詳細な説明
I.略語および定義
IL:インターロイキン
JAK:ヤヌスキナーゼ
STAT:シグナル伝達性転写活性化因子
SYK:脾臓チロシンキナーゼ
本明細書において使用される場合、特に示されない限り、以下の定義が適用されるものとする。
「コルチコステロイド」は、副腎皮質において産生されるステロイドホルモンである。コルチコステロイドは、ストレス反応、免疫応答ならびに炎症、炭水化物代謝、タンパク異化、血中電解質レベル、および行動の調節などの幅広い生理学システムに関与している。コルチコステロイドの例としては、コルチゾール、プレドニゾン、およびプレドニゾロンが挙げられる。コルチコステロイドは、経口で投与可能であるか、非経口で(例えば注射による)投与可能であるか、または皮膚における病変への直接局所適用によって、投与可能であり、複合製剤中で式Iおよび/またはIIの化合物と一緒にさせられ得る。「局所コルチコステロイド」は、皮膚に直接局所的に適用されるが、局所コルチコステロイドの長期間の使用により、外観の悪い皮膚の萎縮が生じる。
「皮膚の」または「真皮の」は、脊椎動物体の外層を形成する組織である皮膚を指す。皮膚(「外皮系」と呼ばれることもある)は、粘膜(特に、口、鼻、口およびまぶたの膜)とともに、身体をその外部環境から保護するのに役立つ。皮膚は、2つの層(真皮および表皮)からなり、皮膚の最外部は、多くの動物(ヒトを含む)において少なくとも部分的に体毛によって覆われていることがある。皮膚の機能は、眼、鼻、および口の粘膜とともに、主に保護および知覚である。
「上皮表面」は、身体の表面を覆う上皮細胞から構成される組織を指す。上皮表面は、皮膚ならびに口および鼻の粘膜(mucosa)などの外面、ならびに身体内部表面の内張(lining)を含む。「外部」上皮表面は、身体の表面(皮膚、ならびに鼻および口の内張など)に露出されるものであり、器具(内視鏡または外科用メスなど)を使用せずに、表面へのクリームまたは軟膏の直接塗布を行いやすい。
「粘膜(mucous membrane)」(または「粘膜(mucosa)」)は、吸収および分泌に関与する内張に覆われた、大抵は内胚葉由来の内膜である。粘膜は、外部環境および内臓器官に曝される体腔を覆う。粘膜は、鼻孔、口、唇、まぶた、耳、生殖器部、および肛門などのいくつかの箇所で皮膚と連続している。
「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」は、プロスタグランジンの産生を阻害することによって作用する抗炎症剤の一種である。NSAIDSには、抗炎症、鎮痛、および解熱作用がある。NSAIDSの例としては、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、アスピリン、次サリチル酸コリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、サルサラート、トルメチン、およびサリチル酸マグネシウムが挙げられる。これらの剤は、経口で投与可能であるか、非経口(例えば注射による)で投与可能であるか、または炎症部位への直接的局所適用によって投与可能であり、かつそれらは、複合製剤中で式Iおよび/またはIIの化合物と一緒にさせられ得る。
「N-オキシド」は、オキシラジカルを有する窒素を含む化合物を指す。
「薬学的に許容される塩」は、薬物として使用され得る化合物の生物学的に適合した塩を指し、この塩は、当技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンから誘導される。
「薬学的に有効な量」または「治療的に有効な量」は、特定の疾患または疾病あるいはその症状の1つまたはそれ以上を治療し、かつ/または疾病または疾患の発症を予防するのに十分な化合物の量を指す。「治療」は、疾病のさらなる進行を停止させること、ならびに疾患を改善すること、病変の退縮を引き起こすこと、またはある例では疾患を治癒することを含む。
「プロドラッグ」は、例えば、腸管における加水分解または血中の酵素的変換により、インビボで転換されて親化合物を生じる化合物を指す。一般的な例としては、以下に限定はされないが、カルボン酸部分を持つ活性型を有する化合物のエステル型およびアミド型が挙げられる。本明細書に開示される化合物の薬学的に許容されるエステルの例としては、以下に限定はされないが、アルキル基が直鎖または分岐鎖であるアルキルエステル(例えば、約1個〜約6個の炭素を有する)が挙げられる。許容されるエステルとしてはまた、限定はされないがベンジルなどの、シクロアルキルエステルおよびアリールアルキルエステルが挙げられる。開示される化合物の薬学的に許容されるアミドの例としては、以下に限定はされないが、第一級アミド、ならびに、第二級および第三級アルキルアミド(例えば、約1個〜約6個の炭素を有する)が挙げられる。開示される化合物のアミドおよびエステルは、従来の方法にしたがって調製され得る。プロドラッグの徹底的な議論は、T.Higuchi and V.Stella,"Pro-drugs as Novel Delivery Systems,"Vol 14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されており、これらは両方とも、すべての目的で参照により本明細書に組み入れられる。
「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせにより形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、または両方の混合物であり得る。溶媒のいくつかの例としては、以下に限定はされないが、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が挙げられる。本明細書に記載される化合物は、非溶媒和型において、および、薬学的に許容されるかまたはできない溶媒、例えば、水、エタノールなどで溶媒和された型において存在し得る。本明細書に開示される化合物の溶媒和型が、少なくとも総称で、本明細書において想定され、本発明により包含される。
「対象」はヒトおよび非ヒト対象を指す。
「局所」送達は、薬物の薬理作用を皮膚の表面にまたは皮膚内に実質的に指向させる目的で、皮膚疾患または疾病の皮膚症状を直接治療するための、皮膚への薬物含有製剤の適用を指す。局所剤形は、通常、半固体系であるが、フォーム、スプレー、薬用の粉末、溶液、および薬用の接着システムなどの様々な他の剤形を含み得る。局所送達は、患部を覆うように皮膚組織に塗られるか、噴霧されるか、または他の方法で分散される外用の局所剤、あるいは局部的活性のために、経口で、経膣的に、または直腸肛門組織上で粘膜に適用される内用局所剤を含む。本明細書に開示される局所薬物は、例えば、固体(粉末、エアゾール、または硬膏剤);液体(ローション、リニメント剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール)、あるいは半固体(軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、ゼリー、または坐薬)としての任意の局所剤形として投与され得る。
本明細書において使用される場合、および当技術分野においてよく理解されているように、「治療」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るための方法である。本発明の趣旨では、有益なまたは所望の結果は、以下に限定はされないが、検出できるかまたは検出できないかにかかわらず、1つまたはそれ以上の症状の緩和または改善、疾病を含む病態の程度の縮小、疾病を含む病態の安定化した(すなわち、悪化していない)状態、疾病の拡大の防止、疾病を含む病態の進行の遅延または緩徐化、疾病を含む病態の状態の改善または緩和、および寛解(部分的であるかまたは全体的であるかにかかわらず)の1つまたはそれ以上を含み得る。
「白斑」は、皮膚メラノサイトの喪失および/または異常なメラノサイト機能を特徴とする病態である。
II.化合物
化合物、溶媒和物、プロドラッグ、対応する塩形態、ならびに、これらの化合物、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、および塩形態を白斑の治療および/または予防に使用する方法が開示される。説明を簡略にするために、化合物Iおよび化合物IIが具体的に言及される任意の態様について、この態様は、化合物の水和物、溶媒和物、プロドラッグ、塩形態、およびN-オキシド、ならびに/または化合物Iおよび/もしくは化合物IIを含有する薬学的組成物も含む。
化合物IおよびII、ならびにこれらを含有する薬学的組成物を、以下により詳細に説明する。化合物Iは、N2-(3-アミノスルホニル-4-メチルフェニル)-5-フルオロ-N4- [4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンとも呼ばれる。化合物IIは、5-フルオロ-N2-(4-メチル-3-プロピオニルアミノスルホニルフェニル)-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンとも呼ばれる。
当業者は、現在理解されているように、化合物IIが化合物Iのプロドラッグであること、および、化合物IIが、化合物Iに変換されるまで必ずしも薬理学的に不活性である必要はないことを理解するであろう。プロピオニルプロ基が代謝される機序は、重要ではなく、例えば、胃の酸性条件下での加水分解により、ならびに/または、皮膚、粘膜、唾液、涙などの身体の組織および/もしくは器官に存在する、例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、リポラーゼ、ATPアーゼおよびキナーゼを含むホスファターゼ、肝臓のシトクロムP450などの酵素を含む酵素により、生じ得る。本明細書に記載される特定の態様において、化合物Iおよび/またはIIは、白斑を治療するのに使用され、したがって、皮膚に直接投与され得る。最初は不活性のプロドラッグが投与される場合、それは、例えば皮膚中の酵素(エステラーゼなど)により投与後に活性化され得るか、または薬物を活性化する別の剤(例えば、パッチ中の活性化物質のリザーバ(reservoir)、または局所適用の前にプロドラッグと混合されるさらなる剤)と共に局所投与され得る。ある態様において、投与は、局所投与のみではなく、注射など、例えば皮内注射も含み得る。あるいは、これらの活性作用物質は、全身投与され得る。
当業者は、化合物IおよびIIが、互変異性体、配座異性体、および/または幾何異性体として存在し得ることを理解するであろう。本開示が、化合物の任意の互変異性体、配座異性体、および/または幾何異性体、ならびにこれらの様々な異なる異性体の混合物を包含することを理解されたい。
アトロプ異性体は、回転障壁が配座異性体の単離を可能にするほど十分に高い単結合の周りの回転障害から得られる立体異性体である(Eliel,E.L.;Wilen,S.H.Stereochemistry of Organic Compounds;Wiley & Sons:New York,1994;第14章)。アトロプ異性体は、立体性(stereogenic)原子の非存在下でキラル要素を導入するため、重要である。本発明は、例えば、2,4-ピリミジンジアミンのコア構造とそれに結合される基との間の結合の周り、または例えば、スルホンアミドとそれが結合されるフェニル環との間の結合の周りの回転が制限される場合、アトロプ異性体を包含することが意図される。
化合物IおよびIIは塩の形態であってもよい。このような塩には、薬学的用途に適した塩(「薬学的に許容される塩」)、獣医学的用途に適した塩などが含まれる。このような塩は、当技術分野において周知である酸または塩基から誘導され得る。本明細書に記載される例示的な塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アルギニン塩、コリン塩、およびカルシウム塩であるが、一般的に、任意の薬学的に許容される塩が、本明細書に記載される方法に使用され得る。化合物Iおよび化合物IIが、両方の塩基性基を含むため、例えば、ピリミジン窒素、ならびに酸性基、例えば、スルホンアミドにおける酸性プロトンおよび/またはピリミジンジアミン系のN2およびN4における窒素を含むため、これらの化合物は、薬学的に許容される酸または塩基付加塩を形成し得る。
一般に、薬学的に許容される塩は、親化合物の所望の薬理学的活性の1つまたはそれ以上を実質的に保持し、ヒトへの投与に適した塩である。薬学的に許容される塩には、無機酸または有機酸とともに形成される酸付加塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに適した無機酸としては、例として、限定はされないが、ハロゲン化水素酸(hydrohalide acid)(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに適した有機酸としては、例として、限定はされないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸(キシナホ酸(xinafoic acid))、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などが挙げられる。
薬学的に許容される塩には、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属イオン(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、またはアルミニウムイオン)によって置換される場合に、あるいは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アンモニアなど)と配位する場合に形成される塩も含まれる。
アミン基の塩は、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアラルキル部分などの好適な有機基を有する、第四級アンモニウム塩を含み得る。
本明細書に記載される薬学的に許容される塩は、遊離塩基形態の生成物を、塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中で、または真空下でまたは凍結乾燥によって除去される水などの溶媒中で、1つまたはそれ以上の当量の適切な酸と反応させるか、あるいは既存の塩のアニオンを、好適なイオン交換樹脂における別のアニオンと交換することなどによる従来の手段によって形成され得る。
化合物IおよびII、ならびにその塩はまた、当技術分野において周知であるように、溶媒和物、例えば水和物、およびN-オキシドの形態であってもよい。
III. 薬学的組成物
本明細書に記載される化合物IおよびIIを含む薬学的組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣形成、研和、乳化、カプセル化、封入(entrapping)、または凍結乾燥プロセスによって、製造され得る。組成物は、薬学的に使用され得る特に局部的または局所的に使用され得る調製物への活性化合物の処理を容易にする、1つまたはそれ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤を用いて、従来の方法で製剤化され得る。
化合物IおよびIIは、本明細書に記載されるように、それ自体で、あるいは、プロドラッグ、水和物、溶媒和物、N-オキシド、または薬学的に許容される塩の形態で、薬学的組成物中で製剤化され得る。通常、このような塩は、対応する遊離酸および塩基より、水溶液に対する溶解性が高いが、対応する遊離酸および塩基より低い溶解性を有する塩も形成され得る。
