JP2015223109A - 超音波照射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波が照射される生物組織用容器において、定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきを低減させる。【解決手段】超音波照射装置10は、容器内の生物試料に対する超音波を発生する超音波発生器20を有する。駆動信号供給部14は、超音波発生部12を駆動するための駆動信号の初期位相をランダムに変化させる。したがって、超音波発生部12から放射される超音波の初期位相がランダムに変化する。これにより、容器内の培地に生じる定在波の発生状態が時間的に変化するので、定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきが低減される。【選択図】図2

Description

本発明は、超音波照射装置に関する。特に、容器に入れられた生物試料に対して超音波を照射する超音波照射装置に関する。
生体細胞、細菌、ウィルスなどの生物試料に対して超音波を照射すると、生物試料が増殖あるいは死滅するなどの生物反応があることが知られている。生物試料への超音波の照射は、生物組織の培養または死滅などの研究の目的で行われる場合もあるが、麹や酵母などの菌の培養(生産)のために行われる場合もある。
生物試料への超音波の照射は、シャーレ等の容器に入れられた生物試料に対して行われる。容器内部に培地(寒天培地等)を設け、例えば、その表面上に生物試料を付着させるのが一般的である。培地としては液体培地も知られており、その場合には、例えば、液体培地内に生物組織が埋設される。そのような生物試料に対して超音波発生器からの超音波が照射される。
例えば、特許文献1には、シャーレ内の液体培地に埋設された培養細胞に対し、超音波発生器が発生した超音波を照射することが記載されている。また、特許文献2にも、培養皿に入れられた培養細胞に対し、超音波トランスデューサからの超音波を照射させることが記載されている。
特開2005−80606号公報 特開2005−160340号公報
ところで、周波数および速さが同じであって、進行方向が互いに逆向きの波が干渉すると、定在波と呼ばれる波が生じる。図1に、定在波の発生メカニズムを模式的に示す。図1において、横軸は距離を示し、縦軸は波の振幅を表す。波1は、図1の左から右へ進行する波である。波2は、波1と同じ周波数および速さが同じであり(なお振幅も同じである)、図1の右から左へ進行する波である。波1と波2との干渉が生じると、図1の波1+波2(定在波)において実線で示されるような定在波が生じる。点線で示された波は、他の時刻における定在波の波形である。すなわち、定在波は、波の進行があたかも止まっているように観測される波である。典型的な定在波においては、ある場所においては振幅が最大となり、振動が繰り返し行われ(この位置を腹という)、ある場所においては振幅が最小(あるいは0)となる(この位置を節という)。図1においては、X1で示された位置が腹であり、X2で示された位置が節である。
シャーレ等の容器に対して超音波を照射すると、培地内、培地表面上、あるいは容器それ自体において定在波が生じる。定在波発生のメカニズムの一例を以下に説明する。例えば、容器の下面から照射された超音波(入射波)は、容器内の培地に伝搬し培地の表面で反射する。培地の表面は、培地と空気との界面であり、両者の音響インピーダンスの差が非常に大きいため、超音波はほぼ全反射される。したがって、反射波は入射波と周波数および速さがほぼ同じであって、進行方向が逆方向の波となる。そして、入射波と反射波が干渉することで培地内において定在波が生じる。また、固体中では、音波は縦波と横波の両方が伝わるため、例えば容器の下面に照射された超音波が培地表面に到達すると、培地表面に沿った方向へ進行する横波(表面波)が発生する。その横波が例えば容器の内側面で反射し反射波となる。そして、横波とその反射波とが定在波を生じさせる。同様に超音波は容器表面においても横波を生じ、当該横波とその反射波が干渉することで容器それ自体において定在波を生じる。なお、横波、反射波、および定在波も超音波である。
容器において定在波が生じると、定在波の腹の位置においては定在波の振幅が最大となるため超音波強度が相対的に大きくなり、また定在波の節の位置においては定在波の振幅が最小となるため超音波強度が相対的に小さくなる。このように、定在波が発生することで、容器内の位置によって超音波強度の位置的なばらつきが生じてしまう。
容器の各位置において超音波強度が異なっていたのでは、例えば研究等において、シャーレ等の位置により異なる超音波照射条件となってしまい正確な測定結果を得ることが難しくなる。また、菌や酵母の培養を行う場合にも、菌等を一様に培養することが難しくなるなどの不具合が生じる。
本発明の目的は、超音波が照射される容器において、定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきを低減させる超音波照射装置を実現することにある。
本発明に係る超音波照射装置は、容器に入れられた生物試料に対して超音波を照射する超音波照射装置であって、前記超音波を発生する超音波発生器を含む超音波発生部と、前記超音波発生器を駆動して前記超音波を発生させるための駆動信号を前記超音波発生器に供給する駆動信号供給部であって、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に繰り返し変化させて、前記容器において発生する定在波の発生状態を変化させる駆動信号供給部と、を備える。
