JP2015501668A - シルクメッシュおよび使用方法 - Google Patents

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Abstract

四足獣にシルク足場を移植することにより、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための方法。シルク足場は、移植12ヶ月後までに完全に、又は本質的に完全に生体再吸収され、シルク足場(ある程度残る)は内部成長組織と共に、移植12ヶ月後までに少なくとも約60%の強度増加を示し、内部成長組織を含むシルク足場(ある程度残る)の厚さは、移植12ヶ月後までに100%超増加する。

Description

本発明は、シルク系メッシュまたは足場(scaffold)のヒトにおける使用の適合性を判定する動物モデルおよび方法に関する。本発明は、外科手術後の外科手術転帰月または年を含む、軟組織外科手術の転帰を改善するための、主にシルクから作製された、それに基づく、それに由来する、またはそれから構成される移植可能な医療用デバイス、ならびにデバイスの使用に関する。軟組織外科手術は、腺、臓器、筋、皮膚、靭帯、腱、軟骨、血管、もしくは腸間膜などの主な軟組織の疾患、病気、または状態(美容もしくは美的状態を含む)を治療するための外科手術である。特に、本発明は、乳房再建、豊胸術、腹部外科手術、ヘルニア修復、もしくは顔面外科手術に使用するための、移植可能で生体再吸収性の編みシルク足場またはメッシュの使用に関する。
軟組織修復の場合、外科用メッシュおよび足場は、乳房および胸壁再建、組織強化、内部臓器への支持の提供、ならびに外科手術または外傷の創傷の治療に使用することが知られている。それらは、通常、不活性材料およびTeflon(登録商標)、ポリプロピレン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリグラクチン910などのポリマーから作製されるが、一部の脊髄外科手術にはチタンメッシュが使用されてきた。ヒトおよび動物由来皮膚からの無細胞皮膚マトリックス(ADM)などの組織系または組織由来の材料も既知である。
外科用メッシュデバイスは、典型的には、生体適合性であり、生体再吸収性および/または非生体再吸収性材料から作製され得る。例えば、Teflon(登録商標)、ポリプロピレン、およびポリエステルは、生体適合性および非生体再吸収性であり、一方、ポリグリコール酸およびポリグラクチン910は、生体適合性および生体再吸収性である。ADMは、典型的に、該当する場合、コラーゲンなどの天然の生物学的成分のみを残すようにドナー組織から細胞および表皮を除去することにより調製される。
外科用メッシュまたはADMを使用する軟組織再建の一用途は、乳房切除後の乳房再建である。乳房再建外科手術の目的は、乳房の外科的除去(乳房切除)後の女性の乳房をほぼ正常な外見および形状に修復することであり、乳癌などの医療状態の結果として乳房を失うことに直面した女性における感情的治癒に重要なステップである。アメリカ成形外科学会(American Society of Plastic Surgeons)(ASPS)によると、美容的乳房再建に関連しない約60,000の外科手技(外科的処置)が米国で行われている。国際的には、主要先進工業国を考慮すると、その数は80,000手技を超える。大量の組織損失が生じる乳房再建集団の独特の必要性に一致するように設計され、環境をより自然な状態に修復するために体自体の免疫過程と連動するであろう成形された、構造的で、かつ適合した足場デバイスは、重要な未対処の必要性に例外的な解決策を提供するだろう。
乳房再建の外科手技は、通常、2つの異なる方法で実施されるが、両方とも好ましいマトリックスとしてADMを使用する。他の利用可能な外科用メッシュに対するADMの主な利点は、感染および被膜収縮を防止する一方で、欠損の支持および被覆を提供する血行再建の速度が速いことである。最初の方法の1段階再建は、外科手技時の乳房移植片と共に、乳房の形状を完全に再建するためにADMを使用する。第2の方法は、乳房を再建するためにADMを用いた組織拡張器(複数可)の設置(乳房切除時またはその後)、続く筋および皮膚組織を拡張するための生理食塩水溶液を用いた組織拡張器の拡張からなる第1段階と、組織拡張器を移植片と交換することからなる第2および最終段階の2段階再建である。両方の手順において、組織拡張器または移植片のポケットは、胸筋の下部起点を剥離し、胸筋下のポケットを電気焼灼することにより形成される。ADMのシートを欠損上の中心に置き、連続または結節縫合により乳房下溝線(inframammary fold)に縫合する。組織拡張器または移植片は、形成された胸筋下のポケットの内部に挿入され、位置付けられる。残りのADMは必要な形状に切断され、胸筋の下部端に縫合され、一方、外側縁は胸筋および鋸筋に縫合される。
ADMを使用する上述のものに代わる乳房再建手技は、TRAM弁などの自己組織を用いて実施される。この外科手技では、乳房は、皮膚、脂肪組織、小筋、および結合組織を含む外科的に除去された腹部組織群の一部を使用することにより再建される。この腹部組織群は、患者の腹部から採取され、ADMで上述されるような類似する方法を用いて乳房部位に移植される。
得られた再建の質は、後続の治療(例えば乳房切除後の放射線は皮膚組織を弱める)、利用可能な組織の量(例えば痩身の女性は十分な組織に欠ける場合が多い)、ならびに喫煙などの個人の全体的な健康および習慣により影響を受ける。バルーン型デバイスの組織拡張器は、乳房移植片を収容するために、採取した皮膚を伸長するために頻繁に使用される。しかしながら、採取した組織は自然な乳房の輪郭に合致するその能力に限りがあり、理想の位置付けを満たさない、または乳房移植片の感触を含む、許容できない結果をもたらす。外科手術時に幾何的に複雑な移植部位を即時に支持するために「ブラジャ」として機能する内部足場として使用することができる足場デバイスは、理想的には、最適な治癒に必要な時間および構造の両方を身体に提供するだろう。
組織拡張器およびADM、続く組織拡張器の移植片との交換による2段階の乳房再建は、外科医によって採用される最も一般的な技法となった。主な利点は大胸筋の伸長であり、したがって、筋肉が剥離された後、一般的に「窓陰影(window shading)」と称されるものを防止する。別の主な利点は、乳房下溝線の位置および形状ならびに横方向の乳房の縁の制御である。
ADMの使用は、被膜収縮および感染の速度を低下させることによる一般的な外科用メッシュデバイスに対して利点を有するが、その低い全体的な合併症の割合にも関わらず、ADMは宿主炎症反応を発生させる可能性があり、時折感染を提示するため、手技はリスクがないわけではない。また、ADMの性質は、多様性をもたらす可能性がある採取される組織の性質に限られることに留意することは非常に重要である。
よって、既知の方法および材料の欠点を克服する再建および支持に使用することができるデバイスまたは構造の必要性が存在する。
さらに、今日利用可能な大半の生体材料は、高負荷要求用途(例えば骨、靭帯、腱、筋)の機械的完全性または適切な生物学的機能性を持たず、大半の生体材料は、非常に迅速に分解する(例えばコラーゲン、PLA、PGA、または関連コポリマー)か、または非分解性(例えばポリエステル、金属)であるかのいずれかであり、いずれの場合も、機能性自己組織が発達することができず、患者は機能障害に悩む。ある場合では、生体材料は、周囲の細胞および組織との生体適合性に欠けるため、組織分化および発達を誤指向する可能性がある(例えば自発的骨形成、腫瘍)。また、分解することができない生体材料は、典型的には、慢性の炎症に関係し、この場合、そのような応答は、実際、周囲組織に害を及ぼす(すなわち弱くする)。
適切に設計された場合、シルクは、新しいクラスの医療用デバイス、足場、およびマトリックスの設計に新しい臨床選択肢を提案し得る。シルクは、あらゆる天然繊維の中で高強度を有し、合成の高性能繊維の機械的性質に匹敵することが示されてきた。シルクは、高い生理学的温度および広範囲のpHでも安定しており、大半の水性および有機溶媒に不溶性である。シルクは、合成ポリマーというよりタンパク質であり、分解生成物(例えばペプチド、アミノ酸)は生体適合性である。シルクは、哺乳類由来ではなく、他の同等の天然の生体材料(例えばウシまたはブタ由来コラーゲン)より非常に少ない汚染微生物を保有する。
当該技術分野において一般的に既知である用語シルクは、カイコまたはクモなどの生物によって分泌される糸状繊維生成物を意味する。昆虫、つまり(i)カイコガカイコ、および(ii)クモの腺、典型的にはアメリカジョロウグモ(Nephilia clavipes)から生成されるシルクは、最もよく研究される形態の材料であるが、何十万もの天然のシルクの変異体が自然界に存在する。フィブロインは、カイコの2つの絹糸腺によって生成され、分泌される。フィブロインが腺を離れるとき、糊のような物質のセリシンでコーティングされる。しかしながら、クモのシルクは、セリシンなどのあらゆる免疫原性汚染物に欠く単一フィラメントとして生成されるため、貴重である(またカイコシルクと区別される)。
残念ながら、クモのシルクは、クモを家畜化することができないため、大量生産することができないが、クモのシルクならびに他のシルクは、クローン化され、組換えにより生成することができるが、結果は非常に変動する。しばしば、これらの過程は、汚染微生物を導入し、費用がかかり、大量に材料をもたらすことができず、材料の性質を非常に変動させ、厳密に制御されず、また再生可能でもない。
結果として、1,000年以上、カイコシルクのみが生体材料用途に使用されてきた。カイコのカイコガ種は、シルク繊維(「繭糸」として知られる)を生成し、その繭を作るためにその繊維を使用する。生成される繭糸は、2本のフィブロインフィラメントまたは「ブロイン」を含み、これはセリシンとして知られるガムのコーティングで覆われる、つまり、シルクフィブロインフィラメントは顕著な機械的完全性を保有する。シルク繊維が縫合糸を含む糸または織物を生産するために採取されるとき、複数の繊維は一緒に整合され、セリシンは一部溶解され、その後再凝固されて、セリシンコーティングに相互に埋め込まれた3つ以上のブロインを有するより大きなシルク繊維構造を作り出すことができる。
本明細書で使用される、「フィブロイン」は、カイコフィブロイン(すなわち、カイコガから)、およびクモ(すなわち、アメリカジョロウグモ)から得たフィブロイン様繊維を含む。あるいは、本発明の使用に適したシルクタンパク質は、細菌、酵母、哺乳類の細胞、遺伝子導入動物、または遺伝子導入植物からなどの遺伝子的に操作されたシルクを含む溶液から得ることができる。例えば、国際公開第97/08315号パンフレット(特許文献1)および米国特許第5,245,012号明細書(特許文献2)を参照。
従来、織物および縫合糸用途のために商業市場で入手可能であるカイコシルク繊維は、「脱ガム」されることが多く、より大きな単一の多重フィラメント繊維を形成するように一緒に合わせられた複数のブロインからなる。本明細書における脱ガムとは、温石鹸水における洗浄または抽出を通して2本のブロインを覆うセリシンコートを弛緩することを指す。そのような弛緩は、ブロインの合わせがより大きな多重フィラメント単一繊維を作り出すことを可能にする。しかしながら、完全な抽出は、達成されることも所望されることもない場合が多い。脱ガムシルクは、セリシンを含むか、もしくは再コーティングされることが多い、および/または多重フィラメント単一繊維を凝固させるために、合わせ中にセリシン不純物が導入される。セリシンコートは、高速処理加工が必要とされる従来の織物用途を通したほつれから弱いフィブロインフィラメン(直径約5ミクロンしかない)を保護する。したがって、脱ガムされたシルクは、セリシンなしと明示的に記載されない限り、典型的には10〜26%(重量)のセリシンを含む。
セリシンは、抗原性であり、強い免疫、アレルギー、または高T細胞型(通常の軽度の「異質体」応答に対して)応答を誘発する。セリシンは、シルクフィブロインから除去する(洗浄する/抽出する)ことができるが、適切な過程ステップが使用されなければ、シルクからセリシンを除去することによりフィブロイン繊維の超微細構造が変更される可能性がある。例えば、それぞれ、未変性シルク繊維、中間加工シルク繊維、および高純度シルク繊維を図示する図47A〜47C(左から右)を参照。
文献において「シルク」と典型的に称されるとき、それは、注釈が何世紀にわたり織物および医学に使用されてきた天然に生じ、かつ唯一利用可能な「シルク」(すなわち、セリシンコーティングされたフィブロイン繊維)に重点を置いていることが推論される。医学等級のカイコシルクは、従来、(i)セリシンが除去されていない未加工のシルク縫合糸として、および(ii)従来のより一般的なシルク縫合糸、または一般的に黒編みシルク縫合糸と称され、セリシンは完全に除去されたが、シルクフィブロインと体組織および細胞との間にバリアを提供するようにワックスまたはシリコーンコーティングに置き換えられた、2つの形態のみで使用される。特にシルクは外科手術におけるその機械性質(例えば結節強度および扱い易さ)に尚価値があるため、現在、シルクが尚使用される医学用途は縫合結紮においてのみである。
国際公開第97/08315号パンフレット 米国特許第5,245,012号明細書
Gregory H.Altman et al.,"Silk matrix for tissue engineered anterior cruciate ligaments,"Biomaterials 23 (2002),pp. 4131−4141
したがって、生体適合性であり、細胞の内部成長を促進するシルクまたはシルク系の移植可能なデバイスの必要性も存在する。さらに、そのようなデバイスの性能およびヒト(人)において使用するための適合性を評価し、判断するためのモデルまたは方法の必要性が存在する。
