JP2015214616A - 高温下において安定な乳化燃料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、高温安定性に優れたW/O型の乳化燃料、およびこの乳化燃料を低剪断力で製造できる方法の提供。【解決手段】下記(A)〜(E)成分を含有し、(C)成分と(D)成分の質量比((C)成分/(D)成分)が30/70〜90/10であり、かつW/O型乳化液であることを特徴とする乳化燃料とその製造方法。成分(A):液体燃料。成分(B):水。成分(C):エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および/または、該ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物。成分(D):アルキル基の炭素数が12〜18であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または、炭素数12〜18の脂肪酸塩。成分(E):硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩【選択図】なし
Description
本発明は、W/O型の乳化燃料およびその製造方法に関する。
近年、地球環境に対する関心の高まりから、燃焼排気ガスのクリーン化が求められており、油に水を分散させたW/O型の乳化燃料や、水に油を分散させたO/W型の乳化燃料が注目されている。
乳化燃料は、水が界面活性剤の乳化作用により液体燃料(油)中に微分散状態で存在している燃料であり、燃焼の際、水の蒸発による燃焼温度の低下によって、排気ガス中の窒素酸化物(NOX)の発生を抑制させる効果が期待できる。
また、乳化燃料は、燃焼の際に水が突沸することで、周囲に存在する液体燃料が小さな液滴へと2次微粒化し、飛散しやすくなる。そのため、乳化燃料は、燃焼の際に液体燃料を単に噴射させる場合に比べて、より微細な油滴の形成が可能であることに加え、乳化燃料そのものが燃えやすい(発火性が良好である)ことにより、燃焼性に優れる。よって、不完全燃焼が原因とされる粒子状物質(PM)などの発生を抑制させる効果も期待できる。
乳化燃料は、水が界面活性剤の乳化作用により液体燃料(油)中に微分散状態で存在している燃料であり、燃焼の際、水の蒸発による燃焼温度の低下によって、排気ガス中の窒素酸化物(NOX)の発生を抑制させる効果が期待できる。
また、乳化燃料は、燃焼の際に水が突沸することで、周囲に存在する液体燃料が小さな液滴へと2次微粒化し、飛散しやすくなる。そのため、乳化燃料は、燃焼の際に液体燃料を単に噴射させる場合に比べて、より微細な油滴の形成が可能であることに加え、乳化燃料そのものが燃えやすい(発火性が良好である)ことにより、燃焼性に優れる。よって、不完全燃焼が原因とされる粒子状物質(PM)などの発生を抑制させる効果も期待できる。
乳化燃料としては、軽油、灯油、重油等の石油系液体燃料を乳化させた石油系の乳化燃料が提案されている(例えば特許文献1〜7参照)。
しかしながら、従来のW/O型の乳化燃料は、安定性(分散性)の点で必ずしも十分ではなく、特に高温下においては内水相の合一が促進され相分離するため解決しなければならない課題である。また、窒素酸化物(NOX)や粒子状物質(PM)などの発生抑制効果においても、さらなる向上が求められている。
また、W/O型の乳化燃料を製造する際には、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどを用いて、高剪断力で攪拌する必要があり、大規模な製造には不向きであった。
また、W/O型の乳化燃料を製造する際には、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどを用いて、高剪断力で攪拌する必要があり、大規模な製造には不向きであった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、高温安定性に優れたW/O型の乳化燃料、およびこの乳化燃料を低剪断力で製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはその脂肪酸エステルと、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル、さらに硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩を特定の比率で液体燃料に配合することで、低粘度かつ高温下での分散性、及び安定性が向上することを見出した。また得られるW/O型の乳化燃料中の液体燃料と水の質量比に応じて製造条件をかえることで、W/O型の乳化物の安定性が著しく改善され、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどは用いなくても、低剪断力で乳化燃料を想像できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1]下記(A)〜(E)成分を含有し、(C)成分/(D)成分の質量比が30/70〜90/10であり、かつW/O型乳化液であることを特徴とする乳化燃料。
(A):液体燃料
(B):水
(C):エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはその炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物。
(D):アルキル基の炭素数が12〜18でありエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または炭素数が12〜18の脂肪酸塩。
(E)硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩。
[1]下記(A)〜(E)成分を含有し、(C)成分/(D)成分の質量比が30/70〜90/10であり、かつW/O型乳化液であることを特徴とする乳化燃料。
(A):液体燃料
(B):水
(C):エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはその炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物。
(D):アルキル基の炭素数が12〜18でありエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または炭素数が12〜18の脂肪酸塩。
(E)硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩。
