JP2015158450A - 合成開口レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンジ方向画像レジストレーション部8が、プラットフォーム運動計測部5により計測されたプラットフォームの速度を用いて、SAR画像再生部7a,7bにより再生されたSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)のレンジ方向の位置合わせを行うように構成する。
【選択図】図1
Description
しかし、これらの検出方式では、クラッタのドップラー帯域幅が広い場合、低速移動の目標を検出することができない問題がある。
2つのアンテナ開口をアロングトラック方向に並べ、2つのアンテナ開口で受信された信号を用いる方式として、例えば、非特許文献1に開示されているDPCA(Displaced Phase Center Antenna)方式が知られている。
DPCA方式は、2つのアンテナ開口で受信された信号が、違う時刻に同じ位置から観測された信号に相当するものであることを利用するものであり、2つのアンテナ開口で受信された信号の差分を計算することでクラッタを抑圧している。
STAP方式は、3つ以上のアンテナ開口で受信された信号に対して、時空間フィルタを適用することで、移動目標を検出する方式である。
これに対して、航空機に搭載されているレーダ装置では、一般に開口が進行方向の前方を向いている。また、上記レーダ装置の開口は、以下の非特許文献1に開示されているモノパルス方式を実現するために、左右に分割されて2チャネルの受信チャネルを持っている。
そのため、進行方向に対して直角で、かつ、水平方向に並んでいる2つのアンテナ開口を用いて、クラッタを抑圧することが可能であれば、信号処理方式を更新するだけで、航空機に搭載されている既設のレーダ装置を利用することが可能であり、移動目標の検出性能を向上することができる。
しかし、この方式では、パルスの積分時間を長くすると、移動目標の信号が移動の影響で、レンジセルを跨いでしまうために、信号が適切に積分されなくなることがある。
そのため、非特許文献3に開示されている方式は、適用可能なパルスの積分時間が限られるため、信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise Ratio)が低い移動目標を検出することが困難である。
なお、非特許文献3に開示されている方式が効果を発揮するのは、主に3つ以上のアンテナ開口を用いる場合である。
図6はDPCA方式の原理を説明するための概念図であり、図6において、横軸は時刻で、縦軸はプラットフォームの進行方向である。
2つのアンテナ1a,1bがプラットフォームの進行方向に並べられており、図6では、時刻ηにおけるアンテナ1a,1bの位置と、時刻(η+η12)におけるアンテナ1a,1bの位置とが表記されている。
図6の例では、2つのアンテナ1a,1bの間の距離をd[m]、プラットフォームの速度をVr[m/s]としている。
したがって、図6の例では、2つのアンテナ1a,1bの位置は、傾きVrの直線に沿って移動する。
図6より、時刻ηにおけるアンテナ1aの位置に、アンテナ1bが到達する時刻は、時刻ηより、η12=d/Vr[sec]後であることが分かる。つまり、2つのアンテナ1a,1bでそれぞれ観測される信号は、時刻差η12=d/Vrで同一位置から観測されたものに相当する。
したがって、パルス繰り返し周期(PRI:Pulse Repetition Interval)が時刻差η12と一致する場合(この関係が成立することを「DPCA条件」と称する)、アンテナ1aが時刻ηで観測する信号と、アンテナ1bが時刻(η+η12)で観測する信号は、同じ場所から異なる時刻で観測した信号に相当する。
そのため、アンテナ1aで観測される信号と、アンテナ1bで観測される信号においては、静止クラッタ信号は一致するが、移動目標信号は移動に伴う距離変化に応じて、その位相が変化する。
このSAR−DPCA方式では、アンテナ1aで観測される信号と、アンテナ1bで観測される信号から、SAR画像をそれぞれ再生している。
2つのSAR画像では、静止クラッタ信号が一致しているが、移動目標信号が時刻差η12の間に位相が変化するので、2つのSAR画像の差分処理でクラッタを抑圧して、移動目標を検出するようにしている。
SAR−DPCA方式は、合成開口レーダの観測と組み合わせることにより、積分時間を延長することができるので、上記のDPCA方式と比較すると、より信号対雑音電力比が小さい移動目標を検出することが可能になる。
しかし、上記のDPCA方式と同様に、複数のアンテナ開口をアロングトラック方向に並べて配置する必要がある。
図1はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ装置を示す構成図である。
