JP2015039317A - エラスターゼに対する阻害活性を有する新規ポリペプチド、そのdna、及びそれらの利用 - Google Patents

エラスターゼに対する阻害活性を有する新規ポリペプチド、そのdna、及びそれらの利用 Download PDF

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Abstract

【課題】エラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができる新規ポリペプチド、前記ポリペプチドを含むエラスターゼ阻害剤及びエラスターゼの水解活性阻害剤、並びに前記ポリペプチドをコードする新規DNAの提供。【解決手段】Aspergillusfumigatus由来エラスターゼ、Aspergillusflavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有し、下記(a)及び(b)のいずれかであるポリペプチドなどである。(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。【選択図】なし

Description

本発明は、エラスターゼに対する阻害活性を有する新規ポリペプチド、前記ポリペプチドを含むエラスターゼ阻害剤及びエラスターゼの水解活性阻害剤、並びに前記ポリペプチドをコードする新規DNAに関する。
肺アスペルギルス症は、深在性真菌症の中でも最も頻度が高く、中でも慢性型であるアスペルギローマと慢性壊死性肺アスペルギルス症が多数を占めている。これらの疾病において、日和見感染性Aspergillusが産生するエラスターゼが病原因子となっていることが明らかになっている。例えば、これらのエラスターゼは健康なモルモットの肺に強い出血性肺炎を誘起し、マウス肺胞マクロファージの活性を抑制する。
そこで肺アスペルギルス症患者に対し、抗真菌剤に加え、エラスターゼ阻害剤であるウリナスタチンを併用することにより、喀血・血痰などの臨床症状が早期に改善することが明らかになっている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、ウリナスチンのエラスターゼ阻害活性には限度があり、高濃度でも50%阻害程度であったため、より微量で有効な新規エラスターゼインヒビターの探索が行われている。
これまでに、本発明者らによって、日和見感染性Aspergillus sp.より、新規エラスターゼインヒビターが見出され、その諸性質が明らかにされている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、A. fumigatusA. flavusは、病原性を有し、P2レベルに属すため、それに即した設備を要し、また大量に培養する際、所轄官庁への届出と判断が必要になるという問題がある。また、仮にこれらの菌株の漏出により、何らかのトラブルが起きた場合、大きな問題になりかねないという問題もある。また、エラスターゼインヒビターには、保存性、熱殺菌、薬剤の調製の点で熱安定性が求められ、また、生体での使用の点でpH安定性が求められるが、未だ十分に満足し得るエラスターゼインヒビターは提供されていない。
また、先に述べた日和見感染性Aspergillus sp.のエラスターゼは、エラスチンを分解する以外にも、ヒトフィブリノーゲンやI型コラーゲン(以下、「コラーゲンtypeI」と称することもある)を水解する活性も有している。前記ヒトフィブリノーゲンが水解されると、組織からの出血の際、止血しないという問題があり、前記I型コラーゲンが水解されると、コラーゲンは人体構成タンパク質であるため、人体組織が崩壊しやすくなるという問題がある。そのため、該エラスターゼの水解活性をも阻害することができるエラスターゼインヒビターも必要とされている。
したがって、エラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができるエラスターゼインヒビターの速やかな提供が強く求められているのが現状である。
Jpn. J. Med. Mycol. 2006, 47, 171−178 J. Med. Microbiol. 2008. 57, 803−808
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、エラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができる新規ポリペプチド、前記ポリペプチドを含むエラスターゼ阻害剤及びエラスターゼの水解活性阻害剤、並びに前記ポリペプチドをコードする新規DNAを提供することを目的とする。
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、GLAS(Generally Recognized As Safe)として米国FDAより、その安全性が認定されており、実際に清酒、醤油、味噌などの醸造に用いられ、塩麹などとして食されている他、食品用酵素剤の給源として利用されるなど、極めて安全性の高い微生物である麹菌A. oryzaeが、エラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドを産生すること、及び前記ポリペプチドの配列を確認したところ、その配列はA. fumigatus及びA. flavusには存在しておらず、前記ポリペプチドが新規なエラスターゼインヒビターであることを知見した。更に、前記ポリペプチドが、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、及びAspergillus flavus由来エラスターゼのみならず、ヒト好中球エラスターゼに対しても阻害活性を有することも知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有し、下記(a)及び(b)のいずれかであることを特徴とするポリペプチドである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
<2> 前記<1>に記載のポリペプチドを含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤である。
<3> 前記<1>に記載のポリペプチドを含有し、エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害することを特徴とするエラスターゼの水解活性阻害剤である。
<4> Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードし、下記(a)から(d)のいずれかであることを特徴とするDNAである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(c)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNA。
