JP2016004031A - 風洞実験システム及び風洞実験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来よりも単純な構造で風向変動を再現することが可能な風洞実験装置等を提供する。【解決手段】 風洞実験装置3の固定部27は、実験軸25を固定して、実験体35も回転しない状況とする。回転部29は、実験体35を回転させずに、風洞実験装置3の風向を、実験軸25を中心に回転させる。従来は、複数台の風洞実験装置を固定し、それらを調整することによって風向を変動させていたが、風洞実験装置3は、単一の風洞実験装置で風向変動を再現しており、低コストでの大規模化等を可能にする。また、情報処理装置5の影響除去部33は、回転時に測定されたデータから、回転により生じる相対速度の影響を除去する。【選択図】 図1
Description
本発明は、風洞実験システム及び風洞実験方法に関し、特に、実験体への風向を変動させて測定する風洞実験システム等に関する。
風洞は、空気流中の物体に働く力や物体回りの流れの変化などを調べるために人工的に空気の流れを作る筒状の装置である。飛行機やロケットなどの縮尺模型や実物を入れる。両端開放や、ひと回りの閉回路によって連続的な気流を得る形式が多い。ここで、両端開放型の例としては、吸気口から空気を吸気し、整流部によって風路に流入する気流を一様かつ乱れの少ないものとし、縮流筒によって縮流することにより流れをより均一化させ、流れを可視化して実験体(縮尺模型や実物など)のまわりの流れを見たり、測定部において実験体にかかる力を測定したりして、排気口から排気するものである。
従来の風洞は、一般に、風向が一定であった。それに対し、風向変動風洞は、2種類提案されている。一つは、3風洞型である(非特許文献1参照。図8(a)。)。もう一つは、シャッター型である(非特許文献2参照。図8(b)。)。これらは、共に、吸気口と整流部と縮流筒と排気口を備える風洞実験装置を複数用いるものであり、各風洞実験装置の排気口の下流に実験体を設置するものである。3風洞型は、3台の風洞実験装置を用いるものであり、各風洞実験装置から出る風量をそれぞれ調整することで、実験軸での風向を調整するものである。シャッター型は、各風洞の入口にシャッターがあり、そのシャッターを連続的に開閉することで風向変動を再現するものである。
木村吉郎、外3名,風向変動風洞の試作とその特性,日本流体力学会年会講演論文集2008,pp146.
野村卓史、外2名,ACサーボモータでファンを制御する風洞による風速風向変動の生成,風工学シンポジウム論文集15,pp197-202,1998.
従来、風洞実験において、短時間の風向変動は考慮されることが少なかった。例えば風力発電機では、風向変動の少ない高い場所に設置される大型のものが主流であり、風向変動の影響が無視できる程度であった。そのため、短時間の風向変動が風車に与える影響を研究する必要性は極めて低かった。そのため、従来の風洞実験では、一般に、風洞実験装置を固定することにより、外気の影響を排除していた。
中小風力発電機は、地上から5mや10mといった低い位置に設置されるため、短時間の風向変化の影響を強く受ける。近年、東日本大震災などをきっかけに中小風力発電機が爆発的に普及している。そのため、短時間の風向変動が中小風力発電機等に与える影響を研究する必要性が高まっている。
しかしながら、非特許文献1及び2記載の変動風向風洞も、通常の風洞と同様に、多数の風洞実験装置を固定することにより、外気の影響を排除していた。その結果、従来の風向変動風洞と同じ仕組みのものを大型化すると、高額で大きな場所を取る風洞を多数使うため、巨額な費用が必要となり、実質的に作成が困難である。
ゆえに、本発明は、従来よりも単純かつコンパクトな構造で風向変動を再現することが可能な風洞実験装置等を提供することを目的とする。
