JP2015165741A - 電動機の制御装置および電動機制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高い制御性で同期電動機を制御する制御装置を提供する。
【解決手段】回転速度演算部4は、電動機2の回転速度ωeと、その指令値との偏差に対して比例制御を行なって得られる負荷角指令値φc*の微分値s・φc*と、回転速度ωeとの和が、回転座標系の制御軸回転速度ω0と等しいという関係に基づいて、制御軸回転速度ω0を算出する。位相演算部5は、制御軸回転速度ω0の積分値が、固定座標系および回転座標系の間の回転角θ0と等しいという関係に基づいて回転角θ0を算出する。電圧指令生成部は、界磁磁束と、交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束についての指令値、および回転角θ0に基づいて、第1電圧指令値vu *,vv *,vw *を生成し、これらを電圧供給源に与える。
【選択図】図3
【解決手段】回転速度演算部4は、電動機2の回転速度ωeと、その指令値との偏差に対して比例制御を行なって得られる負荷角指令値φc*の微分値s・φc*と、回転速度ωeとの和が、回転座標系の制御軸回転速度ω0と等しいという関係に基づいて、制御軸回転速度ω0を算出する。位相演算部5は、制御軸回転速度ω0の積分値が、固定座標系および回転座標系の間の回転角θ0と等しいという関係に基づいて回転角θ0を算出する。電圧指令生成部は、界磁磁束と、交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束についての指令値、および回転角θ0に基づいて、第1電圧指令値vu *,vv *,vw *を生成し、これらを電圧供給源に与える。
【選択図】図3
Description
本発明は、電動機の制御装置および電動機制御システムに関し、例えば同期電動機へと交流電圧を印加する電動機の制御装置に関する。
特許文献1には、同期電動機の制御方法について記載されている。同期電動機は巻線を有する電機子と、界磁とを有している。特許文献1では、同期電動機の一次磁束が制御される。より詳細には、制御軸として互いに直交するγ軸及びδ軸を採用し、一次磁束のγ軸成分を零に制御する。
また特許文献1では、制御の安定性を向上すべく、回転速度指令に対して、γ軸電流に基づく補正量で補正を行なって、δ−γ回転速度系の回転速度を算出している。当該補正量としては、γ軸電流から直流成分を除去して得られる高調波成分と、ゲインとの積が採用されている。
伊東 淳一、豊崎 次郎、大沢 博、「永久磁石同期電動機のV/f制御の高性能化」、電気学会論文誌D、2002年、第112巻、第3号、p.253―259
電動機の回転速度は負荷トルクの変動によって変動する。よってδ―γ回転座標系とd−q回転座標系の間の位相角(負荷角)は、負荷トルクの変動の影響を受ける。
特許文献1では、電動機の回転速度の情報に依存せずに、δ−γ回転座標系の回転速度が算出される。よって、負荷角を制御することが難しい。そのため、図10に示すように、負荷トルクに対する出力トルクの伝達関数の周波数特性において、共振が現れる。負荷トルクと出力トルクとの間の差が共振によって広がると、回転速度に変動が生じる。ひいては回転速度の制御性が低下する。
このような共振は、例えば圧縮機のように外乱が生じて負荷トルクに高調波成分が生じる場合に、生じやすい。
そこで、本発明は、回転速度制御の制御性を向上できる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる電動機の制御装置の第1の態様は、界磁磁束([Λ0])を発生する界磁(23)と、電機子(21)とを有する同期電動機(2)へと交流電圧を印加し、交流電流を出力する電圧供給源(1)を制御する制御装置(3)であって、前記同期電動機の回転速度と、その指令値との偏差に対して比例制御を行なって得られる演算値(φc*)の微分値(s・φc*)と、前記回転速度(ωe)との和が、回転座標系の回転速度たる制御軸回転速度と等しいという関係を用いて、前記制御軸回転速度を算出する回転速度演算部(4)と、前記制御軸回転速度の積分値が、前記回転座標系および固定座標系の間の回転角と等しいという関係を用いて、前記回転角を演算する位相演算部(5)と、前記界磁磁束と、前記交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束([λ])についての一次磁束指令値、および、前記回転角に基づいて、前記一次磁束が前記回転座標系の一軸に沿うように、前記交流電圧についての第1電圧指令値([vx *])を生成し、前記第1電圧指令値を前記電圧供給源に与える電圧指令生成部(70)とを備える。
