JP2015511702A - Adcc増強抗体を用いた癌治療のための予測バイオマーカー - Google Patents

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Abstract

本発明は、ADCC増強抗体を含む抗癌療法による治療効果が期待できる癌患者を特定する方法に関する。

Description

本発明は、ADCC増強抗体を含む抗癌療法による治療効果が期待できる癌患者を特定する方法に関する。
ADCC増強抗体は、癌治療の分野における新しい種類の抗体である。抗体の、そのFc領域により媒介される所謂エフェクター機能が抗体ベースの癌治療において重要な作用機序であることは、従来から知られている。これに関連して特に重要なのは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)である。これは、NK細胞や他のエフェクター細胞による、抗体被覆標的細胞(例えば腫瘍細胞)の殺傷であり、細胞表面に結合した抗体がエフェクター細胞上の活性化しているFc受容体と相互作用することにより惹起される。
それ故、治療抗体のADCC活性を増強することが大きな関心事となってきており、ADCC増強の様々な方法が今までに説明されている。例えば、Shields等は、Fc領域の298位、333位、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)でのアミノ酸置換がADCCを高めることを示した(J Biol Chem 9(2), 6591‐6604 (2001))。代替的には、抗体のグリコシル化を変化させることによって、Fc受容体結合性及びエフェクター機能の増強が可能となる。IgG1型抗体は、癌の免疫療法で最も一般的に使用される抗体であるが、そのFc領域の各CH2ドメインのAsn297に保存されたN‐結合型グリコシル化部位を持つ。Asn297に結合した2つの二分岐複合型オリゴ糖は、CH2ドメインの間に埋め込まれ、ポリペプチド骨格との広範な接触を形成し、その存在はADCCを含むエフェクター機能を媒介するために抗体にとって必須である(Lifely等, Glycobiology 5, 813-822 (1995); Jefferis等, Immunol Rev 163, 59-76 (1998); Wright及びMorrison, Trends Biotechnol 15, 26-32 (1997))。Umana等は、バイセクトオリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼである、β(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される抗体のインビトロADCC活性を有意に増強させることを示した(内容全体が本明細書において出典明示により援用される、Nat Biotechnol 17, 176-180 (1999)、及び米国特許第6602684号(国際公開第99/54342号)。産生細胞株におけるGnTIIIの過剰発現は、バイセクトオリゴ糖に富む抗体をもたらし、これらは通常非フコシル化されていてハイブリッド型でもある。GnTIIIに加えてマンノシダーゼII(ManII)が産生細胞株において過剰発現されている場合、非フコシル化バイセクト複合型オリゴ糖に富んだ抗体が得られる(Ferrara等, Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006))。抗体のいずれの型も、未修飾のグリカンを有する抗体に比べて強く増強されたADCCを示すが、N−グリカンの大半が複合型である抗体のみが、有意な補体依存性細胞傷害を誘導することができる(Ferrara等, Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006))。オリゴ糖コアの最内部のN-アセチルグルコサミン残基からフコースを除去することがADCC活性の増強にとって重要な要素のようである(Shinkawa等, J Biol Chem 278, 3466-3473 (2003))。それ故、例えばα(1,6)‐フコシルトランスフェラーゼ欠損宿主細胞における発現など、低フコシル化抗体を産生する更なる方法が開発された(Yamane-Ohnuki等, Biotech Bioeng 87, 614-622 (2004); Niwa等, J Immunol Methods 306, 151-160 (2006))。
目下、糖鎖操作された抗EGFR抗体<ge‐huMabEGFR>や糖鎖操作された抗CD20抗体obinutuzumabを含むADCC増強抗体が幾つか臨床開発中であり、有望な試験成績が出ている。しかし、ADCC増強抗体の大きな可能性にもかかわらず、特に癌治療において、このような抗体を用いた治療の効果が最も期待できる患者の選択方法については今のところ何も分かっていない。効果のない癌治療に関連した潜在的副作用を考慮して、癌の個別治療の必要性が広く認められている。
それ故、本発明の目的は、ADCC増強抗体療法に対し特に良い反応を示す患者を特定する方法を提供することである。
抗腫瘍免疫反応に関連するバイオマーカーのステータス調査では、幾つかのタイプの癌において、ADCC増強抗体を用いた治療前のCD16+細胞による腫瘍浸潤度と、良好な治療成績との間に相関関係があることが明らかになった。
従って本発明は、ADCC増強抗体を用いた治療に対する癌患者の反応の予測方法に関するものであって、治療前の患者の腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度を測定することと、CD16+細胞の前記浸潤度を基準レベルと比較することとを含み、ここで、基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度は、該治療の臨床効果が期待できる患者であることを示唆する。
更なる態様において、本発明は癌患者の治療に使用するADCC増強抗体を提供し、ここで、i)患者の腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞の浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)ADCC増強抗体が、基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ投与される。
本発明はまた、癌患者の治療方法も提供するものであり、ここで、i)患者の腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞の浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)ADCC増強抗体が、基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ投与される。
治療前の患者の腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度が基準レベルより高い場合には、有効量のADCC増強抗体を患者へ投与することを含む、癌患者の治療方法を更に提供する。
本発明はまた、治療前に基準レベルよりも高いCD16+細胞の腫瘍への浸潤度を示す癌患者の治療のためのADCC増強抗体を含む医薬組成物に関する。
更なる態様において、本発明はCD16+細胞の腫瘍への浸潤度を検出するためのキットに関するものであり、このキットは、i)CD16+細胞の浸潤度を検出するための一つ以上の化合物を含む。
1.定義
本明細書で用いられる用語「投与」又は「投与すること」とは、ADCC増強抗体などの医薬組成物を、そのような治療又は医療介入を必要とする患者に、当該技術分野で知られている任意の好適な手段によって投与することを言う。投与経路には、限定されないが、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、皮内投与、経鼻投与、気管支内投与(例えば吸入による)が含まれる。本発明との関連で特に望ましい投与経路は、例えば静脈内投与などの非経口投与である。
用語「癌」とは、一般的に制御不能な細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理的状態を指す。癌の例としては、限定されないが、上皮性悪性腫瘍、リンパ種、芽細胞腫、非上皮性悪性腫瘍、白血病などがある。このような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(消化管癌を含む)、膵臓癌(転移性膵臓癌を含む)、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌(局所進行性、再発性又は転移性HER‐2陰性乳癌、局所再発性又は転移性HER2陽性乳癌を含む)、大腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、各種頭頸部癌が含まれ、また、B細胞リンパ種(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ種(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ球性NHL,高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ種、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、及び母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの)やメイグス症候群も含まれる。
用語「有効量」とは、哺乳動物における疾患や障害を治療するのに有効な薬剤(単独、又は他の薬剤もしくは療法との併用)の量を指す。癌の場合、治療的有効量の薬剤は、癌細胞の数を減少させ、腫瘍の大きさを縮小させ、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ)、腫瘍増殖をある程度まで阻害し、且つ/又は癌に関連した一つ以上の症状をある程度まで軽減することができる。既存の癌細胞の増殖を防ぎ、且つ/又は死滅させることができるという点で、それは細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。癌治療に関して、生体内有効性は、例えば、生存期間、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)、奏効期間、及び/又はクオリティー・オブ・ライフを評価することによって測定され得る。
