JP2015534814A - 組換えクロストリジウムボツリヌス神経毒 - Google Patents

組換えクロストリジウムボツリヌス神経毒 Download PDF

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Abstract

本発明は、配列番号:1の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有し且つ単鎖BoNT/E1タンパク質をコードする近接ヌクレオチドの配列を含む核酸配列を提供する。本発明は、更に、E. coli宿主細胞において可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法を、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法と併せて提供する。

Description

本願は、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とした、2012年10月31日出願のGB1219602.8に基づく優先権を主張する。
本発明は、血清型Eのクロストリジウムボツリヌス(C. botulinum)神経毒(BoNT/E)をコードする核酸配列と、組換えBoNT/Eを製造する方法とに関する。本発明は、更に、組み換えBoNT/Eの対応する医学的使用に関する。
ボツリヌス神経毒は、C. botulinumにより、BoNT自体が多数のアクセサリタンパク質と複合化したものからなる大きなタンパク質複合体の形態で生産される。現在、ボツリヌス神経毒には7種類のクラス、即ち、ボツリヌス神経毒血清型A、B、C1、D、E、F、及びGが存在し、全て同様の構造及び作用様式を有している。異なるBoNT血清型は、特異的な中和抗血清による不活性化に基づいて識別することができ、こうした血清型による分類はアミノ酸レベルの配列同一性の百分率と相関する。特定の血清型のBoNTタンパク質は、更に、アミノ酸配列同一性の百分率に基づいて、様々な亜型に分割される。
BoNTは、知られている最も強力な毒素であり、マウスでの半数致死量(LD50)は、血清型に応じて0.5〜5ng/kgの範囲となる。BoNTは、胃腸管で吸収され、全身循環に入った後、コリン作動性神経終末のシナプス前膜に結合して、神経伝達物質アセチルコリンの放出を妨げる。BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、及びBoNT/Gは、シナプトブレビン/ベシクル関連膜タンパク質(VAMP)を切断し、BoNT/C、BoNT/A、及びBoNT/Eは、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP-25)を切断し、BoNT/Cは、シンタキシンを切断する。
本質的に、クロストリジウム神経毒は、タンパク質切断事象により翻訳後に修飾された単鎖ポリペプチドとして合成され、ジスルフィド結合により互いに連結された2本のポリペプチド鎖を形成する。切断は、鎖間ジスルフィド結合をもたらすシステイン残基間に位置する、活性化部位と呼ばれる場合が多い特異的な切断部位において生じる。この2本鎖の形態が、毒素の活性型となる。2本の鎖は、略100kDaの分子質量を有するものが重鎖(H鎖)、略50kDaの分子質量を有するものが軽鎖(L鎖)と呼ばれる。H鎖は、C末端標的化成分(HCドメイン)とN末端転位成分(HNドメイン)とを含む。切断部位は、L鎖と転位成分との間に位置する。HCドメインが、その標的ニューロンと結合し、結合した毒素がエンドソームを介して細胞に内部移行するのに続いて、HNドメインは、エンドソーム膜を介して、L鎖をサイトゾル内へ転位させ、L鎖は、プロテアーゼ機能をもたらす(非細胞毒性プロテアーゼとしても知られる)。
非細胞毒性プロテアーゼは、SNAREタンパク質(例えば、SNAP-25、VAMP、又はシンタキシン)として知られる細胞内輸送タンパク質をタンパク質分解的に切断することで作用するものであり、Gerald K (2002) "Cell and Molecular Biology" (4th edition) John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。SNAREという頭字語は、可溶性NSF付着受容体(Soluble NSF Attachment Receptor)という用語に由来し、ここでNSFは、N-エチルマレイミド感受性因子(N-ethylmaleimide-Sensitive Factor)を意味する。SNAREタンパク質は、細胞内小胞融合に不可欠であり、そのため、小胞輸送を介した細胞からの分子の分泌に不可欠である。プロテアーゼ機能は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性であり、SNAREタンパク質に対する高い基質特異性を示す。したがって、所望の標的細胞に送達されると、非細胞毒性プロテアーゼは、標的細胞からの細胞分泌を阻害することができる。クロストリジウム神経毒のL鎖プロテアーゼは、SNAREタンパク質を切断する非細胞毒性プロテアーゼである。
ボツリヌス神経毒は、弛緩性筋麻痺を引き起こす能力で知られている。この筋弛緩特性から、ボツリヌス神経毒(BoNT/A等)は、眉間皺又は多動性顔面皺、頭痛、片側顔面痙攣、膀胱の運動亢進、多汗症、鼻唇皺、頸部ジストニア、眼瞼痙攣、及び痙縮の治療を含む広範な医療及び美容処置において利用されている。
従来、BoNTの製造は、C. botulinum菌の培養と、その後のボツリヌス神経毒複合体の単離及び精製とにより実施される。しかしながら、こうした形のBoNTの製造は、非効率的であり、タンパク質収量が低い。加えて、C. botulinumは、芽胞形成菌であるため、大腸菌(E. coli)等の細菌の培養では必要ない専門的な培養設備及び施設を要する。したがって、BoNTの使用増加は、BoNTを製造及び精製するための代替法及び/又は改良法の必要性につながる。
US20080103098には、E. coli宿主細胞内の組換え核酸コンストラクトの発現を含む、2本鎖形態の組換えBoNTタンパク質の製造方法が記載されている。しかしながら、前記方法は、特異的な非天然(即ち、非クロストリジウム)ペンタペプチド配列を、神経毒のループドメインに挿入することを必要とする。挿入されたペンタペプチド配列は、細胞溶解時に内因性E. coliプロテアーゼにより切断される活性化切断部位を形成する。したがって、US20080103098の方法は、最適なBoNT発現を達成するために、BoNT配列を非天然切断部位の挿入により修飾する必要があることを示している。
US7132259には、BoNTタンパク質をコードする組換え核酸分子が記載されている。しかしながら、US7132259の核酸分子は、天然切断部位を非天然切断部位に置き換えるように修飾されている。したがって、US7132259の方法も、最適なBoNTの発現に非天然切断部位の挿入が必要であることを示している。
US6495143には、(ワクチン接種等における)免疫応答の誘導に使用する、BoNTの重鎖(HC)断片をコードする組換え核酸分子が記載されている。しかしながら、当該核酸分子は、完全長BoNT配列をコードしていない。破傷風毒素及びBoNTのH及びL鎖は、個別にE. coliにおける発現と精製とが達成可能であり、これらの単離された鎖は、それ自体は無毒性である。こうしたペプチド鎖の個別製造後、厳密に制御された条件下において、H及びLサブユニットを酸化的ジスルフィド結合により組み合わせ、活性2本鎖を形成することができる。残念なことに、この戦略は幾つかの欠点を有する。第1に、個々の鎖を大量に発現及び単離することは実用的ではなく、特に、H鎖が存在しない状態では、単離したL鎖は、水溶液中で完全に不溶性であり、極めてタンパク質分解されやすい。第2に、個別に発現及び精製されたH及びL鎖をin vitroで酸化させ活性2本鎖を製造することは、非常に非効率的であり、活性毒素の収量が低下し、多くの不活性且つ不正確な折り畳み又は酸化形態が製造されることにつながる。正確に折り畳まれ酸化されたH及びL鎖を含む毒素は、精製が困難であり、こうした不活性形態及び未反応の分離H及びL鎖から分離することも同様である。そのため、US6495143の方法には、大きな不都合が伴う。
US 2008/0103098 A1 US 7,132,259 B1 US 6,495,143 B2
したがって、当該技術分野においては、組換えBoNT、特に活性2本鎖BoNT組換えBoNT/Eを製造するための改良された方法が必要である。
本発明は、特許請求の範囲において指定した核酸配列及び方法を提供することにより、上述した1つ以上の問題を解消する。
一態様において、本発明は、配列番号:1の核酸配列に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9、又は100%)の配列同一性を有し且つ単鎖BoNT/E1タンパク質をコードする近接ヌクレオチド(contiguous nucleotides)の配列を含む核酸配列を提供する。