本発明は、編まれた多重フィラメントであるシルクから構成され、生物工学処理された外科用メッシ(本明細書において外科用足場とも称される)に関する。それは、機械的に強く、生体適合性であり、長期生体再吸収性である。本発明の足場の特徴として、セリシン抽出されたカイコフィブロイン繊維は、それらの未変性タンパク質構造を維持し、分解および再構成されていない。
本発明の外科用足場は、切開外科手技または腹腔鏡手技に直ぐに使用することができる様々な形状および寸法で供給される減菌足場である。デバイスは可撓性であり、その強度、引裂き抵抗、縫合糸保持、およびいずれの方向にも切断できる能力により、腹腔鏡トロカールを通した送達に良く適している。本発明の外科用足場は、そのメッシュの強度および多孔性(足場のような)構造を通して組織欠損の即時の物理的および機械的安定化を提供する。
本発明は、いくつかのシルク系外科用メッシュまたは足場設計に関する。本発明の外科用メッシュまたは足場は、所望の外科手術転帰を得るために材料の追加を必要とする脆弱または空隙が存在する欠損を強化するための、軟組織の支持および修復用の一過性の足場としての使用に適応される。本発明の別の態様では、ヒツジおよびブタなどの四足動物の広背筋の深くに類似する移植手技を行うことにより、ヒトの胸筋の後方にある乳房組織拡張器の挿入および充填により形成された空隙を架橋し、機械的に強化するための移植可能な足場。組織拡張器は、全乳房切除手技後に一般的に実施される後続の恒久的な乳房移植片の移植を適応させるように、筋の下の空間および重複する筋膜組織を徐々に拡張するために使用される。
好ましくは、本発明の生分解性シルク医療用デバイス(足場)は、生体適合性の不織の編織多重フィラメントシルク生地またはメッシュである。織材料は機織りによって作製される。織生地は、縦糸と横糸が相互に交差する様式に従う織り方または構造として分類される。織り方(織生地)の主な種類は、平織り、綾織り、および朱子織りの3つである。一方、編み生地は、一般的に、その糸の処理が異なるため、織生地よりも柔らかくしなやかである。編織物または編み生地は、糸を前の糸に通して引張り上げ、それによって、生地を作製するようにニードル(例えばシングルまたはダブルベッド編み機のニードルなど)を用いることによって作製される(上記により詳細に説明される)。本発明の範囲内の全てのシルク生地は、編織物または編み(例えば縦または横分類)シルク生地である。織(織られた)シルク生地、織布地、および織生地は、本発明の範囲内ではない。本発明のシルク生地は、抗菌コーティングを有し得る。
本発明は、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための方法を包含し、本方法は、四足獣にシルク足場を移植するステップを含む。四足獣はヒツジまたはブタであり得る。本方法は、ヒトにおける軟組織の支持体構造としてシルク足場を評価するステップをさらに含むことができる。シルク足場は、移植1ヶ月後の生体内でその時間ゼロ強度の少なくとも90%を維持することができる。シルク足場は、移植3ヶ月後の生体内でその時間ゼロ強度の少なくとも90%を維持することができる。シルク足場は、移植6ヶ月後の生体内でその時間ゼロ強度の少なくとも90%を維持することができる。シルク足場は、実質的に、生体内でのその期間にわたってその時間ゼロ(すなわち、移植時)強度を維持することができる。加えて、足場の厚さは、組織の内部成長により、生体内で時間と共に増加し得る。足場は、ヒト乳房再建または豊胸手技における移植をシミュレーションするために移植され得る。そして、足場は、足場の側配向に関係なく移植することができる。
本発明は、四足動物モデルにおいて、生体内での医療用デバイスを評価する方法も含み、本方法は、軟組織を支持するために、組織拡張器およびシルク足場を四足獣に移植するステップを含む。本方法は、シルク足場を四足獣の広背下筋および胸壁に縫合することをさらに含み得る。
加えて、本発明は、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための動物モデル系を包含し、この動物モデル系はシルク足場を含み、四足獣はシルク足場の内部支持を提供するための筋を有する。四足獣は、ヒツジまたはブタであり得、筋は広背下筋であり得る。
最後に、本発明は、四足獣を含む動物系においてモデル化されるシルク足場を得ることと、豊胸術または乳房再建手技のためにヒトにシルク足場を移植することとを含む、患者の乳房組織または乳房移植片を支持する方法を包含する。
豊胸術または乳房再建外科手術において、患者に挿入される乳房補綴を支持するための本発明の範囲内の方法は、(a)豊胸術または乳房再建外科手術において、患者の軟組織に乳房補綴を挿入するステップと、(b)患者の乳房下溝線またはその付近に、かつ乳房補綴に隣接してシルク由来の生体再吸収性足場デバイスを移植するステップとを有することができ、デバイスは、デバイス移植部位に形成される内部成長未変性組織と共に、乳房補綴の挿入後少なくとも約12ヶ月間乳房移植片に支持を提供する。足場デバイスは、フィラメントがより合ったシルク糸を含み得る。加えて、シルクは、シルクフィブロイン繊維を含み得る。シルクフィブロイン繊維は、好ましくはセリシン枯渇であるか、またはセリシン抽出されたシルクフィブロイン繊維である。足場デバイスは、開放孔編み構造を有する。有意に、シルク足場デバイスおよび内部成長未変性組織は、移植1ヶ月または3ヶ月または6ヶ月後の生体内で、または実に患者の生体内での乳房補綴の期間にわたってデバイスの時間ゼロデバイス強度の少なくとも約90%を維持することができる。足場は、デバイスの側配向に関係なく移植され得る。重要なのは、デバイスと内部成長未変性組織足場を合わせた厚さは、患者の生体内で時間と共に増加する。
本発明の適用性のさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明により明らかになるだろう。本発明の好ましい実施形態を示すが、詳細な説明および特定の例は、単に図示の目的を意図するものであり、本発明の範囲を制限することが意図されないことを理解するべきである。
本発明は、詳細な説明および必ずしも実際の尺度ではない添付の図面によりさらに完全に理解されるだろう。
本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む図1Aの足場設計のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む図1Aの足場設計のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図1Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う図1Bに示されるダブルニードルベットメッシュのパターンシミュレーションの一例を図示する。 本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む図2Aの足場設計用のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む図2Aの足場設計用のパターン配置の一例を図示する。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#4用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#5用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#7用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュのパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図2Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュのパターン配置の一例を図示する。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図2Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 本発明の態様に従う図2Bに示されるダブルニードルベットメッシュ用のパターンシミュレーションの一例を図示する。 本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図7Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図7Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#2用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベット足場またはメッシュのパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#2用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベット足場またはメッシュのパターン配置の一例を図示する。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#4用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#4用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#5用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#7用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図7Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図7Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 本発明の態様に従う図7Bに示されるダブルニードルベットメッシュのパターンシミュレーションの一例を図示する。 本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図13Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図13Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#4用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#5用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#7用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図13Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図13Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 本発明の態様に従う図13Bに示されるダブルニードルベット足場のパターンシミュレーションの一例を図示する。 本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図18Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図18Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#4用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#5用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#7用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図18Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図18Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 本発明の態様に従う図18Bに示されるダブルニードルベット足場のパターンシミュレーションの一例を図示する。 本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図23Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 本発明の態様に従う全てのパターンおよびグランドバーを含む、本発明に従う図23Aのシルク系足場設計のパターン配置の一例を図示する。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#4用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#4用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 パターンバー#5用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 パターンバー#5用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 グランドバー#7用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 グランドバー#7用の図23Bの本発明の態様に従うダブルニードルベットメッシュまたは足場のパターン配置の一例を図示する。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 図23Bのパターン配置およびグランドバーの例の拡大図である。 