JP2015136595A - 超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置 - Google Patents

超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電体ユニットの金属電極板から金属ケース体への放電現象を防止した構成として、従来よりも細径とすることができる超音波振動デバイスを提供する。【解決手段】超音波振動デバイス2は、複数の圧電体61および複数の電極板62a,63aが積層された積層振動子と、積層振動子の両端に配設される2つの絶縁板42,43と、積層振動子および2つの絶縁板42,43を収容する金属ケース50と、複数の電極板62a,63aの露出部と金属ケース50とを絶縁する絶縁処理部71と、金属ケース50に形成され、積層振動子および2つの絶縁板42,43が金属ケース50に収容されて固定された後に、絶縁処理部71を形成する絶縁材料を金属ケース50内に導入するための開口部と、を具備する。【選択図】図11

Description

本発明は、超音波振動を励振する超音波振動デバイス、この超音波振動デバイスの製造方法、超音波振動デバイスを備えた超音波医療装置に関する。
超音波振動を利用して、生体組織の凝固/切開処置を行なう超音波処置具では、ハンドピース内に超音波振動源として、ランジュバン型振動子を内蔵したものがある。
このような、ランジュバン型振動子は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されたランジュバン型振動子は、振動ブロック内に複数の圧電素子を積層収納し、圧電素子の汚れなどによる短絡を防ぐ技術が提案されている。
特許文献1のランジュバン型振動子は、金属ケース体としての振動ブロックと圧電素子ユニットとが絶縁されるように、圧電体に金属電極板からの放電現象を防止するための不活性領域が設けられている。
特開2003−199195号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来のランジュバン振動子では、圧電体に不活性領域を設けることにより、その不活性領域によって圧電素子ユニットの小型化が阻害されて細径化の妨げになるという問題があった。
さらに、特許文献1に記載の従来のランジュバン振動子は、圧電体が振動ブロックに接触すると、異音、磨耗などといった現象が起こり、振動ブロックと圧電体の間に隙間を設ける必要があり、これによっても細径化に適さないという問題があった。
そのため、超音波処置具は、従来のランジュバン振動子が設けられるハンドピースの小型化が阻害されるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、圧電体ユニットの金属電極板から金属ケース体への放電現象を防止した構成として、従来よりも細径とすることができる超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置を提供できるようにすることである。
本発明における一態様の超音波振動デバイスは、複数の圧電体および複数の電極板が積層された積層振動子と、前記積層振動子の両端に配設される2つの絶縁板と、前記積層振動子および前記2つの絶縁板を収容する金属ケースと、前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとを絶縁する絶縁処理部と、前記金属ケースに形成され、前記積層振動子および前記2つの絶縁板が前記金属ケースに収容されて固定された後に、前記絶縁処理部を形成する絶縁材料を前記金属ケース内に導入するための開口部と、を具備する。
また、本発明における一態様の超音波振動デバイスの製造方法は、複数の圧電体および複数の電極板が積層された積層振動子と、前記積層振動子の両端に配設される2つの絶縁板と、前記積層振動子および前記2つの絶縁板を収容する金属ケースと、前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとを絶縁する絶縁処理部と、前記金属ケースに形成され、前記積層振動子および前記2つの絶縁板が前記金属ケースに収容されて固定された後に、前記絶縁処理部を形成する絶縁材料を前記金属ケース内に導入するための開口部と、を具備する超音波振動デバイスの製造方法であって、前記2つの絶縁板が両端に設けられるように、前記複数の圧電体および前記複数の電極板を積層して前記積層振動子を前記金属ケースの内壁に接触しない位置に収容して位置決め固定し、前記積層振動子を前記金属ケース内に位置決め固定した後に、少なくとも前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとが絶縁するように、前記開口部から前記絶縁材料を前記金属ケース内に導入させて前記絶縁処理部を形成する。
さらに、本発明における一態様の超音波医療装置は、複数の圧電体および複数の電極板が積層された積層振動子と、前記積層振動子の両端に配設される2つの絶縁板と、前記積層振動子および前記2つの絶縁板を収容する金属ケースと、前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとを絶縁する絶縁処理部と、前記金属ケースに形成され、前記積層振動子および前記2つの絶縁板が前記金属ケースに収容されて固定された後に、前記絶縁処理部を形成する絶縁材料を前記金属ケース内に導入するための開口部と、を具備する超音波振動デバイスと、前記超音波振動デバイスで発生した超音波振動が伝達され生体組織を処置するプローブ先端部と、を具備する。
