JP2015193112A - インク検査方法、インク検査装置及びインクジェット式記録方法 - Google Patents

インク検査方法、インク検査装置及びインクジェット式記録方法 Download PDF

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【課題】インクジェット用インクを記録ヘッド内に充填する前に、簡易な方法でインクジェット用インクの吐出性能を検査することが可能なインク検査方法、インク検査装置及びインクジェット式記録方法を提供する。【解決手段】インクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査装置であって、インクを保持する保持体2Aと、保持体2Aにより保持されたインクにおける少なくとも1つの特定部位について、粘度を静止状態で経時的に測定し、複数時点での粘度データを測定する粘度センサ4と、少なくとも1つの特定部位における複数時点での粘度データに基づいて、当該特定部位におけるインクの増粘速度データを得る増粘速度データ生成手段と、増粘速度データを、インクのインクジェット式記録装置における吐出性能を評価する指標として表示する表示手段7とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット式記録装置におけるインクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査方法、インク検査装置及びインクジェット式記録方法に関する。
インクジェット式記録装置に用いられるインクジェット用インクにおいては、粘度や表面張力等のインク物性をインクジェットヘッドの推奨範囲内に調整してもインクの吐出不良(ノズル欠けや、ドット抜けとも呼ばれる。)を生じることがあり、十分な吐出性能を発揮できない場合がある。吐出不良の原因としては、例えば、インクのチキソ性や粒径の大きい粒子の存在などが挙げられるが、インク中に含まれる顔料が沈降することによってもインクの吐出不良は生じる。すなわち、記録ヘッド内部で顔料の沈降が生じると、ノズル付近のインクは増粘する結果、インクの吐出不良となる。インクのチキソ性はレオメータにより測定可能であり、インク中に含まれる粗粒子は粒度分布測定などにより測定可能である。従って、記録ヘッドに充填する前に、これらのインク物性を測定して検査し、吐出不良の発生を低減することができる。
一方、顔料の沈降によるノズル付近でのインクの増粘については、実際に記録ヘッドにインクを充填して印刷評価を行う方法も採用されていた。しかしながら、この方法による評価においては、多くの評価工数が必要となる上に、大量のインクも使用することになる。また、印刷評価は、官能試験によるものであり定量的に数値化して行われるものではない。
これに対し、下記特許文献1及び2に開示されている液滴吐出装置等によれば、吐出ノズルに充填されたインク粘度の測定が可能であるとされている。その結果、吐出ノズル内のインクの粘度変化を迅速に把握することが可能により、吐出不良の発生を事前に防止可能としている。
特開2009−262398号公報 特開2010−120233号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェット用インクを記録ヘッド内に充填する前に、簡易な方法でインクジェット用インクの吐出性能を検査することが可能なインク検査方法、インク検査装置及びインクジェット式記録方法を提供することにある。
本発明に係るインク検査装置は、前記の課題を解決する為に、インクジェット式記録装置におけるインクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査装置であって、前記インクにおける少なくとも1つの特定部位について、粘度を静止状態で経時的に測定し、複数時点での粘度データを測定する粘度センサと、前記少なくとも1つの特定部位における複数時点での粘度データに基づいて、当該特定部位におけるインクの増粘速度データを得る増粘速度データ生成手段と、前記増粘速度データを、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価する指標として表示する表示手段とを有することを特徴とする。
前記増粘速度データと評価基準とに基づいて、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価するための評価データを生成する評価手段をさらに備え、前記表示手段は、前記評価データを表示することが好ましい。
前記評価基準は、インクの増粘速度が0.1mPa・s/min以下、又は−0.1mPa・s/min以上であることが好ましい。
前記インクの特定部位が、当該インクの上面付近及び/又は下面付近に設定されることが好ましい。
本発明に係るインク検査方法は、前記の課題を解決する為に、インクジェット式記録装置におけるインクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査方法であって、前記インクにおける少なくとも1つの特定部位について、粘度を静止状態で経時的に測定し、複数時点での粘度データを得る測定工程と、前記少なくとも1つの特定部位における複数時点での粘度データに基づいて、当該特定部位におけるインクの増粘速度データを得る増粘速度データ生成工程と、前記増粘速度データと評価基準とに基づいて、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価する評価工程とを有することを特徴とする。
前記構成に於いては、前記評価基準として、インクの増粘速度が0.1mPa・s/min以下、又は−0.1mPa・s/min以上であることを用いるのが好ましい。
前記構成に於いては、前記インクの特定部位が、当該インクの上面付近及び/又は下面付近に設定されることが好ましい。
また、前記構成に於いては、前記測定工程が、表面音響波センサの検出部を前記インクに接触させることにより前記粘度データを得る工程であることが好ましい。
また、前記構成に於いては、前記測定工程の前に前記インクを攪拌する攪拌工程を行うことが好ましい。
また、本発明のインクジェット式記録方法は、前記の課題を解決する為に、インクジェット用のインクの液滴を吐出し、当該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、前記インクジェット用のインクとして前記に記載のインク検査方法により、インクの吐出性能が評価基準を満たすものを用いることを特徴とする。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べる効果を奏する。
