JP2016006299A - 封止構造体およびロータ組立体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータホイールと動翼との間の隙間を十分に覆うことによって作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制する。【解決手段】封止構造体39は、ロータホイール33と動翼34との間の隙間を覆うための封止構造体に関する。封止構造体は、保持部331と非環状カバープレート352とを有する。保持部は、動翼に設けられる。非環状カバープレートは、隣り合う保持部間に跨るようにして保持される。【選択図】図7
Description
本発明の実施形態は、封止構造体およびロータ組立体に関する。
二酸化炭素の削減や省資源化などの要求から、発電プラントの高効率化が進められている。ガスタービン発電プラントにおいては、高効率化のために作動流体の高温化が進められている。また、ガスタービン発電プラントにおいては、動翼の冷却などに冷却媒体が使用されているが、冷却媒体が作動流体に流入すると発電効率が低下する。このため、作動流体に流入する冷却媒体の流量の低減などが進められている。
例えば、ガスタービンにおいては、ロータホイールの周囲に径方向の外側に向かって延びるように設けられたダブテールポストの間(ダブテール溝)にダブテールが嵌め込まれるようにして動翼が保持されている。通常、ロータホイールのダブテールポストと、動翼のダブテールとの間には、僅かな隙間が存在している。このような隙間が外部に露出していると、この外部に露出した部分から隙間の内部へと作動流体が流入し、これによりダブテールの温度が上昇して動翼が飛散しやすくなる。また、動翼を冷却するためにダブテールポストの間からダブテールの先端部へと冷却媒体が供給される場合、ダブテールポストとダブテールとの間の隙間が外部に露出していると、この外部に露出した部分から冷却媒体が流出しやすい。
このような作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制するために、外部に露出した隙間を覆うようにカバープレートが設けられている。具体的には、軸方向に露出した隙間を覆うように、ロータ軸を中心にして環状構造のカバープレートが設けられている。
カバープレートの保持は、ロータホイールにおける径方向の内側部分および外側部分に設けられた一対の保持部によって行われている。ここで、内側の保持部は、ダブテールポストの付け根の付近にロータ軸を中心にして環状に設けられている。一方、外側の保持部は、ダブテールポストの先端付近に設けられている。また、内側の保持部には径方向の外側に開口する溝部が設けられており、外側の保持部には径方向の内側に開口する溝部が設けられており、これらの溝部に挿入されるようにしてカバープレートが保持されている。
しかし、ダブテールポストの先端付近に保持部を設けた場合、この保持部に設けられた溝部の底面よりも径方向の外側の部分をカバープレートで覆うことが難しい。具体的には、ダブテールポストの先端やダブテールの付け根の付近をカバープレートで覆うことが難しい。このような問題については、溝部の底面を径方向の外側に移動させて、カバープレートによって覆われる範囲を広げることもできる。しかし、溝部の底面を径方向の外側に移動させると、保持部における溝部の底面よりも径方向の外側の部分が短くなり、保持部の強度が低下しやすく、カバープレートの遠心力により損傷しやすくなる。
また、動翼においては、使用温度が材料の許容温度に比べて十分に低い場合、プラットフォームとダブテールとの間にあるシャンクを薄くすることができる。シャンクが薄くなると、動翼が小型化され、これによりタービンが小型化される。また、シャンクが薄くなると、Ni基超合金などの高価な材料の使用が抑制され、これによりタービンの製造コストが抑制される。一方、シャンクが薄くなると、シャンクに保持部が設けられている場合、シャンクに合わせて保持部が径方向の内側へと移動するために、カバープレートによって覆われない部分が多くなる。
本発明が解決しようとする課題は、ロータホイールと動翼との間の隙間を十分に覆うことによって作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制することである。
実施形態の封止構造体は、ロータホイールと動翼との間の隙間を覆うための封止構造体に関する。実施形態の封止構造体は、保持部と非環状カバープレートとを有する。保持部は、動翼に設けられる。非環状カバープレートは、隣り合う保持部間に跨るようにして保持される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態のガスタービン設備10について説明する。
図1は、ガスタービン設備10の系統図である。
以下、第1の実施形態のガスタービン設備10について説明する。
図1は、ガスタービン設備10の系統図である。
燃焼器20には、酸素および燃料が供給されて燃焼する。また、燃焼器20には、この燃焼以前に燃焼器20において発生した二酸化炭素が供給され、例えば、酸素および燃料と混合されて燃焼に利用される。燃料および酸素の流量は、例えば、それぞれが完全に混合した状態において量論混合比(理論混合比)となるように調整されている。燃料としては、例えば、天然ガス、メタンなどの炭化水素や、石炭ガス化ガスなどが使用される。
