JP2015529088A - 腫瘍溶解物を充填した粒子 - Google Patents

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Abstract

腫瘍溶解物を充填した粒子を含む樹状細胞を調製する。この樹状細胞は、主要組織適合遺伝子複合体クラスI経路を誘発するように腫瘍抗原を提示し、眼黒色腫を含む癌を治療するためのワクチンとして用いることができる。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2012年9月6日に出願された米国仮特許出願第61/697,498号、2013年9月5日に出願された米国特許出願第14/019,025号及び2013年9月5日に出願された米国特許出願第14/019,007号に対する優先権を主張するものである。すべての先行する出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
腫瘍細胞が存在する理由の一つは、インビボにおける免疫学的監視の部分的又は完全な回避を可能にする1つ以上の突然変異に関して選択されていることにある。
腫瘍細胞に対する免疫応答を誘発する試みにおいて、以前の研究者らは、免疫系に腫瘍抗原を提示するために、プロフェッショナル抗原提示細胞である樹状細胞を用いてきた。例えば、ペプチド又は腫瘍溶解物をパルスした樹状細胞が、黒色腫患者にワクチン接種するのに使用されてきた。
しかしながら、上記の方法で免疫系に腫瘍抗原を単に提示することは効果的でない。これは、このような抗原は樹状細胞でエンドサイトーシスされて、一般的には主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIIを介して提示されるだけなので、ヘルパーT細胞しか誘発されず強固な免疫応答をもたらさないためである。
対照的に、MHCクラスI経路を介して腫瘍抗原を提示することは、CD8+T細胞を活性化することによって、より強固な抗腫瘍免疫に寄与する。以前の研究者らは、遺伝子導入法を用いることによって、MHCクラスI経路を介して腫瘍抗原を提示することを試みてきた。しかしながら、これらの方法は、(1)重要な腫瘍特異的抗原のすべてを同定する能力が限られていること、(2)特定の腫瘍抗原の遺伝子をマッピングするための能力が限られていること、(3)1つ又は少数の既知の腫瘍抗原遺伝子しか樹状細胞に導入できないこと、及び(4)これらの方法は時間がかかり煩雑であることなどの欠点を有する。
いくつかの実施形態は、(i)粒子と、(ii)粒子内に充填された腫瘍溶解物とから本質的になる貪食された成分を含む単離された樹状細胞に関する。特定の実施形態において、腫瘍溶解物は約200μg〜約500μgの量で存在する。特定の実施形態において、腫瘍溶解物は約200μgの量で存在する。
いくつかの実施形態において、腫瘍溶解物は、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、肝臓癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌及び眼黒色腫からなる群より選択される癌から選択される溶解物である。
いくつかの実施形態において、粒子は、酵母細胞壁粒子である。いくつかの実施形態において、樹状細胞は、8日以下で単離された未熟細胞である。
別の実施形態は、上記の単離された樹状細胞を含むワクチンに関する。
いくつかの実施形態は、(i)粒子内に腫瘍溶解物を充填して、腫瘍溶解物を充填した粒子を作製すること、(ii)腫瘍溶解物を充填した粒子を凍結乾燥すること、及び(iii)腫瘍溶解物を充填した粒子を樹状細胞とともにインキュベートすることを含み、ここでインキュベートすることにより、腫瘍溶解物を充填した粒子は樹状細胞に貪食される、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する単離された樹状細胞の作製方法に関する。
特定の実施形態において、上記の方法は、工程(iii)の前に、(a)腫瘍溶解物を充填した粒子を溶液中に再懸濁すること、及び(b)再懸濁した溶液を凍結乾燥することをさらに含む。特定の実施形態において、腫瘍溶解物は、腫瘍を凍結及び融解することによって作製される。特定の実施形態において、上記方法は、凍結及び融解工程を反復することをさらに含む。特定の実施形態において、上記の方法は、腫瘍溶解物を-150℃で凍結保存することをさらに含む。
特定の実施形態において、工程(iii)は、(a)酵母細胞壁粒子内に腫瘍溶解物を添加すること、(b)酵母細胞壁粒子をインキュベートすること、(c)酵母細胞壁粒子を凍結乾燥すること、及び(d)酵母細胞壁を洗浄することを含み、ここで工程(b)〜(c)を少なくとも1回反復し、その際工程(b)を反復する前に酵母細胞粒子内に水を添加する工程を含む。
特定の実施形態において、工程(iii)は、(a)腫瘍溶解物を充填した粒子と樹状細胞とを、約100:1の比率で接触させること、(b)腫瘍溶解物を充填した粒子を、樹状細胞とともに1〜2時間インキュベートすること、及び(c)樹状細胞を回収し、該細胞を洗浄することを含む。
