン酸エステル化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物、および種々の疾病の治療に該組成物を使用する方法を提供する。
ボロン酸およびボロン酸エステル化合物は、種々の薬学的に有用な生物学的活性を示す。Shenvi et al.の特許文献1(1985)は、ペプチドボロン酸が、特定のタンパク質分解酵素の阻害剤であることを開示している。Kettner and Shenviの特許文献2(1993)、特許文献3(1993)、および特許文献4(1993)は、トリプシン様プロテアーゼを阻害するペプチドボロン酸群を記載している。Kleeman et al.の特許文献5(1992)は、レニンの作用を阻害するN末端修飾ペプチドボロン酸を開示している。Kinder et al.の特許文献6(1992)は、癌細胞の成長を阻害する特定のボロン酸化合物を開示している。Bachovchin et al.の特許文献7は、線維芽細胞活性化タンパク質を阻害するペプチドボロン酸化合物を開示している。
ボロン酸およびボロン酸エステル化合物は、細胞内タンパク質代謝回転の大部分に関与する多触媒性プロテアーゼであるプロテアソームの阻害剤として、特に期待できる。Adams et al.の特許文献8(1998)は、プロテアソーム阻害剤として有用であるペプチドボロン酸エステルおよび酸化合物を記載している。この参考文献はまた、筋肉タンパク質分解の速度を低下させ、細胞内のNF−κBの活性を低下させ、細胞内のp53タンパク質の分解速度を低下させ、細胞内のサイクリン分解を阻害し、癌細胞の成長を阻害し、かつNF−κB依存性細胞接着を阻害するための、ボロン酸エステルおよび酸化合物の使用を記載している。Furet et al.の特許文献9、Chatterjee et al.の特許文献10、ならびにBemadini et al.の特許文献11および特許文献12は、プロテアソーム阻害活性を有することが報告されている、さらなるボロン酸エステルおよびボロン酸化合物を開示している。
非特許文献1は、プロテアソームが、ユビキチン−プロテアソーム経路のタンパク質分解成分であり、そこでタンパク質が、複数のユビキチン分子との結合によって分解の標的となることを開示している。Ciechanoverはまた、ユビキチン−プロテアソーム経路が、種々の重要な生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしていることを開示している。非特許文献2は、プロテアソームが、トリプシン様、キモトリプシン様、およびペプチジルグルタミルペプチダーゼ活性を示すことを開示している。26Sプロテアソームの触媒コアを構成するのは20Sプロテアソームである。非特許文献3は、Suc−Leu−Leu−Val−Tyr−AMC、Z−Leu−Leu−Arg−AMC、およびZ−Leu−Leu−Glu−2NA(SucはN−スクシニル、AMCは7−アミノ−4−メチルクマリン、および2NAは2−ナフチルアミンである)を含む種々のペプチド基質が、20Sプロテアソームによって切断されることを教示している。
プロテアソーム阻害は、癌治療の重要な新戦略を示す。非特許文献4は、ユビキチン−プロテアソーム経路が細胞周期、腫瘍成長、および転移の調節に果たす重要な役割を記載している。該著者らは、サイクリンを含む多数の主要調節タンパク質、ならびにサイクリン依存性キナーゼp21およびp27KIP1が、ユビキチン−プロテアソーム経路によって、細胞周期の間に経時的に分解されることを教示している。これらのタンパク質の規則的分解は、細胞が、細胞周期を進行し、有糸分裂を起こすために必要である。
さらに、ユビキチン−プロテアソーム経路は、転写調節に必要である。非特許文献5は、転写因子 NF−κBの活性化が、阻害タンパク質IκBのプロテアソームによる分解によって調節されることを教示している。NF−κBは、免疫および炎症反応に関与する遺伝子の調節において中心的役割を果たす。非特許文献6は、ユビキチン−プロテアソーム経路が、E−セレクチン、ICAM−1、およびVCAM−1等の細胞接着分子の発現に必要であることを教示している。非特許文献7は、腫瘍細胞の接着および溢出を、体内の血管系と遠位の組織部位との間で往復移動させることによって、細胞接着分子が生体内での腫瘍転移および血管形成に関与していることを教示している。さらに、非特許文献8は、NF−κBが抗アポトーシス制御因子であり、NF−κB活性化の阻害は、環境ストレスおよび細胞毒性薬に対する細胞の感受性をさらに高くすることを教示している。
プロテアソーム阻害剤VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ、N−2−ピラジンカルボニル−L−フェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸)は、規制機関の承認を得た最初のプロテアソーム阻害剤である。非特許文献9は、少なくとも1回の事前治療を受けている多発性骨髄腫患者の治療に関するボルテゾミブの承認をもたらした臨床研究を調査している。非特許文献10は、再発性または難治性マントル細胞リンパ腫を有する患者におけるボルテゾミブの活性を確認する国際多施設第二相研究を記載している。非特許文献11、および非特許文献12は、ボルテゾミブの抗腫瘍活性に寄与し得る多数の分子機構について考察している。
上記の参考文献から明らかなように、プロテアソームは、治療的介入の重要な標的となる。したがって、新しいおよび/または改善されたプロテアソーム阻害剤が、引き続き必要である。
米国特許第4,499,082号明細書 米国特許第5,187,157号明細書 米国特許第5,242,904号明細書 米国特許第5,250,720号明細書 米国特許第5,169,841号明細書 米国特許第5,106,948号明細書 国際公開第07/0005991号パンフレット 米国特許第5,780,454号明細書 国際公開第02/096933号パンフレット 国際公開第05/016859号パンフレット 国際公開第05/021558号パンフレット 国際公開第06/08660号パンフレット
Ciechanover, Cell, 79: 13−21(1994) Rivett et al, Biochem. J. 291:1(1993) McCormack et al. Biochemistry 37:7792(1998) King et al.. Science 274:1652−1659(1996) Palombella et al., Cell, 78:773(1994) Read et al., Immunity 2:493−506(1995) Zetter, Seminars in Cancer Biology 4:219−229(1993) Beg and Baltimore, Science 274:782(1996) Mitsiades et al., Current Drug Targets,7:1341(2006) Fisher et al., J. Clin. Oncol., 30:4867 Ishii et al., Anti−Cancer Agents in Medicinal Chemistry, 7:359(2007) Roccaro et al., Curr. Pharm. Biotech., 7:1341(2006)
本発明は、プロテアソームの有効な阻害剤である化合物を提供する。これらの化合物は、生体外および生体内でプロテアソーム活性を阻害するために有用であり、特に、種々の細胞増殖性疾患の治療に有用である。
本発明の化合物は、一般式(I)の化合物:
Figure 2016014038
またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物であり、式中、ZおよびZは、それぞれ独立してヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、もしくはアラルコキシであるか、またはZおよびZは共に、ボロン酸錯化剤に由来する部分を形成し、
環Aは、
Figure 2016014038
から成る群より選択される。
式(I)のボロン酸化合物(式中、ZおよびZは、それぞれヒドロキシである)は、以下の化学名で呼ばれる。
Figure 2016014038
Figure 2016014038
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式(I)の化合物:
Figure 2016014038

またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物であって、
式中、ZおよびZは、それぞれ独立してヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、もしくはアラルコキシであるか、またはZおよびZは共に、ボロン酸錯化剤に由来する部分を形成し、
