以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。なお、始動レバー210は解決手段に記載の始動操作部に相当する。また、3個のリール停止ボタン211a,211b,211cは解決手段に記載の複数の停止操作部に相当する。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510,520が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510,520とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510,520がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510,520に対する作業性を著しく向上させることができる。
[画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510,520)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[配線中継基板−コネクタ−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、
(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[コネクタ425,427とコネクタ124,125との結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409、演出制御基板510,520、画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、一例として、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して遊技者に視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。なお、図柄表示窓401は解決手段に記載の図柄表示部に相当する。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄(☆の数が1つのベル図柄)」、「ベル2図柄(☆の数が2つのベル図柄)」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル図柄1」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル図柄2」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
本実施形態のスロットマシン1では、ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組み合わせは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、後述する図53に示すように、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板(主制御基板)409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。リール駆動モータ341a,341b,341cは可動表示体駆動手段に相当する。ステッピングモータによって、各リールは、後述のフリーズ処理の際、所定の図柄数分回転することができる。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510,520を備えている。演出制御基板510は通常チップで構成されているのに対し、演出制御基板520は、例えば、プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵をチップ外にハードウェアとして構成しておくことでチップ内のデータのすい出しができないようにされた所謂セキュリティチップで構成されている。
演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板520にはCPU1138、ROM1140及びRAM1142等が実装されている。演出制御基板510は、メイン基板409から各種の指令信号を受けるとともに、演出制御基板520との間で双方向通信することで、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
上記のように演出制御基板520を所謂セキュリティチップで構成し、ゲーム仕様にかかわるデータを演出制御基板520のROM1140に記憶保持させることで、ゲーム仕様にかかわるデータが解析されたり改竄されたりといった不正を防止することができる。ここでいう不正とは、例えば、ゲーム仕様を解析し、遊技者に有利な出率でゲームが行われるようにプログラムを改竄することだけでなくゲーム仕様にかかわるデータがそっくりそのままコピーされたりすること等も含む。
セキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶されるデータは、ゲーム仕様にかかわるデータの必ずしも全部である必要はなく、ゲーム仕様にかかわるデータの一部であっても、上記の不正を防止することができる。また、演出制御基板510と演出制御基板520とは、別基板であることに限定されるものではなく1枚の基板に実装されていてもよい。さらに、メイン基板409から各種の指令信号を受けるのは、通常のチップで構成された演出制御基板510であることに必ずしも限定されるものではなく、セキュリティチップで構成された演出制御基板520がメイン基板409から各種の指令信号を受けるようにしてもよい。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)のうち少なくともいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がりライン623bと右下がりライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組み合わせ態様について説明する。
[当選役と図柄の組み合わせ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組み合わせについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。本実施形態のスロットマシン1では、詳細は後述するが、役の成立にかかわる内部抽選として、1回のゲーム内において本抽選及び擬似抽選の両方を実行可能に構成されている。図49は、スロットマシン1の本抽選における各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図50は、本抽選における各当選役(本明細書において「当選役」は図49及び図50の「略称」を指す)と、これら各当選役に対応して成立する本条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図51〜53は、各本条件装置に対応する図柄の組み合わせ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。各当選役についての当選確率は、図49に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、図49に示されるように、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた本条件装置が作動し、作動した本条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の本条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の本条件装置を成立させる必要がある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組み合わせ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組み合わせについて、図49に示される「RB1+スイカ」、「スイカ」、「AT(「AT2−1」〜「AT5−4」)」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+スイカ」は、RB1とスイカ(小物22)とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びスイカ(小物22)の両方に対応する本条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組み合わせ及びスイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図51〜53においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組み合わせについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT2−1」〜「AT5−4」(この明細書において「AT2−1」〜「AT5−4」は、「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」、「AT2−4」、「AT3−1」、「AT3−2」、「AT3−3」、「AT3−4」、「AT4−1」、「AT4−2」、「AT4−3」、「AT4−4」、「AT5−1」、「AT5−2」、「AT5−3」、「AT5−4」のAT専用役の全てを意味する)は、いずれも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」及び「AT2−4」についての適正な押し順は、「中→左→右」である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している本条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」又は「AT2−4」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として例えば2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
すなわち、抽選の結果が「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」又は「AT2−4」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベルの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、押し順が不適正であったとしても適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。また、押し順だけでなくタイミングについても不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときと「AT2−2」又は「AT2−4」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−2」又は「AT2−4」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−2」又は「AT2−4」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3−1」、「AT3−2」、「AT3−3」及び「AT3−4」についての適正な押し順は「中→右→左」であり、「AT4−1」、「AT4−2」、「AT4−3」及び「AT4−4」についての適正な押し順は「右→左→中」であり、「AT5−1」、「AT5−2」、「AT5−3」及び「AT5−4」についての適正な押し順は「右→中→左」である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、押し順が不適正であったとしても適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。また、押し順だけでなくタイミングについても不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3−1」、「AT3−3」、「AT4−1」、「AT4−3」、「AT5−1」及び「AT5−3」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT3−2」、「AT3−4」、「AT4−2」、「AT4−4」、「AT5−2」及び「AT5−4」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3−1」、「AT3−3」、「AT4−1」、「AT4−3」、「AT5−1」及び「AT5−3」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT3−2」、「AT3−4」、「AT4−2」、「AT4−4」、「AT5−2」及び「AT5−4」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。
「SB1」〜「SB3」は、いずれも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちのいずれかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」のいずれかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する本条件装置が作動し、この作動した本条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する本条件装置が作動し、この作動した本条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する本条件装置が作動し、この作動した本条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、いずれも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図50に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、いずれも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。
[ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これらいずれかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図50に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がりライン523b及び右下がりライン623aのうち少なくともいずれかの有効ラインに、作動した本条件装置に対応する図柄組み合わせ(図50に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がりライン523b及び右下がりライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図49に示されるSB中に制御される。
[リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図49では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図49では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
[チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT2−1」〜「AT5−4」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した本条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、上述したとおり、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。なお、AT専用役である「AT2−1」〜「AT5−4」は、いずれも、順押しでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることがないようになっている。
[ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した本条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図49の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図50に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、いずれも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した本条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。
[上乗せ抽選]
本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲーム中における抽選の結果がチェリー役(チェリー1、チェリー2)、ボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)、スイカ役及びチャンス目のうちいずれかである場合には、演出制御基板520側の処理として、ARTゲームの上乗せ抽選が行われる。チェリー役(チェリー1、チェリー2)、ボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)、スイカ役及びチャンス目といった、ARTゲームの上乗せ抽選の契機となる役は、一般的に「レア小役」と呼ばれる。ARTゲームの実行抽選やARTゲームの上乗せ抽選の詳細については後述する。なお、通常状態(一般状態、通常RTにおける抽選の結果がレア小役である場合には、ARTゲーム付与抽選が行われる。このARTゲーム付与抽選は、上記のレア小役のうちのいずれかである場合の他、抽選結果がSB1〜SB3のうちいずれかの場合にも行われる。
なお、ARTゲームは、メイン基板409側の処理であるチャンスRTの制御と、演出制御基板510側の処理であるATの制御(押し順ナビ)との両方が行われるゲームである。そして、押し順ナビに従ってリール301a,301b,301cの停止操作が行われる限り、各ARTゲームの終了条件が成立するまでARTゲームが継続する。押し順ナビに背いてリール301a,301b,301cの停止操作が行われると、ベルこぼ目が有効ライン上に出現する可能性があり、ベルこぼ目が出現すると、メイン基板409によるチャンスRTの制御が終了する。各ARTゲームの終了条件が成立すると、演出制御基板510側の処理によるATの制御が終了し、ベルこぼ目を回避することが困難となるので、ベルこぼ目の出現によりメイン基板409側の処理であるチャンスRTの制御も終了する(通常RTに移行する)。なお、押し順ナビに背いてリール301a,301b,301cの停止操作が行われた結果としてメイン基板409によるチャンスRTの制御が終了したとしても、演出制御基板510側の処理であるATの制御が終了しない限り再びチャンスRTに制御されて、ARTゲームが継続される。したがって、「ARTゲームの上乗せ」は、厳密にいえば「ATゲームの上乗せ」のことであるが、以下、この明細書において、便宜上、「ARTゲームの上乗せ」や「ARTの上乗せ」と称する場合がある。また同様に、「ARTゲームの終了条件」は、厳密にいえば「ATゲームの終了条件」のことであるが、以下、この明細書において、便宜上、「ARTゲームの終了条件」や「ARTの終了条件」と称する場合がある。
ところで、上述した通り、SB1〜SB3である場合にはARTゲームの上乗せ抽選が行われるので、とくに内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲームの上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT1に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲームの上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[ハズレ]
図51〜53に示された図柄の組み合わせのいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[本抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、本抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する本条件装置を作動させて、この作動した本条件装置の情報は、本抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、本抽選において乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、本抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の本条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が本抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、RB2に対応する乱数値の総個数を抽出範囲内の乱数値の総個数で割ると、その値は2/60000となり、RB2の当選確率を1/30000と算出できる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、本抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、本抽選にて抽出された抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図55のステップS107参照)にて、図50に示されるように、SB1に対応する本条件装置及び通常リプレイに対応する本条件装置を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行されると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図49を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、リール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[遊技状態の遷移]
