JP2015509000A - Hcvポリメラーゼ複合体の結晶構造および使用方法 - Google Patents
Hcvポリメラーゼ複合体の結晶構造および使用方法 Download PDFInfo
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Abstract
本開示は、HCV RNAポリメラーゼ、およびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶形態および結晶構造を含む。他の実施形態では、本開示は、相同タンパク質を同定するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの機能をモジュレートし得る薬剤をデザインまたは同定するために、結晶構造および構造座標を使用する方法を提供する。
Description
関連出願への相互参照
本願は、2012年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/586,584号の優先権の利益を主張し、この出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
本願は、2012年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/586,584号の優先権の利益を主張し、この出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
発明の背景
発明の分野
世界で推定1億8,000万人の人々が、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。これらのおよそ80%が慢性肝疾患を発症し、かなりのサブセットが肝臓の硬変症に進行し、最終的に死亡する(Lavanchy(2009年)Liver Int. 29巻(補遺1):74〜81頁)。HCVは、小型の一本鎖プラスセンスRNAウイルスであり、デングウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルスおよびウエストナイルウイルスと同様、フラビウイルス科(Flaviviridae)のウイルスの一員である。上記ウイルスがコードするHCVポリタンパク質のC末端において見出される約590アミノ酸の66kDaタンパク質である非構造5B(NS5B)タンパク質は、必要なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の機能性を提供する(Peninら(2004年)Hepatology 39巻:5〜19頁)。このポリメラーゼは、上記ウイルスによって提供される初期プラス鎖RNA鋳型からこのポリメラーゼが合成する中間のマイナス鎖RNAを使用することによって、ウイルス粒子へのキャプシド形成のためのプラス鎖RNAを生成する。GTP依存性のde novo開始は、in vivoでのヌクレオチド重合の好ましい様式である7。
遺伝子型1a、1b、2aおよび2bをカバーする、HCV NS5Bのほぼ100の結晶構造が報告されているが、全ての構造がC末端の膜アンカー尾部を欠いている4。HCV NS5Bは、容易に認識される「フィンガー」、「パーム」および「サム」ドメインと共に、多数のポリメラーゼに共通する「右手」形状を示す8〜10。成長するRNAプライマー−鋳型対との複合体の野生型HCVポリメラーゼの高分解能結晶構造を取得するための大規模な努力は不首尾であると証明されたが、非生産的コンフォメーションのポリウリジン鋳型を有する構造が報告されている11。NS5BおよびHIV−1逆転写酵素12の結晶構造の重ね合わせは、HCV伸長に関する最初期のモデルを提供した8〜10。しかし、サムドメインの残基442〜454に及ぶβ−ヘアピンループおよびC末端リンカーは、伸長に必要な出口(egress)を遮断し、HIV−1 RTで観察されたのと同様に、サムドメインは、RNAの存在下で移動すると予測された8、9。GTPおよび鋳型とのバクテリオファージΦ−6ポリメラーゼの開始複合体13に対する類似から、このβ−ヘアピンループのTyr448は、de novo開始の間の開始GTPに対してスタックし得る。結晶構造は、分子の作用機構に関する構造情報を提供する。
発明の分野
世界で推定1億8,000万人の人々が、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。これらのおよそ80%が慢性肝疾患を発症し、かなりのサブセットが肝臓の硬変症に進行し、最終的に死亡する(Lavanchy(2009年)Liver Int. 29巻(補遺1):74〜81頁)。HCVは、小型の一本鎖プラスセンスRNAウイルスであり、デングウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルスおよびウエストナイルウイルスと同様、フラビウイルス科(Flaviviridae)のウイルスの一員である。上記ウイルスがコードするHCVポリタンパク質のC末端において見出される約590アミノ酸の66kDaタンパク質である非構造5B(NS5B)タンパク質は、必要なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の機能性を提供する(Peninら(2004年)Hepatology 39巻:5〜19頁)。このポリメラーゼは、上記ウイルスによって提供される初期プラス鎖RNA鋳型からこのポリメラーゼが合成する中間のマイナス鎖RNAを使用することによって、ウイルス粒子へのキャプシド形成のためのプラス鎖RNAを生成する。GTP依存性のde novo開始は、in vivoでのヌクレオチド重合の好ましい様式である7。
遺伝子型1a、1b、2aおよび2bをカバーする、HCV NS5Bのほぼ100の結晶構造が報告されているが、全ての構造がC末端の膜アンカー尾部を欠いている4。HCV NS5Bは、容易に認識される「フィンガー」、「パーム」および「サム」ドメインと共に、多数のポリメラーゼに共通する「右手」形状を示す8〜10。成長するRNAプライマー−鋳型対との複合体の野生型HCVポリメラーゼの高分解能結晶構造を取得するための大規模な努力は不首尾であると証明されたが、非生産的コンフォメーションのポリウリジン鋳型を有する構造が報告されている11。NS5BおよびHIV−1逆転写酵素12の結晶構造の重ね合わせは、HCV伸長に関する最初期のモデルを提供した8〜10。しかし、サムドメインの残基442〜454に及ぶβ−ヘアピンループおよびC末端リンカーは、伸長に必要な出口(egress)を遮断し、HIV−1 RTで観察されたのと同様に、サムドメインは、RNAの存在下で移動すると予測された8、9。GTPおよび鋳型とのバクテリオファージΦ−6ポリメラーゼの開始複合体13に対する類似から、このβ−ヘアピンループのTyr448は、de novo開始の間の開始GTPに対してスタックし得る。結晶構造は、分子の作用機構に関する構造情報を提供する。
Lavanchy(2009年)Liver Int. 29巻(補遺1):74〜81頁
Peninら(2004年)Hepatology 39巻:5〜19頁
従って、HCV感染症およびHCVポリメラーゼ活性に関連する他の疾患に有用な新規治療剤を同定する必要性がなお存在する。成長するRNAプライマー−鋳型との複合体の野生型HCVポリメラーゼの高分解能結晶構造は、HCV RNAポリメラーゼおよびHCV感染の阻害剤のデザインにおいて有用である。
発明の要旨
従って、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶形態および結晶構造を包含する。他の態様では、本開示は、相同タンパク質を同定するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの機能をモジュレートし得る薬剤をデザインまたは同定するために、結晶構造および構造座標を使用する方法を提供する。本開示は、本明細書に記載されるように、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの少なくとも一部分の構造座標から導出される点の3次元立体配置ならびに構造的に等価な立体配置もまた包含する。この3次元立体配置は、基質に結合していない場合または基質に結合した場合のHCV RNAポリメラーゼ活性部位を定義する複数のアミノ酸の位置を表す構造座標から導出される点を含む。
従って、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶形態および結晶構造を包含する。他の態様では、本開示は、相同タンパク質を同定するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの機能をモジュレートし得る薬剤をデザインまたは同定するために、結晶構造および構造座標を使用する方法を提供する。本開示は、本明細書に記載されるように、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの少なくとも一部分の構造座標から導出される点の3次元立体配置ならびに構造的に等価な立体配置もまた包含する。この3次元立体配置は、基質に結合していない場合または基質に結合した場合のHCV RNAポリメラーゼ活性部位を定義する複数のアミノ酸の位置を表す構造座標から導出される点を含む。
同様に、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼに対して構造的に相同な分子または分子複合体の構造座標から導出される点の拡張可能な3次元立体配置ならびに構造的に等価な立体配置もまた包含する。構造的に相同な分子または分子複合体は、本明細書で定義される。有利なことに、構造的に相同な分子は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標を使用して、本開示の方法に従って同定することができる。
本開示に従う構造座標から導出される空間中の点の立体配置は、例えば、ホログラフィー画像、ステレオ図、モデルまたはコンピュータ表示画像として可視化され得、従って本開示は、かかる画像、図またはモデルを含む。
結晶構造および構造座標は、例えば、関連分子の構造情報を取得するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートする薬剤を同定およびデザインするための方法において使用され得る。
HCV RNAポリメラーゼの座標は、表1に提供される。RNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの座標は、表2および3に提供される。
発明の詳細な説明
定義
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬などに限定されず、それ自体変動し得ると理解すべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、本特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。
定義
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬などに限定されず、それ自体変動し得ると理解すべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、本特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。
本明細書および本特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数形の言及を包含する。操作例(operating example)における場合以外、または特段示した場合以外、本明細書で使用される成分の量または反応条件を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されると理解すべきである。用語「約」は、百分率と併せて使用する場合、±1%を意味し得る。
同定された全ての特許および他の刊行物は、例えば、本発明と関連して使用され得るかかる刊行物に記載された方法論を記述および開示する目的のために、参照によって本明細書に明確に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日前のその開示のためにのみ提供される。これに関して、何物も、先行の発明を理由としてまたは任意の他の理由のために、本発明者らがかかる開示に先行する権利を与えられないことの承認として解釈すべきではない。日付に関する主張またはこれらの文献の内容に関する提示の全ては、出願人に入手可能な情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関していずれの承認も構成しない。
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
アミノ酸は、「1文字」記号または「3文字」記号のいずれかによって表される。
特に記載されない限り、以下の定義が本明細書で使用される:
用語「HCV RNAポリメラーゼ」または「RdRp」は、本明細書で使用する場合、RNA分子に結合することが可能でRNAを合成する任意のネイティブの(native)(天然に存在するものであれ合成であれ)C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドを指す。上記ウイルスがコードするHCVポリタンパク質のC末端において見出される約590アミノ酸の66kDaタンパク質である非構造5B(NS5B)タンパク質は、必要なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)機能性を提供する6。このポリメラーゼは、上記ウイルスによって提供される初期プラス鎖RNA鋳型からこのポリメラーゼが合成する中間のマイナス鎖RNAを使用することによって、ウイルス粒子へのキャプシド形成のためのプラス鎖RNAを生成する。GTP依存性のde novo開始は、in vivoでのヌクレオチド重合の好ましい様式である。用語「野生型HCV RNAポリメラーゼ」は一般に、天然に存在するHCV RNAポリメラーゼに見出されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、天然に存在する短縮形態または分泌形態、およびバリアント形態が含まれる。
遺伝子型2a分離株JFH1(2a JFH1)の完全プロテオーム配列は、UniprotデータベースQ99IB8に見出される。遺伝子型2aの完全タンパク質配列は、約3033アミノ酸である。野生型HCV RNAポリメラーゼの参照配列は、C末端における約590アミノ酸に関係する。アラインメント中に示されるような、本明細書で同定されるアミノ酸位置の番号付けの目的のための配列番号付けは、以下の表8に示されるように、開始配列SMSYとのアラインメントに基づく。遺伝子型2a HCV RNAポリメラーゼについて、開始アミノ酸1は、アミノ酸位置2443において見出され、終末アミノ酸は、Q99IB8に示される配列の3033位において見出され、本明細書で使用される場合アミノ酸位置590に対応する。当業者は、表8に提供されるアラインメントを参照して、対応するアミノ酸残基を容易に決定することができる。HCV RNAポリメラーゼ2a遺伝子型の配列番号付けは、配列番号1の番号付けに従う。異なる遺伝子型のHCV由来のHCV RNAポリメラーゼが公知である。これらの配列のアラインメントは表8に示される。
HCV RNAポリメラーゼ遺伝子型2a分離株JFH1の参照配列は、配列番号1の配列である。HCV RNAポリメラーゼ1b BKの参照配列は、配列番号2の配列である。
表8に提示される残りの配列は以下である:
「HCV RNAポリメラーゼバリアント」とは、本明細書で使用する場合、参照ポリペプチドとは異なる配列を有するポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、この参照ポリペプチドは、配列番号1または2を含むHCV RNAポリメラーゼである。バリアントには、「天然に存在しない」バリアントが含まれる。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号1または2のアミノ酸配列に対し、少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する。これらのバリアントには、置換、付加または欠失を有するポリペプチドが含まれる。いくつかの実施形態では、このHCV RNAポリメラーゼは、配列番号3のHCV RNAポリメラーゼ遺伝子型2aのアミノ酸444〜453に対応するβヘアピン残基の欠失を有する。他の実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、少なくとも20〜30アミノ酸の欠失のように、C末端ペプチド膜結合領域を欠く。いくつかの実施形態では、バリアントは、その分子の溶解度を増強するアミノ酸置換などの、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号1、2、3または4のアミノ酸配列を有するHCV RNAポリメラーゼの47位、86位、87位、114位に対応するアミノ酸位置およびそれらの混合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ活性の阻害剤に対する抵抗性と関連するアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、アミノ酸位置282においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、15位、223位、321位およびそれらの混合からなる群から選択されるアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、活性部位残基の1つまたは複数においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160およびSer282ならびにそれらの混合からなる群から選択されるアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、これらのバリアントは、野生型HCV RNAポリメラーゼの生物学的活性と比較して、増加したRNAポリメラーゼ活性を有する。
