本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置及びシステムは、以下の実施の形態の構成には限定されない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の移動通信システムの構成を示すブロック図である。
本発明の一形態である移動通信システム100は、携帯通信端末10、11及び移動通信網の無線アクセス網を構成する無線基地局装置12を構成要素とする。例えば、移動通信システム100は、無線基地局装置12以外にも多数の無線基地局装置が配備され、多数のセルで構成される無線アクセス網を備えた携帯電話システムである。
無線基地局装置12は、移動通信網の上位装置13から制御指示を受け、受信した制御指示を配下に在圏する携帯通信端末10、11に対して中継する。また、無線基地局装置12は、制御指示として受けた上位装置13の輻輳通知情報に対応する無線リソースを算出する。
携帯通信端末10、11は、移動通信インタフェース手段101、111と無線インタフェース手段102、112とを含む。移動通信インタフェース手段101、111は、無線基地局装置12を介して移動通信網と通信を行う。無線インタフェース手段102、112は、無線親機または無線子機として動作して、無線親機と無線子機との間での無線通信を行う。なお、無線親機と無線子機との間での無線通信は、無線基地局装置12との間で行われる移動通信網の無線通信とは独立して通信する、いわゆるアドホック無線通信である。
携帯通信端末10、11は、無線親機・子機関係の構成を指示する親機子機関係構成起動要求を受けると、無線インタフェース手段102、112による通信が可能な範囲内に存在する他の携帯通信端末との間で無線親機・子機関係を構成する。親機子機関係構成起動要求は、移動通信網の上位装置13が送信する制御指示の一つである。
無線子機として動作する携帯通信端末(例えば、携帯通信端末11)は、無線基地局装置12と移動通信インタフェース手段111により接続していた無線アクセスリンクを切断する。そして、移動通信網に対する接続要求を、無線親機として動作する携帯通信端末(例えば、携帯通信端末10)に無線インタフェース手段112により発信する。
無線親機として動作する携帯通信端末10は、帰属する無線子機情報を上位装置13に伝達し、上位装置13の輻輳通知情報に対応する無線リソース割当を無線基地局装置12から受信する。そして、無線子機として動作する携帯通信端末11が発信する移動通信網への接続要求を受けると、無線リソース割当に応じて移動通信インタフェース手段101による音声通信を許容する。
次に、本発明の第1の実施形態の携帯通信端末を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の携帯通信端末の構成を示すブロック図である。図2に示す携帯通信端末は、図1における携帯通信端末10である。なお、図1における携帯通信端末11も同じ構成を有する。
携帯通信端末10は、移動通信インタフェース手段101、無線インタフェース手段102、親機子機関係構成手段103、無線親機手段104及び無線子機手段105を含んで構成される。
移動通信インタフェース手段101は、無線基地局装置12を介して移動通信網と通信を行う機能を有する。
無線インタフェース手段102は、無線親機または無線子機として動作して、無線親機と無線子機との間での無線通信を行う機能を有する。
親機子機関係構成手段103は、親機子機関係構成起動要求を受信して、無線インタフェース手段102による通信が可能な範囲内に存在する他の携帯通信端末11との間で無線親機・子機関係を構成する機能を有する。親機子機関係構成起動要求は、移動通信網の上位装置13が無線通信端末に無線親機・子機関係の構成を指示する目的で送信される。この親機子機関係構成起動要求は、無線基地局装置12を介して移動通信インタフェース手段101が受信し、親機子機関係構成手段103に伝達される。
無線親機手段104は、親機子機関係構成手段103により構成された無線親機・子機関係の無線親機として動作する制御を実行する機能を有する。
無線子機手段105は、親機子機関係構成手段103により構成された無線親機・子機関係の無線子機として動作する制御を実行する機能を有する。
つまり、携帯通信端末10が無線親機として動作する場合には、無線親機手段104が親機子機関係構成手段103により起動される。そして、携帯通信端末10が無線子機として動作する場合には、無線子機手段105が親機子機関係構成手段103により起動される。
無線子機手段105は、無線基地局装置12と移動通信インタフェース手段101により接続していた無線アクセスリンクを切断し、移動通信網に対する接続要求を無線インタフェース手段102により無線親機に発信する機能を有する。
無線親機手段104は、帰属する無線子機情報を上位装置13に伝達し、上位装置13から通知された輻輳通知情報に対応して無線基地局装置12が算出した無線リソース割当を受信する。そして、無線親機手段104は無線子機が発信する接続要求を受けると、無線リソース割当に応じて移動通信インタフェース手段101による音声通信を許容する。
次に、本発明の第1の実施形態の動作を説明する。第1の実施形態では、携帯通信端末が無線基地局装置及び上位装置と協働して動作することによって、輻輳制御方法が実施される。よって、第1の実施形態における輻輳制御方法の説明は、以下の動作説明に代わる。
図3は、本発明の第1の実施形態の動作を説明するシーケンス図である。