[2]前記(E)が亜硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、L-アスパラギン酸のアルカリ金属塩である[1]に記載の乳化燃料。
[3]前記(D)がアルキル基の炭素数が16〜18であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜10であるポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする[1]〜[2]に記載の乳化燃料。
[4]前記(C)成分の含有量が0.2〜1.8質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.01〜0.9質量%であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の乳化燃料。
[5]前記(E)成分の含有量が0.01〜7質量%であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の乳化燃料。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の乳化燃料の製造方法であって、前記(A)、(C)、(D)を混合したあと、(A)と(B)の質量比が10/90〜50/50となるように(B)および(E)を加えて周速1〜5m/sで混合し、次いで更に(A)を加えて(A)と(B)の質量比が30/70〜90/10になるように添加することを特徴とする乳化燃料製造方法。
[3]前記(D)がアルキル基の炭素数が16〜18であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜10であるポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする[1]〜[2]に記載の乳化燃料。
[4]前記(C)成分の含有量が0.2〜1.8質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.01〜0.9質量%であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の乳化燃料。
[5]前記(E)成分の含有量が0.01〜7質量%であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の乳化燃料。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の乳化燃料の製造方法であって、前記(A)、(C)、(D)を混合したあと、(A)と(B)の質量比が10/90〜50/50となるように(B)および(E)を加えて周速1〜5m/sで混合し、次いで更に(A)を加えて(A)と(B)の質量比が30/70〜90/10になるように添加することを特徴とする乳化燃料製造方法。
本発明の乳化燃料は、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、高温安定性に優れる。
また、本発明の乳化燃料の製造方法によれば、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、高温安定性に優れる乳化燃料を低剪断力で製造できる。
また、本発明の乳化燃料の製造方法によれば、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、高温安定性に優れる乳化燃料を低剪断力で製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の乳化燃料は、下記(A)成分〜(E)成分を含有する、W/O型乳化液である。
本発明の乳化燃料は、下記(A)成分〜(E)成分を含有する、W/O型乳化液である。
<(A)成分>
(A)成分は、液体燃料である。
(A)成分としては例えば、軽油、重油(A重油、B重油、C重油)、重質油などが挙げられる。
(A)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、30〜91質量%が好ましく、43〜90質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が30質量%未満であると、(A)成分の燃焼性が低下し、排気ガス中の粒子状物質(PM)の発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、(A)成分の含有量が91質量%を超えると、乳化燃料の燃焼温度が低下しにくくなり、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の発生抑制効果が低下する傾向にある。
また、(A)成分の2次微粒化が抑制されるため、PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
(A)成分は、液体燃料である。
(A)成分としては例えば、軽油、重油(A重油、B重油、C重油)、重質油などが挙げられる。
(A)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、30〜91質量%が好ましく、43〜90質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が30質量%未満であると、(A)成分の燃焼性が低下し、排気ガス中の粒子状物質(PM)の発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、(A)成分の含有量が91質量%を超えると、乳化燃料の燃焼温度が低下しにくくなり、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の発生抑制効果が低下する傾向にある。
また、(A)成分の2次微粒化が抑制されるため、PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
<(B)成分>
(B)成分は、水である。
(B)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、7〜69質量%が好ましく、8〜56質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が8質量%未満であると、乳化燃料の燃焼温度が低下しにくくなり、排気ガス中のNOx発生抑制効果が低下する傾向にある。また、(A)成分の2次微粒化が抑制されるため、PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、(B)成分の含有量が69%を超えると、(A)成分の燃焼性が低下し、排ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
