JP2015526726A - 風ベクトルの推定 - Google Patents
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Abstract
風ベクトルの推定値を算出する方法と装置が提供される。プラットフォームの機動は安定直線機動、部分回転機動、または完全回転機動と特定することができる。プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値は、機動特有算出方法を適用して算出することができる。風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインは、状態特有算出方法を適用して算出することができる。風ベクトルの濾過推定値は、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき更新することができる。
Description
本開示は、風の速度と方向を正確に推定する装置および方法に関する。風を説明できないと、航空機の性能に悪影響を及ぼし、最終的には、特に地面に近い操作中(すなわち、離陸と着陸)に制御不能に至ることもある。風の速度と方向を正確に推定できれば、このような結果は少なくとも場合によって緩和または回避することができる。
軽航空機(すなわち、熱気球などの空気よりも軽い航空機)、固定翼航空機(たとえば、グライダー、プロペラベースの航空機、ジェット機)、回転翼機(たとえば、ヘリコプター)など様々な種類の航空機が既知である。航空機は人間のオペレータ(すなわち、パイロット)またはコンピュータによって制御することができ、「有人」(すなわち、パイロットが航空機に位置する)または「無人」(すなわち、航空機がコンピュータまたは航空機から遠隔に位置するパイロットによって制御される)航空機とも称される。無人航空機は無人飛行機(UAV)と呼ばれることもある。
航空機の位置と運動は、地上トラック、対地速度、地上ベクトル、方位、機首真方位、偏流角、横行角、大気トラック、対気速度、大気ベクトル、真対気速度、横滑り、風などの1つ以上の専門用語を用いて特徴付けることができる。航空機の「地上トラック」は地表に対する航空機の運動として特徴付けることができる。地表に対する航空機の運動の速度は「対地速度」として特徴付けることができる。航空機の「地上ベクトル」は地上トラックと対地速度を含むことができる。航空機の「方位」は、(真北または磁北のいずれかに対して)航空機の長軸が向く方向として特徴付けることができる。方位が真北と言及される場合は「機首真方位」として特徴付け、方位が磁北と言及される場合は、「機首磁方位」として特徴付けることができる。航空機の「偏流角」または「横行角」は航空機の地上トラックと方位間の角度と特徴付けることができる。気団に対する航空機の運動は「大気トラック」として特徴付け、気団に対する航空機の移動速度は「対気速度」として特徴付けることができる。航空機の「大気ベクトル」は大気トラックと対気速度を含むことができる。航空機周囲の大気の状況に関して補正される場合、測定される対気速度は「真対気速度」と特徴付けることができる。航空機が気団に対して側方および前方に移動するとき、航空機は「横滑り」状態にあると言える。「風」は地表に対する気団の運動と特徴付けることができる。上記の特徴は読者がこれらの専門用語と関連する概念を理解するのを助けることを目的とするが、これらの用語の意味は当業者には十分理解されている。
風ベクトルは風速と風向を有する風の特性である。風ベクトルは二次元(2D)または三次元(3D)空間の単一ベクトル、あるいは相互に直交する成分ベクトルのセットとして表すことができる。図1は風ベクトルの代替的な表示を示す。図1の例示では、風が40ノットで東北東に吹いている。したがって、対応する風ベクトルは大きさが40ノット、方向が北東22.5度の単一ベクトル100として、または成分ベクトル110および120として表すことができる。成分ベクトル110は北に向き、15.31ノットの大きさを有し、成分ベクトル120は東に向き36.96ノットの大きさを有する。
正確な風ベクトルを航空機に提供することで航空機の安全と性能を高めることができる。航空機の飛行制御が風状況を捉えるように適切に調節されない場合、風が航空機の前進を遅延させる、航空機のコースを変更させる、あるいは航空機を墜落させることがある。航空機のオペレータが風速と方向の正確な測定値を取得し、それらの測定値を使用して航空機の方位、配向、速度などを調節できれば、こうした不所望の結果は回避または緩和させることができる。
風ベクトルを測定する従来の方法の1つが推測航法である。推測航法の基本となる概念を、風三角形200を示す図2に表す。風三角形200の3つの辺は地上ベクトル202、大気ベクトル204、風ベクトル206によって形成される。大気ベクトル202と地上ベクトル204間の角度208は偏流角である。図2に示すように、航空機の大気ベクトル202と地上ベクトル204間の差は風ベクトル206である。したがって、風ベクトル206は航空機の大気ベクトル204と地上ベクトル202とを測定し、大気ベクトル204から地上ベクトル202を引くことによって推定することができる。
上述したように、航空機の大気ベクトル202は航空機の対気速度と大気トラックとを含む。対気速度はピトー管などの航空機に装着されるセンサによって測定することができる。ピトー管は圧力測定値を使用して流体流の速度を検出する。具体的には、ピトー管は、流体が管の長軸の方向に流れる速度を測定する。よって、航空機の長軸に整合されるピトー管は航空機の長軸方向での気団の移動速度を検出することができる。航空機の地上ベクトル204は全地球測位システム(GPS)などの側位システムのデータから得ることができる。もしくは、地上ベクトル204は、第1の既知の位置の上方の位置から第2の既知の位置の上方の位置まで飛行するのに必要な時間の測定など、その他の手段によって取得することができる。
風三角形200を用いて、風ベクトル206の北および東成分は以下のように算出することができる。
(数1)
NorthWindSpeed=mag(GroundVector)*cos(angle(GroundVector))−mag(AirVector)*cos(angle(AirVector)) [1]
NorthWindSpeed=mag(GroundVector)*cos(angle(GroundVector))−mag(AirVector)*cos(angle(AirVector)) [1]
(数2)
EastWindSpeed=mag(GroundVector)*sin(angle(GroundVector))−mag(AirVector)*sin(angle(AirVector)) [2]
ただし、mag(x)はベクトルxの大きさを表し、angle(x)はベクトルxの方向を表す。
EastWindSpeed=mag(GroundVector)*sin(angle(GroundVector))−mag(AirVector)*sin(angle(AirVector)) [2]
ただし、mag(x)はベクトルxの大きさを表し、angle(x)はベクトルxの方向を表す。
同様に、成分風ベクトルは以下のように単独の風ベクトルに結合することもできる。
本開示の一実施形態によると、風ベクトルの推定値の算出方法が提供される。該方法は、プロセッサを用いてプラットフォームの機動を特定することであって、特定される機動が安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つを含むことと、プロセッサを用いてプラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、プロセッサを用いて風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、プロセッサを用いて風ベクトルの濾過推定値を更新することと、を含むことができる。
該方法のいくつかの実施形態では、航空機の状態は、特定される機動、風ベクトルの予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況を含むことができる。
該方法のいくつかの実施形態では、プラットフォームの機動を部分回転機動と特定することが、第1の時点で、プラットフォームの地上トラック回転加速度、プラットフォームの地上トラック回転速度、プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、第2の時点で、プラットフォームが回転していないことを検出することと、第2の時点と第1の時点間のプラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することと、を含むことができる。
該方法のいくつかの実施形態では、プラットフォームの機動を完全回転機動と特定することが、第1の時点で、プラットフォームの地上トラック回転加速度、プラットフォームの地上トラック回転速度、プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、第2の時点と第1の時点間のプラットフォームの方位の変化が約2πラジアンであることを算出することと、を含むことができる。
該方法のいくつかの実施形態は、プロセッサを用いて直交風ベクトルの予備推定値を算出することであって、直交風ベクトルがプラットフォーム近傍で優勢な風状況と風ベクトルの予備推定値の方向に直交する方向とに対応し、特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、プロセッサを用いて直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することは航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、直交風ベクトルの予備推定値と直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、プロセッサを用いて直交風ベクトルの濾過推定値を更新することと、をさらに含むことができる。
該方法のいくつかの実施形態では、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインは風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存し、推定誤差は特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存することができる。
該方法のいくつかの実施形態では、特定される機動は部分回転機動を含み、風ベクトルの予備推定値の推定誤差は、部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的に依存し、当てはまりの推定値は、部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存することができる。
該方法のいくつかの実施形態では、完全回転機動に対応付けられるデータはプラットフォームに依存することができる。
本開示の別の実施形態によると、風ベクトルを推定する装置が提供され、該装置は、プロセッサと、遂行される際にプロセッサに方法を実行させる指示を記憶するメモリとを備え、該方法は、プラットフォームの機動を特定することであって、特定される機動が安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つを含むことと、プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することは航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、風ベクトルの濾過推定値を更新することと、を含む。
本開示の別の実施形態によると、風ベクトルを推定する装置が提供され、該装置は、プロセッサと、遂行される際にプロセッサに方法を実行させる指示を記憶するメモリとを備え、該方法は、プラットフォームの機動を特定することであって、特定される機動が安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つを含むことと、プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することは航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、風ベクトルの濾過推定値を更新することと、を含む。
該装置のいくつかの実施形態では、航空機の状態は、特定される機動、風ベクトルの予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況を含むことができる。
該装置のいくつかの実施形態では、プラットフォームの機動を部分回転機動と特定することは、第1の時点で、プラットフォームの地上トラック回転加速度、プラットフォームの地上トラック回転速度、プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、第2の時点で、プラットフォームが回転していないことを検出することと、第2の時点と第1の時点間のプラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することとを含むことができる。
該装置のいくつかの実施形態では、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインは、風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存することができ、推定誤差は、特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存することができる。
