JP2015520123A - 個々のタンパク質バリアントに選択的な試薬を調製するナノスケールの方法 - Google Patents

個々のタンパク質バリアントに選択的な試薬を調製するナノスケールの方法 Download PDF

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Abstract

本願発明は、目的タンパク質種をμLスケールで分離及び濃縮する装置及び方法、わずかピコグラム単位の目的原料を用いて、特定のイソ型タンパク質に対して優れた選択性を有する、それらのバリアントに対する試薬を調製する装置及び方法を提供する。

Description

関連出願
本出願は、その全開示を本明細書に参照により組み入れる、2012年3月29日出願の米国仮特許出願第61/617,476号の優先権を主張する。
[政府支援についての記載]
本発明は、国立衛生研究所から与えられる政府支援の2RO1EB004761−06及びR21EB010191−01A1によって行った。政府がこの発明に関して特定の権利を有する。
[配列表]
現出願は、EFS−WebによりASCII形式で提出された配列表を含み、その全開示を参照により本願明細書に援用する。2013年2月21日に作成されたこのASCIIの複製は、「17555.007WO1_SL.txt」と名付けられ、34904バイトのサイズがある。
二者択一的にプロセシングされた、異常な折り畳み構造を有するタンパク質を含むタンパク質バリアントは、数多くのヒトの疾病と関連している。例えば、異常折り畳み構造のタンパク質の凝集物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病、及び癌を含む、多くのヒトの疾病で重要な役割を果たしている。
しかし、異なる疾病の発生や進行におけるタンパク質バリアントの役割の評価は、生体内におけるイソ型タンパク質を区別できる試薬がないために、困難である。このような試薬の開発は、二つの主要な要因によって妨げられてきた。すなわち、タンパク質バリアントは、しばしば、生体内でわずかな量しかなく、また、バリアントは原型タンパク質の形状とわずかに異なるだけであり、それらを分離し、精製することが困難であった。これらのタンパク質バリアントと十分に特異的に区別できる試薬を作製するために、新たな分子認識プロトコールによってわずかなタンパク質バリアントを分ける新しい分離技術が必要であった。従って、哺乳類組織から単離された特定のイソ型タンパク質に対して高い選択性を有する試薬を調製することができる技術が要求され続けていた。
本願発明は、入口と出口とを有する、隙のある鋸歯状のマイクロ流体チャネル、及びチャネルのそれぞれの歯の間にあるゲートを含む、様々な化学的及び物理的パラメータに基づいて生体試料中の目的タンパク質種を分離するDC−iGDEP装置であって、上記ゲートの間隔が50μmから始まり、2cm以上かけて、1μmまで減少し、上記歯が隣のゲートと分離している装置を提供する。ここで、ゲートの隙間距離(ギャップ距離)は、は、装置の向かい合った側のお互いに対向する歯の距離である。
本願発明は、電荷、大きさ、誘電率、変形、形状、及び他の要因を含む様々な化学的、物理的パラメータに基づいて、生体試料から目的種を分離する方法であって、
(a)入口と出口とを有する隙のある鋸歯状のマイクロ流体チャネル、及びチャネルのそれぞれの歯の間のゲートを含む、様々な化学的及び物理的パラメータに基づいて生体試料中の目的タンパク質種を分離する装置であって、上記ゲートの間隔が50μmから始まり、2cm以上かけて、1μmまで減少し、上記歯が隣のゲートと分離している装置を提供すること
(b)上記入口に添加量の上記試料を添加し
(c)上記装置に電場を適用して、上記試料中の粒子又は分子を分離し、そして
(d)目的種を回収する
ことを含む方法を提供する。
ある態様において、上記目的種は、Aβ凝集物である。ある態様においては、抗体と共にAβ凝集物が分離されて、Aβ凝集物の大きさが確かめられる。ある態様においては、上記抗体は、オリゴマーAβ凝集物に対して特異的である。ここで、「オリゴマー」の用語は、ダイマー、トリマー、又はテトラマー、もしくはそれより大きな凝集物をいう。ある態様においては、上記抗体はナノボディである。ここで、「抗体」の用語は、scFv(いわゆる「ナノボディ」)、ヒト化抗体、完全なヒト抗体又はキメラ抗体、単鎖抗体、ダイアボディ型抗体、及び抗体の抗原結合部断片(例えば、Fab断片)を含む。ある態様において、上記ナノボディは、C6、A4、E1、D5、10H、6E、D10又はBSEC1ナノボディである。
ある態様において、上記生体試料は、100μL未満の量である。ある態様において、上記生体試料は、約50μLの量である。ある態様において、上記生体試料は、脳組織、血清、脳脊髄液(CSF)、尿、又は唾液である。ある態様において、上記力は、20分未満(例えば、5〜15分など)適用される。ある態様において、目的Aβ凝集物は、数桁濃縮される。ある態様において、目的Aβ凝集物は、添加量と比べて、10まで濃縮される。ある態様において、上記タンパク質は、p53、膵島アミロイドポリペプチド、β−アミロイド、タウ、α−シヌクレイン、ハンチンチン、又はスーパーオキシドジスムターゼである。
現行のDC−iGDEP設計を示す概略図(上段)は、モノマーではなく(中段左)、Aβ原繊維を捉える(中段右)のに使用される。提案された(計画中の)改良装置(下段)は、1)Aβモノマーを捉えるために、最大DEP力を700倍まで増やし、2)隣接するゲート間の局所的なDEP力の差異を正確にし、3)異なる空洞内に、様々なAβ凝集物(ダイマー、トリマー、・・・原繊維まで)を分離し濃縮することを可能とする。 図2は、いくつかのナノボディの核酸配列及びアミノ酸配列を示す。下線部は、CDR領域(又はCDR領域をコードする核酸)を示す。 図3は、本願発明の装置の一態様である。DC−iGDEP装置の図である。分離された鋸歯パターンは、左から右に強度が増すように局所的な不均一の電場勾配を作り出すため、先細のマイクロ流体チャネルに統合されている。 図4A−図4Dは、Aβモノマー試料(30μM)に400V(4A)、600V(4B)、800V(4C)、1000V(4D)を適用した、DC−iGDEPの最も狭い部分における蛍光画像である。拡散した光の部分は、チャネル中に分布した蛍光標識されたAβモノマーを示している。モノマーの流れは(C)と(D)でより視覚的に明らかである。 図5A−図5Dは、図4と同様に、Aβ原繊維(30μM)に400V(5A)、600V(5B)、800V(5C)、1000V(5D)を適用した、DC−iGDEPの最も狭い部分における蛍光画像である。パターン化された鋸歯上の隔離物の先端の間に局在する強い蛍光領域は、原繊維が捕捉、濃縮された小さな領域を示す。 図6は、図5で用いた成熟Aβ原繊維のTEM画像である。スケールバーは100nm。原繊維試料はTrisへのバッファー交換前にPBS内にあった。 図7は、対象領域(ROIs)を本文に記載されるように示した。各領域における蛍光強度により、捕捉領域における原繊維濃度を決定するため、3つの異なる領域を選択した。ここに示された領域は、見やすくするために、実際のROIsよりも大きい。 図8は、ゲート幅に対する、マイクロチャネルの中心線に沿って測定された∇|E|の大きさを示した図である。縦軸は、対数のスケールで示している。傾向線は、べき関数を用いてデータ点間の関係を近似化したものである。
発明者らは、μLスケールでタンパク質バリアントを分離、濃縮し、わずかピコグラムの標的原料を用いて特定のイソ型タンパク質に対して優れた選択性を有する、バリアントに対する試薬を調製する方法を見出した。この特性は、多くの種類のヒトの疾病に関連するタンパク質バリアントに広く適用することができる。ある態様において、この方法は、アルツハイマー病(AD)に関係するアミロイドβタンパク質(Aβ)のイソ体に対する試薬を作製することができる。異なる凝集体種のアレイ中の異常折り畳み構造のAβは、ADの発生や進行に関連している。異なった長さや凝集体型のAβが、ヒト脳組織内で同定されている。新しい電場分離法を用いて、AD脳内に存在する唯一のAβ型が、分離され、隔離される。抗体に基づく試薬は、異なるAβ種に選択的に結合でき、どの試薬が健常人の脳組織とADの脳組織とをよく区別できるか判断することに用いられる。
本願発明は、よく特徴づけられたヒトAD及び健常人の死後の脳組織の利用可能性という点でも利益がある。本願発明は、新たな電場に基づく特性を利用しており、最小限の原料のみを用いて、異なるイソ型タンパク質を素早く分離、濃縮できる。これにより、ヒトADの組織から分離した、いくつかの別個のAβイソ体を、ナノリットル量に分離することができる。抗体ライブラリの表面表示と併せて、原子間力顕微鏡法(AFM)を利用することにより、特定のタンパク質形態に対する、単鎖の可変性ドメインの抗体断片(scFvs、あるいは「ナノボディ」とも呼ばれる)の単離ができる新たな手法を開発した。これらの手法は、タンパク質の修飾を必要とせず、わずかピコグラムの原料を用いて、特定の凝集体形態に対するナノボディの単離を可能とする。パニング技術は、AD組織から単離されたAβイソ体に対するナノボディを調製するのに用いられる。目的抗原の精製や修飾を必要とせず、わずかマイクロリットルの目的たんぱく質溶液しか必要とせずに、異なる種の形態に対して結合特異性のあるナノボディの特性を明らかにする手法が開発された。ヒトの疾病に含まれるわずかなタンパク質バリアント(例えば、AD脳組織から単離されたイソ型Aβ)を単離し、また、ADと健常人の脳組織を区別する、重要なイソ体に対するナノボディ試薬を調製し及び特性付けられる技術が開発された。
特定の生化学種の同定が極端に困難であることから、疾病の進行の基礎となる分子の理解は、しばしばとても困難で複雑な問題である。ここの生体分子は、不安定で互いに分散することがあり、異なる型の同定及び単離は、技術的に大きな問題である。決定的に重要で困難な、密接に関連するタンパク質バリアントの一つのクラスは、同じタンパク質の異なる折り畳み構造である。異常折り畳み構造の凝集タンパク質バリアントは、しばしば、多くの解析法によっても区別することができない。癌(p53)、糖尿病(膵島アミロイドポリペプチド)、アルツハイマー(β−アミロイド、タウ)、パーキンソン(α−シヌクレイン)、ハンチントン病(ハンチントン)、筋萎縮性側索硬化症(スーパーオキシドジスムターゼ)、及びプリオンに基づく疾病を含む、タンパク質の異常折り畳み又はプロセシング異常に関連する、30を超えるヒト疾病が知られている。多くの疾病において、アミロイド−β(Aβ)タンパク質の可溶性の小さなオリゴマー型のような、特定の異常折り畳みタンパク質バリアントや、プリオンタンパク質の異常折り畳み型は、細胞の機能障害及び疾病の進行に関連している。疾病におけるタンパク質発現の役割は、プロテオミクス及びゲノミクスの解析や、RNA抑制技術を用いて、とても効果的に研究することができるが、これらの技術は、一般に、異常折り畳みや二者択一的なプロセシングのタンパク質バリアントを区別することができない。異なるタンパク質バリアントは、しばしば、代謝され、わずかな違いだけを含んでいる。異常タンパク質型を選択的に同定し、扱うことができる強力なツールは、タンパク質バリアントに関連する多くの疾病の研究や制御に、非常に有用であろう。
