JP2015045679A - 光学素子の製造方法、光学素子、偏光無依存型位相変調素子 - Google Patents

光学素子の製造方法、光学素子、偏光無依存型位相変調素子 Download PDF

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浩之 吉田
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雅則 尾▲崎▼
曜 井上
Akira Inoue
曜 井上
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Abstract

【課題】製造段階においてモノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されていても、液晶分子の配列が強固に維持されて、電界が除去された時の応答速度の改善等が可能となる光学素子を製造する方法を提供する。【解決手段】モノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されて、混合物が生成される(ステップS1)。その後、前記混合物中の前記液晶が液晶相を示し、かつ温度が−10?C以下の雰囲気の下で、前記混合物中の前記モノマーが重合する(ステップS2)。【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子を製造する方法、及び光学素子、並びにその光学素子を応用した偏光無依存型位相変調素子に関し、特に、ポリマーと液晶とを含み、そのポリマーと液晶とが複合化されている光学素子に関する。
液晶は比較的大きな複屈折及び流動性を有しており、液晶に電界が印加されると、液晶の屈折率が変化する(電気光学効果)。液晶は、このような電気光学的な応答特性を有することから、液晶ディスプレイ等の電子デバイスに応用されている。
液晶の電気光学的な応答特性は、液晶分子の集団配列に由来する。つまり、液晶に電界が印加されることで、その液晶を構成する液晶分子の配列が変化し、それによって液晶の屈折率が変化する。しかし、電界が除去された時に、その電界が印加される前の元の状態に液晶分子の配列が戻る変化は、その分子配列の復元力に依拠する。このため、電界が除去された時に起こる液晶の屈折率の変化に要する時間(応答時間)は、一般的に数十ミリ秒以上となる。これに対して、電界が印加された時に起こる液晶の屈折率の変化に要する時間(応答時間)は、電界強度に依拠しており、電界強度が高い程、応答時間は短くなる。したがって、数十μ秒の応答時間が実現されている。
高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)においても、外部からの電界の印加による屈折率の変動が起こる(例えば、特許文献1参照。)。高分子分散型液晶はポリマーと液晶とを含み、このポリマーと液晶とは複合化されている。一般的に、電界が印加される前の高分子分散型液晶は、光を散乱するため白濁しており、電界が印加された高分子分散型液晶は、光を透過するため透明となる。そして、このような高分子分散型液晶では、液晶分子の配列がメモリーされることが報告されている。
しかしながら、これまで報告されている高分子分散型液晶では、メモリーの能力が十分ではなかった。このため、電界が除去された時の応答速度が遅いという問題は解決されていない。また、メモリーの能力が十分ではないため、電界が除去されても、液晶分子の配列は、電界が印加される前の元の配列に完全には戻らない。したがって、液晶の屈折率の変化(電気光学的な応答)は不可逆的であった。さらに、メモリーの能力が十分ではないために、電界が印加されると液晶分子の配列が乱れて、高分子と液晶との間で光が散乱する。また、電界が除去されても液晶分子の配列が完全には元の配列に戻らないため、電界が除去された後も、高分子と液晶との間で光が散乱する。
そこで、本発明者らは、過去に、30wt%以上の光重合性液晶モノマーが液晶と混合されることで、液晶分子の配列の安定化が図られた光学素子を提案した(特許文献2を参照。)。この光学素子によれば、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。
特開2000−147476号公報 特開2013−041013号公報
しかしながら、液晶に混合されるモノマーの割合(濃度)が30wt%以上になると、液晶の屈折率を変化させるために、数100V程度の高い駆動電圧が必要となる。これは、相対的に液晶成分が減少することに起因する。つまり、電気光学効果を発現させる材料は液晶であり、電界がポリマーに印加されても、ポリマーは駆動しないので、光学素子の製造段階においてモノマーが30wt%以上の割合で液晶と混合されると、電界に応答しない成分が相対的に増加して、光学素子全体として駆動し難くなる。この結果、高い駆動電圧が必要となる。これに対して、一般的な高分子分散型液晶において必要な駆動電圧は、モノマーが30wt%以上の割合で液晶と混合されて製造された光学素子の駆動電圧に比べて十分に低い。これは、一般的な高分子分散型液晶では、その製造段階において1〜10wt%のモノマーが液晶に混合されるためである。つまり、モノマーの割合が1〜10wt%程度であれば、駆動電圧を十分に低くすることができる。しかし、上述したように、一般的な高分子分散型液晶では、つまり、モノマーが1〜10wt%の割合で液晶と混合されて製造された高分子分散型液晶では、メモリーの能力が十分ではなかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、製造段階においてモノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されていても、螺旋構造のようなマクロな液晶分子の配列を強固に維持することができ、これにより、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる光学素子を製造する方法、及び光学素子を提供することである。
また本発明の他の目的は、上記した本発明の光学素子が応用された偏光無依存型位相変調素子を提供することである。ここで、偏光無依存型位相変調素子とは、ポリマーとコレステリック液晶とを含み、そのポリマーとコレステリックとが複合化されており、電界の印加により、螺旋構造を形作るように配列された液晶分子の個々の向きが変化しても、偏光依存性が発現しない素子を云う。つまり、偏光無依存型位相変調素子は、等方的に透過光の位相を変調することが可能な素子である。
本発明に係る光学素子の製造方法は、モノマーを10wt%以下の割合で液晶と混合して混合物を生成するステップと、前記混合物中の前記液晶が液晶相を示しており、かつ温度が−10°C以下の雰囲気の下で、前記混合物中の前記モノマーを重合させるステップと、を包含してもよい。ここで、前記モノマーが重合された前記混合物に対してアニール処理が施されてもよい。また、前記モノマーは、好適には、5wt%以下の割合で液晶と混合される。
または、本発明に係る光学素子の製造方法は、モノマーを10wt%以下の割合で液晶と混合して混合物を生成するステップと、前記混合物中の前記液晶が液晶相を示しており、かつ温度が20°C以下の雰囲気の下で、前記混合物中の前記モノマーを重合させるステップと、前記モノマーが重合された前記混合物に対してアニール処理を施すステップと、を包含してもよい。ここで、前記モノマーは、好適には、5wt%以下の割合で液晶と混合される。
本発明に係る光学素子は、ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、電界の印加により、反射スペクトルの反射バンド形状が維持されたまま、前記反射スペクトルがシフトするものであってもよい。前記ポリマーの含有量は、好適には、5wt%よりも少ない。
