JP2015110491A - ガラス溶融物の製造方法およびガラス物品の製造方法 - Google Patents

ガラス溶融物の製造方法およびガラス物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス原料バッチがFe源を含み、ガラス溶融物の粘性が高い場合でも、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程での泡層の生成を抑制して生産性を向上させることができ、かつ泡の残存が少ないガラス溶融物を製造できるようにする。【解決手段】酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を1〜15%、Na2Oを2〜21%、K2Oを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜20%、ZrO2を0〜5%、Fe2O3を1.5〜6%含有し、粘度が100dPa・secとなる温度が1470〜1750℃であるガラス溶融物を製造する方法であって、Fe源を含むガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を得る工程を有し、ガラス原料バッチにおける、Fe2O3基準バッチレドックスナンバーが0.16〜0.26であることを特徴とするガラス溶融物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はガラス溶融物の製造方法およびこれを用いたガラス物品の製造方法に関する。
ガラスを濃色に着色するために鉄(Fe)を添加することが知られており、Fe源として、例えばFeを主成分とする弁柄がよく用いられる。
ガラス中でFeはFe3+またはFe2+として存在し得るが、高温ではFe2+の方が安定である。そのため、ガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を製造する工程において、Fe3+からFe2+への価数変化が生じ、酸素が放出される。
このように、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程で酸素放出されると、ガラス溶融物の表面上に泡層が形成され、該泡層によってガラス溶融物への伝熱効率が低減されるため、生産性向上の点から好ましくない。また、泡層の表面位置が高くなりすぎないように、投入するガラス原料バッチの供給速度が制限されるため、やはり生産性向上の点から好ましくない。
ガラス原料バッチを加熱溶融させる際、組成が均一なガラス溶融物を得るためには、ガラス溶融物の粘度が100dPa・sec以上となる温度が高すぎないことが好ましい。ガラス溶融物の粘度が100dPa・secとなる温度は、一般的にガラスの溶解温度と言われ、ガラス原料バッチの組成(ガラス組成)によって異なり、該100dPa・secに達する温度が高いことを、本明細書ではガラス溶融物の粘性が高いという。
ガラス溶融物の粘性が高いほど、ガラス原料バッチの加熱溶融時の加熱温度を高くする必要がある。ガラス原料バッチの加熱温度が高いと、Fe3+からFe2+へ価数変化する反応が促進されて酸素の放出量が多くなり、泡層の生成が著しくなる。
また、加熱温度が同じである場合、ガラス溶融物の粘性が高いほど、該加熱温度におけるガラス溶融物の粘度が高くなる。ガラス溶融物の粘度が高いと、泡層が消失し難く、ガラス溶融物中の泡が抜けにくい。
ガラス溶融物中の泡に対しては、ガラス原料バッチに硫酸塩などの清澄剤を含有させ、ガラス原料バッチが溶融した後に、さらに高温で加熱して脱泡する工程が行われる。例えば芒硝(NaSO)を清澄剤として含有させると、加熱によりSOが分解してSO+1/2Oとなる反応が進むことで、ガラス溶融物中の泡が大きく成長して抜けやすくなる。
しかし、特許文献2にも記載されているように、ガラス原料バッチにFe源が含まれていると、SOによる清澄効果が十分に得られない場合がある。
特許文献1、2は、必須の着色成分として鉄(Fe)を用いて、着色された化学強化ガラスを製造する方法に関するものである。
特許文献1、2には、Coを鉄と共存させることにより、高温状態でFe3+からFe2+へ価数変化する際に放出される酸素を、コバルトが酸化される際に吸収して泡の発生を抑制できることが記載されている。
特許文献2には、ガラス原料バッチにおいて、Fe源の全量のうち、Feで換算した2価の鉄の含有量の割合(鉄レドックス)が10%より低いと、SOの分解が進まず、50%より高いと、清澄前にSOの分解が進みすぎて清澄効果が不充分になりやすいことが記載されている。
特開2011−84456号公報 特開2013−56823号公報
上述したように、ガラス原料バッチにFe源が含まれ、かつガラス溶融物の粘性が高い場合には、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程で泡層が形成されやすく、ガラス溶融物中の泡が抜け難いという問題がある。しかし、特許文献1、2に記載されている方法は、かかる問題に対して必ずしも充分とは言えない。