本発明によれば、圧電体ユニットの金属電極板から金属ケース体への放電現象を防止した構成として、従来よりも細径とすることができる超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る超音波医療装置の全体構成示す断面図 同、振動子ユニットの全体の概略構成を示す図 同、振動子ユニットの構成を示す斜視図 同、絶縁板、矩形圧電体および電極板からなる積層体の構成を示す分解斜視図 同、振動子ユニットの構成を示す分解斜視図 同、超音波振動子の組み立て手順を示すフローチャート 同、ケース本体に蓋体が螺着嵌合される前の超音波振動子の斜視図 同、ケース本体に蓋体が螺着嵌合された後の超音波振動子の斜視図 同、電着による絶縁処理のために各電極板を短絡させた状態の超音波振動子を示す断面図 同、容器に溜められた電着液に超音波振動子を浸した状態を示す断面図 同、電着により電極板および導出部に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の縦断面図 同、電着により電極板および導出部に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の横断面図 同、第1の変形例に係り、電着による絶縁処理のために各電極板および金属ケースを短絡させた状態の超音波振動子を示す断面図 同、第1の変形例に係り、電着により電極板、導出部および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の縦断面図 同、第1の変形例に係り、電着により電極板、導出部および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の横断面図 同、第2の変形例に係り、金属ケースの蓋体に電着液が流入する孔部が形成された超音波振動子の断面図 同、第2の変形例に係り、金属ケースのケース本体の底部に電着液が流入する孔部が形成された超音波振動子の断面図 同、ガス重合により積層振動子および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の断面図 同、金属ケース内に充填樹脂部材が設けられた超音波振動子の断面図
以下、図を用いて本発明について説明する。
なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
先ず、本発明の実施の形態について、図面に基づいて、以下に説明する。
図1は、超音波医療装置の全体構成示す断面図、図2は振動子ユニットの全体の概略構成を示す図、図3は振動子ユニットの構成を示す斜視図、図4は絶縁板、矩形圧電体および電極板からなる積層体の構成を示す分解斜視図、図5は振動子ユニットの構成を示す分解斜視図、図6は超音波振動子の組み立て手順を示すフローチャート、図7はケース本体に蓋体が螺着嵌合される前の超音波振動子の斜視図、図8はケース本体に蓋体が螺着嵌合された後の超音波振動子の斜視図、図9は電着による絶縁処理のために各電極板を短絡させた状態の超音波振動子を示す断面図、図10は容器に溜められた電着液に超音波振動子を浸した状態を示す断面図、図11は電着により電極板および導出部に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の縦断面図、図12は電着により電極板および導出部に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の横断面図、図13は第1の変形例に係り、電着による絶縁処理のために各電極板および金属ケースを短絡させた状態の超音波振動子を示す断面図、図14は第1の変形例に係り、電着により電極板、導出部および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の縦断面図、図15は第1の変形例に係り、電着により電極板、導出部および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の横断面図、図16は第2の変形例に係り、金属ケースの蓋体に電着液が流入する孔部が形成された超音波振動子の断面図、図17は第2の変形例に係り、金属ケースのケース本体の底部に電着液が流入する孔部が形成された超音波振動子の断面図、図18はガス重合により積層振動子および金属ケースの外壁と内壁に絶縁コーティング層が成膜された超音波振動子の断面図、図19は金属ケース内に充填樹脂部材が設けられた超音波振動子の断面図である。
(超音波医療装置)
図1に示す、超音波医療装置1は、主に超音波振動を発生させる超音波デバイスとしての超音波振動子2を有する振動子ユニット3と、この振動子ユニット3の基端側に設けられたハンドルユニット4とが設けられている。
ハンドルユニット4は、操作部5と、長尺な外套管7からなる挿入シース部8と、先端処置部30とを備える。挿入シース部8の基端部は、操作部5に軸回り方向に回転可能に取り付けられている。先端処置部30は、挿入シース部8の先端に設けられている。ハンドルユニット4の操作部5は、操作部本体9と、固定ハンドル10と、可動ハンドル11と、回転ノブ12とを有する。操作部本体9は、固定ハンドル10と一体に形成されている。
操作部本体9と固定ハンドル10との連結部には、背面側に可動ハンドル11を挿通するスリット13が形成されている。可動ハンドル11の上部は、スリット13を通して操作部本体9の内部に延出されている。スリット13の下側の端部には、ハンドルストッパ14が固定されている。可動ハンドル11は、ハンドル支軸15を介して操作部本体9に回動可能に取り付けられている。そして、ハンドル支軸15を中心として可動ハンドル11が回動する動作に伴い、可動ハンドル11が固定ハンドル10に対して開閉操作されるようになっている。
可動ハンドル11の上端部には、略U字状の連結アーム16が設けられている。また、挿入シース部8は、外套管7と、この外套管7内に軸方向に移動可能に挿通された操作パイプ17とを有する。外套管7の基端部には、先端側部分よりも大径な大径部18が形成されている。この大径部18の周囲に回転ノブ12が装着されるようになっている。
操作パイプ19の外周面には、リング状のスライダ20が軸方向に沿って移動可能に設けられている。スライダ20の後方には、コイルばね(弾性部材)21を介して固定リング22が配設されている。