(d)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、エラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができる新規ポリペプチド、前記ポリペプチドを含むエラスターゼ阻害剤及びエラスターゼの水解活性阻害剤、並びに前記ポリペプチドをコードする新規DNAを提供することができる。
図1は、MALDI/TOF−MSにより製造例1で得られたエラスターゼインヒビターの分子質量を測定した結果を示す図である。 図2Aは、試験例5−1のSDSスラブ電気泳動の結果を示す図である。 図2Bは、試験例5−2のSDSスラブ電気泳動の結果を示す図である。 図3Aは、試験例6−1のSDSスラブ電気泳動の結果を示す図である。 図3Bは、試験例6−2のSDSスラブ電気泳動の結果を示す図である。 図4Aは、試験例7−1のエラスチン含有平板培地におけるA.fumigatusの培養結果を示す図である。 図4Bは、試験例7−2のエラスチン含有平板培地におけるA.fumigatusの培養結果を示す図である。
(ポリペプチド)
本発明のポリペプチドは、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有し、下記(a)及び(b)のいずれかである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
前記「数個のアミノ酸」の数個とは、前記エラスターゼに対する阻害活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1個〜9個が挙げられる。
また、アミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加される位置としては、前記エラスターゼに対する阻害活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明の前記エラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドは、前記(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドや、前記(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列同一性を有するものであってもよい。前記配列同一性としては、前記エラスターゼに対する阻害活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。
前記アミノ酸配列の同一性は、KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264−2268, 1990、及びProc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−5877, 1993)により決定することができる。このようなアルゴリズムを用いたBLASTプログラムがAltschulらによって開発されている(J. Mol. Biol. 215:403−410, 1990)。これらは、例えば、NCBIタンパク質データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgi)で利用することができる。
前記アミノ酸配列の同一性を分析するBLASTプログラムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<エラスターゼに対する阻害活性の確認>
前記ポリペプチドが、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有することを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例4に示すように、発色性合成基質を含む基質溶液と、エラスターゼと前記ポリペプチドとを含む酵素溶液とを反応させた後、吸光度を測定することにより確認することができる。
前記Aspergillus fumigatus由来エラスターゼとして、Jap.J.Med.Mycol.36:235−243 1995の記載に基づいて精製したエラスターゼを用いる場合の基質としては、例えば、Glu−Ala−Ala−Pro−Leu−pNA(p−nitroanilide)(株式会社ペプチド研究所製)を用いることができる。
前記Aspergillus flavus由来エラスターゼとして、Jap.J.Med.Mycol.38:53−59 1997の記載に基づいて精製したエラスターゼを用いる場合の基質としては、例えば、Glu−Ala−Ala−Pro−Leu−pNA(株式会社ペプチド研究所)を用いることができる。
前記ヒト好中球エラスターゼとして、シグマ社製のエラスターゼを用いる場合の基質としては、例えば、Suc−Ala−Pro−Ala−pNA(株式会社ペプチド研究所)を用いることができる。
前記酵素溶液と、前記基質溶液との反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、37℃で30分間などが挙げられる。
<分子量>
前記配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのMALDI/TOF−MSで測定した分子質量は、6,300.54である。また、図1のマススペクトルのパターンに示されるように単一の成分である。
なお、前記ポリペプチドが、配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである場合には、分子質量が6,300.54ではないことがあるが、本発明の効果を損なわない限り、分子質量が6,300.54でなくてもよい。
<由来>
前記ポリペプチドの由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、糸状菌、酵母、細菌などが挙げられる。これらの中でも、安全性の点で、麹菌が好ましく、Aspergillus oryzaeがより好ましい。
<水解活性阻害作用>
前記ポリペプチドは、前記エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する作用を有することが好ましい。
−水解活性阻害作用の確認−
前記ポリペプチドが、前記エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する作用を有することを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例5−1〜6−2に示すようにして確認することができる。