本願発明の第1の観点は、実験体への風向を変動させて測定する風洞実験システムであって、前記風路に気流を整流して流入する整流部と、前記風路の気流を排出する排気部と、前記整流部と前記排気部の間において、前記実験体が設置されて測定を行う測定部と、実験軸のまわりに前記整流部及び前記排気部を回転させ、前記実験体を回転させない回転部を備えるものである。
本願発明の第2の観点は、第1の観点の風洞実験システムであって、前記測定部は、少なくとも、前記回転部が前記整流部及び前記排気部を回転させている間に測定を行い、前記測定部において得られた測定結果から前記回転部が回転させることにより生じる影響を除去する影響除去手段を備えるものである。
本願発明の第3の観点は、第2の観点の風洞実験システムであって、前記影響は、気流が回転することによって相対速度が変化して増速又は減速が生じるものである。
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の風洞実験システムであって、装置外の空気を吸気する吸気部と、前記吸気部に流入する空気量を、前記回転の前方側と後方側で異にする空気量制御部を備えるものである。
本願発明の第5の観点は、実験体への風向を変動させて測定する風洞実験システムにおける風洞実験方法であって、前記風洞実験システムは、前記風路に気流を整流して流入する整流部と、前記風路における前記気流を排出する排気部と、前記整流部と前記排気部の間において、実験体が設置されて測定を行う測定部を備え、前記実験体を回転させずに前記整流部と前記排気部の間にある実験軸のまわりに前記整流部及び前記排気部を回転させて、前記測定部が測定を行う測定ステップを含むものである。
なお、本願発明の風洞実験装置は、風路の上流側から下流側にかけて、前記空気量制御部、前記吸気部、前記整流部、風路の幅を狭める縮流筒、前記測定部、風路の幅を広げる拡散筒、及び、前記排気部を備え、前記実験体は実験軸上に存在し、前記回転部は、前記実験体を回転させずに、前記空気量制御部、前記吸気部、前記整流部、前記縮流筒、前記測定部、前記拡散筒、及び、前記排気部を回転させることにより、前記実験体の風向を変動させるものとして捉えてもよい。
本発明によれば、回転部が、実験体を回転させずに、整流部及び排気部を実験軸のまわりに回転させて、実験体に当たる風路を回転させることにより、風向を変動させることができる。複数台の風洞実験装置を利用せず、単一の風洞実験装置という単純な構造を用いて風向変動を再現することができ、低コストでの大型化が可能になる。
従来、風洞の位置を変動させることにより、装置外にも風が生じ、また、内部でも風向の変化等が生じ、実験装置としての測定ができない可能性があるため、風洞実験装置を移動させて学術実験を成立させることはできないとされていた。本願発明のように回転させる場合、例えば、気流が回転することによって相対速度が増加し、増速・減速が起こる現象、空気の取込口での気流剥離による減速、慣性力による気流の偏り、慣性力による気流方向の変化などを指摘することができる。このような予測される影響だけでなく、未知の影響も考えられる。そのため、当業者は、回転等による影響を除去することが困難であると想定し、風洞実験装置を固定して測定していた。そのため、風向変動を生じさせる場合にも、複数台の風洞実験装置を利用し、それらを互いに調整して行うという複雑なものとなっていた。
しかしながら、発明者らは、実験により、本願発明によれば、自然風と相対速度の影響がそのまま実験データにあらわれ、それ以上の変動は無視できる程度であることを示した。よって、本願発明のように単一の風洞実験装置を連続的に回転させても、十分に実験することが可能であることを初めて示した。特に第2及び第3の観点にあるように、計算により十分除去可能な程度の影響を排除することにより、十分に実用的な風洞実験を行うことが可能である。