さらに、操作パイプ19の先端部には、把持部23の基端部が作用ピンを介して回動可能に連結されている。この把持部23は、プローブ6の先端部31と共に超音波医療装置1の処置部を構成している。そして、操作パイプ19が軸方向に移動する動作時に、把持部23は、作用ピンを介して前後方向に押し引き操作される。このとき、操作パイプ19が手元側に移動操作される動作時には作用ピンを介して把持部23が支点ピンを中心に回動される。これにより、把持部23がプローブ6の先端部31に接近する方向(閉方向)に回動する。このとき、片開き型の把持部23と、プローブ6の先端部31との間で生体組織を把持することができる。
このように生体組織を把持した状態で、超音波電源から電力を超音波振動子2に供給し、超音波振動子2を振動させる。この超音波振動は、プローブ6の先端部31まで伝達される。そして、この超音波振動を用いて把持部23とプローブ6の先端部31との間で把持されている生体組織の凝固/切開などの治療を行う。
(振動子ユニット)
ここで、振動子ユニット3について説明する。
振動子ユニット3は、図2に示すように、超音波振動子2と、この超音波振動子2で発生した超音波振動を伝達する棒状の振動伝達部材であるプローブ6とを一体的に組み付けたものである。
超音波振動子2は、振幅を増幅するホーン32が連設されている。ホーン32は、ジュラルミン、あるいは例えば64Tiなどのチタン合金によって形成されている。ホーン32は、先端側に向かうに従って外径が細くなる円錐形状に形成されており、中途外周部に操作部本体9(図1参照)へ固定するための外向フランジ33が形成されており、この外向フランジ33の後方に基端円柱部38を有している。
プローブ6は、例えば64Tiなどのチタン合金によって形成されたプローブ本体34を有する。このプローブ本体34の基端部側には、上述のホーン32に連設された超音波振動子2が配設されている。このようにして、プローブ6と超音波振動子2とを一体化した振動子ユニット3が形成されている。
そして、超音波振動子2で発生した超音波振動は、ホーン32で増幅されたのち、プローブ6の先端部31側に伝達するようになっている。プローブ6の先端部31には、生体組織を処置する後述する処置部が形成されている。
また、プローブ本体34の外周面には、軸方向の途中にある振動の節位置の数箇所に間隔をあけて弾性部材でリング状に形成された2つのゴムライニング35が取り付けられている。そして、これらのゴムライニング35によって、プローブ本体34の外周面と後述する操作パイプ19との接触を防止するようになっている。
つまり、挿入シース部8の組み立て時に、振動子一体型プローブとしてのプローブ6は、操作パイプ19の内部に挿入される。このとき、ゴムライニング35によってプローブ本体34の外周面と操作パイプ19との接触を防止している。
なお、超音波振動子2は、超音波振動を発生させるための電流を供給する図示しない電源装置本体に電気ケーブル36を介して電気的に接続される。この電気ケーブル36内の配線を通じて外部機器の電源装置本体から電力を超音波振動子2に供給することによって、超音波振動子2が駆動される。
(超音波振動子)
ここで、本発明の積層型超音波振動デバイスとしての超音波振動子2について以下に説明する。
振動子ユニット3の超音波振動子2は、図3に示すように、ホーン32後方の基端円柱部38に連設されたケース体である金属ケース50内に、ここでは矩形状(四角柱形状)に積層された積層振動子41が内蔵されている。
積層振動子41は、図4に示すように、多角形、ここでは矩形状に形成された矩形圧電体61が積層されている。この積層振動子41は、両端側にセラミックスなどから多角形、ここでは矩形状に形成された絶縁板42,43が配設されており、2つの絶縁板42,43によって前後(紙面では上下、以下の説明において紙面における上下でも前後という場合がある)が挟まれている。
ところで、本実施の形態の矩形圧電体61には、チタン酸ジリコン酸鉛(PZT,Pb(Zrx,Ti1-X)O3)、他の非鉛圧電材料、圧電単結晶のニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO3)などが使用される。チタン酸ジリコン酸鉛(PZT)は、加工性がよく、高い生産性および高い電気機械変換効率を有し、圧電材料として優れた特性を持っているという利点がある。圧電単結晶のニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO3)は、高出力用途超音波振動子に適した高い機械的Q値を有する非鉛圧電材料の1つであって、鉛を使用していないため、環境性に適している。
積層振動子41は、絶縁板42、複数の矩形圧電体61および絶縁板43の間に銅などの金属から多角形、ここでは矩形状に形成された正電極層となる正電側電極板62および負電極層となる負電側電極板63が交互に介装されている。
積層振動子41は、図5に示すように、絶縁板42,43、複数の矩形圧電体61および各電極板62,63の4つの角部と4辺が一致するように積層されて、全体が略四角柱形状にされる。即ち、各絶縁板42,43、各矩形圧電体61および各電極板62,63は、それら表裏面の形状が略同一の矩形状となっている。ここで、矩形圧電体61は、分極方向または結晶の上下面が隣接する矩形圧電体61同士で交互に反転するように積層する。なお、絶縁板42,43、各矩形圧電体61および各電極板62,63は、表面形状が矩形状に限定されることなく、多角形として、全体が多角柱形状となって積層する構成としてもよい。
また、正電側電極板62および負電側電極板63は、それぞれの一側辺の略中央から電極としての導出部62a,63aが延設されている。これら導出部62a,63aは、正電側と負電側が離反した異なる方向に延設されるように積層され、図1および図2に示した、電気ケーブル36内の正電側または負電側の配線と電気的に接続される。
