JP2015533293A - 組成物及び使用方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の組成物及び方法は、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のβ−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチド、並びにその製造及び使用方法に関する。β−グルコシダーゼを含有する製剤は、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解に使用するのに適している。

Description

(優先権)
本出願は、その全体が参考として本明細書に援用される、米国仮出願番号第61/720,732号(2012年10月31日出願)の優先権を主張する。
本発明の組成物及び方法は、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)から得ることができるβ−グルコシダーゼポリペプチド、β−グルコシダーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びにその製造及び使用方法に関する。β−グルコシダーゼポリペプチドを含む製剤及び組成物は、リグノセルロース系バイオマスを分解又は加水分解するために有用である。
セルロース及びヘミセルロースは、光合成によって生成される最も豊富な植物材料である。これらは、高分子基質を単糖に加水分解することができる細胞外酵素を生産する非常に多くの微生物(例えば、細菌、酵母及び真菌)により分解し、エネルギー源として使用することができる(Aro et al.,(2001)J.Biol.Chem.,276:24309〜24314)。非再生可能資源の取り組みには限界があり、セルロースが主要な再生可能エネルギー資源となる可能性は非常に大きい(Krishna et al.,(2001)Bioresource Tech.,77:193〜196)。生物学的プロセスによるセルロースの効率的な利用は、食糧、飼料、及び燃料の不足を解消する取り組みの1つである(Ohmiya et al.,(1997)Biotechnol.Gen.Engineer Rev.,14:365〜414)。
セルラーゼは、セルロース(β−1,4−グルカン又はβ D−グルコシド結合を含む)を加水分解し、グルコース、セロビオース、セロオリゴ糖などを形成する酵素である。セルラーゼは、慣習的に以下の3つの主要なクラスに分類されている:エンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)(「EG」)、エキソグルカナーゼ又はセロビオヒドロラーゼ(EC 3.2.1.91)(「CBH」)及びβ−グルコシダーゼ([β]−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ;EC 3.2.1.21)(「BG」)(Knowles et al.,(1987)TIBTECH 5:255〜261;及びSchulein,(1988)Methods Enzymol.,160:234〜243)。エンドグルカナーゼはセルロース繊維の非結晶部分に主に作用するが、セロビオヒドロラーゼは結晶性セルロースも分解することができる(Nevalainen and Penttila,(1995)Mycota,303〜319)。よって、結晶性セルロースを効率的に可溶化するためには、セルラーゼ系においてセロビオヒドロラーゼが存在することが必要とされる(Suurnakki et al.,(2000)Cellulose,7:189〜209)。β−グルコシダーゼは、セロビオース、セロオリゴ糖、及び他のグルコシドからD−グルコース単位を遊離させる働きをする(Freer,(1993)J.Biol.Chem.,268:9337〜9342)。
セルラーゼは、多くの細菌、酵母、及び真菌によって生産されることが知られている。ある種の真菌は、結晶形態のセルロースを分解することができる完全なセルラーゼ系を生産する。これらの真菌は、発酵して数種類のセルラーゼ又はセルラーゼ混合物を生産することができる。同じ真菌及び別の真菌を、ある特定のセルラーゼを生産又は過剰生産するように操作し、異なるタイプ又は比率のセルラーゼを含むセルラーゼ混合物を得ることもできる。真菌は、発酵によって様々なセルラーゼを大量に生産するように操作することもできる。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの多くの酵母は、天然の状態でセルロース加水分解能を有さないため、糸状菌は特別な役割を果たす(例えば、Wood et al.,(1988)Methods in Enzymology,160:87〜116を参照されたい)。
CBH、EG及びBGの真菌セルラーゼ分類は、それぞれの分類が複数の成分を包含するよう更に拡大することができる。例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)とも称される)を含む様々な分離源真菌から多数のCBH、EG及びBGが単離されており、これらには2つのCBH、すなわち、CBH I(「CBH1」)及びCBH II(「CBH2」)、少なくとも8つのEG、すなわち、EG I、EG II、EG III、EGIV、EGV、EGVI、EGVII及びEGVIII、並びに少なくとも5つのBG、すなわち、BG1、BG2、BG3、BG4、BG5及びBG7の既知の遺伝子が含まれる(Foreman et al.(2003),J.Biol.Chem.278(34):31988〜31997)。EGIV、EGVI及びEGVIIIはまた、キシログルカナーゼ活性も有する。
結晶セルロースを効率的にグルコースに変換するには、CBH、EG及びBG分類のそれぞれの成分を含む完全なセルラーゼ系が必要とされ、単離された成分による結晶セルロースの加水分解は効率が低い(Filho et al.,(1996)Can.J.Microbiol.,42:1〜5)。エンド−1,4−β−グルカナーゼ(EG)及びエキソ−セロビオヒドロラーゼ(CBH)は、セロオリゴ糖(主生成物はセロビオース)へのセルロースの加水分解を触媒する一方、β−グルコシダーゼ(BGL)はオリゴ糖をグルコースへと変換する。異なる分類のセルラーゼ成分間で、相乗的な関係が観察されている。特に、EG型セルラーゼ及びCBH型セルラーゼは、相乗的に作用してセルロースを効率的に分解する。β−グルコシダーゼは、糖をエタノールに発酵させるために使用される、例えば酵母などの微生物への毒性があり、またエンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼの活性も阻害し、これらの酵素が結晶セルロースを更に加水分解できないようにするセロビオースなどのセロオリゴ糖から、グルコースを遊離させるのに重要な役割を果たす。
セルロース材料の分解又は変換においてβ−グルコシダーゼが果たす重要な役割を考慮すると、セルロース供給原料を加水分解する効率又は能力の向上したβ−グルコシダーゼ相同体を発見、同定、調製、及び適用することが望ましく、有利である。
アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)から得ることができるβ−グルコシダーゼ及びその使用
セルロースの酵素的加水分解は依然として、セルロース糖及び/又は下流生成物であり得る材料のリグノセルロース系バイオマス供給原料から生物生産する際の主な律速段階の1つである。β−グルコシダーゼは、そのプロセスの最後の工程を触媒し、阻害性のセロビオースからグルコースを遊離するという重要な役割を果たすため、その活性及び効率は、酵素によるリグノセルロース系バイオマス変換の全体の効率、結果的に酵素溶液の使用コストに直接寄与する。したがって、新規でより効率的なβ−グルコシダーゼを発見、製造及び使用することに大きな関心が寄せられている。
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)又はヒポクレア・ジェコリナ(Hyprocrea jecorina)由来のβ−グルコシダーゼBgl1、Bgl3、Bgl5、Bgl7など(Korotkova O.G.et al.,(2009)Biochemistry 74:569〜577;Chauve,M.et al.,(2010)Biotechnol.Biofuels 3:3−3)、フミコラ・グリセア(Humicola grisea)変異体サーモイデア(thermoidea)由来(Nascimento,C.V.et al.,(2010)J.Microbiol.48,53〜62);スポロトリクム・プルベルレンタム(Sporotrichum pulverulentum)由来、Deshpande V.et al.,(1988)Methods Enzymol.,160:415〜424);アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)の(Fukuda T.et al.,(2007)Appl.Microbiol.Biotechnol.76:1027〜1033、タラロミセス・サーモフィラス(Talaromyces thermophilus)CBS 236.58由来(Nakkharat P.et al.,(2006)J.Biotechnol.,123:304〜313)、タラロミセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)由来(Murray P.,et al.,(2004)Protein Expr.Purif.38:248〜257)のβ−グルコシダーゼを含む多数のβ−グルコシダーゼが知られているが、これまでのところトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のβ−グルコシダーゼBgl1及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のβ−グルコシダーゼSP188が基準のβ−グルコシダーゼと考えられており、他のβ−グルコシダーゼの活性及び性能はこれらに対して評価されている。トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のβ−グルコシダーゼSP188よりも高い特異的活性を有するが、前者は分泌が不十分である可能性があり、一方後者はグルコース阻害に対してより感受性であることが報告されている(Chauve,M.et al.,(2010)Biotechnol.Biofuels,3(1):3)。
本発明の組成物及び方法の一態様は、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するために、真菌種アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)NIH2624株から単離された高活性のβ−グルコシダーゼを適用又は使用することである。アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)NIH2624株のゲノムは、2005年にアノテーションされており、本明細書中に記載されている配列番号2の配列は、National Center for Biotechnology Information,U.S.National Library of Medicine(NCBI)によりアクセッション番号XP_001212225.1で公開され、β−グルコシダーゼI前駆体と命名されている。この酵素は、以前、トランスジェニック双子葉植物(例えば、大豆植物)において発現され、種子が所望のタンパク質を生産する能力を種子乾燥重量の5%も増強した。例えば、国際公開WO第2009158716号を参照されたい。その事例では、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)のβ−グルコシダーゼポリペプチドは、タンパク質貯蔵のエンハンサーとしてトランスジェニック植物で発現された。他の例では、国際公開WO第2009108941号において、植物による発酵性糖の遊離を助けることを目的として、植物抽出物を細菌抽出物と合わせることができるように、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)のβ−グルコシダーゼポリペプチドを、植物において発現させることができることが記述されている。一方、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)のβ−グルコシダーゼは、遺伝子操作した微生物によってはこれまで発現されていない。1つ又はそれ以上のセルラーゼ遺伝子及び/又は1つ又はそれ以上のヘミセルラーゼ遺伝子との共発現もされていない。長年にわたる開発によって極めて有効になった好適な微生物における発現、並びに異種タンパク質及び酵素の効率的な生産菌により、遺伝子的手段の蓄積にも助けられて、これらの有用なβ−グルコシダーゼを、遺伝子組み換えされていない微生物において内因的に発現させる場合よりも、又は植物において発現させる場合よりもかなり大量に発現させることが可能となった。β−グルコシダーゼに分類される酵素は、その起源だけでなくリグノセルロース系基質に対するその活性も多様であるものの、全てとはいえないがほとんどのβ−グルコシダーゼは、好適な条件下でセロビオース加水分解を触媒することができる。例えば、セロビオースだけでなくより長鎖のオリゴ糖に対しても活性をもつものもあり、一方、より限局的にセロビオースだけに活性をもつものもある。同様の基質選択性を有するβ−グルコシダーゼであっても、触媒活性及び効率がより高く、したがって酵素が触媒する加水分解に長くても2〜3日以上はかけることができない工業的用途においてより有用な、酵素反応速度プロファイルを有するものもある。更に、リグノセルロース系バイオマスの酵素的加水分解により得られるセルロース糖を変換することができる発酵微生物又はエタノール生成微生物で、本発明のAte3Cポリペプチドなどのアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のβ−グルコシダーゼを発現するように遺伝子操作されたものはない。エタノール生成微生物におけるβ−グルコシダーゼの発現は、酵素糖化では完全に変換されない残存セロビオースからD−グルコースを更に遊離させる重要な機会をもたらし、この場合、このように生成されたD−グルコースは、エタノール生成微生物が直ちに消費するか、時間内に発酵することができる。
本発明の組成物及び方法の態様は、本明細書において「Ate3C」又は「Ate3Cポリペプチド」と称する、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)に由来するグリコシルヒドロラーゼファミリー3のβ−グルコシダーゼポリペプチド、それをコードしている核酸、それを含む組成物、並びにリグノセルロース系バイオマスの可溶性発酵性糖への加水分解又は変換においてβ−グルコシダーゼポリペプチド及びそれを含む組成物を生成及び適用する方法に関連する。そのような発酵性糖は、その後、セルロースエタノール、燃料、並びに他のバイオケミカル及び有用な製品に変換することができる。ある特定の実施形態では、Ate3C β−グルコシダーゼポリペプチドは、既知の高正確性β−グルコシダーゼである、基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichderma reese)Bgl1と比較して、より高いβ−グルクロシダーゼ(gluclosidase)活性を有し、かつ/又は所与のリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解力が増大している(Chauve,M.et al.,(2010)Biotechnol.Biofuels,3(1):3)。
一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドを、酵素組成物において1種又はそれ以上の別のセルラーゼと一緒に、又はその存在下において適用して、好適なバイオマス基質を加水分解又は分解する。1種又はそれ以上の別のセルラーゼは、例えば、他のβ−グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及び/又はエンドグルカナーゼであってよい。例えば、酵素組成物は、Ate3Cポリペプチド、セロビオヒドロラーゼ、及びエンドグルカナーゼを含んでいてもよい。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、酵素組成物において1種又はそれ以上のヘミセルラーゼと一緒に、又はその存在下において適用される。1種又はそれ以上のヘミセルラーゼは、例えば、キシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、及び/又はL−アラビノフラノシダーゼであってよい。更なる実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、酵素組成物において1種又はそれ以上のセルラーゼ及び1種又はそれ以上のヘミセルラーゼと一緒に、又はその存在下において適用される。例えば、酵素組成物は、Ate3Cポリペプチド、ゼロ又は1種又は2種の別のβ−グルコシダーゼ、1種又はそれ以上のセロビオヒドロラーゼ、1種又はそれ以上のエンドグルカナーゼ;任意にゼロ又は1種又はそれ以上のキシラナーゼ、ゼロ又は1種又はそれ以上のβ−キシロシダーゼ、及びゼロ又は1種又はそれ以上のL−アラビノフラノシダーゼを含む。
ある特定の実施形態では、リグノセルロース系バイオマス基質の酵素的加水分解により生成される可溶性発酵性糖を代謝し、そのような糖をエタノール、バイオケミカル又は他の有用な材料に変換することができるエタノール生成微生物の存在下において、Ate3Cポリペプチド、又はAte3Cポリペプチドを含む組成物を、リグノセルロース系バイオマス基質又は部分的に加水分解されたリグノセルロース系バイオマス基質に適用する。そのようなプロセスは、発酵工程の前に加水分解工程が起こる厳密な逐次プロセスであってよい。そのようなプロセスは、代替として、加水分解工程をまず開始するが、後から開始する発酵工程としばらくの間重複させるハイブリッドプロセスであってもよい。そのようなプロセスは、更に代替として、バイオマス基質の酵素的加水分解が起こると同時に、酵素的加水分解により生成した糖がエタノール生成源により発酵される、同時加水分解発酵プロセス(simultaneous hydrolysis and fermentation process)であってもよい。
Ate3Cポリペプチドは、例えば、酵素的加水分解プロセス及びセロビオースなどのオリゴ糖からのD−グルコースの遊離に寄与する酵素組成物の一部であってもよい。ある特定の実施形態では、Ate3Cポリペプチドを遺伝子操作して、エタノール生成微生物がそのようなβ−グルコシダーゼ活性を発現及び/又は分泌するようにエタノール生成微生物において発現させてもよい。更に、Ate3Cポリペプチドは、加水分解酵素組成物の一部であると同時にまたエタノール生成によって発現及び/又は分泌されてもよく、この場合、加水分解酵素組成物を使用したリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解により生成した可溶性発酵性糖は、Ate3Cポリペプチドもまた発現及び/又は分泌するエタノール生成微生物によってエタノールに代謝及び/又は変換される。加水分解酵素組成物は、1種若しくはそれ以上の他のセルラーゼ及び/又は1種若しくはそれ以上のヘミセルラーゼに加えて、Ate3Cポリペプチドを含むことができる。エタノール生成微生物は、Ate3Cポリペプチド、1種又はそれ以上の別のセルラーゼ、1種又はそれ以上の別のヘミセルラーゼ、又はこれらの酵素の組合せを発現するように遺伝子操作することができる。β−グルコシダーゼの1種又はそれ以上が、加水分解酵素組成物中に存在し、かつエタノール生成源によって発現及び/又は分泌されてもよい。例えば、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解は、Ate3Cポリペプチドを含む酵素組成物を使用して実現してもよく、その場合、加水分解により生成する糖を、Ate3Cポリペプチドを発現及び/又は分泌するように遺伝子操作された微生物を用いて発酵することができる。あるいは、第1のβ−グルコシダーゼを含む組成物が加水分解工程に関与し、第1のβ−グルコシダーゼとは異なる第2のβ−グルコシダーゼが、エタノール生成微生物により発現及び/又は分泌される。例えば、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む加水分解酵素組成物を使用して実現してもよく、加水分解により生成する発酵性糖は、Ate3Cポリペプチドを発現及び/又は分泌するエタノール生成微生物により発酵され、又は逆もまた同様である。
本明細書において示すように、Ate3Cポリペプチド及びAte3Cポリペプチドを含む組成物は、リグノセルロース系バイオマスの糖化及び分解がなされる条件下での効率が向上している。Ate3Cポリペプチドを含む酵素組成物の効率の向上は、所与のバイオマス基質を加水分解するその性能を、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のBgl1を含む、他の点では同等の酵素組成物の性能と比較した場合に示される。
ある特定の実施形態では、β−グルコシダーゼ活性の向上又は増大は、Ate3Cポリペプチドのセロビアーゼ活性の向上又は増大に反映され、これは、セロビオースを基質として使用して、例えば、約30℃から約65℃の温度(例えば、約35℃から約60℃、約40℃から約55℃、約45℃から約55℃、約48℃から約52℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃など)で測定される。一部の実施形態では、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1の活性と比較して向上しているAte3Cポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性は、β−グルコシダーゼポリペプチドを使用してリン酸膨潤セルロース(PASC)を、例えば、Walseth,TAPPI 1971,35:228及びWood,Biochem.J.1971,121:353〜362のプロトコールを調整して用い前処理した前処理Avicelを加水分解する場合に観察される。一部の実施形態では、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1の活性と比較して向上しているAte3Cポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性は、β−グルコシダーゼポリペプチドを使用して、希アンモニア前処理されたトウモロコシ茎葉、例えば、国際特許出願公開:国際公開WO2006110891号、国際公開WO2006110899号、国際公開WO2006110900号、国際公開WO2006110901号、及び国際公開WO2006110902号;米国特許第7,998,713号、同第7,932,063号に記載のものを加水分解する場合に観察される。
一部の態様では、Ate3Cポリペプチドは、及び/又はそれが酵素組成物において若しくはリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する方法において適用される場合は、(a)アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)NIH2624株に由来する、それから得ることができる、又はそれにより生産される;(b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドである;(c)配列番号2の触媒ドメイン、すなわちアミノ酸残基20〜861と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドである;(d)配列番号3の成熟型アミノ酸配列、すなわち配列番号2のアミノ酸残基20〜861と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドである;又は(e)β−グルコシダーゼ活性を有する(a)、(b)、(c)又は(d)の断片である。ある特定の実施形態では、配列番号2の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基に置換、欠失及び/又は挿入を含む、β−グルコシダーゼ活性を有する変異体ポリペプチドが提供される。
