JP2015088592A - 多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び反射型マスクの製造方法 - Google Patents

多層反射膜付き基板の製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、及び反射型マスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 多層反射膜の成膜の際、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個となる収率を、より高くすることができる、多層反射膜付き基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 基板上に、露光光を反射する多層反射膜を有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記多層反射膜の一部を成膜する部分成膜工程と、成膜した前記多層反射膜の欠陥検査をする欠陥検査工程と、欠陥検査の結果を評価して、所定の欠陥が所定の欠陥数以下である前記多層反射膜付き基板を選択する基板選択工程とをこの順で含む多層反射膜一部形成工程を含み、前記多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、前記多層反射膜を形成し、前記基板選択工程で選択された前記多層反射膜付き基板に対してのみ、次の前記多層反射膜一部形成工程を実施することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、極端紫外光などの短波長域の露光光を使用するリソグラフィー法において好ましく用いられる多層反射膜付き基板の製造方法、該基板を用いた反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造方法に関する。
近年、半導体産業において、半導体装置の高集積化に伴い、従来の紫外光を用いたフォトリソグラフィ法の転写限界を上回る微細パターンが必要とされてきている。このような微細パターン形成を可能とするため、極紫外(Extreme Ultra Violet:以下、「EUV」と呼ぶ。)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィーが有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。このEUVリソグラフィーにおいて用いられる転写用マスクとして反射型マスクが提案されている。このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。
当該反射型マスクは、基板と、当該基板上に形成された多層反射膜と、当該多層反射膜上に形成された吸収体膜とを有する反射型マスクブランクから、フォトリソグラフィ法等により吸収体パターンを形成することによって製造される。
上記多層反射膜としては、相対的に屈折率の高い材料と、相対的に屈折率の低い材料とが、数nmオーダーで交互に積層された多層膜が通常使用される。例えば、13〜14nmのEUV光に対する反射率の高いものとして、Si及びMoの薄膜を交互に積層した多層膜が知られている。多層反射膜は、基板上に、例えば、イオンビームスパッタ法により形成することができる。MoとSiとを含む場合、SiターゲットとMoターゲットとを用いて交互にスパッタし、30〜60周期程度、好ましくは40周期程度積層する。
多層反射膜の製造方法として、例えば、特許文献1には、基板上に、露光光を反射する多層反射膜を有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記基板は、前記多層反射膜を成膜する側の表面に凸欠陥と凹欠陥の両方が存在しており、前記基板上に、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直又は垂直から35度以内の方向から入射するようにして多層膜を成膜する直入射成膜と、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直方向に対して50度〜80度の方向から入射するようにして多層膜を成膜する斜入射成膜とを組み合わせて成膜した下地膜(下地層)を成膜した後、該下地膜上に前記多層反射膜を成膜することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法が記載されている。
特許4834205号公報
反射型マスクブランクの多層反射膜の成膜では、屈折率が異なる物質の薄膜を、交互に30〜60周期程度積層する。多層反射膜の成膜の際、転写パターン形成領域内(基板の周縁領域を除外した領域)において、欠陥サイズ100nm以上の欠陥が生じてしまうと、反射型マスクブランクとして使用することは困難になる。そのため、反射型マスクブランクの多層反射膜では、転写パターン形成領域内において、欠陥サイズ100nm以上の欠陥数を0個にする必要がある。しかしながら、多層反射膜の成膜の際、スパッタリングターゲット及びスパッタリング装置等から発生するパーティクルが、多層反射膜の成膜中に付着するため、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個(欠陥サイズ100nm以上)となる多層反射膜付き基板の収率は6%程度である。
そこで、本発明は、多層反射膜の成膜の際、転写パターン形成領域内の所定の欠陥数(例えば欠陥サイズ100nm以上の欠陥数)が0個となる収率を、より高くすることができる、多層反射膜付き基板の製造方法を提供することを目的とする。また、高い収率の反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、反射型マスクブランクを製造する際の、多層反射膜の成膜の収率を向上することを目的に鋭意努力した。その結果、多層反射膜の成膜時間が長くなればなるほど、転写パターン形成領域内において、欠陥サイズ100nm以上の欠陥が発生する確率が高くなるとの知見を実験的に見出した。更に、欠陥サイズ350nm以上の巨大欠陥も、欠陥サイズ100nm以上の欠陥の場合と同様に、多層反射膜の成膜時間が長くなればなるほど、欠陥が発生する確率が高くなるとの知見を実験的に見出した。尚、本発明者らは、高屈折率材料の層及び低屈折率材料の層を1ペアとして、40ペア(周期)の多層反射膜を、100個試作することによって、これらの知見を得た。更に本発明者らは、これらの知見に基づき、多層反射膜の成膜を一度に行わず、多層反射膜の成膜を複数回に分割して行うことにより、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個(欠陥サイズ100nm以上)となる多層反射膜付き基板の収率を向上することができることを見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成1〜7であることを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法、下記の構成8であることを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法、及び下記の構成9であることを特徴とする反射型マスクの製造方法である。尚、下記の構成1〜7の多層反射膜付き基板の製造方法、構成8の反射型マスクブランクの製造方法、構成9の反射型マスクの製造方法の各製造方法は、複数枚の多層反射膜付き基板、複数枚の反射型マスクブランク、及び複数枚の反射型マスクを作製する場合に特に効果を発揮する製造方法である。
(構成1)
本発明の構成1は、基板上に、露光光を反射する多層反射膜を有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記多層反射膜の一部を成膜する部分成膜工程と、成膜した前記多層反射膜の欠陥検査をする欠陥検査工程と、欠陥検査の結果を評価して、所定の欠陥が所定の欠陥数以下である前記多層反射膜付き基板を選択する基板選択工程とをこの順で含む多層反射膜一部形成工程を含み、前記多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、前記多層反射膜を形成し、前記基板選択工程で選択された前記多層反射膜付き基板に対してのみ、次の前記多層反射膜一部形成工程を実施することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成1によれば、多層反射膜の成膜の際、部分成膜工程と、欠陥検査工程と、基板選択工程とをこの順で含む多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個となる収率を、より高くすることができる多層反射膜付き基板の製造方法を提供することができる。