上記構成によれば、超音波発生器に駆動信号供給部からの駆動信号が供給され、超音波発生器において駆動信号に応じた周波数および位相の超音波を発生させる。超音波発生器で発生した超音波は、生物試料が入れられた容器に照射される。超音波が容器に照射されると、上述のように横波とその反射波が生じ、これらが干渉することで容器において定在波が生じる。
定在波の発生状態は、干渉する超音波の周波数および位相の少なくとも一方を変えることによって変化させることができる。干渉する超音波の位相関係(干渉する超音波の位相の差異)あるいは周波数の差異に応じて、生じる定在波の発生状態が変わることになる。例えば、第1の初期位相同士の超音波が干渉して生じた定在波の腹および節の位置と、第1の初期位相と第2の初期位相の超音波が干渉して生じた定在波の腹および節の位置は異なる。周波数についても同様である。
上記構成においては、駆動信号供給部が超音波発生器を駆動する駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を変化させることで、超音波発生器が放射する超音波の周波数および位相の少なくとも一方を変化させる。これにより、例えば、第1の初期位相で放射した超音波により生じた横波の反射波(これも第1の初期位相を有する)と、第2の初期位相で放射した超音波により生じた横波(これも第2の初期位相を有する)とを干渉させることができる。上述の通り、第1の初期位相の反射波と横波が干渉して生じた定在波の腹および節の位置と、第1の初期位相の反射波と第2の初期位相を有する横波とが干渉して生じた定在波の腹および節の位置とは異なるため、駆動信号供給部が駆動信号の初期位相を変化させることで、容器において発生する定在波の腹および節の位置を変化させることができる。定在波の腹および節の位置を変化させることで、定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきを低減させる。
超音波が容器に照射されることで生じる縦波や横波は、容器の様々な面と空気との界面において反射する。その結果、複数の反射波を生じる。そして、容器においては、縦波や横波とそれらの反射波が干渉するのみならず、複数の反射波同士も複雑に干渉しあって定在波を生じさせている。したがって、定在波の発生状態を正確に把握し制御することは難しい。例えば、所定の位置において定在波の腹と節が交互に生じるように設定するなどという制御を行うことは非常に難しい。そこで、駆動信号供給部が駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に繰り返し変化させることで、超音波発生器が発生する超音波の周波数および位相の少なくとも一方を繰り返し変化させて、容器において発生している定在波の発生状態を繰り返し変化させる。定在波の発生状態を繰り返し変化させることで、定在波が所定の位置に留まることを防ぎ、これにより定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきを低減させる。また、定在波の発生状態をより変化させるために、超音波発生器が発生する超音波の周波数および位相の両方を同時に時間的に繰り返し変化させるのも好ましい。
望ましくは、前記駆動信号供給部は、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を変化させる毎に、前記駆動信号の周波数および位相の変化量を変化させる。また、望ましくは、前記駆動信号供給部は、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方の値を不規則に変化させる。
例えば、駆動信号の初期位相を0度とπとの間での交互に変化させるとすると、初期位相が0度同士(あるいはπ同士)の反射波が干渉して生じる定在波と、初期位相が0度の反射波と初期位相がπの反射波が干渉して生じる定在波の2パターンの定在波しか得られないことになる。これによってもある程度の超音波強度の偏りを解消させることができるが、より定在波の発生状況を変化させるため(定在波の発生パターンを増やすために)位相シフト量をシフト毎に変化させるのが好ましい。これにより、干渉する超音波の位相関係のパターンが増え、すなわち定在波の発生パターンが増え、より好適に超音波強度の偏りを低減できる。また、駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方の値をランダムに変化させることで、定在波の発生パターンをさらに増やすことが可能となる。
望ましくは、前記超音波発生部は、前記容器の下面が接触する超音波放射面を有し、前記超音波発生部は、前記超音波放射面の面方向に並んだ複数の超音波発生器を含み、前記駆動信号供給部は、前記複数の超音波発生器に対して複数の駆動信号を供給し、前記複数の駆動信号のうち少なくとも1つ前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に変化させる。
複数の超音波発生器が設けられている場合には、1つの超音波発生器が放射した超音波により生じた横波と他の超音波発生器が放射した超音波により生じた横波とが干渉することでも定在波が生じる。駆動信号供給部が複数の超音波発生器に対して複数の駆動信号を供給する。異なる超音波発生器が放射した超音波による横波同士の干渉によって生じた定在波の発生状態を変化させるため、駆動信号供給部は、少なくとも1つの駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に変化させる。これにより、例えば、1つの超音波発生器が放射した超音波による横波と他の超音波発生器が放射した超音波による横波との位相関係を変化させ、定在波の発生状態を変化させる。
望ましくは、複数の前記超音波発生器は、前記超音波放射面の面方向において分散配置され、各前記超音波発生器は、配置された位置に応じた強度の前記超音波を発生する。