図54は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS11)、ボーナスゲームが終了すると(ステップS12におけるYES)、一般状態に移行される(ステップS13)。この一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
ステップS11においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS11におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS14)。すなわち、本抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、本抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。そして、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS15におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS16)、ボーナスゲームが実行される。
ステップS14においてボーナス内部中でないと判断されると(ステップS14におけるNO)、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS17)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行され、このSBゲームが終了すると(ステップS18におけるYES)、元の遊技状態すなわちSBゲームが実行される直前の遊技状態に移行する(ステップS19)。
ステップS17においてSB中でないと判断されると(ステップS17におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちのいずれかであるか否か)が判断される(ステップS20)。チャンスRTであるときには(ステップS20におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS21)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS21におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS22)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS21においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS21におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS23)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS23におけるYES)、通常RTに移行する(ステップS24)。なお、ここで図示していないが、本抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、本抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RT及び一般状態においても同様である。
ステップS20においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると(ステップS20におけるNO)、通常RTであるか否かが判断される(ステップS25)。通常RTであるときには(ステップS25におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS26)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS26におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS27)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS26においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS26におけるNO)、本抽選の結果がARTリプレイであるか否か判断される(ステップS28)。ここで、本抽選の結果がARTリプレイであると判断されると(ステップS28におけるYES)、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS29)。
なお、通常RTにおける本抽選においてARTリプレイに当選したとき(ステップS28におけるYES)は、先ずはチャンスART1に遊技状態が移行する。そして、図54では図示していないが、チャンスART1における本抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図54では図示していないが、チャンスART2における本抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART3に遊技状態が移行する。なお、チャンスART1、チャンスART2及びチャンスART3のうちいずれの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。
ステップS25において通常RTでないと判断されたときには(ステップS25におけるNO)、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS30)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS30におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS31)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS30においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS30におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS32)。この一般状態において「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS32におけるYES)、通常RTに移行される(ステップS33)。
ところで、通常RTでは、一般状態と同様に、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、通常RTは、一般状態と同様に、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における本抽選において、各入賞役が当選する確率は、図49に示されるとおりである。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118や演出制御基板520のCPU1138に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118(又は演出制御基板520のCPU1138)は、この結果情報及びメイン基板409との通信結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される(以下、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときに行われるリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順の明示を「押し順ナビ」と称する)。このように、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときにリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、本ゲーム抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT2−1」〜「AT5−4」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、通常状態(一般状態や通常RT)とチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、いずれも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として本ゲーム抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の200であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、本ゲーム抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける本ゲーム抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、いずれも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件の一つである場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうちいずれが本ゲーム抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が本ゲーム抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が本ゲーム抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、本ゲーム抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、本ゲーム抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、本ゲーム抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、本ゲーム抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、本ゲーム抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件としている。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が本ゲーム抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、いずれか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が本ゲーム抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうちいずれか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、いずれも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、本ゲーム抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、本ゲーム抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また本ゲーム抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける本ゲーム抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図49を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、本ゲーム抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、いずれは、本ゲーム抽選にて「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
なお、スロットマシン1には複数の設定値(設定値1から6までの6段階)を設けている(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では本ゲーム抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4<設定値5<設定値6、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やARTリプレイの本ゲーム抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値6ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図55は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を簡単に示した図である。先ずステップS100では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS200のBET処理では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。したがって、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS300の内部抽選処理では、ステップS200において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理では、後述する本抽選、擬似ゲーム実行抽選、擬似抽選、擬似抽選の前兆ゲーム数抽選、擬似抽選のゲーム内継続抽選、擬似ゲームループ抽選などの処理が行われる。本抽選や擬似抽選にていずれかの役が選び出された場合に限り、回転中のリール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、選び出された役に応じて本条件装置や擬似条件装置が作動し、作動した本条件装置や擬似条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容される。
次にステップS400のリール制御処理では、ステップS300の内部抽選処理の結果に基づいて、全てのリール301a,301b,301cについての回転や停止にかかる制御を実行する。
ステップS500のコマンド送信処理では、内部抽選処理やリール制御処理の結果を、メイン基板409から演出制御基板510(または演出制御基板520)に送信する処理を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの簡単な処理手順である。ただし、本実施形態のスロットマシン1では、詳細は後述するが、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないなかで、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果をメイン基板409側で推測する処理(後述するARTゲームの種別判定処理)を行い、この推測された結果に基づいて、ステップS300の内部抽選処理やステップS400のリール制御処理が行われる。そのため、演出制御基板510による制御を説明した後に、メイン基板409における制御処理の詳細について説明するものとする。
[ARTゲーム開始処理]
ARTゲームは、上述した通り、メイン基板409側の処理であるチャンスRTの制御と、演出制御基板510側の処理であるATの制御(押し順ナビ)との両方が行われるゲームである。そして、押し順ナビに従ってリール301a,301b,301cの停止操作が行われる限り、各ARTゲームの終了条件が成立するまでARTゲームが継続する。押し順ナビに背いてリール301a,301b,301cの停止操作が行われると、ベルこぼ目が有効ライン上に出現する可能性があり、ベルこぼ目が出現すると、メイン基板409によるチャンスRTの制御が終了する。各ARTゲームの終了条件が成立すると、演出制御基板510側の処理によるATの制御が終了し、ベルこぼ目を回避することが困難となるので、ベルこぼ目の出現によりメイン基板409側の処理であるチャンスRTの制御も終了する(通常RTに移行する)。なお、押し順ナビに背いてリール301a,301b,301cの停止操作が行われた結果としてメイン基板409によるチャンスRTの制御が終了したとしても、演出制御基板510側の処理であるATの制御が終了しない限り再びチャンスRTに制御されて、ARTゲームが継続される。したがって、ATの制御が終了するとARTゲームが終了する。
ART付与抽選は、所定の条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態のスロットマシン1では、レア小役に当選すると、ART付与抽選が行われる。すなわち、演出制御基板510は、本抽選の結果がレア小役である旨の情報をメイン基板409から受信すると、かかる情報を演出制御基板520に送信する。演出制御基板520は、本抽選の結果がレア小役である旨の情報を演出制御基板510から受信すると、これに基づいてART付与抽選を行う。ART付与抽選は出率に影響を及ぼす抽選であるため、不正防止の観点から、セキュリティチップで構成された演出制御基板520にて行われることが好ましい。
このART付与抽選に当選すると、演出制御基板520は、遊技者にとって利益度合いが異なる7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかを決定する。本実施形態では、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、プレミアムARTゲームの7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかが決定される。
上記の7種類のARTゲームは、ショートレッドARTゲームが遊技者にとって最も利益度合いが小さいARTゲームであり、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、プレミアムARTゲームの順に、遊技者にとっての利益度合いが多くなっていく。すなわち、プレミアムARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ショートレッドARTゲームの順で、遊技者にとって有利度合いの高いARTゲームであるといえる。
なお、ART付与抽選は、本抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)の単独役であるときのみならず、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)であるときにも行われる。
ところで、上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、本抽選の結果がSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であったとしても、特定条件が成立しない限り、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。したがって、遊技状態がとくにチャンスRT2やチャンスRT3といったハズレがない遊技状態である場合やハズレがあったとしてもその確率が低い遊技状態である場合には、ART付与抽選が行われたのか否かを、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から把握することが困難となっている。ただし、特定条件が成立した場合には、上述したように、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)よりも、再遊技1、再遊技2、SB1、SB2又はSB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御される。これにより、チャンスRT2では、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することは原則的には困難であるものの、特定条件が成立した場合に限り、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能となる。よって、遊技者は、チャンスRT2において、適正な押し順で操作されることを願ってリール停止ボタン211a〜211cを操作することとなり、リール停止ボタン211a〜211cの操作に面白みを持たせることが可能となる。とくに、本抽選の結果が重複役であったとしても、次ゲーム以降にゲーム結果が持ちこされないSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であるから、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能なゲームが1ゲーム限りとなる。
ART付与抽選に当選すると、遊技者にとっての有利度合いが異なる7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかが決定されることについては上述したとおりである。図56は、各ARTゲームの終了条件(詳しくは「演出制御基板510によるAT制御の終了条件」であり、以下同じ)を示すテーブルである。図56を見ると分かるように、ショートレッドARTゲーム及びショートブルーARTゲームは例えば賞として払い出されるメダルが50枚を超えることを終了条件とするARTゲームであり、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームは例えば賞として払い出されるメダルが150枚を超えることを終了条件とするARTゲームであり、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームは例えば賞として払い出されるメダルが300枚を超えることを終了条件とするARTゲームであり、プレミアムARTゲームは例えば賞として払い出されるメダルが26枚を超えることを終了条件とするARTゲームである。