一態様において、薬学的製剤は、化合物Iおよび/または化合物IIと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、防腐剤、または安定剤、あるいはそれらの混合物とを含む。一態様において、化合物は、前述される非毒性の薬学的に許容される塩として提供される。
化合物IおよびIIは、任意の適切な方法によって、例えば、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、またはインプラント)によって、吸入スプレー、経鼻、膣内、直腸、舌下、尿道(例えば、尿道坐薬)、あるいは局所的な投与経路(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、エアゾールなど)によって投与されてもよい。化合物IおよびIIは、各投与経路に適切な従来の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤、賦形剤、およびビヒクルを含有する好適な投与量単位の製剤中で、単独でまたは一緒に製剤化され得る。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本明細書に記載される化合物は、ヒトを治療するために使用され得る。
化合物IおよびIIの投与のための薬学的組成物は、投与量単位形態で好都合に提供されてもよく、製薬の技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。薬学的組成物は、例えば、活性成分を、液体担体または微粉化した固体担体あるいはその両方と均一におよび密接に合わせて、次に、必要に応じて、生成物を所望の製剤へと成形し、かつ/またはそれを適切な包装中に入れることによって調製され得る。開示される化合物の局所製剤において、製剤は、適切な容器(軟膏およびクリームを小出しするための蓋付きの絞り出し式チューブなど)に入れられる。あるいは、ディスペンサは、薬物の投与量単位を投薬するための器具(標的部位に制御された所定の投与量の薬物を投薬するボトルまたはスポイトなど)を含み得る。薬学的組成物において、有効な目的化合物が、所望の治療効果を生じるのに十分な量で含まれる。例えば、本明細書に記載される薬学的組成物は、例えば、局所、眼内、経口、頬側、全身、経鼻、注射、経皮、直腸、膣内などを含む実質的にあらゆる投与形態に適した形態、あるいは吸入または注入(insufflation)による投与に適した形態を取り得る。
局所投与の場合、化合物またはプロドラッグは、当技術分野において周知のように、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤化され得る。皮膚への投与に適していることに加えて、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、および懸濁液は、眼に直接投与するのにもよく適している。一態様は、化合物Iおよび/または化合物IIを含む薬学的製剤であり、この製剤は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、および懸濁液より選択される。一局面において、局所投与のために製剤化されるこのような製剤は、化合物Iおよび/または化合物IIの治療的に有効な量、あるいは、化合物Iの場合は塩酸塩またはベシル酸塩、および例として、化合物IIのリジン塩、コリン塩、またはアルギニン塩などの、その薬学的に許容される塩の治療的に有効な量を含む。本明細書に記載される方法に使用するための製剤の特定の態様は、化合物、局所基剤、抗酸化物質、皮膚軟化剤、および乳化剤の治療的に有効な量を含む。当業者は、治療的に有効な量の化合物がさまざまであり得るが、通常、0.1%〜10%(w/w)の濃度が、治療的に有効な量の化合物を対象に提供し得ることを理解するであろう。
局所基剤は、選択された分子量を有するポリエチレングリコールを含み得る。特定の態様は、局所基剤として、3000〜8000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
特定の態様において、製剤は、軟膏であり、200ダルトン〜600ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの水混和性溶媒をさらに含み得る。特定の態様において、水混和性溶媒は、PEG-400、さらにより特定的には、不純物を実質的に含まないPEG-400を含む。特定の態様において、不純物を実質的に含まないPEG-400は、65ppm未満のホルムアルデヒド、10ppm未満のホルムアルデヒド、または1ppmまたはそれ未満のホルムアルデヒドを含む。
本明細書に記載される使用のための局所製剤は、ジメチルイソソルビド、プロピレングリコール、またはそれらの組合せなどの浸透促進物質;水などの皮膚軟化剤;モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコールモノステアレート、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ステアリン酸グリコール/PEG32ステアレート/PEG6ステアレートを含む組成物などの界面活性剤、および界面活性剤の組合せ;ブチル化ヒドロキシアニソールなどの抗酸化物質、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、α-トコフェロール、およびそれらの組合せも含むことができ、特定の態様は、抗酸化物質としてのブチル化ヒドロキシトルエン;および0.05%〜0.25%(w/w)のカラメル色素などの任意選択の着色剤を含む。
特定の態様では、0.1%〜10%(w/w)の濃度が、治療的に有効な量の化合物を対象に提供し、薬学的製剤は、4000〜5000ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの15%〜40%(w/w)の局所基剤;300〜500ダルトンの平均分子量を有するポリアルキレングリコールなどの25%〜50%(w/w)の水混和性溶媒;ジメチルイソソルビドなどの10%〜20%(w/w)の浸透促進物質;水などの3%〜15%(w/w)の皮膚軟化剤;ポリエチレングリコールモノステアレートなどの3%〜9%(w/w)の界面活性剤;および抗酸化物質としての0.5%〜1.5%(w/w)のブチル化ヒドロキシトルエンをさらに含む。
薬学的製剤の別の態様は、0.2%〜6%(w/w)の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩;4000〜5000ダルトンの平均分子量を有する30%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;300〜500ダルトンの平均分子量を有する30%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;15%(w/w)のジメチルイソソルビド;3〜5%(w/w)の水;5%(w/w)のポリエチレングリコールモノステアレート;1%(w/w)のブチル化ヒドロキシトルエン;および0.05%のカラメルを含む。
薬学的製剤のさらに別の態様は、1%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する25%〜40%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する30%〜45%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
薬学的製剤のさらに別の態様は、3%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する32%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する38%〜42%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
薬学的製剤のさらに別の態様は、6%(w/w)の化合物I;4500ダルトンの平均分子量を有する35%(w/w)のポリエチレングリコール;および400ダルトンの平均分子量を有する33%〜35%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
一態様において、製剤は溶液である。別の態様において、製剤はゲルである。別の態様において、製剤は懸濁液である。さらに別の態様において、製剤はクリームまたは軟膏である。一態様は、局所または局部投与のためのキットにおける上記の製剤のいずれかである。一態様において、製剤は、例えば、(例えば、実質的に、治療される皮膚の標的部位のみに液体を投薬するために、皮膚の標的部位に接触するアプリケータの先端から)液滴または液膜として製剤を投薬するボトルに入れられて販売されている均質な液体または懸濁液といった液体である。一態様において、製剤は、皮膚の標的部位に製剤を投薬するチューブに入れられて販売されているクリームまたは軟膏である。別の態様において、化合物は、皮膚に塗り込むかまたは眼に注入するための粘性液体(カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール、または油を含有する点眼剤など)に提供される。製剤は、防腐剤を有してもまたは防腐剤を含まなくてもよい(例えば使い捨ての容器中)。
化合物IおよびIIは、クリーム、軟膏、ゼリー、ゲル、溶液、または懸濁液などの局所投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するのに使用され得る。特定の態様において、化合物IおよびIIは、ポリエチレングリコール(PEG)とともに局所投与するために製剤化され得る。これらの製剤は任意で、希釈剤、安定剤、および/または補助剤などのさらなる薬学的に許容される成分を含み得る。特定の態様において、局所製剤は、白斑の治療のために製剤化される。
全身用製剤には、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内、または腹腔内注射による投与のために設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜、経口、または経肺投与のために設計されたものが含まれる。
有用な注射用調製物は、水性または油性ビヒクル中の活性化合物の滅菌懸濁液、溶液、またはエマルジョンを含む。組成物は、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの配合剤(formulating agent)、あるいはプロドラッグを活性化するための活性化剤も含有し得る。注射用の製剤は、単位剤形で、例えば、アンプル中または多回投与用容器中に与えられてもよく、防腐剤が追加されていてもよい。注射用の製剤はまた、注射器、例えば、針を有する注射器中に、皮膚中への、例えば直接皮膚の色素脱失した領域への薬物の注射によって提供され得る。
あるいは、注射用製剤は、使用前に、以下に限定はされないが、発熱性物質除去蒸留水、緩衝液、デキストロース溶液などを含む好適なビヒクルとの再構成のための粉末形態で提供され得る。粉末は、粉末がビヒクルに可溶化される場合にプロドラッグを活性化する、プロドラッグのための活性化剤を含み得る。このために、活性化合物は、凍結乾燥などの当技術分野において公知の任意の技術によって乾燥され、使用前に再構成され得る。
経粘膜投与の場合、浸透されるべきバリアに適した浸透剤が、製剤に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において公知であり、浸透剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルイソソルビドが挙げられる。しかしながら、浸透剤は、皮膚への活性作用物質の送達を向上させるのに使用することもできる。
経口投与の場合、薬学的組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤を用いた従来の手段によって調製されるロゼンジ、錠剤、またはカプセル剤の形態を取り得る。錠剤は、当技術分野において周知の方法によって、例えば、糖、フィルム、または腸溶コーティングでコーティングされ得る。さらに、経口使用に適した形態の活性成分またはそのプロドラッグとしての2,4-置換ピリミジンジアミンを含有する薬学的組成物は、例えば、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬カプセル剤または軟カプセル剤、あるいはシロップまたはエリキシル剤も含み得る。経口用の組成物は、薬学的組成物の製造のための技術分野において公知の任意の方法にしたがって調製されてもよく、このような組成物は、薬学的に上質で口当たりの良い調製物を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤、および防腐剤からなる群より選択される1つまたはそれ以上の剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して活性成分(プロドラッグを含む)を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア);および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク)などの不活性希釈剤であり得る。錠剤は、コーティングされなくてもよいか、または錠剤は、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって、より長い期間にわたって持続される作用を提供するための公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が用いられてもよい。錠剤は、制御放出のための浸透性の治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同4,166,452号;および同4,265,874号に記載される技術によってコーティングされてもよい。本明細書に記載される薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。
経口投与用の液体調製物は、例えば、エリキシル剤、溶液、シロップ、または懸濁液の形態を取り得るか、あるいは液体製剤は、水または他の好適なビヒクルを用いた使用前の構成のために、乾燥した製品として提供され得る。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素添加された食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、Cremophore(登録商標)、または分別された植物油);および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物を用いた従来の手段によって調製され得る。調製物は、必要に応じて、緩衝塩、防腐剤、着香料、着色料、および甘味料も含有してもよい。
経口投与用の調製物は、周知のとおりに、活性化合物またはプロドラッグの制御放出を与えるように好適に製剤化され得る。
頬側投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態を取り得る。
直腸および膣内の投与経路の場合、活性化合物は、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、(停留かん腸用の)溶液、坐薬、または軟膏として製剤化され得る。