金属ケース50は、加圧部材としての略円柱形状の蓋体51と、この蓋体51が一端開口部に螺着されて締結される有底筒状体のケース本体52と、を有して構成されている。これら蓋体51およびケース本体52は、ジュラルミン、例えば64Tiなどのチタン合金、ステンレスなどによって形成されている。
即ち、蓋体51およびケース本体52は、それらの材料として、超音波振動による繰り返し応力に耐える必要があるため、チタン合金、ジュラルミン、ステンレスなどの高強度な金属材料が適している。
蓋体51は、ケース本体52への締め付け治具用の平面部51aが外周部の中心点対称の位置に形成されている。また、蓋体51は、一端中央部にホーン32の基端円柱部38から延設される雄ネジ38aが螺着される雌ネジ穴51bが形成されており、他端部にケース本体52へ螺着するための雄ネジ部51cを有している。
ケース本体52は、開口部に蓋体51の雄ネジ部51cが螺合する雌ネジ部52aが形成されている。また、ケース本体52は、外周部に、絶縁板42,43への給電部材としての導出部62a,63aが延設するための配線導出口であって、絶縁板42,43、複数の矩形圧電体61および各電極板62,63の4つの角部と4辺が一致させるための治具を挿入するための位置決め用の開口部であると共に、後述する絶縁処理のための絶縁部材を導入する開口部でもある孔部53が形成されている。
この孔部53は、ケース本体52の長手軸方向に形成されたスリットであり、2つがケース本体52の側周部に形成されている。なお、孔部53は、それぞれがケース本体52の中心軸回りの点対称の位置に形成されている。
以上のように構成された超音波振動子2は、積層振動子41がケース本体52に収容された後、ケース本体52に蓋体51が螺着して締結される。そして、超音波振動子2には、蓋体51にホーン32が螺着されて締結される。なお、超音波振動子2は、積層振動子41を収容する金属ケース50の蓋体51がフロントマスを構成し、ケース本体52の底部55がバックマスを構成している。
そして、超音波振動子2は、外締めのランジュバン型振動子としたものとなっており、矩形に加工された圧電体である複数の矩形圧電体61、複数の電極板62,63および2つの絶縁板42,43をケース本体52内に配置して、これらをキャップとしての蓋体51で加圧保持する超音波振動デバイスの構成となっている。
このような構造の超音波振動子2は、従来のボルト締めランジュバン型振動子と異なり、圧電材料に締結ボルトを貫通させる孔部が必要ないため、圧電材料に孔加工が不要となる。
これにより、超音波振動子2は、特に、矩形圧電体61の形状加工が容易な構成となるため、生産性も向上する。従って、矩形圧電体61は、チタン酸ジリコン酸鉛(PZT)よりもニオブ酸リチウムのような、加工性の悪いニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO3)などの単結晶圧電材料を用いた超音波振動子2に特に有効な構造となっている。
(超音波振動子の組立方法)
ここで、超音波振動子2の組立方法について以下に説明する。
図6のフローチャートに示すように、先ず、ケース本体52の内部に、絶縁板42,43、各矩形圧電体61、各電極板62,63のそれぞれが交互に積層されて収容される(S1)。
このとき、ケース本体52の内壁に接触しない所定の位置に一方の絶縁板43が設置され、その絶縁板43上に各電極板62,63および各矩形圧電体61が交互に積層されて、最後に他方の絶縁板42が配置される。
これにより、積層振動子41を構成する絶縁板42,43、矩形圧電体61および各電極板62,63は、図7に示すように、ケース本体52の内壁に接触しない位置に収容される。なお、各電極板62,63のそれぞれの導出部62a,63aは、ケース本体52に形成された孔部53から、ケース本体52に接触しないように導出される。
次に、ケース本体52内に収容された絶縁板42,43、各矩形圧電体61および各電極板62,63が積層された積層体を位置決めする(S2)。
このとき、ケース本体52に形成された2つの孔部53のそれぞれに、ここでは図示しない位置決め部材が挿入される。そして、絶縁板42,43、各矩形圧電体61、各電極板62,63が積層された積層体に位置決め部材が当て付けられ、所望の位置に精度良く積層された状態で位置決めされる。
そして、加圧部材である蓋体51がケース本体52に所定の締め付けトルクによって螺着により締結嵌合される(S3)。
このとき、加圧部材である蓋体51がケース本体52に螺着により締結され、図8に示すように、蓋体51の雄ネジ部51cの表面とケース本体52の底部55の表面によって積層振動子41が絶縁板42,43と共に加圧される。
即ち、蓋体51とケース本体52が締結されることで、絶縁板42,43および積層振動子41が動かないように一体的に組み立てられる。その後に、2つの位置決め部材が孔部53から退避されて取り外される。
なお、以上に説明した組立手順は、一例であり、絶縁板42,43、各矩形圧電体61および各電極板62,63のそれぞれが、位置決め部材を使用せずに、予め、導電性接着剤などによって、矩形ブロック状に積層されて接合された積層振動子41に形成され、この積層振動子41がケース本体52内に収容されて、蓋体51とケース本体52が締結嵌合されてもよい。
次に、金属ケース50内に収容された積層振動子41の各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に絶縁処理が行われる(S4)。なお、この絶縁処理に関しては、後述する。
ところで、超音波振動子2は、金属ケース50の蓋体51およびケース本体52の内壁およびケース本体52の各孔部53の側壁と、各電極板62,63および各導出部62a,63aと、の間で放電現象が発生しないようにするため、金属ケース50と電極板62,63および導出部62a,63aの間において、駆動電圧に応じた所定のクリアランス(絶縁距離/離間距離)を設ける必要がある。