ART付与抽選に1回当選すると、かかる情報が演出制御基板520から演出制御基板510に送信され、演出制御基板510の演出制御により1セットのARTゲームが実行される(詳しくは、メイン基板409によりRTに制御され、演出制御基板510によりATに制御される(押し順ナビが実行される))。そして、ARTゲーム中に、セキュリティチップから構成される演出制御基板520により上乗せ抽選が行われると、このART付与抽選に当選する毎にARTゲームが上乗せされていく。そして、この上乗せされたARTゲームが全て消化されるまで、ARTゲームが継続することとなる。なお、ARTゲームの上乗せは、詳しくは演出制御基板510によるATゲーム(押し順ナビ)の上乗せである。上乗せ抽選の詳細については後述する。以下、ARTゲーム開始処理について、図57を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS51では、ショートレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS52では、賞としてのメダル払い出しが50枚を超えることを、ショートレッドARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS54では、ショートレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときショートレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからショートレッドARTゲームが開始される。
一方、ステップS51の判定が満たされない場合、ステップS56に移り、ショートブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS58では、賞としてのメダル払い出しが50枚を超えることを、ショートレッドARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS60では、ショートブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときショートブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからショートブルーARTゲームが開始される。
ステップS56の判定が満たされない場合、ステップS62に移り、ノーマルレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS64では、賞としてのメダル払い出しが150枚を超えることを、ノーマルレッドARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS66では、ノーマルレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからノーマルレッドARTゲームが開始される。
ステップS62の判定が満たされない場合、ステップS68に移り、ノーマルブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS70では、賞としてのメダル払い出しが150枚を超えることを、ノーマルブルーARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS72では、ノーマルブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからノーマルブルーARTゲームが開始される。
ステップS68の判定が満たされない場合、ステップS74に移り、スーパーレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS76では、賞としてのメダル払い出しが300枚を超えることを、スーパーレッドARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS78では、スーパーレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからスーパーレッドARTゲームが開始される。
ステップS74の判定が満たされない場合、ステップS80に移り、スーパーブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS82では、賞としてのメダル払い出しが300枚を超えることを、スーパーブルーARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS84では、スーパーブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときスーパーブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからスーパーブルーARTゲームが開始される。
ステップS80の判定が満たされない場合、ステップS86に移り、プレミアムARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS88では、賞としてのメダル払い出しが300枚を超えることを、プレミアムARTゲームの終了条件としてセットする。
そして、次のステップS90では、プレミアムARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときプレミアムARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからプレミアムARTゲームが開始される。
また、上記のステップS51、S56、S62、S68、S74、S80及びS86の判定がいずれも満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
[ARTゲーム終了判定処理]
次に、ARTゲーム終了判定処理(詳しくは、演出制御基板510側の処理であるAT制御終了判定処理)について、図58を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS91では、ARTゲーム中フラグ(ショートレッドARTゲーム中フラグ、ショートブルーARTゲーム中フラグ、ノーマルレッドARTゲーム中フラグ、ノーマルブルーARTゲーム中フラグ、スーパーレッドARTゲーム中フラグ、スーパーブルーARTゲーム中フラグ及びプレミアムARTゲーム中フラグのいずれか)がON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
そして、ステップS91の判定が満たされると、次のステップS92では、ARTゲームの終了条件としてセットされた枚数から払い出し枚数を減算して、ステップS93に移る。
ステップS93では、ARTゲームの終了条件としてセットされた枚数のうち未だ払い出されていない枚数(すなわち残払出枚数)が「0」以下であるか否かを判定する。残払出枚数が「0」以下であれば、この判定が満たされ、次のステップS94に移り、ARTゲーム中フラグ(ショートレッドARTゲーム中フラグ、ショートブルーARTゲーム中フラグ、ノーマルレッドARTゲーム中フラグ、ノーマルブルーARTゲーム中フラグ、スーパーレッドARTゲーム中フラグ、スーパーブルーARTゲーム中フラグまたはプレミアムARTゲーム中フラグ)をOFF(=0)にする。これにより、ARTゲーム(より詳しくは演出制御基板510によるATゲーム)が終了する。演出制御基板510によるATゲームが終了すると、押し順ナビが行われないのでベルこぼ目が出現し、メイン制御基盤409による制御により通常状態(詳しくは通常RT)に移行する。
一方、ステップS93の判定が満たされない場合、ステップS94の処理がスキップされて、ARTゲームが次ゲーム以降に継続する。
[演出動作の制御]
本実施形態のスロットマシン1は、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御が実行される。この演出制御基板510(主にCPU1118等)は、メイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて演出制御基板520と双方向の通信を行い、各種演出動作の制御を実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120やROM1140内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、メイン基板409により実行されるBBや演出制御基板510により実行されるARTゲームなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBBやARTゲーム等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、各ARTゲームにおいて実行されたゲーム回数や残りゲーム回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者は各ARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[ARTゲームの種別判定処理]
次に、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないなかで、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果をメイン基板409側で推測する処理(ARTゲームの種別判定処理)を行うことについては上述したが、このARTゲームの種別判定処理について、以下に説明する。
上述した通り、メイン基板409で行われた処理の結果情報(例えば本抽選の結果情報や停止図柄情報)についてはメイン基板409から演出制御基板510に送信されるものの、演出制御基板510や演出制御基板520で行われた処理の結果情報についてはメイン基板409に送信されることがない。そのため、7種類のARTゲームのうち実行すべきARTゲームが演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたとしても、かかる決定がメイン基板409に対しては秘密裏に行われることとなり、メイン基板409は、このままでは、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を把握することができない。そこで、本スロットマシン1では、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信を行うことなく、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別をメイン基板409によって判定することを可能ならしめる処理を行っている。
以下、図59を参照して、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理について説明する。図59は、ARTゲームの種別判定処理に用いられるナビ抽選テーブルの一例を示す図である。このナビ抽選テーブルは、メイン基板409のROM112及びセキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140の両方に記憶されている。なお、メイン基板409もセキュリティチップで構成されている。これにより、ゲーム仕様の解析・改竄といった不正を防止することができる。なお、図59のナビ抽選テーブルは、必ずしもテーブルの全部がセキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶される必要はなく、不正防止の観点からいえば、図59のナビ抽選テーブルのデータの一部(例えばベルカウンタが3であるときのデータのみ)を、セキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶するようにしてもよい。
本抽選の結果は、上述したとおりメイン基板409から演出制御基板510に送信されるが、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が行なわれているときは、本抽選の結果情報だけでなく、ベルカウンタ情報についてもメイン基板409から演出制御基板510に送信される。ベルカウンタは、メイン基板409がARTゲームの種別判定処理を行う際に用いる情報であり、メイン基板409にてARTゲームの種別判定処理が行なわれていない通常時は「FF」にセットされている。そして、メイン基板409にてARTゲームの種別判定処理が開始されると「0」にセットされ、ゲームの進行に応じて「1」〜「4」のいずれかにセットされる。なお、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が行なわれていない場合には、メイン基板409から演出制御基板510にベルカウンタを送信する必要はない。
演出制御基板510は、7種類のARTゲームのうちいずれかのARTゲームを実行する旨が決定されていることを条件に、本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれであるかであるときに、「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれであるかを特定できる情報(以下、単に『「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報』と称する)がメイン基板409から送信されたことに基づいて、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように押し順ナビを実行する。一方、ARTゲームを実行する旨が決定されていない通常中には、本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報がメイン基板409から送信されたとしても、上記の押し順ナビは実行されない。
7種類のARTゲームのうちいずれかのARTゲームを実行する旨が決定されている場合において、演出制御基板510は、メイン基板409からベルカウンタ情報が送信されていなければ、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理がまだ開始されていないと判断する。ただし、演出制御基板510は、7種類のARTゲームのうちいずれのARTゲームを実行する旨が決定されており、且つ本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報がメイン基板409から送信されたにもかかわらずベルカウンタ情報が送信されなかった場合には、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理を開始させるべく、必ず押し順ナビを実行する。一方、メイン基板409からベルカウンタ情報及び本抽選の結果情報の両方が送信された場合には、演出制御基板510は、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていると判断し、本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときに、図59のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。詳しくは、図59に図示された○に該当するときは押し順ナビを実行する旨が決定され、図59に図示された×に該当するときは押し順ナビを実行しない旨が決定される。
図50を参照すると分かるように、本実施形態のスロットマシン1では、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、遊技者が「左→中→右」の順押し又は「左→右→中」のはさみ押しを行う限り、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることがない。したがって、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409により判定されるのは、演出制御基板510により押し順ナビが行われた場合、及び、押し順ナビは行われていないものの遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解した場合に限られる。そこで、メイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨を判定したときは、演出制御基板510により押し順ナビが行われたものとしてARTゲームの種別判定処理を開始し、ベルカウンタを0にセットする。
すなわち、この実施の形態にかかるメイン基板409は、ベルカウンタが「FF」にセットされている(ARTゲームの種別判定処理を開始していない)通常の遊技状況にあるにもかかわらず、本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれかであることに対応した絵柄が揃った場合には、演出制御基板510側にて7種類のARTゲームのいずれかを実行する旨の決定がなされたと推測(押し順ナビが提供されていると推測)し、ベルカウンタを「FF」から「0」に更新することによりARTゲームの種別判定処理を開始させるものとなっている。
ただし、このようなメイン基板409側での制御手法では、演出制御基板510側にて押し順ナビが提供されていないにもかかわらず、本抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれかであるときに遊技者の停止操作態様が偶然合致してしまったような場合であっても、演出制御基板510側にて7種類のARTゲームのいずれかを実行する旨の決定がなされていると推測しかねず、ひいてはベルカウンタを「FF」から「0」に更新してARTゲームの種別判定処理を誤って開始させてしまうこととなる。そこで、この実施の形態にかかるメイン基板409では、ARTゲームの種別判定処理内にてベルカウンタを更新していくなかで、こうした推測にかかる適正性についての診断も行う。そして、この診断の結果、適正性がなかったときには、演出制御基板510側にて7種類のARTゲームのいずれかを実行する旨の決定がなされていないと判断して(上述の推測に誤りがあったと判断して)、ARTゲームの種別判定処理をその中途の段階にて終了(ベルカウンタを「FF」に更新)させる制御を行うこととしている。
以下、ベルカウンタが「FF」から「0」に更新された以降のベルカウンタの更新処理について詳述する。
(ベルカウンタが0である場合)
ベルカウンタが0の場合において、メイン基板409は、次ゲームにおける本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれかであれば、ベルカウンタを1に更新する。本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれでもなければ、ベルカウンタは更新されない(ベルカウンタは0のままである)。そして、メイン基板409は、本抽選の結果及びベルカウンタを演出制御基板510に送信する。
(ベルカウンタが1である場合)
演出制御基板510は、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信すると、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていると判断し、図59のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。ただし上述したとおり、押し順ナビはいずれのARTゲームを実行すべきかを決定していること(ART付与抽選に当選していること)を条件に行われるので、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていたとしても、ART付与抽選に当選していなければ、演出制御基板510は、たとえ本抽選の結果情報及びベルカウンタ情報がメイン基盤409から送信されたとしても、押し順ナビを行うことはない。したがって、遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによってメイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始された場合には、押し順ナビが行われることはない。
押し順ナビは、例えば本抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには実行しない旨が決定され、実行すべきARTゲームがスーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには実行する旨が決定される。
また、本抽選の結果が「AT3−4」でベルカウンタが1である場合において、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定され、実行すべきARTゲームがスーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲーのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図59のナビ抽選テーブルとに基づいて、ベルカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、本抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨が判定されると、メイン基板409は、演出制御基板510により押し順ナビが行われたものとして、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたと判断する。一方、本抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されなかった旨が判定されると、メイン基板409は、演出制御基板510により押し順ナビが行われなかったものとして、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたと判断する。このようにして、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のある7種類のARTゲームのうち、3種類又は4種類に絞ることができる。
(ベルカウンタが2である場合)