図1において、アンテナ1a,1bはプラットフォームの進行方向と直交する方向に、dの間隔で並んでおり、アンテナ1aは送受信アンテナとして用いられ、アンテナ1bは受信アンテナとして用いられる。
送信機2はパルス信号を生成し、繰返し周期Δη(繰り返し周波数Fa)で、そのパルス信号を繰り返し出力する。なお、送信機2は送信手段を構成している。
送受切換器3は送信機2から出力されたパルス信号をアンテナ1aに出力することで、そのパルス信号を空間に放射させる一方、観測対象によって散乱された前記パルス信号の散乱波がアンテナ1aに入射されると、その散乱波を受信機4aに出力する。
受信機4bはアンテナ1aから放射されたのち、観測対象によって散乱されたパルス信号の散乱波がアンテナ1bに入射されると、アンテナ1bに入射された散乱波の受信信号を検波するとともに、その受信信号に対する位相検波処理やA/D変換処理を実施することで、その受信信号の振幅及び位相を示すデジタル受信信号を出力する。なお、受信機4a,4bは受信手段を構成している。
図1では、受信機4とアンテナ1の数が同数である例を示しているが、受信機4の数がアンテナ1の数よりも少なくても構わない。その場合には、スイッチを介して、1つの受信機を複数のアンテナと接続し、パルス信号の送受信毎にスイッチを切り替えることにより、複数の開口で信号を受信するようにすればよい。
レーダ信号処理部6は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プラットフォーム運動計測部5により計測されたプラットフォームの位置及び速度を用いて、受信機4a,4bより出力されたデジタル受信信号から移動目標を検出する処理を実施する。
SAR画像再生部7bはプラットフォーム運動計測部5により計測されたプラットフォームの位置及び速度を用いて、受信機4bより出力されたデジタル受信信号からSAR画像を再生する処理を実施する。なお、SAR画像再生部7a,7bはレーダ画像再生手段を構成している。
振幅補償部10はレンジ方向画像レジストレーション部8により位置合わせが行われた2つのSAR画像間の振幅差を補償する処理を実施する。
なお、位相補償部9及び振幅補償部10から補償手段が構成されている。
移動目標検出・速度推定部12はクラッタ抑圧部11によりクラッタが抑圧されたSAR画像から移動目標を検出するとともに、振幅補償部10による補償処理後の2つのSAR画像の位相差から、移動目標におけるレーダ視線方向の速度を推定する処理を実施する。なお、移動目標検出・速度推定部12は移動目標検出手段を構成している。
合成開口レーダ装置の一部(例えば、レーダ信号処理部6)をコンピュータで構成する場合、SAR画像再生部7a,7b、レンジ方向画像レジストレーション部8、位相補償部9、振幅補償部10、クラッタ抑圧部11及び移動目標検出・速度推定部12の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
最初に、図1の合成開口レーダ装置による観測のジオメトリと信号モデルについて説明する。
図2及び図3はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ装置での観測のジオメトリを示す説明図である。
図2では観測のジオメトリを2次元で表しており、図3では観測のジオメトリを3次元で表している。
また、信号対雑音電力比が低い移動目標を検出するため、上記の非特許文献4に開示されているSAR−DPCA方式と同様に、2つのアンテナ1a,1bで観測された信号について合成開口レーダの処理を適用することでSAR画像を生成し、2つのSAR画像の差分処理によってクラッタを抑圧する。
アンテナ1a,1bが正面に向かって左右に並んでいるため、2つのSAR画像の「観測時刻差」は、アンテナ1a,1bが進行方向に並んでいる上記のSAR−DPCA方式の場合のようには自明でない。
本明細書では、説明の簡単化のため、図2を用いながら2次元問題で定式化した後、図3を用いながら、3次元に拡張するという順番で説明する。
ここでは、2つのアンテナ1a,1b及び観測対象である目標が2次元の平面内に存在するものとする。
図2の例では、アンテナ1aの開口はx−y平面の座標が(0,0)の位置に存在し、アンテナ1bの開口はx−y平面の座標が(0,d)の位置に存在しており、アンテナ開口の位置を送受信の位相中心位置で定義する。
また、2つのアンテナ1a,1bは、同一のプラットフォームに搭載されているものとするが、プラットフォームとしては、航空機、人工衛星あるいは車両などの移動体が考えられる。ただし、移動体に限るものではない。