燃焼器20から排出された、二酸化炭素および水蒸気からなる燃焼ガスは、タービン21に導入される。タービン21において膨張仕事をした燃焼ガスは、第1の熱交換器22を通り、さらに第2の熱交換器23を通る。第2の熱交換器23を通る際、水蒸気が凝縮して水となる。水は、配管24を通り外部に排出される。なお、タービン21には、発電機25が連結されている。
水蒸気が分離された二酸化炭素は、圧縮機26で昇圧されて超臨界流体となる。昇圧された二酸化炭素の一部は、第1の熱交換器22において加熱され、燃焼器20に供給される。燃焼器20に供給された二酸化炭素は、例えば、燃焼器20の上流側から燃料や酸化剤とともに燃焼領域に噴出される。
また、タービン21の動翼などを冷却する場合には、第1の熱交換器22における流路の途中から分岐してタービン21に接続する配管が設けられ、この配管を通して超臨界流体の二酸化炭素の一部が冷却媒体としてタービン21に導入される。この冷却媒体の温度は、冷却効果と冷却対象物に生じる熱応力から、例えば、350〜550℃程度であることが好ましい。
昇圧された二酸化炭素の残りは、系統の外部に排出される。外部に排出された二酸化炭素は、例えば、回収装置により回収される。また、外部に排出された二酸化炭素は、例えば、石油採掘現場で利用されているEOR(Enhanced Oil Recovery)にも利用することができる。上記した系統において、例えば、燃焼器20において燃料と酸素を燃焼させることで生成した二酸化炭素の生成量に相当する分の二酸化炭素が系統の外部に排出される。
図2は、タービン21の縦断面図である。
円筒形状のケーシング30の内側には、周方向に複数の静翼31を有する静翼翼列が設けられている。また、静翼翼列の直下流側には、タービンロータ32のロータホイール33に周方向に一定間隔で植設された複数の動翼34を有する動翼翼列が設けられている。静翼翼列と動翼翼列とは、軸方向に沿って交互に配設されている。静翼翼列と、この静翼翼列の直下流側の動翼翼列とで、一つのタービン段落が構成されている。
円筒形状のケーシング30の内側には、周方向に複数の静翼31を有する静翼翼列が設けられている。また、静翼翼列の直下流側には、タービンロータ32のロータホイール33に周方向に一定間隔で植設された複数の動翼34を有する動翼翼列が設けられている。静翼翼列と動翼翼列とは、軸方向に沿って交互に配設されている。静翼翼列と、この静翼翼列の直下流側の動翼翼列とで、一つのタービン段落が構成されている。
動翼34やロータホイール33に対して軸方向の外側付近には、カバープレート35が配置されている。カバープレート35は、環状構造を有する環状カバープレート351と、この環状カバープレート351に対して径方向の外側に配置される非環状構造を有する非環状カバープレート352とから構成されている。また、一対の動翼34の間には、シールピン36が軸方向に延びるように配置されている。
ロータ組立体38は、ロータホイール33、動翼34、シールピン36、およびカバープレート35を有している。
封止構造体39は、ロータ組立体38の一部を構成しており、動翼34に設けられる保持部345と、この隣り合う保持部345の間に跨るようにして保持される非環状カバープレート352とを少なくとも有する。なお、環状カバープレート351、ロータホイール33に設けられる保持部などについても、封止構造体39を構成するものに含めることができる。
動翼34の周囲には、シュラウドセグメント41が設けられている。シュラウドセグメント41は、燃焼ガスからケーシングへの入熱を防止するとともに、動翼34の先端との隙間を調整し、適正な隙間を維持するためのものである。シュラウドセグメント41は、例えば、ケーシング30に固定された静翼31によって支持されている。このように、ケーシング30の内側には、静翼翼列および動翼翼列を有する円環状の燃焼ガス通路37が形成されている。また、動翼34が冷却される場合、タービンロータ32の内部に設けられた冷却通路42を通して冷却媒体が動翼34の内部に供給される。
図3は、動翼34の外観図である。また、図4は、図3に示される動翼34の保持部345を拡大して示す図である。なお、図4には、一対の隣接する動翼34の保持部345が示されている。
なお、以下の説明においては、特に断らない限り、軸方向、径方向、周方向は、タービン21に取り付けられたときの軸方向、径方向、周方向を意味する。また、軸方向の内側とは、軸方向における動翼34の中心側であり、軸方向の外側とは、中心側とは反対側を意味する。
動翼34は、翼有効部341、プラットフォーム342、シャンク343、ダブテール344、および保持部345を有する。なお、図示しないが、翼有効部341に対して径方向の外側には、燃焼ガス通路の外径面を形成するシュラウドカバープレートが設けられてもよい。
プラットフォーム342は、翼有効部341の台座となり、燃焼ガス通路の内径面を形成する。ダブテール344は、ロータホイール33に設けられたダブテールポストの間に嵌め込まれて、ロータホイール33に動翼34を保持する。シャンク343は、プラットフォーム342とダブテール344との間に設けられ、これらプラットフォーム342とダブテール344とを接続する。保持部345は、カバープレート35を保持する部分であり、プラットフォーム342、シャンク343、およびダブテール344の付近から軸方向の外側に突出するように設けられている。
