JP2015501644A - 免疫活性化を測定する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、同じ特有の領域を有しかつ異なるアイソタイプ決定領域を有するクロノタイプのレベルによって、免疫活性化を測定する方法に関する。1つの局面において、本発明の方法は、Bリンパ球を含む試料から配列ベースのクロノタイププロファイルを形成することを含み、そのようなプロファイルの各クロノタイプは、VDJセグメントの一部分などの特有の領域と、C遺伝子セグメントの一部分などのアイソタイプ決定領域とを含む。そのようなクロノタイプのレベルが、複数の個体の測定または集団の測定から決定された参照範囲の上限を上回る場合に、免疫活性化が示される。

Description

相互参照
本出願は2011年12月9日に出願された米国仮特許出願第61/568,850号の恩典を主張し、これは全体として参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
T細胞もしくはB細胞受容体またはそれらの成分などの免疫分子をコードする核酸のプロファイルは、生物の健康または疾患の状態に関する豊富な情報を含み、そのため、このようなプロファイルを診断または予後予測の指標として使用することが、幅広い状態に対して提唱されている;例えば、Faham and Willis、米国特許出願公開第2010/0151471号(特許文献1)および米国特許出願公開第2011/0207134号(特許文献2);Freeman et al, Genome Research, 19: 1817-1824 (2009)(非特許文献1);Boyd et al, Sci. Transl. Med., 1(12): 12ra23 (2009)(非特許文献2);He et al, Oncotarget (March 8, 2011)(非特許文献3)。このような配列ベースのプロファイルは、増幅されたCDRコード領域のサイズ分布に基づくアプローチ、マイクロアレイによる配列サンプリングに基づくアプローチ、PCRアンプリコンからのハイブリダイゼーション動態曲線に基づくアプローチ、または他のアプローチ、例えば、Morley et al、米国特許第5,418,134号(特許文献3);van Dongen et al, Leukemia, 17: 2257-2317 (2003) (非特許文献4);Ogle et al, Nucleic Acids Research, 31: e139 (2003) (非特許文献5);Wang et al, BMC Genomics, 8: 329 (2007) (非特許文献6);Baum et al, Nature Methods, 3(11): 895-901 (2006) (非特許文献7)よりもはるかに高い感度を有し得る。
自己免疫疾患、免疫化、臓器移植などの多くの状況において、免疫応答または免疫活性化の存在および程度を測定することは重要である。簡便かつ高感度でかつ定量的な方法がこのような測定に利用できるのであれば、有利である。
米国特許出願公開第2010/0151471号 米国特許出願公開第2011/0207134号 米国特許第5,418,134号
Freeman et al, Genome Research, 19: 1817-1824 (2009) Boyd et al, Sci. Transl. Med., 1(12): 12ra23 (2009) He et al, Oncotarget (March 8, 2011) van Dongen et al, Leukemia, 17: 2257-2317 (2003) Ogle et al, Nucleic Acids Research, 31: e139 (2003) Wang et al, BMC Genomics, 8: 329 (2007) Baum et al, Nature Methods, 3(11): 895-901 (2006)
本発明は、配列ベースのクロノタイププロファイルを提供する測定から、個体における免疫活性化の状態を判定する方法に関する。本発明は多くの実行および適用において例証されるが、そのうちのいくつかについて以下におよび本明細書を通して概要を述べる。
1つの局面において、本発明は、以下の工程を含む、個体における免疫活性化を検出する方法に関する:(a) 個体のリンパ球から核酸の試料を得る工程であって、該試料が、B細胞受容体のC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を各々含む組換え配列を含む、工程;(b) 該組換え配列からアンプリコンを生成する工程であって、該アンプリコンの各配列がC遺伝子セグメントの一部分を含む、工程;(c) クロノタイプのプロファイルを生成するために、該アンプリコンを配列決定する工程であって、各クロノタイプが、B細胞受容体のVDJ領域の少なくとも一部分およびC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を含む、工程;ならびに(d) 該プロファイルにおいて、同一のVDJ領域部分を有しかつ異なるC遺伝子セグメント部分を有するクロノタイプを同定する工程。本発明のいくつかの態様において、後者のクロノタイプのレベルを個体における免疫活性化と相関させる、さらなる工程が提供される。さらなる他の態様において、個体における免疫活性化は、参照範囲の上限を上回るそのようなレベルと相関がある。
別の局面において、本発明は、以下の工程を含む、個体における免疫活性化の方法に関する:(a) 個体のリンパ球から核酸の試料を得る工程であって、該試料が、B細胞受容体のC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を各々含む組換え配列を含む、工程;(b) アンプリコンを形成するために、C遺伝子セグメントに特異的なプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応において、該組換え配列を増幅する工程;(c) クロノタイプのプロファイルを生成するために、該アンプリコンを配列決定する工程であって、各クロノタイプが、B細胞受容体のVDJ領域の少なくとも一部分およびC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を含む、工程;ならびに(d) 該プロファイルにおいて、同一のVDJ領域部分を有しかつ異なるC遺伝子セグメント部分を有する複数のクロノタイプを同定する工程。
本発明は一部には、免疫活性化を起こしている個体では、B細胞レパートリーのクロノタイププロファイルが、2種またはそれ以上のアイソタイプと関連したクロノタイプ、すなわち異なるアイソタイプを示す重鎖定常領域のセグメントと関連したクロノタイプが高頻度であることによって特徴づけられる、という認識および理解である。本発明の、上記で特徴づけられたこれらの局面およびその他の局面は、説明がなされる多くの実行および適用において例証されるが、そのうちのいくつかを図面で示し、添付の特許請求の範囲において特徴づける。しかしながら、上記の概要は、本発明のそれぞれ説明がなされる態様またはすべての実行を記載することを意図するものではない。
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な態様を記載している以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
図1A〜1Cは、ワクチン接種前およびワクチン接種後のクロノタイプアイソタイプ発現のデータを示す。 図2A〜2Cは、免疫グロブリン遺伝子を増幅および配列決定するための二段階PCRスキームを示す。 図3Aは、図2CのPCR産物のヌクレオチド配列を決定する一態様の詳細を図示する。図3Bは、図2CのPCR産物のヌクレオチド配列を決定する別の態様の詳細を図示する。 図4Aは、単一反応においてIgH鎖から3つの配列決定鋳型を生成するためのPCRスキームを図示する。図4B〜4Cは、3つの別々の反応においてIgH鎖から3つの配列決定鋳型を生成し、その後、得られたアンプリコンを混合して、P5プライマー結合部位およびP7プライマー結合部位を付加するための二次PCRを行うためのPCRスキームを図示する。図4Dは、IgH鎖について生成された配列リードの位置を図示する。図4Eは、NDN領域における塩基コールを改善するための、V領域およびJ領域のコドン構造の使用を図示する。
発明の詳細な説明
本発明の実施は、特記されない限り、当技術分野の技術の範囲内にある、分子生物学(組み換え技法を含む)、バイオインフォマティクス、細胞生物学、および生化学の従来の技法および説明を使用することができる。このような従来の技法には、血液細胞のサンプリングおよび解析、核酸の配列決定および解析などが含まれるが、これらに限定されない。適切な技法の具体的な例は、本明細書における以下の実施例を参照することによって知ることができる。しかしながら、その他の同等な従来の手順もまた、当然ながら用いることができる。このような従来の技法および説明は、Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I-IV);PCR Primer: A Laboratory Manual;およびMolecular Cloning: A Laboratory Manual (いずれもCold Spring Harbor Laboratory Pressによる)などの標準的な実験マニュアルにおいて見出すことができる。
本発明は、2種以上のアイソタイプと関連したクロノタイプの数の、標準レベルまたは参照レベルを上回る増加を測定することによる、免疫活性化の検出に関する。このような測定はリンパ球の増殖および分化を示し、これは免疫活性化の顕著な特徴である。本発明に従って、クロノタイプは、免疫グロブリン重鎖(IgH)をコードするヌクレオチドの配列リードから構築される。典型的には、本発明のクロノタイプは、VDJコード領域の一部分およびそれと関連する定常領域(またはC領域)の一部分を含む。アイソタイプは、C領域の部分をコードするヌクレオチド配列から決定される。1つの態様において、C領域をコードする部分はVDJコード領域と隣接しており、その結果、参照により本明細書に組み入れられるFaham and Willis、米国特許出願公開第2011/0207134号によって開示されているような、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)などの簡便な技法によって、単一の連続配列が増幅され得る。C領域をコードするクロノタイプの部分は、特徴的なアレルの存在によってアイソタイプを同定するために用いられる。1つの態様では、8〜100個のC領域コードヌクレオチドがクロノタイプ中に含まれる;別の態様では、8〜20個のC領域コードヌクレオチドがクロノタイプ中に含まれる。1つの態様において、このようなC領域コード部分は、以下でより十分に記載されるように、IgHコード配列の増幅中に取り込まれる。このような増幅では、上記の範囲内の数のC領域コードヌクレオチドが、結果として得られるアンプリコン中に取り込まれるように、1種または複数種のC領域プライマーを配置する。
哺乳動物Ig重鎖には、ギリシャ文字α、δ、ε、γ、およびμで示される5つの型がある。存在する重鎖の型によって抗体のクラスが規定される;これらの鎖は、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される。別種の重鎖はサイズおよび組成が異なる;αおよびγはおよそ450アミノ酸を含むのに対して、μおよびεはおよそ550アミノ酸を含む。各重鎖は2つの領域、定常領域および可変領域を有する。定常領域は、同じアイソタイプの抗体すべてにおいて同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つの直列の(一列に並んだ)Igドメイン、および可動性を与えるためのヒンジ領域から構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生される抗体において異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生されるすべての抗体については同じである。各重鎖の可変領域はおよそ110アミノ酸の長さであり、単一のIgドメインから構成される。ヒト(他の)IgH C領域のヌクレオチド配列は、http://www.imgt.orgにおける国際免疫遺伝情報システム(IMGT)などの、公的に利用可能なデータベースから得ることができる。