超音波放射面において分散配置された超音波発生器は、その位置によって、同じ振幅の駆動信号により発生する超音波の強度が異なる場合がある。例えば、超音波放射面の端部に位置する超音波発生器においては、超音波放射面を固定する枠などの影響により、超音波照射面の中央部に位置する超音波発生器に比べ振動しにくくなり、同じ振幅の駆動信号によっても発生する超音波の強度が相対的に小さくなる場合がある。これにより、容器内において超音波強度の位置的な偏りが生じる。
また、例えば、平面視において外形が円形のシャーレなどにおいては、超音波が照射されることで励振されたシャーレの側面からも超音波がシャーレの中央に向かって伝搬する。これにより、シャーレ中央に音響エネルギーが集中し、シャーレ内において生じる定在波の振幅は、シャーレ中央部において相対的に大きくなる。これによっても、容器内において超音波強度の位置的な偏りが生じる。
超音波発生器が超音波放射面の面方向において分散配置され、各超音波発生器が生じる超音波の強度をその位置に応じた値とすることで、上述のように容器内において生じる超音波強度の偏りを低減させる。
望ましくは、前記超音波発生部が有する超音波照射面と前記容器とを密着させた状態を保持する保持機構、をさらに備える。これにより、超音波照射面と容器下面との間に生じる空気層などをできるだけ排して、またそれらの機械音響的な結合を良好にして、超音波の伝搬損失を低減でき、つまり超音波の伝搬効率を高められる。2つの面の間に音響ゼリー等を塗布するのが望ましい。容器が皿と蓋とで構成される場合、上記構成によれば、蓋と皿の密着性、一体性も高められる。例えば、容器を含むアセンブリの全体を転倒させた状態で超音波照射を行うことも可能である。
本発明によれば、超音波が照射される容器における定在波の影響による超音波強度の位置的なばらつきを低減させることができる。
定在波が生じるメカニズムを示す図である。 本実施形態に係る超音波照射装置の構成概略図である。 複数の超音波発生器を備えた超音波照射装置の構成概略図である。 超音波発生部および容器の斜視図である。 超音波発生部の断面図である。 超音波発生部の他の例および容器の斜視図である。 容器内に定在波が生じる様子を示す模式図である。 駆動信号の位相が変化する様子を示す図である。 容器における定在波の位置が変化する様子を示す模式図である。 容器内の中央部において強度が高い定在波が生じる様子を示す模式図である。 超音波発生器のグループ分けを示す図である。 他の例の超音波発生器のグループ分けを示す図である。 保持機構を示す斜視図である。
以下、本実施形態に係る超音波照射装置について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図2は、本実施形態に係る超音波照射装置の構成概略図である。超音波照射装置10は、超音波を発生する超音波発生器20を含む超音波発生部12と、超音波発生器20に対して駆動信号を供給する駆動信号供給部14と、駆動信号供給部14の制御を行う制御部16と、を含んで構成されている。超音波発生部12と駆動信号供給部14は、別体となっており両者がケーブルなどで接続されていてもよく、両者が一体となっていてもよい。超音波発生器20が発生した超音波は、容器18に入れられた培地表面上の生体細胞、菌類、あるいはウィルスなどの生物試料に対して照射される。超音波照射装置10は、超音波が照射された生物試料の生物反応の調査などの研究目的で使用される他、麹や酵母などの菌を培養する目的などにも使用される。
超音波発生部12が有する超音波発生器20は、電圧を加えると歪みを生じる圧電素子である。他の音響変換素子が利用されてもよい。超音波発生器20は、駆動信号供給部14から供給される電圧信号である駆動信号により超音波を発生する。超音波発生器が発生する超音波の周波数および位相は、駆動信号の周波数および位相に応じたものになる。
駆動信号供給部14は、駆動信号を発生する発信器22、駆動信号の位相シフトまたは周波数シフトを行うランダム分周器24、および駆動信号の振幅を増幅させる増幅器26を含んで構成されている。
発信器22は、超音波発生器20を駆動するための駆動信号を発生する。発信器22は、連続波としての駆動信号を生成するものであり、その際、制御部16からの信号をトリガとして駆動信号を発生する。駆動信号は、所定の周波数、振幅および初期位相を有する正弦波パルス波、方形波あるいはバースト波などの電圧信号である。
ランダム分周器24は、制御部16からの信号をトリガとして駆動信号の位相シフトを行う。位相シフトとは、本来連続的に変化する位相をトリガタイミングで不連続に変化させる処理である。例えば、駆動信号が初期位相を0度とπとの間で交互に切り替わるようにするなど、所定の初期位相を交互に取るように位相シフトさせる。あるいは、位相シフト毎にシフトされる位相量を変化させるのも好ましい。さらに好ましくは、シフト量をランダムに変化させる。また、制御部16からの指示に応じて位相シフト量を変更可能としてもよい。駆動信号の位相シフトについては、図8を用いて後述する。
また、ランダム分周器24は、発信器22が発生した駆動信号の周波数シフトを行う。周波数シフトも位相シフトと同様に、制御部16からの信号をトリガとして行う。周波数シフトも、所定の周波数を交互に取るようシフトさせてもよく、シフト毎に異なる周波数にシフトさせてもよく、またランダムに周波数をシフトさせてもよい。また、制御部16からの指示に応じた周波数にシフトするようにしてもよい。
増幅器26は、発信器22が発生した駆動信号の振幅を増幅させる。
