JP2015169965A - ISP(InternetServicesProvider)の収益予測装置及び方法及びプログラム - Google Patents
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階層的なAS(Autonomous System)間トポロジモデルを用いて、該AS間の接続構造をモデル化するAS接続構造モデル化手段と、
コンテンツをモデル化し、トランジットリンク上を流れたデータ転送レートに応じたトランジット費を算出し、該トランジット費を与えられた配信コストに適用することによりネットワークコストを求め、容量に応じたキャッシュメモリのコストを算出するコストモデル生成手段と、
前記AS接続構造モデル化手段でモデル化された前記AS間の接続構造に基づいて、前記コストモデル生成手段で算出された各種コストを用いて各ASの収益を算出し、該各ASの収益から前記ISPの収益を求めるISP収益算出手段と、を有するISPの収益予測装置が提供される。
本節では、配信要求の発生パタンやAS間トポロジ構成といった、AS間の交流トラヒックを導出するのに際して必要となる各種前提条件について述べる。
映画やドラマといった大容量のM個のリッチコンテンツが全ASのNW上で提供されている環境を想定する。簡単のため、各コンテンツのサイズは均一でL(Mbyte)を想定する。また各ユーザの月間平均視聴回数をdとし、各配信要求において、各コンテンツmが一定の確率qmで選択されるとする。コンテンツのIDはqmの降順に割当られているものとし、q1が人気度最大のコンテンツの、qMが人気度最小のコンテンツの要求比率となる。またQ(m)をqmの累積分布とする
現在、多くのISPはトランジット契約をしたcustomer ISPに対して、月間にトランジットリンク上に流れたデータ転送レートに応じた料金を課金する。2004年の米国における20の地域ISPが用いたトランジット費の分析によると、月間のトランジット費Tはデータ転送レートV(Mbps)の0.75乗に比例し(非特許文献2参照)、T=100V0.75で近似できる。
V=(3×8LD)/(30×24×3600)=1.08×10-5LD
となる。但し、Dは、
各ISPはNWの構築・運用コストを負担する必要があるが、自NW上でコンテンツを1回配信するごとにκの配信コストが発生すると仮定し、月間のISP間のトランジット費を配信コストに適用する。2013年の米国における1Mbpsあたりの平均トランジット価格は1.57 USDであり(非特許文献3参照)、商用VoD(Video on Demand)サービスにおけるピーク時の需要量は平均量に対して約1.8倍である例が報告されていることから、
κ=(1.57×1.8×8L)/(30×24×3600)=8.72×10-6L
で与える。
ISPがCCNを用いる場合には、各ルータにおいてキャッシュメモリを導入する必要があるため、キャッシュメモリのコストを負担する必要がある。本明細書ではDRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いること、またキャッシュメモリを3年で置き換えることを想定し、1Mbytesあたりのメモリコストを0.016 USDとすると、容量がB(単位はコンテンツ数)のキャッシュメモリのコストは、
0.016LB/36=4.44×10-4LB (USD)
となる。
当該ASのモデル化は、図1のAS接続構造モデル化部101で行われる。
二つのASが接続するときの形態は、一方が他方から転送データ量に応じたトランジット費を徴収するトランジット接続と、両者が互いに料金を相手に支払わないピアリング接続とに分類できる。二つのASの規模が大きく異なるような場合には、大きな方がproviderとなり相手ASにトランジットサービスを提供する。もう一方のASはcustomerとなり、providerに対してトランジット費を支払う。一方、トランジット費の受け渡しが発生しないピアリング接続は、同程度の規模のASが接続する際に用いられることが多い。
「as_rel file」は、BGP(Border Gateway Protocol)テーブル情報(RouteView)と、AS間のルーティングポリシ情報(IRR: Internet Routing Registries)から2005年に推定したAS間トポロジデータを用いて、18,967個のAS間に存在する85,136のリンクをp2p,p2c,c2pの三つに分類したデータである。
「as2attr file 」は、上記AS間トポロジデータを用いて、19,537個の各ASの属性を、Large ISPs,Small ISPs,Universities,IXPs,NICs,Customersに分類したデータである。
次にコンテンツを提供するCPとコンテンツを要求するユーザについて考える。本明細書では簡単のため、UniversitiesもしくはCustomersに分類されたASに対して均一に、CPとユーザは収容されていると仮定する。表1において、レイヤkに割当られたUniversities ASもしくはCustomers ASは、Lk-1ASに対してc2pリンクを有することから、LkASに収容されたCPとユーザの比率Wkは、W1=0.460,W2=0.426,W3=0.114となる。