または、本発明に係る光学素子は、ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、電界が印加された後に、前記電界が除去された時、屈折率が、前記電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻るか、または前記液晶を構成する液晶分子の配列が、前記電界が印加される前の前記液晶分子の配列に可逆的に戻るものであってもよい。前記ポリマーの含有量は、好適には、5wt%よりも少ない。
または、本発明に係る光学素子は、ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、電界が印加された後に、前記電界が除去された時、数十マイクロ秒以内に屈折率が変化するものであってもよい。前記ポリマーの含有量は、好適には、5wt%よりも少ない。
本発明に係る偏光無依存型位相変調素子は、偏光無依存性を有する偏光無依存型位相変調素子であって、ポリマーとコレステリック液晶とを含み、かつ前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、電界の印加により屈折率が変化して、特定の波長を持つ入射波の位相が変調するものであってもよい。前記ポリマーの含有量は、好適には、5wt%よりも少ない。前記特定の波長を持つ入射波は、可視光であってもよい。
上記本発明に係る偏光無依存型位相変調素子において、電界の印加により、反射スペクトルの反射バンド形状が維持されたまま、前記反射スペクトルがシフトしてもよい。あるいは、電界が印加された後に、前記電界が除去された時、屈折率が、前記電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻るか、または前記コレステリック液晶を構成する液晶分子の配列が、前記電界が印加される前の前記液晶分子の配列に可逆的に戻ってもよい。あるいは、電界が印加された後に、前記電界が除去された時、数十マイクロ秒以内に屈折率が変化してもよい。
本発明によれば、光学素子の製造段階において、モノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されていても、電界の印加、又はその電界の除去により光学素子の屈折率が変動する際に、螺旋構造のようなマクロな液晶分子の配列が維持される。そして、このように、液晶を構成する液晶分子の配列の維持度が高いことにより、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。また本発明によれば、モノマーの割合が10wt%以下であるので、一般的な高分子分散型液晶と同様に、駆動電圧を十分に低くすることが可能となる。
さらに、本発明によれば、液晶分子の配列の維持度が高いことにより、等方的に透過光の位相を変調する素子(偏光無依存型位相変調素子)への展開も可能となる。
本発明の実施の形態に係る光学素子を備えたデバイスの一構成例を模式的に示す断面図である。 (a)は本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法のフローチャートの一例であり、(b)は本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法のフローチャートの他例である。 (a)は本発明の実施の形態に係る光学素子の反射スペクトルの一例を示す図であり、(b)は比較例の反射スペクトルの一例を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態に係る光学素子の偏光顕微鏡観察像の一例を示す模式図であり、(b)は比較例の偏光顕微鏡観察像の一例を示す模式図である。 (a)は本発明の実施の形態に係る光学素子におけるHe−Neレーザの透過率応答曲線を示す図であり、(b)は比較例におけるHe−Neレーザの透過率応答曲線を示す図である。 (a)〜(d)はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る光学素子の環境温度に対する依存性、及びアニール処理の有無に対する依存性を説明するための図(その1)である。 (a)〜(d)はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る光学素子の環境温度に対する依存性、及びアニール処理の有無に対する依存性を説明するための図(その2)である。 本発明の実施の形態に係る光学素子の製造段階で液晶に混合されるモノマーの割合を説明するための図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る光学素子の選択反射波長の可変性を説明するための図である。 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子の透過スペクトルとその印加電界依存性を示す図である。 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子の偏光無依存性を示す図である。
以下、図1〜図11を参照して、本発明に係る光学素子の製造方法、光学素子、及び偏光無依存型位相変調素子の実施形態を説明する。本発明は、以下に説明する実施形態の構成並びに図面に記載される構成に限定されることを意図せず、当該構成と均等な構成も含む。
[光学素子の基本構成]
図1は本発明の実施の形態に係る光学素子を備えたデバイスの一構成例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係るデバイス10は、第1電極11、ガラス板12、光学素子13、ガラス板14、第2電極15、及び側壁16を備える。
ガラス板12、14、及び側壁16は、ガラスや樹脂等により形成されており、光学素子13を封入するための容器としての役割を果たしている。第1電極11及び第2電極15はそれぞれ、ガラス板12及びガラス板14の表面に形成された透明電極である。例えば、第1電極11に外部電源の正極が接続され、第2電極15に外部電源の負極が接続されることにより、光学素子13に電界が印加される。
光学素子13は、ポリマーと液晶とを含み、そのポリマーと液晶とは複合化されている。また、ポリマーの含有量は10wt%よりも少なく、ポリマーには、典型的には、液晶ポリマーが使用される。液晶ポリマーは、各種液晶相のうちの1つを示すが流動性がない固形物であり、分子配向性を保持させたまま液晶モノマーを重合させることにより生成される。各種液晶相には、ネマティック相、コレステリック相、スメクチック相等が含まれる。
光学素子13に電界が印加されると、光学素子13に含まれるポリマーは固体なので動かないが、光学素子13に含まれる微小な液晶滴の内部では、液晶分子の配列が維持されたまま、その液晶分子の再配向が誘起される。このような再配向現象により、光学素子13自体の屈折率が変化する。そして、このような屈折率の変化は、各種液晶相において様々な特性の変動を誘起する。例えば、光学素子13に含まれる液晶がコレステリック液晶の場合、反射バンドの波長のシフトが誘起される。また、光学素子13に含まれる液晶がネマティック液晶の場合、複屈折の値が変動する。
