JP2015207762A - 測定装置、及び測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】物質の電気的特性の変化の要因を評価する測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】チャンバー101と、ステージ102と、ステージ加熱機構103と、圧力調整機構104と、温度測定機構105と、ガス分析機構106と、プローブ支持機構107と、を有する測定装置100とする。ステージ102は、チャンバー101内に配置され、被測定物(試料)110を保持する機能を有する。ステージ加熱機構102は、ステージ102を加熱する機能を有する。圧力調整機構104は、チャンバー101内を減圧する機能を有する。温度測定機構105は、被測定物110の温度を検出する機能を有する。ガス分析機構106は、チャンバー101内に含まれる元素を検出する機能を有する。プローブ支持機構107は、プローブ111を支持する機能と、被測定物110にプローブ111を接触させる機能とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、物質の電気的性質を測定する装置に関する。または、物質の熱的性質を測定する装置に関する。特に、薄膜の熱的性質及び電気的性質を測定する装置に関する。
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、測定装置、分析装置、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
半導体材料を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体材料としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
例えば、酸化物半導体として酸化亜鉛、またはIn−Ga−Zn系酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
ところで、トランジスタなどの半導体素子及びその周辺に用いる薄膜の物性は、半導体素子の電気的特性や信頼性に影響を及ぼす。そのため、薄膜の分析、評価などを行う手法が数多く検討されている。
特開2007−123861号公報 特開2007−96055号公報
半導体、絶縁体、導電体などの物質の電気的特性は温度依存性を有することが知られている。しかし、物質の電気的特性は温度などの外的要因以外にも、様々な内的要因によって変化する。そのため、単純に物質の温度を変化させてその電気的特性を測定したのみでは、その電気的特性の変化の本質的な要因を正確に知ることはできない。
物質の電気的特性を変化させる内的要因としては、例えば物質表面への分子または原子の吸着、物質表面または内部における化学反応、物質内部への分子または原子の拡散、物質を構成する元素の外部への脱離などの現象が挙げられる。
特に、物質を構成する元素が外部に脱離し、物質自体の組成が変化してしまう場合には、電気的特性の変化が顕著となる。例えば、酸化物の場合には、高温にすることによる酸素の脱離によって、その電気的特性が大きく変化する。また低融点金属を含む材料であれば、高温にすることにより低融点金属の一部が昇華してしまい、その結果導電性が変化する場合がある。
本発明の一態様は、物質の電気的特性の変化の要因を評価するための測定方法、または測定装置を提供することを課題の一とする。または、物質の電気的特性の温度依存性を評価するための測定方法、または測定装置を提供することを課題の一とする。または、物質の組成の変化に伴う電気的特性の変化を評価するための測定方法、または測定装置を提供することを課題の一とする。
または、本発明の一態様は、新規な測定方法を提供することを課題の一とする。または、新規な測定装置を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、チャンバーと、ステージと、ステージ加熱機構と、圧力調整機構と、温度測定機構と、ガス分析機構と、プローブ支持機構と、を有する測定装置である。またステージは、チャンバー内に配置され、被測定物を保持する機能を有する。ステージ加熱機構は、ステージを加熱する機能を有する。圧力調整機構は、チャンバー内を減圧する機能を有する。温度測定機構は、被測定物の温度を検出する機能を有する。ガス分析機構は、チャンバー内に含まれる元素を検出する機能を有する。プローブ支持機構は、プローブを支持する機能を有し、且つ被測定物にプローブを接触させる機能を有することを特徴とする。
また、本発明の他の一態様は、チャンバーと、ステージと、第1の機構と、第2の機構と、第3の機構と、第4の機構と、第5の機構と、を有する測定装置である。またステージは、チャンバー内に配置され、被測定物を保持する機能を有する。第1の機構は、ステージを加熱する機能を有する。第2の機構は、チャンバー内を減圧する機能を有する。第3の機構は、被測定物の温度を検出する機能を有する。第4の機構は、チャンバー内に含まれる元素を検出する機能を有する。第5の機構は、プローブを支持する機能と、被測定物にプローブを接触させる機能を有する。
また、上記において、第6の機構を有し、第6の機構は、チャンバーを加熱する機能を有し、チャンバーと第5の機構とは、熱的に接続されることが好ましい。
また、上記において、第7の機構を有し、第7の機構は、第5の機構を加熱する機能を有することが好ましい。
また、上記において、測定器を有し、測定器は、プローブに電気的に接続され、被測定物に流れる電流を測定する機能を有することが好ましい。このとき、制御装置を有し、制御装置は、測定器と第1の機構とを同期させて制御する機能を有することが好ましい。
また本発明の他の一態様は、上記測定装置と被測定物を製造する機能を有する製造装置と、を有する製造ラインである。
また、本発明の他の一態様は、上記測定装置と、測定装置に接続されたコンピュータと、を有する、測定システムである。
また、本発明の他の一態様は、上記測定装置と、測定装置に接続されたコンピュータと、コンピュータと接続された記憶装置と、を有する測定システムであって、記憶装置は、測定装置を用いて測定されたデータを保存する機能を有する。
また、本発明の他の一態様は、減圧されたチャンバー内のステージに被測定物を配置する第1のステップと、被測定物にプローブを接触させる第2のステップと、ステージの温度を上昇させながら、被測定物から脱離する元素を検出すると共に、プローブを介して被測定物に流れる電流を測定する第3のステップと、を有する測定方法である。