特定のタンパク質バリアントを選択的に認識できる試薬が少ないため、現在、これらの疾病のメカニズムの解明や、適切な治療方法の開発の研究は、妨げられている。これらの重要な必要性に取り組むため、わずかに異なるタンパク質バリアントを効率的に単離し、濃縮する独特の電場に基づく手法が開発され、種に関連する特定の疾病やメカニズムを同定することができる選択的分子認識試薬を調製する新たなバイオパニング法が開発された。
この技術を証明するため、アミロイド−β(Aβ)タンパク質の異なる凝集種の異なるアレイと選択的に結合する試薬が単離された。Aβは20年以上前にアルツハイマー病(AD)と関連付けられたが、ADにおけるAβの役割はまだ分かっておらず、当初の望みよりもより分かりにくくなっていた。ADにおけるAβの役割の混乱の多くは、生体内で発生する様々な種類のAβ種に起因している。Aβの凝集は、ADの進行における関連要因としての理解は乏しいが、とても重要である。ADのアミロイド斑は、Aβ凝集物原繊維を含み、様々な小さなAβ凝集種もまた形成され、様々な可溶性オリゴマーAβ種が神経毒性やシナプス機能の低下に関連していることを示す証拠が増えてきた。皮質における可溶性Aβの量は、記憶障害やシナプス機能の低下とよく相関している。小さな可溶性Aβ凝集物(Aβ由来拡散性リガンド(ADDLs)と呼ばれる)及び前原繊維と呼ばれる球状又は環状の凝集物は、神経毒性を有することが示されている。インビトロで作られる又は培養細胞に由来するAβのオリゴマー型は、長期増強(LTP)を抑制する。Aβのオリゴマー型の濃度は、ADモデルトランスジェニックマウス及びAD脳内でも高まっている。神経経路の崩壊は、Aβ斑及び原繊維の近傍で起こっており、原繊維の毒性が示唆されている。しかしながら、神経経路の崩壊は、Aβ原繊維の沈着がない領域でも起こっており、毒性は、わずかな量のオリゴマーAβ、原繊維の形状と同等なもの、それらの上に存在するもの、によるかもしれないことも示唆している。オリゴマーAβのハローが、Aβ斑の周りに見られ、シナプスの欠損と関連していることが示されている。ADモデルトランスジェニックマウスにおいて、オリゴマーAβによって、認識機能が崩壊することもまた示されている。
ADとAβの関連性の研究を妨げる主要な障壁は、異なるAβ種を同定し、局在化する適切な試薬がないことである。以前作られた選択されたAβ型に対する抗体としては、例えば、可溶性Aβオリゴマーを用いて免疫法で調製した抗体(Lambert, M.P., et al., Vaccination with soluble Abetaoligomers generates toxicity-neutralizing antibodies. J Neurochem, 2001. 79: p.595-605)、オリゴマーAβ類似物を用いて免疫法で調製した抗体(Kayed, R., et al., Common structure of soluble amyloid oligomers implies common mechanism of pathogenesis. Science, 2003. 300: p.486-9)がある。これらの試薬は、例えば、AD脳内でオリゴマーAβが存在することを確認したり、オリゴマーAβがシナプスリガンドを標的としたり、ニューロン樹状突起と強く結合することを示したり、オリゴマーAβがアミロイド班近傍のシナプス欠損に関連することを示したりすることによって、ADにおけるオリゴマーAβの重要性を立証することに有用であった。しかし、現在の試薬は、可溶性Aβ凝集物の重要性を指摘することに有用である一方で、それらの結合特異性は、通常、よく特定されておらず、試薬の親和性や特異性は、特定のオリゴマー種や少濃度の種の存在を同定するには十分でなく、試薬の親和性や特異性は、通常、正確な組織化学的研究や、その場(in situ)や生体内(in vivo)で特定の細胞の位置に種を局在化させることに適していない。さらに、これらは、細胞内の研究に適していない。
Aβ、α−シヌクレイン(α−syn)、及びタウの可溶性凝集物は全て神経変性の疾病に関与しているので、疾病におけるこれらの異なる型のタンパク質の役割を解明するには、特定のタンパク質の特定の形態を認識できる試薬が必要である。従って、ADにおけるAβ凝集物の役割の研究を促進したり、関連する毒性のAβ種を同定したり、どこでいつAβの凝集が始まり、どのようにADが進行するかをはっきりさせたりするために、特定のAβ型を認識する、特徴づけられた試薬が非常に必要とされている。ADのメカニズムを理解し、診断を促進し、治療介入の監視のための適切なマーカーの開発に、この情報は極めて重要である。同様の試薬は、パーキンソン、糖尿病、癌などの他の重要なヒトの疾病のタンパク質バリアントの機能を調べることにも必要とされている。
この目的に対応するため、わずかなタンパク質バリアントを分離、精製し、そして特定のタンパク質型を認識する試薬を調製し特性を明らかにするために、新たな方法を開発した。特定のタンパク質バリアントに対する試薬を調製する本願の技術の能力を証明するため、インビトロで産生した様々なAβ種を分離するように方法は改良された。これらの条件は、AD脳内に存在する複雑なAβ集団を分離することに用いられる。
二者択一的なプロセシングや折り畳み構造を含む区別しにくいタンパク質バリアントは、数多くのヒト疾病で重要な役割を果たしている。そして、それらの多くは、ゲノミクスやプロテオミクス技術で区別することができない。個々のイソ型タンパク質を同定することの困難さから、ヒト疾病におけるタンパク質バリアントの重要性にもかかわらず、これらの現象を研究し、扱うことができるツールはわずかしかない。タンパク質バリアントにはわずかな違いしかなく、多くは微量レベルしか存在せず、安定ではない場合があることから、個々のタンパク質バリアントを単離し、それぞれの型を選択的に認識できる試薬を調製することは困難な問題であった。これらの困難を打破するため、特定のタンパク質バリアント型の単離と濃縮、及び、わずかな微量の目的物を用いて、特定のタンパク質バリアントに選択的に結合する試薬の調製を可能とする方法を開発した。
[DC−iGDEP分離装置及び方法]
本発明の一つの側面は、タンパク質のイソ体を分離するために、誘電泳動(DEP)及び動電学的な(EK)の力の性能を利用することにある。DEP力は、一般に、分岐粒子系に用いられたり、高勾配領域(又は、低勾配、正のDEPに対する負)において特定の標的を捕捉したりする際に用いられる。ここに記載の取り組みは、アーチ状の勾配が形成され、独特の特性によって特定の標的を局在化させる点で(すなわち、IEFにおけるpIとDEP/EKは、DC−iGDEPにおいてつりあっている)、等電点分画法(IEF)と異なるわけではない分離機構を形成するために、これらの力を利用している。局所電場勾配は、離れた入口と出口の貯蔵部内に位置する電極から適用された静電場を用いて、分離構造と共に形成される(Cummings, E.B. and A.K. Singh, Dielectrophoresisin Microchips Containing Arrays of Insulating Posts: Theoretical and Experimental Results. Anal. Chem., 2003. 75: p.4724-4731; Cummings, E.B., Streaming Dielectrophoresis for Continuous-Flow Microfluidic Devices. IEEE Engineering in Medicine and Biology Magazine, 2003. Nov/Dec: p.75-84; Lapizco-Encinas, B.H., et al., Insulator-based dielectrophoresis for the selective concentration and separation of live bacteria in water. Electrophoresis, 2004. 25: p.1695-1704; Lapizco-Encinas, B.H., et al., Dielectrophoretic Concentration and Separation of Live and Dead Bacteria in an Array of Insulators. Anal. Chem., 2004. 76: p.1571-1579; Barrett, L.M., et al., Dielectrophoreticmanipulation of particles and cells using insulating ridges in faceted prism microchannels. Analytical Chemistry, 2005. 77: p.6798-6804; Lapizco-Encinas, B.H., et al., An insulator- based (electrodeless) dielectrophoreticconcentrator for microbes in water. Journal of Microbiological Methods, 2005. 62: p.317-326; Simmons, B.A., et al., The development of polymeric devices as dielectrophoretic separators and concentrators. MRS Bulletin, 2006. 31: p.120-124; Davalos, R.V., et al., Performance impact of dynamic surface coatings on polymeric insulator-based dielectrophoretic particle separators. Analytical and Bioanalytical Chemistry, 2008. 390: p.847-855)。