保持部345は、カバープレート35の一部が挿入されてこれを保持する溝部346を有する。溝部346は、シャンク343やダブテール344に近接して設けられ、径方向の内側(図中、下側)に向けて開口するとともに、シャンク343やダブテール344の軸方向の表面に沿うように周方向に延びている。また、溝部346に対して軸方向の外側には、溝部346を構成する壁部347が設けられている。壁部347の軸方向から見た形状は、シャンク343やダブテール344の形状と同一の形状となっている。
溝部346は、底面346aを有する。底面346aは、径方向の位置が周方向においてほぼ一定となる第1の底面346bを有する。通常、第1の底面346bの径方向の位置は、壁部347の先端(径方向における内側の先端)から、シャンク343とダブテール344との間の境界までの範囲のいずれかにある。
底面346aは、さらに、第1の底面346bの周方向の両側に、この第1の底面346bよりも径方向の外側となる第2の底面346cを有する。第2の底面346cは、それぞれ、第1の底面346b側から順に、第3の底面346d、第4の底面346eを有する。
第4の底面346eは、第1の底面346bよりも径方向の外側に設けられ、かつ径方向の位置が周方向においてほぼ一定となるように設けられている。通常、第4の底面346eの径方向の位置は、シャンク343とダブテール344との境界から、プラットフォーム342における径方向の外側の表面までの範囲のいずれかにある。また、第3の底面346dは、第1の底面346bと第4の底面346eとを直線的に繋ぐように周方向に対して傾斜するように設けられている。
保持部345は、溝部346にカバープレート35を構成する環状カバープレート351および非環状カバープレート352の双方が挿入されて、これら環状カバープレート351および非環状カバープレート352を同時に保持する。
溝部346は、環状カバープレート351を保持する部分である環状カバープレート用溝部346fと、非環状カバープレート352を保持する部分である非環状カバープレート用溝部346gとに大別される。環状カバープレート用溝部346fは、溝部346のうち第1の底面346bよりも径方向の内側の部分であり、非環状カバープレート用溝部346gは、溝部346のうち第1の底面346bよりも径方向の外側の部分である。非環状カバープレート用溝部346gは、環状カバープレート用溝部346fを挟むようにして周方向に一対が設けられている。
図5は、環状カバープレート351を示す平面図である。
環状カバープレート351は、環状構造を有し、径方向の内側の部分にロータホイール33に挿入されて保持される挿入部351aを有し、径方向の外側の部分に動翼34の溝部346(環状カバープレート用溝部346f)に挿入されて保持される挿入部351bを有し、これらの間に軸方向の外側に突出する凸部351cを有する。
環状カバープレート351は、環状構造を有し、径方向の内側の部分にロータホイール33に挿入されて保持される挿入部351aを有し、径方向の外側の部分に動翼34の溝部346(環状カバープレート用溝部346f)に挿入されて保持される挿入部351bを有し、これらの間に軸方向の外側に突出する凸部351cを有する。
なお、通常、環状カバープレート351は、ロータ組立体38に取り付けられるまでは2以上の部分に分割されており、ロータ組立体38に取り付けられてから溶接などにより一体化される。分割方法としては、周方向に2以上の部分に分割する方法、径方向に2以上の部分に分割する方法、または周方向および径方向のそれぞれの方向に2以上の部分に分割する方法が挙げられる。これらの方法の中でも、特にロータ組立体38への取り付けが容易となることから、周方向および径方向のそれぞれの方向に2以上の部分に分割する方法が好ましい。
図6は、非環状カバープレート352の外観図である。
非環状カバープレート352は、図4に示される一対の非環状カバープレート用溝部346gにより形成される空間、特に一対の第2の底面346c(第3の底面346dおよび第4の底面346e)により形成される空間に適合する台形状を有する。このような台形状の非環状カバープレート352は、短辺側が径方向の外側となるようにして使用される。
非環状カバープレート352は、図4に示される一対の非環状カバープレート用溝部346gにより形成される空間、特に一対の第2の底面346c(第3の底面346dおよび第4の底面346e)により形成される空間に適合する台形状を有する。このような台形状の非環状カバープレート352は、短辺側が径方向の外側となるようにして使用される。
また、非環状カバープレート352は、環状カバープレート351に対して径方向の外側に配置されることから、環状カバープレート351に比べて高温の燃焼ガスに近い位置に配置される。このため、高温酸化を抑制するための耐酸化コーティング、遮熱性を高めるためのセラミックス材料による遮熱コーティングなどが表面に施されていることが好ましい。