電界の印加、又はその電界の除去により光学素子13の屈折率が変動する際に、液晶を構成する液晶分子の配列は、強固に維持されている。よって、光学素子13に電界が印加された際に、光学素子13の反射スペクトルが、その反射バンド形状が維持されたままシフトする。または、光学素子13に電界が印加された後に、その電界が除去された時、光学素子13の屈折率が、その電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻る。または、電界が除去された時、液晶を構成する液晶分子の配列が、その電界が印加される前の配列に可逆的に戻る。または、電界が除去された時に起こる光学素子13の屈折率の変化に要する時間(応答時間)が、数十マイクロ秒以下となる。したがって、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。
また、既に述べたように、製造段階においてモノマーが30wt%以上の割合で液晶と混合された場合でも、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能であるが、この場合、相対的に液晶成分が減少するため、液晶の屈折率を変化させるために数100V程度の高い駆動電圧が必要となる。これに対して、本実施の形態の光学素子13によれば、ポリマーの割合を10wt%よりも少なくすることができる。したがって、一般的な高分子分散型液晶と同様に、駆動電圧を十分に低くすることができる。
また、液晶成分が増加して、相対的にポリマー成分が減少する程、必要な駆動電圧も低減する。本実施の形態において、ポリマーの割合は、好適には5wt%よりも少ない。例えば、ポリマーの含有量が4wt%程度の場合、ポリマーの含有量が30wt%程度の場合に比べて、光学素子の駆動電圧は1/5に低減する。
なお、一般的な光学素子では、ポリマー成分が減少すると液晶分子の配列の維持度も低下していた。これに対し、本実施の形態に係る光学素子によれば、ポリマーの含有量が10wt%より低くても、液晶分子の配列が強固に維持される。結果として、本実施の形態に係る光学素子は、30wt%以上の高濃度のポリマーが含有される場合に観察される高速応答、屈折率の可逆的な変化、及び光散乱の減少と、10wt%よりも低い低濃度のポリマーが含有される場合に必要な低い駆動電圧との両立を可能にする。
以上のように、分子配列が強固に維持されることにより、電界が除去された時の応答が、通常の液晶材料よりも1000倍程度高速となり、さらに、可逆的な屈折率の変化と、光散乱の低減化とが可能となる。
[光学素子の製造方法]
以下、図1及び図2を参照して光学素子13の製造工程を説明する。図2(a)は光学素子13の製造工程の一例のフローチャートを示し、図2(b)は光学素子13の製造工程の他例のフローチャートを示している。以下、図2(a)に示す製造工程を、製造工程Aと記し、図2(b)に示す製造工程を、製造工程Bと記す。
先に製造工程Aについて説明する。図2(a)に示すように、製造工程Aでは、まず、モノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されて、混合物が生成される(ステップS1)。次いで、混合物中の液晶が液晶相を示し、かつ温度が−10°C以下の雰囲気の下で、混合物中のモノマーが重合させられて、ポリマーとなる(ステップS2)。この製造工程Aによって製造される光学素子13に含まれるポリマーの割合は、10wt%よりも少なくなる。モノマーが重合される際の環境温度は、液晶が結晶化しない温度以上、例えば−30°C以上にする。
上記の製造工程Aにおいて、さらに、モノマーが重合された混合物に対してアニール処理が施されてもよい。アニール処理は、光学素子13に熱が付与された後に、光学素子13が徐冷される処理である。このアニール処理により、光学素子13中のモノマーの内部ひずみが取り除かれて、光学素子13の特性が良好なものとなる。アニール処理時に与えられる熱の温度は、モノマーのガラス転移温度以上である。
上記製造工程Aによって製造された光学素子13では、その製造段階においてモノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されていても、モノマーの重合時の環境温度が−10°C以下の低温であることにより、螺旋構造のようなマクロな液晶分子の配列が安定化している。つまり、電界の印加、又はその電界の除去により光学素子13の屈折率が変動する際に、液晶を構成する液晶分子の配列が強固に維持される。よって、光学素子13に電界が印加された際に、光学素子13の反射スペクトルが、その反射バンド形状が維持されたままシフトする。または、光学素子13に電界が印加された後に、その電界が除去された時、光学素子13の屈折率が、その電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻る。または、電界が除去された時、液晶を構成する液晶分子の配列が、その電界が印加される前の配列に可逆的に戻る。または、電界が除去された時に起こる光学素子13の屈折率の変化に要する時間(応答時間)が、数十マイクロ秒以下となる。したがって、電界が除去された時の応答速度の改善(応答時間の短縮化)、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。また、アニール処理が実施されることにより、電界が除去された時の応答速度が更に短縮化され、光散乱が更に低減し、かつ、屈折率の可逆的な変化が、より確実に起こる。
続いて、図2(b)の製造工程Bについて説明する。図2(b)に示すように、製造工程Bでは、まず、モノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されて、混合物が生成される(ステップS11)。次いで、混合物中の液晶が液晶相を示し、かつ温度が20°C以下の雰囲気の下で、混合物中のモノマーが重合させられて、ポリマーとなる(ステップS12)。次いで、モノマーが重合された混合物に対してアニール処理が実施される(ステップS13)。この製造工程Bによって製造される光学素子13に含まれるポリマーの割合も、10wt%より少なくなる。この製造工程Bのように、モノマーが重合される際の環境温度が20°C以下に設定される場合には、アニール処理を実施する。アニール処理については既に説明したので、ここでは、その説明は割愛する。また、既に説明したように、モノマーが重合される際の環境温度が−10°C以下の場合、アニール処理の実施は任意である。
上記製造工程Bによって製造された光学素子13では、その製造段階においてモノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されていても、モノマーが20°Cの環境温度の下で重合された後にアニール処理が実施されることにより、螺旋構造のようなマクロな液晶分子の配列が安定化している。つまり、電界の印加、又はその電界の除去により光学素子13の屈折率が変動する際に、液晶を構成する液晶分子の配列が強固に維持される。よって、製造工程Bによって製造された光学素子13においても、光学素子13に電界が印加された際に、光学素子13の反射スペクトルが、その反射バンド形状が維持されたままシフトする等、先に説明した製造工程Aによって製造された光学素子13と同様の特性が示される。したがって、電界が除去された時の応答速度の改善(応答時間の短縮化)、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。
上記説明した2つの製造工程A及びBにおいて使用されるモノマーは、典型的には光重合性の液晶モノマーであり、重合されると液晶ポリマーになる。液晶モノマーが液晶と混合される際には、液晶モノマーと液晶とは、ネマティック相やコレステリック相等の液晶相を発現する温度に調整されている。液晶モノマーと液晶とが液晶相の状態において、紫外線の照射により液晶モノマーが重合される。
また、上記説明した2つの製造工程A及びBによれば、ポリマーの割合を10wt%よりも少なくすることができる。したがって、一般的な高分子分散型液晶と同様に駆動電圧が十分に低い光学素子13を製造することができる。