上記のように、いくつかの態様において、本発明の方法は、以下の工程による個体における免疫活性化の検出を提供する:(a) 個体のリンパ球から核酸の試料を得る工程であって、該試料が、B細胞受容体のC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を各々含む組換え配列を含む、工程;(b) 該組換え配列からアンプリコンを生成する工程であって、該アンプリコンの各配列がC遺伝子セグメントの一部分を含む、工程;(c) クロノタイプのプロファイルを生成するために、該アンプリコンを配列決定する工程であって、各クロノタイプが、B細胞受容体のVDJ領域の少なくとも一部分およびC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を含む、工程;ならびに(d) 該プロファイルにおいて、同一のVDJ領域を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルを決定する工程。1つの態様において、C遺伝子セグメントは、B細胞受容体のIgH鎖をコードするヌクレオチド配列に由来する。典型的には、C遺伝子セグメントはクロノタイプの一方の端に存在し、かつ特有の組換え配列部分はクロノタイプのもう一方の端に存在する。典型的には、本方法のクロノタイププロファイルは少なくとも1000種のクロノタイプを有し;いくつかの態様において、クロノタイププロファイルは少なくとも104種のクロノタイプを含み;かつさらなる他の態様において、クロノタイププロファイルは少なくとも105種のクロノタイプを含む。好ましくは、同一の特有の領域または部分を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルが確実に決定され得るように、十分な数のクロノタイプが決定される。1つの態様では、同一の特有の領域を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルが、25パーセントまたはそれ未満の変動係数を有するように、多数のクロノタイプが決定される。いくつかの態様において、クロノタイプの特有の部分はVDJ領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの態様において、同じ特有の部分を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルは、そのようなレベルが参照範囲の上限を上回る場合に、免疫活性化と相関がある。参照範囲は、個体におけるクロノタイププロファイル測定(例えば、免疫活性化が存在しない過去に獲得された)に基づいていても、または集団におけるクロノタイププロファイル測定に基づいていてもよい。いずれの場合にも、いくつかの態様において、参照範囲は、平均値よりも1標準偏差低いものから平均値よりも1標準偏差高いものまでという範囲であってよい。すなわち、平均マイナス1標準偏差がそのような参照範囲の下限であり、平均プラス1標準偏差がそのような参照範囲の上限である。いくつかの態様において、個体由来のリンパ球は末梢血から得られる。
試料
本発明の方法のためのクロノタイププロファイルは、B細胞を含む試料から抽出された核酸の試料から生成される。B細胞には、例えば、形質B細胞、記憶B細胞、B1細胞、B2細胞、辺縁帯B細胞、および濾胞性B細胞が含まれる。B細胞は免疫グロブリン(抗体、B細胞受容体)を発現し得る。1つの局面において、B細胞の試料は少なくとも1,000個のB細胞を含む;しかしより典型的には、試料は少なくとも10,000個のB細胞を含み、かつ、より典型的には少なくとも100,000個のB細胞を含む。別の局面において、試料は、B細胞1000〜1,000,000個の範囲内の数のB細胞を含む。「クロノタイプ」および「レパートリー」の定義において以下にさらに記載されるように、試料の適切なサンプリングは、レパートリーデータを解釈する重要な局面である。試料中の細胞の数は、測定の感度に制限を課す。例えば、1,000個のB細胞を含む試料では、そのような細胞のDNAが配列決定によって解析される際にどのくらいの配列リードが得られるかにかかわらず、検出可能なクロノタイプの最低頻度は1/1000または0.001である。
試料は、核酸、例えばDNA(例えばゲノムDNAもしくはミトコンドリアDNA)またはRNA(例えばメッセンジャーRNAもしくはマイクロRNA)を含み得る。核酸は、無細胞DNAまたはRNA、例えば循環系から抽出されたそれらであり得る。Vlassov et al, Curr. Mol. Med., 10: 142-165 (2010); Swarup et al, FEBS Lett., 581; 795-799 (2007)。提供される発明の方法において、分析され得る対象由来のRNAまたはDNAの量は、例えば、いくつかの用途(例えば較正試験)では単一細胞という少量、ならびに6pg〜60ugのDNAおよびおよそ1pg〜10ugのRNAの範囲に換算される1千万個の細胞またはそれ以上という多量を含む。
以下(定義)でより十分な議論がなされているように、リンパ球の試料は、別個のクロノタイプを有する実質的にすべてのB細胞がその中で表現(represent)され、それによって(この用語の本明細書における意味での)レパートリーが形成されるように、十分に多量である。1つの態様においては、ある集団の、0.001パーセントまたはそれ以上の頻度で存在するすべてのクロノタイプを、99パーセントの確率で含む試料が取得される。別の態様においては、ある集団の、0.0001パーセントまたはそれ以上の頻度で存在するすべてのクロノタイプを、99パーセントの確率で含む試料が取得される。1つの態様において、B細胞の試料は少なくとも五十万個の細胞を含み、別の態様においてはそのような試料は少なくとも百万個の細胞を含む。
試料が取得される供給源物質が十分でない場合、例えば臨床研究試料等の場合、その物質からDNAが、BCRコード配列の特異的な増幅の前に、バイアスのない技法、例えば総ゲノム増幅(WGA)、多置換増幅(MDA);または同様の技法、例えばHawkins et al, Curr. Opin. Biotech., 13: 65-67 (2002); Dean et al, Genome Research, 11: 1095-1099 (2001); Wang et al, Nucleic Acids Research, 32: e76 (2004); Hosono et al, Genome Research, 13: 954-964 (2003)の技法等により増幅され得る。
血液試料は、特に注目されており、従来の技法、例えばInnis et al 編, PCR Protocols(Academic Press, 1990)等の技法を用いて得られ得る。例えば、白血球は、従来の技法、例えばRosetteSepキット(Stem Cell Technologies, Vancouver, Canada)を用いて血液試料から分離され得る。血液試料は、100μLから10 mLの範囲の容量であり得;1つの局面において、血液試料の容量は、100μLから2 mLの範囲である。DNAおよび/またはRNAは、その後、本発明の方法において使用するために、そのような血液試料から、従来の技法、例えば、DNeasy Blood & Tissueキット(Qiagen, Valencia, CA)を用いて抽出され得る。任意で、白血球のサブセット、例えばリンパ球がさらに、従来の技法、例えば蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)(Becton Dickinson, San Jose, CA)、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)等を用いて単離され得る。例えば、記憶B細胞は、表面マーカーCD19およびCD27によって単離され得る。
識別性のある組換えは各個体の適応免疫細胞のDNAおよびそれらに関連するRNA転写物に存在するので、RNAまたはDNAのいずれかが、提供される発明の方法において配列決定され得る。免疫グロブリン分子またはその一部分をコードするB細胞由来の組換え配列は、クロノタイプと称される。DNAまたはRNAは、抗体をコードする免疫グロブリン(Ig)遺伝子由来の配列に対応するものであり得る。
本発明の方法において分析されるDNAおよびRNAは、重鎖免疫グロブリン(IgH)をコードする配列に対応する。各鎖は、定常(C)領域および可変領域から構成される。重鎖に関して、可変領域は、可変(V)、多様(D)および結合(J)セグメントから構成される。これらのセグメントの各タイプをコードするいくつかの別個の配列がゲノム中に存在する。B細胞の発達の間に特定のVDJ組換えイベントが起こり、これはその細胞が特定の重鎖を生成することを示すものである。組換え部位の付近では体細胞変異がしばしば起こり、それによっていくつかのヌクレオチドが付加または欠失し、これがB細胞によって生成される重鎖の多様性をさらに増大させる。B細胞により生成される抗体で生じ得る多様性は、異なる重鎖と軽鎖の掛け算である。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原認識(または結合)領域または部位を形成するのに寄与する。この多様性には、あるエピトープに対して特異的な応答が惹起された後に起こり得る体細胞超変異が加わる。
本発明に従って、プライマーは、Bリンパ球から抽出された組換え核酸のアンプリコンを生成するように選択することができる。そのような配列は、本明細書において、「体細胞再構成領域」または「体細胞組換え領域」または「組換え配列」と称され得る。体細胞再構成領域は、発達段階のまたは十分に発達したリンパ球に由来する核酸を含んでよく、ここで発達段階のリンパ球とは、免疫遺伝子の再構成が完了しておらず、完全なV(D)J領域を有する分子が形成されていない細胞である。例示的な不完全な体細胞再構成領域には、不完全なIgH分子(D-J領域のみを含む分子など)が含まれる。
核酸集団の増幅
下記のように、標的核酸集団のアンプリコンは、様々な増幅技法により生成され得る。本発明の1つの局面においては、マルチプレックスPCRが、核酸の混合物、特に組換え免疫分子、例えばT細胞受容体、B細胞受容体またはそれらの一部分を含む混合物のメンバーを増幅するのに使用される。そのような免疫分子のマルチプレックスPCRを実施するための手引きは、参照により組み入れられる以下の参考文献において見出される:Faham et al、米国特許出願公開第2011/0207134号;Lim et al、米国特許出願公開第2008/0166718号等。以下でより十分な記載がなされているように、1つの局面において、個々の核酸分子を空間的に単離する工程は、事前に選択した体細胞再構成領域またはその一部分(すなわち、標的配列)の一次マルチプレックス増幅を、各々が標的配列に非相補的な尾部を有する順方向および逆方向プライマーを用いて実施し、そのメンバー配列が各末端にさらなる操作を可能にする共通配列を有する第1のアンプリコンを作製することによって達成される。例えば、そのような共通末端は、単一の順方向プライマーおよび単一の逆方向プライマーを複数のそれらに代えて使用する連続増幅のためのまたは固相表面上での個々の分子のブリッジ増幅のためのプライマー結合部位等を含み得る。そのような共通末端は、上記のような1回の増幅で付加されることもあり、またはそれらは、長鎖プライマー(例えば、50〜70塩基またはそれ以上)の混合物の製造および利用上の品質管理に関する難題を回避するために2工程手順で付加されることもある。そのような2工程プロセス(以下により十分な記載がある)における一次増幅は、第1のアンプリコンの配列の末端に順方向および逆方向プライマー結合部位のみを提供するようプライマーの尾部の長さが制限されることを除いて、上記のようにして実施される。二次増幅は、その後、これらのプライマー結合部位に特異的な二次増幅プライマーを用いて実施され、第2のアンプリコンの末端にさらなる配列が付加される。二次増幅プライマーは、標的配列に非相補的な尾部を有し、この部分が第2のアンプリコンの末端を形成し、かつ第2のアンプリコンのクロノタイプの配列決定に関連して利用され得る。1つの態様において、そのような付加される配列は、配列リードを生成するためのプライマー結合部位、および空間的に単離された個々の分子のクローン集団を生成するため、例えばSolexaベースの配列決定が使用される場合に、固相表面上でブリッジPCRを実施するためのプライマー結合部位を含み得る。この後者のアプローチにおいては、第2のアンプリコン由来の配列の試料が、その試料の配列にアニールすることができる相補的オリゴヌクレオチドを付着させた固相表面上に配置され、その後に、鋳型のクローン集団が形成されるまでプライマー伸長、変性、アニールのサイクルが実施される。好ましくは、試料のサイズは、(i)それが当初試料中のクロノタイプの効果的な表現(representation)を含むように、および(ii)固相表面上のクローン集団の密度がクロノタイプの明確な配列決定を実現する範囲内となるように選択される。
増幅される領域は、全クローン配列、または、免疫グロブリン遺伝子のV-D接合部、D-J接合部、免疫グロブリンの全可変領域、抗原認識領域、もしくはCDR、例えば相補性決定領域3(CDR3)を含むクローン配列のサブセットを含み得る。