用語「全生存期間(OS)」とは、治療期間中及び治療後に患者が生存する期間を指す。当業者が理解するように、患者が、別の患者の亜群と比較して、統計的に有意に長い平均生存期間を有する患者の亜群に属する場合に、その患者の全生存期間は改善又は向上される。
用語「患者」とは、任意の単独の動物を指し、さらに具体的には、治療が望まれる哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジなどの非ヒト動物や非ヒト霊長類を含む)を指す。さらに一層具体的には、本明細書中の患者はヒトである。
用語「医薬組成物」とは、薬剤の生物学的活性を有効にすることが可能な形状の無菌製剤であって、製剤を投与される被検体の許容範囲を超える毒性を有する追加成分を含まないものを指す。
用語「無増悪生存期間(PFS)」とは、臨床医か治験責任医師の評価により、患者の疾患が悪化しない、すなわち進行しない、治療中及び治療後の期間を指す。当業者が理解するように、患者が、類似条件の患者の対照群と比較して、平均無増悪生存期間がより長い患者の亜群に属する場合に、その患者の無増悪生存期間は改善又は向上される。
本明細書で用いられるように、「治療」("therapy"又は"treatment")(及び「治療する」又は「治療すること」などの文法的変形)とは、治療されている個体における疾患の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために実施されるか、又は臨床病理の経過中に実施され得る。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発の予防、症状緩和、疾患の何らかの直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の低減、病状の改善又は緩和、及び寛解又は予後改善を含む。
「治療の臨床効果が全く無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値」とは、該治療の臨床効果が無い患者母集団の腫瘍におけるCD16+細胞の平均浸潤度の推定値を指す。
「臨床効果」とは、(例えば、RECIST基準による)客観的反応があること、又は、少なくとも12週間にわたる疾患の安定が見られることと定義される。
CD16抗原は、ある種の免疫細胞上に発現される細胞表面抗原である。CD16抗原は、例えばナチュラルキラー(NK)細胞上や活性化されたマクロファージ上に発現される膜貫通型(CD16a、Fcγ受容体IIIa)、及び、好中球上に発現されるグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型(CD16b、FcγRIIIb)の2種類が存在する。本明細書で用いられる「CD16」とは、特にCD16a抗原(別名Fcγ受容体IIIa)を指す(ヒトタンパク質については、UniProt登録番号:P08637[バージョン136]、及びNCBI登録番号:NP_000560[バージョンNP_000560.5]を参照のこと)。それに応じて、用語「CD16陽性細胞」又は「CD16+細胞」とは、CD16抗原、特にCD16a抗原を発現している細胞を指す。CD16+細胞は、例えば抗CD16抗体クローン2H7(Biogenex社より入手可能)などの抗CD16抗体を使用する免疫組織化学的手法による組織試料において検出され得る。
「CD16+細胞浸潤度」とは、例えば腫瘍など、所与の組織中に存在するCD16+細胞の数を指す。特定の実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、組織切片(例えば、免疫組織化学的解析のための腫瘍生検標本から用意された切片)1mm当たりのCD16+細胞の数によって示される。別の実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、組織試料(例えば、フローサイトメトリー解析のために処理された腫瘍生検標本(の一部))における総細胞数に対するCD16+細胞の数によって示される。更に別の実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、組織試料(例えば、ELISA解析のために処理された腫瘍生検標本、又はRT−PCT解析のために処理された組織試料(の一部))に存在するCD16タンパク質又はmRNAの量によって示される。
「治療前に」とは、患者に対するADCC増強抗体の初回投与前を言う。
「<ge−huMabEGFR>」とは、ラットICR62抗体を基に糖鎖操作された、ヒト化IgG1サブクラスの抗ヒトEGFR抗体(CAS登録番号959963-46-3)を指す(Modjtahedi等, (1996), Br J Cancer 73, 228-235)。この抗体は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性及びマンノシダーゼII(ManII)活性を有するポリペプチドを過剰発現している宿主細胞において産生され(Umana等, (1999) Nat Biotechnol 17, 176-180、及び米国特許第6602684号(国際公開第99/54342号)、Ferrara等, (2006) Biotechn Bioeng 93, 851-861を参照のこと)、そのFc領域に少なくとも約50%の非フコシル化オリゴ糖を有する。
用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び、所望の抗原結合活性を示す限り抗体断片を含み、且つ、Fc領域、又は免疫グロブリンのFc領域に相当する領域を含む。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、本明細書で定義されているFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
「天然抗体」とは、様々な構造を有する天然に生じる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合している2本の同一の軽鎖と2本の同一の重鎖から成る約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端にかけて各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)が続く。同様に、N末端からC末端にかけて各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのいずれかに分けることができる。
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’‐SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、単一ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体などがある。ある種の抗体断片の総説については、Hudson等, Nat Med 9, 129-134 (2003)を参照のこと。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,113巻, Rosenburg及びMoore編,Springer-Verlag,New York,pp.269-315 (1994)を参照、また、国際公開第93/16185号、並びに米国特許第5571894号及び 第5587458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、延長されたインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。ダイアボディは、2つの抗原結合部位を有する抗体断片で、二価又は二重特異的であり得る。例えば、欧州特許出願公開第404097号、国際公開第1993/01161号、Hudson等, Nat Med 9,129-134 (2003)、及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディについても、Hudson等, Nat.Med. 9:129-134 (2003)に説明がある。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、又は、軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む抗体断片である。ある実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA; 例えば、米国特許第6248516号を参照)。抗体断片は様々な技術で作製することができ、本明細書に記載するように、インタクトな抗体のタンパク質分解、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による作製を含むがこれらに限定されない。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は一般的に似たような構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)から成る。例えば、Kindt等, Kuby Immunology, 6版 W.H. Freeman and C0., 91頁 (2007)を参照のこと。抗原結合特異性を付与するには、単一のVH又はVLドメインで十分である。
本明細書で用いられる用語「超可変領域」又は「HVR」とは、配列が超可変であり、且つ/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、天然型4鎖抗体は、6つのHVR(VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3))を含む。HVRは一般的に、超可変ループ由来及び/又は相補性決定領域(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性を有し、且つ/又は抗原認識に関与している。VHのCDR1を例外として、CDRは一般的に超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれ、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の一部分に関して本明細書で互換的に使用される。この特定の領域は、Kabat等, U.S. Dept.of Health and Human Services, Sequences of Proteins of Immunological Interest (1983)及びChothia等, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)で説明されており、これらの中での定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複又は部分集合を含んでいる。とはいえ、抗体又はその多様体のCDRを指す(上記文献の)いずれの定義の適用も、本明細書において定義され且つ使用される用語の範囲内として意図される。上記の各引用文献によって定義されているCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、比較として以下の表1に示す。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、そのCDRの配列や大きさによって異なる。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列が与えられれば、どの残基が特定のCDRを含むかを通常決定することができる。