すなわち、インクジェット用のインクは分散媒よりも比重の大きい顔料を含んでいるため、当該顔料は時間の経過に共に沈降する。本発明においては、検査対象となるインクの特定部位における粘度を経時的に測定し、当該特定部位における複数時点での粘度データを得ることで、顔料の沈降状態の経時的変化を把握することが可能になる。また、粘度の測定はインクが静止状態であるときに行うので、顔料の沈降状態を高精度で確認することができる。そして、複数時点での粘度データを基に、特定部位におけるインクの増粘速度データを得ることができる。これにより、顔料の沈降に起因した吐出不良を発生しない増粘速度を評価基準とし、得られた増粘速度データと比較することにより、検査対象であるインクのインクジェット式記録装置における吐出性能を評価することができる。すなわち、本発明のインク検査方法によれば、検査対象であるインクの増粘速度を使用前に測定し、さらに、顔料の沈降に起因した吐出不良を発生しない増粘速度を評価基準にしてこれと比較することで、インクの吐出性能を高精度で簡便に検査することができる。
実施の形態1に係るインク検査装置1の構成を概略的に示す説明図である。 実施の形態1に係る測定部4Aの構成を示す説明図である。 実施の形態1に係る測定部4Bの構成を示す説明図である。 実施の形態1に係る制御部6の電気的構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る沈降状態評価の動作を示すフロー図である。 実施の形態2に係るインク検査装置1Aの構成を概略的に示す説明図である。 実施の形態2に係るインク検査装置1Aの粘度センサ4の構成を示す説明図である。 実施の形態2に係る制御部6Aの電気的構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る沈降状態評価の動作を示すフロー図である。 実施の形態2に係る沈降状態評価の動作過程におけるインク検査装置1Aを概略的に示す説明図である。 実施の形態1の変形例に係るインク検査装置1Bの構成を概略的に示す説明図である。 実験例1、実験例2及び実験例3に係る白色インクを経時的に粘度測定した場合の粘度−経過時間をプロットした図である。
(実施の形態1)
<1.1 実施の形態1のインク検査装置1の構成>
図1は、本実施の形態1に係るインク検査装置1の構成を概略的に示す説明図である。尚、図1中の矢印Zは鉛直方向上向きを示している。
図1に示すように、インク検査装置1は、検査対象となるインクジェット用インク(以下、「インク」という。)の粘度を、静止状態で測定する測定部4A及び測定部4Bと、測定部4A、4Bを制御してその測定結果を基にインクの沈降状態を評価する制御部6と、制御部6における出力結果(評価結果)を表示する表示手段7とを備える。
測定部4A、4Bに用いる粘度センサ4(上方粘度センサ43、下方粘度センサ41)としては特に限定されず、例えば、表面音響波センサ等が挙げられる。インク検査装置1の検査対象はインクジェット用のインクであれば特に限定されない。
以下、インク検査装置1の各部の構成について詳細に説明する。
<測定部4A>
測定部4Aについて、図2を参照しながら説明する。図2は、測定部4Aについて、その機能に係る構成を示す説明図である。尚、図2においては、保持体2Aにインクインクが保持される空間(以下、「測定空間L1a」と呼ぶ)に関して、測定空間L1aに貯留された状態でインクが占める上下高さ範囲の中心高さに規定した仮想水平面IPaを境界として、上半分の高さ範囲を「上部領域L3a」、下半分の高さ範囲を「下部領域L2a」という。
図2に示すように、測定部4Aは、検査対象となるインクの粘度をその上面部位について静止状態で測定するものである。測定部4Aは、検査対象となるインクを保持する保持体2Aと、保持体2Aに保持されたインクの上面付近の粘度を静止状態で測定する粘度センサ4(上方粘度センサ43)とによって構成される。
保持体2Aは、本実施の形態では上部が開口する容器によって構成され、その内部にインクを貯留することができる。
上方粘度センサ43は保持体2Aの上部の開口より入れられ、その検出部44が保持体2Aに貯留されているインク上面に接触するように設けられる。このため、上方粘度センサ43によって、保持体2A内に一定期間静置されるインクの少なくとも1つの特定部位(上面付近)での粘度を静止状態で経時的に測定して、複数時点での粘度データを生成することができる。
上方粘度センサ43の検出部44は、測定空間L1aに貯留されるインクに向けて音響波を発する発信手段441と、発信手段441より発せられインク中を伝播した前記音響波を受信する受信手段442とを少なくとも備える。上方粘度センサ43は、さらに、検出部44による粘度測定を制御する測定制御手段431と、検出部44による検出結果を基に粘度データを生成する粘度データ生成手段432とを備える。
発信手段441は、上部領域L3aのうち上面付近の部位に対して水平方向(上方粘度センサ43とインクとの接触面に沿った方向)に音響波(以下、「表面音響波」と呼ぶ)を発生させる手段である。一方、受信手段442は、発信手段441と水平方向に一定間隔離れた位置に設けられ、発信手段441から発せられインク内を伝播した前記音響波を受信する手段である。
測定制御手段431は、発信手段441より発せられる表面音響波の特性(振幅・周波数など)や測定期間を設定し、検出部44による粘度測定を制御する手段である。
粘度データ生成手段432は、発信手段441により発された表面音響波の特性と受信手段442により受信された表面音響波の特性と基づいて、表面音響波の伝播の媒質であるインクにおける当該測定箇所の音響インピーダンス(単位は(ω×η×ρ)1/2)を測定し、音響粘度(単位はAV)を求めるとともに、当該音響粘度を示す粘度データを生成する手段である。ただし、ωはラジアン単位で表した周波数、ρは媒質の密度、ηは媒質の固有粘度を表す。ここで、ωは測定制御手段431により設定可能な値であるので、音響インピーダンス(単位は(ω×η×ρ)1/2)が取得されることによって、η×ρを求めることができる。また、音響粘度(単位はAV)については、AV=η×ρ=cSt×ρ2という換算式にて換算可能であるので、音響インピーダンスを測定することで音響粘度を算出することが可能となる。なお、cStは媒質の動粘度を表す。