特に、超音波振動子2は、圧電体としてニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO3)などを用いた圧電性単結晶材料、非鉛圧電材料などを用いた矩形圧電体61の場合、チタン酸ジリコン酸鉛(PZT)の圧電材料と比較して、インピーダンス値が高いため、より大きな駆動電圧が必要となる。
それに伴って、超音波振動子2は、金属ケース50と各電極板62,63および各導出部62a,63aの間において、より大きなクリアランス(絶縁距離/離間距離)が必要となる。このように超音波振動子2は、金属ケース50と、特に各電極板62,63および各導出部62a,63aと、の間にクリアランス(絶縁距離/離間距離)を設ける必要があるため、金属ケース50の小型化を阻害して、細径化が困難であるという欠点がある。
それを改善するために、本実施形態の超音波振動子2では、金属ケース50に対して少なくとも各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部を絶縁処理して、金属ケース50、特にケース本体52と各電極板62,63の間のクリアランス(絶縁距離/離間距離)をできる限り小さくして細径化可能な構成となっている。
なお、超音波振動子2は、蓋体51とケース本体52が締結され、絶縁板42,43および積層振動子41が組み立てられた後に、金属ケース50に対して少なくとも各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部が絶縁処理される。
これは、超音波振動子2の組み立て前に予め金属ケース50に対する各電極板62,63および各導出部62a,63aを絶縁処理することもできるが、寸法公差、組み付け時のズレなどによって、絶縁処理していない部分が露出してしまうと、その部分から金属ケース50に放電現象が発生してしまう。
それを防止するために、本実施の形態の超音波振動子2は、組み立てられた後のほうが、寸法公差、組み付け時のズレなどによって露出した部分を含めて金属ケース50に対する各電極板62,63および各導出部62a,63aを完全に絶縁処理することができる。
(絶縁処理部の形成方法)
ここで、上述したステップS4のルーチンにて、超音波振動子2における金属ケース50内に収容された積層振動子41の各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部を金属ケース50に対して絶縁するための絶縁処理部を形成する種々の方法を以下に説明する。
(電着による絶縁処理部の形成)
先ず、各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部に電着によって絶縁処理部としての絶縁コーティング層71を成膜した絶縁処理部の構成について説明する。
先ず、超音波振動子2は、図9に示すように、超音波振動子2の各電極板62,63の全てが電気的に接続されて、短絡した状態にされる。
なお、各導出部62a,63aは、全てが短絡されたショート回路となるようにプラス極側の金属電極101と電気的に接続される。各電極板62,63と金属電極101との短絡処理は、絶縁コーティング層71の成膜後に不要となるため、図示しないコンタクトピン、クリップコネクタなどを用いて各導出部62a,63aを金属電極101から着脱容易な電気的接続方法が望ましい。
この状態から超音波振動子2は、図10に示すように、容器104に溜められた電着液105内に浸される。すると、超音波振動子2は、金属ケース50のケース本体52に形成された開口部である孔部53から金属ケース50の内部に電着液105が流入される。
なお、電着液105には、カルボキシル基を持ったアクリル樹脂、アミノ基を持ったメラミン樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂)などの電着塗装溶液が用いられる。
そして、電着液105とプラス極の金属電極101とマイナス極の金属電極102間に電圧が印加される。こうして、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの絶縁コーティング層71が成膜される。
即ち、本実施の形態では、所謂、アニオン電着塗装により、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に絶縁コーティング層71を電着塗装している。
なお、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部は、所謂、アニオン電着塗装に限定されることなく、マイナス極の金属電極102と短絡されて、所謂、カチオン電着塗装により、絶縁コーティング層71が電着塗装されてもよい。
そして、超音波振動子2は、各導出部62a,63aに接続されたコンタクトピン、クリップコネクタなどが取り外される。最後に、超音波振動子2は、電着液105が洗浄される。
こうして、図11に示すように、各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部に電着によって絶縁コーティング層71が成膜された超音波振動デバイスである超音波振動子2が完成する。
なお、各導出部62a,63aは、電気ケーブル36の配線と電気的に接続される部分に成膜された絶縁コーティング層71が剥がされる。また、各導出部62a,63aは、絶縁コーティング層71の成膜時に電気ケーブル36の配線と電気的に接続される部分を予めマスキングして絶縁コーティング層71が成膜されないようにしてもよい。
以上のように構成された超音波振動子2は、図12に示すように、特に、各電極板62,63の角部がケース本体52の内壁に近接する。しかし、超音波振動子2は、各電極板62,63の露出部に絶縁コーティング層71が成膜されていることで、各電極板62,63の角部からケース本体52の内壁に放電現象が発生し難いため、ケース本体52の内壁とのクリアランスとなる離間距離L1をできる限り短くすることができ、ケース本体52の外径を小さくすることができる。