好ましい実施形態において、少量の1種以上の免疫応答増強アジュバントを、樹状細胞とともにインキュベートする前に、腫瘍溶解緩衝液に添加する。1種以上のアジュバントを添加することで、樹状細胞に対する腫瘍溶解物の効果を増加させ、同時にこのようなアジュバントからのあらゆる全身性効果を劇的に減少させる。通常使用されるアジュバントとしては、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、核酸及び炭水化物が挙げられる。
例示的なアジュバントとしては、これらに限定されないが、モノホスホリルリピドA、GpCオリゴヌクレオチド(ologonucleotide)(GpC DNAなど)、ポリI:C、ポリICLC、強力なMHC IIエピトープペプチド、ベータグルカン、及びIL-12などの樹状細胞を刺激するサイトカインが挙げられる。好適なアジュバントは、樹状細胞を活性化し、CD4+及びCD8+T細胞などのT細胞のより強固な産生をさらに刺激するために、樹状細胞上のレセプターと相互作用することが知られている分子である。
一実施形態において、1種以上の免疫応答増強アジュバントの量は、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約35μg、少なくとも約40μg、少なくとも約45μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、少なくとも約70μg、少なくとも約80μg、少なくとも約80μg、少なくとも約90μg、又は少なくとも約100μgである。一実施形態において、代表的なアジュバントの量は、全溶解物量の1〜10%の間である。アジュバントの量は、樹状細胞において、toll様レセプターなどのレセプターを刺激するのに十分な量である。
いくつかの実施形態は、上記の単離された樹状細胞を含むワクチンを投与することを含む、癌の治療方法に関する。特定の実施形態において、癌は、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、肝臓癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌及び眼黒色腫からなる群より選択される。
樹状細胞を作製するためのプロセスを示す図である。 腫瘍溶解物を作製するためのプロセスを示す図である。 酵母細胞壁粒子を作製するためのプロセスを示す図である。 酵母細胞壁粒子内に腫瘍溶解物を充填するためのプロセスを示す図である。 腫瘍溶解物粒子を充填した樹状細胞を作製するためのプロセスを示す図である。 B3Z細胞における、腫瘍溶解物粒子を充填した樹状細胞と樹状細胞の抗原パルスとの効果を比較するグラフである。 (A)B16F0マウス黒色腫に罹患した対照マウスの肺を示す図である。(B)B16F0マウス黒色腫に罹患しているが、腫瘍溶解物粒子を充填した樹状細胞で処置されたマウスの肺を示す図である。
本明細書では、当業者に公知の様々な方法を参照する。参照するこのような公知の方法を記載する刊行物及び他の資料は、完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、明らかに単数のみを指定する記述がない限り、単数と複数の両方を指す。同様に、用語の単数形は、明らかに単数のみを指定する記述がない限り、単数と複数の両方を指す。例えば、「ワクチン(vaccine)」は、「ワクチン(vaccine)」又は「複数のワクチン(vaccines)」を意味する。
用語「約」は、数値及び範囲に関連して、認識される数値が本明細書に記載されている正確な数値に限定されないことを意味し、本発明の範囲から逸脱せずに、実質的に示された範囲内に含まれる範囲を指すものとする。本明細書で使用される場合、「約」は、当業者が理解している通りであり、それが使用される状況に応じてある程度変化すると予想される。
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」は、ワクチンを用いた治療を必要とするあらゆる動物を指す。例えば、対象は、ワクチンで治療又は予防が可能な状態に罹っている対象であってもよく、又は該状態を発症するリスクを有する対象であってもよい。本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」は、ヒトを含む。
本明細書で使用される場合、語句「治療有効量」及び「治療レベル」とは、それぞれ、ワクチン投与によりこのような治療を必要とする対象において特定の応答をもたらす、ワクチン用量又は対象の血漿濃度を意味する。単に便宜のために、典型的な用量、ワクチン送達量、治療有効量及び治療レベルは、成人ヒト対象を基準として以下に示される。特定の対象及び/又は状態/疾患を治療するために必要に応じて、当業者は、標準的な慣行に従ってこのような量を調整することができる。
腫瘍溶解物
本明細書で記載するように、「腫瘍溶解物」とは、溶解された腫瘍を意味する。腫瘍の溶解は、腫瘍の凍結及び融解の反復、ホモジナイズによる腫瘍の物理的な破壊、高張又は低張溶液との接触、及び1種以上の非イオン性界面活性剤との接触などのいくつかの条件下で起こり得る。腫瘍溶解物は、溶解プロセス中に架橋形成しない。別の実施形態において、腫瘍溶解物は、腫瘍の細分化、粉砕若しくは磨り潰しによって、又はそれ以外の当該技術分野におけるあらゆる公知の技術を用いた腫瘍の微粉化によって作製される。別の実施形態において、腫瘍溶解物は、1×PBSなどのリン酸緩衝液(PBS)の存在下での腫瘍の細分化、粉砕、磨り潰し、又は微粉化によって作製される。
特定の実施形態において、腫瘍溶解物は、最小200〜500μgの重量の固形腫瘍から作製される。