また、上記において、第3のステップよりも後に、ステージの温度を所定の温度に保持し、被測定物から脱離する元素を検出すると共に、プローブを介して被測定物に流れる電流を測定する第4のステップを有することが好ましい。
また、上記において、第3のステップよりも後に、ステージの温度を下降させながら、被測定物から脱離する元素を検出すると共に、プローブを介して被測定物に流れる電流を測定する第5のステップを有することが好ましい。
また、上記において、第1のステップよりも前に、チャンバーを加熱する第6のステップを有することが好ましい。このとき、第6のステップにおいて、チャンバーを80℃以上300℃以下の温度で、6時間以上加熱することが好ましい。
また、上記において、第1のステップよりも前に、プローブ支持機構を加熱する第7のステップを有することが好ましい。このとき、第7のステップにおいて、プローブ支持機構を80℃以上300℃以下の温度で、6時間以上加熱することが好ましい。
また、上記において、被測定物の形態は、粉末状、ペレット状、板状、球状、または基板上に形成された薄膜状であることが好ましい。または、被測定物の形態が、基板上に形成された配線、半導体素子、抵抗素子、容量素子、またはこれらの少なくとも2以上を含む回路であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、物質の電気的特性の変化の要因を評価するための測定方法、または測定装置を提供できる。または、物質の電気的特性の温度依存性を評価するための測定方法、または測定装置を提供できる。または、物質の組成の変化に伴う電気的特性の変化を評価するための測定方法、または測定装置を提供できる。
実施の形態に係る、測定装置の構成例。 実施の形態に係る、測定装置の構成例。 実施の形態に係る、プローブ支持機構の構成例。 実施の形態に係る、測定系の例を示すブロック図。 実施の形態に係る、測定手順の例を説明するフロー図。 実施の形態に係る、測定方法の例を示す図。 実施の形態に係る、測定方法の例を示す図。 実施の形態に係る、測定データの例を示す図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
(実施の形態)
本実施の形態では、本発明の一態様の測定装置の構成例、及び測定方法の例について、図面を参照して説明する。
[測定装置の構成例]
図1に、本構成例で説明する測定装置100の断面概略図を示す。
図1に示す測定装置100は、チャンバー101と、ステージ102と、ステージ加熱機構103と、圧力調整機構104と、温度測定機構105と、ガス分析機構106と、プローブ支持機構107と、を有する。また、チャンバー101には、ロードロック室120が接続されている。
また、図1では、チャンバー101を加熱する加熱機構115、及びプローブ支持機構107を加熱する加熱機構116を配置した場合を示している。加熱機構115および加熱機構116は、それぞれ脱着可能な構成としてもよいし、固定されていてもよい。
なお、図1に示す測定装置100の構成は一例であり、図1に示す全ての構成要素を備える必要はない。図1に示す構成要素のうち、必要な一以上を選択または二以上を抽出して組み合わせることにより発明の一態様とすることができる。またこのことは以降の図面においても同様である。
以下に、各構成要素について説明する。
〔チャンバー〕
チャンバー101は、その内部を減圧状態に保持する機能を有する。チャンバー101の部材として、例えばステンレスなどの剛性の高い金属または合金を用いることで、気密性を向上させることができる。またチャンバー101に用いる部材として、耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。少なくとも、後述するベーク処理にかかる熱で変形しない程度の耐熱性を有することが好ましい。
〔ステージ、ステージ加熱機構〕
ステージ102は、チャンバー101内に配置され、試料110を保持する機能を有する。図1では、ステージ102が赤外光を吸収する第1のステージ102aと、透光性を有する第2のステージ102bとを有する場合を示している。
第2のステージ102bの下部には、ステージ加熱機構103が配置されている。ここではステージ加熱機構103として、赤外光113を放射するランプを用いる場合について示している。ここで第2のステージ102bは、赤外光113の少なくとも一部を透過する材料を用いる。
ステージ加熱機構103から放射された赤外光113は、第2のステージ102bを透過して第1のステージ102aに達する。第1のステージ102aは赤外光113を吸収することにより加熱される。そのため第1のステージ102a上に配置された試料110を加熱することが可能となる。
なお、試料110として赤外光を吸収する材料を用いる場合には、第1のステージ102aを設けない、または第1のステージ102aとして透光性を有する材料を用いてもよい。その場合、ステージ102を透過した赤外光113が試料110に照射されることにより、試料110を加熱することができる。
また、図1に示すようにステージ102には熱電対112が配置されていてもよい。熱電対112によりステージ102(具体的には第1のステージ102aまたは第2のステージ102b)の温度を測定することができる。以下、熱電対112により測定されるステージの温度のことを、ステージ温度と呼ぶことがある。
〔圧力調整機構〕
圧力調整機構104は、チャンバー101内を減圧する機能を有する。圧力調整機構104としては、例えばロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、などの気体輸送式真空ポンプ、またはイオンポンプ、ゲッターポンプ、クライオポンプなどの気体溜め込み式ポンプなどを用いることができる。また、2以上のポンプを組み合わせて用いてもよい。
また図1に示すように、圧力調整機構104とチャンバー101との間には、バルブを有していてもよい。また、圧力調整機構104にはチャンバー101内の圧力を測定するための圧力計を有していてもよい。また、圧力調整機構104には、チャンバー101内の圧力を大気圧に戻すためのリークバルブ等を有していてもよい。
〔温度測定機構〕