BoNT/E血清型は、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するBoNT/E1乃至BoNT/E8の8種類の亜型に分割され、特定の亜型内のBoNT/Eタンパク質は、より高いアミノ酸配列同一性の割合を有する(例えば、少なくとも95%以上)。上述したように、本発明の核酸配列は、BoNT/E1タンパク質をコードする。BoNT/E1タンパク質の例は、UniParcアミノ酸配列UPI000016EA7Fによりコードされたタンパク質である。BoNT/E1タンパク質の他の例は、配列番号:2のアミノ酸配列によりコードされたタンパク質である。
本発明の核酸配列は、E. coli細胞における高レベルの発現を提供する利点を有するように設計されている。
特定のタンパク質の発現レベルには、多数の要因が影響する。こうした要因の1つは、そのタンパク質をコードするmRNA配列が翻訳される速度である。この要因自体は、タンパク質の各アミノ酸を指定するためにmRNAが用いる特定のコドンにより影響される。一部のコドンは、他のものより迅速に翻訳される。各アミノ酸に対するコドンの選択は、mRNAコドンが自然状態で縮重していることから、変化する場合がある。数種類のコドンが全て同一のアミノ酸を指定可能であるため、数種類のmRNA配列が同一のタンパク質をコードすることが可能となる。同じアミノ酸を指定する異なるコドンは、同義コドンと呼ばれる。特定のmRNAにおける同義コドンの正確な混合は、コードされるタンパク質の翻訳速度に影響する。
なぜ一部のコドンが他のものより迅速に翻訳されるかについては、多数の異なる理由が存在する。各コドンは、アミノ酸に付着するtRNA分子をリクルートすることにより、アミノ酸を指定する。翻訳の速度は、様々な種類のtRNA分子の相対的な存在量と、特定の各tRNA分子が、それをリクルートするコドンに結合する親和性と、更に、コドン-tRNA分子対が翻訳機構の他の要素とどのくらい上手く相互作用するかといった他の要因とにより影響される。おおよそのコドン翻訳速度は、高発現の遺伝子において様々なコドンが見られる頻度を決定することにより推定することができる。しかしながら、頻繁に発生するコドンが、全て最適な発現をもたらす訳ではない。
特定の理論に拘束されることは望まないが、本発明者らは、BoNT/E1核酸配列の最適な発現は、以下「低速コドン」として下に示した特定のコドンの頻度(即ち、配列における発生数)を減少させることにより達成されると考える。この点において、本発明者らは、前記低速コドンが翻訳速度の減少に関連すると考える。
Figure 2015534814
本発明者らは、本発明の核酸配列を製造するために合理的な配列設計のプロセスを利用している。本発明の核酸配列が、コードされたBoNT/E1タンパク質の高い発現レベルをもたらす一方法は、最適な数の低速コドンを有すること(例えば、低速コドンが配列に現れる頻度の低減)によるものである。
一実施形態において、核酸配列は、最大160個の低速コドン(例えば、最大160、150、140、130、120、110、100、90、95、94、93、92、91、90、89、88、又は87個の低速コドン)を有する。
したがって、一実施形態において、核酸配列は、0〜160個の低速コドン(例えば、0〜160、0〜150、0〜140、0〜130、0〜120、0〜110、0〜100、0〜90、0〜95、0〜94、0〜93、0〜92、0〜91、0〜90、0〜89、0〜88、又は0〜87個の低速コドン)を有する。
一実施形態において、核酸配列は、60〜160個の低速コドン(例えば、60〜160、60〜150、60〜140、70〜150、70〜140、70〜130、70〜120、70〜110、70〜100、70〜90、80〜130、80〜120、80〜110、80〜100、又は80〜90個の低速コドン)を有する。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、核酸配列の前半50%に存在する低速コドンは、核酸配列の後半50%より少ない。核酸配列の前半50%は、開始点として、ヌクレオチド位置番号1を基準に定め、したがって、翻訳開始点を含み、核酸配列の後半50%は、翻訳終了点を含む。一例として、配列番号:1(全長3759ヌクレオチド)を参照すると、前記配列の前半は、ヌクレオチド位置1〜1881(627個のヌクレオチドトリプレットを含む)により表してよく、前記配列の後半は、位置1882〜3759(626個のヌクレオチドトリプレットを含む)により表してよく、或いは、前記配列の前半は、ヌクレオチド位置1〜1878(626個のヌクレオチドトリプレットを含む)により表してよく、前記配列の後半は、位置1879〜3759(627個のヌクレオチドトリプレットを含む)により表してよい。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大30個(例えば、30、25、20、15、又は10個)のフェニルアラニン低速コドン(RNA=UUU、DNA=TTT)を含む。一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大10個フェニルアラニン低速コドン(RNA=UUU、DNA=TTT)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大30個(例えば、30、25、20、19、又は18個)のチロシン低速コドン(RNA=UAU、DNA=TAT)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大18個のチロシン低速コドン(RNA=UAU、DNA=TAT)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン及び/又はチロシン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大19個(例えば、19、18、17、16、15、12、10、9、8、7、6、又は5個)のロイシン低速コドン(RNA=UUA及び/又はCUA、DNA=TTA及び/又はCTA)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン及び/又はチロシン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大5個のロイシン低速コドン(RNA=UUA及び/又はCUA、DNA=TTA及び/又はCTA)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、及び/又はロイシン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大14個(例えば、14、12、10、8、6、5、4、又は3個)のグルタミン低速コドン(RNA=CAA、DNA=CAA)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、及び/又はロイシン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大3個のグルタミン低速コドン(RNA=CAA、DNA=CAA)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、及び/又はグルタミン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大20個(例えば、20、19、18、17、又は16個)のセリン低速コドン(RNA=UCA及び/又はUCG、DNA=TCA及び/又はTCG)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、及び/又はグルタミン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大16個のセリン低速コドン(RNA=UCA及び/又はUCG、DNA=TCA及び/又はTCG)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、及び/又はセリン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大23個(例えば、23、22、21、20、又は19個)のプロリン低速コドン(RNA=CCA及び/又はCCG、DNA=CCA及び/又はCCG)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、及び/又はセリン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大19個のプロリン低速コドン(RNA=CCA及び/又はCCG、DNA=CCA及び/又はCCG)