また、液晶成分が増加して、相対的にポリマー成分が減少する程、必要な駆動電圧も低減する。本実施の形態において、好適には、モノマーは5wt%以下の割合で液晶と混合される。
また、本実施の形態に係る光学素子の製造方法よれば、モノマーが10wt%以下の割合で液晶と混合されても、液晶分子の配列が強固に維持される光学素子の実現を図ることができる。結果として、本実施の形態に係る光学素子の製造方法は、30wt%以上の高濃度のポリマーが含有される場合に観察される高速応答、屈折率の可逆的な変化、及び光散乱の減少と、10wt%よりも低い低濃度のポリマーが含有される場合に必要な低い駆動電圧との両立が可能な光学素子の実現を図ることができる。
以上のように、分子配列が強固に維持されることにより、電界が除去された時の応答が、通常の液晶材料よりも1000倍程度高速となり、さらに、可逆的な屈折率の変化と、光散乱の低減化とが可能となる。
[光学素子13の反射スペクトルの検証]
続いて、本実施の形態の光学素子13における反射スペクトルの印加電界依存性について検証する。この検証のために、デバイスAが作製された。先に、デバイスAの製造方法について説明する。
まず、光重合性コレステリック液晶(Merck社製:型番03−009)が4.7wt%、ネマティック液晶(Merck社製:型番MLC−6849−100)が89wt%、カイラル剤(Merck社製:型番ZLI−4572)が5.8wt%、光重合開始剤(BASF(登録商標)社製(旧Ciba社製):型番Irgacure(登録商標)819)が0.5wt%の割合で混合されて、コレステリック液晶性を示す混合液(混合物の一例)が生成される。このとき、光重合性コレステリック液晶、ネマティック液晶、カイラル剤、及び光重合開始剤は、等方性を示している。なお、光重合性コレステリック液晶は、光重合性の液晶モノマーであり、重合後に液晶ポリマーとなる。また、カイラル剤は液晶を捻じるための添加剤であり、ネマティック液晶をコレステリック液晶にする。カイラル剤によってコレステリック液晶となった液晶成分は、光学素子13において微小な液晶滴となる。コレステリック液晶を構成する液晶分子は棒状であり、これらの分子が、液晶滴内で、螺旋を巻きながら並んでいる。コレステリック液晶に電界が印加されると、螺旋状に並ぶ各液晶分子が向きを変える。これにより、コレステリック液晶の屈折率が変化する。
次いで、上記混合液(試料)が、厚さ10μmのITO(酸化インジウムスズ:Indium Tin Oxide)電極付きガラスセルに注入されて、そのガラスセル内に封入される。ガラスセルは、たとえば、2枚のガラス板にそれぞれ水平配向処理(プラナー配向処理)を施し、水平配向処理が施された面とは反対側の各ガラス板の面に、透明電極の一例であるITO電極を製膜し、水平配向処理が施された各ガラス板の面を対向させて作製されてもよい。
次いで、ガラスセル内に封入された混合液が、90°Cから−20°Cまで、20°C/mの速度で降温処理される。これにより、ガラスセル内の試料に含まれる液晶モノマー成分及び液晶成分が液晶相となる。なお、試料が90°Cの時、試料は等方性を示す。
次いで、ガラスセル内の試料に紫外線(365nm、400mW)が照射される。これにより、試料に含まれる液晶モノマーが光重合して高分子(ポリマー)となる。
次いで、試料を封入しているガラスセルが、20分程度、50°Cの環境温度に曝された後、室温の雰囲気下に置かれることにより、ガラスセル内部の試料がアニールされる。これにより、デバイスAが完成する。このデバイスAが備える光学素子13は、高分子/コレステリック液晶複合素子である。なお、この明細書では、室温は20°C程度である。
以上のように作製されたデバイスAが備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性について、以下、図3(a)及び図3(b)を参照して検証する。
図3(a)は、デバイスAの光学素子13における反射スペクトルの印加電界依存性を示す。ここでは、デバイスAの光学素子13に対して、素子13の厚さ方向(ガラスセルの厚さ方向)に矩形波交流電界(1kHz)が印加された。図3(a)において、縦軸は素子の反射率を示し、横軸は波長を示す。なお、比較のために、試料に含まれる光重合性コレステリック液晶(液晶モノマー)が室温の環境化で光重合されて製造された素子(高分子/コレステリック液晶複合素子)を用意した。この比較素子は、アニールされていない。図3(b)は、比較素子の反射スペクトルの印加電界依存性を示す。ここでは、比較素子に対して、素子の厚さ方向(ガラスセルの厚さ方向)に矩形波交流電界(1kHz)が印加された。図3(b)において、縦軸は素子の反射率を示し、横軸は波長を示す。図3(a)及び図3(b)に示す反射スペクトルの変化は、素子の屈折率の変化に起因する。
図3(b)に示すように、比較素子では、印加される電界が強くなる程、反射スペクトルの反射バンド形状が崩れ、最大反射率が低下した。これは、電界の印加により、比較素子に含まれる液晶滴内部で各液晶分子が向きを変えた時に、液晶分子の配列が、螺旋構造を保てなくためである。これに対して、デバイスAの光学素子13では、図3(a)に示すように、10V/μmの電界強度までは最大反射率がほとんど低下することなく、反射バンド形状が維持されたまま、波長が長い側の反射バンドの端が、より短い波長へシフトするように、反射波長が変化した。具体的には、電界が印加されていない場合(0V/μm)には、凡そ610nm〜650nmの波長の光(赤色)が反射され、10V/μmの強度の電界が印加された場合には、凡そ615nm〜630nmの波長の光(赤色)が反射される。このように、10V/μm程度の電界が印加された時、最大反射率がほとんど低下することなく、反射バンド形状が維持されたまま、波長が長い側の反射バンドの端が、より短い波長へシフトする。これは、光学素子13に電界が印加されても、液晶滴内の液晶分子の配列が維持されるためである。
[光学素子13の偏光顕微鏡観察像の検証]
続いて、本実施の形態の光学素子13の偏光顕微鏡観察像について、図4(a)及び図4(b)を参照して検証する。この検証のために、上記したデバイスA及び比較素子が使用された。
図4(a)はデバイスAが備える光学素子13の偏光顕微鏡観察像を示す模式図であり、図4(b)は比較素子の偏光顕微鏡観察像を示す模式図である。具体的には、図4(a)において、観察像41aは、電界が印加される前の光学素子13を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示し、観察像42aは、12V/μmの電界が印加されている時の光学素子13を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示し、観察像43aは、12V/μmの電界が除去された後の光学素子13を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示している。一方、図4(b)において、観察像41bは、電界が印加される前の比較素子を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示し、観察像42bは、6V/μmの電界が印加されている時の比較素子を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示し、観察像43bは、6V/μmの電界が除去された後の比較素子を偏光顕微鏡(落射照明)で観察した結果を示している。