(構成2)
本発明の構成2は、前記多層反射膜が、少なくとも1種類の単位積層体を含み、前記単位積層体が2つ以上の層を含み、2つ以上の層が互いに異なる組成の材料からなることを特徴とする構成1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成2によれば、多層反射膜が、少なくとも1種類の単位積層体を含み、単位積層体が2つ以上の層を含み、2つ以上の層が互いに異なる組成の材料からなることにより、多層反射膜による露光光の反射を、確実にすることができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記部分成膜工程が前記単位積層体を形成することを含み、前記単位積層体を形成することが、Siからなる層を形成すること、及びMoからなる層を形成することを含むことを特徴とする構成2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成3によれば、単位積層体が、Siからなる層及びMoからなる層を含むことにより、露光光に対する多層反射膜の反射率を、高くすることができる。
(構成4)
本発明の構成4は、同一の前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、複数の、1種類の前記単位積層体であることを特徴とする構成2又は3に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成4によれば、同一の部分成膜工程で成膜される単位積層体が、複数の、1種類の単位積層体であることにより、露光光に対する多層反射膜の反射率を、より高くすることができる。
(構成5)
本発明の構成5は、すべての前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、1種類の前記単位積層体であることを特徴とする構成2乃至4に記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成5によれば、すべての前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、1種類の前記単位積層体であることにより、露光光に対する多層反射膜の反射率を、更に高くすることができる。
(構成6)
本発明の構成6は、前記多層反射膜一部形成工程を、2回繰り返すことを特徴とする構成1乃至5の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成6によれば、多層反射膜一部形成工程を、2回繰り返すことにより、多層反射膜を成膜する工程に要する時間を長時間とせずに、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個となる収率をより高くすることができる。
(構成7)
本発明の構成7は、最初の前記多層反射膜一部形成工程の前記部分成膜工程において、前記多層反射膜が、前記基板上に、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直又は垂直から35度以内の方向から入射するようにして前記多層反射膜を成膜する直入射成膜により形成され、最後の前記多層反射膜一部形成工程前記部分成膜工程において、前記多層反射膜が、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直方向に対して50度〜80度の方向から入射するようにして前記多層反射膜を成膜する斜入射成膜により形成されることを特徴とする構成1乃至6の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法である。
構成7によれば、最初の部分成膜工程において、多層反射膜が直入射成膜により形成されることにより、成膜速度を速くし、欠陥の発生確率を低減することができる。また、最後の部分成膜工程において、多層反射膜が斜入射成膜により形成されることにより、反射率の高い、より均一な多層反射膜を得ることができる。
(構成8)
本発明は、本発明の構成8は、構成1乃至7の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法により得られた前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、露光光を吸収する吸収体膜を形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法である。
構成8によれば、上述の多層反射膜付き基板の多層反射膜上に、露光光を吸収する吸収体膜を形成することにより、高い収率の反射型マスクブランクの製造方法を得ることができる。
(構成9)
本発明は、本発明の構成9は、構成8に記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られた前記反射型マスクブランクの前記吸収体膜に転写パターンとなる吸収体膜パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
構成9の反射型マスクの製造方法では、高い収率の反射型マスクブランクを用いることができるので、より低コストの反射型マスクの製造方法を提供することができる。
本発明によれば、多層反射膜の成膜の際、転写パターン形成領域内の所定の欠陥数(例えば欠陥サイズ100nm以上の欠陥数)が0個となる収率を、より高くすることができる、多層反射膜付き基板の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、高い収率の反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造方法を提供することができる。
本発明の多層反射膜付き基板の製造方法における、多層反射膜の成膜手順の一例を示す図である。 図2(a)は、本発明の一実施形態に係るマスクブランク用基板を示す斜視図である。図2(b)は、本実施形態のマスクブランク用基板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る多層反射膜付き基板の構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る反射型マスクブランクの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る反射型マスクの一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る反射型マスクブランクの構成の別の一例を示す断面模式図である。 図7(a)は斜入射成膜におけるターゲットと基板との配置を示す模式図、図7(b)は直入射成膜におけるターゲットと基板との配置を示す模式図である。
本発明は、基板上に、露光光を反射する多層反射膜を有する多層反射膜付き基板の製造方法である。本発明の多層反射膜付き基板の製造方法は、多層反射膜の成膜の際、部分成膜工程と、欠陥検査工程と、基板選択工程とをこの順で含む多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。本発明に用いる多層反射膜の成膜手順の一例を図1に示す。
本発明者らは、多層反射膜の成膜時間が短いほど、転写パターン形成領域内において、欠陥サイズ100nm以上の欠陥が発生する確率が低くなるとの知見を見出した。その知見に基づき、多層反射膜の成膜を一度に行わず、複数回に分割して行うことにより、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個(欠陥サイズ100nm以上)となる多層反射膜付き基板の収率を向上することができることを見出した。本知見に基づく本発明の製造方法では、多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、多層反射膜の1回の成膜時間を短くすることができるので、転写パターン形成領域内の所定の欠陥数が0個となる多層反射膜付き基板の収率を向上することができる。
また、本発明の多層反射膜付き基板の製造方法では、多層反射膜一部形成工程が、基板選択工程を有する。基板選択工程により、多層反射膜の成膜途中に欠陥が発生したものを製造ラインから取り除くことができるので、多層反射膜を成膜するための成膜装置の稼働を効率的に行うことができる。
