JP2015217325A - 気液分離効率の改善されたサイクロン式気液分離器 - Google Patents

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秀和 木原
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秀和 木原
吉雄 網本
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Abstract

【課題】簡易な構成で、流量および気液割合が経時的に大きく変化する気液多相流体を、安全にかつきわめて高い分離効率で気体と液体に分離することができる気液分離器を提供する。
【解決手段】気液分離器が平面視において、胴部20の内壁面と、内筒である出口配管22の外壁面とは同心円状となっており、気液多相流体の入口配管21は、平面視において前記胴部20の外壁面と接する方向に設けられ、入口配管21の管径は胴部20の内径と内筒である出口配管22の外径の差の二分の一あるいはより短く、少なくとも入口配管21の一方の側方は胴部10の外壁面と一致し、入口配管他方側面は出口配管22の外壁面より外側に位置している。前記出口配管の下部22aが広がり、前記胴部20の内壁面と前記出口配管22の広がった下部最端部の空隙距離が胴部20の内壁と出口配管22の外壁との空隙距離の10〜70%であることを特徴とする気液分離器。
【選択図】図4

Description

本発明は、小型で高性能の気液分離器に関し、特に、食品工場などから発生する高温の水、蒸気を含む排気ガスからなる気液多相流体を気体と液体に分離する気液分離器に関する。
食品工場の調理、処理機械から発生する流体は、高温の水蒸気以外に空気、臭気性のガスおよび空気と同伴する水を含む。さらに、たんぱく質や油脂の固体の異物を含むこともある。したがって、排気ガスを適切に後処理工程の脱臭、排水処理するためには、あらかじめ空気、水および固体成分を分離することが不可欠である。
排気ガスからの固形分を含む水分の分離には、食品業界では、サイクロン方式の気液分離器が使用されてきた。サイクロン方式の気液分離器は、気体と液体の流れに回転力を与えた場合に発生する両者の遠心力の差を利用して気液分離を行う機構であり、可動部分がなく長期に安定的に使用できる。
図1に一般的なサイクロン方式の気液分離器を示す。図1では、気液流体の入口配管11は垂直円筒形の胴部10に向かって直交あるいは下降傾斜して接続し、垂直円筒の接線方向に取付けられている。この構造が入口配管11に供給される気液多相流体に遠心力を与え、遠心力の大きい液体を内壁に沿わせて下降流を生み出して下部水槽13に誘導して取り出し、遠心力の小さい気体はサイクロン中央に集め出口配管12の下部12aに入り、さらに上昇し出口配管12上部12bより取り出すことを可能にする。これに加えて、入口配管11の下降傾斜は、多相流に相分離をもたらす効果があり、サイクロン本体の気液分離効果を高める。気液多相流体の流れと気液分離の状態を模式図として図2に示す。点線は気液多相流体の流れを示す。液滴は垂直円筒10の内壁に液化して下降し水封の機能を有する下部貯水槽13に流れる。
しかし必ずしも気液分離効率は高くなく、近年では 前記サイクロンの中空型の胴部の下部の外形をしぼったベンチュリー式吸引器を採用している。それにより気体出口配管の入り口付近での旋回流の流速が大きくなり気液効率は大きく向上した。
しかし上記のベンチュリー型吸引器の構造では流量、気液の成分比などにより気液分離効率が一定せず、都度、設計、製作する必要があり、その構造ともあいまって製造費用は高くなり、中小の食品工場では工場の操業に見合った気液分離器を入手できない場合が多かった。さらに上記のベンチュリー型サイクロン式の気液分離器においては、入口配管から胴部に導入された気液2相流体は、旋回流の段階では、主として胴部の周方向の速度成分を有しており、その後胴部の中心軸近傍に集合させられて出口配管の開口部から出口配管内へ流入される段階では、主として胴部の軸方向の速度成分を有している。従って、かかる胴部の周方向の速度成分から軸方向の速度成分へと流れの方向が急激に変化させられるとき、気液2相流体には、比較的大きな圧力損失が発生する。
上記の課題を解決するために、種々の発明が行われている。特許文献1においては、気液分離器を、気液分離前の気液2相流体が内部を旋回しながら通過可能な導入通路と、前記導入通路の気液2相流体の流出側開口に対して軸方向に所定距離離れて対向するように設けられて気液分離後の気相が通過可能な導出口と、前記導入通路の流出側開口を径方向に所定距離離れた外方から包囲する気液分離可能な外筒と、前記外筒に設けられて気液分離後の液相を排出可能な排出筒とを備える構成とした。これによれば、気液分離器内部に導入された気液2相流体は、その流れの方向が急激に変化させられることがなく、気液分離器内部にて発生する気液2相流体の圧力損失は前述したサイクロン式の気液分離器に比して小さいものとなる。しかしこの方式では圧力損失による流量減少は少ないが、分離器の構造が複雑で必ずしも気液分離効率は高くない。
特許文献2においては、ベンチュリー型胴部の下部より分離される水分の受水部を別装備で設け、気液分離後の気体と液体部分の分離効率を上げている。しかしこの方式では分離器の構造が複雑になり、かつ設備数が増え、全体システムが大きくなり製造費用が高くなる。
特許文献3においては、胴部の中心軸と同軸に配置した胴部と出口配管を有する気液分離器に胴部および出口配管中央軸に向かって鉛直に設置された入口配管より気液2相流体が導入される部分の側部および下部にガイド板を設置せしめることで旋回流を発生させる。
しかしこの構造では前記のベンチュリー型の課題を解決しておらず、必ずしも気液分離効率は高くない。
既に述べたように、特許文献1に開示されている気液分離器では、気液分離効率が向上せず、従来のサイクロン方式気液分離器よりも劣る。また、特許文献2及び特許文献3に開示されている気液分離器では、構造が複雑であり、気液多相流体の圧力損失も大きい。食品工場の操業はクッカーなどの運転が間欠的で排気ガスの量、成分ともに大きく変化する。上記の従来技術では必ずしもそのような排気ガスの変化に対応できず気液分離効率は期待ほど高くなく、また設備費用も多大であった。
製作の容易な簡易な構造でサイクロン式特長を生かし圧力損失を出来るだけ少くし気液分離効率を高める工夫を追求し、ベンチュリー型の胴部を有しない円筒形の胴部を有する旋回流方式の気液分離器において気体出口配管である内筒の下部が広がり、前記胴部の内壁と前記内筒の下部の広がり末端が接しないことを特徴とする本発明にいたった。
特開2003−190725号公報。 特開平6−47739号公報。 特開2011−183278号公報。