以上から、ここでの超音波振動子2は、積層振動子41の各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部にエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの絶縁コーティング層71が電着によって成膜されることで、金属ケース50と各電極板62,63の間のクリアランス(絶縁距離/離間距離)をできる限り小さくしても、金属ケース50の蓋体51およびケース本体52の内壁およびケース本体52の各孔部53の側壁と電極板62,63および導出部62a,63aの間で放電現象が発生し難く、細径化可能な構成とすることができる。
(第1の変形例)
なお、上述では、各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部のみ絶縁コーティング層71を成膜したが、金属ケース50の露出する外壁および内壁にも、絶縁処理部としての絶縁コーティング層71を成膜した構成としてもよい。
各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部に加え、金属ケース50の露出する外壁および内壁に絶縁コーティング層71を成膜する方法としては、図13に示すように、先ず、各導出部62a,63aと共に、金属ケース50の蓋体51およびケース本体52の全てが短絡されたショート回路となるように電気的に接続される。
そして、この状態から超音波振動子2は、上述と同様に、電着液105内に浸されて、プラス極の金属電極101とマイナス極の金属電極102間に電圧が印加される。
これにより、超音波振動子2は、図13から図15に示すように、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に加え、金属ケース50の蓋体51およびケース本体52の露出する内表面および外表面にも、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの絶縁コーティング層71が成膜される。
このように、超音波振動子2は、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に絶縁コーティング層71を成膜した構成に加え、金属ケース50の蓋体51およびケース本体52の露出する内表面および外表面にも絶縁コーティング層71を成膜することで、各電極板62,63および各導出部62a,63aと金属ケース50の絶縁性をより向上させた構成となる。
(第2の変形例)
さらに、上述の超音波振動子2は、金属ケース50のケース本体52の側部に各導出部62a,63aを外部へ導出する開口部であって、電着液105が金属ケース50内に流入する開口部でもある孔部53を設けた構成を例示したが、これに限定されることなく、図16または図17に示すように、加圧部材である蓋体51またはケース本体52の底部55に開口部である孔部54を設けて、電着液105が金属ケース50内に流入できるような構成としてもよい。
なお、例えば、図17に示すように、ケース本体52の底部55に形成した孔部54は、導出部62a,63aを外部へ導出するために利用してもよい。
(ガス重合による絶縁処理部の形成)
上述では、電着により絶縁コーティング層71を形成した絶縁処理部の一例を挙げたが、これに変えて、超音波振動子2の露出する表面全体に、例えば、高分子絶縁材料をガス重合させて、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部にパラキシリレン系ポリマーなどの絶縁処理部である絶縁コーティング層72を成膜してもよい。
具体的には、超音波振動子2は、ガス重合装置内に設置され、ガスが接触する金属ケース50の外表面および金属ケース50のケース本体52に形成された開口部としての孔部53から高分子絶縁材料が入り込み金属ケース50の内表面および積層振動子41の外表面に対して、高分子絶縁材料を重合させることで絶縁コーティング層72が成膜される。
このようにガス重合によって成膜される絶縁コーティング層72は、図18に示すように、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に加え、各矩形圧電体61の露出部となる側面、金属ケース50の外壁および内壁にも均一に成膜される。
これにより、超音波振動子2は、上述と同様に細径化できると共に、露出する面全てが絶縁コーティング層72に覆われるため、より効果の高い絶縁性が確保できる。
また、このようなガス重合による絶縁コーティング層72の成膜方法の場合、上述の電着による絶縁コーティング層71の成膜方法と異なり、電着液105を洗浄する工程が不要となるため、より簡便に絶縁コーティング層72を形成することができる。
以上から、ここでの超音波振動子2は、積層振動子41の各電極板62,63および導出部62a,63aの露出部に加え、各矩形圧電体61の露出部となる側面、金属ケース50の外壁および内壁にパラキシリレン系ポリマーなどの高分子絶縁材料からガス重合によって絶縁コーティング層72が成膜されることで、金属ケース50と各電極板62,63の間のクリアランス(絶縁距離/離間距離)をできる限り小さくしても、上述と同様に、金属ケース50と電極板62,63および導出部62a,63aの間で放電現象がより発生し難く、さらに細径化可能な構成とすることができる。
(シリコン樹脂の充填による絶縁処理)
超音波振動子2は、金属ケース50内にシリコン樹脂などが充填されて、金属ケース50と、各電極板62,63および各導出部62a,63aと、を絶縁してもよい。
具体的には、超音波振動子2は、金属ケース50のケース本体52の孔部53より絶縁性のある樹脂が流入されて充填される。そして、金属ケース50内に充填された樹脂は、熱硬化、二液混合性などの方法によって硬化される。