さらに、本願発明の第4の観点にあるように、空気量制御部が吸気部の回転の前方側にある部分と後方側にある部分の空気量を制御することにより、回転による影響をさらに除去して、精度のよい実験を行うことが可能になる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる風洞実験システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。風洞実験システム1は、風洞実験装置3と、情報処理装置5を備える。風洞実験部3は、分布調整部7(請求項の「空気量制御部」の一例)と、吸気部9(請求項の「吸気部」の一例)と、整流部11(請求項の「整流部」の一例)と、縮流部13と、測定部15(請求項の「測定部」の一例)と、拡散部17と、送風部19と、排気部21(請求項の「排気部」の一例)と、支柱部23と、実験軸25(請求項の「実験軸」の一例)と、固定部27と、回転部291及び292(以下では、回転部29ともいう。請求項の「回転部」の一例である。)を備える。情報処理装置5は、処理部31と、影響除去部33(請求項の「影響除去手段」の一例)を備える。
実験体35は、例えば、風力発電機、飛行機、ロケットなどの縮尺模型や実物である。風洞実験装置3は、空気流中の実験体35に働く力や実験体35の回りの流れの変化などを調べるために人工的に空気の流れを作る筒状の装置である。
風洞実験装置3は、風路の上流から下流にかけて、分布調整部7、吸気部9、整流部11、縮流部13、測定部15、拡散部17、送風部19、及び、排気部21を備える。吸気部9、整流部11、縮流部13、測定部15、拡散部17、送風部19、及び、排気部21は、従来の両端開放型と同様に作成することができる。すなわち、吸気部9は、空気を吸気し、風路に空気を送る。整流部は、風路に流入する気流を一様かつ乱れの少ないものとする。縮流部13は、風路の幅を狭めるものである。測定部15は、空気流中の実験体35に働く力や実験体35の回りの流れの変化などを測定する。例えば、風向や風速などを測定する。拡散部17は、測定部と送風部の大きさを合わせるものである。送風部19は、モーターにつながるプロペラなどを利用して、風路の空気を排気部21に送る。排気部21は、排気する。分布調整部7は、部分的に流入量を制限したり増加させたりするためのものである。
支柱部23は、風洞実験装置3の各構成を支えるためのものである。実験軸25は、風路変動の軸となるものである。実験体35は、実験軸25の上に存在する。固定部27は、実験軸25を固定するためのものである。固定部27が実験軸25を固定することにより、実験体35も固定される。回転部29は、風洞実験装置3を移動させたり回転させたりするためのものである。回転部29は、固定部27が実験軸25を固定した状態で風洞実験装置3の実験軸25と固定部27を除く各構成を実験軸25のまわりに回転させることにより、実験体35を固定して風洞実験装置3における風路を回転させることができる。これにより、実験体35の風向を変動させることができる。
情報処理装置5において、処理部31は、測定部15において測定された各種データを受信するための処理などを行うものである。影響除去部33は、回転部29が風洞実験装置3の風路を回転させている間に測定されたデータに対して、その影響を除去する処理を行うものである。図5を参照して具体的に説明する要因、影響除去部33は、特に、回転部が回転させることにより生じる相対速度の影響を除去することに特徴があり、これは、計算によって容易に除去することが可能である。
図2は、風洞実験装置の具体的な一例を示す図である。(a)及び(b)は、回転風洞の模式図であり、(a)は側面から、(b)は分布調整部7側からのものである。(c)は、回転風洞の裏面からの写真であり、(d)は排気口からの写真である。(e)は、回転風洞内部の構成を示す図である。
回転中心軸に重心を近づけるため、最重量物である送風機を縮流洞・分布調整弁等とは反対側に置く吸込式Eiffel型を採用した。測定部サイズは、B=H=1470mm、L=900mmの正八角形である。最大風速は5.2m/s、最大回転(風向変動)速度は12rpm(分布調整時は6rpm)、乱流強度は2%(無調整・静止実験時)、重量は0.8t、モーター出力(W)は3kW,
