JP2015520344A - ピストン圧縮機の往復運動するピストンロッドをシールするシール装置 - Google Patents

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Abstract

ピストン圧縮機のピストンロッドをシールするハイドロリック式のシール媒体バリヤにおいては、シール媒体の高い温度が生ぜしめられ、かつ汚物や摩耗粉塵が堆積し、ひいてはシール部材の機能が損なわれる恐れがある。このことを阻止するために、本発明によれば、シール媒体の循環のために、空所(10)に接続されたシール媒体用の導出管路(11)と、循環装置(13)とを備え、この循環装置(13)を用いて、シール媒体の圧力(poil)の維持下に、供給管路(7)および導出管路(11)を介して空所(10)を通じてシール媒体が循環される、シール装置(1)が提案される。

Description

本発明は、ピストン圧縮機の往復運動するピストンロッドをシールするシール装置であって、第1のシールエレメントと第2のシールエレメントとを備え、両シールエレメントは前記シール装置に設けられた空所内に軸方向で間隔を置いて配置されており、前記シール装置内に、圧力下にあるシール媒体のための、前記空所に接続された供給管路が設けられており、前記シール媒体の圧力は、シールしようとする圧力よりも大きく形成されており、前記シールエレメントは、前記シール媒体の圧力によって、それぞれ前記空所の軸方向の一方の端部と前記ピストンロッドとに接触するように配置されていて、前記シール媒体が前記シールエレメントによって、前記圧力で前記空所内に封入されている、シール装置に関する。
ピストン圧縮機においては、高い圧力、たとえば圧縮機のシリンダ内の作業圧力を有する空間が、低い圧力、たとえば圧縮機のクランクケース内の大気圧を有する空間に対して、ピストンロッドに沿ってシールされなければならない。このためには、公知の形式で、いわゆる圧力パッキンが使用され、この圧力パッキンは、ピストン圧縮機の往復運動するピストンロッドと、定位置固定の機械部分、一般には圧縮機ハウジングとの間をシールしている。このようなシールパッキンは一般に、軸方向で相前後して配置された複数のパッキンリングもしくはパッキンリング組み合わせを有している。たとえば欧州特許出願公開第1146264号明細書に記載されているような、半径方向に切り込みを入れられたパッキンリングおよび接線方向に切り込みを入れられたパッキンリングから成る組み合わせが極めて頻繁に使用される。その他に、米国特許出願公開第4350349号明細書から公知のような、セグメント化されたリングデザインも使用され、このリングデザインでは、1つのパッキンリングが複数のリングセグメントから構成される。しかし、このようなシール部材は、100%密なシステムではなく、常にある程度の、シール部材を通って逃出する漏れ量を有している。漏れの問題を軽減するために、国際公開第2010/079227号パンフレットでは既に、シール部材として、軸方向で間隔を置いて配置された2つのシールエレメントを使用することが提案されている。両シールエレメントの間には、シール媒体、たとえばオイルが、高い圧力で導入される。これによって、シールエレメントは、シールのためにシールパッキン内に設けられたシール面に押圧される。このようにしてシール媒体バリヤが形成され、このシール媒体バリヤは、圧縮機の作業媒体、たとえば空気または天然ガスの、ピストンロッドに沿った漏れを、少なくとも減少させ、理想的な場合にはそれどころか排除する。
このようなシールパッキンまたはシール部材は、標準時には、たとえば冷却媒体を、シールパッキンを通じて循環させ、これによりピストンロッドをシールパッキンの冷却を介して間接的に冷却することにより冷却もされている。しかし、このことは当然、構造上かつ運転上の付加的な手間を生ぜしめる。
スターリングエンジンのピストンロッドをシールするために、たとえば米国特許出願公開第4222575号明細書または独国特許出願公開第2839243号明細書に基づき、類似するシール部材が公知である。この場合、漏れ戻し部も設けられており、この漏れ戻し部を用いて、それ自体望ましくないシール媒体漏れを、無圧状態でシール媒体リザーバに戻すことができる。
国際公開第2011/062484号パンフレットには、船舶スクリュのロータ軸のシールが開示されている。このスクリュ内には、2つの圧力室が設けられており、これらの圧力室を通ってシール媒体が循環される。しかし、圧力室内のシール媒体の圧力は、シールしようとする圧力よりも小さい。両圧力室は互いに異なるシール媒体を使用しており、この場合、両圧力室内の圧力は、供給されるシール媒体の圧力と、絞りとによって決定される。シール媒体循環系内のポンプは、シール媒体の再循環のために使用される。