一部の態様では、Ate3Cポリペプチドは、及び/又はそれが酵素組成物において又はリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する方法において適用される場合は、(a)配列番号1と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性である核酸配列によってコードされているポリペプチド、又は(b)中程度ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件又は極めて高いストリンジェンシー条件下で、配列番号1と又は少なくとも100個の連続するヌクレオチドである配列番号1の部分配列、又はその相補配列とハイブリダイズするものであり、このポリペプチドはβ−グルコシダーゼ活性を有する。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、及び/又はそれが組成物において又はリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する方法において適用される場合、遺伝子コードの縮重に起因し、中程度ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件又は極めて高いストリンジェンシー条件下で配列番号1と又は少なくとも100個の連続するヌクレオチドである配列番号1の部分配列とハイブリダイズしないにもかかわらず、β−グルコシダーゼ活性を有し、配列番号2の配列と又は配列番号3の成熟β−グルコシダーゼ配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするものである。核酸配列は合成であってもよく、必ずしもアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)に由来しないが、核酸配列は、β−グルコシダーゼ活性を有し、配列番号2又は配列番号3に少なくとも(least)85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
いくつかの好ましい実施形態では、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物は、野生型トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1(配列番号4)、又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む酵素組成物と比較して、β−グルコシダーゼ活性が向上している。ある特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドのセルラーゼ活性は、クロロ−ニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)加水分解アッセイを使用して測定したときに、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1の活性の約20%から約60%(例えば、約20%から約55%、約30%から約55%、約40%から約60%、約45%から約55%)である。CNPGアッセイは、本明細書において実施例2Bに記載されている。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物は、野生型アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−glu、又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluを含む酵素組成物の活性と比較して、β−グルコシダーゼ活性が向上している。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドのセルラーゼ活性は、CNPG加水分解アッセイを使用して測定したときに、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluの活性より少なくとも2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍高い。
例えば、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性は、セロビオース加水分解アッセイを使用して測定したときに、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1の活性より少なくとも約5%高い(例えば、少なくとも約5%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも約75%高い、少なくとも約100%高い、又は更には少なくとも約125%高い、例えば、少なくとも約150%高いなど)。セロビオース加水分解アッセイは、本明細書において実施例2Cに記載されている。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性は、セロビオース加水分解アッセイ(本明細書の実施例2C)を使用して測定したときに、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluの活性の約半分以下であり、約1/3以下であり、約1/4以下である。
一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドは、セロビオース加水分解活性が向上しているが、クロロ−ニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)加水分解力は低減している。例えば、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、少なくとも20%高い「セロビアーゼ」活性(すなわち、セロビオース加水分解力を測定)を有するが、少なくとも20%低いCNPG加水分解活性を有し得る。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluと比較して、より低い(例えば、約1/2以下、約1/3以下、約1/4以下の)セロビアーゼ活性を有するが、クロロニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)の加水分解力は増大している(例えば、少なくとも2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍)。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、約1/2、約1/3、約1/4、又は更には約1/5程度に低い、CNPG/セロビオースについての加水分解活性比を有する。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluと比較して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、又は更には約6倍高い、CNPG/セロビオースについての相対的加水分解活性比を有する。
ある特定の態様では、Ate3Cポリペプチド及び本発明のAte3Cポリペプチドを含む組成物は、野生型トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1(配列番号4)のものと比較して、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する性能が向上している。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物の加水分解性能の向上は、ある特定の方法で前処理した所与のリグノセルロース系バイオマス基質からトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む同一の酵素組成物により、同じの糖化条件下で、同様に前処理した同じバイオマスから生成されるグルコースのレベルと比較して、より多量のグルコースが生成されることによって観察できる。例えば、Ate3Cポリペプチドによって又はAte3Cポリペプチドを含む酵素組成物によって生成されるグルコースの量は、0〜10mg(例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg)のβ−グルコシダーゼ(Ate3Cポリペプチド又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用してバイオマス基質中のグルカン1gを加水分解する場合に、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1(Ate3Cポリペプチドではなく)を含む、他の点では同一の酵素組成物によって生成される量よりも、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は更には少なくとも約50%)多い。
一部の態様では、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物の加水分解能力の向上は、ある特定の方法で前処理された所与のリグノセルロース系バイオマス基質から、同じの糖化条件下で、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む、他の点では同一の酵素組成物により同じように前処理された同じバイオマスから生成される全糖のレベルと比較して、同等又は低減した量の全糖が生成されることによって観察できる。例えば、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む酵素組成物によって生成される全糖の量は、0.1mgのβ−グルコシダーゼ(Ate3Cポリペプチド又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用してバイオマス基質中のグルカン1gを加水分解する場合、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1(Ate3Cポリペプチドではなく)を含む、他の点では同一の酵素組成物によって生成される量と同じか、又はそれより少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は更には少なくとも約50%)少ない。
更なる態様では、Ate3Cポリペプチド及びAte3Cポリペプチドを含む組成物の加水分解性能の向上は、ある特定の方法で前処理された所与のリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解が、同じの糖化条件下で同じように前処理された同じバイオマスから、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む、他の点では同一の組成物によって生成されるグルコース量及び全糖量と比較して、増大した量のグルコース、並びに同等及び低減した量の全糖を生成することによって観察できる。例えば、0〜10mg(例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg)のβ−グルコシダーゼ(Ate3Cポリペプチド又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用してバイオマス基質PASC中のグルカン1gを加水分解する場合、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物により生成されるグルコースの量は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1によって又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の点では同一の酵素組成物によって生成される量よりも、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は更には少なくとも約50%)多く、一方、Ate3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物によって生成される全糖の量は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1によって又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の点では同一の酵素組成物組成物によって生成される量と同じか又は約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は更には少なくとも約50%)少ない。
本発明の組成物及び方法の態様は、上記で詳述した組換えAte3Cポリペプチド及びリグノセルロース系バイオマスを含む組成物を含む。好適なリグノセルロース系バイオマスは、例えば、農作物、食品又は飼料製造の副生成物、リグノセルロース廃棄物、例えばイネ科草本の残渣を含む植物残渣、又は紙くず若しくは廃棄紙に由来してもよい。ある特定の実施形態では、キシラン、ヘミセルロース、セルロース及び/又はリグニン材料を酵素に利用し易い又は作用し易いものにし、よって酵素的加水分解をより行い易くするために、リグノセルロース系バイオマスには、1つ又はそれ以上の前処理工程を行っている。好適な前処理方法は、例えば、反応器中で、強酸及び金属塩の希釈溶液を含む触媒にバイオマス材料を接触させることであってよい。例えば、米国特許第6,660,506号、同第6,423,145号を参照されたい。あるいは、好適な前処理は、例えば、米国特許第5,536,325号に記載されている多段階プロセスであってよい。ある特定の実施形態では、バイオマス材料には、米国特許第6,409,841号の開示に従って、約0.4%から約2%の強酸を使用した1つ又はそれ以上の段階の希酸加水分解を行ってもよい。前処理方法の更なる態様は、例えば、米国特許第5,705,369号;Gould,(1984)Biotech.& Bioengr.,26:46〜52;Teixeira et al.,(1999)Appl.Biochem & Biotech.,77〜79:19〜34;国際公開特許出願第WO2004/081185号;又は米国特許公開第20070031918号、又は国際公開特許出願第WO06110901号に記載されているものを含み得る。
本発明はまた、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしている単離ポリヌクレオチドであって、以下から選択される単離ポリヌクレオチドにも関連する。
(1)配列番号2又は配列番号3と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド;
(2)配列番号1と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する、又は中程度ストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件、又は極めて高いストリンジェンシー条件下で配列番号1、又はその相補配列にハイブリダイズする、ポリヌクレオチド。
本発明の組成物及び方法の態様は、配列番号2の配列又は成熟配列である配列番号3の配列と少なくとも85%同一(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)であるアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドをコードしている単離核酸配列を用いる、β−グルコシダーゼ活性を有するAte3Cポリペプチドを製造又は生成する方法を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、生産されるAte3Cポリペプチドが宿主生物により分泌されるような天然又は非天然シグナルペプチドを更に含み、例えば、シグナルペプチドは、配列番号13(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1のシグナル配列)に少なくとも90%同一である配列を含む。ある特定の実施形態では、単離核酸は、配列番号1に少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一である配列を含む。ある特定の実施形態では、単離核酸は、シグナルペプチド配列をコードしている核酸配列を更に含む。ある特定の実施形態では、シグナルペプチド配列は、配列番号13〜42から選択される配列であってよい。ある特定の詳細な実施形態では、配列番号13のシグナルペプチド配列をコードしている核酸配列を使用して、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)においてAte3Cポリペプチドを発現させる。
本発明の組成物及び方法の態様は、作動可能に調節配列と組み合わせて上記の単離核酸を含む発現ベクターを含む。
本発明の組成物及び方法の態様は、発現ベクターを含む宿主細胞を含む。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞又は真菌細胞である。ある特定の実施形態では、発現ベクターを含む宿主細胞は、リグノセルロース系バイオマスの加水分解により生成する可溶性糖を代謝することができるエタノール生成微生物であり、加水分解は、化学的及び/又は酵素的プロセスの結果である。
本発明の組成物及び方法の態様は、上記の宿主細胞及び培養培地を含む組成物を含む。本発明の組成物及び方法の態様は、β−グルコシダーゼを生産するのに好適な条件下で、上記の宿主細胞を培養培地中で培養する工程を含む、Ate3Cポリペプチドを生成する方法を含む。
本発明の組成物及び方法の態様は、上記のβ−グルコシダーゼを生成するための方法に従って生成した培養培地の上清中のAte3Cポリペプチドを含む組成物を含む。
一部の態様では、本発明は、上記及び本明細書において記載の、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む、核酸構築物、組換え発現ベクター、改変された宿主細胞に関する。更なる態様では、本発明は、核酸構築物、組換え発現ベクター、及び/又は改変された宿主細胞を使用して、本発明のβ−グルコシダーゼポリペプチド又はそのようなβ−グルコシダーゼポリペプチドを含む組成物を調製又は生成する方法に関連する。特に、本発明は例えば、配列番号2又は配列番号3の成熟配列と少なくとも85%同一である、又は配列番号1と少なくとも85%同一であるポリヌクレオチドによってコードされている、β−グルコシダーゼの成熟配列に作動可能に連結した好適なシグナルペプチドを含む核酸構築物、そのような核酸構築物を含む単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、組み換え発現ベクター、又は改変された宿主細胞に関する。一部の実施形態では、シグナルペプチド及びβ−グルコシダーゼ配列は異なる微生物に由来する。
作動可能に調節配列と組み合わせて単離核酸を含む発現ベクターもまた提供される。加えて、発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。なお更なる態様では、宿主細胞及び培養培地を含む組成物が提供される。
一部の実施形態では、宿主細胞は細菌細胞又は真菌細胞である。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、化学的加水分解又は酵素的加水分解又はこれらのプロセスの組合せによるものであってもよい、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解により生成する可溶性糖を代謝することができるが、異種の酵素を発現することもできるエタノール生成微生物である。一部の実施形態では、宿主細胞は、本発明のAte3Cポリペプチドなどの異種ポリペプチドを発現することができるだけでなく、糖をエタノール及び/又は下流生成物に発酵することもできる、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞である。ある特定の詳細な実施形態では、β−グルコシダーゼを発現するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞は、1種又はそれ以上のβ−グルコシダーゼを含む酵素組成物によってリグノセルロース系バイオマスから生成される糖を発酵することができる。1種又はそれ以上のβ−グルコシダーゼを含む酵素組成物は、同じβ−グルコシダーゼを含んでいてもよく、又は1種又はそれ以上の異なるβ−グルコシダーゼを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、1種又はそれ以上のβ−グルコシダーゼを含む酵素組成物は、細菌又は真菌細胞であってもよい、改変された宿主細胞によって生産される酵素混合物であってもよい。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞が本開示のAte3Cポリペプチドを発現する場合、Ate3Cポリペプチドは、発現はされるが分泌されないことがある。したがって、β−グルコシダーゼAte3CポリペプチドにD−グルコースの遊離を触媒させるためには、そのような宿主細胞中にセロビオースが導入又は「輸送」される必要がある。したがってある特定の実施形態では、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞は、Ate3Cポリペプチドをコードしている遺伝子に加えてセロビオーストランスポーター遺伝子により形質転換させる。セロビオーストランスポーター及びβ−グルコシダーゼは、例えば、Ha et al.,(2011)PNAS,108(2):504〜509にあるように、得られる微生物がセロビオースを発酵することができるように、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において発現されている。他のセロビオーストランスポーターは、例えば、公開されている米国特許出願番号第20110262983号にあるように、ピキア(Pichia)酵母において発現されている。セロビオーストランスポーターは、例えば、Sekar et al.,(2012)Applied Environmental Microbiology,78(5):1611〜1614にあるように、大腸菌(E.coli)に導入されている。
更なる実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、宿主細胞に異種発現させる。例えば、Ate3Cポリペプチドは、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)ではない改変微生物によって発現させる。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドを、1つ又はそれ以上の異なるセルラーゼ遺伝子と共発現させる。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドを、1つ又はそれ以上のヘミセルラーゼ遺伝子と共発現させる。
一部の態様では、前述の段落の組換えAte3Cポリペプチドを含む組成物及びそのような組成物を調製する方法が提供される。一部の実施形態では、組成物は、1種又はそれ以上の別のセルラーゼを更に含み、この場合、1種又はそれ以上の別のセルラーゼは、宿主細胞によってAte3Cポリペプチドと共発現させる。例えば、1種又はそれ以上の別のセルラーゼは、ゼロ又は1種又はそれ以上の別のβ−グルコシダーゼ、1種又はそれ以上のセロビオヒドロリアーゼ(cellobiohydrolyase)、及び/又は1種又はそれ以上のエンドグルカナーゼから選択することができる。そのような他のβ−グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ及び/又はエンドグルカナーゼが存在する場合、これを、単一の宿主細胞によってAte3Cポリペプチドと共発現させることができる。2種以上のセルラーゼのうちの少なくとも2種は、互いに異種であってもよく、又は異なる生物に由来してもよい。例えば、組成物は、2種のβ−グルコシダーゼを含んでいてもよく、第1のβ−グルコシダーゼはAte3Cポリペプチドであり、第2のβ−グルコシダーゼはアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)株に由来する。例えば、組成物は、少なくとも1種のセロビオヒドロラーゼ、1種のエンドグルカナーゼ、又はアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)に由来しない1種のβ−グルコシダーゼを含んでいてもよい。一部の実施形態では、セルラーゼのうちの1種又はそれ以上は宿主細胞の内因性のものであるが、改変されなければ宿主細胞において天然に存在していたであろうレベルとは異なるレベルで過剰発現又は発現される。例えば、セルラーゼのうちの1種又はそれ以上は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)宿主細胞にもともと存在するトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)CBH1及び/又はCBH2であってもよいが、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)宿主細胞においてAte3Cポリペプチドと共発現させるときに、CBH1及びCBH2のいずれか又は両方を過剰発現又は過少発現させる。