具体的には、前記エラスターゼが有するヒトフィブリノーゲンの水解活性を阻害する作用を確認する場合には、例えば、ヒト血清フィブリノーゲン(シグマ社製)を含む基質溶液に、A. fumigatus由来エラスターゼのみ、又はA. fumigatus由来エラスターゼと前記ポリペプチドとを混和した混合液を加え、37℃で反応させ、経時的に採取したサンプルを、ポリアクリルアミドを支持体としたSDSスラブ電気泳動を行い、両者の結果を比較することにより、ヒトフィブリノーゲンの水解活性を阻害する作用を有するか否かを確認することができる。
また、前記エラスターゼが有するI型コラーゲンの水解活性を阻害する作用を確認する場合には、例えば、コラーゲンtypeI(和光純薬工業株式会社製)を含む基質溶液に、A. fumigatus由来エラスターゼのみ、又はA. fumigatus由来エラスターゼと前記ポリペプチドとを混和した混合液を加え、37℃で反応させ、経時的に採取したサンプルを、ポリアクリルアミドを支持体としたSDSスラブ電気泳動を行い、両者の結果を比較することにより、I型コラーゲンの水解活性を阻害する作用を有するか否かを確認することができる。
前記ポリペプチドは、後述する試験例2に示すように、37℃、50℃、60℃、80℃、又は100℃で10分間の加熱を行った後でも前記エラスターゼに対する阻害活性がほぼ100%残っており、熱に対して強固な安定性を有している。
前記ポリペプチドは、後述する試験例3に示すように、pH6、pH7、pH8、又はpH9の溶液で処理した後でも前記エラスターゼに対する阻害活性がほぼ100%残っており、人体のpH域、即ちpH6〜9の範囲において安定である。
<用途>
本発明のポリペプチドは、病原因子である日和見感染性AspergillusであるAspergillus fumigatus、及びAspergillus flavus由来のエラスターゼのみならず、ヒト好中球エラスターゼに対しても優れた阻害活性を有するので、肺アスペルギルス症のみならず、人体内エラスターゼの亢進により発生する諸疾患に対しても有効であると考えられる。また、前記ポリペプチドは、エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する作用をも有する。したがって、後述する本発明のエラスターゼ阻害剤、エラスターゼの水解活性阻害剤、医薬組成物、化粧料組成物に好適に利用可能である。
<ポリペプチドの製造方法>
前記ポリペプチドの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、培養工程と、採取工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含む方法が好ましい。
<<培養工程>>
前記培養工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、麹菌、及び後述する形質転換体の少なくともいずれかを培養する工程が好ましい。
前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安全性の点で、A. oryzaeが好ましい。
前記A. oryzaeの具体例としては、清酒醸造用麹菌A. oryzae RIB40株が挙げられる。
前記培養は、前記麹菌、及び後述する形質転換体の少なくともいずれか(以下、「生産菌」と称することがある)を培地中に接種し、前記ポリペプチドの生産に良好な条件で培養することによって行われる。
前記培地としては、特に制限はなく、用いる生産菌に応じて適宜選択することができる。前記生産菌として麹菌を用いる場合には、例えば、1質量%のYCB(Yeast Carbon Base)と、1質量%のCasamino acidとを含む液体培地を用いることができる。
前記ポリペプチドの生産のための種母としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体培地、平板培地、斜面培地、半斜面培地などの培地上で前記生産菌を培養した生育物などを使用することができる。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静置培養、振とう培養、タンク培養などが挙げられる。
前記培養の温度としては、前記生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記ポリペプチドを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができるが、37℃が好ましい。
前記培養液のpHとしては、前記生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記ポリペプチドを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができる。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記ポリペプチドの蓄積に合わせて適宜選択することができる。
<<採取工程>>
前記採取工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記培養工程で得られた培養物から本発明のポリペプチドを採取する工程が好ましい。
前記培養物としては、前記培養工程で得られ、前記ポリペプチドを含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液体培養後の培養上清、菌体、固体培養後の固体培地、及びこれらの混合物などが挙げられる。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記ポリペプチドを菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記採取の方法としては、特に制限はなく、微生物の生産する代謝物を採取するのに用いられる方法を適宜選択することができ、例えば、溶媒抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する方法、クロマトグラフ法などが挙げられる。これらの方法を単独又は適宜組み合せて、場合によっては反復使用することにより、分離及び/又は精製された前記ポリペプチドを採取することができる。
例えば、培養上清をろ過した培養ろ液を、DE−52−celluloseカラム、Sephadex G−75カラム、逆相HPLCの順に処理することにより、前記ポリペプチドを採取することができる。
なお、前記採取工程における前記ポリペプチドの精製の程度としては、特に制限はなく、粗精製物であってもよいし、粗精製物を更に精製したものであってもよい。
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、洗浄工程、精製工程などが挙げられる。
前記洗浄工程は、前記培養工程で得られた培養物、又は前記採取工程で得られた前記ポリペプチドを洗浄する工程である。前記洗浄の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して行うことができる。