図3は、本発明の多層反射膜付き基板20の一例を示す模式図である。本発明の多層反射膜付き基板20は、マスクブランク用基板10の主表面の上に、多層反射膜21を有する。尚、多層反射膜付き基板20は、多層反射膜21以外の薄膜を有することができる。したがって、図6に示す反射型マスクブランク30は、多層反射膜付き基板20の一種である。
図6は、本発明の反射型マスクブランク30の一例を示す模式図である。本発明の反射型マスクブランク30は、マスクブランク用基板10の主表面の上に、マスクブランク用多層膜26を有する。本明細書において、マスクブランク用多層膜26とは、反射型マスクブランク30において、マスクブランク用基板10の主表面の上に積層して形成される、多層反射膜21及び吸収体膜24を含む複数の膜である。マスクブランク用多層膜26は、更に、多層反射膜21及び吸収体膜24の間に形成される保護膜22、及び/又は吸収体膜24の表面に形成されるエッチングマスク膜25を含むことができる。図6に示す反射型マスクブランク30の場合には、マスクブランク用基板10の主表面の上のマスクブランク用多層膜26が、多層反射膜21、保護膜22、吸収体膜24及びエッチングマスク膜25を有している。
本明細書において、「マスクブランク用基板10の主表面の上に、マスクブランク用多層膜26を有する」とは、マスクブランク用多層膜26が、マスクブランク用基板10の表面に接して配置されることを意味する場合の他、マスクブランク用基板10と、マスクブランク用多層膜26との間に他の膜を有することを意味する場合も含む。また、本明細書において、例えば「膜Aが膜Bの表面に接して配置される」とは、膜Aと膜Bとの間に他の膜を介さずに、膜Aと膜Bとが直接、接するように配置されていることを意味する。
以下、本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法について、説明する。
[マスクブランク用基板10]
まず、本発明の反射型マスクブランク30の製造に用いることのできるマスクブランク用基板10について以下に説明する。
図2(a)は、本発明の反射型マスクブランク30の製造に用いることのできるマスクブランク用基板10の一例を示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示すマスクブランク用基板10の断面模式図である。
マスクブランク用基板10(又は、単に基板10と称す場合がある。)は、矩形状の板状体であり、2つの対向主表面2と、端面1とを有する。2つの対向主表面2は、この板状体の上面及び下面であり、互いに対向するように形成されている。また、2つの対向主表面2の少なくとも一方は、転写パターンが形成されるべき主表面である。
端面1は、この板状体の側面であり、対向主表面2の外縁に隣接する。端面1は、平面状の端面部分1d、及び曲面状の端面部分1fを有する。平面状の端面部分1dは、一方の対向主表面2の辺と、他方の対向主表面2の辺とを接続する面であり、側面部1a、及び面取斜面部1bを含む。側面部1aは、平面状の端面部分1dにおける、対向主表面2と略垂直な部分(T面)である。面取斜面部1bは、側面部1aと対向主表面2との間における面取りされた部分(C面)であり、側面部1aと対向主表面2との間に形成される。
曲面状の端面部分1fは、基板10を平面視したときに、基板10の角部10a近傍に隣接する部分(R部)であり、側面部1c及び面取斜面部1eを含む。ここで、基板10を平面視するとは、例えば、対向主表面2と垂直な方向から、基板10を見ることである。また、基板10の角部10aとは、例えば、対向主表面2の外縁における、2辺の交点近傍である。2辺の交点とは、2辺のそれぞれの延長線の交点であってよい。本例において、曲面状の端面部分1fは、基板10の角部10aを丸めることにより、曲面状に形成されている。
EUV露光用の反射型マスクブランク用基板10の材料としては、低熱膨張の特性を有するものであれば何でもよい。例えば、低熱膨張の特性を有するSiO−TiO系ガラス(2元系(SiO−TiO)及び3元系(SiO−TiO−SnO等))、例えばSiO−Al−LiO系の結晶化ガラスなどの所謂、多成分系ガラスを使用することができる。また、上記ガラス以外にシリコンや金属などの基板を用いることもできる。前記金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)などが挙げられる。
上述のように、EUV露光用のマスクブランク用基板10の場合、基板に低熱膨張の特性が要求されるため、多成分系ガラス材料を使用することが好ましい。しかしながら、多成分系ガラス材料は、合成石英ガラスと比較して高い平滑性を得にくいという問題がある。この問題を解決すべく、多成分系ガラス材料からなる基板上に、金属、合金からなる又はこれらのいずれかに酸素、窒素、炭素の少なくとも一つを含有した材料からなる薄膜を形成する。そして、このような薄膜表面を鏡面研磨、表面処理することにより、所定の表面粗さの表面を形成することができる。
上記薄膜の材料としては、例えば、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、又はこれらのいずれかに酸素、窒素、炭素の少なくとも一つを含有したTa化合物が好ましい。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON、TaSiCONなどを適用することができる。これらTa化合物のうち、窒素(N)を含有するTaN、TaON、TaCON、TaBN、TaBON、TaBCON、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSiN、TaSiON、TaSiCONがより好ましい。尚、上記薄膜は、薄膜表面の高平滑性の観点から、好ましくはアモルファス構造とすることが望ましい。薄膜の結晶構造は、X線回折装置(XRD)により測定することができる。
[多層反射膜付き基板20]
次に、本発明の多層反射膜付き基板20について以下に説明する。本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、上述のマスクブランク用基板10の上に、多層反射膜21を形成することにより、多層反射膜付き基板20を得ることができる。
図3は、反射型マスクブランク30に用いることのできる多層反射膜付き基板20の一例を示す模式図である。
本実施形態の多層反射膜付き基板20は、上記説明したマスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面上に多層反射膜21を有する構造としている。この多層反射膜21は、EUVリソグラフィー用反射型マスク40においてEUV光を反射する機能を付与するものであり、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層反射膜21の構成を取っている。
多層反射膜21はEUV光を反射する限りその材質は特に限定されないが、その単独での反射率は通常65%以上であり、上限は通常73%である。このような多層反射膜21は、一般的には、高屈折率の材料からなる薄膜(高屈折率層)と、低屈折率の材料からなる薄膜(低屈折率層)とが、交互に30〜60周期程度積層された多層反射膜21とすることができる。
本明細書において、高屈折率層及び低屈折率層のように多層反射膜21を構成する繰り返し単位のことを単位積層体という。本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、多層反射膜21が、少なくとも1種類の単位積層体を含み、単位積層体が2つ以上の層を含み、2つ以上の層が互いに異なる組成の材料からなることが好ましい。例えば、高屈折率層及び低屈折率層という2つの層を適切な膜厚で成膜した単位積層体からなる多層反射膜21は、EUV光に対する所望の反射率を得ることができる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜21としては、Mo膜とSi膜とを交互に40周期程度積層したMo/Si周期多層膜とすることが好ましい。この場合には、1層のMo層及び1層のSi層からなるものが単位積層体である。その他、EUV光の領域で使用される多層反射膜21として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などとすることが可能である。
尚、多層反射膜21のすべてが一種類の単位積層体(例えば、Mo/Si)からなる必要はなく、異なる単位積層体を組み合わせて用いることができる。
