JP2015050997A - 新規微細藻類及びこれを用いたバイオ燃料の産生方法 - Google Patents

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Takaaki Maekawa
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Abstract

【課題】経済性と事業性を確保できる増殖速度を有し、かつバイオ燃料の原料となる油脂の含有率が極めて高い新規な微細藻類を提供する。【解決手段】アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属に属する微細藻類であって、細胞の形状的特徴として、針状、15〜100μmの細胞長及び群体形成を有する、微細藻類。【選択図】なし

Description

本発明は、経済性と事業性を確保できる増殖速度を有し、かつバイオ燃料の原料となる油脂の含有率が極めて高い新規な微細藻類、及び該微細藻類を用いたバイオ燃料の産生方法に関する。
化石燃料の枯渇や大気汚染などの問題への対策として、再生可能エネルギーの持続可能な生産は、政府や産業界において極めて重要な課題となっている。近年、微細藻類を利用した再生可能なバイオ燃料の開発がバイオディーゼル燃料(BDF)を中心に試みられている。微細藻類は、光合成による有機炭素の生産効率が、高等植物類と比較して極めて高く、また、短期間での高密度培養が可能であるため、資源系バイオマスと呼ばれる間伐材、林地残材、作物植物などを用いた場合と比較して、生物燃料の産生における時間やコストを大幅に削減することが可能となる。
これまでに、微細藻類を効率よく増殖させるために、微細藻類の光合成反応に必要な光を培養液中に均一に分散照射するための光源及び攪拌器を備えたバイオリアクターやこれを用いた微細藻類の培養方法(特許文献1)、微細藻類の増殖に適した波長を発する光源を備えた培養装置やこれを用いた微細藻類の培養方法(特許文献2)、ならびに従属栄養条件で微細藻類の呼吸によって発生する二酸化炭素を微細藻類の光合成に活用するために、従属栄養条件でも微細藻類の光合成における光反応系に有効な光質及び光量子を照射するための光源を備えた連続培養装置やこれを用いた微細藻類の連続培養方法(特許文献3)が知られている。
また、バイオ燃料の原料としてユーグレナを使用できることが報告されているが(非特許文献1)、ユーグレナは、食品・飼料としての需要があるため、食料としての需要と競合しない持続可能なバイオ燃料の原料が依然として必要とされる。
WO2010/100795 WO2011/065445 特開2012−183002号公報
Techno Inovation, Vol.21、No.1(通巻79号)2011, (株)筑波バイオテック研究所, 前川孝昭 J. Phycol. 42, 142-154 (2005), EVALUATING THE MORPHOSPECIES CONCEPT IN THE SELENASTRACEAE (CHLOROPHYCEAE, CHLOROPHYTA), Marvin W. Fawley et al. Fottea 10(1) 2010, Phylogenetic position of Ooplanctella planoconvexa, gen. et comb. nova and Echinocoleum elegans (Oocystaceae, Trebouxiophyceae, Chlorophyta, Marie Pazoutova et al. J. Phycol. 35, 838-843 (1999), THE RELATIONSHIP BETWEEN PSEUDOSCOURFIELDIA MARINA AND PYCNOCOCCUS PROVASOLII (PRASINOPHYCEAE, CHLOROPHYTA): EVIDENCE FROM 18S rDNA SEQUENCE DATA, Marvin W. Fawley et al. Toshiyuki Kimura, Chen Liu, Xiaohong Li, Takaaki Maekawa and Satio Asaoka (2012) Conversion of Isoprenoid Oil by Cataystic Cracking and Hydrocracking over Nanoporous Hybrid Catalysts.Journal of Biomedicine and Biotechnology. Article ID 637125.9 pages
本発明の課題は、経済性と事業性を確保できる増殖速度を有し、かつバイオ燃料の原料となる油脂の含有率が極めて高い新規な微細藻類、及び該微細藻類を用いたバイオ燃料の産生方法を提供することにある。