なお、2つのアンテナ1a,1bは、同一のプラットフォームに搭載される必要はなく、別々のプラットフォームに搭載されても構わないが、その場合は、各プラットフォームは平行な軌道で横一列に並んで移動するものとする。
また、ビームはx−y平面内でスクイント角θsqの方向を向いているものとし、SAR画像の再生時は、このスクイント角θsqに相当するドップラー周波数fηc=2f0Vrsin/θsqc(f0は送信信号の中心周波数)をドップラー中心として再生するものとする。
なお、SAR画像の再生処理は、例えば、以下の非特許文献5に開示されている周知の技術を用いればよいが、スクイント方向のSAR画像再生には、ω−Kアルゴリズムが適していることが知られている。
アンテナ1aで観測された信号から再生されたSAR画像をs1(τ,η)、アンテナ1bで観測された信号から再生されたSAR画像をs2(τ,η)とする。
ただし、τはレンジ方向の位置を時間の単位で表したものであり、ηはアジマス方向の位置を時間の単位で表したものである。
[非特許文献5]
I.G.Cumming,F.H.Wong,“Digital Processing of Symthetic Aperture Radar Data,”Artech House 2005
また、SAR画像s1(τ,η)を2次元フーリエ変換して得られる空間スペクトル信号をS1(fτ,fη)、SAR画像s2(τ,η)を2次元フーリエ変換して得られる空間スペクトル信号をS2(fτ,fη)とする。
ここで、fτはレンジ周波数であり、そのレンジ周波数fτの値域は、ベースバンド信号のサンプリング周波数をFrとすると、−Fr/2≦fτ≦Fr/2である。
また、fηはドップラー周波数であり、そのドップラー周波数fηの値域はPRF (Pulse Repetition Frequency) をFaとすると、−Fa/2≦fη−fηc≦Fa/2である。
合成開口レーダ装置においては、ある点目標の信号は、一般にスクイント角θsqによらず、アンテナ位置が、その点目標に最も接近する時刻に現れるように設計されている(例えば、非特許文献5を参照)。
この点からの反射信号がアンテナ1aで観測されることで再生されるSAR画像s1(τ,η)は、図4に示すように、(τ,η)=(2R0/c,η0)の位置に現れ、アンテナ1bで観測されることで再生されるSAR画像s2(τ,η)は、(τ,η)=(2(R0−d)/c,η0)の位置に現れる。
また、レンジ位置については、アンテナ位置が、その点目標に最も接近する時刻における距離に現れる。
一方、レンジ方向(y軸方向)については、2つのアンテナ1a,1bの間隔dの影響により、各アンテナ1a,1bから静止点目標までの距離が異なっているため、図4に示すように、アンテナ1bのSAR画像においては、2d/cだけ近い位置に現れる。
ここで、2つの合成開口の中心と静止点目標をそれぞれ結ぶ線分は、図2に示すように、同一の直線に一致する位置関係となる。
このため、アンテナ1aとアンテナ1bによる静止点目標の観測時刻差η12は、下記の式(2)で与えられる。
ただし、vlosは移動目標における視線方向の速度である。
2つのアンテナ1a,1bはy軸方向に並んでおり、その間隔はdである。また、アンテナ1a,1bは、地表面から高度hの高さに存在し、x軸方向に速度Vrで等速度運動をしているものとする。
まず、時刻ηにおけるアンテナ1aの位置p1(η)バー(明細書の文章中では、電子出願の関係上、文字の上に“−”記号を付することができないので、「p1(η)バー」のように表記している)から、η12秒後のアンテナ1bの位置p2(η+η12)バーへ向かう仮想的な基線ベクトルd(η12)バーを下記の式(5)のように定義する。
ここで、スラント面は、プラットフォームの軌道と目標を含む面であり、クロストラック方向は、プラットフォームの軌道に直交し、かつ、スラント面に含まれる方向である。
スラント面内のスクイント角θsqが大きい場合、θnはビーム中心における入射角θinkの値とは大きく異なることに注意する必要がある。
以下の定式化においては、入射角θinkよりもθnを用いる方が見通しの良い式展開ができるので、以下では専らθnを用いるものとする。
2次元の場合は、視線方向rlosハットと基線ベクトルd(η12)バーが一致するときのη12が、2つのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)の間の観測時刻差に相当するが、3次元問題では、一致する条件が存在しないため、代替の条件が必要である。
この場合、基線ベクトルd(η12)バーにおける視線方向rlosハットと直交する成分d⊥(η12)バーが最小となる場合に、2つのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)が最も一致していると考えられるので、その直交する成分d⊥(η12)バーを最小とするη12を、観測時刻差と見なすのが妥当である。