ゲノムからのDNA増幅(またはRNAの逆転写によるcDNA形式での核酸増幅)の後、個々の核酸分子は、単離され、任意で再増幅され、次いで個別に配列決定され得る。例示的な増幅プロトコールは、参照により組み入れられるvan Dongen et al, Leukemia, 17: 2257-2317 (2003)またはvan Dongen et al、米国特許出願公開第2006/0234234号に見出され得る。簡潔に説明すると、例示的なプロトコールは以下のようなものである:反応緩衝液: ABI Buffer IIまたはABI Gold Buffer(Life Technologies, San Diego, CA);50μLの最終反応容量;100 ngの試料DNA;10 pmolの各プライマー(以下に記載されるように増幅のバランスをとるために調整される);終濃度200μMのdNTP;終濃度1.5 mMのMgCl2(標的配列およびポリメラーゼに依存して最適化される);Taqポリメラーゼ(1〜2U/チューブ);サイクル条件:95℃での予備活性化7分間;60℃でのアニール;サイクル時間:30秒間の変性;30秒間のアニール;30秒間の伸長。本発明の方法における増幅に使用することができるポリメラーゼは市販されており、例えば、Taqポリメラーゼ、AccuPrimeポリメラーゼまたはPfuを含む。使用するポリメラーゼの選択は、忠実性と効率性のどちらが好ましいかに基づくものであり得る。
核酸をプールから単離する方法は、DNAベクターへの核酸のサブクローニングおよび細菌の形質転換(細菌クローニング)、固相基材(例えば、ガラススライド)上での分子の二次元的な空間分離、ミセル内の溶液中での(例えばこれは分子をビーズ等の固相表面に固定してまたはしないで油エマルジョンを使用することで達成することができる)または例えばマイクロ流体もしくはナノ流体チップ上のマイクロ反応チャンバーを用いる分子の三次元的な空間分離を含む。希釈は、単一の分子が所定の容量、空間的領域、ビーズまたは反応チャンバー中に平均して存在することを確かめるのに使用することができる。そのような個々の核酸分子の単離方法の手引きは、以下の参考文献において見出される:Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001s); Shendure et al, Science, 309: 1728-1732 (補足資料を含む) (2005); 米国特許第6,300,070号;Bentley et al, Nature, 456: 53-59 (補足資料を含む) (2008); 米国特許第7,323,305号; Matsubara et al, Biosensors & Bioelectronics, 20: 1482-1490 (2005): 米国特許第6,753,147号等。
リアルタイムPCR、ピコグリーン染色、ナノ流体電気泳動(例えば、LabChip)またはUV吸収測定は、初期工程において、増幅可能な物質の関数的な量を判断するのに使用することができる。
1つの局面において、マルチプレックス増幅は、出発集団における配列の相対量が増幅集団またはアンプリコンにおけるそれと実質的に同じになるように実行される。すなわち、マルチプレックス増幅は、試料集団のメンバー配列間の増幅バイアスが最小となるように実行される。1つの態様において、そのような相対量は、アンプリコンにおける各相対量が出発試料におけるその値の5倍以内である場合、実質的に同じとされる。別の態様において、そのような相対量は、アンプリコンにおける各相対量が出発試料におけるその値の2倍以内である場合、実質的に同じとされる。以下でより十分な議論がなされているように、PCRにおける増幅バイアスは、任意の試料においてバイアスのない増幅を提供するPCRプライマーセットが既定のレパートリーのために選択され得る従来の技法を用いて、検出および補正され得る。
1つの態様において、増幅のバイアスは、標的配列と非相補的な尾部を有するプライマーを用いて第1または一次段階において少数の増幅サイクルを実施する二段階増幅(上述したような)を実施することによって回避され得る。この尾部は、一次アンプリコンの配列の末端に付加されるプライマー結合部位を含み、そのような部位は、1つのみの順方向プライマーおよび1つのみの逆方向プライマーを用いる第2段階の増幅において使用され、それによって増幅のバイアスの主たる原因が除かれる。好ましくは、一次PCRは、異なるプライマーによる差次的増幅を最小限にするよう十分少ないサイクル数(例えば、5〜10)を有する。二次増幅は一対のプライマーを用いて実行され、したがって差次的増幅の問題は非常に小さい。一次PCRの1パーセントが二次PCRに直接利用される。2つの増幅間で使用される35サイクル(100倍希釈工程のない場合の約28サイクルに相当)は、サイクルの内訳によらずに、一次で1サイクル、二次で34サイクルであろうが、一次で25サイクル、二次で10サイクルであろうが、堅調な増幅を示すのに十分であった。理論的には一次PCRにおいて1サイクルのみ実施すれば増幅のバイアスが小さくなる可能性があるが、それ以外にも考慮すべきことがある。この1つの局面は、表現である。これは、出発投入量が最終的に得られるリード数に対して過剰でない場合に影響力がある。例えば、1,000,000のリードが得られ、1,000,000の投入分子で開始する場合、100,000の分子からの表現のみを二次増幅に移すのでは、当初試料中の異なる種の相対存在量の概算の精度が下がる。2つの工程の間での100倍の希釈は、一次PCR増幅が100より有意に多い分子を生成していない限り、その表現が縮小することを意味する。これは、最小で8サイクル(256倍)であるが余裕をもって10サイクル(約1,000倍)が使用され得ることを示している。その代案は、一次PCRの1%超を二次に利用することであるが、一次PCRにおいて使用されるプライマー濃度は高いため、これらのプライマーが増幅において干渉し配列間の増幅バイアスを悪化させないことを確実にするために、大きな希釈係数が使用され得る。別の代案は、精製または酵素処理工程を追加して一次PCR由来のプライマーを排除し、その希釈率を小さくすることである。この実施例では、一次PCRは10サイクル、二次は25サイクルであった。
簡潔に、IgHコード核酸(RNA)を増幅するためのFaham and Willis(上記で引用)のスキームを図2A〜2Cに図示する。核酸(200)を、試料中のリンパ球から抽出し、PCRにおいて、C領域(203)に特異的なプライマー(202)および免疫グロブリン遺伝子の様々なV領域(206)に特異的なプライマー(212)と組み合わせる。プライマー(212)はそれぞれ同一の尾部(214)を有し、これは増幅の第2段階のためのプライマー結合部位を提供する。前述の通り、プライマー(202)は、C領域(203)とJ領域(210)の間の接合部(204)に隣接して配置される。PCRにおいて、Cコード領域(203)の一部分、Jコード領域(210)、Dコード領域(208)、およびVコード領域(206)の一部分を含むアンプリコン(216)が生成される。それぞれIllumina DNAシーケンサーで使用するために設計された尾部(それぞれ225および221/223)を有するプライマーP5(222)およびプライマーP7(220)を用いて、第2段階においてアンプリコン(216)をさらに増幅する。プライマーP7(220)の尾部(221/223)は、配列決定過程において別々の試料を標識するためのタグ(221)を任意で組み入れる。第2段階の増幅により、Illumina DNAシーケンサーで使用することができるアンプリコン(230)が作製される。
クロノタイプのための配列リードの生成
本発明の方法では、任意のハイスループット核酸配列決定技法を用いることができる。好ましくは、このような技法は、そこから少なくとも1000種のクロノタイプが決定され得る、および好ましくはそこから少なくとも10,000〜1,000,000種のクロノタイプが決定され得る大量の配列データを、費用に対して効果の高い方法で生成する能力を有する。DNA配列決定技法は、標識されたターミネーターまたはプライマーおよびスラブまたはキャピラリー中でのゲル分離を用いるジデオキシ配列決定反応(サンガー法)、可逆的に停止される標識ヌクレオチドを用いる合成による配列決定、パイロシークエンシング、454配列決定、標識オリゴヌクレオチドプローブのライブラリーに対するアレル特異的ハイブリダイゼーション、標識クローンのライブラリーに対するアレル特異的ハイブリダイゼーションおよびその後のライゲーションを用いる合成による配列決定、重合工程中における標識ヌクレオチドの組み込みのリアルタイムモニタリング、ポロニーシークエンシング、ならびにSOLiD配列決定を含む。分離された分子の配列決定は、最近になって、ポリメラーゼまたはリガーゼを用いる連続的または単回の伸長反応によって、およびプローブのライブラリーを用いる単回または連続的なディファレンシャルハイブリダイゼーションによって実証されている。これらの反応は、多くのクローン配列に対して並列で実施され、現在の商業利用においては1億超の配列の並列化が実現している。本発明の1つの局面においては、個々の分子を固相表面上で空間的に単離し、その表面上で配列決定を並列で行う工程を含むハイスループットの配列決定法が使用される。そのような固相表面は、非多孔性表面(例えば、Solexa配列決定におけるようなもの、例えばBentley et al, Nature,456: 53-59 (2008)、またはComplete Genomics配列決定、例えばDrmanac et al, Science, 327: 78-81 (2010))、ビーズまたは粒子に結合された鋳型を含み得るウェルのアレイ(例えば、454と共に用いるもの、例えばMargulies et al, Nature, 437: 376-380 (2005)、またはIon Torrent配列決定、米国特許出願公開第2010/0137143号もしくは第2010/0304982号)、微細加工膜(例えば、SMRT配列決定と共に用いるもの、例えばEid et al, Science, 323: 133-138 (2009))、またはビーズアレイ(SOLiD配列決定またはポロニーシークエンシングと共に用いるもの、例えばKim et al, Science, 316: 1481-1414 (2007))を含み得る。別の局面において、そのような方法は、単離された分子を、それらを固相表面上で空間的に単離する前または後のいずれかにおいて増幅する工程を含む。先行増幅は、エマルジョンベースの増幅、例えばエマルジョンPCR、またはローリングサークル増幅を含み得る。特に関心対象となるものは、参照により組み入れられる、Bentley et al(上記で引用)および製造元の説明書(例えば、TruSeq(商標)Sample Preparation Kit and Data Sheet, Illumina, Inc., San Diego, CA, 2010);さらに以下の参考文献、米国特許第6,090,592号;同第6,300,070号;同第7,115,400号;およびEP0972081B1に記載されるような、個々の鋳型分子を固相表面上で空間的に単離し、その後にそれらをブリッジPCRにより並列で増幅して個別のクローン集団またはクラスターを形成し、次いで配列決定する、Solexaベースの配列決定である。1つの態様において、固相表面上に配置され増幅される個々の分子は、1 cm2あたり少なくとも105クラスターの密度;または1 cm2あたり少なくとも5×105の密度;または1 cm2あたり少なくとも106クラスターの密度のクラスターを形成する。1つの態様においては、比較的高いエラー率を有する配列決定化学が使用される。そのような態様において、そのような化学によりもたらされる平均品質スコアは、配列リード長の単調に下降する関数である。1つの態様において、そのような下降は、配列リードの0.5パーセントが1〜75位に少なくとも1つのエラーを有する;配列リードの1パーセントが76〜100位に少なくとも1つのエラーを有する;および配列リードの2パーセントが101〜125位に少なくとも1つのエラーを有することに相当する。