図7〜図10は、ロータ組立体38を説明するための図である。ここで、図7は、ロータ組立体38を軸方向から見た平面図である。図8は、図7のロータ組立体38からカバープレート35を覆っている壁部347などの部分を取り除くとともに、カバープレート35の背面側の状態を示した断面図である。図9は、図7のA−A矢視断面図である。図10は、図7のB−B矢視断面図である。
例えば、図8に示されるように、ロータホイール33には、径方向の外側に向かって延びるダブテールポスト332が周方向に複数形成されている。ダブテールポスト332の間には、それぞれダブテール溝333が形成されている。このようなダブテール溝333に動翼34のダブテール344が軸方向から挿入されて嵌め込まれることにより、ロータホイール33の周囲に複数の動翼34が保持されている。また、ダブテールポスト332の付け根の付近には、溝部334と壁部335とを有する保持部331が設けられている。
なお、ダブテール344は、ダブテール溝333に嵌め込まれたときに、ダブテール溝333の底部に空間43を形成するように、ダブテール溝333の深さよりも若干短めに構成されている。空間43には冷却媒体が供給され、この冷却媒体は、ダブテール344の先端から動翼34の内部に導入され、さらに動翼34の内部に設けられた冷却通路を通して翼有効部341へと供給される。これにより、動翼34の温度が構成材料の許容温度以下に保持される。また、一対の隣接する動翼34の間には、冷却媒体の流出を抑制するためのシールピン36が軸方向に延びるように配置されている。
環状カバープレート351は、先端付近を除いたダブテールポスト332の径方向の全体と、付け根の付近を除いたダブテール344の径方向の全体とを、軸方向の外側から覆うように配置されている。
環状カバープレート351は、ロータホイール33の溝部334に挿入部351aが挿入され、動翼34の溝部346(環状カバープレート用溝部346f)に挿入部351bが挿入され、動翼34の壁部347の先端に凸部351cが係合することにより保持されている(図7、9、10)。ここで、挿入部351aについては、周方向の全体がロータホイール33の溝部334に挿入されている。一方、挿入部351bについては、周方向の一部が動翼34の溝部346(環状カバープレート用溝部346f)に挿入されている。
非環状カバープレート352は、環状カバープレート351により覆われてないダブテールポスト332の先端付近およびダブテール344の付け根の付近を軸方向の外側から覆うように配置されている。また、非環状カバープレート352は、周方向の両側の部分および径方向の外側の部分が動翼34の溝部346(非環状カバープレート用溝部346g)に挿入されて保持されている(図7、9)。すなわち、非環状カバープレート352は、一対の溝部346(非環状カバープレート用溝部346g)に跨るようにして保持されている。通常、非環状カバープレート352と第2の底面346cとは接触していることが好ましい。また、非環状カバープレート352は、径方向の内側に環状カバープレート用溝部346fが接触することにより保持されている。
このようなロータ組立体38は、例えば、ロータホイール33に動翼34を取り付けた後、動翼34の溝部346(非環状カバープレート用溝部346g)に径方向の内側から挿入するようにして非環状カバープレート352を取り付け、さらにロータホイール33の溝部334と動翼34の溝部346(環状カバープレート用溝部346f)との間に環状カバープレート351を取り付けることにより製造される。なお、環状カバープレート351については、通常、分割された状態で取り付けられ、その後に溶接などにより一体化される。
なお、封止構造体39は、ロータ組立体38を製造するときに設けられる必要はなく、既に製造されたロータ組立体に追加するようにして設けてもよい。例えば、既に製造されたロータ組立体における動翼に保持部345を設けるとともに、この隣り合う保持部345の間に跨るようにして非環状カバープレート352を保持させてもよい。
このようなロータ組立体38によれば、動翼34に設けられた保持部345に跨るようにして非環状カバープレート352が保持されていることから、径方向における広範囲の隙間を覆うことができる。具体的には、ダブテールポスト332の先端付近とダブテール344の付け根の付近との間の隙間を覆うことができ、さらには一対の動翼34におけるシャンク343の間の隙間や、プラットフォーム342の間の一部の隙間についても覆うことができる。
特に、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とを有するとともに、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とを保持部345における異なる部分によって保持することで、保持部345の強度を確保しながら、径方向における広範囲の隙間を覆うことができる。
例えば、環状カバープレート用溝部346f、特に壁部347の先端や第1の底面346bを、非環状カバープレート用溝部346g、特に第2の底面346cよりも径方向の内側に設けることにより、保持部345のプラットフォーム342から第1の底面346bまでの部分を長くすることができ、これにより面積が大きいために遠心力も大きくなりやすい環状カバープレート351を適切に保持することができる。一方、非環状カバープレート用溝部346gの第4の底面346eは、プラットフォーム342に近づけることができ、これにより非環状カバープレート352によって径方向の外側を覆いやすくなる。