上方粘度センサ43による粘度測定の対象となる部位(特定部位)は、上部領域L3aのうち上面付近の発信手段441から受信手段442までの区間(以下、「上方測定部位L30」と呼ぶ)(第1部位)とすることができる。上方測定部位L30は、顔料の沈降による経時的な粘度の低下がインク中で最も大きい部位であるので、当該部位を測定対象とすることにより沈降状態評価の精度を高めることができる。
上方粘度センサ43による粘度の測定時間や測定間隔、回数は特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。また、測定する特定部位の面積についても適宜必要に応じて設定することができるが、表面音響波センサを用いる場合には、局所的な領域での測定が可能である。
また、上方粘度センサ43は上方測定部位L30にミクロな振動を与えることによって当該部位の粘度を測定する測定装置であるので、振動式粘度計やコーンプレート粘度計などのマクロな可動部を有する粘度計を用いて粘度を測定する場合と異なり、極めて静的に近い状態でインクの上方測定部位L30について粘度を測定できる。その結果、高精度な粘度測定が可能となる。なお、本発明において「静止状態で測定」とは、厳密に一切の動的処理を伴わず測定することだけを意味するものではない。表面音響波を利用した粘度測定のように、「対象物の粘度に実質的に影響しないような極めて静的に近い状態での測定」をも含む意味である。
以上まとめると、上方粘度センサ43は、極めて静的に近い状態で上方測定部位L30におけるインクの粘度(音響粘度)を測定期間中の複数時点で取得することによって、当該複数時点でのインクの粘度変化について高精度な粘度データ(以下、「上方粘度データ」と呼ぶ)を生成することができる。そして、上方粘度データは制御部6に送られる。
<測定部4B>
次に、測定部4Bについて説明する。図3は、下方粘度センサ41について、その機能に係る構成を示す説明図である。尚、図3においては、測定部4Aにおける用語と対応して、下方粘度センサ41にインクが保持される空間(以下、「測定空間L1b」と呼ぶ)に関して、測定空間L1bに貯留された状態でインクが占める上下高さ範囲の中心高さに規定した仮想水平面IPbを境界として、上半分の高さ範囲を「上部領域L3b」、下半分の高さ範囲を「下部領域L2b」と呼ぶ。
測定部4Bは、検査対象となるインクの下面部位における粘度を、静止状態で測定する。また、測定部4Bは、その検出部42(検出面)が上方を向いた状態の粘度センサ4(下方粘度センサ41)によって構成され、その検出部42(検出面)上に接触して一定期間静置されるインクの下面付近での粘度を、前記静置期間中の複数時点について下方粘度センサ41で測定し、この測定結果を制御部6に送信する部分である。このように、測定部4Bにおいては、下方粘度センサ41の上面がインクを保持する保持体としての機能を併せ持つ。
下方粘度センサ41は、上方粘度センサ43と上下逆向きに設置され、検出部42の測定対象となる部位(特定部位)が下部領域L2bのうち下面付近の発信手段421から受信手段422までの区間(以下、「下方測定部位L20」と呼ぶ)(第2部位)である点を除いて、上方粘度センサ43と同様の構成である。すなわち、下方粘度センサ41は、上方粘度センサ43における発信手段441、受信手段442、測定制御手段431、及び粘度データ生成手段432のそれぞれに対応する構成として、発信手段421と、受信手段422と、測定制御手段411と、粘度データ生成手段412とを備える。
下方粘度センサ41による粘度測定の対象となる部位(特定部位)は、下部領域L2bのうち下面付近の発信手段421から受信手段422までの区間(以下、「下方測定部位L20」と呼ぶ)とすることができる。下方測定部位L20は、顔料の沈降による経時的な粘度の増加がインク中で最も大きい部位であるので、当該部位を測定対象とすることにより沈降状態評価の精度を高めることができる。
下方粘度センサ41による粘度の測定時間や測定間隔、回数は特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。また、測定する特定部位の面積についても適宜必要に応じて設定することができるが、表面音響波センサを用いる場合には、局所的な領域での測定が可能である。
また、下方粘度センサ41は、上方粘度センサ43と同様、測定部位にミクロな振動(表面音響波)を与えることによって当該部位の粘度を測定する測定装置であるので、極めて静的に近い状態でインクの下方測定部位L20について粘度を測定できる。その結果、測定期間中の複数時点での高精度な粘度データ(以下、「下方粘度データ」と呼ぶ)を生成することができる。そして、下方粘度データは制御部6に送られる。
後述の評価工程では、上方粘度データと下方粘度データの双方から取得される粘度の経時的変化傾向に基づいてインクの沈降状態を評価する。一般にインクは経時変化と共に、その上側では顔料の沈降に伴って粘度が減少し、その下側では顔料の沈降に伴って粘度が増加することが知られている。本実施形態では、逆符号の変化傾向を持つ上方粘度データと下方粘度データとを利用して顔料の沈降状態を評価するため、一方側のみについての測定結果を基に沈降状態を評価する場合に比べて評価の信頼性が高まる。
<制御部6>
次に、制御部6について説明する。図4は、本実施の形態1に係る制御部6の電気的構成を示すブロック図である。同図に示す制御部6は、インク検査装置1の各部を制御する制御部であり、上方粘度センサ43及び下方粘度センサ41から得られるインクについての粘度測定結果に基づいて当該インクに分散する顔料の沈降状態を評価し、その評価結果を表示手段7に送信する。
制御部6のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様にすることができる。例えば、制御部6は、各種演算処理を行うCPU61、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM62、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM63、及び処理プログラムやデータなどを記憶しておく固定ディスク64をバスライン69に接続して構成することができる。
また、バスライン69には、粘度センサ4(上方粘度センサ43、下方粘度センサ41)及び表示手段7が接続されている。制御部6のCPU61は、固定ディスク64に格納されている処理プログラムを実行することにより、インク検査装置1に係る各部を制御してインクの沈降状態評価を実行する。