ある特定の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドを含む組成物は、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含んでもよく、この場合、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを、宿主細胞によってAte3Cポリペプチドと共発現させる。例えば、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼは、1種又はそれ以上のキシラナーゼ、1種又はそれ以上のβ−キシロシダーゼ、及び/又は1種又はそれ以上のL−アラビノフラノシダーゼから選択することができる。そのような他のキシラナーゼ、β−キシロシダーゼ及びL−アラビノフラノシダーゼが存在する場合、これを単一の宿主細胞によってAte3Cポリペプチドと共発現させることができる。一部の実施形態では、組成物は、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)に由来しない少なくとも1種のβ−キシロシダーゼ、キシラナーゼ又はアラビノフラノシダーゼを含んでいてもよい。
更なる態様では、組換えAte3Cポリペプチドを含む組成物は、1種又はそれ以上の別のセルラーゼ及び1種又はそれ以上のヘミセルアーゼ(hemicelluase)を更に含んでもよく、この場合、1種又はそれ以上のセルラーゼ及び/又は1種又はそれ以上のヘミセルラーゼは、宿主細胞によってAte3Cポリペプチドと共発現させる。例えば、Ate3Cポリペプチドは、1種又はそれ以上の別のβ−グルコシダーゼ、1種又はそれ以上のセロビオヒドロラーゼ、1種又はそれ以上のエンドグルカナーゼ、1種又はそれ以上のエンドキシラナーゼ、1種又はそれ以上のβ−キシロシダーゼ、及び1種又はそれ以上のL−アラビノフラノシダーゼと、他の非セルラーゼ非ヘミセルラーゼ酵素又はタンパク質に加えて、同じ宿主細胞において共発現させてもよい。本発明の組成物及び方法の態様はしたがって、Ate3Cポリペプチドに加えていくつかの酵素を共発現している上記の宿主細胞及び培養培地を含む組成物を含む。本発明の組成物及び方法の態様はしたがって、Ate3C含有酵素組成物を生成する方法であって、上記のいくつかの酵素をAte3Cポリペプチドと共発現する宿主細胞を、培養培地中で、Ate3C及び他の酵素を生産させるために好適な条件下で培養する工程を含む、方法を含む。本発明の方法に従って生成されるAte3Cポリペプチド及び他の酵素を培養培地の上清中に含む組成物もまた提供される。そのような培養培地の上清は、典型的には、細胞残屑を除去する濾過、殺菌手順、及び/又は限外濾過又は中の酵素を富化させる若しくは濃縮する他の工程を含む、最低限の生成後の処理を行って又は行わずに、そのまま使用することができる。そのような上清は、本明細書において「全ブロス」又は「全セルラーゼブロス」と呼ばれる。
更なる態様では、本発明は、セルロース材料を分解又は変換するため、及びセルロース材料から物質を生成するために好適な条件下で、上記の組成物を適用又は使用する方法に関連する。
更なる態様では、セルロース材料を発酵性糖に分解又は変換するための方法であって、好ましくはすでに1つ又はそれ以上の前処理工程を行っているセルロース材料を、Ate3Cポリペプチド又は前述の段落のうちの1つのそのようなポリペプチドを含む組成物と接触させて、発酵性糖を得る工程を含む、方法が提供される。
したがって、本明細書は、以下の特定の態様に関する。
第1の態様では、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含み、β−グルコシダーゼ活性を有する組換えポリペプチド。
第2の態様では、組換えポリペプチド及びトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を使用してリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する場合に、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較してβ−グルコシダーゼ活性が向上している、第1の態様の組換えポリペプチド。
第3の態様では、β−グルコシダーゼ活性の向上が、セロビアーゼ活性の増大又はセロビオースを加水分解し、それによりD−グルコースを遊離させる能力の向上である、第1又は第2の態様の組換えポリペプチド。
第4の態様では、β−グルコシダーゼ活性の向上が、同じの糖化条件下でリグノセルロース系バイオマスからのグルコース収率が増加し、全糖収率が同等又はそれ以下であることである、第1から第3の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチド。
第5の態様では、リグノセルロース系バイオマスが、糖化の前に前処理を行ったものである、上記第1から第4の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチド。前処理は、好適には、リグノセルロース系バイオマス基質の酵素的利用及び加水分解を行い易くする、当技術分野において知られているものであってよく、例えば本明細書において記載されている前処理方法を含み得る。
第6の態様では、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、上記第1から第5の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチド。
第7の態様では、配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、上記第1から第5の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチド。
第8の態様では、上記第1から第7の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチドを含み、1種又はそれ以上の別のセルラーゼを更に含む組成物。
第9の態様では、1種又はそれ以上の別のセルラーゼが、ゼロ又は1種又はそれ以上の別のβ−グルコシダーゼ、1種又はそれ以上のセロビオヒドロラーゼ及び1種又はそれ以上のエンドグルカナーゼから選択される、第8の態様の組成物。
第10の態様では、上記第1から第7の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチドを含み、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含む組成物。
第11の態様では、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含む、上記の第8又は第9の態様の組成物。
第12の態様では、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼが、1種又はそれ以上のキシラナーゼ、1種又はそれ以上のβ−キシロシダーゼ、及び1種又はそれ以上のL−アラビノフラノシダーゼから選択される、上記第10の又は第11の態様の組成物。
第13の態様では、第1から第7の態様のいずれか一態様の組換えポリペプチドをコードしている核酸。
第14の態様では、シグナル配列を更に含む、第13の態様の核酸。
第15の態様では、シグナル配列が、配列番号13〜42からなる群から選択される、第14の態様の核酸。
第16の態様では、作動可能に調節配列と組み合わせて、第13から第15の態様のいずれか一態様の核酸を含む発現ベクター。
第17の態様では、第16の態様の発現ベクターを含む宿主細胞。
第18の態様では、細菌細胞又は真菌細胞である、第17の態様の宿主細胞。いくつかの細菌細胞は、本明細書に記載されている通り好適な宿主細胞であることが知られている。いくつかの真菌細胞もまた適している。一部の実施形態では、細菌又は真菌宿主細胞は、ある特定の単糖をエタノールに発酵又は代謝することができるエタノール生成源であってもよい。例えば、エタノール生成ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)が、本開示のβ−グルコシダーゼポリペプチドを発現する宿主細胞であってもよい。例えば、エタノール生成真菌サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母もまた、本開示のβ−グルコシダーゼポリペプチドを生産する宿主細胞として機能する。
第19の態様では、第16又は第17の態様の宿主細胞及び培養培地を含む組成物。
第20の態様では、β−グルコシダーゼを生成する方法であって、β−グルコシダーゼを生産するのに好適な条件下で、第17又は第18の態様の宿主細胞を培養培地中で培養する工程を含む方法。
第21の態様では、上記の第20の態様の方法に従って生成されたβ−グルコシダーゼを、培養培地の上清中に含む組成物。
第22の態様では、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するための方法であって、リグノセルロース系バイオマス基質を、第1から第7の態様のいずれか一態様のポリペプチドと又は第21の態様の組成物と接触させて、グルコース及び/又は他の糖を得る工程を含む方法。
Ate3C組成物及び方法のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明より明らかとなるであろう。
pENTR/D−TOPO−Bgl1(943/942)ベクターのマップを示す図。 pTrex3g 943/942構築物のマップを示す図。 リン酸膨潤セルラーゼ(PASC)を基質として使用し、50℃にて1.5時間でのAte3Cの加水分解性能を、基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して示すグラフ。国際公開公報第WO 2011/038019号における記載に従って改変トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株から生成したバックグラウンド全セルラーゼに、Ate3C及びBgl1を添加し、β−グルコシダーゼ添加量を様々に変化させてβ−グルコシダーゼ+全セルラーゼ混合物をPASC基質と混合した。 様々なβ−グルコシダーゼ添加量でのグルカン変換の測定及び比較を示す。 様々なβ−グルコシダーゼ添加量での全グルコース生成量の測定及び比較を示す。 様々なβ−グルコシダーゼ添加量でPASCを加水分解することにより生成されたセロビオースの測定及び比較を示す。 希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉(DACS)を基質として使用し、50℃にて2日間での、Ate3Cの加水分解性能を、基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して示すグラフ。国際公開公報第WO 2011/038019号における記載に従って改変トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株から生成したバックグラウンド全セルラーゼに、Ate3C及びBgl1を添加し、セルロースに対する全タンパク質添加量を様々に変化させてβ−グルコシダーゼ+セルラーゼ混合物をDACS基質と混合した。 セルロースに対する全タンパク質添加量を変化させた場合の、全グルカン変換の測定及び比較を示す。 セルロースに対する全タンパク質添加量を変化させた場合の、全グルコース生成量の測定及び比較を示す。 希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉(DACS)を基質として使用し、50℃にて2日間での、Ate3Cの加水分解性能を、基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して示すグラフ。国際公開公報第WO 2011/038019号における記載に従って改変トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株から生成した全セルラーゼを13.4mgタンパク質/gセルロースの一定量で使用し、様々な添加量でAte3C及びBgl1を添加した。 様々なβ−グルコシダーゼ投入量での(全セルラーゼバックグラウンドは13.4mgタンパク質/gセルロースで一定に保つ)全グルカン変換の測定及び比較を示す。 様々なβ−グルコシダーゼ投入量(全セルラーゼバックグラウンドは13.4mgタンパク質/gセルロースで一定に保つ)での全グルコース生成量の測定及び比較を示す。 サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エタノール生成源におけるAte3Cポリペプチドの発現のために最適化され合成されたAte3C遺伝子を含む酵母シャトルベクターpSC11構築物を示す図。 ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)エタノール生成源におけるAte3Cポリペプチドの発現のために最適化され合成されたAte3C遺伝子を含むザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)組込みベクターpZC11を示す図。 本開示の配列及び配列識別子を示す。 本開示の配列及び配列識別子を示す。 本開示の配列及び配列識別子を示す。 本開示の配列及び配列識別子を示す。
I.概略
アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のグリコシルヒドロラーゼファミリー3に属する組換えβ−グルコシダーゼAte3Cに関する組成物及び方法が本明細書において記載されている。本発明の組成物及び方法は、この組成物を使用してリグノセルロース系バイオマス材料又は供給原料を加水分解する場合、組換えAte3Cポリペプチドが、例えば、既知の基準となる高正確性β−グルコシダーゼトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のBgl1よりも、より高いセルラーゼ活性を有し、酵素組成物の成分としてより強力であるという観察結果に一部基づく。Ate3Cポリペプチドのこうした特徴のため、これら又はその変異体は、例えば、リグノセルロース系バイオマス供給原料の変換又は加水分解を含む、非常に多くのプロセスに使用するのに好適である。
本発明の組成物及び方法をより詳細に記述する前に、本発明の組成物及び方法は、記載されている特定の実施態様に限定されず、したがって当然ながら、多様であり得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、具体的な実施形態を記載するという目的でのみ使用されるものであり、制限を意図するものではなく、したがって、本発明の組成物及び方法の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることも理解されるであろう。
値の範囲が示される場合、間にある各値、文脈により別途明確に規定されない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限の間及びその記載されている範囲内の任意の別の記載されている値又は間にある値が、本発明の組成物及び方法の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立に、そのより小さい範囲に含まれてもよく、記載されている範囲内の任意の明確に除外されている限界に従って、やはり本発明の組成物及び方法の範囲内に包含される。規定の範囲が上限又は下限のいずれか又は両方を含む場合、これらの含まれる上限又は下限のいずれか又は両方を除外する範囲もまた本発明の組成物及び方法に含まれる。
ある特定の範囲は、その前に「約」という用語を伴う数値を用いて本明細書において提示される。「約」という用語は本明細書において、その後にくる正確な数、並びにその用語の後にくる数に近い又は近似の数を文字で支持するために使用される。ある数が具体的に列挙されている数に近い又は近似の数であるかどうかを決定するとき、その近い又は近似の列挙されていない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な同値を示す数であり得る。例えば、ある数値に関して、「約」という用語は、その用語が文脈において別途明確に定義されていない限り、その数値の−10%から+10%の範囲を指す。別の例では、「約6のpH値」という語句は、そのpH値が別途明確に定義されていない限り、5.4から6.6までのpH値を指す。
本明細書において記載されている見出しは、全体として本明細書に参照により用いられ得る本発明の組成物及び方法の様々な態様又は実施形態を制限するものではない。したがって、以降で定義される用語は、総じて本明細書を参照することによってより詳しく定義される。
本文書は読み易くするためにいくつかの節から構成されているが、読者は、1つの節においてなされた記述が他の節にも適用され得ることを理解するであろう。このように、本開示の異なる節に使用される見出しは、限定であると解釈されるべきではない。
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の組成物及び方法の属する当業者により一般に理解される意味と同じ意味を持つ。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本発明の組成物及び方法の実施又は試験において使用することができるが、代表的な例示的方法及び材料を、以下に記述する。
本明細書において引用されているすべての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照として援用されると具体的かつ個々に示された場合と同様に、本明細書に参照として援用され、関連の出版物が引用された方法及び/又は材料を開示及び記述するために、参照として本明細書に援用される。任意の出版物の引用は、出願日の前のその開示に関するものであり、本発明の組成物及び方法が先行発明のためにそのような出版物に先行する権利を有さないことを承認するものと解釈されるべきではない。更に、示されている出版日は、それぞれ独立に確認する必要があるであろう実際の出版日とは異なる場合がある。
この発明を実施するための形態に従い、以下の略記及び定義を適用する。単数形「a」「an」及び「the」は、内容が明らかに他の事を指し示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「酵素」という場合には、複数のこうした酵素が含まれ、「投与量(dosage)」という場合には、当業者には周知の1つ又はそれ以上の投与量及びその等価物などが含まれる。
特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、請求項の構成要素の列挙、又は「消極的」限定の使用に関連して、「だけ」、「のみ」などのような排他的な用語を使用するための先行する根拠として役立つことを意図する。
「組換え」という用語は、ある対象の細胞、核酸、ポリペプチド/酵素又はベクターに関して使用される場合、その対象が天然の状態から改変されていることを示す。よって、例えば、組換え細胞は、細胞の天然(非組換え)形態内では見られない遺伝子を発現し、又は自然界で見られるものと異なるレベル、又は異なる条件下で天然の遺伝子を発現する。組換え核酸は、天然配列とは1つ又はそれ以上のヌクレオチドが異なっていてもよく、かつ/又は発現ベクターにおいて、異種配列、例えば、異種プロモーター、分泌を可能にするシグナル配列などに作動可能に連結されている。組換えポリペプチド/酵素は、天然配列とは1つ又はそれ以上のアミノ酸が異なっていてもよく、かつ/又は異種配列と融合されている。β−グルコシダーゼをコードしている核酸を含むベクターは、例えば、組み換えベクターである。
本明細書において使用される「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という用語は、その用語の後の成分が、前記成分の作用又は活性に寄与又は干渉しない、全組成物の30重量%未満の全量の他の既知の成分の存在下にある、組成物を指すことに更に留意されたい。
「含む(comprising)」という用語は、本明細書において使用される場合、「含む(comprising)」という用語の後の成分を含むがこれらに限定されないことを意味することに更に留意されたい。「含む(comprising)」という用語の後の成分は、必要又は必須であるが、この成分を含む組成物は、他の必須でない又は任意の成分を更に含んでもよい。
本明細書において使用される「〜からなる(consisting of)」という用語は、「〜からなる」という用語の後の成分を含み、これらに限定されることを意味することにもまた留意されたい。「〜からなる(consisting of)」という用語の後の成分はしたがって、必要又は必須であり、他の成分は組成物中に存在しない。
本開示を読めば当業者には明らかとなるように、本明細書において記述及び例示されている個々の態様のそれぞれは、本明細書において記載されている本発明の組成物及び方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の一部の態様のいずれかの特徴と容易に分離し、又はそれと組み合わせることができる別個の成分及び特徴を有する。任意の列挙されている方法は、列挙されている事象の順序で又は論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。
II.用語の定義
「β−グルコシダーゼ」は、E.C.3.2.1.21のβ−D−グルコシドグルコヒドロラーゼを指す。「したがって、「β−グルコシダーゼ活性」という用語は、β−D−グルコース又はセロビオースを加水分解してD−グルコースを放出する触媒能を指す。β−グルコシダーゼ活性は、例えば、本開示の実施例2Cに記載しているように、酵素がセロビオース基質を加水分解してD−グルコースを生じる触媒能を測定する、セロビアーゼアッセイを使用して決定してもよい。
本明細書において使用される場合、「Ate3C」又は「Ate3Cポリペプチド」は、基準となるβ−グルコシダーゼである、配列番号4のアミノ酸配列を有する野生型トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1ポリペプチドと比較した場合に、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する性能が向上している、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)(及びその変異体)に由来するグリコシルヒドロラーゼファミリー3(例えば、組換えβ−グルコシダーゼ)に属するβ−グルコシダーゼを指す。本発明の組成物及び方法の態様によれば、Ate3Cポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するもの、並びに配列番号2のアミノ酸配列と、又は成熟配列である配列番号2と、又は配列番号2の長さが少なくとも100残基の断片と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する誘導体又は変異体ポリペプチドを含み、この場合Ate3Cポリペプチドは、β−グルコシダーゼ活性を有し、セロビオースからD−グルコースへの変換を触媒することができるだけでなく、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比べてより高いβ−グルコシダーゼ活性、及びより高いセロビオースからD−グルコースへの変換触媒能も有する。
本開示の組成物及び方法において使用されるAte3Cポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列のポリペプチド、又は配列番号2の残基20〜861からなるポリペプチド;又は成熟配列である配列番号3の、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、及び更により好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、及び好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも100%又はそれ以上のβ−グルコシダーゼ活性を有するであろう。