このことは、基線ベクトルd(η12)バーにおける視線方向rlosハットからのずれ分が、アロングトラック方向の成分を持たないことを意味している。よって、アロングトラック方向には、同じ位置から観測していることになるため、上記のDPCA方式と同様な処理が成立し、このときの2つのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)の観測時刻差は、式(10)で与えられるη12に相当する。
また、式(11)は、基線ベクトルd(η12)バーと視線方向rlosハットが最も良く一致している場合でも、2次元の場合と違って、θn=90degの場合を除いて、完全には一致しないことを示している。
基線ベクトルd(η12)バーのy軸成分及びz軸成分は、クラッタ抑圧性能の劣化要因であるが、小さい値に抑えることが可能である。
厳密には、この距離d||(η12)バーはレンジに依存する値であり、地形の影響も受ける値である。
地形が既知であれば、レンジ毎に視線方向rlosハットを求めることができるので、距離d||(η12)バーもレンジ毎に計算することが可能である。
なお、地形が未知である場合は、例えば、特許文献1(特開2010−175330号公報)に開示されている方式によって、2画像の間の干渉画像から地形に起因する位相差を推定し、その位相差によって位相補償を行う等の対策を講じる必要がある。
ただし、vlosは移動目標における視線方向の速度である。
送信機2は、パルス信号を生成し、繰返し周期Δη(繰り返し周波数Fa)で、そのパルス信号を繰り返し送受切換器3に出力する。
送受切換器3は、送信機2からパルス信号を受ける毎に、そのパルス信号をアンテナ1aに出力することで、そのパルス信号を空間に放射させる。
アンテナ1aから空間に放射されたパルス信号は、観測対象である移動目標等に散乱され、そのパルス信号の散乱波の一部がアンテナ1a,1bに入射される。
受信機4bは、アンテナ1bからパルス信号の散乱波が入射されると、その散乱波の受信信号を検波するとともに、その受信信号に対する位相検波処理やA/D変換処理を実施することで、その受信信号の振幅及び位相を示すデジタル受信信号をSAR画像再生部7bに出力する。
SAR画像再生部7bは、受信機4bからデジタル受信信号を受けると、プラットフォーム運動計測部5により計測されたプラットフォームの位置及び速度を用いて、そのデジタル受信信号からSAR画像s2(τ,η)を再生する。
SAR画像再生部7a,7bによるSAR画像の再生処理は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。SAR画像の再生処理は、例えば、上記の非特許文献5に開示されている。
即ち、レンジ方向画像レジストレーション部8は、2つのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)のずれ量として、上記の式(12)に示している距離d||(η12)バー=dsinθn/cosθsqを算出する。
そして、レンジ方向画像レジストレーション部8は、SAR画像再生部7bにより再生されたSAR画像s2(τ,η)をレンジ方向に、そのずれ量である距離d||(η12)バーだけ移動させることで、2つのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)のレンジ方向の位置合わせを行う。
ただし、SAR画像s2(τ,η)の移動に伴って、移動分の位相の調整処理も実施する必要である。
この位相の調整処理は、SAR画像再生部7bにより再生されたSAR画像s2(τ,η)を2次元フーリエ変換して空間スペクトル信号S2(fτ,fη)を求め、その空間スペクトル信号S2(fτ,fη)に対して、下記の式(15)のように位相関数を乗算することで実現することができる。
レンジ方向画像レジストレーション部8は、位相関数乗算後の空間スペクトル信号S2,reg(fτ,fη)を逆2次元フーリエ変換して、レンジ方向に移動後のSAR画像s2,reg(τ,η)を位相補償部9に出力する。また、SAR画像再生部7aにより再生されたSAR画像s1(τ,η)を位相補償部9に出力する。
そこで、位相補償部9及び振幅補償部10が、SAR画像s1(τ,η)と、レンジ方向に移動後のSAR画像s2,reg(τ,η)との間の比率から、位相と振幅のバイアス誤差を推定して、そのバイアス誤差を補償する。
レンジ方向に移動後のSAR画像s2,reg(τ,η)に対するSAR画像s1(τ,η)の比率の平均値をε12とすると、比率の平均値ε12は、下記の式(16)のように定義される。
位相補償部9及び振幅補償部10による位相及び振幅の補償処理は、下記の式(17)のように表される。