活性化合物またはプロドラッグは、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フッ化炭素、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレーの形態で好都合に送達され得る。プロドラッグを投与する場合、プロドラッグは、活性化剤と同時に送達され、それによって活性化剤と混合されて、例えば、活性化合物IIが化合物Iへと活性化され得る。加圧されたエアゾールの場合、投与量単位は、一定量を送達する弁を設けることによって決定され得る。化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器または注入器中で使用するためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセル剤およびカートリッジ)が、製剤化され得る。
薬学的組成物は、滅菌した注射用の水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上述された好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、公知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌した注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌した注射用溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒には水、リンゲル液、および生理食塩液がある。化合物IおよびIIはまた、薬物の直腸または尿道投与のための坐薬の形態で投与され得る。特定の態様において、化合物は、例えば、特に男性の生殖能機能病態(fertility condition)の治療に使用するための、例えば、精巣機能障害の治療のための尿道坐薬として製剤化され得る。
本発明によれば、2,4-置換ピリミジンジアミン化合物は、直腸または尿道投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するのに使用され得る。本発明は、坐薬を含む、尿道または直腸投与に適した形態の、2,4-置換ピリミジンジアミン化合物を含む組成物を製造するための方法にも関する。
化合物IおよびIIの特定の例を投与するのに使用され得る器具に含まれるのは、定量吸入器、液体噴霧器、乾燥粉末吸入器、噴霧器、発泡器(foamer)、熱気化器(thermal vaporizer)などの、当技術分野において周知の器具である。特定の2,4-置換ピリミジンジアミン化合物の投与のための他の好適な技術は、電気流体力学的煙霧器(aerosolizer)を含む。スプレー、エアゾール、スポンジが先端に付いたアプリケータ、およびフォームディスペンサが、化合物を、それ自体でまたは製剤中のいずれかで、皮膚に直接投与するのに、または白斑に起因する色素脱失した斑点への直接の皮内注射によって投与するのに使用され得る。
通常、皮膚投与用の製剤は、約0.0001重量%〜約10重量%またはそれ以上(w/w)などの、本明細書に開示される薬学的に有効な量の2,4-ピリミジンジアミン化合物を含有する。特定の製剤において、薬学的に有効な量の化合物は、約0.003%〜約0.5%(w/w)、約0.01%〜約0.03%(w/w)、または約0.1%〜約10%(w/w)など、0.0003%〜約0.1%(w/w)である。他の例において、化合物は、少なくとも2%、3%、または5%(w/w)で存在する。
特定の例において、眼内投与のための(例えば、眼の白斑のための)、本明細書に開示される2,4-ピリミジンジアミン化合物を含有する眼科用組成物は、等張化剤、緩衝液、またはその両方を含む。眼科用組成物の特定の例において、等張化剤は、単炭水化物または糖アルコールである。当業者に公知であるとおり、等張化剤は、組成物の張度を、好ましくは正常な涙液の張度に調整するために、本発明の組成物に使用され得る。好適な等張化剤の例としては、限定はされないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロース、フルクトース、ガラクトースなどの炭水化物、例として、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、マルチトールを含む糖アルコールなどのポリオール、およびそれらの組合せが挙げられる。緩衝液を含有する組成物は、いくつかの例において、ホスフェート、シトレート、またはその両方を含有する。
本明細書に記載される2,4-置換ピリミジンジアミン化合物もしくはプロドラッグ、またはそれらの組成物は、一般に、白斑を治療または予防するのに有効な量で使用され得る。化合物は、治療効果を得るために治療的に投与されてもよいか、または予防効果を得るために予防的に投与されてもよい。治療効果とは、患者がまだ白斑にかかっていたとしても、患者が気分または状態の改善を報告するような、白斑の根絶もしくは改善および/または白斑に伴う1つまたはそれ以上の症状の根絶または改善を意味する。例えば、白斑に罹患している患者への化合物の投与は、原因となる色素脱失した斑点が根絶または改善される場合だけでなく、症状の改善が実現されたかどうかに関わらず、疾病の進行を停止させるかまたは緩徐化する場合にも治療効果をもたらす。
予防的投与の場合、化合物は、白斑を発症するリスクのある患者に、例えば、白斑の家族歴または早発性の白髪を有する人に投与され得る。他のリスク因子は、当業者によって同定されることができ、かつ、アジソン病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、円形脱毛症、悪性貧血、乾癬、または成人発症型糖尿病を含み得る。あるいは、予防的投与は、白斑と診断された患者における症状の進行を回避するために適用され得る。
投与される化合物の量は、例えば、治療される白斑の特定のタイプ、投与形態、白斑の重症度、患者の年齢および体重、特定の活性化合物の生物学的利用能などを含む、様々な要因に応じて決まると考えられる。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。当業者は、特定の個体の最適な用量を決定することができるであろう。有効な投与量は、最初にインビトロのアッセイ法から推定され得る。例えば、動物に使用するための初期投与量は、本明細書の実施例2および3に記載されるインビトロのアッセイ法などのインビトロのアッセイ法で測定される特定の化合物のIC50であるかまたはIC50を超える、活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように製剤化され得る。同様に、動物の全身使用のためのプロドラッグの初期投与量は、インビトロのアッセイ法における特定の化合物のIC50であるかまたはIC50を超える、代謝産物活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように製剤化され得る。特定の化合物の生物学的利用能を考慮に入れながら、このような循環血液または血清濃度を達成するための投与量を計算することは、十分に当業者の能力の範囲内である。参考として、読者は、Fingl and Woodbury,"General Principles,"In:Goodman and Oilman's the Pharmaceutical Basis of Therapeutics,第1章,pp.1-46(最新版),Pergamon Press、およびこの文献に引用される参照文献を参照されたい。
初期投与量は、実施例7に開示されるものなどの動物モデルを使用して、インビボデータから推定することもできる。上記の様々な疾病を治療または予防するための化合物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当技術分野において周知である。全身投与のための投与量は、通常、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲内であるが、他の要因の中でも特に、化合物の活性、その生物学的利用能、投与形態、および上述される様々な要因に応じて、より多くてもよかまたはより少なくてもよい。全身投与量および間隔は、治療または予防効果を維持するのに十分な化合物の血漿中濃度を提供するように個別に調整され得る。例えば、化合物は、中でも特に、投与形態、治療される特定の適応症、および処方医師の判断に応じて、週1回、1週間に数回(例えば、1日おき)、1日1回、または1日複数回投与され得る。局部的な局所投与などの、局部投与または選択的摂取の場合、活性化合物の有効な局部的濃度は、血漿濃度に関連しないことがある。当業者は、過度の実験を行わずに有効な局部的投与量を最適化することができるであろう。皮膚への局所投与のはるかに高い治療指数を考慮して、投与量は、副作用および毒性のさらなる懸念をそれほど伴わずに一般的な全身投与量を超えて増加され得る。
2,4-置換ピリミジンジアミン化合物の投与量の要件に関する上記の開示は、投与されるプロドラッグの量も、例えば、特定のプロドラッグの生物学的利用能、選択された投与経路における活性な薬物化合物への変換速度および変換効率、活性化剤の同時投与などを含む様々な要因に応じて決まるという当業者に明らかな認識により、プロドラッグに必要な投与量に関する。特定の使用および投与形態のためのプロドラッグの有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
局所投与または眼内投与の場合、有効な投与量は、化合物の著しい体循環が皮膚または眼への投与から生じない投与量、例えば、局所製剤が皮膚病変に直接適用され、かつ、著しい体循環の前に非常に局部的な投与が用いられる、投与量であり得る。
IV. 方法
本明細書において、白斑の治療および/または予防するのに使用するための、2,4-置換ピリミジンジアミン化合物IおよびII、それらのプロドラッグ、溶媒和物、塩、N-オキシド、ならびに薬学的組成物が開示される。特に、化合物Iおよび/またはIIは、単独でまたは他の剤と組み合わせて投与される。いくつか例において、化合物IIを含む組成物は、プロドラッグ化合物IIを化合物Iへと活性化するための活性化剤を含んでいてもよい。
化合物IおよびII(少なくとも化合物Iの供給源として)は強力であるため、非常に少ない用量で(例えば、皮膚または粘膜に対して局所的にまたは注射によって)局部的に投与され、それによって、全身的副作用が最小限に抑えられ得る。
化合物IおよびIIは、JAKキナーゼ、特に、T細胞およびB細胞で機能するJAK 1/3依存性サイトカインシグナル伝達ならびにマクロファージ、樹枝状細胞、およびB細胞におけるSyk依存性シグナル伝達の強力かつ選択的な阻害物質である。例えば、化合物Iは、それぞれ0.18μΜおよび0.14μΜの範囲内のJAK3およびSykに対するヒト細胞に基づくアッセイ法における半数効果濃度(EC50)を有し(Deuse et al. Transplantation 85(6) 885-892)、他のサイトカイン(IL-1βおよびTNFα)または受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達に対してほとんどまたは全く活性を有さず、細胞増殖の幅広い阻害物質ではない。
化合物Iは、JAK3を含有するサイトカインシグナル伝達経路に特に選択的である。この活性の結果として、化合物は、JAKキナーゼ活性と、JAKキナーゼが役割を果たすシグナル伝達カスケードと、このようなシグナル伝達カスケードによって行われる生物学的応答とを調節または阻害するのに様々なインビトロ、インビボ、およびエクスビボの状況において使用され得る。例えば、一態様において、化合物は、インビトロまたはインビボのいずれかで、JAKキナーゼを発現する実質的にあらゆる細胞型(造血細胞など)において、JAKキナーゼを阻害するのに使用され得る。化合物はまた、JAKキナーゼ、特にJAK3が役割を果たすシグナル伝達カスケードを調節するのに使用され得る。このようなJAK依存性シグナル伝達カスケードとしては、以下に限定はされないが、例えば、IL-4、IL-7、IL-5、IL-9、IL-15、およびIL-21、またはIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、およびIL-21受容体シグナル伝達カスケードなどの、共通γ鎖を含むサイトカイン受容体のシグナル伝達カスケードが挙げられる。化合物はまた、インビトロまたはインビボで、このようなJAK依存性シグナル伝達カスケードによって影響される細胞応答または生物学的応答を調節、特に阻害するのに使用され得る。このような細胞応答または生物学的応答としては、以下に限定はされないが、IL-4/ラモスCD23上方制御、IL-2媒介性T細胞増殖などが挙げられる。重要なことには、化合物は、JAKキナーゼ活性によって全体的にまたは部分的に媒介される疾病の治療または予防に対する治療方法としてインビボでJAKキナーゼを阻害するのに使用され得る。このような疾病は、「JAKキナーゼ媒介性疾病」と呼ばれる。
化合物IおよびIIは、Sykキナーゼの阻害物質である。結果として、化合物は、様々なインビトロ、インビボ、およびエクスビボの状況において、Sykキナーゼ活性、Sykキナーゼが役割を果たすシグナル伝達カスケード、およびこのようなシグナル伝達カスケードによって行われる生物学的応答を調節または阻害するのに使用され得る。例えば、一態様において、化合物は、インビトロまたはインビボのいずれかで、Sykキナーゼを発現する実質的にあらゆる細胞型において、Sykキナーゼを阻害するのに使用され得る。
理論に制約されるのを望むものではないが、本明細書に記載される化合物が、少なくとも部分的に、そのJAKおよび/またはSyk阻害活性のために、白斑の有効な治療であると考えられる。一態様において、化合物Iおよび/またはIIは、塩形態として使用される。特定の態様において、化合物IIは、塩形態として使用される。一態様において、化合物IIの塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルギニン塩、およびコリン塩より選択される。
同時投与
皮膚および/または粘膜の白斑の斑点を治療するのに使用される場合、化合物IおよびIIは、単独で、プロドラッグを活性化するのにまたは皮膚の疾病および/または疾患を治療するのに有用な他の剤との混合物で、および/または該剤と組み合わせて投与され得る。化合物Iおよび/またはIIは、いくつかを挙げると、ステロイド、膜安定剤、5-リポキシゲナーゼ(5LO)阻害物質、ロイコトリエン合成および受容体阻害物質、IgEアイソタイプ転換またはIgE合成、IgGアイソタイプ転換またはIgG合成の阻害物質、β作動薬、トリプターゼ阻害物質、アスピリン、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害物質、メトトレキサート、抗TNF薬、リツキサン(rituxan)、PD4阻害物質、p38阻害物質、PDE4阻害物質、および抗ヒスタミン剤などの、他の疾患または病気を治療するのに有用な剤との混合物でまたは該有用な剤と組み合わせて投与され得る。化合物IおよびIIは、それ自体で、プロドラッグ、塩、溶媒和物、またはN-オキシドの形態で、あるいは活性化合物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物として投与され得る。