該装置のいくつかの実施形態では、特定される機動が部分回転機動を含み、風ベクトルの予備推定値の推定誤差が、部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的に依存し、当てはまりの推定値が、部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存することができる。
該装置のいくつかの実施形態では、完全回転機動に対応付けられるデータはプラットフォームに依存することができる。
本開示の別の実施形態によると、方法を実行するようにコンピュータを制御する指示を記憶する1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体が提供され、該方法は、プラットフォームの機動を特定することであって、特定される機動が安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つを含むことと、プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、風ベクトルの予備推定値を算出することは特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することは航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、風ベクトルの濾過推定値を更新することと、を含む。
本開示の別の実施形態によると、方法を実行するようにコンピュータを制御する指示を記憶する1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体が提供され、該方法は、プラットフォームの機動を特定することであって、特定される機動が安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つを含むことと、プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、風ベクトルの予備推定値を算出することは特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することは航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、風ベクトルの予備推定値と風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、風ベクトルの濾過推定値を更新することと、を含む。
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のいくつかの実施形態では、航空機の状態は、特定される機動、風ベクトルの予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況を含むことができる。
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のいくつかの実施形態では、プラットフォームの機動を部分回転機動と特定することは、第1の時点で、プラットフォームの地上トラック回転加速度、プラットフォームの地上トラック回転速度、プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、第2の時点で、プラットフォームが回転していないことを検出することと、第2の時点と第1の時点間のプラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することとを含むことができる。
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のいくつかの実施形態では、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインは風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存し、推定誤差は特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存することができる。
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のいくつかの実施形態では、特定される機動は部分回転機動を含み、風ベクトルの予備推定値の推定誤差は、部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的にさらに依存し、当てはまりの推定値は、部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存することができる。
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のいくつかの実施形態では、完全回転機動に対応付けられるデータはプラットフォームに依存することができる。
上記は添付の請求項によって定義される本発明の非限定的な概要である。
上記は添付の請求項によって定義される本発明の非限定的な概要である。
添付図面は等縮尺を意図していない。図面中、各種図面に示される同一または略同一の構成要素は類似の符号で表す。明瞭化のため、すべての図面であらゆる構成要素に符号を付すとは限らない。
風ベクトルを示す図である。
大気ベクトル、地上ベクトル、風ベクトル間の関係を示す風三角形の図である。
対気速度測定値を濾過して推測航法アルゴリズム用の対気速度データを生成するのに適した二次フィルタを示す図である。
風推定部の例示の一実施形態を示すブロック図である。
推定部の例示の一実施形態のブロック図である。
例示の一連の北成分風ベクトルの大きさを示す図である。
コンピュータの例示の一実施形態の概略図である。
風ベクトルの予備推定値の誤差を推定するための参照表を作製する例示のプロセスを示すフローチャートである。
風ベクトルの推定値を算出する例示のプロセスを示すフローチャートである。
航空機の機動を部分回転機動と特定する例示のプロセスを示すフローチャートである。
航空機の機動を完全回転機動と特定する例示のプロセスを示すフローチャートである。
風ベクトルの推定値を算出する別の例示のプロセスを示すフローチャートである。
本開示の実施形態は風ベクトルの推定に関することができる。発明者は、推測航法が風ベクトルの不正確な推定値を生み出す場合があることを認識し理解した。推測航法アルゴリズムの出力(すなわち、風ベクトル)の精度は概して、アルゴリズムの入力(すなわち、大気ベクトルと地上ベクトル)の不正確さの影響を受ける。しかし、航空機の対気速度を測定する従来の手段(すなわち、ピトー管)は、幅広い状況下で不正確な対気速度測定値を生み出すことがある。たとえば、発明者は、航空機が横滑り状態にあるとき、ピトー管が対気速度を正確に測定できないことを認識し理解した。航空機が横滑り状態にあるとき、通常は航空機の長軸と整合する固定ピトー管は、周囲の気団を通じて航空機の動きによって生成される相対風に直接向けることができない。よって、横滑り中、ピトー管は航空機の方位の方向の対気速度のすべての大きさではなく、航空機の偏流角によって決定される対気速度のベクトル成分を測定することがある。ピトー管に関連する不正確さは、尾部回転翼の推力により元々横滑りを受ける回転翼機において特に顕著である。さらに、横滑り自体、高価な機器を使用しなければ定量化することが困難であるため、横滑りによって生じる対気速度測定値の不正確さは補正しにくいであろう。
また、対気速度が遅い(たとえば50ノット未満)、あるいはピトー管が航空機の長軸および/または方位センサと整合されていないとき、ピトー管は不正確な対気速度測定値を生成する。また、風ずれ、突風、航空機の速度、方向、または高度の変化が、ノイズの多いまたは不正確な対気速度測定値を招く場合もある。
推測航法アルゴリズムの精度は、不正確な対気速度測定値に対応付けられる状況を特定し、このような状況下で収集される対気速度測定値の一部または全部を無視する(たとえば、廃棄する、あるいは低い加重を与える)ことによって向上させることができる。たとえば、上述の不正確さのいくらかは、航空機が「安定直線」飛行しており、対気速度サンプルの対気速度が50ノットなどの何らかの閾値速度を超えることを示すときのみ推測航法アルゴリズムを対気速度サンプルに適用することによって回避または緩和させることができる。
また、対気速度測定値を濾過することで、突風、ずれ、横滑りなどのノイズが多いサンプル、および/または非理想的状況下で採集されたサンプルの影響を低減させることができる。たとえば、N次フィルタを使用して、N+1個の対気速度測定値とN個の先のフィルタ出力の加重値を加算することによって対気速度データ(すなわち、推測航法アルゴリズムへの入力として提供される対気速度値)を算出することができる。フィルタ入力(すなわち、対気速度測定値および先のフィルタ出力)に適用される加重は一定とする、あるいはフィルタ入力の正確さにシステムの信頼度(または信頼度の欠如)を反映させるように動的に更新することができる。
図3は例示の二次フィルタを示す。図3のフィルタは以下のように現在の対気速度データの値を算出する。
(数5)
AD[n]=b0*AS[n]+b1*AS[n−1]+b2*AS[nー2]−a1*AD[n−1]−a2*AD[n−2] [5]
ただし、AD[n]はn番目の対気速度データ(すなわち、フィルタによって生成される対気速度値)を表し、AS[n]はn番目の対気速度サンプル(すなわち、ピトー管によって測定される対気速度値)を表し、フィルタ係数b0、b1、b2、a1、a2は対応する対気速度値に割り当てられる加重を表す。たとえば、3つの最新の対気速度サンプル(AS[n]、AS[n−1]、AS[n−2])と最新の対気速度データ(AD[n−1]、AD[n−2])の信頼度が高い場合、フィルタは(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を0.2、フィルタ係数a1とa2を−0.2に設定することによって)3つの最新の対気速度サンプルと最新の対気速度データの移動平均を算出してノイズを除去するように構成することができる。一方、(たとえば、最近、航空機が横滑り状態に入ったため)最新の対気速度サンプルの信頼度は低いが、最新の対気速度データの信頼度は高い場合、(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を0.01、フィルタ係数a1を−0.27、フィルタ係数a2を−0.70に設定することによって)フィルタは最新の対気速度サンプルよりも最新の対気速度データに大きな加重を与えるように構成することができる。逆に、(たとえば、最近、航空機が高度を変化させたため)最新の対気速度サンプルの信頼度は高いが、最新の対気速度データの信頼度は低い場合、(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を1/3、フィルタ係数a1とa2を0.0に設定することによって)フィルタは最新の対気速度データよりも最新の対気速度サンプルに大きな加重を与えるように構成することができる。
AD[n]=b0*AS[n]+b1*AS[n−1]+b2*AS[nー2]−a1*AD[n−1]−a2*AD[n−2] [5]
ただし、AD[n]はn番目の対気速度データ(すなわち、フィルタによって生成される対気速度値)を表し、AS[n]はn番目の対気速度サンプル(すなわち、ピトー管によって測定される対気速度値)を表し、フィルタ係数b0、b1、b2、a1、a2は対応する対気速度値に割り当てられる加重を表す。たとえば、3つの最新の対気速度サンプル(AS[n]、AS[n−1]、AS[n−2])と最新の対気速度データ(AD[n−1]、AD[n−2])の信頼度が高い場合、フィルタは(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を0.2、フィルタ係数a1とa2を−0.2に設定することによって)3つの最新の対気速度サンプルと最新の対気速度データの移動平均を算出してノイズを除去するように構成することができる。一方、(たとえば、最近、航空機が横滑り状態に入ったため)最新の対気速度サンプルの信頼度は低いが、最新の対気速度データの信頼度は高い場合、(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を0.01、フィルタ係数a1を−0.27、フィルタ係数a2を−0.70に設定することによって)フィルタは最新の対気速度サンプルよりも最新の対気速度データに大きな加重を与えるように構成することができる。逆に、(たとえば、最近、航空機が高度を変化させたため)最新の対気速度サンプルの信頼度は高いが、最新の対気速度データの信頼度は低い場合、(たとえば、フィルタ係数b0、b1、b2を1/3、フィルタ係数a1とa2を0.0に設定することによって)フィルタは最新の対気速度データよりも最新の対気速度サンプルに大きな加重を与えるように構成することができる。
図3の例示の二次デジタルフィルタは、ダイレクトI構造で示される。けれども、N次デジタルフィルタは、ダイレクトI構造、ダイレクトII構造、DSPプロセッサ、マイクロプロセッサ上で実行されるソフトウェア、あるいは当業者にとって既知なまたはN次デジタルフィルタを実現するのに適した任意のその他の手段を介して実現することができる。実施形態はこれに関して限定されない。
非理想的な状況下で収集された対気速度サンプルを廃棄する、および/または対気速度サンプルを濾過することで、場合によっては推測航法アルゴリズムの精度を向上させることができるが、これらの方法は新たな問題も導入する。たとえば、安定直線飛行中に取得されない対気速度サンプルが廃棄される場合、航空機が機動を実行している、高度を変更している、加速している、回転しているなどの間、航空機の風の推定値を更新することができない。対気速度サンプルがこのように廃棄されるとき、推測航法アルゴリズムは風ベクトルを頻繁には更新しないので、安定直線飛行にあまり長い時間を裂かない航空機には陳腐化した風ベクトルデータが与えられる。別の例では、N次フィルタは、サンプルが正確であっても、対気速度のサンプルを採取することと、風ベクトルを更新して最新の対気速度サンプルを反映することの間の遅延をさらに導入する。よって、航空機周囲の風状況が変化しているとき、そうした変化に対するフィルタの反応が遅く、風ベクトルを陳腐化させる場合がある。