本発明は、ガラス原料バッチがFe源を含み、ガラス溶融物の粘性が高い場合でも、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程での泡層の生成を抑制して生産性を向上させることができ、かつ泡の残存が少ないガラス溶融物およびガラス物品を製造できるようにすることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のガラス溶融物の製造方法は、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを50〜75%、Alを1〜15%、NaOを2〜21%、KOを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜20%、ZrOを0〜5%、Feを1.5〜6%含有し、粘度が100dPa・secとなる温度が1470〜1750℃であるガラス溶融物を製造する方法であって、
Fe源を含むガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を得る工程を有し、ガラス原料バッチにおける、下記の方法で求められるFe基準バッチレドックスナンバーが0.16〜0.26であることを特徴とする。
Fe基準バッチレドックスナンバーの求め方:ガラス原料バッチ中における、Fe源全体のFe換算質量を1とするときの、該ガラス原料バッチ中の酸化剤および還元剤のそれぞれの相対質量と、各酸化剤または還元剤のバッチレドックスナンバー係数との積をそれぞれ求め、該積の総和をFe基準バッチレドックスナンバーとする。
Fe源全体のうち、マグネタイト(Fe)が占める割合が、Fe換算で70質量%以上であることが好ましい。
また本発明は、本発明の方法でガラス溶融物を製造する工程と、得られたガラス溶融物を成形して徐冷する工程を有するガラス物品の製造方法を提供する。
本発明によれば、ガラス原料バッチがFe源を含み、ガラス溶融物の粘性が高い場合でも、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程での泡層の生成を抑制して生産性を向上させることができ、かつ泡の残存が少ないガラス溶融物およびガラス物品を製造することができる。
実施例における白金坩堝の内容物の表面の高さの経時変化を示すグラフである。 実施例における白金坩堝の内容物の表面の高さの経時変化を示すグラフである。 比較例における白金坩堝の内容物の表面の高さの経時変化を示すグラフである。 比較例における白金坩堝の内容物の表面の高さの経時変化を示すグラフである。 比較例における白金坩堝の内容物の表面の高さの経時変化を示すグラフである。
本明細書において、ガラスの成分はSiO、Al等の酸化物で表し、ガラス全体に対する各成分の含有量(ガラス組成)は酸化物基準のモル百分率で表す。
本明細書において「ガラス原料バッチ」は、ガラス原料となる成分を複数含む混合物であり、粒状または粉状である。
ガラス原料となる成分としては、酸化物(複合酸化物を含む)、または熱分解により酸化物となりうる化合物が用いられる。熱分解により酸化物となりうる化合物としては、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。
本明細書において数値範囲を示す「〜」は、特段の定めがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書においてガラス溶融物の粘度が100dPa・secとなる温度(℃)、1000dPa・secとなる温度(℃)、10000dPa・secとなる温度(℃)は、以下の測定方法で得られる値である。
すなわち、ガラスを溶融(リメルト)した後、回転粘度計を用い、ガラス融液中に浸したローターを一定速度で回転させ、高温から温度を下げながらローターにかかるトルクを測定し、回転速度とトルクの関係より融液粘度の温度依存性を測定する。通常は、100dPa・sec以下の粘度となる温度から、10000dPa・sec以上の粘度となる温度まで測定を行う。
本明細書において、Fe基準バッチレドックスナンバーは、以下の方法で得られる値である。すなわち、
(1)ガラス原料バッチ中における、Fe源全体のFe換算質量を求める。
(2)ガラス原料バッチ中の酸化剤および還元剤のそれぞれについて、前記(1)で求めたFe源全体のFe換算質量を1とするときの相対質量の値と、「バッチレドックスナンバー係数」との積を求める。
(3)前記(2)で求めた積の値の総和を「Fe基準バッチレドックスナンバー」とする。
前記(2)で用いられる、酸化剤または還元剤の「バッチレドックスナンバー係数」は、Simpsonら(Glass Technology,19[4]pp.82−85(1978))によって提唱された、化合物固有の値であり、ガラス原料バッチにおける酸化還元の度合を表す指標となる。下記表1は「Glass Technology,19[4]pp.82−85(1978)」からの抜粋である。表1の「redox factor Ri」が、本明細書における「バッチレドックスナンバー係数」である。
本明細書において、ガラス原料バッチ中の酸化剤とはガラス融液中で自らの構成イオンの価数を減少させてFeイオンをFe2+からFe3+にするものであり、還元剤とはガラス融液中で自らの構成イオンの価数を増加させてFeイオンをFe3+からFe2+にするものである。