別の実施形態において、腫瘍溶解物は、腫瘍の細分化、粉砕し、磨り潰し、又は微粉化、続いて凍結及び融解の反復によって作製される。特定の実施形態において、細分化された腫瘍を、複数回、凍結及び融解する。特定の実施形態において、細分化された腫瘍を、少なくとも1、2、3又は4回、凍結及び融解する。いくつかの実施形態において、凍結は、液体窒素中で行われ、20分間行うことができる。特定の実施形態において、融解は室温で行われる。別の実施形態において、腫瘍溶解物は、凍結融解処理後、約-135℃以下の温度で保存される。特定の実施形態において、腫瘍溶解物は、凍結融解処理後、-150℃以下の温度で保存される。
腫瘍溶解物は、これらに限定されないが、癌腫及び肉腫を含むあらゆる固形腫瘍から調製することができる。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、肝臓癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌及び眼黒色腫に関連した腫瘍由来である。
免疫応答を追加刺激(ブースト)するためのアジュバントとして、いくつかの免疫応答増強剤を腫瘍溶解緩衝液に添加してもよく、それにより、腫瘍溶解物を樹状細胞とともにインキュベートする場合、アジュバントは樹状細胞に対する効果の増加をもたらし、同時にこのようなアジュバントからのあらゆる全身性効果が劇的に減少されるようになる。
本発明のために1種以上の適切なアジュバントを選択することは、当業者の範囲内である。例えば、モノホスホリルリピドA、GpCオリゴヌクレオチド、ポリI:C、ポリICLC、強力なMHC IIエピトープペプチド、並びにIL-12、IL-2及びGM-CSFなどの樹状細胞を刺激するサイトカインは、本発明の良好なアジュバント候補である。
粒子
本明細書に記載されるように、「粒子」とは、その中に腫瘍溶解物を含有することができ、さらに溶解物を構造から放出させることが可能な、あらゆる中空の多孔質構造を意味する。いくつかの実施形態において、粒子の大きさは、約0.5〜約5μmであり、粒子が、樹状細胞などの単球によって取り込まれ得る細菌の大きさに近い。特定の実施形態において、粒子の大きさは、約0.5〜約1μmである。特定の実施形態において、粒子の大きさは、約0.5〜約2.5μmである。いくつかの実施形態において、粒子が大きさにして約0.5〜約5μmである限り、粒子はグリカンネットワークを有する任意の粒子であってもよい。
いくつかの実施形態において、粒子はビーズベクターである。ビーズベクターは、形状又は材質によって限定されないが、ビーズベクターが樹状細胞などの単球によって貪食され得るあらゆる形状、大きさ又は材質とすることができる。
別の実施形態において、粒子は、酵母細胞壁粒子(「YCWP」)である。YCWPは、粒子が多孔質であり、且つその中に溶解物を含有できるように、酵母細胞壁から調製される。一実施形態において、YCWPは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から調製される。別の実施形態において、YCWPはザイモサン粒子である。別の実施形態において、YCWPは、単核食細胞系の細胞及び他の食細胞が典型的に取り込む微生物構造の大きさに近い。特定の実施形態において、YCWPは約1〜5μmである。
一実施形態において、YCWPは、(a)酵母を懸濁して、懸濁液を作製すること、(b)懸濁液をインキュベートすること、(c)懸濁液を遠心分離して、上清を取り出すこと、及び(d)得られたYCWPを回収すること、によって調製される。別の実施形態において、工程(a)〜(d)を、少なくとも1、2、3又は4回反復する。
別の実施形態において、YCWPは、(a)酵母を溶液に懸濁して、第1の懸濁液を作製すること、(b)第1の懸濁液をインキュベートすること、(c)第1の懸濁液を遠心分離し、上清を取り出すこと、(d)得られたペレットを再懸濁して、第2の懸濁液を作製すること、(e)第2の懸濁液をインキュベートすること、(f)第2の懸濁液を遠心分離し、上清を取り出すこと、及び(g)得られたペレットを洗浄して、YCWPを回収すること、によって調製される。別の実施形態において、YCWPを滅菌する。
特定の実施形態において、酵母は、1M NaOHなどのNaOHに懸濁する。特定の実施形態において、第1の懸濁液は、約80℃にて約1時間又は1時間インキュベートする。特定の実施形態において、遠心分離は、約2000倍の重力で約10分間又は2000倍の重力で10分間行う。特定の実施形態において、ペレットは、水に、例えばpHが約4.5又はpHが4.5の水に懸濁する。特定の実施形態において、第2の懸濁液は、約55℃にて約1時間又は55℃にて1時間インキュベートする。特定の実施形態において、ペレットを、水中で少なくとも1、2、3又は4回洗浄する。特定の実施形態において、ペレットを1回洗浄する。
別の実施形態において、YCWPは、ペレットを洗浄後、イソプロパノール及び/又はアセトンを用いて滅菌する。特定の実施形態において、他の公知のアルコールが適切である。特定の実施形態において、YCWPを滅菌後に、完全に乾燥する。別の実施形態において、YCWPを乾燥した後に再懸濁する。特定の実施形態において、YCWPを1×PBSなどのPBSに再懸濁する。別の実施形態において、YCWPを乾燥し、次に凍結し、その後、腫瘍溶解物をYCWP内に充填して、使用する前まで保存する。特定の実施形態において、YCWPを凍結乾燥し、約4℃以下で保存する。具体的な実施形態において、YCWPを凍結乾燥し、4℃で保存する。