さらに別の例では、フィルタはすべての不確かな対気速度サンプルをふるい落とすことができない。横滑りを検出するように装備されていない航空機もあれば、横滑りを検出できても、横滑り成分を測定する、あるいはその他の方法で定量化するように装備されていない航空機もある。したがって、このような航空機は、横滑り中に収集される対気速度サンプルを除去するようにフィルタを調節することができない。この問題は、横滑り状態で飛行することが多い回転翼機で特に顕著である。また、不正確な対気速度サンプルを招く状況が特定できても、フィルタが不正確な対気速度サンプルの処理を終えるまでそうした状況を特定することができず、対気速度データを劣化させてしまう。
よって、航空機が不正確な対気速度測定値と対応付けられる状況にあっても、現実の飛行状況下で風ベクトルを正確に推定し、航空機周囲の風状況の変化に合わせて迅速に風ベクトル推定値を更新する実際的な方法が必要とされる。航空機は、陳腐化せず、継続的に正確かつ安定した(たとえば、ノイズが多い測定値に影響されない)風ベクトル推定値から大いに恩恵を得ることができる。
図4は風推定部400の例示の一実施形態のブロック図である。図4の例では、風推定部は機動検出部402、風サンプル算出部404、推定部406を備える。
機動検出
機動検出部402は完全回転、部分回転、または安定直線飛行などの航空機が実行する機動を特定することができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は横揺れ、滑り、きりもみ降下、失速などの当業者にとって既知なその他の飛行機動を検出することができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は、1つ以上の飛行パラメータの値が指定範囲内にあるとき、航空機が特定の機動を実行していることを検出することができる。さらに、いくつかの実施形態は、1つ以上の対応する飛行パラメータの値が指定範囲外の値から指定範囲内の値に変化すると、航空機が機動を開始したと検出することができる。同様に、いくつかの実施形態は、1つ以上の対応する飛行パラメータの値が指定範囲内の値から指定範囲外の値に変化すると、航空機が機動を終了したと検出することができる。飛行パラメータは、地上トラック回転速度、地上トラック回転加速度、偏流角、垂直速度、対気速度、真対気速度、横揺れ速度、ピッチ速度、回転速度、大気加速度、真大気加速度、回転加速度、方位、および/または当業者にとって既知なまたは航空機の飛行に適切に対応付けられるその他のデータを含め、航空機の飛行に対応付けられるいずれのデータも含むことができる。
機動検出
機動検出部402は完全回転、部分回転、または安定直線飛行などの航空機が実行する機動を特定することができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は横揺れ、滑り、きりもみ降下、失速などの当業者にとって既知なその他の飛行機動を検出することができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は、1つ以上の飛行パラメータの値が指定範囲内にあるとき、航空機が特定の機動を実行していることを検出することができる。さらに、いくつかの実施形態は、1つ以上の対応する飛行パラメータの値が指定範囲外の値から指定範囲内の値に変化すると、航空機が機動を開始したと検出することができる。同様に、いくつかの実施形態は、1つ以上の対応する飛行パラメータの値が指定範囲内の値から指定範囲外の値に変化すると、航空機が機動を終了したと検出することができる。飛行パラメータは、地上トラック回転速度、地上トラック回転加速度、偏流角、垂直速度、対気速度、真対気速度、横揺れ速度、ピッチ速度、回転速度、大気加速度、真大気加速度、回転加速度、方位、および/または当業者にとって既知なまたは航空機の飛行に適切に対応付けられるその他のデータを含め、航空機の飛行に対応付けられるいずれのデータも含むことができる。
たとえば、機動検出部402の実施形態は、航空機の地上トラック回転加速度が指定範囲(たとえば、0.025ラジアン/秒2未満)内にあり、航空機の地上トラック回転速度が指定範囲(たとえば、0.01ラジアン/秒超)内にあり、航空機の平均真対気速度が指定範囲(たとえば、40.0または50.0ノット超)内にあるとき、航空機が回転を実行していることを検出することができる。しかし、上述の回転のパラメータと範囲は例示であり限定ではない。機動検出部402の実施形態は、当業者にとって既知なまたは航空機が回転中であることを検出するのに適した任意のパラメータ測定値および範囲を用いて、航空機が回転中であることを検出することができる。
別の例では、機動検出部402の実施形態は、1つ以上の飛行パラメータの値が指定範囲外の値から指定範囲内の値まで変化する時点で航空機が回転し始めていることを検出することができる。たとえば、航空機の平均真対気速度が既に指定範囲内にあり、航空機の地上トラック回転速度が既に0.01ラジアン/秒を超える場合、機動検出部402の実施形態は、航空機の地上トラック回転加速度が0.025ラジアン/秒2超の値から0.025ラジアン/秒2未満の値まで減少する時点で回転し始めていることを検出することができる。同様に、機動検出部402のいくつかの実施形態は、1つ以上の飛行パラメータの値が指定範囲内の値から指定範囲外の値まで変化する時点で航空機が回転を終了したことを検出することができる。たとえば、上述のパラメータ値がすべて上述の範囲内にあり、航空機の平均真対気速度が指定範囲未満に低下する場合、機動検出部402の実施形態は、航空機が回転を終了したことを検出することができる。
いくつかの実施形態では、機動検出部402は方位データに依存して回転を部分回転または完全回転のいずれかに分類することができる。機動検出部402の実施形態は、航空機が回転を維持している間、航空機の方位が2πラジアン変化する(すなわち、何らかの値から離れ、同じ値まで戻る)場合に回転が完全回転であると検出することができる。すなわち、実施形態は、累積回転角度が2πラジアンに近づく、あるいは越える場合に完全回転を検出することができる。同様に、機動検出部402の実施形態は、航空機の回転開始から回転終了までの間に航空機の方位の変化が2πラジアン未満である場合に回転が部分回転であると検出することができる。すなわち、実施形態は、累積回転角度が約2πラジアン未満である場合に部分回転を検出することができる。
いくつかの実施形態では、機動検出部402は、非完全回転を部分回転と分類するときに満たされる追加の制約を要求することができる。いくつかの実施形態では、非完全回転は、完全回転に対応付けられる平均真対気速度、地上トラック回転速度、地上トラック回転加速度に関する制約を満たすことに加えて、航空機が8.42ノット/秒未満の真対気速度の加速度、0.05度/秒2未満の回転加速度、5フィート/秒未満の垂直速度の制約を満たす場合にのみ部分回転と分類することができる。
別の例では、機動検出部402の実施形態は、地上トラック回転速度、偏流角、垂直速度、真対気速度、横揺れ速度、ピッチ速度、回転速度、真対気速度加速度、地上トラック回転加速度が指定範囲(たとえば、それぞれ0.005ラジアン/秒未満、5度未満、2フィート/秒未満、55ノット超、0.01ラジアン/秒未満、0.01ラジアン/秒未満、0.005ラジアン/秒未満、8.439ノット/秒未満、0.05ラジアン/秒2未満)内にあるとき、航空機が安定直線飛行していることを検出することができる。もしくはまたはさらに、検出部402のいくつかの実施形態は、地上トラック回転速度、偏流角、垂直速度、真対気速度、横揺れ速度、ピッチ速度、回転速度、地上トラック回転加速度が他の指定範囲(たとえば、それぞれ0.0005ラジアン/秒未満、5度未満、1フィート/秒未満、55ノット超、0.0005ラジアン/秒未満、0.0005ラジアン/秒未満、0.0005ラジアン/秒未満、0.0005ラジアン/秒2未満)にあるとき、航空機が安定直線飛行していることを検出することができる。もしくはまたはさらに、検出部402のいくつかの実施形態は、地上トラック回転速度、偏流角、垂直速度、真対気速度が他の指定範囲(たとえば、0.21ラジアン/秒未満、20度未満、8.333フィート/秒未満、50ノット超)にあるとき、航空機が安定直線飛行していることを検出することができる。上述した安定直線飛行のパラメータおよび範囲は例であり限定ではない。機動検出部402の実施形態は、当業者にとって既知の、または航空機が安定直線飛行していることを検出するのに適したその他の適切な任意のパラメータ測定値および範囲を用いて航空機が安定直線飛行していることを検出することができる。
いくつかの実施形態では、所与の機動と対応付けられる対気速度の制約(たとえば、部分回転または完全回転では40以上のノット、安定直線飛行では55以上のノット)は、対気速度が十分な精度で推定される状況に関連させることができる。概して、対気速度測定機器(たとえば、ピトー管)は、対気速度が55以上のノットのときに正確な対気速度サンプルを一貫して提供することができる。よって、第1の対気速度推定方法が個々の対気速度サンプルの精度にかなり影響を受けやすい場合、55ノット未満の対気速度で収集された対気速度サンプルに第1の対気速度推定方法を適用すると、不正確な対気速度推定値が生じることがある。対照的に、第2の対気速度推定方法が個々の対気速度サンプルの精度に影響されにくい場合、55ノットよりやや低い対気速度で収集される対気速度サンプルに第2の対気速度推定方法を適用すると、たとえ個々の対気速度サンプルのサブセットが不正確であっても、正確な対気速度推定値を求めることができる。より一般的には、対気速度が1セットの対気速度サンプルから推定される精度は、サンプルが収集される対気速度、サンプルを収集する航空機、および/またはサンプルに適用される対気速度推定方法に依存しうる。よって、機動検出に対応付けられる対気速度の制約は、機動を実行する航空機および/または機動に対応付けられる対気速度推定方法に依存しうる。
機動検出部402は、当業者にとって既知な技法またはその他の適切な技法を用いて飛行パラメータの値を取得することができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は、航空機が実行する機動を特定するのに使用される飛行パラメータの値をサンプル採取するセンサを備えることができる。いくつかの実施形態では、機動検出部402は(たとえば、入力/出力インタフェースを介して)外部センサ、(たとえば、ネットワークインタフェースを介して)1つ以上の外部センサコントローラ、またはメモリから上述の飛行パラメータの値を取得することができる。実施形態はこれに関して限定されない。
機動検出部402がどのようにして飛行パラメータの値を取得するかに関係なく、機動検出部402の実施形態は、特定の飛行パラメータをサンプル採取すべき速度を示す制御信号をセンサまたはセンサコントローラに送信することができる。たとえば、回転のみを検出するように構成される機動検出部402の一実施形態は、地上トラック回転加速度、地上トラック回転速度、真対気速度のサンプルを1Hzの速度で取得すべきであると示す制御信号を送信することができる。機動検出部402の一実施形態は、航空機が回転に入ったことを検出すると、航空機の方位のサンプルを適切な速度で取得すべきであると示す制御信号を送信することができる。同様に、機動検出部402の一実施形態は、航空機が回転を終えたことを検出すると、航空機の方位のサンプルをもはや必要としないことを示す制御信号を送信することができる。しかしながら、実施形態はこれに関して限定されない。いくつかの実施形態では、機動検出部402は、パラメータをサンプル採取する時点で機動が開始される、終了される、実行される、実行されない如何にかかわらず、指定速度で各種飛行パラメータのサンプルを取得することができる。
飛行パラメータの値は、当業者にとって既知なまたは飛行パラメータを測定するのに適したその他の方法および/または装置を用いて測定(「サンプル採取」)される。たとえば、対気速度測定値は、ピトー管を介して取得することができる。地上トラックに関連する測定値(たとえば、地上トラック、地上トラック回転速度、および/または地上トラック回転加速度)は、慣性航法システム(INS(登録商標))および/または全地球測位システム(GPS)によって提供されるデータを処理することによって取得することができる。加速に関連する測定値は加速度計を介して取得することができる。コンパス方位測定値は磁気コンパスを介して取得でき、機首真方位データはコンパス方位測定値を処理することによって取得することができる。このようなセンサは、当業者にとって既知なまたは対応する飛行パラメータを測定するのに適切な航空機上の位置に配備することができる。このようなセンサは、入力/出力インタフェース、ネットワークインタフェース、および/またはセンサコントローラにアクセスするその他の適切な手段を介して、風推定部400にアクセス可能な1つ以上のセンサコントローラによって制御することができる。
風サンプル算出
風サンプル算出部404はセンサおよび/またはセンサコントローラによって供給される飛行パラメータ値を使用して風ベクトルサンプルを算出することができる。風サンプル算出部404の実施形態は、算出された風ベクトルサンプルの少なくともいくつかをメモリに記憶する、および/またはその他のいずれかの適切な手段を使用して風ベクトルサンプルの少なくともいくつかを推定部406に利用可能にさせることができる。