1つの局面において、個体の配列ベースのクロノタイププロファイルは、以下の工程を用いて得られる:(a)個体のB細胞から核酸試料を得る工程;(b)そのような核酸試料に由来する個々の分子を空間的に単離する工程であって、個々の分子が、該試料中の核酸から生成されかつ体細胞再構成領域またはその一部分を含む少なくとも1つの鋳型を含み、個々の分子が各々、少なくとも1つの配列リードを作成することができる、工程;(c)空間的に単離された個々の分子を配列決定する工程;ならびに(d)クロノタイププロファイルを生成するために、該核酸試料に由来する核酸分子の異なる配列の存在量を決定する工程。1つの態様において、体細胞再構成領域の各々は、V領域およびJ領域を含む。別の態様において、配列決定する工程は、前記空間的に単離された個々の分子の各々を双方向に配列決定して、少なくとも1つの順方向配列リードおよび少なくとも1つの逆方向配列リードを作成することを含む。後者の態様に関してさらに、順方向配列リードの少なくとも1つと逆方向配列リードの少なくとも1つとが重複領域を有し、そのような配列リード間の逆相補関係によってそのような重複領域の塩基が決定されるようにする。さらに別の態様において、体細胞再構成領域の各々は、V領域およびJ領域を含み、配列決定する工程はさらに、その順方向配列リードの1つまたは複数と、J領域内のある位置から始まりそれと連結したV領域の方向へと延びる少なくとも1つの逆方向配列リードとから、個々の核酸分子の各々の配列を決定することを含む。別の態様において、個々の分子は、完全IgH分子、不完全IgH分子からなる群より選択される核酸を含む。別の態様において、配列決定する工程は、単調に下降する品質スコアを有する配列リードを生成することを含む。後者の態様に関してさらに、単調に下降する品質スコアは、その配列リードが下記以上のエラー率を有するものである:配列リードの0.2パーセントが塩基位置1〜50に少なくとも1つのエラーを含み、配列リードの0.2から1.0パーセントが51〜75位に少なくとも1つのエラーを含み、配列リードの0.5から1.5パーセントが76〜100位に少なくとも1つのエラーを含む。別の態様において、上記方法は以下の工程を含む:(a) 個体のT細胞および/またはB細胞から核酸試料を得る工程;(b) そのような核酸試料に由来する個々の分子を空間的に単離する工程であって、個々の分子が、試料中の核酸から各々生成されかつ体細胞再構成領域またはその一部分を各々含む鋳型の入れ子セットを含み、各入れ子セットが、同じ方向に各々延びかつ該入れ子セットが生成された核酸上の異なる位置から各々始まる複数の配列リードを作成することができる、工程;(c) 空間的に単離された個々の分子を配列決定する工程;ならびに(d) クロノタイププロファイルを生成するために、該核酸試料に由来する核酸分子の異なる配列の存在量を決定する工程。1つの態様において、配列決定する工程は、入れ子セットの各々について複数の配列リードを作成することを含む。別の態様において、体細胞再構成領域の各々はV領域およびJ領域を含み、かつ複数の配列リードの各々は、該V領域内の異なる位置から始まりそれと連結したJ領域の方向へと延びる。
1つの局面において、個体由来の試料ごとに、本発明の方法において使用される配列決定技法は、1回あたり少なくとも1000種のクロノタイプの配列を生成し;別の局面において、そのような技法は、1回あたり少なくとも10,000種のクロノタイプの配列を生成し;別の局面において、そのような技法は、1回あたり少なくとも100,000種のクロノタイプの配列を生成し;別の局面において、そのような技法は、1回あたり少なくとも500,000種のクロノタイプの配列を生成し;そして別の局面において、そのような技法は、1回あたり少なくとも1,000,000種のクロノタイプの配列を生成する。さらに別の局面において、そのような技法は、個々の試料につき、1回あたり100,000から1,000,000種の間のクロノタイプの配列を生成する。
提供される発明の方法において使用される配列決定技法は、1リードあたり約30 bp、約40 bp、約50 bp、約60 bp、約70 bp、約80 bp、約90 bp、約100 bp、約110 bp、約120 bp、1リードあたり約150 bp、約200 bp、約250 bp、約300 bp、約350 bp、約400 bp、約450 bp、約500 bp、約550 bpまたは約600 bpを生成することができる。
配列データからのクロノタイプの決定
配列リードデータからのクロノタイプの構築は、参照により本明細書に組み入れられるFaham and Willis(上記で引用)に開示されている。簡潔に説明すると、配列リードデータからのクロノタイプの構築は、一部、そのようなデータを生成するのに使用された配列決定法に依存しており、これは、方法が異なると、予想リード長およびデータ品質も異なるためである。1つのアプローチにおいて、分析用の配列リードデータの生成にSolexaシーケンサーが使用される。1つの態様において、少なくとも百万の鋳型分子をもたらし、任意の増幅後に、対応する百万またはそれ以上の鋳型分子クローン集団(またはクラスター)をもたらし得る、少なくとも0.5〜1.0×106個のリンパ球を提供する試料が得られる。Solexaアプローチを含む最もハイスループットな配列決定アプローチにおいては、各鋳型配列が配列決定の精度を向上させる大きな冗長度の下で決定されるように、そのようなクラスターレベルの過剰サンプリングが望ましい。Solexaベースでの実施において、好ましくは、各々独立した鋳型の配列は10回またはそれ以上決定される。予想リード長およびデータ品質が異なる他の配列決定アプローチにおいては、同等の配列決定精度のために異なる冗長度レベルが使用され得る。当業者は、上記のパラメータ、例えば試料サイズ、冗長度等が、具体的用途に関連する設計上の選択事項であることを理解している。
1つの局面において、(図3Aに図示される)IgH鎖のクロノタイプは、そのC領域から始まりそれと連結したV領域の方向へと延びる少なくとも1つの配列リード(本明細書において「Cリード」(304)と称される)およびそのV領域から始まりそれと連結したJ領域の方向へと延びる少なくとも1つの配列リード(本明細書において「Vリード」(306)と称される)により決定される。そのようなリードは重複領域(308)を有している場合といない場合があり、そのような重複領域は、図3Aに示されるようにNDN領域(315)を含んでいる場合といない場合がある。重複領域(308)は、全体がJ領域内にある、全体がNDN領域内にある、全体がV領域内にある場合もあるし、または、それはJ領域-NDN領域の境界もしくはV領域-NDN領域の境界またはそのような境界の両方を含む場合がある(図3Aに図示されている)。典型的には、そのような配列リードは、合成による配列決定反応においてポリメラーゼにより配列決定プライマー、例えば図3Aの(302)および(310)を伸長することによって生成される;例えば、Metzger, Nature Reviews Genetics, 11: 31-46 (2010); Fuller et al, Nature Biotechnology, 27: 1013-1023 (2009)。プライマー(302)および(310)の結合部位は、それらが配列リードの初期のアラインメントおよび分析のための出発点または投錨点を提供することができるよう、予め決定されている。1つの態様において、Cリードは、例えば図3Aおよび3Bに図示されているように、それがIgH鎖のDおよび/またはNDN領域を網羅し、かつ隣接するV領域の一部分を含むように位置決めされる。1つの局面において、V領域におけるVリードとCリードの重複は、これらのリードを互いにアラインするのに使用される。他の態様においては、そのような配列リードのアラインメントは必要ではなく、Vリードがクロノタイプの特定のV領域を同定するのに十分に長いというだけであり得る。この後者の局面は、図3Bに図示されている。配列リード(330)は、V領域を同定するのに使用され、これは別の配列リードと重複しているまたはしておらず、そして別の配列リード(332)は、NDN領域にかかるものであり、その配列を決定するのに使用される。配列リード(332)の、V領域へと延びる部分(334)は、配列リード(332)の配列情報を配列リード(330)のそれと関連付け、クロノタイプを決定するのに使用される。いくつかの配列決定法、例えばSolexa配列決定法のような塩基単位(base-by-base)のアプローチでは、分析における配列決定サイクルの数を最小限にすることによって、配列決定に要する時間および試薬の費用が削減される。任意で、図3Aに示されるように、アンプリコン(300)は、異なる生物学的試料、例えば異なる患者に由来するクロノタイプを区別するための試料タグ(312)を含むように作製される。試料タグ(312)は、プライマーをプライマー結合領域(316)にアニールさせ、それを伸長させて(314)、タグ(312)にかけて配列リードを作成し、そこから試料タグ(312)をデコードすることによって同定され得る。
本発明の1つの局面において、クロノタイプの配列は、1つまたは複数の配列リードからの情報を、例えば選択された鎖のV(D)J領域に沿って組み合わせることにより決定され得る。別の局面において、クロノタイプの配列は、複数の配列リードからの情報を組み合わせることにより決定される。このような複数の配列リードは、センス鎖に沿う1つまたは複数の配列リード(すなわち、「順方向」配列リード)およびその相補鎖に沿う1つまたは複数の配列リード(すなわち、「逆方向」配列リード)を含み得る。同じ鎖に沿って複数の配列リードを生成する場合は、最初に、該配列リードの異なる位置に対して選択されたプライマーを用いて試料分子を増幅することにより、別々の鋳型が生成される。このコンセプトは、図4Aに図示されており、そこではプライマー(404、406および408)が、1回の反応でアンプリコン(それぞれ410、412および414)を生成するのに使用されている。このような増幅は、同じ反応において実施してもよく、または別々の反応において実施してもよい。1つの局面において、PCRが使用される場合は、別々の鋳型を生成するために別々の増幅反応が使用され、これらはその後組み合わされ、同じ鎖に沿う複数の配列リードを生成するのに使用される。この後者のアプローチは、複数の鋳型の均等増幅を実現するためにプライマー濃度(および/またはその他の反応パラメータ)のバランスをとる必要がない点で好ましい(本明細書において、「バランスのとれた増幅」または「非バイアス増幅」と称されることがある)。別々の反応による鋳型の生成については、図4B〜4Cに図示されている。その中で、IgHを含む試料(400)が3等分され(470、472および474)、これらがJ領域プライマー(401)およびV領域プライマー(それぞれ404、406および408)を用いる別々のPCRに添加され、アンプリコン(それぞれ420、422および424)が作製されている。後者のアンプリコンはその後、P5およびP7プライマーを用いる二次PCR(480)において組み合わされ(478)、ブリッジPCRおよびIllumina GAシーケンサーまたは同等の機器における配列決定のための鋳型(482)が調製される。
本発明の配列リードは、様々な長さを有するものであり、それは一部、使用される配列決定技法に依存する。例えば、いくつかの技法では、その実施の中でいくつかのトレードオフ、例えば、(i)鋳型あたりの配列リードの数と長さおよび(ii)配列決定作業の費用と時間、が発生し得る。1つの態様において、配列リードは、20から400ヌクレオチドの範囲であり;別の態様において、配列リードは、30から200ヌクレオチドの範囲であり;さらに別の態様において、配列リードは、30から120ヌクレオチドの範囲である。1つの態様においては、1つから4つの配列リードが、各クロノタイプの配列の決定のために生成され;別の態様においては、2つから4つの配列リードが、各クロノタイプの配列の決定のために生成され;そして別の態様においては、2つから3つの配列リードが、各クロノタイプの配列の決定のために生成される。上記の態様において、示されている数は、異なる個体由来の試料を同定するのに使用される配列リードを除いたものである。以下に記載される態様において使用される様々な配列リードの長さもまた、そのリードによって取り込むことが求められる情報により変化し得;例えば、配列リードの出発位置および長さは、NDN領域の長さおよびそのヌクレオチド配列を提供するよう設計され得;したがって全NDN領域に及ぶ配列リードが選択される。他の局面においては、Dおよび/またはNDN領域を組み合わせて(しかし別々にではなく)含む1つまたは複数の配列リードで十分である。
本発明の別の局面において、クロノタイプの配列は、一部には、配列リードを1つまたは複数のV領域参照配列および1つまたは複数のJ領域参照配列とアラインすることにより、および、一部には、例えば、高可変性のNDN領域に関しては、参照配列とのアラインメントを用いない塩基決定により、決定される。様々なアラインメントアルゴリズムが、配列リードおよび参照配列に適用され得る。例えば、アラインメント法を選択する手引きは、参照により組み入れられるBatzoglou, Briefings in Bioinformatics, 6: 6-22 (2005)から入手できる。1つの局面において、(上述のように)VリードまたはCリードがVおよびJ領域参照配列に対してアラインされる場合、ツリー検索アルゴリズムが使用される;例えば、Gusfield(上記で引用)およびCormen et al, Introduction to Algorithms, Third Edition (The MIT Press, 2009)に概説されている。