まず、携帯通信端末が、移動通信網の上位装置から無線基地局装置を介して、無線親機・子機関係の構成を指示する親機子機関係構成起動要求を受信する(S101)。この携帯通信端末は、前述したように無線基地局装置を介して移動通信網と通信を行う移動通信インタフェース手段と、無線親機または無線子機として動作して、無線親機と無線子機との間での無線通信を行う無線インタフェース手段とを含む。
親機子機関係構成起動要求を受信した携帯通信端末は、無線インタフェース手段による通信が可能な範囲内に存在する他の携帯通信端末との間で無線親機・子機関係を構成する(S102)。
構成した無線親機・子機関係の無線親機として動作する携帯通信端末は、帰属する無線子機として動作する携帯通信端末情報(帰属子機情報)を上位装置に伝達する(S103)。
構成した無線親機・子機関係の無線子機として動作する携帯通信端末は、無線基地局装置と移動通信インタフェース手段により接続していた無線アクセスリンクを切断する(S104)。
また、無線親機として動作する携帯通信端末は、上位装置から通知された輻輳通知情報(S105)に対応して無線基地局装置が算出(S106)した無線リソース割当を受信する(S107)。
そして、無線子機として動作する携帯通信端末が、移動通信網に対する接続要求を、無線親機として動作する携帯通信端末に無線インタフェース手段により発信する(S108)。
無線親機として動作する携帯通信端末は、無線子機として動作する携帯通信端末が発信する移動通信網への接続要求を受けると、無線リソース割当に応じて移動通信インタフェース手段による音声通信を許容する。
具体的には、無線親機として動作する携帯通信端末は、無線リソース割当に応じて、接続要求のあった音声通信の通話許可判断を行う(S109)。音声通信を許容する場合、無線親機として動作する携帯通信端末は、無線子機として動作する携帯通信端末に無線インタフェース手段により接続応答を返し、移動通信インタフェース手段により移動通信網に発呼要求を行う(S110)。無線親機として動作する携帯通信端末は、移動通信網から発呼応答を受信すると(S111)、無線子機として動作する携帯通信端末に音声通信を実行させる(S112)。この場合、無線子機として動作する携帯通信端末と無線親機として動作する携帯通信端末との間の通信は無線インタフェース手段により行われる。そして、無線親機として動作する携帯通信端末と移動通信網との間の通信は移動通信インタフェース手段により行われる。
このように、本実施形態は、上位装置からの指示により携帯通信端末間で無線親機・子機関係を構成する。そして、無線子機として動作する携帯通信端末は、それまで接続していた無線基地局装置との間の無線アクセスリンクを切断する。これにより、無線子機として動作する携帯通信端末の数だけ無線アクセス網における無線リソースが削減される。その一方で、上位装置は、帰属子機情報を受け取っているので、無線基地局装置との間の無線アクセスリンクを切断した無線子機として動作する携帯通信端末に対しても在圏端末としての管理をすることができる。そして、無線子機として動作する携帯通信端末は、無線親機として動作する携帯通信端末を介して移動通信網への通話が行えるようになる。また、無線親機として動作する携帯通信端末は音声通信の接続要求を優先させて処理する。そして、リソース割当を受けているので、無線子機として動作する携帯通信端末が要求する通話の可否を判断することができる。
以上に説明したように、本実施形態では、災害発生に起因するトラフィック増に対処して、移動通信システムの輻輳を防ぎ、音声通信を許容することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態の移動通信システムの構成を示すブロック図である。第2の実施形態の移動通信システム200はLTE(Long term Evolution)を想定する。
移動通信システム200のコア網は、EPC(Evolved Packet Core:発展型パケットコア)24と称し、図1の上位装置13に対応する装置としてMME(Mobile Management Entity:モビリティ管理装置)23を含む。また、無線アクセス網の無線基地局装置としてeNodeB(evolved Node B)22が設置され、配下に在圏する携帯通信端末20、21との間を、LTEで規定された無線アクセス方式により接続する。
MME23は、各装置間で通話やネットワークを制御するための信号を伝達する制御プレーンのアクセスゲートウェイとして位置づけられる。
EPC24にはMME23以外に、ユーザデータを伝達するユーザプレーンを扱うゲートウェイであるS-GW(Serving Gateway)、外部網に接続するためのゲートウェイであるP-GW(Packet data network Gateway)等を含む。なお、図4におけるS-GWやP-GW等の装置の図示は省略した。また、加入者情報を管理する図示しないHSS(Home Subscriber Server)が設置され、MME23との間で位置登録の管理やサービスに関する各種のプロファイル提供を行う。
携帯通信端末20、21は、LTE通信機能と無線LAN機能を備えた端末である。携帯通信端末20は、後述する無線LAN親機として動作する端末で、携帯端末21は無線LAN子機として動作する端末である。
次に、図5を参照して携帯通信端末の構成を説明する。携帯通信端末20も携帯通信端末21も同じ構成なので、図5は携帯通信端末20の構成を示す。