本願発明の方法は、全体的な勾配を系に付与する。そのため、単純な二つの構成成分の分画とは異なり、混合物の長さ方向の分離を可能にする(Pysher, M.D. and M.A. Hayes, Electrophoretic and dielectrophoreticfield gradient technique for separating bioparticles. Analytical Chemistry, 2007. 79: p.4552-4557; Chen, K.P., et al., Insulator-based Dielectrophoretic Separations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441-1448; Jones, P.V., S.J.R. Staton, and M.A. Hayes, Blood Cell Capture in a Gradient DielectrophoreticMicroChannel. Anal. Bioanal. 2011. 401: p.2103-2111; Staton, S.J.R., et al., Characterization of particle capture in a sawtoothpatterned insulating electrokinetic microfluidic device. Electrophoresis, 2010. 31: p.3634-3641; Weiss, N.G., et al., Dielectrophoreticmobility determination in DC insulator-based dielectrophoresis. Electrophoresis, 2011. 32, 2292-2297; Staton, S.R., et al., Gradient Insulator Based DielectrophoresisIsolation and Concentration of A-beta AmyloidFibrils. Analyst, 2012. 137, in press (RSC ID: AN-COM-01-2012-035138))。
マイクロ流体チャネルの長さに沿って、局所的な増加勾配が導入されるように、分離構造は形成される(図1)。この鋸歯状の構造は、高い多重極モーメントに基づいて分離を可能としている。一般に、単なる電気泳動は、分子や粒子の単極の電気特性を利用している。複雑な分子群や生体粒子群においては、分離に用いることができる、いくつかの複雑な電気的な幾何学的形状が存在する(Jones, T.B. and M. Washizu, Generalized multipolar dielectrophoreticforce and electrorotational torque calculation. Journal of Electrostatics, 1996. 38: p.199-211などを参照)。それぞれの目的物の特定の特徴に基づいて、勾配に沿って、穏やかに(細胞が生存したまま)いくつかの目的物を分離するため、手法が開発された。これらの特徴は、変形性と同じくらい微妙であり、又は大きさと同じくらい簡便でありえます。モデル粒子に焦点を当ててきた従来の試行に加え、ヒト全血液からバクテリア及び細胞のいくつかの種が単離されてきた(本願の方法をサポートするモデルに加えて(Chen, K.P., et al., Insulator-based DielectrophoreticSeparations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441- 1448))。そして、異なるAβ種を独自に捕捉することができることを示してきた。これらの結果を生み出す全ての装置は、AZ P4620と共に組み立てられたフォトリソグラフィーの鋳型から考案された(Pysher, M.D. and M.A. Hayes, Electrophoretic and dielectrophoreticfield gradient technique for separating bioparticles. Analytical Chemistry, 2007. 79: p.4552- 4557)。
基本的な取り組みは、増加勾配に沿って単離された、直径20nmから1μmのサイズのポリスチレン粒子によって証明された(Staton, S.J.R., et al., Characterization of particle capture in a sawtoothpatterned insulating electrokinetic microfluidic device. Electrophoresis, 2010. 31: p.3634-3641)。発明者らの、実際には粒子が最も狭い部分を通ることないというモデル研究と一致せず、装置の最も狭い部分である分離した構造(ゲート)の先端間の狭い間隔は、詰まらない(Chen, K.P., et al., Insulator-based DielectrophoreticSeparations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441- 1448)。異なる動きが、同じサイズの粒子の二つの集団で見られた。これは、誘電泳動力が、サイズを超えて、要因(たぶん、不均質な誘電率)に従って働くことを示している(Staton, S.J.R., et al., Characterization of particle capture in a sawtoothpatterned insulating electrokinetic microfluidic device. Electrophoresis, 2010. 31: p.3634-3641)。生きたバクテリアと死んだバクテリアは、この装置により、詰まることなく容易に分離され、マイクロ及びナノ粒子のモデルされた動きは確かめられた(Pysher, M.D. and M.A. Hayes, Electrophoretic and dielectrophoreticfield gradient technique for separating bioparticles. Analytical Chemistry, 2007. 79: p.4552-4557)。また、他の細胞細片やタンパク質から、赤血球(RBCs)を分離することもできた(Blood Cell Capture in a Gradient DielectrophoreticMicroChannel. Anal. Bioanal. 2011. 401: p.2103-2111)。このシステムの構成要素もまたモデル化された。すなわち、収束せず粒子同士の相互作用が含まれない、7個の連続する歯の組み合わせである(Chen, K.P., et al., Insulator-based DielectrophoreticSeparations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441-1448)。これらの限定した制約を用いることで、動電学的な力(電気泳動的なそして電気浸透的な、μep+μeof流動性)及び誘電泳動力の割合が、それぞれのゲートにおいて特有のものであることを示した。見積もられた電場の形と、実際の電場勾配は、分離構造の形に大きく影響される。
[インビトロで産生した全範囲のAβ種を単離するDC−iGDEP装置の開発]
AD患者に特異的な正確なAβ凝集物のプローブ一式を作製するため、DC−iGDEPの独特の特性は、ナノボディの調整まで広げられた。これを成し遂げるため、DC−iGDEP装置は、ダイマーから原繊維までの範囲のAβ凝集物種(準安定な(数分単位の)中間物を含む)の解像度を最大化するように組み立てられた。DC−iGDEP装置内に、Aβ40及び42の凝集物種が単離、濃縮された局所が見られ、様々なタンパク質領域や形態に正確な親和性を有するナノボディの存在を解明してきた。
鋸歯状の開いたチャネルの鋸歯の設計を用いて、以下の様々な系において、分離の結果が得られてきた。異なるサイズのポリスチレン粒子を含む系(Staton, S.J.R., et al., Characterization of particle capture in a sawtoothpatterned insulating electrokinetic microfluidic device. Electrophoresis, 2010. 31: p. 3634-3641)、赤血球を含む系(Blood Cell Capture in a Gradient Dielectrophoretic MicroChannel. Anal. Bioanal. 2011. 401: p.2103- 2111)、及びバクテリアを含む系(Pysher, M.D. and M.A. Hayes, Electrophoretic and dielectrophoreticfield gradient technique for separating bioparticles. Analytical Chemistry, 2007. 79: p.4552- 4557)である。そして、分離特性を予測する理論的なモデルも開発されてきた(Chen, K.P., et al., Insulator-based DielectrophoreticSeparations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441-1448)。
発明者らは、モノマーは自由に通過するが、完全に形成されたAβ原繊維を分離、濃縮できる設計であることもまた示した(図1)。この設計では、Aβ原繊維は、27μmの間隔の「ゲート」(分離している歯が最も接近している部分)で捕捉されていた。結果として、正方形領域の電場強度勾配が、約1018/mと計算された(COMSOL multiphysics)。これらの結果は、約40μLのモノマー又は原繊維溶液/コロイドを装置に添加した後、5〜15分の間に得られた。このデータから、この独特の分離機構が、よく制御され、凝集した中間体の選択的な単離や濃縮に理想的に適していることが分かる。
DEP及びEKに基づく基本理論によれば、粒子/分子の正味速度は、粒子半径(α)2乗と比例している[νDEP=μDEP∇Ε,μDEP∝α:νDEPはDEP力による粒子の速度であり、Εは局所電場を示す(Chen, K.P., et al., Insulator-based DielectrophoreticSeparations of Small Particles in Sawtooth Channel. Electrophoresis, 2009. 30: p.1441-1448; Weiss, N.G., et al., Dielectrophoretic mobility determination in DC insulator-based dielectrophoresis. Electrophoresis, 2011. 32, 2292-2297)]。この関係を利用し、そして単量体のAβが名目上は約1.5ナノメートル幅であること、及び原繊維の長さの特徴がナノメートルの10sから100sであることに留意すれば(Roychaudhuri, R., et al., Amyloid beta-Protein Assembly and Alzheimer Disease. Journal Of Biological Chemistry, 2009. 284: p.4749-4753)、予想される必要なDEP力は、事実上、括弧内に示される[COSMOLからΕ、ΔΕを見積もる、1.20x10−4cm/VsのAβ(1−40)モノマーμEP(10.0mM TRIS バッファー、pH7.8)と、1.072x10−4cm/VsのAβ(1−42)モノマーμEP(10.0mM TRIS バッファー、pH7.8)(Aβ40とAβ42とで、約4個のピーク幅が異なる)を使用する(Picou, R., et al., Analysis of monomelic A beta (1-40) peptide by capillary electrophoresis. Analyst, 2010. 135: p.1631-1635; Picou, R.A., et al., Analysis of A-beta (1-40) and A-beta (1-42) Monomer and Fibrils by Capillary Electrophoresis. Journal of Chromatography B, 2011DOI: 10.1016/j.jchromb.2011.01.030)]。50μmから始まり、2cm以上にわたって1μmまで減少するゲート間隔を備えた装置は、それぞれの点で、モノマーから原繊維までの範囲のAβ種を効率的に捕捉する(図1、下の図)。COSMOL multiphysisは、この装置の設計に用いられ、構造の基礎となる結果が、フォトリソグラフィーのプレートを作製するために、AutoCADに転送される。