通常、HCV RNAポリメラーゼバリアントポリペプチドは、配列番号1または2を含むアミノ酸配列を含むHCV RNAポリメラーゼポリペプチドに対し、少なくとも80%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも81%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも82%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも83%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも84%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも86%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも87%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも88%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも89%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも91%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも92%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも93%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも94%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも96%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
用語「活性部位」は、本明細書で使用する場合、その形状、静電的電荷の分布、水素結合アクセプターもしくは水素結合ドナーの提示、および/または非極性領域の分布の結果としてRNA鋳型プライマー分子と有利に会合する、分子または分子複合体の領域を指す。従って、活性部位は、ドメイン間の窪み、表面もしくは界面などの特徴を含み得るまたはそれらからなり得る。構造活性部位は、3次元構造の試験から決定されるような「接触した」アミノ酸残基を含み得る。「接触」は、原子のファンデルワールス半径を使用して、あるいはリガンドと分子または分子複合体との間の空間から、溶媒、典型的には水を排除するのに十分な接近によって、決定することができる。いくつかの実施形態では、RNA鋳型分子と接触したHCV RNAポリメラーゼ残基は、RNA鋳型分子の核酸残基の約5Å以内に1つの原子を有する残基である。あるいは、「接触した」残基は、少なくとも約10Å、より好ましくは少なくとも約50Å〜約300Åの、溶媒露出表面積(solvent accessible surface area)の喪失を有する残基であり得る。溶媒露出表面の喪失は、LeeおよびRichards(J. Mol. Biol.、1971年、2月14日;55巻(3号):379〜400頁)の方法および当業者に公知の類似のアルゴリズムによって決定することができる。
「接触した」アミノ酸残基のいくつかは、別のアミノ酸型で置換された場合、機能的結合部位を定義するために使用される生化学アッセイ、細胞ベースのアッセイまたはin vivoアッセイにおいていずれの変化も引き起こさない可能性があるが、3次元構造の形成に寄与し得る。機能的結合部位には、RNAポリメラーゼ活性の増加またはRNAポリメラーゼ阻害剤に対する抵抗性の減少などの機能喪失または機能獲得に基づいて活性部位残基として同定されたアミノ酸残基が含まれる。いくつかの実施形態では、機能的結合部位のアミノ酸残基は、構造的結合部位のアミノ酸残基のサブセットである。
用語「HCV RNAポリメラーゼ活性部位」は、RNA鋳型プライマー分子と有利に会合し得るHCV RNAポリメラーゼの領域を指す。用語活性部位は、本明細書で使用する場合、取り込むヌクレオチドに産物を連結するリン酸結合ならびに後継RNA鋳型鎖および流出(outgoing)RNAダイマー鎖を安定化する残基の触媒および形成を実施する領域を含む。HCV NS5Bの活性部位は、タンパク質の中心に存在し、この酵素の3つ全てのサブドメイン「フィンガー」、「サム」および「パーム」によって提供されるエレメントによって形成される。活性部位の残基のいくつかは本明細書に記載される。活性部位は、「サム」サブドメインβ−ヘアピンループによって提供されるde novo開始に重要なエレメント(Tyr448)が、活性部位から離れて移動するように必然的に変形し、それにより、伸長(RNA産物鎖の成長)が開始させる。2つの金属イオンMg+2またはMn+2は、ホスフェート骨格の形成を触媒し、Asp318、Asp319、Asp220およびThr221によりそれらの活性部位が安定化される。Arg158は、出だしのジホスフェート脱離基を安定化することによって、触媒において役割を果たす。Asp225は、リボースの2’OHおよび3’OHと相互作用して、おそらくRNA娘鎖への付加のための適切な結合ポケットへと上記ヌクレオチドを方向付けるようである。さらに、Ile160は、上記ポリメラーゼによって後継ヌクレオチドが対合されている鋳型鎖ヌクレオチドの塩基(プリンまたはピリミジン)部分と共に、後継ヌクレオチドの塩基(プリンまたはピリミジン)部分と直接相互作用する唯一の残基であるようである。最後に、2’Meヌクレオチドクラスに対する抵抗性の発生の際にスレオニンに変異し得るSer282は、Arg158およびIle160の両方を活性部位に提示するフィンガーループの安定化において構造的役割を果たすようである。
「構造的に等価な活性部位」は、HCV RNAポリメラーゼの活性部位を形成するアミノ酸の骨格原子の構造座標から、最大でも約0.70Å、好ましくは約0.5Åの根平均二乗偏差によって定義される。
「結晶」は、本明細書で使用する場合、3次元で周期的に反復するパターンで原子が配置され、典型的には格子を形成する、物質の固体状態の1形態を指す。「相補的または相補体」は、本明細書で使用する場合、例えば空間、電荷、3次元立体配置などを包含する、相互作用を可能にする2つの分子間のフィットまたは関係を意味する。
用語「対応する(corresponding)」または「対応する(corresponds)」とは、アミノ酸の位置または配列が参照配列とアラインされる場合に、配列中の同じ位置(単数または複数)において見出されるアミノ酸残基またはアミノ酸配列を指す。いくつかの実施形態では、この参照配列は、配列番号1または2の配列を有するHCV RNAポリメラーゼの断片である。アミノ酸の位置または配列が参照配列とアラインされる場合、アミノ酸の番号付けは、参照配列のものとは異なり得ることが理解される。
「重原子誘導体」は、本明細書で使用する場合、Hg、Au、Se、Seメチオニンまたはハロゲンなどの重原子を用いて結晶を化学的に改変することによって生成する誘導体を意味する。
本明細書で使用されるHCV RNAポリメラーゼの「構造ホモログ」は、そのネイティブのコンフォメーションに折り畳まれた場合に、HCV RNAポリメラーゼの3次(3次元)構造の少なくとも一部分を示すまたは示すと合理的に予測される、アミノ酸配列に関する1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、付加または再配列を含むタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、3次元構造の一部分は、容易に認識される「フィンガー」、「パーム」および「サム」ドメインと共に、多くのポリメラーゼに共通する「右手」形状を含む、HCV RNAポリメラーゼの構造ドメインを指す8〜10(図10a)。例えば、構造的に相同な分子は、ループまたはドメインなどの、1つまたは複数の連続または非連続アミノ酸の置換、欠失または付加を有し得る。構造的に相同な分子には、側鎖改変、骨格改変、ならびにアセチル化、ヒドロキシル化、メチル化、アミド化を含むN末端およびC末端改変、ならびに炭水化物部分または脂質部分、補因子の結合などの改変を含む、1つまたは複数の構成アミノ酸において化学的または酵素的に誘導体化された「改変された」HCV RNAポリメラーゼ分子もまた含まれる。
「RNA鋳型プライマー分子」は、本明細書で使用する場合、HCV RNAポリメラーゼの活性部位と会合する単一のリボヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、RNA鋳型プライマー分子は、鋳型鎖およびプライマー鎖の両方を含む。対称RNA鋳型分子には、表5に示されるものなどの、4、6および8塩基対のリボ核酸が挙げられる。例えば、RNA54では、RNA鋳型プライマー分子は、プライマー鎖(stand)および鋳型鎖;5’−UACCGd−3’鋳型鎖および3’−dGCCAU−5’プライマー鎖の両方を含む、部分的に二本鎖である。融合鋳型ヘアピンRNA構築物は、約10〜25リボヌクレオチドを有する。融合プライマー鋳型ヘアピンは、ヘアピン構造の形成を可能にする少なくとも4つのリボヌクレオチドによって分離された、3、5、6、7または9個連続するシトシンおよびグアノシンを含む。融合プライマー鋳型ヘアピンの特定の実施形態は、表5に示される。対称および非対称の両方のRNA鋳型プライマー分子が、本明細書に記載される。
「分子複合体」は、本明細書で使用する場合、RNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの組合せを指す。いくつかの実施形態では、分子複合体は、HCV RNAポリメラーゼ、RNA鋳型およびRNA産物鎖を包含する。
「機械可読データ記憶媒体」は、本明細書で使用する場合、機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を意味し、ここで、機械は、かかるデータを使用するための命令がプログラムされ、所望の形式で、例えば分子または分子複合体のグラフィカル3次元描写で、データを表示することが可能である。
「拡張可能な」は、本明細書で使用する場合、本質的に同じ角度を維持しながらの、スカラー因子による座標(点の立体配置)間の距離の増加または減少を意味する。
「空間群対称性」は、本明細書で使用する場合、結晶格子の並進対称性を点群対称性と組み合わせる結晶の全体的対称性を意味する。空間群は、点群記号が後に続く格子型を同定する大文字(P、A、Fなど)によって指定され、ここで、回転要素および反射要素は、らせん軸および映進面を含むように拡張される。所与の空間群についての点群対称性は、空間群の格子センタリング記号を除去し、類似の回転軸によって全てのらせん軸を置き換え、鏡映面によって全ての映進面を置き換えることによって決定することができることに留意されたい。空間群についての点群対称性は、その逆格子の真の対称性を記述する。
「単位格子」は、本明細書で使用する場合、規則的な反復パターンで配置された結晶中の原子を意味し、ここで、最小の反復単位は単位格子と呼ばれる。構造全体は、3つの長さ(a、bおよびc)および3つの角度(α、βおよびγ)によって特徴付けられる単位格子の知見から再構築することができる。量aおよびbは、格子の底面の辺の長さであり、γは、これら2つの辺間の角度である。量cは、単位格子の高さである。角度αおよびβは、単位格子の底面と垂直方向の面との間の角度を記述する。
「X線回折パターン」は、結晶中の分子または原子の周期的アセンブリのX線散乱から取得されるパターンを意味する。X線結晶学は、X線が結晶によって回折されるという事実を利用する技術である。X線は、匹敵するサイズの原子の電子雲によって散乱される適切な波長(オングストローム(Å)範囲、およそ10−8cm)を有する。結晶中の分子または原子の周期的アセンブリのX線散乱から取得された回折パターンに基づき、電子密度を再構築することができる。さらなる位相情報は、回折データから、または再構築(結晶学における位相問題)を完了するための、補足的回折実験のいずれかから抽出することができる。次いで、モデルが実験的電子密度へと漸進的に構築され、データに対して精密化されて、正確な分子構造が生成される。
X線構造座標は、空間中の点の独自の立体配置を定義する。当業者は、タンパク質もしくはタンパク質/リガンド複合体またはそれらの一部分に関する構造座標のセットが、次に3次元の立体配置を定義する、点の相対的セットを定義することを理解している。類似または同一の立体配置は、座標間の距離および角度が本質的に同じままであることを条件として、完全に異なるセットの座標によって定義することができる。さらに、点の立体配置は、本質的に同じ角度を維持しながら、スカラー因子により座標間の距離を増加または減少させることによって定義することができる。
「結晶構造」は一般に、結晶材料中の反復する原子単位または分子単位の3次元または格子空間配置を指す。結晶材料の結晶構造は、X線結晶学的方法によって決定され得、例えば、Jan Drenthによる「Principles of Protein X−Ray Crystallography」、Springer Advanced Texts in Chemistry、Springer Verlag;第2版、1999年2月、ISBN:0387985875、およびAlexander McPhersonによる「Introduction to Macromolecular Crystallography」、Wiley−Liss、2002年10月18日、ISBN:0471251224を参照のこと。
発明を実施するための様式:
発明を実施するための様式:
従って、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶形態および結晶構造を包含する。いくつかの実施形態では、分子複合体は、HCV RNAポリメラーゼ、RNA鋳型およびRNA産物鎖を包含する。他の態様では、本開示は、相同タンパク質を同定するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの機能をモジュレートし得る薬剤をデザインまたは同定するために、結晶構造および構造座標を使用する方法を提供する。
本開示は、本明細書に記載されるように、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの少なくとも一部分の構造座標から導出される点の3次元立体配置ならびに構造的に等価な立体配置もまた包含する。この3次元立体配置は、基質に結合していない場合または基質に結合した場合のHCV RNAポリメラーゼ活性部位を定義する複数のアミノ酸の位置を表す構造座標から導出される点を包含する。同様に、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼに対して構造的に相同な分子または分子複合体の構造座標から導出される点の拡張可能な3次元立体配置ならびに構造的に等価な立体配置もまた包含する。構造的に相同な分子または分子複合体は、以下に定義される。
有利なことに、構造的に相同な分子は、本開示の方法に従って、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標を使用して同定することができる。本開示に従う構造座標から導出される空間中の点の立体配置は、例えば、ホログラフィー画像、ステレオ図、モデルまたはコンピュータ表示画像として可視化され得、従って本開示は、かかる画像、図またはモデルを含む。
結晶構造および構造座標は、例えば、関連分子の構造情報を取得するため、ならびにHCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートする薬剤を同定およびデザインするための方法において使用することができる。
HCV RNAポリメラーゼの座標は、表1に提供される。RNA鋳型プライマー鎖との複合体のHCV RNAポリメラーゼの座標は、表2および表3に提供される。
1.HCV RNAポリメラーゼポリペプチド、バリアントおよびこのポリメラーゼポリペプチドをコードする核酸
HCV RNAポリメラーゼポリペプチド
1.HCV RNAポリメラーゼポリペプチド、バリアントおよびこのポリメラーゼポリペプチドをコードする核酸
HCV RNAポリメラーゼポリペプチド
本開示は、HCV RNAポリメラーゼポリペプチドの記載を提供する。HCV RNAポリメラーゼとは、RNA分子に結合することが可能でRNAを合成する任意のネイティブの(天然に存在するものであれ合成であれ)C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドを指す。ウイルスがコードするHCVポリタンパク質のC末端において見出される約590アミノ酸の66kDaタンパク質である非構造5B(NS5B)タンパク質は、必要なRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)機能性を提供する6。このポリメラーゼは、ウイルスによって提供される初期プラス鎖RNA鋳型からこのポリメラーゼが合成する中間のマイナス鎖RNAを使用することによって、ウイルス粒子へのキャプシド形成のためのプラス鎖RNAを生成する。GTP依存性のde novo開始は、in vivoでのヌクレオチド重合の好ましい様式である。野生型HCV RNAポリメラーゼは一般に、天然に存在するHCV RNAポリメラーゼに見出されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、天然に存在する短縮形態または分泌形態、およびバリアント形態が挙げられる。野生型HCV RNAポリメラーゼの1例は、配列番号1または2のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
