JP2015161676A - 茶葉の摘採時期判断方法及び茶の生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長年の経験や天候データ、特殊な測定装置を必要とせず、茶園(現場)やその近くにおいて、簡単に茶葉の品質を検査して適切な摘採時期を判断することができる、新たな茶葉の摘採時期判断方法を提案せんとする。
【解決手段】摘採した茶葉を抽出もしくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
【選択図】なし
【解決手段】摘採した茶葉を抽出もしくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
【選択図】なし
Description
茶葉の摘採時期を客観的且つ簡易に判断することができる茶葉の摘採時期判断方法及びこれを利用した茶の生産方法に関する。
茶は、茶樹品種によって生長速度や養分吸収能力に違いが見られ、茶の摘採時期の判断は、生葉の収量とお茶の品質に直接影響するため、茶の生産者にとって極めて重要である。
茶の摘採は、新芽が生長している中で行われるため、品質と収量は逆の相関関係となる。すなわち、摘採時期が遅れると、収量は多くなり、品質は低下するようになる。主成分であるカフェイン・カテキン・アミノ酸(テアニン)などは、新芽の生長とともに次第に増加するが、葉が硬化して心芽が止まる状態になると急激に減少し、粗繊維が増加して品質の低下につながる。したがって、茶の生産者にとって、良質を保ちながら多くの収量を確保する摘採時期を見極めることが重要である。
茶の摘採は、新芽が生長している中で行われるため、品質と収量は逆の相関関係となる。すなわち、摘採時期が遅れると、収量は多くなり、品質は低下するようになる。主成分であるカフェイン・カテキン・アミノ酸(テアニン)などは、新芽の生長とともに次第に増加するが、葉が硬化して心芽が止まる状態になると急激に減少し、粗繊維が増加して品質の低下につながる。したがって、茶の生産者にとって、良質を保ちながら多くの収量を確保する摘採時期を見極めることが重要である。
茶樹は、一年の間に一番茶(5月初旬)、二番茶(6月)、秋冬番茶(秋)の3期間、間隔をおいて摘採が行われるのが通常である。例えば静岡県では、一番茶の摘採時期は、4月中旬から5月中旬であり、一番茶摘採後45〜50日間ほど経過し次の芽が伸びてくるのを待ってから二番茶を摘採し、その後に秋まで約3ヶ月待ってから秋冬番茶を摘採するといった形で農作業の配分が行われている。
そして、摘採した茶葉は、その日のうちに荒茶工場に持ち込まれ、加熱処理などされて荒茶に加工された後、用途に合わせて加工される。一例を挙げれば、摘採された茶生葉は、蒸気で蒸して茶生葉に含まれる酸化酵素を不活性化(殺青)させた後、粗揉、揉捻、中揉及び精揉等によって揉込み、乾燥させる一連の工程を経て荒茶とされている(非特許文献1参照)。
他方、食用茶葉としても用いられる抹茶は、覆下栽培して摘採された茶生葉を、蒸気で蒸して茶生葉に含まれる酸化酵素を不活性化(殺青)させた後、揉まずに乾燥させる一連の工程を経て荒茶(碾茶)とされている。
他方、食用茶葉としても用いられる抹茶は、覆下栽培して摘採された茶生葉を、蒸気で蒸して茶生葉に含まれる酸化酵素を不活性化(殺青)させた後、揉まずに乾燥させる一連の工程を経て荒茶(碾茶)とされている。
従来、摘採時期を判断する手段としては、新芽における出開き度を基準として判断することが通常であった。この出開き度とは、一定面積内における出開き芽の割合を百分率で示したもので、新芽の物理的状態を表すものであった。
しかしながら、この摘採判断指標では、一定の品質を保つことが難しいため、新たな摘採基準に基づき客観的に摘採時期を判断することが求められていた。また、加工用原料としての溶出性や清澄性の観点は考慮されておらず、例えば、飲料原料として使用した場合は、二次的な沈殿や水色、加熱による香味変化などが重要であるため、それらに関連する化学成分値を指標として用いる必要もあった。
しかしながら、この摘採判断指標では、一定の品質を保つことが難しいため、新たな摘採基準に基づき客観的に摘採時期を判断することが求められていた。また、加工用原料としての溶出性や清澄性の観点は考慮されておらず、例えば、飲料原料として使用した場合は、二次的な沈殿や水色、加熱による香味変化などが重要であるため、それらに関連する化学成分値を指標として用いる必要もあった。
このような観点から、茶葉の摘採時期を判断する新たな方法として、特許文献1は、茶葉の生育指標「(NDF−全窒素)×葉緑素値」が300〜1300となるように摘採する方法を提案している。
静岡県茶業会議所編、1988、「新茶業全書」、静岡県茶業会議所、p310〜p342
近年の天候不順などの影響もあって、同じ季節や時期でも、天候や気温が大きく変わることがしばしば生じることがある。そのため、長年蓄積した天候データや経験などに依拠して茶葉の摘採時期を判断したのでは、適切な摘採時期を逃してしまうことがあった。
そこで本発明は、長年の経験や天候データ、特殊な測定装置を必要とせず、茶園(現場)やその近くにおいて、簡単に茶葉の品質を検査して適切な摘採時期を判断することができる、新たな茶葉の摘採時期判断方法及びこれを利用した茶の生産方法を提案せんとするものである。
本発明は、摘採した茶葉を抽出もしくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
本発明はまた、摘採した茶葉を乾燥させた後、茶葉を粉砕し、水に浸漬させて茶葉成分を抽出した後、茶葉成分が抽出された茶葉液に金属呈色試薬を加えて、茶葉液の色変化を判定することにより、茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