演出制御基板510は、ベルカウンタが2である旨の情報及び本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報をメイン基板409から受信した場合、押し順ナビの実行有無を、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであって且つベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合とは反転させて、押し順ナビの実行有無を決定する。すなわち、図59のナビ抽選テーブルを参照すると分かるように、ベルカウンタが2である旨の情報をメイン基板409から受信した場合において、ベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合に押し順ナビを実行していれば押し順ナビを実行しない旨を決定し、ベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合に押し順ナビを実行していなければ押し順ナビを実行する旨を決定する。これにより、ベルカウンタ1である場合とベルカウンタ2である場合とのうちいずれかにおいて、必ず押し順ナビを実行することができる。なお、ベルカウンタ1の場合及び2の場合の両方において小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨が判定された場合には、遊技者は、押し順ナビにしたがって操作していないと判断し、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ベルカウンタを「FF」にセットする。また、ベルカウンタ1の場合及び2の場合のいずれにおいても小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されなかった旨が判定された場合には、遊技者は、押し順ナビにしたがって操作していないか、押し順ナビが行われていない(すなわちART付与抽選に当選していない)と判断し、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ベルカウンタを「FF」にセットする。
このように、ベルカウンタが1である場合と2である場合とのうちいずれかにおいて必ず押し順ナビを実行するようにしているのは、ベルカウンタが1である場合と2である場合とのうち必ずいずれかの場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409によって判定されるようにするためである。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、遊技者が順押しやはさみ押しを行う限り、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409によって判定されることがない。そのため、偶発的にARTゲームの種別判定処理が開始された場合(押し順ナビは行われていないものの遊技者が押し順又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによってARTゲームの種別判定処理が開始された場合)に、図59のナビ抽選テーブルに基づいて押し順ナビを実行しない旨が決定されると、偶発的にARTゲームの種別判定処理が開始されたにもかかわらず、メイン基板409側では、演出制御基板510側にて7種類のARTゲームのいずれかを実行する旨の決定がなされていると推測し、ART種別判定処理が進んでしまい、遊技者に無用な期待感を与えこととなってしまう。この点、ベルカウンタが1である場合と2である場合とで押し順ナビの実行を反転させることによって、メイン基板409は、ARTゲームの種別判定処理が、演出制御基板510により押し順ナビが行われた結果として開始されたのか、押し順ナビは行われていないものの遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによって開始されたのかを検証することが可能となる。このようにして、ベルカウンタが2である場合には、ARTゲームの種別判定処理内にてベルカウンタを更新していくなかで、こうした推測にかかる適正性についての診断が行なわれる。
(ベルカウンタが3である場合)
演出制御基板510は、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが3である旨の情報をメイン基板409から受信すると、図59のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。例えば、本抽選の結果が「AT3−4」でベルカウンタが3である場合において、実行すべきARTゲームがノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定され、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図59のナビ抽選テーブルとに基づいて、ベルカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。そしてさらにメイン基板409は、ベルカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ベルカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のあるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、ベルカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ベルカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに絞られた場合、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のある7種類のARTゲームのうち、ショートレッドARTゲーム又はショートブルーARTゲームの2種類に絞ることができる。
(ベルカウンタが4である場合)
演出制御基板510は、本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが4である旨の情報をメイン基板409から受信すると、図59のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。例えば、本抽選の結果が「AT4−2」でベルカウンタが4である場合において、実行すべきARTゲームがショートブルーARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定され、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、スーパーレッドARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図59のナビ抽選テーブルとに基づいて、ベルカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。そしてさらにメイン基板409は、ベルカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ベルカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ベルカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、ベルカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ベルカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ベルカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びスーパーレッドARTゲームのうちいずれかに絞られた場合、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、ショートレッドARTゲームであると判断することができる。このようにして、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、ショートレッドARTゲームであると判断することができる。メイン基板409は、このようにして演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判断すると、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ベルカウンタを「FF」にセットする。
なお、ARTゲームの種別の絞込み判定は、押し順ナビされた手順でリール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作を行うことによって実行可能となるものである。しかし、押し順ナビに背いて(すなわち押し順ナビされた手順とは異なる手順で)リール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作を行った場合には、演出制御基板510や演出制御基板520により実際に決定されたARTゲームの種別とは異なる種別のARTゲームに決定された旨が判定されることが生じうる。このように、演出制御基板510や演出制御基板520により実際に決定されたARTゲームの種別とは異なる種別のARTゲームに決定された旨がメイン基板409により判定されたとしても、押し順ナビに背いて停止操作されていることから、実際とは異なる種別のARTゲームに決定された旨がメイン基板409により判定されたことを演出制御基板510や演出制御基板520側で把握することができる。そこで、実際とは異なる種別のARTゲームに決定された旨がメイン基板409により判定された場合には、演出制御基板510側の制御として実行される押し順ナビの手法によって、実際に払い出される賞としてのメダル量を演出制御基板510の制御によってコントロールすることが可能となる。
メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判断すると、判断したゲーム(本抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであって且つベルカウンタが4であるゲーム)の次ゲーム以降において、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別に応じた制御を実行する。
[メイン基板による制御]
以下に、図55に示されるステップS300(内部抽選処理)及びステップS400(リール制御処理)についての具体的な処理について説明する。なお、ステップS200のBET処理及びステップS300の内部抽選処理は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。これらの処理(ステップS200及び、ステップS300、ステップS4)はまとめて始動処理と呼ばれる。
[内部抽選処理]
図60は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行されるステップS300の内部抽選処理を具体的に示したものである。
内部抽選処理では、BET処理されていることを前提として始動レバー210が操作されたか否かが判断され(ステップS302)、始動レバー210が操作された旨が判断されると(ステップS302におけるYES)、本抽選が行われる(ステップS304)。本抽選は、上述した通り、図49を参照して行なわれる抽選である。そして、本抽選にていずれかの役に当選すると、図50を参照して、当選役に対応して成立する本条件装置をセットする(ステップS306)。
ステップS306の処理が終了すると、後述する前兆ゲーム数Nが1以上であるか否かが判断される(ステップS308)。ステップS308において前兆ゲーム数Nが1以上であると判断されるのは、前回以前のゲームにおいて擬似ゲーム実行抽選に当選し且つ前兆ゲーム数抽選に当選して未だ擬似ゲームが行われていない場合である。前回のゲームにおいて前兆ゲームが終了し今回のゲームで擬似ゲームが行われる場合にも、後述するステップS406で前兆ゲーム数Nの減算処理が行われるので、ステップS308における判断では前兆ゲーム数Nが1以上である(N=1)と判断される。ステップS308において前兆ゲーム数Nが1以上であると判断されると(ステップS308におけるYES)、内部抽選処理が終了する。
一方、後述するステップS4154の擬似ゲームループ抽選に当選した場合、及び、未だ擬似ゲームを実行する旨が決定されていない通常の場合には、ステップS308において前兆ゲーム数Nが1以上でないすなわち0である(ステップS308におけるNO)と判断される。
ステップS308において前兆ゲーム数Nが1以上でない(ステップS308におけるNO)と判断されると、擬似ゲームフラグがオフであるか否かが判断される(ステップS310)。後述するステップS4154の擬似ゲームループ抽選に当選した場合には、擬似ゲームフラグがオンであると判断され(ステップS310においてNOと判断され)、ステップS322に進む。未だ擬似ゲームを実行する旨が決定されていない通常の場合には、擬似ゲームフラグがオフである(ステップS310においてYES)と判断され、ステップS312の擬似ゲーム実行抽選が行われる。
ステップS312で行われる擬似ゲーム実行抽選は、図61の擬似ゲーム実行抽選テーブルを参照して行われる。すなわち、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないにもかかわらず、上述したARTゲームの種別判定処理を行なうことによって、メイン基板409側にて、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果に基づいて擬似ゲーム実行抽選を行うことが可能となる。
そして、ステップS314では、擬似ゲーム実行抽選に当選したか否かが判断され、擬似ゲーム実行抽選に当選した場合には、擬似ゲームを実行する旨が決定されて擬似ゲームフラグがオンされる(ステップS316)。擬似ゲーム実行抽選に落選した場合には(ステップS314におけるNO)、擬似抽選などの処理が実行されず、内部抽選処理を終了する。
ステップS316において擬似ゲームフラグがオンされると、図62の前兆ゲーム数抽選テーブルを参照して、前兆ゲーム数抽選が行われる(ステップS318)。前兆ゲーム数とは、擬似ゲームを実行する旨が決定されてから擬似ゲームが開始されるまでに要するゲーム数である。擬似ゲームが開始されるまでの前兆ゲームでは、演出制御基板510や演出制御基板520にて、擬似ゲームが実行される期待感を遊技者に与える演出が実行される。
ステップS320では、前兆ゲーム数抽選の結果を、前兆ゲーム数Nとしてセットする(ステップS320)。この実施形態では、前兆ゲーム数抽選が行われた結果、前兆ゲーム数Nが1〜3のいずれかに決定された場合には当選とし、前兆ゲーム数Nが0に決定された場合には落選(ハズレ)として扱っている。このようなステップS318の前兆ゲーム数抽選についても、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないにもかかわらず、上述したARTゲームの種別判定処理を行なうことによって、メイン基板409側にて、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果に基づいて行うことが可能となる。
ステップS322では、図63の擬似抽選テーブルを参照して擬似抽選が行われる。この擬似抽選についても、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないにもかかわらず、上述したARTゲームの種別判定処理を行なうことによって、メイン基板409側にて、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果に基づいて行うことが可能となる。
ステップS322の擬似抽選が行われると、図64を参照して、当選擬似役に対応して成立する擬似条件装置をセットする(ステップS324)。図64は、擬似ゲームにおける各当選擬似役と、これら各当選擬似役に対応して成立する擬似条件装置を示すテーブルである。
[リール制御処理]
図65は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行されるステップS400のリール制御処理を具体的に示したものである。
リール制御処理では、先ず、擬似ゲームフラグがオンであるか否かが判断される(ステップS402)。擬似ゲームフラグがオンであれば(ステップS402におけるYES)、前兆ゲーム数Nが1以上であるか否かが判断される(ステップS404)。そして、前兆ゲーム数Nが1以上であるときには(ステップS404におけるYES)、前兆ゲーム数Nから1ゲームの減算処理を行ない(ステップS406)、前兆ゲーム数Nが0であるか否かが判断される(ステップS408)。ステップS408において前兆ゲーム数Nが0であると判断されると(ステップS408におけるYES)、前兆ゲームが終了したと判断されて、今回のゲームでフリーズ処理を行なう(ステップS410)。フリーズ処理とは、擬似ゲームの実行を可能ならしめる内部的な処理であって、例えばフリーズフラグをオンにする処理が相当する。ステップS404において前兆ゲーム数Nが1以上でないと判断されたときには(ステップS404におけるNO)、ステップS406及びステップS408の処理をスキップしてステップS410のフリーズ処理が行なわれる。なお、ステップS318における前兆ゲーム数抽選において前兆ゲーム数Nが0に決定された場合(前兆ゲーム数抽選の結果がハズレの場合)や、後述するステップS4154の擬似ゲームループ抽選に当選した場合に、ステップS404において前兆ゲーム数Nが1以上でないと判断される。ステップS410のフリーズ処理が行なわれると、ステップS412の擬似ゲーム処理が行われる。そして、擬似ゲーム処理が終了すると、ステップS414に進み、本ゲーム処理が行われる。なお、ステップS402において擬似ゲームフラグがオフである場合には(ステップS402におけるNO)、今回のゲームにおいて擬似ゲームが行われないので、ステップS404〜ステップS412の処理がスキップされて、ステップS414の本ゲーム処理に進む。
[擬似ゲーム処理]
図66は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行されるステップS412の擬似ゲーム処理を具体的に示したものである。
ステップS412の擬似ゲーム処理は、ステップS410のフリーズ処理がなされていることを前提として行われる処理であり、始動レバー210の操作に基づくステップS304の本抽選及びステップS318の擬似抽選がすでに行われ且つ1ゲームが未だ終了していないもとで開始される。
擬似ゲーム処理では、先ず、擬似ゲーム図柄判定処理の結果コマンドがリセットされる(ステップS4122)。次いで、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始される(ステップS4124)。なお、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似ゲームと本ゲームとを遊技者が区別し難くなるように、リール301a,301b,301cの回転が開始されてから一定時間経過したときに一定速度での回転状態となることや、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効化されるときの発光態様などは、擬似ゲーム処理と本ゲーム処理とで同じ処理がなされるようになっている。
ステップS4124において全てのリール301a,301b,301cの回転が開始されると、リール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作が有効化される有効時間がセットされる(ステップS4126)とともに、リール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作が有効化される(ステップS4128)。そして、ステップS4126における処理でセットされた有効時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cが停止操作されたか否かが判断される(ステップS4130)。有効時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cが停止操作された旨が判断されたときには(ステップS4130におけるYES)、ステップS4134に進み、擬似ゲームリール揺れ処理が行われる(ステップS4134)。一方、ステップS4130において有効時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cが停止操作されなかった旨が判断されたときには(ステップS4130におけるNO)、ステップS4126における処理でセットされた有効時間が経過したか否かが判断される(ステップS4132)。ここで有効時間が経過していなければステップS4130に戻り、有効時間が経過していればステップS4134に進んで擬似ゲームリール揺れ処理が行われる(ステップS4134)。すなわち、有効時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cが停止操作されなかった場合には、リール301a,301b,301cが自動停止されることとなる。擬似ゲームリール揺れ処理についての詳細は後述する。
ステップS4134の擬似ゲームリール揺れ処理が行われた結果として全てのリール301a,301b,301cについて揺れ処理が行われると、ステップS4126でセットされた停止ボタン有効時間がリセットされる(ステップS4136)。そして、ステップS4138に進み、擬似ゲーム図柄判定処理が行なわれる(ステップS4138)。この擬似ゲーム図柄判定処理は、擬似ゲーム処理において有効ラインに表示された図柄の組合せを判定する処理である。そして、ステップS4138における擬似ゲーム図柄判定処理の結果情報が演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットされるとともに(ステップS4140)、擬似条件装置がリセットされる(ステップS4142)。
なお、ステップS4140では、擬似ゲーム図柄判定処理の結果情報を演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットしたが、これに代えて、ステップS322や後述するステップS4150において行われる擬似抽選の結果、すなわちステップS324や後述するステップS4152においてセットされた擬似条件装置情報を演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットするようにしてもよい。
ステップS4144では、ゲーム内継続抽選が行われる。このゲーム内継続抽選は、次ゲームに進むことなく(すなわちメダルの投入を行うことなく)、今回のゲーム内で本ゲームに移行する前に再び擬似ゲームを行うか否かを抽選するものであり、図67のゲーム内継続抽選/擬似ゲームループ抽選のテーブルに基づいて行われる。なお、ステップS4144のゲーム内継続抽選についても、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行なわれないにもかかわらず、上述したARTゲームの種別判定処理を行なうことによって、メイン基板409側にて、演出制御基板510や演出制御基板520にて決定された結果に基づいて行うことが可能となる。