縮流比は3:1、パワー係数は2.26である。この風洞実験装置は、構造部分のほとんどが、木製(ホワイトウッド・ラワン合板等)のツーバイ工法で作られている。風洞の形状は、円形の測定範囲を必要とする風力発電機での実験を高い効率で行うため、正八角形としている。(なお、本願発明では、例えば四角形などの多角形や円形などであってもよい。)風洞実験装置は、実験軸の直下で地面に固定され、直径約6mで回転する。電柱は、収納時には取り外すことができる。整流器には、新日本フエザーコア株式会社の厚さ100mmの対辺6.3mmセル(AF-46)アルミニウムハニカムを使用している。送風機は、三相200V 1.5kW送風機2台(スイデンSJF-600A-3)を使用した。風洞内の風速測定には、複数種類の熱線風速計と超音波風速計を使用した。風洞の基本的な設計(内部の曲線等)は、従来の風洞設計法に則っている。風洞の観測面の中心に回転軸があり、この回転軸を地面に固定し、回転軸を中心に実験装置全体を回転させることで、実験対象物を動かすことなく風向変動を発生させることができる。
縮流比は3:1、パワー係数は2.26である。この風洞実験装置は、構造部分のほとんどが、木製(ホワイトウッド・ラワン合板等)のツーバイ工法で作られている。風洞の形状は、円形の測定範囲を必要とする風力発電機での実験を高い効率で行うため、正八角形としている。(なお、本願発明では、例えば四角形などの多角形や円形などであってもよい。)風洞実験装置は、実験軸の直下で地面に固定され、直径約6mで回転する。電柱は、収納時には取り外すことができる。整流器には、新日本フエザーコア株式会社の厚さ100mmの対辺6.3mmセル(AF-46)アルミニウムハニカムを使用している。送風機は、三相200V 1.5kW送風機2台(スイデンSJF-600A-3)を使用した。風洞内の風速測定には、複数種類の熱線風速計と超音波風速計を使用した。風洞の基本的な設計(内部の曲線等)は、従来の風洞設計法に則っている。風洞の観測面の中心に回転軸があり、この回転軸を地面に固定し、回転軸を中心に実験装置全体を回転させることで、実験対象物を動かすことなく風向変動を発生させることができる。
回転の影響によって風洞内の流速分布に偏りが出た場合に補正するため、菱形の角柱の分布調整弁を15本、吸気口前に配置した。菱形の角柱は流入量を増加させる際は薄く引き伸ばされ、流入量を制限する際には押し縮められ、正方形に似た形状になることで分布を調整できるようになっている。調整範囲は実験風速の50%程度であり、調整弁が閉じるにつれ乱流強度の増加が見られる。分布調整弁は装置本体より着脱が可能である。
図3は、風速計の配置状況である。上側が風上であり、下側が風下である。風速の計測には、8枚羽根のプロペラ風速計を5台使用した。図3のように、風洞内5か所に、245mmおきに設置した。左から1号機、2号機、3号機、4号機、5号機とする。風速計の出力電圧は、平滑回路(コンデンサ入力型・各1000μF・抵抗なし)を通してArduinoMega2560で、情報処理装置(図1の情報処理装置5)に記録した。記録は、1秒間に10記録から、目的に応じて3700記録まで可変できるものである。風洞の中心から上方15cmの位置に水平に3箇所(等間隔)に、長さ20cm、幅5mmの紙製吹流しを設置し、観測面直上の穴よりビデオカメラで撮影し、風向の変化を観測した。
図4は、風洞実験装置を回転させず、通常の風洞実験装置と同じ形で運用した際の性能を計測したグラフである。静止状態での性能は、その風洞実験装置の基本的な気流精度を評価する上で重要である。計測は、熱線式風速計(アネモメーターAM-4204)の位置を風洞内で少しずつずらしながら行った。気温は18.9℃の締め切った室内で行った。計測位置は、図3と同様である。実線で結んだものは、下から、5〜60Hzの5Hz刻みでの風洞実験装置の各出力周波数での風速分布を示す。ここで、風洞実験装置の出力周波数(Hz)とは、送風機のインバーターの周波数である。周波数が上がるほど、送風機の送風量は増加する。送風機の送風量は、周波数とほぼ比例関係で増加する。