配列リードからのIgHクロノタイプの構築は、少なくとも2つの要因によって特徴づけられる:i)アラインメントをより困難にしている体細胞変異の存在、およびii)NDN領域が大きいため、多くの場合CリードにVセグメントの一部分をマッピングすることができないこと。本発明の1つの局面において、この問題は、Vリードを生成するために、V領域に沿う異なる位置に配置される複数のプライマーセットを使用することによって、好ましくは、プライマー結合部位が重複せず間隔を空けて配置され、そして少なくとも1つのプライマー結合部位がNDN領域に隣接するように、例えば、1つの態様ではV-NDN接合部から5から50塩基、または別の態様ではV-NDN接合部から10から50塩基となるよう、複数のプライマーセットを使用することによって解消される。複数のプライマーセットの冗長度は、体細胞変異による影響を受ける結合部位を有する1つまたは2つのプライマーの不具合によるクロノタイプの検出の失敗のリスクを最小限にする。さらに、NDN領域に隣接するプライマー結合部位が少なくとも1つ存在することにより、VリードがCリードと重複する可能性が高くなり、したがってCリードの長さが効果的に伸長される。これにより、すべてのサイズのNDN領域を網羅しかつVおよびJ領域の実質的に全体をそのNDN領域の両方の側にマッピングすることもできる連続配列を生成することが可能となる。そのようなスキームを実施する態様は、図4Aおよび4Dに図示されている。図4Aにおいて、IgH鎖を含む試料(400)は、単一セットのJ領域プライマー(401)および複数(示されているのは3)セットのV領域(402)プライマー(404、406、408)を用いて鎖を増幅し、すべてが同じNDN領域を含みかつV領域(402)の段階的に大きくなる部分(411、413、415)を含む異なる長さを有する複数の入れ子アンプリコン(例えば410、412、414)を作製することにより、各鎖につき複数のアンプリコンを生成することによって配列決定される。入れ子セットのメンバーは、それら各々のNDN、Jおよび/またはC領域の同一性(実質的同一性)を確認することにより、配列決定後にひとつにグループ化され得、それによって、リード長および/または配列決定品質が限定される他の配列決定プラットフォームの場合よりも長いV(D)Jセグメントの再編成が実現される。1つの態様において、複数のプライマーセットは、2から5の範囲の数であり得る。別の態様において、複数は2〜3であり;さらに別の態様では複数は3である。複数のプライマーの濃度および位置は、様々変化し得る。V領域プライマーの濃度は、同じである場合もそうでない場合もある。1つの態様において、NDN領域に最も近いプライマーは、例えばNDN領域を含むアンプリコンが、得られるアンプリコンにおいて表現されることを確実にするために、その複数の中の他のプライマーよりも高い濃度を有する。複数の3つのプライマーを使用する特定の態様において、60:20:20の濃度比が用いられる。NDN領域(444)に隣接する1つまたは複数のプライマー(例えば、図4Dでは435および437)は、J領域プライマー(432)によって生成される配列リード(442)と重複する1つまたは複数の配列リード(例えば、434および436)を生成するのに使用され得、それによって重複領域(440)における塩基コールの質が改善される。複数のプライマーからの配列リードは、隣接する下流のプライマー結合部位および/または隣接する下流の配列リードと重複している場合もそうでない場合もある。1つの態様においては、NDN領域に近接する配列リード(例えば、436および438)が、クロノタイプに関連する特定のV領域を同定するのに使用され得る。そのような複数のプライマーは、プライマー結合部位の1つが免疫グロブリンの発達時に超変異している場合に増幅が不完全または不成功となる可能性を低下させる。それはまた、V領域の超変異により導入された多様性がクロノタイプ配列に取り込まれる可能性を高める。二次PCRは、配列決定のための入れ子アンプリコンを調製するために、例えば図示されているようなP5(401)およびP7(404、406、408)プライマーを用いる増幅によりアンプリコン(420、422および424)を作製することによって実施され得、それらは固相表面上に単一分子として配分され得、さらにブリッジPCRまたは同様の技法により増幅される。
(特に、IgH鎖の)NDN領域における塩基コールは、図4Eに図示されているように、隣接するJおよびV領域のコドン構造を使用することによって改善することができる。(本明細書において使用される場合、「コドン構造」は、NDN領域の外側のTCRまたはBCR転写物または遺伝子のセグメント、例えばV領域、J領域等の天然のリーディングフレームのコドンを意味する。)図4Bのアンプリコンの拡大図であるアンプリコン(450)は、上側には、Cリード(442)および隣接するVリード(434)の相対位置が、下側には、V領域(430)およびJ領域(446)のそれぞれのコドン構造(452および454)が、示されている。本発明のこの局面によれば、コドン構造(452および454)が従来的なVおよびJ参照配列に対するアラインメントにより同定された後、NDN領域(456)の塩基は、配列リード(434)および(442)を用いて、1度に1塩基ずつ、J領域(446)からV領域(430)に向かっておよび反対のV領域(430)からJ領域(446)に向かって移動しつつコール(または同定)される。通常の生物学的条件下では、V領域からNDN領域を通ってJ領域までのインフレームコドンを有する組換えTCRまたはIgH配列のみがタンパク質として発現される。すなわち、体細胞により生成されるバリアントのうち、発現されるのは、そのJ領域およびV領域のコドンフレームが互いに対してインフレームでありかつNDN領域を通じてインフレームの状態にあるもののみである。(ここでは、VおよびJ領域の正確なフレームは、参照配列から決定される。)フレーム外(out-of-frame)配列が1つまたは複数の低品質の塩基コールに基づき同定される場合、その対応するクロノタイプは、再評価のためまたは潜在的な疾患関連異常としてフラグを立てられる。同定された配列がインフレームでありかつ高品質の塩基コールに基づいている場合、そこにはその対応するクロノタイプが正確にコールされている高い信頼性がある。したがって、1つの局面において、本発明は、双方向配列リードからV(D)Jベースのクロノタイプを決定する方法であって、(a)J領域から始まりNDN領域へと延びる少なくとも1つのJ領域配列リードおよびV領域から始まりNDN領域へと延びる少なくとも1つのV領域配列リードを、そのJ領域配列リードおよびV領域配列リードが重複領域で重複しておりかつJ領域およびV領域の各々がコドン構造を有するように、生成する工程;(b)NDN領域へと延びるJ領域のコドン構造がNDN領域へと延びるV領域のコドン構造に対してインフレームであるかどうかを判定する工程を含む前記方法を含む。さらなる態様において、生成する工程は、V領域から始まり、NDN領域を通ってJ領域まで延びる少なくとも1つのV領域配列リードを、J領域配列リードおよびV領域配列リードが重複領域で重複するように生成することを含む。
体細胞超変異。1つの態様において、体細胞超変異を起こしたIgHベースのクロノタイプは、以下のようにして決定される。体細胞変異は、(関連セグメントの、通常はV、JまたはCの)対応する参照配列の塩基と異なり、かつ統計的に有意な数のリードに存在する、配列決定された塩基と定義される。1つの態様においては、Cリードが、マッピングされたJセグメントに関する体細胞変異を発見するのに使用され得、同様に、Vセグメントに関してはVリードが使用され得る。JまたはVセグメントに直接マッピングされるかまたはNDN境界までのクロノタイプ伸長物の内側であるかのいずれかのCおよびVリードのみが使用される。このようにして、NDN領域は回避され、以前にクロノタイプの決定に使用された同じ「配列情報」が、変異の発見に使用されることはない(実際は異なる組換えNDN領域であるにすぎないのに誤って変異ヌクレオチドとして分類されるのを回避するため)。セグメントタイプごとに、マッピングされたセグメント(優性のアレル)がスキャホールドとして使用され、リードのマッピング段階でこのアレルにマッピングされたすべてのリードが考慮される。少なくとも1つのリードがマッピングされている参照配列の各位置が、体細胞変異について分析される。1つの態様において、非参照塩基を有効な変異として受諾する基準は、以下のものを含む:1)所定の変異塩基を有する少なくともN個のリード、2)少なくとも所定の分数N/Mのリード(Mはこの塩基位置にマッピングされたリードの総数である);および3)2項分布、変異塩基におけるN個のリードの平均Qスコアおよび非変異塩基を有するリードの数(M-N)に基づく統計的な切り捨て。好ましくは、上記のパラメータは、クロノタイプ単位での変異の誤発見率が1000中1未満、より好ましくは10000中1未満となるように選択される。
系統発生学的クロノタイプ(クラン)。癌、例えば、リンパ系新生物において、単一のリンパ球前駆体は、癌に関連する体細胞変異、例えば塩基の置換、異常な再構成等により、各々が若干異なるTCRまたはBCR、したがって異なるクロノタイプを保持および/または発現する多くの関連する子孫リンパ球を発生させ得る。そのようなクロノタイプを産生する細胞は、本明細書において、系統発生学的クローン(phylogenic clone)と称され、そのような関連クローンのセットは、本明細書において「クラン(clan)」と称される。同様に、系統発生学的クローンのクロノタイプは、系統発生学的クロノタイプと称され、系統発生学的クロノタイプのセットは、クロノタイプのクランと称され得る。1つの局面において、本発明の方法は、個々のクロノタイプの頻度ではなく、クロノタイプのクランの頻度(すなわち、そのクランの構成要素の系統発生学的クロノタイプの頻度の和)をモニターする工程を含む。系統発生学的クロノタイプは、親クロノタイプとの関連性に関する1または複数の測定により同定され得る。1つの態様において、系統発生学的クロノタイプは、以下でより十分な記載がなされているように、相同性%により同じクランにグループ化され得る。別の態様において、系統発生学的クロノタイプは、V領域、J領域および/またはNDN領域の共通した使用により同定される。例えば、クランは、共通のJおよびND領域を有するが異なるV領域を有するクロノタイプにより定義され得;またはそれは、同じVおよびJ領域を有する(同一の塩基置換変異を含む)が異なるNDN領域を有するクロノタイプにより定義され得;またはそれは、1〜10塩基もしくは1〜5塩基もしくは1〜3塩基の、1つもしくは複数の挿入および/もしくは欠失を起こし、クランメンバーを生成したクロノタイプにより定義され得る。別の態様において、クランのメンバーは以下の通りに決定される。クロノタイプは、それらが以下の基準を満たす場合に、同じクランに割り当てられる:i)それらが同じVおよびJ参照セグメントにマッピングされ、そのマッピングがクロノタイプ配列の同じ相対位置で行われていること、およびii)それらのNDN領域が実質的に同一であること。クランのメンバーシップにおける「実質的」は、NDN領域におけるいくつかの小さな違いが、この領域において体細胞変異が起こり得ることを踏まえて許容されることを意味する。好ましくは、1つの態様において、NDN領域における変異を誤ってコールすることを回避するため、塩基置換が癌関連変異として受諾されるかどうかは、そのクランのNDN領域のサイズに直接的に依存する。例えば、方法は、クランのNDN配列の長さがmヌクレオチドまたはそれ以上、例えば9ヌクレオチドまたはそれ以上の場合であって、それが癌関連変異としてクランNDN配列と1塩基の違いを有するときに、クロノタイプをクランメンバーとして受諾し得、それ以外は受諾されず、またはクランのNDN配列の長さがnヌクレオチドまたはそれ以上、例えば20ヌクレオチドまたはそれ以上の場合であって、それが癌関連変異としてクランNDN配列と2塩基の違いを有するときに、クロノタイプをクランメンバーとして受諾し得、それ以外は受諾されない。別の態様において、クランのメンバーは、以下の基準を用いて決定される:(a)Vリードが同じV領域にマッピングされること、(b)Cリードが同じJ領域にマッピングされること、(c)NDN領域が(上記の意味で)実質的に同一であること、および(d)V-NDNの境界とJ-NDNの境界の間のNDN領域の位置が同じであること(または、Dの下流側の塩基付加の数とDの上流側の塩基付加の数が同じであること、と同等である)。単一試料のクロノタイプはクランにグループ化され、異なる時点で獲得された連続した試料に由来するクランが互いに比較され得る。特に、本発明の1つの局面において、疾患、例えばリンパ系新生物と相関するクロノタイプを含むクランが、各試料のクロノタイプから同定され、寛解の継続、再発の初期段階、さらなるクローン進化の証拠等の疾患状態を判定するために、その直前の試料のそれと比較される。