ここでの超音波振動子2は、図19に示すように、金属ケース50内に充填硬化された絶縁処理部である充填樹脂部材73が金属ケース50内において、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部に加え、各矩形圧電体61の露出部となる側面、金属ケース50の内壁を覆うように配設される。即ち、超音波振動子2は、金属ケース50内において、積層振動子41が樹脂部材である充填樹脂部材73に覆われた状態となる。
このように超音波振動子2は、上述した絶縁コーティング層71,72の成膜方法とは異なり、内部が樹脂で充填されることになる。そのため、積層振動子41の各矩形圧電体61による振動をできるだけ阻害しないことが必要となり、弾性率が低く柔らかい樹脂を選択することが必要となる。このような弾性率が低く柔らかい樹脂は、例えば、旭化成ワッカーシリコーン社のM4601などのシリコン樹脂が挙げられる。
なお、ガス重合とは別の方法として、液状の絶縁樹脂材料を超音波振動子2にディッピング(浸漬)して熱硬化などした絶縁コーティング層72を成膜してもよい。
このような構成により、超音波振動子2は、上述と同様に絶縁性が確保でき、且つ細径化できると共に、さらに金属ケース50内における気密性が向上する。
以上から、ここでの超音波振動子2は、積層振動子41を覆うように金属ケース50内にシリコン樹脂の充填樹脂部材73が充填硬化されることで、金属ケース50と各電極板62,63の間のクリアランス(絶縁距離/離間距離)をできる限り小さくしても、上述と同様に、金属ケース50と電極板62,63および導出部62a,63aの間で放電現象がより発生し難く、細径化可能な構成とすることができる。
以上に記載したように、本実施の形態の超音波振動子2は、上述した各種手法による絶縁コーティング層71,72または充填樹脂部材73により絶縁処理を施すことで、金属ケース50と各電極板62,63および各導出部62a,63aとの絶縁性をより向上させることができ、従来よりも細径化できる構成となる。
さらに、超音波振動子2は、蓋体51とケース本体52が締結され、絶縁板42,43および積層振動子41が金属ケース50内に収容されて固定された後に、金属ケース50に対して、少なくとも各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部を絶縁処理することで、寸法公差、組み付け時のズレなどによって生じる各電極板62,63の露出部も完全に絶縁処理することができる。
そのため、超音波振動子2は、電極板62,63および導出部62a,63aから金属ケース50への放電現象を確実に防止することができる。
ここで、上述した絶縁コーティング層71,72または充填樹脂部材73は、従来のような空気層のみで確保していた絶縁距離(離間距離)に対して、どの程度で絶縁距離(離間距離)を縮小できるか下記の表に示すように検証してみた。
Figure 2015136595
空気層のみによる絶縁耐電圧は、表1に示すように、約3kV/mmである。そのため、従来の超音波振動子2は、例えば、1.5kVの駆動電圧で駆動させたときに、各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするには、少なくとも0.5mmの空気層、即ちクリアランス(絶縁距離/離間距離)が必要となる。
これに対して、電着法により成膜される絶縁コーティング層71に用いられるエポキシ樹脂、アクリル樹脂などは、表1に示すように、絶縁耐電圧が約200kV/mmとなる。
そのため、例えば、1.5kVの駆動電圧で超音波振動子2を駆動させたときに、各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするには、少なくとも0.008mmの厚さでエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの絶縁コーティング層71を各電極板62,63、各導出部62a,63aおよび/または金属ケース50に電着によって成膜すればよい。
また、ガス重合法により成膜される絶縁コーティング層72に用いられるパラキシリレン系ポリマーは、表1に示すように、絶縁耐電圧が約280kV/mmとなる。
そのため、例えば、1.5kVの駆動電圧で超音波振動子2を駆動させたときに、各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするには、少なくとも0.005mmの厚さでパラキシリレン系ポリマーの絶縁コーティング層72を各電極板62,63、各導出部62a,63aおよび金属ケース50にガス重合によって成膜すればよい。
さらに、ディッピングにより成膜される絶縁コーティング層72または充填硬化による充填樹脂部材73に用いられるシリコン樹脂は、表1に示すように、絶縁耐電圧が約140kV/mmとなる。
そのため、例えば、1.5kVの駆動電圧で超音波振動子2を駆動させたときに、各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするには、少なくとも0.01mmの厚さで絶縁コーティング層72を各電極板62,63、各導出部62a,63aおよび金属ケース50にディッピングによって成膜すればよい。
また、シリコン樹脂の充填樹脂部材73を金属ケース50内に充填した場合においても、各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするために、各電極板62,63および各導出部62a,63aと金属ケース50との間に充填される充填樹脂部材73の厚さが少なくとも0.01mmあればよい。
以上の説明により、本実施の形態の超音波振動子2は、従来構成のように空気層だけで各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース50へ放電が起こらないようにするためのクリアランス(絶縁距離/離間距離)に対して、絶縁コーティング層71、72または充填樹脂部材73を設けることで、各電極板62,63および各導出部62a,63aと金属ケース50とのクリアランス(絶縁距離/離間距離)を、およそ1/50〜1/100に縮小することができる。