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、及び/又はプロリン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大3個(例えば、3又は2個)のシステイン低速コドン(RNA=UGU、DNA=TGT)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、及び/又はプロリン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大2個のシステイン低速コドン(RNA=UGU、DNA=TGT)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、プロリン、及び/又はシステイン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大5個(例えば、5又は4個)のヒスチジン低速コドン(RNA=CAU、DNA=CAT)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、プロリン、及び/又はシステイン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大4個のヒスチジン低速コドン(RNA=CAU、DNA=CAT)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、プロリン、システイン、及び/又はヒスチジン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、5〜10個(例えば、5、6、7、8、9、又は10個)のアルギニン低速コドン(RNA=CGG、DNA=CGG)を含む。一実施形態において、上述した実施形態(フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グルタミン、セリン、プロリン、システイン、及び/又はヒスチジン低速コドンに関する前述の実施形態を含む)の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、10個のアルギニン低速コドン(RNA=CGG、DNA=CGG)を含む。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大30個(例えば、30、25、20、15、又は10個、好ましくは10個)のフェニルアラニン低速コドン(RNA=UUU、DNA=TTT)と、最大30個(例えば、30、25、20、19、又は18個、好ましくは18個)のチロシン低速コドン(RNA=UAU、DNA=TAT)とを含む。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大30個(例えば、30、25、20、15、又は10個、好ましくは10個)のフェニルアラニン低速コドン(RNA=UUU、DNA=TTT)と、最大30個(例えば、30、25、20、19、又は18、好ましくは18のチロシン低速コドン(RNA=UAU、DNA=TAT)と、最大19個(例えば、19、18、17、16、15、12、10、9、8、7、6、又は5個、好ましくは5個)のロイシン低速コドン(RNA=UUA及び/又はCUA、DNA=TTA及び/又はCTA)とを含む。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、最大30個(例えば、30、25、20、15、又は10個、好ましくは10個)のフェニルアラニン低速コドン(RNA=UUU、DNA=TTT)と、最大30個(例えば、30、25、20、19、又は18個、好ましくは18個)のチロシン低速コドン(RNA=UAU、DNA=TAT)と、最大19個(例えば、19、18、17、16、15、12、10、9、8、7、6、又は5個、好ましくは5個)のロイシン低速コドン(RNA=UUA及び/又はCUA、DNA=TTA及び/又はCTA)と、最大14個(例えば、14、12、10、8、6、5、4、又は3個、好ましくは3個)のグルタミン低速コドン(RNA=CAA、DNA=CAA)とを含む。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、
最大10個のフェニルアラニン低速コドンと、
最大18個のチロシン低速コドンと、
最大2個のシステイン低速コドンと、
最大4個のヒスチジン低速コドンと、
最大3個のグルタミン低速コドンと、
最大19個のプロリン低速コドンと、
最大16個のセリン低速コドンと、
最大5個のロイシン低速コドンと、を含む。
一実施形態において、上述した実施形態の何れか1つ以上と任意に組み合わせて、(上述した)核酸配列は、
最大10個のフェニルアラニン低速コドンと、
最大18個のチロシン低速コドンと、
最大2個のシステイン低速コドンと、
最大4個のヒスチジン低速コドンと、
最大3個のグルタミン低速コドンと、
最大19個のプロリン低速コドンと、
最大16個のセリン低速コドンと、
最大5個のロイシン低速コドンと、
最大10個のアルギニン低速コドンと、を含む。
一実施形態において、核酸配列は、上述した核酸配列であり、前記単鎖BoNT/E1タンパク質は、近接アミノ酸の配列を含み、近接アミノ酸の前記配列は、配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、又は100%)の配列同一性を有する。
一実施形態において、核酸配列は、上述した核酸配列であり、前記単鎖BoNT/E1タンパク質は、KGIRK、VKGIRKS、SVKGIRKSI、VSVKGIRKSI、IVSVKGIRKSI、NIVSVKGIRKSI、KNIVSVKGIRKSI、CKNIVSVKGIRKSI、KNIVSVKGIRKSIC、及びCKNIVSVKGIRKSICから選択されるアミノ酸配列が提供する天然活性化部位を含む。
一実施形態において、核酸配列は、上述した核酸配列であり、条件として、上述した単鎖BoNT/E1又は上述した近接アミノ酸の配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、又は8個)を含む(アミノ酸位置の番号付けは、BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):
位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、位置1195のアスパラギン。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンを含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置177のグリシン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンを含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置177のグリシンと、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置198のセリンと、位置177のグリシン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置340のアラニンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置773のロイシンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置963のロイシンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置964のグルタミンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置967のアラニンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、及び位置1195のアスパラギンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、前記1個以上のアミノ酸は、位置1195のアスパラギンと、位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、及び位置967のアラニンのうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)と、を含む(又は、これらからなる)。
一実施形態において、上述した前記1個以上のアミノ酸の存在は、前記アミノ酸が欠如したBoNT/E1タンパク質と比較して溶解性が改善されたBoNT/E1タンパク質をもたらす。前記改善された溶解性は、異種(E. coli)発現系におけるタンパク質の収量を増加させる。