PCRのエラーは、PCRの早い段階のサイクルで変異したいくつかの塩基に集中すると考えられる。配列決定のエラーは、全体として無作為であるにもかかわらず、そのエラーがある程度の体系的バイアスを有している可能性がある場合、多くの塩基に分散すると考えられる。いくつかの塩基は、およそ5%(平均の5倍)の高い比率の配列決定エラーを有するであろうと推測される。これらの推測の下では、配列決定エラーが支配的なエラーのタイプとなる。PCRのエラーと、高度に関連するクロノタイプの発生とを区別することは、分析において重要となる。2つまたはそれ以上の高度に関連するクロノタイプが存在すると判定することには生物学的意義があるため、そのようなコールを生成するために保存的なアプローチが採用される。高い信頼性(およそ99.9%)で2以上のクロノタイプが存在することを確認するために、少数派のクロノタイプの十分な検出が考慮される。100コピー/1,000,000で存在するクロノタイプの例では、少数派のバリアントが、独立したクロノタイプとして指定されるよう、14回またはそれ以上検出される。同様に、1,000コピー/1,000,000で存在するクロノタイプにおいては、少数派のバリアントが、独立したクロノタイプとして指定されるよう、74回またはそれ以上検出され得る。このアルゴリズムは、各々の配列決定された塩基により得られる塩基品質スコアを使用することによって向上させることができる。品質スコアとエラー率の間の関係が上記のように確認されれば、すべての塩基に対して保存的な5%のエラー率を使用することに代えて、品質スコアを、独立したクロノタイプをコールするために存在する必要のあるリード数を決定するのに使用することができる。すべてのリードにおける特定塩基の品質スコアの中央値を使用することができる、またはより厳密に言えば、エラーである可能性は、各リードにおける特定塩基の品質スコアに基づき計算することができ、そしてその確率は、その塩基の可能性のある配列決定エラーの数を概算するために組み合わせることができる(独立と仮定して)。結果的に、配列決定エラー仮説を拒絶する閾値は、異なる品質スコアを有する異なる塩基ごとに異なる。例えば、1,000,000あたり1,000コピー存在するクロノタイプでは、少数派のバリアントは、エラーの確率が0.01および0.05として、それぞれ22および74回検出される場合、独立と指定される。
配列決定エラーが存在する場合、真の各クロノタイプは、その配列に関して異なる数のエラーを有するリードの「クラウド」に取り囲まれている。配列空間においてクロノタイプからの距離が増大するにつれて、配列決定エラーの「クラウド」は密度を低下させる。配列リードをクロノタイプに変換するために、種々のアルゴリズムが利用できる。1つの局面において、配列リードの合体(すなわち、1つまたは複数の配列決定エラーを有すると判定された候補クロノタイプを統合すること)は、少なくとも3つの因子に依存する:比較されるクロノタイプの各々について得られる配列の数;相違する塩基の数;および不一致の位置における配列決定の品質スコア。予想エラー率およびエラーの二項分布に基づく尤度比が構築され、評価され得る。例えば、一方が150個のリードを有し、もう一方が2個のリードを有し、それらの間には配列決定品質の低い領域内に1つの相違がある、2つのクロノタイプは、それらが配列決定エラーにより生成された可能性があるため、合体される可能性がある。それに対して、一方が100個のリードを有し、もう一方が50個のリードを有し、それらの間に2つの相違がある2つのクロノタイプは、それらが配列決定エラーにより生成された可能性は低いと見なされるため、合体されない。本発明の1つの態様において、以下に記載されるアルゴリズムが、配列リードからクロノタイプを決定するために使用され得る。本発明の1つの局面において、配列リードは最初に候補クロノタイプに変換される。そのような変換は、使用される配列決定プラットフォームに依存する。高いQスコアの長い配列リードを生成するプラットフォームでは、配列リードまたはその一部分は候補クロノタイプとして直接採用され得る。より低いQスコアのより短い配列リードを生成するプラットフォームでは、関連配列リードのセットを候補クロノタイプに変換するために、いくつかのアラインメントおよび組み立て工程が必要とされ得る。例えば、Solexaベースのプラットフォームでは、いくつかの態様において、候補クロノタイプは、上記のように、例えば10個またはそれ以上といった複数のクラスターに由来する対をなしたリードの収集物から生成される。
各候補クロノタイプを取り囲んでいる配列リードのクラウドは、2項分布および一塩基エラーの確率についての単純モデルを用いてモデル化することができる。この後者のエラーモデルは、VおよびJセグメントのマッピングからまたはクロノタイプ発見アルゴリズム自体から自己無撞着(self-consistency)または収斂(convergence)を通じて推測することができる。モデルは、(配列Xに関して)リードカウントC2およびE個のエラーを有する所定の「クラウド」配列Yが、完全なリードカウントC1を有する真のクロノタイプ配列Xの一部分である確率に関して、Xが配列空間のこの領域における唯一の真のクロノタイプであるというヌル(null)モデルの下で、構築される。判定は、パラメータC1、C2およびEにしたがい配列YをクロノタイプXに合体させるかさせないかに関して為される。任意の所定のC1およびEについて、配列Yを合体させるとの判定のための最大値C2が事前に算出される。C2の最大値は、YがクロノタイプXの一部分であるというヌル仮説の下でYを合体させない確率が、配列Xの近隣にエラーEを有するすべての可能性のある配列Yにわたって積分した後に一定値P未満となるように、選択される。値Pは、アルゴリズムの挙動を制御し、合体を多少寛容的にする。
配列Yが、そのリードカウントがクロノタイプXへの合体のための閾値C2を上回っているために、クロノタイプXに合体されない場合、それは、別々のクロノタイプをシード(seed)するための候補となる。そのような原則を実施するアルゴリズムは、この(Xに非依存的であるとみなされた)配列Yに「より近い」任意のその他の配列Y2、Y3等がXに集約されないようにする。この「近さ(nearness)」のコンセプトは、YおよびXに関するエラーカウントとXおよびYの絶対リードカウントの両方を含む、すなわち、それは、クロノタイプXの周囲のエラー配列のクラウドに関する上記のモデルと同じ様式でモデル化される。このようにして、「クラウド」配列は、それらが2以上のクロノタイプの「近く」にあった場合に、それらの正確なクロノタイプに適切に帰属化させることができる。
1つの態様において、アルゴリズムは、最大のリードカウントを有する配列Xから開始することにより、トップダウン式に進行する。この配列は、第1のクロノタイプをシードする。隣接する配列は、それらのカウントが事前に算出された閾値(上記参照)を下回る場合にこのクロノタイプに合体されるか、またはそれらが閾値を上回るもしくは合体されなかった別の配列に「近い」場合に放置されるかのいずれかである。最大エラーカウント内のすべての隣接する配列を検索した後、リードをクロノタイプXに合体させるプロセスが終了する。そのリードおよびそれに合体されたすべてのリードが報告され、他のクロノタイプを生成するのに利用できるリードのリストから除去される。続いて、次に最大のリードカウントを有する配列に移行する。隣接するリードが上記のようにしてこのクロノタイプに合体され、そしてこのプロセスは、所定の閾値を上回るリードカウントを有する配列がそれ以上存在しなくなるまで、例えば1カウント超のすべての配列がクロノタイプのシードとして使用されるまで、継続される。
上述したように、上記のアルゴリズムの別の態様においては、候補配列Yを既存のクロノタイプXに合体させるかどうかを判定するために、関連する配列リードの品質スコアを考慮するさらなる試験が追加され得る。配列YとXが相違する場合、配列Yについての平均品質スコア(配列Yを有するすべてのリードの平均)が、決定される。その平均スコアが既定の値を上回る場合、その差が合体されるべきでない真に異なるクロノタイプを示している可能性が高く、平均スコアがそのような既定の値を下回る場合、配列Yは配列決定エラーによるものでありしたがってXに合体されるべきである可能性が高い。
いくつかの特定の態様例を参照して本発明を説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それらに対して多くの変更がなされ得ることを、当業者は認識するであろう。本発明は、上記のものに加えて、様々なセンサー実現およびその他の主題に適用可能である。
本実施例では、2名の健常ドナー由来のリンパ球を、季節性(2010/2011)インフルエンザワクチン接種に関する3つの時点、ワクチン接種前(4日前)、ワクチン接種後早期(9日後)、およびワクチン接種後後期(16日後)において、それぞれ解析した。その都度、血液を採取し、末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。従来の技法を用いて、PBMCからRNAを抽出し、cDNAに変換した。
結果を表Iおよび図1A〜1Cに示す。
(表I)混合IgAまたはIgG比を有するクロノタイプ * の数
Figure 2015501644
*混合アイソタイプクロノタイプとは、15〜85%のIgAまたはIgGを有すると測定されたクロノタイプである。
ドナー4に関するデータはまた、図1A〜1Cにも図示してある。表I中の数字は、IgAアイソタイプまたはIgGアイソタイプのいずれかを有するクロノタイプのカウントである。図1A〜1Cは、式NM + NA + NG = 100によって定義される3次元空間における平面からのデータ点の各射影であり、式中、NMはIgMアイソタイプを有するクロノタイプの数であり、NAはIgAアイソタイプを有する同じクロノタイプの数であり、かつNGはIgGアイソタイプを有する同じクロノタイプである。IgDおよびIgEアイソタイプは存在したが、無視できる量であったため、それらはデータのプロット図において無視した。ドナー4に関する表I中の数字は、3つのプロット図において点線の四角(100)の中に示される点の数である。このデータから、複数のアイソタイプと関連したクロノタイプの数は、ワクチン接種に対する早期免疫活性化応答として増加することが示される。
定義
本明細書において他に具体的に規定されない限り、本明細書で用いられる核酸化学、生化学、遺伝学、および分子生物学の用語および記号は、当分野における標準的な論文および教科書、例えば、Kornberg and Baker, DNA Replication, Second Edition (W.H. Freeman, New York, 1992);Lehninger, Biochemistry, Second Edition (Worth Publishers, New York, 1975);Strachan and Read, Human Molecular Genetics, Second Edition (Wiley-Liss, New York, 1999);Abbas et al, Cellular and Molecular Immunology, 6th edition (Saunders, 2007)の用語および記号に従っている。
「アラインすること」とは、配列リードなどの試験配列を1つまたは複数の参照配列と比較して、どの参照配列が、または参照配列のどの部分が、何らかの配列距離尺度に基づいて最も近いのかを判定する方法を意味する。ヌクレオチド配列をアラインする例示的な方法は、Smith Watermanアルゴリズムである。距離尺度には、ハミング距離、レーヴェンシュタイン距離等が含まれ得る。距離尺度は、比較される配列のヌクレオチドの品質値に関連した成分を含み得る。