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の態様によれば、簡易な構成で、流量および気液割合が経時的に大きく変化する気液多相流体を、高温、高圧においても安全に、高い分離効率で気体と液体に分離することができる気液分離器を提供する。
請求項1の発明は気液多相流体を気体と液体とに分離する気液分離器であって、頂部、底部及びその間を連結する中空型の胴部を有する容器と、前記胴部の上部側面から気液多相流体を供給する入口配管と、上端が前記胴部の頂部に連結され下端が前記入口配管の下端よりも低い位置で開口した中空型の内筒であり前記頂部から気体を排出する気体出口配管と、前記胴部の底部から液体を排出し下部が水封されている貯水槽とを備え、平面視において、前記胴部の内壁面と、前記内筒の外壁面とは同心円状となっており、前記入口配管は平面視において前記胴部の外壁面と接する方向に設けられ、前記入口配管の管径は前記胴部の直径と前記内筒の直径の差の二分の一あるいはより小さく、前記入口配管の方向から見た側面視において少なくとも前記入口配管の一方の側方は前記胴部の外壁面と一致し、他方側面は前記内筒の外壁面より外側に位置する旋回流方式の気液分離器において、気体出口配管である前記内筒の下部が広がり、前記胴部の内壁と前記内筒の下部の広がり末端が接しないことを特徴とする。
請求項2の発明は請求項1に記載の気体出口配管の下部の広がりにおいて広がり末端と前記胴部の内壁の空隙が胴部内壁と内筒の中央部外壁の空隙の10〜70%、好ましくは30〜50%であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、従来のサイクロン方式と同様に上方よりの平面視である図3のごとく製作の容易かつ安価な胴部20に外壁面と接し入口配管21が設置され気液多相流体が胴部20の垂直円筒に流入することにより旋回流を生じ、側面視である図2のごとく旋回流による遠心力を利用して気液分離する構造において、遠心力の大きい液体を内壁に沿わせて下降流を生み出して水封されている下部貯水槽13に誘導して取り出し、遠心力の小さい気体はサイクロン中央に集め出口配管12の下部12aに入りさらに上昇し出口配管12上部12bより取り出すことを可能にする。その際に図4のごとく出口配管22の下部22aを拡大して出口配管22の下端22aすなわち気液多相流体の胴部よりの入口部分を傾斜的に広げることにより風速を一挙に大きくし、遠心力効果をさらに高めてより気液分離効率を向上する。その22a付近の拡大図を図5に示す。図4に示すように円筒形の胴部を採用することにより出口配管22の入口部22aと気液分離した液体の貯水槽23との空間を大きくとることができ気液多相流体の風速を一挙に上げてもベンチュリー型の容器と比べて圧力損失を小さく維持できる。そのため風量が損なわれずに気液分離ができる。
請求項2記載の発明によれば、前項に示したように図5のごとく気体出口配管である内筒の下端すなわち気液分離後の流体の胴部よりの入口部分22aを傾斜的に広げることにより圧損を少なく風速を上げることで気液分離効率は大きくなる。その際に入口の広がり空隙が出来るだけ小さいほうが混合流体の速度変化が大きくなり気液の分離には効果的だが逆に圧力損失が大きくなり好ましくない。前記22a末端22axと前記胴部の内壁20aの空隙距離Daxは出口配管22の外壁22yと胴部内壁20aとの距離Dayの10〜70%、好ましくは30〜50%であることにより圧力損失を少なく風速を大幅に大きくし、風量を損なうことなく気液分離効率を向上することができる。
本発明の気液分離特性を実験するためにサイクロン式気液分離器の寸法数値を食品工場設備のほぼ五分の一に縮小した簡易な試験装置を鉄製にて製作した。実験に用いた気液多相流体は空気と水の気液混合空気として実験した。空気/水の気液成分比、温度は実際の食品工場と同等にし、風量は寸法尺度の二乗比とした。
本発明によれば、図4のごとく平面視において、工場からの空気/水の混合した気液混合空気の入口配管21が、胴部20の外壁面と気体出口配管である内筒の外壁に向かって設けられているため、容易に入口配管からの気液混合空気入口付近で流体に対する遠心力を与え、圧力損失無く旋回流を起こし入口配管から離れた位置では遠心力により分離した水分を胴部の内壁面側に移動し効率良く下部貯水槽に流出させることができる。
また、本発明によれば、図4や図5のごとく、容器の胴部20と末端の広がった出口配管22aの間に大きな空隙を有するように構成されているため、流量及び気液割合が経時的に大きく変化する気液混合空気を、高い分離効率で空気と水に分離することができ下部空間が広くなることで圧力損失を極小にして分離した水分を下部貯水槽に流出することができる。
(気液分離効率測定法)
水分の供給は空気配管内に水をミスト化して連続噴霧した。得られた気液混合空気を図4の試験装置に導入し、貯水槽23の水面高さを時間ごとに4か所測定し平均値を求め液面高さとした。液面の断面積×液面高さを水量とした。噴霧水量と増加水量の比を気液分離効率とした。
以下本発明の実施例を説明する。本発明の実施例では、鉄製装置を使用し寸法、風量の数値を一定のものにしたが本発明の実施形態では記載した内容に限定するものではないことは自明である。以下実施例及び比較例を具体的に説明する。
図3、図4に従い、鉄製のサイクロン式気液分離器を製作した。空気の送風には富士電機製のEO−63Sを用い毎分4.5m3送風した。配管の途中に市販のミスト噴霧ノズル(ミスト粒子径:5〜20μ)を設置し水道水をポンプにて0.5MPaに加圧して供給した。水道水の供給量は平均0.2L/分であった。
胴部20の内径は200mmであり、出口配管22の外径は100mmであった。図5のDayは50mmとなる。出口配管内筒の下端を傾斜的に広げ入口の広がり末端22aの外径は160mmであった。前記胴部の内壁20aと出口配管下部下端22axとの空隙距離Daxは20mmとなり、胴部内壁20aと内筒の中央部外壁22cとの空隙距離Dayは50mmであり、Dax/Dayは40%であった。
空気の風量は気体の出口22bで市販の羽根式風速計にて測定した空気の流速値に出口の断面積を乗じて求めた。供給水分量を水道水の減少量にて測定した。分離水量を本発明の気液分離器下部の貯水槽の計測時の4点での平均液面高さに貯水槽表面積を乗じて求めた。気液分離効率を分離水量/供給水分量にて求めた。それぞれ30分ごとに測定し表1にまとめた。また比較例との比較を図6に示した。本発明の内筒下部の広がりにより、比較例の単純な内筒よりもすぐれた分離効率を示した。特に分離効率の立ち上がりが早い。
(比較例)
図1のごとく気体出口配管下部12aの広がりのない筒を用いてあとは実施例と同寸法の装置にて同様の実験を行った。結果を表1にまとめた。また実施例との比較を図6に示した。
Figure 2015217325