携帯通信端末20は、LTEインタフェース部201、無線LAN(Local Area Network)インタフェース部202、親機子機関係構成部203、無線LAN親機機能部204及び無線LAN子機機能部205を含む構成になっている。
なお、携帯通信端末20は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等であって、図5に示す構成以外に、送受信機部、端末全体の制御や記憶機能を果たすコンピュータやメモリ、及び入出力部を含むことは言うまでもない。また、携帯通信端末20を構成する各部は、メモリに蓄積されたプログラムが読みだされて、コンピュータがそれを実行することにより動作するように構成されてもよい。
LTEインタフェース部201は、eNodeB22との間をLTEで規定された無線アクセス方式で接続し、EPC24との間で制御情報を送受信する。
無線LANインタフェース部202は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11規格の無線LAN親機又は子機として動作する。
親機子機関係構成部203は、EPC24からの指示を受けて、無線LANインタフェース部202による通信が可能な範囲内に存在する他の携帯通信端末との間で無線LAN親機・子機関係を構成する機能を有する。
無線LAN親機機能部204は、親機子機関係構成部203により構成された無線LAN親機・子機関係の無線LAN親機として動作する場合の制御を実行する機能を有する。無線LAN親機機能部204は、配下に帰属する子機情報を登録して管理するための帰属子機テーブル2041、eNodeB22から通知される割当無線リソース情報を登録する割当リソース登録部2042を含む。また、後述する無線LAN子機からの接続要求の可否を判定して、無線LAN子機に対する接続処理を実行する接続処理部2043も含む。
無線LAN子機機能部205は、親機子機関係構成部203により構成された無線LAN親機・子機関係の無線LAN子機として動作する場合の制御を実行する機能を有する。
図6乃至図8を参照して、輻輳状態が発生してから無線LAN親機として構成された携帯通信端末に対して輻輳通知情報に基づく無線リソース割当を行うまでの動作を説明する。
図6は、輻輳状態が発生してから無線LAN親機として構成された携帯通信端末に対して輻輳通知情報に基づくリソース割当を行うまでの動作を説明するシーケンス図である。
図7は、親機子機関係構成起動要求を受信した携帯通信端末が実行する無線LAN親機・子機関係を構成する動作の一例を説明するフロー図である。また、図8は、 携帯通信端末が実行する無線LAN親機・子機関係を構成する動作の別の一例を説明するフロー図である。
図6において、災害等が発生して通信の輻輳状態が発生すると、EPC24は、在圏する携帯通信端末に対して無線LANの親機・子機関係を構成するように指示する親機子機関係構成起動要求を送信する(S201)。親機子機関係構成起動要求はeNodeB22を介して各携帯通信端末にて受信される。
携帯通信端末では、親機子機関係構成起動要求はLTEインタフェース部201で受信され、親機子機関係構成部203に伝達される。親機子機関係構成起動要求を受信した親機子機関係構成部203は、図6におけるステップS202の無線LAN親機子機関係構成の動作を実行する。
図6におけるステップS202の無線LAN親機子機関係構成の動作として、図7に示す動作と図8に示す動作をそれぞれ説明する。なお、図7、図8には、図6におけるステップS204までの動作も説明されている。
図7に示す無線LAN親機子機関係構成の動作は、EPC24が、無線LAN親機となるべき携帯通信端末を指定する情報を親機子機関係構成起動要求に含めて送信する場合の動作例である。
EPC24は管理している在圏端末の分布状況や輻輳状況に基づいて、各eNodeB配下の携帯通信端末の数に応じて、無線LAN親機となるべき携帯通信端末の数を決める。そして、その数だけ任意に無線LAN親機となるべき携帯通信端末を選択し、無線LAN親機となるべく選択された携帯通信端末の端末識別子を親機子機関係構成起動要求に含めて送信する。例えば、無線LAN親機1台に対して子機が5台帰属するような割合で無線LAN親機となるべき携帯通信端末の数を決めてもよい。また、このとき、最大帰属子機数を親機子機関係構成起動要求に含めて指定してもよい。例えば、1台の無線LAN親機に帰属を許容される子機数を5台に制限してもよい。
上記のような親機子機関係構成起動要求を親機子機関係構成部203が受信する(S301)。
親機子機関係構成部203は、受信した親機子機関係構成起動要求に含まれる親機指定情報の有無を確認する(S302)。親機指定情報の有無とは、無線LAN親機となるべく選択された携帯通信端末の端末識別子が当該携帯通信端末の端末識別子と一致するか否かを判定することである。
無線LAN親機となるべく選択された携帯通信端末の端末識別子が当該携帯通信端末の端末識別子と一致する場合(S302、有)、親機子機関係構成部203は、無線LAN親機機能部204を起動する(S303)。このとき、親機子機関係構成部203は、無線LAN親機機能部204に対して親機子機関係構成起動要求に含まれる最大帰属子機数の情報を伝達する。
無線LAN親機となるべく選択された携帯通信端末の端末識別子が当該携帯通信端末の端末識別子と一致しない場合(S302、無)、親機子機関係構成部203は無線LAN子機機能部205を起動する(S310)。