表示手段7は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理結果(評価結果)やメッセージ等の種々の情報を表示することができる。
また、バスライン69には入力手段65が電気的に接続されている。入力手段65は、例えばキーボードやマウス等を用いて構成されており、コマンドやパラメータ等の入力を受け付ける。
インク検査装置1の使用者は、表示手段7に表示された内容を確認しつつ入力手段65からコマンドやパラメータ等の入力を行うことができる。なお、表示手段7と入力手段65とを一体化してタッチパネルとして構成するようにしてもよい。
さらに、バスライン69には、DVDやCD−ROMなどの記録媒体RMから記録内容を読み取る読取装置66が接続されている。処理プログラムは、記録媒体RMから読取装置66によって読み出されて固定ディスク64に格納されるようにしてもよい。また、ネットワーク経由で外部の情報処理装置からダウンロードされるようにしてもよい。
図4に示すように、固定ディスク64には、インク検査装置1の処理プログラムとして、粘度センサ4で生成される粘度データ(上方粘度データ及び下方粘度データ)に基づいて、測定開始から測定終了までのインクの粘度の変化量(単位はAV)を測定部位ごとに特定するプログラムである増粘速度データ生成プログラムPR1と、増粘速度データと評価基準とに基づいてインク中における顔料の沈降状態を評価する評価データを得るためのプログラムである沈降状態評価プログラムPR2とが格納されている。
従って、後述する測定工程で上方粘度データ及び下方粘度データを生成した後、CPU61によって増粘速度データ生成プログラムPR1を実行することで後述する増粘速度データ生成工程(図5のステップST3)が、沈降状態評価プログラムPR2を実行することで後述する評価工程(図5のステップST4)が実現される。
<1.2 インク検査装置1を用いたインク検査方法>
次に、インク検査装置1を用いたインク検査方法について説明する。図5は、本実施形態のインク検査装置1における沈降状態評価の動作を示すフロー図である。
まず、検査対象となるインクを測定部4A又は測定部4Bの少なくとも何れかに供給し、粘度センサ4(上方粘度センサ43及び下方粘度センサ41)における粘度測定を開始するための準備をする(ステップST1)。本実施の形態に係るインク検査装置1は測定部4A又は測定部4Bの何れかでインクの検査を行っても精度の高い検査を行うことが可能である。この場合、インク検査装置1を簡易な構成にできるので、検査コストの抑制が図れる。その一方、測定部4Aと測定部4Bの両方で同時に測定を行うことにより、検査精度の一層の向上が図れる。
測定部4A及び/又は測定部4Bへのインクの供給は、具体的には、インク検査装置1の使用者は、例えばスポイトなどの器具を用いて所定量のインクを保持体2Aに供給し、当該インクの上面と上方粘度センサ43の下面(検出部44)とを接触させる。また、装置の使用者は、同様にスポイトなどの器具を用いて所定量のインクを検出部42上に供給する。供給されたインクは、その表面張力によって検出部42が存在する下方粘度センサ41の上面に保持される。この結果、測定部4A、4Bについて、ステップST2の測定工程を開始可能な状態となる(図1)。本実施の形態に於いては、粘度センサに表面音響波センサを用いることにより、インクの使用量を極めて少なくすることが可能になる。
ステップST2(測定工程)では、制御部6によって、測定空間L1aに静置されるインクに対しては上方粘度センサ43が、測定空間L1bに静置されるインクに対しては下方粘度センサ41が能動化される。この結果、インクの上方測定部位L30及び下方測定部位L20に対して、複数時点で粘度測定が行われる。粘度測定は、例えば、室温下で行われ、また、測定時間や測定間隔は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。これにより、測定工程においては、上方粘度データ及び/又は下方粘度データからなる粘度データが生成される。
上方粘度センサ43及び下方粘度センサ41の測定動作が停止し、ステップST2での測定工程が終了すると、インクにおける沈降状態を評価・表示するための工程であるステップST3〜ステップST5と、粘度測定後のインクを排出し測定部4A、4Bを洗浄する工程であるステップST6、ステップST7とが並行的に実行される。
まず、ステップST3〜ステップST5にかかる工程について説明する。
ステップST3は、下方粘度データ及び/又は上方粘度データに基づき増粘速度データを生成する増粘速度データ生成工程である。すなわち、制御部6は、下方粘度データ及び/又は上方粘度データを受け取ると、CPU61によって増粘速度データ生成プログラムPR1を実行する。増粘速度データ生成プログラムPR1は、測定工程で測定された複数時点での粘度データを基に、測定開始から測定終了までのインクの粘度の変化量(単位はAV)を測定部位ごとに特定するプログラムである。これにより、上方粘度データに基づく上方増粘速度データと、下方粘度データに基づく下方増粘速度データがそれぞれ生成される。ここで、増粘速度データの正負は、それぞれインクの増粘と減粘を意味する。
続いて、ステップST4(評価工程)では、制御部6が、CPU61によって沈降状態評価プログラムPR2を実行する。沈降状態評価プログラムPR2は、第1の評価基準に基づき、下方増粘速度データが適合しているか否かの下方評価データを生成する。また、第2の評価基準に基づき、上方増粘速度データが適合しているか否かの上方評価データも生成する。このように、使用可能なインクの評価基準を予め設定しておくことにより、インクの吐出性能評価項目の削減が図れる。さらに、下方評価データ及び上方評価データに基づいて、顔料の沈降に関するインクの物性に関する総合評価データを生成させるようにしてもよい。
ここで、前記第1の評価基準としては、増粘速度が0.1mPa・s/min以下であることが好ましく、0.066mPa・s/min以下であることがより好ましい。その一方、前記第2の評価基準としては、増粘速度が−0.1mPa・s/min以上であることが好ましく、−0.066mPa・s/min以上であることがより好ましい。前記第1の評価基準は、インクの種類や記録ヘッドノズルの吐出口におけるサイズ、吐出形状等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、増粘速度を0.1mPa・s/min以下にすることにより、吐出不良の発生を抑制することができる。また、前記第2の評価基準についても同様であり、増粘速度を−0.1mPa・s/min以上にすることにより、吐出不良の発生を抑制することができる。