一実施形態において、核酸配列は、上述した核酸配列であり、近接ヌクレオチドの配列は、野生型BoNT/E1(配列番号:3)の核酸配列と比較した時、少なくとも770個(例えば、少なくとも770、775、780、785、790、795、800、810、820、830、840、850、860、870、又は880個)の同義コドンを有する。したがって、一実施形態において、核酸配列は、野生型BoNT/E1(配列番号:3)の核酸配列内の対応するコドンとは異なるが、同一のアミノ酸をコードする、少なくとも770個のコドンを含む。
一実施形態において、(上述した)核酸配列は、少なくとも41%(例えば、少なくとも41又は42%)のG-C含量を有する。一実施形態において、(上述した)核酸配列は、42%のG-C含量を有する。核酸G-C含量(GC含量又はG+C含量としても知られる)の概念は、特定の核酸配列のヌクレオチドのG(グアニン)又はC(シトシン)である割合に関する。したがって、一実施形態において、本発明の核酸配列のG-C含量は、E. coli宿主細胞において優先的に発現される核酸のG-C含量と、より厳密に一致するように(例えば、同義コドンの置換により)改変され、これにより、配列の発現を改善し、タンパク質収量を増加させる。
一態様において、本発明は、上述した核酸配列をコードする発現ベクターを提供する。一実施形態において、発現ベクターは、pET-26b(+)ベクターである。
一態様において、本発明は、上述した核酸配列又は上述した発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。一実施形態において、宿主細胞は、E. coli細胞である。一実施形態において、E. coli宿主細胞は、E. coli BLR(DE3)細胞である。
一態様において、本発明は、E. coli宿主細胞において可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法を提供し、前記方法は、E. coli発現系において(上述した)核酸配列を発現させることを含む。
E. coli (Escherichia coli)発現系において異種タンパク質を発現するために用いる方法及び手法は、当該技術分野において周知である。
一実施形態において、前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、E. coli宿主細胞の細胞質において発現する。
一実施形態において、前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、少なくとも3mg/L (例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、25、40、45、又は50mg/L)のレベルで発現する。
一実施形態において、上述した可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法は、前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を含むE. coli宿主細胞ホモジネートを提供するE. coli宿主細胞の溶解を含む。E. coli宿主細胞等の宿主細胞を溶解させるために用いる方法及び手法は、当該技術分野において公知である。例には、超音波処理と、フレンチプレスの使用とが含まれる。
一態様において、本発明は、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法を提供し、前記方法は、配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、又は100%)の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含む可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を提供することと、前記BoNT/E1タンパク質を溶液中でトリプシンに接触させることとを含む。
本発明の単鎖BoNT/E1タンパク質をトリプシンに接触させると、トリプシンのタンパク質分解作用により、単鎖タンパク質は、L鎖プロテアーゼ成分と転位成分との間の部位で切断され、2本の鎖がジスルフィド架橋により連結された2本鎖タンパク質が生成される(更に詳細には、単鎖BoNT/E1の活性化部位での切断後に形成された2本の鎖は、アミノ酸残基1〜419の第1の鎖及びアミノ酸残基423〜1252の第2の鎖であり、残基420、421、及び422は、切断事象により除去される)。したがって、トリプシンは、単鎖ポリペプチドを活性2本鎖形態に転換することで活性化するために使用することができる。したがって、トリプシンの使用は、外来性(非天然)切断部位を本発明のBoNT/E1に組み込む必要が無いという利点を意味する。
一実施形態において、トリプシンへの言及は、トリプシンと同じプロテアーゼ切断部位で切断するトリプシン様酵素を包含する。
トリプシンは、切断されるペプチド結合の両側の一定の位置に、特定のアミノ酸が存在するタンパク質配列を切断する。こうした配列は、P4-P3-P2-P1-切断結合-P'1-P'2-P'3-P'4という命名法で表現することが可能であり、P1〜P4は、切断されるペプチド結合のN末端側に対する位置1〜4に位置するアミノ酸をそれぞれ指定し、P'1〜P'4は、切断されるペプチド結合のC末端の位置1〜4をそれぞれ指定する
最も重要な点として、トリプシンは、Arg又はLysアミノ酸がP1位置を占めるタンパク質配列を切断する。LysがP1位置にある時には、トリプシンに敏感ではない3種類の主要な配列タイプが存在する。
(1)ProがP'1位置にあると、通常、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される(但し、Trpが位置P2にある時は該当しない)。
(2)Cys又はAspがP2位置にあり且つAspがP'1位置にあると、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される。
(3)CysがP2位置にあり且つHis又はTryがP'1位置にあると、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される。
ArgがP1位置にある時には、トリプシンに敏感ではない3種類の主要な配列タイプが更に存在する。
(1)ProがP'1位置にあると、通常、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される(但し、Met又は恐らくはGluが位置P2にある時は該当しない)。
(2)CysがP2位置にあり且つLysがP'1位置にあると、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される。
(3)ArgがP2位置にあり且つHis又はArgがP'1位置にあると、トリプシンによる切断に対する感受性が低減される。
一実施形態において、本発明は、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する(上述した)方法を提供し、条件として、近接アミノ酸の前記配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、又は7個)を含む(アミノ酸位置の番号付けは、BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、位置1195のアスパラギン。
一実施形態において、上述した前記1個以上のアミノ酸の存在は(更に上述した前記1個以上のアミノ酸の複数の置換に関連して)、前記アミノ酸が欠如したBoNT/E1タンパク質と比較して溶解性が改善されたBoNT/E1タンパク質をもたらす。前記改善された溶解性は、異種発現系におけるタンパク質の収量を増加させる。
一実施形態において、本発明は、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する(上述した)方法を提供し、可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、E. coli宿主細胞において可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を製造する上述した方法により提供される。
一実施形態において、本発明は、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する(上述した)方法を提供し、当該方法は、可溶性BoNT/E1タンパク質及びトリプシンを含む溶液を、可溶性BoNT/E1タンパク質が優先的に結合する疎水性表面に接触させることにより、可溶性BoNT/E1タンパク質をトリプシンから分離することを含む。