本発明の態様に従う図23Bに示されるダブルニードルベット足場のパターンシミュレーションの一例を図示する。 移植された足場を伴うヒト乳房の側面プロファイルを図示する。 ヒト乳房において、組織拡張器を交換した恒久的な移植片を図示する。 ヒツジにおける広背筋下組織拡張器/乳房移植片の位置を図示する。 ヒツジにおける切開部閉鎖前の外科手技の完了時の試験物品設置の写真である。 ヒツジにおいて組織拡張器上の3か所で広背筋の胸壁への縫合を図示する写真である。 各ヒツジ試験動物物品からの生体力学的および組織学的サンプル抽出物の配置である。 ヒトにおけるモデル化のためのブタにおける広背筋下腹−頭組織拡張器の設置を図示する。 本発明に従い使用されるシルク束からなる糸を図示する。 実施例1に記載されるヒツジ実験の開始1ヶ月後に外植されたシルク足場の写真であり、+1ヶ月での組織内部成長の存在を示す。 実施例1に記載されるヒツジ実験の開始12ヶ月後に外植されたシルク系足場のサンプルの写真であり、12ヶ月での組織内部成長の広範な存在を示し、SBS材料はほとんど、または全く残っていない。 シルク系足場を用いた2段階乳房再建をシミュレーションするために設計された完全な動物(FAM)モデルを図示する。図37(A)は、術中300ccに充填された500ccの組織拡張器の広背筋下設置を図示する。図37(B)は、シルク系足場移植中の術中の写真である。図37(C)は、2段階乳房再建をシミュレーションするために設計された完全な動物モデルに使用するためのヒツジの写真である。 図38(A)、(B)及び(C)は、3ヶ月で観察された血管新生および内部成長の写真であり、支持は12ヶ月に達するまで継続した。 図39A(A)〜(J)は、12ヶ月にわたって観察されたシルク系足場によって促進された未変性組織生成の写真である。 経時的な未変性組織貢献対足場貢献を示す棒グラフである。 動物モデルにおける1ヶ月までの内部成長を示す平面的な組織構造である。 1ヶ月での10x断面での動物モデルにおけるシルク系足場を図示する。 図42(A)、(B)及び(C)は、正常な治癒修復過程を示す均一かつ一定した炎症応答を示す。 生体内での経時的なシルク系足場原線維断面積の図的表示を提供する。 生体内での経時的なシルク系足場原線維断面積の図的表示を提供する。 乳房切除における本発明のシルク系足場の使用を図示する。 乳房切除における本発明のシルク系足場の使用を図示する。 乳房切除後の皮膚下の軟組織支持を提供するように挿入された本発明のシルク系足場を図示する。 腹壁形成においてシルク系足場(SBS)の使用を図示する術中を示す写真である。 未変性シルク繊維を図示する。 中間加工シルク繊維を図示する。 高純度シルク繊維を図示する。 腹壁形成外科手術が開始される前の図46の患者の前胴像を示す写真である。 腹壁形成外科手術1年後の図48Aの同じ患者の前胴写真である。
(メッシュ設計)
本発明は、軟組織修復に使用するための生体適合性外科用シルク足場デバイスを提供する。軟組織修復の例としては、乳房再建、ヘルニア修復、美容外科手術、膀胱スリングの実装等を含む。
本発明は、様々なポリマー材料を採用することができるが、シルクを使用する足場デバイスが好ましい材料である。特定の実施形態は、カイコガカイコシルクフィブロインから形成され得る。シルク原料繊維は、セリシンとして知られる天然の球状タンパク質コーティングを有し、これは抗原性質を有する場合があり、移植前に枯渇されなければならない。したがって、糸は枯渇過程を通される。セリシンの枯渇は、例えばGregory H.Altman et al.,”Silk matrix for tissue engineered anterior cruciate ligaments,”Biomaterials 23 (2002),pp. 4131−4141にさらに記載され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。結果として、デバイス実施形態において使用されるシルク材料は、標準的な生体材料試験方法により測定されるか、または予測され得る限り、実質的に増感剤を含有しない。
本発明の態様に従う外科用足場デバイスは、好ましくは、編み構造および比機械パラメータにより作製される。編み構造は、ラッシェル編み、縦編み、および/または横編みに分類されるものなどの生地形成方法において変形を伴う。比機械パラメータは、糸生成、糸設計、ループの大きさおよび長さ、単位測定当たりの横と縦の数、生地巻取速度、単位測定当たりのニードルの数および相対的大きさ、供給速度、ならびに糸に適用される比張力などの変形を含み得るが、これらに限定されない。さらに、生地形成後処理は、足場の異なる領域の特徴を強化することができる。生地の処理は、仕上げおよび表面コーティング過程を含むが、これらに限定されない。
図1Aは、本発明に従うシルク系メッシュまたは足場設計のパターン配置の写真である。図1Aは、縦目方向10および横目方向15ならびに縦目10または横目15のいずれかの足場材料方向または位置でのシルク糸の設置を示す。本発明に従うこの足場は、好ましくは、10ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図1Bおよび1Cのパターン配置に示される3つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に1つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図1Dおよび1Eに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3、図1Hおよび1Iに示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。好ましくは、生地は、米国特許出願第12/680,404号および第13/088,706号に詳細に記載されるノードロック生地であり、2つの出願の全体は参照により本明細書に組み込まれる。図1Fおよび1Gに示される横目方向の他の動きは、孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9/−1/1−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、20tpi(1インチ当たりの巻数)の繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd(デニール数)20/22のシルク原料の3エンドで作製された糸設計を考慮し、10tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図1JのComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。図1Jにおいて、同じ糸設計を縦目および横目方向に生じる動きに使用する。図1Jの設計のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、34ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、17ピック/cmである。操作パラメータは、図1B〜1Iに記載のものに限定されないが、図1Jのパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計にまさに最適な値である。図1Jにおいて、項目17は、シミュレーションされたダブルニードルベットメッシュまたは足場である。
図2Aは、本発明に従うシルク系メッシュまたは足場設計のパターン配置の写真である。図2Aにおいて、項目100はメッシュまたは足場である。本発明に従う足場のこの変形は、好ましくは、10ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図2B〜2Eのパターン配置に示される3つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に1つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図3Aおよび3Bならびに図3Cおよび3Dに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3(グランドバー#4を参照)、図5Aおよび5Bならびに図5Cおよび5Dに示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1(グランドバー#7を参照)の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。好ましくは、生地は、米国特許出願第12/680,404号に詳細に記載されるノードロック生地であり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。図4A〜4Dに示される横目方向の他の動きは、足場の孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。糸は、図4Aおよび4Bならびに図4Cおよび4Dに示されるように、縦目方向の動きに関しては9/9−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9/−1/1−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1(グランドバー#5を参照)の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、6tpi(1インチ当たりの巻数)の繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd(デニール数)20/22のシルク原料の2エンドで作製された糸設計を考慮し、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図6のComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。同じ糸設計を縦目および横目方向に生じる動きに使用する。図6の足場のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、40ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、20ピック/cmである。図6において、項目120は、シミュレーションされたダブルニードルベットメッシュまたは足場である。操作パラメータは、図2B〜2Eに記載のものに限定されないが、図6のパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計に単に最適な値である。
図7Aは、本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。図7において、項目130は、メッシュまたは足場である。本発明に従う足場のこの変形は、好ましくは、10ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図7Bおよび7Cならびに図7Dおよび7Eのパターン配置に示される4つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に2つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図8A〜8Dに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3、図11A〜11Dに示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。図9A〜Dに示される横目方向の他の2つの動きのうちの1つは、足場の孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、3/3−3/3−7/7−7/7−3/3−3/3−5/5−5/5−1/1−1/1−5/5−5/5−3/3−3/3−5/5−5/5−3/3−3/3−5/5−5/5の繰り返しパターンに従う。図10A〜Dに示される横目方向の他の動きは、足場に開口部を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、3/3−3/3−5/5−5/5−1/1−1/1−5/5−5/5−3/3−3/3−7/7−7/7−3/3−3/3−5/5−5/5−3/3−3/3−5/5−5/5−3/3の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、6tpiの繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd20/22のシルク原料の2エンドで作製された糸設計を考慮し、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図12のComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。同じ糸設計を縦目および横目方向に生じる動きに使用する。図12の足場設計のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、39ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、19.5ピック/cmである。操作パラメータは、図7B〜Eに記載のものに限定されないが、図12のパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計にまさに最適な値である。