Figure 2015511702
Kabat等は、任意の抗体に適用可能である、可変領域配列のための番号付けシステムも定義した。当業者であれば、配列以外のいかなる実験データにも依存せずに、任意の可変領域配列に「Kabat番号付け」のこのシステムを一義的に割り当てることができる。本明細書で用いる「Kabatの番号付け」とは、Kabat等, U.S. Dept. of Health and Human Services, 「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)によって示されている番号付けシステムを指す。特に明記しない限り、抗体可変領域内の特定のアミノ酸残基の位置の番号付けに関する言及は、このKabatの番号付けシステムに従っている。
配列表のポリペプチド配列(すなわち、配列番号1〜9)はKabat番号付けシステムに従って番号付けされていない。しかし、この配列表の配列番号をKabatの番号付けに変換することは、十分当業者の技術の範囲内である。
「フレームワーク」又は「FR」とは、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、通常4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4から成る。従って、HVR及びFRの配列は通常、VH(又はVL)において次の配列:FR1ーH1(L1)ーFR2ーH2(L2)ーFR3ーH3(L3)ーFR4に現れる。
抗体の「クラス」とは、抗体重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の主要なクラスには、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つがあり、これらの幾つかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG、IgG、IGA、及びIgA2、に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
本明細書での用語「Fc領域」とは、定常領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び多様体Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界は僅かに変化し得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Cys226から、又はPro230から重鎖のカルボキシル末端へ伸展するように定義されている。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在してもよく、存在しなくてもよい。本明細書において特に断らない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版.Public Health Service,National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されているように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「免疫グロブリンのFc領域に相当する領域」は、免疫グロブリンのFc領域の天然に存在するアレル変異体、及び、置換、付加、又は欠失を生じるが、免疫グロブリンがエフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害など)を媒介する能力を実質的に低下させない変化を有する変異体を含むものとする。例えば、一つ以上のアミノ酸が、生物学的機能を実質的に喪失することなく、免疫グロブリンのFc領域のN末端又はC末端から欠失され得る。このような変異体は、活性に対する影響を最小限にするように、当該技術分野で知られている一般的規則に従って選択され得る(例えば、Bowie 等, Science 247:1306-10 (1990)を参照のこと)。
用語「抗‐[抗原]抗体」及び「[抗原]に結合する抗体」とは、抗体が、抗原を標的とする診断薬及び/又は治療薬として有用であるために十分な親和性で各抗原に結合することができる抗体を指す。一実施態様では、無関係なタンパク質への抗‐[抗原]抗体の結合の程度は、例えばラジオイノムアッセイ(RIA)により測定される場合、抗原に対する抗体の結合の約10%未満である。ある実施態様では、[抗原]へ結合する抗体は、解離定数(K)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。
本明細書での用語「操作する、操作された、操作すること」とは、ペプチド骨格の任意の操作、或いは、天然又は組換えのポリペプチドもしくはその断片の翻訳後修飾の操作を含むと見なされる。操作には、アミノ酸配列の修飾、グリコシル化パターンの修飾、又は個々のアミノ酸の側鎖基の修飾、及び、これらのアプローチの組合せが含まれる。「操作」、とりわけ前に「糖鎖」が付いた用語(「糖鎖操作」)、及び「グリコシル化操作」とは、細胞中で発現される糖タンパク質のグリコシル化を変化させるためのオリゴ糖合成経路の遺伝子操作など、細胞のグリコシル化機構の代謝操作を含む。更に、グリコシル化操作としては、グリコシル化に対する、変異及び細胞環境の効果も挙げられる。一実施態様では、グリコシル化操作は、グリコシルトランスフェラーゼ活性の変化である。特定の実施態様では、操作は、グルコサミニルトランスフェラーゼ活性及び/又はフコシルトランスフェラーゼ活性の変化をもたらす。グリコシル化操作は、「増強されたGnTIII活性を有する宿主細胞」(例えば、β(1,4)‐N‐アセチルグルコサニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する一つ以上のポリペプチドの発現レベルが上昇するように操作された宿主細胞)、「増強されたManII活性を持つ宿主細胞」(例えば、α−マンノシダーゼII(ManII)活性を有する一つ以上のポリペプチドの発現レベルが上昇するように操作された宿主細胞)、又は「低減されたα(1,6)フコシルトランスフェラーゼ活性を有する宿主細胞」(例えば、α(1,6)フコシルトランスフェラーゼの発現レベルが低下するように操作された宿主細胞)を得るために用いられても良い。宿主細胞は、ADCC増強抗体を産生するために利用可能な任意のタイプの細胞システムである。宿主細胞は、培養細胞、例えばCHO細胞、BHK細胞、NSO細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、PSX63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞もしくはハイブリドーマ細胞などの哺乳類培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び植物細胞等々、その他、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物もしくは培養植物の範囲に含まれる細胞、又は動物組織を含む。
本発明との関連で有用な抗体のコード配列、及び/又はグリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのコード配列を含有し、生物学的に活性な遺伝子産物を発現する宿主細胞は、当該技術分野でよく知られている方法、例えば、DNA−DNAもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション、「マーカー」遺伝子機能の有無、宿主細胞中のそれぞれのmRNA転写物の発現により測定される転写レベルの評価、又はイムノアッセイによって、もしくはその生物学的活性により測定される遺伝子産物の検出により同定され得る。GnTIII活性又はManII活性は、例えば、GnTIII又はManIIの生合成産物にそれぞれ結合するレクチンを用いて検出され得る。そのようなレクチンの例は、バイセクティングGlcNAcを含むオリゴ糖に優先的に結合するE‐PHAレクチンである。GnTIII活性又はManII活性を有するポリペプチドの生合成産物(すなわち、特定のオリゴ糖構造)はまた、前記ポリペプチドを発現する細胞により産生される糖タンパク質から遊離されたオリゴ糖の質量分光分析によっても検出可能である。代替的には、GnTIII活性又はManII活性を有するポリペプチドで操作した細胞により産生された抗体によって媒介される、例えば増強されたADCCなど、増強されたエフェクター機能を測定する機能アッセイを用いてもよい。