(B)成分は、水である。
(B)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、7〜69質量%が好ましく、8〜56質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が8質量%未満であると、乳化燃料の燃焼温度が低下しにくくなり、排気ガス中のNOx発生抑制効果が低下する傾向にある。また、(A)成分の2次微粒化が抑制されるため、PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、(B)成分の含有量が69%を超えると、(A)成分の燃焼性が低下し、排ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
((A)成分と(B)成分の質量比)
A成分とB成分の質量比A/Bは30/70〜95/5が好ましく、より好ましくは40/60〜90/10である。A/Bが30/70未満では、A成分の燃焼性が低下し、排気ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、A/Bが95/5を越えると、排気ガス中の窒素化合物(NOx)の発生抑制効果が低下する傾向にある。また、(A)成分の2次微粒化が促進されるため,PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
A成分とB成分の質量比A/Bは30/70〜95/5が好ましく、より好ましくは40/60〜90/10である。A/Bが30/70未満では、A成分の燃焼性が低下し、排気ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。一方、A/Bが95/5を越えると、排気ガス中の窒素化合物(NOx)の発生抑制効果が低下する傾向にある。また、(A)成分の2次微粒化が促進されるため,PMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
<(C)成分>
(C)成分は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および/または、該ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物である。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はヒマシ油(多量の不飽和脂肪酸(リシノレイン酸が87〜91質量%、オレイン酸が2.5〜4質量%、リノール酸が4〜5質量%)と少量の飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸などが3質量%)が、脂肪酸組成であるグリセリド)の二重結合に水素を添加した硬化ヒマシ油に、エチレンオキサイドを付加して得られるノニオン性界面活性剤である。
(C)成分は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、および/または、該ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物である。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はヒマシ油(多量の不飽和脂肪酸(リシノレイン酸が87〜91質量%、オレイン酸が2.5〜4質量%、リノール酸が4〜5質量%)と少量の飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸などが3質量%)が、脂肪酸組成であるグリセリド)の二重結合に水素を添加した硬化ヒマシ油に、エチレンオキサイドを付加して得られるノニオン性界面活性剤である。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数は5〜20である。EOの平均付加モル数が上記範囲外であると、(B)成分(水滴)が合一しやすくなり、離水抑制効果が低下するので乳化燃料の安定性が低下する傾向にある。
(C)成分としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いる場合は、EOの平均付加モル数は5〜7が好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と脂肪酸とのエステル化合物を用いる場合は、EOの平均付加モル数は10〜20が好ましい。
(C)成分としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いる場合は、EOの平均付加モル数は5〜7が好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と脂肪酸とのエステル化合物を用いる場合は、EOの平均付加モル数は10〜20が好ましい。
(C)成分として用いるエステル化合物は、上述したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、炭素数14〜20の脂肪酸とのモノエステル化、ジエステル化、またはトリエステル化によって得られるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステルである。
エステル化に用いる脂肪酸の炭素数は14〜20であり、16〜18が好ましい。脂肪酸の炭素数が上記範囲外であると、界面活性剤としての機能を十分に発揮せず、(B)成分が乳化しにくくなり、安定性が低下する。
脂肪酸の炭素鎖は直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
エステル化に用いる脂肪酸の炭素数は14〜20であり、16〜18が好ましい。脂肪酸の炭素数が上記範囲外であると、界面活性剤としての機能を十分に発揮せず、(B)成分が乳化しにくくなり、安定性が低下する。
脂肪酸の炭素鎖は直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の市販品としては、例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX HC−5」、「EMALEX HC−7」、「EMALEX HC−10」、「EMALEX HC−20」;日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL HCO−5」、「NIKKOL HCO−10」、「NIKKOL HCO−20」などが挙げられる。
これらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステルの市販品としては、例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX RWIS−105」、「EMALEX RWIS−110」、「EMALEX RWIS−115」、「EMALEX RWIS−120」(以上、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、「EMALEX RWIS−305」、「EMALEX RWIS−310」、「EMALEX RWIS−315」、「EMALEX RWIS−320」(以上、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)などが挙げられる。
これらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、0.2〜1.8質量%が好ましく、0.3〜1.2質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が0.2質量%未満であると、水滴が合一しやすくなり、離水抑制効果が低下するので乳化燃料の安定性が低下する傾向にある。一方、(C)成分の含有量が1.8質量%を超えると、界面が強固に安定化され2次微粒化効果が抑制されるために、排気ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
<(D)成分>
(D)成分は、アルキル基の炭素数が12〜18であり、EOの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または、炭素数12〜18の脂肪酸塩であり、界面活性剤の役割を果たす。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数が上記範囲外であると、界面活性剤としての機能を十分に発揮せず、(B)成分が乳化しにくくなり、安定性が低下する。アルキル基の炭素数は16〜18が好ましい。
アルキル基は、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
(D)成分は、アルキル基の炭素数が12〜18であり、EOの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または、炭素数12〜18の脂肪酸塩であり、界面活性剤の役割を果たす。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数が上記範囲外であると、界面活性剤としての機能を十分に発揮せず、(B)成分が乳化しにくくなり、安定性が低下する。アルキル基の炭素数は16〜18が好ましい。
アルキル基は、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのEOの平均付加モル数が上記範囲外であると、(A)成分中に分散された(B)成分(水滴)同士が凝集し、分離抑制効果が低下する。EOの平均付加モル数は3〜10が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 103」)、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 105」)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(例えば日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL BC−10」)、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 605」)、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 1805」)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(例えば日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL BS−20」)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 703」)、ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル(例えば日本エマルジョン株式会社製の「EMALEX 720」)などが挙げられる。なお、「エチレン」の後のカッコ内の数値は、EOの平均付加モル数である。
これらポリオキシエチレンアルキルエーテルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらポリオキシエチレンアルキルエーテルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、脂肪酸塩の炭素数が上記範囲外であると、界面活性剤としての機能を十分に発揮せず、(B)成分が乳化しにくくなり、安定性が低下する。脂肪酸塩の炭素数は14〜18が好ましい。
脂肪酸の炭素鎖は直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
脂肪酸の炭素鎖は直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよい。
脂肪酸塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などのナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。
これら脂肪酸塩は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら脂肪酸塩は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D)成分としては、噴霧時の微粒化効果によるPM抑制の点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、中でも乳化安定性の点で、アルキル基の炭素数が16〜18であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜10であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