風サンプル算出
風サンプル算出部404はセンサおよび/またはセンサコントローラによって供給される飛行パラメータ値を使用して風ベクトルサンプルを算出することができる。風サンプル算出部404の実施形態は、算出された風ベクトルサンプルの少なくともいくつかをメモリに記憶する、および/またはその他のいずれかの適切な手段を使用して風ベクトルサンプルの少なくともいくつかを推定部406に利用可能にさせることができる。
いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は推測航法を使用して風ベクトルサンプルを算出することができる。すなわち、風サンプル算出部404の実施形態は飛行パラメータ値を使用して大気ベクトル(たとえば、機首真方位と対気速度)と地上ベクトル(たとえば、地上トラックと対地速度)を算出することができ、風ベクトルを地上ベクトルと大気ベクトル間のベクトル差として算出することができる。けれども、実施形態はこれに関して限定されない。風サンプル算出部404は当業者に既知な手段を用いて風ベクトルサンプルを算出あるいはその他の方法で取得することができる。
風サンプル算出部404の実施形態は、いずれの適切な状況でも風ベクトルサンプルを算出することができる。いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は、航空機が機動を実行しているかいないかに関係なく風ベクトルサンプルを継続的に算出することができる。いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は、航空機が完全回転、部分回転、または安定直線飛行などの1セットの指定機動のうちの1つを実行しているときにのみ風ベクトルサンプルを算出することができる。いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は、航空機が1セットの指定機動のうちの1つを実行している間に測定された飛行パラメータ値のみを用いて風ベクトルサンプルを算出することができる。したがって、風サンプル算出部404の実施形態は、航空機が機動を開始した時点、航空機が機動を終了した時点、航空機が現在実行している機動、航空機が過去の時点に実行していた機動などを示すデータを機動検出部402から受信することができる。同様に、風サンプル算出部404の実施形態は、飛行パラメータ値がサンプル採取された時点を示すデータをセンサおよび/またはセンサコントローラから受信することができる。
機動検出部402と同様、風サンプル算出部404は当業者にとって既知なまたはその他の適切な技法を用いて飛行パラメータの値を取得することができる。いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は、風ベクトルサンプルを算出するのに使用される飛行パラメータの値をサンプル採取するセンサを備えることができる。いくつかの実施形態では、風サンプル算出部404は(たとえば、入力/出力インタフェースを介して)外部センサ、(たとえば、ネットワークインタフェースを介して)1つ以上の外部センサコントローラ、またはメモリから上述の飛行パラメータの値を取得することができる。実施形態はこれに関して限定されない。
風サンプル算出部404がどのようにして飛行パラメータの値を取得するかに関係なく、風サンプル算出部404の実施形態は、特定の飛行パラメータをサンプル採取すべき速度を示す制御信号をセンサまたはセンサコントローラに送信することができる。たとえば、風サンプル算出部404の一実施形態は、GPS位置、対気速度、方位のサンプルが1Hzの速度で取得されるべきであることを示す制御信号を送信することができる。
推定部406は風ベクトルサンプルを処理して、航空機近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルを推定することができる。いくつかの実施形態では、推定部406によって実行される処理の少なくとも一部は機動特有とすることができる。すなわち、推定部406の実施形態は異なる機動と対応付けられる風ベクトルサンプルから風ベクトルを推定するために異なる方法を使用することができる。たとえば、推定部406は、完全回転(「完全回転に対応する風ベクトルサンプル」)中に取得される飛行パラメータ値から得られる風ベクトルサンプルに第1の推定方法を適用し、部分回転(「部分回転に対応する風ベクトルサンプル」)中に取得される飛行パラメータ値から得られる風ベクトルサンプルに第2の推定方法を適用し、安定直線飛行(「安定直線飛行に対応する風ベクトルサンプル」)中に取得される飛行パラメータ値から得られる風ベクトルサンプルに第3の推定方法を適用することができる。
要約すると、航空機は、航空機の飛行中に飛行パラメータ値を取得するように構成されるセンサを含むことができる。取得されるパラメータは、航空機の機動を検出するおよび/または風ベクトルサンプルを算出するのに適切なパラメータとすることができる。機動中、または航空機が機動を終了すると、機動検出部402は機動を分類することができる(たとえば、機動検出部402は、航空機が機動を開始するときに機動を安定直線飛行と分類し、航空機が機動を終了するときに機動を部分回転と分類し、および/または航空機が回転を実行しており、方位が約2πラジアン変化したときに機動を完全回転と分類することができる)。航空機が機動を実行しているとき、および/または航空機が機動を終了したとき、風サンプル算出部404は回転に対応付けられる飛行パラメータ値を使用して、対応する一連の風ベクトルサンプルを算出することができる。推定部406は、風サンプル算出部404によって生成される風ベクトルサンプルと機動検出部402による機動分類とに基づき風ベクトルを推定することができる。
推定
図5は推定部406の例示の一実施形態のブロック図である。図5の例では、推定部は予備推定部502と推定濾過部504を備える。予備推定部502は機動特有処理を使用して、風ベクトルの予備推定値と予備推定値の精度の推定誤差とを算出することができる。
完全回転の予備推定
完全回転または部分回転に対応する風ベクトルの予備推定値の算出技法は、回転機動中の航空機の飛行パターンの形状と関連させることができる。風が存在しない場合、完全回転を実行する航空機の飛行パターンは円またはその近似形となるであろう。同様に、風が存在しない場合、部分回転を実行する航空機の飛行パターンも円の外周の一部に極めて近似するであろう。一方、風が存在する場合、完全回転を実行する航空機の飛行パターンは完全なサイクロイドに近似し、部分回転を実行する航空機の飛行パターンはサイクロイドの一部に近似するであろう。
推定
図5は推定部406の例示の一実施形態のブロック図である。図5の例では、推定部は予備推定部502と推定濾過部504を備える。予備推定部502は機動特有処理を使用して、風ベクトルの予備推定値と予備推定値の精度の推定誤差とを算出することができる。
完全回転の予備推定
完全回転または部分回転に対応する風ベクトルの予備推定値の算出技法は、回転機動中の航空機の飛行パターンの形状と関連させることができる。風が存在しない場合、完全回転を実行する航空機の飛行パターンは円またはその近似形となるであろう。同様に、風が存在しない場合、部分回転を実行する航空機の飛行パターンも円の外周の一部に極めて近似するであろう。一方、風が存在する場合、完全回転を実行する航空機の飛行パターンは完全なサイクロイドに近似し、部分回転を実行する航空機の飛行パターンはサイクロイドの一部に近似するであろう。
したがって、予備推定部502の実施形態は、サイクロイドに関連する数学的原理を使用して、完全回転に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することができる。たとえば、予備推定値は、完全回転に対応する一連の風ベクトルサンプルを平均化することによって算出することができる。予備推定部502の実施形態は、当業者にとって既知なまたは1つ以上のベクトル量の平均値を算出するのに適した技法を用いて風ベクトルサンプルの平均をとることができる。別の例では、風ベクトルは、完全回転の開始時の航空機の位置(たとえば、GPS座標)から完全回転の終了時の航空機の位置までのベクトルとして推定され、その大きさは、2つの位置間の距離を完全回転の完了に要する時間で割った値に等しい。
サイクロイドに関連する数学的原理を適用することで、完全回転に対応する非常に正確な風ベクトルの予備推定値を得ることができる。たとえば、このようにして算出された風ベクトルは横滑りに影響されにくい(すなわち、基本となる風ベクトルサンプルのいくつかが、航空機が横滑り状態にあるときにサンプル採取された飛行パラメータ値から得られていても、推定風ベクトルは非常に正確である)。この横滑りへの無反応は、完全回転中に収集される一連の風ベクトルサンプルの平均をとることで、横滑りが個々の風ベクトルサンプルの精度に及ぼす悪影響を相殺するために生じる。よって、予備推定部502の実施形態は、完全回転に対応する風ベクトルの予備推定値の精度誤差を、低い、無視できるほど小さい、あるいはゼロにまで推定することができる。
部分回転の予備推定
航空機が完全回転ではなく部分回転を実行する場合、予備推定部502の実施形態は予測と平均化プロセスによって風ベクトルの予備推定値を算出することができる。予測ステップは、曲線を部分回転に対応する風ベクトルサンプルに当てはめることを含むことができる。図1を参照して上述したように、風ベクトルサンプルは、北向き成分および東向き成分などの直交成分ベクトルとして表すことができる。よって、完全回転に対応する一連の風ベクトルサンプルは、平行な一連の北成分ベクトルおよび東成分ベクトルとして表すことができる。図6は例示の一連の北成分ベクトルの大きさ(速度)を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が速度である。図6に示すように、例示の一連の北風内の点は略正弦曲線を形成する(図示しないが、例示の一連の東風中の点のグラフも例示の一連の北風中の点に対して約90度位相偏移して略正弦曲線を形成する)。
部分回転の予備推定
航空機が完全回転ではなく部分回転を実行する場合、予備推定部502の実施形態は予測と平均化プロセスによって風ベクトルの予備推定値を算出することができる。予測ステップは、曲線を部分回転に対応する風ベクトルサンプルに当てはめることを含むことができる。図1を参照して上述したように、風ベクトルサンプルは、北向き成分および東向き成分などの直交成分ベクトルとして表すことができる。よって、完全回転に対応する一連の風ベクトルサンプルは、平行な一連の北成分ベクトルおよび東成分ベクトルとして表すことができる。図6は例示の一連の北成分ベクトルの大きさ(速度)を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が速度である。図6に示すように、例示の一連の北風内の点は略正弦曲線を形成する(図示しないが、例示の一連の東風中の点のグラフも例示の一連の北風中の点に対して約90度位相偏移して略正弦曲線を形成する)。
ピトー管によって提供される対気速度測定値は、管に直接流れ込まない風成分を考慮しない場合があるため、図6の略正弦曲線形状は完全回転に対応する風サンプルの典型である。よって、風ベクトルが一定であり、航空機が完全回転を実行するとき、ピトー管に流れ込む風ベクトルの成分は、航空機が風の中に直接飛び込むときに最大値に達し、回転して風から離れる際に減少し、風と同じ方向に飛行するとき最小値に達し、回転して風内に戻る際に増大する。すなわち、ピトー管に流れ込む風ベクトルの成分の大きさは、風ベクトルが一定であり、航空機が完全回転を実行するときに正弦曲線状に変動する。
したがって、部分回転に対応する一連の風ベクトルサンプルを処理する際、予備推定部502の実施形態は風ベクトルサンプルの北および東成分速度に曲線を当てはめることによって、航空機が完全回転を完了した場合に算出されるはずの風ベクトルサンプルの値に近づけることができる。実施形態は最小二乗推定(LSE)法、あるいは当業者にとって既知なまたは略正弦曲線である曲線をデータ点に当てはめるのに適したその他の曲線当てはめ法を介して北および東成分速度に曲線を当てはめることができる。いくつかの実施形態では、予備推定部502によって使用される曲線当てはめ法は、上記に従い北および東成分速度に正弦曲線を当てはめるように構成または最適化することができる。
次に、予備推定部502の実施形態は、予測される完全回転に対応するデータの平均値を算出することによって部分回転に対応する風ベクトルを推定することができる。たとえば、実施形態は、その期間と等しい区間にわたる当てはめ曲線(たとえば、正弦曲線)を積分し、その結果を期間で割ることによって平均値を算出することができる。別の例では、実施形態は、予測される完全回転に対応する、部分回転に対応する風ベクトルサンプルと当てはめ曲線に対応する追加の風ベクトルサンプルとを含む一連の風ベクトルサンプルを作成し、作成された一連の風ベクトルサンプルの平均値を算出することができる。実施形態は当業者にとって既知なまたは1つ以上のベクトル量の平均値を算出するのに適したいずれかの技法を用いて、作成された一連の風ベクトルサンプルの平均をとることができる。
上述の曲線当てはめと平均化プロセスは非常に正確な風ベクトルの予備推定値を生成するが、推定値に対応付けられる誤差は少なくとも場合によって無視できないほどの大きさにあることがある。いくつかの実施形態では、風ベクトルの推定精度は、部分回転の完全度(すなわち、部分回転がたどる完全回転の周の割合)に依存しうる。たとえば、概して、風ベクトルの推定精度は、部分回転の完全度が上昇するとともに向上する。いくつかの実施形態では、風ベクトルの推定精度は部分回転の位相オフセット(すなわち、正弦曲線状当てはめ曲線の最初の角度)に依存しうる。たとえば、部分回転が比較的不完全であり、位相オフセットで、曲線当てはめプロセスが正弦曲線のピーク近傍の点に適用される場合、風ベクトルの推定は比較的不正確になり得る。対照的に、部分回転が比較的不完全であり、位相オフセットで、曲線当てはめプロセスが正弦曲線の移行領域内の点(すなわち、正弦曲線ピーク間の点)に適用される場合、風ベクトルの推定は比較的正確になり得る。