「ファミリー3グリコシルヒドロラーゼ」又は「GH3」は、Henrissat,Biochem.J.280:309〜316(1991)による、及びHenrissat & Cairoch,Biochem.J.,316:695〜696(1996)による分類に従って、グリコシルヒドロラーゼファミリー3の定義に該当するポリペプチドを指す。
本明細書に記載の本発明の組成物及び方法によるAte3Cポリペプチドは、単離又は精製することができる。精製又は単離は、Ate3Cポリペプチドが、それが自然界において関連している天然に存在する成分の一部又はすべてからAte3Cを分離することによって、その天然の状態から変化していることを意味する。そのような単離又は精製は、最終組成物において望ましくない細胞全体、細胞残屑、夾雑物、外来タンパク質、又は酵素を除去するための、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性分離、透析、プロテアーゼ処理、硫安沈殿又は他のタンパク質塩析、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、精密濾過、ゲル電気泳動又は勾配分離などの当技術分野において承認されている分離技術によって行うことができる。その後、例えば、活性化剤、抗阻害剤、望ましいイオン、pHを調節する化合物又は他の酵素若しくは化学物質など、追加の利益をもたらす構成要素をAte3C含有組成物に加えることが更に可能である。
本明細書において使用される場合、「微生物」は、細菌、真菌、ウイルス、原虫、及び他の微生物又は微小な生物を指す。
本明細書において使用される場合、ポリペプチドの「誘導体」又は「変異体」という用語は、C末端及びN末端のいずれか又は両方に1つ又はそれ以上のアミノ酸を付加することにより、アミノ酸配列中の1つ又は多数の異なる部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換することにより、ポリペプチドのいずれか若しくは両方の末端で又はアミノ酸配列の1つ又はそれ以上の部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を欠失させることにより、あるいは、アミノ酸配列中の1つ又はそれ以上の部位で1つ又はそれ以上のアミノ酸を挿入することにより、前駆体ポリペプチド(例えば、天然ポリペプチド)から誘導されるポリペプチドを指す。Ate3C誘導体又は変異体の調製は、任意の好都合な方法で、例えば、天然ポリペプチドをコードしているDNA配列を変更し、そのDNA配列により好適な宿主を形質転換し、変更したDNA配列を発現させて、誘導体/変異体Ate3Cを形成することによって、実現することができる。誘導体又は変異体は、化学的に修飾されたAte3Cポリペプチド、例えば、グリコシル化又は別の方法でAte3Cポリペプチドの特性を変えることを更に含む。Ate3Cの誘導体及び変異体が本発明の組成物及び方法に包含されるが、そのような誘導体及び変異体は、同じリグノセルロース系バイオマス基質加水分解条件下で、配列番号4の野生型トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1のものと比較した場合に向上したβ−グルコシダーゼ活性を示すだろう。
ある特定の態様では、本発明の組成物及び方法のAte3Cポリペプチドはまた、親ポリペプチドに由来し、配列番号2を含む又はそれからなる完全長ポリペプチド、又は配列番号3を含む又はそれからなる成熟配列であってもよい、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド又はポリペプチド断片の機能的断片を包含してもよい。機能的ポリペプチドは、N末端領域若しくはC末端領域のいずれかにおいて、又は両領域において切断されて、親ポリペプチドの断片を生じていてもよい。本開示の目的のために、機能的断片は、親ポリペプチドの活性の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、40%、50%、又は好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、又は更により好ましくは少なくとも90%のβ−グルコシダーゼ活性を有さなければならない。
ある特定の態様では、Ate3C誘導体/変異体は、配列番号2のアミノ酸配列と、又は成熟配列である配列番号3と85%から99%(又はそれ以上)までの間のいずれかのアミノ酸配列同一性を有し、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と又は成熟配列である配列番号3と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、1個のアミノ酸を、他の生物学的に類似したアミノ酸で置き換える、L−アミノ酸を使用した「保存的アミノ酸置換」である。保存的アミノ酸置換は、置換されるアミノ酸の全体の電荷、疎水性/親水性及び/又は立体的なかさ高さを維持するものである。保存的置換の例は、以下の群間の置換である:Gly/Ala、Val/Ile/Leu、Lys/Arg、Asn/Gln、Glu/Asp、Ser/Cys/Thr、及びPhe/Trp/Tyr。誘導体は、例えば、わずか1から10アミノ酸残基、例えば、6〜10、わずか5、わずか4、3、2、又は更には1アミノ酸残基が異なっていてもよい。一部の実施形態では、Ate3C誘導体は、N末端及び/又はC末端欠失を有してもよく、欠失した末端部分を除いたAte3C誘導体は、配列番号2又は配列番号3中の連続的な小領域と同一である。
本明細書において使用される場合、本明細書において同定されているアミノ酸又はヌクレオチド配列に関する「配列同一性パーセント(%)」は、保存的置換は配列同一性の一部とみなさずに、最大の配列同一性パーセントを実現するために、配列をアラインメントし、必要であればギャップを挿入した後に、Ate3C配列中のアミノ酸残基又はヌクレオチドと同一である、候補配列中のアミノ酸残基又はヌクレオチドのパーセントと定義される。
「相同体」は、対象アミノ酸配列及び対象ヌクレオチド配列と一定の同一性を有するものを意味する。相同配列は、通常の配列アラインメントツール(例えば、Clustal、BLASTなど)を用いて、対象配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は更には99%同一であるアミノ酸配列を含むとみなされる。通常、相同体は、特に指示がない限り、対象アミノ酸配列と同じ活性部位残基を含む。
配列アラインメントを実施し、配列同一性を決定するための方法は当業者に公知であり、過度の実験を行わずとも実施することができ、同一性の値の計算は明確に得ることができる。例えば、Ausubel et al.,eds.(1995)Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 19(Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York);及びthe ALIGN program(Dayhoff(1978)in Atlas of Protein Sequence and Structure 5:Suppl.3(National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.)を参照されたい。多数のアルゴリズムが、配列をアラインメントし、配列同一性を決定するために利用可能であり、例えば、Needleman et al.(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズム;Smith et al.(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所的相同性アルゴリズム;Pearson et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444の類似性検索方法;Smith−Watermanアルゴリズム(Meth.Mol.Biol.70:173〜187(1997);及びBLASTP、BLASTN、及びBLASTXアルゴリズム(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410を参照されたい)が挙げられる。
これらのアルゴリズムを使用したコンピュータ制御プログラムもまた利用可能であり、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア、又はWU−BLAST−2(Altschul et al.,(1996)Meth.Enzym.,266:460〜480);又はGenetics Computing Group(GCG)パッケージ、Version 8,Madison,Wisconsin,USAで利用可能なGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTA;並びにIntelligenetics,Mountain View,CaliforniaによるPC/GeneプログラムのCLUSTALが挙げられるがこれらに限定的されない。当業者は、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを得るために必要なアルゴリズムを含めて、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。好ましくは、配列同一性は、プログラムにより決定されるデフォルトパラメータを使用して決定する。詳細には、配列同一性は、以下のデフォルトパラメータを用いてCLUSTAL W(Thompson J.D.et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:4673〜4680)を使用して決定する。
Figure 2015533293
本明細書において使用される場合、「発現ベクター」は、好適な宿主においてDNAの発現に作用することができる、好適な調節配列に作動可能に連結されているDNA配列を含むDNA構築物を意味する。このような調節配列として、転写に作用するプロモーター、転写を調節するための任意のオペレーター配列、mRNA上の適切なリボソーム結合部位をコードしている配列、並びに転写及び翻訳の終結を調節する配列を挙げることができる。異なる細胞タイプを、異なる発現ベクターとともに使用してもよい。バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)において使用されるベクター用の例示的なプロモーターはAprEプロモーターであり、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)において使用される例示的なプロモーターはA4プロモーター(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来)であり、大腸菌(E. coli)において使用される例示的なプロモーターはLacプロモーターであり、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において使用される例示的なプロモーターはPGK1であり、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)において使用される例示的なプロモーターはglaAであり、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)用の例示的なプロモーターはcbhIである。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単純に潜在的なゲノムインサートであってよい。ベクターは、好適な宿主に形質転換すると、宿主ゲノムとは独立して複製及び機能できるようになり、あるいは好適な条件下においてゲノム自体に組み込まれ得る。本明細書において、プラスミド及びベクターは、互換的に使用されることがある。しかしながら、本発明の組成物及び方法は、同等の機能を果たし、当技術分野において公知である、又は公知となる他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。よって、広範な種類の宿主/発現ベクターの組合せを、本明細書に記載のDNA配列を発現させるのに用いることができる。有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体及び合成DNAの配列断片からなってもよく、例えば、SV40の様々な既知の誘導体及び既知の細菌プラスミド、例えば、col E1、PCR1、pBR322、pMb9、pUC19及びそれらの誘導体を含む大腸菌(E. coli)由来プラスミド、より広い宿主域のプラスミド、例えば、RP4、ファージDNA、例えば、ファージλの非常に多くの誘導体、例えば、NM989、及び他のDNAファージ、例えば、M13及び繊維状一本鎖DNAファージ、酵母プラスミド、例えば、2μプラスミド又はその誘導体、真核生物細胞において有用なベクター、例えば、動物細胞において有用なベクター及びプラスミドとファージDNAの組合せにより得られるベクター、例えば、ファージDNA又は他の発現調節配列を用いるように変更されているプラスミドなどである。本発明の組成物及び方法の発現ベクターを使用した発現技術は当技術分野において知られており、概して、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Press(1989)に記載されている。しばしば、本明細書に記載のDNA配列を含むそのような発現ベクターは、組込み現象によって特定の種のゲノム中に直接挿入することによって単細胞宿主を形質転換する(例えば、Bennett & Lasure,More Gene Manipulations in Fungi,Academic Press,San Diego,pp.70〜76(1991)及び真菌宿主における位置選択的ゲノム挿入(targeted genomic insertion)を記述しているその引用論文)を参照されたい。
本明細書において使用される場合、「宿主株」又は「宿主細胞」は、本発明の組成物及び方法によるDNAを含む発現ベクターに好適な宿主を意味する。本発明の組成物及び方法において有用な宿主細胞は、一般に、発現を実現することができる任意の形質転換可能な微生物を含む原核生物又は真核生物宿主である。詳細には、宿主株は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)であってよい。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、エタノール生成微生物であってもよく、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)などのエタノール生成細菌であってよい。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)が宿主細胞として使用される場合、β−グルコシダーゼ遺伝子が宿主細胞から分泌されるのではなく細胞内で発現されるものであれば、細胞内で発現されるβ−グルコシダーゼがセロビオース基質に作用し、グルコースを遊離させ、次いでこれを微生物がその後又は直ちに代謝し、エタノール変換することができるように、セロビオーストランスポーター遺伝子を宿主細胞中に導入することができる。
宿主細胞は、組み換えDNA技術を使用して構築されたベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトさせる。そのような形質転換宿主細胞は、Ate3C(及びその誘導体又は変異体(突然変異体))をコードするベクター、及び所望のペプチド生成物を発現するベクターの一方又は両方を複製することができる場合がある。本発明の組成物及び方法のある特定の実施形態では、「宿主細胞」は、トリコデルマ(trichoderma)属種の細胞から作出される細胞及びプロトプラストの両方を意味する。
細胞に関して使用される「形質転換された」、「安定に形質転換された」及び「トランスジェニック」という用語は、その細胞が、ゲノムに組み込まれた又は複数世代を通して維持されるエピソームとして保有される非天然(例えば、異種)の核酸配列を含有することを意味する。
細胞へ核酸配列を挿入するという文脈における「導入された」という用語は、当技術分野において公知の「遺伝子導入」、「形質転換」、又は「形質導入」を意味する。
「宿主株」又は「宿主細胞」は、目的のポリペプチド(例えば、β−グルコシダーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ファージ、ウイルス又はDNA構築物が導入された生物である。例示的な宿主株は、目的のポリペプチドを発現することができる微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌、及び酵母)である。「宿主細胞」という用語は、細胞から生成されるプロトプラストを含む。
ポリヌクレオチド又はポリペプチドに関する「異種の」という用語は、宿主細胞において天然に存在しないポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。
ポリヌクレオチド又はポリペプチドに関する用語「内因性」は、宿主細胞中に天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドのことをいう。
用語「発現」は、核酸配列に基づいてポリペプチドが産生される過程を指す。このプロセスは、転写と翻訳の両方を含む。
したがってリグノセルロース系バイオマス基質をエタノールに変換するプロセスは、一部の実施形態では、2つのβ−グルコシダーゼ活性を含むことができる。例えば、第1のβ−グルコシダーゼ活性は、糖化又は加水分解工程中にリグノセルロース系バイオマス基質に適用されてもよく、第2のβ−グルコシダーゼ活性は、糖化又は加水分解工程から得られた単糖又は発酵性糖が代謝される発酵工程においてエタノール生成微生物の一部として適用されてもよい。第1及び第2のβ−グルコシダーゼ活性は、一部の実施形態では、同じβ−グルコシダーゼポリペプチドの存在により得られるものであってもよい。例えば、糖化における第1のβ−グルコシダーゼ活性は、本発明のAte3Cポリペプチドの存在により得られるものであってもよく、一方、発酵段階における第2のβ−グルコシダーゼ活性は、エタノール生成微生物が異なるβ−グルコシダーゼを発現することにより得られるものであってもよい。別の例では、第1及び第2のβ−グルコシダーゼ活性は、糖化又は加水分解工程及び発酵工程において同じポリペプチドが存在することにより得られるものであってもよい。例えば、本発明の同じAte3Cポリペプチドは、一部の実施形態では、加水分解又は糖化工程と発酵工程の両方のために、β−グルコシダーゼ活性を提供し得る。
ある特定の別の実施形態では、リグノセルロース系バイオマス基質をエタノールに変換するプロセスは、2種類のβ−グルコシダーゼ活性を含むことができるが、糖化又は加水分解工程と発酵工程は、例えば同じタンク中で、同時に起こる。2種以上のβ−グルコシダーゼポリペプチドがβ−グルコシダーゼ活性に寄与し得、そのうちの1種は本発明のAte3Cポリペプチドであり得る。
更にある特定の態様では、リグノセルロース系バイオマスをエタノールに変換するプロセスは、1種のβ−グルコシダーゼ活性を含むことができるが、糖化又は加水分解工程と発酵工程の両工程ではなくいずれか一方が、β−グルコシダーゼの関与を伴う。例えば、本発明のAte3Cポリペプチド又はAte3Cポリペプチドを含む組成物を、糖化工程において使用してもよい。別の例では、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するために使用される酵素組成物はβ−グルコシダーゼ活性を含まないが、エタノール生成微生物がβ−グルコシダーゼポリペプチド、例えば、本発明のAte3Cポリペプチドを発現する。
本明細書において使用される場合、「シグナル配列」は、ポリペプチドのN末端部分に結合したアミノ酸の配列を意味し、細胞外のポリペプチドの成熟型の分泌を促進する。シグナル配列のこの定義は、機能的定義である。細胞外ポリペプチドの成熟型は、分泌プロセスの間に切断されるシグナル配列を有していない。Ate3Cの天然シグナル配列を本発明の組成物及び方法の態様において用いてもよいが、他の非天然シグナル配列(例えば、配列番号13)を用いてもよい。「成熟」という用語は、本明細書においてポリペプチドに関する場合、翻訳及び任意の翻訳後修飾後のその最終形態のポリペプチドを意味する。例えば、本発明のAte3Cポリペプチドは、1つ又はそれ以上の成熟型を有し、そのうちの少なくとも1つは配列番号3のアミノ酸配列を有する。
本発明のβ−グルコシダーゼポリペプチドは、シグナル配列を含む場合は「前駆体」、「未成熟」又は「完全長」と称され、又はシグナル配列を欠く場合は「成熟」と称され得る。ポリペプチドの成熟型は、一般に最も有用である。別途記載のない限り、本明細書において使用されるアミノ酸残基番号付けは、それぞれのアミラーゼポリペプチドの成熟型を参照する。本発明のβ−グルコシダーゼポリペプチドはまた、得られるポリペプチドがβ−グルコシダーゼ活性を保持する限り、切断されてN又はC末端が除去されていてもよい。
本発明のβ−グルコシダーゼポリペプチドはまた、第1のβ−グルコシダーゼポリペプチドの少なくとも一部分、及び第2のβ−グルコシダーゼポリペプチドの好きなくとも一部分を含むという点で「キメラ」又は「ハイブリッド」ポリペプチドであってもよい(そのようなキメラβ−グルコシダーゼポリペプチドは、例えば、それぞれのβ−グルコシダーゼのドメインスワッピングを含む公知の技術を使用して、第1及び第2のβ−グルコシダーゼから得ることができる)。本発明のβ−グルコシダーゼポリペプチドは更に、異種シグナル配列、追跡又は精製を可能にするエピトープなどを含んでもよい。「異種」という用語が、目的のポリペプチドを発現させるために使用されるシグナル配列を指すために使用される場合、この用語は、シグナル配列が、例えば、目的のポリペプチドとは異なる微生物に由来することを意味する。本発明のAte3Cポリペプチドを発現させるために好適な異種シグナル配列の例は、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来のものであってよい。
本明細書において使用される場合、「機能的に結合された」又は「作動可能に連結された」は、既知の又は所望の活性を有する調節領域又は機能的ドメイン、例えば、プロモーター、ターミネーター、シグナル配列又はエンハンサー領域などが、調節領域又は機能的ドメインがその既知の又は所望の活性に応じてその標的の発現、分泌又は機能を調節することができるように、標的(例えば、遺伝子又はポリペプチド)に結合している又は連結されていることを意味する。
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」及び「酵素」という用語は互換的に使用されて、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指す。アミノ酸残基については従来の一文字又は三文字コードが本明細書でも使用される。ポリマーは直鎖又は分枝鎖であってよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語は、自然に又は介入によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1つ又はそれ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、並びに当技術分野において公知の他の修飾物も定義に含まれる。
本明細書において使用される場合、「野生型」及び「天然」遺伝子、酵素又は菌株は、天然に見出されるものである。
ポリペプチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、1つ又はそれ以上のアミノ酸位置において人工的な置換、挿入、又は欠失を含まない、天然に存在するポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、人工的なヌクレオシドの変化を含まない、天然に存在するポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型、親、又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチドに限定されるのではなく、野生型、親、又は参照ポリペプチドをコードするいかなるポリヌクレオチドも包含する。
本明細書において使用される場合、「変異型ポリペプチド」は、典型的には組換えDNA技術によって、1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、付加、又は欠失により親(又は参照)ポリペプチドから誘導されるポリペプチドを指す。変異体ポリペプチドは、少数のアミノ酸残基が親ポリペプチドとは異なっていてもよい。変異体ポリペプチドは、それらの親ポリペプチドとの一次アミノ酸配列相同性/同一性のレベルによって定義することができる。好適には、変異体ポリペプチドは、親ポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する。