この設計により、均一ではなく(均等に間隔があき、又は唯一に分離される)、モノマーから完全に形成された原繊維までの範囲の、様々なAβ種が分離される。これは、典型的な速度、〜10−4m/sにより(EPのみ、装置の開いた部分)、数分のうちに起こる。さらに、約50μLの添加量と比べ、特定の目的物は、数桁(10まで)まで濃縮できる。
[装置]
マイクロチャネルジオメトリーは、連続して大きくなる、チャネルの両端に並んだ等辺三角形状の一群から構成されている(図3)。それぞれの三角形の先端は、チャネルの逆側の対向する三角形と対応し、収束する鋸状の歯に沿って順次狭くなる隙間を形成している。最も小さい三角形(チャネル(経路)の入口近くに位置する)は、辺6μm、高さ5.2μmである。等辺三角形の辺長は、6つの繰り返し単位ごとに、40μmまで増加する。これにより、最初の隙間の間隔は945μmであり、最後の隙間の間隔は27μmとなる。全体のチャネル(経路)の長さは、約4.1cmで、平均奥行きは14±1μmである。
[材料と方法]
ガラスとポリジメチルシロキサン(PDMS)とからなるマイクロ流体装置を試験に用いた。白金電極を、マイクロチャネルのそれぞれの端部にある貯蔵部に、小さなアクセス路を通して挿入した。そして、装置を通して電位を適用した。
PDMS(Sylgard 184、ダウコーニング、ミッドランド、MI)は、フォトレジストの鋳型に注がれ、シリコンウエハ上にパターンを形成し、硬化された。貯蔵部にアクセスするため、チャネルの端部に、PDMSを貫通する直径2ミリメートルの穴があけられた。ガラススライドと共に、PDMSは、酸素プラズマ処理によって酸化され、そして不可逆的に接着された。
細胞試料は、主として、リン酸バッファーに回収され、実験を通して視覚化をしやすくするため、蛍光で染色させた(Vybrant Dio、インビトロジェン社、カールスバッド、CA)。
バッファーは、入口の貯蔵部にピペットで添加し、毛細現象によりチャネルに受動的に満たされた。装置を点検し、均一な溶液の分布を確認した後に、試料を入口の貯蔵部に添加した。圧力駆動流を通して被検物の生体粒子が装置に入れられ、チャネル内に均一に分布した後、流体力学の圧力のバランスをとるために反対側の貯蔵部にバッファーを添加した。一度この順で装置の準備を行い、白金電極(外径0.404mm、純度99.9%、Alfa Aesar、ワードヒル、MA)をアクセス路を通して貯蔵部内に挿入し、電力供給源(Series225 DC power supply,Bertan High Voltage Corp.,ヒックスビル,NY)に接続した。実験は、オリンパスIX70顕微鏡を用いて観察した。試料は、広域スペクトルの水銀灯(H30 102w/2、OSRAM)、及びオリンパスDAPI、FITC、Texas Red広帯域キューブ(オリンパス、センターバレー、PA)を用いて照らされた。
(ナノボディの調製)
発明者らは、原子間力顕微鏡法(AFM)の強力なイメージング性能と、ファージ提示ライブラリーの分子認識多様性(Barkhordarian, H., et al., Isolating recombinant antibodies against specific protein morphologies using atomic force microscopy and phage display technologies. Protein Eng Des Sel, 2006. 19: p.497-502; Shlyakhtenko, L.S., et al., Single-molecule selection and recovery of structure-specific antibodies using atomic force microscopy. Nanomedicine, 2007. 3: p.192-7)とを組み合わせて、特定のタンパク質構造を認識する試薬を調製することができる新たな技術を開発した。発明者らは、AFMを利用して、わずかナノグラムの原料を用いて、これらの試薬の特異的結合の評価を可能にする革新的な技術も開発した(Wang, M.S., et al., Characterizing Antibody Specificity to Different Protein Morphologies by AFM. Langmuir, 2008)。個々の凝集型に対する単鎖抗体断片(又はナノボディ)を単離するために、目的タンパク質の形態を視覚化できるAFMバイオパニング技術が開発された(Barkhordarian, H., et al., Isolating recombinant antibodies against specific protein morphologies using atomic force microscopy and phage display technologies. Protein Eng Des Sel, 2006. 19: p.497-502; PCT US11/57887; PCT US11/57925; PCT/US11/57904)。
目的タンパク質は修飾することなくマイカ表面に添加されるように、タンパク質の操作が最小限となり、わずかな量のタンパク質を使用し、低いナノグラム量で十分以上であり、標的タンパク質は精製を必要としないので、この方法は、特に、異なるタンパク質形態に対するナノボディを単離することに適している。この基本技術は、モノマーAβ及びα−シヌクレイン(Emadi, S., et al., Inhibiting Aggregation of alpha-Synuclein with Human Single Chain Antibody Fragments. Biochemistry, 2004. 43: p.2871-2878; Zhou, C, et al., A human single-chain Fv intrabody blocks aberrant cellular effects of overexpressed alpha-synuclein. Mol Ther, 2004. 10: p.1023-31 ; Liu, R., et al., Single chain variable fragments against beta-amyloid (Abeta) can inhibit Abeta aggregation and prevent abeta- induced neurotoxicity. Biochemistry, 2004. 43: p.6959-67; Zameer, A., et al., Single Chain Fv Antibodies against the 25-35 AbetaFragment Inhibit Aggregation and Toxicity of Abeta42. Biochemistry, 2006. 45: p.11532-9)、Aβ及びα−シヌクレインの原繊維(Barkhordarian, H., et al., Isolating recombinant antibodies against specific protein morphologies using atomic force microscopy and phage display technologies. Protein Eng Des Sel, 2006. 19: p.497-502; Marcus, W.D., et al., Characterization of an antibody scFv that recognizes fibrillarinsulin and beta-amyloid using atomic force microscopy. Nanomedicine, 2008. 4: p.1-7)、異なる二種のα−シヌクレイン種オリゴマー(Emadi, S., et al., Isolation of a human single chain antibody fragment against oligomericalpha-synuclein that inhibits aggregation and prevents alpha-synuclein-induced toxicity. J Mol Biol, 2007. 368: p.1132-44; Emadi, S., et al., Detecting morphologically distinct oligomericforms of alpha-synuclein. J BiolChem, 2009. 284: p.11048-58)、及び異なる三種のAβ種オリゴマー(Zameer, A., et al., Anti- oligomeric Abetasingle-chain variable domain antibody blocks Abeta-induced toxicity against human neuroblastoma cells. J Mol Biol, 2008. 384: p.917-28; Kasturirangan, S., et al., Nanobody specific for oligomericbeta-amyloid stabilizes non-toxic form. Neurobiol Aging, 2010. In press; Kasturirangan, S., et al., Isolation and Characterization of a Nanobodythat Selectively Binds Brain Derived Oligomeric Beta-Amyloid. (Submitted))の異なる領域を認識するナノボディを単離することに使用されてきた。