温度測定機構105は、試料110の温度を測定する機能を有する。図1に示す構成では、温度測定機構105が熱電対118を有する場合について示している。温度測定機構105は、測定時には熱電対118を試料110と接触させることができる。また温度測定機構105は、試料110の搬入出の際に、熱電対118を試料110から離すように、熱電対118を昇降させる機構を有していることが好ましい。
なお、温度測定機構105の構成としては、試料110の温度を測定することができれば熱電対118に限られない。例えば、放射温度計等を用いて非接触で温度測定を行う構成とすることもできる。その場合には、チャンバー101の一部に透光性の窓部を設けることにより、チャンバー101の外側に当該放射温度計を配置してもよい。
〔ガス分析機構〕
ガス分析機構106は、チャンバー101内に含まれる元素を検出する機能を有する。例えば、試料110を加熱した際に試料110から脱離するガスを検出することができる。ガス分析機構106としては、質量分析が可能な装置を用いることが好ましい。代表的には、四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計(TOF−MS:Time−of−Flight mass spectrometer)、磁場偏向型質量分析計などの質量分析計を用いることが好ましい。四重極型質量分析計は比較的小型化しやすいため、装置を簡略化できる。飛行時間型質量分析計は、極めて大きな質量をもつ元素(または分子)まで高感度に測定することが可能となる。また、磁場偏向型質量分析計は極めて高感度な測定を行うことができる。
なお、ガス分析機構106としては、上記質量分析計のほかに、例えばレーザーや赤外光を用いた光学式の分析計や、吸着型のガス分析計などを用いてもよい。光学式の分析計を用いる場合には、チャンバー101の一部に透光性の窓部を設けることにより、チャンバー101の外側に当該分析計を配置してもよい。特に、測定する元素が限られる場合には、その元素に適した光学式の分析計を用いると、チャンバー内に分析計を配置する必要がなくなる。その結果、分析計からの脱ガスの影響を排除でき、より高精度な測定を行うことが可能となる。
〔プローブ支持機構〕
プローブ支持機構107は、プローブ111を支持し、試料110にプローブを接触させる機能を有する。
プローブ支持機構107に用いる部材は、少なくとも、後述するベーク処理にかかる熱で変形しない程度の耐熱性を有することが好ましい。またプローブ支持機構107の少なくとも表面には、測定時にかかる熱により部材からガス等が脱離しにくい材料を用いることが好ましい。
プローブ支持機構107は、チャンバー101と熱的に接続されていることが好ましい。こうすることで、後述するベーク処理においてチャンバー101の加熱と同時に、プローブ支持機構107を加熱することができる。プローブ支持機構107とチャンバー101とは、接して設けられていてもよいし、間に熱伝導体を挟んで熱的に接続されていてもよい。熱伝導体としては、好ましくは金属または合金などの熱伝導性の高い材料を用いることが好ましい。またチャンバー101とプローブ支持機構107との間に金属や合金などを用いることで、チャンバー101内を減圧したときのリークを抑制することができる。
図1では、プローブ支持機構107を柱状とし、2本のプローブ111をプローブ支持機構107の長手方向に平行に支持する構成を示している。また図1に示すプローブ支持機構107は、プローブ111を上記長手方向に昇降することにより、プローブ111を試料110に接触させる、または試料110から離すことが可能となる。
プローブ111の構成は、試料の形状や、電気測定の方法に応じて適宜選択することができる。図1では2本のプローブを用いる場合を示したが、3以上のプローブを用いてもよい。またプローブ111の構成に応じて、プローブ支持機構107の構成を変更することができる。
例えば、試料として複数の端子を備える回路TEG(Test Element Group)を用いる場合には、その端子の数に応じてプローブを用意すればよい。または、後述するプローブカードを、プローブに代えて用いてもよい。また、プローブを接触させる端子が微細な場合など、プローブの接触位置の位置合わせに高い精度が必要な場合には、試料表面を観察するためのカメラや光学顕微鏡などを、チャンバー101またはプローブ支持機構107に組み込む構成としてもよい。
図2には、4本のプローブ111を用いる場合について示している。4本のプローブによって例えば4探針法により試料110のシート抵抗を測定することができる。また、図2に示すように、プローブ支持機構107は、ステージ102の上面に水平な方向に沿って配置される構成としてもよい。このように、プローブ111として複数本のプローブが支持体に固定されたもの(プローブカードともいう)を用いてもよい。
続いて、プローブ支持機構107のより具体的な構成例について説明する。
図3(A)に2つのプローブ111を支持することのできるプローブ支持機構107aの構成の一例を示す。図3(A)に示すプローブ支持機構107aは、第1の部分130aと第2の部分130bを備える。第1の部分130aには調節つまみ131a、131b、132が取り付けられている。また第2の部分130bには、2つの腕部133、2つのプローブ支持部134が取り付けられている。また第1の部分130aには、プローブ支持機構107aをチャンバー101に取り付ける際に用いる取り付け冶具と係合する溝部136を有していることが好ましい。
第2の部分130bは、調節つまみ132によって上下方向に動くように第1の部分130aと連結されている。
第2の部分130bに取り付けられた腕部133の先端にプローブ支持部134が取り付けられている。プローブ支持部134はプローブ111を支持することができる。図3(A)では、ねじ135によってプローブ111をプローブ支持部134に固定する構成を示している。このように、プローブ111を着脱可能な構成とすることで、プローブ111が破損、変形、または摩耗した場合などに容易に交換することが可能となる。
2つの腕部133は、第1の部分130aに取り付けられた2つの調節つまみ131a、131bによってそれぞれ独立に動かすことができる。したがって、プローブ111を試料110に接触させる際の位置の微調整を行うことができる。
図3(B)に示すプローブ支持部134は、円筒状の形状を有する。プローブ111は、プローブ支持部134の孔に挿入した状態で、一つのねじ135だけでしっかりと固定することができる。また、図3(C)に示すように、プローブ支持部134として側面に孔を有する柱状の形状とし、プローブ111と腕部133のそれぞれの長手方向が所定の角度になるように、プローブ111を固定する構成としてもよい。