本明細書において使用される場合、「変異体ポリヌクレオチド」は、変異体ポリペプチドをコードするか、親ポリヌクレオチドと特定の程度の相同性/同一性を有するか、又は親ポリヌクレオチド又はその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。好適には、変異体ポリヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドと又は親ポリヌクレオチドの相補鎖と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のヌクレオチド配列同一性を有する。同一性パーセント(%)を決定するための方法は当技術分野において公知であり、上記で述べている。
「〜に由来する」という用語は、「〜起源である」、「〜から得られる」、「〜から得ることができる」、「〜から単離される」、及び「〜から作出される」という用語を包含し、ある特定の材料が、別の特定の材料を起源とするか、又は別の特定の材料に関連して述べられ得る特徴を有することを一般に示す。
本明細書において使用される場合、「ハイブリダイゼーション条件」という用語は、ハイブリダイゼーション反応が行われる条件を指す。これらの条件は、ハイブリダイゼーションが測定される条件の「ストリンジェンシー」の程度によって一般に分類される。ストリンジェンシーの程度は、例えば、核酸結合複合体又はプローブの融解温度(Tm)に基づいたものであり得る。例えば、通常、「最大のストリンジェンシー」は約Tm−5℃(プローブのTmよりも5℃低い温度)で、「高ストリンジェンシー」はTmよりも約5〜10℃低い温度で、「中程度ストリンジェンシー」はプローブのTmよりも約10〜20℃低い温度で、「低ストリンジェンシー」はTmよりも約20〜25℃低い温度で起こる。あるいは、又は更に、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び/又は1回若しくはそれ以上のストリンジェンシー洗浄の塩又はイオン強度条件に基づいたもの、例えば、6×SSC=極めて低いストリンジェンシー、3×SSC=低〜中程度のストリンジェンシー、1×SSC=中程度のストリンジェンシー、及び0.5×SSC=高ストリンジェンシーなどであってもよい。機能的には、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性又はほぼ厳密な同一性を有する核酸配列を特定するためには最大のストリンジェンシー条件を用いることが可能であり、一方、プローブと約80%以上の配列同一性を有する核酸配列を特定するためには高ストリンジェンシー条件が用いられる。高い選択性が求められる用途では、比較的ストリンジェントな条件を用いてハイブリッドを形成させることが一般に望ましい(例えば、比較的低い塩濃度及び/又は高い温度条件が用いられる)。
本明細書において使用される場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、当技術分野において公知のように、塩基対形成によって核酸鎖が相補鎖と結合するプロセスを指す。より詳細には、「ハイブリダイゼーション」は、ブロットハイブリダイゼーション法及びPCR法の最中に起こるような、核酸の1つの鎖が相補鎖と二本鎖、すなわち塩基対を形成するプロセスを指す。中程度〜高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件下で2つの配列が互いに特異的にハイブリダイゼーションする場合、核酸配列は参照核酸配列に対し「選択的にハイブリダイゼーション可能」であるものとみなされる。ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体又はプローブの融解温度(Tm)に基づく。例えば、通常、「最大のストリンジェンシー」は約Tm−5℃(プローブのTmよりも5℃低い温度)で、「高ストリンジェンシー」はTmよりも約5〜10℃低い温度で、「中程度ストリンジェンシー」はプローブのTmよりも約10〜20℃低い温度で、「低ストリンジェンシー」はTmよりも約20〜25℃低い温度で起こる。機能上は、最大のストリンジェンシー条件を使用して、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性又はほぼ厳密な同一性を有する配列を同定することができ、一方、中程度又は低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを使用して、ポリヌクレオチド配列相同物を同定又は検出することができる。
中程度及び高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、当技術分野において周知である。例えば、中程度ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10%デキストラン硫酸及び20mg/mlの変性され剪断されたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベーションし、続いてフィルターを1×SSC中、約37〜50℃で洗浄することにより行うことができる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃でのハイブリダイゼーション及び0.1×SSC(ここで、1×SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na、pH 7.0である)であってよい。あるいは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDS及び100μg/mlの変性キャリアDNA中、約42℃で行い、続いて2×SSC及び0.5% SDS中、室温で2回、0.1×SSC及び0.5% SDS中、42℃で更に2回洗浄することにより行うことができる。さらに、極めて高いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、68℃及び0.1×SSCでのハイブリダイゼーションであってよい。当業者は、プローブ長などの因子に適応させる必要に応じて、温度、イオン強度などを調整する方法を知っている。
変異体β−グルコシダーゼをコードする核酸は、配列番号1のヌクレオチドとその同一な相補鎖との間で形成される二本鎖と比較して、1℃〜3℃以上低減されたTを有し得る。
少なくとも2個の核酸又はポリペプチドとの関連における「実質的に同様」又は「実質的に同一」という語句は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、親配列又は参照配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%の同一性を有する配列を含むことを意味し、あるいは機能性を付与することなく本発明の記載を回避するためだけに行われるアミノ酸の置換、挿入、欠失、又は修飾を含まないことを意味する。
本明細書において使用される場合、「発現ベクター」とは、特定のポリペプチドをコードしており、好適な宿主においてそのポリペプチドを発現させることができる好適な調節配列に作動可能に連結されたDNA配列を含む、DNA構築物を指す。そのような調節配列は、転写を行うプロモーター、そうした転写を調節する任意のオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに/又は転写及び翻訳の終結を調節する配列を含み得る。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は潜在的なゲノムインサートであってよい。ベクターは、好適な宿主に形質転換すると、宿主ゲノムとは独立して複製及び機能できるようになり、あるいはいくつかの例では宿主ゲノムに組み込まれ得る。
「組換え」という用語は、例えば、コード配列を変異させて変化したポリペプチドを生成すること、コード配列を別の遺伝子のコード配列と融合させること、遺伝子を異なるプロモーターの調節下に置くこと、遺伝子を異種生物において発現させること、遺伝子の発現レベルを低下又は上昇させること、遺伝子をその天然の発現プロファイルとは異なる発現プロファイルで条件的又は構成的に発現させることなどにより、その配列又は発現特性を変化させるように改変された遺伝物質(すなわち、核酸、核酸がコードするポリペプチド、並びにそうしたポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞)を指す。一般に組換え核酸、ポリペプチド、及びこれらに基づく細胞は、関連する核酸、ポリペプチド、及び天然に見られる細胞と同一ではなくなるよう人為的に操作されている。
「シグナル配列」は、ポリペプチドのN末端部分に結合したアミノ酸の配列を指し、細胞からの成熟型のポリペプチドの分泌を促進する。細胞外ポリペプチドの成熟型は、分泌プロセスの間に切断されるシグナル配列を有していない。
「選択マーカー」又は「選択可能マーカー」という用語は、導入された核酸又はベクターを含有する宿主の選択を容易にする、宿主細胞において発現させることができる遺伝子を指す。選択可能なマーカーの例としては、これらに限定されるものではないが、抗菌物質(例えば、ヒグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)及び/又は、宿主細胞に栄養的優位性のような代謝的優位性を与える遺伝子が挙げられる。
「調節エレメント」という用語は、核酸配列の発現の何らかの態様を調節する遺伝要素を指す。例えばプロモーターは、作動可能に連結されたコード領域の転写の開始を促進する調節エレメントである。更なる調節エレメントとしては、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び終結シグナルが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」は一般に、当技術分野において知られている組換えDNA技術を使用して構築されたベクターを形質転換又は遺伝子導入した原核生物又は真核生物の宿主細胞である。形質転換された宿主細胞は、ポリペプチド変異体をコードするベクターを複製すること、又は所望のポリペプチド変異体を発現することが可能である。ポリペプチド変異体のプレ型又はプロ型をコードするベクターの場合、一般にこうした変異体は、発現されると宿主細胞から宿主細胞培地中に分泌される。
細胞への核酸配列の挿入に関連する「導入された」という用語は、形質転換、形質導入、又は遺伝子導入を意味する。形質転換の手段として、当技術分野において公知の通り、プロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、ネイキッドDNAなどが挙げられる。(Chang and Cohen(1979)Mol.Gen.Genet.168:111〜115;Smith et al.,(1986)Appl.Env.Microbiol.51:634;及びFerrari et al.による概説、Harwood,Bacillus,Plenum Publishing Corporation,pp.57〜72,1989を参照されたい)。
「融合した」ポリペプチド配列は、2つの対象ポリペプチド配列間のペプチド結合を介して、接続(即ち、作動可能に連結)されている。
「糸状菌」という用語は、ユーマイコチナ(Eumycotina)亜門、特にチャワンタケ亜門(Pezizomycotina)の種のすべての糸状菌型を指す。
「エタノール生産微生物」とは、糖又はオリゴ糖をエタノールに変換する能力を有する微生物を指す。
他の技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する(例えば、Singleton及びSainsbury、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,NY 1994;並びにHale及びMarham、The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)を参照されたい)。
III.β−グルコシダーゼポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞
A.Ate3Cポリペプチド
一態様では、本発明の組成物及び方法は、β−グルコシダーゼ活性を有する組換えAte3Cβ−グルコシダーゼポリペプチド、その断片、又はその変異体を提供する。組換えβ−グルコシダーゼポリペプチドの例は、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)から単離された。成熟Ate3Cポリペプチドは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する。同様の、実質的に同様のAte3Cポリペプチドは、例えばアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)の他の株又は単離物などにおいて、天然に存在し得る。これらの及び他の組換えAte3Cポリペプチドが、本発明の組成物及び方法に包含される。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、例示されたAte3Cポリペプチドに対して規定の程度のアミノ酸配列同一性、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と又は成熟配列である配列番号3と、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は更には少なくとも99%の配列同一性を有する変異体Ate3Cポリペプチドである。配列同一性は、例えば本明細書において述べるように、BLAST、ALIGN、又はCLUSTALなどのプログラムを使用して、アミノ酸配列アラインメントにより決定することができる。
ある特定の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、微生物において、例えば、細菌又は真菌宿主生物においては組換えにより生成され、一方、他の生物においては、Ate3Cポリペプチドは合成的に生成され、又は天然源(例えば、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus))から精製される。
ある特定の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、ポリペプチドの構造及び/又は機能に実質的に影響しない置換を含む。こうした置換の例は、表Iにまとめた保存的突然変異である。
Figure 2015533293
天然に存在するアミノ酸が関与する置換は、組換えAte3Cをコードする核酸に突然変異を導入し、次いでこの変異体ポリヌクレオチドを生物で発現させることにより一般に行われる。天然に存在しないアミノ酸が関与する置換、又はアミノ酸に対する化学修飾は、生物にAte3Cポリペプチドを合成させた後にこのAte3Cポリペプチドを化学的に修飾することによって一般に行われる。
一部の実施形態では、変異体組換えAte3Cポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能又は発現に大きく影響しないアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。このような変異体組換えAte3Cポリペプチドには、本発明の記載を回避するために設計されたものが含まれる。一部の実施形態では、変異体組換えAte3Cポリペプチド、これらの変異体を含む組成物及び方法は、配列番号2又は配列番号3のポリペプチドの特性と比較して、例えば、リグノセルロース基質を加水分解する特異的活性の向上、望ましい宿主生物における発現の向上、熱安定性、pH安定性の向上などを含む特性の向上が実現できるように、配列番号2又は配列番号3と実質的に同一ではなく、ある特定の環境で本発明のポリペプチドの構造、機能、又は発現に実質的に影響を及ぼすアミノ酸置換、挿入、又は欠失を含む。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチド(その変異体を含む)は、β−グルコシダーゼ活性を有する。β−グルコシダーゼ活性は、本明細書中に記載のアッセイ、例えば、実施例2に記載されているものを使用して、又は当技術分野において公知の他のアッセイによって、決定及び測定することができる。
組換えAte3Cポリペプチドには、β−グルコシダーゼ活性を保持する「完全長」Ate3Cポリペプチドの断片が含まれる。好ましくはそれらの機能的断片(すなわち、β−グルコシダーゼ活性を保持する断片)は、少なくとも100アミノ酸残基長(例えば、少なくとも100アミノ酸残基長、少なくとも120アミノ酸残基長、少なくとも140アミノ酸残基長、少なくとも160アミノ酸残基長、少なくとも180アミノ酸残基長、少なくとも200アミノ酸残基長、少なくとも220アミノ酸残基長、少なくとも240アミノ酸残基長、少なくとも260アミノ酸残基長、少なくとも280アミノ酸残基長、少なくとも300アミノ酸残基長、少なくとも320アミノ酸残基長、又は少なくとも350アミノ酸残基長又はそれ以上)である。そのような断片は、好適には、完全長前駆体ポリペプチド又は完全長成熟ポリペプチドの活性部位を保持するが、必須でないアミノ酸残基の欠失を有してもよい。断片の活性は、本明細書中に記載のアッセイ、例えば実施例2に記載されているものを使用して、又は当技術分野において公知の他のアッセイによって、容易に決定することができる。
一部の実施形態では、Ate3Cアミノ酸配列及び誘導体は、例えば、抽出、検出及び/又は精製を補助するため及び/又は機能性をAte3Cポリペプチドに付与するために、N及び/又はC末端融合タンパク質として生産される。融合タンパク質パートナーの例として、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)、FLAG−、MYC−タグ又は当業者に公知の他のタグが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、タンパク質分解による切断部位を、融合タンパク質パートナーと目的のポリペプチド配列との間に設けて、融合配列を除去できるようにする。好適には、融合タンパク質は、組換えAte3Cポリペプチドの活性を妨げない。一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、リーダーペプチド、プロペプチド、結合ドメイン及び/又は触媒ドメインを含む機能的ドメインと融合させる。融合タンパク質は、いずれの成分の性質にも顕著な影響を及ぼすことなく、Ate3Cポリペプチドと融合ドメインをつなぐリンカー配列を介して組換えAte3Cポリペプチドに任意に連結されている。リンカーは場合により、意図される用途に機能的に寄与する。
本開示は、本開示の1つ又はそれ以上のAte3Cポリペプチドを発現するよう改変されている宿主細胞を提供する。好適な宿主細胞としては、任意の微生物の細胞(例えば、細菌、原生生物、藻類、真菌(例えば、酵母又は糸状菌)、又は他の微生物の細胞)が挙げられ、細菌、酵母、又は糸状菌の細胞が好ましい。
好適な細菌属の宿主細胞としては、エシェリキア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、シュードモナス(Pseudomonas)、及びストレプトミセス(Streptomyces)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好適な細菌種の細胞としては、エシェリキア・コライ(Escherichia coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)及びストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
好適な酵母属の宿主細胞としては、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、ピキア(Pichia)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、及びファフィア(Phaffia)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好適な酵母種の細胞としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、P.カナデンシス(P. canadensis)、クリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)及びファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
好適な糸状菌の宿主細胞としては、ユーマイコチナ(Eumycotina)亜門の全ての糸状菌が挙げられる。好適な糸状菌属の細胞としては、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ビルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、クリソポリウム(Chrysoporium)、コプリナス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、コリナスクス(Corynascus)、ケトミウム(Chaertomium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィロバシディウム(Filobasidium)、フザリウム(Fusarium)、ジベレラ(Gibberella)、ヒュミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、マイセリオフソラ(Myceliophthora)、ムコール(Mucor)、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、フレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、ヒラタケ(Pleurotus)、シタリジウム(Scytaldium)、シゾフィラム(Schizophyllum)、スポロトリクム(Sporotrichum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラディウム(Tolypocladium)、ホウロクタケ)(Trametes)、及びトリコデルマ(Trichoderma)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
好適な糸状菌種の細胞として、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェティデュス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム・バクトリジオイド(Fusarium bactridioide)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルックウェレンセ(Fusarium crookwellense)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブチナム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・サルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロサム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコセキオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、ビルカンデラ・アヅタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・サブバーミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、コプリナス・シネレウス(Coprinus cinereus)、コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ヒュミコラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、マイセリオフソラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ニューロスポラ・インターメディア(Neurospora intermedia)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、ペニシリウム・カネッセンス(Penicillium canescens)、ペニシリウム・ソリタム(Penicillium solitum)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジエーテ(Phlebia radiate)、プレウロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、タラロミセス・フラバス(Talaromyces flavus)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ヴィロッサ(Trametes villosa)、トラメテス・バーシカラー(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、及びトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