それぞれのオリゴマー種特異的なナノボディは、交差反応性を示さない。なので、Aβオリゴマーに結合するナノボディは、α−シヌクレインオリゴマー結合せず、またその逆もない。異なるナノボディによって認識されるそれぞれの凝集種は、AD又はPDのヒト組織内で本来発生し、そしてナノボディは、AD、PD及び健常な脳組織、異なる凝集種による毒性を区別することができるので、ナノボディは、一般的なELISA及び免疫組織化学の分析でよく機能する(Emadi, S., et al., Isolation of a human single chain antibody fragment against oligomericalpha-synuclein that inhibits aggregation and prevents alpha-synuclein-induced toxicity. J Mol Biol, 2007. 368: p.1132-44; Emadi, S., et al., Detecting morphologically distinct oligomericforms of alpha-synuclein. J BiolChem, 2009. 284: p.11048-58; Zameer, A., et al., Anti-oligomeric Abetasingle-chain variable domain antibody blocks Abeta-induced toxicity against human neuroblastoma cells. J Mol Biol, 2008. 384: p. 917-28; Kasturirangan, S., et al., Nanobody specific for oligomericbeta-amyloid stabilizes non-toxic form. Neurobiol Aging, 2010. In press)。これまでに開発されたナノボディは、従来の抗体に対していくつかの有利な点がある:1)ナノボディは、単一の標的タンパク質の特定の形態を標的とする。例えば、α−シヌクレインオリゴマー型には反応せず、選択されたAβオリゴマー型を認識する。2)ナノボディは、フェムトモルレベルで親和性を有する。3)標的又はタグの配列を、遺伝子的に改良できる。4)ナノボディは細胞内Aβ種を同定するために、細胞内抗体として細胞内に発現できる。5)ナノボディの特性は、慎重に明らかにされている。
新たな分離及び分子認識技術の融合により、ヒトの疾病の組織と関連する特定のイソ型タンパク質を同定、濃縮し、疾病の特徴である様々なイソ型タンパク質を選択的に認識するナノボディ試薬を調製することが可能となった。ナノボディは、AD分野において、ADの進行における異なるAβ種の役割を明らかにするための強力なツールとなった。この試みは、正確な試薬開発の全体的な戦略の、明確かつ使いやすい例を提供する。
ある態様において、本願発明で使用できる抗体断片を、以下の表1に一覧にする(図2も参照)。
Figure 2015520123
ある態様において、上記C6ナノボディは、以下の配列番号1を有する。
EXPIAYGSRWIVITRGPAGHGPGTAAGVGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSYGSVKISCFDYWGQSTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSEIVLTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSVLYNSNNKNYLAWYQQKPGQSPELLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTEFTLTISSLQAEDVAVYYCQQFYSTPPTFGQGTKLEIKRAAAHHHHHHGAAEQKLISEED
ある態様において、抗体断片は、配列番号1の16−292番目のアミノ酸残基を含む。ある態様において、抗体断片は、アミノ酸配列番号1を、含む又はのみから構成されている。ある態様において、抗体断片は長さ500アミノ酸未満であり、例えば、長さ200−450アミノ酸、又は長さ300アミノ酸未満である。
[形態特異的なナノボディと反応する、単離されたAβ40/42フラクションの同定]
本発明者らにより、異なるAβ形態に対する様々なナノボディが開発された。Aβ形態としては、Aβ原繊維のみに選択的に結合するもの(Marcus, W.D., et al., Characterization of an antibody scFv that recognizes fibrillarinsulin and beta-amyloid using atomic force microscopy. Nanomedicine, 2008. 4: p.1-7)、又は3種の異なるAβオリゴマー種に選択的に結合するもの(Zameer, A., et al., Anti-oligomeric Abetasingle-chain variable domain antibody blocks Abeta-induced toxicity against human neuroblastoma cells. J Mol Biol, 2008. 384: p.917-28; Kasturirangan, S., et al., Nanobody specific for oligomericbeta-amyloid stabilizes non-toxic form. Neurobiol Aging, 2010. In press; Kasturirangan, S., et al., Isolation and Characterization of a Nanobodythat Selectively Binds Brain Derived Oligomeric Beta-Amyloid. (Submitted))が含まれる。この形態的に特異的なナノボディの集合は、DC−iGDEPで別個のAβ種が分離されるかの確認や、選択的な試薬がなかった新たなAβ種を同定などに用いられた。
(Aβフラクションの分離及び回収)
Aβフラクションは、鋸歯状のゲートによって分離、濃縮された。それぞれのAβフラクションは、「セル」(上記ゲート間の領域)と呼ばれる内部に捕捉された(Staton, S.J.R., et al., Characterization of particle capture in a sawtoothpatterned insulating electrokinetic microfluidic device. Electrophoresis, 2010. 31: p.3634- 3641)。追加の設計特徴により、様々な試薬が到達可能な限られた体積内部に分離された目的物を維持することが必要とされた。電場が装置の長軸に沿って形成されているとき、側面のチャネルは、電気的に無として用いられる。装置の上方および下方に位置する貯蔵部内に電極を設置し、チャネルと対応させることにより、続く分析で捕捉されたAβ種は回収される。
(Aβフラクションとナノボディとの反応性)
目的抗原の有効性や安定性により、異なる目的Aβ形態に対して分離されたそれぞれのナノボディの反応特異性を測定するために、多くの技術がある。DC−iGDEPによって単離された異なるAβ種に対する反応特異性を明らかするにあたり、ほとんどのAβ種は、極少量でわずかな体積中に存在する。このような場合には、種の反応性は、何の修飾をすることなく少量の原料を利用することができる、AFMを用いて分析される。Aβ形態が適切な量得られた場合には、目的凝集物の精製がどれほど容易かに依存するが、ELISA、ウェスタンブロット、又はドットブロットにより反応特異性が測定される。これらの評価のそれぞれの手法は、日常的に用いられている(Emadi, S., et al., Inhibiting Aggregation of alpha-Synuclein with Human Single Chain Antibody Fragments. Biochemistry, 2004. 43: p.2871-2878; Zhou, C, et al., A human single-chain Fv intrabody blocks aberrant cellular effects of overexpressed alpha- synuclein. Mol Ther, 2004. 10: p.1023-31; Liu, R., et al., Single chain variable fragments against beta-amyloid (Abeta) can inhibit Abeta aggregation and prevent abeta-induced neurotoxicity. Biochemistry, 2004. 43: p.6959-67; Zameer, A., et al., Single Chain Fv Antibodies against the 25-35 AbetaFragment Inhibit Aggregation and Toxicity of Abeta42. Biochemistry, 2006. 45: p.11532-9; Emadi, S., et al., Isolation of a human single chain antibody fragment against oligomericalpha-synuclein that inhibits aggregation and prevents alpha-synuclein-induced toxicity. J Mol Biol, 2007. 368: p.1132-44; Liu, R., et al., Residues 17-20 and 30-35 of beta-amyloid play critical roles in aggregation. JNeurosci Res, 2004. 75: p.162-71; Liu, R., et al., Proteolytic antibody light chains alter beta-amyloid aggregation and prevent cytotoxicity. Biochemistry, 2004. 43: p.9999-10007)。ある態様において、いくつかのAβオリゴマー試料に特異的なナノボディは、上記に記載のように、ウェスタンブロットなどの従来の方法により測定できないかもしれない。上記記載のように分析で安定でない、又は極微量しか使用できない、標的抗原に対する抗体の特異性を測定するために、数種のAFMが用いられる。例えば、高さ分布解析によるナノボディの特異性解析((Wang, M.S., et al., Characterizing Antibody Specificity to Different Protein Morphologies by AFM. Langmuir, 2008)、又は撮影画像認識によるナノボディの特異性解析(Marcus, W.D., et al., Isolation of an scFvtargeting BRG1 using phage display with characterization by AFM. Biochem Biophys Res Commun, 2006. 342: p. 1123-9)などである。