本発明にかかる電動機の制御装置の第2の態様は、第1の態様にかかる電動機の制御装置であって、前記位相演算部(5)は、前記制御軸回転速度(ω0)を積分して、前記回転角(θ0)を算出する。
本発明にかかる電動機の制御装置の第3の態様は、第1の態様にかかる電動機の制御装置であって、前記位相演算部(5)は、前記演算値(φc*)と、前記回転速度(ωe)の積分値とを加算して、前記回転角(θ0)を算出する。
本発明にかかる電動機の制御装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる電動機の制御装置であって、前記演算値(φc*)は、前記比例制御と、前記偏差に対する積分制御とを行なって得られる。
本発明にかかる電動機の制御装置の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる電動機の制御装置であって、前記回転速度演算部(4)は、前記偏差に対する前記比例制御を行なって前記電動機のトルク指令値(τe*)を算出し、前記電動機の出力トルク(τe)とのトルク偏差に対する比例制御を行なって前記演算値(φc*)を算出する。
本発明にかかる電動機制御システムの態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる電動機の制御装置と、前記電圧供給源(1)とを備える。
実施の形態で詳述するように、負荷トルクに対する出力トルクの伝達関数において共振を抑制することができ、ひいては高い制御性で回転速度を制御できる。
実施の形態の詳細な説明に入る前に、この発明の前提について説明する。
<1.前提>
図1は同期電動機(以下、単に「電動機」と称す。なお同期電動機の特殊なものとして、スイッチトリラクタンスモータのように界磁を有しないものもある。しかしここでは同期電動機とは界磁を有しているものを指す。)における空隙磁束[λ](記号[]はベクトル量を表す:以下同様)と、電動機における界磁磁束[Λ0]との関係を示すベクトル図である。界磁磁束[Λ0]は例えば電動機が永久磁石を有している場合には当該永久磁石によって発生するし、電動機が界磁巻線を有している場合には当該界磁巻線に電流が流れることによって発生する。
図1は同期電動機(以下、単に「電動機」と称す。なお同期電動機の特殊なものとして、スイッチトリラクタンスモータのように界磁を有しないものもある。しかしここでは同期電動機とは界磁を有しているものを指す。)における空隙磁束[λ](記号[]はベクトル量を表す:以下同様)と、電動機における界磁磁束[Λ0]との関係を示すベクトル図である。界磁磁束[Λ0]は例えば電動機が永久磁石を有している場合には当該永久磁石によって発生するし、電動機が界磁巻線を有している場合には当該界磁巻線に電流が流れることによって発生する。
電動機の回転と同期する回転座標系としてd−q回転座標系を導入する。ここではd軸を界磁磁束[Λ0]と同相に設定し、q軸はd軸に対して、電動機の制御によって回転させたい方向(以下、単に「回転方向」と称す)に向かって位相が90度進む。よって、d−q回転座標系の回転速度ωeは電動機の回転速度とみなすことができる。
また回転座標系としてδ−γ回転座標系とδc−γc回転座標系とを導入する。δ軸はd軸に対して、γ軸はq軸に対して、それぞれ電動機の回転方向に向かって位相角φで位相が進む。δc軸はd軸に対して、γc軸はq軸に対して、それぞれ電動機の回転方向に向かって位相角φcで位相が進む。以下、説明の便宜上、δ軸のd軸に対する位相角φを実位相角φと称し、δc軸のq軸に対する位相角φを推定位相角φcと称する。
例えば、「一次磁束制御」として知られている電動機の制御方法では、空隙磁束[λ]と同相にδ軸を設定する。この場合、実位相角φは負荷角(界磁磁束[Λ0]と空隙磁束[λ]との間の位相角)として把握される。
さて、空隙磁束[λ]は周知のように、電動機(より詳細には電動機が備える電機子が有する電機子巻線)に供給される電圧及び電流と、電動機の機器定数(例えばインダクタンス、電機子巻線の抵抗成分、界磁磁束)と、電動機の回転速度とで決定される。よって空隙磁束[λ]の推定値[λ^]は、上記の電圧及び電流、機器定数、回転速度の実測値(あるいは指令値、推定値)から得られる。よって電動機を制御する制御装置は、推定値[λ^]が空隙磁束[λ]の指令値[λ*]と等しくなるように制御を行う。上述の「一次磁束制御」では、指令値[λ*]のγ軸成分は0である。