本明細書に開示される薬学的組成物は、皮膚に適用される様々な他の治療剤、例えば抗菌剤(Bactroban(登録商標)またはCleocin(登録商標)など);抗乾癬薬(Micanol(登録商標)など);抗真菌薬(Lamisil(登録商標)、Lotrimin(登録商標)、およびNizoral(登録商標)など);にきび治療剤(過酸化ベンゾイル局所調製物など);脂漏性皮膚炎のための治療剤(コールタールなど);コルチコステロイド;にきびを含む病態を治療するのに使用されるビタミンAから誘導されるゲルまたはクリームであるレチノイド(Retin-AおよびTazorac(登録商標)など);および、いぼ治療剤(サリチル酸など)、局所免疫調節剤(タクロリムスもしくはピメクロリムス(pimecrolimus))、またはソラレン(光線療法と共に用いられるUV感作物質)と(同時にまたは連続して)同時投与され得る。これらの剤のいずれも、例えば、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、石けん、シャンプー、またはパッチなどの接着アプリケータで、局所または化粧用製剤中に提供され得る。
本明細書に開示される薬学的組成物はまた、皮膚に適用されない様々な他の治療剤、例えば、経口または非経口などで、全身投与される治療剤と(同時にまたは連続して)同時投与され得る。このような全身治療剤の例としては、コルチコステロイド(プレドニゾンなど)、抗生物質(エリスロマイシン、テトラサイクリン、およびジクロキサシリンなど)、抗真菌薬(ケトコナゾールおよびDiflucan(登録商標)など)、抗ウイルス剤(Valtrex(登録商標)、アシクロビル、およびFamvir(登録商標)など)、コルチコステロイド、免疫抑制剤(Cytoxan(登録商標)、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートなど)、生物学的製剤(Rituxan(登録商標)、Enbrel(登録商標)、Humira(登録商標)、Remicade(登録商標)、Stelara(登録商標)、およびAmevive(登録商標)など)、ならびに/または甲状腺ホルモン補充が挙げられる。
化合物Iおよび/またはIIと組み合わせて使用され得る他の療法としては、例えば、メルカプトプリン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾロンなどのコルチコステロイド、シクロホスファミドなどのアルキル化剤、シクロスポリン、シロリムス、およびタクロリムスなどのカルシニューリン阻害物質、ミコフェノレート、ミコフェノール酸モフェチルなどのイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害物質、アザチオプリン、様々な抗体、例えば、抗リンパ球グロブリン(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、モノクローナル抗T細胞抗体(OKT3)、ならびに放射線が挙げられる。これらの様々な剤は、市販の形態の薬物に添付の処方情報(the 2006 Edition of The Physician's Desk Referenceにおける処方情報も参照されたい)に規定されるとおりに、それらの標準的または一般的な投与量に準拠して使用され得る。アザチオプリンは、商標名Azasan(登録商標)でSalix Pharmaceuticals,Inc.から現在入手可能であり;メルカプトプリンは、商標名Purinethol(登録商標)でGate Pharmaceuticals,Inc.から現在入手可能であり;プレドニゾンおよびプレドニゾロンは、Roxane Laboratories,Inc.から現在入手可能であり;メチルプレドニゾロンは、Pfizerから現在入手可能であり;シロリムス(ラパマイシン)は、商標名Rapamune(登録商標)でWyeth-Ayerstから現在入手可能であり;タクロリムスは、商標名Prograf(登録商標)で藤沢薬品工業(Fujisawa)から現在入手可能であり;シクロスポリンは、商標名Sandimmune(登録商標)でNovartisからおよび商標名Gengraf(登録商標)でAbbottから現在入手可能であり;ミコフェノール酸モフェチルおよびミコフェノール酸などのIMPDH阻害物質は、商標名Cellcept(登録商標)でRocheからおよび商標名Myfortic(登録商標)でNovartisから現在入手可能であり;アザチオプリンは、商標名Imuran(登録商標)でGlaxo Smith Klineから現在入手可能であり;抗体は、商標名Orthoclone(登録商標)でOrtho Biotechから、商標名Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)でNovartisからおよび商標名Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)でRocheから現在入手可能である。
一態様において、式Iおよび/もしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩形態は、全身光線療法(例えば、狭帯域UV-B光線療法、310-315nm)、ソラレン光化学療法(PUVA:UV-A光と組み合わせたソラレン(例えば、5-メトキシソラレン、8-メトキシソラレン(0.1-0.3%)、トリメチルソラレン))、エキシマーレーザー(308nm)療法と組み合わせて投与されるかまたはそれらとともに補助的に投与される。いくつかの例において、局所タクロリムス(0.03-0.1%)軟膏が、エキシマーレーザー療法と組み合わされる。ピメクロリムス(1%)クリームが、顔の白斑のために狭帯域UV-B治療と組み合わされてもよい。ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリオール(calcipotriol)、タカルシトール(tacalcitol))が、狭帯域UV-BまたはPUVA治療と組み合わされてもよい。
別の態様において、化合物Iおよび/または化合物IIは、上記の治療法および/または別の疾病のための治療法と組み合わせて投与されるかまたはそれらとともに補助的に投与される。例えば、化合物は、甲状腺ホルモン補充療法と、または抗炎症療法もしくは免疫調節療法と組み合わされてもよい。
一態様において、化合物Iおよび/または化合物IIは、主に眼もしくは眼の周囲の皮膚(まぶたなど)を冒している白斑の症例を治療するために、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗炎症剤、抗ウイルス剤、もしくは緑内障薬などの薬物の眼科用製剤と組み合わせて投与されるかまたはそれらとともに補助的に投与され、かつ、例えば点眼剤または軟膏で、眼にまたは眼の周囲に投与され得る。これらの複合製剤を調製する際、化合物Iおよび/または化合物IIは、眼科用抗生物質(スルファセタミド、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、シプロフロキサシン、またはオフロキサシンなど);眼科用コルチコステロイド(プレドニゾロン、フルオロメトロン、またはデキサメタゾンなど;眼科用非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラック、またはフルルビプロフェンなど);眼科用抗ヒスタミン剤(リボスチン(livostin)、パタノール(patanol)、クロモリン、アロミド(alomide)、またはフェニラミンなど);眼科用抗ウイルス性眼薬(トリフルオロチミジン、アデニン、アラビノシド、またはイドクスウリジンなど);眼科用緑内障薬(例えば、チモロール、メチプラノロール、カルテオロール、ベタキソロール、またはレボブノロールなどのβ遮断薬);眼科用プロスタグランジン類似体(ラタノプロストなど);眼科用コリン作動薬(ピロカルピンまたはカルバコールなど);ブロモニジン(bromonidine)またはアイオピジン(iopidine)などの眼科用α作動薬;眼科用炭酸脱水酵素阻害物質(ドルゾラミドなど);および眼科用アドレナリン作動薬(エピネフリンまたはジピベフリンなど)と一緒にさせられてもよい。
開示される方法における化合物IおよびIIの代わりに用いられ得るさらなる化合物が、本明細書において具体的に想定され、2009年2月17日に発行されたArgade et al.の米国特許第7,491,732号および2007年8月30日に公開された米国特許出願公開第2007/0203161号に記載されており、これらは両方とも、参照により本明細書に組み入れられる。
V. 実施例
実施例1
化合物合成
化合物IおよびII、ならびに塩III〜VIIが、以下に記載されるようにまたは以下に記載される合成との類似法によって合成される。代替的な合成が、当業者によって理解されるであろう。
I:N2-(3-アミノスルホニル-4-メチルフェニル)-5-フルオロ-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン
4-ニトロフェノール(1.00g、7.19mmol)、臭化プロパルギル(トルエン中80重量%;0.788mL、7.09mmol)、およびK
2CO
3(1.08g、7.84mmol)を一緒にして、アセトン(16.0mL)中で60℃において18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷まし、水(200mL)で希釈した。4-(プロパ-2-イニルオキシ)ニトロベンゼンを、吸引ろ過によって白色の固体として単離した(1.12g)。
4-(プロパ-2-イニルオキシ)ニトロベンゼン(0.910g、5.13mmol)、鉄(1.42g、25.3mmol)、およびNH
4Cl(0.719g、12.8mmol)を、EtOH/水(1:1、55mL)中で70℃において15分間、激しく撹拌した。反応混合物を、珪藻土を通して高温のままろ過し、真空下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中10%の2Nのアンモニア性メタノール中で懸濁させ、超音波処理し、珪藻土を通してろ過した。濃縮により、4-(プロパ-2-イニルオキシ)アニリンを油として得て、それをさらに精製せずに使用した。
4-(プロパ-2-イニルオキシ)アニリン(0.750g、5.10mmol)および2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(1.27g、0.760mmol、Sigma-Aldrich(Milwaukee,Wisconsin,USA)から市販されている)を、MeOH/水(4:1、35mL)中で室温において18時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(200mL)で希釈し、1NのHCl(50mL)および塩水(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣が、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc:ヘキサン(1:10)まで勾配を付けたヘキサン)によって精製されて、2-クロロ-5-フルオロ-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-4-ピリミジンアミンが、淡褐色の固体(0.514g)としてもたらされた。
2-クロロ-5-フルオロ-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-4-ピリミジンアミン(0.514g、1.85mmol)、3-(アミノスルホニル)-4-メチルアニリン(0.689g、3.70mmol、市販の2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホンアミドの還元によって作製されるかまたは以下に記載されるように合成される)、およびトリフルオロ酢酸(0.186mL、2.41mmol)を、密閉バイアル中でiPrOH(6.0mL)と一緒にして、100℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷まし、1NのHCl(80mL)で希釈した。N2-(3-アミノスルホニル-4-メチルフェニル)-5-フルオロ-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン(I)を、吸引ろ過によって白色の固体として単離した(0.703g)。
II:5-フルオロ-N2-(4-メチル-3-プロピオニルアミノスルホニルフェニル)-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン
N2-(3-アミノスルホニル-4-メチルフェニル)-5-フルオロ-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン、I、(0.200g、0.467mmol)、DMAP(40mg、0.33mmol))およびトリエチルアミン(0.118mL、0.847mmol)を、THF(6.0mL)中で撹拌した。プロピオン酸無水物(0.180mL、1.40mmol)を、溶液に滴下して添加した。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。溶液を、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(5×25mL)および塩水(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、蒸発させた。残渣が、酢酸エチル(25mL)中で懸濁され、超音波処理され、かつ固体がろ過によって収集されて、5-フルオロ-N2-(4-メチル-3-プロピオニルアミノスルホニルフェニル)-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン、II、(0.20g)がもたらされた。
III:5-フルオロ-N2-(4-メチル-3-プロピオニルアミノスルホニルフェニル)-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン一ナトリウム塩
5-フルオロ-N2-(4-メチル-3-プロピオニルアミノスルホニルフェニル)-N4-[4-(プロパ-2-イニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミン、II、(0.125g、0.258mmol)を、アセトニトリル(1.5mL)および水(1.5mL)中に懸濁させ、氷浴中で冷却した。1NのNaOH水溶液(0.260mL)を滴下して添加した。反応混合物が、透明になるまで撹拌され、グラスウールを通してろ過され、かつ凍結乾燥されて、IIのナトリウム塩がもたらされた。
以下の化合物を上記の方法と同様の方法で作製した。
IV:5-フルオロ-N2-[4-メチル-3-(N-プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]-N4-[4-(2-プロピニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンカリウム塩
V:5-フルオロ-N2-[4-メチル-3-(N-プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]-N4-[4-(2-プロピニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンカルシウム塩
VI:5-フルオロ-N2-[4-メチル-3-(N-プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]-N4-[4-(2-プロピニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンアルギニン塩