ステップS4146では、ステップS4144で行われたゲーム内継続抽選に当選したか否かが判断される。ゲーム内継続抽選に当選した旨が判断されると(ステップS4146におけるYES)、始動レバー210が操作されたか否かが判断される始動レバー操作待ち状態となる(ステップS4148)。ステップS4148において始動レバー210が操作された旨が判断されると(ステップS4148におけるYES)、ステップS322の処理と同様の処理、すなわち、図63の擬似抽選テーブルを参照して擬似抽選が行われる(ステップS4150)。そして、ステップS4150における擬似抽選に当選すると、ステップS324の処理と同様に、図64を参照して、当選擬似役に対応して成立する擬似条件装置をセットし(ステップS4152)、ステップS4124に戻って、メダルを投入することなく1ゲーム内で再び擬似ゲームが繰り返される。
なお、上述したステップS4150の擬似抽選では、ステップS322の処理と同様の処理(すなわち図63の擬似抽選テーブルを参照して擬似抽選)を行うようにしているが、これに代えて、1ゲーム内において行われる擬似ゲームの回数が多くなればなるほど(すなわちゲーム内継続抽選に当選する回数が多くなるほど)、遊技者にとっての有利度合いが高められるようにしてもよい。遊技者にとっての有利度合いが高められるとは、例えば、演出制御基板520側で行われる上乗せ抽選において平均上乗せ数の期待値が最も高い当選擬似役(ロゴ)に当選する確率が高められることや、上乗せ抽選に当選する確率が最も高い当選擬似役に当選する確率が高められること等が例示される。このように、1ゲーム内において擬似ゲームが継続すればするほど遊技者にとっての有利度合いが高められる傾向(内部抽選確率が次第に高くなっていく傾向)を持たせるようにすることで、本ゲームと擬似ゲームとの認識をし難くなっている構成と相まって、擬似ゲーム終了後に再びリール301a,301b,301cの回転が開始されて停止ゲームが行われるときに上述の揺れ変動が現れるか(擬似ゲームが再び行われているのか)否かという緊張感が高められるといった斬新なスロットマシンを提供することが可能となる。
ステップS4146においてゲーム内継続抽選に落選した旨が判断されると(ステップS4146におけるNO)、図67のゲーム内継続抽選/擬似ゲームループ抽選のテーブルを参照して、擬似ゲームループ抽選が行われる(ステップS4154)。この擬似ゲームループ抽選は、1ゲーム内における擬似ゲームは終了したものの、メダルを投入して行われる次ゲームにおいて擬似ゲームを継続して行うか否かを決定する抽選である。
ステップS4156では、ステップS4154において行われた擬似ゲームループ抽選に当選したか否かが判断される(ステップS4156)。この擬似ゲームループ抽選に落選した旨が判断されると(ステップS4156におけるNO)、擬似ゲームフラグがオフにされて(ステップS4158)、始動レバー210が操作されたか否かが判断される始動レバー操作待ち状態となる(ステップS4160)。一方、ステップS4156において擬似ゲームループ抽選に当選した旨が判断されると(ステップS4156におけるYES)、ステップS4158の処理をスキップし、ステップS4160に進む。すなわち、ステップS4156において擬似ゲームループ抽選に当選した旨が判断されたときには(ステップS4156におけるYES)、擬似ゲームフラグのオン状態が維持された状態でステップS4160に進むこととなる。そして、ステップS4160において始動レバー210が操作された旨が判断されると(ステップS4160におけるYES)、フリーズ解除し(ステップS4162)、擬似ゲーム処理を終了する。
[擬似ゲームリール揺れ処理]
ここで、ステップS4134の擬似ゲーム揺れ処理について、図68を参照しつつ説明する。図68は、メイン基板409により実行される擬似ゲームリール揺れ処理を示すフローチャートである。なお、この図68では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。
擬似ゲームリール揺れ処理では、まずステップS4200で、今回のゲームにおける擬似抽選(ステップS322参照)の結果に対応して作動した擬似条件装置にしたがって擬似ゲームリール停止制御テーブルを選択する。この擬似ゲームリール停止制御テーブルは予め全ての擬似条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS4200にて成立している擬似条件装置に基づいて擬似ゲームリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS4202,4220,S4236)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止して揺れ処理されているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS4218の判定が満たされず、ステップS4202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 左リール→中リール→右リール 〕、あるいは、〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「順押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「はさみ押し」とも呼ぶ場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 右リール→中リール→左リール 〕、あるいは、〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「逆押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「逆はさみ押し」とも呼ぶ場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 中リール→左リール→右リール 〕、あるいは、〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「中押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「中逆押し」と呼ぶ場合もある。
ステップS4202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS4200で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS4202の判定が満たされ、ステップS4204に移る。
ステップS4204では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS4204の判定は満たされ、次のステップS4206に移る。
次のステップS4206では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している擬似条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて当選擬似役に対応する当選擬似役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS4210では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選擬似役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選擬似役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS4212では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS4214に移る。
ステップS4214では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS4216に移る。
ステップS4216では、一旦停止された左リール301aを、正方向と逆方向とに微小範囲で往復回転あるいは振動させる左リール揺れ処理を行う。なお、左リール301aは、回転状態から一旦停止され、その後すぐに揺れ処理が行われる。
そして、ステップS4218では、全てのリール301a,301b,301cが揺れ処理状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなって揺れ処理が行われただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS4202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS4202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは揺れ処理状態となっているのでステップS4202の判定は満たされず、ステップS4220に移る。
ステップS4220では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS4220の判定が満たされ、次のステップS4222に移る。
ステップS4222では、上記のステップS4204と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS4226に移る。
ステップS4226では、中リール停止処理として、作動している擬似条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS4210で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選擬似役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS4224,S4448,S4230は全て迂回され、ステップS4232に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS4234に移る。
ステップS4234では、一旦停止された中リール301bを、正方向と逆方向とに微小範囲で往復回転あるいは振動させる中リール揺れ処理を行う。なお、中リール301bは、回転状態から一旦停止され、その後すぐに揺れ処理が行われる。このとき、左リール301aの揺れと同期される。
そして、再度ステップS4218では、左リール301a及び中リール301bが揺れ処理状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で揺れ処理状態となっていないので、この判定が満たされず、ステップS4202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS4202以降の処理では、先ずステップS4236で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS4238,S4242等の処理は、上記のステップS4220以降の処理(ステップS4222,S4226)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS4248にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS4250に移る。
ステップS4250では、一旦停止された右リール301cを、正方向と逆方向とに微小範囲で往復回転あるいは振動させる右リール揺れ処理を行う。なお、右リール301bは、回転状態から一旦停止され、その後すぐに揺れ処理が行われる。このとき、右リール301a及び中リール301bの揺れと同期される。
最後にステップS4218では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが揺れ処理状態となっていることから、この判定が満たされ、擬似ゲームリール揺れ処理が終了する。
「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが揺れ処理状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選擬似役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選擬似役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS4244の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選擬似役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
なお、「順押し」及び「中押し」の停止操作手順の場合におけるリール停止制御についても、「逆押し」の停止操作手順の場合と同様に、第1リールのみが停止した段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。こうすることで、「順押し」、「はさみ押し」、「逆押し」、「逆はさみ押し」、「中押し」及び「中逆押し」の6通りのリール停止制御を実現することができる。なお、擬似ゲームでは、リール停止制御されて、一旦は500msec以内の時間で停止されたのちにリール揺れ処理が行われる。
[本ゲーム処理]
図69は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行されるステップS414の本ゲーム処理を具体的に示したものである。
ステップS414の本ゲーム処理は、始動レバー210の操作(ステップS302におけるYES)、この始動レバー210の操作に基づくステップS304の本抽選及びステップS322の擬似抽選がすでに行われ且つ1ゲームが未だ終了していないもとで開始される。なお、1ゲームは、本ゲームが行われない限り終了せず、本ゲームの終了をもって1ゲームの終了となる。
本ゲーム処理では、先ず、本ゲーム図柄判定処理の結果コマンドをリセットする(ステップS4302)。次いで、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始される(ステップS4304)。本ゲーム処理におけるリール301a,301b,301cの回転は、上述した通り、本ゲーム処理と擬似ゲーム処理とを遊技者が区別し難いように、擬似ゲーム処理におけるリール301a,301b,301cの回転と同様に、回転が開始されてから一定時間経過すると一定速度で回転する。
ステップS4304において全てのリール301a,301b,301cの回転が開始されると、リール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作が有効化されて(ステップS4306)、本ゲームリール停止処理が行われる(ステップS4308)。この本ゲームリール停止処理についての詳細は後述する。また、本ゲーム処理では、擬似ゲーム処理のようにリール301a,301b,301cの自動停止が行われないので、ステップS4126の処理のような有効時間のセットは行われない。
ステップS4308の本ゲームリール停止処理が行われた結果として全てのリール301a,301b,301cが停止すると、ステップS4310に進み、本ゲーム図柄判定処理が行なわれる(ステップS4310)。この本ゲーム図柄判定処理は、本ゲーム処理において有効ラインに表示された図柄の組合せを判定する処理であり、詳細については後述する。そして、本ゲーム図柄判定処理が終了すると、ステップS306でセットされた本条件装置がリセットされて(ステップS4312)、本ゲーム処理が終了する。
なお、ステップS5065では、本ゲーム図柄判定処理の結果情報を演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットしたが、これに代えて、ステップS302において行われる本抽選の結果、すなわちステップS303においてセットされた本条件装置情報を演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットするようにしてもよい。
なお、図示していないが、BET処理が行われたもとでステップS302の始動レバー210が操作された場合、前回のゲームにてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判定される。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、今回のゲームにおいてリール301a,301b,301cの回転が開始されたときから次回のゲームでリール301a,301b,301cの回転が開始されるまでの時間(例えば4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合には、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始される。なお、ウェイトタイマがタイムアップしたか否かの判定は、ウェイトタイマがタイムアップするまでループする。すなわち、ウェイトタイマがタイムアップするまでリール301a,301b,301cの回転が開始されない。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、さらに、擬似ゲームと本ゲームとを遊技者が区別し難くなるように、擬似ゲームが終了してから本ゲームが開始される契機となるステップS4160の始動レバー210が操作された場合にも、ただちにリール301a,301b,301cの回転が開始されないようにされている。具体的には、擬似ゲームとしてリール301a,301b,301cの回転が開始(すなわち、ステップS4124のリール回転開始)されたときに、擬似ウェイトタイマの計時を開始する。そして、この擬似ウェイトタイマが、本ゲームとしてリール301a,301b,301cの回転が開始されるまで(すなわち、ステップS4304のリール回転開始まで)の時間(例えば4.1秒)の経過を計測する。ここで、擬似ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合には、ステップS4304の処理として、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始される。なお、擬似ウェイトタイマがタイムアップしたか否かの判定は、擬似ウェイトタイマがタイムアップするまでループする。すなわち、擬似ウェイトタイマがタイムアップするまでリール301a,301b,301cの回転が開始されない。このように、始動レバー210の操作が行われたもとで、擬似ゲームでリール301a,301b,301cの回転が開始されたときから本ゲームでリール301a,301b,301cの回転が開始されるまでの時間を、今回のゲームでリール301a,301b,301cの回転が開始されたときから次回のゲームでリール301a,301b,301cの回転が開始されるまでの時間と同じ又は外観上同じとすることで、擬似ゲームと本ゲームとを遊技者が区別し難くなるようになっている。
ただし、本実施形態のスロットマシン1では、ステップS4144のゲーム内継続抽選に当選すると、1ゲーム内で再び擬似ゲームが行われる。この場合(ゲーム内継続抽選に当選した場合)は、擬似ウェイトタイマによる計時をリセットし、ステップS4148の始動レバー210が操作されたときには該操作に基づいて、ただちにリール301a,301b,301cの回転が開始される(ステップS4124)ようになっている。これにより、ステップS4144のゲーム内継続抽選に当選し続ける限り、ステップS4148の始動レバー210が行われる都度ただちにリール301a,301b,301cの回転が開始される(ステップS4124)ので、この間、1ゲーム内の処理ではあるものの、複数の擬似ゲームを高速で行うことができる超速ゲーム期間を作り出すことが可能となる。しかも、超速ゲーム期間における擬似ゲームの結果に基づいて、後述するARTゲームの上乗せ抽選も行われるといった斬新なゲームを提供することが可能となる。
なお、ウェイトタイマ及び擬似ウェイトタイマはいずれもメイン基板409が有しており、これらの計時の管理はメイン基板409のCPU1110によって行われている。
[本ゲームリール停止処理]
次に、ステップS4308の本ゲームリール停止処理について、図70を参照しつつ説明する。図70は、メイン基板409により実行される本ゲームリール停止処理を示すフローチャートである。なお、この図70では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。
本ゲームリール停止処理では、まずステップS4402で、今回の本抽選(ステップS304を参照)の結果に対応して作動した本条件装置にしたがって本ゲームリール停止制御テーブルを選択する。この本ゲームリール停止制御テーブルは予め全ての本条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS4402にて成立している本条件装置に基づいて本ゲームリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS4404,ステップS4420,ステップS4434)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS4418の判定が満たされず、ステップS4404以降の処理を繰り返す。
なお、「順押し」、「逆押し」及び「中押し」と呼ばれる停止操作手順については、上記の擬似ゲームリール揺れ処理においてすでに説明した通りである。
ステップS4404では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS4404で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS4404の判定が満たされ、ステップS4406に移る。
ステップS4406では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS4406の判定は満たされ、次のステップS4408に移る。
次のステップS4408では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している本条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて当選役に対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS4412では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS4414では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS4416に移る。
ステップS4416では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS4418に移る。