よって、予備推定部502の実施形態は、部分回転に対応する風ベクトルの予備推定値の誤差を推定することができる。いくつかの実施形態では、風ベクトル推定値の誤差は、部分回転の完全度と位相オフセットに依存する「当てはめ誤差」(すなわち、実際のデータと当てはめ曲線間の不一致などの曲線当てはめプロセスに対応付けられる誤差)の関数とみなすことができる。たとえば、曲線当てはめプロセスが部分回転データの北成分風速を真の正弦曲線に当てはめる場合、北成分風速と真正弦曲線間の当てはめ誤差は当業者にとって既知な技法を用いて算出することができる。東成分風速と対応する正弦曲線間の当てはめ誤差も同じようにして算出することができる。これらの当てはめ誤差は、北風ベクトルと東風ベクトルの予備推定値のそれぞれの誤差の推定値として使用することができる。
成分風ベクトルの予備推定値の誤差を対応する成分風速と真正弦曲線間の当てはめ誤差に等しくするのではなく、予備推定部502のいくつかの実施形態は、完全回転に対応付けられるデータを使用して、部分回転の場合の風ベクトル推定値の誤差をより正確に推定することができる。図6に示すように、完全回転に対応する成分風速点は、真正弦曲線に完全には当てはまらないことがある。完全回転の成分風速点と真正弦曲線間の不一致は、一部には平板状空気抵抗の影響による。具体的には、平板状空気抵抗は、完全回転の成分風速点の非対称性を体系的に生じさせる。この平板状空気抵抗の影響は、完全回転の成分風速点を平均化することによって大幅に相殺することができる。対照的に、部分回転の成分風速点が平板状空気抵抗によって歪む場合、正弦曲線をそれらの点に当てはめ、正弦曲線に沿って追加点を予測することによって、歪みが相殺される代わりに増大する場合がある。したがって、予備推定部502のいくつかの実施形態は参照表を使用して、成分風ベクトルの予備推定値の誤差を推定することができる。
図8は、風ベクトルの予備推定値の誤差を推定するための参照表を作製する例示の方法のフローチャートである。例示の方法の行為802で、航空機の1回以上の完全回転に対応する風ベクトルサンプルを取得することができる。いくつかの実施形態では、風ベクトルサンプルは、航空機に1回以上の完全回転を実行させ、上述したように風サンプル算出部404で風ベクトルサンプルを算出することによって取得することができる。いくつかの実施形態では、ある航空機の風ベクトルサンプルは、別の航空機に1回以上の完全回転を実行させることによって取得することができる。いくつかの実施形態では、風ベクトルサンプルは、航空機の製造業者など、これまでにサンプルを取得した実体から提供されてもよい。いくつかの実施形態では、風ベクトルサンプルはシミュレーションによって取得することができる。
例示の方法の行為804で、少なくともサブセットの完全回転の風ベクトルサンプルを選択することができる。いくつかの実施形態では、選択されたサンプルは隣接する(すなわち、一連の風ベクトルサンプル内で実際に連続する)、あるいは円形に隣接する(すなわち、最初のサンプルと最後のサンプルが隣接するとみなされる場合、一連の風ベクトルサンプル内で隣接する)ことができる。いくつかの実施形態では、選択されたサンプルは、特定の位相偏移で開始される完全回転のうちの特定の部分(たとえば、パーセント)に対応しうる。選択されたサンプルが占める完全回転のパーセントは、いずれの適切な方法でも、たとえば、選択されたサンプルの数を完全回転におけるサンプルの総数で割ることによって算出することができる。部分回転を説明する言葉において、サブセットのサンプルは「部分回転」に対応する風ベクトルサンプルとみなすことができ、「部分」と「位相偏移」はそれぞれ部分回転の「完全度」と「位相オフセット」とみなすことができる。
例示の方法の行為806で、曲線当てはめ法をサブセットのサンプルに適用し、当てはめ曲線とフルセットのサンプル間の当てはめ誤差を算出することができる。より具体的には、曲線当てはめ法をサブセットのサンプルの直交成分に適用し、当てはめ曲線とそれぞれのフルセットの直交成分間の当てはめ誤差を算出することができる。いくつかの実施形態では、曲線当てはめ法と当てはめ誤差算出法は、予備推定部502によって部分回転に対応する風ベクトルサンプルに適用される曲線当てはめ法と当てはめ誤差算出法と同一でもよい。いくつかの実施形態では、当てはめ誤差は「部分回転」の「完全度」と「位相オフセット」に対応させて記録することができる。
行為804と806は1つ以上の完全回転に対応付けられる1つ以上のサブセットの風ベクトルサンプルに対して実行することができ、各サブセットは完全回転の特定の「部分」と「位相偏移」に対応する。このように、完全回転の風ベクトルサンプルを使用して、所与の完全度と位相オフセットとを有する部分回転に対応付けられる当てはめ誤差を推定することができる。いくつかの実施形態では、行為804と806は、完全回転の各々に対応付けられる考えられるすべてのサブセットの風ベクトルサンプルに対して実行することができる。
例示の方法の行為808で、当てはめ誤差データの参照表を作成することができる。参照表の各入力は、部分回転の指定完全度と位相オフセットに対応する当てはめ誤差値とすることができる。参照表は当業者にとって既知なまたはその他の適切な技法を用いて行為804および806で生成されるデータから作成することができる。たとえば、参照表は、各横列が完全度C(たとえば、3%〜100%の整数値)に対応し、各縦列が位相P(たとえば、−90度〜90度の整数値)に対応するように作成することができる。行為804および806で生成されるデータは、参照表の最新入力に割り当てることができる。たとえば、5.71%の完全度と89.16度の位相オフセットに対応する当てはめ誤差Fは、横列C=6%と縦列P=89度のセルに割り当てることができる。2つ以上の当てはめ誤差Fが1つのセルに割り当てられる場合、セルの代表値をいずれの適切な方法で選択してもよい。たとえば、平均当てはめ誤差、中央当てはめ誤差、または最大当てはめ誤差を選択することができる。風サンプルの北成分に対応する当てはめ誤差データは、風サンプルの東成分に対応する当てはめ誤差データとは別の表にまとめることができる。
予備推定部502の実施形態は、図8の例示の方法に従い作成された参照表を用いて、部分回転に対応する成分風ベクトルの予備推定値の誤差を推定することができる。いくつかの実施形態は、たとえば回転速度と回転期間に基づき部分回転の完全度Cを算出することができる。また、実施形態は、最小二乗推定などの曲線当てはめ法を介して部分回転の一連の成分風サンプルの位相オフセットPを算出することができる。完全度Cと位相オフセットPを算出して、実施形態は成分風サンプルに対応する参照表から(C、P)に対応する当てはめ誤差を検索し、対応する成分風ベクトルの予備推定値の誤差の推定値としてその当てはめ誤差を使用することができる。
いくつかの実施形態では、参照表が航空機特有である場合に参照表の精度を向上させることができる。平板状空気抵抗やその他の空力的現象は、異なる航空機の回転データを、異なる形または異なる角度で真正弦曲線から偏位させる。よって、1機の航空機に対応付けられる回転データを使用して作成された参照表は、同一の航空機の回転から算出される風ベクトルの誤差を推定するために後で使用される場合、異なる構造の航空機の回転から算出される風ベクトルの誤差を推定するのに使用される場合よりも正確に誤差を推定することができる。一方、2機の航空機が類似の構成であれば、一方の航空機の回転データを用いて生成される参照表は、他方の航空機の回転から算出される風ベクトルの誤差を正確に推定することができる。同様に、複数の異なる構造の航空機から取得される回転データを用いて生成される参照表は、どの構成航空機の回転から算出される風ベクトルの誤差も正確に推定することができる。
要約すると、予備推定部502の実施形態は、完全回転または部分回転に対応する風ベクトルの予備推定値(または風ベクトルの直交成分の予備推定値)を算出し、推定風ベクトルの精度の誤差を推定(または風ベクトルの推定直交成分の精度の誤差を推定)することができる。完全回転の場合、実施形態は推定風ベクトルの精度誤差を無視できるほど小さく推定し、無視できるほど小さいかゼロの対応誤差の推定値と共に、推定風ベクトル(または風ベクトルの推定直交成分)を推定濾過部504に送信することができる。
部分回転の場合、実施形態は、風ベクトルのいずれかの直交成分の精度誤差を、無視できないほどの大きさに推定することができる。いくつかの実施形態は、推定成分と対応誤差の推定値とを推定濾過部504に送ることができる。いくつかの実施形態では、対応誤差の推定値が13%などの指定の閾値に達しない場合にのみ、推定風ベクトル成分と対応誤差の推定値とを推定濾過部504に送信することができる。いくつかの実施形態では、部分回転の完全度が20%未満である場合、推定誤差は13%を超えると推定することができる。よって、場合によっては、部分回転に対応する推定風ベクトル成分(たとえば、北風ベクトル成分)は推定濾過部504に送信するが、同じ部分回転に対応する他方の風ベクトル成分(たとえば、東風ベクトル成分)は推定濾過部504に送信されない。すなわち、部分回転と併せて、予備推定部502の実施形態は対応する誤差推定値に応じて、北成分ベクトルの推定値、東成分ベクトルの推定値、両成分ベクトルの推定値、いずれでもない成分ベクトルの推定値を推定濾過部504に提供することができる。
安定直線飛行の予備推定
さらにまたはもしくは、航空機が安定直線飛行機動を実行するとき、予備推定部502の実施形態は安定直線飛行に対応する1つ以上の風ベクトルの予備推定値を生成することができる。いくつかの実施形態では、安定直線飛行機動と併せて風サンプル算出部404によって収集される1つ以上の風ベクトルサンプルは、1つ以上の風ベクトルの予備推定値として推定濾過部504に送信することができる。言い換えると、安定直線飛行中、予備推定部502の実施形態は追加の濾過または処理なしに、風ベクトルサンプルを風サンプル算出部404から推定濾過部504に送ることができる。
安定直線飛行の予備推定
さらにまたはもしくは、航空機が安定直線飛行機動を実行するとき、予備推定部502の実施形態は安定直線飛行に対応する1つ以上の風ベクトルの予備推定値を生成することができる。いくつかの実施形態では、安定直線飛行機動と併せて風サンプル算出部404によって収集される1つ以上の風ベクトルサンプルは、1つ以上の風ベクトルの予備推定値として推定濾過部504に送信することができる。言い換えると、安定直線飛行中、予備推定部502の実施形態は追加の濾過または処理なしに、風ベクトルサンプルを風サンプル算出部404から推定濾過部504に送ることができる。
予備推定部502の実施形態は、当業者にとって既知な技法またはその他の適切な技法を用いて、安定直線飛行に対応する風ベクトルの予備推定値の誤差を推定することができる。一方、予備推定部502のいくつかの実施形態は風ベクトルの予備推定値の誤差を推定しない場合がある。
推定濾過
図5の例示の推定部406は推定濾過部504を備える。推定濾過部504は状態特有処理を使用して、予備推定部502によって提供される風ベクトルの予備推定値(PE)に少なくとも部分的に依存する風ベクトルの濾過推定値(FE)を算出することができる。状況によっては、濾過推定値の値は、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるフィルタゲイン(K)および/または濾過推定値の先の値(PFE)に依存してもよい。いくつかの実施形態では、推定濾過プロセスは、少なくとも、予備推定値と対応付けられるフィルタゲイン(K)が予備推定値に対応する機動、予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況(環境状況など)に依存するという意味において状況特有とすることができる。さらにまたはもしくは、推定濾過プロセスは、フィルタに対応付けられる時定数が航空機の遭遇する状況に依存するという意味において状況特有とすることができる。
推定濾過
図5の例示の推定部406は推定濾過部504を備える。推定濾過部504は状態特有処理を使用して、予備推定部502によって提供される風ベクトルの予備推定値(PE)に少なくとも部分的に依存する風ベクトルの濾過推定値(FE)を算出することができる。状況によっては、濾過推定値の値は、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるフィルタゲイン(K)および/または濾過推定値の先の値(PFE)に依存してもよい。いくつかの実施形態では、推定濾過プロセスは、少なくとも、予備推定値と対応付けられるフィルタゲイン(K)が予備推定値に対応する機動、予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況(環境状況など)に依存するという意味において状況特有とすることができる。さらにまたはもしくは、推定濾過プロセスは、フィルタに対応付けられる時定数が航空機の遭遇する状況に依存するという意味において状況特有とすることができる。
いくつかの実施形態では、推定濾過プロセスは、推定濾過部406への入力が、航空機の遭遇する状況、または航空機のオペレータからのコマンドに依存するという意味において状態特有である。たとえば、風ベクトルの濾過推定値が指定期間内に更新されなかった、あるいはオペレータが風ベクトルの更新を要求する場合、航空機が実行した機動を検出するために機動検出部402によって適用される範囲または閾値は、風サンプル算出部が新たな風ベクトルサンプルをより容易に取得できるように動的に調節することができる。同様に、風サンプル算出部が新たな風ベクトルサンプルを生成する機動も、状況またはコマンドに応じて調節することができる。