Figure 2015110491
例えば後述する実施例2のガラス原料バッチは、酸化剤としてNaSOをSO換算で0.2質量%、およびFeを7.5質量%含有し、還元剤として黒鉛をC換算で0.067質量%含有する。表1より、各酸化剤および還元剤の「バッチレドックスナンバー係数」は、NaSOが+0.67、Feが+0.25、黒鉛が−6.70である。「Fe基準バッチレドックスナンバー」は以下のようにして求められる。
ガラス100gを作るために必要なガラス原料バッチ中における、Fe源全体のFe換算質量は7.5gである。これを1とすると、NaSOの相対質量は、NaSOの分子量142.04とSOの分子量80.06から、(0.2×142.04/80.06)/7.5となる。黒鉛の相対質量は0.067/7.5となる。各相対質量の値と、各「バッチレドックスナンバー係数」値との積を求め、該積の値の総和を求めると、「Fe基準バッチレドックスナンバー」=1.0×(+0.25)+(0.2×142.04/80.06)/7.5×(+0.67)+0.067/7.5×(−6.70)=約0.222となる。
<ガラス溶融物の組成>
本発明のガラス溶融物の組成(酸化物基準のモル百分率表示)は、SiOが50〜75%、Alが1〜15%、NaOが2〜21%、KOが0〜15%、MgOが0〜15%、CaOが0〜20%、ZrOが0〜5%、およびFeが3〜10%である。
本発明のガラス物品はガラス溶融物を冷却して得られるものであり、ガラス物品の組成(ガラス組成)はガラス溶融物の組成と等しい。ただし、後加工工程での表面処理等によってガラス物品の表面に加工される成分は、ガラス物品の組成には含まれないものとする。以下、ガラス溶融物の組成をガラス組成ということもある。
本明細書において、組成を表す「%」は特に断りのない限り「モル%」を意味する。
SiOはガラスの骨格を構成する成分である。50%以上であるとガラスとしての良好な安定性、および良好な耐候性が得られる。好ましくは55%以上である。
SiOが75%以下であるとガラス溶融物の粘性が高くなりすぎず、ガラス溶融物の均質性が良好となる。好ましくは70%以下、より好ましくは68%以下である。
Alはガラスの耐候性を向上させる成分である。1%以上であると耐候性の向上効果が良好に得られる。好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上である。
Alが15%以下であるとガラス溶融物の粘性が高くなりすぎず、ガラス溶融物の均質性が良好となる。好ましくは11%以下、より好ましくは9%以下、特に好ましくは8%以下である。
NaOはガラスの溶融性を向上させる成分である。また後述するように、イオン交換により表面圧縮応力層を形成させる方法で化学強化する場合には必須の成分である。2%以上であると良好な溶融性が得られる。イオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成する場合は、6%以上が好ましい。好ましくは7%以上、より好ましくは8%以上である。
NaOが21%以下であると良好な耐候性が得られる。好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下である。
Oは溶融性を向上させる成分である。また後述するように、イオン交換により表面圧縮応力層を形成させる方法で化学強化する場合には、化学強化におけるイオン交換速度を大きくする作用を有する。本発明において必須ではないが、含有する場合は1%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。KOが15%以下であると良好な耐候性が得られやすい。好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは4%以下である。
MgOは溶融性を向上させる成分である。必須ではないが、含有する場合は1%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。MgOが15%以下であると良好な耐候性が得られやすい。好ましくは13%以下、より好ましくは12%以下である。
CaOは溶融性を向上させる成分である。必須ではないが、含有する場合は、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。CaOが20%以下であると良好な耐候性が得られやすい。好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは6%以下である。
ZrOは溶解性に寄与する成分であり、また化学強化する場合にはイオン交換速度を大きくする成分である。必須ではないが、含有する場合は、0.1%以上が好ましく、0.2%以上がより好ましい。ZrOが5%以下であると良好な溶融性が得られやすい。好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
Feはガラスを濃色に着色するための成分である。ガラス組成におけるFeの含有量は、Fe換算の全鉄含有量を意味する。1.5%以上であると溶解性が、向上する。また充分に着色された黒色ガラスが得られる。好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上である。