HCV遺伝子型の異なる遺伝子型由来のHCV RNAポリメラーゼが公知である。表8中のアラインメントは、保存されたアミノ酸位置および変動するアミノ酸位置を示す。変動するアミノ酸位置は、機能的活性が変化するという予測なしに、変化し得る。他のHCV RNAポリメラーゼ配列は、HCV RNAポリメラーゼの全てに結合し得るまたはそれを阻害し得るRNA鋳型分子を同定するために、本明細書に記載される相同性モデリングにおいて使用することができる。
HCV RNAポリメラーゼの活性は、当業者によって決定することができ、阻害剤の存在下または非存在下においてRNA合成活性を決定するための方法をが挙げられる。
HCV RNAポリメラーゼバリアント
HCV RNAポリメラーゼバリアント
本開示の1態様では、本開示は、HCV RNAポリメラーゼバリアントを記載する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有する単離されたバリアントHCV RNAポリメラーゼを提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。他の実施形態では、このHCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントは、配列番号8の配列を有する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有する単離されたバリアントHCV RNAポリメラーゼを提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号2または4のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型1bと比較して、増加したRNA合成活性を有する。他の実施形態では、このHCV遺伝子型1b RNAポリメラーゼバリアントは、配列番号5、6または7の配列を有する。
HCV RNAポリメラーゼバリアントとは、参照ポリペプチドとは異なる配列を有するポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、この参照ポリペプチドは、配列番号1または2を含むHCV RNAポリメラーゼである。バリアントには、「天然に存在しない」バリアントが含まれる。これらのバリアントには、置換、付加または欠失を有するポリペプチドが含まれる。
いくつかの実施形態では、このHCV RNAポリメラーゼは、配列番号3のHCV RNAポリメラーゼ遺伝子型2aまたは配列番号4のHCV RNAポリメラーゼ遺伝子型1bのアミノ酸442〜454に対応するβヘアピン残基の欠失を有する。
他の実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、少なくとも20〜30アミノ酸のC末端ペプチドの欠失のように、膜結合領域を欠く。
いくつかの実施形態では、バリアントは、分子の溶解度を増強するアミノ酸置換などの、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号1、2、3または4のアミノ酸配列を有するHCV RNAポリメラーゼの47位、86位、87位、114位に対応するアミノ酸位置およびそれらの混合からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ活性の阻害剤に対する抵抗性と関連するアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、アミノ酸位置282においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、15位、223位、321位およびそれらの混合からなる群から選択されるアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。
いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、活性部位残基の1つまたは複数においてアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、バリアントHCV RNAポリメラーゼは、Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160およびSer282ならびにそれらの混合からなる群から選択されるアミノ酸位置においてアミノ酸置換を有する。
いくつかの実施形態では、これらのバリアントは、野生型HCV RNAポリメラーゼの生物学的活性と比較して、増加したRNAポリメラーゼ活性を有する。いくつかのバリアントHCV RNAポリメラーゼが表4に示される。
通常、HCV RNAポリメラーゼバリアントポリペプチドは、配列番号1または2を含むアミノ酸配列を含むHCV RNAポリメラーゼポリペプチドに対し、少なくとも80%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも81%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも82%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも83%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも84%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも86%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも87%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも88%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも89%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも91%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも92%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも93%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも94%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも96%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも97%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有し、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
バリアントは、合成手段または組換え手段によって調製することができる。アミノ酸の置換、欠失および挿入などの変化を導入するための方法は、当業者に公知である。
HCV RNAポリメラーゼ核酸
HCV RNAポリメラーゼ核酸
1態様では、本開示は、HCV RNAポリメラーゼポリペプチドおよびバリアントをコードする核酸を記載する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するHCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントをコードする単離された核酸を提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。他の実施形態では、この単離されたHCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントは、配列番号8の配列を有する。
別の態様では、本開示は、HCV RNAポリメラーゼポリペプチドおよびバリアントをコードする核酸を記載する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するHCV遺伝子型1b RNAポリメラーゼバリアントをコードする単離された核酸を提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号2または4のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型1bと比較して、増加したRNA合成活性を有する。他の実施形態では、この単離されたHCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントは、配列番号5、6または7の配列を有する。
HCV RNAポリメラーゼをコードする核酸配列は、種々のHCV遺伝子型を形成し、公知であり、かつGenBankなどのデータベースにおいて容易に入手可能である。かかるポリペプチドを調製するためのベクターおよび方法が、本明細書に記載される。HCV RNAポリメラーゼのバリアントを調製する方法は、例えば、部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、PCRベースの変異誘発などの標準的方法を使用して実施することができる。
融合タンパク質
融合タンパク質
HCV RNAポリメラーゼポリペプチド、バリアントまたはその構造ホモログもしくは一部分は、異種ポリペプチドまたは化合物に融合することができる。この異種ポリペプチドは、HCV RNAポリメラーゼの機能とは異なる機能を有するポリペプチドである。異種ポリペプチドの例には、キャリアとして作用し得る、半減期を延長し得る、エピトープタグとして作用し得る、および融合タンパク質を検出または精製する方法を提供し得る、ポリペプチドが挙げられる。異種ポリペプチドには、KLH、アルブミン、サルベージ受容体結合エピトープ、免疫グロブリン定常領域およびペプチドタグが挙げられる。検出または精製に有用なペプチドタグには、FLAG、gDタンパク質、ポリヒスチジンタグ、インフルエンザウイルス由来のヘマグルチニン、T7タグ、Sタグ、Strepタグ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ビオチン、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質およびマルトース結合性タンパク質が挙げられる。HCV RNAポリメラーゼ、バリアントまたはその構造ホモログもしくは一部分と組み合わせることができる化合物には、放射性標識、保護基および炭水化物部分または脂質部分が挙げられる。
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
HCV RNAポリメラーゼバリアントまたはその断片は、HCV RNAポリメラーゼをコードするDNAへと適切なヌクレオチド変化を導入することによって、または所望のポリペプチドバリアントの合成によって、調製することができる。
本明細書に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技術を使用して取得することができる。所望のポリヌクレオチド配列は、適切な供給源細胞から単離および配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技術を使用して合成することができる。一旦取得されると、上記ポリペプチドまたはバリアントポリペプチドをコードする配列は、宿主細胞において異種ポリヌクレオチドを複製および発現することが可能な組換えベクターへと挿入される。当該分野で入手可能な公知の多くのベクターが、本発明の目的のために使用され得る。適切なベクターの選択は、ベクターへと挿入される核酸のサイズおよびそのベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現またはそれら両方)およびそのベクターが存在する特定の宿主細胞との適合性に依存して、種々の成分を含む。ベクターの構成要素には一般に、以下が挙げられるがこれらに限定されない:複製起点(特に、ベクターが原核生物細胞へと挿入される場合)、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物および転写終結配列。
一般に、宿主細胞と適合性の種から誘導されるレプリコンおよび制御配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主に関して使用される。このベクターは、複製部位、ならびに形質転換された細胞における表現型選択を提供することが可能なマーキング配列を通常保有する。例えば、有用なベクターは、pET−28aベースのベクターである。さらに、宿主微生物と適合性のレプリコンおよび制御配列を含むファージベクターが、これらの宿主に関して形質転換ベクターとして使用され得る。
特定の状況の必要性に従って、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターのいずれかが本発明において使用され得、そのことは、当業者によって確認され得る。種々の潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。
真核生物宿主細胞系もまた、当該分野において十分確立されている。無脊椎動物細胞の例には、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9などの昆虫細胞、ならびに植物および植物細胞が挙げられる。有用な哺乳動物宿主細胞系の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびCOS細胞が挙げられる。より具体的な例には、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7、ATCC CRL 1651):チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、UrlaubおよびChasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 77巻:4216頁(1980年));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.、23巻:243〜251頁(1980年));およびマウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)が挙げられる。
ポリペプチド産生
ポリペプチド産生
宿主細胞は、上記発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされ、プロモーターを誘導するため、形質転換体を選択するため、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に改変された、従来の栄養培地中で培養される。
トランスフェクションとは、任意のコード配列が実際に発現されるにしろ発現されないにしろ、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを指す。CaPO4沈殿およびエレクトロポレーションなどのトランスフェクションの多数の方法が、当業者に公知である。このベクターの作動の任意の指標が宿主細胞内で存在する場合に、首尾よいトランスフェクションが一般に認識される。
本発明のポリペプチドを産生するために使用される真核生物細胞は、当該分野で公知の、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖される。必要に応じて、この培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリスリトールおよびジチオスレイトールからなる群から選択される1つまたは複数の還元剤を含み得る。誘導性プロモーターが発現ベクターにおいて使用される場合、タンパク質発現は、このプロモーターの活性化に適した条件下で誘導される。当該分野で公知のように、使用されるベクター構築物に従って、種々の誘導因子を使用することができる。
真核生物宿主細胞は、HCV RNAポリメラーゼポリペプチドの発現に適した条件下で培養される。上記ポリペプチドを産生するために使用される宿主細胞は、種々の培地において培養することができる。市販の培地、例えば、Hamの F10(Sigma)、最小必須培地(MEM)(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Sigma)が、上記宿主細胞の培養に適している。さらに、Hamら、1979年、Meth. Enz. 58巻:44頁、Barnesら、1980年、Anal. Biochem. 102巻:255頁、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号または米国特許第5,122,469号、WO90/103430、WO87/00195および米国再発行特許第30,985号のうち1つまたは複数に記載される培地のいずれかを、上記宿主細胞のための培養培地として使用することができる。これらの培地のいずれかには、必要な場合、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリンまたは上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩およびリン酸塩)、緩衝剤(例えば、HEPES(商標))、ヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN(商標))、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)およびグルコースまたは等価なエネルギー源を補充することができる。他の補充物もまた、当業者に公知の適切な濃度で含まれ得る。培養条件、例えば温度、pHなどは、発現のために選択された上記宿主細胞と共に以前に使用された条件であり、当業者に明らかである。