環Aは、
Figure 2016014038

から成る群より選択される、
化合物。
(項目2)
[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(5−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−(([(2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(25−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−クロロ−4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−(([(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,4−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル)アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、および
[(1R)−1−({[(3,5−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物、から成る群より選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(5−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,4−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,5−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(3−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−l−({[(2−クロロ−4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(2−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−l−({[(2,4−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−({[(4−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
[(1R)−1−(|[(24−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、および
[(1R)−1−({[(3,5−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
から成る群より選択されるボロン酸化合物のマンニトールエステルである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
項目1に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
(項目5)
癌を治療するための方法であって、項目3に記載の医薬組成物を、かかる治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
単独でまたはより大きい部分の一部として使用される「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖または環状脂肪族基を指す。「アルコキシ」という用語は、O−アルキル基を指す。
例えば、「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」等の単独、またはより大きい部分の一部として使用される「アリール」および「ar−」という用語は、1〜3個の環を含むC〜C14芳香族炭化水素を指し、その各々は任意で置換される。好ましくは、アリール基はC6−10アリール基である。アリール基としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるがこれに限定されない。「アラルキル」または「アリールアルキル」基は、アルキル基と共有結合したアリール基を含み、そのどちらも独立して、任意に置換される。好ましくは、アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが挙げられるがこれに限定されない、C6−10アリール(C1−6)アルキル、C6−10アリール(C1−4)アルキル、またはC6−10アリール(C1−3)アルキルである。
本明細書で使用されるとき、「置換される」という用語は、置換が、安定したまたは化学的に実現可能な化合物をもたらすという条件で、指定された部分の水素基が、特定の置換基で置き換えられることを意味する。好適な置換基の限定されない例としては、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルキル(C3−8)シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、シアノ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6)アルキルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ニトロ、カルボキシ、カルボ(C1−6)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、C1−6アルコキシ、C6−10アリール、C6−10アリール(C1−6)アルキル、C6−10アリール(C1−6)アルコキシ、ヒドロキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、C6−10アリールチオ、C6−10アリールスルフィニル、C6−10アリールスルホニル、C6−10アリール、C1−6アルキル(C6−10)アリール、およびハロ(C6−10)アリールが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「1つ以上の置換基」という語句は、安定性および化学的実現可能性の上記の条件を満たすという条件で、利用可能な結合部位の数に基づいて、1から可能な限り最大数の置換基に等しい多数の置換基を指す。別段の指示がない限り、任意に置換された基は、基の各置換可能な位置において置換基を有してもよく、置換基は、同一または異なる置換基のいずれであってもよい。本明細書で使用されるとき、「独立して選択される」という用語は、単一化合物における所与の変数の複数の場合に対して、同一または異なる値が選択されてもよいことを意味する。
「約」という用語は、「およそ」、「ほぼ」、「おおよそ」、または「あたり」を意味するように本明細書で使用される。「約」という用語が、数値範囲と併せて使用される場合、記載されている数値の上下の限界を拡張することによって、その範囲を修正する。概して、「約」という用語は、数値を記載された値の上下10%の差異で修正するように、本明細書で使用される。
本明細書で使用されるとき、「含む(comprises)」という用語は、「含むがこれに限定されない」という意味である。
特に明記しない限り、本明細書に図示される構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むよう意図されている。例えば、重水素もしくは三重水素による水素原子の置き換え、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素原子の置き換えを除いて、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
本明細書で使用されるとき、「ボロン酸」という用語は、−B(OH)部分を含有する化合物を指す。いくつかの実施形態では、ボロン酸化合物は、ボロン酸部分の脱水によってオリゴマー無水物を形成することができる。例えば、Snyder et al.,
J. Am. Chem. Soc. 80:3611(1958)は、オリゴマーアリールボロン酸を報告している。
本明細書で使用されるとき、「ボロン酸無水物」という用語は、1つ以上の水分子の損失を伴って、ボロン酸化合物の2つ以上の分子の組み合わせによって形成される化合物を指す。水と混合された場合、ボロン酸無水物化合物は水和し、遊離ボロン酸化合物を放出する。種々の実施形態では、ボロン酸無水物は、2、3、4またはそれ以上のボロン酸単位を含むことができ、かつ環状または線状構造を有することができる。本発明のペプチドボロン酸化合物のオリゴマーボロン酸無水物の限定されない例を、以下に図示する。
Figure 2016014038