また、ステップST5では、表示手段7に評価データ(上方、下方、総合)が表示される。インク検査装置1の使用者は、表示手段7に表示される評価データを確認することで、測定対象となったインクの顔料による沈降状態を把握することができる。なお、表示手段7には、インクの物質名、粘度データ、増粘速度データ、または処理条件(温度や測定期間)など、評価データ以外の各種情報を表示させることもできる。
本実施形態で検査対象となったインクについては、評価データ(上方、下方、総合)を表示手段7に表示させることが可能なことから、使用者はインクが吐出不良を生じやすいものであるか否か容易に検査することができる。
続いて、粘度測定後のインクを排出し測定部4A、4Bを洗浄する工程であるステップST6及びステップST7について説明する(図4)。
ステップST2(測定工程)でインクの粘度測定が終了すると、装置の使用者によって、インクが測定部4A、4Bより排出され(ステップST6)、測定部4A、4Bが洗浄される(ステップST7)。洗浄方法や洗浄条件については特に限定されず、例えば、水等により洗浄可能である。このステップST6、ステップST7の動作により、後続の検査対象となるインクを測定部4A、4Bで測定可能な状態にすることができる。
<1.3 本実施形態のインク検査装置1の効果>
(1) インクジェット方式では、静置状態のインクが、急激に加圧され、低せん断領域から高せん断領域に遷移しノズルから吐出される。このように、インクジェット用のインクは吐出直前まで静置状態で保管されるため、この静置期間中に当該インク内で顔料の沈降が生じうる。そして、顔料の沈降は、インク内での濃淡差による色バランスの崩壊やノズルの目詰まりを招来する。しかし、本実施形態のインク検査装置1では、下方測定部位L20や上方測定部位L30など局所的な粘度の経時的な測定に基づいて、吐出不良を生じるインクか否かの検査が可能になる。また、インク検査は、測定対象であるインクを静止状態にして行うので、動的な流れが生じた状態でのインクの粘度測定とは異なる。そのため、測定結果は流動の影響を受けない。これにより、吐出不良を引き起こすインクであるか否かについて高い精度で検査結果が得られる。
また、評価精度が高く短時間の静置(自然状態)においてわずかな顔料の沈降を評価することができるため、遠心分離法や加速試験によって沈降状態を作り出す必要がない。従って、遠心分離法や加速試験に要した測定期間(例えば、数時間)に比べて、短い測定期間(例えば、30分)でインクの検査を行なうことができる。また、ビーカーやサンプル容器等に一定量のインクを準備する必要がある遠心分離法や加速試験に比べ、必要な最小サンプル量を減らすことができ、検査コストの抑制も図れる。
(2)本実施形態の測定部4Bでは、下方粘度センサ41によって保持された状態におけるインクの下面付近に粘度測定の測定部位(下方測定部位L20)が設定されている。インクの下面付近では顔料の沈降による粘度の時間的増加が最も大きいため、沈降状態評価の精度が高まる。
また、本実施形態の測定部4Aでは、保持体2Aによって保持された状態におけるインクの上面付近に粘度測定の測定部位(上方測定部位L30)が設定されている。インクの上面付近では顔料の沈降による粘度の時間的低下が最も大きいため、沈降状態評価の精度が高まる。
さらに、上方測定部位L30と下方測定部位L20との双方についての粘度の経時的変化傾向に基づいて総合評価データを生成し、吐出不良を引き起こすインクか否かの評価をする。このように、逆符号の粘度変化傾向を持つ複数の部位での測定結果を利用して顔料の沈降状態を評価することにより、一方の領域のみについての測定結果を基に沈降状態を評価する場合に比べて検査結果の信頼性を一層向上させることもできる。
(実施の形態2)
<2.1 実施の形態2に係るインク検査装置1A>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図6は、実施の形態2にかかるインク検査装置1Aの構成例を概略的に示す説明図である。尚、実施の形態1のインク検査装置1と同一の要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、インク検査装置1Aは、検査対象となるインクを送液する配管部2と、配管部2内を流動するインクを攪拌して当該インク中で顔料がほぼ均一に分散した状態を形成する攪拌手段3と、攪拌手段3によって攪拌されたインクの粘度を静止状態で特定部位について測定する粘度センサ4と、インク検査装置1Aの各部を制御してインクの沈降状態を評価する制御部6Aと、制御部6Aから出力される評価結果を表示する表示手段7とを少なくとも備える。
また、インク検査装置1Aは、前記各部に加えて、配管部2の流路の開閉を制御する弁であって粘度センサ4に対して流路の上流側に位置する開閉弁51と、下流側に位置する開閉弁52を備える。従って、当該開閉弁51、52の開閉を制御することによって、インク検査装置1A内に供給されたインクを、粘度センサ4と対向し当該粘度センサ4によって粘度測定される空間(以下、「測定空間L1」と呼ぶ)に貯留することが可能となる。
従って、インク検査装置1Aは、検査対象となるインクを攪拌することにより顔料がほぼ均一な分散状態にあり、その後に測定空間L1にインクを一定期間貯留(静置)することができる。そして、前記粘度の測定期間中の複数時点でインクの特定部位における粘度を測定することで、この測定結果に基づいてインク中に分散する顔料の沈降状態を評価することができる。
配管部2は、沈降評価の対象となるインクを送液する配管系であって、インクをインク検査装置1A内に供給するための開口である供給口21と、供給口21から供給されるインクを測定空間L1を経由して送液する配管20と、配管20内を流動し測定空間L1での粘度測定を終えたインクをインク検査装置1Aの外部に排出する排出口22とを少なくとも備える。
また、配管20には、粘度センサ4の上流側に開閉弁51が、粘度センサ4の下流側に開閉弁52が設けられている。このため、供給口21よりインクを供給している状態でまず開閉弁52を閉止し、それから一定時間経過後に開閉弁51を閉止することで、配管20のうち開閉弁51、52に仕切られる区間(測定空間L1)をインクで満たすことができる。測定工程では、こうして測定空間L1に貯留されたインクの特定部位について、経時的な粘度変化が測定される。このように、実施の形態2のインク検査装置1Aでは、配管20と開閉弁51、52とがインクを保持する保持体として機能する。そして、測定空間L1に貯留(静置)されたインクは、本発明における「保持体で保持されたインク」に相当する。