宿主細胞において発現される本明細書に記載されるポリペプチドは、該宿主細胞のペリプラズムに分泌され得るおよび/またはペリプラズムから回収され得る。タンパク質回収は典型的に、一般には浸透圧ショック、超音波処理または溶解などの手段によって、微生物を破壊することを必要とする。一旦細胞が破壊されると、細胞細片または細胞全体が、遠心分離または濾過によって除去され得る。タンパク質は、例えばアフィニティ樹脂クロマトグラフィーによってさらに精製することができる。あるいは、タンパク質は、培養培地へと移送され得、そこから単離することができる。細胞は、培養物から除去され得、培養物上清が、産生されたタンパク質のさらなる精製のために濾過および濃縮され得る。発現したポリペプチドは、免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカでのまたはDEAEなどのカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばSephadex G−75を使用するゲル濾過;疎水性アフィニティ樹脂、マトリックスに固定化した適切な抗原を使用するリガンド親和性およびウエスタンブロットアッセイなどの一般に公知の方法を使用して、さらに単離および同定することができる。
産生されるポリペプチドは、さらなるアッセイおよび使用のために実質的に均質な調製物を取得するために精製することができる。当該分野で公知の標準的なタンパク質精製方法を使用することができる。以下の手順が、適切な精製手段の例示である:免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのまたはDEAEなどのカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、および例えばSephadex G−75を使用するゲル濾過。
いくつかの実施形態では、このポリペプチドは、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーによって精製される。細胞は、氷上で撹拌しながら20mM Tris、pH8.0、0.5M NaCl、2mM TCEP、5mM Mg(OAc)2、プロテアーゼ阻害剤を含む20%グリセロール、リゾチームおよびBenzonase中で溶解し、その後超音波処理する。清澄化後、可溶性タンパク質画分は、20mM Tris、pH8.0、0.5M NaCl、2mM TCEP、20%グリセロールで平衡化したNi−NTA FFカラムにロードする。タンパク質は、勾配プロトコールおよび0.5Mイミダゾールを補充した溶出緩衝液を使用して溶出する。プールした画分を収集し、10mM HEPES(pH7.5)、0.4M NaClおよび2mM TCEPで透析する。タンパク質は、より低分子の夾雑物を除去するために、50kDa MWCO Amicon Ultraフィルタで濃縮する。
2.結晶および結晶構造
2.結晶および結晶構造
別の態様では、本開示は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶形態および結晶構造を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含むHCV RNAポリメラーゼを含む結晶を提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼとRNA鋳型プライマー分子とを含むHCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体を含む結晶を提供し、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。いくつかの実施形態では、このHCV RNAポリメラーゼは、配列番号8のアミノ酸配列を有する。結晶は、組成物を形成するために、キャリアと組み合わせることができる。HCV RNAポリメラーゼの結晶は、HCV RNAポリメラーゼを保存または濃縮するための有用な手段でもあり得る。
本開示の別の態様は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼを結晶化する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HCV RNAポリメラーゼを結晶化する方法は、HCV RNAポリメラーゼ、そのバリアントまたは断片を単離するステップ、およびこのHCV RNAポリメラーゼを、結晶が形成するまで、約30%のペンタエリスリトールエトキシレート、50mM BisTris pH6.5、50mM硫酸アンモニウムと接触させるステップ、を含む。特定の実施形態では、このHCV RNAポリメラーゼは、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含み、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。
他の実施形態では、HCV RNAポリメラーゼを結晶化する方法は、a)HCV RNAポリメラーゼまたはその断片もしくはバリアントを単離するステップ;b)このHCV RNAポリメラーゼを、結晶が形成するまで、約0.2Mの酢酸アンモニウム、0.1M Bis Tris pH5.5、25% PEG 3350と接触させるステップ;およびc)この結晶をRNA鋳型プライマー分子と接触させるステップ、を含む。特定の実施形態では、このHCV RNAポリメラーゼは、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含み、このポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する。
いくつかの実施形態では、このRNA鋳型分子は、4、6、8のRNAプライマー鋳型分子またはRNAプライマーヘアピン鋳型を含む。対称RNAプライマー鋳型分子には、表5に示されるものなどの、4、6および8塩基対のリボ核酸が挙げられる。融合プライマー鋳型ヘアピンRNA構築物は、約10〜25リボヌクレオチドを有する。融合プライマー鋳型ヘアピンは、ヘアピン構造の形成を可能にする少なくとも4つのリボヌクレオチドによって分離された、3、5、6、7または9個連続するシトシンおよびグアノシンを含む。融合プライマー鋳型ヘアピンの特定の実施形態は、表5に示される。
他の実施形態では、本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼであって、P65の空間群対称性を有し、単位格子であって、aはbに等しく約140.69Åであり、cは約92.63Åであり、αはβに等しく約90°であり、γは約120°である寸法を有する単位格子を含む、結晶HCV RNAポリメラーゼを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体であって、P65の空間群対称性を有し、単位格子であって、aはbに等しく約143.27.69Åであり、cは約92.19Åまたは91.5Åであり、αはβに等しく約90°であり、γは約120°である寸法を有する単位格子を含む、結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体を提供する。
配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含むHCV RNAポリメラーゼの結晶の3次元座標は、表1に提供される。配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼとRNA鋳型プライマー分子とを含むHCV RNAポリメラーゼRNA鋳型の結晶の3次元座標は、表2および表3に提供される。用語「構造座標」とは、結晶形態にあるHCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの原子(散乱中心)による、X線の単色ビームの回折で得られるパターンに関連する数学的方程式から導出されるデカルト座標を指す。回折データは、結晶の反復単位の電子密度マップを計算するために使用される。次いで、この電子密度マップは、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの個々の原子の位置を確立するために使用される。
構造座標における僅かな変動は、HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標を数学的に操作することによって生成し得る。例えば、表1〜3に示される構造座標は、構造座標の結晶学的置換(permutation)、構造座標の分数化(fractionalization)、構造座標のセットへの整数の加算または減算、構造座標の反転、または上記の任意の組合せによって操作することができる。あるいは、アミノ酸の変異、付加、置換、欠失およびそれらの組合せに起因する結晶構造の改変、または結晶を形成する成分のいずれかにおける他の変化もまた、構造座標における変動を生じ得る。個々の座標におけるかかる僅かな変動は、全体的形状に対してほとんど影響を有さない。かかる変動が、元の座標と比較して許容可能な標準誤差内にある場合、得られた3次元形状は、構造的に等価とみなされる。構造等価性は、本明細書でより詳細に記載される。
HCV RNAポリメラーゼおよびRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの個々の構造座標における僅かな変動が、HCV RNAポリメラーゼの結合部位または他の構造形体と会合し得るリガンドなどの化学的実体の性質を有意に変更させないと予測されることに、留意すべきである。この文脈では、語句「〜と会合する」とは、リガンドまたはその一部分とHCV RNAポリメラーゼまたはその一部分との間の近接の状態を指す。上記会合は、非共有結合であり得、その場合には水素結合、ファンデルワールス力および/または静電相互作用によって近位(juxtaposition)がエネルギー的に好まれ、または該会合は共有結合であり得る。
HCV RNAポリメラーゼの構造および活性部位
HCV RNAポリメラーゼの構造および活性部位
遺伝子型2aのJFH1分離株は、細胞培養においてならびにin vivoでの効率的な複製が可能な唯一のクローニングされたHCV株である23。β−ヘアピンループがGly−Glyリンカーで置き換えられた2a JFH1 NS5Bの構築物(「2a Δ8」)は、de novo RNA合成アッセイにおいて野生型2aよりも>100倍活性が高く、thermofluor分析においてRNAを結合することが可能であり、野生型2aと比較してPSI−352666(6μM)による鎖終結について類似のIC50値を生じたことが観察された。1.8Åの全体的r.m.s.d値を有する以前に決定された2a NS5B構造23〜25と比較して実質的な構造変化を明らかにする、2a Δ8の2.5Å分解能apo結晶構造が取得された。
2a Δ8 Gly444−Gly445リンカーが秩序付けられ(ordered)、Phe551は、最後に秩序付けられた残基であった。閉鎖apo 2a構造23のパームドメインおよびフィンガードメインとapo 2a Δ8構造とのアラインメントは、サムドメインの全体的な約20°の移動を示す。β−ヘアピンループの欠如、C末端リンカー領域の無秩序(disorder)、およびサムドメインの移動が組み合わさって、ポリメラーゼの中心における大きい窪みを生成する。サムドメインの移動には、プライマーグリップヘリックスをプライマー突出部ヘリックスに接続する残基397〜412の有意な再秩序付けが伴う(図11)。特に、全ての遺伝子型にわたりde novo開始に重要であることが以前に詳述されたIle40523は、閉鎖野生型構造中のβ−ヘアピンループから12Åよりも多く移動して、プライマーバットレスヘリックスを延ばし、高度に保存されたTrp408の上部にまとまる(pack)(図11)。Trp408は、閉鎖野生型構造中のほぼ不変のPhe429の上部にスタックし、両方の残基は、2a Δ8構造内の異なる回転異性体コンフォメーションをとる。さらに、閉鎖apo構造(図11b)においてフィンガードメインのHis95と接触する高度に保存されたPro404は、apo 2a Δ8構造中のTrp397の主鎖の上部にまとまりつつ、ループ中の重要なターンを形成する(図11c)。このループの再秩序付けは、GTPを用いたde novo開始から、成長するプライマー−鋳型RNAの伸長までの移行にとって重要であり得る。apo 2a Δ8構造と他のRdRp三元複合体17〜19との比較は、この開放コンフォメーションでは、HCV NS5Bがプライマー−鋳型RNAを結合することが可能であり得ることを示唆した。
apo 2a Δ8の結晶を、対称プライマー−鋳型RNA対に浸漬し、構造を2.9Åおよび3.0Åの分解能において決定した(図12)。A形態のRNAは、得られた電子密度マップ(図12d)において容易に見分けられ、2つのRNA配列のプリン/ピリミジン対合における差を明らかに示した。両方の対称プライマー−鋳型RNA対を、3’−dGまたは2’,3’−ddCのいずれかにより強制的鎖ターミネーターとしてデザインしたので、当然、産物状態、プレ転位レジストリ(pretranslocation registry)が、両方の複合体において観察された(図3c)。核酸塩基水素結合のアクセプターもドナーもこのポリメラーゼによって認識されず、これは、ポリメラーゼによる配列非依存性認識を示す。鋳型鎖の対合するヌクレオチド(慣習により残基+1)の核酸塩基は、予測されるように9、厳密に保存されたIle160の上部にスタックするが、糖は、TyrまたはPheとして保存されるTyr162の上部にスタックする(図13a)。対合するヌクレオチドがピリミジンである場合、プライマー鎖の残基+1(後継NTPと等価)もまたIle160と共にまとまり(図13a)、プリン/ピリミジンアナログ三リン酸阻害剤活性における差のいくつかをおそらくは説明する。鋳型鎖の全てのホスフェートおよび2’−ヒドロキシルは、NS5Bによって認識され(図13b)、HCVにとってのRNA鋳型の重要性を実証している。同様に、プライマー鎖のホスフェートは、フィンガードメインのArg158およびサムドメインのプライマーグリップヘリックスによって認識されるが、プライマーバットレスヘリックスは、いくつかのプライマー鎖糖とのファンデルワールス相互作用を形成する。基質レジストリ中の後継NTPと同じ位置に存在する産物、プレ転位状態のプライマー残基+1の2’−ヒドロキシルは、Asp225の側鎖によって認識される(図13c)。両方の構造が3’デオキシ末端残基を含む場合、Asp225の他のカルボキシレート酸素は、自由にAsn291と水素結合する。ポリオウイルスRdRpの等価な残基(Asp238)は、後継NTP、転位状態および2価金属イオンの存在に依存して、異なるコンフォメーションをとることが示された18。DNAプライマーとの低減された活性26と一致して、プライマー鎖の他方の2’−ヒドロキシルはいずれも、NS5Bによって認識されない。
HCV NS5Bの活性部位は、タンパク質の中心に存在し、この酵素の3つ全てのサブドメイン「フィンガー」、「サム」および「パーム」によって提供されるエレメントによって形成される。上記活性部位は、「サム」サブドメインβ−ヘアピンループによって提供されるde novo開始に重要なエレメント(Tyr448)が、伸長(RNA産物鎖の成長)を開始させる該活性部位から離れて移動するように、必然的に変形する(Nature論文に記載された構造は、Tyr448を含むβ−ヘアピンループを切り出した)。2つの金属イオンMg+2またはMn+2は、ホスフェート骨格の形成を触媒し、それらはAsp318、Asp319、Asp220およびThr221により上記活性部位において安定化される。Arg158は、出だしのジホスフェート脱離基を安定化することによって、触媒において役割を果たす。上記構造に基づくと、Asp225は、リボース2’OHおよび3’OHと相互作用して、おそらくRNA娘鎖への付加のための適切な結合ポケットへとヌクレオチドを導くようである。さらに、Ile160は、上記ポリメラーゼによって後継ヌクレオチドが対合されている鋳型鎖ヌクレオチドの塩基(プリンまたはピリミジン)部分と共に、後継である該ヌクレオチドの塩基(プリンまたはピリミジン)部分と直接相互作用する唯一の残基であるようである。最後に、2’Meヌクレオチドクラスに対する抵抗性の発生の際にスレオニンに変異し得るSer282は、Arg158およびIle160の両方を活性部位に提示するフィンガーループの安定化において構造的役割を果たすようである(例えば、図14を参照のこと)。
本開示の別の態様は、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドの未結合のHCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を含む分子または分子複合体を提供し、この活性部位は、Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160、Ser282およびそれらの混合からなる群から選択される、HCV RNAポリメラーゼのある位置のアミノ酸残基に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、この少なくとも1つのアミノ酸残基は、表1、2および/または3に列挙した構造座標によって表されるアミノ酸の骨格原子を表す点から約0.70Å未満の根平均二乗偏差を有する点のセットによって定義される。
本開示の別の態様は、点の3次元立体配置を提供し、これらの点の少なくとも一部分は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位を定義するアミノ酸の骨格原子の位置を表す表1、2および/または3の構造座標から導出される。いくつかの実施形態では、本開示は、ホログラフィー画像、ステレオ図、モデルまたはコンピュータ表示画像として表示された点の3次元立体配置を提供し、これらの点の少なくとも一部分は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位を含む表1、2および/または3に列挙した構造座標から導出され、このHCV RNAポリメラーゼは、空間群対称性P65を有する結晶を形成する。