式(1)および(2)において、変数nは、0〜約10、好ましくは0、1、2、3、または4の整数である。いくつかの実施形態では、ボロン酸無水物化合物は、式(2)の環状三量体(「ボロキシン」)を含み、式中、nは1である。変数Wは、式(3)を有する。
Figure 2016014038
式中、環Aは、式(I)に関して上に記載される値を有する。
いくつかの実施形態では、ボロン酸無水物化合物中に存在する少なくとも80%のボロン酸が、単一のオリゴマー無水物の形で存在する。いくつかの実施形態では、ボロン酸無水物化合物中に存在する少なくとも85%、約90%、約95%、または約99%のボロン酸が、単一のオリゴマー無水物の形で存在する。ある好ましい実施形態では、ボロン酸無水物化合物は、式(3)を有するボロキシンから成るか、または本質的にボロキシンから成る。
ボロン酸無水物化合物は、好ましくは再結晶、凍結乾燥、熱への曝露、および/または乾燥剤への曝露を含むがこれに限定されない、脱水条件への曝露によって、対応するボロン酸から調製することができる。好適な再結晶溶媒の限定されない例としては、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘキサン、エーテル、アセトニトリル、エタノール、およびそれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ZおよびZは共に、ボロン酸錯化剤に由来する部分を形成する。本発明の目的上、「ボロン酸錯化剤」という用語は、少なくとも2個の官能基を有する任意の化合物を指し、その各々は、ボロンとの共有結合を形成することができる。好適な官能基の限定されない例としては、アミノおよびヒドロキシルが挙げられる。いくつかの実施形態では、官能基のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基である。「ボロン酸錯化剤に由来する部分」という用語は、ボロン酸錯化剤の2個の官能基から水素原子を除去することによって形成される部分を指す。
本明細書で使用されるとき、「ボロネートエステル」および「ボロン酸エステル」という用語は、置き換え可能に使用され、−B(Z(Z)部分を含有する化合物を意味し、ここで、ZまたはZのうちの少なくとも1つは、アルコキシ、アラルコキシ、もしくはアリールオキシであるか、またはZおよびZは共に、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するボロン酸錯化剤に由来する部分を形成する。
いくつかの実施形態では、ZおよびZは共に、鎖または環において少なくとも2個の結合原子によって分離される、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物に由来する部分を形成し、該鎖または環は、炭素原子、および任意で、N、S、またはOであってもよいヘテロ原子(複数を含む)を含み、ここで、各場合においてボロンに結合する原子は、酸素原子である。
本明細書で用いられるとき、「少なくとも2個のヒドロキシ基を有する化合物」という用語は、2つ以上のヒドロキシル基を有する任意の化合物を指す。本発明の目的上、2個のヒドロキシル基は、好ましくは少なくとも2個の結合原子、好ましくは約2〜5個の結合原子、より好ましくは2または3個の結合原子によって分離される。便宜上、上記に定義されるような少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物を指すために、「ジヒドロキシ化合物」という用語が使用されてもよい。したがって、本明細書で用いられる「ジヒドロキシ化合物」という用語は、2個のみのヒドロキシル基を有する化合物に限定されることを目的としていない。少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物に由来する部分は、そのヒドロキシル基のうちのいずれか2個の酸素原子によってボロンと結合してもよい。好ましくは、ボロン原子、ボロンに結合した酸素原子、および2個の酸素原子を結合させる原子が共に、5または6員環を形成する。
本発明の目的上、ボロン酸錯化剤は、好ましくは薬学的に許容される、すなわちヒトへの投与に好適である。いくつかの好ましい実施形態では、ボロン酸錯化剤は糖である。「糖」という用語には、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、およびアミノ糖を含む、任意のポリヒドロキシ炭水化物部分が含まれる。いくつかの実施形態では、糖は、単糖、二糖、糖アルコール、またはアミノ糖である。好適な糖の限定されない例としては、グルコース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコサミン、およびN−メチルグルコサミンが挙げられる。特定の実施形態では、糖は、マンニトールまたはソルビトールである。したがって、糖がマンニトールまたはソルビトールである実施形態では、ZおよびZは共に、式:C12の部分を形成し、ここで、2個の脱プロトン化ヒドロキシル基の酸素原子は、ボロネートエステル化合物を形成するために、ボロンと共有結合を形成する。ある特定の実施形態では、ZおよびZは共に、D−マンニトールに由来する部分を形成する。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、Plamondon et al.の国際公開第02/059131号に記載されるように、凍結乾燥粉末として処方され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末はまた、遊離ジヒドロキシ化合物を含む。好ましくは、遊離ジヒドロキシ化合物および式(I)の化合物は、約0.5:1〜約100:1、より好ましくは約5:1〜約100:1の範囲のモル比で混合物中に存在する。ジヒドロキシ化合物がマンニトールである種々の実施形態では、凍結乾燥粉末は、約10:1〜約100:1、約20:1〜約100:1、または約40:1〜約100:1の範囲のモル比で、遊離マンニトールおよびマンニトールボロネートエステルを含む。
いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末は、他の成分を実質的に含んでいない、マンニトールおよび式(I)の化合物を含む。しかしながら、組成物は、1つ以上の他の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、および当該技術分野で公知の他の材料をさらに含むことができる。これらの材料を含有する薬学的に許容される剤形の調製は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., ed. A. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000または最新版に記載されている。
(I)の化合物を含む凍結乾燥粉末は、好ましくはPlamondon et al.の国際公開第02/059131号に記載されている手順に従って調製される。したがって、いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末を調製するための方法は、(a)ペプチドボロン酸およびジヒドロキシ化合物を含む水性混合物を調製する工程と、(b)該混合物を凍結乾燥させる工程とを含む。
一般的合成方法論
式(I)の化合物は、当業者に既知の方法によって調製することができる。例えば、Adams et. alの米国特許第5,780,454号、Pickersgill et al.の国際特許公開第 2005/097809号を参照されたい。例示的な合成経路は、以下のスキーム1に記載されている。
スキーム1:
Figure 2016014038
化合物iとN−保護グリシン(ii)とのカップリング、およびそれに続くN末端脱保護は、化合物iiiをもたらす。好適な保護基(PG)の例としては、例えば、ホルミル、アセチル(Ac)、スクシニル(Suc)、およびメトキシスクシニル等のアシル保護基、ならびにtert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のウレタン保護基が挙げられるがこれに限定されない。ペプチドカップリング反応は、化合物iiの例えば、O−(N−ヒドロキシこはく酸イミド)エステル等のカルボン酸部分の活性化エステルへの前変換、それに続く化合物iでの処理によって行うことができる。代替的に、活性化エステルは、カルボン酸をペプチドカップリング試薬と接触させることによって、原位置で生成することができる。好適なペプチドカップリング試薬の例としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはl−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)等のカルボジイミド試薬、例えば、ベンゾトリアゾール−l−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)等のホスホニウム試薬、および例えば、O−(lH−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)等のウラン試薬が挙げられるがこれに限定されない。