本発明が提案する茶葉の摘採時期判断方法によれば、長年の経験や天候データ、特殊な測定装置を必要とせず、茶園(現場)において簡単に茶葉の品質を検査して適切な摘採時期を判断することができる。よって、この茶葉の摘採時期判断方法を利用して茶葉を摘採して茶を生産することにより、品質の良い茶及び茶飲料をより安定して且つ安価に生産することが可能となる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本摘採時期判断方法>
本発明の実施形態の一例に係る茶葉の摘採時期判断方法(以下「本摘採時期判断方法」と称する)では、摘採した茶葉(測定サンプル)を抽出もしくは搾汁して得た茶葉液、又は、摘採した茶葉を乾燥させた後、茶葉を粉砕し、水に浸漬させて茶葉成分を抽出して得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することができる。
本発明の実施形態の一例に係る茶葉の摘採時期判断方法(以下「本摘採時期判断方法」と称する)では、摘採した茶葉(測定サンプル)を抽出もしくは搾汁して得た茶葉液、又は、摘採した茶葉を乾燥させた後、茶葉を粉砕し、水に浸漬させて茶葉成分を抽出して得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することができる。
(測定サンプル)
摘採した茶葉(測定サンプル)を抽出もしくは搾汁して茶葉液とする方法においては、摘採した茶葉は、摘採してから時間が経過すると色が変化するため、金属呈色試薬の呈色試験に影響を及ぼす可能性がある。よって、茶葉は摘採してから48時間以内、特に12時間以内のうちに金属呈色試薬による呈色試験に供するのが好ましい。
摘採した茶葉(測定サンプル)を抽出もしくは搾汁して茶葉液とする方法においては、摘採した茶葉は、摘採してから時間が経過すると色が変化するため、金属呈色試薬の呈色試験に影響を及ぼす可能性がある。よって、茶葉は摘採してから48時間以内、特に12時間以内のうちに金属呈色試薬による呈色試験に供するのが好ましい。
但し、後述するように、茶葉を乾燥させれば、摘採してから48時間経過後であっても、呈色試験に影響はないため、摘採してから48時間以内に金属呈色試薬に供する必要はない。この場合、摘採してから48時間以内、特に12時間以内に乾燥させるのが好ましい。
摘採した茶葉を乾燥させた後、茶葉を粉砕して測定サンプルとしてもよい。例えば複数の茶園で茶葉を摘採して測定サンプルとする場合には、摘採してすぐに呈色試験を行うことが難しい場合もある。その場合には、摘採した茶葉を乾燥させ、その後、粉砕及び呈色試験を行うようにすればよい。
前記茶葉を水で浸出する際は、茶葉の乾物重量と水の割合を一定にするのが好ましい。
茶葉の乾燥は、低水分の茶葉粉砕物の抽出液は水色及び試薬反応による色変化が安定しやすいため、水分が0〜10質量%となるように、特に1質量%以上或いは7質量%以下となるように乾燥させるのが好ましい。
前記茶葉を水で浸出する際は、茶葉の乾物重量と水の割合を一定にするのが好ましい。
茶葉の乾燥は、低水分の茶葉粉砕物の抽出液は水色及び試薬反応による色変化が安定しやすいため、水分が0〜10質量%となるように、特に1質量%以上或いは7質量%以下となるように乾燥させるのが好ましい。
測定サンプルとする茶葉は、茶園内の異なる箇所少なくとも2か所以上で摘採した茶葉を測定サンプルとするのが好ましい。同じ茶園であっても、場所によって出開き度が異なるためである。
測定サンプルとする茶葉(新芽)は、そのシーズンに新たに伸びた部分全部(心、茎及び葉を含む)としてもよいし、一心二葉〜一心五葉としてもよいし、一心二葉〜一心五葉のうちの何れかを決めて測定サンプルとしてもよい。中でも、評価精度を高める観点から、心すなわち茎部分を除いた茶身を測定サンプルとするのが好ましい。
測定サンプルとする茶葉は、NDF(中性デタージェント繊維)量32質量%以下の茶葉であるのが好ましい。
NDF量が少ない茶葉の方が、茎を多く含むなど繊維量の高い茶葉に比べて、亜鉛などの微量成分を安定的に溶出させることができるため、測定サンプルとする茶葉は、NDF量32質量%以下、中でも30質量%以下、その中でもNDF量28質量%以下の茶葉であるのが特に好ましい。
なお、NDF量としては、中性デタージェント繊維法や、近赤外分析法により分析した中性デタージェント繊維量を用いるのが好ましい。
NDF量が少ない茶葉の方が、茎を多く含むなど繊維量の高い茶葉に比べて、亜鉛などの微量成分を安定的に溶出させることができるため、測定サンプルとする茶葉は、NDF量32質量%以下、中でも30質量%以下、その中でもNDF量28質量%以下の茶葉であるのが特に好ましい。
なお、NDF量としては、中性デタージェント繊維法や、近赤外分析法により分析した中性デタージェント繊維量を用いるのが好ましい。
測定サンプルとする茶葉のNDF量を32質量%以下に調整する手段としては、例えば摘採した生茶葉から、少なくとも茎を取り除く方法を挙げることができる。
摘採した生茶葉には、茎と複数枚の茶葉とが含まれるが、茎部分はNDF量が高いために、茎を取り除くことにより、NDF量を低下させることができる。この際、必ずしも全ての茎を取り除く必要はない。好ましくは50%以上、特に80%以上の茎を取り除くのがよい。
また、茎を取り除いてもNDF量が32質量%より高い場合には、葉柄や葉脈を剥ぎ取るようにすればよい。
摘採した生茶葉には、茎と複数枚の茶葉とが含まれるが、茎部分はNDF量が高いために、茎を取り除くことにより、NDF量を低下させることができる。この際、必ずしも全ての茎を取り除く必要はない。好ましくは50%以上、特に80%以上の茎を取り除くのがよい。
また、茎を取り除いてもNDF量が32質量%より高い場合には、葉柄や葉脈を剥ぎ取るようにすればよい。
(粉砕)