本発明により製造される多層反射膜付き基板20の多層反射膜21としては、単位積層体が、1層のMo層及び1層のSi層を含むことが好ましい。単位積層体が、Siからなる層及びMoからなる層を含むことにより、多層反射膜21による露光光の反射率を、高くすることができる。単位積層体は、1層のMo層及び1層のSi層(Mo/Si)からなることがより好ましい。
多層反射膜21を構成する各薄膜の成膜方法は当該技術分野において公知である。例えば、マグネトロンスパッタリング法や、イオンビームスパッタリング法などにより、各層を成膜することにより形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、例えば、イオンビームスパッタリング法により、まずSiターゲットを用いて厚さ数nm程度のSi膜を基板10上に成膜し、その後、Moターゲットを用いて厚さ数nm程度のMo膜を成膜し、これを一周期(単位積層体)として、合計で30〜60周期積層して、多層反射膜21を形成する。
本発明の反射型マスクブランク30を製造する際、多層反射膜21は、高屈折率材料のスパッタリングターゲット及び低屈折率材料のスパッタリングターゲットにイオンビームを交互に照射して、イオンビームスパッタリング法により形成されることが好ましい。所定のイオンビームスパッタリング法で多層反射膜21を形成することにより、EUV光に対する反射率特性が良好な多層反射膜21を確実に得ることができる。
本発明の多層反射膜付き基板の製造方法は、多層反射膜21の成膜の際、部分成膜工程と、欠陥検査工程と、基板選択工程とをこの順で含む多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。図1に、本発明に用いる多層反射膜21の成膜手順の一例を示す。
図1に示すように、多層反射膜21の成膜のために、まず、基板(上述のマスクブランク用基板10)を準備する。次に、マスクブランク用基板10に対して、多層反射膜一部形成工程を実施する。具体的には、図1に示すように、多層反射膜一部形成工程のうち、最初に部分成膜工程を実施する。
部分成膜工程では、多層反射膜21の一部を成膜する。従来、多層反射膜21を構成する単位積層体のすべての層を連続して成膜していたが、本発明の部分成膜工程では、多層反射膜21の成膜を、複数回に分ける。例えば、単位積層体を40周期積層する場合には、前半の20周期積層する成膜のための部分成膜工程と、後半の20周期積層する成膜するための部分成膜工程との2回に分けて行うことができる。部分成膜工程は、必要に応じて、3回以上行うこともできる。尚、第1回目の多層反射膜一部形成工程中の部分成膜工程を、「最初の部分成膜工程」という。また、最後の多層反射膜一部形成工程中の部分成膜工程を、「最後の部分成膜工程」という。
本発明者らは、多層反射膜21の成膜時間が長くなればなるほど、転写パターン形成領域内において、欠陥サイズ100nm以上の欠陥が発生する確率が高くなるとの知見を実験によって見出した。すなわち、多層反射膜21の成膜時間を短くすることにより、所定の欠陥の発生確率を低減させることができる。部分成膜工程は、多層反射膜21の一部を成膜する工程であるので、多層反射膜21を一度に成膜する場合と比べて、所定の欠陥の発生確率を低減させることができる。
それぞれの部分成膜工程において成膜する周期数(単位積層体の数)は、必ずしも同数でなくても良い。しかしながら、所定の欠陥の発生を抑制するためには、長時間の成膜を避ける必要があることから、突出した長時間の部分成膜工程は避ける必要がある。したがって、部分成膜工程において成膜する周期数(単位積層体の数)は、同数又は略同数であることが好ましい。
本発明では、複数の部分成膜工程のうち、同一の部分成膜工程で形成される単位積層体が、複数の、1種類の単位積層体であることが好ましい。例えば、一つの部分成膜工程において、Mo/Siを単位積層体として、所定数のMo/Siの単位積層体を成膜することができる。1種類の単位積層体であるならば、同一の成膜条件での成膜が可能であり、また、露光光に対する多層反射膜21の反射率を、高くすることができる。
本発明では、すべての前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、1種類の単位積層体であることが好ましい。例えば、すべての部分成膜工程において、Mo/Siを単位積層体として、所定数のMo/Siの単位積層体を成膜することができる。この場合、形成される多層反射膜21は、Mo/Siのみを単位積層体とする多層反射膜21である。多層反射膜21の単位積層体が、1種類であることにより、露光光に対する多層反射膜21の反射率を、より高くすることができる。
本発明の多層反射膜付き基板の製造方法では、図1に示すように、次に、欠陥検査工程及び基板選択工程を実施する。
図1に示すように、多層反射膜一部形成工程中、欠陥検査工程では、部分成膜工程により成膜した多層反射膜21の欠陥検査を行う。例えば、欠陥検査工程では、所定の欠陥(例えば、所定の欠陥サイズ以上の大きさの欠陥)を検査し、その欠陥数(N)を測定する。所定の欠陥サイズとしては、反射型マスクの吸収体膜パターンに隠すことができなくなる程度の大きさのサイズとすることができる。反射型マスクの吸収体膜パターンの設計寸法にもよるが、所定の欠陥サイズとしては、50〜350nmの欠陥サイズの範囲で選択することができ、例えば、100nm以上の欠陥サイズとすることができる。
図1に示すように、多層反射膜一部形成工程中、基板選択工程では、欠陥検査工程での検査結果を評価して、所定の欠陥が所定の欠陥数(Ns)以下である多層反射膜付き基板20のみを選択する。そして、基板選択工程で選択された多層反射膜付き基板20に対してのみ、次の多層反射膜一部形成工程を実施する。選択されなかった基板(N>Nsの基板)に対しては、廃棄、又は基板の再利用のための処理等を行うことができる。測定された所定の欠陥の欠陥数(N)が、選択のための所定の欠陥数(Ns)以下である多層反射膜付き基板20のみを選択することにより、次の多層反射膜一部形成工程の部分成膜工程において、廃棄すべき基板に対する無駄な成膜を行うことを避けることができる。
反射型マスクでは、上述の所定の欠陥サイズの欠陥が存在すること自体が、半導体装置を製造する上で致命的な問題となる場合がある。ただし、吸収体膜パターンの形状によっては、欠陥を吸収体膜パターンに隠すことも可能である。したがって、選択のための所定の欠陥数(Ns)は、10個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましく、1個以下であることが更に好ましく、0(ゼロ)個であることが特に好ましい。
尚、本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、多層反射膜一部形成工程が、欠陥検査工程及び基板選択工程を含むことが好ましい。しかしながら、上述の部分成膜工程のように多層反射膜21の成膜を複数回に分けた場合には、多層反射膜21を一度に成膜する場合と比べて、所定の欠陥の発生確率を低減させることができる。したがって、本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、多層反射膜一部形成工程が、欠陥検査工程及び基板選択工程を含まず、部分成膜工程のみを有する場合であっても、所定の欠陥の発生確率を低減させる効果を得ることができる。
本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、上述の多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、所定の数の単位積層体を有する多層反射膜21を形成することができる。図1に示すように、基板選択工程にて選択された所定の欠陥の欠陥数Nが、選択のための所定の欠陥数Ns以下であるものに対して、次の多層反射膜一部形成工程を実施する。尚、多層反射膜一部形成工程が所定の繰り返し回数に達した場合には、多層反射膜一部形成工程の繰り返しを終了し、多層反射膜付き基板20を得ることができる。
本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、前記多層反射膜一部形成工程を、2回繰り返すことが好ましい。多層反射膜一部形成工程を、2回繰り返すことにより、多層反射膜21を成膜する工程に要する時間を長時間とせずに、転写パターン形成領域内の欠陥数が0個となる収率を、より高くすることができる。
本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、最初の多層反射膜一部形成工程の部分成膜工程において、多層反射膜21が、基板上に、基板に向かってターゲット50からの飛散粒子が垂直又は垂直から35度以内の方向から入射するようにして多層反射膜21を成膜する直入射成膜により形成されることが好ましい(図7(b)参照)。最初の部分成膜工程において、多層反射膜21が直入射成膜により形成されることにより、成膜速度を速くし、欠陥の発生確率を低減することができる。