さらに、図12は、図7B〜Eのパターン配置を用いた足場の製造過程の過程改良を示す。改良は、2つの個々の足場36−2および36−3の間の分離領域36−1からなる。分離領域の利点は、足場が測定を必要とする正確な長さのガイダンスを提供することと、2つの個々の足場を分離するのに必要なツールのガイダンスを提供することである。例えば、5cm±0.4cmの長さを得るために、図7B〜Eのパターンは、パターン線1からパターン線16までを112回繰り返した後、パターン線17からパターン線20までを2回繰り返す必要がある。
図13Aは、本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。図13Aにおいて、項目140は、メッシュまたは足場である。本発明の態様に従う足場のこの変形は、好ましくは、10ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図13B〜Eのパターン配置に示される3つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に1つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図14A〜Dに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3−、図16A〜Dに示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。図15A〜Dに示される横目方向の他の動きは、足場の孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、9/9−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−1/1−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、6tpiの繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd20/22のシルク原料の3エンドで作製された糸デザインを考慮し、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図17のComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。同じ糸設計を縦目および横目方向に生じる動きに使用する。図17の設計のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、34ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、17ピック/cmである。操作パラメータは、図13B〜Eに記載のものに限定されないが、図17のパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計にまさに最適な値である。図17において、項目150は、シミュレーションされたダブルニードルベット足場である。
図18Aは、本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。図18Aにおいて、項目160は、メッシュまたは足場である。本発明の別の態様に従う足場のこの変形は、好ましくは、5ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図18B〜Eのパターン配置に示される3つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に1つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図19A〜Dに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3−、図21A〜D示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。図20A〜Dに示される横目方向の他の動きは、孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、15/15−15/15−13/13−15/15−13/13−15/15−13/13−15/15−13/13−15/15/−1/1−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、6tpiの繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd20/22のシルク原料の2エンドで作製された糸設計を考慮し、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図22のComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。横目方向の動きに関して、糸設計は、6tpiの繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd20/22のシルク原料の3エンドで作製され、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせられる。図22の設計のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、40ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、20ピック/cmである。操作パラメータは、図18B〜Eに記載のものに限定されないが、図22のパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計にまさに最適な値である。図22において、項目170は、シミュレーションされたダブルニードルベットメッシュまたは足場である。
図23Aは、本発明に従うシルク系足場設計のパターン配置の写真である。図23Aにおいて、項目180は、メッシュまたは足場である。本発明の態様に従う足場のこの変形は、好ましくは、10ggニードルの空間に設定されたComez DNB/EL−800−8Bなどのラッシェル編み機で、図23B〜Eのパターン配置に示される3つの動き、つまり生地内の垂直方向である縦目方向に2つの動きと生地の水平方向である横目方向に1つの動きを使用することにより形成される。縦目方向の動きは、交互の糸を用いて個別のニードルベッドで生じ、各横目で生じるループは、繰り返すうちにジグザグ状になる。糸は、図24A〜Dに示されるように、縦目方向の動きのうちの1つに関しては3/1−1/1−1/3−3/3−、図26A〜Dに示されるように、他の縦目方向の動きに関しては1/1−1/3−3/3−3/1の繰り返しパターンに従う。生地内のループの交絡は、1本の糸が応力下にある他の糸より張力状態になることを可能にし、張力の少ない糸の周りに固定し、切断時に生地を解体から保持する。図25A〜Dに示される横目方向の他の動きは、孔設計を作製するいくつかの横目毎に生じる。これらの糸は、横目方向の動きに関して、9/9−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9−7/7−9/9/−1/1−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1−3/3−1/1の繰り返しパターンに従う。このパターンのパターンシミュレーション配置は、6tpiの繊維層を形成するS方向で一緒により合わせたTd20/22のシルク原料の2エンドで作製された糸設計を考慮し、3tpiで得られた繊維層の3つをさらに組み合わせた、図27のComezDraw3ソフトウェアを用いて表される。同じ糸設計を縦目および横目方向に生じる動きに使用する。図27の設計のステッチ密度またはピック数は、生地の技術的表面および技術的裏面の総ピック数を考慮すると、40ピック/センチメートルであるか、または生地のその面のみを考慮すると、20ピック/cmである。操作パラメータは、図23B〜Eに記載のものに限定されないが、図27のパターンシミュレーション配置に使用される特定の糸設計にまさに最適な値である。図27において、項目190は、シミュレーションされたダブルニードルベットメッシュまたは足場である。
シルク糸を採用する実施形態では、シルク糸は、直径約40〜60μmの20〜22デニールのシルク原料繊維から作製される糸からより合わせることができる。好ましくは、10〜30デニールの範囲のシルク原料繊維が採用され得るが、デバイスが十分な強度を提供することができるいずれの繊維直径が許容される。有利に、一定の糸の大きさは、各領域内の、外科用足場の機械的性質、例えば、剛性、伸長等、物理的および/または生物学的性質の均一性を最大にすることができる。しかし、糸の大きさは、好ましい足場位置において異なる機械的、物理的、および/または生物学的特徴を得るために、足場の区間で異なり得る。糸のサイズにより影響され得る因子は、最大引張り強さ(UTS)、降伏強度、すなわち、糸が恒久的に変形する点、伸び率、疲労および動的弛緩(クリープ)、生体吸収率、およびメッシュの内外への細胞/栄養素の移動を含むがそれらに限定されない。
それぞれ、図1A、2A、7A、13A、18A、および23Aに図示される編みパターンを、編み機に応じた任意の幅に編むことができ、様々なかぎ針機または縦糸編み機で利用可能なゲージのいずれかで編むことができる。表1は、異なるゲージ機の異なるニードル数を使用して得ることができる生地幅を概説する。表1の寸法が、使用されるステッチの設計、ステッチの密度、および糸の大きさに依存する編み生地の収縮率による近似値であることを理解する。
Figure 2015501668
本発明に従う足場デバイスの実施形態は、ファインゲージかぎ針編み機で編むことができる。本発明の態様に従う外科用足場を製造することができるかぎ針機は、Changde Textile Machinery Co.,Ltd.、Comez、China Textile Machinery Co.,Ltd.、Huibang Machine、Jakob Muller AG、Jingwei Textile Machinery Co.,Ltd.、Zhejiang Jingyi Textile Machinery Co.,Ltd.、Dongguan Kyang Yhe Delicate Machine Co.,Ltd.、Karl Mayer、Sanfang Machine、Sino Techfull、Suzhou Huilong Textile Machinary Co.,Ltd.、Taiwan Giu Chun Ind.Co.,Ltd.、Zhangjiagang Victor Textile、Liba; Lucas、Muller Frick、およびTexmaにより提供されるが、それらに限定されない。
本発明に従う足場デバイスの実施形態は、ファインゲージ縦編み機で編むことができる。本発明の態様に従う外科用メッシュを製造することができる縦編み機は、Comez; Diba、Jingwei Textile Machinery、Liba、Lucas、Karl Mayer、Muller Frick、Runyuan Warp Knitting、Taiwan Giu Chun Ind.、Fujian Xingang Textile Machinery、およびYuejian Groupにより提供されるが、それらに限定されない。
本発明に従う足場デバイスの実施形態は、ファインゲージフラットベット編み機で編むことができる。本発明の態様に従う外科用メッシュを製造することができるフラットベット編み機は、Around Star、Boosan、Cixing Textile Machine、Fengshen、Flying Tiger Machinery、Fujian Hongqi、G & P、Gorteks、Jinlong、JP、Jy Leh、Kauo Heng Co.,Ltd.、Matsuya、Nan Sing Machinery Limited、Nantong Sansi Instrument、Shima Seiki、Nantong Tianyuan、およびNingbo Yuren Knittingにより提供されるが、それらに限定されない。
(医療用デバイス足場の生体内 評価方法)
乳房下組織拡張器、拡大デバイス、および再建材料の移植は、ヒトにおける非病理的な豊胸および乳房切除後の乳房再建の両方の共通の特徴である。いずれの場合にも、十分な大きさの転移された筋もしくは皮膚弁または患者以外の生物学的材料は、組織拡張器または拡大デバイスの設置に適応するように移植される。今まで、移植された組織拡張器または乳房再建に適切な補助材料に対する機能性および生物学的応答を評価するための、乳房再建に十分に類似する解剖学的位置を展開する動物実験は、発表されていない。本発明の態様では、モデル系に四足獣を使用する。本明細書で使用される、用語「モデル」または「モデル化」とは、四足獣を用いて、ヒトにおいて何が生じるかを模倣する、またはシミュレーションすることを意味する。例えば、本発明の方法は、例えばヒトの乳房再建などにおける軟組織修復のモデル化を含む。よって、本発明に従うヒトにおける軟組織修復をモデル化するための方法は、四足獣に医療用デバイス足場を移植することを含む。本発明は、このヒト最終使用用途および外科手技用の好適な動物モデルを対象とする。
それらに限定されないが、ヒツジおよびブタを含む四足獣が、本発明の動物モデルにおける使用に好適な動物種である。動物モデルは、乳房再建/豊胸デバイスの広背筋下(SLDM)移植を含む。SLDM筋が好適であるが、移植の位置付けを可能にする任意の他の筋が本発明に従い使用することができる。成熟した(すなわち、完全に成長していない)ヒツジおよびブタの広背筋は、ヒトの大胸筋に類似する形状、配向、および大きさを有する。本発明の方法によると、種、種族、動物の大きさ、組織拡張器(TE)の大きさ、および外科手技が選択された。