しかし、シール媒体バリヤの形のシールには、シール媒体の不可避の漏れの他にも、特定の問題が存在する。シール媒体バリヤ内の小さなシール媒体容積に基づいて、シール媒体は、摩擦に基づいて生ぜしめられる熱導入(高速往復運動するピストンロッドとシール媒体との間の摩擦による)によって、容易に、200℃を越えるまでの温度に達する。これにより、使用可能なシール媒体の選択は、最初から既に制限されている。しかし、高い温度によってシール媒体の急速な熱老化も生じ、それによってシール機能が損なわれる恐れがある。それと同時に、温度上昇によってシール内の圧力上昇も起こり、このことは望ましくない結果、すなわちシール媒体が増幅されてシールから流出する結果を招く恐れがある。付加的に、高められた圧力によって当然、シール媒体バリヤのシールエレメントも過剰に負荷をかけられ、このことは最終的に、シールエレメントの故障を招く恐れがある。これに加えて、ハイドロリック式のコンポーネントは標準の構成では、典型的に最大80℃の温度に対してしか設計されていない。より高い温度、特にこの場合に考えられるような高い温度に耐えられるハイドロリック式のコンポーネントは、相応して高価である。付加的に、このような高い温度は、シールの十分な冷却をも条件とする。とりわけシール部材には、たとえば摩耗粉塵またはプロセスに基づいて生ぜしめられた汚物からなる汚染物が溜まり、この汚染物は、シールの機能をやはり損なってしまう恐れがある。
したがって本発明の課題は、上で挙げた、ピストン圧縮機内のシールであるシール媒体バリヤに関する問題を取り除くことである。
本発明によれば、この課題は、シール媒体用の導出管路が設けられており、この導出管路が前記空所に接続されており、さらに循環装置が設けられており、この循環装置が、前記空所内のシール媒体の圧力の維持下に、前記供給管路および前記導出管路を介して前記空所を通じてシール媒体を循環させることにより解決される。空所を通じてシール媒体を循環させることによって、シール機能を損なうことなく、シール媒体の温度は許容し得る範囲内に保持されるようになり、それによって、これに関連した問題、たとえばシール部材内の圧力上昇、シール媒体の熱老化、シール装置の冷却が、少なくとも著しく軽減される。さらに、場合によっては存在する汚染物も、シール部材から導出され、それによって、汚物や摩耗粉塵の不都合な堆積も減ぜられる。しかし、この循環の別の著しい付加利用は、シール装置の冷却が不要になり得ると同時に、ピストンロッドも直接冷却できる点にある。このことはこれまでは、手間のかかる構造によってのみ可能であった。
導出管路内に圧力制御ユニットが配置されていると、シール媒体の所望の圧力が容易に調節され得る。
圧縮機の休止状態および/または故障時にシール媒体容器内への圧縮機の作業媒体の逆流を阻止するためには、導出管路に第1の遮断弁および/または第2の遮断弁が配置されていてよく、この遮断弁は導出管路の空気逃がしのためにも使用され得る。
供給管路に、プリロード(予荷重)をかけられた逆止弁が配置されていると、故障時または遮断された状態で圧縮機の作業媒体がシール媒体容器内へ逆流することを、簡単に阻止することができる。
第2の遮断弁が、プリロードをかけられた逆止弁の上流側の圧力によって操作されていると、空気逃がし管路を自動的に開閉させることができる。これによって、シール媒体が空気逃がし管路を通じて失われてしまうことを阻止することもできる。
導出管路に、循環装置の制御のための制御ユニットに接続されている温度センサを設けることにより、ハイドロリック式のシステムの温度管理を容易に実現することもできる。これによって、シール媒体の温度が閉ループ式に制御されるか、もしくは上限を制限され得る。
導出管路に、循環装置の制御のための制御ユニットに接続されている圧力センサを設けることにより、シール媒体の圧力を閉ループ式に制御することもできる。これによって、相応する目標値設定によって、種々異なるシール媒体圧力を容易に調節することができる。
2つの運転モード、たとえば休止状態と標準運転とを設定できるようにするためには、導出管路に切換弁が設けられていてよく、この切換弁は、第1の圧力制限弁または第2の圧力制限弁を負荷し、すなわち第1の圧力制限弁または第2の圧力制限弁へのシール媒体の流れを切換え、この場合、第1の圧力制限弁については、第2の圧力制限弁よりも高い切換圧が設定されている。このようにして、たとえば圧縮機の休止状態では、シール装置内のより高いシール媒体圧力を設定することができ、これにより、シール装置を通じた圧縮機の作業媒体の流出が確実に阻止される。