腫瘍溶解物を充填した粒子
粒子には、腫瘍溶解物が充填される。一実施形態において、腫瘍溶解物は、溶解物と粒子の懸濁液とを一緒にインキュベートし、溶解物を粒子の中空内部に浸透させることによって、粒子内に充填される。
別の実施形態において、粒子に腫瘍溶解物を充填した後、この組合せを凍結乾燥し、粒子内の無水腫瘍溶解物を作製する。腫瘍溶解物を充填した粒子を凍結乾燥することによって、溶解物は粒子内に捕捉されて、いつでも樹状細胞などの単球によって貪食され得る状態になる。特定の実施形態において、凍結乾燥は、粒子内に溶解物を捕捉するために使用される唯一のメカニズムである。特定の実施形態において、捕捉は、粒子からの溶解物の放出を防ぐ別の要素に起因せず、例えば、物理的捕捉、疎水性結合、任意の他の結合に起因しない。特定の実施形態において、捕捉は、凍結乾燥時に発生し得る任意の結合を除いて、架橋又は他には粒子への溶解物の結合に起因しない。
別の実施形態において、粒子は、凍結乾燥後に溶液中に再懸濁する。特定の実施形態において、溶液は水である。特定の実施形態において、粒子は、追加の腫瘍溶解物が粒子に浸透するように再懸濁し、次にこの組合せを再度凍結乾燥する。他の実施形態において、この組合せには、複数回の凍結乾燥及び再懸濁を行う。他の実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子は、凍結乾燥後及び使用前にエタノール中で滅菌する。
特定の実施形態において、腫瘍溶解物は、(a)溶解物と粒子の懸濁液をインキュベートすることにより、粒子の中空内部に溶解物が浸透するようにし、溶解物を充填した粒子の懸濁液を凍結乾燥すること、及び(b)場合により粒子を再懸濁し、再懸濁した粒子をインキュベートし、再懸濁した粒子と、まだ粒子中に入っていないあらゆる腫瘍溶解物とを凍結乾燥することによって、粒子内に充填される。
YCWPを用いる特定の実施形態において、YCWPの数は約1×109であり、腫瘍溶解物の体積は約50μLである(約200μgの腫瘍組織から作製される)。特定の実施形態において、YCWPの数は1×109であり、腫瘍溶解物の体積は50μLである(約200μgの腫瘍組織に由来する)。特定の実施形態において、工程(a)におけるインキュベーションは、約4℃で約2時間である。特定の実施形態において、工程(a)におけるインキュベーションは、4℃で2時間である。いくつかの実施形態において、上記の懸濁液は、工程(b)において、約2時間の期間又は2時間の期間にわたり凍結乾燥する。いくつかの実施形態において、工程(c)におけるYCWPは、水に、例えば約50μLの水又は50μLの水に再懸濁する。いくつかの実施形態において、再懸濁したYCWPは、工程(d)において、約4℃で約2時間又は4℃で2時間インキュベートする。
樹状細胞
本明細書に記載されているように、「樹状細胞」とは、末梢血単核細胞(「PBMC」)から作製された細胞を意味する。一実施形態において、樹状細胞は、(a)血液を回収し、(b)血液を希釈し、(c)PBMCの密度勾配分離を行い、(d)赤血球を溶解して、PBMCを洗浄し、(e)PBMCをインキュベートし、(f)非接着細胞を除去し、及び(g)培地中で接着細胞を培養することによって調製される。
いくつかの実施形態において、樹状細胞は、5日以下の期間、培養された未熟樹状細胞である。他の実施形態において、樹状細胞は6〜8日間培養されたものである。
特定の実施形態において、血液にヘパリン添加する。特定の実施形態において、工程(c)での密度勾配分離は、リンパ球分離培地に血液を入れ、次に血液を遠心分離することを含む。特定の実施形態において、遠心分離は、約1000倍の重力で約20分間又は1000倍の重力で20分間行う。特定の実施形態において、第2の遠心分離は、工程(d)の前に行い、約500gで約5分間行い又は500gで5分間行う。特定の実施形態において、第3の遠心分離は、工程(d)の前に行い、約500gで約10分間行い又は500gで10分間行う。特定の実施形態において、溶解は、ACK溶解溶液を用いて行い、続いて、好ましくは室温にて約5分間インキュベーションを行い、その後、次の遠心分離を行う。特定の実施形態において、PBMCをRPMI-1640培地中で洗浄する。特定の実施形態において、PBMCは、工程(e)で、フラスコ中、約37℃にて約1〜2時間又は37℃にて1〜2時間、インキュベートする。特定の実施形態において、無血清DC培地をフラスコに添加する。
いくつかの実施形態において、1種以上のサイトカインが培地中に存在し、サイトカインには、これらに限定されないが、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(800単位/ml)及びIL-4(500単位/ml)が含まれる。
樹状細胞に貪食された腫瘍溶解物を充填した粒子
腫瘍溶解物を充填した粒子は、単球内に、好ましくは樹状細胞内に貪食される。一実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子を樹状細胞とともにインキュベートすることにより、腫瘍溶解物を充填した粒子は細胞に貪食されるようになる。