本発明の移植可能なデバイスおよびそのようなデバイスのヒト移植をシミュレーションするための本発明の生体内動物モデルは、これに限定されないが、乳房再建を含む、様々な用途、または再建的用途、または支持用途の使用に好適である。
本発明の移植可能なデバイスおよびそのようなデバイスのヒト移植をシミュレーションするための本発明の生体内動物モデルは、様々な用途、または再建的用途、または支持用途の使用に好適である。移植可能なデバイスは、全身の様々な位置に移植可能である。例えば、本発明のシルク系足場は、顔面再建、顔のシワ除去、眼瞼手技、および歯肉グラフトなどの顔における軟組織修復用のデバイスとして有用である。本発明のシルク系足場は、頸部シワ除去などの頸部における軟組織修復用のデバイスとして有用である。本発明のシルク系足場は、再建、修正拡大、乳房固定、豊胸修正、豊胸支持、標準的な豊胸、胸壁修復、および臓器支持などの乳房における軟組織修復、ならびに遺伝的障害用のデバイスとして有用である。本発明のシルク系足場は、骨盤底修復、ならびにTRAM弁、身体の輪郭、腹壁形成、大幅な体重減少後の腹壁形成、ヘルニア修復、腹壁ヘルニア、およびヘルニア予防(腹部大動脈瘤などを伴う)などの腹部におけるデバイスとして有用である。本発明のシルク系足場は、糖尿状態または静脈性潰瘍などの創傷治癒における軟組織修復のデバイスとしても有用である。
実施例
以下の実施例は、本発明の態様を図示する。
実施例1:乳房再建におけるシルク足場の適合性を判断するためのヒツジ実験
実験は、本発明の範囲内の外科用足場デバイスの性能および適合性を評価するために、ヒツジの生体内広背筋下移植モデルを使用して、シミュレーションしたヒト乳房再建手技においてそれらを移植することにより行われた。具体的には、本研究は、臨床的に妥当な様式で採用されたときの足場構成に対する生物学的応答、およびその外植特徴、様々な足場構成を評価し、シルク足場がヒト乳房再建外科手術および手技における使用に十分に適しているかを判断した。試験系は次の通りである。
(試験系:動物(ヒツジ))
試験動物は、系統または種族ランブイエ交配、もしくはサフォーク−ハンプシャー交配のヒツジ(Ovis aries)であった。試験動物96匹、補助動物10匹であった。動物(即ち、ヒツジ)は、去勢された雄または妊娠していない雌であった。外科手術時の動物の年齢は、9〜16ヶ月齢であった。外科手術時の動物の体重は、36kg〜60kgであった。
試験物品
本研究に使用された試験物品(下の「試験群」)は、デバイス(devices)または「デバイス(device)」とも称され、SeriScaffold(商標)とも称されるシルク外科用メッシュ(足場)であり、全て本発明の範囲内である。移植可能な試験物品の重量(外科用メッシュ)と動物の体重との比率は、36〜60kgのヒツジの動物の1kg当たり、それぞれ、7mg〜46mgであった。
使用された試験物品は、所望の外科手術転帰を得るために材料の追加を必要とする脆弱または空隙が存在する欠損を強化するための、軟組織の支持および修復用の一過性の足場としての使用に適応される外科用メッシュ(FDA承認)であった。加えて、使用された全ての試験物品は、機械的に強く、生体適合性であり、長期生体再吸収性である性質を有する、編まれた(または同義語として編む)、多重フィラメントの生物工学処理されたシルクメッシュであった。
試験群−シルク系足場デザイン3番(図7Aに示される)
試験群−シルク系足場デザイン5番(図18Aに示される)
試験群−シルク系足場デザイン6番(図23Aに示される)
試験群−シルク系足場デザイン1番(図1Aに示される)
減菌技法は、移植前または移植中、全ての試験物品を取り扱うときに使用された。
デバイス移植片(つまり使用された試験物品)は、発生した任意のデバイスの粒子屑を除去するために、デバイスの原位置での切断後、生理食塩水/抗生物質溶液で広範囲にわたって洗浄され、吸引された。
組織拡張器および乳房移植片(集合的に「乳房補綴」
本研究は、NATRELLE(商標)133解剖学的組織拡張器、およびNATRELLE(商標)シリコーン充填された平滑な円形の乳房移植片またはNATRELLE(商標)シリコーン充填されBIOCELL(登録商標)のざらつきのある円形の乳房移植片のいずれかの使用を含む。
NATRELLE(商標)133解剖学的組織拡張器(「TE」)
大きさ:500〜750cc
製造業者:Allergan Medical
使用された133シリーズの組織拡張器は、一時的な皮下移植を対象とし、所望の程度の組織拡張が得られるまで、注入用の減菌生理食塩水で周期的に膨張増加を必要とした。
133シリーズの組織拡張器は、シリコーンエラストマーから構成され、BIOCELL(登録商標)のざらつきのある表面の拡張包絡面、およびMAGNA−SITE(登録商標)一体注入部位からなる。多種多様の型および大きさの拡張器が入手可能である。適用は、次の通りである:乳房切除後の乳房再建、未発達乳房の治療、軟組織変形の治療。
NATRELLE(商標)シリコーン充填された平滑なまたはざらつきのある円形の乳房移植片500〜750cc容量)は、Allergan Medical,Santa Barbara,Californiaから入手可能である。
NATRELLE(商標)シリコーン充填された乳房移植片は、低拡散シリコーンエラストマーシェルが得られるバリアシェル技術で作製され、柔らかい、凝集性があるシリコーンゲルで充填される。本研究に使用された全ての型は、単一の「管腔」円形設計であり、シェル、パッチ、およびシリコーンゲル充填物からなった。NATRELLE(商標)シリコーン充填乳房移植片は乾熱減菌された。NATRELLE(商標)は、最低22歳の女性の豊胸、および乳房再建の使用のために承認される(適用される)。
研究設計
(動物)
A、B、C、およびD群は、次の時間点:1、3、6、12、18、および24ヶ月のそれぞれに関して、3匹の動物または6つの外科手術部位を含んだ。研究は、A、B、C、およびD群において、最大72匹のヒツジ(時間点当たり12匹)を利用した。
(研究群(数量は時間点当たりとして列挙される))
試験群−シルク系足場デバイス3番(ヒツジ3匹、両側手技)
試験群−シルク系足場デバイス6番(ヒツジ3匹、両側手技)
試験群−シルク系足場デバイス1番(ヒツジ3匹、両側手技)使用されたシルク系足場(SBM)1番足場は、9本のフィラメントがより合ったシルク糸で編まれた。糸は、3つのシルク束から構成され、そのそれぞれは、図34に図示される、個々のシルク原線維から構成された。9本のフィラメント糸は、外科用足場に編み上げられた。足場に沿って、縦目は水平に走り、横目は垂直に走った。
擬似対照群(ヒツジ3匹、両側手技)
研究基準
研究を通して、動物および外科手術部位は以下の基準により検査された。
臨床観察(手術前および手術後、ならびに剖検前)
組織学的評価(剖検後)
組織形態計測(剖検後)
デバイス拡張後の物理的および生体力学的評価
外科手術部位および周囲組織の画像診断(生存中-特定の間隔で)
臨床病理学(生存中-特定の間隔で)
研究スケジュール:剖検および移植片交換
1ヶ月屠殺:手術30±3日後
1ヶ月群の動物全てを安楽死させ、手術30±3日後に剖検した。
3ヶ月屠殺:手術13±1週後
3ヶ月群の動物全てを安楽死させ、手術13±1週後に剖検した。
組織拡張器から乳房移植片へ交換:組織拡張器移植13±2週後
6ヶ月群および12ヶ月群の動物全ては、組織拡張器移植13±2週後、組織拡張器を乳房移植片と交換するために外科的に手術された。
6ヶ月屠殺:組織拡張器移植26±2週後
6ヶ月群の動物全てを安楽死させ、組織拡張器移植26±2週後に剖検した。
12ヶ月屠殺:組織拡張器移植52±2週後
12ヶ月群の動物全てを安楽死させ、組織拡張器移植52±2週後に剖検した。
18ヶ月屠殺:組織拡張器移植78±2週後
18ヶ月群の動物全てを安楽死させ、組織拡張器移植78±2週後に剖検した。
24ヶ月屠殺:組織拡張器移植104±2週後
24ヶ月群の動物全てを安楽死させ、組織拡張器移植104±2週後に剖検した。
生体内処置
試験物品、組織拡張器、および乳房移植片は、移植直前に1mgのセファゾリン、80mgのアミカシン、50,000Uのバシトラシン、および500mlの0.9%減菌生理食塩水(または医学的に等価の溶液)からなる3重抗生物質溶液に簡潔に浸漬された。移植片ポケットを、移植前または移植片交換前に3重抗生物質溶液で洗浄した。
(外科手術部位準備)
動物を全身麻酔下に置いた。麻酔処置し、手術台に背臥位に(仰向け)位置付けた。眼科用潤滑軟膏をそれぞれの眼に施した。麻酔期間中の吐き戻し吸引および満腹感を防止するために、経口胃「管腔」チューブを挿入した。手術ガーニー上に動物を背臥位に配置した。前肢および胸部の両方の中央部を覆う皮膚を丸刈りし、羊毛および毛を掃除機で除去し、無菌手術のために洗浄した。入念な洗浄は、ポビドンヨード洗浄溶液で中心から外への洗浄、および70%のイソプロピルアルコールで中心から外へのヨード除去からなる3回の2段階サイクルからなった。短い乾燥時間後、洗浄領域をポビドンヨード溶液で軽くスプレーし、乾かした。次に、動物を最終洗浄が行われる手術室に移動し、手術部位は無菌手術のために減菌された。
(外科手技)
(試験物品移植)
各動物は両側手技を受け、両側に同じ試験物品を移植した。皮膚および皮筋を通して10〜20cmの切開部を広背筋の1つの腹部端に沿って作製し、順次または非順次に両側手技を行った。広背筋の下の軟結合組織を鈍的に分離し、頭−尾が約16〜18cm×背−腹が12〜15cmの移植ポケットを作製し、胸壁と広背筋との間に組織拡張器を収容する。移植ポケットの頭縁は、空隙空間を最少にし、頭移植片の移動を防止するのを補助するために、縫合された。拡張器の存在による胸壁と広背筋との間に作製された前方の間隙を覆うために、試験物品は、背−腹が約5〜7cm×頭−尾が約15〜17cmの大きさに整えられ、平坦な縁を広背筋に縫合し、湾曲した縁を肋間筋に縫合して、乳房下溝線(IMF)を作製した。試験物品を広背筋の腹部の縁に最初に縫合し、縫合咬合の深みを筋にずらして配列し、足場の縫合線の引き抜きを減少させる。縫合咬合の試験物品へ深さは、その構造内のデバイスの不均等な張力を避けるために、デバイスの周囲に沿って一定に維持された。2−0の吸収性縫合糸(例えばBIOSYN(商標))は、単純な連続または不連続のインターロッキングパターンで広背−足場縫合線に使用された。減菌生理食塩水溶液の総容積容量の一部を含む500〜750ccの組織拡張器をポケットに挿入し、注入ポートは外側かつ背側に位置付けされた。組織拡張器の底部は、胸壁に対して平らに位置付けられた。次に、試験物品を、線の近くだが、組織拡張器の前縁に接近するがてわずかに後方の線内の横方向の胸壁に縫合した。
図28Aおよび図28Bは、ヒトの乳房再建を図示する。図28Aは、足場を伴うヒト乳房の側面図を図示する。図28Aにおいて、32は大胸筋であり、52はシルク足場であり、54は乳房移植片である。図28Bは、組織拡張器を交換した恒久的な移植片を図示する。図28Bにおいて、58はシルク足場(試験物品)であり、56は乳房移植片である。
図29は、ヒツジにおける広背筋下組織拡張器/乳房移植片の位置を図示する。
図30は、切開部閉鎖前の外科手技の完了時の試験物品設置の写真である。
最終ハンモック領域上に足場を吊るすために、断続した「タックダウン」縫合を、試験物品の足場の頭および尾の端、ならびに意図される乳房下溝線(IMF)線に沿った途中まで行った。IMFおよびコーナータックダウンスティッチは、2−0の吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))のものであった。次に、縫合は、2−0の吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))を用いて、単純なまたはインターロッキング連続パターンで、意図されるIMF線に沿って行われた。縫合中に拡張器を刺さないように注意した。縫合が完了したら、試験物品を任意に最終的な大きさに整え、組織拡張器の折り畳みを低減するために、任意に標的時間0容量またはそれを超えて組織拡張器をさらに充填した。一時的な閉鎖ループ排出路(BLAKE(登録商標)Drain,Ethicon)を移植片ポケット内に設置し(IMFに対して腹側)、排出系のチューブ部分は、皮膚背部を退出するようにポケットから背部に約20cmにわたって肩甲骨まで皮下に通された。巾着パターンで、排出チューブの皮膚退出部位を2〜0の非吸収性縫合糸(例えばPROLENE(商標))で閉鎖し、皮膚退出部でチューブをさらに固定し、退出部でのチューブのピストン状態を最小にするために、露出された排出チューブの2〜4cm上に縫合鎖をフレンチレース延長させた。移植外科手術切開部を次のように2〜3層で閉鎖した。
1.(任意)皮下脂肪下軟結合組織閉鎖は、単純な連続パターンで、3−0または2−0の吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))を用いて任意に行われた。
2.2−0吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))で、脂肪層筋(panniculus muscle)切開部を単純な連続パターンで閉鎖した。
3.2−0または好ましくは3−0の吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))で、皮膚外縁を単純な連続表皮下パターンで閉鎖した/並置した。外皮膚切開部外縁全てを液体のシアノアクリレート糊で封止し、接着した皮膚切開部上に防腐軟膏または粉末(例えばニトロフラゾン)を適用した。排出チューブは皮膚退出部で皮膚に接着し、任意に、肩甲骨に対して背側の皮膚/羊毛に固定された結合吸引バルブに経路に沿って縫合および/または糊で部分的に接着した。上記の手技は、順次または同時のいずれかで動物の両側に行われた。
(擬似対照)