この気液分離器においては胴部の大きさ、胴部内壁面と内筒が外壁面との空隙、内筒下部の広がり及び内筒下部の空間容積などの自由度は大きく、設計、製作を容易にする。すなわち安価に製作することができる。工場の必要風量、気液混合状態、温度などが変化しても対応が容易に可能である。また構成機器の材料を工場設備より発生する気体あるいは液体の性質に応じて適切な材料に変更することも自在である。鉄製容器に表面塗装を施してもさらに耐薬品性は向上する。さらに温度計、液面計、液面高さによる水量調節機構などの機器を含んで構成されていてもよい。
本発明によって、温度、気液の成分比や風量の異なる気液混合流体の気液分離器の設計、製作がきわめて容易にかつ安価になるだけでなく、気液分離効率を簡単に向上することができる。また構造が簡単なため、破損のおそれもなく製作後操業時のメンテナンスが容易になる。
一般的なサイクロン式気液分離器の側面視の断面模式図を表す。 一般的なサイクロン式気液分離器の側面視による気液分離作用模式図を表す。 実施例に係る気液分離装置の上方よりの平面視による断面模式図を表す。 実施例に係る気液分離装置の側面視の断面模式図を表す。 実施例に係る気液分離装置下部の側面視の断面模式図を表す。 実施例の気液分離効率と比較例の気液分離効率の比較グラフを表す。
10・・・一般的なサイクロン胴部。
11・・・気液多相流体のサイクロンへの入口配管。
12・・・液分離後の気体の出口配管。
12a・・・サイクロン内で液体分離後の気体の出口配管下部入口。
12b・・・出口配管上部気体排出口。
13・・・下部貯水槽。
20・・・サイクロン胴部。
20a・・・サイクロン胴部の内壁。
21・・・気液多相流体のサイクロンへの入口配管。
22・・・液分離後の気体の出口配管。
22a・・・出口配管下部が広がった気体入口部分。
22ax・・・出口配管下部が広がった部分の最端部。
22b・・・出口配管上部気体排出口。
22y・・・出口配管の外壁。
23・・・下部貯水槽。
Dax・・・出口配管下部の広がった部分の最端部とサイクロン胴部の内壁の空隙距離。
Day・・・出口配管の外壁とサイクロン胴部の内壁の空隙距離。