かかる制御においてδc−γc回転座標系を採用すると、推定位相角φcが実位相角φと一致することで、電動機の回転を適切に制御することができる。機器定数、回転速度、電動機に与えられる電圧及び電流が完全に把握されていれば、これらに基づいて得られる推定値[λ^]を指令値[λ*]と等しくなるように制御することにより、空隙磁束[λ]が指令値[λ*]と一致するからである。
<2.電力変換装置の構成>
図2は上記の前提に基づいて本実施の形態の制御を行なう電動機制御装置3およびその周辺装置を示すブロック図である。
図2は上記の前提に基づいて本実施の形態の制御を行なう電動機制御装置3およびその周辺装置を示すブロック図である。
電動機2は三相の電動機であり、電機子21と、界磁23たる回転子を備える。技術的な常識として、電機子21は電機子巻線22を有し、回転子は電機子21と相対的に回転する。界磁23は例えば界磁磁束を発生させる磁石を備える場合について説明される。電動機2は例えば圧縮機を駆動する。
電圧供給源1は例えば電圧制御型インバータ及びその制御部を備え、三相の電圧指令値[vx *]=[vu * vv * vw *]t(括弧の後の上付の“t”は行列の転置を示す。以下同様)に基づいて、三相電圧vu,vv,vwを電動機2に印加する。これにより、電動機2には三相電流[ix]=[iu iv iw]tが流れる。但し、電圧指令値[vx *]や三相電流[ix]が有する成分は、例えばU相成分、V相成分、W相成分の順に記載されている。
電動機制御装置3は、電動機2に対し、空隙磁束[λ]及び回転速度を制御する装置である。空隙磁束[λ]は一次磁束とも称され、界磁磁束[Λ0]と、電機子21に流れる電機子電流(これは三相電流[ix]でもある)によって発生する電機子反作用の磁束との合成である。以下では、空隙磁束[λ]を一次磁束[λ]とも呼ぶ。
図3は、電動機制御装置3の内部構成の概念的な一例を示す図である。電動機制御装置3は、回転速度演算部4と、位相演算部5と、回転速度取得部6と、電圧指令演算部71と、座標変換部72,73とを備えている。
座標変換部73は、電流検出部8(図2も参照)によって検出される三相電流[ix]を、δc−γc回転座標系における電流[iδγc]=[iδc iγc]tに変換する。座標変換部72は、δc−γc回転座標系における電圧指令値[vδγ *]=[vδ * vγ *]tを電圧指令値[vx *]に変換する。これらの変換には電動機2についての固定座標系(例えばUVW固定座標系)に対するδc−γc回転座標系の回転角θ0が用いられる。これらの座標変換は周知の技術で実現されるので、ここではその詳細を省略する。
電圧指令演算部71は一次磁束指令値[λ*]に基づいて電圧指令値[vδγ *]を生成する。一次磁束指令値[λ*]のγ軸成分は例えば零であり、これにより、一次磁束λがδc軸に沿うように制御される。
このような電圧指令値[vδγ *]の生成方法は任意の公知の方法を採用すればよい。例えば電圧指令演算部71は、後述するフィードフォワード項[F]とフィードバック項[B]との和を、電圧指令値[vδγ *]として算出する。フィードフォワード項[F]はδc−γc回転座標系における電圧方程式を用いた項であり、例えば以下の式で表すことができる。
ここで、Rは電機子巻線22の抵抗成分の抵抗値であり、sは微分演算子である。回転速度ω0は、回転速度演算部4によって算出される。回転速度ω0は、δc−γc回転座標系の回転速度(課題を解決するための手段でいう制御軸回転速度)である。[λ*]は一次磁束[λ]についての指令値(一次磁束指令値)であり、そのγc軸成分λγ*は零である。
フィードバック項[B]は例えば一次磁束[λδγc]=[λδc λγc]tと一次磁束指令値[λ*]との偏差に基づく量を採用できる。一次磁束[λδγc]は一次磁束[λ]のδc−γc回転座標系における表記である。より具体的なフィードバック項[B]は、以下の式で示すように、一次磁束指令値[λ*]と一次磁束[λδγc]との偏差にフィードバックゲインGλを乗じることで算出する。フィードバックゲインGλは電圧指令演算部71に予め格納しておくことができる。
式(2)においては、フィードバックゲインGλはスカラー量として示したが、一次磁束の偏差に対して作用する2行2列の非零行列であってもよい。
また、フィードバック項[B]を電流の偏差から求めてもよい。具体的には式(3)に従ってフィードバック項[B]を求める。但しフィードバックゲインGi(≠0)及び電流[iδγc]の指令値[iδγ *]=[iδ * iγ *]tを導入した。フィードバックゲインGiは電流の偏差に対して作用する2行2列の非零行列であってもよい。