ステップS303からS309の動作は、当該携帯通信端末が無線LAN親機として構成される場合の動作である。また、ステップS310からS316の動作は、当該携帯通信端末が無線LAN子機として構成される場合の動作である。いずれの動作の場合も、無線LAN親機機能部204又は無線LAN子機機能部205の起動と同時に無線LANインタフェース部202も起動される。
まず、当該携帯通信端末が無線LAN親機として構成される場合の動作を説明する。
無線LAN親機機能部204は、無線LANインタフェース部202に対してビーコン送信を指示する(S304)。そして、ビーコン送信後は、子機からの認証要求を待つ(S305)。周辺に無線LAN子機となる携帯通信端末が存在する場合、このビーコンを受信して、親子関係を構成するための認証を要求してくる。
周辺に存在する無線LAN子機となる携帯通信端末から認証要求を受けると(S305、有)、無線LAN親機機能部204は、親機子機関係構成起動要求に含まれる最大帰属子機数の条件以内か否かを確認する(S306)。つまり、当該無線LAN親機に帰属する子機数が指定された最大帰属子機数を超えないようにする。したがって、もし、既に最大帰属子機数の子機を帰属させている場合には(S306、制限超)、受信した認証要求を受け付けない。
帰属する子機数が最大帰属子機数未満であれば(S306、制限以内)、無線LAN親機機能部204は、帰属を求めてきた無線LAN子機となる携帯通信端末と相互のアソシエーションを実行して帰属関係を構成する(S307)。このとき、無線LAN親機機能部204は、無線LAN子機となる携帯通信端末から受信した端末情報を、帰属子機テーブル2041に登録する。帰属子機テーブル2041に登録する端末情報として、携帯通信端末を特定する端末識別情報を少なくとも含むものとする。また、端末識別情報で特定される無線LAN子機となる携帯通信端末が空き状態であるか又は通話中状態であるかを示す状態情報も含まれる。
無線LAN親機機能部204は、無線LAN親機子機関係を構成した内容を親機子機関係構成起動要求の応答として、eNodeB22を介してEPC24に報告する(S309)。これは、図6におけるステップS204の動作でもある。
報告情報としては、無線LAN親機となる当該携帯通信端末の端末識別子及び帰属する子機となる携帯通信端末の端末識別子を含む。この報告は、周辺の子機と帰属関係を構成する度に報告してもよいし、親機子機関係構成起動要求を受けてから、所定時間内に帰属関係を構成した子機情報を一括して報告するようにしてもよい。また、無線LAN親機機能部204は、帰属した子機のその後の離脱や新たな子機との帰属関係が構成される度に、帰属子機テーブル2041の登録内容を更新し、その更新内容をEPC24に報告する。
次に、当該携帯通信端末が無線LAN子機として構成される場合の動作を説明する。
無線LAN子機機能部205は、無線LANインタフェース部202に対してビーコンスキャンを指示する(S311)。周辺に存在する無線LAN親機が送信するビーコンを受信すると、無線LAN子機機能部205はそれに対する認証要求を送信する。なお、このとき、プローブ要求、プローブ応答により周辺に存在する無線LAN親機を探すようにしてもよい。
認証要求が受け入れられると(S312、有)、無線LAN子機機能部205は無線LAN親機となる携帯通信端末と相互のアソシエーションを実行して帰属関係を構成する(S313)。このとき、無線LAN子機機能部205は、無線LAN親機となる携帯通信端末の端末識別子を含む親機情報を登録しておく。
一方、周辺に帰属可能な無線LAN親機がみつからない場合(ステップS312、無)、無線LAN子機機能部205は、ビーコンスキャンやプローブ要求を所定時間の間実行して無線LAN親機を探す(S315、時間内)。もし、所定時間を超過しても帰属可能な無線LAN親機が存在しない場合(S315、超過)、無線LAN子機機能部205は、無線LANインタフェース部202の動作を停止させ、規制状態になったことを図示しない表示部に表示する。
親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末に対する処置として、輻輳対策のため、以降の通信ができないように制御することが考えられる(第1の処置)。この場合、無線LAN子機機能部205は、親機・子機関係の構成が失敗したことを親機子機関係構成部203に通知する。親機・子機関係の構成失敗を通知された親機子機関係構成部203は、LTEインタフェース部201を介して親機・子機関係の構成失敗をEPC24に通知する。親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末は、移動通信網からの報知情報により通信が規制される。
また、親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末に対する処置として、無線リソースの一部を親機・子機関係の構成に失敗した携帯通信端末用に残しておくようにしてもよい(第2の処置)。この場合、無線LAN子機機能部205は、親機・子機関係の構成が失敗したことを親機子機関係構成部203に通知する。親機・子機関係の構成失敗を通知された親機子機関係構成部203は、LTEインタフェース部201を介して親機子機関係構成起動要求の応答として、eNodeB22を介してEPC24にその旨を報告する。親機・子機関係の構成が失敗したことをモニタしたeNodeB22は、無線LAN親機として動作する携帯通信端末にすべての無線リソースを割当てることなく、親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末に一部を使用するように制御する。