CCNでは各ルータにキャッシュが設置されるため、AS間の交流トラヒックは、AS内のトポロジ・各ルータのキャッシュ容量・キャッシュ運用ポリシ等の影響を受ける。しかし本明細書では簡単のため、CCNを導入している各ASは自NW内の全てのルータ間でキャッシュ情報を交換することで、各ルータでのキャッシュコンテンツの重複を回避しつつ、到着したInterestに対するコンテンツを任意のルータが保有する場合には、そのルータにInterestが転送され、要求元にコンテンツが送信されるものとする。そのため、各ルータのキャッシュ容量やAS内のトポロジについては考慮せず、各ASの全ルータのキャッシュ総容量Bのみを考える(単位はコンテンツ数)。同一のレイヤに割当られたASは全て同一のBを有するものとし、各LkASのキャッシュ容量をBkとする。上位のレイヤに属するASほど規模が大きなことが予想されることから、Bk>Bk+1(1≦k≦K-1)を想定する。
AS間のルーティングにはBGPが用いられるが、経路情報の隣接ASに対する広告の判断や、経路の選択は、自律的に行動するASのポリシに依存する。またCCNの導入判断、どのコンテンツのキャッシュを行うか、キャッシュしたどのコンテンツを隣接するASに広告するかは、各ASの自律的な判断で決まる。そのためAS間のトラヒック交流はASの各種ポリシに強く依存することから、CCNの導入がトランジット費に与える影響を分析するためには、想定するASのポリシを整理しておく必要がある。本明細書では、以下に列挙するポリシを想定する。
provider ASは、customer ASに対してインターネット全体に対する到達性(トランジット)を提供する義務があることから、隣接する全てのASから受信した全ての経路情報を広告する。またピアリング接続をしている二つのAS間には、通常、互いのトラヒックを自由に無償で送受信できるため、各ASはp2p接続先のASに対しても受信した全ての経路を広告する。一方でcustomer ASはprovider ASに対して経路を広告すると、c2pリンク上のdownhill方向のトラヒック量が増加することから、provider ASには経路を広告しない。しかし、自身からp2cリンクのみを経由して到達できる全てのAS(customer coneと定義)が収容するユーザやCPのオリジナルサーバのインターネットへの到達性を保障する義務があることから、これらのアドレスに対してはprovider ASに広告する。最上位のL1ASは自身のcustomerに対してインターネットへの到達性を保障する必要があることから、全L1AS間で完全に経路情報が交換される。
各ASは、p2p接続先のpeer AS、p2c接続先のcustomer AS、そしてc2p接続先のprovider ASの複数から経路広告を受けているアドレスに対するInterestを受信した場合には、p2c接続先(トランジット費が得られる)、p2p接続先(トランジット費の受払が生じない)、c2p接続先(トランジット費を支払う)の優先順位でInterestを転送する。本ポリシの結果、AS間経路は経由最上位レイヤがkであるとき、配信サーバからLkASに到達するまではc2pリンクのみを経由し、レイヤkでは単一のASか、もしくはp2pリンクを用いて複数のASを経由した後、p2cリンクのみを経由して要求元のユーザにコンテンツが配信される。このようなAS間経路の特徴はValley-freeルーティングとして知られている。
CCNを用いているASは、自NW内を流れたコンテンツをルータにおいてキャッシュするか否かを自由に判断することができる。 provider ASからc2pリンクをdownhill方向に転送されてきたコンテンツをキャッシュすることで、次回以降、自身のcustomer coneから同一のコンテンツに対するInterestを受信した場合には、provider ASにInterestを転送することなく、自身のキャッシュから該当コンテンツを配信することができ、その結果、c2pリンクをdownhill方向に流れるトラヒック量を削減することが可能となる。そのためprovider ASから受信したコンテンツは自NW内でキャッシュする。一方、customer ASからp2cリンクをuphill方向に転送されてきたコンテンツをキャッシュすると、同一コンテンツに対するInterestがproviderやpeer ASから到達した場合に、自身のp2cリンクをuphill方向にコンテンツが流れず、customer ASからのトランジット収入が減少するためキャッシュしない。またpeer ASから受信したコンテンツについても、p2pリンク上を流れるトラヒックについてはトランジット費が発生しないことから、キャッシュ資源を節約するためにキャッシュしない。