図4(b)に示すように、比較素子では、電界印加前に赤色が観察され、電界の印加の伴い、色が赤色ではなくなり、さらに斑模様が観察された。この斑模様は光が散乱していることを示している。電界が除去された後も、電界が印加されている時よりも薄くはなっているが、やはり斑模様が観察された。色は赤色であったが、その明るさは、電界印加前の元の明るさには戻らなかった。つまり比較素子は、電界除去後に、電界印加前の元の状態に戻らず、散乱光を発生させる。これに対して、デバイスAの光学素子13では、図4(a)に示すように、電界印加前に赤色が観察され、電界の印加の伴い、赤色の明るさ(濃さ)が変化し、電界が除去された後は、元の明るさの赤色となった。この電界の印加による明るさの変化は、光学素子13の屈折率が変化したことに起因する。したがって、光学素子13に電界が印加された後に、その電界が除去された時、光学素子13の屈折率が、電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻ることが観察できた。このような現象が見られたのは、光学素子13に電界が印加されても、液晶滴内の液晶分子の配列が維持されているためである。さらに、デバイスAの光学素子13では、比較素子で観察されたような斑模様は観察されなかった。つまり散乱光は生じなかった。これは、光学素子13に電界が印加された後に、その電界が除去された時、液晶分子の配列が、電界が印加される前の液晶分子の配列に可逆的に戻ったことを示している。
[光学素子13のレーザ応答性の検証]
続いて、本実施の形態の光学素子13のレーザ応答性について、図5(a)及び図5(b)を参照して検証する。この検証のために、上記したデバイスA及び比較素子が使用された。
図5(a)は、デバイスAが備える光学素子13に矩形波交流電界(1kHz)が印加された時のHe−Neレーザの透過率応答曲線を示す。He−Neレーザの波長は633nmである。一方、図5(b)は、比較素子に矩形波交流電界(1kHz)が印加された時のHe−Neレーザの透過率応答曲線を示す。図5(a)及び図5(b)において、左側の縦軸は素子の透過率を示し、右側の縦軸は電界強度を示し、横軸は時間を示す。また、図5(a)及び図5(b)において、グラフ51は、He−Neレーザの透過率応答曲線を示し、グラフ52は、印加される矩形波交流電界を示している。グラフ51は、素子の屈折率の変化に対応している。詳しくは、グラフ51は、素子の屈折率が変化して、素子の反射バンドがシフトすることにより、He−Neレーザが素子を透過したことを示している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、電界が印加されている時、He−Neレーザは素子を透過するが、電界が除去された時のグラフ51の立下り時間(応答時間)について見ると、比較素子では94msであったのに対し、デバイスAの光学素子13では22μsであった。ここでグラフ51の立下り時間は、電界が除去された時に起こる液晶の屈折率の変化に要する時間(応答時間)を示している。このように、電界が除去された時の応答時間が数十マイクロ秒以下となるは、光学素子13に電界が印加されても、液晶滴内の液晶分子の配列が維持されているためである。つまり、液晶分子の配列をメモリーする能力が強化されたためである。
なお、図5(a)及び図5(b)に示すように、比較素子に対するHe−Neレーザの透過率は、デバイスAの光学素子13に対するHe−Neレーザの透過率よりも大きくなる。これは、図3(a)及び図3(b)に示すように、デバイスAの光学素子13の反射率が、He−Neレーザの波長633nmにおいて、比較素子の反射率よりも高いことに起因する。
[まとめ]
上記の検証結果から明らかなように、本実施の形態の光学素子13が、帯域反射特性を有するコレステリック液晶に適用されることで、光の反射機能のオン/オフを高速で、且つ可逆的に制御可能な素子の実現を図ることが可能となる。また、この場合、光の反射機能がオン/オフされても光の散乱が生じず、加えて、光の反射が半透過性の反射であるので、ウェアラブルディスプレイ等に必要な半透過型ディスプレイの実現を図ることが可能となる。
なお、上記の検証結果により、製造段階において液晶と混合されるモノマー(光重合性コレステリック液晶)の濃度(割合)が4.7wt%であっても、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能であることが確認できた。よって、相対的にポリマー成分が増加する程、液晶分子の配列の維持度がより強化されるので、モノマーの濃度が4.7wt%より高い場合にも、当然、応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能となる。そして、モノマーの濃度が10wt%以下であれば、既に述べたように、一般的な高分子分散型液晶と同様に、駆動電圧を十分に低くすることができる。
[モノマーが重合される際の環境温度に対する光学素子13の反射スペクトルの依存性と、上記アニール処理の有無に対する光学素子13の反射スペクトルの依存性の検証]
続いて、モノマーが重合される際の環境温度に対する光学素子13の反射スペクトルの依存性と、上記アニール処理の有無に対する光学素子13の反射スペクトルの依存性について、図6(a)〜図6(d)及び図7(a)〜図7(d)を参照して検証する。この検証のために、デバイスB〜デバイスIが作製された。先に、デバイスBの製造方法について説明する。
まず、光重合性コレステリック液晶(Merck社製:型番03−009)が4.7wt%、ネマティック液晶(Merck社製:型番MLC−6849−100)が89wt%、カイラル剤(Merck社製:型番ZLI−4572)が5.8wt%、光重合開始剤(BASF社製(旧Ciba社製):型番Irgacure819)が0.5wt%の割合で混合された混合液(試料)が生成された。そして、この混合液が、水平配向処理が施された厚さ10μmのITO電極付きガラスセル内に封入された後、20°Cの環境温度の下で、ガラスセル内の試料に紫外線(365nm、400mW)が照射されることにより、光重合性コレステリック液晶が光重合された。これにより、デバイスBが完成する。
続いて、デバイスC、D及びEの製造方法について説明する。デバイスC、D及びBの製造方法は、上記したデバイスBの製造方法に対して、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度のみが異なる。具体的には、デバイスCの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は0°Cであり、デバイスDの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は−10°Cであり、デバイスEの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は−20°Cである。
続いて、デバイスF、G、H及びIの製造方法について説明する。デバイスF、G、H及びIの製造方法は、上記したデバイスB〜Eの製造方法に対して、光重合性コレステリック液晶が光重合された後にアニール処理(50°C、15分間)が実施されることのみが異なる。なお、デバイスFの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は20°Cであり、デバイスGの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は0°Cであり、デバイスHの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は−10°Cであり、デバイスIの製造方法では、光重合性コレステリック液晶が光重合される際の環境温度は−20°Cである。