簡潔化のため、推定濾過部504は、予備推定値PEおよび/または先の濾過推定値PFEに関する操作を実行することによって濾過推定値FEを生成すると説明する。上記に基づき、当業者であれば、このような操作が風ベクトルの正味推定値(すなわち、FENET、PENET、PFENET)を表すベクトル、または北風成分(すなわち、FEN、PEN、PFEN)と東風成分(すなわち、FEE、PEE、PFEE)などの風ベクトル成分を表す直交ベクトルで実行されることを理解するであろう。たとえば、予備推定部502が正味風ベクトル(PENET)の予備推定値を提供する場合、推定濾過部504の実施形態は正味風ベクトル(FENET)の濾過推定値を算出することができる。別の例として、予備推定部502が北風ベクトル(PEN)の予備推定値を提供する場合、推定濾過部504の実施形態は北風ベクトル(FEN)の濾過推定値を算出することができる。さらに、当業者であれば、予備推定部502が正味風ベクトル(PENET)の予備推定値または北風ベクトル(PEN)と東風ベクトル(PEE)の両方の予備推定値を提供する場合、予備推定部502が北風ベクトルの予備推定値に対応付けられる誤差を推定して、東風ベクトルの予備推定値に対応付けられる誤差と区別できることを理解するであろう。
完全回転に対応する風ベクトルの予備推定値の取得後、推定濾過部504のいくつかの実施形態は濾過推定値を予備推定値に設定する(すなわち、FE=PE)ことによって、先の濾過推定値に対応付けられる陳腐な測定値ではなく最新の測定値のみに依存する値に濾過推定値を更新することができる。いくつかの実施形態は濾過推定値を予備推定値と前回の濾過推定値との加重和に設定する(すなわち、FE=KFULL *PE+(1−KFULL)*PFE)ことによって、最新の測定値だけでなく先の濾過推定値で組み込まれた先の測定値にも依存する値に濾過推定値を更新することができる。前者の実施形態は、変動する風状況によく反応する風ベクトル推定値を提供することができる。後者の実施形態は、非常に安定し、風の一時的変動(たとえば、突風)に影響されない風ベクトル推定値を提供することができる。後者の実施形態では、フィルタゲインKFULLは所定の値に設定することができる、あるいは当業者にとって既知な技法またはその他のいずれかの適切な技法を用いて算出することができる。また、後者の実施形態では、先の濾過推定値が提供されなかった場合、濾過推定値を予備推定値に設定することができる。
部分回転に対応する風ベクトルの予備推定値の取得後、推定濾過部504のいくつかの実施形態は濾過推定値を予備推定値と先の濾過推定値との加重和(すなわち、FE=KPART *PE+(1−KPART)*PFE)に設定することができる。いくつかの実施形態では、フィルタゲインKPARTの値は予備推定値の推定誤差に依存することができる。さらにまたはもしくは、いくつかの実施形態では、フィルタゲインKPARTの値は、完全回転、部分回転、および/または安定直線飛行に対応する風ベクトルが先の濾過推定値に組み込まれたか否かに依存することができる。
予備推定値に対応付けられる推定誤差が指定閾値(たとえば、13%)を超える場合、いくつかの実施形態はKPARTを0に設定することができる。同様に、いくつかの実施形態は濾過推定値FEを先の濾過推定値PFEに設定することができる、あるいは濾過推定値FEを単にそのまま維持することができる。
一方、推定誤差が指定閾値を超えない場合、いくつかの実施形態は、KPARTを推定誤差および/または先の濾過推定値PFEに対応付けられる先の機動の関数である値に設定することができる。たとえば、先の濾過推定値PFEが完全回転に対応する先の推定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKPARTを比較的低い値(たとえば、0.15〜0.25の範囲)に設定することができる。こうした状況下でKPARTを比較的低い値に設定することは、完全回転に対応付けられるやや陳腐な風の推定値が、部分回転に対応付けられるより新しい風の推定値よりも正確になり得るという判断を反映することができる。範囲の上端でのフィルタゲイン値は低推定誤差値に対応し、範囲の下端でのフィルタゲイン値は高推定誤差値に対応することができる。
別の例では、先の濾過推定値PFEが完全回転に対応する先の測定値を組み込まず、部分回転に対応する先の測定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKPARTを中間値(たとえば、0.45〜0.55の範囲)に設定することができる。こうした状況下でKPARTを中間値に設定することで、複数の部分回転が実行され、完全回転が実行されないとき、部分回転に対応する予備推定値を平均化することによって正確な風ベクトルの推定値を取得し得るという判断を反映することができる。上述のシナリオと同様、範囲の上端でのフィルタゲイン値は低推定誤差値に対応し、範囲の下端でのフィルタゲイン値は高推定誤差値に対応することができる。
さらに別の例では、先の濾過推定値PFEが完全回転または部分回転に対応する先の測定値を組み込まず、安定直線飛行に対応する先の推定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKPARTを高値(たとえば、0.95〜1.00の範囲)に設定することができる。こうした状況下でKPARTを高値に設定することで、部分回転に対応するいかなる予備推定値も、安定直線飛行に対応する風ベクトルとのみ対応付けられる先の濾過推定値よりも正確である可能性が高いという判断を反映することができる。上述のシナリオと同様、範囲の上端でのフィルタゲイン値は低推定誤差値に対応し、範囲の下端でのフィルタゲイン値は高推定誤差値に対応することができる。
さらに別の例では、先の濾過推定値が提供されなかった場合、濾過推定値を予備推定値に設定することができる。
安定直線飛行に対応する風ベクトルの予備推定値の取得後、推定濾過部504のいくつかの実施形態は、濾過推定値を予備推定値と先の濾過推定値との加重和(すなわち、FE=KPART *PE+(1−KPART)*PFE)に設定することができる。いくつかの実施形態では、フィルタゲインKssの値は、完全回転、部分回転、および/または安定直線飛行に対応する風ベクトルが先の濾過推定値に組み込まれたか否かに依存することができる。
安定直線飛行に対応する風ベクトルの予備推定値の取得後、推定濾過部504のいくつかの実施形態は、濾過推定値を予備推定値と先の濾過推定値との加重和(すなわち、FE=KPART *PE+(1−KPART)*PFE)に設定することができる。いくつかの実施形態では、フィルタゲインKssの値は、完全回転、部分回転、および/または安定直線飛行に対応する風ベクトルが先の濾過推定値に組み込まれたか否かに依存することができる。
たとえば、先の濾過推定値PFEが完全回転に対応する先の推定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKssを極低値(たとえば、9*10-4〜9*10-5の範囲)に設定することができる。別の例では、先の濾過推定値PFEが完全回転に対応する先の推定値を組み込まず、部分回転に対応する先の推定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKssをわずかに高い値(たとえば、9*10-3〜9*10-4の範囲)に設定することができる。こうした状況下でフィルタゲインKssをこのような低値に設定することで、完全回転と部分回転に対応する風推定値が安定直線飛行に対応する風推定値よりもずっと正確である可能性が高いという判断を反映することができる。
さらに別の例では、先の濾過推定値PFEが完全回転または部分回転に対応する先の推定値を組み込まず、安定直線飛行に対応する先の推定値を組み込む場合、いくつかの実施形態はKssをやや高い値(たとえば、1*10-2〜9*10-2の範囲)に設定することができる。このようにフィルタゲインKssを設定することは、安定直線飛行に対応する個々の風推定値の不正確さにもかかわらず、安定直線飛行に対応する数百の推定値を濾過することで風ベクトルの正確な推定値を提供し得るという判断を反映することができる。
いくつかの実施形態では、推定濾過部504は、濾過推定値FEが航空機の遭遇した状況に応じて算出されるように調節することができる。たとえば、所与の高度の風ベクトルは短時間(たとえば、1〜2時間)比較的安定するが、別の高度の風ベクトルは大きく変動することがある。したがって、航空機が閾値量(たとえば、100フィート)を超えて高度を変化させる場合、推定濾過部は新たな高度で風ベクトルの予備推定値に対応付けられるフィルタゲインを増大させ、濾過推定値の先の値と対応付けられるフィルタゲインを減少させることによって、濾過推定値FEをより迅速に変化させ新たな高度での新たな風状況に反映させることができる。
いくつかの実施形態では、推定濾過部504に適用される濾過計算は、対応付けられる時定数を有することができる。大半の状況では、時定数は相当短くてもよい(たとえば、約数秒または数十秒)。しかしながら、いくつかの実施形態は、たとえば航空機が軽風を受けたときなどの特定の状況下では相当長い時定数(たとえば、約数百または数千秒)を使用するように濾過部504を構成することができる。軽風は2ノットなどの指定閾値未満の大きさを有する風とみなすことができる。式4によると、航空機が軽風を受けると、推定風向は推定北風成分と東風成分の大きさの小さな変動にも大きく反応する。よって、軽風下で長い時定数を使用するように濾過部を構成することで、推定濾過部504によって報告される推定風向を安定化させることができる。
要約すると、風推定部400の実施形態は機動検出部402と風サンプル算出部404とを使用して、航空機が完全回転、部分回転、または安定直線飛行などの機動を実行しているか否かを検出し、このような機動に対応する風ベクトルサンプルを算出することができる。また、実施形態は推定部406を使用して、風ベクトルサンプルに基づき、航空機近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルを推定することができる。
風推定部400の実施形態はソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせとして実現することができる。同様に、風推定部400のコンポーネント(たとえば、機動検出部402、風サンプル算出部404、推定部406、予備推定部502、および/または推定濾過部504)もソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせとして実現することができる。たとえば、上述の部のいずれかまたは全部は、図7に示す例示のコンピュータなどのコンピュータのプロセッサ上で実行される指示として実現することができる。
図7は、コンピュータ700の例示の一実施形態の概略図である。図7の例示のコンピュータ700は通信バス710に接続される1つ以上のメモリ702と1つ以上のプロセッサ704とを備える。メモリ702はランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、ディスクベースのメモリ、ソリッドステートメモリ、または当業者にとって既知な、または非一時的に指示および/またはデータを記憶するその他のいずれの適切な装置であってもよい。メモリ702は、プロセッサ704によって遂行される際に、プロセッサ704に風推定部400、機動検出部402、風サンプル算出部404、推定部406、予備推定部502、および/または推定濾過部504の機能を実行させる指示を記憶することができる。
図7の例示のコンピュータ700は入力/出力インタフェース706および/またはネットワークインタフェース708をさらに含むことができる。コンピュータ700は各種センサによって測定される(または「サンプル採取される」)飛行パラメータ値を、I/Oインタフェース706またはネットワークインタフェース708を介して受信することができる。いくつかの実施形態では、飛行パラメータ値の一部または全部は、風推定部400がアクセス可能な位置でメモリ702に少なくとも一時的に記憶させることができる。
方法
図9は、風ベクトルの推定値を算出する例示の方法を示す。例示の方法の行為902で、航空機の機動が特定される。いくつかの実施形態では、特定される機動は安定直線機動、部分回転、または完全回転を含む。いくつかの実施形態では、特定される機動は当業者にとって既知な1つ以上の追加の航空機機動を含むことができる。また、航空機の運動は常に特定可能な機動に対応するとは限らない。すなわち、所与の時点で、航空機は、安定直線機動、部分回転、完全回転、または当業者にとって既知な追加の航空機機動に対応しないと行為902で特定される機動を実行する場合がある。
方法
図9は、風ベクトルの推定値を算出する例示の方法を示す。例示の方法の行為902で、航空機の機動が特定される。いくつかの実施形態では、特定される機動は安定直線機動、部分回転、または完全回転を含む。いくつかの実施形態では、特定される機動は当業者にとって既知な1つ以上の追加の航空機機動を含むことができる。また、航空機の運動は常に特定可能な機動に対応するとは限らない。すなわち、所与の時点で、航空機は、安定直線機動、部分回転、完全回転、または当業者にとって既知な追加の航空機機動に対応しないと行為902で特定される機動を実行する場合がある。