また、第2の処置が適用される場合、親機・子機関係の構成が未完了の携帯通信端末は、適宜、ビーコンスキャンやプローブ要求を実行して無線LAN親機を探すように構成してもよい。
上述した第1の処置又は第2の処置を採用するかは、輻輳の状況に応じてEPC24が親機子機関係構成起動要求に含めて指示するようにすればよい。つまり、無線LAN親機・子機関係を構成して、無線LAN親機を介した通信以外を規制するような輻輳状況の場合は第1の処置を指示する。そして、無線LAN親機を介した通信に加えて親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末単独の通信も許容できるような輻輳状況の場合は第2の処置を指示する。この場合、親機子機関係構成部203は、前述した図7のステップS302において、受信した親機子機関係構成起動要求に含まれる上述した第1の処置又は第2の処置の指示も確認する。そして、親機・子機関係の構成が失敗したことを無線LAN子機機能部205から通知された場合には、上述したようなそれぞれの指示に応じた制御を実行する。
以上が、無線LAN親機となるべき携帯通信端末を指定する情報が親機子機関係構成起動要求に含めて伝達される場合の動作例である。
次に、EPC24が、無線LAN親機子機関係を特に指定しない場合の無線LAN親機子機関係構成の動作について図8を参照して説明する。この場合、携帯通信端末は親機子機関係構成起動要求を受信するだけで、周辺の状況しだいで無線LAN親機になるか子機になるかが決まる。
親機子機関係構成起動要求を受信した親機子機関係構成部203は、無線LANインタフェース部202を起動し、周辺に無線LAN親機となっている携帯通信端末の有無を調べるためにビーコンスキャンを指示する(S402)。
無線LAN親機となっている携帯通信端末が送信するビーコンを受信できた場合(S403、有)、当該携帯通信端末は無線LAN子機となるべく、親機子機関係構成部203は、無線LAN子機機能部205を起動する(S404)。無線LAN子機機能部205は、無線LAN親機との間でアソシエーションを実行し(S405)、無線LAN親機となる携帯通信端末の端末識別子を含む親機情報を登録する(S406)。
一方、ビーコンスキャンをしても無線LAN親機が見つからない場合(S403、無)、今度は、当該携帯通信端末が無線LAN親機として動作することを試みる。つまり、親機子機関係構成部203は、無線LAN親機機能部204を起動する(S407)。無線LAN親機機能部204は、無線LANインタフェース部202に対してビーコン送信を指示する(S408)。
ビーコン送信後は、子機からの認証要求を待つ(S409)。周辺に無線LAN子機となる携帯通信端末が存在する場合、このビーコンを受信して、親子関係を構成するための認証を要求してくる。
周辺の無線LAN子機となる携帯通信端末から認証要求を受けると(S409、有)、無線LAN親機機能部204は、帰属を求めてきた無線LAN子機となる携帯通信端末とアソシエーションを実行して帰属関係を構成する(S410)。このとき、無線LAN親機機能部204は、無線LAN子機となる携帯通信端末から受信した端末情報を、帰属子機テーブル2041に登録する。帰属子機テーブル2041に登録する端末情報として、携帯通信端末を特定する端末識別情報を少なくとも含むものとする。
また、無線LAN親機機能部204は、無線LAN親機子機関係を構成した内容を親機子機関係構成起動要求の応答として、eNodeB22を介してEPC24に報告する(S412)。これは、図6におけるステップS204の動作でもある。
報告情報としては、当該携帯通信端末が無線LAN親機となったこと、当該携帯通信端末の端末識別子及び帰属する子機となる携帯通信端末の端末識別子を含む。一旦無線LAN親機となった携帯通信端末は、帰属した子機のその後の離脱や新たな子機との帰属関係が構成される度に、帰属子機テーブル2041の登録内容を更新し、その更新内容をEPC24に報告する。
一方、ビーコン送信をしても無線LAN子機からの帰属要求がない場合(S409、無)、無線LAN親機機能部204は、ビーコン送信を所定時間の間実行して無線LAN子機からの帰属要求を待つ(S413、時間内)。もし、所定時間を超過しても無線LAN子機からの帰属要求がない場合(S413、超過)、無線LAN親機機能部204は、無線LANインタフェース部202の動作を停止させ、規制状態になったことを図示しない表示部に表示する。そして、無線LAN親機機能部204は、親機・子機関係の構成が失敗したことを親機子機関係構成部203に通知する。
親機・子機関係の構成が失敗した場合の処置としては、図7を参照して説明した第1の処置又は第2の処置が実行される。つまり、無線LAN親機・子機関係を構成して、無線LAN親機を介した通信以外を規制するような輻輳状況の場合は第1の処置が実行される。そして、無線LAN親機を介した通信に加えて親機・子機関係の構成が失敗した携帯通信端末単独の通信も許容できるような輻輳状況の場合は第2の処置が実行される。
この場合、親機子機関係構成部203は、前述した図8のステップS401において、親機子機関係構成起動要求を受信した際に、上述した第1の処置又は第2の処置の指示を確認する。そして、親機・子機関係の構成が失敗したことを無線LAN親機機能部204から通知された場合には、上述したようなそれぞれの指示に応じた制御を実行する。
また、図7での説明と同様に、第2の処置が適用される場合、親機・子機関係の構成が未完了の携帯通信端末は、適宜、ビーコンスキャンやプローブ要求を実行して無線LAN親機を探すように構成してもよい。