VII:5-フルオロ-N2-[4-メチル-3-(N-プロピオニルアミノスルホニル)フェニル]-N4-[4-(2-プロピニルオキシ)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンコリン塩
5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド
4-メチルニトロベンゼン(20mmol)を0℃でクロロスルホン酸(5.29mL、80mmol)によって処理し、次に、均一な溶液を室温にした後、それを110℃で24時間撹拌した。次に、得られたスラリーを、氷水(100gm)上に注ぎ、ジエチルエーテル(3×75mL)で抽出し、有機相を水(75mL)で洗浄し、次に、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次に、溶媒を減圧下で除去して、粗スルホニルクロリドを得て、それを、酢酸エチル中に取り込み、水酸化アンモニウムとともに室温で一晩撹拌した。酢酸エチル層を分離させ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を一緒にして、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた油が、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、次に、ヘキサン中で10%、20%、最大50%の酢酸エチルによって精製されて、3-アミノスルホニル-4-メチルニトロベンゼン、LCMS:純度:95%;MS(m/e):217(MH+)がもたらされた。
ジクロロメタンおよびメタノール中の3-アミノスルホニル-4-メチルニトロベンゼンの溶液に、10%のPd/Cを添加し、混合物を、水素雰囲気下で、50psiで15分間振とうした。混合物を、珪藻土を通してろ過し、ろ過ケーキをメタノールで洗浄した。組み合わされた有機溶媒が減圧下で濃縮されて粗生成物がもたらされ、それは、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン1:1)によってさらに精製されて、3-アミノスルホニル-4-メチルアニリン、LCMS:純度:87%;MS(m/e):187(MH+)がもたらされた。
実施例2
IL-4で刺激されたラモスB細胞株に関するアッセイ法
JAK阻害をアッセイする1つの手段は、下流の遺伝子産物の上方制御に対する化合物IおよびIIの効果の検出である。ラモス/IL4アッセイ法において、B細胞を、サイトカインインターロイキン-4(IL-4)で刺激して、JAKファミリーキナーゼ、JAK1、およびJAK3のリン酸化を通してJAK/Stat経路の活性化をもたらし、これにより、次に、転写因子Stat-6をリン酸化して活性化する。活性化されたStat-6によって上方制御される遺伝子の1つが、低親和性IgE受容体、CD23である。JAK1およびJAK3キナーゼに対する阻害物質(例えば、本明細書に記載される2,4-置換ピリミジンジアミン化合物)の効果を調べるために、ヒトラモスB細胞を、ヒトIL-4で刺激する。刺激してから20〜24時間後、CD23の上方制御に関して細胞を染色して、フローサイトメトリー(FACS)を用いて分析する。対照条件と比較した、存在するCD23の量の減少により、試験化合物がJAKキナーゼ経路を積極的に阻害することが示される。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下により詳細に記載される。
サイトカインインターロイキン-4(IL-4)で刺激されたB細胞は、JAKファミリーキナーゼ、JAK-1、およびJAK-3のリン酸化を通してJAK/Stat経路を活性化し、これにより、次に、転写因子Stat-6をリン酸化して活性化する。活性化されたStat-6によって上方制御される遺伝子の1つが、低親和性IgE受容体、CD23である。JAKファミリーキナーゼに対する阻害物質の効果を調べるために、ヒトラモスB細胞をヒトIL-4で刺激する。
ラモスB細胞株を、ATCC(ATCCカタログ番号CRL-1596)から入手した。この細胞を、ATCC増殖プロトコールにしたがって、熱で不活性化した10%のウシ胎仔血清(FBS)(JRH Biosciences,Inc,Lenexa,Kansas、カタログ番号12106-500M)を含むRPMI 1640(Cellgro,MediaTech,Inc.,Herndon,VA、カタログ番号10-040-CM)中で培養した。細胞を、3.5×105個の密度で維持した。実験の前日に、ラモスB細胞を、3.5×105個の細胞/mLに希釈して、それらが対数増殖期にあることを確実にした。
細胞を遠心沈殿させ、5%の血清を含むRPMI中で懸濁させた。96ウェル組織培養プレートにおいて1箇所当たり5×104個の細胞を使用した。細胞を、化合物またはDMSO(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)ビヒクル対照とともに、37℃の培養器中で1時間プレインキュベートした。次に、細胞を、20〜24時間、最終濃度が50単位/mLのIL-4(Peprotech Inc.,Rocky Hill,NJ、カタログ番号200-04)で刺激した。次に、細胞を遠心沈殿させ、抗CD23-PE(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号555711)で染色し、FACSによって分析した。Becton Dickinson Biosciences,San Jose,Californiaから購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。このアッセイ法の結果に基づいて算出されたIC50が、表1に示される。
実施例3
IL-2で刺激された初代ヒトT細胞増殖アッセイ法
本明細書に記載される化合物のJAK活性は、初代ヒトT細胞の増殖反応に対する本明細書に記載される化合物IおよびIIの効果をアッセイすることによってさらに特徴決定され得る。このアッセイ法において、末梢血から得られ、T細胞受容体およびCD28の刺激によって予備活性化された初代ヒトT細胞は、サイトカインインターロイキン-2(IL-2)に応答して培養物中で増殖する。この増殖反応は、転写因子Stat-5をリン酸化して活性化するJAK1およびJAK3チロシンキナーゼの活性化に依存する。初代ヒトT細胞を、72時間、IL-2の存在下で化合物IおよびIIとともにインキュベートし、アッセイ法の終点で、細胞内ATP濃度を測定して、細胞の生存を評価する。対照条件と比較した、細胞増殖の減少は、JAKキナーゼ経路の阻害を示す。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下により詳細に記載される。
末梢血から得られ、T細胞受容体およびCD28の刺激によって予備活性化された初代ヒトT細胞は、サイトカインインターロイキン-2(IL-2)に応答してインビトロで増殖する。この増殖反応は、転写因子Stat-5をリン酸化して活性化するJAK-1およびJAK-3チロシンキナーゼの活性化に依存する。
ヒト初代T細胞を以下のように調製した。全血を、健常ボランティアから採取し、PBSと1:1で混合し、2:1の血液/PBS:フィコールの比率で、Ficoll Hypaque(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ、カタログ番号17-1440-03)上に層状に重ね、1750rpmで4℃において30分間遠心分離した。血清:フィコール界面におけるリンパ球を回収し、5倍容量のPBSで2回洗浄した。細胞を、40U/mLの組換えIL2(R and D Systems,Minneapolis,MN、カタログ番号202-IL(20μg))を含むYsselの培地(Gemini Bio-products,Woodland,CA、カタログ番号400-103)中で再懸濁させ、1μg/mLの抗CD3(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号555336)および5μg/mLの抗CD28(Immunotech,Beckman Coulter of Brea California、カタログ番号IM1376)で予めコーティングされたフラスコ中に播種した。初代T細胞を、3〜4日間刺激し、次に、新鮮なフラスコに移し、10%のFBSおよび40U/mLのIL-2を含むRPMI中で維持した。
初代T細胞は、IL-2を除去するためにPBSで2回洗浄され、2×106個の細胞/mLでYsselの培地中で再懸濁された。80U/mLのIL-2を含む50μLの細胞懸濁液を、平底96ウェル黒色プレートの各ウェルに添加した。刺激されていない対照については、IL-2をプレートの最終列から除いた。化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO、純度99.7%、細胞培養物で試験済み、Sigma-Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)中、3倍希釈で5mMから連続して希釈し、次に、Ysselの培地中1:250で希釈した。1ウェル当たり2×化合物50μLを二つ組で添加し、細胞を37℃で72時間増殖させた。
CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を用いて増殖を測定した。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)は、代謝的に活性な細胞の指標として、存在するATPの定量化に基づいて培養物中の生存細胞の数を決定する。基質を融解し、室温にした。Cell Titer-Glo試薬および希釈剤を一緒に混合した後、100μLを各ウェルに添加した。プレートを、回転式振とう機において2分間混合して、溶解を誘発し、室温でさらに10分間インキュベートして、シグナルを平衡化させた。Perkin Elmer,Shelton,CTから購入されたWallac Victor2 1420マルチラベルカウンタ(multilabel counter)を用いて検出を行った。このアッセイ法の結果に基づいて算出されたIC50が、表1に示される。
実施例4
IFNγで刺激されたA549上皮細胞株
本明細書に記載される化合物のJAK活性はまた、A549肺上皮細胞およびU937細胞に対する本明細書に記載される化合物IおよびIIの効果をアッセイすることによって特徴決定され得る。A549肺上皮細胞およびU937細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM-1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM-1の発現を読み出し(readout)として用いて、異なるシグナル伝達経路に対する試験化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IL-1β受容体を介したIL-1βによる刺激は、TRAF6/NFκB経路を活性化し、ICAM-1の上方制御をもたらす。IFNγは、JAK1/JAK2経路の活性化によってICAM-1の上方制御を誘導する。ICAM-1の上方制御を、化合物用量曲線全体にわたるフローサイトメトリーによって定量化することができ、EC50値を算出する。このタイプの例示的なアッセイ法が、以下におよび実施例6においてより詳細に記載される。
A549肺上皮細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM-1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM-1の発現を読み出しとして用いて、異なるシグナル伝達経路に対する化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IFNγは、JAK/Stat経路の活性化によってICAM-1を上方制御する。本実施例において、IFNγによるICAM-1の上方制御を評価した。
A549肺上皮がん細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから得た。日常的な培養は、10%のウシ胎仔血清、100 I.U.のペニシリンおよび100ng/mLのストレプトマイシンを含むF12K培地(Mediatech Inc.,Lenexa,KS、カタログ番号10-025-CV)(完全F12k培地)を用いたものであった。細胞を37℃で5%のCO2の加湿雰囲気中でインキュベートした。アッセイ法に使用する前に、A549細胞をPBSで洗浄し、細胞のリフトのためにトリプシン処理した(Mediatech Inc.、カタログ番号25-052-CI)。トリプシン細胞懸濁液を、完全F12K培地により中和し、遠心分離して細胞をペレットにした。細胞ペレットを、2.0×105個/mLの濃度で、完全F12K培地中で再懸濁させた。細胞を、平底組織培養プレートにおいて1ウェル当たり20,000個、100μLの総容量で播種し、一晩接着させた。
2日目に、A549細胞を、1時間、2,4-置換ピリミジンジアミン試験化合物またはDMSO(対照)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号D2650)とともにプレインキュベートした。次に、細胞を、IFNγ(75ng/mL)(Peprotech Inc.,Rocky Hill,NJ、カタログ番号300-02)で刺激し、24時間インキュベートさせた。最終的な試験化合物の用量範囲は、5%のFBS、0.3%のDMSOを含有する200μLのF12K培地中で30μΜ〜14nMであった。
3日目に、細胞培地を除去し、細胞を、200μLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した。細胞を解離させるために各ウェルをトリプシン処理し、次に、200μLの完全F12K培地の添加によって中和した。細胞をペレットにし、4℃で20分間、APC結合マウス抗ヒトICAM-1(CD54)(BD Pharmingen,San Diego,CA、カタログ番号559771)抗体で染色した。細胞を、氷冷FACS緩衝液(PBS+2%のFBS)で洗浄し、表面のICAM-1発現を、フローサイトメトリーによって分析した。BD Biosciences,San Jose,Californiaから購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。イベントを、有効な散乱光(live scatter)に対してゲート設定し、幾何平均を算出した(Becton-Dickinson CellQuestソフトウェア第3.3版、Franklin Lakes,NJ)。幾何平均を化合物濃度に対してプロットして、用量反応曲線を作成した。このアッセイ法の結果に基づいて算出されたIC50が、表1に示される。
実施例5
U937 IFNγICAM1 FACSアッセイ法
U937ヒト単球細胞は、様々な異なる刺激に応答してICAM-1(CD54)の表面発現を上方制御する。したがって、ICAM-1の発現を読み出しとして用いて、異なるシグナル伝達経路に対する化合物の効果を、同じ細胞型において評価することができる。IFNγは、JAK/Stat経路の活性化によってICAM-1を上方制御する。本実施例において、IFNγによるICAM-1の上方制御を評価した。