これらの生物中に核酸を形質転換するための方法は当技術分野において公知である。例えば、アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞を形質転換させるために好適な手順は、欧州特許第238 023号に記載されている。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、例えば、組換えAte3Cポリペプチドの細胞外分泌を容易にするために、シグナルペプチドと融合させる。例えば、ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号13〜42から選択される配列によってコードされている。特定の態様では、組換えAte3Cポリペプチドは、異種生物において分泌型ポリペプチドとして発現される。本発明の組成物及び方法は、よって、異種生物においてAte3Cポリペプチドを分泌型ポリペプチドとして発現するための方法を包含する。一部の実施形態では、例えば、異種生物がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)などのエタノール生成微生物である場合、組換えAte3Cポリペプチドは、異種生物において細胞内で発現される。そうした場合、Ate3Cポリペプチドが生物内部でセロビオース基質に作用して、セロビオースを、その後その生物がエタノールに代謝又は変換するD−グルコースに変換するために、遺伝子工学手段を使用してセリビオース(cellibiose)トランスポーター遺伝子をその生物に導入することができる。
本開示は、上記の核酸を含む、発現カセット及び/又はベクターも提供する。好適には、本開示のAte3Cポリペプチドをコードしている核酸は、プロモーターに作動可能に連結されている。プロモーターは当技術分野において周知である。β−グルコシダーゼ及び/又は本開示のその他の核酸のいずれかを発現させるために、宿主細胞において機能する任意のプロモーターを使用することができる。様々な宿主細胞においてβ−グルコシダーゼ核酸及び/又は本開示のその他の核酸のいずれかの発現を駆動するのに有用な開始調節領域又はプロモーターは多数あり、当業者には周知である(例えば、国際公開第WO 2004/033646号及び当該特許に引用されている参照文献を参照されたい)。これらの核酸を駆動することのできる、事実上全てのプロモーターを使用することができる。
特に、糸状菌宿主において組換え体を発現させることが望ましい場合、プロモーターは糸状菌のプロモーターであってよい。例えば、核酸は、異種プロモーターの調節下にあってもよい。核酸は、構成的又は誘導性プロモーターの調節下で発現させることもできる。使用することができるプロモーターの例としては、セルラーゼのプロモーター、キシラナーゼのプロモーター、1818プロモーター(ESTマッピングしたトリコデルマ(Trichoderma)により高発現されるタンパク質として以前同定されている)が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、プロモーターは、好適にはセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、又はβ−グルコシダーゼのプロモーターであってよい。特に好適なプロモーターは、例えばT.リーゼイ(T. reesei)のセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、又はβ−グルコシダーゼのプロモーターであってよい。例えば、プロモーターは、セロビオヒドロラーゼI(cbh1)プロモーターである。プロモーターの非限定例としては、cbh1、cbh2、egl1、egl2、egl3、egl4、egl5、pki1、gpd1、xyn1、又はxyn2プロモーターが挙げられる。プロモーターの更なる非限定例としては、T.リーゼイ(T. reesei)のcbh1、cbh2、egl1、egl2、egl3、egl4、egl5、pki1、gpd1、xyn1、又はxyn2プロモーターが挙げられる。
本発明中のAte3Cポリペプチドをコードしている核酸配列は、ベクター中に含まれてもよい。一部の態様では、ベクターは、発現調節配列に調節されるAte3Cポリペプチドをコードしている核酸配列を含有する。一部の態様では、発現調節配列は天然の発現調節配列である。一部の態様では、発現調節配列は非天然の発現調節配列である。一部の態様では、ベクターは選択マーカー又は選択可能マーカーを含有する。一部の態様では、Ate3Cポリペプチドをコードしている核酸配列は、選択可能マーカーなしで宿主細胞の染色体中に組み込まれる。
好適なベクターは、選択された宿主細胞と適合性があるものである。好適なベクターは、例えば、細菌、ウイルス(バクテリオファージT7又はM−13由来ファージなど)、コスミド、酵母又は植物から得ることができる。好適なベクターは、宿主細胞中で、低コピー数、中コピー数、又は高コピー数で維持することができる。このようなベクターを取得及び使用するためのプロトコールは、当業者に公知である(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989を参照されたい)。
一部の態様では、発現ベクターは終結配列も含む。終結調節領域もまた、宿主細胞に元々存在する様々な遺伝子から得ることができる。一部の態様では、終結配列及びプロモーター配列は同じ供給源から得られる。
Ate3Cポリペプチドをコードする核酸配列は、標準的な技術を使用して、発現ベクターなどのベクター中に組み込むことができる(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,1982)。
一部の態様では、Ate3Cポリペプチド及び/又は本開示に記載の1つ又はそれ以上の任意の他の核酸を、天然に存在する細胞において現在観察されるよりもはるかに高いレベルで過剰発現させることが望ましい場合がある。一部の実施形態では、内因性β−グルコシダーゼ及び/又は本開示に記載の1つ又はそれ以上の任意の他の核酸を、天然に存在する細胞において現在観察されるよりもはるかに低いレベルで過少発現させる(例えば、変異させる、不活性化する、又は欠失させる)ことが望ましい場合もある。
B.Ate3cポリヌクレオチド
本明細書に記載の組成物及び方法の別の態様は、β−グルコシダーゼ活性を有する組換えAte3Cポリペプチド(変異体及びその断片を含む)をコードしているポリヌクレオチド又は核酸配列である。一部の実施形態では、本明細書において特定されているものなどの、異種生物におけるAte3Cポリペプチドの発現を指示するための発現ベクターと関連して、ポリヌクレオチドが提供される。組換えAte3Cポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コードされたポリペプチドの発現を助けるための調節エレメント(例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなど)と作動可能に連結させることができる。
組換えAte3Cポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列の例は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する。実質的に同一のものを含めた同様の組換えAte3Cポリペプチド及び変異体をコードしているポリヌクレオチドは、例えば、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)又はアスペルギルス(Aspergillus)属種の他の菌株又は単離株において、自然界に存在し得る。遺伝子コードの縮重を考慮して、異なるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、同じAte3Cポリペプチド、変異体、又は断片をコードし得ることが理解されるであろう。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、例示されるAte3Cポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して規定の程度のアミノ酸配列同一性、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%の配列同一性を有する。相同性は、例えば本明細書に記載のBLAST、ALIGN、又はCLUSTALなどのプログラムを使用して、アミノ酸配列アラインメントにより決定することができる。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、組換えAte3Cポリペプチドの細胞外分泌を指示するためのシグナルペプチドのコード配列の後ろ(すなわちその下流)にインフレームで融合される。本明細書において記載されているように、目的のポリペプチドを発現させるために使用されるシグナル配列を指すために使用される場合、「異種」という用語は、シグナル配列及び目的のポリペプチドが、異なる生物由来であることを意味する。異種シグナル配列として、例えば、他の真菌セルラーゼ遺伝子由来のもの、例えば、配列番号13のトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1のシグナル配列などが挙げられる。発現ベクターは、組換えAte3Cポリペプチドを発現させるのに好適な、又は好適な宿主細胞中に発現ベクターを導入する前に発現ベクターを増殖させるのに好適な異種宿主細胞において提供されてもよい。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定のハイブリダイゼーション条件下で配列番号1のポリヌクレオチド(又はその相補鎖)とハイブリダイズする。条件の例は、本明細書に記載されている中程度ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー及び極めて高いストリンジェンシー条件である。
Ate3Cポリヌクレオチドは天然に存在するものであっても、又は合成(すなわち人工)のものであってもよく、異なる宿主内での発現のためにコドン最適化させてもよく、突然変異させてクローニング部位を導入してもよく、又は別の方法で変更して機能を付与してもよい。
C.Ate3Cベクター及び宿主細胞
開示されている組換えAte3Cポリペプチドを生成するために、ポリペプチドをコードしているDNAを、公開されている配列から化学合成することができ、又はその遺伝子を有する宿主細胞から直接(例えば、cDNAライブラリースクリーニング又はPCR増幅によって)得ることができる。一部の実施形態では、Ate3Cポリヌクレオチドは、発現カセット中に含まれ、かつ/又は標準的な分子クローニング技術によって好適な発現ベクター中にクローニングされる。そのような発現カセット又はベクターは、転写の開始及び終結を助ける配列(例えば、プロモーター及びターミネーター)を含有し、また通常は、1つ又はそれ以上の選択可能マーカーも含有することができる。
発現カセット又はベクターを好適な発現宿主細胞中に導入し、次いで、対応するAte3Cポリヌクレオチドを発現させる。好適な発現宿主は、細菌又は真菌微生物であってよい。細菌発現宿主は、例えば、エシェリキア(Escherichia)(例えば、エシェリキア・コライ(Escherichia coli))、シュードモナス(Pseudomonas)(例えば、P.フルオレッセンス(P. fluorescens)又はP.ストゥッツェレイ(P. stutzerei))、プロテウス(Proteus)(例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))、ラルストニア(Ralstonia)(例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha))、ストレプトミセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、S.カルノサス(S. carnosus))、ラクトコッカス(例えば、L.ラクチス(L. lactis))、又はバチルス(Bacillus)(例えば、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)など)であってよい。真菌発現宿主は、例えば、エタノール生成源としても機能することができる酵母であってよい。酵母発現宿主は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ヤロワイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)であってよい。真菌発現宿主はまた、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、アスペルギルス(Aspergillus)(例えば、A.オリゼ(A. oryzae)A.ニガー(A. niger)、A.ニデュランス(A. nidulans)、など)、マイセリオフソラ・サーモパイル(Myceliophthora thermopile)、又はトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を含む糸状菌宿主であってもよい。哺乳動物発現宿主、例えば、マウス(例えば、NS0)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系などもまた適している。他の真核生物宿主、例えば、昆虫細胞又はウイルス発現系(例えば、M13、T7ファージ又はλなどのバクテリオファージ、又はバキュロウイルスなどのウイルス)などもまた、Ate3Cポリペプチドを生産させるために適している。
目的の特定の宿主における分泌型タンパク質と関連したプロモーター及び/又はシグナル配列は、その宿主又は他の宿主におけるAte3Cポリペプチドの異種生産及び分泌において使用するための候補である。例として、糸状菌系では、セロビオヒドロラーゼI(cbh1)、グルコアミラーゼA(glaA)、TAKA−アミラーゼ(amyA)、キシラナーゼ(exlA)、gpd−プロモーターcbh1、cbhll、エンドグルカナーゼ遺伝子eg1〜eg5、Cel61B、Cel74A、gpdプロモーター、Pgk1、pki1、EF−1α、tef1、cDNA1及びhex1の遺伝子を駆動するプロモーターが適しており、多くの異なる生物(例えば、A.ニガー(A. niger)、T.リーゼイ(T. reesei)、A.オリゼ(A. oryzae)、A.アワモリ(A. awamori)、A.ニデュランス(A. nidulans))から得ることができる。
一部の実施形態では、Ate3Cポリヌクレオチドは、組換えAte3Cポリペプチドを細胞外(又はペリプラズム)空間へ分泌させ、それにより細胞上清(又はペリプラズム空間又は溶解物)中で酵素活性を直接検出することを可能にする、好適な相同又は異種シグナル配列をコードしているポリヌクレオチドと、組換えにより関連させる。エシェリキア・コライ(Escherichia coli)、他のグラム陰性細菌及び当技術分野において公知の他の生物に好適なシグナル配列として、HlyA、DsbA、Pbp、PhoA、PelB、OmpA、OmpT又はM13ファージGill遺伝子の発現を駆動するものが挙げられる。バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、グラム陽性生物及び当技術分野において公知の他の生物では、好適なシグナル配列として更に、AprE、NprB、Mpr、AmyA、AmyE、Blac、SacBの発現を駆動するものが挙げられ、S.セレビシエ(S. cerevisiae)又は他の酵母では、キラートキシン、Bar1、Suc2、接合因子α、Inu1A又はGgplpシグナル配列が挙げられる。シグナル配列は、多くのシグナルペプチダーゼにより切断して、発現されたタンパク質の残部から除去することができる。真菌発現のシグナル配列は、例えば、本明細書中の配列番号13〜37から選択されるものであってよい。酵母発現のシグナル配列は、例えば、配列番号38〜40から選択されるものであってよい。ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)において本発明のAte3Cポリペプチドを発現させるために使用するのに適している可能性があるシグナル配列は、例えば、配列番号41〜42から選択されるものを含み得る。(Linger,J.G.et al.,(2010)Appl.Environ.Microbiol.76(19),6360〜6369)。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、単独で又はN末端若しくはC末端に位置する他のペプチド、タグ若しくはタンパク質(例えば、6×His、HA又はFLAGタグ)との融合体として発現させる。好適な融合体として、アフィニティ精製又は検出(例えば、6×His、HA、キチン結合タンパク質、チオレドキシン又はFLAGタグ)を容易にするタグ、ペプチド又はタンパク質、並びに標的β−グルコシダーゼの発現、分泌又はプロセシングを容易にするものが挙げられる。好適なプロセシング部位として、エンテロキナーゼ、STE13、Kex2又はインビボ若しくはインビトロでの切断のための他のプロテアーゼ切断部位が挙げられる。
Ate3Cポリヌクレオチドは、エレクトロポレーション、脂質を用いた形質転換又は遺伝子導入(「リポフェクション」)、化学的に媒介される遺伝子導入(例えば、CaCl及び/又はCaP)、酢酸リチウムに媒介される形質転換(例えば、宿主細胞プロトプラストの形質転換)、バイオリスティック「遺伝子銃」形質転換、PEGに媒介される形質転換(例えば、宿主細胞プロトプラストの形質転換)、プロトプラスト融合(例えば、細菌又は真核生物のプロトプラストを使用した融合)、リポソームに媒介される形質転換、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アデノウイルス又は他のウイルス又はファージによる形質転換又は形質導入が挙げられるがこれらに限定されない、多くの形質転換方法によって、発現宿主細胞中に導入される。
D.細胞培養培地
概して、微生物は、本明細書に記載のAte3Cポリペプチドを生産させるのに好適な細胞培養培地で培養する。培養は、当技術分野において既知の手順及び変法を用いて、炭素源及び窒素源並びに無機塩類を含む好適な栄養培地中で行われる。増殖及びセルラーゼ生成に好適な培地、温度範囲及び他の条件は当技術分野において公知である。非限定的な例として、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)にセルラーゼを生産させるための典型的な温度範囲は、24℃から37℃、例えば、25℃から30℃の間である。
1.細胞培養条件
真菌培養物の維持及び増殖に好適な材料及び方法は、当技術分野において周知である。一部の態様では、細胞は、宿主細胞中に挿入された核酸によってコードされている1つ又はそれ以上のβ−グルコシダーゼポリペプチドを発現させることのできる条件下で、培養培地中で培養される。細胞を培養する際には、標準的な細胞培養条件を使用することができる。一部の態様では、適切な温度、気体混合物、及びpHで細胞を増殖させ、維持する。一部の態様では、適切な細胞培地中で細胞を増殖させる。
IV.Ate3Cの活性
本明細書において開示されている組換えAte3Cポリペプチドは、β−グルコシダーゼ活性又はセロビオースを加水分解し、そこからD−グルコースを遊離させる能力を有する。本発明のAte3Cポリペプチドは、同じの糖化条件下で、基準となる高正確性β−グルコシダーゼトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のBgl1よりも、β−グルコシダーゼ活性がより高く、D−グルコースを遊離させる能力が向上又は増大している。一部の実施形態では、本発明のAte3Cポリペプチドは、別の基準となるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のβ−グルコシダーゼB−gluよりも、β−グルコシダーゼ活性がより高く、かつ/又はD−グルコースを遊離させる能力が向上又は増大している。
実施例3に示すように、組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、クロロ−ニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)基質を加水分解する活性が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%低い。一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluと比較して、CNPG基質を加水分解する活性が少なくとも同じであり、1.5倍、2倍、3倍、4倍、又は更には5倍高い。
組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、酵素がセロビオースの加水分解を触媒し、D−グルコースを遊離させる能力の程度を示すセロビアーゼ活性が劇的に向上又は増大しており、例えば、少なくとも30%高い、より好ましくは少なくとも50%高い、好ましくは少なくとも60%高い、より好ましくは少なくとも80%高い、好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも100%高い、最も好ましくは少なくとも120%高い。一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluと比較して、セロビオースの加水分解を触媒し、D−グルコースを遊離させる能力が約1/2、約1/3、約1/4、又は更には約1/5である。
一部の実施形態では、組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、約1/2、約1/3、約1/4、又は更には約1/5程度に低い、CNPG/セロビオースについての加水分解活性比を有する。一部の実施形態では、Ate3Cポリペプチドは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluと比較して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、又は更には約6倍高い、CNPG/セロビオースについての相対的加水分解活性比を有する。
実施例4に示すように、組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、リン酸膨潤セルロース基質からより多くのグルコースを生成したが、全糖量は同等又はそれ以下であった。
実施例5に示すように、組換えAte3Cポリペプチドは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉基質からやはりより多くのグルコースを生成したが、全糖量は同等又はそれ以下であった。
V.組換えβ−グルコシダーゼAte3Cポリペプチドを含む組成物