図6(a)〜図6(d)及び図7(a)〜図7(d)は、以上のように作製されたデバイスB〜Iが備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示している。具体的には、図6(a)はデバイスB(重合時の温度:20°C、アニール無し)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図6(b)はデバイスF(重合時の温度:20°C、アニール有り)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図6(c)はデバイスC(重合時の温度:0°C、アニール無し)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図6(d)はデバイスG(重合時の温度:0°C、アニール有り)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図7(a)はデバイスD(重合時の温度:−10°C、アニール無し)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図7(b)はデバイスH(重合時の温度:−10°C、アニール有り)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図7(c)はデバイスE(重合時の温度:−20°C、アニール無し)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示し、図7(d)はデバイスI(重合時の温度:−20°C、アニール有り)が備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示している。また、図6(a)〜図6(d)及び図7(a)〜図7(d)において、縦軸は素子の反射率を示し、横軸は波長を示す。
図6(a)、図6(c)、図7(a)及び図7(c)に示すように、試料がアニールされることなく製造されたデバイスB〜Eでは、電界強度の増加に対して、光重合性コレステリック液晶の重合時の温度が低いデバイスほど、反射率と反射バンド形状が維持された。一方、図6(a)〜図6(d)及び図7(a)〜図7(d)に示すように、光重合性コレステリック液晶の重合時の温度が同じデバイス同士の反射スペクトルを比べると(例えば、図6(a)と図6(b)を比べると)、試料がアニールされたデバイスの方が、反射率と反射バンド形状が維持された。これらの結果から、より低い温度でモノマーが重合され、モノマーの重合後に試料がアニールされることで、液晶分子の配列の維持度が向上することが窺える。
また、図7(a)〜図7(d)に示すように、−10°C以下の環境温度の下で光重合性コレステリック液晶が重合されて製造されたデバイスD、E、H及びIでは、アニール処理の有無によらず、反射率と反射バンド形状が維持された。このことから、光学素子13の製造段階で、モノマーが−10°C以下の雰囲気の下で重合することにより、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能になると推定できる。
また、図6(d)に示すように、光重合性コレステリック液晶の重合時の温度が0°Cであっても、試料がアニールされることにより、反射率と反射バンド形状が維持された。さらに、図6(b)に示すように、光重合性コレステリック液晶の重合時の温度が20°Cであっても、試料がアニールされることにより、電界強度が6.6V/μm以下であれば、反射率と反射バンド形状が維持された。これらのことから、温度が20°C以下の雰囲気の下でモノマーが重合した後、アニール処理が実施されることにより、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能になると推定できる。
[液晶に混合されるモノマーの割合の検証]
続いて、本実施の形態の光学素子の製造工程において液晶に混合されるモノマーの濃度(割合)について、図8を参照して検証する。この検証のために、デバイスJが作製された。先に、デバイスJの製造方法について説明する。
まず、光重合性コレステリック液晶(Merck社製:型番03−009)が2.7wt%、ネマティック液晶(Merck社製:型番MLC−6849−100)が91.3wt%、カイラル剤(Merck社製:型番ZLI−4572)が5.5wt%、光重合開始剤(BASF(登録商標)社製(旧Ciba社製):型番Irgacure(登録商標)819)が0.5wt%の割合で混合されて、混合液(試料)が生成された。そして、この混合液が、水平配向処理が施された厚さ10μmのITO電極付きガラスセル内に封入された後、−20°Cの環境温度の下で、ガラスセル内の試料に紫外線(365nm、400mW)が照射されることにより、光重合性コレステリック液晶が光重合された。最後に、アニール処理(50°C、15分間)により、試料がアニールされた。これにより、デバイスJが完成する。
図8は、以上のように作製されたデバイスJが備える光学素子13の反射スペクトルの印加電界依存性を示している。図8において、縦軸は素子の反射率を示し、横軸は波長を示す。図8に示すように、モノマー(光重合性コレステリック液晶)の濃度が4.7wt%の場合の応答(図7(d)を参照。)と似た応答が観察された。つまり、反射率と反射バンド形状の維持度が高くなった。この結果から、モノマーの濃度が1wt%までは、電界が除去された時の応答速度の改善、屈折率の可逆的な変化の実現、及び光散乱の低減を図ることが可能になると推定できる。
[光学素子13の選択反射波長の可変性についての検討]
続いて、本実施の形態に係る光学素子13をコレステリック液晶に適用した場合の選択反射波長の可変性について、図9(a)〜図9(c)を参照して検討する。コレステリック液晶は、棒状液晶分子が自発的に集まり、巨大な螺旋構造を形成する液晶相であり、「ピッチ」と呼ばれる螺旋周期長を有する。この螺旋構造に起因して、選択反射と呼ばれる、ある波長帯域での反射(透過率の減少)が観察される。選択反射波長帯域は、液晶の常光屈折率をno、液晶の異常屈折率をneとし、ピッチをpとすると、no×p〜ne×pの範囲となる。また、一般的に、液晶の常光屈折率は1.5程度、液晶の異常屈折率は1.65程度であるため、選択反射波長帯域からピッチを見積もることが可能である。選択反射現象によって液晶から特定の色が反射されるため、コレステリック液晶は、色選択フィルターや電子ペーパーへの応用が期待されている。望ましいピッチは用途により異なるので、ピッチが自由に選択できることが望ましい。
本実施の形態に係る光学素子13をコレステリック液晶に適用する場合、使用する液晶、モノマー、及びカイラル剤の種類、並びにそれらの濃度の選択により、コレステリック液晶のピッチを任意に選択することが可能となる。すなわち、選択反射波長を任意に選択することが可能となる。このことを示すために、材料の種類及び材料の混合比が異なる3種類の試料(混合液)1、2、3が用意された。以下の表1に3種類の試料1、2、3のそれぞれの組成と混合比を示す。これらの試料1、2、3がそれぞれ、水平配向処理が施された厚さ10μmのITO電極付きガラスセル内に封入された後、−20°Cの環境温度の下で、各ガラスセル内の試料1、2、3に紫外線(365nm、400mW)が照射された。最後に、各ガラスセル内の試料1、2、3が、アニール処理(50°C、15分間)により、アニールされた。この後に、試料1、2、3の透過スペクトルの印加電界依存性が測定された。この測定には、ファンクションジェネレータ(Agilent Technologies社製:型番33210A)と、アンプ(FLC ELECTRONICS社製:型番F20A)と、マルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス社製:型番PMA−11)とが使用された。