制御部16は、発信器22、およびランダム分周器24に対して、これらを制御する信号を送信する。発信器22に対しては、駆動信号の発信を開始させるトリガとなる信号を送信する。ランダム分周器24に対しては、位相シフトまたは周波数変換を行うタイミングを指示する切替タイミング信号を送信する。位相シフトまたは周波数変換を行うタイミングは、所定の時間間隔において行うようにしてもよいが、切替タイミングの間隔をそれぞれ変化させる、あるいは切替タイミングの間隔をランダムに設定してもよい。また、切替タイミング信号とともに、位相シフト量または変換後の周波数を指示する信号を送信するようにしてもよい。
以上説明した通り、ランダム分周器24に対して制御部16から切替タイミング信号が送信され、超音波発生器20に供給される駆動信号が位相シフトまたは周波数変換される。これにより、切替タイミング信号の送信前後において、超音波発生器20が放射する超音波の位相または周波数が変化することになる。これにより、定在波の発生状態を変化させる。定在波の発生状態の変化については、図7−図9を用いて後述する。
図3は、超音波発生部が複数の超音波発生器を備えた超音波照射装置10aの構成概略図である。図3に示される各部の単体としての主な機能は図2の各部と同様であるため、それらの説明を省略する。図3の例においても、別体となっており両者がケーブルなどで接続されていてもよく、両者が一体となっていてもよい。図3に示される通り、超音波発生部12aは、7つの超音波発生器20a〜g(20c〜fは図示省略)を備えているが、超音波発生器の数は他の数であってもよい。
超音波発生器が複数設けられたことに応じて、駆動信号供給部14aは、発信器、ランダム分周器、および増幅器をそれぞれ2つ有している。発信器、ランダム分周器、および増幅器は1つのセットとなっており、駆動信号供給部14aは、当該セットを2つ有していることになる。
本実施形態では、超音波発生部12aが有する複数の超音波発生器は、2つのグループに分けられている。第1のグループ(グループA)には超音波発生器20b〜gが属し、第2のグループ(グループB)には超音波発生器20aが属している。発信器、ランダム分周器、および増幅器の1つのセットは、超音波発生器の各グループに対応するものである。図示の例では、発信器22a、ランダム分周器24a、および増幅器26aのセットは、超音波発生器20a(グループB)に対応しており、グループBに対して駆動信号を供給する。発信器22b、ランダム分周器24b、および増幅器26bのセットは、6つの超音波発生器20b〜g(グループA)に対応しており、グループAに対して駆動信号を供給する。これにより、グループ毎に、位相シフトまたは周波数の切替タイミングあるいはこれらの変化量を変更させたり、駆動信号の振幅を変更させたりすることが可能となる。さらには、1つ1つの超音波発生器毎に、位相シフトまたは周波数の切替タイミング、これらの変化量、あるいは駆動信号の振幅を個別に設定できるのが好適である。
超音波発生器のグループの数、あるいは1つのグループに属する超音波発生器の数は適宜設定することができる。超音波発生器のグループ分けについては、図11および図12を用いて後述する。
図4は、超音波発生部12aおよび容器18aの斜視図である。本実施形態では、超音波発生部12aは、平面視において円形の超音波照射面30aを有している。円形の超音波照射面30aの外周に沿って枠32aが設けられ、超音波照射面30aは枠32aに固定される。枠32aは、剛性をもった部材で形成されており、例えばベーク材などの樹脂で形成される。図4においては、枠32aの上面と超音波照射面30aとが面一となっているが、枠32aの上面において超音波照射面30aを取り囲むような段差あるいは凸部などの容器保持機構を設け、容器下面を保持し、容器18aの位置ずれを防ぐようにしてもよい。
7つの超音波発生器20a〜gは、超音波照射面30aの面方向に分散配置されている。具体的には、図4に示されるよう、超音波照射面30aの中央部に超音波発生器20aが配置され、残りの6つの超音波発生器20b〜gは、超音波照射面30aの周方向に並べられる。本実施形態では、複数の超音波発生器が対称的に配置されているが、必ずしも対称的に配置される必要はない。超音波発生器20a〜g間の隙間部分には、エポキシ系の接着剤34が充填される。
枠32aの側面からはケーブル36aが引き出される。ケーブル36aは超音波発生器12aと駆動信号供給部とを電気的に接続するものである。駆動信号供給部からの駆動信号は、ケーブル36aを介して超音波発生器12aに供給される。
容器18aは平面視で円形のシャーレであり、皿部40および蓋部42から構成されている。皿部40および蓋部42は、ガラスあるいはプラスチックなどで形成される。皿部40には培地44が載置されており、培地44表面上に生物試料が存在している。容器18aは、超音波照射面30aに対して位置合わせされ、下面が超音波照射面30aと密着するよう設置される。容器18aと超音波照射面30aとの間に隙間ができないよう、容器18aと超音波照射面30aとの間にエコーゼリーを塗布するのが好適である。容器18aと超音波照射面30aとが密着された状態で、超音波発生器20a〜gから容器18a内の生物試料に対して超音波が照射される。
図5は、超音波発生部12aの端から中央部にかけての垂直断面図である。図5には、複数の超音波発生器のうち、超音波発生器20aおよび20cが示されている。上述の通り、超音波発生器20aおよび20cは分散配置されており、各超音波発生器の間には接着剤34が充填されている。図示は省略されているが、各超音波発生器には駆動電圧を供給するための線材が電気的に接続されている。当該線材は、図4に示したケーブル36aに電気的に接続される。