また、プローブ111は針状でなくてもよく、図3(D)に示すように、先端が板状のプローブ111を用いてもよい。例えば試料110として、一部の多孔質の材料やセラミック、または粉末を固めたペレット状の材料のように比較的脆い材料を用いる場合には、プローブ111と試料110とが面で接するような形状のプローブ111を用いることで試料110の破壊を抑制することができる。また、ここでは図示しないが、球または楕円体のように曲面を有する先端部を有するプローブ111としてもよい。
なお、プローブ支持部134の形状は上記に限られず、プローブ111を固定できる構成であればよい。例えば2枚の板状の部材でプローブ111を挟持して固定する構成や、板バネのようにプローブ111を挟むことにより固定する構成としてもよい。ただし、上述のようにプローブ支持部134が孔を有する構成とし、当該孔にプローブ111を挿入して固定する方式とすると、プローブ111の先端に加わる力によって回転する向きにずれることがないため好ましい。また、2枚の板状の部材や板バネ等を用いる場合には、プローブ111を回転しないように固定するためのガイドとして機能する溝部または凹部を有するプローブ支持部134の構成とすることが好ましい。
図3(E)に示すプローブ支持機構107bは、主に調節つまみの構成が異なる点で、上記プローブ支持機構107aと相違している。
第1の部分130aには、調節つまみ132a、132b、及び132cが取り付けられている。調節つまみ132cは、上記調節つまみ132と同様に第1の部分130aと第2の部分130bとを相対的に上下方向に動かす機能を有する。
調節つまみ132aと調節つまみ132bとは、それぞれ腕部133を動かす機能を有する。具体的には、腕部133の延伸方向に対して直交する方向に、腕部133を動かす機能を有する。また調節つまみ132aによって腕部133が動く方向と、調節つまみ132bによって腕部133が動く方向とは、交差することが好ましく、直交することがより好ましい。調節つまみ132a、132b、及び132cにより、腕部133の先に取り付けられたプローブ111の位置を3次元的に自由に調整することが可能となる。
図3(E)では、プローブ111として4探針のプローブカードを適用した場合の例について示している。また、図3(F)では、プローブ111として1本の針状のプローブを適用した場合について示している。1本の針状のプローブを適用した場合、測定に必要な数(例えば2以上)のプローブ支持機構107bをチャンバー101に配置すればよい。
なお、ここではプローブ支持機構107として、腕部133の位置の調整や、第1の部分130aに対する第2の部分130bの昇降動作などを各種調節つまみによって行う機構を有する場合について示したが、プローブ支持機構107がモータを備える構成とし、遠隔操作により腕部133の位置を調整可能な構成としてもよい。このとき、モータを操作するためのコントローラを用いればよい。または、後述するコンピュータ140と、プローブ支持機構107とを電気的に接続し、コンピュータ140上で腕部133の位置を調整できる構成とすることが好ましい。
以上がプローブ支持機構107についての説明である。
〔ロードロック室〕
図1に示すロードロック室120は、ゲートバルブ123を介してチャンバー101と連結されている。また、ロードロック室120と大気との間にはゲートバルブ124を有する。またロードロック室120は、搬送機構121と、圧力調整機構122とを備える。圧力調整機構122としては、圧力調整機構104と同様の構成を用いることができる。
試料110をチャンバー101内に搬送する際、まずロードロック室120内の圧力を大気圧以上とした状態でゲートバルブ124を開け、試料110を搬送機構121に配置する。このとき、ゲートバルブ123は閉じた状態で、且つチャンバー101内が減圧状態であることが好ましい。続いてゲートバルブ124を閉じ、圧力調整機構122によってロードロック室120内をチャンバー101内と同等の圧力にまで減圧する。その後、ゲートバルブ123を開けて搬送機構121によりステージ102上に試料110を配置し、ゲートバルブ123を閉じる。なお、試料110をチャンバー101内から搬出する場合には、この逆の工程を経ればよい。
このように、チャンバー101にロードロック室120を連結させることで、チャンバー101の内部を大気に曝すことなく、試料110の導入及び取り出しを行うことができる。したがって、チャンバー101の内壁や、チャンバー101内に配置されたそのほかの部材の表面を清浄な状態に保つことができる。そのため試料110を加熱して測定する際にこれらからの脱ガスを抑制し、極めて高精度な測定を行うことが可能となる。
〔加熱機構〕
加熱機構115は、チャンバー101を加熱する機能を有する。加熱機構115としては、代表的にはヒータを用いることができる。加熱機構115としては、チャンバー101を構成する部材の内部に組み込まれていてもよいし、チャンバー101の内壁または外壁に固定されていてもよい。また、加熱機構115として脱着が可能なヒータ(例えばラバーヒータ、リボンヒータ、シートヒータ、マントルヒータ、コードヒータ等)を用い、必要なときにのみチャンバー101に装着して使用してもよい。また加熱機構115として、ランプヒータ等を用いてもよい。
加熱機構115によりチャンバー101を加熱することで、チャンバー101の内壁に吸着した不純物を脱離させ、チャンバー101の内壁を清浄化することができる。
ここで、前述のようにチャンバー101とプローブ支持機構107とが熱的に接続されていることが好ましい。加熱機構115によりチャンバー101を加熱する際に、プローブ支持機構107にも熱が伝わることで同時に加熱することができる。その結果、プローブ支持機構107およびプローブ111の表面も清浄化させることができる。
また、加熱機構115とは別に、プローブ支持機構107を加熱する加熱機構116を有していることが好ましい。加熱機構116によってプローブ支持機構107を直接加熱することにより、より効果的にプローブ支持機構107およびプローブ111の表面の清浄化を行うことができる。加熱機構115と加熱機構116は、それぞれ同一の温度に設定してもよいし、それぞれ異なる温度に設定してもよい。
また、加熱機構115と加熱機構116の両方を用いる場合には、チャンバー101とプローブ支持機構107とが断熱されていてもよい。例えばプローブ支持機構107を構成する部材の耐熱温度が比較的低い場合には、加熱機構115の設定温度よりも加熱機構116の設定温度を低くし、チャンバー101からの熱がプローブ支持機構107に伝わらないようにすることで、プローブ支持機構107が過熱されることによる破損を防ぐことができる。