また、本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、最後の多層反射膜一部形成工程の部分成膜工程において、多層反射膜21が、基板に向かってターゲット50からの飛散粒子が垂直方向に対して50度〜80度の方向から入射するようにして多層反射膜21を成膜する斜入射成膜により形成されることが好ましい(図7(a)参照)。最後の部分成膜工程において、多層反射膜21が斜入射成膜により形成されることにより、反射率の高い、均一な多層反射膜21を得ることができる。
尚、斜入射成膜では、基板の表面に存在する凹状の欠陥(凹欠陥)を小さくする効果がある。一方、直入射成膜により、多層反射膜21を成膜した場合、基板の表面に存在する凸欠陥を小さくするが、基板表面の凹欠陥を大きくする作用があることが、本発明者の検討により判明した。更に、この直入射成膜により多層反射膜21を成膜すると、多層反射膜21の表面粗さを小さくする効果もあるため、反射率の向上につながる。
尚、上記斜入射成膜は、図7(a)に示すように、基板10に向かってターゲット50からの飛散粒子が垂直方向(S)に対し斜め方向51から入射するようにターゲット50と基板10とを配置して行われる。具体的にはターゲット50からの飛散粒子が垂直方向(S)に対し、入射角θが50度〜80度の斜め方向から入射するようにして斜入射成膜することが好ましく、特に飛散粒子が垂直方向に対し、入射角θが50度〜70度の斜め方向から入射するようにして成膜することが好ましい。図1に、入射角θを示す。また上記直入射成膜は、前述の図7(b)に示すように、基板10に向かってターゲット50からの飛散粒子が垂直又は略垂直な方向52から入射するようにターゲット50と基板10とを配置して行われる。具体的には、ターゲット50からの飛散粒子が基板に対し、垂直方向もしくは垂直方向より35度以内の略垂直な方向から入射するようにして直入射成膜することが好ましい。より好ましくは、垂直方向もしくは垂直方向より30度以内の略垂直な方向から入射するようにして直入射成膜することが好ましい。
多層反射膜21の成膜に使用する成膜装置(例えばイオンビームスパッタリング装置)において、基板に向かってターゲット50から飛散する粒子が垂直又は略垂直な方向52から入射するようにするのか、或いは垂直方向に対して斜めの方向から入射するようにするのかは、例えばターゲット50に対する基板角度を調整することにより、変化させることができる。
本発明の多層反射膜付き基板20の製造方法では、多層反射膜21の表面のうち、マスクブランク用基板10とは反対側の表面に接して配置される保護膜22を更に形成することが好ましい(図4を参照)。
保護膜22は、保護膜22材料のスパッタリングターゲットにイオンビームを照射する、イオンビームスパッタリング法により形成されることが好ましい。イオンビームスパッタリング法によって、保護膜22表面の平滑化が得られるので、保護膜22上に形成される吸収体膜24や、更に吸収体膜24上に形成されるエッチングマスク膜25の表面を平滑化させることができる。また、保護膜22により、EUVリソグラフィー用反射型マスク40の製造工程におけるドライエッチングやウェット洗浄から、多層反射膜21を保護することができる。このように、マスクブランク用基板10上に、多層反射膜21と、保護膜22とを有する形態も、本発明における多層反射膜付き基板20とすることができる。
尚、上記保護膜22の材料としては、例えば、Ru、Ru−(Nb,Zr,Y,B,Ti,La,Mo)、Si−(Ru,Rh,Cr,B)、Si、Zr、Nb、La、B等の材料を使用することができる。これらのうち、上記保護膜22の材料として、ルテニウム(Ru)を含む材料を適用すると、多層反射膜21の反射率特性がより良好となる。具体的には、上記保護膜22の材料は、Ru、Ru−(Nb,Zr,Y,B,Ti,La,Mo)であることが好ましい。このような保護膜22は、特に、吸収体膜24をTa系材料とし、Cl系ガスのドライエッチングで当該吸収体膜24をパターニングする場合に有効である。
また、多層反射膜付き基板20において、基板10の多層反射膜21と接する面と反対側の面には、静電チャックの目的のために裏面導電膜23(図4を参照)を形成することもできる。このように、マスクブランク用基板10上の転写パターンが形成される側に多層反射膜21と、保護膜22とを有し、多層反射膜21と接する面と反対側の面に裏面導電膜23を有する形態も、本発明における多層反射膜付き基板20とすることができる。尚、裏面導電膜23に求められる電気的特性(シート抵抗)は、通常100Ω/□以下である。裏面導電膜23の形成方法は公知であり、例えば、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法により、Cr、Ta等の金属や合金のターゲットを使用して形成することができる。
また、本実施形態の多層反射膜付き基板20としては、基板10と多層反射膜21との間に下地層を形成しても良い。下地層は、基板10の主表面の平滑性向上の目的、欠陥低減の目的、多層反射膜21の反射率増強効果の目的、並びに多層反射膜21の応力補正の目的で形成することができる。
[反射型マスクブランク30]
次に、本発明の反射型マスクブランク30の製造方法について説明する。
図4は、本発明の反射型マスクブランク30の一例を示す模式図である。本発明の反射型マスクブランク30の製造方法は、上記説明した多層反射膜付き基板20の上に、露光光を吸収する吸収体膜24を形成する工程を有する。上述の多層反射膜付き基板20の多層反射膜21上に、露光光を吸収する吸収体膜24を形成することにより、高い収率の反射型マスクブランク30の製造方法を得ることができる。
上記吸収体膜24の材料は、特に限定されるものではない。例えば、EUV光を吸収する機能を有するもので、Ta(タンタル)単体、又はTaを主成分とする材料を用いることが好ましい。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体膜24の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。Taを主成分とする材料としては、例えば、TaとBとを含む材料、TaとNとを含む材料、TaとBとを含み、更にOとNとの少なくともいずれかを含む材料、TaとSiとを含む材料、TaとSiとNとを含む材料、TaとGeとを含む材料、TaとGeとNとを含む材料などを用いることができる。また例えば、TaにB、Si、Ge等を加えることにより、アモルファス構造が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。更に、TaにN、Oを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができる。所定の表面粗さ等の表面形態を得るために、吸収体膜24は、微結晶構造であるか、又はアモルファス構造であることが好ましい。吸収体膜24の結晶構造については、X線回折装置(XRD)により確認することができる。
具体的には、吸収体膜24を形成するタンタルを含有する材料としては、例えば、タンタル金属、タンタルに、窒素、酸素、ホウ素及び炭素から選ばれる一以上の元素を含有し、水素を実質的に含有しない材料等が挙げられる。例えば、Ta、TaN、TaON、TaBN、TaBON、TaCN、TaCON、TaBCN及びTaBOCN等が挙げられる。前記材料については、本発明の効果が得られる範囲で、タンタル以外の金属を含有させてもよい。吸収体膜24を形成するタンタルを含有する材料にホウ素を含有させると、吸収体膜24をアモルファス構造(非晶質)になるように制御しやすい。
マスクブランクの吸収体膜24は、タンタルと窒素とを含有する材料で形成されることが好ましい。吸収体膜24中の窒素含有量は、50原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることが好ましく、25原子%以下であることがより好ましく、20原子%以下であることが更に好ましい。吸収体膜24中の窒素含有量は、5原子%以上であることが好ましい。
本発明の反射型マスクブランク30では、吸収体膜24が、タンタルと窒素とを含有し、窒素の含有量が10原子%以上50原子%以下であることが好ましく、より好ましくは15原子%以上50原子%以下、更に好ましくは30原子%以上50原子%以下が望ましい。吸収体膜24がタンタルと窒素とを含有し、窒素の含有量が10原子%以上50原子%以下であることにより、吸収体膜24をパターニングしたときのパターンエッジラフネスが低減される。