超音波発生器の上側には、音響整合層60が設けられる。音響整合層は、容器表面における超音波の反射量を低減させるため、容器との間で音響インピーダンスの整合を取るために設けられる。音響整合層60の上面が超音波照射面30aを構成する。音響整合層は、容器の音響インピーダンスと超音波発生器の音響インピーダンスの中間の値となるインピーダンスを有する材料で構成するのが望ましい。例えば、ガラスまたは樹脂により構成される。それを透明体で構成すれば、振動子配列を外部から視認することができる。また、超音波発生器の下側には、背面超音波を反射して前方に放射させるためのバッキング材62が設けられる。バッキング材62の下側には、超音波照射面30aの外周に沿って設けられる枠32aと一体となっている下部保護層64が設けられる。下部保護層64は枠32aと同材料の樹脂(ベーク材など)で形成されてよい。
図6は、超音波発生部の他の例を示す斜視図である。図6に示される平面視において矩形の超音波発生部12bは、平面視において矩形の容器18b、例えばマイクロウェルプレートの個々のウェル46に入れられた生物試料に対して超音波を照射する場合に好適に用いられる。
矩形の超音波発生器12bの基本的な構成は、図4および図5で示した円形の超音波発生器12aと同様である。超音波発生器12bは、24個の超音波発生器からなる超音波発生器群20mを有している。超音波発生器群20mに含まれる超音波発生器は、4行6列に配置されている。各超音波発生器の間には接着剤34が充填されている。超音波照射面30bも矩形であり、超音波照射面30bの外周に沿って矩形の枠32bが設けられる。枠32bもベーク材などの樹脂で形成される。枠32bの上面には、段差38が設けられている。これは、容器18bに設けられる脚部あるいは溝などと協働して容器18bが超音波照射面30bの位置ずれを防止する容器保持機構である。枠32bの側面からはケーブル36bが引き出される。ケーブル36bは、超音波発生器と駆動信号供給部とを電気的に接続するものである。
容器18bは平面視で矩形のマイクロウェルプレートであり、アクリル樹脂やガラスなどで形成されたプレートに複数の凹部(ウェル46)が設けられたものである。ウェル46の中に培地48を入れ培地内に生物試料を含ませる。あるいはウェル46の中に直接生物試料が入れられる場合もある。容器18bも、超音波照射面30bに対して位置合わせされ、下面が超音波照射面30bと密着するよう設置される。容器18bと超音波照射面30bとが密着された状態で、超音波発生器群20mから容器18b内の生物試料に対して超音波が照射される。
図7は、容器12a内の培地に超音波が照射されることで、試料が付着している培地表面上において定在波が生じる様子の示す模式図である。図7は、超音波発生部12aの平面図であり、容器18aの図示は省略されている。
まず、超音波発生器が1つのみの場合を考える。図7において、超音波発生器20aのみが設けられているとする。この場合、超音波発生器20aが放射した超音波が容器18aの下部に照射される。培地に到達した超音波は、培地表面沿って進む横波を生じる。ここでは、横波のみを考える。
図7には、横波70が示されている。平面視で見ると、横波70は、超音波発生器20aの直上位置を中心として円状に広がっていく。もっとも、正確には、超音波発生器20の放射面から球面波として超音波が伝搬していくので、培地表面上にその超音波が到達した各地点が音源となる。横波70を示す円は、横波の1つの山(振幅が最大となる点)を示すものであり、実際には容器12aの中央から外側へ向けて連続して波が広がっている。横波70は、容器18aの内周面において反射する。その結果、容器18aの外周から中央へ向かう波である反射波72を生じる。
反射波72は、周波数および速さが横波70とほぼ同じとなる。また、反射波72の進行方向は、横波70とは逆方向となっている。したがって、横波70と反射波72が干渉することで、容器18aにおいて定在波が生じることになる。図7には、x軸方向において生じる定在波80の模式的な波形が示されている。定在波80はあたかも波が進行せずその場で留まるように観測される波である。したがって、例えば、定在波80の腹の位置82において定在波は最大振幅で振動し、定在波80の節の位置84においては全く振動が最小となる。このようにして、容器18a内において超音波強度の位置的なばらつきが生じる。
本実施形態では、定在波の発生状況を変化させるために、超音波発生器が放射する超音波の位相を時間的に変化させる。図8は、駆動信号の位相が変化する様子を示す図である。図2を参照しながら図8を説明する。図8(a)および(b)において、上段のグラフは、横軸が時間を表し、縦軸は駆動信号の初期位相を表している。上段のグラフに示される波形は、駆動信号の初期位相の切り替わりを示すものである。下段のグラフは、横軸が時間を表し、縦軸は電圧を表している。下段のグラフに示される波形は、駆動信号の波形である。
図8(a)に示された例においては、初期位相が0度であった駆動信号が、ランダム分周器24により時刻t1において+π(180度)位相シフトされている。同様に、時刻t2において−π(−180度)位相シフトされ(初期位相が0度に戻り)、時刻t3において再度+π(180度)位相シフトされている。上述の通り、位相シフトを行うタイミング(t1、t2、およびt3)は、ランダム分周器24が制御部16から切替タイミング信号を受けたタイミングとなる。図8(a)に示す例では、位相シフトを行うタイミング間隔はランダムとなっている。図8(a)の例においては、ランダム分周器24が切替タイミング信号を受ける毎に、位相を+π、−πと交互にシフトさせている。