モノマー型、数種のオリゴマー型、及び原繊維型を含む少なくとも5種のAβフラクションが分離される。ある態様において、もし側面のチャネルが、電気的に十分に無でなければ、又は拡散条件の下、処理中に側面のチャネルがアクセス可能な場合は、単純な空気弁の概念が用いられる(Unger, M.A., et al., Monolithic microfabricatedvalves and pumps by multilayer soft lithography. Science, 2000. 288: p.113-116)。装置は、ゴム製のポリマーから形成されているため、側面のチャネルの頂部(ルーフ)は、圧力により閉じられている。圧力はわずかであり、機械によって加えられる。
発明は、以下の非限定的な例で例示される。
[実施例1]
以下に、DC分離勾配誘電泳動(DC−iGDEP)を用いた、アルツハイマー病に関連する、Aβアミロイド原線維の操作及び濃縮に関する新たな方法を示す。原繊維の濃縮は、〜400%まで見られる。シュミレーションでは、全範囲のアミロイドタンパク質凝集物の捕捉が、最適化された装置により可能であるとしている。
タンパク質凝集物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、2型糖尿病を含む、25以上の疾病と関連している。結果として、医療、生化学、分析化学の分野の研究者は、アミロイド凝集形成のメカニズムの理解や、毒性のある種の同定に励んでいる。アミロイド原線維の形成前に形成される一過性の準安定なオリゴマーの凝集物である、前原繊維は、発病に関連しており、細胞毒性を有すると考えられている。アミロイド凝集は、インビトロでオリゴマー種の異種物の混合物を形成することが示されてきた。しかし、細胞毒性種の特定の構造、アミロイド原線維形成との関係、及び毒性のメカニズムは不明であった。様々な凝集構造物を操作したり濃縮したりすることができる技術は、非常に重要である。なぜなら、全ての凝集種の成分に関する特定の情報は、凝集プロセスを破壊したり変更したりすることに基づく治療法の効果的な開発に必要だからである。モノマーから完全原繊維に至るまでのそれぞれの異なる凝集種は、異なる毒性の基となる、独特の化学的、物理的性質を有している。
様々なオリゴマー、Aβアミロイド原繊維、及び他の異常な折り畳み構造のタンパク質を単離する従来の方法は、沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、キャピラリー電気泳動(CE)などの技術に大いに依存してきた。沈殿では、一般的に多量の標品を使用し、オリゴマーを効率的に亜集団中に分離できなかった。そして沈殿により、構造的な類似物、少量の凝集サンプルが得られる。CEは、少量のサンプルを使用し、他の分離集団と比べて優れた分解能を有しているが、標的となる集団は、一般的に、分離中に、濃縮というよりも希釈される。同様に、SECは、比較的安定な前原繊維種を、効率的に分離することが分かっている。しかし、CEのように、一般的には分離中にサンプルが希釈され、そしていくつかのタンパク凝集物は破壊される。Aβ凝集物を分離したり特性を明らかにしたりする他の方法としては、HPLC、ゲル電気泳動、透過型電子顕微鏡(TEM)が含まれる。しかし、これらの方法から、アミロイド線維形成中にオリゴマー集団が共存することの理解できる説明は得られていない。TEM測定は、大規模なサンプル調製後になされ、一般的には安定なエンドポイントの種のみが捕捉される。アミロイド原繊維形成が可逆的な連続反応であることを考慮すれば、全ての分離の企ては、分離前に存在する凝集物種の集団を変えてしまうことを示唆する。例えば、前原繊維はモノマーに戻ってしまう。試料中の実際の凝集物集団の像を得るには、分離技術は、できるだけ素早く穏やかであるべきだ。
ここに記載の技術、すなわちDC−iGDEPは、単一の分離チャネル内で、電気泳動と誘導泳動のバランスをとることにより、粒子を素早く分離する(S. J. R. Staton, K. P. Chen, T. J. Taylor, J. R. Pacheco and M. A. Hayes, Electrophoresis, 2010, 31, 3634-3641.)。キャピラリー電気泳動分離と関連して、誘導泳動力の付加により、周囲媒質と同様の(すなわち、一致する)粒子の導磁率及び誘電率を含むため、分析物の特異的分離ベクトルが増す。これらの力を反対に組み合わせると、別個の回収点(目的種が濃縮されている点)に変換する。これにより、直接定量化又はこれらの構造の特性の研究に使用するための、Aβアミロイド構造の分離と濃縮が短い時間で成し遂げられる。この分離は、固定相と凝集物との相互作用によるものではない。すなわち、凝集構造物の分離工程の効果を減らすものではない。
以前、DC−iGDEPによって、20nmから1μmの球状の合成ポリマーのナノ又はマイクロ粒子を分離、濃縮できることを示した(S. J. R. Staton, K. P. Chen, T. J. Taylor, J. R. Pacheco and M. A. Hayes, Electrophoresis, 2010, 31, 3634- 3641; M. D. Pysher and M. A. Hayes, Anal. Chem. 2007, 79, 4552-4557.)。DC−iGDEPが、アミロイド凝集物のサイズ、形状、化学的特性によってうまく処理することができるかは知られていない。ここに、DC−iGDEPによって、Aβアミロイド凝集物を素早く選択的に濃縮でき、チャネル設計を適合させることで、より小さな前原繊維凝集物の集合を分析する見込みがあることを示す最初の成果を示す。
DC−iGDEP装置の設計及び製作は、Staton et al.に詳細に記載されている(S. J. Pv. Staton, K. P. Chen, T. J. Taylor, J. R. Pacheco and M. A. Hayes, Electrophoresis, 2010, 31, 3634-3641)。簡略すれば、DC−iGDEPマイクロ流体チャネルは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とカバーガラススライドとでできている(図3)。そして、20μLのAβ試料を、チャネルの広がった端部にある貯蔵部に注ぐ。PBS中のAβモノマーと原繊維は、以前示したように調製した(B. O'Nuallain, A. K. Thakur, A. D. Williams, A. M. Bhattacharyya, S. Chen, T. Geethaand R. Wetzel, Methods Enzymol, 2006, 413, 34-74; R. Picou, J. P. Moses, A. D. Wellman, I. Kheterpaland S. D. Gilman, Analyst, 2010, 135, 1631-1635; I. Kheterpal, K. D. Cook and R. Wetzel, Methods Enzymol. 2006, 39, 584-593; R. A. Picou, I.Kheterpal, A. D. Wellman, M. Minnamreddy, G. Ku and S. D. Gilman, J. Chromatogr. B, 2011, 879, 627-632.)。DC−iGDEPの製作及びAβ試料の調製に関する追加の情報は、実施例2に記載した。モノマー及び原繊維試料は、DC−iGDEPによって、別個に試験をした。ここに示す結果は、一貫しており、モノマーと原繊維の3つの独立した調製物及び多数の装置を用いた多数の装置の代表例である。実験は、各試験で、チャネルの長さ全体に400〜1000Vの電圧を、1〜15分間かけて行った。
DC−iGDEPの試験は、蛍光顕微鏡で監視した。DC−iGDEPチャネルに添加された時、モノマーは、すべての電圧(400〜1000V)において、一貫した流動パターンを示した。それは、電圧が高いほどはっきりしていた(図4)。チャネルの中心線にそってあらわれたその流動パターンは、電気泳動力が影響することを示した。しかし、モノマーが捕捉できた条件はなかった。
反対に、同様の条件でDC−iGDEPチャネルを用いて、Aβアミロイド原繊維試料の評価をした場合、原繊維の分離と濃縮を確認できた(図5)。この実験に用いた原繊維試料のTEMが、図6である。そして、完全(成熟)アミロイド原繊維の存在がはっきりと示されている。チオフラビンT(10μM)染色により、凝集物が7日後に完全になることを測定した。チャネルの長さ全体にわたり400V未満をかけた実験の画像では、捕捉されずに、原繊維の動きを示した。400〜1000Vの適用において、Aβ原繊維は、局所的な蛍光強度と同様に、チャネル内の狭い点に捕捉され、濃縮された。合成ナノ粒子を用いた事前に試験により、粒子の捕捉は一般にチャネルを遮らないこと、及び捕捉閾値より小さいのナノ粒子は、捕捉濃縮された大きい粒子を含む交点部分を通り過ぎていくことが分かった(S. J. R. Staton, K. P. Chen, T. J. Taylor, J. R. Pacheco and M. A. Hayes, Electrophoresis, 2010, 31, 3634-3641.)。
非選択的な補足とDC−iGDEPにより制御された補足とを区別するため、Aβの捕捉及び濃縮後、かけた電圧を除き、明るい領域が捕捉領域から分散していくのをモニターした。Aβ原繊維の分散及びわずかな対流により、図5に示される明るい蛍光領域は、捕捉領域から離れて分散した。短い時間の後、再度電圧をかけると、選択的な補足が再度起こった。この過程は、アミロイド凝集物を再現よく処理するというこの技術の性能を示すと同様に、捕捉がDC−iGDEPの結果であること確認するために、何度も繰り返した。原繊維は、鋸歯状で区切ったチャネルの先端近くに集まった。捕捉の位置から、これらの実験条件下において、原繊維は正の誘電泳動と一致する特性を示すことを示している。すなわち濃縮点は最も電場が強い位置であることを意味している(S. J. R. Staton, K. P. Chen, T. J. Taylor, J. R. Pacheco and M. A. Hayes, Electrophoresis, 2010, 31, 3634-3641 ; H. A. Pohl, Dielectrophoresis, Cambridge University Press, 5 Cambridge, 1978; K. P. Chen, J. R. Pacheco, M. A. Hayes and S. J. R. Staton, Electrophoresis, 2009, 30, 1441-1448.)。古典的な理論によれば、正の誘電泳動の捕捉を受ける粒子は、周囲媒質よりも浸透性が低い。アミロイド凝集物の非特異的な吸収が、チャネル表面に沿って観察された。表面処理や塗装はなく、非特異的なタンパク質の吸収は、PDMSチャネルで一般的である。