次いで、化合物iiiを置換安息香酸(ArCOH)とカップリングして、化合物ivを得る。化合物iおよびiiのカップリングに関して上に記載されるペプチドカップリング条件は、ArCOHと化合物のカップリングにも好適である。次いで、ボロン酸部分の脱保護によって、化合物vが得られる。脱保護工程は、好ましくはボロン酸エステル化合物iv、有機ボロン酸受容体、低アルカノール、C5−8炭化水素溶媒、および含水鉱酸を含む二相混合物におけるエステル交換によって行われる。
スキーム2:
Figure 2016014038
代替的に、カップリング反応の順序は、スキーム2に示されるように逆であってもよい。したがって、O−保護グリシン(vi)を最初に置換安息香酸(ArCOH)とカップリングし、その後エステル加水分解して、化合物viiを形成するさ。次いで、スキーム1に関して上に記載されるように、化合物iとのカップリングおよびボロン酸脱保護を行って、化合物vを得る。
使用、処方、および投与
本発明は、プロテアソームの強力な阻害剤である化合物を提供する。該化合物は、プロテアソームによるペプチド加水分解またはタンパク質分解を阻害するそれらの能力に関して、生体外または生体内で分析され得る。
したがって、別の態様では、本発明は、プロテアソーム阻害が望ましい細胞を、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、ボロン酸エステル、もしくはボロン酸無水物と接触させる工程を含む、細胞内のプロテアソームの1つ以上のペプチダーゼ活性を阻害するための方法を提供する。
本発明はまた、かかる阻害が望ましい細胞を、本明細書に記載される化合物と接触させる工程を含む、細胞増殖を阻害するための方法を提供する。「細胞増殖を阻害する」という語句は、阻害剤と接触されない細胞と比較して、接触された細胞において細胞数または細胞成長を阻害する、本発明の化合物の能力を示すために使用される。細胞増殖の評価は、細胞計数器を使用して、または例えば、MTTまたはWSTアッセイ等の細胞生存性アッセイによって、細胞数を計数することによって行うことができる。細胞が充実性増殖(例えば、充実性腫瘍または臓器)にある場合、かかる細胞増殖の評価は、例えば、カリパスで成長を測定し、接触細胞の成長のサイズを非接触細胞と比較することによって行うことができる。
好ましくは、阻害剤と接触された細胞の成長は、非接触細胞の成長と比較して、少なくとも約50%遅延される。種々の実施形態では、接触細胞の細胞増殖は、非接触細胞と比較して、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%阻害される。いくつかの実施形態では、「細胞増殖を阻害する」という語句は、非接触細胞と比較した場合の接触細胞の数の減少を含む。したがって、接触細胞において細胞増殖を阻害するプロテアソーム阻害剤は、接触細胞の成長遅延、成長停止、プログラム細胞死(すなわち、アポトーシス)、または壊死細胞死を引き起こすことができる。
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩が、これらの組成物に使用される場合、塩は、好ましくは無機または有機酸または塩基から得られる。好適な塩を確認するには、例えば、Berge et al, J. Pharm. Sci. 66:1−19 (1977)、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., ed. A. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000を参照されたい。
好適な酸付加塩の限定されない例としては、以下が挙げられる。酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩。
好適な塩基付加塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、およびカリウム塩等、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩等、他の多価金属塩、例えば、亜鉛塩等、有機塩基を有する塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、およびコリン等、ならびにアミノ酸を有する塩、例えば、アルギニン等が挙げられるがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、式(I)のボロン酸化合物の塩基付加塩であり、ここで、ZおよびZは両方とも、ヒドロキシである。
「薬学的に許容される担体」という用語は、受容対象、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに適合し、薬剤の活性を終了させることなく標的部位に活性薬剤を送達するのに好適である材料を指すために、本明細書で使用される。担体と関連した毒性および有害作用がある場合は、活性薬剤の使用目的に対して妥当なリスク対効果比に相応する。
「担体」、「アジュバント」、または「ビヒクル」という用語は、本明細書で同じ意味で使用され、望ましい特定の剤形に適したようなあらゆる溶媒、希釈剤、および他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、pH調整剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤等を含む。Remington: The Science and Practice of Pharmacy , 20th Ed., ed. A. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000は、薬学的に許容される組成物の処方に使用される種々の担体、およびその調製のための既知の技術を開示する。任意の従来の担体媒体が、例えば、任意の望ましくない生物学的作用をもたらすか、またはそうでなければ、薬学的に許容される組成物の任意の他の成分と有害な方法で相互作用することによって、本発明の化合物に不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。薬学的に許容される担体としての機能を果たすことができる材料のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン等、緩衝物質、例えば、リン酸塩、炭酸塩、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム等、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、ピロゲンを含まない水、塩、または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、および亜鉛塩等、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、羊毛脂、糖、例えば、ラクトース、グルコース、スクロース、およびマンニトール等、スターチ、例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ等、セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセテート等、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、賦形剤、例えば、ココアバターおよび座薬ワックス等、油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油、グリコール、例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール等、エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等、寒天、アルギン酸、等張食塩水、リンゲル液、アルコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、およびグリセロール等、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン等、潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等、石油炭化水素、例えば、鉱油およびワセリン等が挙げられるがこれに限定されない。着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および香料、防腐剤、および抗酸化剤もまた、処方者の判断に従って組成物中に存在することができる。