図9(a)は、上記試料1の透過スペクトルとその印加電界依存性を示し、図9(b)は、上記試料2の透過スペクトルとその印加電界依存性を示し、図9(c)は、上記試料3の透過スペクトルとその印加電界依存性を示す。図9(a)〜図9(c)において、縦軸は素子の反射率を示し、横軸は波長を示す。図9(a)〜図9(c)から明らかなように、液晶、光重合性の液晶モノマー、カイラル剤、及び光重合開始剤の種類、並びにそれらの濃度の選択により、選択反射波長が400nm、500nm、700nmに設定された。具体的には、図9(a)に示すように、試料1においては選択反射波長が400nmに設定され、図9(b)に示すように、試料2においては選択反射波長が500nmに設定され、図9(c)に示すように、試料3においては選択反射波長が700nmに設定された。このように、液晶、モノマー、カイラル剤、及び光重合開始剤の種類、並びにそれらの濃度が選択されることで、選択反射波長が任意に選択できる。さらに、図9(a)〜図9(c)から、液晶分子の配列が強固に維持された電気光学的応答も実現可能であることが確認できる。なお、選択反射波長は、液晶、モノマー、カイラル剤、及び光重合開始剤の種類、並びにそれらの濃度の選択により、紫外線の波長帯域から赤外線の波長帯域まで制御できる。
[偏光無依存型位相変調素子]
続いて、上記説明した本実施の形態に係る光学素子を応用した偏光無依存型位相変調素子について説明する。上記したように、本実施の形態に係る光学素子は、液晶分子の配列の維持度が高い。このため、本実施の形態に係る光学素子がコレステリック液晶に適用された場合、電界の印加により、螺旋構造を形作るように配列された液晶分子の個々の向きが変化しても、偏光依存性が発現しない。したがって、本実施の形態に係る光学素子を応用することで、等方的に透過光の位相を変調することができる偏光無依存型位相変調素子の実現を図ることが可能となる。ここで、偏光無依存型位相変調素子とは、ポリマーとコレステリック液晶とを含み、そのポリマーとコレステリックとが複合化されており、電界の印加により、螺旋構造を形作るように配列された液晶分子の個々の向きが変化しても、偏光依存性が発現しない素子を云う。
具体的には、本実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子は、上記説明した本実施の形態に係る光学素子を応用したものであるので、その光学素子に特有の特性を持つ。また、本実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子(光学素子)が組み込まれたデバイスにおいて使用される波長帯域(所定の波長帯域)よりも、コレステリック液晶のピッチ(螺旋周期長)が十分に短くなるように、モノマー及びカイラル剤の種類、並びにそれらの濃度が選択されている。これらの特性により、所定の波長帯域(所定の波長領域)の光が入射した時に、螺旋構造によって入射平面波の直交成分の異方性が相殺され、入射波(入射光)の偏光状態が変化することなく、透過光の位相のみが変調される。例えば、選択反射波長が紫外線の波長帯域に含まれるようにコレステリック液晶のピッチが調整されると、可視光の波長領域での位相変調が実現できる。つまり、偏光無依存型位相変調素子は、透明ないしは略透明な状態のままで入射波の位相を変調することができる。
なお、偏光無依存型位相変調素子は、所定の波長帯域において、その透過率が所定の透過率に維持されつつ、透過光の位相のみを変調できるものであればよい。つまり、偏光無依存型位相変調素子は、所定の波長帯域において必ずしも透明になる必要はなく、例えば透過率は70%以上であってもよい。
続いて、本実施の形態の偏光無依存型位相変調素子の特性について検証する。この検証のために、デバイスKが作製された。具体的には、まず、ネマティック液晶(Merck社製:型番MLC−6849−100)が83.6wt%、光重合性コレステリック液晶(Merck社製:型番03−008)が5.0wt%、カイラル剤(Merck社製:型番ZLI−4572)が10.4wt%、光重合開始剤(BASF(登録商標)社製(旧Ciba社製):型番Irgacure(登録商標)819)が1.0wt%の割合(重合比)で混合されて、混合液(試料)が生成された。そして、その試料が、水平配向処理が施された厚さ10μmのITO電極付きガラスセルに封入された後、−20°Cの環境温度の下で、ガラスセル内の試料に紫外線(365nm、400mW)が照射された。最後に、ガラスセル内の試料が、アニール処理(50°C、15分間)により、アニールされた。この後に、試料の透過スペクトルとその印加電界依存性が測定された。この測定には、ファンクションジェネレータ(Agilent Technologies社製:型番33210A)と、アンプ(FLC ELECTRONICS社製:型番F20A)と、マルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス社製:型番PMA−11)とが使用された。図10(a)〜図10(e)は、得られた測定結果を示している。具体的には、図10(a)は、電界が印加されていない場合(0V/μm)の透過スペクトルを示し、図10(b)は、11.7V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図10(c)は、13.3V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図10(d)は、15V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図10(e)は、20V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示している。図10(a)〜図10(e)において、縦軸は素子の透過率を示し、横軸は波長を示している。
図10(a)〜図10(e)に示すように、ガラスセルを構成する水平配向処理が施された2枚のガラス板間で生じる多重干渉に起因する干渉縞のスペクトル(透過率の周期的な強弱)が観察された。また、選択反射が紫外線の波長帯域で起こることから、可視光の波長帯域以上において高い透過率が観察された。図10(a)〜図10(e)には目印のために、電界強度が0V/μmの場合のスペクトルにおいて透過率が極大となる位置を点線で示している。図10(a)〜図10(e)に示すように、電界強度が増加する程、干渉縞のスペクトルが短波長の側へシフトすることが観察された。これは、電界の印加によりコレステリック液晶の実効的な屈折率が減少して、光路長が短くなったためである。そして、このように、電界の印加によってスペクトルがシフトすることにより、可視光の波長帯域以上において、入射波の位相が変調される。
続いて、本実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子の透過スペクトルのシフト(電気光学的応答)が入射波(入射光)の偏光状態に依存しないこと(偏光無依存性)を検証する。この検証のために、上記したデバイスKが、直交偏光子間に、これら直交偏光子の透過軸に対して液晶分子の容易軸の方向(プラナー配向の方向)が傾くように挟まれて、透過スペクトルが測定された。図11(a)〜図11(e)は、得られた測定結果を示している。具体的には、図11(a)は、図10(a)と同様に電界が印加されていない場合(0V/μm)の透過スペクトルを示し、図11(b)は、図10(b)と同様に11.7V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図11(c)は、図10(c)と同様に13.3V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図11(d)は、図10(d)と同様に15V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示し、図11(e)は、図10(e)と同様に20V/μmの電界が印加されている場合の透過スペクトルを示している。図10(a)〜図10(e)において、縦軸は素子の透過率を示し、横軸は波長を示している。