シール装置には、場合によっては冷却システムが存在しており、供給管路から冷却管路が分岐していて、この冷却管路がシール装置の冷却システムに接続されると、この冷却システムを簡単に使用することができる。これによって、シール装置および間接的にはピストンロッドも、シール媒体によって付加的に冷却され得る。しかしそれと同時に固有のシール媒体を循環させるための付加的な外部ユニットを節約することができる。
以下に、本発明の実施形態を図1〜図6につき説明するが、本発明はこれらの図面に示された構成に限定されるものではない。
シール媒体の循環を有する本発明によるシール装置を示す断面図である。 シール媒体の循環を示すハイドロリック回路図である。 一定の体積流を有するハイドロリック回路図である。 温度制御された体積流を有するハイドロリック回路図である。 圧力制御された体積流を有するハイドロリック回路図である。 2つのシール装置用のハイドロリック回路図である。
図1には、作業媒体のシールしようとする圧力p、たとえばシリンダ圧に対してピストン圧縮機の軸方向に往復運動するピストンロッド3をシールするための、公知のシール装置1が図示されている。シール装置1は、たとえば圧縮機ハウジングのような、圧縮機の定位置のハウジング部分2内に配置されていて、このハウジング部分2と、運動させられる可動のピストンロッド3との間をシールする。シール装置1は、たとえば十分に知られているように、予め組み立てられた状態で、ハウジング部分2に挿入されて、たとえば周面にわたって分配された複数のねじを用いて固定される。シール装置1は、図示した実施形態では、2つのL字形のチャンバディスク4,5を有しており、両チャンバディスク4,5は、図示した実施形態では分離ディスク6によって軸方向で分離されている。しかしもちろん、別の構成、たとえばT字形の分離ディスクを用いた構成も考えられる。一方のチャンバディスク5には、半径方向外側でフランジが設けられていてもよく、このフランジを用いて、シール装置1をハウジング部分2に固定することができる。チャンバディスク4,5および場合によっては分離ディスク6は、公知の形式で、一貫して延びる1つのピンによって結合され得る。このような装置によって、L字形のチャンバディスク4,5および場合によっては分離ディスク6と、ピストンロッド3との間に空所10が形成される。この空所10内には、第1および第2のシールエレメント8,9が配置されており、この場合、シールエレメント8,9は、供給管路7を介して空所10内に供給されるシール媒体の作用圧によって、それぞれ空所10の軸方向の両端部に、すなわちL字形のチャンバディスク4,5の半径方向の脚部に当て付けられ、軸方向で互いに分離して配置されている(「軸方向」および「半径方向」の向きは、ピストンロッド3の向きに関連している)。第1および第2のシールエレメント8,9は、チャンバディスク4,5に対して半径方向外側では間隔を置いて配置されており、すなわちチャンバディスク4,5の軸方向の脚部に対して間隔を置いて配置されており、そして半径方向内側ではピストンロッド3に設けられたシール面に接触している。シール媒体、たとえばオイルは、シールしようとする圧力pよりも大きい圧力poilを受けて空所10内に供給される。したがって、シール媒体はシールエレメント8,9によって空所10内に封入されていて、半径方向外側および軸方向でシールエレメント8,9に作用する。したがって、シールエレメント8,9は、圧力poilによって半径方向内側に向かってピストンロッド3に押圧されるとともに、軸方向でチャンバディスク4,5に押圧され、ひいてはシールを実現している。これによって、シール媒体バリヤが形成され、このシール媒体バリヤは、圧縮機のシールしようとするガス状の作業媒体の漏れを阻止する。
シールエレメント8,9としては、ピストンロッド3に接触するシールリップを備えた公知のハイドロリック式のシールリング、たとえばリップシールリングまたはコンパクトシールリングまたは十分に公知の切り込みを入れられた形またはセグメント化された形の剛性的なパッキンリングあるいはパッキンリング組み合わせ、たとえば半径方向および接線方向で切り込みを入れられたパッキンリングの組み合わせが使用され得る。ハイドロリック式のシールリングは、よく知られているように、一方のストロークの際にシールリップに押し通されたシール媒体が、逆方向のストロークの際にシールリップによって再び「吸い戻され」るので、総和的には、ハイドロリック式のシールリングを通じてシール媒体の漏れがまったく生じないか、または極めて僅かな漏れしか生じないようにも形成されている。パッキンリングまたはパッキンリング組み合わせ体の使用時では、通常、シール部材を通じてシール媒体の僅かな漏れが生じるが、このような僅かな漏れはたいてい問題にならない。