本発明の医薬組成物は、特に従来の造粒、混合、溶解、カプセル化、凍結乾燥、または乳化プロセス等の公知の方法によって、製造することができる。組成物は、顆粒、沈殿物、もしくは微粒子、フリーズドライ粉末、回転乾燥粉末、もしくは噴霧乾燥粉末を含む粉末、非晶質粉末、タブレット、カプセル、シロップ、座剤、注入液、乳液、エリキシル剤、懸濁液、または溶液を含む、種々の形状で生成されてもよい。
好ましい実施形態によると、本発明の組成物は、哺乳動物、好ましくは、ヒトへの薬剤投与のために処方される。本発明のかかる医薬組成物は、経口、非経口、吸入噴霧、局所、直腸、経鼻、口腔、経膣、または埋込型リザーバを介して投与されてもよい。本明細書で使用されるとき、「非経口」という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内、および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、組成物は、経口、静脈内、皮下投与される。本発明の製剤は、短時間作用型、即時放出型、または長時間作用型になるように設計されてもよい。さらに、化合物は、腫瘍部位における投与(例えば、注射による)等、全身的手段ではなく局所的手段で投与することができる。
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含むがこれに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、シクロデキストリン、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等の、当該技術分野で一般に使用されている不活性希釈剤を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味剤および香料等を含むことができる。
注射用調製物、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁液等は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用した既知の技術に従って処方されてもよい。
無菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液、または乳剤、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液等であってもよい。採用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌固定油は、溶媒または懸濁化媒体として従来採用されている。このために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無菌性の固定油を採用することができる。加えて、注射物質の調製において、オレイン酸等の脂肪酸が使用される。注射製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通して濾過することによって、または無菌水もしくは他の無菌注射用媒体に溶解もしくは分散できる無菌固体組成物の形態の滅菌剤を使用前に組み入れることによって、滅菌することができる。非経口投与のために処方される組成物は、ボーラス注射によって、もしくは時限注入によって注射されてもよく、または持続注入によって投与されてもよい。
経口投与のための固体剤形には、カプセル、タブレット、ピル、粉末、および顆粒が含まれる。かかる固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容される賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム、および/またはa)充填剤もしくは増量剤、例えば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア等、c)保湿剤、例えば、グリセロール等、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン等、f)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土等、およびi)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物と混合される。カプセル、タブレット、およびピルの場合、剤形はまた、リン酸塩または炭酸塩等の緩衝剤を含んでもよい。
また、ラクトースまたは乳糖等の賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコール等を使用した軟および硬ゼラチンカプセル内の充填剤として、同様の種類の固体組成物が採用されてもよい。タブレット、糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野において公知の他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、任意で乳白剤を含有してもよく、それらが、任意で遅延した方法で、腸管の特定の部分において、活性成分を単独でまたは選択的に放出する組成物の固体剤形であってもよい。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。また、ラクトースまたは乳糖等の賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコール等を使用した軟および硬ゼラチンカプセル内の充填剤として、同様の種類の固体組成物が採用されてもよい。
活性化合物はまた、上記のような1つ以上の賦形剤を用いたマイクロカプセル化の形状であることができる。タブレット、糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、および医薬製剤分野において公知の他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。かかる固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース、またはスターチと混合されてもよい。かかる剤形はまた、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加物質、例えば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびマクロ結晶セルロース等を含んでもよい。また、カプセル、タブレット、およびピルの場合、剤形は、緩衝剤を含んでもよい。それらは、任意で乳白剤を含有してもよく、それらが、任意で遅延した方法で、腸管の特定の部分において、活性成分を単独でまたは選択的に放出する組成物の固体剤形であってもよい。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入、またはパッチが含まれる。活性成分は、必要に応じて、薬学的に許容される担体および任意の必要な防腐剤または緩衝剤と無菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を企図し、それは、身体への化合物の制御送達を提供するという追加利点を有する。かかる剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解または分散させることによって製造することができる。吸収促進剤もまた、皮膚にわたる化合物のフラックスを増加させるために使用することができる。速度は、速度制御膜を提供すること、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に化合物を分散させることのいずれかによって、制御することができる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、静脈内投与される。かかる実施形態では、式(I)(式中、ZおよびZは共に、ボロン酸錯化剤に由来する部分を形成する)の化合物は、上記のように凍結乾燥粉末の形状で調製することができる。凍結乾燥粉末は、好ましくは薬剤投与に好適な水性溶媒を添加することによって再構成される。好適な再構成溶媒の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むがこれに限定されない。好ましくは、凍結乾燥粉末は、生理(0.9%)食塩水で再構成される。再構成によって、ボロネートエステル化合物と対応する遊離ボロン酸化合物との間に平衡が確立される。いくつかの実施形態では、平衡は、水性媒体の添加後に迅速に、例えば、10〜15分以内に達成される。平衡において存在するボロネートエステルおよびボロン酸の相対濃度は、例えば、溶液のpH、温度、ボロン酸錯化剤の性質、および凍結乾燥粉末中に存在するボロン酸錯化剤対ボロネートエステル化合物の比等のパラメータに依存する。