図11(a)〜図11(e)に示すように、直交偏光子間にデバイスK(偏光無依存型位相変調素子)が挟まれた場合、透過率は0のままであることが確認された。以上のことから、入射波(入射光)の偏光状態に依存しない位相変調が実現可能であることが確認された。
以上のように、偏光無依存型位相変調素子は、ポリマーとコレステリック液晶とを含み、そのポリマーとコレステリック液晶とが複合化された光学素子の特性が利用された素子である。具体的には、外部から電界が印加されると素子の屈折率が変動するという特性が利用されている。例えば、偏光無依存型位相変調素子は、可視光領域において透明ないしは略透明な状態でその屈折率が変動する素子である。
以上説明した偏光無依存型位相変調素子は、コレステリック液晶のピッチの適切な調整により、紫外線の波長帯域から赤外線の波長帯域までの広い帯域での位相変調が可能である。よって、本実施の形態に係る偏光無依存型位相変調素子は、偏光無依存型の空間光変調子や波長可変フィルター等への応用が可能である。
なお、上記した実施の形態では、モノマーが光重合される場合が説明された。しかし、重合方法は光重合に限定されるものではなく、例えば、電子線の照射や加熱によってモノマーが重合されてもよい。また、上記した実施の形態では、モノマーとして光重合性の液晶モノマーが使用される場合が説明されたが、モノマーはこれに限定されるものではない。また、本発明は、上記実施の形態で説明された各デバイスの光学素子を構成する各成分に限定されるものではない。光学素子を構成する成分の組み合わせによっては、最適な重合温度や最適なアニール温度が変化する。本発明は、試料中のモノマーが低温において重合される、あるいはモノマーの重合後にアニール処理が実施されることにより、螺旋構造のようなマクロな液晶分子の配列が電界の印加によって崩れることがないようにするものである。
本発明は、液晶分子の配列を維持したまま光学素子の屈折率を変動させることができ、これにより、通常の液晶よりも高速な応答を実現できることから、本発明は、様々なデバイスの改善や、新たなデバイスへの応用が可能となる。例えば、本発明をコレステリック液晶に適用した場合、ウェアラブルディスプレイ等に必要な半透過型ディスプレイの実現を図ることが可能となる。また、本発明をコレステリック液晶に適用した場合、等方的に透過光の位相を変調することが可能な素子(偏光無依存型位相変調素子)への展開も可能となる。
10 デバイス
11 第1電極
12 ガラス板
13 光学素子
14 ガラス板
15 第2電極
16 側壁
41a〜43a、41b〜43b 偏光顕微鏡観察像
51 He−Neレーザの透過率応答曲線
52 矩形波交流電界

Claims (14)

  1. モノマーを10wt%以下の割合で液晶と混合して混合物を生成するステップと、
    前記混合物中の前記液晶が液晶相を示しており、かつ温度が−10°C以下の雰囲気の下で、前記混合物中の前記モノマーを重合させるステップと、
    を包含する、光学素子の製造方法。
  2. 前記モノマーが重合された前記混合物に対してアニール処理を施すステップをさらに包含する、請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. モノマーを10wt%以下の割合で液晶と混合して混合物を生成するステップと、
    前記混合物中の前記液晶が液晶相を示しており、かつ温度が20°C以下の雰囲気の下で、前記混合物中の前記モノマーを重合させるステップと、
    前記モノマーが重合された前記混合物に対してアニール処理を施すステップと、
    を包含する、光学素子の製造方法。
  4. 前記モノマーが5wt%以下の割合で液晶と混合される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  5. ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、
    前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、
    前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、
    電界の印加により、反射スペクトルの反射バンド形状が維持されたまま、前記反射スペクトルがシフトする、光学素子。
  6. ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、
    前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、
    前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、
    電界が印加された後に、前記電界が除去された時、屈折率が、前記電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻るか、または前記液晶を構成する液晶分子の配列が、前記電界が印加される前の前記液晶分子の配列に可逆的に戻る、光学素子。
  7. ポリマーと液晶とを含む光学素子であって、
    前記ポリマーと前記液晶とが複合化されており、
    前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、
    電界が印加された後に、前記電界が除去された時、数十マイクロ秒以内に屈折率が変化する、光学素子。
  8. 前記ポリマーの含有量が5wt%よりも少ない、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学素子。
  9. 偏光無依存性を有する偏光無依存型位相変調素子であって、
    ポリマーとコレステリック液晶とを含み、
    前記ポリマーと前記コレステリック液晶とが複合化されており、
    前記ポリマーの含有量が10wt%よりも少なく、
    電界の印加により屈折率が変化して、特定の波長を持つ入射波の位相が変調する、偏光無依存型位相変調素子。
  10. 請求項9に記載の偏光無依存型位相変調素子であって、
    電界の印加により、反射スペクトルの反射バンド形状が維持されたまま、前記反射スペクトルがシフトする、偏光無依存型位相変調素子。
  11. 請求項9に記載の偏光無依存型位相変調素子であって、
    電界が印加された後に、前記電界が除去された時、屈折率が、前記電界が印加される前の屈折率に可逆的に戻るか、または前記コレステリック液晶を構成する液晶分子の配列が、前記電界が印加される前の前記液晶分子の配列に可逆的に戻る、偏光無依存型位相変調素子。
  12. 請求項9に記載の偏光無依存型位相変調素子であって、
    電界が印加された後に、前記電界が除去された時、数十マイクロ秒以内に屈折率が変化する、偏光無依存型位相変調素子。
  13. 前記ポリマーの含有量が5wt%よりも少ない、請求項9〜12のいずれか1項に記載の偏光無依存型位相変調素子。
  14. 前記特定の波長を持つ入射波が可視光である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の偏光無依存型位相変調素子。
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