摘採した茶葉、好ましくは茶身を、必要に応じて粉砕して測定サンプルとすることが好ましい。
茶葉の粉砕手段としては、例えばすり鉢、乳鉢、ジューサー、ニンニク絞り器、ペンチ、鋏などのように、水分を持った生茶葉を粉砕して回収できるものなら採用可能である。
他方、乾燥した茶葉の場合は、例えばすり鉢、乳鉢、ミル、臼などによる粉砕を挙げることができる。
摘採した茶葉、好ましくは茶身を、必要に応じて粉砕して測定サンプルとすることが好ましい。
茶葉の粉砕手段としては、例えばすり鉢、乳鉢、ジューサー、ニンニク絞り器、ペンチ、鋏などのように、水分を持った生茶葉を粉砕して回収できるものなら採用可能である。
他方、乾燥した茶葉の場合は、例えばすり鉢、乳鉢、ミル、臼などによる粉砕を挙げることができる。
茶葉又は乾燥させた茶葉を粉砕する程度としては、1mm角以下の大きさとするのが好ましい。
(抽出もしくは搾汁)
測定サンプルとしての茶葉は、抽出若しくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を金属呈色試薬と接触させて、接触後の状態の変化を判定することにより、茶葉の摘採時期を判断する。
測定サンプルとしての茶葉は、抽出若しくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を金属呈色試薬と接触させて、接触後の状態の変化を判定することにより、茶葉の摘採時期を判断する。
粉砕した生茶葉或いは粉砕した乾燥茶葉を抽出する手段としては、茶葉、好ましくは乾燥させた茶葉、特に好ましくは乾燥後粉砕した茶葉を、水に浸漬させて茶葉成分を抽出させた茶葉液を得る方法を挙げることができる。
この際、使用する水は、水に含まれる成分の影響を除くため、蒸留水やイオン交換水を用いるのが好ましい。
茶葉に対する水の量としては1:1〜1:1000、特に1:20以上或いは1:400以下であるのが好ましい。
また、水の温度は、室温、すなわち15〜30℃であればよい。
浸漬時間は0.5分〜60分、中でも2分以上或いは20分以下であるのが好ましい。
この際、使用する水は、水に含まれる成分の影響を除くため、蒸留水やイオン交換水を用いるのが好ましい。
茶葉に対する水の量としては1:1〜1:1000、特に1:20以上或いは1:400以下であるのが好ましい。
また、水の温度は、室温、すなわち15〜30℃であればよい。
浸漬時間は0.5分〜60分、中でも2分以上或いは20分以下であるのが好ましい。
茶葉を搾汁して茶葉液を得る手段としては、例えばすり鉢、乳鉢、ジューサー、ニンニク絞り器などを挙げることができる。
(濾過)
上記のようにして得た茶葉液は、そのままでは茶葉液が懸濁した状態でも構わないが、色が見やすくなるため濾過した方が好ましく、茶葉液を濾過した後、その濾過液に金属呈色試薬を接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を検討するのが好ましい。
この際の濾過方法としては、布等で絞ってもよいし、フィルターを用いて濾過してもよく、また遠心分離等を行った後の上澄みをとってもよく、それらを組み合わせてもよい。
上記のようにして得た茶葉液は、そのままでは茶葉液が懸濁した状態でも構わないが、色が見やすくなるため濾過した方が好ましく、茶葉液を濾過した後、その濾過液に金属呈色試薬を接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を検討するのが好ましい。
この際の濾過方法としては、布等で絞ってもよいし、フィルターを用いて濾過してもよく、また遠心分離等を行った後の上澄みをとってもよく、それらを組み合わせてもよい。
金属呈色試薬を接触させた後の茶葉液の状態の変化とは、色の変化のほか、濁りが生じたり、沈澱が生じたりするなどの状態の変化を包含する。但し、色の変化を判定するのが好ましい。
(金属呈色試薬)
金属呈色試薬としては、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール、Zincon、2-(5-ブロモ-2-ピリジアルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、ビスマス酸塩、過ヨウ素酸塩などを挙げることができる。中でも、茶葉中の複数の種類の金属を調べることができる観点から、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが特に好ましい。
金属呈色試薬としては、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール、Zincon、2-(5-ブロモ-2-ピリジアルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、ビスマス酸塩、過ヨウ素酸塩などを挙げることができる。中でも、茶葉中の複数の種類の金属を調べることができる観点から、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが特に好ましい。
金属呈色試薬は、粉体又は液体の状態で用いてもよいし、また、同成分を含む分析キットとして用いてもよいし、また、同成分を含む試験紙などの形態として用いてもよい。
よって、上記のようにして得た茶葉液に金属呈色試薬を加えて、試薬反応による色変化を判定するようにしてもよいし、又、上記のようにして得た茶葉液を、金属呈色試薬を含む試験紙に付着させて、試薬反応による色変化を判定するようにしてもよい。