なお、本ゲームリール停止処理では、擬似ゲームリール揺れ処理のように、各リール301a,301b,301cが停止したとしても、揺れ処理は行われない。
そして、ステップS4418では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなって停止処理が行われただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS4404に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS4404以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは揺れ処理状態となっているのでステップS4404の判定は満たされず、ステップS4420に移る。
ステップS4420では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS4420の判定が満たされ、次のステップS4422に移る。
ステップS4422では、上記のステップS4406と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS4426に移る。
ステップS4426では、中リール停止処理として、作動している本条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS4402で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選擬似役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS4424,S4428,S4430は全て迂回され、ステップS4432に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS4418に移る。
そして、再度ステップS4418では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態となっていないので、この判定が満たされず、ステップS4404に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS4404以降の処理では、先ずステップS4434で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS4436,S4440等の処理は、上記のステップS4404以降の処理(ステップS4424,S4426)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS4446にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS4418に移る。
最後にステップS4418は、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、本ゲームリール停止処理が終了する。
「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS4434の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選擬似役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
なお、「順押し」及び「中押し」の停止操作手順の場合におけるリール停止制御についても、「逆押し」の停止操作手順の場合と同様に、第1リールのみが停止した段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。こうすることで、「順押し」、「はさみ押し」、「逆押し」、「逆はさみ押し」、「中押し」及び「中逆押し」の6通りのリール停止制御を実現することができる。
[リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる。これは、通常リプレイ役、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである(図46参照)。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[本ゲーム図柄判定処理]
本ゲームリール停止処理が終了すると、メイン基板409により行われる処理として、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについての本ゲーム図柄判定処理が行なわれる。図71では、この本ゲーム図柄判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かが判定される。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS4502、S4504、S4506では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかが判定される。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS4502の判定が満たされ、ステップS4590に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS4504の判定が満たされ、ステップS4580に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS4506の判定が満たされ、ステップS4570に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグのいずれもOFF(=0)となっている場合、ステップS4502、S4504、S4506の判定がいずれも満たされず、ステップS4508に移る。
ステップS4508で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS4510,S4520,S4530,S4540,S4550のいずれかに移る。
ステップS4510では、BB図柄が揃っているかが判定される。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS4512に移る。
次のステップS4512では、BBゲーム開始処理が実行される。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。ステップS4512のBBゲーム開始処理が実行されたのちは、ステップS4514に移る。
ステップS4520では、RB図柄が揃っているかが判定される。いずれかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「青7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS4522に移る。
次のステップS4522では、RBゲーム開始処理が実行される。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。ステップS4522のRBゲーム開始処理が実行されたのちは、ステップS4514に移る。
ステップS4530では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかが判定される。いずれかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS4532に移る。
次のステップS4532では、SBゲーム開始処理が実行される。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。ステップS4532のSBゲーム開始処理が実行されたのちは、ステップS4514に移る。
ステップS4540では、リプレイ図柄が揃っているかが判定される。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS4542に移る。
次のステップS4542では、リプレイゲーム処理が実行される。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS4544では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にし、次のステップS4514に移る。
ステップS4550では、小役図柄が揃っているか(小役図柄の組み合わせ態様が有効ライン上に表示されているか)を判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄の組み合わせ態様が表示されている場合、1ゲーム行われた結果としての賞として、有効ライン上に表示された小役図柄の組み合わせ態様に応じた数のメダルが払い出される(ステップS4552)。そして、揃った小役図柄に該当する小役当選フラグをOFF(=0)にし(ステップS4554)、次のステップS4514に移る。
有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS4510,S4520,S4530,S4540,S4550のいずれの判定も満たされず、ステップS4560に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS4560では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。ステップS4560のハズレ処理が実行されたのちは、ステップS4514に移る。
上記のステップS4508からステップS4560までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS4570以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
ステップS4570では、BBゲーム時における払出役図柄が揃っているか(払出役図柄の組み合わせ態様が有効ライン上に表示されているか)を判定する。いずれかの有効ライン上に払出役図柄の組み合わせ態様が表示されている場合、1ゲーム行われた結果としての賞として、有効ライン上に表示された払出役図柄の組み合わせ態様に応じた数のメダルが払い出される(ステップS4572)。そして、揃った払出役図柄に該当する払出役当選フラグをOFF(=0)にし(ステップS4574)、次のステップS4576に移る。
次に、ステップS4576では、BBゲーム終了判定処理が行われる。このBBゲーム終了判定処理では、BBゲーム中における累計払出枚数が規定数を超えるまでBBゲームが継続し、BBゲーム中における累計払出枚数が規定数(例えば300枚)を超えるとBBゲームを終了する。なお、BBゲーム中は、BBゲーム時払出役図柄が揃っているか否かが判定されて、BBゲーム時払出役図柄が揃っていれば賞としてのメダルが払い出される。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。BBゲームが終了すると、ステップS4578に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。ステップS4578のRTゲーム開始処理が終了すると、ステップS4514に移る。
ステップS4580では、RBゲーム時における払出役図柄が揃っているか(払出役図柄の組み合わせ態様が有効ライン上に表示されているか)を判定する。いずれかの有効ライン上に払出役図柄の組み合わせ態様が表示されている場合、1ゲーム行われた結果としての賞として、有効ライン上に表示された払出役図柄の組み合わせ態様に応じた数のメダルが払い出される(ステップS4582)。そして、揃った払出役図柄に該当する払出役当選フラグをOFF(=0)にし(ステップS4584)、次のステップS4586に移る。
ステップS4586では、RBゲーム終了判定処理が行われる。このRBゲーム終了判定処理では、RBゲーム中における累計払出枚数が規定数(例えば20枚)を超えるまでRBゲームが継続し、RBゲーム中における累計払出枚数が規定数を超えるとRBゲームを終了する。なお、RBゲーム中は、RBゲーム時払出役図柄が揃っているか否かが判定されて、RBゲーム時払出役図柄が揃っていれば賞としてのメダルが払い出される。ここでいう「RBゲーム時払出役」は、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。RBゲームが終了すると、ステップS4588に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。ステップS4588のRTゲーム開始処理が終了すると、ステップS4514に移る。
ステップS4590では、SBゲーム時における払出役図柄が揃っているか(払出役図柄の組み合わせ態様が有効ライン上に表示されているか)を判定する。いずれかの有効ライン上に払出役図柄の組み合わせ態様が表示されている場合、1ゲーム行われた結果としての賞として、有効ライン上に表示された払出役図柄の組み合わせ態様に応じた数のメダルが払い出される(ステップS4592)。そして、揃った払出役図柄に該当する払出役当選フラグをOFF(=0)にし(ステップS4594)、次のステップS4596に移る。
ステップS4596では、SBゲーム終了判定処理が行われる。いずれかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、SBゲームを終了する(詳細は後述する)。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。その後、ステップS4588に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
ステップS4514では、本ゲーム図柄判定処理の結果情報を演出制御基板510や演出制御基板520に送信できるようにコマンドセットされる。ただし、これに代えて、ステップS304における本抽選の結果、すなわちステップS306においてセットされた本条件装置情報を演出制御基板510や演出制御基板520にコマンド送信できるようにコマンドセットするようにしてもよい。
このように、本ゲーム処理における本ゲーム図柄判定処理(ステップS4310)において当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に揃っていると判定された場合には、該当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理が実行される(メダル放出装置110より規定枚数のメダルが払い出される)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
一方、擬似ゲーム処理における擬似ゲーム図柄判定処理では、擬似ゲーム図柄判定処理の結果情報(擬似抽選の結果情報でもよい)が演出制御基板510や演出制御基板520に送信されるものの、当選擬似役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に揃っていると判定されたとしても、メイン基板409側の処理としては、メダルの払出処理を含めて遊技者に特典を付与する処理は行われない。この点、本ゲームと擬似ゲームとで大きく異なっている。上述した通り、本抽選は図49を参照して行なわれる抽選であり、本抽選にていずれかの当選役に当選すると、該当選役に対応して成立する本条件装置がセットされる(ステップS4312)。これに対して、擬似抽選は図63を参照して行われる抽選であり、擬似抽選にていずれかの当選擬似役に当選すると、該当選擬似役に対応して成立する擬似条件装置がセットされる(ステップS4142)。すなわち、本ゲームにおける本抽選及び擬似ゲームにおける擬似抽選のいずれの場合であっても、用いられる抽選テーブルは異なるものの、抽選テーブルを用いた役抽選が行われる点では共通する。そして、本ゲーム及び擬似ゲームのいずれの場合であっても、成立した本条件装置や擬似条件装置に基づいてリール301a,301b,301cの停止制御が行われる点でも共通する。それにもかかわらず、本ゲーム処理において当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に揃った旨が判定されたときには賞としてのメダルが払い出されるのに対し、擬似ゲーム処理において当選擬似役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に揃った旨が判定されたときには賞としてのメダルが払い出されない。このように、メイン基板409側の処理としては、抽選テーブルを用いた抽選(複数の当選擬似役のなかからいずれかを選び出す抽選)を行う点、及び、該抽選結果が表示されるようにリール301a,301b,301cの停止制御が行われる点については、本ゲーム処理と擬似ゲーム処理とで同様であるものの、賞としてのメダルが払い出されるか否かの点について大きく異なっている。また、擬似ゲームと本ゲームとの両方が行われる場合には、あくまでもBET処理を前提として行われる1ゲーム内に、これら両方のゲームが行われる。しかも、ステップS4144のゲーム内継続抽選に当選したときには、1ゲーム内に複数回の擬似ゲームと1回の本ゲームとが行われることとなる。なお、1ゲーム内に本ゲームのみが行われることはあるが、1ゲーム内に擬似ゲームのみが行われることはない。
[BBゲーム開始処理]
前述の図71のステップS4510の判定が満たされた場合、メイン基板409側の処理としてBBゲーム開始処理が実行される。このBBゲーム開始処理について図72を用いて説明する。
まず、ステップS502では、BBフラグ(BB1フラグ、BB2フラグ)がON(=1)となっているかが判定される。ステップS502の判定が満たされると、ステップS506に移る。ステップS506では、BBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときBBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS508にて、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS502の判定が満たされない場合、ステップS504に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[BBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図71のステップS4576のBBゲーム終了判定処理について図73を用いて説明する。
まず、ステップS552では、前述の図71のステップS4572にてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS554では、累計払出枚数が300枚(BB2の場合は200枚)を超えたかを判定する。このステップS554の判定が満たされない場合、ステップS556に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。また、ステップS554の判定が満たされると、ステップS560に移る。
ステップS560では、BBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS562にてRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[RBゲーム開始処理]
前述の図71のステップS4520の判定が満たされた場合、RBゲーム開始処理が実行される。このRBゲーム開始処理について図74を用いて説明する。
まず、ステップS602では、RBフラグがON(=1)となっているかが判定される。ステップS602の判定が満たされると、ステップS606に移る。ステップS606では、RBゲーム中フラグがON(=1)にされる。また図示はしないが、このときRBフラグがOFF(=0)にされる。次いでステップS608にて、RBゲーム中の累計払出枚数カウントがクリアされる。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてRBゲームが開始される。このことにより、遊技者は通常ゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
また、ステップS602の判定が満たされない場合、ステップS604に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、RBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、RB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示が行われる。
[RBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図71のステップS4586のRBゲーム終了判定処理について図75を用いて説明する。
まず、ステップS652では、前述の図71のステップS4582にてメダルの払い出しがあったことを受けて、RBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数が加算される。
次にステップS654では、累計払出枚数が20枚を超えたかが判定される。このステップS654の判定が満たされない場合、ステップS656に移り、RBゲーム中の累計払出枚数が表示される(払出枚数表示LED612等に表示される。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
また、ステップS654の判定が満たされると、ステップS658に移る。
ステップS658では、RBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS660にてRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて演出制御基板520と双方向の通信を行い、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120やROM1140内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、各ARTゲームにおいて賞として払い出されたメダル枚数や残払出枚数を表示したり、残払出枚数が0に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者は各ARTゲームがどれほど続くのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