図4のグラフより、風洞実験装置内の風速分布は、安定していることがわかる。一般的な風洞実験装置と同様の速度分布を示しており、この風洞実験装置が基本的に高い実験精度を持っていることがわかる。乱流強度は、2%であることを確認した。
図5は、風洞実験装置の回転実験(風向変動再現実験)の実験データを示すグラフである。(a)は、分布調整弁を調整しない状態であり、(b)は分布調整弁を調整した状態である。実験は、風速2.5m/sで、3rpm、6rpm、12rpmそれぞれ時計回り、反時計回りで回転実験を行った。図5は、代表として、6rpm(時計回り)での実験データを示す。上から順に、1、2、3、4,5番風速計である。回転速度誤差は±3%である。横軸は、時間を示し、縦軸は風速(m/s)を示す。気温は29.1℃、気圧は1010.84hPa、自然風は北北西3m/s、天候は快晴、湿度は50%である。上のグラフの数字は、風速計の号数である。また、2・3・4号風速計の上15cmに長さ20cm・幅5mmの紙製吹き流しを設置し、風洞上部より撮影し、気流の流れ方向に変化がないかを観察した。
風洞上部より吹流しを撮影した映像から、回転中の風洞内では風洞の向きと風向が一致しており、角度のずれは吹流しで観測できるレベルでは確認されなかった。回転中の乱流強度は3.67%と静止実験時の2%に比べて高くなった。一方、3rpmでの回転実験時の乱流強度は2.06%と、静止時と0.06%しか変わらない微小な値になった。これより、ある一定の回転速度までは乱流強度は殆ど上昇しないと考えられる。図5(a)より、風洞内の風速分布は、中心から距離が離れるほど風速が増加・減少している。増加・減少は風洞の回転によって発生する相対速度の変化と同じ方向に作用しており、同じ実験を反対回りで行うと、中心の風速計の値はそのままに、5、4番と2、1番の値が入れ替わった。各風速計の位置での相対速度変化の値を計算すると、それぞれの風速データの変化の最小値(1、2番では最小値、4、5番では最大値)と一致した。そのため、実験時の自然風が大きく影響していると考えられる。この実験結果から、相対速度の変化による風速分布変化と自然風の2つの影響以外は観測できない程度であることが分かった。これにより、事前風の影響と、計算が容易な相対速度の変化を考慮することにより、実用レベルの精度で風力発電機の性能を計測することができることがわかった。
次に、風速分布調整弁によって回転中の風速分布を一定に近づける実験を行った。調整弁を使用せずに行った回転実験における風洞内の風速分布(図5(a))を参考に、中心よりも風速が高かった側に近いほど流入量を減らし、風速が低かった側に近いほど流入量を増やす操作を行った。実験は6rpm、2.5m/sで行った。結果、図5(b)のデータが得られた。各風速計の値は平均値では2.5m/s付近にまとまり、調整弁を使わない時と比べて格段に均一な風速分布になっている。この実験における乱流強度は5.34%であり、調整弁を使用しなかった実験時の3.67%に比べて高くなっている。参考として調整弁の開口率別の乱流強度のデータを図6(a)に示す。横軸は調整弁開口率(%)であり、縦軸は乱流強度(%)である。この実験結果より、回転型の風向変動風洞において測定面の風速分布を一定にすることが可能であることが確認された。調整弁の調整方式は、最も低い風速に全体の風速を合わせる方式であったが、今回の実験にて、分布を調整した際に風速を調整していない側での風速が30%程上昇する現象が見られた。これにより風速を一定に保てる範囲が予想以上に広いことが分かった。回転型の風洞実験装置における実験の限界は図6(b)のようになる。グラフは分布調整弁を使用しない時に実験装置の回転速度が上がるにつれ中央値から風速が分散していくことを示している。調整弁の構造上、分布を均一化した回転実験は分散の下端の条件で行われることになるが、今回確認された30%程度の増速作用より、グラフ中の破線が実質的な下端となる。今回行われた実験は点Aの条件にて行われた。調整弁は実験風速の50%程の調整能力があることから、点Bよりも回転数(rpm)を上げることはできない。