本発明者は、この度、国内で採取した約6000種もの藻類を1年以上かけてスクリーニングした結果、これまでに知られている微細藻類と比較して、有意な増殖速度を有し、かつバイオ燃料の原料として好適なパラフィン系油脂の含有率が極めて高い新規微細藻類を単離・培養することに成功した。かかる新規微細藻類をNew Strain X(NSX)と命名し、平成2011年3月25日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−22090で寄託した。
本願は以下の発明を包含する:
(1)アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属に属する微細藻類であって、細胞の形状的特徴として、針状、15〜100μmの細胞長及び群体形成を有する、微細藻類。
(2)微細藻類の乾燥重量に対して、少なくとも70重量%の油脂を含有することを特徴とする、(1)に記載の微細藻類。
(3)パラフィン系油脂の含有率がオレフィン系油脂の含有率よりも高いことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の微細藻類。
(4)特許生物寄託センターに受託番号FERM P−22090で寄託されている、(1)に記載の微細藻類。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の微細藻類の培養方法であって、該微細藻類を炭素源として水に可溶な炭水化物及び/又は水に可溶化させた二酸化炭素を含む培養液中で培養することを特徴とする、方法。
(6)前記炭水化物が単糖類、二糖類、多糖類及びこれらの組み合せからなる群から選択されることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の微細藻類を用いた、バイオ燃料の産生方法であって、酸性触媒を用いた加水分解により微細藻類中のリン脂質から遊離脂肪酸を分離し、かつ微細藻類の細胞内に存在する脂質及び遊離脂肪酸も含めて、アルコールでエステル化することを特徴とする、方法。
(8)前記酸性触媒が、硫酸、酢酸、又は塩酸であることを特徴とする、(7)に記載の方法。
(9)前記加水分解が、130℃〜160℃で行われることを特徴とする、(7)又は(8)に記載の方法。
(10)前記エステル化が、60℃〜100℃で行われることを特徴とする、(7)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)前記アルコールが、メタノール又はエタノールであることを特徴とする、(7)〜(10)のいずれかに記載の方法。
本発明により、効率的かつ持続的にバイオ燃料を供給することが可能となる。
18S rRNA配列により解析されたNSXの系統樹を示す。 従属栄養(グルコース濃度3g/L)と独立栄養(CO2濃度2%の空気流量50L/分)とを併用して培養したNSXの増殖速度を示す。 独立栄養(CO2濃度2%の空気流量50L/分)のみで培養したNSXの増殖速度を示す。 ユーグレナ・ グラシリス(Euglena gracilis)、セネデスムス・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)及びNSXの脂肪酸組成及び遊離脂肪酸含有率を示す。
本発明の微細藻類は、以下の実施例に示される細胞の形状的特徴や18S rRNA配列における系統解析に基づき、アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属に属する新規微細藻類であると推定された(藻類の系統解析については、例えば非特許文献2〜4を参照のこと)。アンキストロデスムス属は、淡水に生息する浮遊性微細藻類であり、河川の中・下流、池、水田及び水路などに幅広く、日本各地に存在する。アンキストロデスムス属は、約1〜8μmの細胞幅;約15〜100μmの細胞長;釣鐘状、三日月状又は針状の形状;群体形成(明瞭な粘質を有さない);1個の葉緑体;ピレノイドが存在しない、といった細胞の形態学的特徴を有する。
本発明の新規微細藻類は、以下の実施例に示されるとおり有意な増殖速度を有する。藻類の乾物基準での生産性が1kg−d.m./m3/日以上を確保できれば、一般に事業性が期待できるものと考えられている。また、本発明の新規微細藻類は、極めて高い脂質含有率を有しており、微細藻類の乾燥重量に対して、少なくとも60重量%、好適には、少なくとも70重量%、典型的には70重量%〜80重量%の油脂を含有する。したがって、本発明の新規微細藻類は、バイオ燃料の製造において十分な経済性・事業性を有するものである。また、本発明の新規微細藻類に含有される油脂は、炭素鎖数としてC16及びC18を有するものが主体であり、また、パラフィン系油脂の含有率が極めて高い。このため、本発明の新規微細藻類は、バイオディーゼル燃料(BDF:脂肪酸メチルエステル、学術用語ではFAMEと表す。以下BDFで示す)や航空機燃料といったバイオ燃料の原料として極めて有用である。