本発明の反射型マスクブランク30の製造方法では、吸収体膜24を形成する工程において、吸収体膜24は、吸収体膜24に含まれる材料からなるスパッタリングターゲットを用いる反応性スパッタリング法により形成され、反応性スパッタリングの際の雰囲気ガスに含まれる成分が含有されるように吸収体膜24が形成されることが好ましい。反応性スパッタリング法による成膜の際に、雰囲気ガスの流量を調節することにより、吸収体膜24を含むマスクブランク用多層膜26の表面の平滑性を調節することができる。
反応性スパッタリング法により吸収体膜24を形成する場合、雰囲気ガスは、不活性ガスと、窒素ガスとを含有する混合ガスであることが好ましい。この場合には、窒素の流量を調節することができるので、適切な組成を有する吸収体膜24を得ることができる。その結果、マスクブランク用多層膜26の表面が良好な平滑性を有する吸収体膜24を、確実に得ることができる。
本発明の反射型マスクブランク30の製造方法では、吸収体膜24は、タンタルを含む材料のスパッタリングターゲットを用いて形成されることが好ましい。この結果、タンタルを含む適切な吸収をもつ吸収体膜24を形成することができる。
尚、本発明の反射型マスクブランク30は、図4に示す構成に限定されるものではない。例えば、上記吸収体膜24の上に、吸収体膜24をパターニングするためのマスクとなるレジスト膜を形成することもできる。このような、レジスト膜付き反射型マスクブランク30も、本発明の反射型マスクブランク30とすることができる。尚、吸収体膜24の上に形成するレジスト膜は、ポジ型でもネガ型でも構わない。また、電子線描画用でもレーザー描画用でも構わない。更に、吸収体膜24と前記レジスト膜との間に、いわゆるハードマスク膜(エッチングマスク膜25)を形成することもできる。このようなエッチングマスク膜25を有する態様も本発明における反射型マスクブランク30とすることができる。
本発明の反射型マスクブランク30は、マスクブランク用多層膜26が、吸収体膜24の表面のうち、マスクブランク用基板10とは反対側の表面に接して配置されるエッチングマスク膜25を更に含むことが好ましい。図6に示す反射型マスクブランク30の場合には、マスクブランク用基板10の主表面の上のマスクブランク用多層膜26が、多層反射膜21、保護膜22及び吸収体膜24に加えて、更にエッチングマスク膜25を有している。本発明の反射型マスクブランク30は、図6に示す反射型マスクブランク30のマスクブランク用多層膜26の最表面に、更にレジスト膜を有することができる。
具体的には、本発明の反射型マスクブランク30は、吸収体膜24の材料が、Ta単体、又はTaを主成分とする材料を用いる場合、吸収体膜24上にクロムを含有する材料からなるエッチングマスク膜25が形成された構造となっていることが好ましい。このような構造の反射型マスクブランク30とすることにより、吸収体膜24に転写パターンを形成後、エッチングマスク膜25を塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングで剥離しても、吸収体膜24パターンの光学的特性が良好な反射型マスク40を作製することができる。また、吸収体膜24に形成された転写パターンのラインエッジラフネスが良好な反射型マスク40を作製することができる。
エッチングマスク膜25を形成するクロムを含有する材料としては、例えば、クロムに、窒素、酸素、炭素及びホウ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料等が挙げられる。例えば、CrN、CrON、CrCN、CrCON、CrBN、CrBON、CrBCN及びCrBOCN等が挙げられる。前記材料については、本発明の効果が得られる範囲で、クロム以外の金属を含有させてもよい。エッチングマスク膜25の膜厚は、転写パターンを精度よく吸収体膜24に形成するエッチングマスクとしての機能を得る観点から、3nm以上であることが望ましい。また、エッチングマスク膜25の膜厚は、レジスト膜の膜厚を薄くする観点から、15nm以下であることが望ましい。
[反射型マスク40]
次に、本発明の反射型マスク40の製造方法について以下に説明する。
本発明の反射型マスク40の製造方法では、上述の反射型マスクブランク30の製造方法により得られた反射型マスクブランク30の吸収体膜24に、転写パターンとなる吸収体膜24パターンを形成する。本発明の反射型マスク40の製造方法では、高い収率の反射型マスクブランク30を用いることができるので、より低コストの反射型マスク40の製造方法を提供することができる。
図5は、本実施形態の反射型マスク40を示す模式図である。本発明の反射型マスク40は、上記の反射型マスクブランク30における吸収体膜24をパターニングして、上記多層反射膜21上又は上記保護膜22上に吸収体パターン27を形成した構成である。本実施形態の反射型マスク40は、EUV光等の露光光で露光すると、マスク表面で吸収体膜24のある部分では露光光が吸収され、それ以外の吸収体膜24を除去した部分では露出した保護膜22及び多層反射膜21で露光光が反射されることにより、リソグラフィー用の反射型マスク40として使用することができる。本発明では、高い収率の反射型マスクブランク30を用いることができるので、より低コストの反射型マスク40を得ることができる。
[半導体装置の製造方法]
以上説明した反射型マスク40と、露光装置を使用したリソグラフィープロセスにより、半導体基板等の被転写体上に形成されたレジスト膜に、反射型マスク40の吸収体パターン27に基づく回路パターン等の転写パターンを転写し、その他種々の工程を経ることで、半導体基板等の被転写体上に種々の転写パターン等が形成された半導体装置を製造することができる。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、高い収率の反射型マスクブランク30を用いたより低コストの反射型マスク40を使用できるので、より低コストの半導体装置を製造することができる。
尚、上述のマスクブランク用基板10、多層反射膜付き基板20、反射型マスクブランク30に、基準マークを形成し、この基準マークと、上述の高感度欠陥検査装置で検出された致命欠陥の位置を座標管理することができる。得られた致命欠陥の位置情報(欠陥データ)に基づいて、反射型マスク40を作製するときに、上述の欠陥データと被転写パターン(回路パターン)データとを元に、致命欠陥が存在している箇所に吸収体パターン27が形成されるように描画データを補正して、欠陥を低減させることができる。
次に、実施例により本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
<多層反射膜付き基板20の作製>
まず、実施例1及び2並びに比較例1の多層反射膜付き基板20を作製した。基板として、外形152mm角、厚さが6.35mmの低熱膨張のSiO−TiO系のガラス基板を用意した。このガラス基板は、機械研磨、洗浄により、0.15nmRmsの平滑な表面と100nm以下の平坦度を有している。
当該ガラス基板の表裏面における148mm×148mmの領域の表面形状(表面形態、平坦度)、TTV(板厚ばらつき)を、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で測定した。その結果、ガラス基板の表裏面の平坦度は290nm(凸形状)であった。ガラス基板表面の表面形状(平坦度)の測定結果は、測定点ごとにある基準面に対する高さの情報としてコンピュータに保存するとともに、ガラス基板に必要な表面平坦度の基準値50nm(凸形状)、裏面平坦度の基準値50nmと比較し、その差分(必要除去量)をコンピュータで計算した。
次いで、ガラス基板面内を加工スポット形状領域ごとに、必要除去量に応じた局所表面加工の加工条件を設定した。事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポットで加工し、その形状を上記表裏面の表面形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、単位時間当たりにおけるスポットの加工体積を算出する。そして、スポットの情報とガラス基板の表面形状の情報より得られた必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