U937ヒト単球細胞株を、Rockville MarylandのATCC、カタログ番号CRL-1593.2から入手し、10%(v/v)のFCSを含有するRPM 1-1640培地中で培養した。U937細胞を、10%のRPMI中で増殖させた。次に、細胞を、96ウェル平底プレートにおいて160μL当たり100,000個の細胞の濃度で平板培養した。次に、試験化合物を、以下のように希釈した。10mMの試験化合物を、DMSO中1:5で希釈し(12μLのDMSO中10mMの試験化合物3μL)、続いて、DMSO中で試験化合物の1:3連続希釈を行った(6μLの試験化合物を、12μLのDMSOへと連続的に希釈して、3倍希釈物を得た)。次に、4μLの試験化合物を、76μLの10%のRPMIに移して、10倍溶液(100μΜの試験化合物、5%のDMSO)を得た。対照ウェルについては、4μLのDMSOを、76μLの10%のRPMIへと希釈した。
アッセイ法は、8点(10μLからの3倍希釈濃度の8つ)を用いておよび刺激条件下のDMSOのみの4つのウェル(対照ウェル)および非刺激条件下のDMSOのみの4つのウェルを用いて二つ組で行った。
希釈された化合物のプレートを、マルチメック(multimek)(Beckman Coulter of Brea,California)を用いて2回混合し、次に、20μLの希釈された化合物を、160μLの細胞を含有する96ウェルプレートに移し、次に、それを、低速で2回再び混合した。次に、細胞および化合物を、5%のCO2とともに37℃で30分間プレインキュベートした。
10%のRPMI中のヒトIFNγの100ng/mLの溶液を調製することによって、10倍刺激混合物を作製した。次に、細胞および化合物を、20μLのIFNγ刺激混合物で刺激して、10ng/mLのIFNγ、10μΜの試験化合物、および0.5%のDMSOの最終濃度を得た。細胞を、5%のCO2との37℃で18〜24時間の刺激の条件下に保った。
細胞を染色のために96ウェル丸底プレートに移し、次に染色法の間中氷上に保った。細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心沈殿させ、その後、上清を除去した。上清の除去の後、FACS緩衝液100μL当たり1μLのAPC結合マウス抗ヒトICAM-1抗体を添加した。次に、細胞を、30分間、暗所中で、氷上でインキュベートした。インキュベーションの後、150μLのFACS緩衝液を添加し、細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心分離し、その後、上清を除去した。上清の除去の後、200μLのFACS緩衝液を添加し、細胞を再懸濁させた。懸濁後、細胞を、4℃で5分間、1000rpmで遠心分離した。次に、150μLのFACS緩衝液中で細胞の再懸濁の前に上清を除去した。
BD Biosciences,San Jose,Californiaから購入されたBD LSR I System Flow Cytometerを用いて検出を行った。生細胞を、有効な散乱光に対してゲート設定し、ICAM-APCの幾何平均を測定した(Becton-Dickinson CellQuestソフトウェア第3.3版、Franklin Lakes,NJ)。生細胞%およびICAM-1の発現の両方を分析した。試験化合物のアッセイ法を、公知の活性の対照化合物と並行して行った。対照化合物のEC50は、通常、40〜100nMである。このアッセイ法の結果に基づいて算出されたIC50が表1に示される。
実施例6
薬学的製剤
本実施例には、化合物IまたはII(これはその塩も含むものと理解される)を含有する薬学的製剤が記載される。このような製剤は、当業者に公知であるとおりに調製され、さらなる製剤が、本実施例および本明細書におけるさらなる開示の考慮により当業者に容易に明らかになるであろう。
上記の製剤1〜7のそれぞれを、3つの投与量濃度:0.001%、0.003%、および0.01%(w/w)の化合物IまたはIIで調製する。規定の量の等張化剤(マンニトール)をフラスコに添加し、規定の緩衝液(リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)の最終容量の約半分の中で約50℃まで加熱することによって、各製剤を調製する。加熱後、適切な量の化合物IまたはIIを、表示のとおりにさらなる賦形剤(グリセリンおよび/またはPEG400)とともに添加する。精製水を十分な量で添加する。混合物を均一になるまで撹拌し(約5分間)、次に、滅菌フィルタ膜を通して滅菌容器中へとろ過する。必要に応じて、1.0NのNaOHの添加によってpHを調整する。
任意で、より高い濃度の化合物IまたはII(例えば、0.03% w/w)を有する製剤は、界面活性剤、および任意で安定化ポリマーを含み得る。製剤6および7に関して、好ましい界面活性剤は、Triton(登録商標)X114およびチロキサポールを含み、これらはそれぞれ、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)およびPressure Chemical Company(Pittsburgh,PA)から市販されている。好ましい安定化ポリマーは、カルボマーCarbopol(登録商標)974p(Lubrizol,Wickliffe,OHから市販されている)を含む。
製剤6および7は、まずカルボマーを、緩衝液を含有する界面活性剤中に、その最終濃度の10倍(例えば、2.5%のマンニトールおよび5%のCarbopol(登録商標)974pを含むpH6.5の50mMのリン酸緩衝液中3%のチロキサポール)で分散させることによって、調製される。次に、化合物Iまたは化合物IIのいずれかを、この予備濃縮物中に、同様にその最終濃度の10倍で分散させる。混合物が均質にされ、適合する緩衝液中におけるろ過された予備濃縮物の10倍希釈によって、最終的な製剤が得られる。
局所適用のための薬物を製剤化および試験する方法が、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第21版)、872〜882ページ(2006)に記載されている。この薬物は、薬物の好ましくない全身吸収を避けながら、皮膚表面の所望の深さに薬物を送達するように製剤化される。アルコール、アルキルメチルスルホキシド、ピロリドン、ラウロカプラム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフルフリルアルコール、両親媒性物質、あるいはクロフィブリン酸アミド、ヘキサメチレンラウロアミド、タンパク質分解酵素、テルペンまたはセスキテルペンなどの他の様々な促進物質などの様々な浸透促進物質が組成物に添加され得る。浸透促進物質は、皮膚への薬物送達を向上させる。
製剤の1つの特定の例において、60:20:20のエタノール:プロピレングリコール:水系が、0.5〜2%の活性化合物を維持するのに十分なプロピレングリコールとともに使用される。
局所製剤中の化合物を投与するのに使用され得る一般的な成分は、ビヒクル、例えば、炭化水素、流動ワセリン(鉱油、流動パラフィン、パラフィン油)、白色ワセリン(石油ゼリー、Vaseline(登録商標))、黄色ワセリン(石油ゼリー)、スクアラン(ペルヒドロスクアレン(perhydrosqualene)、スピナカン(spinacane))、およびシリコーンなどの疎水性ビヒクル;液体ポリジメチルシロキサン(ジメチコン、シラスティック(silastic)、医用グレードのシリコーン油)などのシリコーン、ラウリルアルコール(1-ドデカノール、ドデシルアルコール)、ミリスチルアルコール(テトラデカノール、テトラデシルアルコール)、セチルアルコール(ヘキサデカノール、エタール(ethal)、パルミチルアルコール)、ステアリルアルコール(ステノール(stenol)、セトステリルアルコール(cetosteryl alcohol))、オレイルアルコール(オセノール(ocenol))などのアルコール;ステロールエステルなどのステロール;含水羊毛脂、ラヌム(lanum)などのラノリン;脱水ラノリン(羊毛脂、脱水ラヌム、アグニン(agnin)など);半合成ラノリン;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのカルボン酸;コレステロールエステル(ステアリン酸エステル)、エチレングリコールモノエステル、プロピレングリコールモノエステル、グリセリルモノエステル、モノステアリン酸グリセリル、ソルビトールモノエステル、ソルビタンモノエステル、ソルビトールジエステル、ソルビタンポリエステル(スパン(span)、アーラセル(arlacel))、トリステアリン酸グリセリル、ラード、アーモンド油、トウモロコシ油、ヒマシ油、綿実油、オリーブ油、大豆油、水素添加油、硫酸化油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステルおよびポリエステル;ポリエチレン-ポリプロピレングリコール(プルロニック(pluronic))などのエーテルおよびポリエーテルである。
共溶媒として使用され得る水混和性ビヒクルとしては、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、グリセリン(グリセロール)、液体ポリエチレングリコール、固体ポリエチレングリコール(硬質マクロゴール(macrogol)、カルボワックス)、1,2-フェノール-ヘキサントリオール、ソルビトール溶液などのポリオールおよびポリグリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(ステアレート-トゥイーン(tween))およびポリオキシエチレンソルビタンポリエステル(トゥイーン)などのエステルおよびポリエステル;ポリエチレングリコールモノセチルエーテル(セトマクロゴール(cetomacrogol)1000)およびポリエチレン-ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルおよびポリエーテルが挙げられる。
例えば、白色ワセリン(石油ゼリー、Vaseline(登録商標))、黄色ワセリン(石油ゼリー)、パラフィン(パラフィンろう、固形パラフィン)、微結晶ろう、セレシン(鉱ろう、精製されたオゾケライト)などの炭化水素;ヒュームドシリカ(cab-O-sil)、ベントナイト(コロイド性ケイ酸アルミニウム)、およびヴィーガム(veegum)(コロイド性ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などのシリコーン;固体ポリエチレングリコール(硬質マクロゴール、カルボワックス)などのポリオールおよびポリグリコール;セチルアルコール(ヘキサデカノール、エタール、パルミチルアルコール)、ステアリルアルコール(ステノール、セトステリルアルコール)などのアルコール;コレステロール(コレステリン)、ラノリン、脱水ラノリン、および半合成ラノリンなどのステロールおよびステロールエステル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのカルボン酸;および蜜ろう、白色の蜜ろう(漂白された蜜ろう)、カルナウバろう、ミリシン、コレステロールエステル(ステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン、ラードまたは水素添加油などのエステルまたはポリエステルといった、様々な構造マトリックス形成剤(structural matrix former)が、組成物に添加され得る。
組成物は、懸濁剤、ゼリー化剤(jelling agent)、または粘性誘導剤(viscosity inducing agent)、例えば、ヒュームドシリカ(cab-O-sil)、ベントナイト(コロイド状ケイ酸アルミニウム)、またはヴィーガム(コロイド状マグネシウムケイ酸アルミニウム)などのシリコーン;ポリカルボキシレート、ポリサルフェート、または多糖類、例えば、寒天、アルギネート、カラゲン(carragen)、アカシア、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、ペクチン、キサンタン、ポリアクリル酸をさらに含み得る。
ある態様は、ステロールまたはステロールエステル、例えば、コレステロール(コレステリン)、ラノリン(含水羊毛脂、ラヌム)、脱水ラノリン(羊毛脂、脱水ラヌム、アグニン)、または半合成ラノリン;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のNa+、K+、エタノールアミン塩などのカルボン酸、あるいはポリエチレン-ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルまたはポリエーテルなどの油中水型乳化剤を含み得る。水中油型(o/w)乳化剤が所望される場合、例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(ステアレート-トゥイーン)、ポリオキシエチレンエステル(ステアレート-ポリエチレングリコールモノエステル、Myrj)、ポリオキシエチレンソルビタンポリエステル(トゥイーン)などのエステルおよびポリエステル;ポリエチレングリコールモノセチルエーテル(セトマクロゴール1000)またはポリエチレン-ポリプロピレングリコール(プルロニック)などのエーテルおよびポリエーテル、ならびにラウリル硫酸ナトリウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、エタノールアミン、またはトリエタノールアミンなどのその他のものである。
製剤に使用するのに好適な界面活性剤としては、以下に限定はされないが、界面活性剤190(ジメチコンコポリオール)、ポリソルベート20(Tween(登録商標)20)、ポリソルベート40(Tween(登録商標)40)、ポリソルベート60(Tween(登録商標)60)、ポリソルベート80(Tween(登録商標)80)、ラウロアミドDEA、コカミドDEA、およびコカミドMEAのような非イオン性界面活性剤、オレイルベタインおよびコカミドプロピルベタイン(Velvetex(登録商標)BK-35)のような両性界面活性剤、ならびにリン脂質PTC(コカミドプロピルホスファチジルPG-ジモニウムクロリド(Cocamidopropyl phosphatidyl PG-dimonium chloride))のようなカチオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤の適切な組合せまたは混合物も使用されてもよい。
本発明の製剤に使用するのに好適な保湿剤としては、以下に限定はされないが、乳酸および他のヒドロキシ酸ならびにその塩、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ナトリウムPCA、Carbowax(商標)200、Carbowax(商標)400、ならびに、Carbowax(商標)800が挙げられる。本発明の製剤に使用するのに好適な皮膚軟化剤としては、以下に限定はされないが、PPG-15ステアリルエーテル、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、鉱油、ステアリン酸イソセチル、Ceraphyl(登録商標)424(ミリスチン酸ミリスチル)、オクチルドデカノール、ジメチコン(Dow Corning 200-100cps)、フェニルトリメチコン(Dow Corning 556)、Dow Corning 1401(シクロメチコンおよびジメチコノール)、およびシクロメチコン(Dow Corning 344)、およびMiglyol(登録商標)840(Hulsによって製造される;プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート)が挙げられる。さらに、これらの保湿剤および皮膚軟化剤のいずれかの適切な組合せおよび混合物が、本開示にしたがって使用され得る。