バイオディーゼル燃料(BDF)は、バイオマス由来の油脂に対して、ディーゼルエンジンに適合するように化学処理することにより改質した燃料の総称である。一般には、バイオディーゼルとして国際的に規格化されているものは、脂肪酸メチルエステルのみであるが、これに限定されない。油脂は粘度が高いなどの特徴を有しており、そのままディーゼルエンジンの燃料として使用した場合、噴射ポンプや噴射ノズルに析出物が付着して不具合が発生することが懸念される。このため、BDFの産生は、原料となる油脂からグリセリンをエステル交換により取り除き粘度を下げる等の化学処理を施すことにより、油脂を軽油に近い物性に変換することにより行われる。具体的には、油脂にメタノールと触媒を加えてエステル交換反応を起こし、これに酸を加えて中和させたうえで、脂肪酸メチルエステルとグリセリンに分離させる。分離した脂肪酸メチルエステルを水洗処理してアルカリ触媒を取り除き、さらに蒸留処理をすることでメタノールを除去したものが、BDFとなり、例えば、自動車や船舶などのディーゼルエンジンの燃料として用いることが可能である。また、BDFは、水素と触媒下にて高温で反応させて炭化水素化させることにより、航空機燃料に変換できる。バイオディーゼル燃料品質規制については、欧州ではEN14214において軽油に混合しない状態での性状を規定しており、日本においては、揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則の改正により、FAME混合軽油について満たすべき基準が設けられている。また、民間航空機用の航空機燃料規格は、国際的にASTM D1655によって規定されており、2009年にCTL/GTLの50%混合燃料がASTM D1655と同等な規格としてASTM D7566で承認された。そして2011年にはバイオ合成パラフィンケロシン(Bio−SPK)50%混合燃料がD7566の規格に追加承認されている。
本発明の新規微細藻類を培養するための培地としては、特に制限されないが、微細藻類の培養に通常使用されている培地を用いることができ、各種栄養塩、微量金属塩、ビタミン等を含んでよい。栄養塩としては、例えば、NaNO3、KNO3、NH4Cl、尿素などの窒素源、K2HPO4、KH2PO4、グリセロリン酸ナトリウムなどのリン源が挙げられる。また、微量金属としては、鉄、マグネシウム、マンガン、カルシウム、銅、亜鉛等が挙げられ、ビタミンとしてはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12等が挙げられる。特に好ましい培養液の組成については以下の表1に示されている。また、培地中に存在するバクテリアによる微細藻類の増殖阻害を防ぐために、培地を加熱滅菌(好適には75〜121℃で15〜60分間)又は0.2μm以下のフィルターでろ過することが好ましい。
本発明の新規微細藻類の培養は、微細藻類の光合成能力を高めるために、藻類の光合成における光反応系に必要な光を微細藻類に均一に照射して行われる。培養液を攪拌することにより、光を微細藻類に均一に照射することが好ましい。さらに、内部で発生する二酸化炭素を独立栄養的に光合成するために、430〜480nm、560〜620nm及び/又は675〜685nmの中心波長を有し、かつ短波長基準の光量子量の比率がそれぞれ0.5〜5及び4〜10からなる光を発生できる、1又は複数の光源を用いることが好ましい。このような光源としては、例えば発光ダイオードが挙げられる。中心波長及び短波長基準の光量子量の比率を上記のように設定することにより、従属栄養下での栄養源による光量子の吸収による減衰を防止し、従属栄養下で微細藻類の呼吸によって発生した二酸化炭素を光合成することで微細藻類の光合成反応を高めることができる。微細藻類の増殖に必要な最小光量子量は、本発明に係る光発光体の光合成有効放射(PAR)(400nm〜700nmの光量子量)では3〜5μE/s/m2以上とすることが好ましい。
本発明の新規微細藻類の培養における従属栄養下では、炭素源として水に可溶な炭水化物を培地に加えることが好ましい。このような炭水化物としては、例えば、グルコース、フルクトース、キシロース又はキシリトールなどの6単糖類及び5単糖類、蔗糖、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、イヌリンなどの2糖類又は多糖類、木質セルロース、竹の茎、ササの葉、バガスやこれらの植物に含まれる多糖類の酸、アルカリ又は酵素による加水分解物、あるいはこれらの組み合せが挙げられる。特に好ましいものはグルコースである。