本発明者らは、活性2本鎖ポリペプチドをトリプシンから分離する疎水性精製のプロセスを用いることにより、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質の高い収量を得られることを発見した。驚くべきことに、このプロセスは、(本発明者らが活性2本鎖ポリペプチドをトリプシンから分離する際に効果的ではないことを発見した)イオン交換クロマトグラフィを用いた標準的な精製よりも優れた精製を提供する。加えて、当該プロセスは、一般的な精製プロセスの一環として、活性化プロテアーゼを含まない活性2本鎖BoNT/E1タンパク質を提供する利点を有する。
活性組換えBoNT/E1の製造には、分子を活性2本鎖形態に切断するタンパク質分解ステップが必要となる。この切断は、プロテアーゼであるトリプシンを用いたin vitroの活性化ステップにより達成することができる。活性化ステップ後には、最終生産物からプロテアーゼを除去し、BoNT/E1が何らかの形で更に非特異的に切断されるのを防止することが重要となる。
トリプシン及びBoNT/E1の等電点(pI)は、それぞれ9.32及び6.2であり、2分子間の電荷差を利用するイオン交換(IEX)クロマトグラフィにより、2つのタンパク質の分離を達成するべきであることを示している。タンパク質の正味電荷は、周囲の環境のpHに影響され、陽子を得るか失うかに応じて、更に正又は負に荷電される。pIは、分子が電荷を有していないため荷電IEX媒体と相互作用しない状態でのpH値である。これは、タンパク質がpIより高いpHである場合に負の正味電荷を有し、陰イオン交換体等の正に荷電した媒体と結合することを意味する。同様に、緩衝液のpHがpIより低い場合、タンパク質は、正の正味電荷を有し、陰イオン交換体とは結合しない。
この原理に基づいて、pH8では、BoNT/E(pIは6.2)が陰イオン交換カラムに結合する一方、pIが9.32のトリプシンは結合せず、2つのタンパク質を分離させることが可能になると期待される。IEXは、簡単で安価なクロマトグラフィ方法であり、カラムに充填したタンパク質を、沈殿によるタンパク質の損失につながる恐れのある高塩濃度の緩衝液中に入れる必要はない。
本発明者は、架橋アガロースビーズに付着した強い官能基及び弱い官能基を共に用いて、様々な陰イオン交換カラムを、pH8で試験した。何れの場合も、大部分のトリプシンは、予測通りカラムに結合しないことが分かり、フロースルーに存在していた。しかしながら、イオン強度を増加させた直線勾配によりカラムの溶出を行うと、カラムからトリプシンが溶出され、一定の割合のトリプシンがカラムと結合可能であることが示唆された。BoNT/E1の溶出と比較すると、意外なことに、トリプシンは、同様のイオン強度で溶出しており(表1、図1)、トリプシンが予測通りに分離されておらず、精製されたBoNT/E1の最終産物内にも存在し、BoNT/E1が更に分解する可能性が増えることが示唆された。
Figure 2015534814
本発明者らは、上述した問題を解決した。更に詳細には、本発明者らは、驚くべきことに、最適なトリプシン-BoNT/E1の分離が疎水性分離表面の使用により(例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)であって、タンパク質とHIC媒体の疎水性表面との間の可逆的相互作用を利用して、表面疎水性の違いによりタンパク質を分離するものにより)達成されることを確認した。
一実施形態において、疎水性表面は、アリール又はアルキル基からなるリガンドが付着した不活性マトリックスである。
「アリール」という用語は、芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、チエニル、及びインドリルを示す。
「アルキル」という用語は、直鎖、分枝鎖、環状基、及びその組み合わせを含む脂肪族基を示す。アルキル基は、1〜12個の炭素原子を有し得る。アルキル基の例には、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル等の基が含まれる。
一実施形態において、疎水性表面は、ブチル、フェニル、又はオクチルリガンドからなる群から選択される。
一実施形態において、疎水性表面は、ブチルリガンドを含む。一実施形態において、疎水性表面は、フェニルリガンドを含む。一実施形態において、疎水性表面は、オクチルリガンドを含む。
本発明者らは、BoNT/Eからトリプシンを分離する特に好適な結果が、架橋アガロース又はポリスチレンビーズ等の不活性マトリックスに結合したアルキル又はアリール基、例えば、ブチル、フェニル、及びオクチルリガンドを含むクロマトグラフィ樹脂を用いたHICにより得られることを発見した(表2; 図2)。
Figure 2015534814
一実施形態において、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質をトリプシンから分離する疎水性精製のプロセスは、トリプシンの濃度を、少なくとも100分の1、少なくとも150分の1、少なくとも200分の1、少なくとも250分の1、少なくとも300分の1、少なくとも350分の1、少なくとも400分の1、少なくとも450分の1、又は少なくとも500分の1に減少させる。好適な実施形態において、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質をトリプシンから分離する疎水性精製のプロセスは、トリプシンの濃度を、 少なくとも350分の1に減少させる。
他の態様において、本発明は、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質を提供し、第1の鎖は、配列番号:2の位置1〜419のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、又は100%)の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含み、第2の鎖は、配列番号:2の位置423〜1252のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、又は100%)の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含み、第1及び第2の鎖は、第1の鎖上のシステイン412と第2の鎖上のシステイン426との間のジスルフィド結合により互いに連結され、条件として、近接アミノ酸の前記配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上(例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、又は8個)を含む(アミノ酸位置の番号付けは、BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):位置177のグリシン、位置198のセリン、位置340のアラニン、位置773のロイシン、位置963のロイシン、位置964のグルタミン、位置967のアラニン、及び位置1195のアスパラギン。
関連する態様において、本発明は、可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する(上述した)方法により取得可能な活性2本鎖BoNT/E1タンパク質を提供する。
一態様において、本発明は、(上述した)活性2本鎖BoNT/E1タンパク質を含む組成物を提供し、前記組成物は、トリプシンを実質的に含まない。
したがって、組成物は、トリプシンプロテアーゼ(単鎖ポリペプチドを活性2本鎖形態に転換することにより活性化するために用いられた)を実質的に含まないため、BoNT/E1タンパク質の不要な非特異的切断を防止するという利点を有する。
一実施形態において、(上述した)組成物は、トリプシンを実質的に含まず、組成物は、BoNT/E1タンパク質100ナノグラム(ng)当たり100ピコグラム(pg)未満のトリプシン、例えば、BoNT/E1タンパク質100ng当たり50、20、10、9、8、7、6、又は5pg未満のトリプシンを含む。一実施形態において、(上述した)組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり5pg未満のトリプシンを含む。好適な実施形態において、(上述した)組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシンを含む。
したがって、一実施形態において、「トリプシンを実質的に含まない」という語句は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり100pg未満のトリプシン、例えば、BoNT/E1タンパク質100ng当たり50、20、10、9、8、7、6、又は5pg未満のトリプシン、好ましくはBoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシンを意味する。