図2の回転風洞実験装置は、少なくとも風力発電機に関する学術研究に使用できるレベルである。多方面からの多大な協力をいただき、限られた予算で開発することができた。さらに大規模な装置であっても、コストを抑えつつ、作成することが可能である。図2の回転風洞実験装置の性能試験を通して、以下のことがわかった。まず、回転型の風向変動風洞は以前の方式に比べ、コスト・スペースの観点で優れている。次に、回転型の風向変動風洞の乱流強度は回転実験時に上昇する。しかし、ある程度の回転までは殆ど上昇しない。さらに、回転型の風向変動風洞が回転時に受ける影響は相対速度による風速分布の分散と自然風による影響が主であり、それ以外の影響は無視できる程度である。相対速度による風速分布の分散は調整弁によって取り除くことが可能である。この場合、乱流強度がある程度上昇する(6rpm実験時5.34%)。回転型の風洞実験装置には構造上、風速分布を一定に保ちながら実験できる回転速度・風速に絶対的な限界があることである。
図7は、図1の分布調整部7の構成の一例を示す図である。図の上側に、図1の吸気部9が存在する。分布調整部7は、複数の柱状部材371〜376を備える。柱状部材37は、回転軸25に平行な柱状のもので、それぞれ幅の長さを調整可能であり、隣接する柱状部材37の間の空間の幅を調整することにより、(a)空気量を減少させたり、(b)空気量を増加させたり、(c)部分的に減少させ(右側)、部分的に増加させたり(左)することができる。例えば、(c)にあるように、分布を均一化させるため、右側の柱状部材37の間隔を狭め、左側の間隔を広げることにより、空気量を調整することが可能になる。
1 風洞実験システム、3 風洞実験装置、5 情報処理装置、7 分布調整部、9 吸気部、11 整流部、13 縮流部、15 測定部15、17 拡散部、19 送風部、21 排気部、23 支柱部、25 実験軸、27 固定部、29 回転部、31 処理部、33 影響除去部、35 実験体、37 柱状部材
Claims (5)
- 実験体への風向を変動させて測定する風洞実験システムであって、
前記風路に気流を整流して流入する整流部と、
前記風路の気流を排出する排気部と、
前記整流部と前記排気部の間において、前記実験体が設置されて測定を行う測定部と、
実験軸のまわりに前記整流部及び前記排気部を回転させ、前記実験体を回転させない回転部を備える風洞実験システム。 - 前記測定部は、少なくとも、前記回転部が前記整流部及び前記排気部を回転させている間に測定を行い、
前記測定部において得られた測定結果から前記回転部が回転させることにより生じる影響を除去する影響除去手段を備える請求項1記載の風洞実験システム。 - 前記影響は、気流が回転することによって相対速度が変化して増速又は減速が生じるものである、請求項2記載の風洞実験システム。
- 装置外の空気を吸気する吸気部と、
前記吸気部に流入する空気量を、前記回転の前方側と後方側で異にする空気量制御部を備える請求項1から3のいずれかに記載の風洞実験システム。 - 実験体への風向を変動させて測定する風洞実験システムにおける風洞実験方法であって、
前記風洞実験システムは、
前記風路に気流を整流して流入する整流部と、
前記風路における前記気流を排出する排気部と
前記整流部と前記排気部の間において、実験体が設置されて測定を行う測定部を備え、
前記実験体を回転させずに前記整流部と前記排気部の間にある実験軸のまわりに前記整流部及び前記排気部を回転させて、前記測定部が測定を行う測定ステップを含む風洞実験方法。
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2014
- 2014-06-19 JP JP2014126705A patent/JP2016004031A/ja active Pending
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