3.構造的に等価な結晶構造
3.構造的に等価な結晶構造
構造形体を定義する分子または該分子の一部分が、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型分子に結合したHCV RNAポリメラーゼの全てまたは一部に対して、その3次元構造に関して定義された「構造的に等価」であるかどうかを決定するために、種々のコンピュータ分析が使用することができる。かかる分析は、現在のソフトウェアアプリケーション、例えば、QUANTAのMolecular Similarityアプリケーション(Molecular Simulations Inc.、San Diego、CA)、バージョン4.1において、付属のユーザーガイドに記載されるように、実施することができる。
このMolecular Similarityアプリケーションは、異なる構造間、同じ構造の異なるコンフォメーション間、および同じ構造の異なる部分間の比較を可能にする。構造を比較するためにMolecular Similarityにおいて使用される手順は、以下を包含する:1)比較される構造をロードするステップ;2)これらの構造中の原子等価性を定義するステップ;3)フィッティング操作を実施するステップ;および4)結果を分析するステップ。
1つの構造は、標的(即ち、固定された構造)として同定される;全ての残りの構造は、動作する構造(即ち、移動する構造)である。QUANTA内の原子等価性は、ユーザーの入力によって定義されるが、本開示の目的のために、等価な原子は、比較されている2つの構造間の全ての保存された残基について、タンパク質骨格原子(N、Cα、CおよびO)として定義される。保存された残基は、構造的または機能的に等価である残基として定義される。厳正なフィッティング操作のみが考慮される。
厳正なフィッティング方法が使用される場合、動作する構造は、標的構造との最適なフィットを得るために、並進され回転される。このフィッティング操作は、等価な原子の特定の対にわたりフィットの根平均二乗差が絶対最小値であるように、移動構造に適用される最適な並進および回転を計算するアルゴリズムを使用する。オングストロームで与えられるこの数は、QUANTAによって報告される。
構造的に等価な結晶構造は、許容可能な誤差範囲内で実質的に同一な2つの分子の一部分を有する。上記誤差範囲は、当業者に公知の方法によって計算することができる;いくつかの実施形態では、任意の分子もしくは分子複合体またはそれらの任意の一部分は、約0.70Å未満、好ましくは0.5Åの保存された残基骨格原子(N、Cα、CおよびO)の根平均二乗偏差を有する。例えば、構造的に等価な分子または分子複合体は、表1、2および/または3に列挙される構造座標のセット全体±0.70Å以下、好ましくは0.5Åのそのアミノ酸の保存された骨格原子からの根平均二乗偏差によって定義される、分子または分子複合体である。用語「根平均二乗偏差」は、上記偏差の二乗の算術平均の平方根を意味する。これは、傾向またはオブジェクトからの逸脱または変動を表現するための方法である。本開示の目的のために、上記「根平均二乗偏差」は、HCV RNAポリメラーゼの骨格またはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの骨格(本明細書に記載される複合体の構造座標によって定義される)からの、タンパク質の骨格またはその明確な構造形体における変動を定義する。
4.構造的に相同な分子、分子複合体および結晶構造
4.構造的に相同な分子、分子複合体および結晶構造
構造座標は、別の結晶化した分子または分子複合体に関する構造情報を取得することにおいて補助するために使用することができる。本開示の方法は、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの少なくとも一部分の構造形体に類似した1つまたは複数の構造形体を含む分子または分子複合体の3次元構造の少なくとも一部分の決定を可能にする。これらの分子は、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼに対して「構造的に相同な」と本明細書で称される。類似の構造形体には、例えば、アミノ酸同一性の領域、保存された活性部位または結合部位モチーフ、および同様に配置された二次構造エレメントが挙げられ得る。
必要に応じて、構造相同性は、その配列の長さに沿って同一アミノ酸の数を最適化するように2つのアミノ酸配列の残基をアラインさせることによって決定される;いずれかの配列または両方の配列におけるギャップは、アラインメントを作成する際に同一アミノ酸の数を最適化するために許容されるが、各配列中のアミノ酸は、それにもかかわらず、その適切な秩序のままでなければならない。2つのアミノ酸配列は、Tatusovaら(56)によって記載され、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において入手可能な、BLAST 2検索アルゴリズムのBLASTプログラム、バージョン2.0.9を使用して比較される。好ましくは、行列=BLOSUM62;オープンギャップペナルティ=11、伸長ギャップペナルティ=1、ギャップx_dropoff=50、期待値=10、ワードサイズ=3およびフィルター オンを含む全てのBLAST 2検索パラメータについて、デフォルト値が使用される。BLAST検索アルゴリズムを使用した2つのアミノ酸配列の比較では、構造類似性は「同一性」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、構造的に相同な分子は、配列番号1または2の配列を有するHCV RNAポリメラーゼの野生型または組換えアミノ酸配列に対し、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。より好ましくは、HCV RNAポリメラーゼに対して構造的に相同なタンパク質は、野生型または組換えHCV RNAポリメラーゼの類似の一部分に対し、少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する、少なくとも50アミノ酸の少なくとも1つの連続ストレッチを含む。構造的に相同な分子または分子複合体に関する構造情報を生成するための方法は、周知であり、例えば分子置換技術が挙げられる。他のウイルス遺伝子型由来のHCV RNAポリメラーゼのアラインメントは、表8に提供される。
従って、別の実施形態では、本開示は、その構造が未知の分子または分子複合体に関する構造情報を取得するために分子置換を利用する方法を提供し、この方法は以下を含む:(a)未知であるまたは不完全にしか知られていない構造の結晶化した分子または分子複合体からX線回折パターンを生成するステップ;および(b)HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標の少なくとも一部分を、このX線回折パターンに適用して、その構造が未知であるまたは不完全にしか知られていない分子または分子複合体の3次元電子密度マップを生成するステップ。
分子置換を使用することによって、本開示によって提供されるHCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標の全てまたは一部は、結晶化した分子または分子複合体の未解明の構造を、かかる情報を最初から決定するための試みよりも、より迅速かつ効率的に決定するために、使用することができる。
分子置換は、未知であるまたは不完全にしか知られていない構造についての位相の正確な推定を提供し得る。位相は、結晶構造を解明するために使用される方程式中の1つの因数であり、この因数は、直接決定することはできない。分子置換以外の方法によって位相についての正確な値を取得することは、近似および精密化の反復性のサイクルを含み、結晶構造の解明を大いに妨害する、時間のかかるプロセスであり得る。しかし、構造的に相同な一部分を少なくとも含むタンパク質の結晶構造が解明された場合、既知の構造を使用した分子置換は、未知であるまたは不完全にしか知られていない構造についての位相の有用な推定を提供する。
従って、この方法は、未知の分子または分子複合体の結晶の単位格子内のHCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの関連の部分を配向させ位置付けることによって、その構造座標が未知である分子または分子複合体の予備的モデルを生成することを包含する。この配向または位置付けは、その構造が未知である分子または分子複合体の結晶の観察されたX線回折パターンを最も良く説明するように、実施される。次いで、この構造の電子密度マップを生成するために、位相がこのモデルから計算され得、観察されたX線回折パターンの振幅と組み合わせることができる。このマップは、次いで、未知の結晶化した分子または分子複合体の最終的な正確な構造を提供するために、確立されかつ周知のモデル構築技術および構造精密化技術に供することができる(例えば、Lattman、1985年、Methods In Enzymology 115巻:55〜77頁を参照のこと)。
HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの一部分に対して十分に構造的に相同な任意の結晶化した分子または分子複合体の一部分に関する構造情報が、この方法によって解明することができる。
HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの重原子誘導体もまた、ホモログとして含まれる。用語「重原子誘導体」とは、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの結晶を化学的に改変することによって生成する、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの誘導体を指す。実際には、結晶は、結晶を通って拡散できタンパク質の表面に結合できる、塩化鉛、金チオリンゴ酸塩、セレンメチオニン、チオメルサールまたは酢酸ウラニルなどの重金属原子塩または有機金属化合物を含む溶液に浸漬される。結合した重金属原子(複数可)の位置(複数可)は、浸漬された結晶のX線回折分析によって決定することができる。この情報は、次いで、タンパク質の3次元構造を構築するために使用される位相情報を生成するために使用される(Blundellら、1976年、Protein Crystallography、Academic Press、San Diego、CA)。
HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの構造座標はまた、種々のRNA鋳型プライマー分子と共複合体化されるHCV RNAポリメラーゼバリアントまたはホモログの結晶の構造を解明またはモデル化するために特に有用である。このアプローチは、抵抗性HCV RNSポリメラーゼの阻害剤を含む候補HCV RNAポリメラーゼ阻害剤間の相互作用のための最適な部位の決定を可能にする。この情報は、HCV RNAポリメラーゼ間またはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼ間のより効率的な結合相互作用、例えば、増加した疎水性相互作用もしくは極性相互作用を決定するためのさらなるツールを提供する。例えば、異なる型の溶媒に曝露された結晶から収集された高分解能X線回折データは、各型の溶媒分子が存在する場所の決定を可能にする。次いで、これらの部位に密接に結合する低分子がデザインおよび合成され得、それらのHCV RNAポリメラーゼ親和性および/または阻害活性について試験することができる。
上で言及された全ての複合体は、周知のX線回折技術を使用して研究され得、コンピュータソフトウェア、例えば、X−PLOR(Yale University、Molecular Simulations,Inc.により配布される)(例えば、Blundellら、1976年、Protein Crystallography、Academic Press、San Diego、CA.ならびにMethods in Enzymology、114巻および115巻、H. W. Wyckoffら編、Academic Press(1985年)を参照のこと)を使用して、1.5〜3.5Å分解能のX線データに対して、約0.30以下のRファクターまで精密化され得る。従って、この情報は、公知のHCV RNAポリメラーゼ阻害剤を最適化するために使用され得、より重要なことには、新たなモジュレーターをデザインするために使用することができる。
本開示は、本開示の方法を使用して決定されるように、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼに対して構造的に相同な分子または分子複合体の構造座標によって定義される点のセットによって定義される独自の3次元立体配置、構造的に等価な立体配置、および構造座標のかかるセットを含む磁気記憶媒体もまた包含する。
5.HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼのモジュレーターの同定のための方法
5.HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼのモジュレーターの同定のための方法
別の態様では、候補モジュレーターは、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼに対する結合などの生物学的アッセイを使用して同定することができる。次いで、候補モジュレーターは、例えば、HCV RNAポリメラーゼに対する結合などの特性を改善するために、類似の薬剤をデザインするためおよび/または候補モジュレーターを改変するためのモデルとして機能し得る。候補モジュレーターのデザインまたは改変は、結晶構造座標および入手可能なソフトウェアを使用して達成することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位のアンタゴニストまたはアゴニストである薬剤を評価する方法を提供し、この方法は、表1、2または3の結晶学座標の少なくとも一部分を、アンタゴニストである分子をデザインするのに適したHCV RNAポリメラーゼ活性部位の3次元モデルを作成するコンピュータアルゴリズムに適用するステップ、および分子構造データベースを検索して、HCV RNAポリメラーゼ活性部位の潜在的アンタゴニストを同定するステップ、を含む。他の実施形態では、方法は、アンタゴニストを合成または取得するステップ、このアンタゴニストをHCV RNAポリメラーゼと接触させるステップ、およびHCV RNAポリメラーゼの活性をモジュレートするアンタゴニストを選択するステップ、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、コンピュータ実行される方法もまた提供される。かかる方法の1実施形態は、HCV RNAポリメラーゼ活動性活性(active activity)をモジュレートする薬剤を同定するためのコンピュータ支援された方法を包含し、この方法は、RNA鋳型プライマー分子中の少なくとも1つの核酸残基を改変するステップ、およびこの改変されたRNA鋳型分子と表1、2または3に示されるHCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも1つのアミノ酸残基の構造座標との間のフィッティング操作を実施するステップ、を含む。他の実施形態は、HCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートする薬剤を同定するためのコンピュータ支援された方法を包含し、この方法は、(a)HCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を定義する表1、2または3の構造座標のセットを、コンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;(b)試験薬剤に関する構造座標のセットを、このコンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;および(c)(b)と複合体化した(a)の構造をモデル化して、この試験薬剤がHCV RNAポリメラーゼ活性部位と会合するかどうかを決定するステップ、を含む。
なお他の実施形態は、上記HCV RNAポリメラーゼを結合する薬剤をデザインするためのコンピュータ支援された方法を包含し、この方法は以下を含む:(a)該HCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を定義する表1、2または3の構造座標のセットを、コンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;および(b)(a)の構造座標をモデル化して、該HCV RNAポリメラーゼ活性部位中の少なくとも1つのアミノ酸残基と接触する薬剤を同定するステップ。
結合部位および他の構造形体
結合部位および他の構造形体
本開示は、基質の存在下または非存在下におけるHCV RNAポリメラーゼの活性部位の形状および構造に関する情報をとりわけ提供する。それらの対応する受容体または酵素の活性部位と天然のリガンドまたは基質との会合は、多くの生物学的作用機構の基礎である。同様に、多くの薬物は、受容体および酵素の結合部位との会合を介して、その生物学的効果を発揮する。かかる会合は、結合部位の全てまたは任意の一部に対して生じ得る。かかる会合の理解は、その標的とのより望ましい会合を有し、従って改善された生物学的効果を有する薬物のデザインを導く助けとなる。従って、この情報は、以下でより詳細に考察するように、HCV RNAポリメラーゼ活性部位の潜在的モジュレーターをデザインする際に有用である。