このように環状カバープレート351と非環状カバープレート352とによってダブテールポスト331とダブテール344との間の隙間の全体を覆うことによって、作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制することができる。
なお、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とは、運転時の遠心力によって密着させることができ、これにより環状カバープレート351と非環状カバープレート352との間における作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制することができる。同様に、環状カバープレート351の凸部351cと壁部347、溝部346の第2の底面346cと非環状カバープレート352についても、運転時の遠心力によって密着させることができ、これによりこれらの間における作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制することができる。
さらに、動翼34に冷却媒体を供給する場合、ダブテールポスト331とダブテール344との間の空間43などから流出する冷却媒体の圧力によって、カバープレート35を構成する環状カバープレート351および非環状カバープレート352を軸方向の外側に移動させて壁部347に密着させることができる。これにより、作動流体の流入や冷却媒体の流出をさらに抑制することができる。
また、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とに分割されていることで、高価な材料の使用も抑制することができる。一般に、高温の燃焼ガスに近い位置に配置される部材には許容温度の高い材料が使用されるが、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とから構成することで、非環状カバープレート352のみに許容温度の高い材料を使用して、高価な材料の使用を抑制することができる。許容温度の高い材料としては、例えば、インコネル625などのNi基超合金が挙げられる。また、高温酸化を抑制するための耐酸化コーティング、遮熱性を高めるためのセラミックスによる遮熱コーティングなどについても、使用を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。なお、第2の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。なお、第2の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
溝部346とこれに保持される非環状カバープレート352とは、遠心力により非環状カバープレート352が軸方向に移動するように構成されていることが好ましく、特に遠心力により非環状カバープレート352が軸方向の外側(図中、左側)に移動して壁部347と密着するように構成されていることが好ましい。非環状カバープレート352が壁部347に密着することにより、作動流体の流入や冷却媒体の流出がさらに抑制される。
遠心力により非環状カバープレート352を軸方向に移動させる方法としては、溝部346の第4の底面346eとこれに対向する非環状カバープレート352の表面との互いの対向面を軸方向に対して傾斜させる方法が挙げられる。例えば、遠心力により非環状カバープレート352を軸方向の外側に移動させる場合、軸方向の外側(図中、左側)の端部が内側(図中、右側)の端部よりも径方向の外側となるようにそれぞれの対向面を傾斜させることが好ましい。
なお、遠心力により非環状カバープレート352を軸方向の外側に移動させる方法としては、上記した第4の底面346eとこれに対向する非環状カバープレート352の表面との互いの対向面を傾斜させる方法の代わりに、第3の底面346dとこれに対向する非環状カバープレート352の表面との互いの対向面を傾斜させる方法でもよいし、第2の底面346cの全体(第3の底面346dおよび第4の底面346e)とこれに対向する非環状カバープレート352の表面との互いの対向面を傾斜させる方法でもよい。
また、環状カバープレート351と非環状カバープレート352との互いの対向面についても、遠心力により非環状カバープレート352が軸方向の外側に移動するように、軸方向に対して傾斜していることが好ましい。この場合、軸方向の外側(図中、左側)の端部が内側(図中、右側)の端部よりも径方向の内側となるようにそれぞれの対向面を傾斜させることが好ましい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図12は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。また、図13は、図12に示される非環状カバープレート352を示す平面図である。なお、第3の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第3の実施形態について説明する。