特定の実施形態において、粒子は、約100:1の比率又は100:1の比率で樹状細胞とともにインキュベートする。インキュベーションは、約1時間、1時間又は好ましくは1時間未満行うことができる。
特定の実施形態において、腫瘍溶解物粒子を含有するインキュベートした樹状細胞を回収し、例えば、少なくとも1、2、3又は4回洗浄する。他の実施形態において、樹状細胞を洗浄後にインキュベートし、凍結培地に再懸濁する。特定の実施形態において、再懸濁液を1mlあたり約10×106細胞又は1mlあたり10×106細胞の濃度で作製する。特定の実施形態において、再懸濁液を使用前に保存のために凍結する。
ワクチン
一実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞は、癌などの疾患を予防及び/又は治療するためのワクチンとして使用される。治療対象の疾患は、特に限定されないが、粒子内に充填された特定の腫瘍溶解物によって決まる。例えば、乳癌腫瘍由来の腫瘍溶解物を用いたワクチンは、乳癌を治療するために使用される。別の実施形態において、患者自身の腫瘍細胞が、ワクチンを作製するために使用される。例えば、ワクチンを、乳癌に関連した腫瘍由来の腫瘍溶解物を用いて作製することができ、次に、腫瘍が抽出された乳癌患者に投与してもよい。別の実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する10×106濃度の樹状細胞約200μLが、ワクチンの1回用量を構成する。
別の実施形態において、用量は、患者に用量を投与する前に、200μLのアリコートを1mlの最終体積に希釈することによって投与される。特定の実施形態において、アリコートは、5%ヒト血清アルブミンを含有する滅菌生理食塩水を用いて希釈される。特定の実施形態において、200μLのアリコートは、希釈する前に融解する必要がある。このような場合、融解から患者に用量を投与するまでの時間の長さは、2時間以内である。いくつかの実施形態において、希釈されたアリコートを3ccの注射器で投与する。いくつかの実施形態において、23ゲージ以上の注射針を使用する。
別の実施形態において、患者に、少なくとも1、2、3又は4回の用量で投与する。特定の実施形態において、患者に、4週間毎に1回、再度ワクチン接種する。特定の実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する約100万〜200万個の樹状細胞を各ワクチン接種で投与する。別の実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞は、注射によって患者に投与される。特定の実施形態において、腫瘍溶解物を充填した粒子は、患者の(1)腫瘍若しくは(2)リンパ節に、又はその近傍に注射される。
いくつかの実施形態において、ワクチンは、ステロイド又は化学療法剤などのいずれの他の免疫抑制治療とともに投与されない。ワクチンは、静脈内注射及び吸入などの任意の技術を用いて投与することができる。
ワクチンはまた、生物学的アジュバントを含有することができ、これらに限定されないが、GpCオリゴヌクレオチドなどの核酸、タンパク質、又は破傷風トキソイドMHCクラスII結合p30ペプチドなどのペプチドエピトープが挙げられる。
[実施例1]
樹状細胞の調製
患者のPBMCから樹状細胞を作製した。PBMCは、標準的な操作手順に従って、200mlの採血によって患者から採取された。次に、血液を250mlの遠心チューブに移し、1×PBSを用いて1:1に希釈した。その後、35mlの希釈した血液を、50mlチューブ中で15mlの室温のリンパ球分離培地(LSM、Mediatech)上に積層し、1000gで20分間、室温にて遠心分離した。PBMC層をLSM勾配からピペッティングによって取り出し、無菌の50ml遠心チューブに入れた。4倍量の1×PBSを添加し、遠心チューブを反転することによって内容物を混合した。その後、PBMCを5分間、室温にて500gで遠心分離した。10mlの1×PBSを各遠心チューブに添加し、細胞を再懸濁し、1つの遠心チューブにプールした。再度、PBMCを室温にて10分間、500gで遠心分離し、20〜40mlのACK溶解溶液(Cambrex)に再懸濁し、室温にて5分間インキュベートした。次に、細胞を5分間、1500rpmで再度遠心分離した。PBMCを30mlのRPMI-1640培地(Mediatech)に再懸濁した。その後、細胞を2-4 T75フラスコに移した。フラスコを1〜2時間、37℃にてインキュベートした。次に、濯ぐことによって非接着細胞を除去した。その後、10mlの1×PBSを各フラスコに添加し、フラスコを旋回して、PBSを除去した。続いて、10mlの完全DC培地(無血清DC培地+800U/mlのGM-CSF+1000U/mlのIL-4)を各フラスコに添加した。次に、フラスコを37℃、5%CO2にて2日間、インキュベートした。3日目に、10mlの完全DC培地を各フラスコに添加した。続いて、細胞をさらに2日間インキュベートした。6日目又は7日目に、得られた未熟DCは使用可能な状態となった。
図1は、樹状細胞の作製に関する概略を示す。
[実施例2]
腫瘍溶解物の調製