当然ながら、シール装置1は、たとえば国際公開第2010/079227号パンフレットまたはオーストリア国特許出願公開第510171号明細書に詳細に記載されているような、別の構造を有していてもよく、あるいは別のコンポーネントおよび/または付加的なコンポーネントから成っていてもよい。
空所10には導出管路11が接続されている。この導出管路11を介してシール媒体を空所10から導出することができる。導出管路11は好ましくは(必ずしも必要ではない)、空所10内への供給管路7の開口部に対して直径方向に対向して配置されており、これにより空所10の良好な流通が達成される。当然ながら、複数の供給管路7および/または複数の導出管路11が設けられていてもよい。これによって、図2につき詳しく説明するように、空所10を通じてシール媒体を循環させることができる。
本実施形態ではたとえば循環ポンプ13である循環装置を介して、シール装置1にはシール媒体流
Figure 2015520344
が、供給管路7を介して供給され、かつ導出管路11を介して導出される。シール媒体の循環はシール媒体容器14を介して行われる。このシール媒体容器14から、循環ポンプ13がシール媒体を吸い込み、そしてシール媒体容器14内に再び戻される。シールのために必要とされる圧力poilは圧力制御ユニット12を介して調節される。
シール装置1もしくは空所10を通じたシール媒体の循環によって、一方では、シール媒体の温度が過度に高く上昇しないことが確保される。さらに、このことによってピストンロッド3の直接的な冷却も行われる。なぜならば、ピストンロッド3がシール媒体によって全周にわたって通流されるからである。それによって、ピストンロッド3の直接的な冷却によりシール装置1の手間のかかる冷却が不要にされ得ると、著しい付加利用が得られる。また、循環によって、場合によっては存在する汚れを空所10内から排出するか、もしくはプロセスに基づいて空所10内に生ぜしめられた摩耗粉塵または汚れの堆積を阻止することができる。
別の実施形態では、図2に破線によって示したように、シール装置1が付加的に、シール媒体流
Figure 2015520344
から分岐した冷却シール媒体流
Figure 2015520344
を介しても冷却され得る。この冷却シール媒体流
Figure 2015520344
は、冷却管路16を介してシール装置1に供給される。このためには、シール装置1の上流側または下流側に、冷却シール媒体流
Figure 2015520344
を制御するための装置15、たとえば圧力制御装置または流量制御装置が設けられていてもよい。これによって、場合によっては存在している冷却システムが、シール装置1のために利用され得るが、このために設けられる固有の冷却媒体を循環させるための外部のユニットは節約され得る。このことは特に、既存の圧縮機を組み換える際に重要となり得る。
図3に示した実施形態では、循環が、一定のシール媒体流
Figure 2015520344
を用いて行われる。シールのために必要とされる圧力poilは、圧力制御ユニット12、本実施形態ではたとえば調節可能な圧力制限弁を介して調節される。このようなシール装置1は、たとえば30〜250barの圧力poilと、300〜1500l/日のシール媒体流
Figure 2015520344
とでもって作動させられる。
付加的に、シール媒体容器14への戻し管路には、さらに第1の遮断弁18、たとえば遮断解除可能な逆止弁または本実施形態におけるようにハイドロリック式に制御されるボール弁が設けられていてよく、これにより故障時にもシール媒体容器14内へのガスの逆流が阻止される。このためには、遮断弁18が、制御管路、たとえば本実施形態におけるように導出管路11を起点とした制御管路を介して制御される。導出管路11内に圧力poilが加えられていないと、遮断弁18は自動的に閉じる。しかし、遮断弁18を不要にすることもできる。なぜならば、圧力制御ユニット12が、この機能を同じく引き受けることができるからである。圧力制御ユニット12は、極めて小さな圧力では自動的に閉じ、シール媒体容器14内へのガス漏れ量の流入を阻止する。
また、導出管路11には、空気逃がし管路19が設けられていてもよい。この空気逃がし管路19には、第2の遮断弁20,たとえば本実施形態におけるように遮断可能な逆止弁またはハイドロリック式に制御されるボール弁が配置されていてよい。このためには、第2の遮断弁20が、制御管路、たとえば本実施形態におけるように供給管路7を起点とした制御管路を介して制御される。供給管路7内に圧力poilが加えられていないと、漏れガスを導出するために、第2の遮断弁20が開く。ガス逃がし圧は、4bar未満であると有利である。空気逃がし管路19は、たとえば単純に環境大気内に案内され得るが、しかし漏れガスを焼却処理するために、たとえばフレア管路に接続されていてもよい。