図12は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。また、図13は、図12に示される非環状カバープレート352を示す平面図である。なお、第3の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
非環状カバープレート352には、非環状カバープレート用溝部346gの側面と対向する表面に凸部352aが設けられていることが好ましい。ここで、非環状カバープレート用溝部346gの側面とは、非環状カバープレート用溝部346gの内面のうち第2の底面346c(第3の底面346dおよび第4の底面346e)を除いた部分であり、第2の底面346cを挟んで軸方向の両側に配置される一対の表面である。凸部352aは、壁部347側の表面に設けられていることが好ましく、このような表面の中でも壁部347に実際に対向している部分の外縁部に設けられていることがより好ましく、特に外縁部を一周するように設けられていることが好ましい。
凸部352aが設けられている場合、非環状カバープレート352が壁部347などと面積の小さい凸部352aの部分で接触することから、接触部分における押し付け力が大きくなり、作動流体の流入や冷却媒体の流出がさらに抑制される。このような凸部352aは、機械加工、コーティングなどにより形成することができる。コーティングとしては、MCrAlY合金(Mは、Ni、Coなどを示す)などからなるものが好ましい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図14は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。また、図15は、図14に示される非環状カバープレート352を示す平面図である。なお、第4の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第4の実施形態について説明する。
図14は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。また、図15は、図14に示される非環状カバープレート352を示す平面図である。なお、第4の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
非環状カバープレート352には、非環状カバープレート用溝部346gにおける第2の底面346c(第3の底面346dおよび第4の底面346e)と対向する表面に、第2の底面346cに向かって突出する凸部352bが設けられていることが好ましい。凸部352bが設けられている場合、第2の底面346cと非環状カバープレート352とが面積の小さい凸部352bの部分で接触することから、接触部分における押し付け力が大きくなり、作動流体の流入や冷却媒体の流出がさらに抑制される。このような凸部352bは、機械加工、コーティングなどにより形成することができる。コーティングとしては、MCrAlY合金(Mは、Ni、Coなどを示す)などからなるものが好ましい。
また、環状カバープレート351には、非環状カバープレート352と対向する表面に、非環状カバープレート352に向かって突出する凸部351dが設けられていることが好ましい。凸部351dが設けられている場合、環状カバープレート351と非環状カバープレート352とが面積の小さい凸部351dの部分で接触することから、接触部分の押し付け力が大きくなり、作動流体の流入や冷却媒体の流出がさらに抑制される。このような凸部351dは、機械加工、コーティングなどにより形成することができる。コーティングとしては、MCrAlY合金(Mは、Ni、Coなどを示す)などからなるものが好ましい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
図16は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す平面図である。また、図17は、図16に示されるC−C矢視断面図である。なお、第5の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第5の実施形態について説明する。
図16は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す平面図である。また、図17は、図16に示されるC−C矢視断面図である。なお、第5の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
非環状カバープレート用溝部346gの内部には、非環状カバープレート用溝部346gの内面と非環状カバープレート352とに接触するようにシール材44が設けられていることが好ましい。シール材44としては、スプリングシールなどが挙げられる。非環状カバープレート用溝部346gの内面と非環状カバープレート352との間にシール材44が配置されることにより、作動流体の流入や冷却媒体の流出がさらに抑制される。
ここで、内面としては、第2の底面346c(第3の底面346dおよび第4の底面346e)と、この第2の底面346cを挟むようにして軸方向の両側に配置される一対の側面とが挙げられる。
シール材44は、これらの内面から選ばれる1つの内面と接触していればよいが、2つの内面に接触していることが好ましく、特に、第2の底面346cと、一対の側面から選ばれる一方の側面とに接触していることが好ましい。