本発明の医薬組成物は、好ましくはプロテアソーム介在性疾患を有する、またはその発症もしくは再発のリスクを有する患者への投与のために処方される。本明細書で使用されるとき、「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。本発明の好ましい医薬組成物は、経口、静脈内、または皮下投与のために処方される医薬組成物である。しかしながら、治療有効量の本発明の化合物を含有する上記の剤形のいずれも、十分に日常の実験の範囲内であり、したがって、十分に本発明の範囲内である。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、別の治療薬をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、かかる他の治療薬は、治療される疾病または状態を有する患者に通常投与される治療薬である。
「治療有効量」とは、プロテアソーム活性またはプロテアソーム介在性疾患の重症度の検出可能な減少をもたらすのに十分な量を意味する。必要なプロテアソーム阻害剤の量は、所与の細胞種類に対する阻害剤の有効性、および疾患を治療するために必要とされる時間の長さに依存する。また、任意の特定の患者に対する具体的な投与量および治療計画は、採用される特定化合物の活性、患者の年齢、体重、健康全般、性別、および食習慣、投与時間、排泄速度、併用薬剤、治療する医師の判断、ならびに治療される特定の疾病の重症度を含む、種々の要因に依存することを理解されたい。本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、典型的には、その治療薬を唯一の活性薬剤として含む組成物中で通常投与される量以下である。好ましくは、追加治療薬の量は、その薬剤を唯一の治療的に活性な薬剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜約100%に及ぶ。
別の態様では、本発明は、プロテアソーム介在性疾患を有する、またはその発症もしくは再発のリスクを有する患者を治療するための方法を提供する。本明細書で使用されるとき、「プロテアソーム介在性疾患」という用語は、プロテアソーム発現もしくは活性の増加によって引き起こされるか、もしくはそれを特徴とする、あるいはプロテアソーム活性を必要とする、任意の疾患、疾病、または状態を含む。「プロテアソーム介在性疾患」という用語はまた、プロテアソーム活性の阻害が有益である、任意の疾患、疾病、または状態を含む。
例えば、本発明の化合物および医薬組成物は、プロテアソーム活性によって調節されるタンパク質(例えば、NFB、p27Kip、p21WAF/CIP1、p53)によって介在される疾患の治療に有用である。関連疾患には、炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、変形性関節症、皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬))、増殖性血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄)、増殖性眼疾患(例えば、糖尿病性網膜症)、良性増殖性疾患(例えば、血管腫)、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、組織および臓器拒絶反応)、ならびに感染に関連した炎症(例えば、免疫反応)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、神経障害痛、トリプレットリピート病、星細胞腫、およびアルコール性肝臓疾患の結果としての神経変性)、虚血性傷害(例えば、脳卒中)、および悪液質(例えば、種々の生理学的および病理学的状態(例えば、神経損傷、空腹、熱、アシドーシス、HIV感染、眼障害、および特定の内分泌障害)を伴う加速性筋肉タンパク分解)が挙げられる。
本発明の化合物および医薬組成物は、癌の治療に特に有用である。本明細書で使用されるとき、「癌」という用語は、制御されないもしくは無秩序な細胞増殖、細胞分化の減少、周囲組織に侵入する不適切な能力、および/または異所において新しい成長を確立する能力を特徴とする細胞障害を指す。「癌」という用語は、充実性腫瘍および血液感染性腫瘍を含むがこれに限定されない。「癌」という用語は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液、および血管の疾病を包含する。「癌」という用語は、原発性および転移性癌をさらに包含する。
開示されたプロテアソーム阻害剤で治療することができる充実性腫瘍の限定されない例には、膵臓癌、膀胱癌、結腸直腸癌、転移性乳癌を含む乳癌、アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌を含む前立腺癌、例えば、転移性腎細胞癌を含む腎臓癌、肝細胞癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、および肺腺癌を含む肺癌、例えば、進行性上皮性癌または原発性腹膜癌を含む卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、食道癌、例えば、頭頸部扁平上皮癌を含む頭頸部癌、黒色腫、転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌、例えば、神経膠腫、退形成性乏突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星細胞腫を含む脳腫瘍、骨肉腫、ならびに軟部組織肉腫が含まれる。
開示されたプロテアソーム阻害剤で治療することができる血液悪性疾患の限定されない例には、急性骨髄性白血病(AML)、加速性CMLおよびCML急性転化期(CML−BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ホジキン病(HD)、濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、(過剰芽球を伴う不応性貧血(RAEB)、および形質転換におけるRAEB(RAEB−T)を含む骨髄異形成症候群(MDS)、ならびに骨髄増殖性症候群が含まれる。
いくつかの実施形態では、発明の化合物または組成物は、多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫から成る群より選択される癌を有する、またはその発症もしくは再発のリスクを有する患者を治療するために使用される。
いくつかの実施形態では、本発明のプロテアソーム阻害剤は、別の治療薬と併せて投与される。他の治療薬もまた、プロテアソームを阻害し得、または異なる機構によって作用し得る。いくつかの実施形態では、他の治療薬は、治療される疾病または状態を有する患者に通常投与される治療薬である。本発明のプロテアソーム阻害剤は、単一剤形または異なる剤形で他の治療薬と投与されてもよい。別々の剤形として投与される場合、他の治療薬は、本発明のプロテアソーム阻害剤の投与の前、それと同時、またはその後に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、式(I)のプロテアソーム阻害剤は、抗癌剤と併せて投与される。本明細書で使用されるとき、「抗癌剤」という用語は、癌を治療する目的で、癌を有する対象に投与される任意の薬剤を指す。
DNA損傷化学療法薬の限定されない例としては、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、カンプトセシン、およびその類似体または代謝物、ならびにドキソルビシン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、およびダウノルビシン)、アルキル化剤(例えば、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルマスティン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、デカルバジン、メトトレキサート、マイトマイシンC、およびシクロホスファミド)、DNA挿入剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン)、DNA挿入剤および遊離基発生剤、例えば、ブレオマイシン、ならびにヌクレオシド模倣剤(例えば、5−フルオロウラシル、カペシチビン、ゲムシタビン、フルダラビン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、およびヒドロキシウレア)が挙げられる。