擬似対照移植は、「試験物品移植」に関して上述の外科手技に従ったが、移植した組織拡張器を試験物品で支持するのではなく、2−0吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))を用いて、マットレスまたは十字パターンで試験物品移植において作製されたIMF縫合線と一致する(疑移植片はIMF縫合線がない)広背筋の腹側自由縁と胸壁アーチとの間に広がる、組織拡張器上の十分に離れた3か所で、広背筋を胸壁に縫合した(図31を参照)。図31において、項目350は縫合糸(3か所)を示し、項目355は組織拡張器である。
(組織拡張器を乳房移植片と交換)
組織拡張器移植13週(±2週)後、拡張器を外科的に除去し、対応する大きさの乳房移植片と交換した。この外科手術は、前述の外科手術部位の無菌前処理、動物を胸臥位に手術台に置いた後(両側同時手技は任意に行われた)、次のように行われた:移植した拡張器の中央部分にわたって、広背筋繊維とほぼ一致して、8〜10cmの皮膚切開部を作製した。組織拡張器に損傷を与えないように注意しながら、繊維と一致して鈍的および鋭的切開により、広背筋を裂いた。移植した組織拡張器を非外傷的に把持し、拡張器から線維性被包を剥がしながら、そっとポケットから抽出した。走査型電子顕微鏡(SEM)で分析するための次の組織拡張器サンプルを抽出するために(サンプルを減菌する必要はない)、組織拡張器を確保した。
1.SEM摩耗分析用の試験物品下の4x4cmのTEシェル、10%のホルマリン緩衝液に保存
2.SEM摩耗分析用の広背筋下の4x4cmのTEシェル、10%のホルマリン緩衝液に保存
ポケットを検査し、試験物品移植に関して前述するように、抗生物質洗浄溶液で洗浄した。少量の移植した試験物品およびその周囲組織の生検検体(約1cm)を任意にポケット内から切除した。最終拡張器膨張容量に対応する大きさの乳房移植片を空のポケットに挿入し、裂いた広背筋の端を試験物品移植切開部閉鎖に関して前述するように2〜3層に再度並置したが、次を除く:任意の最初の層/最深部層は、任意に、3−0または2−0吸収性縫合糸(例えばVICRYL(登録商標)、BIOSYN(商標))を用いて、単純な連続パターンで、線維性カプセル切開部の縁、つまり被膜外に対向するように使用された。外側皮膚切開部の縁は、前述のように、液体のシアノアクリレート糊で封止された。一時的な排出路は、任意に外科手術部位に設置された。上記の手技は、順次または同時のいずれかで動物の両側に行われた。
移植片交換手技時の試験物品の観察および測定は、以下を含む:
ポケット拡張の肉眼での観察(すなわち、組織拡張器/移植片の周囲に目視可能な空隙があるか)
組織拡張器/乳房移植片の位置(例えば任意の移植片の回転、折り畳み等)
交換時の組織拡張器への内部成長の視覚的評価
交換時のデバイスの内部表面の視覚的評価(例えば目に見えるデバイス、目に見えるTE孔から除去された内部成長等)
交換時のポケット内の流体の容量および種類の推定
移植片交換後の術後観察は、頻度および収集されたデータに関して、移植後に行われたものを模倣した。
(組織拡張器充填物)
組織拡張器は、移植時にその総容量のパーセンテージに充填された。残りの容量は、複数の臨床的に適切な充填量に分割された。生理食塩水の注入中、白化の程度は、研究施設の獣医によって任意に観察された。白化が生じる場合、研究施設の獣医は、任意に、適切に注入容量を減少させ、偏差値は記録形態で記録された。動物は、組織拡張器充填のために鎮静された。研究に特有の動物観察が記録された。
(術後評価)
(組織拡張器および乳房移植片の位置付け)
以下の組織拡張器位置付け測定は、移植外科手術時、各術後組織拡張器充填時、および移植時からの月の増加時に行われた。加えて、これらの測定は、組織拡張器を乳房移植片に交換する前、および交換1週間後に直接行われた。結果を記録した。
(組織拡張器の垂直位置付け)
移植片を通る軸方向の胸領域切断についての周囲の長さ(「胴周り」と称される)
脊椎から移植片の腹側縁までの距離(「脊椎から移植片」と称される)
(組織拡張器の水平位置付け)
尾の根元から肩までの距離(尾から肩」と称される)
尾の根元から移植片の尾側縁までの距離(「尾から移植片」と称される)
これらの測定に加え、移植時、各組織拡張器充填時、および/または乳房移植片交換手技が完了するまでの毎月に組織拡張器充填ポートの位置を示すために、写真を撮った。
(触知)
皮膚を通してのデバイスの触知は、外科手術時、組織拡張器充填時、および術後1ヶ月間隔で評価された。剖検時、触知は皮膚と共に、その後皮膚なしで、および脂肪層筋にわたって評価された。触知は、乳房の下極に強く押し付けることにより評価され、観察を記録した。触知は、次のようにスコアが付けられた:0は、デバイスが感じられたかったことを意味する;1は、デバイスの縫合線が感じられたが、個々の特徴(孔等)が認識されなかったことを意味する;2は、デバイスの特徴が感じられたが(例えば孔、シワ等)、目に見えなかったことを意味する;3は、デバイスの特徴が筋を通して目に見え、容易に認識できた。
(画像診断)
超音波撮像は、12ヶ月群の動物において行われたが、任意に18ヶ月および24ヶ月の群に関しても行われた。画像は次の時間点で撮影された:1)最初の組織拡張器充填前に直接、2)最後の組織拡張器充填時、3)術後3ヶ月、4)術後6ヶ月、および5)術後12ヶ月。追加の超音波画像は、有害事象を受けた動物に関して、必要に応じて任意に行われた。
コンピュータ断層撮影(CT)走査および磁気共鳴画像(MRI)は、12ヶ月群の動物において行われたが、任意に18ヶ月および24ヶ月の群に関しても行われた。画像は術後6ヶ月および12ヶ月に撮影された。追加のCTおよび/またはMRIデータは任意に要求された。画像出力が取り込まれ、保存された。
(剖検)
安楽死および動物体外部の肉眼での検査後、外科手術部位は、動物が手術台の上に腹側−側方臥位に置かれたことを除き、デバイス移植に関して前処理されたのと同じ様式で無菌に前処理された。1度に1つの外科手術部位が検査された(他に進む前に動物1体の片側)。脂肪層筋を露出させるために、移植部位および近接する周囲領域を覆う皮膚(約20x20cm)の広い区域を抽出した。脂肪層筋の健康状態を評価し(血腫、白化等)、脂肪層を通した足場の触知を評価した。感染が懸念される場合、関心の領域の培養スワブが任意に採取された。胸郭および周囲組織からの全20x20cmの複合体を、最小限に扱いながら剥離し、TEの内側または深部側が上に面する(脂肪層筋が台に対する)ように減菌の後台に置いた。感染が懸念される場合、試験物品は、感染分析用にカプセルおよび広背筋にわたってサンプルを約0.5x0.5cm切除するために、任意に背側に寄せられた。同じ様式で、試験物品の頭側と尾側でさらに2つの感染サンプルを切り取った。全ての感染分析用サンプルが採取されたら、組織拡張器を収縮させ、検査台はもはや減菌域とは見なされない。検査台がもはや減菌と見なされなかった後のみ、剖検の前処理は次のスケジュールされた施設で開始される。全ての生理食塩水が組織拡張器から排出された後、組織拡張器の背側半球は、上前組織拡張器半球を後半球から分離するために2等分され、組織拡張器の腹側半球を無処置のままにし、移植したデバイスに接触させる。後組織拡張器半球の上半分を切除し、取り付けたカプセルの4x4cmのサンプルを破裂試験用に除去し、シェルおよび付着したカプセルの2x3cmのサンプルを組織学的検査用に切断した。組織拡張器のシェル、カプセル、および移植した足場を含む残りの破裂および組織学的検査サンプルは、サンプルを収集するために小刀を用いて解剖された。広背筋下の組織拡張器に付着したカプセルの4x4cmのサンプルは切除され、足場破裂サンプルの後方から除去した4x4cmのシェルはSEM分析用に保持され、保管された。
図32は、各試験物品からの生体力学的および組織学的サンプル抽出物の配置である。加えて、1、3、6、および12ヶ月での剖検観察および測定は、(1)試験物品を被包する組織の外見、一体化、および大きさ、(2)試験物品の構造への組織の付着、(3)組織拡張器/乳房移植片の目視検査を含んだ。関心があると判断された場合、追加のサンプルが収集された。
(生体再吸収−形態/形態計測分析)
組織拡張器および乳房移植片のサンプルは、比較のために、移植片が試験物品と筋の両方に接触する領域から切除された。各試験物品からの生体力学的および組織学的サンプル抽出物の配置は図32に示される。
この研究は、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための方法を記載し、本方法は、四足獣にシルク足場を移植するステップを含む。四足獣はヒツジまたはブタであり得る。我々は、シルク足場が移植1ヶ月、3ヶ月、および6ヶ月後に生体内でその時間ゼロ強度の少なくとも90%を維持することができると判断した。そして、我々は、シルク足場が実質的に生体内でのその期間を通してその時間ゼロ(すなわち、移植時)強度を維持することができると判断した。加えて、足場の厚さは、組織の内部成長により、生体内で時間と共に増加し得る。足場は、ヒト乳房再建または豊胸手技における移植をシミュレーションするために移植され得る。足場は、足場の側配向に関係なく移植され得る。
要約すると、SeriScaffold(商標)のこの例の様々な実施形態では、独特のシルク由来の長期生体再吸収性足場医療用デバイス(「デバイス」)が研究された。SeriScaffold(商標)は、例えば乳房再構成などの様々な外科手技において、軟組織の支持を提供するように使用することができる。この実施例では、12ヶ月の期間にわたってデバイスの生体力学的性質および臨床的性質を特徴付けるために、2段階の移植片に基づく乳再建モデルが、ヒツジにおいて開発された。よって、胸筋上昇手技(ヒトの乳房移植片乳房再建手技に使用されることが多い)において、組織拡張器(TE)は、ランブイエ交配、もしくはサフォーク−ハンプシャー交配ヒツジの広背(LD)筋の下の両側に移植された。デバイスは、LDと胸壁との間の「下極」に乳房下溝線(IMF)をもたらす軟組織支持を提供した。3匹の動物はそれぞれ、1、3、6、および12ヶ月で安楽死された。6ヶ月および12ヶ月の分析が予定されている動物は、TEを乳房移植片(BI)と交換するために、術後13±2週で2回目の外科手術を受けた。剖検時、デバイスを含むプロテーゼ周囲組織サンプルを収集し、標準的なボール破裂試験を使用して生体力学的強度を評価し、サンプルのドレープ性を、最小、中程度、または顕著に格付けした。生存中の臨床的特徴付けは、流体収集、被膜拘縮、およびデバイス触知を含む。各時間点で、生体力学的特徴付けのために、少なくとも6つのサンプルを得た。全ての時間点で、デバイスの孔領域は、全てのデバイス表面に浸潤した組織で完全に内部成長した(図35および36を参照)。サンプルの厚さは、時間=0で0.9±0mmから1ヶ月で1.9±1.3mm、そして12ヶ月で2.2±1.0mmに増加した。初期の足場(デバイス)強度は、生体再吸収により減少したが、組織内部成長はデバイス強度に貢献し、1ヶ月で153±69N、そして12ヶ月で243±83Nの極限破裂負荷であった。臨床的に、>Baker等級2の被膜拘縮の証拠は観察されず、全ての外植されたサンプルは、全ての時間点で顕著にドレープ性であると格付けされた。排出路出力は、移植片部位当たり平均48±10mL/24時間をもたらし、最大収量132mLであった。排出路は、8匹の動物に3日間、2匹の動物にそれぞれ4日間および5日間設置された。デバイスは、いずれの時間点でも皮膚を通して触知可能ではなかった。この実施例は、独特の新しいシルク由来の外科用足場であるデバイスを用いて、IMFをもたらす良好な軟組織支持を伴う完全なヒト移植片に基づく乳房再建のシミュレーションに関するヒツジモデルの初の成功例を記載する。12ヶ月にわたるデバイスの生体力学強度プロファイルは、一定した軟組織支持を示した。臨床的に、TE/BIの周りの組織は、柔らかくしなやかで、かつドレープ性であり、被膜拘縮を示さなかった。
よって、本研究は、四足動物モデルにおいて、生体内での医療用デバイスを評価する方法を記載し、本方法は、軟組織を支持するために、組織拡張器およびシルク足場を四足獣に移植するステップを含む。この方法は、シルク足場を四足獣の広背下筋および胸壁に縫合することを含み得る。
加えて、本研究は、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための動物モデル系を記載し、この動物モデル系はシルク足場を含み、四足獣はシルク足場の内部支持を提供するための筋を有する。四足獣は、ヒツジまたはブタであり得、筋は広背下筋であり得る。
このヒツジ研究(実施例1)は、シルク足場(SeriScaffold(商標))がヒト乳房再建外科手術および手技における使用に十分に適することを判断し、このヒツジ研究からの結果は、本発明のシルク系デバイスまたは足場がヒトにおける乳房再建および豊胸手技において使用するための、ならびに他のヒト臓器および移植した医療用デバイスの支持目的に関して非常に所望される材料であることを示した。