本開示は、改変された酵素組成物(例えば、セルラーゼ組成物)又は組換えAte3Cポリペプチド高含有発酵ブロスを提供する。一部の態様では、組成物はセルラーゼ組成物である。セルラーゼ組成物は、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)セルラーゼ組成物などの、糸状菌セルラーゼ組成物であってよい。一部の態様では、組成物は、1つ又はそれ以上のセルラーゼポリペプチドをコードしている1つ又はそれ以上の核酸を含む細胞である。一部の態様では、組成物は、セルラーゼ活性を有する発酵ブロスであり、このブロスは、バイオマス試料中に存在するセルロースの約50重量%超を糖に変換することができる。「発酵ブロス」及び「全ブロス」という用語は本明細書で使用される場合、発酵後に最低限の回収及び/又は精製しかしていない、又はそのような操作を全くしてない、改変された微生物の発酵により生成された酵素調製物を指す。発酵ブロスは糸状菌の発酵ブロスであってよく、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)、ヒュミコラ(Humicola)、フザリウム(Fusarium)、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、アクリャ(Achlya)、ポドスポラ(Podospora)、エンドチア(Endothia)、ムコール(Mucor)、コクリオブロス(Cochliobolus)、ピリクラリア(Pyricularia)、マイセリオフソラ(Myceliophthora)又はクリソスポリウム(Chrysosporium)の発酵ブロスであってよい。特に、発酵ブロスは、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)などのトリコデルマ属種(Trichoderma spp.)、又はペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)などのペニシリウム属種(Penicillium spp.)のものであってよい。発酵ブロスは、好適には無細胞発酵ブロスであってもよい。一態様では、本発明のセルラーゼ、細胞、又は発酵ブロス組成物のいずれかは、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含んでもよい。
一部の態様では、全ブロス組成物は、T.リーゼイ(T. reesei)又はその改変株において発現させる。一部の態様では、全ブロスは、Ate3Cポリペプチドを含む多数のセルラーゼがT.リーゼイ(T. reesei)宿主細胞のゲノム中に組み込まれている、組み込まれたT.リーゼイ(T. reesei)株において発現させる。一部の態様では、組み込まれたT.リーゼイ(T. reesei)株において発現されたポリペプチドの1つ又はそれ以上の成分は欠失している。
一部の態様では、全ブロス組成物は、A.ニガー(A. niger)又はその改変株において発現させる。
あるいは、組換えAte3Cポリペプチドは細胞内で発現させることができる。任意に、酵素変異体の細胞内発現、又は上記で述べたものなどのシグナル配列を使用したペリプラズム空間への分泌の後に、透過化又は溶解工程を使用して、組換えAte3Cポリペプチドを上清中に放出することができる。膜バリアの破壊は、超音波、加圧処理(フレンチプレス)、キャビテーションなどの機械的手段を使用して、又はリゾチームなどの膜消化酵素又は酵素混合物を使用して行うことができる。この実施形態の変形例として、エタノール生成微生物の細胞内での組換えAte3Cポリペプチドの発現が挙げられる。例えば、リグノセルロース系バイオマスの加水分解により得られるセロビオースをエタノール生成生物中に輸送することができるように、並びにエタノール生成生物中で加水分解して、次にエタノール生成生物により代謝できるD−グルコースに変換することができるように、遺伝子工学によりセロビオーストランスポーターを同じエタノール生成微生物中に導入することができる。
一部の態様では、組換えAte3Cポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、好適な無細胞発現系を使用して発現させる。無細胞系では、目的のポリヌクレオチドは通常、プロモーターの補助により転写させるが、ライゲーションして環状発現ベクターを形成させるかは任意である。一部の実施形態では、RNAを外因的に加えるか、又は無細胞系において転写及び翻訳を伴わずに生成する。
VI.リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するためのAte3Cポリペプチドの使用
一部の態様では、リグノセルロース系バイオマスを糖に変換するための方法であって、バイオマス基質を発酵性糖に変換するのに有効な量のAte3Cポリペプチドを含む本明細書に開示されている組成物とバイオマス基質を接触させる工程を含む方法が本発明において提供される。一部の態様では、方法は、バイオマスを酸及び/若しくは塩基並びに/又は機械的な若しくは他の物理的な手段で前処理する工程を更に含む。一部の態様では、酸はリン酸を含む。一部の態様では、塩基は水酸化ナトリウム又はアンモニアを含む。一部の態様では、機械的手段は、例えば、引っ張り、加圧、圧砕、摩砕、及びリグノセルロース系バイオマスをより小さい物理的形態へ物理的に分解する他の手段を含んでもよい。他の物理的手段はまた、酵素がセルロース及びヘミセルロースをより利用し易くなるように、例えば、リグノセルロース系バイオマスを「ほぐす」ための水蒸気又は他の加圧蒸気又は蒸気の使用を含んでもよい。ある特定の実施形態では、前処理の方法にはまた、バイオマス加水分解酵素組成物の酵素がバイオマスのセルロース及びヘミセルロースを利用し易くなるように、リグノセルロース系バイオマス基質のリグニンを分解することができる酵素を包含させることもできる。
バイオマス:本開示は、Ate3Cポリペプチドを含む本開示の酵素組成物を使用する、バイオマス糖化のための方法及びプロセスを提供する。本明細書において使用される場合、「バイオマス」という用語は、セルロース及び/又はヘミセルロースを含む(場合により、リグノセルロース系バイオマス材料中のリグニンも含む)任意の組成物を指す。本明細書において使用される場合、バイオマスとしては、種子、穀物、塊茎、植物性廃棄物(例えば、ヤシの木の空果房又はヤシの実の繊維の廃棄物など)又は食品加工若しくは工業加工の副産物(例えば、茎)、トウモロコシ(例えば、穂軸、及び茎葉など)、イネ科草本(例えば、ソルガストラム・ヌタンス(Sorghastrum nutans)などのインディアン・グラス;又はスイッチグラス、例えば、パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)などの(Panicum)属種)、イネ科の多年草(perennial cane)(例えば、暖竹(giant reed))、木材(例えば、木片、加工廃棄物)、紙、パルプ、及び再生紙(例えば、新聞紙及びプリンター用紙など)が挙げられるがこれらに限定されない。他のバイオマス材料としては、ジャガイモ、マメ科植物(例えば、菜種)、大麦、ライ麦、オーツ麦、小麦、ビート、及びサトウキビバガスが挙げられるがこれらに限定されない。
したがって、本開示は、バイオマス材料、例えば、キシラン、ヘミセルロース、セルロース、及び/又は発酵性糖を含む材料を含む組成物を、本開示のAte3Cポリペプチド、又は本開示の核酸若しくはポリヌクレオチドによりコードされるAte3Cポリペプチド、又はAte3Cポリペプチドを含むセルラーゼ若しくは天然には存在しないヘミセルラーゼ組成物のいずれか1つ、又は本開示の製造による生成物と接触させる工程を含む、糖化方法を提供する。
糖化させたバイオマス(例えば、本開示の酵素により加工したリグノセルロース材料)に、例えば、微生物発酵及び/又は化学合成などの加工を行うことで、数多くのバイオ系製品を製造することができる。本明細書において使用される場合、「微生物発酵」は、好適な条件下で発酵微生物を増殖させ回収するプロセスを指す。発酵微生物は、バイオ系製品を生産するための所望の発酵プロセスにおいて使用するのに好適な任意の微生物であり得る。好適な発酵微生物として、糸状菌、酵母、及び細菌が挙げられるがこれらに限定されない。糖化されたバイオマスは、例えば、発酵及び/又は化学合成によって燃料(例えばバイオエタノール、バイオブタノール、バイオメタノール、バイオプロパノール、バイオディーゼル、ジェット燃料などのバイオ燃料)にすることができる。糖化させたバイオマスを、例えば、発酵及び/又は化学合成によって、汎用化学物質(例えば、アスコルビン酸、イソプレン、1,3−プロパンジオール)、脂質、アミノ酸、ポリペプチド及び酵素にすることができる。
前処理:キシラン、ヘミセルロース、セルロース及び/又はリグニン材料を酵素組成物(例えば、Ate3Cポリペプチドを含む本発明の酵素組成物)中の酵素により利用し易い又は作用し易いものにし、よって酵素及び/又は酵素組成物により加水分解させ易くするために、糖化又は酵素的加水分解、及び/又は糖化により得られる発酵性糖の発酵の前に、バイオマス(例えば、リグノセルロース材料)に、好ましくは、1つ又はそれ以上の前処理工程を行う。
一部の態様では、好適な前処理方法には、反応器中で、バイオマス材料を強酸及び金属塩の希釈溶液を含む触媒に接触させることを包含させてもよい。バイオマス材料は、例えば、未加工の材料又は乾燥させた材料であってよい。この前処理により、セルロースの加水分解の活性化エネルギー、又は温度を低くすることができ、最終的には発酵性糖の収率を高くすることができる。例えば、米国特許第6,660,506号、同第6,423,145号を参照されたい。
一部の態様では、好適な前処理方法には、大部分のセルロースをグルコースへと解重合させずに、ヘミセルロースの一次解重合を実施するために選択される温度及び圧力で、バイオマス材料に対し、水性培地中での第1の加水分解工程を行う工程を包含させてもよい。この工程により得られるスラリーでは、ヘミセルロースの解重合から得られた単糖が溶解している液体水性相と、セルロース及びリグニンを含有する固体相が生じる。次に、セルロースの大部分を解重合させ、溶解した/可溶性のセルロース解重合産物を含有している液体水性相を生成することができる条件下で、スラリーに第2の加水分解工程を行う。例えば、米国特許第5,536,325号を参照されたい。
更なる態様では、好適な前処理方法には、約0.4%〜約2%の強酸を使用する1段階又はそれ以上の希酸加水分解によりバイオマス材料を加工する工程、続いて酸加水分解させた材料のうち、未反応の固体リグノセルロース成分をアルカリにより脱リグニン処理する工程を包含させてもよい。例えば、米国特許第6,409,841号を参照されたい。
更に別の態様では、好適な前処理の方法には、予備加水分解反応器中でバイオマス(例えばリグノセルロース材料)を予備加水分解する工程と、固体リグノセルロース材料に酸性の液体を加えて混合物とする工程と、その混合物を反応温度まで加熱する工程と、リグノセルロース材料が、少なくとも約20%のリグノセルロース材料由来のリグニンを含む可溶化部分と、セルロースを含む固体画分とに分画されるのに十分な時間にわたって反応温度を維持する工程と、可溶化部分を固体画分から分離し、可溶化部分が反応温度又はそれに近い温度にある間に可溶化部分を除去する工程と、可溶化部分を回収する工程とを包含させてもよい。固体画分中のセルロースは、酵素による消化を受けやすくする。例えば、米国特許第5,705,369号を参照されたい。この態様の変形例では、前加水分解には、代替として又は更に、例えば、リグノセルロース系バイオマス材料のリグニンを分解することができる酵素を使用した前加水分解を包含させることもできる。
更に他の態様では、好適な前処理には、過酸化水素Hの使用を包含させてもよい。Gould,1984,Biotech,and Bioengr.26:46〜52を参照されたい。
別の態様では、前処理は、バイオマス材料を、非常に低濃度の化学量論量の水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムと接触させる工程も含むことができる。Teixeira et al.,(1999)、Appl.Biochem.and Biotech.77〜79:19〜34を参照されたい。
一部の実施形態では、前処理は、リグノセルロースを、温和な温度、圧力及びpHで、例えばpH約9〜約14の化学物質(例えば、炭酸ナトリウム又は水酸化カリウムなどの塩基)と接触させる工程を含むことができる。国際出願公開第WO2004/081185号を参照されたい。例えば、好ましい前処理方法ではアンモニアを使用する。このような前処理方法は、高固形分条件下で、バイオマス材料を低濃度アンモニアに接触させる工程を含む。例えば、米国特許公開第20070031918号及び国際出願公開第WO 06110901号を参照されたい。
A.糖化プロセス
一部の態様では、本明細書では、ポリペプチドを含む酵素組成物でバイオマスを処理する工程を含む糖化プロセスであって、ポリペプチドがβ−グルコシダーゼ活性を有し、プロセスにより、少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、又は80重量%)のバイオマスが発酵性糖に変換される、糖化プロセスが提供される。一部の態様では、バイオマスはリグニンを含む。一部の態様では、バイオマスはセルロースを含む。一部の態様では、バイオマスはヘミセルロースを含む。一部の態様では、セルロースを含むバイオマスは、更に1種又はそれ以上のキシラン、ガラクタン、又はアラビナンを含む。一部の態様において、バイオマスは、種子、穀類、塊茎、植物性廃棄物(例えば、ヤシの木の空果房、又はヤシの実の繊維の廃棄物)又は食品加工若しくは工業加工に関係する副産物(例えば、茎)、トウモロコシ(例えば、穂軸、及び茎葉など)、イネ科草本(例えば、ソルガストラム・ヌタンス(Sorghastrum nutans)などのインディアン・グラス;又はスイッチグラス、例えば、パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)などのパニクム(Panicum)属種など)、イネ科の多年草(perennial cane)(例えば、暖竹(giant reed))、木材(例えば、木片、加工廃棄物)、紙、パルプ、及び再生紙(例えば、新聞紙、及びプリンター用紙など)、ジャガイモ、大豆(例えば、菜種)、大麦、ライ麦、オーツ麦、小麦、ビート、及びサトウキビバガスであってもよいがこれらに限定されない。一部の態様では、バイオマスを含む材料に、ポリペプチドによる処理の前に、1つ又はそれ以上の前処理方法/工程を行う。一部の態様では、糖化又は酵素的加水分解は、本発明のAte3Cポリペプチドを含む酵素組成物でバイオマスを処理することを更に含む。酵素組成物は、例えば、Ate3Cポリペプチドに加えて、1種又はそれ以上の別のセルラーゼを含んでもよい。あるいは、酵素組成物は、1種又はそれ以上の別のヘミセルラーゼを含んでもよい。ある特定の実施形態では、酵素組成物は、本発明のAte3Cポリペプチド、1種又はそれ以上の別のセルラーゼ、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを含む。一部の実施形態では、酵素組成物は全ブロス組成物である。
一部の態様では、リグノセルロース系バイオマス材料を、ポリペプチドを含む組成物で処理する工程を含む糖化プロセスであって、ポリペプチドが配列番号2と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有し、プロセスにより、少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%)のバイオマスが発酵性糖に変換される、糖化プロセスが提供される。一部の態様では、リグノセルロース系バイオマス材料は、本明細書に記載の1つ又はそれ以上の前処理方法/工程を行ったものである。
本発明の組成物及び方法の他の態様及び実施形態は、上記の説明及び以下の実施例より明らかとなるであろう。
以下の実施例は、本開示の特定の好ましい実施形態及び態様を実証及び例示する目的で示されるものであって、限定と解釈されるべきものではない。
(実施例1)
1−A.Ate3C及び基準となるT.リーゼイ(T. reesei)Bgl1の遺伝子発現のクローニング及び発現。
1−A−a.T.リーゼイ(T. reesei)Bgl1発現ベクターの構築
天然のT.リーゼイ(T. reesei)のβ−グルコシダーゼ遺伝子bgl1のN末端部分をコドン最適化させた(DNA 2.0,Menlo Park,CA)。この合成部分は、この酵素のコード領域の最初の447塩基を含んでいた。次いで、プライマーSK943及びSK941(下記)を使用して、この断片をPCRにより増幅した。天然bgl1遺伝子の残りの領域は、T.リーゼイ(T. reesei)RL−P37株(Sheir−Neiss,et al.(1984)Appl.Microbiol.Biotechnol.20:46〜53)から抽出したゲノムDNA試料から、プライマーSK940及びSK942(下記)を使用してPCR増幅した。プライマーSK943及びSK942を使用して、bgl1遺伝子のこれらの2つのPCR産物を、融合PCR反応で融合させた。
フォワードプライマーSK943:(5’−CACCATGAGATATAGAACAGCTGCCGCT−3’)(配列番号5)
リバースプライマーSK941:(5’−CGACCGCCCTGCGGAGTCTTGCCCAGTGGTCCCGCGACAG−3’)(配列番号6)
フォワードプライマー(SK940):(5’−CTGTCGCGGGACCACTGGGCAAGACTCCGCAGGGCGGTCG−3’)(配列番号7)
リバースプライマー(SK942):(5’−CCTACGCTACCGACAGAGTG−3’)(配列番号8)
得られた融合PCR断片をGateway(登録商標)EntryベクターpENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)(図1)にクローニングし、大腸菌(E. coli)One Shot(登録商標)TOP10ケミカルコンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換することにより、中間体ベクターpENTR−TOPO−Bgl1(943/942)(図1)を得た。挿入したDNAのヌクレオチド配列を確認した。正しいbgl1配列を有するpENTR−943/942ベクターを、LRクロナーゼ(登録商標)反応により、pTrex3gで組み換えた(Invitrogenによるプロトコール概要を参照されたい)。このLRクロナーゼ反応混合物を大腸菌(E. coli)One Shot(登録商標)TOP10ケミカルコンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換することにより、発現ベクターであるpTrex3g 943/942(図2)を得た。ベクターには、形質転換したT.リーゼイ(T. reesei)の選択可能マーカーとして、アセトアミダーゼをコードしているアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のamdS遺伝子も含有させた。プライマーSK745及びSK771(下記)により発現カセットをPCR増幅させて、形質転換用の産物を作製した。
フォワードプライマーSK771:(5’−GTCTAGACTGGAAACGCAAC−3’)(配列番号9)
リバースプライマーSK745:(5’−GAGTTGTGAAGTCGGTAATCC−3’)(配列番号10)
1−A−b.Ate3C発現ベクターの構築
β−グルコシダーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームを、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)から抽出したゲノムDNAを鋳型として使用したPCRによって増幅した。オープンリーディングフレームは、天然シグナル配列とともに増幅した。DNA Engine Tetrad 2 Peltier Thermal Cycler(Bio−Rad Laboratories)をPCRサーマルサイクラーとして使用した。使用したDNAポリメラーゼは、PfuUltra II Fusion HS DNAポリメラーゼ(Stratagene)又は同様の性質のプルーフリーディングDNAポリメラーゼであった。オープンリーディングフレームを増幅する際に使用したプライマーは次の通りである。
Ate3C−F:5’−CAC CAT GAA GCT TTC CAT TTT GGA GGC AGC−3’(配列番号11)
Ate3C−R:5’−TTA CTG CAC CCG TGG CAA GCG A−3’(配列番号12)
Ate3C−Fフォワードプライマーには、4つの追加のヌクレオチド(配列−CACC)を5’末端に含めて、pENTR/D−TOPO中への定方向クローニングを容易にした。オープンリーディングフレームのPCR産物を、Qiaquick PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)を用いて精製した。精製したPCR産物を、pENTR/D−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、TOP10ケミカルコンピテント大腸菌(E. coli)細胞(Invitrogen,Carlsbad,CA)を形質転換させ、50ppmのカナマイシンを含むLAプレートにプレーティングした。QIAspinプラスミド調製キット(Qiagen)を用いて、大腸菌(E. coli)形質転換体からプラスミドDNAを得た。
M13フォワード及びリバースプライマーを用いて、pENTR/D−TOPOベクターに挿入されたDNAの配列データを得た。製造業者の使用説明書に従ってLRクロナーゼ反応混合物(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して、オープンリーディングフレームの正しいDNA配列を有するpENTR/D−TOPOベクターを、pTrex3gMデスティネーションベクター(図2)と再結合した。
続いて、LRクロナーゼの反応産物により、TOP10ケミカルコンピテント大腸菌(E. coli)細胞を形質転換し、次いで、これを50ppmカルベニシリンを含有するLA上にプレーティングした。得られたpExpression構築物は、Ate3Cオープンリーディングフレーム及びアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)アセトアミダーゼ選択マーカー(amdS)を含有するpTrex3gMであった。pExpression構築物のDNAは、Qiagenミニプレップキットを使用して単離し、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の形質転換に使用した。
pExpressionプラスミド又は発現カセットのPCR産物のいずれかで、T.リーゼイ(T. reesei)六重欠失(six-fold-delete)株(例えば、国際特許出願公開第WO 2010/141779号における記載を参照されたい)を、下記に記述するように若干の修正をしたPEGに媒介されるプロトプラスト法を使用して形質転換させた。プロトプラスト調製では、20g/Lのグルコース、15g/LのKHPO(pH 4.5)、5g/Lの(NHSO、0.6g/LのMgSO×7HO、0.6g/LのCaCl×2HO、1mLの1000×T.リーゼイ(T. reesei)微量元素溶液(5g/LのFeSO×7HO、1.4g/LのZnSO×7HO、1.6g/LのMnSO×HO、3.7g/LのCoCl×6HOを含有していた)を含有するトリコデルマ(Trichoderma)最小培地MM中、24℃で16〜24時間、150rpmで振とうしながら胞子を増殖させた。出芽した胞子を遠心分離により回収し、50mg/mLのGlucanex G200(Novozymes AG)溶液で処理して、真菌細胞壁を溶解させた。Penttilaes et al.(1987)、Gene 61155−164に記載の方法に従って、更にプロトプラスト調製を行った。形質転換混合物(総量200μL中に約1μgのDNA及び1〜5×10プロトプラストを含有)を、各々25% PEG溶液2mLで処理し、2倍量の1.2Mソルビトール/10mMトリス(pH7.5)、10mMのCaClで希釈し、5mMウリジン及び20mMアセトアミドを含有する3%の選択的上層アガロースMMと混合した。得られた混合物を、ウリジン及びアセトアミドを含有する2%選択的アガロースプレート上に注いだ。プレートを28℃で更に7〜10日間インキュベートした後、単一の形質転換体をウリジン及びアセトアミドを含有する新しいMMプレート上にピックアップした。独立したクローン由来の胞子を使用して振とうフラスコ中の発酵培地に接種した。
250mLのThomson Ultra Yield Flask(Thomson Instrument Co,Oceanside,CA)内で、グルコース/ソホロース及び2g/Lのウリジンを含有する36mLの合成培地、例えばGlycine Minimal培地(6.0g/Lのグリシン;4.7g/Lの(NHSO;5.0g/LのKHPO;1.0g/LのMgSO・7HO;33.0g/LのPIPPS;pH 5.5)などに、滅菌後に炭素源として約2%のグルコース/ソホロース混合物、10mL/Lの100g/L CaCl、2.5mL/LのT.リーゼイ(T. reesei)微量元素(400×):175g/Lの無水クエン酸;200g/LのFeSO・7HO;16g/LのZnSO・7HO;3.2g/LのCuSO・5HO;1.4g/LのMnSO・HO;0.8g/LのHBOを添加したものを発酵培地とした。