なお、式(17)に示す位相及び振幅の補償処理は、受信チャネル間の位相差と振幅差を補償する処理である。したがって、比率の平均値ε12を予め校正係数として計測して保存することができる場合には、式(16)によって、観測毎に比率の平均値ε12を推定する必要はない。
振幅補償部10は、SAR画像再生部7aにより再生されたSAR画像s1(τ,η)と、位相及び振幅の補償処理後のSAR画像s2,cal(τ,η)をクラッタ抑圧部11に出力する。
即ち、移動目標検出・速度推定部12は、クラッタ抑圧後のSAR画像に対して、予め設定されている検出用閾値よりも強度が高い信号を検出することによって、目標信号を検出する。目標の検出処理は、広くレーダ信号処理で用いられているいずれかの方法を用いればよいが、例えば、非特許文献1に開示されているCFAR(Constant False Alarm Rate)などを用いるのがよい。
最後に、移動目標検出・速度推定部12は、振幅補償部10から出力されたSAR画像s1(τ,η)と、位相及び振幅の補償処理後のSAR画像s2,cal(τ,η)との位相差φtgtから、上記の式(14)にしたがって移動目標におけるレーダ視線方向の速度vlosを推定する。
即ち、進行方向に直交する方向に配置している2つのアンテナ開口を用いて観測された信号に対して、合成開口処理を行って2つのSAR画像を観測し、2つのSAR画像をレンジ方向にレジストレーションすることによって、2つのSAR画像の位置合わせを実施し、位相と振幅の調整を行った上で、2つのSAR画像の差分を計算することでクラッタを抑圧するため、クラッタのドップラー帯域幅が広い場合の信号対雑音電力比の低い低速移動目標の検出性能及び速度推定性能が向上する。
図5はこの発明の実施の形態2による合成開口レーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
オートフォーカス処理部21は受信機4a,4bより出力されたデジタル受信信号からプラットフォームの位置及び速度を推定し、その推定結果を用いて、SAR画像再生部7a,7bにより再生された2つのSAR画像の焦点を合わせるオートフォーカス処理を実施する。なお、オートフォーカス処理部21はオートフォーカス手段を構成している。
地形考慮型位相補償部23はレンジ・アジマス方向画像レジストレーション部22により位置合わせが行われた2つのSAR画像の間に、地形の影響で発生している位相差を推定して、その位相差を補償する補償処理を実施する。なお、地形考慮型位相補償部23は補償手段を構成している。
合成開口レーダ装置の一部(例えば、レーダ信号処理部6)をコンピュータで構成する場合、SAR画像再生部7a,7b、オートフォーカス処理部21、レンジ・アジマス方向画像レジストレーション部22、地形考慮型位相補償部23、振幅補償部10、クラッタ抑圧部11及び移動目標検出・速度推定部12の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
プラットフォーム運動計測部5では、プラットフォームの位置及び速度を計測しているが、この計測結果には、一般的に一定の誤差が含まれている。
SAR画像再生部7a,7bは、一定の誤差が含まれているプラットフォーム運動計測部5の計測結果を用いて、受信機4a,4bより出力されたデジタル受信信号からSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)を再生するため、そのSAR画像s1(τ,η),s2(τ,η)がぼけてしまう現象が少なからず発生する。
なお、オートフォーカス処理は公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、オートフォーカス処理は、例えば、以下の非特許文献6に開示されている。
[非特許文献6]
大内和夫著「リモートセンシングのための合成開口レーダの基礎」東京電機大学出版局
相互相関関数C(Δτ,Δη)のピーク位置は、下記の式(20)に示すように、相互相関関数C(Δτ,Δη)の絶対値の最大を与える(Δτ,Δη)の組で与えられる。
なお、式(20)によって算出された(Δτ,Δη)の組がレンジ方向のずれ量τ1とアジマス方向のずれ量η1に相当する。
レンジ・アジマス方向画像レジストレーション部22は、オートフォーカス処理部21によるオートフォーカス処理後のSAR画像s1(τ,η)と、レンジ方向及びアジマス方向に移動後のSAR画像s2,reg(τ,η)を地形考慮型位相補償部23に出力する。
そこで、地形考慮型位相補償部23は、レンジ・アジマス方向画像レジストレーション部22からSAR画像s1(τ,η)と、レンジ方向及びアジマス方向に移動後のSAR画像s2,reg(τ,η)とを受けると、そのSAR画像s1(τ,η)とSAR画像s2,reg(τ,η)の間に、地形の影響で発生している位相差を推定して、その位相差を補償する補償処理を実施する。