図9は、容器18aにおける定在波80の位置が変化する様子を示す模式図である。図8(a)および図9を参照しながら定在波の位置が変化する様子を説明する。超音波発生器20aから初期位相0度の超音波が照射され、当該超音波による横波と、その反射波が干渉して定在波80が生じている場合を考える。横波と反射波はいずれも初期位相が0度の波となるため、定在波80は初期位相が0度の波同士が干渉して生じたものである。この状態において、時刻t1で駆動信号の初期位相が+π位相シフトされると、超音波発生器20aが放射する超音波の位相も+πシフトされ、それにより生じる横波90の位相も+πシフトされたものになる。
ここで、反射波92は時刻t1直前に放射された超音波による横波の反射波とする。そうすると、初期位相がπの横波90と初期位相が0度の反射波92とが干渉して定在波を生じさせることになる。上述の通り、干渉する波の位相関係が異なると定在波の発生状態が変化するので、初期位相がπの横波90と初期位相が0度の反射波92とが干渉して生じた定在波96の腹(節)の位置は、定在波80の腹(節)の位置とは異なる位置になる。このように、駆動信号の位相をシフトさせることで、定在波の発生状態を変化させることができる。駆動信号の位相シフトを繰り返し行い、定在波の発生状態を繰り返し変化させることで、容器内の超音波強度の位置的なばらつきを低減させる。特に、超音波の照射が生物試料に影響を及ぼす時間に対して定在波の発生状態が変化する時間間隔を十分に短くすると、その期間における容器内の超音波強度をほぼ一様とすることができる。
次に、超音波発生器が複数設けられた場合を考える。図7に示されるように、超音波発生器20aから放射された超音波が容器18aにおいて横波70を生じさせたように、他の超音波発生器、例えば超音波発生器20cから放射された超音波も容器18aにおいて横波74を生じさせる。横波74は、横波70と同様に容器18aの内周面において反射した反射波と干渉して定在波を発生させるとともに、超音波発生器20aが生じさせた横波70とも干渉して定在波を発生させる。
超音波発生器が複数設けられた場合には、各超音波発生器が放射する超音波の位相関係を変化させることで、定在波の発生状況を変化させることができる。各超音波発生器が放射する超音波の位相関係を変化させるには、少なくとも1つの超音波発生器が放射する超音波の位相を変化させればよい。図9において、超音波発生器20cが放射する超音波の位相を全く変化させなくても、超音波発生器20aが放射する超音波の位相を上述のように変化させることで、超音波発生器20aが放射する超音波により生じる横波90と超音波発生器20cが放射する超音波により生じる横波94との位相関係を変化させることができる。これにより、これらの横波あるいはその反射波が干渉することにより生じる定在波の発生状態を変化させることができる。もちろん、定在波の発生状態をより変化させるために、超音波発生器20cが放射する超音波の位相もシフトさせるようにしてもよい。このとき、超音波発生器20aと20cとが放射する超音波の初期位相を異なるものとし、かつこの位相差を所定時間毎あるいはランダムな時間毎に変化させるのが好適である。また、両者の位相シフトのタイミングをそれぞれ異なるタイミングとするのも好適である。上述のように超音波発生器が複数のグループに分けられている場合には、グループ毎に位相差を持たせ、かつこの位相差を時間毎に変化させてもよい。
位相シフトの量あるいは位相シフトのタイミングは、図8(a)に示したものに限られない。例えば、図8(b)に示すように、位相シフト量を+2/3π(+120度)、−4/3π(−240度)などに設定してもよい。図8(a)に示されたように、駆動信号の位相シフトを初期位相0度と初期位相πとの間での切替のみとすると、初期位相が0度同士(あるいはπ同士)の超音波が干渉して生じる定在波と、初期位相が0度の超音波と初期位相がπの超音波が干渉して生じる定在波の2パターンの定在波しか得られないことになる。これによってもある程度の超音波強度の偏りを解消させることができるが、より定在波の発生状況を変化させるため(定在波の発生パターンを増やすために)位相シフト量をシフト毎に変化させるのが好ましい。これにより、干渉する超音波の位相関係のパターンが増え、すなわち定在波の発生パターンが増え、より好適に超音波強度の偏りを低減できる。シフト量をランダムに変更させるのがより好ましい。定在波の発生状態をより変化させるために位相シフト量はランダムに決定されるのが好適である。
上記の説明においては、横波同士が干渉して定在波が生じた例について説明したが、縦波同士が干渉した場合においても定在波が生じる。縦波同士が干渉して生じた定在波についても、上記同様に超音波照射器から放射する超音波の位相を変化させることで、その発生状態を変化させることができる。
また、図7−図9においては、平面視で円形の容器18aにおいて発生する定在波を例に説明したが、平面視で矩形の容器18bにおいても同様のメカニズムで定在波が生じる。そして、上記と同様に超音波発生器から放射する超音波の位相を変化させることで、容器18bにおいて生じた定在波の発生状態を変化させることができる。
さらに、上記説明においては、駆動信号の位相をシフトする例を説明したが、位相に代えて、あるいは位相に加えて、同様に駆動信号の周波数をシフトさせるようにしても、定在波の発生状態を変化させることができる。
容器内において、上述のような定在波による超音波強度のばらつきの他に、容器内の1点から他の点に対して超音波強度が徐々に変化するような、超音波強度の大局的な偏りが生じる場合がある。例えば、超音波発生器が設けられた位置によって、超音波発生器の圧電素子の振動のしやすさが異なる場合がある。例えば、図4を参照すると、超音波照射面の固定端である枠32a近傍に配置された超音波発生器20b〜gは、枠32aにより振動が妨げられ、超音波照射面中央に設けられた超音波発生器20aよりも振動しづらくなる場合がある。この場合、超音波発生器20a〜gに同じ振幅の駆動信号を供給したとしても、超音波発生器20aが放射する超音波の強度は、超音波発生器20b〜gが放射する超音波の強度よりも大きくなる。