金属呈色試薬として、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを用いた場合は、反応後の茶葉液は、茶葉の状態に応じて色相、明度、彩度ともに変化する。そこで、予め「早期(未熟な茶葉)の状態」、「適期(好ましい茶葉)の状態」、「晩期(成熟した茶葉)の状態」等の茶葉の状態に応じた茶葉液の色相、明度、彩度に対応した色見本を作製しておき、同色見本と比較して摘採時期を判断するのが好ましい。同色見本については、「一定日後に好ましい茶葉となる状態」、「好ましい茶葉の状態」、「好ましい茶葉の状態から一定日後の状態」等、好ましい茶葉の状態まであと何日である、もしくは何日後であるかを推定できるようにしておいてもよい。なお、茶は、煎茶、抹茶、玉露、容器詰茶飲料原料、食品加工用原料等の使用用途によって好ましい摘採時期は異なることがある。そこで、使用用途に応じた色見本を作製しておき、使用用途に応じて色見本を使い分けてもよい。また、色見本を用いず、上記各状態についての色相、明度、色彩等の色の属性について数値範囲を定め、光度計等を用いて茶溶液の色変化を判定してもよい。
なお、このような金属呈色試薬による判定方法では、有機物や測定対象以外の金属などの夾雑物が影響するため、換算式や同夾雑物を除去する前処理等で除去するのが好ましい。
茶の新芽中に微量に含まれる金属類には、新芽の生育とともに特異的な増減するものがあることが知られており、例えば新芽中の亜鉛含量は生育とともに減少する傾向にあり、結果的に品質の良好な荒茶には亜鉛が多いといわれている。一方、新芽中のマンガン含有量は、新芽の生育とともに増加する傾向にあるが、硬化した茎では減少するなど、新芽の生育とともに特徴的な動きをすることがわかっている。よって、茶葉における亜鉛含有量やマンガン含有量など微量に含まれる金属類を生産現場で検査し、摘採時期を判断することが望まれる。
しかしながら、従来、茶葉中の無機元素(亜鉛等)を定量する方法としては、原子吸光法やICPによらなければならず、現場で簡易に判断することはできなかった。
本発明が提案する方法によれば、茶の新芽から、簡易的に亜鉛やマンガンなど新芽中に微量に含まれ、特異的に増減する金属類を抽出して、摘採時期判断に利用可能な精度で分析することができる。
しかしながら、従来、茶葉中の無機元素(亜鉛等)を定量する方法としては、原子吸光法やICPによらなければならず、現場で簡易に判断することはできなかった。
本発明が提案する方法によれば、茶の新芽から、簡易的に亜鉛やマンガンなど新芽中に微量に含まれ、特異的に増減する金属類を抽出して、摘採時期判断に利用可能な精度で分析することができる。
複数の茶園について効率的に、茶葉から茶葉液を得て、金属呈色試薬を加えて色変化を判定して、茶葉の摘採時期を判断するためには、粉砕手段、抽出手段、搾汁手段、濾過手段、試薬反応手段、色変化判定手段のすべて、若しくは、これらのうちの一種又は2種以上の手段を一連の作業で行うことが好ましい。そして、それらの手段に必要な器具及び試薬をまとめた一つの製品、すなわち茶葉摘採時期判断キットとして用意しておくことは特に好ましいことである。
上記キットとしては、例えば、摘採した茶葉の粉砕手段、抽出手段、濾過手段、試薬反応手段、個包装された試薬及び色判定手段からなる群のうちの2種類以上をまとめて一つの包装体内に収容してなる茶葉摘採時期判断キットを挙げることができる。より具体的には、例えば、粉砕手段としてすり鉢、抽出手段として計量線付きの蓋付き試験管とイオン交換水、濾過手段としてシリンジとシリンジフィルター、試薬反応手段としての計量線付き試験管、個包装された試薬、及び、色判定手段としての色見本からなる群のうちの2種類以上をまとめて一つの包装体内に収容してなるキットを例示することができる。もっとも簡便には、茶葉液を充填するための透明容器、金属呈色試薬、色見本、及び使用説明書からなるキットである。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を試験結果に基づいてさらに詳述する。
<試験1>
摘採時期の異なる3種類の生茶葉A〜Cを、摘採してから48時間以内にそれぞれ粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工して製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉A:5/12に静岡で摘採
生茶葉B:5/4に静岡で摘採
生茶葉C:4/20に静岡で摘採
なお、各生茶葉A〜Cは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
摘採時期の異なる3種類の生茶葉A〜Cを、摘採してから48時間以内にそれぞれ粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工して製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉A:5/12に静岡で摘採
生茶葉B:5/4に静岡で摘採
生茶葉C:4/20に静岡で摘採
なお、各生茶葉A〜Cは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
(1)生茶葉2gを乳鉢ですりつぶした。
(2)すりつぶした生茶葉2gを、2.40mLのイオン交換水(水温20℃)を加えて5分間浸出させて懸濁させた。
(3)布等で絞って濾過した。
(4)濾過液(すなわち茶葉液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(5)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて2分後の茶葉液の水色の濃淡を目視により3段階にグループ分けて評価した。
(6)同生茶葉を荒茶加工して、官能評価を行った(外観)。
(2)すりつぶした生茶葉2gを、2.40mLのイオン交換水(水温20℃)を加えて5分間浸出させて懸濁させた。
(3)布等で絞って濾過した。