また、シール材44は、第2の底面346cにおける第3の底面346dおよび第4の底面346eから選ばれる一方にのみ接触していてもよいが、双方に接触していることが好ましい。また、シール材44は、一対の側面のうち軸方向の内側に配置される側面に接触していることが好ましい。
シール材44は、非環状カバープレート352に設けられた切り欠き部352dに収容されていることが好ましい。切り欠き部352dは、非環状カバープレート352の外縁部に設けられていることが好ましく、特に軸方向の内側の外縁部に設けられていることが好ましい。切り欠き部352dの形状は、非環状カバープレート352の遠心力などの押し付け力によりシール材44が必要以上に圧縮変形しない形状が好ましい。
シール材44は、非環状カバープレート352の周囲の全体に配置されていることが好ましい。このようなシール材44としては、非環状カバープレート352の周囲において連続しているものが好ましい。このようなシール材44についても、非環状カバープレート352の外縁部に設けられた切り欠き部352dに収容されていることが好ましい。
なお、シール材44のうち非環状カバープレート352に対して径方向の内側に配置される部分については、環状カバープレート351に切り欠き部351eを設けて一部を収容してもよい。切り欠き部351eの形状は、非環状カバープレート352の遠心力などの押し付け力によりシール材44が必要以上に圧縮変形しない形状が好ましい。
また、シール材44が配置される場合、非環状カバープレート352は、軸方向の外側の表面から突出して、非環状カバープレート用溝部346gを構成する壁部347に径方向の内側から係合する係合部352cを有することが好ましい。係合部352cは、一対の壁部347に跨るようにして係合することが好ましい。係合部352cを有することにより、非環状カバープレート352が径方向の外側に移動することによりシール材44が過度に変形することを抑制することができる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
図18は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。なお、第6の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第6の実施形態について説明する。
図18は、ロータ組立体38における一対の隣接する動翼34の中央付近を示す断面図である。なお、第6の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
非環状カバープレート352には、シールピン36の先端部と対向する部分に、これとほぼ同一形状の凹部352eが設けられていることが好ましく、この凹部352eには、シールピン36の先端部が嵌め込まれていることが好ましい。非環状カバープレート352の凹部352eにシールピン36の先端部が嵌め込まれることで、非環状カバープレート352とシールピン36との間からの作動流体の流入や冷却媒体の流出が抑制される。
なお、上記構造の場合、シールピン36が従来よりも軸方向に長くなるために、非環状カバープレート352を取り付けるときにシールピン36の先端が引っかかりやすくなる。このため、非環状カバープレート352の取り付けを容易にする観点から、シールピン36としては軸方向に伸縮可能なものが好ましい。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
図19は、一対の保持部345を示した図である。また、図20は、図19に示される一対の保持部345に使用される非環状カバープレート352を示した図である。なお、第7の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
次に、第7の実施形態について説明する。
図19は、一対の保持部345を示した図である。また、図20は、図19に示される一対の保持部345に使用される非環状カバープレート352を示した図である。なお、第7の実施形態については、以下に説明する部分を除いて第1の実施形態と同様である。
第2の底面346cとしては、円弧状などの連続した1つの曲面が設けられてもよい。なお、第2の底面346cの形状としては、例示された形状に限定されず、径方向の内側から非環状カバープレート352を挿入することができればよい。このような観点から、第2の底面346cの形状としては、一対の対向する第2の底面346cの間の間隔が径方向の外側から内側にかけて徐々に広くなるものであればよい。
円弧状の第2の底面346cが設けられる場合、非環状カバープレート352としては半円状のものが使用される。半円状の非環状カバープレート352についても、他の実施形態と同様の構成を採用できる。例えば、遠心力により軸方向に移動させる構成を採用することができる(第2の実施形態)。また、凸部352a(第3の実施形態)、凸部352b(第4の実施形態)、切り欠き部352d(第5の実施形態)、凹部352e(第6の実施形態)などを設けることができる。