例示の方法の行為904で、航空機近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値が特定される。いくつかの実施形態では、予備推定値の算出は、対応する機動中に収集される1つ以上の測定値に、機動特有風推定プロセスを適用することを含むことができる。たとえば、予備推定値の算出は、推測航法を使用して完全回転に対応する飛行パラメータの測定値から1つ以上の風ベクトルサンプルを生成することと、1つ以上の風ベクトルサンプルを平均化して予備推定値を生成することとを含むことができる。別の例では、予備推定値の算出は、推測航法を使用して部分回転に対応する飛行パラメータの測定値から1つ以上の風ベクトルサンプルを生成することと、曲線(たとえば、正弦曲線)を風ベクトルサンプルの直交成分に当てはめることと、各当てはめ曲線に沿って追加の風ベクトルサンプルを予測することと、風ベクトルサンプルと各当てはめ曲線に沿って予測された追加の風ベクトルサンプルとを平均化して成分風ベクトルの予備推定値を生成することとを含むことができる。さらに別の例では、予備推定値の算出は、推測航法を使用して安定直線飛行に対応する飛行パラメータの測定値から風ベクトルサンプルを生成することを含むことができる。
例示の方法の行為906で、風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインが取得される。いくつかの実施形態では、ゲインはフィルタゲインであってもよい。いくつかの実施形態では、予備推定値と対応付けられるフィルタゲインの算出プロセスは、航空機の過去または現在の状態に依存する。たとえば、フィルタゲインは、予備推定値に対応する機動、予備推定値の推定誤差、航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または航空機が遭遇した状況(高度の変化や軽風など)に依存することができる。
例示の方法の行為908で、風ベクトルの濾過推定値を更新することができる。濾過推定値の更新は、濾過推定値の初期値を設定すること、または、予備推定値、フィルタゲイン、および/または先の濾過推定値に基づき新たな濾過推定値を算出することとを含むことができる。たとえば、風ベクトルの濾過推定値の更新は、新たな濾過推定値を完全回転に対応する予備推定値に設定することを含むことができる。別の例では、濾過推定値の更新は、新たな濾過推定値FEを、予備推定値PEと先の濾過推定値PFEとの加重和(たとえば、FE=K*PE+(1−K)*PFE、ただし、Kは予備推定値に対応付けられるフィルタゲインである)に設定することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、濾過推定値の更新は、フィルタに対応付けられる時定数の調節を含むことができる。たとえば、濾過推定値の更新は、航空機が軽風を受けるときは時定数を増大させ、航空機が軽風を受けないときは時定数を減少させることを含むことができる。
図10は、航空機の機動を部分回転機動として特定する例示の方法を示す。例示の方法の行為1002で、航空機の地上トラック回転加速度、地上トラック回転速度、平均真対気速度の値が、第1の時点でそれぞれの範囲内に収まることが検出される。たとえば、地上トラック回転加速度に対応付けられる範囲は約0.025ラジアン/秒2未満のどの値であってもよく、地上トラック回転速度に対応付けられる範囲は約0.01ラジアン/秒超のどの値であってもよく、平均真対気速度に対応付けられる範囲は約50.0ノット超のどの値であってもよい。
例示の方法の行為1004で、第2の時点で航空機が回転していないことが検出される。たとえば、航空機の地上トラック回転加速度、地上トラック回転速度、または平均真対気速度の値が行為1002に関して指定される範囲などの対応範囲に収まらないと検出される場合、回転機動の終了を検出することができる。第2の時点は第1の時点の後とすることができる。
例示の方法の行為1006で、第2の時点と第1の時点間の航空機の方位の変化が2πラジアン未満であることが検出される。第2の時点と第1の時点間の航空機の方位の変化は、当業者にとって既知の手段またはその他のいずれかの適切な手段を用いて測定または算出することができる。
図11は、航空機の機動を完全回転機動として特定する例示の方法を示す。例示の方法の行為1102で、航空機の地上トラック回転加速度、地上トラック回転速度、平均真対気速度の値は第1の時点でそれぞれの範囲内に納まることが検出される。たとえば、地上トラック回転加速度に対応付けられる範囲は約0.025ラジアン/秒2未満のどの値でもよく、地上トラック回転速度に対応付けられる範囲は約0.01ラジアン/秒超のどの値でもよく、平均真対気速度に対応付けられる範囲は約50.0ノット超のどの値でもよい。
例示の方法の行為1104で、第2の時点と第1の時点間の航空機の方位の変化が約2πラジアンであることが検出される。第2の時点と第1の時点間の航空機の方位の変化は、当業者にとって既知の手段またはその他のいずれかの適切な手段を用いて測定または算出することができる。
図12は、風ベクトルの推定値を算出する別の例示の方法を示す。図12の例示の方法の行為902、904、906、908は図9の例示の方法の行為1202、1204、1206、1208と同様または同一であるため、さらなる説明は省略する。
例示の方法の行為1210で、航空機近傍で優勢な風状況に対応する直交風ベクトルの予備推定値が特定される。いくつかの実施形態では、直交風ベクトルは行為1202〜1208で算出される風ベクトルに直交することができるため、風ベクトルと直交風ベクトルは正味風ベクトルの成分である。たとえば、風ベクトルは北風ベクトル、直交風ベクトルは東風ベクトルとしてもよい。いくつかの実施形態では、直交風ベクトルの予備推定値を算出することは、機動特有風推定プロセスを、対応する機動中に収集される1つ以上の測定値に適用することを含むことができる。
例示の方法の行為1212で、直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインが取得される。いくつかの実施形態では、ゲインはフィルタゲインとしてよい。いくつかの実施形態では、直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるフィルタゲインを取得するプロセスは、予備推定値に対応する機動、予備推定値の推定誤差、および/または航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動に依存することができる。
例示の方法の行為908で、直交風ベクトルの濾過推定値を更新することができる。直交風ベクトルの濾過推定値の更新は、直交風ベクトルの濾過推定値の初期値を設定すること、あるいは直交風ベクトルの予備推定値、直交風ベクトルに対応付けられるフィルタゲイン、および/または直交風ベクトルの濾過推定値の先の値に基づき直交風ベクトルの濾過推定値の新たな値を算出することを含むことができる。
その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、変更、修正、改善が当業者に容易に思いつくと理解すべきである。たとえば、本開示の実施形態は航空機に言及して説明したが、当業者であれば、実施形態が水上ベースの乗り物(たとえば、ヨット)や地上ベースの乗り物(たとえば、自動車やトラック)などの他の可動プラットフォームにも適合できると理解するであろう。また、いくつかの実施形態は、同一の実施形態の一部であると明示されていなくても、いずれの実施形態の一部としても記載される特徴を含むことができる。
その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、変更、修正、改善が当業者に容易に思いつくと理解すべきである。たとえば、本開示の実施形態は航空機に言及して説明したが、当業者であれば、実施形態が水上ベースの乗り物(たとえば、ヨット)や地上ベースの乗り物(たとえば、自動車やトラック)などの他の可動プラットフォームにも適合できると理解するであろう。また、いくつかの実施形態は、同一の実施形態の一部であると明示されていなくても、いずれの実施形態の一部としても記載される特徴を含むことができる。
上記の変更、修正、改善は本開示の一部であり、発明の精神と範囲に属すると意図される。さらに、本開示の利点を指摘したが、すべての実施形態が記載されるあらゆる利点を含むわけではないと認識すべきである。いくつかの実施形態は、本願で有益であると記載される特徴を実現しない場合がある。したがって、上記の説明と図面は単に例である。
本発明の上述の実施形態は様々な方法で実現することができる。たとえば、実施形態はハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施される際、ソフトウェアコードは、単独のコンピュータで提供される、あるいは複数のコンピュータ間で分散されるかにかかわらず、いずれの適切なプロセッサまたはプロセッサの集合上でも実行することができる。このようなプロセッサは集積回路コンポーネント内に1つ以上のプロセッサを備えた集積回路として実現することができる。ただし、プロセッサはいずれの適切なフォーマットで回路を用いて実現してもよい。
さらに、コンピュータはラック搭載コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータなどの様々な形式で具体化させることができると認識すべきである。また、コンピュータは一般的にはコンピュータとしてみなされないが適切な処理能力を有する、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、あるいはその他のいずれの適切な携帯または固定電子装置などの装置で具体化してもよい。
また、コンピュータは1つ以上の入力および出力装置を有することができる。これらの装置は、特にユーザインタフェースを提供するために使用することができる。ユーザインタフェースを提供するのに使用可能な出力装置の例は、出力の視覚的提示用にはプリンタまたはディスプレイ画面、出力の聴覚的提示用にはスピーカまたはその他の音声生成装置である。ユーザインタフェースに使用可能な入力装置の例は、キーボードや、マウス、タッチパッド、デジタル化タブレットなどの位置指示装置である。別の例では、コンピュータは音声認識またはその他の可聴フォーマットを通じて入力情報を受信することができる。
このようなコンピュータは、ローカルエリアネットワークや、企業ネットワークやインターネットなどの広域ネットワークといった1つ以上のネットワークによってどの適切な形式でも相互接続させることができる。このようなネットワークはいずれかの適切な技術に基づき、いずれかの適切なプロトコルに従って動作し、無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバネットワークを含むことができる。
また、本願で概説した様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのいずれかを採用するコンピュータの1つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化することができる。また、このようなソフトウェアは多数の適切なプログラミング言語および/またはプログラミングまたはスクリプトツールのいずれかを用いて書くことができ、実行可能な機械言語コード、あるいはフレームワークまたは仮想マシンで実行される中間コードとしてコンパイルすることもできる。
これに関連し、本開示の実施形態は、1つ以上のコンピュータまたはその他のプロセッサ上で遂行される際、上述した本開示の各種実施形態を実施する方法を実行する1つ以上のプログラムで暗号化される単独のコンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読媒体)(たとえば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイまたはその他の半導体素子の回路構成、あるいはその他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具体化することができる。
上記の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な形でコンピュータ実行可能命令を供給するのに十分な時間、情報を保持することができる。このようなコンピュータ可読記憶媒体は可搬型であり、そこに記憶されるプログラムを1つ以上の異なるコンピュータまたはその他のプロセッサにロードして、上述したような本発明の各種態様を実施することができる。本文書で使用される「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、製造物(すなわち、製品)または機械と考えられるコンピュータ可読媒体のみを包含する。もしくはまたはさらに、本発明は、伝播信号などのコンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具体化することができる。
「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、コンピュータまたはその他のプロセッサをプログラムするために採用されて上述したような本発明の各種態様を実行することができる種類のコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指すために一般的な意味で使用される。なお、本開示の一側面によると、遂行される際に、開示される方法の実施形態を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、単独のコンピュータまたはプロセッサに常駐する必要はなく、多くの異なるコンピュータまたはプロセッサ間にモジュールとして分散されて本開示の各種態様を実施してもよい。
コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータまたはその他の装置によって遂行されるプログラムモジュールなどの様々な形態をとることができる。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、あるいは特定の抽象データ種を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。通常、プログラムモジュールの機能は各種実施形態において所望されるように結合または分散させることができる。