本節では、ISPの収益算出部103において、前述した想定条件に基づき、AS間の接続リンク上に発生するトラヒック量を導出する処理について説明する。
まず、全てのNWにキャッシュが存在せず、全ての配信要求に対してコンテンツがオリジナルサーバから配信される場合(WOC: without cache)について考える。
次に全てのASがCDNを導入している場合について考える。
次に全てのASがCCNを導入している場合を考える。前述したように、各LkASはピアリング先の
以下に、ISPの収益算出部103の処理として、月間収益を算出する処理を示す。なお、以下では、収益算出の単位を月間として説明するが、算出単位の期間は月間に限定されるものではない。以下のトランジット費、NWコスト、キャッシュコストは、コストモデル生成部102で算出され、メモリ(図示せず)に格納されている値であり、ISPの収益算出部103はその値を読み込んで、以下の処理を行う。
Ack=100{1.08×10-5LdU1/U2}0.75U2ωk
となる。
Cn,k=κdU1Hk
となり、Cm,kは各LkASが月間に負担するキャッシュメモリのコスト(キャッシュコスト)で、
Cm,k=4.44×10-4LBk
となる。
<評価条件>
ISPが各ユーザから徴収する月間アクセス費をPr=50USDに、ユーザとCPの総数を各々U1=109、U2=104に設定する。また各ユーザの月間平均コンテンツ視聴回数をd=10に、コンテンツの平均サイズをL=3×104Mbytesに設定する。総コンテンツ数をM=106とし、各コンテンツmの要求比率qmを、パラメタθのZipf分布に従うことを想定し、
図5に、WOC,CDN,CCNの三つの各方式と、max modelとsum modelの二つのトランジット費モデルの各々について、θもしくはBminを変化させたときの、各LkASが月間に得る収益Rkをプロットする。sumを用いた場合、maxと比較してトランジット費が高くなるため、各L1ASの収益は大きく、各L2ASとL3ASの収益は小さい。CCNはCDNと比較して、L1ASにとってもNWコストの低減効果があるが、sumの場合、それよりもL2ASから受取るトランジット費の減少幅が大きく収益はCCNの方が小さくなる。一方maxの場合、トランジット費はトラヒック量の大きなdownhill方向(Fd,k)で決まるため、L2ASから得るトランジット費のCCNによる減少度合いは小さく、NWコストの低減効果と打ち消しあいCCNとCDNの差異は小さい。θやBminが増加し、キャッシュの効果が増大するほど、L1ASにとってはトランジット費収入の減少がNWコストの減少を上回り収益は減少するが、L2ASとL3ASにとってはトランジットコストとNWコストが共に減少するため収益は増加する。
101 AS接続構造モデル化部
102 コストモデル生成部
103 ISPの収益算出部
104 ISPの収益出力部
Claims (8)
- ルータにおいてコンテンツをキャッシュし、コンテンツ名を宛名にコンテンツを発見し受信するCCN(Content Centric Networking)において、該CCN導入がISP(Internet Services Provider)の収益に与える影響を予測するためのISPの収益予測装置であって、
階層的なAS(Autonomous System)間トポロジモデルを用いて、該AS間の接続構造をモデル化するAS接続構造モデル化手段と、
コンテンツをモデル化し、トランジットリンク上を流れたデータ転送レートに応じたトランジット費を算出し、該トランジット費を与えられた配信コストに適用することによりネットワークコストを求め、容量に応じたキャッシュメモリのコストを算出するコストモデル生成手段と、
前記AS接続構造モデル化手段でモデル化された前記AS間の接続構造に基づいて、前記コストモデル生成手段で算出された各種コストを用いて各ASの収益を算出し、該各ASの収益から前記ISPの収益を求めるISP収益算出手段と、
を有することを特徴とするISPの収益予測装置。 - 前記ISP収益算出手段は、
請求項1記載のISPの収益予測装置。 - 前記AS接続構造モデル化手段は、
AS間トポロジデータと、各ASの属性を分類したデータを用いて、p2cリンク(provider-to-customer)とc2pリンク(customer-to-provider)を全く有していないASと、該p2cリンクを有して、他のASに対してトランジットサービスを提供しているASと、これらASに対して該c2pリンクを有するASを除いたASを抽出し、抽出したASの中から、該c2pリンクを全く有しない(どのISPからもトランジットを購入していない)ASを抽出してレイヤ1に割当て、次にレイヤに未分類のASの中から、該レイヤ1に分類されたASに対して一本以上のc2pリンクを有するASを抽出してレイヤ2に割当て、以後、同様に、レイヤkに分類されたASに対して一本以上の該c2pリンクを有するASを抽出してレイヤk+1を割当てる処理を、k=2以上の整数に対して昇順に、全てのASにレイヤが割当られるまで反復する手段を含む