以上が測定装置100についての説明である。
[試料について]
測定装置100で測定可能な試料(被測定物ともいう)110の形態は、様々なものを用いることができる。代表的には、基板上に形成された薄膜を試料として用いることができる。このとき、基板からの脱ガスの影響を排除するために、測定対象となる薄膜が形成されていない基板をリファレンスとして用いることが好ましい。
または、試料110の形態として、基板上に形成された薄膜だけではなく、当該薄膜を加工するなどして作製した配線、トランジスタやダイオードに代表される半導体素子、抵抗素子、容量素子、発光素子、光学素子などを用いることもできる。さらには、これらの少なくとも2以上を含んで構成される回路を試料110として用いることもできる。このような配線や素子、または回路を用いる場合には、プローブ111を接触させるための電極を表面に有していることが好ましい。
そのほか、試料110の形態としては、例えば、粉末状、粉末を固めたペレット状、板状、球状のものなどを用いることができる。
また、試料110として様々な材料を含む試料を用いることが可能である。例えば無機物、有機物、金属錯体等を含む材料などを用いることができる。また電気的性質としては導電体、半金属、絶縁体、半導体のいずれの性質を示す材料を含んでいてもよい。
以上が試料(被測定物)についての説明である。
[評価系について]
以下では、測定装置100を用いた評価系(測定システムともいう)の例について説明する。図4は、評価系の構成例を示すブロック図である。図4に示す評価系は測定装置100に加え、電気測定器141、第1の加熱機構制御部142、第2の加熱機構制御部143、及びコンピュータ(制御装置ともいう)140等を備える。図4中に示す破線矢印は、各構成間でのデータ、または信号のやり取りの向きを示している。
電気測定器141は、プローブ111に任意の電位を与えることができる。また、プローブ111に流れる電流、プローブ111の電位、またはその両方を測定することができる。例えば電気測定器141により測定される電圧−電流特性から、試料110の様々な物性値を見積もることが可能となる。代表的には、電気抵抗値、シート抵抗値などの値を見積もることができる。また、試料110として電気素子、または電気回路のTEGを用いることで、電気測定器141により当該電気素子の電気的特性や電気回路の動作などを評価することもできる。電気素子としては、代表的には抵抗、容量、トランジスタ、ダイオード等が挙げられる。
電気測定器141としては、例えば電圧測定器、電流測定器、電力測定器、オシロスコープ等のほか、半導体素子や回路の特性を測定する用途に特化した測定器などを用いることができる。また電気測定器141として、上記測定器と信号発生機器を組み合わせて用いてもよい。
第1の加熱機構制御部142は、温度測定機構105により測定される試料110の温度データが入力される。また第1の加熱機構制御部142には、熱電対112によって測定されるステージ温度のデータ(具体的には電位差)が入力される。第1の加熱機構制御部142は、これらの温度データに基づき、ステージ加熱機構103の動作を制御することで、ステージ温度または試料110の温度を制御することができる。
第2の加熱機構制御部143は、加熱機構115や加熱機構116の温度を制御することができる。
ガス分析機構106によって取得されたデータは、コンピュータ140に入力される。測定者はコンピュータ140を用いて、当該データを解析することができる。
また、図4に示すように、電気測定器141と第1の加熱機構制御部142をコンピュータ140と接続し、これらをコンピュータ140上で制御可能な構成とすることが好ましい。こうすることで、電気測定器141とステージ加熱機構103とを同期させて制御することが可能となり、様々な測定シーケンスを容易に実行することが可能となる。
また、図4に示すように、第2の加熱機構制御部143や、圧力調整機構104もコンピュータ140上で制御可能な構成とすると、使用者が評価系の操作をコンピュータ上で統一的に行うことが可能となるため、操作性や利便性を向上させることができる。ここで、コンピュータ140は制御装置とも言い換えることができる。
なお、コンピュータ140に接続される記憶装置を備えることが好ましい。記憶装置には、測定装置100によって測定されたデータを保存することができる。このとき、記憶装置はコンピュータ140の内部に組み込まれていてもよい。記憶装置としては、主記憶装置と補助記憶装置とに大別することができる。記憶装置としては、例えばHDD(ハードディスクドライブ)や不揮発性のソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)デバイスなどの記録メディアドライブ等を用いることができる。
以上が測定装置100を適用した評価系の例についての説明である。
ここで、測定装置100を、被測定物を製造する製造装置を有する製造ラインに組み込むことが好ましい。製造ラインに測定装置100を組み込むことで、例えば製造工程における抜き取り検査等に、測定装置100を用いることができる。
[測定手順の例]
続いて、測定装置100を用いた測定手順の一例について説明する。図5は、測定手順の一例を示すフローチャートである。
図5(A)に、測定手順全体のフローを示す。ベーク工程(S01)、測定工程(S02)の順で工程を進める。測定工程(S02)が終了した段階で、異なる試料を用いて測定を継続する場合には、測定工程(S02)に戻り、継続しない場合には測定終了となる(S03)。
図5(B)にベーク工程(S01)のフローを、図5(C)に測定工程(S02)のフローをそれぞれ示す。
〔ベーク工程〕
まず、チャンバー101の内部を圧力調整機構104によって減圧する(A01)。ここで、チャンバー内の圧力を例えば5×10−6Pa以下、好ましくは1×10−6Pa以下、より好ましくは1×10−7Pa以下にまで減圧することが好ましい。
続いて、加熱機構115により、チャンバー101を加熱するベーク処理を行う(A02)。このとき、チャンバー101とプローブ支持機構107とが熱的に接続されている場合、プローブ支持機構107も同時に加熱することができる。さらに、加熱機構116を有する場合には、このとき同時にプローブ支持機構107を加熱する。