組成物中のトリプシンの濃度を決定する方法は、当該技術分野において公知である。一例として、本発明の組成物中のトリプシンの濃度は、サンドイッチELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて決定し得る。
他の態様において、本発明は、
(a)上述した活性2本鎖BoNT/E1タンパク質と、
(b)安定化剤と、を含む、固体又は液体医薬組成物を提供する。
一実施形態において、(上述した)組成物は、トリプシンを実質的に含まない。一実施形態において、組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり100pg未満のトリプシン、例えば、BoNT/E1タンパク質100ng当たり50、20、10、9、8、7、6、又は5pg未満のトリプシンを含む。一実施形態において、組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシンを含む。
本発明による組成物において使用可能な安定化剤には、アルブミン、特にヒト血清アルブミン(HSA)等のタンパク質安定化剤、及び非タンパク質安定化剤が含まれる。
本発明による組成物において使用可能な非タンパク質安定化剤には、界面活性剤、特に非イオン界面活性剤が含まれる。非イオン界面活性剤の例には、ポリソルベート20又はポリソルベート80等のポリソルベート、及びポロキサマ(即ち、ポリエチレン及びプロピレングリコールの共重合体)等のブロック共重合体が含まれる。
特定の実施形態において、組成物は、タンパク質を安定化剤として含まない。
本発明の特定の実施形態によれば、医薬組成物は、
(a)上述した活性2本鎖BoNT/E1タンパク質と、
(b)界面活性剤である非タンパク質安定化剤と
(c)水と、を含む液体医薬組成物であり、
前記液体医薬組成物は、タンパク質を安定化剤として含まず、
前記液体医薬組成物は、トリプシンを実質的に含まない(例えば、前記液体医薬組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり100pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり5pg未満のトリプシンを含み、好ましくは、前記液体医薬組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシンを含む)。
一実施形態において、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質は、1〜100ng/mlの濃度で、(上述した)組成物中に存在する。一実施形態において、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質は、5〜50ng/ml、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50ng/mlの濃度で、(上述した)組成物中に存在する。好適な実施形態において、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質は、約20ng/mlの濃度で存在する。
一実施形態において、(上述した)界面活性剤は、20〜100モノマー単位の範囲の平均重合度を有するポリソルベート等のポリソルベートであり、例えばポリソルベート80にし得る。好適な実施形態において、ポリソルベートは、植物由来である。界面活性剤の濃度は、好ましくは、1%v/v未満であり、例えば、ポリソルベート80の場合、約0.005%〜0.02%v/vである。
本発明による医薬組成物は、更に結晶性作用剤を含むことができる。
結晶性作用剤とは、特に、凍結乾燥されたボツリヌス神経毒複合体(A、B、C、D、E、F、又はG型)或いは高純度ボツリヌス神経毒(A、B、C、D、E、F、又はG型)に対して機械的に強固なケーキ構造を維持する作用剤を意味する。固形製剤に含まれる場合、結晶性作用剤は、更に嵩高効果を有する。結晶性作用剤には、特に、塩化ナトリウムが含まれる。結晶性作用剤の濃度は、例えば、0.1〜0.5M、好ましくは0.1〜0.4M、特に約0.15〜0.3Mにすることができる。
本発明による医薬組成物は、更に、pHを5.5〜7.5、又は6.0〜7.0に含まれるレベルに維持する緩衝剤を含むことができる。緩衝剤は、適切なpHを維持することが可能の任意の緩衝剤にすることができる。例えば、本発明の組成物に対する緩衝剤は、コハク酸塩、リン酸/クエン酸二ナトリウム、及びヒスチジン等のアミノ酸からなる群から選択することができる。緩衝剤の濃度は、例えば、1〜50mM、好ましくは5〜20mM、好ましくは約10mMにすることができる。
本発明による医薬組成物は、更に二糖を含むことができる。
本発明による組成物において使用される二糖は、スクロース、トレハロース、マンニトール、及びラクトースからなる群から選択することができる。特定の実施形態において、二糖は、スクロースである。二糖の濃度は、例えば、5〜50mM、好ましくは5〜25mM、より好ましくは10〜20mM、最も好ましくは約11.7mMにすることができる。
特定の実施形態において、医薬組成物は、
(a)上述した活性2本鎖BoNT/E1タンパク質と、
(b)界面活性剤である非タンパク質安定化剤と、
(c)塩化ナトリウムと、
(c)pHを5.5〜7.5に維持する緩衝剤と、
(e)二糖と、
(f)滅菌水と、を含む液体医薬組成物であり、
前記液体医薬組成物は、タンパク質を安定化剤として含まず、
前記液体医薬組成物は、トリプシンを実質的に含まない(例えば、前記液体医薬組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり100pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり5pg未満のトリプシンを含み、好ましくは、前記液体医薬組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシンを含む)。
特定の実施形態によれば、液体状の本発明による医薬組成物は、バイアル、又は注射器等の直ぐに使用可能な装置に、液体/気体界面が無い状態で密封され、23〜27℃で少なくとも3ヶ月間又は少なくとも6ヶ月間、2〜8℃で少なくとも12ヶ月間、安定状態にある。
一態様において、本発明は、上述した活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は上述した単鎖BoNT/E1タンパク質のタンパク質切断により取得可能な活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は上述した組成物、又は上述した液体医薬組成物を、治療において使用するために提供する。
本発明者らは、本発明の活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、並びにその組成物及び液体医薬組成物を治療において使用可能であることを確認した。適切な治療には、美容処置、及び医療処置の方法が含まれ得る。
配列番号の説明
配列番号:1 最適化BoNT/E1核酸配列
配列番号:2 BoNT/E1アミノ酸配列
配列番号:3 野生型BoNT/E1核酸配列
配列番号:1 最適化BoNT/E1核酸配列
ATGCCGAAAATCAACTCTTTCAACTACAACGACCCGGTTAACGACCGTACCATCCTGTAT
ATCAAACCGGGTGGTTGCCAGGAGTTCTACAAATCTTTCAACATCATGAAAAACATCTGG
ATCATCCCGGAACGTAACGTTATCGGTACCACCCCGCAGGACTTCCACCCGCCGACCTCT
CTGAAAAACGGTGACTCTTCTTACTACGACCCGAACTACCTCCAGTCTGACGAAGAAAAA
GACCGTTTCCTGAAAATCGTTACCAAAATCTTCAACCGTATCAACAACAACCTGTCTGGT
GGTATCCTGCTGGAAGAACTGTCTAAAGCTAACCCGTACCTGGGTAACGACAACACCCCG
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配列番号:2 BoNT/E1アミノ酸配列
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配列番号:3 野生型BoNT/E1核酸配列
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GGAGATTCTAAACTTTATATTAATGGAAATTTAATAGATCAAAAATCAATTTTAAATTTA
GGTAATATTCATGTTAGTGACAATATATTATTTAAAATAGTTAATTGTAGTTATACAAGA
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GCTAGTACTTGGTATTATACACATATGAGAGATCATACAAACAGCAATGGATGTTTTTGG