さらに、供給管路7内には、規定の圧力poilよりも低い圧力で供給管路7を閉じるために、プリロード(予荷重)をかけられた逆止弁21が設けられていてもよい。プリロードをかけられた逆止弁21は、有利には2つの機能を有している。第1に、逆止弁21は、故障時または遮断された状態において、圧縮機の作業媒体がシール媒体容器14内に逆流することを阻止する。第2に、逆止弁21は、ハイドロリックユニットの接続時に、流れ方向で逆止弁21の上流側で供給管路7から分岐した遮断弁20の制御管路内に、遮断弁20を操作する圧力、すなわちシール媒体が遮断弁20に到達する前に遮断弁20を閉じるための圧力を生ぜしめるために利用され得る。もしもこのときに遮断弁20がまだ閉じられていないと、シール媒体は、開いた空気逃がし管路19を介して逃出してしまう。したがって、逆止弁21は所定のプリロードがかけられていることが有利である。故障発生時、すなわち供給管路7内に圧力がもはや加えられなくなった場合には、遮断弁20は再び自動的に開き、漏れガスは慣用のパッキンの場合のように再び空気逃がし管路19を介して導出される。逆止弁21を作動させるための作動圧としては、好ましくは約5barの圧力を設定することができる。シール媒体を循環させることによって、標準運転時におけるシール媒体管路の固有の空気逃がしは必要とされない。
この実施形態の利点は、シールがハイドロリック圧力poilを介してのみ制御され、これによって、極めて頑丈でかつ単純なシールが実現可能となる点にある。
もちろん、図3に図示されているように、適当な個所もしくは必要とされる個所には、さらに別のコンポーネント、たとえばマノメータ、温度表示部、フィルタなどが設けられていてよい。
図4の実施形態は、主として一定のシール媒体流
Figure 2015520344
が設定されているのではなく、シール媒体流
Figure 2015520344
が温度制御されている点で図2の実施形態とは異なっている。このためには、導出管路11に温度センサ22が設けられており、この温度センサ22は、シール装置からの出口におけるシール媒体の目下の温度Tを制御ユニット23に伝送する。この制御ユニット23は循環ポンプ13を制御し、これによりシール媒体の予め調節された規定の温度、たとえばTmax=80℃が維持される。遮断弁20として、本実施形態ではハイドロリック式に制御されるボール弁が使用され、このボール弁は、たとえばプリロードがかけられた逆止弁21の上流側の圧力により制御される。空気逃がし管路19は、本実施形態では圧力制御ユニット12の下流側に設けられている。
図5に図示したように、温度制御部の代わりに圧力制御部が設けられていてもよい。このためには、導出管路11内に、絞り装置26、たとえばオリフィスが配置されており、たとえば導出管路11内で、シール媒体の目下の圧力が、圧力センサ25により測定されて、制御ユニット23に供給される。制御ユニット23は、シール装置1内の所定の圧力poilが達成されるように循環ポンプ13を制御する。
図6には、1つのハイドロリック式のユニットを用いて2つのシール装置にシール媒体を供給する実施形態が図示されている。この場合もちろん、2つよりも多いシール装置を、1つのハイドロリック式のユニットにより作動させることもできる。本実施形態では、ハイドロリック式の供給のために必要となるすべてのコンポーネントを備えたハイドロリックユニット30と、作動のために必要となるすべてのハイドロリック式の構成部分を備えたハイドロリック式の制御ブロック31とが設けられている。この場合に特別な点は、切換弁32を介して、標準運転と休止運転との間で切換を行うことができることである。切換は、手動により行われるかまたは自動的に行われ得る。切換弁32を介して位置に応じて、第1の圧力制限弁33と第2の圧力制限弁34とに媒体が作用し、この場合、第1の圧力制限弁33は、たとえば150バールである第2の圧力制限弁34の切換圧よりも高い切換圧、たとえば250バールの圧力に設定されている。したがって、切換弁32の位置に応じて、圧力poilが調節され得る。標準運転時、すなわち圧縮機が作動しているときには、低い圧力poilに調節される。圧縮機が遮断されると、休止運転への切換、ひいてはより高い圧力poilへの切換を行うことができる。これにより、圧縮機の作業媒体がシール装置1内に圧入されることが確実に阻止される。つまり休止状態では、希な事例において、たとえば圧縮機の圧力弁が密でない場合に、圧縮機シリンダ内の圧力増大が生じる恐れがある(圧縮機の最終圧力にまで)。圧縮機の休止状態では、たとえばシール媒体の圧力を圧縮機の最終圧力(またはそれ以上)に調節することができ、これにより、作業媒体がシール装置1内に圧入されることが阻止される。