(4)濾過液(すなわち茶葉液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(5)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて2分後の茶葉液の水色の濃淡を目視により3段階にグループ分けて評価した。
(6)同生茶葉を荒茶加工して、官能評価を行った(外観)。
茶葉液の水色の濃淡を次の判断基準で評価した。
1:淡い
2:普通
3:濃い
1:淡い
2:普通
3:濃い
官能評価は、10名の官能訓練を受けた審査官が、黒色で底長17cmの正方形の審査ぼんに入った各荒茶サンプル約150gの形状及び色沢について、次の判断基準で評価した。
(形状)
×(poor):扁平、大形、不揃い、小玉あり
△(normal):○と×の中間
○(good):細よれでしまりが良い、かたちが整っている
×(poor):扁平、大形、不揃い、小玉あり
△(normal):○と×の中間
○(good):細よれでしまりが良い、かたちが整っている
(色沢)
×(poor):赤み、黒み、白ずれのいずれかあり、もしくはつや不足
△(normal):○と×の中間
○(good):緑色でつやがある
×(poor):赤み、黒み、白ずれのいずれかあり、もしくはつや不足
△(normal):○と×の中間
○(good):緑色でつやがある
(総合評価)
×(poor):形状もしくは色沢に一つ以上×があるもの
△(normal):形状もしくは色沢に×はないが、一つ以上△があるもの
○(good):形状、色沢ともに○のもの
×(poor):形状もしくは色沢に一つ以上×があるもの
△(normal):形状もしくは色沢に×はないが、一つ以上△があるもの
○(good):形状、色沢ともに○のもの
(考察)
茶葉液に呈色試薬を加えたときの水色の濃淡で茶葉の品質判別のうえ、好適な品質のときに生産することにより、良好な品質の茶の生産ができると考えられる。
また、茶葉液に呈色試薬を加えたときの水色の濃淡で茶葉の品質判別が可能と考えられる。
茶葉液に呈色試薬を加えたときの水色の濃淡で茶葉の品質判別のうえ、好適な品質のときに生産することにより、良好な品質の茶の生産ができると考えられる。
また、茶葉液に呈色試薬を加えたときの水色の濃淡で茶葉の品質判別が可能と考えられる。
<試験2>
摘採時期の異なる5種類の生茶葉D〜Hを、摘採してから48時間以内にそれぞれ乾燥させて粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工して製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉D:5/15に静岡で摘採
生茶葉E:5/10に静岡で摘採
生茶葉F:5/6に静岡で摘採
生茶葉G:5/1に静岡で摘採
生茶葉H:4/15に静岡で摘採
なお、各生茶葉D〜Hは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
摘採時期の異なる5種類の生茶葉D〜Hを、摘採してから48時間以内にそれぞれ乾燥させて粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工して製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉D:5/15に静岡で摘採
生茶葉E:5/10に静岡で摘採
生茶葉F:5/6に静岡で摘採
生茶葉G:5/1に静岡で摘採
生茶葉H:4/15に静岡で摘採
なお、各生茶葉D〜Hは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
(1)生茶葉を電子レンジで乾燥させて水分を5%とした後、UDY製のサイクロンミルで粉砕し、1mmメッシュの網目を通過したものを測定サンプルとした。
(2)当該測定サンプル0.5gを、50mLのイオン交換水(水温20℃)を加えて5分間浸出させて懸濁させた。
この際、測定サンプルを加えた直後(0分経過時点)と、2.5分経過時点とにおいてよく振って懸濁させた。
(3)次に、遠心分離(4000rpm、3分間)して遠沈後、濾過(No.6)した。
(4)濾過液(すなわち浸出液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(5)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて3分後に、濾過液の水色を色見本と比較して5つにグループ分けて評価した。
(6)同生葉を荒茶加工して、官能評価(200ml白磁碗で熱湯を注いで水色、滋味を評価)
(2)当該測定サンプル0.5gを、50mLのイオン交換水(水温20℃)を加えて5分間浸出させて懸濁させた。
この際、測定サンプルを加えた直後(0分経過時点)と、2.5分経過時点とにおいてよく振って懸濁させた。
(3)次に、遠心分離(4000rpm、3分間)して遠沈後、濾過(No.6)した。
(4)濾過液(すなわち浸出液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(5)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて3分後に、濾過液の水色を色見本と比較して5つにグループ分けて評価した。
(6)同生葉を荒茶加工して、官能評価(200ml白磁碗で熱湯を注いで水色、滋味を評価)
官能評価は、10名の官能訓練を受けた審査官が、次の判断基準で評価した。
なお、表2中の濾過液の水色については、下記基準(マルセル表示系に従う)で評価した。
1’:2Y7.5/13.0 (山吹色)
2’:4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)
3’:10R6.5/11.5(キャロットオレンジ)
4’:8R6/12.5 (鉛丹に近い色)
5’:1.5YR6/11.0(黄赤に近い色)