Feが6%以下であると、結晶化が抑制され、ガラスの良好な安定が得られる。好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。
Coは鉄との共存下において脱泡効果を奏する。またCoはSOとの共存下において清澄作用をより高める成分である。必須ではないが、含有させる場合は0.1%以上が好ましく、0.2%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましい。上限は結晶化抑制の点から2%以下が好ましい。好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である。
また、化学強化のためにアルカリ金属を比較的多量に含むガラスは、ガラスの塩基性度が高くなるため、SOが分解しにくくなり、清澄効果が低下する。SOが分解しにくい化学強化用ガラスで、鉄を含むガラスにおいて、コバルトはSOの分解を促進するために有効である。
SOは必須ではないが清澄剤として作用する成分である。SOを含有する場合0.005%以上であると良好な清澄作用が得られる。好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上である。0.03%以上がもっとも好ましい。また0.5%超では逆に泡の発生源となり、ガラスの溶け落ちが遅くなったり、泡個数が増加するおそれがある。好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。
ガラス溶融物の組成には、上記成分のほか、LiO、SrO、BaO、ZnO、B、TiO等の公知のガラス成分を必要に応じて含有させることができる。
上記成分のほか、ガラスの着色成分として公知の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよい。例えば、CuO、MoO、CeO等が挙げられる。
上記成分のほか、清澄剤として公知の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよい。例えばSb、SnO、Cl、F等が挙げられる。
本発明におけるガラス溶融物の好ましい組成としては、下記組成(I)、組成(II)が挙げられる。
組成(I):
SiOが55〜68%、Alが3〜9%、NaOが8〜15%、KOが1〜6%、MgOが5〜12%、CaOが0〜4%、ZrOが0.1〜1%、Feが1.5〜5%、Coが0.1〜1%。
組成(II):
SiOが55〜70%、Alが3〜11%、NaOが6〜15%、KOが0〜6%、MgOが1〜13%、CaOが0〜10%、ZrOが0〜2%、Feが1.5〜5%、およびCoが0〜2%。
<ガラス溶融物の粘度>
本発明におけるガラス溶融物の組成は、例えば典型的なフロートガラスのガラス組成に比べてSiOとAlの合計量が少なく、アルカリイオンの総量、すなわちNaOとKOの合計量が少ないという特徴を有しており、ガラス溶融物の粘性が比較的高い。
本発明におけるガラス溶融物の粘性は、100dPa・secとなる温度が1470〜1750℃となる範囲であり、好ましくは1530〜1680℃である。該100dPa・secとなる温度が高いほど、ガラス溶融物の粘性が高く、同じ温度で比べたときには粘度がより高い。
<ガラス溶融物の製造方法>
本発明のガラス溶融物の製造方法は、Fe源を含むガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を得る工程を有する。
ガラス原料バッチは、ガラス原料を、目的とするガラス組成が得られるように配合し混合して得られる。本発明では、Fe基準バッチレドックスナンバーが本発明の範囲内となるように、ガラス原料を選択して配合する。
本発明において、ガラス原料バッチにおける、Fe基準バッチレドックスナンバーは0.16〜0.26であり、好ましくは0.19〜0.24、より好ましくは0.21〜0.23である。
上記範囲の上限値以下であると、ガラス原料バッチが加熱溶融される過程で泡層の生成を良好に抑制できる。これにより、ガラス溶融物の生産性を向上させることができる。また上記範囲の下限値以上であると、清澄効果が良好に得られ、泡の残存が少ないガラス溶融物が得られる。
Fe基準バッチレドックスナンバーの値は、ガラス原料バッチ中の酸化剤および/または還元剤を、「バッチレドックスナンバー係数」が異なる成分に変更することによって、または酸化剤および/または還元剤の含有量を調整することによって制御できる。
Fe源は、鉄を含み、ガラスの原料として使用できる成分である。例えば、弁柄(主成分はFe)、へマタイト(Fe)、マグネタイト(FeまたはFeO・Feで表される。)、金属鉄(鉄粉、Fe)、硫化鉄等が好ましい。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Fe源にFe3+とFe2+の両方が含まれるように、Fe源を選択することによって、Fe源がFeだけである場合に比べて、Fe基準バッチレドックスナンバーを低下させることができる。