原繊維を濃縮するDC−iGDEP法の性能が、分離前のチャネル内のバックグラウンドレベル、及び捕捉が検出されていない領域と比べて、捕捉点における蛍光強度を調べることにより、半定量的に評価された。原繊維の量は、電圧に依存して、約350%から500%を超える範囲であった(実施例2参照)。しかしながら、より少ない原繊維添加によるより理想的な条件においては、潜在的な捕捉効果は600%(単にバックグランド蛍光強度を引くことによる)にもなる。最大値は、600Vで、520%であった。
本研究の全体的な目標は、成熟アミロイド原繊維形成の間に生じる全範囲の凝集構造物を分離、捕捉、濃縮することである。Aβモノマーではなく成熟Aβ原繊維が、この装置と記載した実験条件を用いて、捕捉、濃縮されることを、ここに示した実験の結果は証明している。COSMOL(有限要素法のマルチフィジックスモデリングソフト)計算は、実験で試されていない、択一的に装置設計のパラメータを探索することによる、装置設計開発を可能とした。COSMOLによるモデリングでは、現行のDC−iGDEP装置設計において、Aβモノマーは幾つかの理にかなった実験条件で捕捉されないと確認された。装置の粒子捕捉の電圧(potential)のに用いられたモデルの詳細は、実施例2に示す。また、最も小さい鋸歯状のギャップ距離を、現行設計の27μmから、〜10nmに減らすことにより、全ての中間物と共にモノマーを補足するのに必要な増強した電場勾配力が生み出されるであろうこともモデリングは予測した。電気泳動及び誘導泳動の特性に基づいて、アミロイド凝集物、オリゴマー、及びモノマーをモデリングすることにより、特有の生体試料を捕捉し、チャネルの長さに沿ってそれらを配置することに適合する一方で、装置設計開発の速度が加速された。
結論として、DC−iGDEPが、Aβモノマーは捕捉しないが、Aβアミロイド原繊維を操作し、選択的に捕捉することに用いられることを証明した。DC−iGDEPは、費用効果の良いプラットフォームにおいて、原繊維の高濃縮(520%まで)と、短時間の分析(1〜15分)をうまく組み合わせた。PDMSを用いたDC−iGDEPマイクロ装置の製造と運転は、非常に簡単である。この試験と関連するシュミレーションによれば、この技術が、モノマーと成熟原繊維の間の、様々なAβ凝集物構造物の中間体を素早く単離、濃縮できる能力を有していることを示している。アミロイド凝集物の単離と特性を明らかにする、新たな素早くそして穏やかな分離技術の開発は、アミロイドに関連する疾病における、タンパク質凝集の役割を理解するために、非常に重要である。
[実施例2]
A)DC−iGDEP装置製作の詳細
DC−iGDEPは、一般的なフォトリソグラフィー、成型加工、接着の技術を用いて製造された(C. Mack, Fundamental Principles of Optical Lithography: The Science of Microfabrication, Wiley, Hoboken, 2008.)。フォトマスクはAutoCADで設計され(Autodesk; サンラフェル, CA, USA)、フォトリソグラフィーのポジティブスタンプはAZ P4620フォトレジスト(AZ Electronic Materials; ブランチバーグ, NJ, USA)、及びコントラスト強調材料CEM388SS(Shin−Etsu MicroSi; フェニックス, AZ, USA)を用いて製造された。装置のチャネルは、顕微鏡のスライドカバープレートとポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造された。PDMSチャネルは、Sylgard184シリコンエラストマーキットPDMS(Dow/Corning; ミッドランド, MI, USA)を用いて鋳造された。簡単には、装置のPDMS部分が製造された後、穴あけパンチを用いて貫通孔を形成し(直径3mm、PDMSの0.5〜1cmを貫通して)、それから、装置のPDMS部分は、密着接着に続くプラズマ酸化によって、ガラスカバープレートでシールされた(K. Haubert, T. Drier and D. Beebe, Lab Chip, 2006, 6, 1548-1549.)。DC−iGDEPチャネルの分離部分の構造は、局所的な電場勾配が生じるように隙間が広がった、連続する三角形状のユニットで構成されている。隔離しているPDMSの60°三角形は、底辺6μm、高さ5.2μmで始まる。その辺長と幅は、6個の繰り返しごとに、40μm増え(図3)、結果として最初のギャップ距離が945μm、最後のギャップ距離が27μmとなる。DC−iGDEPのチャネルの分離部分は、穴あけパンチによって形成された二つの貯蔵部と接続されている。その貯蔵部から、試料とバッファーは、チャネルに導入される。チャネルの深さは13から16μmの範囲である。
試料は大きいギャップ距離を持つチャネル端部の貯蔵部から導入される。試料導入後、白金線電極(プラチナ線電極、直径0.404mm、純度99.9%;Alfa Aesar; ワード・ヒル, MA, USA)を、溶液と接触するように、各貯蔵部に設置し、電力供給源(Series 225、Bertram)と接続させた。電圧は、実験に応じて、0と1000Vの間の電位で、1〜15分間、適用された。可視化は、OSRAMの水銀短アーク灯H30 103 w/2、及びオリンパスDAPI、FITC、テキサスレッド、トリプルバンドパスキューブ(Olympus; センターバレー, PA, USA)と共に、オリンパス倒立顕微鏡IX70を用いて行った。
ビデオと画像は、モノクロQICAM冷却CCDカメラ(Qlmaging, Inc.; サリー, BC, Canada)と、StreampixIII image capture software(Norpix, Inc.; モントリオール, QC, Canada)を用いて集めた。蛍光強度は、ImageJ(NIH; ベセスダ、MD)を用いて分析した。3つの異なる対象領域(ROI)を選択した(図7)。対象領域は、捕捉領域(ゲート)、チャネル内のバックグラウンド領域(陥凹)、及びチャネル外のバックグラウンド(PDMS)を示す。表2は、図7と同じROIを使用している。表3は、同じ領域で起きた単離について多数回分析(n>3)した結果を示している。チャネルの外側の装置のバックグラウンドと同様に、試料で満たされたマイクロ流体チャネルの残り部分と比較して、捕捉領域の蛍光原繊維の量を決定するために、様々なROIの割合を用いた。それぞれのROIは、同じ大きさであった。
表2 ROI内の原繊維試料の蛍光強度値
Figure 2015520123
B)Aβ(1−40)モノマーと原繊維の調製
Aβ(1−40)モノマー及び原繊維試料は、上記に記載したように調製した(R. Picou, J. P. Moses, A. D. Wellman, I. Kheterpal and S. D. Gilman, Analyst, 2010, 135, 1631-1635; R. A. Picou, I. Kheterpal, A. D. Wellman, M. Minnamreddy, G. Ku and S. D. Gilman, J Chromatogr. B, 2011, 879, 627-632; B. CWuallain, A. K. Thakur, A. D. Williams, A. M. Bhattacharyya, S. Chen, G. Thiagarajanand R. Wetzel, in Methods Enzymol. 2006, 413, 34-74.)。簡単には、Aβ(1−40)ペプチド(W.M Keck Foundation Biotechnology Research Laboratory, Yale University; ニューヘイブン, CT)及びカルボキシフルオレセイン(FAM)ラベル化Aβ(1−40)ペプチド(Anaspec Inc.; フリーモント, CA)は、まず、前から存在する凝集物を除くために、トリフルオロ酢酸(TFA)及びヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)で処理した。Aβモノマー試料について、溶媒を蒸発させ、ペプチドを10mM Tris(pH7.79)に溶解した。FAM−Aβ(1−40)モノマーは、質量比1:4で、Aβ(1−40)と混合させた。モノマー溶液のAβの総量は、以前記載ように、Shimadzu HPLC-UVを用いて、215nmの検出で、30μMに決定した(R. Picou, J. P. Moses, A. D. Wellman, I. Kheterpaland S. D. Gilman, Analyst, 2010, 135, 1631-1635; R. A. Picou, I. Kheterpal, A. D. Wellman, M. Minnamreddy, G. Ku and S. D. Gilman, J Chromatogr. B, 201 1, 879, 627-632; B. O'Nuallain, A. K. Thakur, A. D. Williams, A. M. Bhattacharyya, S. Chen, G. Thiagarajanand R. Wetzel, in Methods Enzymol. 2006, 413, 34-74.)。
Aβ(1−40)原繊維試料について、TFAを蒸発させ、ペプチドをHFIPに溶解させた。それぞれのペプチドの濃度は、HPLC−UVを用いて決定した。FAM−Aβ(1−40)モノマーは、質量比1:4で、Aβ(1−40)と混合させた。HFIPを蒸発させ、ペプチド混合物を徐々に、等量の2.0mM NaOHと、22.8mMリン酸塩、274mM NaCl、5.4mM KCl、0.1%NaNを含む2X リン酸緩衝塩類溶液(PBS)(pH7.4)とに溶解した。試料を、4℃で最小限の10時間(10h)、50000gで遠心した。原繊維形成は、前の原繊維合成から、上澄に少量の原繊維凝集物(総Aβモノマーが0.1重量%)を添加することにより始まった。混合物は37℃で7日間(7d)放置した。原繊維形成の間、モノマーの消耗を、上記に記載した、HPLC-UVを用いた215nmの検出により監視した(R. Picou, J. P. Moses, A. D. Wellman, I. Kheterpaland S. D. Gilman, Analyst, 2010, 135, 1631-1635; R. A. Picou, I. Kheterpal, A. D. Wellman, M. Minnamreddy, G. Ku and S. D. Gilman, J Chromatogr. B, 201 1, 879, 627-632; B. O'Nuallain, A. K. Thakur, A. D. Williams, A. M. Bhattacharyya, S. Chen, G. Thiagarajanand R. Wetzel, in Methods Enzymol. 2006, 413, 34-74.)。原繊維の成長は、ThT蛍光を用いて、完了するまで(5〜7日間)監視し、電子顕微鏡によって原繊維の量を測定した。DC−iGDEP分析のAβ(1−40)モノマー試料と直接比較するため、原繊維試料は、PBSから10.00mM Tris電気泳動バッファー(pH7.79)に交換した(I. Kheterpal, S. Zhou, K. D. Cook and R. Wetzel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97, 13597- 13601.)。全ての試料のモノマー等量濃度は、HPLC−UVによって、30μMに決定した。