腫瘍サンプルを患者から得た。腫瘍組織を避けて脂肪及び壊死組織を分離した後、組織を計量し、1×PBS(組織200μgあたり50μLのPBS)を添加し、腫瘍を1×PBS中で外科用メスを用いて十分に細分化した。次に、腫瘍細胞を4サイクルで凍結及び融解した。凍結を20分間、液体窒素中で行い、融解を室温で行った。調製した腫瘍溶解物を分光光度計によって定量した。アリコートを品質管理試験のために採取した。残りをワクチン製剤の調製のために-135℃以下で保存した。少量のアジュバントは、場合により、凍結融解サイクル後に添加することができる。
図2は、腫瘍細胞溶解物の処理に関する概略を示す。
[実施例3]
YCWPの調製
YCWPをFleishmansパン酵母又は同等物から調製した。簡単に述べると、10gのFleishmansパン酵母を100mlの1M NaOH中に懸濁し、1時間80℃に加熱した。溶解しなかった酵母細胞壁を10分間、2000×gで遠心分離によって回収した。次に、回収した酵母細胞壁は、100mlの水に再懸濁し、HClを用いてpHを4.5に調整し、55℃にてさらに1時間、インキュベートし、その後、遠心分離により回収した。続いて、回収したYCWPを水で1回、イソプロパノールで4回、最後にアセトンで2回洗浄した。YCWPを完全に乾燥すると、それらをPBS中に再懸濁し、カウントし、1×109個の粒子のグループに分注し、ワクチンの製造において使用するために凍結乾燥した。
図3は、酵母細胞壁粒子の処理に関する概略を示す。
[実施例4]
YCWPの調製
3グラムの活性な乾燥酵母(Fleischmann製又は同等物)を、30mLの滅菌水中に酵母を懸濁し、ボルテックスし、5分間、室温にて800〜1000×gで遠心分離することによって、水中で3回洗浄した。上清をデカントした後、酵母ペレットを50mLの1M NaOH中に再懸濁し、90℃の水浴中で1時間加熱した。
その後、酵母懸濁液は、800〜1000×gで5分間、遠心分離し、ペレットを25〜30mLの酸性水(HClを用いてpHを4.5に調整した)に再懸濁した。酸性水による洗浄工程を、懸濁液のpHが7.0未満になるまで反復した。次に、ペレットを30mLの酸性水に再懸濁し、75℃の水浴中で1時間、インキュベートした。酵母ペレットを1000×gで5分間の遠心分離によって回収し、その後、10mLの滅菌水で3回洗浄し、10mLのイソプロパノールで4回洗浄し、最後に10mLのアセトンで2回洗浄した。アセトンを注意深く除去し、ビーカーのガラス表面にペレットを均一に広げ、一晩、風乾した。
乾燥したYWCPを回収し、4℃にて真空瓶に保存し、次に、10〜15mLの濾過した70%エタノール中で3回洗浄した。最終の洗浄時にYWCPを簡単に超音波処理し、塊を分散させるために必要がある場合、超音波処理を反復した。エタノールを除去した後、YWCPを滅菌水中で洗浄した。100μlのYWCPのアリコートを2.0mLの丸底のスナップトップの遠心チューブに分注し、1時間冷凍庫に入れ、凍結乾燥し、今後の使用のために4℃にて真空瓶に保存した。
[実施例5]
YCWPへの腫瘍溶解物の充填
完全に無水のYCWP(1×109)の懸濁液を、4℃にて2時間にわたってPBS中の50μLの腫瘍溶解物(200μgの腫瘍組織に由来する)と接触させ、溶解物をYCWPの中空内部に浸透させ、充填YCWPを作製した。次に、懸濁液を2時間凍結乾燥した。凍結乾燥後、50μLの水を、充填YCWPに添加し、さらに2時間、4℃にてインキュベートし、再度、凍結乾燥して、中空内部に乾燥腫瘍溶解物を含むYCWPを得た。その後、充填YCWPをエタノール中で洗浄することによって滅菌し、エタノール中で維持した。
図4は、YCWPを充填する手順の概略を示す。
[実施例6]
腫瘍溶解物のYCWPへの充填
患者の腫瘍生検サンプルを、50〜100μlの溶解緩衝液(PBS)(腫瘍サンプルの量に依存する)を用いて、混合中に泡立つのを避けながら注意深く混合し、次に、4℃にて30分間インキュベートした。混合物は、アセトン-ドライアイス浴と37℃の水浴中で3回凍結融解し、4℃にて10分間、最大速度で遠心分離された。50μlの調製された腫瘍溶解物は、液体腫瘍溶解物がYCWPを覆うように10mgの乾燥したYCWPを含有する、滅菌した2mLの遠心チューブに添加した。混合物は、液体腫瘍溶解物がYCWPに浸漬するまで、4℃にて2時間インキュベートした。
次に、遠心チューブを、ペレットの急速凍結のために30分間、-85℃の冷凍庫に入れた。遠心チューブを一晩、凍結乾燥機に入れた。50μlの滅菌水を乾燥した酵母ペレットに添加し、4℃にて2時間インキュベートし、液体をペレットに浸漬させた。
遠心チューブを、ペレットの急速凍結のために30分間、-85℃の冷凍庫に入れた。次に、遠心チューブを一晩、凍結乾燥機に入れた。次に、乾燥した粒子を1mLの70%エタノールに再懸濁し、今後の使用のために4℃にて保存した。
[実施例8]
腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞の調製
70%エタノール懸濁液中の腫瘍溶解物充填YCWPを遠心分離した。エタノールを注意深く除去し、1mLのPBSに置換した。充填YCWPを超音波処理した。充填YCWPを滅菌1×PBSで洗浄した。最終の洗浄後、充填YCWPは、約1×108粒子/100μl PBSとなるようにPBS中に再懸濁した。
充填されたYCWPを1:100の比率で樹状細胞培養物に添加し、培養物を37℃インキュベーターに戻した。その後、以下の因子を培養物に添加した:滅菌水中の50μg/mLのTNF-αを1:5000の体積比(10mLの培養物あたり2μL)で培養物に添加し、滅菌水中の10μg/mLのIL-1βを1:1000の体積比で培養物に添加し、滅菌水中の10μg/mLのIL-6を1:1000の体積比で培養物に添加し、100%エタノール中の1mg/mLのPGE2を1:1000の体積比で培養物に添加した。すべての因子を添加し、培養物に混合した後、培養物を一晩インキュベートした。