(D)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、0.01〜0.9質量%が好ましく、0.02〜0.8質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が0.01質量%未満であると、水滴が合一しやすくなり、離水抑制効果が低下するので乳化燃料の安定性が低下する傾向にある。一方、(D)成分の含有量が0.9質量%を超えると、O/W型エマルションが形成されやすくなるとともに、W/O型の乳化燃料の特徴である、水の突沸による(A)成分の2次微粒化効果が抑制されやすくなり、排気ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
また、成分(C)と成分(D)の含有量の合計は、乳化燃料100質量%中、0.22〜1.8質量%が好ましく、0.4〜1.0質量%がより好ましい。含有量の合計が0.22質量%未満であると、乳化燃料の安定性が低下する傾向にある。一方、含有量の合計が1.8質量%を超えると、(A)成分の2次微粒化効果が抑制されやすくなり、排気ガス中のPMの発生抑制効果が低下する傾向にある。
((C)成分と(D)成分の質量比)
(C)成分と(D)成分の質量比((C)成分/(D)成分)は、30/70〜90/10であり、40/60〜85/15あることが好ましい。質量比が30/70未満であると、O/W型エマルションが形成される。一方、質量比が90/10を超えると、乳化燃料の安定性(特に分離抑制効果)が低下し、(A)成分が分離する。
(C)成分と(D)成分の質量比((C)成分/(D)成分)は、30/70〜90/10であり、40/60〜85/15あることが好ましい。質量比が30/70未満であると、O/W型エマルションが形成される。一方、質量比が90/10を超えると、乳化燃料の安定性(特に分離抑制効果)が低下し、(A)成分が分離する。
<(E)成分>
(E)成分は、硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩である。
(E)成分は、硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩である。
硫黄酸素酸としては、亜硫酸やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
リン酸としては、リン酸やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、スルファミン酸、p−トルエンスルホン酸、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、メタンスルホン酸やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
ジカンルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
アミンとしては、アンモニア、エチルアミン、モノエタノールアミン、グアニジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリプロピルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムやその塩酸塩が挙げられる。
アミノ酸としては、ベタイン、グリシン、DL−アラニン、L−バリン、L−グルタミン酸、フェニルアラニン、カゼイン、L−アスパラギン酸やその塩酸塩またはアルカリ金属塩が挙げられる。
なお、上記以外のフッ化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムや、酢酸、安息香酸、乳酸、ミリスチン酸、EDTA、L−アスコルビン酸、カチオン化セルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸-ジメチルジアリルアンモニウムクロライド-アクリルアミド共重合体、メタクリル酸-メタクリル酸ジメチルアミノエチル-メタクリル酸t-ブチル共重合体やその塩酸塩またはアルカリ金属塩が挙げられる。より好ましいものとして亜硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、L-アスパラギン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
リン酸としては、リン酸やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、スルファミン酸、p−トルエンスルホン酸、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、メタンスルホン酸やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
ジカンルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、やそのアルカリ金属塩が挙げられる。
アミンとしては、アンモニア、エチルアミン、モノエタノールアミン、グアニジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリプロピルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムやその塩酸塩が挙げられる。
アミノ酸としては、ベタイン、グリシン、DL−アラニン、L−バリン、L−グルタミン酸、フェニルアラニン、カゼイン、L−アスパラギン酸やその塩酸塩またはアルカリ金属塩が挙げられる。
なお、上記以外のフッ化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムや、酢酸、安息香酸、乳酸、ミリスチン酸、EDTA、L−アスコルビン酸、カチオン化セルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸-ジメチルジアリルアンモニウムクロライド-アクリルアミド共重合体、メタクリル酸-メタクリル酸ジメチルアミノエチル-メタクリル酸t-ブチル共重合体やその塩酸塩またはアルカリ金属塩が挙げられる。より好ましいものとして亜硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、L-アスパラギン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