したがって、超音波振動子2は、従来構成のように金属ケース50と積層振動子41の各電極板62,63および各導出部62a,63aとの間に空間的隙間を空けて絶縁確保するよりも、各電極板62,63および各導出部62a,63aの露出部、積層振動子41の露出する表面、または金属ケース50の内壁および外壁に絶縁処理を施すことで、金属ケース50と積層振動子41とのクリアランス(絶縁距離/離間距離)を小さくすることができる。
その結果、超音波振動子2は、圧電体ユニットである積層振動子41の各電極板62,63および各導出部62a,63aから金属ケース体である金属ケース50への放電現象を防止でき、従来よりも細径化することができる構成となる。
上述の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
1…超音波医療装置
2…超音波振動子
3…振動子ユニット
4…ハンドルユニット
5…操作部
6…プローブ
7…外套管
8…挿入シース部
9…操作部本体
10…固定ハンドル
11…可動ハンドル
12…回転ノブ
13…スリット
14…ハンドルストッパ
15…ハンドル支軸
16…連結アーム
17…操作パイプ
18…大径部
19…操作パイプ
20…スライダ
22…固定リング
23…把持部
30…先端処置部
31…先端部
32…ホーン
33…外向フランジ
34…プローブ本体
35…ゴムライニング
36…電気ケーブル
38…基端円柱部
38a…雄ネジ
41…積層振動子
42,43…絶縁板
50…金属ケース
51…蓋体
51a…平面部
51b…雌ネジ穴
51c…雄ネジ部
52…ケース本体
52a…雌ネジ部
53,54…孔部
55…底部
61…矩形圧電体
62…正電側電極板
62a,63a…導出部
63…負電側電極板
71,72…絶縁コーティング層
73…充填樹脂部材
101,102…金属電極
103…電着液
104…容器
105…電着液

Claims (11)

  1. 複数の圧電体および複数の電極板が積層された積層振動子と、
    前記積層振動子の両端に配設される2つの絶縁板と、
    前記積層振動子および前記2つの絶縁板を収容する金属ケースと、
    前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとを絶縁する絶縁処理部と、
    前記金属ケースに形成され、前記積層振動子および前記2つの絶縁板が前記金属ケースに収容されて固定された後に、前記絶縁処理部を形成する絶縁材料を前記金属ケース内に導入するための開口部と、
    を具備することを特徴とする超音波振動デバイス。
  2. 前記金属ケースがケース本体および前記ケース本体に螺着して締結されて前記積層振動子および前記2つの絶縁板を加圧して固定する加圧部材を有し、
    前記開口部が前記ケース本体または前記加圧部材の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波振動デバイス。
  3. 前記開口部が電力供給用の配線導出口を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の超音波振動デバイス。
  4. 前記絶縁処理部は、前記開口部から導入された前記絶縁材料が少なくとも前記複数の電極板の露出部に成膜された絶縁コーティング層であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波振動デバイス。
  5. 前記金属ケースの内壁にも、前記開口部から導入された前記絶縁材料によって前記絶縁コーティング層が成膜されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波振動デバイス。
  6. 前記絶縁コーティング層は、電着により形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の超音波振動デバイス。
  7. 前記絶縁コーティング層は、ガス重合により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の超音波振動デバイス。
  8. 前記絶縁処理部は、前記絶縁材料が前記開口部から前記金属ケース内に充填されて形成されていることを請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波振動デバイス。
  9. 前記複数の圧電体は、圧電単結晶から形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超音波振動デバイス。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の超音波振動デバイスの製造方法であって、
    前記2つの絶縁板が両端に設けられるように、前記複数の圧電体および前記複数の電極板を積層して前記積層振動子を前記金属ケースの内壁に接触しない位置に収容して位置決め固定し、
    前記積層振動子を前記金属ケース内に位置決め固定した後に、少なくとも前記複数の電極板の露出部と前記金属ケースとが絶縁するように、前記開口部から前記絶縁材料を前記金属ケース内に導入させて前記絶縁処理部を形成することを特徴とする超音波振動デバイスの製造方法。
  11. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の超音波振動デバイスと、
    前記超音波振動デバイスで発生した超音波振動が伝達され生体組織を処置するプローブ先端部と、
    を具備することを特徴とする超音波医療装置。
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