以上説明した実施形態によれば、ロータホイールと動翼との間の隙間を十分に覆うことによって作動流体の流入や冷却媒体の流出を抑制することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…ガスタービン設備、20…燃焼器、21…タービン、22、23…熱交換器、24…配管、25…発電機、26…圧縮機、30…ケーシング、31…静翼、32…タービンロータ、33…ロータホイール、34…動翼、35…カバープレート、36…シールピン、37…燃焼ガス通路、38…ロータ組立体、39…タービンシール構造、41…シュラウドセグメント、42…冷却通路、43…空間、44…シール材、331…保持部、332…ダブテールポスト、333…ダブテール溝、334…溝部、335…壁部、341…翼有効部、342…プラットフォーム、343…シャンク、344…ダブテール、345…保持部、346…溝部、346a…底面、346b…第1の底面、346c…第2の底面、346d…第3の底面、346e…第4の底面、346f…環状カバープレート用溝部、346g…非環状カバープレート用溝部、347…壁部、351…環状カバープレート、351a…挿入部、351b…挿入部、351c…凸部、352…非環状カバープレート、352a…凸部、352b…凸部、352c…係合部、352d…切り欠き部、352e…凹部。
Claims (9)
- ロータホイールと動翼との間の隙間を覆うための封止構造体であって、
前記動翼に設けられる保持部と、
隣り合う前記保持部間に跨るようにして保持される非環状カバープレートと、
を有することを特徴とする封止構造体。 - 前記保持部は、前記非環状カバープレートを保持するための非環状カバープレート用溝部を有することを特徴とする請求項1記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレートは、台形状または半円形状を有することを特徴とする請求項2記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレート用溝部は、遠心力により前記非環状カバープレートが軸方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレートは、前記非環状カバープレート用溝部の側面と対向する表面に凸部を有することを特徴とする請求項2記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレートは、前記非環状カバープレート用溝部の底面と対向する表面に凸部を有することを特徴とする請求項2記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレート用溝部の内部には、前記非環状カバープレート用溝部の内面と前記非環状カバープレートとに接触してシール材が設けられていることを特徴とする請求項2記載の封止構造体。
- 前記非環状カバープレートは、隣り合う前記動翼の間に軸方向に延びるように配置されるシールピンの先端部が挿入される凹部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の封止構造体。
- ダブテールポストが周方向に複数配置されたロータホイールと、
前記ダブテールポストの間にダブテールが嵌め込まれることにより前記ロータホイールの周囲に複数配置される動翼と、
前記ダブテールポストおよび前記ダブテールに対して軸方向の外側に配置され、前記ダブテールポストと前記ダブテールとの間の隙間のうち軸方向に露出する部分を覆うカバープレートと、
前記カバープレートにおける径方向の内側の部分を保持するために前記ロータホイールに設けられる保持部と、
前記カバープレートにおける径方向の外側の部分を保持するために前記動翼に設けられる保持部と、
を有し、
前記カバープレートは、前記ロータホイールの保持部と前記動翼の保持部とによって保持される環状構造を有する環状カバープレートと、前記環状カバープレートに対して径方向の外側に配置され、前記動翼の隣り合う保持部に跨るようにして保持される非環状カバープレートとを有することを特徴とするロータ組立体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014126848A JP2016006299A (ja) | 2014-06-20 | 2014-06-20 | 封止構造体およびロータ組立体 |
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JP2016006299A true JP2016006299A (ja) | 2016-01-14 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014126848A Pending JP2016006299A (ja) | 2014-06-20 | 2014-06-20 | 封止構造体およびロータ組立体 |
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-
2014
- 2014-06-20 JP JP2014126848A patent/JP2016006299A/ja active Pending
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