なお、表2中の濾過液の水色については、下記基準(マルセル表示系に従う)で評価した。
1’:2Y7.5/13.0 (山吹色)
2’:4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)
3’:10R6.5/11.5(キャロットオレンジ)
4’:8R6/12.5 (鉛丹に近い色)
5’:1.5YR6/11.0(黄赤に近い色)
(水色)
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
(滋味)
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
(総合評価)
×(poor):水色もしくは滋味に一つ以上×があるもの
△(normal):水色もしくは滋味に×はないが、一つ以上△があるもの
◎(good):水色、滋味ともに○のもの
×(poor):水色もしくは滋味に一つ以上×があるもの
△(normal):水色もしくは滋味に×はないが、一つ以上△があるもの
◎(good):水色、滋味ともに○のもの
(考察)
生葉を、上記前処理を行った上で、呈色試薬を加え、比色評価することにより、荒茶にしたときの品質判別が可能になることが分かった。従って、この品質判別結果をもとに茶を生産することにより良好な品質の茶葉が生産できると考えられる。
また、金属呈色試薬を加えた後の色変化と、茶の摘採時期とは相関があり、さらには荒茶にしたときの品質とも相関があることが分かった。
この結果からすると、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜8R6/12.5(鉛丹に近い色)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと考えることができる。
なお、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜8R6/12.5(鉛丹に近い色)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと判断できるのは、上記処理の濃度で茶葉を浸漬し、上記濃度の試薬を上記量加えた場合の結果であり、茶葉の量、浸漬の水の量、試薬の量などが異なれば、好ましい色は多少異なることになるから、調整することが好ましい。
生葉を、上記前処理を行った上で、呈色試薬を加え、比色評価することにより、荒茶にしたときの品質判別が可能になることが分かった。従って、この品質判別結果をもとに茶を生産することにより良好な品質の茶葉が生産できると考えられる。
また、金属呈色試薬を加えた後の色変化と、茶の摘採時期とは相関があり、さらには荒茶にしたときの品質とも相関があることが分かった。
この結果からすると、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜8R6/12.5(鉛丹に近い色)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと考えることができる。
なお、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜8R6/12.5(鉛丹に近い色)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと判断できるのは、上記処理の濃度で茶葉を浸漬し、上記濃度の試薬を上記量加えた場合の結果であり、茶葉の量、浸漬の水の量、試薬の量などが異なれば、好ましい色は多少異なることになるから、調整することが好ましい。
<試験3>
摘採時期の異なる5種類の生茶葉I〜Mの葉身部分を、摘採してから48時間以内にそれぞれ乾燥させ、粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工後に緑茶飲料加工をして製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉I:5/15に宮崎で摘採
生茶葉J:5/11に宮崎で摘採
生茶葉K:5/5に宮崎で摘採
生茶葉L:5/1に宮崎で摘採
生茶葉M:4/21に宮崎で摘採
なお、各生茶葉I〜Mは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
摘採時期の異なる5種類の生茶葉I〜Mの葉身部分を、摘採してから48時間以内にそれぞれ乾燥させ、粉砕し、粉砕した茶葉を水に加えて浸出させた後、金属呈色試薬を加えて色変化を観察すると共に、同生茶葉を荒茶加工後に緑茶飲料加工をして製品としての評価を行った。詳しくは次のように行った。
生茶葉I:5/15に宮崎で摘採
生茶葉J:5/11に宮崎で摘採
生茶葉K:5/5に宮崎で摘採
生茶葉L:5/1に宮崎で摘採
生茶葉M:4/21に宮崎で摘採
なお、各生茶葉I〜Mは、試験地における慣行の摘採高さで摘採した。
(1)生茶葉から茎と葉柄部分等を取り除き、葉身部分を試料サンプルとした。
(2)試料サンプルを電子レンジで乾燥させて水分を5%とした後、UDY製のサイクロンミルで粉砕し、1mmメッシュの網目を通過したものを測定サンプルとした。
(3)当該測定サンプル0.5gを、50mLのイオン交換水(水温20℃の)に加えて5分間浸出させた。この際、測定サンプルを加えた直後(0分経過時点)と、2.5分経過時点とにおいてよく振って懸濁させた。
(4)次に、遠心分離(4000rpm、3分間)して遠沈後、濾過(No.6)した。
(5)濾過液(すなわち浸出液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(6)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて3分後に、濾過液の水色を色見本と比較して5つにグループ分けて評価した。