細胞複製を阻止する化学療法薬には、パクリタキセル、ドセタキセル、および関連類似体、ビンクリスチン、ビンブラスチン、および関連類似体、サリドマイド、レナリドマイド、および関連類似体(例えば、CC−5013およびCC−4047)、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブおよびゲフィチニブ)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、IBキナーゼの阻害剤を含むNF−B阻害剤、癌において過剰発現したタンパク質と結合し、それによって細胞複製を下方制御する抗体(例えば、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、およびベバシズマブ)、ならびに癌において上方制御、過剰発現、または活性化されることが既知のタンパク質または酵素の他の阻害剤(その阻害は細胞複製を下方制御する)が挙げられる。
本発明をさらに十分に理解するために、以下の調製および試験実施例が記載される。これらの実施例は、特定の化合物を製造または試験する方法を例示し、いかようにも本発明の範囲を制限するものとして解釈されるものではない。
Figure 2016014038
分析LC−MS法
以下の勾配を使用して、Symmetry C18−3.5μm−4.6×50mmカラムでスペクトルを実行した。
溶媒A:2%イソプロピルアルコール、98%水、10mMのNH4OAc
溶媒B:75%アセトニトリル、25%メタノール、10mMのNH4OAc。
Figure 2016014038
実施例1:[(1R)−l−({[(2 3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸20D−マンニトール(I−1)の合成
Figure 2016014038
工程1:メチル[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセテート
テトラヒドロフラン(5mL)中の2,3−ジフルオロ安息香酸(0.190g、1.2ミリモル)の溶液に、グリシンメチルエステル塩酸塩(0.150g、1.2ミリモル)、HOBt(0.162g、1.2ミリモル)、DIEA(0.209mL、1.2ミリモル)、およびEDCI(0.252g、1.3ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で反応停止し、生成物をDCM中に分離した。有機層を分離し、溶媒を除去することによって、メチル[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセテートを得、それを精製することなく次の工程に使用した。
工程2:[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]酢酸
メタノール(7mL)中のメチル[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセテート(0.250g、1.1ミリモル)の溶液に、水酸化リチウム(0.053g、2.2ミリモル)および水(3mL)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。混合物を水(20mL)で希釈し、1N HCl(5mL)で酸性化した。生成物をDCM/メタノール(4:1)中に分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]酢酸を得、それを精製することなく次の工程に使用した。
工程3:2,3−ジフルオロ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aR,4R,6R,7aS)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]ベンズアミド
ジメチルホルムアミド(10mL)中の[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]酢酸(0.205g、0.95ミリモル)の溶液に、TBTU(0.337g、1.0ミリモル)、およびそのトリフルオロアセタート塩としての(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブタン−1−アミン(0.362g、0.95ミリモル)を添加した。混合物を0℃まで冷却し、DIEA(0.498mL、2.9ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。水(100mL)で反応を停止し、生成物をDCM中に分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、2,3−ジフルオロ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aR,4R6R,7aS)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]ベンズアミドを得た。
工程4:[(1R)−l−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル]アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸
メタノール/1N HCl(1:1)(1.5mL)中の2,3−ジフルオロ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aR,4R,6R,7aS)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)2−オキソエチル]ベンズアミド(0.536g、1.2ミリモル)の溶液に、ヘプタノール(1mL)およびイソブチルボロネート(0.207g、2.0ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。ヘプタノール層を分離し、メタノール/HCl層を濃縮した。粗生成物を逆相HPLCによって精製し、[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸を得た。
工程5:[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸.20D−マンニトール](I−1)
t−ブチルアルコール(2mL)および水(5mL)中の[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸(0.085g、0.26ミリモル)の溶液に、D−マンニトール(0.943g、5.2ミリモル)を添加した。溶液を温め、全てが溶解するまで撹拌した。次いで、溶液を冷凍し、溶媒を凍結乾燥によって除去し、[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸.20D−マンニトール(I−1)(0.98g、97%)を得た。
実施例2:[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸.20D−マンニトール(I−5)の合成
Figure 2016014038
工程1:tert−ブチル[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]カルバメート
トリフルオロアセタート塩としての(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブタン−1−アミン(4.9g、10.8ミリモル)の混合物に、N−・−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(1.98g、11.3ミリモル)を添加し、DCM(100mL)中のTBTU(3.81g、11.9ミリモル)に、DCM(25mL)中のDIEA(5.64mL、32.4ミリモル)の溶液を15分にわたって滴下添加した。反応混合物を一晩撹拌し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィによって精製し、tert−ブチル[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]カルバメート(2.5g、55%)を得た。
工程2:2−アミノ−N−{(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アセトアミド