設定した加工条件に従い、磁気流体による基板仕上げ装置を用いて、磁気粘弾性流体研磨(Magneto Rheological Finishing : MRF)加工法により、ガラス基板の表裏面平坦度が上記の基準値以下となるように局所表面加工処理をして表面形状を調整した。尚、このとき使用した磁気粘弾性流体は、鉄成分を含んでおり、研磨スラリーは、研磨剤として酸化セリウムを約2wt%含むアルカリ水溶液を用いた。その後、ガラス基板を濃度約10%の塩酸水溶液(温度約25℃)が入った洗浄槽に約10分間浸漬した後、純水によるリンス、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥を行った。
尚、本発明におけるマスクブランク用基板10の局所加工方法は、上述した磁気粘弾性流体研磨加工法に限定されるものではない。ガスクラスターイオンビーム(Gas Cluster Ion Beams : GCIB)や局所プラズマを使用した加工方法であってもよい。
その後、局所表面加工処理の仕上げ研磨として、表面粗さ改善を目的として、コロイダルシリカ砥粒を用いた両面タッチ研磨を行った後、触媒基準エッチング法(CARE:Catalyst Referred Etching)による表面加工を行った。このCAREは、以下の加工条件で行った。
加工液:純水
触媒:白金
基板回転数:10.3回転/分
触媒定盤回転数:10回転/分
加工時間:50分
加工圧:250hPa
その後、ガラス基板の端面をスクラブ洗浄した後、当該基板を王水(温度約65℃)が入った洗浄槽に約10分間浸漬させ、その後、純水によるリンス、乾燥を行った。尚、王水による洗浄は、ガラス基板の表裏面に触媒である白金の残留物がなくなるまで、複数回行った。
上述のようにして得られたEUV露光用のマスクブランク用基板10の主表面において、転写パターン形成領域(132mm×132mm)の任意の箇所の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定したところ、二乗平均平方根粗さ(Rms)は0.040nm、表面粗さの最大高さ(Rmax)は0.40nmであった。
また、得られたガラス基板表面の転写パターン形成領域(132mm×132mm)における表面欠陥(凸欠陥、凹欠陥)の有無を、欠陥検査装置(レーザーテック社製 MAGICS M-1350)により測定したところ、欠陥サイズ100nm以上の欠陥は0個であった。
次に、上記下地層上に、実施例1及び2並びに比較例1の多層反射膜21として、露光波長13〜14nmの領域の反射膜として適したMoとSiとからなる交互積層膜を形成した。成膜はイオンビームスパッタリング装置を用いて行った。表1に、実施例1及び2並びに比較例1の多層反射膜21の成膜条件を示す。
(実施例1)
表1に示すように、実施例1では、第1の部分成膜工程により、MoとSiとからなる交互積層膜を20周期成膜した。実施例1の第1の部分成膜工程の際、ターゲット50からの飛散粒子が基板に向かって垂直方向に対して30度のほぼ垂直方向から入射するように、装置内の基板角度を調整して成膜した(直入射成膜)。まず、ターゲット50としてSiターゲットを用いて、Si膜を4.2nm成膜し、その後、ターゲット50としてMoターゲットを用いて、Mo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として20周期積層した。
次に、欠陥検査装置(レーザーテック社製 MAGICS M-1350)により欠陥を測定した。欠陥サイズ100nm以上の欠陥数が0であるものだけを選択して、次の第2の部分成膜工程を行った。
表1に示すように、実施例1では、第2の部分成膜工程により、MoとSiとからなる交互積層膜を20周期成膜した。第2の部分成膜工程での成膜方法は、MoとSiとからなる交互積層膜を、斜入射成膜により成膜した以外は、第1の部分成膜工程と同様に成膜した。実施例1の第2の部分成膜工程では、ターゲット50からの飛散粒子が基板に向かって垂直方向に対して60度斜め方向から入射するように、装置内の基板角度を調整して成膜した(斜入射成膜)。
実施例1では、第2の部分成膜工程の後、最後にSi膜を11nm成膜した。合計膜厚は、291nmである。以上のようにして、実施例1の多層反射膜付き基板20を製造した。
次に、欠陥検査装置(レーザーテック社製 MAGICS M-1350)により欠陥を測定した。実施例1において、第2の部分成膜工程の後の、欠陥サイズ100nm以上の欠陥数が0個である収率は30%であった。尚、この収率は、第2の部分成膜工程を行った試料数(50枚)に対する、欠陥サイズ100nm以上の欠陥数が0個である試料数の割合である。他の実施例においても同様である。
以上のようにして得られた多層反射膜付き基板20の多層反射膜21に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、中心波長は13.54nmでピーク反射率は、65%と高い反射率であった。
(実施例2)
実施例2では、第2の部分成膜工程を直入射成膜した以外は実施例1と同様にして、多層反射膜付き基板20を製造した。表1に、実施例2の成膜条件を示す。実施例2において、第2の部分成膜工程の後の、欠陥サイズ100nm以上の欠陥数が0個である収率は25%であった。
以上のようにして得られた多層反射膜付き基板20の多層反射膜21に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、中心波長は13.54nmでピーク反射率は、65%と高い反射率であった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の第1の部分成膜工程と同様の条件で、Mo及びSiの成膜を40周期行うことにより、MoとSiとからなる交互積層膜を成膜した。したがって、比較例1では、第2の部分成膜工程は行わなかった。比較例1の成膜条件、多層反射膜21の成膜の後の、欠陥サイズ100nm以上の欠陥数が0個である収率は6%であった。
このように、実施例1及び2では、第1の部分成膜工程の後、所定の欠陥がゼロ個であるもののみを選択して第2の部分成膜工程を行ったので、無駄な第2の部分成膜工程を行うことを避けることができた。また、実施例1及び2では、第1及び第2の部分成膜工程がそれぞれ20周期だったので、比較例1の40周期の成膜の場合と比べて、所定の欠陥がゼロ個である収率を高めることができた。また、実施例1及び2では、比較例1と比べて、投入試料数に対する、多層反射膜21の成膜後の所定の欠陥がゼロ個である収率も、向上することができた。
<反射型マスクブランク30の作製>
実施例1及び2、並びに比較例1の多層反射膜21上に、イオンビームスパッタリングによりRu保護膜22(膜厚2.5nm)を成膜して多層反射膜付き基板20とした。イオンビームスパッタリング法によるRu保護膜22の成膜の際、基板の主表面の法線に対するRuスパッタ粒子の入射角度は40度、イオンソースのガス流量は8sccmとした。
次に、上述した多層反射膜付き基板20の保護膜22表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、吸収体膜24を成膜した。実施例1及び2、並びに比較例1の場合には、表2に示すように、吸収層であるTaBN膜及び低反射層であるTaBO膜の二層からなる積層膜を吸収体膜24とした。
実施例1及び2、並びに比較例1の吸収体膜24(吸収層であるTaBN膜及び低反射層であるTaBO膜の二層からなる積層膜)の成膜方法は、次のとおりである。すなわち、上述した多層反射膜付き基板20の保護膜22表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、吸収層としてTaBN膜を成膜した。このTaBN膜は、TaB混合焼結ターゲット(Ta:B=80:20、原子比)に多層反射膜付き基板20を対向させ、Arガス及びNガスの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行った。表2に、実施例1及び2、並びに比較例1のTaBN膜を成膜する際のArガス及びNガスの流量等の成膜条件を示す。成膜後、X線光電子分光法(XPS法)により、TaBN膜の元素組成を測定した。表2に、XPS法により測定した実施例1及び2、並びに比較例1のTaBN膜の元素組成を、TaBN膜の膜厚と共に示す。尚、上記TaBN膜の結晶構造をX線回折装置(XRD)により測定したところ、アモルファス構造であった。