チャンバー101内を減圧した状態で、チャンバー101およびプローブ支持機構107を加熱することにより、チャンバー101の内壁の表面や、プローブ支持機構107の表面などに吸着した分子等を効果的に除去し、表面を清浄化することができる。また、チャンバー101およびプローブ支持機構107の部材に、加熱によりガスが脱離する材料を用いた場合、当該ベーク処理によりあらかじめガスを十分に脱離させておくことで、後の測定工程における熱でガスが脱離してしまうことを抑制し、より高精度な測定を行うことができる。
加熱機構115および加熱機構116によるベーク処理の温度は高いほど好ましいが、チャンバー101やプローブ支持機構107等に用いる部材の耐熱性や、安全性等を考慮して温度を設定すればよい。例えば、80℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上150℃以下の温度とする。またベーク処理の時間は長いほど好ましく、例えば6時間以上、好ましくは12時間以上、より好ましくは24時間以上、より好ましくは48時間以上、より好ましくは72時間以上とする。
ベーク処理を行うことで、チャンバー101内の圧力はベーク処理を行う以前よりも低くなる場合がある。例えば、ベーク処理後のチャンバー101内の圧力を、3×10−7Pa以下、好ましくは1×10−7Pa以下、より好ましくは7×10−8Pa以下、より好ましくは5×10−8Pa以下、より好ましくは1×10−8Pa以下にまで減圧することが可能となる。
またベーク工程を経た後、チャンバー101内を減圧状態に保持することで、チャンバー101内を極めて正常な状態に保持することができる。したがって、試料を交換するたびにベーク処理を行う必要はなく、測定装置100の起動時に1度のベーク工程を行えばよい。なお測定における試料からの脱ガスが多い場合や、チャンバー101の内壁に吸着しやすいガスが試料から脱離するなどにより、測定を繰り返し行うことでチャンバー101内の清浄度が低下する場合には、試料を交換するタイミングでベーク工程を行ってもよい。
また、ベーク工程において、ステージ加熱機構103によりステージ102の加熱を行ってもよい。このとき、加熱温度は高いほど好ましいが、ステージ102の耐熱性を考慮して適宜設定すればよい。例えばステージ102aとして炭化ケイ素を、ステージ102bとして石英を用いた場合、加熱温度として500℃以上1200℃以下、好ましくは800℃以上1200℃以下、代表的には1000℃とすればよい。加熱時間は上記ベーク工程の時間以下とすればよく、例えば30分以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上の加熱を行えばよい。
以上でベーク工程が終了する。ベーク工程の終了後、測定工程に移る。
〔測定工程〕
まず、試料110を導入する(B01)。試料110の導入は、ロードロック室120を介して上述の方法により行うことができる。
続いて、測定の準備を行う(B02)。具体的には、ステージ102上に設置された試料110に対して、プローブ支持機構107を用いてプローブ111を接触させる。また、温度測定機構105として熱電対118を用いた場合には、熱電対118を試料110の表面に接触させる。
測定準備が整ったら、測定を開始する(B03)。測定は、ステージ温度または試料温度を変化させながら、または維持させた状態で、試料110から脱離したガスをガス分析機構106により検出すると同時に、プローブ111に適切な電位を与え、プローブ111を介して試料110に流れる電流等を測定する。測定シーケンスの具体的な例については後述する。
測定は、例えば複数のプローブ111のそれぞれに所定の固定電位を与えた状態で、当該複数のプローブ111のそれぞれに流れる電流のうち1以上を取得することにより行ってもよい。または、複数のプローブ111のうち1以上に与える電位を変化させながら、当該電流を取得してもよい。
また、測定は、ステージ温度または試料温度が所定の温度に達したときに、一度の測定を行ってもよいし、複数回の測定を行ってもよい。一の温度で複数回測定することで、測定誤差を軽減し、データの信頼性を高めることができる。
測定が終了したら、試料110の搬出を行う(B04)。まず試料110に接触させていたプローブ111、及び熱電対118等を試料110から離す。続いて、上述した方法によりロードロック室120を介して試料を測定装置100から搬出する。
以上で測定工程が終了する。
以上が測定手順の例についての説明である。
[測定方法の例]
以下では、より具体的な測定方法と、測定シーケンスの例について図面を参照して説明する。
測定は、試料110の温度またはステージ温度の制御、ガス分析機構106による測定、及びプローブ111を用いた試料110の電気的測定を、組み合わせて行う。
ガス分析機構106として質量分析計を用いた場合、質量電荷比(m/zとも表記する)に対応した検出強度を1種類または複数種類に亘って同時に測定することができる。例えば、試料110から脱離したガスに含まれるイオン、分子等の種類(具体的には質量電荷比)とその脱離量を見積もることができる。
プローブ111による電気的測定としては上述のように様々な測定方法が挙げられるが、最も簡易な測定手法としては、2探針法による電圧−電流特性の測定や、4探針法によるシート抵抗値の測定などが挙げられる。
例えば試料110の導電性を評価する場合、例えば以下のような手法を用いることができる。一つは、試料110に対して定電圧を印加した時に流れる電流を測定することにより、抵抗値を見積もる。このとき、測定期間中は試料110に対して常時電流を流し続け、一定期間ごとに電流値をサンプリングする方法を用いてもよいし、サンプリングするときにのみ試料110に電流を流してもよい。もう一つは、試料110に印加する電圧を掃引(スイープ)しながら電流を測定することにより得られる電圧−電流特性の傾きから、抵抗値を見積もることができる。
ガス分析機構106による測定におけるサンプリングのタイミングと、プローブ111による電気測定におけるサンプリングのタイミングとを、同期させることが好ましい。この時、同じ頻度でサンプリングを行ってもよいし、いずれか一方のサンプリング頻度を、他方のサンプリング頻度の定数倍としてもよい。