組成物は、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、イミダゾリジニル尿素、パラベンエステル、フェノール、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、またはソルビン酸などの防腐剤および抗菌剤;α-トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化物質;クエン酸またはエデト酸などのキレート剤;クエン酸およびクエン酸塩、リン酸およびリン酸塩、H3PO4/NaH2PO4、グリシン、酢酸、トリエタノールアミン、またはホウ酸などの緩衝液;グリセリン(グリセロール)、プロピレングリコール(E1520)、三酢酸グリセリル(E1518)、ソルビトール(E420)、キシリトールおよびマルチトール(E965)、ポリデキストロース(E1200)、キラヤ(quillaia)(E999)、乳酸、尿素または塩化リチウムなどの保湿剤;ならびに/あるいはクエン酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸(Versene、EDTA)などの金属封鎖(sequestering)抗酸化物質も含み得る。
局所治療の特定の態様は、皮膚または粘膜への外用のための半固体調製物である軟膏であり得る。特定の例において、軟膏は、ワセリンをベースにしている。軟膏は、室温で第2の相へと分離するのに十分な水を含有していない。水溶性の軟膏は、ポリエチレングリコールを用いて製剤化され得る。軟膏は、良好な皮膚浸透性および表面への付着性を有する理想的な皮膚軟化剤である。軟膏は、チューブまたは瓶などの好都合な容器に入れられる。
あるいは、局所剤形は、化合物が水で落とすことが可能な基剤または皮膚軟化基剤に溶解または懸濁されたクリームである。クリームは、油中水型または水中油型組成物のいずれかであり得る。非混和性化合物が、湿潤ゴム、乾燥ゴム、ボトル、およびビーカー法を用いて、機械的撹拌または熱によって組み合わされ得る。ある態様において、クリームは、水洗性で、より美容的および審美的に許容される長鎖脂肪酸またはアルコールの水中油型エマルジョンまたは水性微結晶性分散体(dispersion)である。
他の態様において、活性成分は、ペースト中での投与のために提供され、ペーストは、例えば50重量%もの高い割合の不溶性固体が添加された軟膏とみなされ得る。ペーストは、固体の存在により、軟膏よりはるかに固く、これにより、既に存在する軟膏構造にわたっておよびその上に微粒子が形成される。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、およびタルクなどの成分が、固相として使用される。ペーストは、皮膚への特に良好な保護バリアを与える。軟膏と同様に、ペーストは、皮膚表面への連続した比較的防水性の膜を形成し;軟膏と異なり、膜は、不透明であるため、有効なサンフィルタである。
さらに他の態様において、活性作用物質は、ゲル中、ゼリー中、またはローション中に提供される。ゲルは、ゲル化剤の添加によってゼリー状になる水性液体ビヒクル中の小分子または大分子の分散体からなる半固体系である。使用されるゲル化剤には、カルボマー934などの合成高分子、およびカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチル-セルロースなどのセルロース誘導体がある。ゲルは、多くの物質と相溶性であり、皮膚への送達を向上させるために浸透促進物質を含有し得る。ゲルは、分散される高分子と液体との間の明白な境界を有しない、高分子が液体を通して均一に分配された単相のゲルであってもよいか、または、マグマと呼ばれることが多い、ゲルの塊が小さい個別の粒子の凝集からなる二重相のゲルであってもよい。ゼリーは、トラガカント、ペクチン、アルギネート、またはボログリセリンなどの天然ゴム、あるいはメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの天然物質の合成誘導体から調製される水溶性基剤を含有する。ローションは、25〜50%のアルコールを含有する透明の溶液であり、この溶液は、殺菌剤、または皮膚軟化剤を任意で含有する。ローションに添加され得る他の任意選択の成分は、ハマメリスの抽出物、メントール、グリセリン、ホウ酸、ミョウバン、またはカリウムオキシキノリンである。
別の態様において、化合物は、身体のより広い表面積を覆い、光分散を提供するように、単位重量当たり広い表面積を形成する微細な粒径を含む粉末中で適用される。あるいは、化合物は、溶液中で適用され、この溶液は、水、アルコール、またはプロピレングリコールなどの溶媒に溶解された可溶性の化学物質の液体調製物である。さらに他の例において、化合物は、エマルジョンであり、このエマルジョンは、1つの相(分散相または内相)が他方の相(連続相または外相)中に微細分散された二相調製物である。分散相は、疎水性基剤(水中油型)または水性基剤(油中水型)のいずれかを含み得る。近接した組合せの中に2つの不相溶の相があるため、エマルジョンは、通常、(イオン性または非イオン性)界面活性剤、ポリマー(非イオン性ポリマー、高分子電解質、または生体高分子)、あるいはそれらの混合物などの物理的安定化系を含有すると考えられる。
化合物が懸濁液中に提供される態様では、剤形は2つの相を含有する。連続相または外相が、一般に、液体または半固体である一方、分散相または内相は、連続相に実質的に不溶性であるが、連続相全体にわたって分散された粒状物質から構成される。不溶物は、例えば外部コーティングによる生理的作用を対象とし得る。静置すると懸濁剤系が分離し得るが、沈降の速度は、少なくとも、容器を振とうした後に所要の用量を投与するのに必要な期間にわたって、十分に均一な組成物を保持するように配合を変更することによって低下され得る。
化合物はまた、エアゾール中で投与されてもよく、エアゾールは、容器から内容物を噴射するための圧縮または液化ガスの力に依存する。容器中の噴射剤は、容器内で適切な圧力を生じさせる役割を果たし、噴射剤は、弁が開放されると製品を噴射し、製品の霧化またはフォーム生成を助ける。局所薬剤エアゾールは、炭化水素(プロパン、ブタン、およびイソブテン)ならびに窒素、二酸化炭素、および亜酸化窒素などの圧縮ガスを用いる。
これらの剤形のいずれも、化合物I/IIおよび補助物質(化合物IIを活性化して、化合物Iを形成するための作用物質など)の別個のリザーバを含み得る。
実施例7
白斑動物モデル
本実施例には、治療、予防、および併用治療のための計画の選択を含む、白斑のための治療についての選別を行うための動物モデルの使用が記載される。動物モデルを用いて、特許請求される化合物、ならびに本明細書に記載されるものなどの複合製剤を試験する。特定の例において、化合物Iおよび/またはIIを含有する局所製剤を、動物の皮膚に適用し、治療反応を評価する。製剤を動物に投与した後、色素脱失した皮膚領域の数または大きさの減少の兆候について皮膚を調査する。
C57BL/6J Ler-vit/vitマウス株が、白斑の研究手段として有益であった(Lerner et al.,J.Invest.Dermatol.87(3):299-304(Sept.1986))。この株は、C57BL/6J株から生じたものである。白斑マウスは、先天性の背側および腹側の白色斑、ならびに白色の毛による着色毛の置換を有する。色素の欠如は、表皮および毛嚢からのメラノサイトの欠損のためである。
別のマウスモデルは、C57BL/6-mivit/mivitマウスであり、不均一に着色した網膜色素上皮で網膜変性がゆっくりと進行する。例えば、Smith et al.,Invest.Ophthalmol. & Vis.Sci.35(10):3625-3632(Sept.1994)を参照されたい。
代替的な動物モデルは、University of Massachusetts,Amherst,MAのJ.Robert Smyth,Jr.博士により開発されたスミスライン(Smyth line)(SL)ニワトリである。例えば、Shi et al.,BMC Immunol.13:18(April 2012);Stepicheva et al.,J.Immunol.184:83.16(2010)を参照されたい。
モデルにおいて、様々な経路、投与量、および投与計画を用いて、動物を試験剤に曝す。特定の例において、本明細書に開示される薬物を、テープストリッピングを行った領域または行う予定の領域に局所的に適用する。あるいは、試験薬物を全身投与する。薬物を、テープストリッピングの前または後に一定の間隔で1回またはそれ以上(例えば、テープストリッピング後に毎日、または色素脱失した皮膚領域もしくは色素脱失した毛の斑点の出現後に毎日)投与する。色素脱失した領域の数、表面積、またはサイズなどの疾病の兆候を測定することにより、薬物反応を評価することができる。皮膚試料の組織学的分析も行い、表皮内のメラノサイトの数を測定する。他の組織学的知見は、ランゲルハンス細胞の数の増加、表皮の空胞変性、基底膜の肥厚、T細胞の炎症性浸潤、および神経の変化を含み得る(Montes et al.,Int.J.Dermatol.,42(1):57-61(Jan.2003))。細胞外顆粒状物質の沈着、ならびに/または基底および傍基底のケラチノサイトの空胞変性の病巣が観察され得る(Moellmann et al.,J.Inv.Dermatol.79:312-330(1982))。炎症性白斑は、乾癬状過形成、不全角化隆起(parakeratotic mound)、乳頭間隆起の伸長を伴う表皮肥厚、および/または拡張血管を呈し得る(Verma,Dermatology Online Journal 11(3):13(2005))。
実施例8
治療の方法および複合製剤
特許請求される製剤で治療される対象は、白斑の臨床所見および/または組織病理学的所見に基づいて選抜される。対象はまた、白斑の家族歴および/または白斑の発生率の増加と関連する別の疾病の存在などの、白斑を発症するリスクの増加に基づいて選抜されてもよい。特許請求される組成物は、一般に、皮膚の色素脱失した領域に局所的に適用されるが、より一般的には皮膚に適用されてもよいか、または全身投与されてもよい。治療は、少なくとも1週間、1か月、または1年継続されてもよく、対象によっては、治療が、複数年、罹病期間、または対象の寿命にまでおよぶことがある。
特定の場合、対象は、全身用Plaquenil(登録商標)、局所コルチコステロイド、光線療法、ソラレン光化学療法、またはエキシマーレーザー療法などの、他の薬学的介入または非薬学的介入との並行治療について選抜される。他の場合、化合物Iおよび/またはIIは、白斑のための他の治療を伴わずに投与される。
1つの例において、対象は、白斑の診断を行うことにより選抜される。治療的に有効な量の化合物は、局所用ワセリンゼリー製剤中に提供され、製剤は、顔および四肢上の斑点などの色素脱失した領域に直接適用される。薬学的製剤は、2日以上、例えば少なくとも1週間にわたって、毎日、例えば1日当たり2〜4回、色素脱失した斑点に適用される。色素脱失した領域への製剤の局所適用は、製剤が適用される領域が、色素再形成の証拠を示すかもしくは消失するまで、またはその進行が遅延もしくは停止されるまで、継続される。
他の例において、治療用化合物は、日焼け止め製剤中に有効量で提供され、紫外線への曝露から保護するために、紫外線への曝露の前に皮膚に適用される。日焼け止め製剤は、紫外線への皮膚の曝露を最小限に抑えるために、例えば、有効量のPABAまたは酸化亜鉛を含有し得る。
式Iおよび/またはIIの化合物(その塩を含む)を、白斑または別の病態を治療する別の剤と組み合わせた併用療法も提供される。白斑の治療のための複合製剤は、グループI、II、III、IV、V、VI、またはVIIのコルチコステロイド、例えば以下のもののいずれかなどの局所コルチコステロイドを含む複合製剤を含んでもよい。
グループI(非常に強力であり、ヒドロコルチゾンより最大で600倍強力である)
・プロピオン酸クロベタゾール0.05%(Dermovate(登録商標))
・ジプロピオン酸ベタメタゾン0.25%(Diprolene(登録商標))
・プロピオン酸ハロベタゾール0.05%(Ultravate(登録商標))
・二酢酸ジフロラゾン0.05%(Psorcon(登録商標))
グループII
・フルオシノニド0.05%(Lidex(登録商標))
・ハルシノニド0.05%(Halog(登録商標))
・アムシノニド0.05%(Cyclocort(登録商標))
・デスオキシメタゾン0.25%(Topicort(登録商標))
グループIII
・トリアムシノロンアセトニド0.5%(Kenalog(登録商標)、Aristocort(登録商標)クリーム)
・フロ酸モメタゾン0.1%(Elocon(登録商標)軟膏)
・プロピオン酸フルチカゾン0.005%(Cutivate(登録商標))
・ジプロピオン酸ベタメタゾン0.05%(Diprosone(登録商標))
グループIV
・フルオシノロンアセトニド0.01〜0.2%(Synalar(登録商標)、Synemol(登録商標)、Fluonid(登録商標))
・吉草酸ヒドロコルチゾン0.2%(Westcort(登録商標))
・酪酸ヒドロコルチゾン0.1%(Locoid(登録商標))
・フルランドレノリド0.05%(Cordran(登録商標))
・トリアムシノロンアセトニド0.1%(Kenalog(登録商標)、Aristocort(登録商標)A軟膏)
・フロ酸モメタゾン0.1%(Elocon(登録商標)クリーム、ローション)
グループV
・トリアムシノロンアセトニド0.1%(Kenalog(登録商標)、Aristocort(登録商標)クリーム、ローション)
・プロピオン酸フルチカゾン0.05%(Cutivate(登録商標)クリーム)
・デソニド0.05%(Tridesilon(登録商標)、DesOwen(登録商標)軟膏)
・フルオシノロンアセトニド0.025%(Synalar(登録商標)、Synemol(登録商標)クリーム)
・吉草酸ヒドロコルチゾン0.2%(Westcort(登録商標)クリーム)
グループVI
・プレドニカルベート0.05%(Aclovate(登録商標)クリーム、軟膏)
・トリアムシノロンアセトニド0.025%(Aristocort(登録商標)Aクリーム、Kenalog(登録商標)ローション)
・フルオシノロンアセトニド0.01%(Capex(登録商標)シャンプー、Dermasmooth(登録商標))
・デソニド0.05%(DesOwen(登録商標)クリーム、ローション)
グループVII
・ヒドロコルチゾン2.5%(Hytone(登録商標)クリーム、ローション、軟膏)
・ヒドロコルチゾン1%(多くの市販ブランド)
いくつかの例において、対象は、白斑に加えてある疾患であると診断されている。例えば、対象は、白斑および別の既存の疾患を呈し、式Iおよび/またはIIの化合物を含有する局所製剤で治療される。対象は、既存の疾患のための治療剤と組み合わせて治療され得るか、または該治療剤とともに補助的に治療され得る。既存の疾患が、例えば甲状腺疾患である場合、対象は、甲状腺ホルモン補充で治療され得る。