請求項1記載のISPの収益予測装置。 - 前記ISP収益算出手段は、
前記トランジット費
前記AS間の接続リンク上に発生するトラヒック量を、全てのネットワークにキャッシュが存在せず、全ての配信要求に対してコンテンツがオリジナルサーバから発信される場合、全てのASがCDN(Content Delivery Network)を導入している場合、全てのASがCCNを導入している場合毎に算出する手段を含む
請求項2記載のISPの収益予測装置。 - ルータにおいてコンテンツをキャッシュし、コンテンツ名を宛名にコンテンツを発見し受信するCCN(Content Centric Networking)において、該CCN導入がISP(Internet Services Provider)の収益に与える影響を予測する装置におけるためのISPの収益予測方法であって、
階層的なAS(Autonomous System)間トポロジモデルを用いて、該AS間の接続構造をモデル化するAS接続構造モデル化ステップと、
コンテンツをモデル化し、トランジットリンク上を流れたデータ転送レートに応じたトランジット費を算出し、該トランジット費を与えられた配信コストに適用することによりネットワークコストを求め、容量に応じたキャッシュメモリのコストを算出するコストモデル生成ステップと、
前記AS接続構造モデル化ステップでモデル化された前記AS間の接続構造に基づいて、前記コストモデル生成ステップで算出された各種コストを用いて各ASの収益を算出し、該各ASの収益から前記ISPの収益を求めるISP収益算出ステップと、
を行うことを特徴とするISPの収益予測方法。 - 前記ISP収益算出ステップにおいて、
請求項5記載のISPの収益予測方法。 - 前記AS接続構造モデル化ステップにおいて、
AS間トポロジデータと、各ASの属性を分類したデータを用いて、p2cリンク(provider-to-customer)とc2pリンク(customer-to-provider)を全く有していないASと、該p2cリンクを有して、他のASに対してトランジットサービスを提供しているASと、これらASに対して該c2pリンクを有するASを除いたASを抽出し、抽出したASの中から、該c2pリンクを全く有しない(どのISPからもトランジットを購入していない)ASを抽出してレイヤ1に割当て、次にレイヤに未分類のASの中から、該レイヤ1に分類されたASに対して一本以上のc2pリンクを有するASを抽出してレイヤ2に割当て、以後、同様に、レイヤkに分類されたASに対して一本以上の該c2pリンクを有するASを抽出してレイヤk+1を割当てる処理を、k=2以上の整数に対して昇順に、全てのASにレイヤが割当られるまで反復する
請求項5記載のISPの収益予測方法。 - コンピュータを、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のISPの収益予測装置の各手段として機能させるためのISPの収益予測プログラム。
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JP2014042151A JP6076281B2 (ja) | 2014-03-04 | 2014-03-04 | ISP(InternetServicesProvider)の収益予測装置及び方法及びプログラム |
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---|---|---|---|---|
JP2010199842A (ja) * | 2009-02-24 | 2010-09-09 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | キャッシュ設計システムと方法およびプログラム |
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- 2014-03-04 JP JP2014042151A patent/JP6076281B2/ja active Active
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Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
JPN6016041679; 松田 一仁: 'トランジットコスト削減のためのISP間協調に基づくCCNキャッシュ共有手法' 電子情報通信学会技術研究報告 NS2012-165-NS2012-289 Vol.112 No.463, 20130228, pp.415-420 * |
JPN6016041680; 渋谷 惠美: 'コスト効果を考慮したキャッシュサーバ配置によるISP網内トラフィックの評価' 電子情報通信学会技術研究報告 NS2012-1-NS2012-15 Vol.112 No.8, 20120412, pp.77-82 * |
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