いくつかの実施形態では、鋳型分子に対するHCV RNAポリメラーゼの活性部位は、アミノ酸Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160、Ser282およびそれらの混合におけるHCV RNAポリメラーゼの位置のアミノ酸残基に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。HCV RNAポリメラーゼの活性部位は、その骨格原子が、結合した基質もしくはリガンドの1つまたは複数の構成原子の約5Å以内に置かれたアミノ酸または結合した基質もしくはリガンドに起因して溶媒露出表面積を喪失するアミノ酸によって、定義することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも10Å〜約300Å、より好ましくは約50Å〜300Åの溶媒露出表面積を喪失するHCV RNAポリメラーゼのアミノ酸残基は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位の一部または全てを形成するアミノ酸残基である。好ましくは、HCV RNAポリメラーゼの未結合コンフォメーションにおける活性部位は、これらのアミノ酸残基の全てを含む。
合理的薬物デザイン
合理的薬物デザイン
コンピュータによる技術は、HCV RNAポリメラーゼまたは構造的に相同な分子と会合することが可能な、リガンドおよびその組合せをスクリーニング、同定、選択、デザインするために使用することができる。HCV RNAポリメラーゼの候補モジュレーターは、HCV RNAポリメラーゼに対する結合などの機能的アッセイを使用して同定され得、新規モジュレーターが、そうして同定された候補分子の構造に基づいてデザインすることができる。HCV RNAポリメラーゼの構造座標の知見は、例えば、HCV RNAポリメラーゼ活性部位のコンフォメーションに対して相補的な形状を有する合成化合物のデザイン、同定などのプロセスおよび他の分子のデザイン、同定などのプロセスを可能にする。特に、コンピュータによる技術は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位と会合するアゴニストおよび/またはアンタゴニストなどのリガンドを同定またはデザインするために使用することができる。アンタゴニストは、HCV RNAポリメラーゼの活性部位の全てまたは一部分に結合し得るまたはそれらを妨害し得、競合的、非競合的または不競合的阻害剤であり得る。一旦同定され生物学的活性についてスクリーニングされると、これらのアゴニスト、アンタゴニストおよびそれらの組合せは、治療的および/または予防的に使用され、例えば、HCV RNAポリメラーゼ活性を遮断し、そして従って、HCV RNAポリメラーゼ活性と関連する疾患の発症および/またはさらなる進行を予防することができる。HCV RNAポリメラーゼと結合またはHCV RNAポリメラーゼを妨害するリガンドのアナログに関する構造−活性データもまた、コンピュータにより取得することができる。
他の実施形態では、モジュレーターのデザインにおいて有用であり得る基準は、そのモジュレーターが、HCV RNAポリメラーゼの活性部位の窪みにフィットし得るかどうかである。上記窪みの体積は、表面に近接したポケットの入り口に原子を置き、これらの原子の体積を計算するためにGRASPなどのプログラムを使用することによって、決定することができる。別の基準は、上記アンタゴニストが、Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160およびSer282などの活性部位中のアミノ酸残基との相互作用を強化するかどうかである。いくつかの実施形態では、阻害剤は、上記活性部位中の少なくとも1つまたは全ての残基のアミノ酸と相互作用するようにデザインされる。
従って、本明細書で同定されるようなHCV RNAポリメラーゼまたは構造的に相同な分子もしくは分子複合体あるいはそれらの一部分の構造のグラフィカル3次元描写を表示することが可能な機械可読記憶媒体に記憶されたデータは、薬物発見のために有利に使用することができる。上記リガンドの構造座標は、HCV RNAポリメラーゼもしくはHCV RNAポリメラーゼとRNA鋳型分子との複合体、または構造的に相同な分子の3次元画像に対してコンピュータによりフィッティングされ得る3次元画像を生成するために使用される。次いで、上記データ記憶媒体中のデータによってコード化された3次元分子構造は、リガンドと会合するその能力についてコンピュータにより評価することができる。このデータによってコード化された分子構造がコンピュータスクリーンにグラフィカル3次元描写で表示される場合、そのタンパク質構造は、リガンドとの潜在的な会合について視覚的にも調査できる。
薬物デザインの方法の1実施形態は、候補リガンドの、HCV RNAポリメラーゼもしくは構造的に相同な分子または相同な複合体との、特に、活性部位、または結合部位の一部分における少なくとも1つのアミノ酸残基との潜在的な会合を評価するステップを包含する。従って、薬物デザインの方法は、選択されたリガンドの、上に示された分子または分子複合体のいずれかとの会合の潜在性を、コンピュータにより評価するステップを包含する。この方法は、(a)コンピュータによる手段、例えば、当該分野で公知のまたは本明細書に開示される適切なソフトウェアを含むプログラム可能なコンピュータなどを使用して、選択されたリガンドと分子または分子複合体のリガンド結合部位またはリガンド結合部位のサブサイドとの間のフィッティング操作を実施するステップ、および(b)該フィッティング操作の結果を分析して、該リガンドと該リガンド結合部位との間の会合を定量化するステップ、を包含する。必要に応じて、この方法はさらに、上記選択されたリガンドが、上記HCV RNAポリメラーゼ活性部位および/またはサブサイドのアミノ酸と相互作用する能力を分析するステップを包含する。この方法はまた、他のHCV RNAポリメラーゼと比較して、HCV RNAポリメラーゼ遺伝子型2aの結合部位に対するリガンドのフィットを最適化するステップをさらに含み得る。必要に応じて、上記選択されたリガンドは、合成され得、HCV RNAポリメラーゼと共に結晶化され得、選択されたリガンドに対するさらなる改変が、阻害活性を増強するためまたは上記活性部位にフィットするためになされ得る。
別の実施形態では、薬物デザインの方法は、HCV RNAポリメラーゼ、そのホモログまたはそれらの一部分と会合するリガンドの、コンピュータ支援されたデザインを包含する。リガンドは、段階的な様式で、一度に1つの断片でデザインすることができるか、または全体としてもしくはde novoでデザインすることができる。リガンドは、PSI 3526666または2’C−MeGTPなどの、HCV RNAポリメラーゼの少なくとも1つの生物学的機能をモジュレートし得る分子の構造に基づいてデザインすることができる。さらに、これらの阻害剤は、HCV RNAポリメラーゼの他の公知の阻害剤をモデルとし得る。
必要に応じて、HCV RNAポリメラーゼ活性部位に対するリガンドの潜在的な結合は、このリガンドの実際の合成および試験の前に、コンピュータモデル化技術を使用して分析される。これらのコンピュータによる実験が、リガンドとHCV RNAポリメラーゼ活性部位との間の不十分な相互作用および会合を示唆する場合、このリガンドの試験は未然に除去される。しかし、コンピュータモデル化が強い相互作用を示す場合、この分子は、合成され得、HCV RNAポリメラーゼ活性部位と結合するその能力またはHCV RNAポリメラーゼ活性部位を妨害するその能力について試験することができる。化合物が実際にHCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートするかどうかを決定するための結合アッセイもまた実施され得、これは当該分野で周知である。
ドッキングは、QUANTAおよびSYBYLなどのソフトウェアを使用し、その後標準的な分子力学力場を用いたエネルギー最小化および分子動力学、例えばCHARMMおよびAMBERを使用して、達成することができる。特殊コンピュータプログラムもまた、リガンドを選択するプロセスを補助し得る。例には、GRID(Hubbard, S. 1999年、Nature Strict. Biol. 6巻:711〜14頁);Molecular Simulations、San Diego、CAから入手可能なMCSS(MirankerおよびKarplus(1991年)Proteins 11巻:29〜34頁);Scripps Research Institute、La Jolla、CAから入手可能なAUTODOCK(Goodsellら、1990年、Proteins 8巻:195〜202頁);ならびにUniversity of California、San Francisco、CAから入手可能なDOCK(Kuntzら、1982年、J. Mol. Biol. 161巻:269〜88頁)が挙げられる。
上記方法によって一旦化合物がデザインまたは選択されると、そのリガンドがHCV RNAポリメラーゼ活性部位と結合し得るまたはHCV RNAポリメラーゼ活性部位を妨害し得る効率が、コンピュータによる評価によって、試験および最適化することができる。結合部位と結合または結合部位を妨害するようにデザインまたは選択されたリガンドは、その結合した状態で、標的酵素および周囲の水分子との反発的な静電相互作用をこのリガンドが好ましくは欠くように、コンピュータによりさらに最適化することができる。かかる非相補的静電相互作用には、反発的な電荷−電荷、双極子−双極子および電荷−双極子相互作用が挙げられる。特定のコンピュータソフトウェアが、化合物の変形エネルギーおよび静電相互作用を評価するために利用可能である。かかる使用のためにデザインされたプログラムの例には、以下が挙げられる:Gaussian 94、改訂C(M. J. Frisch、Gaussian,Inc.、Pittsburgh、PA);AMBER、バージョン4.1(P. A. Kollman、University of California at San Francisco、CA);QUANTA/CHARMM(Molecular Simulations,Inc.、San Diego、CA);Insight II/Discover(Molecular Simulations,Inc.、San Diego、CA);DelPhi(Molecular Simulations,Inc.、San Diego、CA);およびAMSOL(Quantum Chemistry Program Exchange、Indiana University)。これらのプログラムは、例えば、Silicon Graphicsワークステーション、例えばIMPACTグラフィックを有するIndigo2を使用して、実行することができる。他のハードウェアシステムおよびソフトウェアパッケージが、当業者に公知である。
本開示によって包含される別のアプローチは、結合したコンフォメーションであれ未結合のコンフォメーションであれ、HCV RNAポリメラーゼ活性部位に対して全体がまたは一部が結合し得るリガンドまたは化合物についての、低分子データベースのコンピュータによるスクリーニングである。このスクリーニングでは、かかるリガンドの結合部位へのフィットの質は、形状相補性または推定された相互作用エネルギーのいずれかによって判断することができる(Mengら、1992年、J. Comp. Chem. 13巻:505〜24頁)。
別の方法は、HCV RNAポリメラーゼのアンタゴニストまたはアゴニストである薬剤を評価するステップを包含する。方法は、表1、2または3の結晶学座標の少なくとも一部分を、アンタゴニストまたはアゴニストである分子をデザインするのに適した、RNA鋳型プライマー分子と複合体化したHCV RNAポリメラーゼの3次元モデルを作成するコンピュータアルゴリズムに適用するステップ、および、分子構造データベースを検索して、潜在的なアンタゴニストまたはアゴニストを同定するステップ、を含む。この方法はさらに、上記アンタゴニストもしくはアゴニストを合成もしくは取得するステップ、およびこのアンタゴニストもしくはアゴニストを上記HCV RNAポリメラーゼと接触させるステップ、および該アンタゴニストもしくはアゴニストなしの対照と比較して該HCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートする該アンタゴニストもしくはアゴニストを選択するステップ、および/または該HCV RNAポリメラーゼに結合する該アンタゴニストもしくはアゴニストを選択するステップ、を含み得る。
6.機械可読記憶媒体
6.機械可読記憶媒体
HCV RNAポリメラーゼもしくはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの全てもしくは一部分またはその活性部位のうち1つあるいは以下に定義される構造的に相同な分子に関する構造座標、あるいは上で定義されたこれらの分子または分子複合体のいずれかの構造的等価物に関する構造座標の、分子または複合体の3次元グラフィカル提示への変換は、市販のソフトウェアの使用を介して簡便に達成することができる。
従って、本開示は、機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体をさらに提供し、上記データを使用するための命令がプログラムされた機械は、上に記載された本開示の分子または分子複合体のいずれかのグラフィカル3次元描写を表示する。好ましい実施形態では、この機械可読データ記憶媒体は、機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含み、上記のデータを使用するための命令がプログラムされた機械は、HCV RNAポリメラーゼまたはRNA鋳型プライマー分子との複合体のHCV RNAポリメラーゼの全てまたは任意の一部を含む分子または分子複合体のグラフィカル3次元描写を表示する。別の好ましい実施形態では、この機械可読データ記憶媒体は、機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含み、データを使用するための命令がプログラムされた機械は、分子または分子複合体±0.05Å以下のアミノ酸の原子からの根平均二乗偏差のグラフィカル3次元描写を表示する。
代替の実施形態では、この機械可読データ記憶媒体は、構造座標のフーリエ変換を含む第1のセットの機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含み、このデータを使用するための命令がプログラムされた機械は、第2のセットの機械可読データに対応する構造座標の少なくとも一部分を決定するために、分子または分子複合体のX線回折パターンを含む該第2のセットの機械可読データと組み合わされる。
例えば、データ記憶媒体を読み出すためのシステムは、中央演算装置(「CPU」)、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)または「コア」メモリであり得るワーキングメモリ、マスストレージメモリ(例えば、1つまたは複数のディスクドライブまたはCD−ROMドライブ)、1つまたは複数のディスプレイデバイス(例えば、ブラウン管(「CRT」)ディスプレイ、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(「LCD」)、エレクトロルミネセントディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、電界放射ディスプレイ(「FED」)、プラズマディスプレイ、投影パネルなど)、1つまたは複数のユーザー入力デバイス(例えば、キーボード、マイクロホン、マウス、トラックボール、タッチパッドなど)、1つまたは複数の入力回線および1つまたは複数の出力回線を含むコンピュータを含み得、これらは全て、従来の双方向システムバスによって相互接続される。このシステムは、独立型コンピュータであり得るか、または他のシステム(例えば、コンピュータ、ホスト、サーバーなど)にネットワーク化(例えば、ローカルエリアネットワーク、広域エリアネットワーク、イントラネット、エクストラネットまたはインターネットを介して)することができる。このシステムは、さらなるコンピュータ制御されたデバイス、例えば、モバイルデバイス、家庭用電化製品および電気器具もまた含み得る。
入力ハードウェアは、入力回線によってコンピュータに連結され得、種々の方法で実行することができる。本開示の機械可読データは、電話回線または専用データ回線によって接続されたモデム(単数または複数)の使用を介して入力することができる。あるいはまたはさらに、この入力ハードウェアは、CD−ROMドライブまたはディスクドライブを含み得る。ディスプレイ端末と共同して、キーボードもまた、入力デバイスとして使用することができる。
出力ハードウェアは、出力回線によってコンピュータに連結され得、従来のデバイスによって同様に実施することができる。例として、この出力ハードウェアには、本明細書に記載されるようにQUANTAなどのプログラムを使用して、本開示の結合部位のグラフィカル提示を表示するためのディスプレイデバイスが含まれ得る。出力ハードウェアには、ハードコピー出力が作成され得るようにするプリンター、または後の使用のためにシステム出力を記憶するためのディスクドライブもまた含まれ得る。
作動中、CPUは、種々の入力デバイスおよび出力デバイスの使用を調整し、マスストレージデバイスからのデータアクセスを調整し、ワーキングメモリへおよびワーキングメモリからアクセスし、データ処理ステップのシーケンスを決定する。多数のプログラムが、本開示の機械可読データを処理するために使用することができる。かかるプログラムは、本明細書に記載されるように、薬物発見のコンピュータによる方法に関して考察される。ハードウェアシステムの構成要素に対する言及は、データ記憶媒体の以下の記載全体を通して、適切に含められる。