また、データ構造はいずれの適切な形式でもコンピュータ可読媒体に記憶することができる。説明の簡易化のため、データ構造は、データ構造内の位置を通じて関連付けられるフィールドを有するように示されている。このような関係は同様に、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内に位置と共にフィールド用の記憶領域を割り当てることによっても達成することができる。しかしながら、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確定するその他の機構など、いずれかの適切な機構を使用してデータ構造のフィールド内の情報間の関係を確定することができる。
また、本発明は、例を提示した方法として具体化することができる。方法の一部として実行される行為は、いずれの適切な順番でも実行することができる。したがって、実施形態内の行為は例示される順番と異なる順番で実行されるように構成してもよく、たとえば、例示の実施形態では連続行為として示されていても、いくつかの行為を同時に実行することもできる。
請求項において「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順番を表す言葉を使用して請求項要素を変更することはそれ自体、ある請求項要素の別の請求項要素に対する優先順位、優先、または順番、または方法の行為を実行する時間的順序を意味するものではない。このような用語は、特定の名称を有するある請求項要素を同一の名称(ただし、順序を表す用語を使用)を有する別の要素と区別するための単なる表示として使用される。
また、本願で使用される表現や専門用語は単に説明を目的としており、限定とみなすべきではない。「including」、「comprising」、「having」、「containing」、「involving」、およびそれらの変形は、その後に続いて挙げられるアイテムとその等価物並びに追加のアイテムを包含することを意味する。
Claims (20)
- 風ベクトルの推定値の算出方法であって、
プロセッサを用いて安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つであるプラットフォームの機動を特定することと、
プロセッサを用いて前記プラットフォームの近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、前記特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、前記特定される機動に関連付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、
プロセッサを用いて前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、
前記風ベクトルの予備推定値と前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、プロセッサを用いて前記風ベクトルの濾過推定値を更新することと、
を含む方法。 - 前記航空機の状態が、前記特定される機動、前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差、前記航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または前記航空機が遭遇した状況を含む請求項1の方法。
- 前記プラットフォームの機動を前記部分回転機動と特定することが、
第1の時点で、前記プラットフォームの地上トラック回転加速度、前記プラットフォームの地上トラック回転速度、前記プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、
第2の時点で、前記プラットフォームが回転していないことを検出することと、
前記第2の時点と第1の時点間の前記プラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することと、
を含む請求項1の方法。 - 前記プラットフォームの機動を前記完全回転機動と特定することが、
第1の時点で、前記プラットフォームの地上トラック回転加速度、前記プラットフォームの地上トラック回転速度、前記プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、
第2の時点と第1の時点間の前記プラットフォームの方位の変化が約2πラジアンであることを算出することと、
を含む請求項1の方法。 - プロセッサを用いて直交風ベクトルの予備推定値を算出することであって、前記直交風ベクトルが前記プラットフォーム近傍で優勢な風状況と前記風ベクトルの予備推定値の方向と直交する方向とに対応し、前記特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、前記特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、
プロセッサを用いて前記直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、前記航空機の状態に対応付けられる前記ゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、
前記直交風ベクトルの予備推定値と前記直交風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、プロセッサを用いて前記直交風ベクトルの濾過推定値を更新することと、
をさらに含む請求項1の方法。 - 前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインが前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存し、前記推定誤差が前記特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存する請求項2の方法。
- 前記特定される機動が前記部分回転機動を含み、
前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差が、前記部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的に依存し、
前記当てはまりの推定値が、前記部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと前記部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存する請求項6の方法。 - 前記完全回転機動に対応付けられるデータが前記プラットフォームに依存する請求項7の方法。
- 風ベクトルの推定装置であって、
プロセッサと、
遂行させる際に前記プロセッサに方法を実行させる指示を記憶するメモリと、
を備え、該方法が、
安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つであるプラットフォームの機動を特定することと、
前記プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、前記特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、前記特定される機動に関連付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、
前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、
前記風ベクトルの予備推定値と前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインの予備推定値とに少なくとも部分的に基づき、前記風ベクトルの濾過推定値を更新することと、
を含む装置。 - 前記航空機の状態が、前記特定される機動、前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差、前記航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または前記航空機が遭遇した状況を含む請求項9の装置。
- 前記プラットフォームの機動を前記部分回転機動と特定することが、
第1の時点で、前記プラットフォームの地上トラック回転加速度、前記プラットフォームの地上トラック回転速度、前記プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲に収まることを検出することと、
第2の時点で、前記プラットフォームが回転していないことを検出することと、
前記第2の時点と第1の時点間の前記プラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することと、
を含む請求項9の装置。 - 前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインが、前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存し、前記推定誤差が、前記特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存する請求項10の装置。
- 前記特定される機動が前記部分回転機動を含み、
前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差が、前記部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的に依存し、
前記当てはまりの推定値が、前記部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと前記部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存する請求項12の装置。 - 前記完全回転機動に対応付けられるデータが前記プラットフォームに依存する請求項13の装置。
- 方法を実行するようにコンピュータを制御する指示を記憶する1つまたはそれ以上のコンピュータ可読記憶媒体であって、該方法が、
安定直線機動、部分回転機動、完全回転機動のうちの1つであるプラットフォームの機動を特定することと、
前記プラットフォーム近傍で優勢な風状況に対応する風ベクトルの予備推定値を算出することであって、前記特定される機動中に収集される1つ以上の測定値に、前記特定される機動に対応付けられる風推定プロセスを適用することを含むことと、
前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを算出することであって、航空機の状態に対応付けられるゲイン算出プロセスを適用することを含むことと、
前記風ベクトルの予備推定値と前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインとに少なくとも部分的に基づき、前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインを更新することと、
を含むコンピュータ可読記憶媒体。 - 前記航空機の状態が、前記特定される機動、前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差、前記航空機がこれまでに実行した1つ以上の機動、および/または前記航空機が遭遇した状況を含む請求項15の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体。
- 前記プラットフォームの機動を前記部分回転機動と特定することが、
第1の時点で、前記プラットフォームの地上トラック回転加速度、前記プラットフォームの地上トラック回転速度、前記プラットフォームの平均真対気速度がそれぞれの指定範囲内に収まることを検出することと、
第2の時点で、前記プラットフォームが回転していないことを検出することと、
前記第2の時点と第1の時点間の前記プラットフォームの方位の変化が2πラジアン未満であることを算出することと、
を含む請求項15の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体。 - 前記風ベクトルの予備推定値に対応付けられるゲインが、前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差に少なくとも部分的に依存し、前記推定誤差が、前記特定される機動の種類に少なくとも部分的に依存する請求項16の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体。
- 前記特定される機動が前記部分回転機動であり、
前記風ベクトルの予備推定値の推定誤差がさらに、前記部分回転機動に対応付けられるデータと完全回転機動に対応付けられるデータ間の当てはまりの推定値に少なくとも部分的に依存し、
前記当てはまりの推定値が前記部分回転機動に対応付けられる完全回転のパーセントと、前記部分回転機動に対応付けられる完全回転の位相とに依存する
請求項18の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体。 - 前記完全回転機動に対応付けられるデータが前記プラットフォームに依存する請求項19の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体。
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