この位相差を補償する補償処理は公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、この位相差を補償する補償処理は、例えば、上記の特許文献1に開示されている。
Claims (6)
- パルス信号を空間に放射する送信手段と、
プラットフォームの進行方向と直交する方向に並んでいる複数のアンテナと、
前記送信手段から放射されたのち、観測対象によって散乱された前記パルス信号の散乱波が前記複数のアンテナに入射されると、前記複数のアンテナに入射された散乱波の受信信号を検波する受信手段と、
前記プラットフォームの位置及び速度を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された位置及び速度を用いて、前記受信手段により検波された複数の受信信号から合成開口レーダ画像をそれぞれ再生するレーダ画像再生手段と、
前記計測手段により計測された速度を用いて、前記レーダ画像再生手段により再生された複数の合成開口レーダ画像のレンジ方向の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた複数の合成開口レーダ画像に含まれているクラッタを抑圧するクラッタ抑圧手段と、
前記クラッタ抑圧手段によりクラッタが抑圧された合成開口レーダ画像から移動目標を検出する移動目標検出手段と
を備えた合成開口レーダ装置。 - パルス信号を空間に放射する送信手段と、
プラットフォームの進行方向と直交する方向に並んでいる複数のアンテナと、
前記送信手段から放射されたのち、観測対象によって散乱された前記パルス信号の散乱波が前記複数のアンテナに入射されると、前記複数のアンテナに入射された散乱波の受信信号を検波する受信手段と、
前記プラットフォームの位置及び速度を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された位置及び速度を用いて、前記受信手段により検波された複数の受信信号から合成開口レーダ画像をそれぞれ再生するレーダ画像再生手段と、
前記レーダ画像再生手段により再生された複数の合成開口レーダ画像における相関関数のピーク位置を特定し、前記相関関数のピーク位置を用いて、前記複数の合成開口レーダ画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた複数の合成開口レーダ画像に含まれているクラッタを抑圧するクラッタ抑圧手段と、
前記クラッタ抑圧手段によりクラッタが抑圧された合成開口レーダ画像から移動目標を検出する移動目標検出手段と
を備えた合成開口レーダ装置。 - 前記移動目標検出手段は、前記クラッタ抑圧手段によりクラッタが抑圧された合成開口レーダ画像から移動目標を検出するとともに、前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた複数の合成開口レーダ画像の位相差から前記移動目標におけるレーダ視線方向の速度を推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の合成開口レーダ装置。
- 前記受信手段により検波された複数の受信信号から前記プラットフォームの位置及び速度を推定し、その推定結果を用いて、前記レーダ画像再生手段により再生された複数の合成開口レーダ画像の焦点を合わせるオートフォーカス処理を実施し、オートフォーカス処理後の複数の合成開口レーダ画像を前記位置合わせ手段に出力するオートフォーカス手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の合成開口レーダ装置。
- 前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた複数の合成開口レーダ画像の位相差及び振幅差を補償する補償処理を実施し、補償処理後の複数の合成開口レーダ画像を前記クラッタ抑圧手段に出力する補償手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の合成開口レーダ装置。
- 前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた複数の合成開口レーダ画像の間に、地形の影響で発生している位相差を推定して、前記位相差を補償する補償処理を実施し、補償処理後の複数の合成開口レーダ画像を前記クラッタ抑圧手段に出力する補償手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の合成開口レーダ装置。
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