実施例1及び2、並びに比較例1では、次に、TaBN膜の上に更に、Ta、B及びOを含むTaBO膜(低反射層)を、DCマグネトロンスパッタリング法によって形成した。このTaBO膜は、第1膜のTaBN膜と同様に、TaB混合焼結ターゲット(Ta:B=80:20、原子比)に多層反射膜付き基板20を対向させ、Ar及びOの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行った。表2に、実施例1及び2、並びに比較例1のTaBO膜を成膜する際のArガス及びOガスの流量等の成膜条件を示す。成膜後、X線光電子分光法(XPS法)により、TaBO膜の元素組成を測定した。表2に、XPS法により測定した実施例1及び2、並びに比較例1のTaBO膜の元素組成を、TaBO膜の膜厚と共に示す。尚、上記TaBO膜の結晶構造をX線回折装置(XRD)により測定したところ、アモルファス構造であった。以上のようにして、実施例1及び2、並びに比較例1の吸収体膜24(積層膜)を成膜した。
尚、実施例1及び2並びに比較例1に用いる多層反射膜付き基板20の保護膜22及び多層反射膜21に対して、転写パターン形成領域(132mm×132mm)の外側4箇所に、上記欠陥の位置を座標管理するための基準マークを集束イオンビームにより形成した。
裏面導電膜23は、次のように形成した。すなわち、実施例1及び2、並びに比較例1の多層反射膜付き基板20の多層反射膜21を形成していない裏面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、裏面導電膜23を形成した。当該裏面導電膜23は、Crターゲットを多層反射膜付き基板20の裏面に対向させ、Ar及びNの混合ガス(Ar:N=90%:10%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行った。ラザフォード後方散乱分析法により裏面導電膜23の元素組成を測定したところ、Cr:90原子%、N:10原子%であった。また、裏面導電膜23の膜厚は20nmであった。以上のようにして、実施例1及び2、並びに比較例1の反射型マスクブランク30を製造した。
<反射型マスク40の作製>
実施例1及び2、並びに比較例1の反射型マスクブランク30の吸収体膜24の表面に、スピンコート法によりレジストを塗布し、加熱及び冷却工程を経て、膜厚150nmのレジスト膜25を成膜した。次いで、所望のパターンの描画及び現像工程を経て、レジストパターン形成した。当該レジストパターンをマスクにして、所定のドライエッチングにより、吸収体膜24のパターニングを行い、保護膜22上に吸収体パターン27を形成した。尚、吸収体膜24がTaBN膜である場合には、Cl及びHeの混合ガスによりドライエッチングすることができる。また、吸収体膜24がTaBN膜及びTaBO膜の二層からなる積層膜である場合には、塩素(Cl)及び酸素(O)の混合ガス(塩素(Cl)及び酸素(O)の混合比(流量比)は8:2)によりドライエッチングすることができる。
その後、レジスト膜25を除去し、上記と同様の薬液洗浄を行い、実施例1及び2、並びに比較例1の反射型マスク40を作製した。尚、上述の描画工程においては、上記基準マークを元に作成された欠陥データに基づいて、欠陥データと被転写パターン(回路パターン)データとを元に、致命欠陥が存在している箇所に吸収体パターン27が配置されるように描画データを補正して、反射型マスク40を作製した。得られた実施例1及び2並びに比較例1の反射型マスク40について、高感度欠陥検査装置(KLA−Tencor社製「Teron610」)を使用して欠陥検査を行った。
高感度欠陥検査装置による測定では、実施例1及び2の反射型マスク40の場合には、欠陥は確認されなかった。
<半導体装置の製造方法>
上述の実施例1及び2、並びに比較例1の反射型マスク40を使用し、露光装置を使用して、半導体基板である被転写体上のレジスト膜にパターン転写を行い、その後、配線層をパターニングして、半導体装置を作製すると、パターン欠陥のない半導体装置を作製することができる。
尚、上述の多層反射膜付き基板20、反射型マスクブランク30の作製において、マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面に、多層反射膜21及び保護膜22を成膜した後、上記主表面とは反対側の裏面に裏面導電膜23を形成したがこれに限らない。マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面とは反対側の主表面に裏面導電膜23を形成した後、転写パターンが形成される側の主表面に、多層反射膜21や、更に保護膜22を成膜して多層反射膜付き基板20、更に保護膜22上に吸収体膜24を成膜して反射型マスクブランク30を作製しても構わない。
10 マスクブランク用基板
20 多層反射膜付き基板
21 多層反射膜
22 保護膜
23 裏面導電膜
24 吸収体膜
25 エッチングマスク膜
26 マスクブランク用多層膜
27 吸収体パターン
30 反射型マスクブランク
40 反射型マスク
50 ターゲット
51 基板表面に対する垂直方向(S)に対し斜め方向
52 基板表面に対して垂直又は略垂直な方向

Claims (9)

  1. 基板上に、露光光を反射する多層反射膜を有する多層反射膜付き基板の製造方法であって、
    前記多層反射膜の一部を成膜する部分成膜工程と、
    成膜した前記多層反射膜の欠陥検査をする欠陥検査工程と、
    欠陥検査の結果を評価して、所定の欠陥が所定の欠陥数以下である前記多層反射膜付き基板を選択する基板選択工程と
    をこの順で含む多層反射膜一部形成工程を含み、
    前記多層反射膜一部形成工程を、少なくとも2回繰り返すことにより、前記多層反射膜を形成し、
    前記基板選択工程で選択された前記多層反射膜付き基板に対してのみ、次の前記多層反射膜一部形成工程を実施することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
  2. 前記多層反射膜が、少なくとも1種類の単位積層体を含み、
    前記単位積層体が2つ以上の層を含み、2つ以上の層が互いに異なる組成の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  3. 前記部分成膜工程が前記単位積層体を形成することを含み、前記単位積層体を形成することが、Siからなる層を形成すること、及びMoからなる層を形成することを含むことを特徴とする請求項2に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  4. 同一の前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、複数の、1種類の前記単位積層体であることを特徴とする請求項2又は3に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  5. すべての前記部分成膜工程で形成される前記単位積層体が、1種類の前記単位積層体であることを特徴とする請求項2乃至4に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  6. 前記多層反射膜一部形成工程を、2回繰り返すことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  7. 最初の前記多層反射膜一部形成工程の前記部分成膜工程において、前記多層反射膜が、前記基板上に、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直又は垂直から35度以内の方向から入射するようにして前記多層反射膜を成膜する直入射成膜により形成され、
    最後の前記多層反射膜一部形成工程前記部分成膜工程において、前記多層反射膜が、前記基板に向かってターゲットからの飛散粒子が垂直方向に対して50度〜80度の方向から入射するようにして前記多層反射膜を成膜する斜入射成膜により形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法により得られた前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、露光光を吸収する吸収体膜を形成する工程を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
  9. 請求項8に記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られた前記反射型マスクブランクの前記吸収体膜に転写パターンとなる吸収体膜パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108468029A (zh) * 2018-02-12 2018-08-31 中国科学院国家天文台南京天文光学技术研究所 用于碳化硅光学镜面改性与面形提升的磁控溅射扫描方法

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