本明細書で使用される用語「GnTIII活性を有するポリペプチド」とは、N結合型オリゴ糖のトリマンノシルコアのβ結合型マンノシドへのβ-1,4結合でのN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の付加を触媒できるポリペプチドを指す。これは、特定の生物学的アッセイで測定した場合に、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(国際生化学・分子生物学連合の命名法委員会(NC-IUBMB : Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology) による別名は、β-1,4-マンノシル-糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.144))活性と必ずしも同一ではないが類似した酵素活性を用量依存性の有無にかかわらず示す融合ポリペプチドを含む。用量依存性が存在する場合、GnTIIIの用量依存性と同一である必要はないが、正しくは、GnTIIIと比べると、所与の活性の用量依存性に実質的に類似している(すなわち、候補ポリペプチドは、GnTIIIと比べて高い活性又は約25分の1以下の活性を示し、好ましくは約10分の1以下の活性を示し、最も好ましくは約3分の1以下の活性を示す)。ある実施態様において、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメイン、及び異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドである。特に、ゴルジ局在化ドメインはマンノシダーゼIIの局在化ドメイン又はGnTIの局在化ドメインであり、更に詳しくは、マンノシダーゼIIの局在化ドメインである。代替的には、ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIの局在化ドメイン、GnTIIの局在化ドメイン、及びα1,6コアフコシルトランスフェラーゼの局在化ドメインから成る群より選択される。そのような融合ポリペプチドの産生方法、及びそれを利用して増強されたエフェクター機能を有する抗体を生成する方法については、その内容全体が本明細書において出典明示により援用される、国際公開第2004/065540号、米国仮特許出願番号第60/495142号及び米国特許出願公開第2004/0241817号に開示されている。
本明細書で用いられる用語「ゴルジ局在化ドメイン」とは、ゴルジ複合体内へのポリペプチドの固定を担うゴルジ常在ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。一般的に、局在化ドメインは、酵素のアミノ末端「テール」を含む。
本明細書で用いられる用語「ManII活性を有するポリペプチド」とは、N結合型オリゴ糖の、分岐したGlcNAcManGlcNAcマンノース中間体における末端1,3及び1,6結合のα-D-マンノース残基の加水分解を触媒することができるポリペプチドを指す。これは、マンノシルオリゴ糖1,3-1,6-α-マンノシダーゼII(EC 3.2.1.114)(国際生化学・分子生物学連合の命名法委員会(NC-IUBMB)による)としても知られているゴルジα-マンノシダーゼIIの活性に必ずしも同一ではないが類似の酵素活性を示すポリペプチドを含む。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)は、免疫エフェクター細胞による抗体被覆標的細胞の溶解をもたらす免疫機構である。標的細胞は、Fc領域を含む抗体又はその断片が、N末端からFc領域までのタンパク質部分を通常介して、特異的に結合する細胞である。本明細書で用いられる用語「増強されたADCC」とは、上に定義したADCCのメカニズムによって、標的細胞を取り囲む培地中で所与の時間内に所与の抗体濃度で溶解される標的細胞の数の増加、及び/又はADCCのメカニズムによって、標的細胞を取り囲む培地中で所与の時間内に所与の数の標的細胞の溶解を達成するのに必要とされる抗体濃度の低下のいずれかとして定義される。ADCCの増強は、当業者に周知である同じ標準的な産生、精製、製剤、及び保存の方法を使用して、同じ型ではあるが操作されていない宿主細胞によって産生される同じ型の抗体に媒介されるADCCと比較される。例えば、本明細書に記載の方法によって改変されたグリコシル化パターンを有するように操作された(例えば、グリコトランスフェラーゼ、GnTIII又はその他のグリコトランスフェラーゼを発現するように)宿主細胞により産生される抗体に媒介されるADCCの増強は、同じタイプの非操作型宿主細胞により産生される同じ抗体に媒介されるADCCと比較される。
「増強された抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を有する抗体」とは、当業者に周知である任意の適切な方法によって決定されるような、増強されたADCCを有する抗体を指す。一つの許容されているインビトロADCCアッセイは以下の通りである。
1)アッセイは、抗体の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが知られている標的細胞を使用する
2)アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選ばれた健常ドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する
3)アッセイを以下の手順に従って実施する
i)PBMCを、標準的密度遠心分離手順を使用して単離し、RPMI細胞培養培地中に5×10細胞/mlで懸濁させる
ii)標準的組織培養方法によって標的細胞を増殖させ、90%より高い生存率で指数増殖期から回収し、RPMI細胞培養培地中で洗浄し、100マイクロキュリーの51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、密度10細胞/mlで細胞培養培地中に再懸濁させる
iii)100マイクロリットルの上記最終標的細胞懸濁液を、96ウェルマイクロタイタープレートの各々のウェルに移す
iv)抗体を細胞培養培地中で4000ng/mlから0.04ng/mlまで段階希釈し、得られた抗体溶液の50マイクロリットルを96ウェルマイクロタイタープレート中の標的細胞に加え、上記の濃度範囲全体をカバーする種々の抗体濃度を3連で試験する
v)最大放出(MR)対照群に関しては、標識された標的細胞が入っているプレート中の3つの更なるウェルに、50マイクロリットルの非イオン性界面活性剤(Nonidet, Sigma, St.Loius)の2%(V/V)水溶液を、抗体溶液(上記のiv項)の代わりに入れる
vi)自発性放出(SR)対照群に関しては、標識された標的細胞が入っているプレート中の3つの更なるウェルに、50マイクロリットルのRPMI細胞培養培地を抗体溶液(上記のiv項)の代わりに入れる
vii)次いで、96ウェルマイクロタイタープレートを、50 x gで1分間遠心分離し、1時間4℃でインキュベートする
viii)エフェクター細胞と標的細胞の比率が25:1となるように各々のウェルにPBMC懸濁液(上記のi項)50マイクロリットルを加え、プレートを5%CO2雰囲気下37℃で4時間インキュベーターに入れる
ix)各々のウェルから無細胞上清を回収し、実験的に放出された放射線(ER)をガンマカウンターを使用して定量する
x)特異的溶解の百分率を、各抗体濃度について、式(ER−MR)/(MR−SR)×100に従って算出する。ここでERは、その抗体濃度について定量される平均放射線であり(上記のix項参照)、MRは、MR対照群(上記v項参照)について定量される平均放射線であり(上記のix項参照)、SRは、SR対照群(上記のvi項参照)について定量される平均放射線である(上記のix項参照)
4)「増強されたADCC」は、上記の試験される抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の増加、及び/又は上記の試験される抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の半分を達成するのに必要とされる抗体濃度の低下のいずれかとして定義される。上記のアッセイで測定されるADCCの増強は、当業者に周知である同じ標準的な産生、精製、製剤、及び保存の方法を使用して、同じ型ではあるが操作されていない宿主細胞によって産生される同じ抗体に媒介されるADCCと比較される。
抗体のADCC活性を評価するインビトロアッセイの他の例は、米国特許第5500362号、Hellstrom等, Proc Natl Acad Sci USA 83, 7059-7063 (1986)及びHellstrom等, Proc Natl Acad Sci USA 82, 1499-1502(1985)、米国特許第5821337号、Bruggemann等, J Exp Med 166, 1351-1361 (1987)に記載されている。代替的には、非放射性アッセイ法(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, CA)及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega, Madison, WI))を用いることができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代替的に又は追加的に、抗体のADCC活性は、例えばClynes等, Proc Natl Acad Sci USA 95,652-656(1998)に開示されている動物モデルにおいてインビボで評価することができる。
2.詳細な実施例
第一の態様において、本発明は、ADCC増強抗体を用いた治療に対する癌患者の反応を予測する方法であって、治療前の患者のCD16+細胞の腫瘍内浸潤度を測定することと、CD16+細胞の前記浸潤度を基準レベルと比較することとを含み、ここで基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度は、治療が期待できる患者を示唆する、予測方法を提供する。
ある実施態様において、この方法はインビトロ試験法である。一つのそのような実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、治療前に患者から採取された腫瘍試料において測定される。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取した腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、該治療の臨床効果が期待できる患者のCD16+細胞浸潤度は、基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い。
更なる態様において、本発明は癌患者の治療に使用するADCC増強抗体を提供するものであって、ここで、i)患者の腫瘍内CD16+細胞浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ、ADCC増強抗体が投与される。
一実施態様において、CD16+細胞の腫瘍内浸潤度は、治療前に患者から採取される腫瘍試料においてインビトロ測定される。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取される腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、ADCC増強抗体は、CD16+細胞浸潤度が基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い患者に投与される。