1−A−c.酵母シャトルベクターpSC11の構築
酵母シャトルベクターは、図6のベクターマップに従って構築することができる。このベクターを使用して、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において細胞内でAte3Cポリペプチドを発現させることができる。セロビオーストランスポーターは、例えば、Ha et al.,(2011),PNAS,108(2):504〜509により記述されているものなどの公知の方法を使用して、同じシャトルベクターで又は別々のベクターで、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中に導入することができる。
発現カセットの形質転換は、酵母EZ−形質転換キットを使用して実施することができる。形質転換体は、20g/Lセロビオースを含有するYSC培地を使用して選択することができる。酵母への発現カセットの導入が成功したことは、特異的プライマーを用いたコロニーPCRによって確認することができる。
酵母株は、公知の方法及びプロトコールに従って培養することができる。例えば、酵母株は、20g/Lグルコースを添加したYP培地(10g/Lの酵母エキス、20g/LのBactoペプトン)中、30℃で培養することができる。アミノ酸栄養要求性マーカーを使用して形質転換体を選択するために、6.7g/Lの酵母ニトロゲンベース、更に20g/Lのグルコース、20g/Lの寒天、並びにヌクレオチド及びアミノ酸を添加するためのCSM−Leu−Trp−Uraを含有する酵母合成完全(YSC)培地を使用してもよい。
1−A−d.ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)組込みベクターpZC11の構築。
ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)組込みベクターpZC11は、図7のベクターマップに従って構築することができる。このベクターを使用して、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)において細胞内でAte3Cポリペプチドを発現することができる。セロビオーストランスポーターは、例えば、Sekar et al.,(2012)Applied Environmental Microbiology,78(5):1611〜1614et al.により記述されているものなどの、そうしたトランスポーターを細菌細胞中に導入する公知の方法を使用して、同じ組込みベクターで又は別々のベクターで、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)中に導入することができる。
組込みベクター並びにセロビオーストランスポーター遺伝子の導入が成功したことは、様々な既知の手法を使用して、例えば、この目的のために特異的に設計された確認用プライマーを使用したPCRによって、確認することができる。
ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)株は、例えば、米国特許第7,741,119号に記述されているものなどの公知の方法に従って、培養及び発酵することができる。
1−B.T.リーゼイ(T. reesei)Bgl1 & Ate3Cの精製
T.リーゼイ(T. reesei)Bgl1を、六重欠失トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)宿主株(例えば、公開されている国際特許出願公開第WO 2010/141779号における記載を参照されたい)の発酵ブロスにおいて過剰発現させ、そこから精製した。濃縮されたブロスを、G25 SECカラム(GE Healthcase Bio−Sciences)に負荷し、50mM酢酸ナトリウム(pH 5.0)に緩衝液交換した。次いで、緩衝液交換したBgl1を、アミノベンジル−S−グルコピラノシルセファロースアフィニティマトリックスを充填した25mLカラムに負荷した。50mM酢酸ナトリウム(pH 5.0)中の250mM塩化ナトリウムで十分に洗浄した後、結合画分を、50mM酢酸ナトリウム及び250mM塩化ナトリウム(pH 5.0)中の100mMグルコースで溶出させた。クロロ−ニトロ−フェニルグルコシド(CNPG)活性について陽性を示した溶出画分をプールし、濃縮した。SDS−PAGEによるT.リーゼイ(T. reesei)Bgl1のMWに対応する単一バンドを質量分析により確認し、溶出されたBgl1の純度を検証した。280nmでの吸光度により測定した所、最終的なストック濃度は2.2mg/mLであった。
上記のトリコデルマ・リーゼイ(Tricoderma reesei)により発現されたAte3Cは、濃縮された発酵ブロスから精製することができる。精製の際には、まず、100mgを50mMのMES緩衝液(pH 6.0)に希釈する。次いで、樹脂1mL当たり2mgのタンパク質を、pH 6に荷電したSP Sepharoseイオン交換樹脂(GE Healthcare)に負荷することによって、Ate3Cを富化することができる。Ate3Cは、フロースルー中に溶出し得る。次いで、富化したAte3Cを、10,000MWカットオフ膜(Vivaspin,GE Healthcare)を使用して元の体積の5分の1の体積まで濃縮することができる。他のバックグラウンド成分は、40%硫酸アンモニウム(w/v)をバッチ方式で添加することによって、Ate3Cから除去することができる。純粋なMg3Aは、遠心分離後の上清において回収することができる。次いで、10,000MWカットオフ膜(Vivaspin,GE Healthcare)を使用して、Ate3Cを50mMのMES緩衝液(pH 6.0)中で同時に透析及び濃縮する。Ate3Cの活性及び純度は、それぞれクロロ−ニトロ−フェニルグルコシドアッセイ及びSDS−PAGEによって評価することができる。次いで7,000MWカットオフ膜透析カセット(Pierce)を使用して、50mMのMES、100mMのNaCl緩衝液(pH 6.0)に対して上清を十分に透析することができる。最終的なAte3Cバッチの活性は、クロロ−ニトロ−フェニルグルコシドアッセイによって決定することができる。濃度は、ビシンコニン酸アッセイ(Pierce)によって及びGPMAW v7.0により計算したモル吸光係数を使用した280nmの波長での吸光度アッセイによって、決定することができる。
実施例2:様々なアッセイ
2−A.UPLCによるタンパク質濃度測定
タンパク質定量には、Agilent HPLC 1290 Infinityシステムを、Waters ACQUITY UPLC BEH C4 Column(1.7μm、1×50mm)とともに使用した。0.5分で5%〜33%アセトニトリル(Sigma−Aldrich)の初期勾配、続いて4.5分で33%〜48%の勾配、その後90%アセトニトリルまでの段階勾配を用いる6分間のプログラムを使用した。精製したトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1に基づくタンパク質検量線を使用して、Ate3Cポリペプチドを定量した。
2−B.クロロ−ニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)加水分解アッセイ
マイクロタイタープレートの各ウェルに、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5)200μLを加えた。個々のウェルに、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5)で希釈した5μLの酵素も加えた。プレートを覆い、エッペンドルフ・サーモミキサーにおいて37℃で15分平衡化させた。ミリポア水を用い、2mMの2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(CNPG,Rose Scientific Ltd.,Edmonton,CA)20μLを調製し、各ウェルに加え、プレートを手早く分光光度計(SpectraMax 250,Molecular Devices)に移した。OD405nmで15分間、カイネティック測定を行い、データをVmaxとして記録した。CNPの吸光係数を使用して、Vmaxの単位をOD/secからμM CNP/secへと変換した。μM CNP/秒を、アッセイで使用した酵素量(mg)で除算し、比活性(μM CNP/秒/タンパク質mg)を決定した。CNPGアッセイの標準誤差を、3%と決定した。
2−C.セロビオース加水分解アッセイ
Ghose,T.K.Pure & Applied Chemistry,1987,59(2),257〜268の方法を使用して、50℃でセロビアーゼ活性を決定した。セロビオース単位(Ghoseに記載の通りに導いた)は、アッセイ条件下でグルコース0.1mgを生成させるのに必要な酵素量により除算し、0.0926と定義した。セロビアーゼアッセイの標準誤差は、10%と決定した。
2−D.リン酸膨潤セルロース(PASC)の調製
リン酸膨潤セルロース(PASC)は、Walseth,TAPPI 1971,35:228及びWood,Biochem.J.1971,121:353〜362の適合プロトコールを用いてAvicelから調製した。簡潔に述べると、Avicel PH−101を濃リン酸で可溶化させ、次いで冷脱イオン水により沈殿させた。セルロースを回収し、更に水で洗浄して、pHを中和した。これを、50mM酢酸ナトリウム(pH 5)中に希釈して固形分1%とした。
実施例3.CNPG及びセロビアーゼアッセイにおいて見られる、基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1に対する、又は基準となるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluに対する、Ate3Cの加水分解性能の向上。
3−A.振とうフラスコにおいて生成されるβ−グルコシダーゼのCNPG及びセロビアーゼ活性
未精製の振とうフラスコブロス中のAte3Cの濃度を、UPLC(本明細書において記載されている)によって測定したところ、0.116g/Lであった。2種のセロビオヒドロラーゼを、発現株バックグラウンドにおけるβ−グルコシダーゼ活性の対照として以下の実験に含めた。これらはアッセイの検出限界未満であった。2.2mg/mL(A280測定)のストックから、精製トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を使用した。Megazyme Internationalから、BSAを不含の精製A.ニガー(A. niger)Bgluを得た(Megazyme International Ireland Ltd.,Wicklow,Ireland,Lot No.031809)。
モデル基質であるクロロ−ニトロ−フェニル−グルコシド(CNPG)及びセロビオースに対する各酵素の活性を測定した。アッセイは標準的なプロトコールにある温度で、すなわちCNPGは37℃で及びセロビオースは50℃で、それぞれ行った。
Figure 2015533293
Ate3Cは、CNPG活性がトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1の半分であり、セロビオース加水分解活性が2.5倍を超えていた。A.ニガー(A. niger)のβ−グルコシダーゼ、B−gluは、CNPG活性がトリコデルマ・リーゼイ(Tricoderma reesei)Bglの約10分の1であり、セロビアーゼ活性が12倍であった。セロビオヒドロラーゼは、セロビオースに対して活性がなかった(いずれのウェルに関してもグルコースは観察されなかった、データ不掲載)。よって、六重欠失宿主バックグラウンドは、小分子活性の測定値に寄与しなかった。
Figure 2015533293
タンパク質定量とは無関係の各分子の活性を比較するために、CNPG対セロビアーゼ活性の比を計算した。Ate3Cに関するCNPG/セロビアーゼ活性の比は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1に関するものと比べて、約5分の1であった。しかしながら、Ate3Cに関するCNPG/セロビアーゼ活性の比は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)B−gluの比より顕著に高く、約7倍であった。
実施例4:PASC基質に対するAte3Cポリペプチドの向上した加水分解性能。
4−A.国際公開特許出願第WO 2011/038019号に記載の菌株により生成されたバックグラウンド全セルラーゼ組成物において、Ate3C及び基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1によるPASCの加水分解を測定及び比較した添加量曲線。
Fv43D、Fv3A、Fv51A、AfuXyn2、及びEG4など)を発現する、国際公開特許出願第WO 2011/038019号に記載の菌株により生成された、10mgタンパク質/gグルカンの一定の投入量の全セルラーゼに対して、0〜10mgタンパク質/gグルカンのβ−グルコシダーゼを添加した。混合物を使用して、リン酸膨潤セルロース(PASC)を加水分解した。各試料添加量は4連でアッセイした。
酵素希釈液はすべて、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)とした。マイクロタイタープレート(NUNC平底PS、カタログ番号269787)に入れた30μLの酵素溶液に、150μLの冷0.6% PASCを添加した。したがって酵素混合物は、10mgタンパク質/gグルカンの全セルラーゼに加えて、0〜10mgのAte3C又はBgl1/gグルカンを含有していた。プレートをアルミニウムプレートシールで覆い、50℃で1.5時間、Innovaインキュベーター/シェーカーにおいて200rpmでインキュベートした。100μLの100mMグリシン(pH 10)で反応を停止させ、濾過し(Millipore真空フィルタープレートカタログ番号MAHVN45)、Aminex HPX−87Pカラムを用いてAgilent 5042〜1385 HPLCにおいて可溶性糖を測定した。
グルカン変換率(%)は、反応中の(mgグルコース+mgセロビオース+mgセロトリオース)/mgセルロースとして決定した。
結果を、図3(3A〜3Cの添加量曲線を含む)に示す。
Ate3Cは、同じ添加量のT.リーゼイ(T. reesei)Bgl1よりもグルコースを多量に生成したが、全糖についてはBgl1よりも多量には生成しなかった。このことは、Ate3CがT.リーゼイ(T. reesei)Bgl1よりも高いセロビアーゼ活性を有することと一致する。
実施例5:希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉(DACS)基質に対する、Ate3Cポリペプチドの加水分解性能の向上
5−A.国際公開特許出願第WO 2011/038019号に記載の菌株により生成されたバックグラウンド全セルラーゼ組成物における、Ate3C及び基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1によるDACSの加水分解の測定及び比較を示す添加量曲線。
振とうフラスコで生成したAte3C培養ブロスを、10,000分子量カットオフPESスピンコンセントレーターを使用して20倍超濃縮した。タンパク質濃度はUPLCによって決定し、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1検量線と比較した。希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉(DACS)を用いる糖化アッセイにおいて、濃縮したAte3C試料を使用した。各酵素混合物試料を、10%のAte3C又はBgl1と、国際公開特許出願第WO 2011/038019号に記載の改変トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株により生成された全セルラーゼと混合した。3〜53mg全タンパク質/gグルカン酵素混合物を基質に添加することにより、DACS基質の加水分解に関する添加量応答曲線を作成した。
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を、全タンパク質2.2g/Lの精製したストックから加水分解アッセイに添加した。2.89g/Lの濃縮した試料からAte3Cを添加した。
希アンモニア前処理されたトウモロコシ茎葉(DACS)を、20mM酢酸ナトリウム(pH 5)においてスラリー化し、最終的に7%グルカン(21.5%固体)含量とした。必要であれば、スラリーをpH 5に調整し、スラリーを96ウェルマイクロタイタープレートに移した。
基質中のmgタンパク質/gグルカンに基づいて、すべての酵素を負荷した。酵素希釈液はすべて、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)とした。96ウェルマイクロタイタープレートの1ウェル当たり30μLの酵素溶液及び45μgのDACS基質を添加した。各試料添加量は4連で試験した。プレートをアルミニウムシールで覆い、50℃で2日間、Innovaインキュベーター/シェーカーにおいて200rpmでインキュベートした。100μLの100mMグリシン(pH 10)で反応を停止させ、濾過し、HPLCにより可溶性糖を測定した。
グルカン変換率(%)は、DACS基質中の(mgグルコース+mgセロビオース+mgセロトリオース)/mgセルロースと定義する。
結果を、図4(4A及び4Bの添加量曲線を含む)に示す。
より高いセロビアーゼ活性を有するβ−グルコシダーゼを含有する混合物は、特に13mg/g未満の添加量で、最大のグルカン変換をもたらした。同じ全セルラーゼ組成物をAte3Cと混合することにより、全セルラーゼ単独の場合又はそれをトリコデルマ(Trichoderma)Bgl1と混合した場合よりも多くのグルコースが放出され、全体のグルカン変換はより多量であったことに注目されたい。
5−B:国際公開特許出願第WO 2011/038019号に記載の菌株により生成された13.4mg/gの全セルラーゼ組成物に対して、添加量を漸増させてAte3C及びBgl1を添加した、Ate3C及び基準となるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1によるDACSの加水分解の測定及び比較を示す添加量曲線。
この実験では、国際公開特許出願第WO 2011/038019号に従って、改変トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株により生成された、13.4mgタンパク質/gグルカンの一定の投入量の全セルラーゼに対して、添加量を漸増させてβ−グルコシダーゼを添加した。混合物を使用して、50℃で2日間、DACS(4%グルカン)を加水分解した。混合物を調製するために、T.リーゼイ(T. reesei)Bgl1を全タンパク質2.2g/Lの精製したストックから混合物に添加し、全セルラーゼを、88.8g/Lの全タンパク質ストックから混合物に添加した。Ate3Cを、2.89mg/mLの濃縮物から添加した。
マイクロタイタープレートに入れた、希アンモニアで前処理したトウモロコシ茎葉は、上述した通り調製した。基質中のmgタンパク質/gグルカンに基づいて、すべての酵素を負荷した。酵素希釈液はすべて、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)とした。30μLの酵素溶液を、マイクロタイタープレートの1ウェル当たり45μgの基質に添加した。プレートをホイルシールで覆い、50℃で2日間、Innovaインキュベーター/シェーカーにおいて200rpmでインキュベートした。100μLの100mMグリシン(pH 10)で反応を停止させ、濾過し、HPLC(脱灰カラム(BioRad 125〜0118)及び炭水化物カラム(Aminex HPX−87P)を備えたAgilent 100シリーズにより可溶性糖を測定した。移動相は水とし、流速0.6mL/min、ランタイム20分とした。グルコース検量線を作成し、定量に使用した。
グルカン変換率(%)は、基質中の(mgグルコース+mgセロビオース+mgセロトリオース)/mgセルロースと定義する。結果を、図5(5A及び5Bの添加量曲線を含む)に示す。
Ate3Cは、すべての添加量でT.リーゼイ(T. reesei)Bgl1より性能が優れていた。

Claims (22)

  1. 配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含み、β−グルコシダーゼ活性を有する、組換えポリペプチド。
  2. 前記組換えポリペプチド及びトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1を使用してリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する場合に、前記ポリペプチドのβ−グルコシダーゼ活性が、前記トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して向上している、請求項1に記載の組換えポリペプチド。
  3. 前記β−グルコシダーゼ活性の向上が、セロビアーゼ活性の増大である、請求項1又は2に記載の組換えポリペプチド。
  4. 前記β−グルコシダーゼ活性の向上が、同じ糖化条件下でリグノセルロース系バイオマスからのグルコース収率が増加し、全糖収率が同等又はそれ以下であることである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチド。
  5. 糖化の前に、前記リグノセルロース系バイオマスに前処理を行う、請求項4に記載の組換えポリペプチド。
  6. 配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えポリペプチド。
  7. 配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えポリペプチド。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを含み、1種又はそれ以上の別のセルラーゼを更に含む、組成物。
  9. 前記1種又はそれ以上の別のセルラーゼが、ゼロ又は1種又はそれ以上の別のβ−グルコシダーゼ、1種又はそれ以上のセロビオヒドロラーゼ、及び1種又はそれ以上のエンドグルカナーゼから選択される、請求項8に記載の組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを含み、1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含む、組成物。
  11. 1種又はそれ以上のヘミセルラーゼを更に含む、請求項8又は9に記載の組成物。
  12. 前記1種又はそれ以上のヘミセルラーゼが、1種又はそれ以上のキシラナーゼ、1種又はそれ以上のβ−キシロシダーゼ、及び1種又はそれ以上のL−アラビノフラノシダーゼから選択される、請求項10又は11に記載の組成物。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドをコードしている核酸。
  14. 前記ポリペプチドが、シグナルペプチド配列を更に含む、請求項13に記載の核酸。
  15. 前記シグナルペプチド配列が、配列番号13〜42からなる群から選択される、請求項14に記載の核酸。
  16. 作動可能に調節配列と組み合わせて、請求項13〜15のいずれか一項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  17. 請求項16に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  18. 細菌細胞又は真菌細胞である、請求項17に記載の宿主細胞。
  19. 請求項17又は18に記載の宿主細胞及び培養培地を含む組成物。
  20. β−グルコシダーゼを生成する方法であって、β−グルコシダーゼを生産するのに好適な条件下で、請求項17又は18に記載の宿主細胞を培養培地中で培養する工程を含む、方法。
  21. 前記培養培地の上清中に、請求項20の方法により生成されたβ−グルコシダーゼを含む、組成物。
  22. リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するための方法であって、前記リグノセルロース系バイオマス基質を、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチドと、又は請求項21に記載の組成物と接触させて、グルコース及び他の糖を得る工程を含む、方法。
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