また電圧指令演算部71は、必ずしもフィードフォワード項[F]とフィードバック項[B]との和を用いる必要はなく、いずれか一方のみを用いてもよい。
なお電圧指令演算部71および座標変換部72の一組は、一次磁束指令値[λ*]と回転角θ0とに基づいて、電動機2の交流電圧についての電圧指令値[vx *]を生成する電圧指令生成部70と把握できる。
回転速度演算部4は、回転速度指令値ω0*と、回転速度ωe^とを入力し、回転速度ω0を算出する。
回転速度指令値ω0*は、回転速度ω0についての指令値である。ただし本実施の形態では、電圧指令演算部71で採用する回転速度ω0として、回転速度指令値ω0*をそのまま用いるのではなく、これに基づいて算出される回転速度ω0を採用するのである。
回転速度ωe^は回転速度ωeの推定値であり、回転速度取得部6によって取得される。例えば回転速度取得部6は、電流[iδγc]を入力し、公知の技術により回転速度ωe^を算出(推定)する。なお回転速度取得部6は任意の回転速度センサであってもよい。この場合、回転速度ωe^は検出値として用いられる。
回転速度演算部4はまず、回転速度指令値ω0*と回転速度ωe^とに基づいて、負荷角φcについての負荷角指令値φc*(課題を解決するための手段でいう演算値に相当)を算出する。負荷角指令値φc*は以下の式で示すように、回転速度指令値ω0*と回転速度ωe^との偏差に対して比例制御を行なって算出される。
Kpは比例ゲインであり、例えば回転速度演算部4内に予め格納される。式(4)を用いることにより、回転速度ωe^が回転速度指令値ω0*に近づくように、負荷角指令値φc*が算出されることになる。
図1も参照して、回転速度ω0は以下の式で示すように、回転速度ωeと負荷角φcの微分値との和である。
式(4)および式(5)に基づいて、回転速度ω0を以下の式で算出する。
式(6)に基づく演算を行なうべく、例えば回転速度演算部4は、減算器41とゲイン部42と微分器43と加算器44とを備える。減算器41は、回転速度指令値ω0*から回転速度ωe^を減算して、その演算結果(回転速度の偏差:課題を解決するための手段でいう第1値に相当)をゲイン部42へと出力する。ゲイン部42は、減算器41の演算結果にゲインKpを乗算して、その演算結果(負荷角指令値φc*)を微分器43へと出力する。微分器43は、ゲイン部42の演算結果を微分して、その演算結果を加算器44へと出力する。加算器44は微分器43の演算結果と回転速度ωe^とを加算して、これを回転速度ω0として出力する。
なお、ゲインKpを、一定値をとる微分器の利得として考慮すれば、図4に示すように、微分器47が設けられても良い。微分器47は、図3のゲイン部42と微分器43との一組の替わりに設けられ、この一組の演算を纏めて行なう。より詳細には、減算器41の演算結果に対してゲインKpに基づく微分を行う。
位相演算部5は、固定座標系に対するδc−γc回転座標系の回転角θ0を算出する。この回転角θ0は、δc−γc回転座標系の回転速度ω0を積分することで求められる。よって図3の例示では、位相演算部5は、回転速度ω0を積分する積分器として示されている。
<3.制御特性>
次に、本制御の制御特性を考慮する。制御特性を考慮するにあたって、負荷トルクτLに対する出力トルクτeの伝達関数を考慮する。図5は、この伝達関数の周波数特性におけるゲイン(以下、伝達ゲインと呼ぶ)と位相(以下、伝達位相と呼ぶ)との一例を示している。
次に、本制御の制御特性を考慮する。制御特性を考慮するにあたって、負荷トルクτLに対する出力トルクτeの伝達関数を考慮する。図5は、この伝達関数の周波数特性におけるゲイン(以下、伝達ゲインと呼ぶ)と位相(以下、伝達位相と呼ぶ)との一例を示している。
図5から理解できるように、伝達ゲインは、周波数が増大するにつれて、増大することなく(共振することなく)低減する。したがって、共振を回避することができる。よって、負荷トルクτLに高調波成分が生じても、その高調波成分による共振が生じない。よって、高い制御特性で、電動機2の回転速度を制御することができる。
本実施の形態では、式(6)に例示するように、回転速度指令値ω0*と回転速度ωeとの偏差に対して、比例制御を行って得られる負荷角指令値φc*の微分値と、電動機回転速度との和が、回転速度ω0と等しいという関係を用いて、回転速度ω0を算出する。このように、回転速度ωeの情報を用いて回転速度ω0を算出することで、回転速度ωeに対する回転速度ω0の相対速度の制御が可能となるのである。すなわち、負荷角φを制御することが可能となり、出力トルクの制御性が向上する。そのため、負荷トルクの変動に依らず、共振を抑制することが可能となる。