「アンプリコン」とは、ポリヌクレオチド増幅反応の産物;すなわち、一本鎖または二本鎖であってよく、1つまたは複数の出発配列から複製されるポリヌクレオチドのクローン集団を意味する。1つもしくは複数の出発配列は、同じ配列の1つもしくは複数のコピーであってもよいし、またはそれらは異なる配列の混合物であってもよい。好ましくは、アンプリコンは、単一の出発配列の増幅によって形成される。アンプリコンは、その反応産物が1つまたは複数の出発核酸または標的核酸の複製物を含む、様々な増幅反応によって作製され得る。1つの局面において、アンプリコンを作製する増幅反応は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのいずれかである反応物の塩基対形成が、反応産物の創出に必要な相補体を鋳型ポリヌクレオチドにおいて有するという点で、「鋳型駆動型」である。1つの局面において、鋳型駆動型反応は、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長、または核酸リガーゼによるオリゴヌクレオチド連結である。このような反応には、参照により本明細書に組み入れられる以下の参考文献、Mullis et al、米国特許第4,683,195号;第4,965,188号;第4,683,202号;第4,800,159号(PCR);Gelfand et al、米国特許第5,210,015号(「taqman」プローブによるリアルタイムPCR);Wittwer et al、米国特許第6,174,670号;Kacian et al、米国特許第5,399,491号(「NASBA」);Lizardi、米国特許第5,854,033号;Aono et al、特開平4-262799(ローリングサークル増幅)などに開示されているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、線状ポリメラーゼ反応、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅などが含まれるが、これらに限定されない。1つの局面において、本発明のアンプリコンはPCRによって作製される。増幅反応の進行に伴った反応産物の測定を可能にする検出化学が利用できるのであれば、増幅反応は「リアルタイム」増幅であってよく、例えば、以下に記載される「リアルタイムPCR」、またはLeon et al, Nucleic Acids Reseqrch, 26: 2150-2155 (1988)、および同様の参考文献に記載されているような「リアルタイムNASBA」であってよい。本明細書で用いられる「増幅すること」という用語は、増幅反応を行うことを意味する。「反応混合物」とは、反応を行うために必要な反応物をすべて含む溶液を意味し、この反応物には、反応中にpHを選択されたレベルに維持するための緩衝剤、塩、補因子、スカベンジャーなどが含まれ得るが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる「クローン性」とは、あるレパートリーのクロノタイプ間のクロノタイプ存在量の分布が1種または数種のクロノタイプにどれだけ偏っているかの尺度を意味する。大まかに言うと、クローン性はクロノタイプ多様性の逆の尺度である。多くの尺度または統計学が、本発明によるクローン性尺度に対して使用され得る、種と存在量の関係を説明する生態学、例えば、Chapters 17 & 18, in Pielou, An Introduction to Mathematical Ecology, (Wiley-Interscience, 1969)から利用できる。1つの局面において、本発明と共に用いられるクローン性尺度はクロノタイププロファイル(すなわち、検出される別個のクロノタイプの数およびそれらの存在量)と関係しており、したがって、クロノタイププロファイルを測定した後、そこからクローン性を計算して、1つの数字をもたらすことができる。1つのクローン性尺度はシンプソンの尺度であり、これは単純に、ランダムに選び出された2つのクロノタイプが同じである確率である。その他のクローン性尺度には、情報ベースの尺度、およびPielou(上記で引用)に開示されているマッキントッシュの多様性指数が含まれる。
「クロノタイプ」とは、T細胞受容体(TCR)もしくはB細胞受容体(BCR)またはその一部分をコードする、T細胞またはB細胞の組換えヌクレオチド配列を意味する。1つの局面において、ある個体のあるリンパ球集団の別個のクロノタイプすべての収集物は、そのような集団の1つのレパートリーである;例えば、Arstila et al, Science, 286: 958-961 (1999);Yassai et al, Immunogenetics, 61: 493-502 (2009);Kedzierska et al, Mol. Immunol., 45(3): 607-618 (2008)など。本発明で用いられる「クロノタイププロファイル」または「レパートリープロファイル」とは、レパートリーのクロノタイプおよびそれらの相対存在量の実質的にすべてを含めた、T細胞および/またはB細胞の試料(そのような細胞を含む末梢血試料など)のクロノタイプの集計である。「クロノタイププロファイル」、「レパートリープロファイル」、および「レパートリー」は、本発明において互換的に用いられる。(すなわち、以下にさらに詳述する「レパートリー」という用語は、リンパ球の試料から測定されるレパートリーを意味する)。本発明の1つの局面において、クロノタイプは、免疫グロブリン重鎖(IgH)またはTCRβ鎖の一部分を含む。本発明の他の局面において、クロノタイプは、免疫グロブリン軽鎖もしくはTCRα鎖またはそれらの一部分などのその他の組換え分子に基づき得る。
「合体させること」とは、配列相違のある2つの候補クロノタイプを、そのような相違が実験的エラーまたは測定エラーによるものであり、真の生物学的相違によるものではないと判定することにより、同じものとして扱うことを意味する。1つの局面では、より高頻度の候補クロノタイプの配列をより低頻度の候補クロノタイプの配列と比較し、所定の基準が満たされる場合に、より低頻度の候補クロノタイプの数をより高頻度の候補クロノタイプの数に加え、より低頻度の候補クロノタイプをその後無視する。すなわち、より低頻度の候補クロノタイプと関連したリードカウントは、より高頻度の候補クロノタイプのリードカウントに加えられる。
「相補性決定領域」(CDR)とは、免疫グロブリン(すなわち、抗体)またはT細胞受容体の領域を意味するものであり、この領域において分子は抗原の高次構造を補完し、それによって該分子の特異性を決定し、特定の抗原と接触する。T細胞受容体および免疫グロブリンはそれぞれ、3つのCDRを有する:CDR1およびCDR2は可変(V)ドメイン中に見出され、CDR3は、Vの一部、多様部(D)(重鎖のみ)および結合部(J)のすべて、ならびに定常(C)ドメインの一部を含む。
「免疫活性化」とは、(抗原特異的リンパ球が抗原に結合する)抗原認識期に続く適応免疫応答期を意味し、リンパ球の増殖およびエフェクター細胞への分化によって特徴づけられる;例えば、Abbas et al, Cellular and Molecular Immunology, Fourth Edition, (W.B. Saunders Company, 2000)。
「リンパ系新生物」とは、悪性または非悪性であってよいリンパ球の異常な増殖を意味する。リンパ系癌とは、悪性のリンパ系新生物である。リンパ系新生物は、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、移植後のリンパ球増殖障害、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、T細胞リンパ腫などを含むがこれらに限定されないリンパ球増殖障害の結果であるか、またはそれに付随する;例えば、Jaffe et al, Blood, 112: 4384-4399 (2008);Swerdlow et al, WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (e. 4th) (IARC Press, 2008)。
参照配列と別の配列(「比較配列」)との比較に関して用いられる「%相同」、「%同一」、または同様の用語は、この2つの配列の間の最適なアラインメントにおいて、比較配列が、示されるパーセンテージに等しいサブユニット位置の数において参照配列と同一であることを意味し、このサブユニットは、ポリヌクレオチド比較に関してはヌクレオチドであり、またはポリペプチド比較に関してはアミノ酸である。本明細書で用いられる、比較される配列の「最適なアラインメント」とは、サブユニット間の一致を最大にし、かつアラインメントの構築において使用されるギャップの数を最小にするアラインメントである。%同一性は、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol., 48: 443-453 (1970)("GAP" program of Wisconsin Sequence Analysis Package, Genetics Computer Group, Madison, WI)などによって記載されているようなアルゴリズムの商用の実行によって決定され得る。アラインメントを構築し、同一性のパーセンテージまたは類似性の他の尺度を算出するための、当技術分野におけるその他のソフトウェアパッケージには、Smith and Waterman, Advances in Applied Mathematics, 2: 482-489 (1981) (Wisconsin Sequence Analysis Package, Genetics Computer Group, Madison, WI)のアルゴリズムに基づく「BestFit」プログラムが含まれる。言い換えれば、例えば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95パーセント同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のヌクレオチドの5パーセントまでが欠失されるか、もしくは別のヌクレオチドで置換されてよく、または参照配列中の全ヌクレオチド数の5パーセントまでのヌクレオチド数が参照配列中に挿入されてよい。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、DNAの相補鎖の同時プライマー伸長による、特定のDNA配列のインビトロ増幅のための反応を意味する。言い換えると、PCRは、プライマー結合部位によって挟まれた標的核酸の複数のコピーまたは複製物を作製するための反応であり、このような反応は以下の工程の1回または複数回の反復を含む:(i) 標的核酸を変性させる工程、(ii) プライマーをプライマー結合部位にアニーリングさせる工程、および(iii) ヌクレオシド三リン酸の存在下で核酸ポリメラーゼによりプライマーを伸長させる工程。通常、反応は、サーマルサイクラー装置において、各工程に最適化された異なる温度の間で繰り返される。特定の温度、各工程における持続時間、および工程間の変化速度は、例えば参考文献、McPherson et al, editors, PCR: A Practical Approach and PCR2: A Practical Approach (IRL Press, Oxford、それぞれ1991および1995)によって例示される、当業者に周知の多くの要因に依存する。例えば、Taq DNAポリメラーゼを用いる従来のPCRでは、>90℃の温度で二本鎖標的核酸が変性され得、50〜75℃の範囲の温度でプライマーがアニーリングされ得、そして72〜78℃の範囲の温度でプライマーが伸長され得る。「PCR」という用語は、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量的PCR、マルチプレックスPCRなどを含むがこれらに限定されない、該反応の派生形態を含む。反応容量は、数百ナノリットル、例えば200 nL〜数百μL、例えば200μLの範囲である。「逆転写PCR」または「RT-PCR」とは、標的RNAを相補的な一本鎖DNAへと変換する逆転写反応が先行し、次いで増幅が行われるPCRを意味する;例えば、参照により本明細書に組み入れられるTecott et al、米国特許第5,168,038号。「リアルタイムPCR」とは、反応の進行と共に反応産物、すなわちアンプリコンの量がモニターされるPCRを意味する。リアルタイムPCRの多くの形態が存在し、主に反応産物のモニタリングに用いられる検出化学が異なる;例えば、参照により本明細書に組み入れられるGelfand et al、米国特許第5,210,015号(「taqman」);Wittwer et al、米国特許第6,174,670号および第6,569,627号(インターカレート色素);Tyagi et al、米国特許第5,925,517号(分子ビーコン)。リアルタイムPCRのための検出化学は、同様に参照により本明細書に組み入れられるMackay et al, Nucleic Acids Research, 30: 1292-1305 (2002)において概説されている。「ネステッドPCR」とは、第1PCRのアンプリコンが、プライマーの新たなセットを用いる第2PCRのための試料となる二段階PCRを意味し、そのセットのうちの少なくとも一方は第1アンプリコンの内部の位置に結合する。ネステッド増幅反応に関する、本明細書で用いられる「初期プライマー」とは、第1アンプリコンを生成するために用いられるプライマーを意味し、「二次プライマー」とは、第2または入れ子アンプリコンを生成するために用いられる1つまたは複数のプライマーを意味する。「マルチプレックスPCR」とは、複数の標的配列(または単一の標的配列および1つまたは複数の参照配列)が同じ反応混合物中で同時に行われるPCRを意味する;例えば、Bernard et al, Anal. Biochem., 273: 221-228 (1999)(2色リアルタイムPCR)。通常、増幅される各配列について、プライマーの別個のセットが用いられる。典型的には、マルチプレックスPCRにおける標的配列の数は、2〜50、または2〜40、または2〜30の範囲である。「定量的PCR」とは、試料または標本中の1つまたは複数の特定の標的配列の存在量を測定するために設計されたPCRを意味する。定量的PCRは、このような標的配列の絶対的な定量および相対的な定量の両方を含む。定量的な測定は、標的配列と別々にまたは共にアッセイされ得る1つまたは複数の参照配列または内部標準を用いてなされる。参照配列は、試料または標本にとって内因性であっても外因性であってもよく、後者の場合には、1つまたは複数の競合鋳型を含み得る。典型的な内因性の参照配列には、以下の遺伝子の転写物のセグメントが含まれる:βアクチン、GAPDH、β2ミクログロブリン、リボソームRNAなど。定量的PCRのための技法は、参照により組み入れられる以下の参考文献において例証されるように、当業者に周知である:Freeman et al, Biotechniques, 26: 112-126 (1999);Becker-Andre et al, Nucleic Acids Research, 17: 9437-9447 (1989);Zimmerman et al, Biotechniques, 21: 268-279 (1996);Diviacco et al, Gene, 122: 3013-3020 (1992);Becker-Andre et al, Nucleic Acids Research, 17: 9437-9446 (1989)など。