DCM(15mL)中のtert−ブチル[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]カルバメート(2.5g、5.9ミリモル)の溶液に、ジオキサン(5.9mL)中の4M HClを添加した。反応混合物を2時間撹拌し、濃縮し、2−アミノ−N−{(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S6S7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−46−メタノ−1,32−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アセトアミドを得、それを精製することなく次の工程に使用した。
工程3:2−ブロモ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチルベンズアミド
DCM(2.25mL)中の2−ブロモ安息香酸(0.124g、0.62ミリモル)の溶液に、EDCI(0.119g、0.62ミリモル)、HOBt(0.084g、0.62ミリモル)、N−メチルモルホリン(0.185mL、1.68ミリモル)、および2−アミノ−N−{(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S7aR)−3a5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アセトアミド(0.2g、0.56ミリモル)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、濃縮した。残渣を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機溶液を混合し、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィによって精製し、2−ブロモ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,32−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]ベンズアミド(0.22g、78%)を得た。
工程4:[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸
メタノール/ヘキサン(1:1)(2.2mL)中の2−ブロモ−N−[2−({(1R)−3−メチル−1−[(3aS,4S,6S,7aR)−3a,5,5−トリメチルヘキサヒドロ−4,6−メタノ−1,32−ベンゾジオキサボロール−2−イル]ブチル}アミノ)−2−オキソエチル]ベンズアミド(0.220g、0.44ミリモル)の溶液に、(1mL、1.0ミリモル)およびイソブチルボロネート(0.078g、0.76ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、逆相HPLCによって精製し、[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸(0.119g、73%)を得た。
工程5:[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)3−メチルブチル]ボロン酸.20D−マンニトール(I−5)
tert−ブチルアルコール(9mL)および水(15mL)中の[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸(0.103g、0.28ミリモル)の溶液に、D−マンニトール(1.01g、5.5ミリモル)を添加した。溶液を温め、全てが溶解するまで撹拌した。次いで、溶液を冷凍し、溶媒を凍結乾燥によって除去し、[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸.20D−マンニトール(I−5)(0.92g、84%)を得た。
以下の表の化合物を、実施例1または2の方法と類した方法で適切な出発物質から調製した。
Figure 2016014038
実施例2:20Sプロテアソームアッセイ
384ウェルの黒色マイクロタイタープレート中のDMSOに溶解した1μLの試験化合物に、ヒトPA28活性剤(Boston Biochem、最終12nM)とAc−WLA−AMC(β5選択的基質)(最終15μM)を含有する37℃で25μLのアッセイ緩衝剤、続いてヒト20Sプロテアソーム(Boston Biochem、最終0.25nM)を含有する37℃で25μLのアッセイ緩衝剤を添加した。アッセイ緩衝剤は、20mMのHEPES、0.5mMのEDTA、および0.01%のBSA、pH7.4から成る。続いて、反応物をBMG Galaxyプレートリーダ(37℃、励起380nm、放出460nm、ゲイン20)にかけた。0%阻害(DMSO)および100%阻害(10μMのボルテゾミブ)の対照と比較して、阻害の割合を計算した。
本アッセイで試験した場合、化合物I−1〜I−21は全て、50nM未満のIC50値を示した。
実施例3:抗増殖アッセイ
10%ウシ胎仔血清(Invitrogen)が添加された100μLの適切な細胞培養基(HCT−116用のMcCoy’s 5A、Invitrogen)中のHCT−116(1000)または他の腫瘍細胞を96ウェルの細胞培養プレートのウェルで播種し、プレートを37℃で96時間インキュベートする。MTTまたはWST試薬(10μL、Roche)を各ウェルに添加し、製造者によって説明されるように37℃で4時間インキュベートする。MTTに対して、製造者の使用説明書(Roche)に従って、代謝染料を一晩可溶化する。分光光度計(Molecular Devices)を使用して、MTTに対して595nm(主)および690nm(標準)で、およびWSTに対して450nmで、各ウェルの光学濃度を読み取る。MTTに対して、標準光学濃度値を主波長の値から引く。100%に設定されたDMSO対照からの値を使用して、阻害の割合を計算する。
実施例4:生体内腫瘍有効性モデル
1mLの26 3/8ゲージ針(Becton Dickinson Ref#309625)を使用して、雌CD−1ヌードマウス(5〜8週齢、Charles River)の右背部側腹部にある皮下空間に、100μLのRPMI−1640培地(Sigma−Aldrich)中の解離直後のHCT−116(2−5×10)または他の腫瘍細胞を無菌注射する。代替的に、いくつかの異種移植片モデルは、腫瘍断片の連続継代を必要とする。これらの場合、麻酔(3−5%イソフロラン/酸素混合物)をかけたC.B−17/SCIDマウス(5〜8週齢、Charles River)の右背部側腹部に、13ゲージトロカール(Popper&Sons 7927)を介して、腫瘍組織の小断片(約1mm)を皮下移植する。接種の7日後から、バーニアカリパスを使用して週に2回、腫瘍を測定する。標準手順を使用して、腫瘍体積を計算する(0.5×(長さ×幅))。腫瘍が、約200mmの体積に達すると、マウスを治療群に無作為に割り付け、薬剤治療を受け始める。薬物動態/薬力学および最大耐量研究から得られた以前の結果に基づいて、各実験に対する投薬およびスケジュールを決定する。対照群は、いかなる薬剤も含まないビヒクルを受ける。典型的には、種々の用量およびスケジュールで、静脈内(27ゲージ針)、経口(20ゲージ給餌針)、または皮下(27ゲージ針)経路を介して、試験化合物(100〜200μL)を投与する。腫瘍の大きさおよび体重を週に2回測定し、対照腫瘍が、約2000mmに達した時に、研究を終了する。
前述の発明が、明確さおよび理解の目的である程度詳細に説明されたが、これらの特定の実施形態は例示であり、制限と見なされるものではない。当業者は、本開示を読むことによって、特定の実施形態ではなく添付の請求項によって定義されるものとする、本発明の真の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の種々の変更が行われてもよいことを、理解するであろう。
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。別段の定めがある場合を除き、本明細書で使用される全ての専門および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に引用される交付済み特許、出願、および参考文献は、各々が、参照することによって組み込まれることを具体的かつ個々に示されたのと同じ程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本開示が優先する。

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載された発明。
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