微細藻類を培養するためのバイオリアクター又はそれを用いた培養方法については特許文献1〜3に詳しく開示されており、これらは本発明の新規微細藻類を大量培養する際に利用することができる。
このようにして培養した本発明の新規微細藻類を用いて、バイオ燃料が産生される。一般に、藻類からバイオ燃料を産生する場合には、藻類を乾燥させてから細胞膜を破砕し、その後、ヘキサンやエーテルなどの非極性有機溶媒を用いて脂質を抽出することによって行われる。しかしながら、本発明者は、この度、藻類の油脂が遊離脂肪酸を持ち、かつ細胞内でリン脂質の形態でも存在することに着目し、酸性触媒を用いて加水分解することにより、BDFの収率を有意に増大できることを見出した。
酸性触媒を用いた加水分解法を用いることにより、従来の溶媒抽出では得られなかった遊離脂肪酸を回収することが可能となる。加水分解として用いることができる酸性触媒は、バイオ燃料の製造に不利益とならない限り特に制限されないが、硫酸、酢酸、又は塩酸が挙げられ、特に硫酸が好ましい。加水分解の反応温度は、好適には130℃〜160℃である。
また、加水分解法を用いた場合には、大量の水の存在下で、アルコールによるエステル化反応が行われることになるため、エステル化率が低下するものと考えられるが、本発明者は、鋭意検討した結果、上記加水分解時の温度を下げて、一定の温度でエステル化を行うことにより、高いエステル化率とBDF収率をもたらすことに成功した。このようなエステル化の温度は、典型的には60℃〜100℃、好適には70℃〜90℃、最適には80℃である。エステル化に用いられるアルコールは、バイオ燃料を産生できる限り特に限定されないが、典型的にはメタノール又はエタノールである。
このようにして得られたBDFは、更に精製されることが好ましい。精製は、沈殿分離、カラム分離、液相分離、比重分離、蒸留分離など、種々の分離方法を使用することができる。
このように、本発明の新規微細藻類により、商業的ベースにおいて経済性を確保する水準でバイオ燃料を産生することが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
1.新規株NSXの取得
千葉県千葉市稲毛区内の池からガラス瓶により採水し、採水したサンプルから、倒立顕微鏡下で異物とみられる他種藻類の除去を行い、目的とする微細藻類を単離した。その後、単離した微細藻類を滅菌MDM培地(表1)において数回行い、1週間ごとに植え継ぎ、形態学的にそろった段階で好気下、静置培養した。その後、滅菌MDM培地に2%w/w寒天を加えた培地で一か月ごとに植え継ぐことで継代培養を行った。
新規微細藻類の具体的特徴は、以下のとおりである。
培養液の外観的特徴:緑色の懸濁液(明瞭なコロニー又はカルスを形成しない)
細胞の形状的特徴
形状:針状
大きさ:15〜100μm
群体形成の有無:有
光要求性
光強度:50〜100μmol/m2・s
明暗周期:不要
2.NSXの系統解析
18S rRNAのスペーサー領域に、ユニバーサルプライマーとして、ITS1−F(CTTGGTCATTTAGAGGAAGTAA)およびITS1−R((t/a)TGGT(c/t)(a/g/t)(t/c)AGAGGAAGTAA)を使用した(系統解析のプライマーについては、例えば、Conserved primier sequences for PCR amplification and sequencing from nuclear ribosomal RNA, Vilgalys lab, DUKE University, http://biology.duke.edu/fungi/mycolab/primers.htmを参照のこと)。この領域の産物をPCRによるDNAの増殖を図ったのち、これをアガロースゲル電気泳動により分析したところ、300bp付近が最も濃いバンド形成がみられた。この付近の塩基配列に対して、インターネット内のBLASTを用いて、ITS1領域の塩基配列(270bp付近)相同性検索を行った。この結果、NSXはアンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属と推定され、形態学的な分類とも一致した。
上記の検索とBLAST内のGenBandの塩基配列を用いて近隣結合系統樹の作成を行った(図1)。この結果、NSXはシーケンス法を用いることで、同属のアンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属と分離できること、NSXはこれまでに登録されている株とは異なる株であることが確認された。
3.NSXの培養
従属栄養(グルコース濃度3g/L)と独立栄養(CO2濃度2%の空気流量50L/分)の同時反応操作を行うステンレス製バイオリアクター(1,000L)において、滅菌MDM培地中、最低の光量子強度(400〜700nmの波長範囲)35μmol/m2・sで培養し、1回の引抜量を500/Lとして1日あたりの増殖速度を求めた結果、平均増殖速度は0.998g/L/日であった(図2)。