ここで、ガス分析機構106による測定におけるサンプリングの頻度を、電気測定におけるサンプリングの頻度よりも高く設定することが好ましい。例えば試料110からガスが脱離して電気的特性が変化する場合、電気測定ではガスの脱離に対して時間的な遅れを伴うことなくその電気的特性の変化を即座に検出できる。一方、試料110から脱離するガスの検出には、試料110からガスが脱離した瞬間からの時間的な遅れが生じる場合がある。特にガスの検出にかかるサンプリングの頻度が低いと、この時間的な遅れが大きくなる恐れがあるため、当該サンプリングの頻度はできるだけ高くすることが好ましい。
また、ステージ加熱機構103による温度制御と、ガス分析機構106による測定と、プローブ111による電気測定のそれぞれのタイミングを同期させて測定することが好ましい。例えば図4で例示したコンピュータ140に、これらを同期させて制御するためのプログラムを実行させるなどすればよい。このとき、測定に係る様々なパラメータをあらかじめ測定者が任意に設定できることが好ましい。例えば、ステージ加熱機構の制御に関する測定パラメータとしては、測定開始温度や測定終了温度などの温度、昇温速度、降温速度、保持時間などが挙げられる。またガス分析機構の制御に関する測定パラメータとしては、取得する質量電荷比の選択、サンプリング頻度、サンプリング開始及び終了のタイミングなどが挙げられる。また電気測定の制御に関する測定パラメータとしては、サンプリングの開始及び終了のタイミングや頻度のほか、プローブに与える電位またはプローブから取得する電位または電流など、用いる電気測定の手法や試料の種類に適した測定条件に応じたパラメータなどが挙げられる。
図6及び図7に、測定シーケンスの例を示す。各々の図において、縦軸に試料温度を示し、横軸に時間を示している。
ここで、以下で示す温度T0は測定開始時の温度を示している。温度T0は試料110から顕著な脱ガス現象が生じない程度の温度であればよく、例えば室温、0℃などの任意の温度とすることができる。
図6(A)は、試料温度を温度T0から温度T1にかけて一定の傾き(速度)で昇温しながら測定を行う例を示している。このような測定を行うことで、試料110から脱離する元素や分子はある特定の温度にピークをもつプロファイルを示すことが多いため、これと電気的特性の変化との相関関係から、電気的特性の変化の要因となる元素を特定することが容易となる。
図6(B)は、試料温度を温度T0から温度T2に昇温した後に、温度T2で保持しつつ測定を行う例を示している。例えば試料110の電気的特性の変化の要因となる元素が明確である場合、当該元素が脱離しやすい温度に保持した状態で、当該元素の脱離量と電気的特性とを同時に評価することで、当該元素の脱離量と電気的特性の変化量との相関関係を詳細に調べることが可能となる。また、図6(C)に示すように、2以上の温度(温度T3及び温度T4)でそれぞれ保持する期間を設ける方法を用いてもよい。
図6(D)では、試料温度を温度T0から温度T5まで一定の昇温速度で昇温した後、温度T5よりも低い温度T6まで降温させながら、測定を行う例を示している。このような方法により、元素が脱離した後の状態での、試料110の電気的特性の温度依存性を測定することが可能となる。また、図6(E)に示すように、温度T5で保持する期間を設けることで、試料110から十分に元素を脱離させた状態とすることができる。
図7(A)では、試料温度を温度T0から温度T7まで一定の昇温速度で昇温した後、温度T7よりも低い温度T8まで降温し、さらに温度T9まで昇温させるように温度を変化させながら測定を行う例を示している。このような方法により、最初の昇温時には試料110からの元素の脱離現象の影響を含む電気的特性の温度依存性を測定し、2度目の昇温時には当該元素が脱離した状態における(すなわち、脱離現象の影響を殆ど含まない)電気的特性の温度依存性を測定することが可能となり、これら2種類の電気的特性を比較することができる。また、図7(B)に示すように、最初の昇温の後に温度T7で保持する期間を設けてもよい。また、2度目の昇温における到達温度T9は、最初の昇温における到達温度T7以下とすることが好ましい。
また、図7(C)及び(D)に示すように、2度目の昇温の後に降温させながら測定を行う期間を設けてもよい。なお図7(C)、(D)では、昇温と降温をそれぞれ2回行う方法について示したが、3回以上繰り返してもよい。
以上が測定方法についての説明である。
[測定データの例]
図8(A)(B)は、図6(A)で例示した測定シーケンスを用いて測定することにより得られるデータの例を模式的に示している。図8(A)は、ガス分析機構106により測定された、質量電荷比X及びYのそれぞれについて得られる検出強度を試料温度に対してプロットした図である。図8(B)は、プローブ111を介して電気測定器141により測定された試料の導電率を試料温度に対してプロットした図である。
ここで図8(A)に示すように、温度T11及び温度T13では質量電荷比Xの検出強度にピークがみられ、温度T12では質量電荷比Yの検出強度にピークがみられるとする。
また図8(B)に示すように、温度T12の前後で導電率の低下がみられ、また温度T13の前後で導電率の上昇がみられているとする。
この2つの結果から、温度T12近傍における導電率の低下は、質量電荷比Yに対応する元素の試料からの脱離に起因すること、また温度T13近傍における導電率の上昇は、質量電荷比Xに対応する元素の試料からの脱離に起因することなどを推察できる。さらに温度T11における質量電荷比Xの検出強度のピークは導電率に影響しないことから、T11で生じる質量電荷比Xに対応するイオンのピークは、試料内部ではなく試料表面に吸着した元素の脱離現象に起因するなどの考察をすることができる。
また、図8(B)に示すように、温度T12よりも低い温度における曲線の傾き、温度T12と温度T13の間における曲線の傾き、及び温度T13よりも高い温度における曲線の傾きがそれぞれ異なるとする。このとき、元素の脱離により試料の組成や構造が変化することに伴い、それぞれの温度範囲では異なる導電機構が存在する等の考察をすることができる。
このように、本発明の一態様の測定装置、及び測定方法を用いることで、試料からの元素の脱離現象に伴う電気的特性の変化を詳細に調査することが可能となる。
例えばこのような調査は、従来の装置では実現することは極めて困難であった。例えば、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析により試料からの脱離ガスを測定することは可能である。またTDS分析の前後、すなわちガスの脱離前後における試料の電気的測定を行うことは可能である。しかしながら、試料からのガスの脱離の前後における電気的特性の変化が、実際にどのような元素の脱離により生じるのか、または単純に加熱により試料の結晶状態が変化したことによって生じるのか、などの切り分けをすることは困難である。さらに、試料からの元素の脱離量と電気的特性の変化量との関連性を正確に知ることは困難である。