攪拌手段3は、配管20の流路に沿って取り付けられており、配管20内を流動するインクを攪拌する。また、撹拌手段3は、粘度センサ4の上流側に取り付けられているため、測定空間L1での粘度測定の前にインクの攪拌が行なわれる。これにより、粘度測定の開始時にはインク中の顔料はほぼ均一な状態で分散している。
実施の形態2の攪拌手段3としては特に限定されないが、例えば、ON/OFFの切り替えが可能な超音波振動を発生させる装置等が挙げられる。この装置によれば超音波振動によって配管20内を流れるインクを攪拌することができる。また、攪拌手段3としては、例えばプロペラ等を回転させることによって、配管20内を流れるインクを攪拌できるような、マクロな可動部を有する装置を用いてもよい。インク中の顔料の沈降曲線は熱力学的な過渡曲線の1つであるから時間に関して指数関数的であり、沈降が進むほど単位時間あたりの密度変化は小さくなる。従って、粘度測定前にインクを攪拌することにより、インク中で単位時間あたりの密度変化が最も大きくなるような時間域を、粘度の測定期間に利用でき、沈降状態の評価精度を向上させ、検査精度を高くすることができる。
また、分散状態の異なる複数種類のインク、例えば、白色インクとマゼンタインクとシアンインクとについて沈降状態を評価する場合であっても、測定工程の開始時すなわち初期状態での各インクについての分散状態を攪拌によって同条件とすることにより、検査結果の安定性が向上する。
粘度センサ4は、実施の形態1と同様、その検出部42を測定空間L1の下面に接触して設けられた下方粘度センサ41と、その検出部44を測定空間L1の上面に接触して設けられた上方粘度センサ43と、によって構成される。
図7は、本実施の形態2に係るインク検査装置1Aの粘度センサ4の構成を示す説明図である。以下の説明では、実施の形態1と同様、測定空間L1に関して、測定空間L1に貯留された状態でインクが占める上下高さ範囲の中心高さに規定した仮想水平面IPを境界として、上半分の高さ範囲を「上部領域L3」、下半分の高さ範囲を「下部領域L2」と呼ぶ。
粘度センサ4では、実施の形態1と同様、測定空間L1に貯留されたインクに対して、下部領域L2内に設定された下方測定部位L20(第2部位)に対しては下方粘度センサ41で、上部領域L3内に設定された上方測定部位L30(第1部位)に対しては上方粘度センサ43で粘度を測定し、これらの測定結果に基づいて下方粘度データと上方粘度データとを生成する。
図8に示す制御部6Aは、インク検査装置1Aに設けられた前記の種々の動作機構を制御する。制御部6Aは、その概略的構成において実施の形態1の制御部6と同様であるが、バスライン69に攪拌手段3及び開閉弁51、52が接続されている点で制御部6とは異なる。この結果、制御部6AのCPU61は、固定ディスク64に格納されている処理プログラムを実行することにより、インク検査装置1Aに係る各部を制御してインクの沈降状態評価を実行する。
<2.2 インク検査装置1Aを用いたインク検査方法>
次に、インク検査装置1Aを用いたインク検査方法について説明する。図9は、実施の形態2のインク検査装置1Aにおける沈降状態評価の動作を示すフロー図である。図10は、沈降状態評価の動作過程におけるインク検査装置1Aを概略的に示す説明図である。
まず、検査対象であるインクを、インク検査装置1A内に供給する。具体的には、インク検査装置1Aの使用者は、スポイトなどの器具を用いて所定量のインクを供給口21に供給する(ステップST11)。供給口21に供給されたインクは、配管20内を流動し、攪拌手段3に対向する位置を経由して測定空間L1に向けて流れる(図10(a))。このとき、攪拌手段3は、超音波振動を発生させるON状態となるよう制御部6Aによって制御される。その結果、当該超音波振動によって配管20内の攪拌手段3と対向する位置を流れるインクが攪拌される(ステップST12:攪拌工程)。
また、図10(a)に示すように、供給口21よりインクの供給が開始されてから測定空間L1がインクで満たされるまでの期間は開閉弁51を開状態とし、開閉弁52を閉状態とする。これにより、配管20内を流れるインクは下流に位置する開閉弁52で堰き止められる。その結果、測定空間L1(配管20内の空間のうち開閉弁51と開閉弁52とで挟まれる空間)がインクで満たされる。そして、測定空間L1がインクで満たされると、図10(b)に示すように開閉弁51も閉状態となる(ステップST13)。なお、実施の形態2における開閉弁51、52の開閉制御は制御部6Aによって行なわれる全自動形式であるが(図9)、装置の使用者が開閉に対応するボタンを押すような半自動形式、或いは装置の使用者によって手動で開閉される手動形式であっても構わない。
続いて、ステップST14(測定工程)において、制御部6Aにより上方粘度センサ43と下方粘度センサ41とが能動化される。この結果、測定空間L1に満たされ静止状態にあるインクに対して複数時点で粘度測定が行われる。粘度測定は、例えば、室温下で行われ、また、測定時間や測定間隔は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。これにより、測定工程においては、上方粘度データ及び/又は下方粘度データからなる粘度データが生成される。
次に、ステップST14での測定工程が終了すると、インクにおける沈降状態を評価・表示するための工程であるステップST15〜ステップST17と、粘度測定後のインクを排出し配管部2を洗浄する工程であるステップST18、ステップST19とが並行的に実行される。
まず、ステップST15〜ステップST17にかかる工程について説明する。なお、これらの工程については、実施の形態1のインク検査装置1でのステップST3〜ステップST5と同様であるので、適宜省略しつつ説明する。
ステップST15は、下方粘度データ及び/又は上方粘度データに基づき増粘速度データを生成する増粘速度データ生成工程である。すなわち、制御部6Aは、下方粘度データ及び/又は上方粘度データを受け取ると、CPU61によって増粘速度データ生成プログラムPR1を実行する。これにより、上方粘度データに基づく上方増粘速度データと、下方粘度データに基づく下方増粘速度データがそれぞれ生成される。