また、定在波の振幅が容器内の位置によって異なる場合もある。図10は、容器内の中央部において強度が高い定在波100が生じる様子を示す模式図である。図10に示されるとおり、定在波の超音波強度が容器18aの位置によって偏る場合がある。図10の例では、容器18aの中央部において定在波の振幅が相対的に大きくなっている。これは、励振された容器18aの側面からも超音波が容器18aの中央に向かって伝搬することで、中央にエネルギーが集中するためである。したがって、図10に示すように、容器18aの中央部において最も振幅が大きく(超音波強度が高く)、外周へ向かって徐々に振幅が小さくなる(超音波強度が小さくなる)ような定在波100が生じる。
上記のように、容器18aの1点から他の点に対して徐々に変化するような超音波強度の偏りを解消させるため、本実施形態においては、複数の超音波発生器が放射する超音波の強度をそれぞれ異なるものとしている。
図11は、超音波発生部12aにおける複数の超音波発生器20a〜gのグループ分けを示す図である。図3を参照しながら図11を説明する。超音波発生器のグループ分けは、超音波照射面内における位置に応じて行われる。図11に示されるよう、また上述したように、超音波照射面の中央に設けられた超音波発生器20aはグループBに属し、その他6つの超音波発生器20b〜gはグループAに属している。
各超音波発生器が放射する超音波の強度は、超音波発生器が配置された位置に応じて決定される。本実施形態においては、容器18aで生じる定在波の強度が中央部において高いため、容器18aの中央部に位置するグループBに属する超音波発生器が放射する超音波の強度が、容器18aの外周近傍に位置するグループAに属する超音波発生器が放射する超音波の強度よりも小さくなっている。
図3に示すよう、駆動信号供給部14aには、各グループに対応して発信器、ランダム分周器、および増幅器のセットが設けられる。図11本実施形態では、グループBに対応する増幅器26aの増幅量をグループAに対応する増幅器26bの増幅量よりも小さく設定している。これにより、グループBに供給される駆動信号の振幅は、グループAに供給さえる駆動信号の振幅よりも小さくなり、グループBに属する超音波発生器が放射する超音波強度は、グループAに属する超音波発生器が放射する超音波強度よりも小さくなる。これにより、容器18aにおいて生じる超音波強度の大局的な偏りを低減させている。
図12は、超音波発生部12bにおける超音波発生器群20mのグループ分けを示す図である。図12に示すよう、超音波発生器群20mに含まれる超音波発生器も、その位置に応じて4つのグループにグループ分けされている。すなわち、枠32bの4隅近傍に設けられた超音波発生器が属するグループA、主に枠32bの短辺に沿って設けられた超音波発生器が属するグループB、主に枠32bの長辺に沿って設けられた超音波発生器が属するグループC、および超音波照射面の中央部に設けられた超音波発生器が属するグループDに分けられている。
本実施形態では、グループが4つであり、各グループに属する超音波発生器の数が同じ(6個)となっているがグループの数、あるいはグループに属する超音波発生器の数は他のパターンであってもよい。また、本実施形態では、グループ分けが対称的(点対称に)行われているが、必ずしも対称的にグループ分けを行わなくてもよい。
各グループに対応するよう、駆動信号供給部において増幅器が4つ設けられ、各グループに供給する駆動信号の振幅をそれぞれ異なるものとしている。すなわち、グループAに対しての駆動信号の振幅を最も大きくし、グループB、グループC、グループDの順に駆動信号の振幅を小さくしていく。グループAは、枠32bの2辺に近接しているため最も振動しづらいため、グループAに対する駆動信号の振幅を最も大きくしている。グループBは、枠32bの短辺に沿って設けられているため、枠32bの長辺に沿って設けられているグループCに比してより振動しづらいと考えらえる。したがって、グループBに対する駆動信号の振幅をグループCに対する駆動信号の振幅よりも大きくしている。グループDについては、他のグループよりも枠32bから離れて位置しているため最も振動しやすいため、グループDに対する駆動信号の振幅を他のグループに対する駆動信号の振幅よりも小さくしている。これにより、容器18bにおいて生じる超音波強度の大局的な偏りを低減させる。
図13は、容器18aと超音波発生部12aの超音波照射面30aとを密着させた状態で保持する保持機構110を示す図である。保持機構110は、例えばゴムなどの弾性部材で形成されており、超音波発生部12aの下面および側面を押さえる座部112、超音波照射面30と密着させられた容器18aの上面を押さえるクランプ部114、および座部112とクランプ部を連結する連結部116を含んで構成されている。
座部112は、平面視で超音波発生部と同様の形状を有している。図13に示される保持機構110は、超音波発生部12aに対応するものであるため、保持機構110は平面視で円形となっている。図6に示した超音波発生部12bに対応する保持機構は、平面視で矩形となる。座部112は凹部を有しており、当該凹部に超音波発生部12aが嵌め込まれる。超音波発生部12aが座部112に嵌め込まれることにより、超音波発生部12aの下面および側面が座部112により支持される。超音波発生部12aの側面から引き出されるケーブル36aに干渉しないよう、座部112側面の一部が開いているのが好ましい。