以上、図7及び図8を参照して、図6におけるステップS202からS204にかかわる動作を説明した。
図6を再度参照すると、EPC24は、親機子機関係構成起動要求の応答として、無線LAN親機となった携帯通信端末がステップS204で送信する親機子機関係構成報告を受信する。親機子機関係構成報告には、無線LAN親機となった携帯通信端末の端末識別子及び帰属する子機となる携帯通信端末の端末識別子を含む。
そして、EPC24は、ステップS205において、報告を受けた親機・子機関係を登録し、子機となった携帯通信端末を、その無線LAN親機と紐づけて在圏状態を管理する。
また、これと並行して、子機となった携帯通信端末は、EPC24及びeNodeB22に対して無線リンクを切断し、無線リソースを解放するデタッチ処理を行う(S206)。そして、子機となった携帯通信端末は、LTE通信をOFFとする(S207)。
この状態で、子機となった携帯通信端末では圏外状態になるが、在圏情報が無線LAN親機となった携帯通信端末から上位装置に通知されるので、通信は可能な状態になっている。つまり、通常はデタッチ処理を行うことにより通信網における在圏状態が削除されるが、本実施形態においては、子機となった携帯通信端末の在圏情報が無線LAN親機となった携帯通信端末を介して上位装置に通知されて在圏状態が維持される。
次に、災害発生等により接続要求が急増し、EPC24の処理能力が足りなくなる状況が懸念される場合、EPC24は、配下の各eNodeB22に対して、輻輳状況通知を出す(S208)。
輻輳状況通知を受信したeNodeB22は、無線リソースをどの端末にどの程度振り分けるかを算出する(S209)。
なお、輻輳状況通知は、EPC24の処理負荷に応じてeNodeB22に制御プレーン及びユーザプレーンのデータ量を削減させる目的で通知される。eNodeB22は、この輻輳状況通知からの情報によりユーザプレーンのデータ量を制限する。例えば、符号化率を変更してデータ量を調整する方法がある。eNodeB22は、この輻輳状況通知からの情報により制御プレーンのデータ量を制限する。例えば、接続要求に対する接続許可数を制限する方法がある。
また、輻輳対策としての制御プレーンの接続数を削減する制御は、前述したように、親機として動作する携帯通信端末の数をEPC24から指定することでも実現できる。
eNodeB22は、算出した無線リソースにもとづいて、無線LAN親機として動作する携帯通信端末に対して、無線リソースを固定的に割り当てて通知する(S210)。無線LAN親機として動作する携帯通信端末は、通知された割当無線リソースを割当リソース登録部2042に登録する。
なお、無線リソースとは、ユーザごとに使うことができる周波数帯域幅や送信電力などを意味する。LTEの場合、データの送受信を行うチャネルを複数のユーザで共有するシステムであり、共有データチャネル上の無線リソースを各ユーザに割り当てるスケジューリングがeNodeBにより行われる。
LTEの場合、周波数方向に12本のサブキャリア、時間方向に7シンボルで構成されたRB(Resource Block)を無線リソースの最小割当単位としている。そして、スケジューリングの最小単位時間のTTI(Transmission Time Interval)に、RBが1無線フレーム(10m秒)の1サブフレーム(1m秒)ごとに割り当てられる。このように、LTEの無線リソースは、時間軸方向がサブフレーム、周波数軸方向がRBで割り当てられる。そして、無線LAN親機として動作する各携帯通信端末に対して使用可能なサブフレームとRB範囲が固定的に割り当てられる。無線LAN親機として動作する携帯通信端末は、使用可能なサブフレームとRB範囲にもとづき、どのデータをどのRBのどの送信タイミングで送信するかを選択して通信する。
なお、このときeNodeB22は、ステップS206、S207で無線アクセスリンクを切断し、LTE通信をOFFにした無線LAN子機として動作する携帯通信端末を、自エリアに在圏する携帯通信端末としては意識しない。
次に、無線LAN子機として動作する携帯通信端末(以降は無線LAN子機と称する。)が無線LAN親機として動作する携帯通信端末(以降は無線LAN親機と称する。)に通話要求を行った場合の動作について図9を参照して説明する。
無線LAN子機が無線LANインタフェース部を介して無線LAN親機に音声通信の接続要求(呼設定要求メッセージ)を送信する(S501)。
呼設定要求メッセージを受信した無線LAN親機は、データ通信よりも音声通信を優先させたスケジューリングを行い、eNodeB22から通知された無線リソース量に応じて、要求された通話を許可するか否かを判断する(S502)。つまり、無線LAN親機は、呼設定要求メッセージを受信することで接続要求が音声通信であることを識別し、データ通信よりも優先させたスケジューリングを行う。この処理は、図5に示した無線LAN親機機能部204の接続処理部2043が実行する。なお、以降の図9の説明において、無線LAN親機が実行する処理は、特にことわりがない限り無線LAN親機機能部204の接続処理部2043が実行するものとする。
音声通信はリアルタイム性が重要となり、周期的に音声を送受信するための無線リソースを確保する必要がある。例えば、VoLTE(Voice over LTE)では、eNodeB22と携帯通信端末との間で、一定周期ごとに無線リソースの割り当てが行われるSemi-Persistent Schedulingなどの方法がある。