Claims (2)

  1. 気液多相流体を気体と液体とに分離する気液分離器であって、頂部、底部及びその間を連結する中空型の胴部を有する容器と、前記胴部の上部側面から気液多相流体を供給する入口配管と、上端が前記胴部の頂部に連結され下端が前記入口配管の下端よりも低い位置で開口した中空型の内筒であり前記頂部から気体を排出する気体出口配管と、前記胴部の底部から液体を排出し下部が水封されている貯水槽とを備え、平面視において、前記胴部の内壁面と、前記内筒の外壁面とは同心円状となっており、前記入口配管は平面視において前記胴部の外壁面と接する方向に設けられ、前記入口配管の管径は前記胴部の直径と前記内筒の直径の差の二分の一あるいはより小さく、前記入口配管の方向から見た側面視において少なくとも前記入口配管の一方の側方は前記胴部の外壁面と一致し、他方側面は前記内筒の外壁面より外側に位置する旋回流方式の気液分離器において、気体出口配管である前記内筒の下部が広がり、前記胴部の内壁と前記内筒の下部の広がり末端が接しないことを特徴とする気液分離器。
  2. 請求項1に記載の気体出口配管の下部の広がりにおいて広がり末端と前記胴部の内壁の空隙が胴部内壁と内筒の中央部外壁の空隙の10〜70%、好ましくは30〜50%であることを特徴とする気液分離器。
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