ヒツジモデルは、ヒト乳房移植に使用するためのSeriScaffold(商標)の適合性を判断するために使用された。SeriScaffold(商標)は、軟組織支持を提供するための生体再吸収性シルク由来外科用足場である。ヒツジモデルは、軟組織支持を提供するために開発された独特のシルク由来生体再吸収性足場(SBS)であるSeriScaffold(登録商標)を使用して、2段階の乳房再建の機械的および生物学的環境を摸倣する。ヒツジモデルは、生体内で12ヶ月にわたりSBSの臨床的、機械的、および生物学的性能も評価した。SBSは、未変性血管新生化組織がその場所で発達する移植後12ヶ月の期間にわたって生体内で生体再吸収される。このヒツジモデルは、乳房再建において軟組織支持を提供するSBSの能力を特徴付けるために開発された。この研究では、12匹のヒツジが、広背筋と胸壁との間に縫合されたSBSを伴う広背筋下に組織拡張器の両側移植を受けた。SBSは、広背筋と胸壁との間に縫合され、乳房下溝線(IMF)を作製し、軟組織の下極を画定する。動物は術後1、3、6、および12ヶ月に評価された。6ヶ月および12ヶ月のエンドポイントに指定された動物は、組織拡張器を恒久的な乳房移植片と交換するために、3ヶ月後に2回目の外科手術を受けた。各動物の移植片部位は、CTおよびMRIを使用して研究を通して撮像された。剖検時に、SBS(内部成長または新しく生成された組織と共に、またはその除去時)の厚さおよびドレープ性が記録された。組織サンプルの生体力学的強度(観察時の任意の残りの非生体再吸収性SBSと共に)は標準的なボール破裂試験を使用して評価された。この研究の結果は次の通りであった:SBSはいずれの時間点でも触知できなかった。移植片移動の症例はなかった。SBSの位置は、6ヶ月に達するまでMRIにより見られた。SBSの孔領域は、移植(初期の外科手術)+1ヶ月以降、新しい未変性組織で完全に内部成長された。SBSデバイスは、ドレープ性であった(図35および図36を参照)。SBSのサンプルの厚さ(内部成長した、または新しく生成された組織を含む)は、時間=0で0.9±0mmから+1ヶ月で1.9±1.3mm、そして+12ヶ月で2.2±1.0mmに増加した。移植したSBSのサンプルの破裂負荷(内部成長した、または新しく生成された組織を含む)は、+1ヶ月で153±69Nから+12ヶ月で246±83Nに増加した。内部成長した、または新しく生成された組織を除去したSBSサンプルで行われた破裂試験(材料強度)は、98±35N(+1ヶ月)、30±11N(+3ヶ月)、および7±2N(+6ヶ月)の破裂負荷をもたらし、SBSの漸進的な再吸収を示し、+12ヶ月のSBSサンプルに関して、SBSはそれまでに生体再吸収されたため、負荷は計算されなかった。この研究は、移植片に基づく乳房再建のヒツジモデルがヒト乳房再建に使用するためのSBSを評価する良好な手段であることを示した。さらに、この実験は、生成された組織の強度が維持されるだけでなく、経時的に増加することを示した。移植したSBSの強度が減少すると、内部成長した、または新しく生成された組織を伴うSBSサンプルの強度は増加し、したがって、新しく生成された組織への耐荷重性責任の漸進的な移行を示す。よって、SBSは、乳房再建において軟組織支持を提供する能力を有する生体再吸収性デバイスである。
実施例2:ブタにおけるシルク足場を伴う組織拡張器の研究
実験は、ミニブタ死体ラボ(cadaver lab)を使用して行われた。ブタは、約18ヶ月齢、体重約91kgのユカタンミニブタであった。この実験に使用した足場は、本発明の範囲内のデバイスである10x25cmのシルク系デバイス1番(SeriScaffold(商標))であった。このブタ研究に使用された組織拡張器は、NATRELLE型133MV 500cc、モデル番133MV−14であった。
ブタは、動物モデルおよび外科手技開発のため安楽死された。広背筋下組織拡張器移植を用いて、乳房再建手技がシミュレーションされ、実施された。切開部は、広背筋から約2〜3cm腹側の皮膚および脂肪組織を通して作製された。広背筋を分離し、下層の腹鋸筋から持ち上げ、組織拡張器を筋下ポケット形成内に挿入した。外科用足場は、筋下位置で組織拡張器を支持するために、広背筋の腹側端および胸壁に縫合された。次に、組織拡張器は、足場、縫合糸、および周囲組織に対して得られる張力が観察されるいくつかの段階で、その最大許容量に充填された。加えて、胸筋は、別の予備移植部位であった。
広背筋は、容易に識別され、持ち上げられた。筋の厚さは、足場をその腹側端に縫合するのに十分であることが分かった。筋下ポケットの大きさは、500ccの組織拡張器の設置に十分であった。皮膚の切開位置は、広背筋の腹側端にアクセスするために最適化された。組織拡張器がその最大許容量に充填された後、足場、縫合糸、および周囲組織は、課された張力を支持した。過剰な皮下脂肪組織層(約2インチ)が観察された。図33は、ヒトにおけるモデル化のためのブタにおける広背筋下腹−頭組織拡張器の設置を図示する。図33において、項目400はブタであり、項目410はブタの広背筋である。
実施例3:ヒトの乳房再建および/または豊胸におけるシルク足場の使用
組織拡張器は、ヒトの女性患者の大胸筋に隣接して設置され、筋の下に位置付けることができる。試験デバイのSMB番号1、2、3、4、5、または6の外科用足場(SeriScaffold(商標))は、組織拡張器を覆う軟組織を支持するために、胸筋および胸壁に縫合され得る。組織拡張器および筋は、筋と胸壁との間に縫合糸を設置することにより支持され得る。手技は、各女性患者の右側および/または左側に対して片側または両側に実施され得る。組織拡張器は、経時的に生理食塩水を許容量に充填し、段階II外科手技がその後実施され得る。段階II外科手術は、組織拡張器の除去および乳房移植片の設置からなる。シルク足場も、乳房移植片の下極または端を支持し、それによって移植後の乳房移植片の過度の移動を防止し、シルク足場が再吸収されるにつれ組織内部成長を支持するように、シルク足場を定位置に縫合することにより、豊胸外科手術および手技(組織拡張器が典型的には使用されない場合)において使用することができる。
本発明の別の態様では、ヒト乳房再建をシミュレーションするヒツジモデルにおいて評価された軟組織支持のためのシルク由来の生体再吸収性足場デバイスが提供される。
デバイスは、例えば、所望の外科手術転帰および美的転帰を得るために材料の追加を必要とする脆弱または空隙が存在する、軟組織を支持するための一過性の足場として有用である。
本発明のデバイスが取り組む美的外科手術分野内の懸念は、これらに限定されないが、漿液腫、感染、および高い外植率、触知/傷跡被包率を含む。本発明のデバイスは、これらの懸念のうちの少なくともいくつかを減少させる、および/または排除することを対象とする。
本発明のデバイスは、少なくとも次の用途に有用である:顔のシワ除去、眼瞼手技、歯肉グラフト、首のシワ除去、豊胸および再建、乳房修正拡大、乳房固定、乳房の遺伝子障害の補正、鼠径ヘルニアを含むヘルニア修復、TRAM弁を含む腹部修復、MWLの腹壁形成、腹壁ヘルニア、ヘルニア予防。
デバイスは、シルク由来の生体再吸収性足場(SBS)を含む。これは、本明細書の別の箇所に記載されるように、編まれた切断可能な長期生体再吸収性足場であり得る。
実施例4:2段管ヒト乳房再建外科手術のヒツジモデルにおける組織拡張器および後続のシルクメッシュ支持足場を伴う乳房移植片の研究
この実施例4は、実施例1の2段階乳房再建ヒツジ研究のさらなるデータおよび結果を記載する。よって、実施例1の完全な動物モデルは、ヒトにおける2段階乳房再建をシミュレーションまたはモデル化するための本開示のシルク足場デバイスと共に使用された。このヒツジ動物モデルは、軟組織支持のための本発明のシルクメッシュ医療用デバイス(すなわち、SeriScaffold)の有効性を示した。図37(A)、(B)及び(C)は、移植した組織拡張器(段階1)、および段階1の組織拡張器を除去した後に続く移植した乳房移植片(段階2)を支持するためのシルク系生体再吸収性足場(例えばシルク編みメッシュ)を用いて、ヒトにおける2段階乳房再建手技をシミュレーションまたはモデル化するために開発されたヒツジモデルの態様を示す。図37(A)に図示されるヒツジ100は、ヒツジの広背(「LD」)筋の下に500cc容積容量の組織拡張器110(術中に300ccの生理食塩水で充填された)の配置を示す。ヒツジ100に組織拡張器110を移植した後、シルク系足場(「SBS」)は、組織拡張器110に隣接し、かつそれを支持するように(すなわち、その周囲および下に配置することにより)縫合され、それによって2段階手技の第1段階を完了する。
段階1の移植した生体再吸収性シルク足場(SBS)を、移植1ヶ月および3ヶ月後に動物モデルにおいて評価した(移植した組織拡張器と共に移植された)。シルク足場(SBS)は、移植1ヶ月後および移植3ヶ月後(段階1)の間隔で、疑似バイクリル縫合手技と比較して評価された。3ヶ月後、組織拡張器を除去し、乳房移植片と(実施例1に記載されるように)交換した(段階2)。ヒツジにおける段階2の乳房移植片の移植後、シルク足場は、乳房移植片に隣接し、かつそれを支持するように(すなわち、その周囲および下に配置することにより)縫合され、それによって2段階乳房再建手技の第2段階を完了する。
段階1の組織拡張器に隣接して配置されたシルク足場は、組織拡張器が段階2において配置される段階2の乳房移植片のための支持も同じ位置で提供するように、除去されるとき(段階1の終わり)、動物内の定位置に残すことができる、および/または追加のシルク足場は、段階1の組織拡張器が除去され、段階2の乳房移植片が移植されるとき、乳房移植片を支持するように移植することができる。シルク足場が評価される(例えば、生体再吸収および未変性組織内部成長の程度を判断するために)、本明細書に用いられる時間間隔は(例えば、1、2、6 及び12ヶ月)、常に、シルク足場がヒツジに移植された合計時間を指す。
段階2の乳房移植片移植後、シルク足場(SBS)は、SBSの移植後6ヶ月および12ヶ月の時間間隔で評価された。ヒツジ100における段階1の組織拡張器110の設置の位置は、図37(A)の上右手側の図において点線の円で示され、この図はヒツジ100の左側を示す。図37(A)は、図29と同じ図を提示する。図37(A)の上左手側の挿入図は、示される右手側のヒツジの詳細な断面図であり、断面挿入図において、ヒツジの広背(「LD」)筋および乳房下溝線(「IMF」)、膨張させた組織拡張器110、移植した組織拡張器下の移植したシルク系足場(SBS)、ならびに図37(A)の組織拡張器110の後ろの(左の)胸壁120を示す。
図37(B)は、ヒツジ100において組織拡張器上の定位置に置かれたシルク足場(SBS)を示す段階1の術中の写真(ヒツジ100を閉鎖または縫合する前)である。よって、ヒツジの広背筋および乳房下溝線に関して、既に移植された組織拡張器上へのシルク足場(SBS)の設置は、図37(B)に示される。図37(B)は、図30の補助と見なされ、図31(移植された組織拡張器)が時間で図37(B)(SBSはここで図31に示される組織拡張器上に定位置に置かれる)のちょうど前であることが留意され得る。図37(C)は、段階1の組織拡張器が移植された後の2匹の外科手術ヒツジ100の術後(閉鎖後)写真であり、図37(C)の写真は、写真においてバルジにより、2匹のヒツジ100における隣接するシルク足場を伴う組織拡張器の設置位置を示す(外面的)。
図37(A)の下に記載されるように、シルク系足場(SBS)である「Seriscaffold」は、ヒツジ100へのSBSの移植1、3、6、および12ヶ月後に評価され、組織拡張器は組織拡張器110(「TE」)移植3ヶ月後に除去され、ヒツジ100の同じ位置で乳房移植片(「BI」)と交換され、疑似手技はバイクリル縫合糸を使用した。
図38(A)〜(C)は、本発明の態様を図示するさらなる写真である。これらの写真は、例えばSBS移植後3ヶ月までに、SBS(シルク系足場)内およびその周囲の顕著な血管新生、ならびにSBS内およびその周囲の未変性組織の内部成長があったことを示し、SBSおよびそこに形成された未変性組織によって提供される支持は、移植後少なくとも12ヶ月に達するまで継続した。移植後の時間がたつにつれて組織拡張器または後続の乳房移植片に対する支持が、SBS移植部位に形成された新しい組織内部成長によってますます提供され、SBS自体の繊維による支持が次第に減少するように、SBSは、完全でないとしても、実質的に、移植12ヶ月後までに生体吸収されたことに留意する。
図38(A)は、組織拡張器が除去され、乳房移植片が移植された時点の組織拡張器移植3ヶ月後の時間点で前のSBS設置部位で術中に観察された血管新生および組織内部成長を示す写真(組織拡張器はここで除去され、乳房移植片はまだ定位置に置かれていない)。図38(A)の点線の四角の物体は、SBSのサンプルが評価のために除去された例示的な位置を示す。図38(B)は、乳房移植片の移植後のヒツジ100の外側表面を示す写真である。IMFの位置を示す点線(図38(A)において、図38(A)の閉鎖後のIMFの場所を示す仮想線として)は、説明目的のため図38(B)の写真に重ねられる。元(段階1)の切開部および交換(段階2)の切開部は図38(B)にも示される。図38(B)の影付きの半月は、ヒツジ100の皮膚下のSBSの位置を示すものとする。図38(B)の下の文章に示されるように、乳房移植片の移植12ヶ月後でさえ(組織拡張器移植15ヶ月後)ヒツジ100におけるこのSBSのそのような配置での乳房移植片(n=6)の落ち込みは観察されなかった、つまり、乳房移植片はヒツジ100において乳房移植片の所望の位置から滑り落ちず、したがって、明らかに、適切な位置機能での乳房移植片の支持はSBSによって提供されることを示し、このSBSは経時的に増加する未変性組織内部成長を有する。図38(C)は、乳房移植片移植12ヶ月後の剖検で広範囲に及ぶ組織生成(組織内部成長)を示す、ヒツジ100から除去したSBSの写真である。