本開示において有用な機械可読記憶デバイスには、磁気デバイス、電気デバイス、光学デバイスおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。かかるデータ記憶デバイスの例には、ハードディスクデバイス、CDデバイス、デジタルビデオディスクデバイス、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、リムーバブルハードディスクデバイス、磁気光学ディスクデバイス、磁気テープデバイス、フラッシュメモリデバイス、バブルメモリデバイス、ホログラフィックストレージデバイスおよび任意の他のマスストレージ周辺デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。これらの記憶デバイスは、データの記憶を可能にするために、必要なハードウェア(例えば、ドライブ、コントローラ、パワーサプライなど)ならびに任意の必要な媒体(例えば、ディスク、フラッシュカードなど)を含むことを理解すべきである。
(実施例1)
タンパク質の発現および精製
本発明者らの研究のために、野生型HCVポリメラーゼ遺伝子型1b BK分離株およびHCVポリメラーゼ遺伝子型2a JFH−1分離株の構築物を、表4に示すようにデザインした。
タンパク質の発現および精製
本発明者らの研究のために、野生型HCVポリメラーゼ遺伝子型1b BK分離株およびHCVポリメラーゼ遺伝子型2a JFH−1分離株の構築物を、表4に示すようにデザインした。
HCV遺伝子型1b BK分離株の野生型HCVポリメラーゼをコードする核酸構築物を、N末端の21アミノ酸が除去されそして切断不能なヘキサヒスチジンタグで置き換えられたポリメラーゼをコードするように改変した。これらの核酸構築物を、pET−28a由来ベクターへとクローニングした。構築物「1b WT」は、アミノ酸置換L47Q、E86Q、E87QおよびK114Rを生じる4つの表面可溶化変異を含んだ。構築物「1b S282T」は、S282T抵抗性変異を有するポリペプチドをコードすること以外、1b WTと同じであった。構築物「1b Δ8」は、鋳型として1b WTを使用したが、β−ヘアピン残基444〜453を除去し、Gly−Glyリンカーによって置き換えた。表4中で、Gly−Glyリンカーによって置き換えた残基は、1b Wtにおいて影を付している。構築物「1b Δ8 S282T」は、鋳型として1b Δ8を使用し、S282T抵抗性変異をさらにコードした。
HCV遺伝子型2a JFH−1分離株の野生型HCVポリメラーゼの核酸構築物を、C末端の21アミノ酸が除去されそして切断不能なヘキサヒスチジンタグで置き換えられたポリメラーゼをコードするように改変した。これらの核酸構築物を、pET−28a由来ベクターへとクローニングした。構築物「2a WT」では、2つの表面可溶化変異E86QおよびE87Qを、部位特異的変異誘発を介して導入した。構築物「2a Δ8」では、2a WTの構築物を、β−ヘアピンを除去してGly−Glyリンカーによって置き換えた土台の鋳型として使用した。表4中で、Gly−Glyリンカーによって置き換えた残基は、2a WTにおいて影を付している。β−ヘアピンが除去されそしてGly−Glyリンカーによって置き換えられた構築物を、GeneComposerにおいてデザインし、部位特異的変異誘発によってクローニングした。
これらのクローンを、Rosetta DE3 E.coli細胞(Novagen)へと形質転換した。組換えタンパク質を、Overnight Expression Autoinduction System(VWR)において22℃で一晩発現させた。細胞を、5000×gで20分間の遠心分離によって収集し、その細胞ペレットを、20mM Tris、pH8.0、500mM NaCl、20%グリセロール、2mM TCEPおよび10mMイミダゾールに再懸濁した。この溶解物を、Benzonaseおよび卵白リゾチームの存在下で、4℃で1時間撹拌し、その後、18,000rpmで40分間の遠心分離によって清澄化した。このタンパク質を、ニッケル固定化アフィニティクロマトグラフィーによって精製したところ、Biorad ExperionおよびSDS PAGE分析によって決定したとき、約90%純粋なタンパク質が得られた。このタンパク質を、20mM Tris、pH8.0、500mM NaCl、20%グリセロール、2mM TCEPおよび約200mMイミダゾール中で3.9〜4.4mg/mL(約60μM)に濃縮した。
(実施例2)
RNA構築物
(実施例2)
RNA構築物
一連の対称プライマー−鋳型RNA構築物および融合プライマー−鋳型ヘアピンRNA構築物を、実施例1からのHCVポリメラーゼ構築物のHCV活性アッセイ(実施例3)、thermofluor分析(実施例4)および結晶学(実施例5)における使用のためにデザインした。これらの構築物は、以前に報告されたように生成した(20、21)。表5は、生成したRNA構築物を示す。影付きの領域は、塩基対合する領域を同定している。
(実施例3)
HCV活性アッセイ
HCV活性アッセイ
de novo RNA合成活性および鎖終結についてのアッセイを、実施例1からのHCVポリメラーゼ構築物に対して実施した。
方法
方法
HCV活性アッセイを、50mM HEPES緩衝液(pH7.5)に1μMの4種の天然リボヌクレオチド、[α−32P]UTP、20ng/μLの遺伝子型1b(−)IRES RNA鋳型、1単位/μLのSUPERase・In(Ambion、Austin、TX)、40ng/μLのNS5B、5mM MgCl2および2mM DTTを含む200μL混合物において実施した。この反応物を27℃でインキュベートし、20μLアリコートを所望の時点で採取し、80μLの停止溶液(12.5mM EDTA、2.25M NaClおよび225mMクエン酸ナトリウム)中で混合することによってクエンチした。
構築物2a WTおよび2a Δ8について、阻害アッセイを、50mM HEPES緩衝液(pH7.5)に種々の濃度のPSI−352666または2’−C−MeGTP、5μMの4種の天然リボヌクレオチド、[α−32P]UTP、20ng/μLの遺伝子型1b(−)IRES RNA鋳型、1単位/μLのSUPERase・In(Ambion、Austin、TX)、40ng/μLのNS5B、5mM MgCl2および2mM DTTを含む20μL混合物において実施した。
この反応物を27℃でインキュベートし、2a WTとの60分間のインキュベーション後または2a Δ8との15分間のインキュベーション後に、80μLの停止溶液を添加することによってクエンチした。放射性RNA産物を、以前に記載されたように28、Hybond N+メンブレン(GE Healthcare)を使用して未反応の基質から分離した。これらの産物を、ホスホイメージャーを使用して可視化および定量化した。反応速度およびIC50値を、GraphFit(Erithacus Software、Horley、Surrey、UK)を使用して計算した。
構築物1b WTおよび1b Δ8について、阻害アッセイを、50mM HEPES緩衝液(pH7.5)に5μMの4種の天然リボヌクレオチド、[α−32P]UTP、20ng/μLの遺伝子型1b(−)IRES RNA鋳型、1単位/μLのSUPERase・In(Ambion、Austin、TX)、40ng/μLのNS5B、5mM MgCl2および2mM DTTを含む120μL混合物において実施した。この反応物を27℃でインキュベートし、20μLアリコートを、0分、30分、60分、90分および120分の時点で採取し、80μLの停止溶液(12.5mM EDTA、2.25M NaClおよび225mMクエン酸ナトリウム)と混合することによってクエンチした。放射性RNA産物を、以前に記載されたように、Hybond N+メンブレン(GE Healthcare)を使用して未反応の基質から分離した(図2)。これらの産物を、ホスホイメージャーを使用して可視化および定量化した。反応速度およびIC50値を、GraphFitを使用して計算した。
HCVポリメラーゼ1b WT、1b Δ8、2a WTおよび2a Δ8のthermofluor分析を、実施例2に記載したように、対称プライマー−鋳型対または融合ヘアピンプライマー−鋳型RNAの非存在下および存在下で、以前に記載したように(36、37)実施した。
結果
結果
Gly−Glyリンカーを有する1b Δ8試料について、de novo RNA合成における10倍より大きい増加が、Hybondメンブレンで観察された(図1A)。反応速度を、図1Bに示すようにグラフ化した。1b Δ8試料は、1b野生型および抵抗性ポリメラーゼと比較して、全ての時点において有意により大きい反応速度を示した。表6は、各々の酵素の相対的活性の比較を示し、1b Δ8試料が、相対的ポリメラーゼ活性において10〜15倍の増加を示したことを示している。
この構築物もまた、鎖終結に対して感受性であることが観察され、類似のIC50値が、1b野生型(1b WT)および1b Δ8の両方について、GTPアナログPSI−3526666(4μM)および2’−C−MeGTP(7〜13μM)で観察された。図2は、60分間の期間にわたるPSI−352666の存在下でのHCV NS5Bポリメラーゼ1b Δ8構築物の鎖終結を示す。
種々の濃度のPSI−3526666または2’−C−MeGTPの存在下でのPSI−352666または2’−C−MeGTPによるHCVポリメラーゼ1b WT、1b S282T、1b Δ8および1b Δ8 S282Tの鎖終結反応のIC50決定を、図3に示す。最も一般的に同定された抵抗性変異S282Tの導入の際に、1b WTまたは1b Δ8構築物のいずれかについての類似の阻害パターンが、これら同じ化合物について注目された(PSI−352666、IC50=9〜14μM、IC50における約2.5倍の増加;2’−C−MeGTP、IC50=>100μM;>10倍の増加)。これらの結果は、抵抗性変異を有する構築物が、PSI−3526666による鎖終結阻害に対してあまり感受性でないことを示す。欠失および抵抗性変異を有する構築物は、2’−C−MeGTPによる鎖終結に対して最も高い抵抗性を示す。これらの結果は、Δ8変異を有する構築物が、試験阻害剤による鎖終結に対して同様に応答し、S282変異に対する同様の応答を有する点で、WTの良好なモデルであることを示唆している。
β−ヘアピンループがGly−Glyリンカーで置き換えられた構築物2a Δ8は、de novo合成アッセイにおいて野生型2a(2a WT)よりも>100倍活性が高いことが観察された(図10b)。放射性標識された産物の時間依存的形成が、ブロットで示される(図10b)。2a Δ8のPSI−3526666(6μM)による鎖終結のIC50値は、2a WTと類似していることが見出された。図10bの右側では、2a WTおよび2a Δ8の両方についての活性を、ヌクレオチド三リン酸アナログ阻害剤PSI−3526666の存在下で測定したところ、2a WTについて6.05±0.82μMおよび2a Δ8について6.41±0.75μMのIC50値が得られた。
本発明者らは、対称プライマー−鋳型対または融合ヘアピンプライマー−鋳型RNAの非存在下および存在下において、HCVポリメラーゼ1b WTおよび1b Δ8に対するthermofluor分析36、37を実施した。1b WTについて、RNAの存在下または非存在下で融点の変化はほとんどまたは全く観察されない(Tm約44℃、図4)。1b Δ8について、本発明者らは、1b WTと比較してポリメラーゼの不安定化(Tm約35℃)を観察したが、対称プライマー−鋳型対または融合ヘアピンプライマー−鋳型RNAのいずれかの存在下では、最大+18℃の顕著な安定化を観察した(図5)。
遺伝子型1b HCVポリメラーゼで観察されたように、本発明者らは、thermofluor分析を使用して、RNAの存在下または非存在下で、2a WTの融点の変化をほとんどまたは全く観察しなかった(図6)。2a Δ8について、本発明者らは、2a WT(Tm約41℃)と比較して、ポリメラーゼの不安定化(Tm約35℃)を再度観察した。本発明者らは、対称プライマー−鋳型対または融合ヘアピンプライマー−鋳型RNAのいずれかの存在下で顕著な安定化を観察した(図7)。安定化の程度は、構築物中の塩基対の数と十分に相関し、より大きいRNAが、それら自体とのより多くの相互作用およびNS5Bとのより多くの相互作用を形成することを実証している。
残基442〜456が切り出されたHCV NS5B 1b BK構築物を合成した。この1b Δ14ポリメラーゼは活性を低減させたが(データ示さず)、これは、HCV NS5B遺伝子型1bにおける、Tyr−Glyリンカーによるこのβ−ヘアピンループ中の残基444〜453(Δ8)の置き換え(「1b Δ8」)が、野生型を超えるプライマー延長活性における17倍の増加およびプライマー−鋳型RNAを結合する能力を生じたという報告における、興味のための根拠を提供した20、21。Gly−Glyリンカーを有する1b Δ8についてのde novo RNA合成における>10倍の増加(図1)ならびにthermofluor分析を介したRNA結合の証拠(図4および5)が観察された。この構築物は、鎖終結に対して感受性であり、類似のIC50値が、1b野生型(1b WT)および1b Δ8の両方について、GTPアナログPSI−352666(4μM)および2’−C−MeGTP(7〜13μM)について取得された(図2)。さらに、最も一般的に同定された抵抗性変異S282Tの導入の際に、1b WTまたは1b Δ8構築物のいずれかについての類似の阻害パターンが、これら同じ化合物について注目された(PSI−352666、IC50=9〜14μM、IC50における約2.5倍の増加;2’−C−MeGTP、IC50=>100μM;>10倍の増加)22(図3)。
遺伝子型2aのJFH1分離株は、細胞培養物中ならびにin vivoでの効率的な複製が可能な唯一のクローニングされたHCV株である23。β−ヘアピンループがGly−Glyリンカーで置き換えられた2a JFH1 NS5Bの構築物(「2a Δ8」)は、de novo RNA合成アッセイにおいて野生型2aよりも>100倍活性が高く(図10b)、thermofluor分析においてRNAを結合することが可能であり(図6および7)、野生型2aと比較してPSI−352666(6μM)による鎖終結について類似のIC50値を生じた(図10b)ことが観察された。2a Δ8の結晶構造を、実施例4に記載したように取得した。
(実施例4)
結晶化および構造決定
(実施例4)
結晶化および構造決定
遺伝子型1a、1b、2aおよび2bをカバーするほぼ100個の結晶構造のHCV NS5Bが報告されているが、全ての構造がC末端の膜アンカー尾部を欠いている4。HCV NS5Bは、容易に認識される「フィンガー」、「パーム」および「サム」ドメインと共に、多数のポリメラーゼに共通する「右手」形状を示す8〜10(図10a)。成長するRNAプライマー−鋳型対との複合体の野生型HCVポリメラーゼの高分解能結晶構造を取得するための大規模な努力は不首尾であると証明されたが、非生産的コンフォメーションのポリウリジン鋳型を有する構造が報告されている11。
等価なβ−ヘアピンループを欠くノーウォークウイルス17、ポリオウイルス18および口蹄疫ウイルス(FMDV)19由来のRdRpのより最近のRNA結合複合体からの知見は、残基442〜456が切り出されたHCV NS5B 1b BK構築物の合成を促進した。この1b Δ14ポリメラーゼは活性を低減させたが(データ示さず)、これは、β−ヘアピンループ中の残基を置き換えることにおける興味のための根拠を提供した(報告は、HCV NS5B遺伝子型1bにおけるこのβ−ヘアピンループ中の残基444〜453(Δ8)のTyr−Glyリンカーによる置き換えが、野生型を超えるプライマー延長活性における17倍の増加およびプライマー−鋳型RNAを結合する能力を生じたことを言及している20、21)。β−ヘアピンループ中の残基444〜453がGly−Glyリンカーによって置換されたHCV NS5B 1b BK構築物1b Δ8を合成した。1b Δ8についてde novo RNA合成における>10倍の増加(実施例3)ならびにthermofluor分析を介したRNA結合の証拠(実施例3)が観察された。遺伝子型2aのJFH1分離株は、細胞培養物中ならびにin vivoでの効率的な複製が可能な唯一のクローニングされたHCV株である23。HCVポリメラーゼ遺伝子型2a JFH−1構築物2a WTおよび2a Δ8、β−ヘアピンループがGly−Glyリンカーによって置き換えられた2a JFH1 NS5Bの構築物を、実施例1に記載されるようにデザインおよび合成した。ポリメラーゼ構築物2a Δ8は、de novo RNA合成アッセイにおいて野生型2a、2a WTよりも>100倍活性が高く(実施例3)、thermofluor分析においてRNAを結合することが可能であり(実施例3)、野生型2aと比較してPSI−352666(6μM)による鎖終結について類似のIC50値を生じた(実施例3)ことが観察された。1b Δ8および2a Δ8ポリメラーゼ構築物の両方がそれぞれのWT構築物と類似の活性を示したので、プライマー−鋳型の認識および伸長のための構造的基礎を実証するために、1b Δ8および2a Δ8ポリメラーゼ構築物の結晶構造を取得するための試みを行った。
方法
方法
タンパク質の結晶化条件を、Hamptonスクリーン(hamptonresearch.comから入手可能)およびJCSG+(Emerald BioSystems)を介してスクリーニングした。結晶を、0.4μLのタンパク質溶液および16℃で80μLの沈殿物に対して平衡化した等体積の沈殿物を使用して、Emerald BioSystemsの96ウェル形式のCompact Junior結晶化プレートにおいてシッティングドロップ蒸気拡散法を使用して成長させた。ロッド形状の結晶(20×20×120μm3)が、JCSG+(Emerald BioSystems)およびIndex(Hampton Research)スパースマトリックススクリーンからのいくつかの条件において、3〜5日以内に出現した。