(E)成分の含有量は、乳化燃料100質量%中、0.01〜7%が好ましく、0.1〜3.5%がより好ましい。
<任意成分>
本発明の乳化燃料は、(A)成分〜(E)成分以外に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を適宜含有してもよい。
その他の成分としては、燃焼性液体である炭化水素や、グリセリン、粘度調整剤などが挙げられる。
本発明の乳化燃料は、(A)成分〜(E)成分以外に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を適宜含有してもよい。
その他の成分としては、燃焼性液体である炭化水素や、グリセリン、粘度調整剤などが挙げられる。
<乳化燃料の製造方法>
本発明の乳化燃料は(A)成分の一部と(C)成分と(D)を混合した後、混合中の(A)と(B)の質量比が10/90〜50/50となるように(B)および(E)を加えて混合し、次いで、(A)と(B)の質量比が30/70〜90/10になるように残りの(A)を加えてさらに混合する。
本発明の乳化燃料は(A)成分の一部と(C)成分と(D)を混合した後、混合中の(A)と(B)の質量比が10/90〜50/50となるように(B)および(E)を加えて混合し、次いで、(A)と(B)の質量比が30/70〜90/10になるように残りの(A)を加えてさらに混合する。
従来、各成分の混合には、剪断力の指標として周速(または翼周速度)が使われており、これまではホモミキサー等を用いて、周速8m/sec以上の高剪断力が必要とされていたが、本発明によって、周速1〜5m/secの剪断力で乳化燃料を調整できるようになった。これによって、実機へのスケールアップを、ディスパー羽根攪拌等の低い剪断力の装置でも検討できるようになった。
混合時の周速は1〜5m/sが好ましい。周速が1m/s以上であれば、安定性に優れた乳化燃料が得られやすくなる。一方、周速が5m/sを超えても安定性に優れた乳化燃料は得られるが、上記の質量比を満たせば周速が5m/s以下であっても安定性に優れた乳化燃料を十分に製造できる。しかも、周速が5m/s以下であれば、低剪断力で乳化燃料を製造できる。
ここで、「周速」とは攪拌羽根の回転の速さであり、回転数と攪拌羽根の直径から求めることができる。
混合時の周速は1〜5m/sが好ましい。周速が1m/s以上であれば、安定性に優れた乳化燃料が得られやすくなる。一方、周速が5m/sを超えても安定性に優れた乳化燃料は得られるが、上記の質量比を満たせば周速が5m/s以下であっても安定性に優れた乳化燃料を十分に製造できる。しかも、周速が5m/s以下であれば、低剪断力で乳化燃料を製造できる。
ここで、「周速」とは攪拌羽根の回転の速さであり、回転数と攪拌羽根の直径から求めることができる。
ところで、上述したように、乳化燃料を製造するには、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどを用いて、高剪断力(例えば周速8m/s以上)で攪拌する必要があり、大規模な製造には不向きであった。
しかしながら、本発明により得られるW/O型の乳化物の安定性は著しく改善されているため、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどを用いなくても、例えば上述したようなディスパー羽根を備えた攪拌装置を用いて、周速1〜5m/s程度の低剪断力で乳化燃料を製造できる。
しかしながら、本発明により得られるW/O型の乳化物の安定性は著しく改善されているため、強力な剪断力を与える乳化機や高圧ホモジナイザーなどを用いなくても、例えば上述したようなディスパー羽根を備えた攪拌装置を用いて、周速1〜5m/s程度の低剪断力で乳化燃料を製造できる。
このようにして得られる乳化燃料は、W/O型の乳化物であるが、特に、エマルションの粒径が1〜10μmである水滴が油中に分散している状態が好ましい。
このようなW/O型乳化液とするためには、例えば機械的な処理、あるいは界面膜に存在する乳化剤((C)成分や(D)成分)の量を調節すればよい。具体的には、乳化時の剪断力や乳化剤濃度が高くなるに連れて、水滴径は小さくなる傾向にある。
このようなW/O型乳化液とするためには、例えば機械的な処理、あるいは界面膜に存在する乳化剤((C)成分や(D)成分)の量を調節すればよい。具体的には、乳化時の剪断力や乳化剤濃度が高くなるに連れて、水滴径は小さくなる傾向にある。
<作用効果>
以上説明した本発明の乳化燃料は、燃焼温度が低いので排気ガス中のNOXの発生を効果的に抑制できるとともに、燃焼性に優れるため排気ガス中のPMの発生も効果的に抑制できる。
加えて、本発明の乳化燃料は、(C)成分と(D)成分とを特定の比率で使用し、さらに(E)成分を併用することで、W/O型乳化液でありながら、高温安定性に優れる。
また、本発明の乳化燃料の製造方法によれば、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、安定性に優れる乳化燃料を低剪断力で製造できる。従って、大規模な製造にも適している。
以上説明した本発明の乳化燃料は、燃焼温度が低いので排気ガス中のNOXの発生を効果的に抑制できるとともに、燃焼性に優れるため排気ガス中のPMの発生も効果的に抑制できる。
加えて、本発明の乳化燃料は、(C)成分と(D)成分とを特定の比率で使用し、さらに(E)成分を併用することで、W/O型乳化液でありながら、高温安定性に優れる。
また、本発明の乳化燃料の製造方法によれば、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質の発生抑制効果が高く、安定性に優れる乳化燃料を低剪断力で製造できる。従って、大規模な製造にも適している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[使用原料]
(A)成分として、A重油を用いた。
(B)成分として、蒸留水を用いた。
(A)成分として、A重油を用いた。
(B)成分として、蒸留水を用いた。
(C)成分としてトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン株式会社製、「EMALEX RWIS−320」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EOの平均付加モル数=20)と、イソステアリン酸(炭素数=18)のトリエステル化によって得られるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステル)を用いた。