図39A(A)〜(J)は、本発明の関連態様を示す写真である。図39A(A)〜(J)に示されるように、SBS(シルク系メッシュまたは足場)内およびその周囲での未変性組織の生成(内部成長)が、SBSをヒツジ100に移植した後の12ヶ月の期間にわたって観察された。図39A(A)は、ほつれるまたは解体することなく外科用途のために容易に切断することができることを示す、時間ゼロでの編みシルクメッシュ足場(SBS)の写真である。図39A(B)は、SBSをヒツジ100に移植した1ヶ月後に除去されたシルクメッシュ足場(SBS)のサンプルの写真である(図38(A)の点線の四角形のように)。図39A(B)は、図35と同一またはほぼ同一であることに留意する。図39A(B)の写真は、SBSのメッシュパターンはまだ識別される(図39A(G)を参照)が、組織内部成長が既に始まったため図39A(A)ほど明らかではないことを示す。図39A(C)は、ヒツジ100にSBSを移植した3ヶ月後のシルクメッシュ足場の写真である。図39A(C)の写真は、SBSのメッシュパターンが、より生体再吸収され、今ではより多くの内部成長および血管新生が存在するため、より薄れていることを示す。図39A(D)は、ヒツジ100にSBSを移植した6ヶ月後のシルクメッシュ足場の写真である。図39A(D)の写真は、SBSのメッシュパターンがまだ薄れており、シルク繊維が今ではより生体再吸収されたことを示す(図39A(I)により示されるより広範囲に及ぶ繊維分解により示される)。図39A(E)は、ヒツジ100にSBSを移植した12ヶ月後のシルクメッシュ足場の写真である。図39A(E)のSBSサンプルは、図36のSBSサンプルと同じように、移植12ヶ月後に外植されたことに留意する。図39A(E)の写真は、SBSは、図39A(J)において交差繊維の欠落により示されるように、ほぼ生体再吸収され、今は広範囲に及ぶ未変性組織内部成長および血管新生が存在し、元のSBSがほとんど残っていないことを示す。
図39A(F)は、図39A(A)のシルクメッシュ足場の拡大図である(16x倍率、時間ゼロ)。図39A(G)は、図39A(B)のシルクメッシュ足場の拡大図である(16x倍率、+1ヶ月)。図39A(H)は、図39A(C)のシルクメッシュ足場の拡大図である(16x倍率、+3ヶ月)。図39A(I)は、図39A(D)のシルクメッシュ足場の拡大図である(16x倍率、+6ヶ月)。図39A(J)は、図39A(E)のシルクメッシュ足場の拡大図である(16x倍率、+12ヶ月)。
SBS生体再吸収の進行(移植以降の時間が増加するにつれて、残っているSBSは少ない)および未変性組織内部成長(移植以降の時間が増加するにつれて、移植したSBSでの、およびその周囲での未変性組織内部成長および血管新生が多い)は、図39A(A)〜(J)に示されるように、図39Bの棒グラフによって図的に提示される。図39Bは、Y軸がSBSの切除されたサンプルの力の破裂強度をニュートン(「N」)で表す棒グラフである。図39BのX軸は、指定される時間ゼロ、移植1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または12ヶ月後の破裂強度評価用に切除されたSBSのサンプルを提示する。加えて、図39Bにおいて、5つの棒のうちの1つにおいて左上がりに傾斜する線は、SBS自体による測定された破裂強度に対する貢献を示し、一方、5つの棒のうちの1において右上がりに傾斜する線は、内部成長(新しく形成された未変性)組織による測定された破裂強度に対する貢献を示す。よって、図39Bにより示されるように、時間ゼロでの生体再吸収さないSBSは100%の破裂強度に貢献した;+1ヶ月で、残っているSBSは約65%の測定された破強度に貢献し、内部成長(新しく形成された未変性)組織は測定された破裂強度に約35%貢献した;+3ヶ月で、残っているSBSは約19%の測定された破強度に貢献し、内部成長(新しく形成された未変性)組織は測定された破裂強度約81%に貢献した;+6ヶ月で、SBSは約3%の測定された破強度に貢献し、内部成長(新しく形成された未変性)組織は測定された破裂強度に約97%貢献した;そして+12ヶ月で、SBSは約1%未満の測定された破強度に貢献し、内部成長(新しく形成された未変性)組織は測定された破裂強度に約99%以上貢献した。図39Bに示されるように、ヒツジの筋膜の平均破裂強度(つまり任意の移植片または移植手技前、またはそれによって使用されなかった、もしくは影響をうけなかったヒツジの筋膜)は約98Nである、つまり、例えば(a)図39Bにおける全ての時間点で、組織内部成長を伴う、または伴わないSBSは、ヒツジの筋膜より強く、特に(b)時間ゼロでのSBSは、ヒツジの筋膜より約79%強い、(c)+1ヶ月での組織内部成長を伴う残っているSBSは、ヒツジの筋膜より約53%強い、(d)+3ヶ月での内部成長を伴う残っているSBSは、ヒツジの筋膜より約63%強い、(e)+6ヶ月での組織内部成長を伴う残っているSBSは、ヒツジの筋膜より約104%強い、そして(f)+12ヶ月での組織内部成長を伴う残っているSBSは、ヒツジの筋膜より約155%強い。この進行は、意外にも、SBSが生体再吸収され(生体腐食)、新しい未変性組織内部成長がSBSの部位で生じたとき、形成された新しい未変性組織が最終的には時間ゼロSBSまたはヒツジの筋膜のいずれかよりも強かったことを示す。明らかに、SBS移植は、安定した修復を提供する患者自身の健康な組織の生成をもたらし、経時的に移植片の支持を続けた。
平面的な組織学的検査は、17x(拡大、高解像度)の倍率で図40に示されるように、ヒツジモデルにおける移植から1ヶ月までにSBSへの組織内部成長を示した。図40は、広背(LD)筋の位置と比較した乳房下溝線の位置を示す。内部成長組織コラーゲンの存在は、平面的な組織学的検査(トリコームブルー染色により示される)から明白であった。
図41は、移植1ヶ月後の10x倍率断面図のヒツジモデルにおけるシルク系足場(SBS;「デバイス」)を示す。図41は、SBS原線維間、SBS原線維束間、およびSBS孔間のSBSの周辺のプロテーゼ周囲組織および生体再吸収を示す。
観察は、+12ヶ月での活性な生体再吸収、および+1ヶ月までに際立ち(容易に見ることができる)かつ顕著な血管分布を示した。図42(A)、(B)及び(C)は、SBS移植後の正常な治癒修復過程を示す均一かつ一定した炎症応答を図示する。シルク系足場の束間の線維芽細胞の一体化は明らかであり、デバイス(SBS)が生体再吸収されるにつれて、漸進的なコラーゲン形成を示した。シルク系足場の図42(A)の画像は、10x倍率でヒツジにおいて+1ヶ月に撮影された。図42(A)および図42(B)の組織学的染色で使用される青色(暗い染色領域)はコラーゲン形成を示した。SBSの図42(B)の画像は、10x倍率でヒツジにおいて+12ヶ月に撮影された。図42(B)および図42(C)は、残ったSBS原線維を示す。コラーゲンI型およびコラーゲンIII型は、図42(C)の組織学的染色において、コラーゲンI型については緑色、コラーゲンIII型については赤色により示されるように、明白である。
図43Aは、生体内での経時的なSBS足場原線維断面積の減少によりグラフに示される、シルク生体再吸収の図的表示を提供する。図43Aは、x軸上に時間ゼロ、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、および12ヶ月の時間を図示する。y軸は、μmの単位でシルク系足場原線維断面積を記載する。時間ゼロデータの5番目のパーセンタイルも図43Aに示される。図43Bは、経時的な糸断面積減少を図示する。
本発明のデバイスおよび方法の多くは、組織強化された組織支持、組織生成および血管新生による完全な一体化、正常な治癒応答(例えば従来の縫合糸の使用と比較可能)、主に移植から12ヶ月でのI型コラーゲンであるコラーゲン形成、改善された組織付着、および予測可能なSBSの生体再吸収を提供する。実施例1および4は、ヒツジにおける2段階乳房再建モデルを開示するが、このモデルは、段階の1つが乳房再建手技(組織拡張器の初期移植がない)または豊胸(美容)手技(後者は典型的には、乳房移植片のみが移植される1段階手技である)である、2段階乳房再建手技を受けるヒトの女性においてどのような結果となるかを示すために直接適用され得る(例えばヒツジとヒトの類似する生理機能により)。
実施例5:ヒトの軟組織修復のためのデバイスとしてのシルク足場の他の用途
図44Aおよび図44Bは、ヒトの女性の乳房切除における本発明のシルク系足場の使用を図示する。図44Aおよび図44Bは、乳房組織および乳首が除去される外科手技を図示する。図44Aは、乳房下溝線および除去位置を示す。図45に示されるように、シルク系足場は、乳房切除後の皮膚下の軟組織支持を提供するように、乳房組織除去後に挿入された。乳房切除後に設置される(創部閉鎖前)、SBS(「足場」)の位置は、図45に示される。図45は写真である。
記載されるように、SBSまたはSeriScaffoldなどのシルク系またはシルク由来の軟組織足場などの本発明の範囲内のデバイスは、乳房再建および豊胸外科手技以外の多くの外科手技に使用することができる。よって、図46は、ヒトの女性患者の腹部整形外科手術におけるシルク系足場(SBS)の使用を示す。腹部整形(通常「腹部たるみ取り」と称される)は、腹壁の筋および筋膜を堅く締めるために、患者の中腹部および下腹部から過剰な皮膚および脂肪を除去することにより、患者の腹部を平坦にし、かつより引き締めるために使用される美容外科手技である。よって、図46は、腸管膜を横に引張って脂肪および過乗な皮膚を除去した後の患者の術中写真であり、創部を覆う示されるSBS(「足場」)で閉鎖準備が整った患者を示す。SBSは、軟組織を支持し、適切な創部閉鎖および治癒を確実にするのを補助するように機能し、患者の新しい未変性組織内部成長はSBSの位置で生じ、SBSは生体再吸収される。図48Aは、腹壁形成外科手術が開始される前の図46の患者の前胴像を示す写真である。図48Bも、腹壁形成1年後の図48Aの同じ患者の前胴の写真であり、SBSおよびSBSによってもたらされた未変性組織内部成長により補助される、完全な治癒を示す(標準的な薄れた傷跡が存在する)。
本明細書に記載されるもの以外の本発明多くの実施形態および適合例ならびに多くの変形、修正、および等価構成は、本発明の内容または範囲から逸脱することなく、本発明およびその先の説明から明らかであるか、またはそれらによって当然示唆される。本発明はその好ましい実施形態に関して詳細に本明細書において記載されてきたが、本開示は単に図示的であり、本発明の例であり、単に本発明の完全かつ可能な開示を提供する目的のためになされたことを理解する。先の開示は、本発明を制限することを意図しないか、またはそのように解釈されないか、あるいはいずれのそのような他の実施形態、適合例、変形、修正、および等価構成を除外しない。
相互参照
本願は、国際出願であり、一部継続出願の米国特許出願第13/601,254号(2012年8月31日出願)の利益を主張し、米国仮特許出願第61/650,322号(2012年5月22日出願)の利益を主張し、一部継続出願の米国特許出願第13/372,248号(2012年2月13日出願)の利益を主張し、一部継続出願の米国特許出願第13/289,786号(2011年11月4日出願)の利益を主張する。上記に引用される4つ全ての特許出願の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (15)

  1. ヒトの乳房再建における使用を含む、ヒトの軟組織修復に使用するための移植可能なシルク足場の適合性を判断するための方法であって、四足獣にシルク足場を移植するステップを含む、方法。
  2. 前記シルク足場が、前記移植の6ヶ月後までにその強度の少なくとも約90%を失っている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記シルク足場が内部成長組織と共に、前記移植の12ヶ月後までに少なくとも約60%の強度増加を示す、請求項1に記載の方法。
  4. 豊胸術または乳房再建外科手術において組織を支持するための方法であって、シルク由来の生体再吸収性足場デバイスを、患者の乳房下溝線に移植するステップを含む、方法。
  5. 豊胸術または乳房再建外科手術において患者に挿入された乳房補綴を支持するための方法であって、
    (a)前記豊胸術または乳房再建外科手術において、前記患者の軟組織に乳房補綴を挿入するステップと、
    (b)前記患者の乳房下溝線またはその付近に、かつ前記乳房補綴に隣接してシルク由来の生体再吸収性足場デバイスを移植するステップであって、前記デバイスは前記デバイス移植の前記部位に形成される前記内部成長未変性組織と共に、前記乳房補綴の前記挿入後少なくとも約12ヶ月間前記乳房移植片に支持を提供する、ステップと、を含む、方法。
  6. セリシン枯渇またはセリシン抽出シルクフィブロイン繊維を含むシルク足場であって、前記シルク足場デバイスが、移植後1ヶ月以内に際立った血管分布によって示される未変性組織の内部成長を提供する、シルク足場。
  7. 前記足場デバイスが、フィラメントがより合ったシルク糸を含む、請求項6に記載のシルク足場。
  8. 前記足場デバイスが、開放孔編み構造を有する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記シルク足場デバイスおよび前記内部成長未変性組織が、前記移植の1ヶ月後に生体内で前記デバイスの少なくとも約90%の時間ゼロデバイス強度を維持する、請求項6に記載の方法。
  10. 前記シルク足場デバイスおよび前記内部成長未変性組織が、前記移植の3ヶ月後に生体内で前記デバイスの少なくとも約90%の時間ゼロ強度を維持する、請求項6に記載の方法。
  11. 前記シルク足場デバイスおよび前記内部成長未変性組織が、前記移植の6ヶ月後に生体内で前記デバイスの少なくとも約90%の時間ゼロ強度を維持する、請求項6に記載の方法。
  12. 前記シルク足場デバイスおよび前記内部成長未変性組織が、実質的に、前記患者の生体内での前記乳房補綴の期間にわたって前記デバイスの前記時間ゼロ強度を維持する、請求項6に記載の方法。
  13. 乳房移植片の支持構造として使用するためのシルク足場デバイスを作製する方法であって、ラッシェル編み、縦編み、および/または横編みでシルク足場デバイスを編むことを含む、方法。
  14. 前記足場デバイスが、縦目方向の移動2回、横目方向の移動1回の3回の移動により編まれる、請求項13に記載の方法。
  15. 前記足場デバイスが、縦目方向の移動2回、横目方向の移動2回の4回の移動により編まれる、請求項13に記載の方法。
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