また、ARTゲームでは、連続演出は実行するが、ARTゲームにおいて賞として払い出されたメダル枚数や残払出枚数残の表示は特に行わないものであってもよい。そして、これらの表示を行わないことは、例えば、遊技者がARTゲームの終了条件を知り得ていない場合、いつまでARTゲームが続くのか分からずハラハラしながらARTゲームを続けられるという効果を奏することができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[ARTゲームの上乗せ抽選]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、ARTゲーム中に「レア小役」に当選すると、演出制御基板520側の処理として、図76のARTゲーム上乗せ抽選テーブルを用いたARTゲームの上乗せ抽選が行われる。図76を見ても分かるように、ARTゲームの上乗せ抽選確率は、出現したレア小役やスロットマシン1の設定によって、遊技者にとっての有利度合いが異なっている。このようなARTゲームの上乗せ抽選は、本抽選の結果がレア小役であるときに行われることは勿論のこと、賞としてのメダルの払い出しが行われない擬似抽選の結果がレア小役であるときにも行われる。
ここで、図49を参照すると分かるように、本抽選の結果がレア小役である確率は非常に低いものとなっている。これに対し、図63を参照すると分かるように、擬似ゲームにおける当選擬似役として用意されているのはレア小役のみであり、さらに、いずれのARTゲーム中であってもハズレの確率よりもレア小役に当選する確率の方が高くなっている。そのため、本ゲームではなかなか出現しないレア小役が、擬似ゲームでは極めて高い確率で出現することとなる。このように、擬似ゲームの実現を可能ならしめることにより、本ゲームでは出現しにくいレア小役の出現率の底上げを図ることが可能となる。
また、擬似ゲームはメダル等の遊技媒体を消費することなく行うことができるゲームであるにもかかわらず、レア小役に当選するとこれに基づいてARTゲームの上乗せ抽選が行われるので、遊技媒体の消費を抑制しつつもARTゲーム上乗せ抽選の実行機会を増やすことができる。
なお、ARTゲームの上乗せ抽選は、レア小役に当選したことをもって行われるようにしてもよいし、レア小役に当選しただけでは事足りず該当選したレア小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に出現したことをもって行われるようにしてもよい。
また、通常状態(般状態、通常RTが相当する)において「レア小役」に当選すると、上記のARTゲームの上乗せ抽選と同様に、ARTゲームの付与抽選が行われるようにするとよい。
上記のARTゲーム上乗せ抽選に用いられるテーブルは、本ゲーム及び擬似ゲームのいずれであっても共通のARTゲーム上乗せ抽選テーブル(いずれも図76のARTゲーム上乗せ抽選テーブル)を用いているが。これに限られず、本ゲームにおいて用いられるARTゲーム上乗せ抽選テーブルと、擬似ゲームにおいて用いられるARTゲーム上乗せ抽選テーブルとを別のテーブルを用いるようにしてもよい。
なお上述の通り、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、「常には、所定量のメダルが消費される都度、本ゲームのみが単独提供される遊技が進行されて、この本ゲームで特定の図柄組み合わせが出現すると、特定種別の特典が付与される」といった制御が行われるなかで、所定条件が満たされると(ステップS412を行うための各条件(例えば、ステップS402におけるYESなど)が満たされると)、メダルの追加消費を要することなく、本ゲームおよび擬似ゲームが定められた順序(図65参照)に従って順次提供されるようになり、擬似ゲームで特定の図柄組み合わせが出現したときにも同様に特定種別の特典(ARTゲームの上乗せなど)が付与されうる可能性が生じることから、遊技興趣の向上を図ることができるようになる。
ちなみに、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、ARTゲームの上乗せを、擬似ゲームの結果に応じて付与されうる特典としているが、当該特典としてはこれに限られず、擬似ゲームによって以下の項目を特典として付与するようにしてもよい。
・ATゲームやARTゲームの上乗せ抽選や付与抽選が行われる頻度が高められたり、それら抽選での当選確率が高められたりするチャンス状態(例えば、高確遊技状態や特化ゾーンなど)への状態移行
・ATゲームやARTゲームへの状態移行
また上述の通り、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、本ゲームについての制御に供される本制御データの少なくとも一部(例えば、各リール301a,301b,301cの回転を開始させるときに用いられる制御データや、リール停止ボタン211a,211b,211c)を、擬似ゲームについての制御に供される擬似制御データとしてそのまま利用することによって本ゲームとの見分けを付き難くして擬似ゲームが行われるようにしている。そしてこれによって、常には本ゲームのみが単独提供されるなかで擬似ゲームが秘かに提供されうるようにすることが可能となり、複数の図柄列(リール301a,301b,301c)が回転状態とされる都度、擬似ゲームが行われていることへの期待感を持たせることができるようにしている。
このような目的に鑑みれば、本ゲームにおいて特定の図柄(例えば、チェリー1)が出現可能とされているなかで回転状態を終了させるときに用いられる停止制御態様(例えば、チェリー1に対応するリール停止制御テーブル(図70参照))と、擬似ゲームにおいて特定の図柄(例えば、チェリー1)が出現可能とされているなかで回転状態を終了させるときに用いられる揺れ制御態様(例えば、チェリー1に対応するリール揺れ制御テーブル(図68参照))とについても、それらの内容(停止操作時の図柄スベリ数(引き込み数)など)が同じとされるようにすることがより望ましい。
すなわちこの場合、リール停止ボタン211a,211b,211cが停止操作されたときから、該停止操作に応じた種別のリール301の回転状態が終了(本ゲームであれば停止状態であり、擬似ゲームであれば揺れ変動状態)されるまでの当該リール301の挙動が、本ゲームが行われている状況にあるときと擬似ゲームが行われている状況にあるときとで同じとされるようになる。したがって、各リール301a,301b,301cの回転が開始されてから、リール停止ボタン211a,211b,211cの少なくとも1つが停止操作されて、該停止操作に応じた種別のリール301の回転状態が終了(本ゲームであれば停止状態であり、擬似ゲームであれば揺れ変動状態)される直前まで、本ゲームと擬似ゲームとのいずれが行われているのかが把握し難くされる状態を好適に維持することができるようになる。
また、本ゲームと擬似ゲームとの見分けを付き難くする上では、擬似ゲームにて出現(揺れ変動)しうる図柄の種別についても、本ゲームにて出現(停止状態)しうる図柄の種別と同じにしておくことに加えて、同じ種別の図柄が出現した場合には同じ特典が付与されうるようにすることがより望ましい。
ただし、擬似ゲームにおいて特定の図柄(例えば、チェリー1)が出現可能とされているなかで回転状態を終了させるときに用いられる揺れ制御態様(例えば、チェリー1に対応するリール揺れ制御テーブル(図68参照))のうちの一部を、本ゲームにおいて特定の図柄(例えば、チェリー1)が出現可能とされているなかで回転状態を終了させるときに用いられる停止制御態様(例えば、チェリー1に対応するリール停止制御テーブル(図70参照))の内容と異ならせておくようにしておけば、停止操作時に稀に発生しうる違和感によって擬似遊技が行われることへの期待感を持たせることができるようになる点で有効である。
また、擬似ゲームにて出現(揺れ変動)しうる図柄の種別についても、本ゲームにて出現(停止状態)しうる図柄の種別と必ずしも完全一致させなくてもよく、擬似ゲームにおいてのみ出現(揺れ変動)しうる専用の図柄種別を用意するようにしてもよい。例えば、専用の図柄種別が出現したときに本ゲームでは得られないような特殊な特典を付与するようにしておけば、擬似遊技が行われることへの期待感を大きく高めることができるようになる点で有効である。
また上述の通り、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、図49及び図62から明らかであるように、本抽選よりも擬似抽選のほうが特典付与(ここでは、ARTゲームの上乗せ)に関連する図柄(チェリー1などのレア図柄)を出現可能とする抽選結果が得られる確率が高くなるようにしている。すなわちこの場合、擬似ゲームが行われると、本ゲームが行われる場合よりも高い確率でレア図柄を出現させることが可能となり、該出現可能とされるレア図柄の種別毎に定められている一定の特典付与確率に基づいて上乗せ抽選(演出制御基板510)が行われるようになる。したがって、擬似ゲームが行われると、本ゲームが行われる場合よりも高い期待度にて特典付与(ここでは、ARTゲームの上乗せ)されることを期待することができるようになる。
ただし、メイン基板409側の処理(本抽選や擬似抽選)にて特定の図柄(例えば、チェリー1)が出現可能とされるといった結果を受けて演出制御基板510側にて行われる上乗せ抽選については、本抽選と擬似抽選とのいずれの結果に基づくものであるかにかかわらず、出現可能とされる図柄の種別の別にそれぞれ定められている一の抽選確率に基づいて行うようにすることが、擬似遊技でのレア図柄出現率を高めたことによるメリットを遊技者側に実感させる上で重要である。すなわち、本ゲームと擬似ゲームとのいずれが行われているかにかかわらず、上乗せ抽選が行われたときの上乗せ期待度についてはこれを図柄(チェリー1などのレア図柄)の別にそれぞれ一定としておくことで、それら図柄(チェリー1などのレア図柄)が高い頻度で出現可能とされる擬似遊技が行われることによる遊技興趣を好適に維持することができるようになる。
そしてこの場合、遊技者にとっては、リール301a,301b,301cの回転状態において、リール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが停止操作されたときの図柄の出現態様が、上記擬似遊技の実行中であることを示すもの(揺れ変動)であるか否かが最大の関心事となる。そしてこの結果、揺れ変動であった場合には擬似遊技が行われていることを認識するところとなり、残りの2つのリールの回転状態を終了させるにあたり、特典付与(ここでは、ARTゲームの上乗せ)に関連する図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)の出現(揺れ変動)を高い期待感をもって狙うことができるようになる。
このような技術を備えていることに鑑みれば、上記チェリー1については、リール301a,301b,301cのうちのリール301aのみに出現可能とされるいわゆる角チェリーとし、上記チェリー2については、複数のリール(例えば、リール301a,301b,301c)の有効ライン(角チェリーが出現する箇所を含むライン)に跨って出現可能とされるいわゆる2連チェリーや3連チェリーとし、上記チェリー1よりも上記チェリー2のほうが本抽選では出現可能とされる確率が低くされている代わりに、上記チェリー2が出現可能とされるときには、上記チェリー1が出現可能とされるときよりも高い確率で特典付与(ここでは、ARTゲームの上乗せ)されるようにすることが望ましい。また、擬似ゲームでは、本ゲームの場合よりも、角チェリーが出現したときにこれがいわゆる2連チェリーや3連チェリーへと発展する可能性が高くなるようなゲーム態様(擬似抽選での確率など)となるようにしておくことがより望ましい。
このような構成によれば、角チェリーが出現したときにこれが揺れ変動になっているか否かによって、残りの2つのリールの回転状態を終了(揺れ変動)させる停止操作を行うにあたり、これがいわゆる2連チェリーや3連チェリーへと発展することへの期待感(さらには、特典付与(ここでは、ARTゲームの上乗せ)されることへの期待感)を全く異ならせることができるようになる。
また上述の通り、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、本ゲームと擬似ゲームとのうち、擬似ゲームが行われているときに限り、リール301a,301b,301cが回転状態とされてから所定時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが停止操作されなければ、該停止操作を待たずして、リール301a,301b,301cの回転状態を自動終了(揺れ変動による図柄出現)させるようにしている。すなわちこの場合、擬似ゲームが提供されているか否かを遊技者側でその都度確認することができるようになることから、擬似ゲームの提供を通じて遊技興趣の向上を図ることができるようになる。
また、擬似ゲームが行われているときには、こうした自動終了(揺れ変動による図柄出現)させる制御が行われることに鑑み、演出制御基板510,520側にて所定時間内にリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれも停止操作させないことを促す演出を出現させうるようにすれば、所定時間が経過したときに揺れ変動が出現するか否かを演出の1つとして用いることができるようになり、演出の幅を広げることができるようになる。例えば、遊技者は、こうした演出を見たくないのであれば、リール停止ボタン211a,211b,211cを早期に停止操作することで、こうした演出を回避することも可能である。
またさらに、高い消化速度を維持して擬似ゲームを次々と消化させることが可能とされる制御が行われる上述の超速期間に制御されている場合には、所定時間内に停止操作が行われないときにリール301a,301b,301cの回転状態を自動終了(揺れ変動による図柄出現)させることで、その高い消化速度を維持することに役立つ構成としても機能させることができるようになる。
また上述の通り、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、1ゲーム内において擬似ゲームが継続すればするほど(すなわちゲーム内継続抽選に連続して当選する回数が多くなるほど)、遊技者にとっての有利度合いが高められる傾向(内部抽選確率(特定の図柄(チェリー1などのレア図柄)が出現したときに特典付与される確率)が次第に高くなっていく傾向)が持たせられる確率隆盛状態として制御することも可能である。このような確率隆盛状態として制御するとした場合であって、前回のゲームで揺れ変動が生じていることが確認(擬似ゲームであることが確認)された後にリール301a,301b,301cが新たに回転状態とされた状況にあるときには、リール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかを停止操作させるときに再び揺れ変動が出現するか否かを極めて重要な演出要素(内部抽選確率が益々高くなりうる確率隆盛状態が継続しているか否かの演出要素)として位置付けさせることができるようになる。
しかも、リール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかを最初に停止操作させるときに、このような重要な演出要素を提供することに加えて、こうして確率隆盛状態が継続していることが把握可能とされた後には、残りの2つのリールの回転状態を終了させるときに、上乗せ抽選に当選したか否かについての演出情報(特典付与されるか否かの情報)をそれぞれ提供(若しくは、それらのいずれかのタイミングで提供)するようにすれば、確率隆盛状態に制御された以降の図柄列に対する停止操作に面白みを持たせることができるようになる。
また、この揺れ変動にかかる制御としても、遊技者による停止操作に応じた位置から横方向に図柄を往復動させる横揺れ変動ではなく、遊技者による停止操作に応じた位置から縦方向に図柄を往復動させる縦揺れ変動として実現することが望ましい。すなわちこの場合、確率隆盛状態が継続されていれば、遊技者による停止操作に応じた位置の近傍にて図柄が幾度となく上方向に変位するようになることで、内抽当選確率が益々高くなりうる状態にあること(確率隆盛状態が継続していること)が図柄の出現態様(縦揺れ変動)によって具現化されるとともに、確率隆盛状態が終了されているときには、遊技者による停止操作に応じた一定の位置にて図柄を停止させ続けることで、内抽当選確率が一定の確率に戻されていること(確率隆盛状態が終了されていること)が図柄の出現態様(確定停止)によって具現化されることとなる。したがって、遊技者は、確率隆盛状態が継続しているか否かを図柄が出現したときの挙動から把握することができるようになり、確率隆盛状態に制御された以降の図柄列に対する停止操作に面白みを持たせることができるようになる。
なお、スロットマシン1として、このような確率隆盛状態を創出可能とする場合、1ゲーム内において擬似ゲームが継続すればするほど遊技者にとっての有利度合いが高められる傾向が持たせられる期間(確率隆盛状態)と、1ゲーム内において擬似ゲームがどれだけ継続しても遊技者にとっての有利度合いは高められない期間(通常の擬似ゲームが連続して行われるだけの状態)とを、遊技や演出の状況によって使い分けるようにしてもよい(予め定められた条件が満たされたときに、確率隆盛状態に制御するなど)。ただしこの場合、確率隆盛状態にあるときには上述の縦揺れ変動が現れるのに対し、通常の擬似ゲームが連続して行われるだけの状態にあるときにはそれ以外の揺れ変動を生じさせるようにすることが望ましい。また、確率隆盛状態に制御される期間においては、ゲーム内継続抽選にて当選する確率を高くして擬似ゲームが連続して行われ易くなるようにすることが望ましい。
ちなみに、揺れ変動としては、順方向(上方向)への変位態様と、逆方向(下方向)への変位態様(速度など)とを異ならせるようにしてもよい。また、期待度に応じてそれらの変位態様や、当該揺れ変動自体の変動態様(速度や距離)を異ならせるようにしてもよい。
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似ゲームが行われた結果として特定の図柄組み合わせを一旦出現(揺れ変動)させた後に、これとは異なる図柄組み合わせに自動変更させる制御を行うことも可能となっている。
なお、こうした自動変更にかかる処理を行うとする場合には、リール301a,301b,301cがそれぞれ停止操作される各タイミングで、それらリールの別に、出現している図柄組み合わせから、リール揺れ制御テーブル内にて予め定められている自動変更先の図柄組み合わせに自動変更させる制御を行うようにすることが望ましい。すなわちこの場合、例えば、上記ステップS4216,S4234,S4250内の処理としてリール301a,301b,301cの別に実現することができる。若しくは、ステップS4218の処理(図68参照)においてYESになった後に、リール揺れ制御テーブル内にて予め定められている自動変更先の図柄組み合わせにリール301a,301b,301cをまとめて自動変更させるステップ処理を新たに作ることによって実現してもよい。
ここで、このような自動変更にかかる手法としては、例えば、以下の各手法が採用されうる。
a.擬似抽選の結果として出現可能とされている特定の図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)を、遊技者による停止操作の態様が悪くて出現させることができなかった場合に、擬似抽選の結果として出現可能とされている適正な図柄組み合わせに自動変更させる手法
b.擬似抽選の結果として出現可能とされている特定の図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)を、遊技者による停止操作によって出現させた後に、より遊技価値(上乗せ確率など)の高い図柄組み合わせ(ロゴなどのレア図柄)に自動変更させる手法
c.擬似抽選の結果として出現可能とされている特定の図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)を、遊技者による停止操作によって出現させた後に、より遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせ(はずれなど)に自動変更させる手法
このうち、上記手法aを採用する場合、高い消化速度を維持して擬似ゲームを次々と消化させることが可能とされる制御が行われる上述の超速期間に制御されているときの遊技興趣を維持する上で特に有効である。すなわち、このような超速期間では、擬似ゲームの消化速度を高めることを追求するあまり、目押しに失敗するような場合が生じ易くなってしまう懸念がある。この点、手法aを採用すれば、超速期間において各図柄列(リール301a,301b,301c)に対しての停止操作に失敗が生じて擬似抽選の結果に応じた図柄組み合わせとは異なる図柄組み合わせが出現(揺れ変動)したとしても、該出現した図柄組み合わせを、擬似抽選の結果に応じた適正な図柄組み合わせに自動変更されうることから、こうした失敗を恐れることなく擬似ゲームの消化速度を最大限に高めることへの追求を促すことができるようになる。
また、上記手法aを採用する場合には、擬似抽選の結果に応じた適正な図柄組み合わせとは異なる図柄組み合わせをあえて出現させる虚偽の停止操作態様(押し順やタイミングなど)をナビするようにすることが望ましい。すなわちこの場合、虚偽の停止操作態様をあえて出現させるか否かを演出制御基板510,520側にて管理することで、こうした自動変更にかかる制御が行われる頻度を適切に調節することができるようになる。例えば、1ゲームあたりの消化速度が予め定められた下限速度を下回っているときには、このような虚偽の停止操作態様(押し順やタイミングなど)をナビすることを行わないようにすることで、当該スロットマシン1としての稼働率を好適に維持することができるようになる。
また、上記手法aや上記手法bを採用する場合、自動変更されたときには上乗せ抽選に当選する確率を高めるか、必ず上乗せされるようにすることが遊技興趣の向上を図る上で望ましい。
これに対し、上記手法cを採用する場合には、このような自動変更にかかる図柄の動きを遊技者側の操作でキャンセル可能として、遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせへの自動変更を妨害可能としておくことが望ましい。このようなキャンセルにかかる制御を実現する手法としては、始動レバー210や、リール停止ボタン211a,211b,211cなどをはじめとして、メイン基板409側で検出可能とされる各種の操作手段に対する操作があったか否かに基づいて行うこととなる。例えば、メイン基板409側で検出可能とされる特定の操作手段に対する操作がなければ、より遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせ(はずれなど)に自動変更させようとしている図柄の動きをそのまま維持する制御を行うこととなる一方で、メイン基板409側で検出可能とされる特定の操作手段に対する操作があれば、より遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせ(はずれなど)に自動変更させようとしている図柄の動きをその中途の段階で中止させて、特定の図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)の揺れ変動が現れるところにまで戻す制御を行うこととなる。