本発明はまた、癌患者の治療方法であって、ここで、i)患者の腫瘍内へのCD16+細胞の浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ、ADCC増強抗体が投与される、治療方法も提供する。
一実施態様において、CD16+細胞の腫瘍内浸潤度が、治療前に患者から採取される腫瘍試料においてインビトロ測定される。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取される腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、ADCC増強抗体は、CD16+細胞浸潤度が基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い患者に投与される。
治療前の患者の腫瘍内へのCD16+細胞の浸潤度が基準レベルより高い場合には、ADCC増強抗体の有効量を患者へ投与することを含む癌患者の治療方法を更に提供する。
一実施態様において、CD16+細胞の腫瘍内浸潤度は、治療前に患者から採取される腫瘍試料においてインビトロ測定される値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取される腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い。
一実施態様において、本発明はまた、治療前に基準レベルよりも高いCD16+細胞の腫瘍内浸潤度を示す癌患者の治療のためのADCC増強抗体を含む医薬組成物を提供する。
一実施態様において、CD16+細胞の腫瘍内浸潤度は治療前に患者から採取される腫瘍試料においてインビトロ測定される。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取される腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、患者のCD16+細胞浸潤度は、基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い。
更なる態様において、本発明はCD16+細胞の腫瘍内への浸潤度を検出するためのキットに関するものであって、このキットは、i)CD16+細胞浸潤度の検出のための一つ以上の化合物を含む。ある実施態様において、キットは、ii)ADCC増強抗体を用いた治療に対する癌患者の反応を予測する前記キットの使用説明書を更に含み、ここで、治療前の患者の腫瘍内へのCD16+細胞の浸潤度が基準レベルより高い場合、該治療の臨床効果が期待できる患者であることを示唆する、キット。
ある実施態様において、キットはインビトロで使用するためのものである。一つのそのような実施態様において、CD16+細胞浸潤度は、ADCC増強抗体を用いた治療の前に患者から採取される腫瘍試料において検出される。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である。一実施態様において、基準レベルは、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取される腫瘍試料におけるインビトロ測定である。一実施態様において、該治療の臨床効果が期待できる患者のCD16+細胞浸潤度は、基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い。
3.ADCC増強抗体
本発明のあらゆる態様に関して本明細書で定義されるADCC増強抗体は、対応する非操作型抗体に比べ、増強されたADCC活性を有するように操作された抗体を指す。特定の実施態様において、ADCC増強抗体は、糖鎖操作されていない抗体と比較して、Fc領域に増加した割合の非フコシル化オリゴ糖を含む、糖鎖操作された抗体である。一つのそのような実施態様において、抗体は、操作されていない宿主細胞と比較して、β(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII (GnTIII) 活性が増えるように操作された宿主細胞内で産生される。より具体的な実施態様において、宿主細胞は、操作されていない宿主細胞と比較して、α‐マンノシダーゼII (ManII)活性が増えるように更に操作されている。宿主細胞は、β(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する一つ以上のポリペプチドの過剰発現によってβ(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII (GnTIII)活性が増えるように操作され得る。同様に、宿主細胞は、α‐マンノシダーゼII(ManII)活性を有する一つ以上のポリペプチドの過剰発現によってα‐マンノシダーゼII(ManII)活性が増えるように操作され得る。この糖鎖操作の方法論は、各々の内容全体が本明細書において出典明示により援用される、Umana等, Nat Biotechnol 17,176-180 (1999); Ferrara等, Biotechn Bioeng 93,851-861 (2006); 国際公開第99/54342号(米国特許第6602684号;欧州特許出願公開第1071700号); 国際公開第2004/065540号 (米国特許出願公開第2004/0241817号;欧州特許出願公開第1587921号);国際公開第03/011878号(米国特許出願公開第2003/0175884号)で更に詳細な説明がされている。
別の実施態様において、ADCC増強抗体は、そのFc領域において糖鎖操作されていない抗体よりも高い割合の非フコシル化オリゴ糖を含む糖鎖操作された抗体であり、この抗体はα(1,6)‐フコシルトランスフェラーゼ活性が低下した宿主細胞で産生される。低下したα(1,6)‐フコシル糖転移酵素活性を有する宿主細胞は、細胞内でα(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子が破壊されたか、そうでなければ失活された(例えばノックアウトされた)細胞であってよい (Yamane-Ohnuki等, Biotech Bioeng 87, 614 (2004); Kanda等, Biotechnol Bioeng 94(4), 680-688 (2006); Niwa等, J Immunol Methods 306, 151-160 (2006)を参照)。
一実施態様において、ADCC増強抗体は、そのFc領域に少なくとも約50%の非フコシル化オリゴ糖を有する抗体である。一実施態様において、ADCC増強抗体は、そのFc領域に少なくとも約75%の非フコシル化オリゴ糖を有する抗体である。別の実施態様において、ADCC増強抗体は、そのFc領域に少なくとも約50%のバイセクトオリゴ糖を有する抗体である。一実施態様において、ADCC増強抗体は、そのFc領域に少なくとも約50%のバイセクト型非フコシル化オリゴ糖を有する抗体である。抗体のFc領域のオリゴ糖構造は、当該技術分野で周知の方法、例えばMALDI TOF質量分析法(Umana等, Nat Biotechnol 17, 176-180 (1999)、又は Ferrara等, Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006)に記載)により分析することができる。非フコシル化オリゴ糖の割合は、Asn297に付着した全てのオリゴ糖(例えば、複合体構造物、ハイブリッド構造物、及び高マンノース構造物)の合計に対する、フコース残基が欠損したオリゴ糖の量であり、MALDI TOF MSによってN-グリコシダーゼFで処理した試料において同定される。Asn297は、Fc領域の297位(Fc領域残基のEU番号)付近に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は297位のおよそ±3アミノ酸上流又は下流にも位置することができ、すなわち抗体の軽微な配列変異に起因して、294位から300位の間に配置され得る。バイセクトオリゴ糖、又はバイセクト非フコシル化オリゴ糖の割合も同様に測定される。
一実施態様において、ADCC増強抗体はIgGクラスの全長抗体である。特定の実施態様において、ADCC増強抗体はIgG1抗体である。一実施態様において、ADCC増強抗体は、ヒトFc領域、特にヒトIgGのFc領域、最も具体的にはヒトIgG1のFc領域を含む。ADCC増強抗体は、配列番号1で示されるヒトIgγ‐1‐重鎖定常領域を含む(すなわち、ヒトIgG1サブクラスの抗体である)。
ある実施態様において、ADCC増強抗体は、腫瘍細胞上に存在する抗原に向けられる。本発明との関連でADCC増強抗体が特に標的とする抗原には、限定されないが、例えば上皮成長因子受容体(EGFR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)等の細胞表面受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジペプチジルペプチダーゼIV(CD26、DPPIV)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、HER2/neu、HER‐3、上皮型カドへリン、CD20、メラノーマ結合コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、c−Met、CUBドメイン含有タンパク質‐1(CDCP1)及び扁平上皮癌抗原(SCCA)など、腫瘍細胞表面に発現する抗原が含まれる。
一実施態様において、ADCC増強抗体は、CD20、EGFR、HER2、HER3、IGF−1R、CEA、c−Met、CDCP1、FAP及びMCSPから成る群より選択される抗原に向けられる。一実施態様において、ADCC増強抗体はCD20、EGFR、HER2、HER3、IGF−1R、CEA、c−Met、CDCP1、FAP及びMCSPから成る群より選択される2つ以上の抗原に向けられる、多重特異的抗体である。
特定の実施態様において、ADCC増強抗体は、抗EGFR抗体、更に具体的には抗ヒトEGFR抗体である。好適なADCC増強抗EFGR抗体が、国際公開第2006/082515号及び国際公開第2008/017963号に記載されており、これらは各々その内容全体が本明細書において出典明示により援用される。