<4.回転角の算出方法>
上述の例では、位相演算部5は回転速度ω0を積分して回転角θ0を算出している。しかるに位相演算部5は、図6に示すように、回転角θ0を算出してもよい。図6の例示では、位相演算部5は積分器51と加算器52とを備えている。積分器51は回転速度ωe^を積分して、その演算結果を加算器52へと出力する。加算器52は、ゲイン部42からの演算結果(負荷角指令値φc*)をも入力し、ゲイン部42の演算結果と積分器51の演算結果とを加算し、これを回転角θ0として出力する。
上述の例では、位相演算部5は回転速度ω0を積分して回転角θ0を算出している。しかるに位相演算部5は、図6に示すように、回転角θ0を算出してもよい。図6の例示では、位相演算部5は積分器51と加算器52とを備えている。積分器51は回転速度ωe^を積分して、その演算結果を加算器52へと出力する。加算器52は、ゲイン部42からの演算結果(負荷角指令値φc*)をも入力し、ゲイン部42の演算結果と積分器51の演算結果とを加算し、これを回転角θ0として出力する。
図6の内容を定式化すると、以下の式で回転角θ0が算出されることになる。
式(6)の右辺の積分値が式(7)の右辺と一致することから、適切に回転角θ0が算出されていることになる。
またこの場合、図3の例示とは異なって、回転速度演算部4が、式(7)の回転角θ0を微分して回転速度ω0を算出しても構わない。つまり、図6の後段に微分器を設け、当該微分器が回転角θ0を微分して回転速度ω0を算出しても良い。
<5.負荷角指令値φc*の算出方法>
上述の例では、偏差に対する比例制御を行なって負荷角指令値φc*を算出した。ここでは、以下の式で示すように、さらに積分制御を行なって負荷角指令値φc*を算出する。
上述の例では、偏差に対する比例制御を行なって負荷角指令値φc*を算出した。ここでは、以下の式で示すように、さらに積分制御を行なって負荷角指令値φc*を算出する。
Kiは積分ゲインであり、例えば回転速度演算部4内に予め格納される。
このように積分制御を行なうことで、回転速度指令値ω0*と回転速度ωe^との間の定常偏差を低減することができる。
図7は、回転速度演算部4の構成の一例を示す図である。図3と比較して、ゲイン部42の替わりに、比例積分部421が設けられている。比例積分部421は減算器41の演算結果に対してゲインKpに基づく比例制御およびゲインKiに基づく積分制御を行って(すなわち式(8)の演算を行なって)、その演算結果を微分器43へと出力する。
なお図8に示すように、比例積分部421および微分器43の一組の替わりに、比例微分部422が設けられても良い。比例微分部422は、図7の比例積分部421と微分器43との一組の演算を纏めて行なう。より詳細には、比例微分部422は、減算器41の演算結果に対して、ゲインKpに基づく微分制御およびゲインKiに基づく積分制御を行う。
<6.トルクの制御>
図9は、回転速度演算部4の一部の他の一例を概念的に示す図である。図9の例示では、負荷角指令値φc*を算出する構成が示されている。この負荷角指令値φc*を用いて回転速度ω0を算出する手法は上述のとおりであるので、この点についての繰り返しの説明を避ける。
図9は、回転速度演算部4の一部の他の一例を概念的に示す図である。図9の例示では、負荷角指令値φc*を算出する構成が示されている。この負荷角指令値φc*を用いて回転速度ω0を算出する手法は上述のとおりであるので、この点についての繰り返しの説明を避ける。
図9の例示では、トルク取得部45、ゲイン部48および減算器49が更に設けられている。
減算器41は回転速度指令値ω0*から回転速度ωe^を減算して、偏差を算出する。ゲイン部42は当該偏差にゲインKp1を乗算して、出力トルクτeについてのトルク指令値τe*を算出する。
トルク取得部45は任意の公知の方法により電動機2の出力トルクτeを取得する。例えば理想的な一次磁束制御が行なわれている場合にはλγc≒0の近似式が成立する。出力トルクτeは、n・(λδc・iγc+λγc・iδc)(nは極対数)で表されるので、出力トルクτeは、極対数nと一次磁束λδcと電流iγcとに基づいて算出できる。一次磁束λδcとしては、一次磁束指令値λδ *を採用できる。よって例えばトルク取得部45は、極対数nと一次磁束指令値λδ *と電流iγcに基づいて、出力トルクτeについての推定値τe^(以下、単に出力トルクτe^とも呼ぶ)を算出(推定)する。