例えば、マグネタタイトはFe3+とFe2+の両方を含むため、Fe源の少なくとも一部としてマグネタタイトを用いることが好ましい。Fe源のうち、マグネタイトが占める割合が、Fe換算で70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また金属鉄は還元剤として作用する。したがって、Feの他に金属鉄を含有させることにより、Fe源がFeだけである場合に比べて、Fe基準バッチレドックスナンバーを低下することができる。
ガラス原料バッチ中の、Fe源の合計(全Fe)をFeO換算したFe含有質量に対する、Fe2+のFeO換算質量の割合を鉄レドックスという。鉄レドックスは10〜50%であることが好ましく、15〜40%であることがより好ましく、20〜30%であるとが特に好ましい。鉄レドックスが10%より低いと、清澄剤としてSOを含有する場合にその分解が進まず期待する清澄効果が得られないおそれがある。鉄レドックスが50%より高いと清澄前にSOの分解が進みすぎて期待する清澄効果が得られない、あるいは、泡の発生源となり泡個数が増加するおそれがある。
Fe源以外のガラス原料としては、公知のガラス原料を適宜用いることができる。
またガラス原料バッチに、ガラス原料以外の添加剤を含有させてもよい。例えば、黒鉛、スラグ等の、還元剤として作用する成分が挙げられる。還元剤を含有させると、Fe基準バッチレドックスナンバーを低下させることができる。
ガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を得る工程は、公知の方法で行うことができる。例えばガラス原料を混合して調製したガラス原料バッチを、粘度が100dPa・secとなる温度以上に加熱して溶融した後、さらに加熱して脱泡する方法が好ましい。加熱溶融温度は例えば約1500〜1650℃が好ましい。
<ガラス物品の製造方法>
本発明のガラス物品の製造方法は、本発明の方法でガラス溶融物を製造する工程と、得られたガラス溶融物を成形して徐冷する工程を有する。
例えばガラス物品が板状の物品である場合、成形工程はフロート法、ダウンドロー法、フュージョン法等の公知の方法で行うことができる。フロート法は、溶融スズ上でガラス溶融物を板状に成形する方法である。
さらに必要に応じて、切断や研磨など公知の方法で後加工を施してもよい。また化学強化等の表面処理工程を行ってもよい。
化学強化法は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板表面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換する方法である。公知の手法で行うことができる。
例えば加熱された硝酸カリウム(KNO)溶融塩にガラス板を浸漬する方法が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1、2、比較例1〜3>
表2に示すガラス組成になるように、珪砂、アルミナ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、ジルコン、硫酸ナトリウム、酸化コバルト(II、III)ならびに表3に示すFe源および添加剤(黒鉛)を混合することでガラス原料バッチを得た。Fe源としてはへマタイト(Fe)、マグネタイト(Fe)、または金属鉄(Fe)の粉末を用いた。
各例のガラス原料バッチにおける、清澄剤であるNaSOの含有量、Fe源および黒鉛の含有量、Fe基準バッチレドックスナンバーを表3に示す。
溶融ガラスの粘度が100、1000、10000dPa・secとなる温度は、それぞれ表2に示す通りである。
<評価>
下記の評価方法で、各例のガラス原料バッチを加熱溶融させる際の泡切れの評価、およびガラス溶融物を製造する際の清澄性の評価を行った。結果を表3に示す。
[泡切れの評価]
75gのガラス原料バッチを白金坩堝に入れ、1500℃で1時間加熱して溶融させた。その際、白金坩堝の内容物の表面の高さ(泡層またはガラス溶融物の表面の高さ)の経時変化をレーザ変位計を用いて測定した。その結果を図1〜5に示す。縦軸は白金坩堝の底面を0mmとしたときの、白金坩堝の内容物の表面の高さを示し、横軸は、1500℃の電気炉に坩堝を入れて加熱し始めた時を0分としたときの経過時間を示す。
グラフの0分の時点における白金坩堝の内容物の表面は泡層の表面である。時間が経過すると泡層は消失するため、該内容物の表面の高さは低下する。泡層が無くなると該内容物の表面の高さは低下しなくなり、最終的な高さになる。
図1〜5の例において、白金坩堝の内容物の表面の最終的な高さは、得られるガラスの質量から体積計算して、7.5mmと判定した。
最終的な高さになるまでの時間(以下、泡切れ時間という。)が短い方が、泡切れが良く、泡層が消失しやすいことを意味する。
[清澄性(泡数)の評価]
75gのガラス原料バッチを白金坩堝に入れ、1500℃で1時間加熱して得られたガラス溶融物を徐冷することで、ガラス物品を得た。得られたガラス物品を研削研磨して、サイズが約40mm×40mm、厚さが0.5mmの板状の鏡面サンプルを作製した。
作製した鏡面サンプルについて、顕微鏡にて泡数を測定した。鏡面サンプルの質量を測定し、1g当りの泡数を求めた。