無線LAN親機は、図6のステップS210にてeNodeB22から通知された無線リソース割当情報と、無線LAN親機が通話中か否か及び他に通話中の無線LAN子機の存在とを考慮して、要求された通話を許可するか否かを判断する。つまり、無線LAN親機機能部204の接続処理部2043は、割当リソース登録部2042及び帰属子機テーブル2041を参照して、無線リソース割当に対して、何台分の端末の音声通信が可能であるかを判断する。これにより、本実施形態では通話許可判断を無線LAN親機で行うため、eNodeB22やEPC24に処理負荷をかけることがない。
このように、本実施形態では、eNodeB22から通知された無線リソース割当情報に応じて、通話可能な無線リソースが確保できる限りにおいて複数の無線LAN子機からの通話要求を許容する。
なお、無線LAN親機は、無線LAN子機から要求された通話を許容できないと判断した場合には、通話不可情報を無線LAN子機に返送する。通話不可情報を受信した無線LAN子機は、ユーザが繰り返して通話要求を行う操作をしても、所定の時間、次の通話要求を発信できないように構成してもよい。また、このとき、無線LAN子機の表示部に輻輳状態が発生していることを表示してもよい。
無線LAN子機からの通話要求を許容すると判断した無線LAN親機は、無線LAN子機に許容する音声通信の通話可能時間を算出して(S503)、接続応答とともに通話可能時間情報を無線LAN子機に通知する(S504)。通話可能時間情報を受信した無線LAN子機は、その通話可能時間を表示部に表示する(S505)。
また、無線LAN親機は、eNodeB22を経由してEPC24に対して無線LAN子機の呼設定のための発呼要求の制御信号を送る(S506)。このとき、制御信号には着信側の通信端末に通知する通話可能時間情報を含み、着信側の通信端末がそれを表示する機能を有していれば、着信側の通信端末においても通話可能時間が表示部に表示される。
その後、無線LAN親機は、着信側の通信端末からの発呼応答を受信すると(S507)、ユーザプレーン上の無線ベアラにおいて、無線LAN子機と着信側の通信端末との通話が可能なように設定する(S508)。
無線LAN子機と着信側の通信端末とが通話に入ると、無線LAN親機は通話終了時間を監視する(S509)。
そして、通話終了時間が満了すると、無線LAN親機は、無線LAN子機に対する通話の切断処理を行い、同時に、着信側の通信端末に対する通話の切断処理を行う(S510)。なお、無線LAN子機の表示部に表示された通話可能時間はカウントダウンして通話終了時間をユーザに逐次表示する。
以上、図6乃至図9を参照して、輻輳状態が発生してから無線LAN親機・子機関係を構成し、無線LAN子機が無線LAN親機を介して通話要求を行い、着信側の通信端末と通話を行う動作を説明した。
このように、本実施形態においては、輻輳状態に応じてEPC24が、在圏する携帯通信端末に対して無線LAN親機・子機関係を構成させることで、第1の輻輳対策が行われる。つまり、無線LAN子機に対してはeNodeBとの直接的なアクセスリンクを形成させないことで無線アクセスリンクに余裕ができる。
一方、無線LAN子機となった携帯通信端末に対しては、在圏状態を削除することなく無線LAN親機と紐づけて管理することで移動通信網での通信を許容する。
そして、eNodeB22ではEPC24の輻輳状況に応じて無線リソースをどの端末にどの程度振り分けるかを算出し、それを無線LAN親機に通知することで第2の輻輳対策が行われる。つまり、無線LAN親機は、無線LAN子機の移動通信網への通信は許容するものの、それは割当てられた無線リソースが使える範囲内で許容するものである。そのため、EPC24の処理能力を大きく消費するような処理負荷の発生を抑えることができる。
なお、図を参照しての説明は省略したが、EPC24は無線LAN子機の在圏状態を削除することなく無線LAN親機と紐づけて管理することで、次のようにして無線LAN子機への着信を行うことができる。つまり、無線LAN子機への着信に際しては、EPC24は無線LAN子機と紐づいている無線LAN親機を特定する。そして、着信を通知するページング情報に着信対象の無線LAN子機の端末識別子および紐づいている無線LAN親機の端末識別子を含めて、eNodeB22を介して送信する。このページング情報を受信した無線LAN親機は、自装置の端末識別子で着信対象になっていることを知る。さらに、無線LAN子機の端末識別子を帰属子機テーブルから検索して、紐づいている無線LAN子機の端末識別子にもとづいて呼び出すべき無線LAN子機を特定する。そして、無線LAN親機は、特定した無線LAN子機に対して呼出信号を送信する。もちろんこのとき、着信側の無線LAN親機は、通知されている割当られた無線リソースの範囲内で、要求された無線LAN子機への着信を許可するか否かを判断する。したがって、通話を許可できないと判断した場合には、着信側の無線LAN親機は、着信応答できない旨の制御信号を返送する。
以上に説明したように、本実施形態では、災害発生に起因するトラフィック増に対処して、移動通信システムの輻輳を防ぎ、音声通信を許容することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。
第3の実施形態は、音声通信を許容するようにした第2の実施形態の構成に加えて、EPC24が送信する災害通知情報を無線LAN親機で受信格納し、それを帰属する配下の無線LAN子機に通知する構成を有する。
また、無線LAN子機のユーザが登録を希望する安否情報を安否情報登録データセンター等に登録する構成を有する。