続いて、ステップST16(評価工程)では、制御部6Aが、CPU61によって沈降状態評価プログラムPR2を実行する。沈降状態評価プログラムPR2は、第1の評価基準に基づき、下方増粘速度データが適合しているか否かの下方評価データを生成する。また、第2の評価基準に基づき、上方増粘速度データが適合しているか否かの上方評価データも生成する。さらに、下方評価データ及び上方評価データに基づいて、顔料の沈降に関するインクの物性に関する総合評価データを生成させるようにしてもよい。ここで、前記第1の評価基準及び第2の評価基準については、実施の形態1で述べたのと同様である。
ステップST17では、表示手段7に評価データ(上方、下方、総合)が表示される。インク検査装置1Aの使用者は、この評価結果を見ることで、測定対象となったインクの沈降状態を把握することができる。なお、表示手段7には、インクの物質名、粘度データ、変化傾向データ、または処理条件(温度や測定期間)など、評価データ以外の各種情報を表示させることもできる。
続いて、粘度測定後のインクを排出し配管部2を洗浄する工程であるステップST18及びステップST19について説明する(図9)。
ステップST14(測定工程)でインクの粘度測定が終了すると、制御部6Aによって開閉弁51、52が開状態とされる(図10(c))。その結果、インクは、配管20内を流動し排出口22よりインク検査装置1Aの外部に排出される(ステップST18)。
そして、開閉弁51、52を開状態としたまま供給口21より洗浄液が供給される。例えば、装置の使用者がスポイト等を用いてこの洗浄液を供給する。この結果、当該洗浄液が配管20内を流動し排出口22より排出されることで配管20の内部が洗浄され、後続の測定・検査対象となるインクについて測定可能な状態となる(ステップST19)。洗浄液洗浄条件については特に限定されない。洗浄液としては、例えば、水等が挙げられる。
<2.3 実施の形態2のインク検査装置1Aの効果>
実施の形態2のインク検査装置1Aでは、粘度の測定工程に先立ってインクの攪拌工程が行われるため、粘度測定の際には、インク中の顔料をほぼ均一に分散した状態にすることができる。その結果、単位時間あたりの密度変化が最も大きくなるような時間域を粘度の測定期間に利用できることとなり、沈降状態の評価精度が特に高くなる。
また、分散状態の異なる複数のインク(白色インク、マゼンタインク、シアンインク)について沈降状態評価方法を適用する場合であっても、実施の形態2のインク検査装置1Aでは、測定開始時すなわち初期状態での各インクについての分散状態を同条件とすることができ、沈降状態評価の安定性を向上させることができる。
なお、実施の形態1のインク検査装置1Aは、実施の形態1のインク検査装置1と同様の構成である部分ついては、同様の効果が得られることは言うまでもない。
<2.4 変形例>
本実施の形態2においては、図11に示すようなインク検査装置1Bの構成も採用することができる。図11は、実施の形態2のインク検査装置1Aの変形例であるインク検査装置1Bを示す説明図である。インク検査装置1Bが実施の形態2のインク検査装置1Aと相違するのは、上方粘度センサ43と下方粘度センサ41との配置位置である。
実施の形態2のインク検査装置1Aでは、下方粘度センサ41での粘度測定位置が下方測定部位L20(インクの下面付近)に、上方粘度センサ43での粘度測定位置が上方測定部位L30(インクの上面付近)に設定されている(図2)。一方、インク検査装置1Bでは下方粘度センサ41での粘度測定位置が下部領域L2内に設定された第2部位L21に、上方粘度センサ43での粘度測定位置が上部領域L3内に設定された第1部位L31に設定されているが、それぞれ領域内の下面付近、上面付近に設定されているわけではない(図11)。
本変形例のように、第1部位及び第2部位が上方測定部位L30及び下方測定部位L20に対応していない場合であっても、上部領域L3内に設定された第1部位L31と下部領域L2内に設定された第2部位L21との双方についての粘度の経時的変化傾向に基づいて沈降状態の評価をすれば、逆符号の粘度変化傾向を持つ複数の部位での測定結果を利用して顔料の沈降状態を評価することはでき、一方の領域のみについての測定結果を基に沈降状態を評価する場合に比べて評価の信頼性が高まる。
(その他の事項)
なお、前記各実施形態のように測定部位が上面付近(或いは下面付近)に設定された場合、上面付近(或いは下面付近)では顔料の沈降による粘度の時間的増加(或いは低下)が最も大きいため沈降状態評価の精度が高まる、という効果が得られる点で望ましい。
前記各実施形態では、制御部6、6AがCPU61によって増粘速度データ生成プログラムPR1を実行することで、粘度データの経時的な変化傾向を特定する変化傾向特定手段として機能する。この増粘速度データ生成プログラムPR1としては、上述した粘度の変化量を特定するプログラム以外にも、例えば、時間による粘度の変化率を特定するプログラムを採用することができる。
また、前記各実施形態では、制御部6、6AがCPU61によって沈降状態評価プログラムPR2を実行することで、変化傾向データと所定の評価基準とに基づいて評価データを生成する沈降状態評価手段として機能する。この沈降状態評価プログラムPR2においても上述した沈降状態評価プログラムとは異なるプログラムを採用することができる。例えば、第1の評価基準(下方測定における評価基準)と第2の評価基準(上方測定における評価基準)が別の閾値であってもよい。また、閾値の数(前記実施形態では2つ)は、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。また、前記実施の形態1では下方評価データと上方評価データとの点数の和によって総合評価データを生成したが、これに限られるものではなく、総合評価データの生成方法についても公知の種々の演算方法を利用することができる。
前記各実施形態では、表示手段7が、制御部6、6Aによって生成される評価データ(上方、下方、総合)を表示する態様を示したがこれに限られるものではない。表示手段7は、評価の指標値として、少なくとも変化傾向データを表示すればよい。この場合、装置の使用者は当該変化傾向データを見ることでインクの沈降状態を把握することができる。なお、前記各実施形態のように評価データを表示すれば、装置の使用者はインクの沈降状態をより把握しやすい。
また、前記各実施形態の検査方法により評価基準を満たしたインクは、インクジェット式記録装置等に用いられ、経時変化によっても吐出不良の発生を抑制し良好な印刷を可能にする。