本実施形態では、導出管路11内に、さらに流量測定ユニット35も配置されている。流量測定ユニット35の代わりに、圧力スイッチが設けられていてもよい。シール装置間のシール媒体の逆流を阻止するためには、流量測定ユニット35または圧力スイッチの上流側に、さらに逆止弁を組み込むこともできる。同様に、供給管路内に圧力スイッチ36が設けられていてもよく、これにより、圧力に関連した動作が生ぜしめられ、たとえば故障発生時に循環ポンプ13の駆動モータがもはや通電されなくなる。
上述したようなシール装置1では、シールエレメント8,9を通じた、もしくはシールエレメント8,9とピストンロッドとの間のシール媒体の僅かな漏れが生じる。この漏れは、好ましくはシール装置から排出されるものである。たとえばオーストリア国特許出願公開第510171号明細書に記載されたように、シール装置1からのシール媒体の漏れは、たとえば図2に図示されているように、シール装置1から漏れ管路17を介してシール媒体容器14に戻され得る。しかし、このような漏れ管路17の代わりに、シール媒体漏れは、圧縮機のクランクケース内に案内されてもよい。その場合、クランクケース内には、オーバーフローが設けられていてよく、この場合、オーバーフローは、シール媒体容器14に戻される。

Claims (9)

  1. ピストン圧縮機の往復運動するピストンロッド(3)をシールするシール装置であって、第1のシールエレメント(8)と第2のシールエレメント(9)とを備え、両シールエレメント(8,9)は前記シール装置(1)に設けられた空所(10)内に軸方向で間隔を置いて配置されており、前記シール装置(1)に、圧力(poil)下にあるシール媒体のための、前記空所(10)に接続された供給管路(7)が設けられており、前記シール媒体の圧力(poil)は、シールしようとする圧力(p)よりも大きく形成されており、前記シールエレメント(8,9)は、前記シール媒体の圧力(poil)によって、それぞれ前記空所(10)の軸方向の一方の端部と前記ピストンロッド(3)とに接触するように配置されていて、前記シール媒体が前記シールエレメント(8,9)によって、前記圧力(poil)をもって前記空所(10)内に封入されている、シール装置において、
    シール媒体用の導出管路(11)が設けられており、該導出管路(11)が前記空所(10)に接続されており、循環装置(13)が設けられており、該循環装置(13)が、前記空所(10)内のシール媒体の前記圧力(poil)を維持しつつ、前記供給管路(7)および前記導出管路(11)を介して前記空所(10)を通じてシール媒体を循環させることを特徴とする、シール装置。
  2. 前記導出管路(11)に、圧力制御ユニット(12)が配置されている、請求項1記載のシール装置。
  3. 前記導出管路(11)に、第1の遮断弁(18)および/または第2の遮断弁(20)が配置されている、請求項1または2記載のシール装置。
  4. 前記供給管路(7)に、プリロードをかけられた逆止弁(21)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシール装置。
  5. 前記第2の遮断弁(20)が、プリロードをかけられた前記逆止弁(21)の上流側の圧力によって操作される、請求項3または4に記載のシール装置。
  6. 前記導出管路(11)に、前記循環装置(13)を制御するための制御ユニット(23)に接続されている温度センサ(22)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のシール装置。
  7. 前記導出管路(11)に、前記循環装置(13)を制御するための制御ユニット(23)に接続されている圧力センサ(25)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のシール装置。
  8. 前記導出管路(11)に、切換弁(32)が設けられており、該切換弁(32)が、第1の圧力制限弁(33)または第2の圧力制限弁(34)を負荷し、前記第1の圧力制限弁(33)については、前記第2の圧力制限弁(34)よりも高い切換圧が設定されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のシール装置。
  9. 前記供給管路(7)から冷却管路(16)が分岐しており、該冷却管路(16)が前記シール装置(1)の冷却システムに接続されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシール装置。
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