図10は、本発明の第3の実施形態の携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態の携帯通信端末30は、図5に示した第2の実施形態の携帯通信端末20と類似の構成を備える。
携帯通信端末30は、LTEインタフェース部301、無線LANインタフェース部302、親機子機関係構成部303、無線LAN親機機能部304及び無線LAN子機機能部305を含む構成になっている。これらは、図5に示した第2の実施形態の携帯通信端末20のLTEインタフェース部201、無線LANインタフェース部202、親機子機関係構成部203、無線LAN親機機能部204及び無線LAN子機機能部205にそれぞれ対応する。
無線LAN親機機能部304は、帰属子機テーブル3041及び災害情報処理部3042を、第2の実施形態の携帯通信端末20の無線LAN親機機能部204が有する割当リソース登録部2042及び接続処理部2043に加えて備える。帰属子機テーブル3041は、第2の実施形態の携帯通信端末20の無線LAN親機機能部204が有する帰属子機テーブル2041と同じ機能を有する。つまり、配下に帰属する無線LAN子機の携帯通信端末を特定するための情報を含む。図10における割当リソース登録部2042及び接続処理部2043相当の構成の図示は省略している。
図11は、本発明の第3の実施形態の動作を説明するシーケンス図である。本実施形態における動作は、災害通知情報を無線LAN親機で受信格納し、それを帰属する配下の無線LAN子機に通知する動作と、無線LAN子機のユーザが登録を希望する安否情報を安否情報登録データセンター等に登録する動作がある。
まず、災害情報の通知に関する動作を説明する。
災害が発生して災害情報を携帯通信端末のユーザに配信する場合、災害情報センター等から災害情報の配信要求がEPC24に対して送信される。
EPC24は、受信した災害情報のメッセージを同報配信するようにeNodeB22に指示する(S601)。
eNodeB22は、配下の携帯通信端末に対して災害情報のメッセージを同報配信する(S602)。したがって、eNodeB22配下の無線LAN親機として動作する携帯通信端末は、この同報配信された災害情報のメッセージを受信することができる。しかし、無線LAN子機として動作する携帯通信端末は、eNodeB22と接続するアクセスリンクを有さないので、同報配信された災害情報のメッセージを受信することができない。
そのため、親機・子機関係を構成している場合、無線LAN親機として動作する携帯通信端末の無線LAN親機機能部304において、災害情報処理部3042が無線LAN子機として動作する携帯通信端末に対して災害情報を配信する。つまり、親機・子機関係を構成している場合、無線LAN親機機能部304の災害情報処理部3042は、受信した災害情報のメッセージを自端末の図示しない表示部に表示すると同時に、図示しない記憶部に格納する(S603)。
そして、帰属子機テーブル3041に登録されている無線LAN子機として動作する携帯通信端末を特定し、無線LANインタフェース部302からそれらの端末に対して災害情報のメッセージを同報配信する(S604)。
次に、無線LAN子機のユーザが災害時の安否情報を登録する場合の動作を説明する。
災害が発生した場合に各自の安否を確認するための安否確認サービスが提供される。例えば、各ユーザが自分の安否情報を安否情報データセンターに登録すると、特定の個人又は企業等に所属する複数の従業員の安否を確認したい者が特定のキーに基づいて検索することにより、所望の者の安否を確認することができる。また、類似のサービスとして、災害時に安否情報を登録する伝言板が提供される。これも、自分の安否を伝えたいユーザが伝言板に安否情報を登録する。そして、その者の安否を確認したい者は、電話番号をキーにして伝言板から所望の者の安否を確認することができる。
しかし、無線LAN子機として動作する携帯通信端末は、eNodeB22と接続するアクセスリンクを有さないので、安否情報を安否情報データセンターや伝言板に登録することができない。
そのため、親機・子機関係を構成している場合、無線LAN親機機能部304において、災害情報処理部3042が無線LAN子機として動作する携帯通信端末からの安否情報を受信し、それを安否情報データセンターや伝言板に登録する。
つまり、無線LAN子機で安否情報登録操作を行うと(S701)、安否登録要求が無線LANインタフェース部302を介して無線LAN親機に伝達される(S702)。
親機・子機関係を構成している場合、無線LAN親機機能部304の災害情報処理部3042は、無線LAN子機から受信した安否情報を一旦格納する(S703)。所定時間内に複数の安否登録要求を受信するような場合、それらの安否情報をすべて格納する。
その後、eNodeB22を介してEPC24に対して安否情報登録要求を行って(S704)、安否情報を安否情報データセンターや伝言板に登録する。複数の安否登録が格納されている場合には、それらを一括した安否情報登録要求としてEPC24に送信する。
EPC24に対して安否情報登録要求を行うと、災害情報処理部3042は、無線LANインタフェース部302を介して無線LAN子機に安否情報登録応答を返送して登録の完了を通知する(S705)。
以上に説明したように、本実施形態では、無線LAN子機として動作する携帯通信端末とeNodeB22との間の無線アクセスリンクを削除しているような状況下においても、災害時の情報伝達サービスを確実に提供することができる。