AACTTTATTTCTGAAGAACATGGATGGCAAGAAAAATAA
BoNT/E1からのトリプシンの分離を評価した陰イオン交換カラムからの溶出分画の図。トリプシン、BoNT/E1のピーク、及び塩勾配を示す。図1A: Q-Sepharose HP。図1B: DEAE Sepharose。 BoNT/E1からのトリプシンの分離を評価した疎水性相互作用カラムからの溶出分画の図。トリプシン、BoNT/E1のピーク、及び塩勾配を示す。図2A: Phenyl Sepharose HP。図2B: Butyl Sepharose HP。図2Cは、Octyl Sepharose FF。 ウェスタンブロッティングにより判定したrBoNT/E1培養物の可溶性発現レベルを、市販のBoNT/E1と比較した図である。 2本鎖構造の形成を確認する非還元及び還元条件下でのrBoNT/E1のSDS-PAGEを示す図である。
実施例1
最適化BoNT/E1核酸配列の構築
DNA配列は、最初にBoNT/E1アミノ酸配列(配列番号:2)の逆翻訳により設計した。制限配列(PstI)をN末端に加え、停止コドンと追加の制限配列XbaI-停止コドン-HindIIIをC末端に加えた。その後、DNA配列は、(上述した)低速コドンの数及び場所に基づいて発現を最適化した。
配列は、低速コドンに対する選択が為されるように最適化した。これは、特に配列の最初に適用され、良好な形で開始され、翻訳が始まるようにした。低速コドンを含める場合(発現宿主のコドンの偏りに応じた使用を可能にするため)、これらは、配列の終わりに向かうようにした(配列の開始を翻訳が開始される場所として定めた場合)。
配列の設計後、最適化DNA配列は、唯一/天然のPstI部位を用いて2つの部分として合成し、その後、完全長の毒素遺伝子を組み立てた。第1の遺伝子の配列は、アミノ末端にNdeI部位、カルボキシル末端にPstI部位を含む。この遺伝子部分は、長さ2895bpで、BoNT/E1のLCとHCのアミノ部分とをコードしている。第2の遺伝子の配列は、N末端にPstI部位、カルボキシル末端にHindIII部位を含み、長さ882bpであり、BoNT/E1のHCのカルボキシル部分をコードしている。
実施例2
発現ベクターBoNT/E1核酸配列の構築
BoNT/E1のORFをコードするDNAの始まりと終わりに位置するクローニング制限部位NdeI及びHindIIIを含む、ベクターpET-26b(+)(Novagen)に基づく発現ベクターを利用した。pET-26b(+)ベクターは、動態化欠乏性(mobilisable-deficient)だが、他の動態化(mobilisable)プラスミドと共存する場合、動態化可能となる(could be mobilised)。pET-26b(+)ベクターは、移動性遺伝子を取り除き、非動態化(non-mobilisable)とするように修飾した。
発現ベクターをNdeI及びPstIにより消化し、精製されたベクターバックボーンを、同じ制限酵素により消化したBoNT/E1 DNAの第1の断片と連結して、中間産物を形成した。第2のクローニングステップにおいて、PstI及びHindIIIにより消化した第2の断片からのBoNT/E1 DNAを、(同じ制限酵素により消化された)ステップ1からの中間産物に連結した。これにより、発現ベクター内にBoNT/E1 DNAの最終産物が形成された。
実施例3
BoNT/E1発現ベクターの宿主への挿入
本実施例は、E. coli BLR (DE3)細胞の使用に基づいているが、手順及び方法は、他の任意のE. coli発現株に同様に応用可能である。E. coli BLR (DE3)コンピテント細胞は、必要になるまで-70℃未満で保存した。細胞の形質転換は、製造業者のプロトコルを利用して実施した。細胞は、氷上で破壊し、10μLのサブアリコートを調製した。アリコートは、42℃で80秒間のヒートショックを用いて、1μLのプラスミドDNAにより形質転換した。氷上で5分間、回復させた後、動物質を含まない(animal free)90μLのSOCブロスを形質転換物に添加した後、振盪培養器に移し、1時間に亘り、37℃、250rpmでインキュベートした。インキュベート後、各形質転換物90μLを、50μg/mLのカナマイシンを補充した動物質不含LB寒天プレートに移して塗布した。プレートは、37℃で16時間インキュベートした。
実施例4
宿主の培養及び可溶性rBoNT/E1タンパク質の発現
BLR (DE3)細胞において形質転換されたBoNT/E1の単一のコロニーを用いて、0.2%のグルコサミン及び30μg/mlのカナマイシンを補充した100mlの改変テリフィックブロス(modified Terrific Broth, mTB)が入った250ml三角フラスコへの播種を行った。この方法は、Microbankビーズ又はグリセロールストック(10〜100μL)を用いてフラスコへの播種を行う際にも同様に利用することができる。
フラスコは、16時間に亘り、37℃、250rpmの振盪速度でインキュベートした。 このスタータ培養物10mlを用いて、0.2%のグルコサミン及び30μg/mlのカナマイシンを補充した1Lがそれぞれ入った2L三角フラスコへの播種を行った。細胞は、37℃で、約2時間に亘り、225rpmで、OD600が0.5に達するまで増殖させた。この時点で、培養温度を16℃に低下させた。1時間後、1mMのIPTGを添加することにより、細胞にBoNT/E1を20時間に亘り発現させた。細胞は、20分間、4℃で遠心分離することにより収集し、重さを量った後、-20℃で保管した。
実施例5
宿主からのBoNT/E1タンパク質の抽出及び発現レベルの解析
rBoNT/E1の発現細胞ペーストを室温で解凍し、ベンゾナーゼ10μlを補充した細胞1グラム当たり3mlのTris-NaCl再懸濁緩衝液中へ、ピペットにより再懸濁させた。細胞は、振幅4μm、10×30秒オン+45秒未満オフの超音波処理により溶解させた。溶解物を4000gで、1時間、4℃で遠心分離し、可溶性rBoNT/E1を上清において取得した。
調製溶解物の全タンパク質濃度を判定するブラッドフォードアッセイ
希釈したrBoNT/E1溶解物又はBSA標準物の試料(50μL)を1mLプラスチックキュベットに加えた。クマシーブラッドフォードアッセイ試薬450μLを各キュベットに加え、室温で10分間インキュベートした後、OD600を読み取った。BSA標準物について得られた値を用いて、溶解物試料中のタンパク質の量を判定した。
半定量ウェスタンブロッティング解析用の溶解物試料の調製
Metabiologicsyより購入した市販のBoNT/E1タンパク質試料を用いて、SDS-PAGE標準物を作成した。その後、発現させた細胞培養物由来の溶解物試料からSDS-PAGE試料を公知の全タンパク質濃度で調製した。
ウェスタンブロッティング
ゲルを注入し、200Vで55分間移動させ、メタノールを含まないブロッティング緩衝液中でニトロセルロース膜上に0.4mAで1時間ブロッティングした。ニトロセルロースブロットは、PBS-0.1% Tween20中で0.5%BSAにより1時間ブロッキングし、BoNT/E1に対する抗体による探索を1時間行った。ブロットは、SuperSignal DuraWest基質により発色させたHRP結合二次抗体により検出した。発色させたブロットは、Syngene Imaging Instrumentを用いて撮像した(図3)。
実施例6
標的BoNT/E1タンパク質の初期精製及び2本鎖形態への活性化
本実施例は、捕捉及び中間カラムステップの組み合わせの1つに基づくものとしたが、組み合わせを変更又は逆転させて、同じ特性を異なる順序で用いることもできる。清澄上清(clarified supernatant)を高塩濃度とし、疎水性捕獲カラム(ブチルセファロース)に充填した。結合したrBoNT/E1は、低塩濃度Tris緩衝液を用いてカラムから溶出させた。溶出タンパク質は、Q-sepharose等のイオン交換カラムを用いて更に精製し、高塩濃度Tris緩衝液の勾配の溶出を行った。次に、トリプシンを溶出rBoNT/E1試料に添加し、最終濃度を2.5μg/mlとして、37℃で40分間インキュベートした。これによりBoNT/E1の活性化ループに切れ目を入れ、還元SDS-PAGE(図4)により確認される最終的なBoNT/E1の2本鎖構造を形成した。
実施例7
活性化プロテアーゼを含まないBoNT/E1タンパク質の最終的な精製
活性化型rBoNT/E1試料を、直ぐに疎水性カラム(ブチルセファロース)上で高塩濃度緩衝液中に注入した。カラムを高塩濃度緩衝液で洗浄し、結合の弱いトリプシンを除去した後、低塩濃度Tris緩衝液の勾配を利用して、カラム及び結合したrBoNT/E1タンパク質からトリプシンを更に除去した。その後、トリプシンから離れた勾配の終わりでrBoNT/E1タンパク質を溶出させた。
トリプシンレベルを判定するアッセイ