若しくは、メイン基板409側で検出可能とされる操作手段として始動レバー210を用いるようにして、より遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせ(はずれなど)に自動変更させようとしている図柄の動きが現れているなかで、始動レバー210を操作すれば、特定の図柄組み合わせ(チェリー1などのレア図柄)が現れるところにまで一旦戻す制御を行ってから、リール301a,301b,301cを新たに回転状態とする制御を行うようにすれば、始動レバー210としての機能(回転開始)を確保しつつ、自動変更にかかる図柄の動きをキャンセルすることができるようになる。
また、こうした自動変更にかかる手法a〜cを採用する場合、少なくとも擬似ゲームが行われている期間中は、擬似抽選の結果に基づいて特典付与にかかる制御(上乗せ抽選など)を行うのではなく、擬似ゲームの結果として出現した図柄組み合わせに基づいて特典付与にかかる制御(上乗せ抽選など)を行うようにすることが遊技興趣の向上を図る上で望ましい。すなわちこの場合、例えば、より遊技価値(上乗せ確率など)の低い図柄組み合わせ(はずれなど)に自動変更されるような場合には、遊技者側の操作でキャンセルしなければ、不利な遊技結果が実際に得られることになってしまう。また、適正な図柄組み合わせに自動変更されるとは言え、虚偽の停止操作態様(押し順やタイミングなど)がナビされてそのまま自動変更されなければ、不利な遊技結果が実際に得られてしまうという斬新な遊技性を実現することができるようになる。
ところで、この実施の形態にかかるスロットマシン1を含めて、スロットマシンでは、該当の本ゲームが開始されてから特定のゲーム消化時間が消化(ウェイトタイマによるタイムアップ)されなければ、次の本ゲームを開始させない制御が行われることが多い。これに加えて、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似ゲームが行われている場合も同様に、該当の擬似ゲームが開始されてから特定のゲーム消化時間が消化(擬似ウェイトタイマによるタイムアップ)されなければ、次のゲーム(本ゲーム、若しくは擬似ゲーム)を開始させない制御を行うことで、擬似ゲームが行われていることを認識し難くするようにしている。また、本ゲームが開始されてから特定のゲーム消化時間が消化(擬似ウェイトタイマによるタイムアップ)されなければ、次のゲームとしての擬似ゲームも開始されないようにしている。
この点、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、常にはこうした制限のもとで新たなゲーム(本ゲーム、若しくは擬似ゲーム)を開始させる制限下遊技が遊技者に対して提供されるように制御するなかで、こうした制限を受けないようにするか否かについての無制限化抽選を行うようにしている。この無制限化抽選としては、例えば、メイン基板409側での擬似抽選の結果としてロゴが出現可能(揺れ変動)とされたときに、上述の制限を受けないようにする旨の判断を行うようにすることが可能である。
そして、こうして無制限化抽選にて上述の制限を受けないようにする旨判断された場合はまず、ゲーム内継続抽選(ステップS4144)での当選確率を高くする処理を行うことで(少なくとも50%を上回る確率)、1ゲーム内で擬似ゲームが何回も繰り返し行われ易くすることが望ましい。
すなわち、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似抽選内の無制限化抽選(ロゴが出現可能か否か)に当選した場合、当該擬似抽選の結果を受けた擬似ゲームが消化(ステップS4142)されてから、上記ゲーム内継続抽選(ステップS4144)が行われるまでの間で、当該ゲーム内継続抽選(ステップS4144)での当選確率を高くする処理を行うこととなる。そして、こうした状況のなかでゲーム内継続抽選(ステップS4144)に当選したときに、特定のゲーム消化時間による制限を解除して、高い消化速度を維持して擬似ゲームを次々と消化させることが可能とされる制御が行われる上述の超速期間に制御することとなる。
このような超速期間では、遊技者による停止操作によって出現する図柄組み合わせの種別にかかわらず、メダルの払い出し処理の実行を常に割愛してこれを失くすことによって高速消化を実現することのできる環境(擬似ゲームのみが繰り返される環境)を整えた上で、特定のゲーム消化時間が経過していなくても新たな擬似ゲームを次々と開始させて、それら開始される擬似ゲームの各別に特別特典を付与しうる機会がそれぞれ得られる制御が行われることとなる。すなわちこの場合、「ゲームが行われる都度、特典を付与しうる機会が付与される」といった基本的な遊技性を確保しつつも、各ゲームにおいて出現した図柄組み合わせの種別(メダルの払い出しが多いか否かなど)によって次のゲーム開始時期が遅延されてしまうようなこともなく、所望の消化速度を維持してゲームを次々と消化させることができるようになり、これによって遊技興趣が好適に維持されるようになる。
なお、この超速期間では、1ゲーム内で擬似ゲームが繰り返し行われる期間が終了するまでの間(高い当選確率に変更されている上記ゲーム内継続抽選で落選するまでの間)にわたって継続される。そして、当該期間が継続される限り、擬似ゲームが行われる都度、特定のゲーム消化時間による制限を受けずに高い消化速度を維持して擬似ゲームを次々と消化させることが可能とされる制御が行われるようになる。これに対し、この超速期間内でのゲーム内継続抽選(ステップS4144)に落選すると、超速期間が終了されて、特定のゲーム消化時間による制限を受ける状態に戻ることはもとより、ゲーム内継続抽選(ステップS4144)での当選確率も元の確率に戻すこととなる。
また、こうした超速期間に制御される場合は、特別な遊技状態にあるとして遊技者にその旨の報知を行うようにすることが望ましい。これにより、遊技者は、超速期間内における各ゲームの消化速度を高めることを追求し易くなることから、擬似ゲームが高い頻度で行われる状況でありながらも、これによってスロットマシン1の稼動率が悪くなってしまうようなことを抑制することができるようになる。
また、こうした超速期間への移行契機については、メイン基板409側での抽選であれば擬似抽選に限られず、本抽選の結果に基づいて当該超速期間に移行させるようにしてもよい。また、超速期間の終了条件としても、ゲーム内継続抽選に落選することのほか、予め定められた制限時間がタイムアップされることや、擬似ゲームや擬似抽選で特定の結果が得られたことに基づいて終了させるようにしてもよい。
さらにこの実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似ゲームにおいて各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理が行われる。ここで、ステップS4216、ステップS4234、ステップS4250における各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理は、ステッピングモータからなるリール駆動モータ341a,341b,341cによって、1ステップ以下の揺れ(例えば0.5ステップ)で行われることが好ましい。
また、各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理は、各リール301a,301b,301cを、例えば、先ずは500msec以内で停止し(この位置を初期位置とする)、その後所定のステップ数だけ一の方向に移動して500msec以内で停止し、さらにその後、移動したステップ数だけ反対の方向に移動させるようにすると好ましい。例えば、擬似ゲームにおいて遊技者にとっての有利度合いが相対的に高い超レア小役(例えばロゴ)が出現したときに各リール301a,301b,301cがずっと振動していたりすると、せっかく超レア小役が出現したにもかかわらず、例えば再変動等が行われてしまうのではないかといった不安感を遊技者に与えてしまいかねない。この点、リール駆動モータ341a,341b,341cを、例えば500msec以内で停止し、その後所定のステップ数だけ一の方向に移動し、さらにその後、移動したステップ数だけ反対の方向に移動させることによって、例えば再変動してしまうといった遊技者に与える不安感を軽減することができる。なお、上記のような態様であれば、初期位置を基準として一の方向と反対の方向に移動しないので、初期位置を中心として各リール301a,301b,301cを移動させる処理を行うようにしてもよい。
また、各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理を行う場合、各リール301a,301b,301cを移動させるステップ数を、1図柄の2分の1を超えない範囲とすることが好ましい。1図柄の2分の1を超える範囲で各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理を行うと、図柄の停止位置が不明瞭となってしまうからである。
また、各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理を行う場合、上述したような例えば500msec以内での停止を行わずに、各リール301a,301b,301cを、一方向と反対方向とに数ステップ移動させる処理を繰り返し行うようにすると、例えば500msec以内での停止を含む揺れ処理と比べて、各リール301a,301b,301cの動きを滑らかなものとすることができる。
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、各リール301a,301b,301cのリール揺れ処理が同期して行われるようになっている。ただし、複数のリール301a,301b,301cを同期して移動させようとすると、第1停止リール停止時のリール揺れ処理と、第2停止リール停止時のリール揺れ処理とで異なる処理を行う必要がある。すなわち、第1停止リール停止時のリール揺れ処理は第1停止リールが停止してから行えばよいだけであるが、第2停止リール停止時のリール揺れ処理は第1停止リールが停止されることを待つ処理が加わる。そのため、第1停止リールと第2停止リールとで同期させるには、第1停止リールが停止したときに例えば500mesといった所定時間を設けることは困難となる。そこで、複数のリール301a,301b,301cを同期して移動させる場合には、停止時間と揺れ時間とを通じて例えば500mesといった所定時間となるようにすることが好ましい。
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、1ゲーム内で擬似ゲーム及び本ゲームの両方が行われるようになっているものの、1回の擬似ゲームを1ゲームとしてカウントして、かかるゲーム数を外端版から出力するようにしてもよい。上記の擬似ゲームを採用すると、単位時間あたりにカウントされるゲーム数が従来よりも少なくなる可能性が高いため、例えば天井機能が搭載されたスロットマシンでは、天井に到達するまでの時間が従来よりも長くなり、興趣が低下する可能性がある。この点、1ゲーム内に本ゲームと擬似ゲームとが行われるものの、本ゲーム数のみならず擬似ゲームの回数についてもゲーム数としてカウントして外端版から出力することで、興趣の低下を抑制することができる。
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、本ゲームと擬似ゲームとを区別し難くすることによって、本来であれば(本ゲームであれば)出現しにくいレア小役についての出現確率の底上げが図られるようにされている。ただし、例えば上記の超速期間のような特定時には、レア小役の出現確率が高い擬似ゲームが行われていることを把握できるようにすることで、遊技者に興奮を与えることができる期間を作り出すことができる。
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、擬似ゲームにおいても、本ゲームにおけるウェイトタイマと同様の擬似ウェイトタイマを計時し、擬似ウェイトタイマがタイムアップしたときに各リール301a,301b,301cの回転を開始するようにしている。ただし、擬似ゲームを採用することによって単位時間当たりに実行されるゲーム数が従来よりも低下しかねないため、擬似ゲームでは上記の擬似ウェイトタイマを計時させることなく、始動レバー210が操作されるとただちに各リール301a,301b,301cの回転を開始するようにしてもよい。こうすることで、単位時間当たりに実行可能なゲーム数の低下を抑制できるだけでなく、始動レバー210を操作したにもかかわらず各リール301a,301b,301cの回転がすぐには開始されない苛立ちを抑制することも可能となる。なお、単位時間当たりに実行可能なゲーム数の低下を抑制する手段として、レア小役の合算当選確率よりも擬似遊技が行われる頻度が少なくなるようにしてもよい。
また、例えば通常状態(一般状態、通常RT)において本抽選の結果に基づいて擬似ゲームを行うようにした場合、本抽選の結果を示唆する演出を擬似ゲームで行うようにすると好ましい。こうすることで、擬似ゲームで出現した出目(図柄組み合わせ)よりも遊技者にとって利益度合いが高い役が本抽選で当選している場合には、擬似ゲームが継続すればするほど期待感を高めることができる。例えば、遊技者にとっての利益度合いが高いロゴに本抽選で当選した場合、1回目の擬似ゲームでチェリー1が出現し、2回目の擬似ゲームでスイカが出現し、3回目の擬似ゲームでチェリー2が出現するといったように、本ゲームの前に擬似ゲームが行われる都度、遊技者にとっての有利度合いが段々と高められていくようにすることで、本抽選の結果を示唆する演出を行うことが可能となる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行われなくとも、メイン基板409は、図68のナビ抽選テーブルを参照して、ベルカウンタと、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かとに基づいて、複数回のゲームを実行することで演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を段階的に絞っていき、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を最終的に判定することが可能となる。また、複数回のゲームが実行されると、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別が段階的に絞られていくので、遊技者は、ベルカウンタが更新されると(複数回のゲームが実行されると)、複数回のゲームにわたっての、押し順と特定の図柄が表示されたか否かの結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測することが可能となる。
すなわち、演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定された処理内容(例えばARTゲームの種別)をメイン基板409側では把握することができないにもかかわらず、メイン基板409側での決定処理に対して影響を及ぼすことができる処理を、演出制御基板510又は演出制御基板520側で実行可能であるといえる。
ただし、演出制御基板510又は演出制御基板520側での処理がメイン基板409側での決定処理に対して影響を及ぼす程度に留めるのではなく、メイン基板409側で実行される処理を、演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定するようにしてもよい。さらに極端に言えば、演出制御基板510又は演出制御基板520により実行されるARTゲームの種別にかかわりなく、メイン基板409側で実行される制御内容を演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定することができる。演出制御基板510又は演出制御基板520側の処理で決定された情報についてはメイン基板409側では把握できないにもかかわらず、ARTゲームの種別判定処理と同様の処理を行なうことで、メイン基板409により実行される制御内容を、演出制御基板510又は演出制御基板520側の処理によって決定することが可能となる。例えばメイン基板409の制御負荷を軽減したいときに有効である。
(変形例)
なお、本実施形態では、図68のナビ抽選テーブルを見ても分かるように、ベルカウンタと、内部抽選の結果(「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれであるか)と、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別とに基づいて、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される押し順のナビを行うか否かが一義的に決まってしまう。この場合、複数回のゲームが行われると、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測できるといった楽しみを享受することができるものの、必ずしも、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測できた方がいいとは限らない。このような場合には、図68とは別のナビ抽選テーブルを用意し、ベルカウンタ1〜4の間において少なくとも1回は、これらのナビ抽選テーブルのうちいずれのナビ抽選テーブルを採用するかを決定し、決定されたナビ抽選テーブルを用いて押し順ナビの実行有無を決定するようにするとよい。これにより、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を遊技者に看破されてしまうことを防止できるという作用効果がある。
また、本実施形態では、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かをメイン基板409により判定することで演出制御基板510により押し順ナビが実行されたか否かを判定したため、1回のゲームでは2択となってしまう。すなわち、ARTゲームの種別が2種類より多い場合には、いずれの種別のARTゲームが実行されるかをメイン基板409により判定しようとすると、上述した本実施形態のように複数回のゲームを行うことで段階的に絞っていく必要がある。しかし、ARTゲームの種別数が例えば2種類しか用意されていなければ、本実施形態のように小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かをメイン基板409により判定する手法であっても、複数回のゲームを行わなくとも、1回のゲームで、実行される旨が決定されたARTゲームの種別を判定することができる。また、ARTゲームの種別数が例えば2種類より多い場合であって且つこの2種類以上のARTゲームのうちいずれかを実行する旨を決定するような場合であっても、1回のゲームでARTゲームの種別数と同数以上に絞ることができれば、複数回のゲームを行うことなく、1回のゲームで、実行される旨が決定されたARTゲームの種別を判定することができる。例えば、Aパターン〜FパターンのARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定される場合に、Aパターンに決定されたときは順押し、Bパターンに決定されたときははさみ押し、Cパターンに決定されたときは中押し、Dパターンに決定されたときは中逆押し、Eパターンに決定されたときは逆押し、Fパターンに決定されたときは逆はさみ押しが演出制御基板510によって押し順ナビされるようにすると、メイン基板409は、停止操作された順序に基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、1回のゲームで判定することが可能となる。
また、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、特定の図柄組み合わせ(本実施形態では小物17の図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されたか否かを複数回のゲームを行うことによって判定する場合であっても、必ずしも本実施形態のように段階的に絞っていく必要はない。例えば、複数回のゲームを行ったときに、1回目〜N回目(Nは2以上の整数)までのゲームにおける○と×との組み合わせ(特定の図柄が表示されたか否かの組み合わせ)により、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、メイン基板409により判定することが可能となる。
また、本実施形態では、特定の図柄組み合わせ(小物17の図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されたか否かによって演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定しているが、これに限られない。例えば、内部抽選において複数の役が重複当選したときに、入賞させるべき役(有効ライン上に表示させるべき図柄組み合わせに対応する役)を演出制御基板510によりナビし、実際に入賞した図柄組み合わせに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。また、リールに付された図柄を複数のゾーンに区分けし、いずれのゾーンで停止操作すべきであるか(停止操作すべきタイミング)を演出制御基板510によりナビし、実際に停止表示された図柄がいずれのゾーンに属する図柄であるかに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。さらには、複数用意されたスベリテーブルのうち特定のスベリテーブルが採用されるタイミングで停止操作されるように演出制御基板510によりナビし、実際に採用されたスベリテーブルに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、メイン基板409のCPU1110からのコマンドを演出制御基板510が受信し、演出制御基板510と演出制御基板520とが双方向通信することによって、演出制御基板510が各種演出動作の制御を行っているが、必ずしもこれに限られない。例えば、メイン基板409のCPU1110からのコマンドを演出制御基板520が受信し、演出制御基板510と演出制御基板520とが双方向通信することによって、演出制御基板520が各種演出動作の制御を行なうようにしてもよい。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。