特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、a)重鎖可変ドメインに配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、及び配列番号4のCDR3、並びにb)軽鎖可変ドメインに配列番号5のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号7のCDR3を含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である。更に特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、配列番号8の重鎖可変ドメイン及び配列番号9の軽鎖可変ドメインを含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である。
別の特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、a)重鎖可変ドメインに配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、及び配列番号4のCDR3、並びにb)軽鎖可変ドメインに配列番号5のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号7のCDR3を含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体であって、この抗体はそのFc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が、これに対応する糖鎖操作されていない抗体に比べて多くなるように糖鎖操作された抗体である。
更に特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、配列番号8の重鎖可変ドメイン及び配列番号9の軽鎖可変ドメインを含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体であり、この抗体はそのFc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が、これに対応する糖鎖操作されていない抗体に比べて多くなるように糖鎖操作された抗体である。
更に別の特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、a)重鎖可変ドメインに配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、及び配列番号4のCDR3、並びに)軽鎖可変ドメインに配列番号5のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号7のCDR3、またc)Fc領域に少なくとも50%の非フコシル化オリゴ糖を含む、ヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である。
更に特定の実施態様では、ADCC増強抗体は、配列番号8の重鎖可変ドメインと、配列番号9の軽鎖可変ドメインと、配列番号1の重鎖定常領域と、Fc領域に少なくとも50%の非フコシル化オリゴ糖とを含む、ヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である。
一実施態様では、ADCC増強抗体は、<ge−huMabEGFR>である。
4.癌の種類
本発明は、様々な種類の癌に有用である。本発明に従った特定の実施態様では、癌は固形腫瘍である。そのような一つの実施態様では、癌は、結腸直腸癌、肺癌、頭頚部癌、乳癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌及び皮膚癌から成る群より選択される。一実施態様では、癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。更に特定の実施態様では、癌は非扁平NSCLCである。別の実施態様では、癌は結腸直腸癌(CRC)である。更に別の実施態様では、癌は頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)である。一実施態様では、癌はNSCLC、CRC及びHNSCCから成る群より選択される。
5.マーカーの組み合わせ
本発明のバイオマーカー、すなわち、治療前のCD16+細胞浸潤度は、他のバイオマーカーと組み合わせてバイオマーカーセットを作ることができる。バイオマーカーセットは、癌患者におけるADCC増強抗体の治療効果を予測するための予測バイオマーカーの如何なる組み合せからも作成可能である。例えば、治療前CD16+細胞浸潤度を、ADCC増強抗体の標的抗原の発現度と組み合わせてバイオマーカーセットを作成し得る。
6.CD16+細胞浸潤度の測定
CD16+細胞浸潤度は、例えば抗CD16抗体を使用した免疫組織化学法又は免疫蛍光法など、患者の組織内の細胞を可視化するための当該技術分野で知られている任意の方法によって評価することができる。特定の実施態様において、CD16+細胞浸潤度は免疫組織化学法によって測定される。免疫組織化学法でCD16+細胞を検出するのに使用可能な好適な抗CD16抗体は、抗CD16抗体クローン2H7である。
代替的実施態様では、CD16+細胞浸潤度はフローサイトメトリーによって測定される。フローサイトメトリー法(FACS)は、組織試料中の細胞の定量化法として当該技術分野でよく知られている方法である。フローサイトメトリー法は特に、組織試料(例えば、腫瘍生検標本(の一部))中の定義された細胞総数から特定の抗原(例えば、CD16+細胞)を発現する細胞の数を測定することを可能にする。
CD16+細胞浸潤度は、患者組織中のCD16タンパク質又はmRNAのレベルを定量化することによっても間接的に測定され得る。特定のタンパク質レベルを測定するための当該技術分野で知られている好適な方法には、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)等の免疫測定法が含まれ、mRNAレベルの測定法には、例えば、定量的RT−PCR又はミクロアレイ技術が含まれる。
上記の全ての方法及び技術は当該技術分野でよく知られており、例えば、Lottspeich(Bioanalytik, Spektrum Akademisher Verlag, 1998)、又はSambrook及びRussell (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, NY, U.S.A., 2001)等の標準的な教科書から導き出すことができる。
7.治療方法
本発明との関連で、<ge−huMabEGFR>は単独投与されるか、当該技術分野で知られている標準的な化学療法の一環として投与される一つ以上の化学療法剤に加えて、又はそれとの併用療法として投与される。そのような標準的化学療法に含まれる薬剤の例としては、5‐フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゲムシタビン、エルロチニブ、カペシタビン、ドセタキセル及びパクリタキセル等のタキサン系、インターフェロン・アルファ、酒石酸ビノレルビン、並びにカルボプラチン、シスプラチン及びシュウ酸プラチン等プラチナベースの化学療法剤がある。
一般的な投与方法は、ボーラス投与、又は一定時間かけて行う点滴(例えば、一日総投与量を10分、20分、30分、40分、50分、60分、75分、90分、105分、120分、3時間、4時間、5時間、又は6時間かけて投与)での非経口投与を含む。例えば、2.5mg/kg体重から25mg/kg体重の<ge−huMabEGFR>が、治療する癌の種類によって、1週間毎、2週間毎、又は3週間毎に投与される。投与量の例としては、2.5mg/kg体重、5mg/kg体重、7.5mg/kg、10mg/kg体重、15mg/kg体重、20mg/kg体重、及び25mg/kg体重が、1週間毎、2週間毎、又は3週間毎に投与される。投与量の更なる例としては、700mgを2週間毎、1000mgを2週間毎、1400mgを2週間毎、700mgを3週間毎、1000mgを3週間毎、及び1400mgを3週間毎がある。
<ge−huMabEGFR>の更なる投与方法及び投与量が、特定の患者及び化学療法によって決定されるものとして本発明に含まれること、及び最も好適な特定の投与方法及び治療用量は、当該技術分野において知られている方法に従って臨床医により決定されることが当業者には明らかであろう。
8.キット
本発明はまた、診断用組成物、又はCD16+細胞浸潤度検出のための一つ以上の化合物を含むキットに関する。本明細書中で詳述されているように、抗CD16抗体はCD16タンパク質を検出するために有用であり、それ故に本発明によるキットに含まれる。抗CD16抗体は、それ自体を直接検出するために(例えば、蛍光標識、放射性標識、酵素標識、又はビオチン/アビジン複合体を用いて)標識化され、或いは標識化された二次抗体(すなわち、特定の宿主動物種由来の抗体等、他の特定の抗体に特異的に結合する抗体)と共に用いられる。従って、適切な二次抗体もまた、キットに含まれる。更なる化合物(例えば緩衝剤、固定剤、遮断試薬、試薬、希釈剤、色原体、酵素等)が、検出を実行するため、免疫組織化学法、免疫蛍光法、ELISA、ウエスタンブロッティング法、又は任意の最適な検出方法のために必要な試薬である。代替的には、CD16mRNAを検出する場合は、キットにリアルタイムPCR用のプライマー及び蛍光プローブ等のオリゴヌクレオチド、逆転写酵素等のcDNA合成酵素などが含まれてもよい。
本発明の更なる態様では、本発明のキットが本発明の方法を実施するために有利に使用され得、様々な応用において、例えば診断分野において又は研究道具として、特に利用されるだろう。本発明のキットの部品は、バイアル中に個々に、又は容器もしくはマルチ容器ユニット中に一緒にパッケージ化することができる。キットの製造は、好ましくは当業者に知られている標準的な手順に従う。キット又は診断用組成物は、例えば本明細書に記載の免疫組織化学法を用いて、本明細書に記載の本発明の方法に従い、CD16+細胞の腫瘍への浸潤度を検出するために使用され得る。
ベースラインからベースライン後の最初の腫瘍評価(8週時点)までの最長径和(SLD)の変化率と、ベースライン時に得られた新しい腫瘍生検標本におけるCD16+細胞のベースライン染色との相関関係を示す。 ベースラインからベースライン後の2回目の腫瘍評価(12週時点)までの最長径和(SLD)の変化率と、ベースライン時に得られた腫瘍生検標本におけるCD16+細胞のベースライン染色との相関関係を示す。 ベースラインからベースライン後の腫瘍評価(2週時点)までのSUVmaxの低下と、ベースライン時に得られた新しい腫瘍生検標本におけるCD16+細胞のベースライン染色との相関関係を示す。
本発明は、限定されないが、以下の実施例によって更に説明される。
実施例1:結腸直腸癌(CRC)
試験デザイン