[実施例9]
樹状細胞の回収、ワクチンの調製及び凍結保存
実施例9に従って調製された樹状細胞培養物をインキュベーターから取り出した。以下の手順を無菌条件下でフード内で行った。10mLの培地を培養フラスコから取り出した。培養フラスコを4.0〜4.5mLの1×PBSで濯ぎ、さらに、培地に添加した。
1.5〜2.0mLのCellStripper(商標)を培養フラスコに添加した。培養フラスコを10〜20分間、37℃インキュベーターに入れた。約4mLの培地をチューブからフラスコに戻して添加し、洗浄し、細胞を取り出した。フラスコを洗浄し、できるだけ多くの細胞を回収した。細胞を血球計又はCellometer(商標)で計数した。遠心分離後に上清を除去した。
その後、細胞を、CryoStor(商標)10中に5×106細胞/mLで再懸濁し、バイアル毎に、患者の識別番号、日付及び1.25×106細胞/mLの細胞濃度で適切にラベルしたクライオバイアル内に分注した(約250μL)。250〜500μLの部分を無菌試験のためにクライオバイアルに貯蔵し、残りのバイアルを発泡スチロール容器中で保存し、-86℃に置き温度を下げて凍結した。
[実施例10]
患者への投与のための固形腫瘍ワクチンの調製
患者の細胞の1つのクライオバイアルを冷凍貯蔵庫から取り出し、水浴中で37℃にて注意深く融解した。無菌条件下で、5%ヒト血清アルブミン(又は1mLの滅菌1×PBS)を含む注射用の1mL滅菌生理食塩水を、細胞を含有するクライオバイアルに穏やかに添加した。細胞を注意深く再懸濁した後、クライオバイアルからの全量を引き出し、腫瘍細胞を含有する注射器を患者へのワクチン投与のために使用した。
[実施例11]
腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞対抗原をパルスした樹状細胞(DC)
B3Z細胞は、H-2Kbとの関連で、OVA(257-264)(SIINFEKL)エピトープを特異的に認識するT細胞レセプターを発現するT細胞ハイブリドーマであり、インターロイキン2プロモータ(X)から活性化されたT細胞エレメントの核因子によって駆動されるベータ-ガラクトシダーゼ(lacZ)構築物を有する。これらのB3Z細胞を用いて、CD8+T細胞応答をもたらす、抗原提示のためのオボアルブミン充填YCWPによって、オボアルブミンをパルスした樹状細胞とオボアルブミン充填樹状細胞とを比較して有効性を評価した。
オボアルブミンエピトープを提示する樹状細胞上のMHCクラスI分子との相互作用によって活性化されると、B3Z細胞は、β-ガラクトシダーゼを発現させることによって応答するように操作された。β-ガラクトシダーゼは、X-gal(5-ブロモ-4-クロロ-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)の切断を触媒し、青色を呈する生成物である5-ブロモ-4-クロロ-3-ヒドロキシインドールを生じさせる。この青色の分光測定は、オボアルブミンエピトープの有効なMHCクラスI提示の尺度を与える。この実験の結果は、図6に示され、オボアルブミン充填YCWPによって樹状細胞を充填することにより、CD8+T細胞応答が、オボアルブミンをパルスした樹状細胞よりも100倍を超えて増加を示したことを実証する。
[実施例12]
インビトロのデータ
樹状細胞は、雌性C57BL/6Jマウスの両後肢の大腿骨及び脛骨の骨髄から得られた細胞から調製された。B16F0マウス黒色腫細胞を得て(ATCC(CRL-6322))、標準的な組織培養技術を用いて培養した。樹状細胞培養の7日目で2時間にわたり粒子を添加することによって、樹状細胞に、100:1の粒子:DCの比率で、B16F0腫瘍溶解物を含有するYCWP(約2×10-15g/YCWP)が充填された。腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞の調製の3日前に、雌性C57BL/6Jマウスに静脈内注射によって、0.4mlの1×PBS中の0.75×106個のB16F0黒色腫細胞で抗原投与した。腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞を調製した後、処置グループの各マウスに、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する2×106個の樹状細胞を静脈内注射し、このワクチン接種を3回の受容体用量で反復した。マウスを、肺転移について最大4週間モニターした。
4週間の最後に(対照マウスの1匹が死亡したときに)、マウスを屠殺し、転移の発生をすべてカウントした。腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞で処置されなかった4匹のすべての対照動物は、50を超える腫瘍を有した。しかしながら、処置された動物はいずれも測定可能な転移を有していなかった。このデータは、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する樹状細胞が、承認された動物モデル系において癌を治療するのに有効であることを示す。データを表1にまとめる。