クランプ部114は、下側に向かって付勢されており、当該付勢力によって容器の上面を押さえるものである。クランプ部114は、座部112の外周部から上側に向かって伸びる連結部116により支持される。連結部116が、上側に向かうにつれ内側にせり出すように伸びることでクランプ部114が下側に向かって付勢される。クランプ部114の下方への付勢力については他の方法により付されてもよい。例えば、連結部116を垂直上方に伸びるようにし、連結部116の弾性力(縮もうとする力)によって付勢されるものであってもよい。
本実施形態においては、クランプ部114は、平面視において座部112の中心に対して回転対称に3つ設けられているが、クランプ部114の数は3つに限られない。ただし、好適に容器18aを押さえるために少なくとも3つ以上であることが好ましい。
連結部116は、座部112とクランプ部114を連結するほか、容器18aの側面を支持する役割を果たす。
保持機構110により、超音波発生部12aの超音波照射面30aと容器18aとの下面とが密着した状態で保持される。これにより、超音波照射中に超音波照射面30aと容器18aとの位置関係がずれてしまうことを防ぐ。また、保持機構110により保持された状態で、容器18aおよび超音波発生部12aを逆さまにすることも可能である。これにより、容器18a内に水滴が発生した場合に培地に水滴が付着するのを防ぎつつ生物試料に対して超音波を照射することができる。
以上のように、本実施形態に係る超音波照射装置によれば、培地表面上などに定在波が生じてしまうことを前提としつつも、定在波の発生状態を時間的に順次変化させることが可能である。これにより、例えば、数時間から数日または数週間にもわたる照射期間の全体から見て、培地表面上における照射音圧を均一化できる。しかも、上記実施形態においては、超音波発生器の配列との関係で生じる音圧分布を重み付けによって改善または軽減することが可能である。上記実施形態において、生物試料に応じて照射超音波の周波数(中心周波数)を定めた上で、位相シフトを利用して、定在波発生状況を動的に変化させるようにしてもよい。照射条件を時間的に繰り返し変化させるモードと、照射条件を時間的に変化させないモードと、を設け、ユーザーにより、モードを選択させるようにしてもよい。超音波の照射により温度上昇が見込まれる場合には恒温槽、温度制御素子などを用いてもよい。上記実施形態においては、培地表面上の定在波(横波)について説明したが、上記実施形態によれば、それ以外の定在波についてもそれを時間的に変化させることが可能であるので、そのような定在波による問題も解消または軽減できる。更に、培地を利用せずに容器底面上に生物試料を付着させる場合、あるいは、液体培地等の中に生物試料を埋設するような場合においても、定在波による音圧の粗密の問題が生じるならば、上記構成を採用するのが望ましい。
10 超音波照射装置、12 超音波発生部、14 駆動信号供給部、16 制御部、18 容器、20 超音波発生器、22 発信器、24 ランダム分周器、26 増幅器、30a,30b 超音波照射面、32a,32b 枠、34 接着剤、36a,36b ケーブル、38 段差、40 皿部、42 蓋部、44,48 培地、46 ウェル、60 音響整合層、62 バッキング材、64 下部保護層、70,74,90,94 横波、72,92 反射波、80,96,100 定在波、110 保持機構、112 座部、114 クランプ部、116 連結部。

Claims (6)

  1. 容器に入れられた生物試料に対して超音波を照射する超音波照射装置であって、
    前記超音波を発生する超音波発生器を含む超音波発生部と、
    前記超音波発生器を駆動して前記超音波を発生させるための駆動信号を前記超音波発生器に供給する駆動信号供給部であって、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に繰り返し変化させて、前記容器において発生する定在波の発生状態を変化させる駆動信号供給部と、
    を備えることを特徴とする超音波照射装置。
  2. 前記駆動信号供給部は、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を変化させる毎に、前記駆動信号の周波数および位相の変化量を変化させる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の超音波照射装置。
  3. 前記駆動信号供給部は、前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方の値を不規則に変化させる、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の超音波照射装置。
  4. 前記超音波発生部は、前記容器の下面が接触する超音波放射面を有し、
    前記超音波発生部は、前記超音波放射面の面方向に並んだ複数の超音波発生器を含み、
    前記駆動信号供給部は、前記複数の超音波発生器に対して複数の駆動信号を供給し、前記複数の駆動信号のうち少なくとも1つ前記駆動信号の周波数および位相の少なくとも一方を時間的に変化させる、
    ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波照射装置。
  5. 前記複数の超音波発生器は、前記超音波放射面の面方向において分散配置され、
    前記各超音波発生器は、当該超音波発生器が配置された位置に応じた強度の超音波を発生する、
    ことを特徴とする、請求項4に記載の超音波照射装置。
  6. 前記超音波発生部が有する超音波照射面と前記容器とを密着させた状態を保持する保持機構、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波照射装置。
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