本試験は、固形腫瘍のある患者における <ge−huMabEGFR> の非盲検、多施設、非ランダム化、用量漸増フェーズI試験の後半であった。試験の後半では、試験前半で示された安全性プロフィール及び有効性(Paz Ares 等,(2011), J Clin Oncol 29, 3783-90)に基づき、KRAS変異型結腸直腸癌(CRC)患者25名に対する治療として、<ge−huMabEGFR> 1400mgを1日目と8日目、その後は2週間毎 (q2w) に均一用量で静脈内投与 (i.v.) を行った。
患者選定
適格な患者は、18歳以上の、米国東海岸癌臨床試験グループによる一般状態が1以下で、十分な血液学的機能、血液化学的機能、腎臓及び肝臓機能を有する患者であった。患者は、EGFR陽性のKRAS変異型転移性結腸直腸癌 (コドン 12/13/61) であることが組織学的/細胞学的に確認されており、X線写真上で認識できるほどの病勢進行 (PD) であった。過去に2回以上、転移性疾患のための細胞傷害療法を受けたことのある患者は除外した。患者全員から書面でインフォームドコンセントを取得し、地域の倫理委員会からも承認を得た。試験は、医薬品の臨床試験の実施に関する基準 (Good Clinical Practice) のガイドラインに従って実施された。
薬剤の投与
<ge−huMabEGFR>の初回投与量が、10mg/時の注入初速度で投与された。1時間後、注入速度を30分毎に段階的に上げながら、800mg/時まで投与された。初回注入の忍容性が良好だった場合、その後の注入は20mg/時から開始された。投与時関連反応(Infusion-Related Reaction:IRR)のリスクを最小限に抑えるため、最初の2回の注入に対し、パラセタモール、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤の前投与を行った。
腫瘍生検
免疫組織化学的検査のための腫瘍生検(HistoGeneX)が、治療前ベースライン時に任意で行われた。<ge−huMabEGFR>の初回注入前(通常2週間前以内)に腫瘍生検を行う、この任意のバイオマーカープログラムに11名の患者が参加した。生検標本はホルマリン固定及びパラフィン包埋され、免疫組織化学法(IHC)によって標本の免疫エフェクター細胞浸潤が解析された。腫瘍に浸潤している免疫エフェクター細胞は、1平方ミリメートル当たりの陽性染色細胞数を計数することにより等級分けされた。
免疫組織化学的分析
ベンタナベンチマークXTシステムでIHCが実施された。脱パラフィン処理したスライドを、抗体希釈液(Ventana社 #251-018)中で1:10に希釈された抗CD16抗体クローン2H7(Biogenex社)と共に1時間恒温放置した。検出には、ultra view(商標)ユニバーサルDAB検出キット(Ventana社)を使用し、続いてヘマトキシリンII(Ventana社 #790-2208)と共に4分間恒温放置し、対比染色後に4分間ブルーイングする(Ventana社 #760-2037)。陰性対照群には、同位体対応マウスIgG(Ventana社 #760-2014)が使用された。
免疫細胞の腫瘍内浸潤の定量化
CD16+細胞を、接眼レンズ中にグリッド(5x5枡)を備える光学顕微鏡下で計数した。無作為に選んだ最大25視野において倍率400倍で細胞を計数し、細胞密度、すなわち組織領域1平方ミリメートル当たりの細胞数を算出した。腫瘍中心部の細胞及び腫瘍細胞に隣接する組織内の細胞が計数された。
腫瘍反応の評価
腫瘍評価は、改訂版RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors:固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)基準 v1.0に従い、スクリーニング時及び第4サイクルから始めて8週間毎にCTスキャン又はMRIスキャンで実施された。
統計的考察
ベースラインからベースライン後の最初の腫瘍評価(8週時点)までの最長径和(SLD)の変化率と、ベースライン時に得られた腫瘍生検標本におけるCD16+細胞の染色との相関関係を、スピアマンの順位相関係数を用いて判定した。
結果
8週(4サイクル)時点の腫瘍反応とベースライン・バイオマーカーの相関分析は、CD16に対して陽性染色された腫瘍浸潤細胞数の増加が腫瘍サイズの縮小に比例していることを示した(r=−0.58, p=0.088, n=10;図1参照)。
実施例2:非小細胞肺癌(NSCLC)
試験デザイン
本試験は、進行性又は再発性のEGFR陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、シスプラチン及びゲムシタビン/ぺメトレキセドを併用した<ge−huMabEGFR>の多施設、非盲検フェーズIb試験であった。
患者は、自身の腫瘍の組織構造(扁平又は非扁平)に基づいて2つの群に分けられ、別々に評価された。今までのところ、非扁平組織構造群の試験が完了しており、ここにレポートされている。
この群の患者(合計14名)には、以下の投薬計画に従って、シスプラチン及びぺメトレキセドとの併用で<ge−huMabEGFR>を用いた治療が行われた。
コホート1:
・化学療法最大6サイクル(18週):
1日目にシスプラチン75mg/mを静脈投与、q3W(3週間毎)、及び1日目にペメトレキセド500mg/mを静脈投与、q3W、最大6サイクル。
<ge−huMabEGFR>1000mgを静脈投与(1日目、8日目)、続いて1000mgを、q2W(2週間毎) 静脈投与。
・続いて:
疾患が進行するか、許容できないほどの安全上の問題が生じるか、又は同意の撤回があるまで、<ge−huMabEGFR>1400mgを、q2W 静脈投与。
コホート2:
・化学療法最大6サイクル(18週):
1日目にシスプラチン75mg/mを静脈投与、q3W、及び1日目にペメトレキセド500mg/mを静脈投与、q3W、最大6サイクル。
<ge−huMabEGFR>1400mgを静脈投与(1日目と8日目)、続いて1400mgを、q2W 静脈投与。
・続いて:
疾患が進行するか、許容できないほどの安全上の問題が生じるか、又は同意の撤回があるまで、<ge−huMabEGFR>1400mgを、q2W 静脈投与。
患者選定
適格な患者は、18歳以上の、米国東海岸癌臨床試験グループによる一般状態が1以下で、十分な血液学的機能、血液化学的機能、腎臓及び肝臓機能を有する患者であった。患者は、手術不能であることが組織学的に確認されていて、局所進行性(ステージIIIb)であり、転移性(ステージIV)又は再発性NSCLCであった。過去に化学療法又は他の全身抗癌剤治療を受けたことのある患者は除外した。患者全員から書面でインフォームドコンセントを取得し、地域の倫理委員会からも承認を得た。試験は、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practice)のガイドラインに従って実施された。
薬剤の投与
最初の1時間、<ge−huMabEGFR>の注入速度は10mg/時であった。その後、患者が耐えられれば、注入速度を30分毎に段階的に上げながら、400mg/時まで投与した。初回注入の忍容性が良好だった(すなわち、注入に関係する重篤な反応が観察されなかった)場合、2回目の注入を30分間20mg/時で開始し、続いて注入速度を30分毎に段階的に上げながら、800mg/時まで投与した。前回の注入の患者による忍容性が良好だった場合、その後の注入は50mg/時の速度で開始し、続いて15分毎に段階的に速度を上げながら、800mg/時まで投与した。前回の注入の患者による忍容性が良好でなかった場合は、初回注入と同様の注入スケジュールが適用された。
シスプラチン及びぺメトレキセドが、その地域の処方情報に従って投与された。通常、ペメトレキセドは10分間で500mg/mを静脈投与し、続いて30分の休憩を挟んでからシスプラチンを投与することになっており、シスプラチンは2時間で75mg/mを静脈投与するはずである。
ペメトレキセドの前投与として、ビタミンB12及び葉酸が現地の処方情報に従って投与された(7日前から1日前まで)。第1回(1日目〜2日目)と第2回の<ge−huMabEGFR>注入に対し、パラセタモール、抗ヒスタミン剤、及び副腎皮質ステロイド剤を(第2回の注入日に)前投与した。
腫瘍生検標本
診断時からの保存腫瘍標本、又は任意の被験薬の初回投与前21日以内に採取された新鮮腫瘍生検標本が収集された。生検標本はホルマリン固定及びパラフィン包埋され、免疫組織化学法(IHC)によって標本の免疫エフェクター細胞浸潤が解析された。腫瘍に浸潤している免疫エフェクター細胞は、1平方ミリメートル当たりの陽性染色細胞数を計数することにより等級分けされた。免疫細胞浸潤の免疫組織化学的解析及び定量化は上記の通り実施された(実施例1を参照)。
腫瘍反応の評価
ベースライン腫瘍評価は任意の被験薬の初回投与前21日以内に胸部及び腹部CTスキャン(又はMRI)で行われた。ベースライン後評価はベースライン後6週間毎(すなわち第3サイクルの1日目、第5サイクルの1日目など)に、(病気が)進行するまで、又は(試験への)同意が撤回されるまで行われた。
腫瘍反応はRECIST(固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)ver 1.1に従って行われた(Eisenhauer等, (2009), Eur J Cancer 45, 228-247)。
統計的考察
ベースラインからベースライン後の2回目の腫瘍評価(12週時点)までの最長径和(SLD)の変化率と、ベースライン時に得られた腫瘍生検標本におけるCD16+細胞の染色との相関関係を、スピアマンの順位相関係数を用いて判定した。
結果
12週時点の腫瘍反応とベースライン・バイオマーカーの相関分析は、CD16に対して陽性染色された腫瘍浸潤細胞数の増加が腫瘍サイズの大幅な縮小に比例していることを示した(r=−0.52, p=0.10, n=11;図2参照)。
実施例3:頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)
試験デザイン
本試験は、過去に治療を受けておらず手術可能な頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)患者における、<ge−huMabEGFR>とセツキシマブとの薬力学的比較のための、多施設、非盲検の探索的調査であった。
本試験のための治療は患者の手術前の待機期間で実施された(ネオアジュバント環境)。患者は、<ge−huMabEGFR>を1日目と8日目に700mg、又は、セツキシマブを1日目に体表面積当たり400mgと8日目に250mg/m投与され、続いて、最後の注入から7日後に腫瘍の外科的切除が行われた。
患者選定