(D)成分としてポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(日本エマルジョン株式会社製、「EMALEX 1805」、アルキル基の炭素数=18、EOの平均付加モル数=5)を用いた。
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・E−1:亜硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
・E−2:リン酸二水素ナトリウム(関東化学株式会社製)
・E−3:メタンスルホン酸(関東化学株式会社製)
・E−4:シュウ酸二水和物(関東化学株式会社製)
・E−5:フマル酸(関東化学株式会社製)
・E−6:L−アスパラギン酸(関東化学株式会社製)
・E−7:エタノール(関東化学株式会社製)
・E−1:亜硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
・E−2:リン酸二水素ナトリウム(関東化学株式会社製)
・E−3:メタンスルホン酸(関東化学株式会社製)
・E−4:シュウ酸二水和物(関東化学株式会社製)
・E−5:フマル酸(関東化学株式会社製)
・E−6:L−アスパラギン酸(関東化学株式会社製)
・E−7:エタノール(関東化学株式会社製)
配合量は表1、表2、表3(実施例1〜8、比較例1〜3)に記載の量とした。
<乳化燃料の製造>
まず、(B)成分(水)と(E)成分を混合し、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸を用いてpHを7に調整する。その後、これらを(A)成分(A重油)、(C)成分(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびその脂肪酸エステル)、(D)成分(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)が入った胴径80.5φ、全高130mmのマヨネーズ瓶に加え、メカニカルスターラー(HEIDON製、FBL1200)とディスパー羽根(IKA製 R1303、羽根直径43mm)を用いて1000rpm(周速2m/sec)で5分間攪拌した。その後、A成分を添加していき、添加後1000rpmで5分間攪拌して乳化燃料を得た。
<乳化燃料の製造>
まず、(B)成分(水)と(E)成分を混合し、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸を用いてpHを7に調整する。その後、これらを(A)成分(A重油)、(C)成分(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびその脂肪酸エステル)、(D)成分(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)が入った胴径80.5φ、全高130mmのマヨネーズ瓶に加え、メカニカルスターラー(HEIDON製、FBL1200)とディスパー羽根(IKA製 R1303、羽根直径43mm)を用いて1000rpm(周速2m/sec)で5分間攪拌した。その後、A成分を添加していき、添加後1000rpmで5分間攪拌して乳化燃料を得た。
[評価]
各実施例および比較例で得られた乳化燃料について、以下に示す評価および測定を行った。結果を表1〜3に示す。
なお、以下に示す「安定性の評価」において、離水率の測定および分離率の測定の結果の少なくとも一方が「2」以下の場合は、安定な燃焼状態を確保できず、乳化燃料としての機能が不十分であることは明らかなので、「燃焼試験」は行わなかった。この場合を表中、「−」として表記した。
各実施例および比較例で得られた乳化燃料について、以下に示す評価および測定を行った。結果を表1〜3に示す。
なお、以下に示す「安定性の評価」において、離水率の測定および分離率の測定の結果の少なくとも一方が「2」以下の場合は、安定な燃焼状態を確保できず、乳化燃料としての機能が不十分であることは明らかなので、「燃焼試験」は行わなかった。この場合を表中、「−」として表記した。
(安定性の評価)
離水率の測定(離水抑制効果の評価);
胴径40φ、全高120mmのバイアル瓶に乳化燃料を70g入れ、50℃の恒温槽に1週間放置した後の状態を目視にて観察した。乳化燃料から水が離水している場合は、乳化燃料の高さ(a)と水の高さ(b)を計測して離水率[b/(a+b)]を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
5:離水率が0.02未満。
4:離水率が0.02以上、0.04未満。
3:離水率が0.04以上、0.06未満。
2:離水率が0.06以上、0.08未満。
1:離水率が0.10以上。
離水率の測定(離水抑制効果の評価);
胴径40φ、全高120mmのバイアル瓶に乳化燃料を70g入れ、50℃の恒温槽に1週間放置した後の状態を目視にて観察した。乳化燃料から水が離水している場合は、乳化燃料の高さ(a)と水の高さ(b)を計測して離水率[b/(a+b)]を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
5:離水率が0.02未満。
4:離水率が0.02以上、0.04未満。
3:離水率が0.04以上、0.06未満。
2:離水率が0.06以上、0.08未満。
1:離水率が0.10以上。
分離率の測定(分離抑制効果の評価);
胴径×全高(mm)が40φ×120のバイアル瓶に乳化燃料を70g入れ、50℃の恒温槽に1日間放置した後の状態を目視にて観察した。乳化燃料から油成分が分離している場合は、乳化燃料の高さ(a)と油成分の高さ(c)を計測して分離率[c/(a+c)]を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
5:油成分が分離していない。
4:油成分が分離したが、分離率が0.02未満。
3:分離率が0.02以上、0.03未満。
2:分離率が0.03以上、0.4未満。
1:分離率が0.4以上。
胴径×全高(mm)が40φ×120のバイアル瓶に乳化燃料を70g入れ、50℃の恒温槽に1日間放置した後の状態を目視にて観察した。乳化燃料から油成分が分離している場合は、乳化燃料の高さ(a)と油成分の高さ(c)を計測して分離率[c/(a+c)]を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
5:油成分が分離していない。
4:油成分が分離したが、分離率が0.02未満。
3:分離率が0.02以上、0.03未満。
2:分離率が0.03以上、0.4未満。