トリプシンELISAを開発して、カラム分画及び最終的なBoNT/E1試料中に存在するレベルを判定した。抗トリプシン捕捉抗体を、1時間に亘り、37℃でマイクロタイタープレートにコーティングした。トリプシン標準物及び検査試料をプレート上に添加し(100μL/ウェル)、37℃で1時間インキュベート後、二次抗トリプシン抗体により検出した。その後、各試料/カラム分画におけるトリプシンの量を標準物から補間し、精製のクロマトグラムに重ね合わせて、トリプシンのBoNT/E1からの分離を確認した(図2B)。
実施例8
トリプシンを実質的に含まない活性2本鎖BoNT/E1を含む製剤
活性2本鎖BoNT/E1を含む以下の6種類の液体組成物を調製した(表3)。
Figure 2015534814
6種類の組成物を全て25℃で12週間保存した。この期間に、2本鎖BoNT/E1のプロテアーゼ機能の安定性を、無細胞エンドペプチダーゼアッセイを用いて評価した。6種類の組成物の月間分解率は、12週間に亘って1ヶ月当たり5%未満となり、6種類の組成物の2本鎖BoNT/E1のプロテアーゼ機能が、25℃で少なくとも12週間に亘り安定状態を保つことを示している。

Claims (22)

  1. 配列番号:1の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有し且つ単鎖BoNT/E1タンパク質をコードする近接ヌクレオチドの配列を含む核酸配列。
  2. 前記核酸配列は、最大160個の低速コドンを有する、請求項1記載の核酸配列。
  3. 前記単鎖BoNT/E1タンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含む、請求項1又は2記載の核酸配列。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の核酸配列: ここで、請求項1又は2記載の単鎖BoNT/E1又は請求項3記載の近接アミノ酸の前記配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上を含む(アミノ酸位置の番号付けは、前記BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):
    位置177のグリシン、
    位置198のセリン、
    位置340のアラニン、
    位置773のロイシン、
    位置963のロイシン、
    位置964のグルタミン、
    位置967のアラニン、及び
    位置1195のアスパラギン。
  5. 近接ヌクレオチドの前記配列は、野生型BoNT/E1(配列番号:3)の核酸配列と比較した時、少なくとも785個の同義コドンを有する、何れかの先行請求項記載の核酸配列。
  6. E. coli宿主細胞において可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法であって、
    E. coli発現系において、何れかの先行請求項記載の核酸配列を発現させることを含む方法。
  7. 前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、前記E. coli宿主細胞の細胞質において発現する、請求項6記載の方法。
  8. 前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、少なくとも5mg/Lのレベルで発現する、請求項6又は7記載の方法。
  9. 前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を含むE. coli宿主細胞ホモジネートを提供するE. coli宿主細胞の溶解を含む、請求項6〜8の何れかに記載の方法。
  10. 可溶性2本鎖BoNT/E1タンパク質を製造する方法であって、
    配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含む可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質を提供することと、前記BoNT/E1タンパク質を溶液中でトリプシンに接触させることとを含む、方法。
  11. 近接アミノ酸の前記配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上を含む、請求項10記載の方法(アミノ酸位置の番号付けは、前記BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):
    位置177のグリシン、
    位置198のセリン、
    位置340のアラニン、
    位置773のロイシン、
    位置963のロイシン、
    位置964のグルタミン、
    位置967のアラニン、及び
    位置1195のアスパラギン。
  12. 前記可溶性単鎖BoNT/E1タンパク質は、請求項6〜9の何れかに記載の方法により提供される、請求項10又は11記載の方法。
  13. 可溶性BoNT/E1タンパク質及びトリプシンを含む溶液を、前記可溶性BoNT/E1タンパク質が優先的に結合する疎水性表面に接触させることにより、前記可溶性BoNT/E1タンパク質をトリプシンから分離することを含む、請求項10〜12の何れかに記載の方法。
  14. 前記疎水性表面は、アリール又はアルキル基からなるリガンドが付着した不活性マトリックスである、請求項13記載の方法。
  15. 前記疎水性表面は、ブチル、フェニル、又はオクチルリガンドからなる群から選択される、請求項14記載の方法。
  16. 活性2本鎖BoNT/E1タンパク質であって、
    第1の鎖は、配列番号:2の位置1〜419のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含み、
    第2の鎖は、配列番号:2の位置423〜1252のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する近接アミノ酸の配列を含み、
    前記第1及び第2の鎖は、前記第1の鎖上のシステイン412と前記第2の鎖上のシステイン426との間のジスルフィド結合により互いに連結され、
    条件として、近接アミノ酸の前記配列は、以下のアミノ酸のうち1個以上を含む、活性2本鎖BoNT/E1タンパク質(アミノ酸位置の番号付けは、BoNT/E1タンパク質のN末端アミノ酸残基から開始され、C末端アミノ酸残基で終了する):
    位置177のグリシン、
    位置198のセリン、
    位置340のアラニン、
    位置773のロイシン、
    位置963のロイシン、
    位置964のグルタミン、
    位置967のアラニン、及び
    位置1195のアスパラギン。
  17. 請求項10〜15の何れかに記載の方法により得られる活性2本鎖BoNT/E1タンパク質。
  18. 請求項16又は17記載の活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は請求項6〜9の何れかに記載の単鎖BoNT/E1タンパク質のタンパク質切断により得られる活性2本鎖BoNT/E1タンパク質を含み、トリプシンを実質的に含まない組成物。
  19. 前記組成物は、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり5pg未満のトリプシンを含む、請求項18記載の組成物。
  20. 液体医薬組成物であって、
    請求項16又は17記載の活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は請求項6〜9の何れかに記載の単鎖BoNT/E1タンパク質のタンパク質切断により得られる活性2本鎖BoNT/E1タンパク質と、
    界面活性剤である非タンパク質安定化剤と、
    水と、を含み、
    タンパク質を安定化剤として含まず、
    トリプシンを実質的に含まない(例えば、BoNT/E1タンパク質100ng当たり10pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり7pg未満のトリプシン、又はBoNT/E1タンパク質100ng当たり5pg未満のトリプシンを含む)、液体医薬組成物。
  21. 更に、
    塩化ナトリウムと、
    pHを5.5〜7.5に維持する緩衝剤と、
    二糖と、を含み
    前記水は滅菌水である、請求項20記載の液体医薬組成物。
  22. 治療において使用するための、請求項16又は17記載の活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は請求項6〜9の何れかに記載の単鎖BoNT/E1タンパク質のタンパク質切断により得られる活性2本鎖BoNT/E1タンパク質、又は請求項18又は19記載の組成物、又は請求項20又は21記載の液体医薬組成物。
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