「プライマー」とは、ポリヌクレオチド鋳型との二重鎖の形成に際して、核酸合成の開始点として働くことができ、伸長された二重鎖が形成されるように、鋳型に沿ってその3'末端から伸長され得る、天然または合成のいずれかのオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの伸長は、通常、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼを用いて行われる。伸長過程において付加されるヌクレオチドの配列は、鋳型ポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーはDNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは通常、14〜40ヌクレオチドの範囲、または18〜36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは、様々な核酸増幅反応、例えば、単一のプライマーを用いる線状増幅反応、または2種もしくはそれ以上のプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応において用いられる。特定の適用に関してプライマーの長さおよび配列を選択するための指針は、参照により組み入れられる以下の参考文献によって明らかなように、当業者に周知である:Dieffenbach, editor, PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Press, New York, 2003)。
「品質スコア」とは、特定の配列位置における塩基の割り当てが正しいという確率についての尺度である。異なる配列決定化学、検出システム、塩基コールアルゴリズムなどの結果としてコールされる塩基に関するような特定の状況について、品質スコアを算出するための様々な方法が当業者に周知である。一般的に、品質スコア値は、正しい塩基コールの確率に単調に関連している。例えば、10という品質スコアまたはQは、塩基が正しくコールされる可能性が90パーセントあることを意味し得、20というQは、塩基が正しくコールされる可能性が99パーセントあることを意味し得るなどである。いくつかの配列決定プラットフォーム、特に合成による配列決定化学を用いる配列決定プラットフォームでは、平均品質スコアは配列リード長に応じて低下し、その結果、配列リードの始めの品質スコアは配列リードの終わりの品質スコアよりも高く、そのような低下は、不完全な伸長、繰り返し伸長、鋳型の減少、ポリメラーゼの減少、キャップ形成の障害、脱保護の障害などのような現象に起因する。
本明細書で用いられる「レパートリー」または「免疫レパートリー」とは、ある個体のあるリンパ球集団中の、B細胞受容体(BCR)またはそれらの断片それぞれをコードする別個の組換えヌクレオチド配列のセットを意味し、該セットのヌクレオチド配列は、該集団のリンパ球の実質的にすべてについて、別個のリンパ球またはそれらのクローン亜集団と1対1の対応を有する。1つの局面において、レパートリーが決定されるリンパ球集団は、1つまたは複数の血液試料などの1つまたは複数の組織試料から取得される。レパートリーのメンバーヌクレオチド配列は、本明細書において「クロノタイプ」と称される。1つの局面において、レパートリーのクロノタイプは、BCRの発達中に体細胞組換えを起こしたB細胞集団に共通する核酸の任意のセグメントを含み、これには正常なまたは異常な(例えば、癌と関連する)その前駆体分子が含まれ、以下のもののうちのいずれかが含まれるがこれらに限定されない:免疫グロブリン重鎖(IgH)またはそのサブセット(例えば、IgH可変領域、CDR3領域など)、不完全なIgH分子、免疫グロブリン軽鎖またはそのサブセット(例えば、可変領域、CDR領域など)、CDR(BCRのCDR1、CDR2、もしくはCDR3、またはそのようなCDRの組み合わせを含む)、BCRのV(D)J領域、IgH可変領域の超変異領域など。1つの局面において、レパートリーのクロノタイプを規定する核酸セグメントは、それらの多様性(すなわち、セット中の別個の核酸配列の数)が十分に高く、結果として個体中の実質的にすべてのB細胞またはそのクローンがそのようなレパートリーの特有の核酸配列を保有するように、選択される。すなわち、本発明に従って、実施者は、B細胞の集団の完全な多様性を反映しない、BCRをコードする組換え核酸の特定のセグメントまたは領域を、クロノタイプを規定するために選択してもよい;しかしながら、好ましくは、クロノタイプは、それらの由来元であるB細胞の集団の多様性を反映するように規定される。すなわち、好ましくは、試料のそれぞれ異なるクローンは異なるクロノタイプを有する。(当然ながら、いくつかの適用においては、白血病またはリンパ腫患者由来の試料の場合のように、プロファイル内には1つまたは複数の特定のクロノタイプの複数のコピーが存在する)。本発明の他の局面において、レパートリーに相当するリンパ球集団は、循環B細胞、または細胞表面マーカーによって規定されるその他の亜集団などであってよい。そのような亜集団は、特定の組織、例えば骨髄もしくはリンパ節などから試料を取得することによって、または1つもしくは複数の細胞表面マーカー、サイズ、形態などに基づいて試料(末梢血など)から細胞を選別もしくは濃縮することによって獲得され得る。さらなる他の局面において、レパートリーに相当するリンパ球集団は、腫瘍組織、感染組織などの罹患組織に由来し得る。1つの態様において、ヒトIgH鎖またはその断片を含むレパートリーは、0.1×106〜1.8×106種の範囲、または0.5×106〜1.5×106種の範囲、または0.8×106〜1.2×106種の範囲内の数の別個のヌクレオチド配列を含む。特定の態様において、本発明のレパートリーは、IgH鎖のV(D)J領域の実質的にすべてのセグメントをコードするヌクレオチド配列のセットを含む。1つの局面において、本明細書で用いられる「実質的にすべての」とは、0.001パーセントもしくはそれ以上の相対存在量を有するすべてのセグメントを意味し;または別の局面において、本明細書で用いられる「実質的にすべての」とは、0.0001パーセントもしくはそれ以上の相対存在量を有するすべてのセグメントを意味する。別の特定の態様において、本発明のレパートリーは、TCRβ鎖のV(D)J領域の実質的にすべてのセグメントをコードするヌクレオチド配列のセットを含む。別の態様において、本発明のレパートリーは、25〜200ヌクレオチドの範囲の長さを有しかつIgH鎖のV、D、およびJ領域のセグメントを含むヌクレオチド配列のセットを含む。別の態様において、本発明のレパートリーは、別個のIgH鎖を発現するリンパ球の数と実質的に等しい多数の別個のヌクレオチド配列を含む。さらなる別の態様において、「実質的に等しい」とは、ヌクレオチド配列のレパートリーが、ある個体のある集団の、0.001パーセントまたはそれ以上の頻度で存在するすべてのリンパ球によって保有または発現されるIgHまたはその一部分をコードするヌクレオチド配列を、99パーセントの確率で含むことを意味する。さらなる別の態様において、「実質的に等しい」とは、ヌクレオチド配列のレパートリーが、0.0001パーセントまたはそれ以上の頻度で存在するすべてのリンパ球によって保有または発現されるIgHまたはその一部分をコードするヌクレオチド配列を、99パーセントの確率で含むことを意味する。前述の2文に記載されるクロノタイプのセットは、本明細書において、IgH配列の「完全なレパートリー」を表現すると見なされる場合がある。上記のように、クロノタイププロファイル(またはレパートリープロファイル)を測定または生成する場合には、そのようなプロファイルが、特定の適用に対してレパートリーのかなり正確な表現を提供するように、十分に多量のリンパ球の試料を得る。1つの局面において、特に1〜10 mLの末梢血試料から得られる場合、105〜107個のリンパ球を含む試料が用いられる。
「配列リード」とは、配列決定技法によって生成された一連のデータまたはデータストリームから決定されたヌクレオチドの配列を意味し、この決定は、例えば、この技法と関連した塩基コーリングソフトウェア、例えばDNA配列決定プラットフォームの商業的供給業者からの塩基コーリングソフトウェアを用いてなされる。配列リードは通常、配列内の各ヌクレオチドに関する品質スコアを含む。典型的には、配列リードは、例えばDNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼを用いて、鋳型核酸に沿ってプライマーを伸長させることによって作られる。データは、このような伸長に付随する光学的、化学的(例えば、pH変化)、または電気的シグナルなどのシグナルを記録することによって生成される。このような初期データが配列リードに変換される。

Claims (10)

  1. 以下の工程を含む、個体における免疫活性化を検出する方法:
    個体のリンパ球から核酸の試料を得る工程であって、該試料が、B細胞受容体のC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を各々含む組換え配列を含む、工程;
    該組換え配列からアンプリコンを生成する工程であって、該アンプリコンの各配列がC遺伝子セグメントの一部分を含む、工程;
    クロノタイプのプロファイルを生成するために、該アンプリコンを配列決定する工程であって、各クロノタイプが、B細胞受容体のVDJ領域の少なくとも一部分およびC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を含む、工程;ならびに
    該プロファイルにおいて、同一のVDJ領域を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルを決定する工程。
  2. C遺伝子セグメントが、B細胞受容体のIgH鎖をコードするヌクレオチド配列に由来する、請求項1に記載の方法。
  3. クロノタイプのプロファイルが、少なくとも104種のクロノタイプを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 同一のVDJ領域を有しかつ異なるCセグメントを有するクロノタイプの前記レベルを、前記個体における免疫活性化と相関させる工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記レベルが参照範囲の上限を上回る場合に、前記レベルは免疫活性化と相関がある、請求項4に記載の方法。
  6. 参照範囲が集団平均に基づいている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記個体のリンパ球が前記個体の末梢血から得られる、請求項1に記載の方法。
  8. 以下の工程を含む、個体における免疫活性化を検出する方法:
    個体のリンパ球から核酸の試料を得る工程であって、該試料が、B細胞受容体のC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を各々含む組換え配列を含む、工程;
    アンプリコンを形成するために、C遺伝子セグメントに特異的なプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応において、該組換え配列を増幅する工程;
    クロノタイププロファイルを生成するために、該アンプリコンを配列決定する工程であって、各クロノタイプが、B細胞受容体のVDJ領域の少なくとも一部分およびC遺伝子セグメントの少なくとも一部分を含む、工程;
    該クロノタイププロファイルにおいて、同一のVDJ領域を有しかつ異なるC遺伝子セグメントを有するクロノタイプのレベルを決定する工程;ならびに
    そのようなレベルが参照範囲の上限を上回る場合に、そのようなレベルを該個体における免疫活性化と相関させる工程。
  9. C遺伝子セグメントが、B細胞受容体のIgH鎖をコードするヌクレオチド配列に由来する、請求項8に記載の方法。
  10. クロノタイプのプロファイルが、少なくとも104種のクロノタイプを含む、請求項8に記載の方法。
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