1g当りの泡数が1000個/g未満の場合は清澄性を良とし、1000個/g以上の場合は清澄性を不良として評価した。
Figure 2015110491
Figure 2015110491
実施例1はFe源としてFeを使用し、Fe基準バッチレドックスナンバーが0.222と適切な値の例である。泡切れ時間は7分程度と短かった。また、ガラス溶融物の製造工程で1時間加熱し脱泡して得られたガラス物品において、泡数は少なく良好な清澄が行われた。
実施例2はFe源としてFeを使用するとともに、還元性を有する黒鉛を添加してFe基準バッチレドックスナンバーを実施例1と同じ0.222とした例である。泡切れ時間は10分程度と短かった。また、ガラス溶融物の製造工程で1時間加熱し脱泡して得られたガラス物品において、泡数は少なく良好な清澄が行われた。
比較例1は、Fe源としてFe使用し、黒鉛を添加しなかった例である。Fe基準バッチレドックスナンバーが0.282と高く、泡切れ時間は19分程度と長かった。泡数は少ないが、泡層生成が問題となると予想される。
比較例2はFe源としてFeを使用するとともに、黒鉛を添加した例である。実施例2に比べて黒鉛の添加量が少ないため、Fe基準バッチレドックスナンバーが0.267と高く、泡切れ時間は14分程度と長かった。泡数は少ないが、泡層生成が問題となると予想される。
比較例3は、Fe源としてFeと、還元性を有する鉄粉を添加した例である。鉄粉は還元性が強く、黒鉛よりもバッチレドックスナンバーの値が充分に小さい。したがって、比較例3のFe基準バッチレドックスナンバーは、実施例1、2よりもかなり低くなる。泡切れ時間は8分程度と短いが、ガラス物品における泡数が比較例多く、清澄性が劣る。
なお、実施例1、2および比較例1〜3で得られたガラス物品の色調に差は見られなかった。
<実施例3>
表2に示す実施例3のガラス組成も、ガラス溶融物の粘性が比較的高い組成である。
表2に示すガラス組成になるように、珪砂、アルミナ、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、硫酸ナトリウム、酸化コバルト(II、III)、Fe源としてへマタイト(Fe)および添加剤としてマグネタイト(Fe)を混合することでガラス原料バッチを得た。
ガラス原料バッチにおける、清澄剤であるNaSOの含有量、Fe源および添加剤の含有量、Fe基準バッチレドックスナンバーを表3に示す。
溶融ガラスの粘度が100、1000、10000dPa・secとなる温度は、表2に示す通りである。
実施例1と同様にして泡切れ時間および清澄性(泡数)を評価した。
本例はFe源としてへマタイト(Fe)を使用し、添加剤としてマグネタイト(Fe)を使用し、Fe基準バッチレドックスナンバーが0.219と適切な値である。泡切れ時間は10分程度と短かった。また、ガラス溶融物の製造工程で1時間加熱し脱泡して得られたガラス物品における泡数は少なく良好な清澄が行われた。

Claims (3)

  1. 酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを50〜75%、Alを1〜15%、NaOを2〜21%、KOを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜20%、ZrOを0〜5%、Feを1.5〜6%含有し、粘度が100dPa・secとなる温度が1470〜1750℃であるガラス溶融物を製造する方法であって、
    Fe源を含むガラス原料バッチを加熱溶融してガラス溶融物を得る工程を有し、
    ガラス原料バッチにおける、下記の方法で求められるFe基準バッチレドックスナンバーが0.16〜0.26であることを特徴とするガラス溶融物の製造方法。
    Fe基準バッチレドックスナンバーの求め方:ガラス原料バッチ中における、Fe源全体のFe換算質量を1とするときの、該ガラス原料バッチ中の酸化剤および還元剤のそれぞれの相対質量と、各酸化剤または還元剤のバッチレドックスナンバー係数との積をそれぞれ求め、該積の総和をFe基準バッチレドックスナンバーとする。
  2. Fe源全体のうち、マグネタイト(Fe)が占める割合が、Fe換算で70質量%以上である、請求項1記載のガラス溶融物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法でガラス溶融物を製造する工程と、
    得られたガラス溶融物を成形して徐冷する工程を有するガラス物品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019119615A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 日本電気硝子株式会社 ガラスの製造方法
CN110330224A (zh) * 2019-07-05 2019-10-15 齐鲁工业大学 一种适合人工成型的大瓶罐玻璃及其制备方法
CN110603233A (zh) * 2017-05-05 2019-12-20 康宁股份有限公司 在玻璃组合物的熔化期间降低金属氧化态的方法

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