(7)同生葉を荒茶加工した上で加熱処理済み茶飲料を作製し、常温に調整後、官能評価した。
(2)試料サンプルを電子レンジで乾燥させて水分を5%とした後、UDY製のサイクロンミルで粉砕し、1mmメッシュの網目を通過したものを測定サンプルとした。
(3)当該測定サンプル0.5gを、50mLのイオン交換水(水温20℃の)に加えて5分間浸出させた。この際、測定サンプルを加えた直後(0分経過時点)と、2.5分経過時点とにおいてよく振って懸濁させた。
(4)次に、遠心分離(4000rpm、3分間)して遠沈後、濾過(No.6)した。
(5)濾過液(すなわち浸出液)1mL中に、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液0.5mLを加えて懸濁させた。
なお、当該1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液は、50%メタノール、0.005%TritonX100、及び0.02M水酸化ナトリウムを含む水溶液に1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを溶解した溶液であり、当該溶液0.5mL中には0.1mgの1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールが含まれていた。
(6)1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール溶液を加えて3分後に、濾過液の水色を色見本と比較して5つにグループ分けて評価した。
(7)同生葉を荒茶加工した上で加熱処理済み茶飲料を作製し、常温に調整後、官能評価した。
茶飲料は以下の方法で作製した。
荒茶80gを、85℃の熱水10L、抽出時間8分の条件にて抽出した。
この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で粗濾過して茶殻を取り除いた後、ステンレスメッシュ(80メッシュ) で濾過し、さらにSA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液を得た。
各抽出液に、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を10000mlに調整し、この液をUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、プレート内で冷却し、85℃にて透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し、ただちに20℃まで冷却したものを茶飲料とした。
荒茶80gを、85℃の熱水10L、抽出時間8分の条件にて抽出した。
この抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で粗濾過して茶殻を取り除いた後、ステンレスメッシュ(80メッシュ) で濾過し、さらにSA1連続遠心分離機(ウエストファリアー社製)を用いて流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降液面積(Σ)1000m2の条件にて遠心分離し、抽出液を得た。
各抽出液に、アスコルビン酸を400ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、イオン交換水を加えて全量を10000mlに調整し、この液をUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、プレート内で冷却し、85℃にて透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し、ただちに20℃まで冷却したものを茶飲料とした。
官能評価は、10名の官能訓練を受けた審査官が、次の判断基準で評価した。
なお、表3中の濾過液の水色については、下記基準(マルセル表示系に従う)で評価した。
1”:2Y7.5/13.0 (山吹色)
2”:4YR7.0/11.5 (ナスターシャムオレンジ)
3”:10R6.5/11.5 (キャロットオレンジ)
4”:9.5R6.5/12.0(黄丹に近い色)
5”:2.5YR7/11.0 (黄赤に近い色)
なお、表3中の濾過液の水色については、下記基準(マルセル表示系に従う)で評価した。
1”:2Y7.5/13.0 (山吹色)
2”:4YR7.0/11.5 (ナスターシャムオレンジ)
3”:10R6.5/11.5 (キャロットオレンジ)
4”:9.5R6.5/12.0(黄丹に近い色)
5”:2.5YR7/11.0 (黄赤に近い色)
(香味)
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
◎(very good):特に良い
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
◎(very good):特に良い
(水色)
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
◎(very good):特に良い
×(poor):悪い
△(normal):○と×の中間
○(good):良い
◎(very good):特に良い
(総合評価)
×(poor):香味もしくは水色に一つ以上×があるもの
△(normal):香味もしくは水色に×はないが、一つ以上△があるもの
○(good):香味、水色ともに○以上でありるが、両方◎ではないもの
◎(very good):香味、水色ともに◎のもの
×(poor):香味もしくは水色に一つ以上×があるもの
△(normal):香味もしくは水色に×はないが、一つ以上△があるもの