適格な患者は、18歳以上の、米国東海岸癌臨床試験グループによる一般状態が2以下で、十分な血液学的機能、血液化学的機能、腎臓及び肝臓機能を有する患者であった。患者は、口腔、中咽頭、下咽頭、咽頭の扁平上皮癌であることが組織化学的に確認されていた。腫瘍は予定の外科的切除術で切除可能と考えられるものでなければならず、また、患者は化学療法及び放射線治療の未経験者でなければならなかった。患者全員から書面でインフォームドコンセントを取得し、地域の倫理委員会からも承認を得た。試験は、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practice)のガイドラインに従って実施された。
薬剤の投与
最初の1時間、<ge−huMabEGFR>の注入速度は10mg/時であった。その後、患者が耐えられれば、注入速度を30分毎に段階的に上げながら、300mg/時まで投与した。初回注入の忍容性が良好だった(すなわち、注入に関係する重篤な反応が観察されなかった)場合、その後の注入を30分間20mg/時で開始し、続いて30分毎に注入速度を段階的に上げながら、300mg/時まで投与した。初回注入の忍容性が良好ではなかった場合、初回注入と同様の注入スケジュールが適用された。
その地域の処方情報に従い、セツキシマブが投与された。推奨注入時間は、初回投与が120分、2回目投与が60分であった。最大注入速度は、10mg/分であった。
地域の処方情報に従って、<ge−huMabEGFR>注入に対し、パラセタモール、抗ヒスタミン剤及び副腎皮質ステロイド剤の前投与が、セツキシマブ注入に対し、抗ヒスタミン剤及び副腎皮質ステロイド剤の前投与が行われた。
腫瘍生検標本
腫瘍生検標本(3−5mm)は、初回のFDG−PET/CTスキャン検査後、初回投与前21日以内に採取された。生検標本はホルマリン固定及びパラフィン包埋され、免疫組織化学法(IHC)によって標本の免疫エフェクター細胞浸潤が解析された。腫瘍に浸潤している免疫エフェクター細胞は、1平方ミリメートル当たりの陽性染色細胞数を計数することにより等級分けされた。免疫細胞浸潤の免疫組織化学的解析及び定量化は上記の通り実施された(実施例1を参照)。
腫瘍反応の評価
手術前(手術前3日以内)、及び如何なる治療介入(腫瘍生検を含む)の21日前から1日前に、放射線学的画像(2-18F-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(FDG)-PET/CTスキャン)で腫瘍評価を行った。
FDG−PETスキャン
患者は、FDG−PETスキャン検査前少なくとも4−6時間は絶食しなければならなかった。FDG−PETスキャン検査当日に血糖値が調べられ(PETセンターで行うのが一般的)、結果の評価がFDG投与前に行われた。FDG−PETスキャンを受けるためには、患者の血糖値は180mg/dL(10mmol/mL)以下でなければならなかった。FDG投与からスキャンまでの間隔は60分±10分で、注射とスキャン開始までの時間間隔が、フォローアップでもベースラインと同じになるよう注意が払われた。
スキャン取得
減衰補正されるFDG−PETスキャン(頭蓋底から大腿部中位まで)が実施された。患者はFDGを370−740MBq(10−20 mCi)静脈内投与された(注入放射能は現地の治療やスキャナーの種類に依存)(Shankar等, (2006), J Nucl Med 47, 1059-66)。(FDGの)標準化された(腫瘍への)取り込み値(standardized uptake value)の最も大きな値(SUVmax)を後から算出するため、投与放射能、FDG投与時刻、及びスキャン検査当日の体重が記録された。FDG投与後約1時間で、全身のPETスキャン(頭蓋底から大腿部)及び/又は頭頚部のみのスキャンが行われた。初回及びフォローアップスキャンは同じ方法で行われ、特にFDG投与とスキャニングの間隔ができるだけ同じになるよう注意が払われた。
低線量の透過型CTスキャンによる放射スキャンの補正が可能となるよう、(PET専用装置ではなく)PET/CTスキャナーをできる限り使用した。
スキャン読影
経験豊かな読影者がPET/CTスキャンを視覚的に解釈し、読影し、定性的に比較を行った。ある患者は探索的なFDG−PET反応評価のためにPETスキャンを少なくとも2回受けなければならなかった。以下の式に従い、SUVmaxによって腫瘍への取り込みが半定量的に解析された。
SUVmax=[腫瘍内の放射性トレーサーの最大濃度(kBq/mL;μCi/mL)x 体重(kg)]/投与量(MBq;mCi)
SUVmaxの変化が算定された。腫瘍反応評価には、欧州癌研究治療機関(EORTC)の反応基準を採用した(Young等, (1999), Eur J Cancer 35, 1773-82)。
統計的考察
ベースラインからベースライン後の腫瘍評価(2週時点)までのSUVの変化率と、ベースライン時に得られた腫瘍生検標本におけるCD16+細胞の染色との相関関係を、スピアマンの順位相関係数を用いて判定した。
結果
2週時点の腫瘍反応とベースライン・バイオマーカーの相関分析は、<ge−huMabEGFR>で治療した患者群において、CD16に対して陽性染色された腫瘍浸潤細胞数の増加がSUVmaxの大幅な減少に比例していることを示した(r=−0.57,p=0.04,n=13;図3参照)。セツキシマブで治療した患者群においては、相関関係は何ら認められない(図3)。

Claims (21)

  1. ADCC増強抗体を用いた治療に対する癌患者の反応予測方法であって、治療前の患者の腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度を測定することと、CD16+細胞の前記浸潤度を基準レベルと比較することとを含み、CD16+細胞の浸潤度が基準レベルより高い場合、該治療の臨床効果が期待できる患者であることを示唆する、反応予測方法。
  2. 方法がインビトロ法であって、治療前の患者から採取された腫瘍試料におけるCD16+細胞の前記浸潤度を測定する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記基準レベルが、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記基準レベルが、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取された腫瘍試料でインビトロ測定される、請求項4に記載の方法。
  5. 該治療の臨床効果が期待できる患者のCD16+細胞浸潤度が基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高い、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記癌が結腸直腸癌、非小細胞肺癌、及び頭頚部扁平上皮癌から成る群より選択される、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記ADCC増強抗体が、対応する糖鎖非操作型抗体と比較して、Fc領域に増加した割合の非フコシル化オリゴ糖を含む糖鎖操作された抗体である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記ADCC増強抗体が、a)重鎖可変ドメインに配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、及び配列番号4のCDR3、並びに、b)軽鎖可変ドメインに配列番号5のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号7のCDR3を含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 腫瘍におけるCD16+細胞の浸潤度を検出するキットであって、i)CD16+細胞浸潤度を検出するための一つ以上の化合物と、ii)請求項1から8に記載の方法に従って前記キットを使用するための取扱説明書とを含むキット。
  10. キットがインビトロ用途であって、CD16+細胞の前記浸潤度がADCC増強抗体を用いた治療前の癌患者から採取された腫瘍試料で検出される、請求項9に記載のキット。
  11. 患者の癌の治療に使用するADCC増強抗体であって、i)患者の腫瘍におけるCD16+細胞浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ投与される、ADCC増強抗体。
  12. CD16+細胞の腫瘍における前記浸潤度が、治療前に患者から採取された腫瘍試料でインビトロ測定される、請求項11に記載のADCC増強抗体。
  13. 前記基準レベルが、治療による臨床効果が無い患者群の腫瘍内CD16+細胞浸潤度の代表値である、請求項11又は12に記載のADCC増強抗体。
  14. 前記基準レベルが、治療による臨床効果が無い患者から治療前に採取された腫瘍試料でインビトロ測定される、請求項11から13の何れか一項に記載のADCC増強抗体。
  15. 前記ADCC増強抗体が、基準レベルより少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍高いCD16+細胞浸潤度を有する患者に投与される、請求項11から14の何れか一項に記載のADCC増強抗体。
  16. 前記癌が結腸直腸癌、非小細胞肺癌、及び頭頚部扁平上皮癌から成る群より選択される、請求項11から15の何れか一項に記載のADCC増強抗体。
  17. 前記ADCC増強抗体が、対応する糖鎖非操作型抗体と比較して、Fc領域に増加した割合の非フコシル化オリゴ糖を含む糖鎖操作された抗体である、請求項11から16の何れか一項に記載のADCC増強抗体。
  18. 前記ADCC増強抗体が、a)重鎖可変ドメインに配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、及び配列番号4のCDR3、並びに、b)軽鎖可変ドメインに配列番号5のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号7のCDR3を含むヒト化IgG1サブクラスの抗EGFR抗体である、請求項11から17の何れか一項に記載のADCC増強抗体。
  19. 患者の癌の治療方法であって、i)患者の腫瘍内CD16+細胞の浸潤度が治療前に測定され、ii)CD16+細胞浸潤度が基準レベルと比較され、且つ、iii)基準レベルより高いCD16+細胞浸潤度を有する患者へ、ADCC増強抗体が投与される、治療方法。
  20. 腫瘍への治療前CD16+細胞浸潤度が基準レベルより高い癌患者に対する治療用のADCC増強抗体を含む医薬組成物。
  21. 明細書に記載されている発明。
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