1:分離率が0.4以上。
燃焼試験;
ディーゼル発電機HG−6500CE(ハイガー産業株式会社製)の燃料タンクに調製した乳化燃料約500g入れて始動させ、20分後に以下の測定を行った。
ディーゼル発電機HG−6500CE(ハイガー産業株式会社製)の燃料タンクに調製した乳化燃料約500g入れて始動させ、20分後に以下の測定を行った。
NOX濃度の測定;
ポータブル燃焼排ガス分析計HC-3000(ホダカ株式会社製)のプローブをディーゼル発電機のマフラー内に差し込み測定した。その結果を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:250ppm以下
○:300pp以下250ppm以上
×:300ppm以上
ポータブル燃焼排ガス分析計HC-3000(ホダカ株式会社製)のプローブをディーゼル発電機のマフラー内に差し込み測定した。その結果を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:250ppm以下
○:300pp以下250ppm以上
×:300ppm以上
PM量の測定;
スモークテスター HT−1650(ホダカ株式会社製)のプローブをマフラー内に差し込み、スモークスケール(ホダカ株式会社製)に基づいて10点評価を行った。その結果を以下の基準に基づいて評価した。
◎:1点
○:2点
×:3〜10点
スモークテスター HT−1650(ホダカ株式会社製)のプローブをマフラー内に差し込み、スモークスケール(ホダカ株式会社製)に基づいて10点評価を行った。その結果を以下の基準に基づいて評価した。
◎:1点
○:2点
×:3〜10点
(乳化型の判定)
乳化燃料を一滴、スライドグラスの上に滴下し、その上に水を一滴垂らし、スパチュラで混合したとき、容易に交じり合わない場合を「W/O」型、容易に交じり合う場合を「O/W」型として、乳化燃料の乳化型を判定した。なお、「W/O」型は油中水型、「O/W」型は水中油型である。なお、乳化していない場合を「−」として表中に示した。
乳化燃料を一滴、スライドグラスの上に滴下し、その上に水を一滴垂らし、スパチュラで混合したとき、容易に交じり合わない場合を「W/O」型、容易に交じり合う場合を「O/W」型として、乳化燃料の乳化型を判定した。なお、「W/O」型は油中水型、「O/W」型は水中油型である。なお、乳化していない場合を「−」として表中に示した。
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた乳化燃料はW/O型であり、排気ガス中のNOXおよびPMの発生を効果的に抑制できた。また、安定性にも優れていた。
また、実施例1〜8を比較すると、(E)成分が0.1〜3.5%の範囲内である実施例1〜4の乳化燃料は、NOXおよびPMの発生抑制効果が特に高かった。
また、実施例1〜8を比較すると、(E)成分が0.1〜3.5%の範囲内である実施例1〜4の乳化燃料は、NOXおよびPMの発生抑制効果が特に高かった。
一方、表3から明らかなように、(E)成分を欠く比較例1は、分離率、分離率の結果が「2」であった。これら比較例1の乳化燃料は安定性に劣るため、乳化燃料としての機能が不十分であることが示された。
(E)成分の比較品としてC−7を用いた比較例2は、離水率、分離率の結果が「1」であった。これら比較例2の乳化燃料は安定性に劣るため、乳化燃料としての機能が不十分であることが示された。
(E)成分を必要以上添加した比較例3は、離水率、分離率の結果が「3」であった。これら比較例3は安定性は満たしているものの、燃焼後に固形分がエンジン内に付着する恐れがあるため乳化燃料として不十分であることが考えられる。
(E)成分の比較品としてC−7を用いた比較例2は、離水率、分離率の結果が「1」であった。これら比較例2の乳化燃料は安定性に劣るため、乳化燃料としての機能が不十分であることが示された。
(E)成分を必要以上添加した比較例3は、離水率、分離率の結果が「3」であった。これら比較例3は安定性は満たしているものの、燃焼後に固形分がエンジン内に付着する恐れがあるため乳化燃料として不十分であることが考えられる。
Claims (6)
- 下記(A)〜(E)成分を含有し、(C)成分/(D)成分の質量比が30/70〜90/10であり、かつW/O型乳化液であることを特徴とする乳化燃料。
(A):液体燃料
(B):水
(C):エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜20のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはその炭素数14〜20の脂肪酸とのエステル化合物。
(D):アルキル基の炭素数が12〜18でありエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/または炭素数が12〜18の脂肪酸塩。
(E)硫黄酸素酸、リン酸、スルホン酸、ジカルボン酸、アミン、アミノ酸の少なくとも一種からなる水溶性化合物又はその塩。 - 前記(E)が亜硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、L-アスパラギン酸のアルカリ金属塩である[1]に記載の乳化燃料。
- 前記(D)がアルキル基の炭素数が16〜18であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜10であるポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする[1]〜[2]に記載の乳化燃料。
- 前記(C)成分の含有量が0.2〜1.8質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.01〜0.9質量%であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の乳化燃料。
- 前記(E)成分の含有量が0.01〜7質量%であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の乳化燃料。
- [1]〜[5]のいずれか一項に記載の乳化燃料の製造方法であって、前記(A)、(C)、(D)を混合したあと、(A)と(B)の質量比が10/90〜50/50となるように(B)および(E)を加えて周速1〜5m/sで混合し、次いで更に(A)を加えて(A)と(B)の質量比が30/70〜90/10になるように添加することを特徴とする乳化燃料製造方法
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