apo NS5B 2a Δ8構造が、30%ペンタエリスリトールエトキシレート、0.1M BisTris、pH6.5および50mM硫酸アンモニウムの存在下で成長させた結晶から取得された(図8)。25% PEG 3350、0.1M BisTris、pH5.5〜6.5および0.2M酢酸アンモニウム(Index G6−G7)の存在下で成長させたapo NS5B 2a Δ8結晶を、0.2mM 5’UACCG(3’dG)または5’−CAUGGC(ddC)(Dharmacon)、沈殿物、および凍結保護剤としての15%エチレングリコールに、16℃で一晩浸漬させた(図9)。MES緩衝液の存在下で成長または浸漬させたNS5B 2a Δ8結晶は、RNA結合と不適合であった。
結晶を回収し、凍結結晶学(cryo−crystallography)のために液体窒素中で瞬間凍結させた。Advanced Light Source(ALS 5.0.3)においてapoデータセットを収集し、RNA結合データセットを、Advanced Photon Source(APS LS−CAT 21−ID−G)において収集した。これらのデータを、XDS/XSCALE29において整理した。HCV NS5B 2a三重バリアントの以前に決定されたapo構造(近刊)を使用して、これらの構造をPHASER31において分子置換によって解明し、これを次に、野生型HCV NS5B 2a構造(PDB ID 2XXD)を使用する分子置換によって解明した。最終モデルを、REFMAC532における多数の反復ラウンドの精密化およびCOOT33におけるマニュアルモデル構築後に作成した。構造を、正確さについて評価し、Molprobity34を使用して検証した。
結果
結果
実施例3における1b Δ8の生物学的特徴付けは、1b WTと類似の機能性を実証したが、apo 1b Δ8または三元複合体の結晶構造は、取得することができなかった。2a Δ8の2.5Å分解能のapo結晶構造を取得した。結晶構造に関する座標を表1に示す。
取得された結晶構造は、1.8Åの全体的r.m.s.d値を有する以前に決定された2a NS5B構造23〜25と比較した実質的な構造変化を明らかにした。2a Δ8 Gly444〜Gly445リンカーを秩序付け、Phe551は、最後に秩序付けられた残基であった。閉鎖apo 2a構造23のパームドメインおよびフィンガードメインとapo 2a Δ8構造とのアラインメントは、サムドメインの全体的な約20°の移動を示した(図11a)。β−ヘアピンループの欠如、C末端リンカー領域の無秩序、およびサムドメインの移動が組み合わさって、ポリメラーゼの中心において大きい窪みを生成した。
サムドメインの移動には、プライマーグリップヘリックスをプライマー突出部ヘリックスに接続する残基397〜412の顕著な再秩序付けが伴う(図11)。特に、全ての遺伝子型にわたりde novo開始に重要であることが以前に詳述されたIle40523は、閉鎖野生型構造中のβ−ヘアピンループから12Åよりも多く移動して、プライマー突出部ヘリックスを延長し、高度に保存されたTrp408の上部にまとまる(図2)。Trp408は、閉鎖野生型構造中のほぼ不変のPhe429の上部にスタックし、両方の残基は、2a Δ8構造において異なる回転異性体コンフォメーションをとる。
さらに、閉鎖apo構造(図11b)においてフィンガードメインのHis95と接触する高度に保存されたPro404は、apo 2a Δ8構造中のTrp397の主鎖の上部にまとまりつつ、ループ中の重要なターンを形成する(図11c)。このループの再秩序付けは、GTPを用いたde novo開始から、成長するプライマー−鋳型RNAの伸長への移行にとって重要であり得る。apo 2a Δ8構造と他のRdRp三元複合体17〜19との比較は、この開放コンフォメーションでは、HCV NS5Bがプライマー−鋳型RNAを結合することが可能であり得ることを示唆した。
apo 2a Δ8の結晶を、実施例2からの対称プライマー−鋳型RNA対RNA54およびRNA62に浸漬し、構造を2.9Åおよび3.0Åの分解能において決定した(図12)。RNA54またはRNA62とのRNA結合構造に関する座標を、それぞれ表2および3に示す。apo 2a Δ8およびRNA54またはRNA62とのRNA結合構造に関する結晶学的統計を表7に示す。
A形態のRNAは、得られた電子密度マップ(図12dおよび図9)において容易に見分けられ、2つのRNA配列のプリン/ピリミジン対合における差を明らかに示した。両方の対称プライマー−鋳型RNA対を、3’−dGまたは2’,3’−ddCのいずれかにより強制的鎖ターミネーターとしてデザインしたので、当然、産物状態、プレ転位レジストリが、両方の複合体において観察された(図12c)。核酸塩基水素結合のアクセプターもドナーもこのポリメラーゼによって認識されず、これは、ポリメラーゼによる配列非依存性認識を示す。鋳型鎖の対合するヌクレオチド(慣習により残基+1)の核酸塩基は、予測されるように9、厳密に保存されたIle160の上部にスタックするが、糖は、TyrまたはPheとして保存されるTyr162の上部にスタックする(図13a)。対合するヌクレオチドがピリミジンである場合、プライマー鎖の残基+1(後継NTPと等価)もまたIle160と共にまとまり(図13a)、プリン/ピリミジンアナログ三リン酸阻害剤活性における差のいくつかをおそらくは説明する。
鋳型鎖の全てのホスフェートおよび2’−ヒドロキシルは、NS5Bによって認識され(図13b)、HCVにとってのRNA鋳型の重要性を実証している。同様に、プライマー鎖のホスフェートは、フィンガードメインのArg158およびサムドメインのプライマーグリップヘリックスによって認識されるが、プライマー突出部ヘリックスは、いくつかのプライマー鎖糖とのファンデルワールス相互作用を形成する。基質レジストリ中の後継NTPと同じ位置に存在する産物、プレ転位状態のプライマー残基+1の2’−ヒドロキシルは、Asp225の側鎖によって認識される(図13c)。両方の構造が3’デオキシ末端残基を含む場合、Asp225の他のカルボキシレート酸素は、自由にAsn291と水素結合する。ポリオウイルスRdRpの等価な残基(Asp238)は、後継NTP、転位状態および2価金属イオンの存在に依存して、異なるコンフォメーションをとることが示された18。DNAプライマーとの低減された活性26と一致して、プライマー鎖の他方の2’−ヒドロキシルはいずれも、NS5Bによって認識されない。触媒残基の外側の低い配列同一性にもかかわらず、HCVのプライマー鋳型RNA認識戦略全体は、ノーウォークウイルス17、ポリオウイルス18およびFMDV19について観察されたものと本質的に同一である(図13d)。
考察
考察
これらの構造は、HCVポリメラーゼによるプライマー−鋳型の認識および伸長のための分子的基礎を実証し、阻害剤の影響を減少させつつ、抵抗性由来の変異がポリメラーゼを機能させ続ける構造的基礎に関する知見を提供する。本実施例において記載されるプライマー−鋳型結合複合体のより開放性の性質はまた、アロステリック阻害剤に関する作用様式へのより完全な瞥見を提供する。従って、これらの構造は、特に三元複合体を標的化するヌクレオチドアナログ阻害剤またはNNIにとって、構造によりガイドされる薬物デザインのための有用な結晶化プラットフォームを提供する。プライマー−鋳型結合複合体を得るためにβ−ヘアピンループのエレメントを欠失させる方法論は、反復性の適用を介して、この構造形体を有する他のウイルスRdRpに対する有用な類似性を証明し得る。
(参考文献)
Claims (29)
- 配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するHCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントをコードする単離された核酸であって、該ポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する、単離された核酸。
- 前記HCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントが、配列番号8の配列を有する、請求項1に記載の単離された核酸。
- 配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有する単離されたバリアントHCV RNAポリメラーゼであって、該ポリメラーゼバリアントは、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する、単離されたバリアントHCV RNAポリメラーゼ。
- 前記HCV遺伝子型2a RNAポリメラーゼバリアントが、配列番号8の配列を有する、請求項3に記載の単離されたバリアント。
- (a)HCV RNAポリメラーゼを単離するステップ;および
(b)該HCV RNAポリメラーゼを、結晶が形成するまで、約30%のペンタエリスリトールエトキシレート、50mM BisTris pH6.5、50mM硫酸アンモニウムと接触させるステップ、
を含む、HCV RNAポリメラーゼを結晶化する方法。 - (a)HCV RNAポリメラーゼを単離するステップ;
(b)該HCV RNAポリメラーゼを、結晶が形成するまで、約0.2Mの酢酸アンモニウム、0.1M Bis Tris pH5.5、25% PEG 3350と接触させるステップ;および
(c)該結晶をRNA鋳型プライマー分子と接触させるステップ、
を含む、HCV RNAポリメラーゼを結晶化する方法。 - 前記HCV RNAポリメラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含み、該ポリメラーゼバリアントが、配列番号1または3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する、請求項5または請求項6に記載の方法。
- 前記RNA鋳型分子が、配列番号9〜17からなる群から選択される核酸配列を有する、請求項6に記載の方法。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含むHCV RNAポリメラーゼを含む結晶であって、該ポリメラーゼバリアントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する、結晶。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼとRNA鋳型プライマー分子とを含むHCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体を含む結晶であって、該ポリメラーゼバリアントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCV遺伝子型2aと比較して、増加したRNA合成活性を有する、結晶。
- 結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体。
- 請求項6に記載の方法によって調製された、結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼ。
- 請求項5に記載の方法によって調製された、配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼ。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼであって、P65の空間群対称性を有し、単位格子であって、aはbに等しく約140.69Åであり、cは約92.63Åであり、αはβに等しく約90°であり、γは約120°である寸法を有する単位格子を含む、結晶HCV RNAポリメラーゼ。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含む結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体であって、P65の空間群対称性を有し、単位格子であって、aはbに等しく約143.27.69Åであり、cは約92.19Åまたは91.5Åであり、αはβに等しく約90°であり、γは約120°である寸法を有する単位格子を含む、結晶HCV RNAポリメラーゼRNA鋳型プライマー複合体。
- 表1の3次元座標を有する、配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼを含むHCV RNAポリメラーゼの結晶。
- 表2または表3の3次元座標を有する、配列番号8のアミノ酸配列を有するバリアントHCV RNAポリメラーゼとRNA鋳型プライマー分子とを含むHCV RNAポリメラーゼRNA鋳型の結晶。
- 請求項9〜18のいずれか1項に記載の結晶およびキャリアを含む、組成物。
- 配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドの未結合のHCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を含む分子または分子複合体であって、前記活性部位は、Tyr448、Asp318、Asp319、Asp220、Thr221、Arg158、Asp225、Ile160およびSer282ならびにそれらの混合からなる群から選択される、HCV RNAポリメラーゼのある位置のアミノ酸残基に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、該少なくとも1つのアミノ酸残基は、表1、2または3に列挙した構造座標によって表されるアミノ酸の骨格原子を表す点から約0.70Å未満の根平均二乗偏差を有する点のセットによって定義される、分子または分子複合体。
- 点の少なくとも一部分が、HCV RNAポリメラーゼ活性部位を定義するアミノ酸の骨格原子の位置を表す表1、2または3の構造座標から導出される、該点の3次元立体配置。
- ホログラフィー画像、ステレオ図、モデルまたはコンピュータ表示画像として表示される請求項21に記載の点の3次元立体配置であって、該点の少なくとも一部分は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位を含む表1、2または3に列挙された構造座標から導出され、該HCV RNAポリメラーゼが、空間群対称性P65を有する結晶を形成する、点の3次元立体配置。
- 機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体であって、該データを使用するための命令がプログラムされた機械は、HCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの分子または分子複合体のグラフィカル3次元描写を表示し、該活性部位は、表1、2または3に列挙される構造座標によって表されるアミノ酸の原子を表す点から約0.05Å未満の根平均二乗偏差を有する点のセットによって定義される、機械可読データ記憶媒体。
- 第1および第2のセットのデータを使用するための命令がプログラムされ、該第2のセットのデータに対応する構造座標の少なくとも一部分を決定する機械を使用して、該第2のセットの機械可読データと組み合わせた該第1のセットの機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体であって、該第1のセットのデータは、表1、2または3のHCV RNAポリメラーゼ構造座標の少なくとも一部分のフーリエ変換を含み、該第2のセットのデータは、その3次元構造が未知であるまたは不完全にしか知られていない分子または分子複合体のX線回折パターンを含む、機械可読データ記憶媒体。
- HCV RNAポリメラーゼ活性をモジュレートする薬剤を同定するためのコンピュータ支援された方法であって、
(a)HCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を定義する表1、2または3の構造座標のセットを、コンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;
(b)試験薬剤に関する構造座標のセットを、該コンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;および
(c)(b)と複合体化した(a)の構造をモデル化して、該試験薬剤が該HCV RNAポリメラーゼ活性部位と会合するかどうかを決定するステップ、
を含む、方法。 - 結合部位に結合する薬剤をデザインするためのコンピュータ支援された方法であって、
(a)HCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも一部分を定義する表1、2または3の構造座標のセットを、コンピュータモデル化アプリケーションに提供するステップ;および
(b)(a)の構造座標をモデル化して、該HCV RNAポリメラーゼ活性部位における少なくとも1つのアミノ酸残基と接触する薬剤を同定するステップ、
を含む、方法。 - HCV RNAポリメラーゼ活性部位のアンタゴニストまたはアゴニストである薬剤を評価する方法であって、
(a)表1、2または3の結晶学座標の少なくとも一部分を、アンタゴニストである分子をデザインするのに適したHCV RNAポリメラーゼ活性部位(site HCV RNA polymerase active)の3次元モデルを作成するコンピュータアルゴリズムに適用するステップ;および
(b)分子構造データベースを検索して、HCV RNAポリメラーゼ活性部位の潜在的アンタゴニストを同定するステップ、
を含む、方法。 - (a)前記アンタゴニストを合成または取得するステップ;
(b)該アンタゴニストをHCV RNAポリメラーゼと接触させるステップ;および
(c)HCV RNAポリメラーゼの活性をモジュレートするアンタゴニストを選択するステップ、
をさらに含む、請求項27に記載の方法。 - HCV RNAポリメラーゼ活動性活性をモジュレートする薬剤を同定するためのコンピュータ支援された方法であって、
(a)RNA鋳型プライマー分子中の少なくとも1つの核酸残基を改変するステップ;
(b)該改変されたRNA鋳型分子と表1、2または3に示されるHCV RNAポリメラーゼ活性部位の少なくとも1つのアミノ酸残基の構造座標との間のフィッティング操作を実施するステップ、
を含む、方法。
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