独立栄養(CO2濃度2%の空気流量50L/分)だけの操作を行うステンレス製バイオリアクター(1,000L)において、上記と同じ条件下で培養した時の平均増殖速度は0.57g/L/日であった(図3)。また、同じ独立栄養培養条件下(CO2濃度2%の空気流量50L/分)で培養した他の3種の微細藻類(ユードリナ、セネデスムス、クロレラ)と比較した結果、NSXは有意な増殖速度を有することが判明した(結果は示さない)。
これらの結果は、NSXが商業的ベースにおいて経済性を確保する水準であることを示す。
4.NSXの抽出
NSX乾物重量に対して5%の酸性触媒(硫酸)を用い、表2に示される温度・時間にて加水分解を行い、バイオ燃料として脂肪酸を抽出した。当該加水分解法を用いることにより、溶媒抽出では得られない遊離脂肪酸を回収することができ、従来法における脂肪酸 収率を著しく改善することができる。
なお、上記加水分解操作では水分がおよそ90%となるため、この水の存在によってエステル化率が低いと推定されていた。しかしながら、表3に示す通り、2種類のアルコール(メタノール及びエタノール)に対するエステル化において、加水分解時の反応温度を80℃に下げることによって、加水分解に用いた反応器で高いバイオディーゼル燃料(BDF)収率を得ることができた。これにより、BDFを得るためのプロセス時間を半減することができる。
図4に示す通り、パラフィン系脂肪鎖を多く含むNSXはバイオ航空燃料の規格ASTM D7566の要求に対して、他のユーグレナ属やセネデスムス属より有利である。また非特許文献5に記載される脱炭酸・水素化における炭化水素の製造工程では、添加する水素の量を低く保てるため、ジェット燃料の低コスト化にNSXは有利である。一方NSXは遊離脂肪酸(FFA)の含有量がやや高いためにエステル化率が従来法では低くなる傾向にあるが、上述したとおり、リン脂質の加水分解法によって、脂肪酸収率を有意に改善することができ、また、加水分解を行った反応器においてそのままエステル化することができるので、BDF化をふくめた全体のプロセス時間の短縮が従来法の半分になる、といった優位性を確保することができる。NSX以外の2種のオレフィンの多い藻類(Euglena gracilis及びScenedesmus dimorphus)についても同様の結果が得られた。

Claims (11)

  1. アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)属に属する微細藻類であって、細胞の形状的特徴として、針状、15〜100μmの細胞長及び群体形成を有する、微細藻類。
  2. 微細藻類の乾燥重量に対して、少なくとも70重量%の油脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の微細藻類。
  3. パラフィン系油脂の含有率がオレフィン系油脂の含有率よりも高いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の微細藻類。
  4. 特許生物寄託センターに受託番号FERM P-22090で寄託されている、請求項1に記載の微細藻類。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細藻類の培養方法であって、該微細藻類を炭素源として水に可溶な炭水化物及び/又は水に可溶化させた二酸化炭素を含む培養液中で培養することを特徴とする、方法。
  6. 前記炭水化物が、単糖類、二糖類、多糖類及びこれらの組み合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細藻類を用いた、バイオ燃料の産生方法であって、酸性触媒を用いた加水分解により微細藻類中のリン脂質から遊離脂肪酸を分離し、かつ微細藻類の細胞内に存在する脂質及び遊離脂肪酸も含めて、アルコールでエステル化することを特徴とする、方法。
  8. 前記酸性触媒が、硫酸、酢酸、又は塩酸であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記加水分解が、130℃〜160℃で行われることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記エステル化が、60℃〜100℃で行われることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記アルコールが、メタノール又はエタノールであることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
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