C)COSMOLの正確なモデリング
鋸歯状にパターン化されたマイクロ流体チャネル内の粒子の動きの理解、解釈を促進するために、マイクロ装置内の電場分布を数値的に決定し、プロットした。これは、有限要素法のソフト、COSMOLマルチフィジックス4.1(COMSOL, Inc., バーリントン, MA)を用いて、「電動メディアDC」(conductive media DC)モードで行った。このモードで作成されたモデルは、水溶液媒介中の電場強度の時間依存的な計算である。COSMOLは、チャネル全体における、あらかじめ定義された網目状の様々な点の電位分布のため、ラプラス方程式、∇(φ)=0、を解くことで電場を算出した。境界の条件は、チャネルの入口、出口、電気的な隔離部におけるチャネルの壁のそれぞれの電位によって定められた。
主要なチャネル構造の適当なスケールのモデルを作製し、COSMOL環境に取り込んだ。モデルを単純化するため、チャネルの2D近似値を利用した。別個の貯蔵部の電極の設置、及びチャネルの幅と深さの高い割合のため、電位におけるチャネル深さの効果は無視される。電場分布上の粒子の効果もまた無視される。
貯蔵部−チャネル接続は、実験の間使用されるものと同様に、予め電位がセットされる。VinletとVoutletは、それぞれ、0Vと550Vである。他のすべての境界(PDMSとガラス壁)は、完全に絶縁(隔離)されている;近似は、チャネル壁と液体媒体の間の導電率の大きな差異により、正当化される。導電率と、相関する媒体の誘電率は、それぞれ、1.2S/mと78に設定した。この導電率は、一般的なPBSを用いて得ることができる値と一致する。
三角形状の網目状は、チャネル領域全体に適用した。網目には、約97000の三角形の構成部分及び680の頂点の構成部分が含んでいた。有限要素分析を通して、ソフトフェアは、それぞれの網目状ポイントにおける電位を近似する。これらの数値から、動電学的な力や誘導泳動に関連する他の有用なパラメータ、例えば電場力、|E|や、電場の2乗の勾配、∇|E|などが測定できるかもしれない。内蔵のツールにより、結果値の図示化が可能である。
誘電泳動力は、∇|E|に比例しているので、チャネルの中心線に沿った誘導泳動の強度は、2Dカットラインを用いたCOSMOLモデルから導き出せる。このひとまとまりの結果からの局所的な最大値は、鋸歯のパターンに沿って、チャネルの締め付け部分、又はゲートに対応している。∇|E|の数値をゲート幅の関数としてプロットした場合、その関係は、べき関数として近似できる(図8)。この方法によるデータの可視化から、チャネルの幾何学的な収縮が増えるにつれ、誘導泳動力が素早く拡大縮小することが説明される。
他の項目の中では、誘導泳動力は粒子サイズに比例している。タンパク質モノマーのような小さな粒子の捕捉には、より大きな∇|E|が必要とされるであろう。図8は、非常に大きい∇ |E|値が、ゲートの収縮比率を大きくすることで得られることを示している。以下の仮説と図8で求めた∇|E|値を用いることで、Aβモノマーの捕捉には、〜10nmのゲート幅で十分であることが分かった。この計算に用いた仮定は、無視できる電気浸透流があり、Aβモノマーは直径〜2.5nmの球状であり、モノマーのμEPが1.2×10−4cm/(Vs)であり、媒体の粘度と誘電率は水と同等であり、Aβモノマーの導電率は媒体溶液よりも優位に小さいこと、である。
上記の明細書は、発明を全体として開示し、全体として実施可能としているが、ここに付加されたクレームによっても定義される、発明の範囲に限定することを意図するものではない。
全ての公開物、特許、特許文献は、参照によりここに組み込まれる。上記の明細書において、この発明はある態様との関係で記載され、説明を目的として多くの詳細な説明がされているが、当業者であれば、発明には追加の態様が許容されており、ここに記載されたある詳細は発明の基本原理から外れなければかなり広げられることは、明らかであろう。
ここに別な示唆があり、又は内容に矛盾しない限りは、発明を記載する文脈における、「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」及び同様の指示句の用語の使用は、単一及び複数の両方を意味するものと解釈される。他に断りのない限り、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、制限のない用語(例えば「含むがそれに限定されない」の意味として)として解釈される。ここに別の示唆がない限りは、数値範囲の列挙は、範囲内に含まれるそれぞれの分離した数値を個々に引用する略式的な記載として用いることを意図している。そして、それぞれの分離した数値は、そこに記載されているかのように、明細書中に組み込まれている。ここに別な示唆がある、又は内容に矛盾しない限りは、ここに記載のすべての方法はあらゆる適切な方法により実施できる。他に主張されていない限り、ここで用いられる、幾つかの又は全ての具体例、又は例示的言語(「例えば(such as)」など)の使用は、単に発明をより分かりやすくすることを意図しており、発明の範囲の限定を意図するものではない。明細書中の言語は、発明の実施に必須として、ク主張されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
この発明の態様は、発明を実施するために発明者が知るベストな様式を含むように、ここに記載されている。そのような態様の変動は、当業者が上記の明細書を読むことで明らかになるであろう。発明者らは、当業者が、適切な方法でそのような変動を採用することを予測しており、発明者らはここに具体的に記載されていない他の方法で実施される発明も意図している。従って、本願発明は、準拠法で許されるように、ここに付加されるクレームに記載された主題の全ての改良及び類似を含む。さらに、別な示唆があり、又は内容に矛盾しない限りは、全ての可能な変化において、上記記載の要素のあらゆる組み合わせが本願発明には含まれる。

Claims (26)

  1. 入口と出口とを有する鋸歯状のマイクロ流体チャネル、及び前記チャネルの対向する歯の間にあるゲートを含む、化学的又は物理的パラメータに基づき、生体試料中の目的タンパク質種を分離するDC−iGDEP装置であって、
    前記ゲートの間隔が1mmから始まり0.5nmまで減少する装置。
  2. 前記歯が、三角形状、非対称の形状、三日月状、星状、又は丸みを帯びた形状である、請求項1に記載の装置
  3. 前記歯が、底辺と高さとを有する等辺三角形状である、請求項2に記載の装置。
  4. 最も小さい歯が、底辺の長さ2〜10μm、高さ2〜10μmであり、
    1〜10個の繰り返しごとに、後続の歯の辺長及び幅が25〜50μm大きくなる、請求項3に記載の装置。
  5. 前記最も小さい歯が、底辺の長さ6μm、高さ5.2μmであり、6個の繰り返しごとに、後続の歯の辺長及び幅が40μm大きくなる、請求項3に記載の装置。
  6. 最初の前記ゲートの間隔が約945μmであり、最後の前記ゲートの間隔が約27μmである、請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
  7. 最初の前記ゲートの間隔が約50μmであり、最後の前記ゲートの間隔が約1nmである、請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
  8. 最初の前記ゲートの間隔が約50μmであり、最後の前記ゲートの間隔が約1μmである、請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
  9. 前記マクロ流体チャネルが約10〜20μmの深さを有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
  10. 前記マクロ流体チャネルが約13〜16μmの深さを有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
  11. 化学的又は物理的パラメータに基づき、生体試料から目的種を分離する方法であって、
    (a)請求項1〜10の何れか1項に記載の装置を提供し、
    (b)入口に添加量の前記試料を添加し、
    (c)化学的又は物理的パラメータに基づいて、前記装置に電場を適用して、前記試料中の粒子又は分子を分離し、そして
    (d)前記目的種を回収する
    ことを含む方法。
  12. 前記化学的又は物理的パラメータが、電荷、大きさ、誘電率、変形、又は形状である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記目的種が、Aβ凝集物である、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 回収された前記Aβ凝集物を抗体に接触させて、前記Aβ凝集物の大きさを確かめることをさらに含む、請求項11〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 前記抗体が、オリゴマーAβ凝集物に特異的である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記抗体が、ナノボディである、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 前記ナノボディが、C6、A4、E1、D5、10H、6E、D10又はBSEC1ナノボディである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記生体試料が、100μL未満の量である、請求項11〜17の何れか1項に記載の方法。
  19. 前記生体試料が、約50μLの量である、請求項11〜18の何れか1項に記載の方法。
  20. 前記生体試料が、脳組織、血清、脳脊髄液(CSF)、尿、又は唾液である、請求項11〜19の何れか1項に記載の方法。
  21. 20分未満の間、前記電場を適用する、請求項11〜20の何れか1項に記載の方法。
  22. 約5〜15分の間、前記電場を適用する、請求項11〜21の何れか1項に記載の方法。
  23. 前記目的Aβ凝集物が数桁濃縮される、請求項11〜22の何れか1項に記載の方法。
  24. 前記目的Aβ凝集物が、前記添加量に対して10濃縮される、請求項11〜23の何れか1項に記載の方法。
  25. 目的種がタンパク質である、請求項11〜24の何れか1項に記載の方法。
  26. 前記タンパク質が、p53、膵島アミロイドポリペプチド、βアミロイド、タウ、α−シヌクレイン、ハンチントン、又はスーパーオキシドジスムターゼである、請求項25に記載の方法。
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