Figure 2015529088
さらに、図7のAは、この実験における対照マウス(1匹のマウスは実験の終了前に死亡し、肺を撮影できなかった)のうち3匹の肺を示し、図7のBは、4匹の処置されたマウスの肺を示す。
[実施例13]
インビボの手順
対象にワクチン接種するために、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する125万個の樹状細胞の用量は、0.2mLの無血清、10%ジメチルスルホキシド凍結培地(CryoStor(商標)CS-10、BioLife Solutinos, Inc.)中に凍結保存することができる。注射前に、樹状細胞を融解し、5%ヒト血清アルブミン(Albuminar -25、Aventis Behring)を含有する注射用の滅菌生理食塩水を用いて1mLに希釈することができる。続いて希釈液を注射用の3.0cc注射器に移してもよく、これは、23ゲージ以上の針を用いて融解の2時間以内に投与すべきである。注射は、リンパ節の領域に皮下投与することができる。
[実施例14]
SepMate-50システムを用いた全末梢血からの単核細胞の単離
手順:
Figure 2015529088
[実施例15]
充填YCWPと組み合わせた樹状細胞の作製
実施例14における手順後、以下の方法を行う:
I.YCWPの添加
Figure 2015529088
II.サイトカインの調製及び添加
Figure 2015529088
[実施例16]
細胞の回収、ワクチンの調製及び凍結保存
実施例15における手順後、以下の方法を行う:
細胞の回収:
Figure 2015529088
II.ワクチンの調製及び凍結保存
Figure 2015529088

Claims (16)

  1. (i)粒子と、(ii)粒子内に充填された腫瘍溶解物とから本質的になる貪食された成分を含む単離された樹状細胞。
  2. 腫瘍溶解物が約200μg〜約500μgの量で存在する、請求項1に記載の樹状細胞。
  3. 腫瘍溶解物が約200μgの量で存在する、請求項1に記載の樹状細胞。
  4. 腫瘍溶解物が、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、肝臓癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌及び眼黒色腫からなる群より選択される癌から選択される溶解物である、請求項1に記載の樹状細胞。
  5. 粒子が、酵母細胞壁粒子である、請求項1に記載の樹状細胞。
  6. 8日以下で単離された未熟細胞である、請求項1に記載の樹状細胞。
  7. 請求項1に記載の単離された樹状細胞を含むワクチン。
  8. (i)粒子内に腫瘍溶解物を充填して、腫瘍溶解物を充填した粒子を作製すること、
    (ii)腫瘍溶解物を充填した粒子を凍結乾燥すること、及び
    (iii)腫瘍溶解物を充填した粒子を樹状細胞とともにインキュベートすること
    を含み、ここでインキュベートすることにより、腫瘍溶解物を充填した粒子は樹状細胞に貪食される、腫瘍溶解物を充填した粒子を含有する単離された樹状細胞の作製方法。
  9. 工程(iii)の前に、(a)腫瘍溶解物を充填した粒子を溶液中に再懸濁すること、及び(b)再懸濁した溶液を凍結乾燥することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 腫瘍溶解物が、腫瘍を凍結及び融解することによって作製される、請求項8に記載の方法。
  11. 凍結及び融解工程を反復することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 腫瘍溶解物を-150℃で凍結保存することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(iii)が、(a)酵母細胞壁粒子内に腫瘍溶解物を添加すること、(b)酵母細胞壁粒子をインキュベートすること、(c)酵母細胞壁粒子を凍結乾燥すること、及び(d)酵母細胞壁を洗浄することを含み、ここで工程(b)〜(c)を少なくとも1回反復し、その際工程(b)を反復する前に酵母細胞粒子内に水を添加する工程を含む、請求項8に記載の方法。
  14. 工程(iii)が、(a)腫瘍溶解物を充填した粒子と樹状細胞とを、約100:1の比率で接触させること、(b)腫瘍溶解物を充填した粒子を、樹状細胞とともに1〜2時間インキュベートすること、及び(c)樹状細胞を回収し、該細胞を洗浄することを含む、請求項8に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の単離された樹状細胞を含むワクチンを、それを必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法。
  16. 癌が、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、肝臓癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌及び眼黒色腫からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
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