さらに、本発明の一態様の測定装置、及び測定方法によれば、極めて清浄なチャンバー内で且つ減圧された状態で試料の電気的特性を評価することが可能となる。そのため試料の測定中に、電気的特性に影響を及ぼすイオンなどの不純物が試料表面に吸着してしまうことを抑制できる。その結果、測定によって得られるデータの信頼性を向上させることができる。
本発明の一態様の測定装置、及び測定方法を用いることで、これまでに知ることのできなかった物性、物理現象、導電機構などに対して新たな知見を得ることができ、科学技術の発展に大いに寄与できることが期待される。
100 測定装置
101 チャンバー
102 ステージ
102a ステージ
102b ステージ
103 ステージ加熱機構
104 圧力調整機構
105 温度測定機構
106 ガス分析機構
107 プローブ支持機構
107a プローブ支持機構
107b プローブ支持機構
110 試料
111 プローブ
112 熱電対
113 赤外光
115 加熱機構
116 加熱機構
118 熱電対
120 ロードロック室
121 搬送機構
122 圧力調整機構
123 ゲートバルブ
124 ゲートバルブ
130a 部分
130b 部分
131a 調節つまみ
131b 調節つまみ
132 調節つまみ
132a 調節つまみ
132b 調節つまみ
132c 調節つまみ
133 腕部
134 プローブ支持部
136 溝部
140 コンピュータ
141 電気測定器
142 第1の加熱機構制御部
143 第2の加熱機構制御部

Claims (17)

  1. チャンバーと、ステージと、第1の機構と、第2の機構と、第3の機構と、第4の機構と、第5の機構と、を有し、
    前記ステージは、チャンバー内に配置され、被測定物を保持する機能を有し、
    前記第1の機構は、前記ステージを加熱する機能を有し、
    前記第2の機構は、前記チャンバー内を減圧する機能を有し、
    前記第3の機構は、前記被測定物の温度を検出する機能を有し、
    前記第4の機構は、前記チャンバー内に含まれる元素を検出する機能を有し、
    前記第5の機構は、プローブを支持する機能と、前記被測定物に前記プローブを接触させる機能を有する、
    測定装置。
  2. 請求項1において、
    第6の機構を有し、
    前記第6の機構は、チャンバーを加熱する機能を有し、
    前記チャンバーと前記第5の機構とは、熱的に接続される、
    測定装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    第7の機構を有し、
    前記第7の機構は、前記第5の機構を加熱する機能を有する、
    測定装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    測定器を有し、
    前記測定器は、前記プローブに電気的に接続され、前記被測定物に流れる電流を測定する機能を有する、
    測定装置。
  5. 請求項4において、
    制御装置を有し、
    前記制御装置は、前記測定器と前記第1の機構とを同期させて制御する機能を有する、
    測定装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の測定装置と、
    前記被測定物を製造する機能を有する製造装置と、
    を有する、製造ライン。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の測定装置と、
    前記測定装置に接続されたコンピュータと、
    を有する、測定システム。
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の測定装置と、
    前記測定装置に接続されたコンピュータと、
    前記コンピュータと接続された記憶装置と、を有し、
    前記記憶装置は、前記測定装置を用いて測定されたデータを保存する機能を有する、
    測定システム。
  9. 減圧されたチャンバー内のステージに被測定物を配置する第1のステップと、
    前記被測定物にプローブを接触させる第2のステップと、
    前記ステージの温度を上昇させながら、前記被測定物から脱離する元素を検出すると共に、前記プローブを介して前記被測定物に流れる電流を測定する第3のステップと、を有する、
    測定方法。
  10. 請求項9において、
    前記第3のステップよりも後に、前記ステージの温度を所定の温度に保持し、前記被測定物から脱離する元素を検出すると共に、前記プローブを介して前記被測定物に流れる電流を測定する第4のステップを有する、
    測定方法。
  11. 請求項9または請求項10において、
    前記第3のステップよりも後に、前記ステージの温度を下降させながら、前記被測定物から脱離する元素を検出すると共に、前記プローブを介して前記被測定物に流れる電流を測定する第5のステップを有する、
    測定方法。
  12. 請求項9乃至請求項11のいずれか一において、
    前記第1のステップよりも前に、前記チャンバーを加熱する第6のステップを有する、
    測定方法。
  13. 請求項12において、
    前記第6のステップにおいて、前記チャンバーを80℃以上300℃以下の温度で、6時間以上加熱する、
    測定方法。
  14. 請求項9乃至請求項13のいずれか一において、
    前記第1のステップよりも前に、プローブ支持機構を加熱する第7のステップを有する、
    測定方法。
  15. 請求項14において、
    前記第7のステップにおいて、前記プローブ支持機構を80℃以上300℃以下の温度で、6時間以上加熱する、
    測定方法。
  16. 請求項9乃至請求項15において、
    前記被測定物の形態は、粉末状、ペレット状、板状、球状、または基板上に形成された薄膜状である、
    測定方法。
  17. 請求項9乃至請求項15において、
    前記被測定物の形態が、基板上に形成された配線、半導体素子、抵抗素子、容量素子、またはこれらの少なくとも2以上を含む回路である、
    測定方法。
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