減算器49はトルク指令値τe*から出力トルクτe^を減算して、トルク偏差を算出する。ゲイン部48は、当該トルク偏差にゲインKp2を乗算して、負荷角指令値φc*を算出する。
これにより、出力トルクτeをトルク指令値τe*に近づけることができる。
またゲイン部42,48の少なくともいずれか一方において、さらに積分制御を行なっても構わない。例えばゲイン部42が、回転速度指令値ω0*と回転速度ωe^との偏差とゲインKpとの乗算値と、所定のゲインを用いて当該偏差を積分して得られる値とを加算して、トルク指令値τe*を算出しても良い。これにより、定常偏差を低減できる。
上記の種々の実施の形態は、互いの機能を損なわない限り、適宜に組み合わせることができる。
上記のブロック図は模式的であり、各部はハードウェアで構成することもできるし、ソフトウェアによって機能が実現されるマイクロコンピュータ(記憶装置を含む)で構成してもよい。各部で実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。
1 駆動装置
2 同期電動機
21 電機子
22 電機子巻線
23 界磁
vδ*,vγ* 電圧指令値
iδ* 電流指令値
2 同期電動機
21 電機子
22 電機子巻線
23 界磁
vδ*,vγ* 電圧指令値
iδ* 電流指令値
Claims (6)
- 界磁磁束([Λ0])を発生する界磁(23)と、電機子(21)とを有する同期電動機(2)へと交流電圧を印加し、交流電流を出力する電圧供給源(1)を制御する制御装置(3)であって、
前記同期電動機の回転速度と、その指令値との偏差に対して比例制御を行なって得られる演算値(φc*)の微分値(s・φc*)と、前記回転速度(ωe)との和が、回転座標系の回転速度たる制御軸回転速度と等しいという関係を用いて、前記制御軸回転速度を算出する回転速度演算部(4)と、
前記制御軸回転速度の積分値が、前記回転座標系および固定座標系の間の回転角と等しいという関係を用いて、前記回転角を演算する位相演算部(5)と、
前記界磁磁束と、前記交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束([λ])についての一次磁束指令値、および、前記回転角に基づいて、前記一次磁束が前記回転座標系の一軸に沿うように、前記交流電圧についての第1電圧指令値([vx *])を生成し、前記第1電圧指令値を前記電圧供給源に与える電圧指令生成部(70)と
を備える、電動機の制御装置。 - 前記位相演算部(5)は、前記制御軸回転速度(ω0)を積分して、前記回転角(θ0)を算出する、請求項1に記載の電動機の制御装置。
- 前記位相演算部(5)は、前記演算値(φc*)と、前記回転速度(ωe)の積分値とを加算して、前記回転角(θ0)を算出する、請求項1に記載の電動機の制御装置。
- 前記演算値(φc*)は、前記比例制御と、前記偏差に対する積分制御とを行なって得られる、請求項1から3のいずれか一つに記載の電動機の制御装置。
- 前記回転速度演算部(4)は、前記偏差に対する前記比例制御を行なって前記電動機のトルク指令値(τe*)を算出し、前記電動機の出力トルク(τe)とのトルク偏差に対する比例制御を行なって前記演算値(φc*)を算出する、請求項1から4のいずれか一つに記載の電動機の制御装置。
- 請求項1から5のいずれか一つに記載の電動機の制御装置と、
前記電圧供給源(1)と
を備える、電動機制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014040099A JP2015165741A (ja) | 2014-03-03 | 2014-03-03 | 電動機の制御装置および電動機制御システム |
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JP2014040099A JP2015165741A (ja) | 2014-03-03 | 2014-03-03 | 電動機の制御装置および電動機制御システム |
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JP2014040099A Pending JP2015165741A (ja) | 2014-03-03 | 2014-03-03 | 電動機の制御装置および電動機制御システム |
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-
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