別の例において、眼の白斑または眼の周りの白斑を有する対象はドライアイと診断される場合もあり、かつ、併用療法は対象に実施される。1つの例において、対象は、酢酸プレドニゾロンの眼科用懸濁液1%などのコルチコステロイドの局所適用に応答するマイボーム腺炎を有していることが判明している。式Iおよび/またはIIの化合物(その塩を含む)は、プレドニゾロン製剤中に懸濁され、1日2〜4回、眼に注入または適用される。他の例において、ドライアイが、季節性アレルギーまたは他の炎症性疾患に関連する場合、点眼剤は、抗ヒスタミン剤(フェニラミン、エメダスチン、またはアゼラスチンなど)、充血除去剤(塩酸テトラヒドロゾリンまたはナファゾリンなど)、または非ステロイド性抗炎症剤(ネパフェナクまたはケトロラックなど)、コルチコステロイド(フルオロメトロンまたはロテプレドノールなど)、肥満細胞安定剤(アゼラスチン、クロマール、エメダスチン、ケトチフェン、ロドキサミン、ネドクロミル、オロパタジン、またはペミロラストなど)を含む製剤とともにまたはこれらの製剤中で投与される。ドライアイが、感染性細菌性疾患(マイボーム腺感染または角膜感染など)に関連する場合、点眼剤は、適切な抗生物質(シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、オフロキサシン、スルファセタミン、トブラマイシン、またはモノフロキサシン(monofloxacin)など)を含有し得る複合製剤とともにまたは複合製剤中で投与される。ドライアイが、ウイルス感染と関連する場合、点眼剤は、トリフルリジンまたはイドクスウリジンなどの抗ウイルス剤との複合製剤とともにまたは複合製剤中で投与される。
実施例9
局所アプリケータおよび剤形
本発明の組成物は、皮膚の非標的部位に組成物を適用することなく皮膚の標的部位に組成物を適用することを可能にする適用器具中で使用され得る。例えば、組成物がまず指につくことなく組成物を適用することを可能にする器具が用いられ得る。好適な器具としては、スパチュラ、綿棒、針を用いない注射器、および接着パッチが挙げられる。スパチュラまたは綿棒などの使用は、組成物を入れた容器に器具を挿入することを必要とし得る。注射器または接着パッチの使用は、注射器またはパッチに組成物を充填することによって行われ得る。次に、組成物は、スパチュラもしくは綿棒によって局所的に塗られてもよいか、または注射器から人の皮膚に放出されてもよい。
本発明の一態様において、化合物および促進作用物質を含有する組成物は、接着パッチ中に提供される。接着パッチのいくつかの例が周知である。例えば、米国意匠特許第296,006号;同第6,010,715号;同第5,591,767号;同第5,008,110号;同第5,683,712号;同第5,948,433号;および同第5,965,154号を参照されたい。このようなパッチは、一般に、人の皮膚に適用される接着剤層、薬剤を保持するための貯蔵部(depot)またはリザーバ、および貯蔵部からの薬剤の漏れを防止する外面を有する。パッチの外面は通常、非接着性である。
本発明によれば、白斑を治療するための化合物は、化合物が長期間安定性のままであるようにパッチに組み込まれる。化合物は、ポリマーマトリクスに組み込まれてもよく、ポリマーマトリクスは、化合物を安定させ、化合物を、マトリクスおよびパッチから拡散させる。化合物はまた、パッチが皮膚に適用されると、化合物が皮膚上にまたはさらには皮膚の中にもしくは皮膚を通して拡散し得るように、パッチの接着剤層に組み込まれてもよい。このような態様によれば、接着剤は、好ましくは、本明細書に開示されるように、促進作用物質を含む。一態様において、接着剤層は、加熱によって活性化されてもよく、それによって、約37℃の温度により、化合物がパッチから出て、皮膚上に、皮膚の中に、または皮膚を通して拡散するように、接着剤がゆっくりと液化される。接着剤は、37℃未満で貯蔵される場合には粘着性のままであることができ、皮膚に適用されると、接着剤は、それが液化するにつれて粘着性を失う。化合物の投与は、パッチが皮膚に付着しなくなったら完了する。
あるいは、化合物は、皮膚と接触することになるパッチの表面の近くに配置された1つまたはそれ以上のウェル中またはポケット中に提供され得る。一態様において、化合物は、乾燥状態または凍結乾燥状態でウェル中に貯蔵される。このようなパッチを冷却雰囲気(例えば、約4℃)中で貯蔵すると、化合物の安定性が維持される。パッチは、必要とされる際に冷却雰囲気から取り出され、人の皮膚に適用されてもよく、人の皮膚において、化合物は、水または生理食塩水などの流体と混合すると可溶化され得る。流体は、別個にまたはパッチの成分として提供され得る。乾燥した化合物を含有するパッチが流体と相互作用する際に、化合物が流体に曝されて、可溶化されるように、例えば、流体が人の皮膚上に提供され得る。その後、可溶化された化合物は、皮膚によって吸収可能になり得る。別の例として、パッチは、パッチ中に流体を保持するための1つまたはそれ以上のウェルまたはポケットを含み得る。流体は、流体が乾燥した化合物と混合されるようにウェルまたはポケットから押し出され得る。例えば、流体は、パッチのポケット中に提供されてもよく、ある態様において、化合物を強化または活性化するための剤を含有する。パッチにかかる圧力により、ポケットが破裂し、流体が放出され、それによって、流体は、乾燥した化合物と混合される。この際、化合物を含有する組成物は、パッチから出て拡散し得る。別の例において、水を含有するゲルまたはクリームなどの流体が、皮膚の標的部位に塗布され得る。その際、乾燥した化合物を含有するパッチは、皮膚に適用され、皮膚において、流体は化合物と混合され、組成物は、パッチから出て皮膚上へと移動する。
乾燥した化合物のウェルを含むパッチにおいて、化合物が投与されるまでウェル中に残存するようにウェルは密封される。したがって、ウェルは、膜またはフィルムで密封され、膜またはフィルムは、化合物の乾燥状態では化合物がウェルから拡散するのを防止するが、化合物が可溶化されると化合物がウェルから拡散するのを可能にする。膜は、多孔質または非多孔質のいずれであってもよい。一態様において、膜は、セルロースまたはデンプンを含み、より特定的には、膜は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し得る。膜は、薄く(厚さが約1μm〜約1mmの範囲である)、液体と接触すると溶解する。したがって、人の皮膚に置かれたゲルまたはクリーム、あるいはパッチ中のポケットから送られた流体は、セルロース膜と接触し、膜を溶解させ得る。溶解の後、流体は、乾燥した化合物と混合され、化合物を可溶化する。その後、組成物は、パッチから出て、対象の皮膚上へと拡散する。
さらに、経皮パッチは、複数の小さい針を含んでいてもよく、この針は、角質層を通って伸びるが、真皮の中までおよんで血管を破裂させることはない。針は、パッチの真皮表面から伸びている場合の長さが20μm〜1mmである。したがって、針は、角質層を通って伸びるが、毛細血管床が位置する真皮の前で終端する。針は、中実であってもまたは中空であってもよい。中空針は、組成物がパッチの貯蔵部から表皮における針の末端まで通過し得るように、針の長さに沿って延在するルーメンを有し得る。中実針は、組成物を針の外面に沿って表皮中へと拡散させるのに使用され得る。
使用の際、局所アプリケータは、1つまたはそれ以上の色素脱失した斑点がある皮膚の標的部位に接着によって適用され、アプリケータは、パッチ中の化合物が投与されるまで所定の位置に置かれる。局所アプリケータ(パッチなど)は、数時間、あるいは少なくとも1日またはそれ以上などの長期間にわたって薬物の持続放出を提供する。
実施例10
他の剤形および添加物
局所製剤は、様々な形態で調製され得る。固体は、一般に、堅固で、携帯できず、一般的に、棒状物またはスティックとして、あるいは微粒子形態で製剤化され;固体は、不透明であってもまたは透明であってもよく、任意で、溶媒(水およびアルコールを含む)、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤、および活性成分を含有し得る。クリームおよびローションは、多くの場合、互いに類似しており、主に、その粘度が異なり(クリームは、通常、ローションより粘度が高く、より粘性である);ローションおよびクリームは両方とも、不透明であっても、半透明であっても、または透明であってもよく、多くの場合、乳化剤、溶媒(水およびアルコールを含む)および粘度調整剤を含有し得る。ローションおよびクリームは任意で、保湿剤および皮膚軟化剤(特に、スキンケア製品の場合)、ならびに香料、染料/着色剤、防腐剤および活性成分も含有し得る。ゲル/セラムは、濃い(高粘度の)から薄い(低粘度の)までの範囲内の粘度で調製されてもよく、かつ、主に、通常、ゲル/セラムが不透明ではなく透明である点で、ローションおよびクリームと異なる。ローションおよびクリームと同様に、ゲル/セラムは、乳化剤、溶媒(水およびアルコールを含む)、および粘度調整剤を含有することが多く、保湿剤および皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤および活性成分も含有し得る。水性液体は、クリーム、ローション、またはゲルより薄く、一般に、透明であり;液体は、通常、乳化剤を含有しない。液体局所製品は、水(アルコールを含む)に加えて他の溶媒を含有することが多く、粘度調整剤、保湿剤および皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤/顔料、防腐剤および活性成分も含有し得る。
製剤に使用するのに好適な乳化剤としては、以下に限定はされないが、Incroquat(商標)Behenyl TMS(ベヘントリモニウムメトサルフェート、セテアリルアルコール)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、PEG-40ステアレート、セテアレス-12(例えば、Henkelによって製造されるEumulgin(登録商標)B-1)、セテアレス-20(例えば、Henkelによって製造されるEumulgin(登録商標)B-2)、セテアレス-30、Lanette O(Henkelによって製造される;セテアレスアルコール)、ステアリン酸グリセリル(例えば、Henkelによって製造されるCutina(登録商標)GMS)、PEG-100ステアレート、Arlacel(商標)165(ステアリン酸グリセリルおよびPEG-100ステアレート)、ステアレス-2およびステアレス-20、またはそれらの組合せ/混合物のような非イオン性乳化剤、ならびにステアラミドプロピルジメチルアミンおよびベヘントリモニウムメトサルフェート、またはそれらの組合せ/混合物のようなカチオン性乳化剤が挙げられる。さらに、カチオン性乳化剤は、高ストロンチウム塩濃度を含む安定したエマルジョン製品形態を形成するために、非イオン性乳化剤と組み合わされるかまたは混合されるのが好ましい。
製剤に使用するのに好適な二次的活性成分としては、以下に限定はされないが、αヒドロキシ酸、日焼け止め、制汗剤、抗にきび薬、ビタミン(特に、ビタミンAおよびC)およびミネラル、ならびに様々な処方薬および市販の医薬が挙げられる。本明細書に開示される組成物は、同じ局所製剤中に複数の活性成分を有することができ、上記に挙げられるものなどの活性成分の組合せが、治療される1つまたは複数の病態に、必要に応じて使用され得る。
赤色40号(FD&C Red No.40)および食用黄色4号(FD&C Yellow No.5)などの好適な香料および着色料が、本発明の製剤に使用され得る。局所製品に使用するのに適した香料および着色料の他の例は、当技術分野において公知である。
製剤に含まれ得る他の好適であるさらなるおよび補助的な成分としては、以下に限定はされないが、研磨剤、吸収剤、凝固防止剤、消泡剤、静電気防止剤、収斂剤(例えば、ハマメリス、アルコール、およびカモミール抽出物などのハーブ抽出物)、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート剤(例えば、Versene EDTA)、塗膜形成剤、調整剤、乳白剤、pH調整剤(例えば、クエン酸および水酸化ナトリウム)、および保護剤が挙げられる。局所製品製剤中のこれらの成分のそれぞれの例、ならびに他の好適な成分の例が、米国化粧品工業会(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)(CTFA)による刊行物に見られる。例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,2nd edition,eds.John A.Wenninger and G.N.McEwen,Jr.(CTFA,1992)を参照されたい。
また、化粧品を含む様々な製品タイプが、上記の形態(すなわち、固体、クリーム、ローション、ゲル、および液体)のそれぞれで製剤化され得る。例えば、洗浄剤(顔および身体用)、シャンプー/コンディショナー、ヘアトリートメント/染料/パーマ液/縮毛矯正剤、制汗剤/デオドラント、メイクアップ化粧品、ならびに他の顔、手、および身体用の製品が、固体、クリーム、ローション、ゲル、または液体の5つの主な製品形態のいずれかで製剤化され得る。一般的な固体形態の製品としては、リップスティック、頬紅および口紅、メイクアップ製品、制汗剤およびデオドラントスティックなどの化粧品、ならびに棒状石けんおよび粉石けんなどの洗浄剤が挙げられる。固体形態の製品の他の例としては、(口または肛門などの)粘膜の皮膚ループス病変の治療のための、ロゼンジおよび坐薬が挙げられる。一般的なクリームおよびローション形態の製品としては、α-ヒドロキシ酸(AHA)製品、保湿剤製品および日焼け止め、シャンプー/コンディショナーおよび他のヘアケア製品、ならびにコンシーラーおよびフェースパウダーのような化粧品が挙げられる。一般的なゲル製品としては、シェービングジェルおよびアフターシェーブ剤が挙げられる。一般的な液体形態の製品としては、抗にきび溶液、アフターシェーブ剤、うがい薬/洗口剤、および化粧水/引き締め剤(bracer)/スキンコンディショナーが挙げられる。
様々な形態の製剤を調製するための他の方法および材料は、Anthony L.L.Hunting(ed.),"A Formulary of Cosmetic Preparations(Vol.2)--Creams,Lotions and Milks,"Micelle Press(England,N.J.1993)にも記載されている。例えば、第7章、pp.5-14(油およびゲル);第8章、pp.15-98(基剤およびエマルジョン);第9章、pp.101-120(「多目的製品」);第10章、pp.121-184(クレンジングマスク、クリーム、ローション);第11章、pp.185-208(ファンデーション、バニシングクリーム、およびデイクリーム);第12章、pp.209-254(皮膚軟化剤);第13章、pp.297-324(フェイシャルトリートメント製品);第14章、pp.325-380(手用製品);第15章、pp.381-460(身体および肌用クリームおよびローション);および第16章、pp.461-484(ベビー用品)を参照されたい。これらの内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
実施例11
例示的な局所製剤
局所製剤は、本明細書に記載されるように、様々な強度で、様々な賦形剤濃度を用いて調製され得る。表3は、本実施例に使用される賦形剤のリスト、および、いかなる特定の理論にも制約されないが各賦形剤の機能である。
表3を参照すると、実施例に用いられるPEG400は、Croda Inc.,Edison NJから市販されているスーパーリファインド(Super Refined)ポリエチレングリコール400であった。同様に、やはりCroda Inc.から入手可能なスーパーリファインドジメチルイソソルビド(DMI)を通常、これらの実施例に使用した。
製剤を調製するために、賦形剤および化合物Iを、ガラス容器に添加し、かつ65℃〜70℃において加熱および/または超音波処理して、APIを完全に溶解させた。次に、試料を室温まで冷ます。この方法によって調製される2つの例示的な製剤の成分が、表4および5において以下に記載される。