○(good):香味、水色ともに○以上でありるが、両方◎ではないもの
◎(very good):香味、水色ともに◎のもの
(考察)
生葉を、上記前処理を行った上で、呈色試薬を加え、比色評価することにより、加熱処理済み茶飲料にしたときの品質判別が可能であることが分かった。従って、この品質判別結果をもとに茶を生産することにより良好な品質の茶葉が生産できると考えられる。
また、金属呈色試薬を加えた後の色変化と、茶の摘採時期とは相関があり、さらには加熱処理済み茶飲料にしたときの品質とも相関があることが分かった。
この結果からすると、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜9.5R6.5/12.0(黄丹に近い色)に変化した時、中でも10R6.5/11.5(キャロットオレンジ)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと考えることができる。
生葉を、上記前処理を行った上で、呈色試薬を加え、比色評価することにより、加熱処理済み茶飲料にしたときの品質判別が可能であることが分かった。従って、この品質判別結果をもとに茶を生産することにより良好な品質の茶葉が生産できると考えられる。
また、金属呈色試薬を加えた後の色変化と、茶の摘採時期とは相関があり、さらには加熱処理済み茶飲料にしたときの品質とも相関があることが分かった。
この結果からすると、金属呈色試薬を加えた後の色が4YR7.0/11.5(ナスターシャムオレンジ)〜9.5R6.5/12.0(黄丹に近い色)に変化した時、中でも10R6.5/11.5(キャロットオレンジ)に変化した時に茶葉を摘採するのが好ましいと考えることができる。
本発明は、摘採した茶葉の葉身を抽出若しくは搾汁して茶葉液を得、得られた茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定することにより茶葉を摘採するのに適した時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
本発明はまた、摘採した茶葉の葉身を乾燥させた後、茶葉を粉砕し、水に浸漬させて茶葉成分を抽出した後、茶葉成分が抽出された茶葉液に金属呈色試薬を加えて、茶葉液の色変化を判定することにより、茶葉を摘採するのに適した時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法を提案する。
測定サンプルとする茶葉(新芽)は、そのシーズンに新たに伸びた部分全部(芯、茎及び葉を含む)としてもよいし、一芯二葉〜一芯五葉としてもよいし、一芯二葉〜一芯五葉のうちの何れかを決めて測定サンプルとしてもよい。中でも、評価精度を高める観点から、芯すなわち茎部分を除いた葉身を測定サンプルとするのが好ましい。
Claims (6)
- 摘採した茶葉を抽出若しくは搾汁して得られる茶葉液、又は、摘採した茶葉を乾燥粉砕した後、水に浸漬させて茶葉成分を抽出して得られる茶葉液を、金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の色変化を判定することにより茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする、茶葉の摘採時期判断方法。
- 摘採した茶葉が葉身であることを特徴とする請求項1に記載の茶葉の摘採時期判断方法。
- 前記金属呈色試薬として、1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールを用いることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の茶葉の摘採時期判断方法。
- 金属呈色試薬と接触させた後の茶葉液の色の色相、明度、彩度とそれらの数値範囲もしくは色相、明度、彩度を指定した色見本を基準として、茶葉の摘採時期を判断することを特徴とする請求項3に記載の茶葉の摘採時期判断方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の茶葉の摘採時期判断方法を利用して茶葉を摘採することを特徴とする茶葉の摘採方法。
- 摘採した茶葉の粉砕手段、抽出手段、濾過手段、試薬反応手段、個包装された試薬及び色判定手段からなる群のうちの2種類以上をまとめて一つの包装体内に収容してなる茶葉摘採時期判断キット。
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JP2014039117A JP2015161676A (ja) | 2014-02-28 | 2014-02-28 | 茶葉の摘採時期判断方法及び茶の生産方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112595676A (zh) * | 2020-11-11 | 2021-04-02 | 农芯科技(广州)有限责任公司 | 茶叶品质评价方法及茶叶品质评价装置 |
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2014
- 2014-02-28 JP JP2014039117A patent/JP2015161676A/ja active Pending
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JPN6015016499; 共立 パックテスト(登録商標)使用方法 亜鉛 形式 WAK-Zn KR-Zn * |
JPN6015016501; 共立 パックテスト(登録商標)使用方法 亜鉛 形式 WAK-Zn(D) * |
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