インクジェット記録方法は、微細なノズルより任意の記録媒体にインクを液滴として吐出し、その液滴を記録媒体に付着させることにより行うことができる。吐出方法として特に限定されず、例えば、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等の公知の方法を採用することができる。また、吐出口のサイズや吐出形状等についても特に限定されない。
前記記録媒体としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。前記各実施形態のインク検査により評価基準を満たしたインクは、ノズルの吐出不良を生じることなく、良好な画像印刷を可能にする。
(実験例1)
本実施例1においては、検査対象として、白色顔料の顔料を溶剤となる液体中に分散させたインクジェット用の白色インクAを用いた。前記白色インクAの組成は、顔料20質量%、分散剤1質量%、光硬化型樹脂73質量%、光重合開始剤6質量%及び添加剤0.1質量%であった。
前記の白色インク対し、前記実施の形態1に係るインク検査装置1を用いて検査を行った。粘度センサとしては、Vectron社製のViSmartセンサ(ViSmartは登録商標)を用いた。また、粘度の測定は下方粘度センサ41のみにより行った。白色インクは、スポイトを用いて、測定部4Aの保持体2Aには10を供給し、測定部4Bの下方粘度センサ41上には0.5を供給した。検査は室温である25℃で行い、白色インクに対して30分間の測定期間中30秒毎に粘度の測定を行った。
評価基準は増粘速度が0.1mPa・s/min以下の場合を○とし、0.1mPa・s/minより大きく0.2mPa・s/min以下の場合を△とし、0.2mPa・s/minを超える場合を×とした。結果を下記表1及び図12に示す。
(実験例2)
本実験例2においては、実験例1と比較して、検査対象のインクとして白色インクBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして白色インクBの検査を行った。結果を下記表1及び図12に示す。
(実験例3)
本実験例3においては、実験例1と比較して、検査対象のインクとして白色インクCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして白色インクCの検査を行った。結果を下記表1及び図12に示す。
Figure 2015193112
1、1A、1B 検査装置
2 配管部
2A 保持体
3 攪拌手段
4 粘度センサ
4A、4B 測定部
6、6A 制御部
7 表示手段
20 配管
41 下方粘度センサ
42 検出部
43 上方粘度センサ
44 検出部
IP、IPa、IPb 仮想水平面
L1、L1a、L1b 測定空間
L2、L2a、L2b 下部領域
L3、L3a、L3b 上部領域
L20 下方測定部位
L21 第2部位
L30 上方測定部位
L31 第1部位

Claims (11)

  1. インクジェット式記録装置におけるインクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査装置であって、
    前記インクにおける少なくとも1つの特定部位について、粘度を静止状態で経時的に測定し、複数時点での粘度データを測定する粘度センサと、
    前記少なくとも1つの特定部位における複数時点での粘度データに基づいて、当該特定部位におけるインクの増粘速度データを得る増粘速度データ生成手段と、
    前記増粘速度データを、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価する指標として表示する表示手段とを有するインク検査装置。
  2. 前記増粘速度データと評価基準とに基づいて、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価するための評価データを生成する評価手段をさらに備え、
    前記表示手段は、前記評価データを表示する請求項1に記載のインク検査装置。
  3. 前記評価基準は、インクの増粘速度が0.1mPa・s/min以下、又は−0.1mPa・s/min以上である請求項2に記載のインク検査装置。
  4. 前記インクの特定部位が、当該インクの上面付近及び/又は下面付近に設定される請求項1〜3の何れか1項に記載のインク検査装置。
  5. 前記粘度センサが、表面音響波センサである請求項1〜4に記載のインク検査装置。
  6. インクジェット式記録装置におけるインクジェット用のインクの吐出性能を検査するインク検査方法であって、
    前記インクにおける少なくとも1つの特定部位について、粘度を静止状態で経時的に測定し、複数時点での粘度データを得る測定工程と、
    前記少なくとも1つの特定部位における複数時点での粘度データに基づいて、当該特定部位におけるインクの増粘速度データを得る増粘速度データ生成工程と、
    前記増粘速度データと評価基準とに基づいて、前記インクの前記インクジェット式記録装置における吐出性能を評価する評価工程とを有するインク検査方法。
  7. 前記評価基準として、インクの増粘速度が0.1mPa・s/min以下、又は−0.1mPa・s/min以上であることを用いる請求項6に記載のインク検査方法。
  8. 前記インクの特定部位が、当該インクの上面付近及び/又は下面付近に設定される請求項6又は7に記載のインク検査方法。
  9. 前記測定工程が、表面音響波センサの検出部を前記インクに接触させることにより前記粘度データを得る工程である請求項6〜8の何れか1項に記載のインク検査方法。
  10. 前記測定工程の前に前記インクを攪拌する攪拌工程を行う請求項6〜9の何れか1項に記載のインク検査方法。
  11. インクジェット用のインクの液滴を吐出し、当該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インクジェット用のインクとして請求項6〜10に記載のインク検査方法により、インクの吐出性能が評価基準を満たすものを用いるインクジェット記録方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019064058A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録装置、粘度推定方法、及び、記憶媒体

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