前記精製工程は、前記採取工程で得られた前記ポリペプチドを精製する工程である。前記精製の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して行うことができ、例えば、前記採取工程に記載した方法と同様の方法が挙げられる。
(DNA)
本発明のDNAは、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードし、下記(a)から(d)のいずれかである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(c)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNA。
(d)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
前記「数個のアミノ酸」の数個とは、上述のポリペプチドで記載したものと同様である。
前記ストリンジェントな条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ナトリウム濃度が25mM〜500mMが好ましく、25mM〜300mMがより好ましく、温度が42℃〜68℃が好ましく、42℃〜65℃がより好ましい。例えば、5×SSC(83mM NaCl、83mMクエン酸ナトリウム)、温度42℃が挙げられる。
なお、本発明の前記エラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードするDNAは、前記(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA、前記(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA、前記(c)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNA、又は、(d)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAと配列同一性を有するものであってもよい。前記塩基配列の同一性としては、ポリペプチドが前記エラスターゼに対する阻害活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて目的に応じて適宜選択することができるが、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。
前記塩基配列の同一性は、上述したアミノ酸配列の同一性と同様にして決定することができる。
前記DNAの調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイブリダイゼーション技術を用いる方法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いる方法、前記DNAに対し、site−directed mutagenesis法により変異を導入する方法などが挙げられる。
なお、自然界においても、塩基配列の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変異することは起こり得ることである。一方、塩基配列が変異していても、その変異がタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わない場合もある。本発明のDNAには、このような人工的に調製されたDNA、又は天然の変異DNAが含まれる。
前記DNAの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲノムDNA、cDNA、化学合成DNAなどが挙げられる。これらの調製方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができる。
なお、上記のような塩基配列の配列同一性や、コードするタンパク質のアミノ酸配列の配列同一性を示すようなDNAは、上述のようにハイブリダイゼーションを指標に得ることもできるが、ゲノム塩基配列解析等によって得られた機能未知のDNA群や公共データベースの中から、例えば、前述のBLASTプログラムを用いた検索により発見することも容易である。このような検索は、本技術分野の研究者が通常用いている方法である。
このようにして得られたDNAが前記エラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードしていることは、例えば、後述のように、適当なベクターに組み込み、適当な宿主を形質転換し、形質転換体を培養し、得られたタンパク質について、上述したように前記エラスターゼに対する阻害活性を測定することにより確認することができる。
(組換えベクター)
前記組換えベクターは、本発明のDNAを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の構成を含む。
前記ベクターとしては、宿主中で複製可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどが挙げられる。
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マーカー遺伝子、制御配列、精製用配列などが挙げられる。
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明のDNAや、必要に応じて更にその他のDNAを連結若しくは挿入することにより得ることができる。
ベクターに上記DNAを連結若しくは挿入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが挙げられる。
(形質転換体)
前記形質転換体は、前記組換えベクターにより形質転換された形質転換体である。
前記形質転換体は、前記組換えベクターを宿主中に導入することにより得ることができる。
前記宿主としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、麹菌、酵母、大腸菌、バチルス属に属する細菌、シュードモナス属に属する細菌、動物細胞、昆虫細胞などが挙げられる。これらの中でも、麹菌であるAspergillus oryzaeが好ましい。
前記組換えベクターを宿主中に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記組換えベクターが宿主に導入されたか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法などが挙げられる。
前記形質転換体は、上述したように本発明のポリペプチドの製造に用いることができる。
(エラスターゼ阻害剤)
本発明のエラスターゼ阻害剤は、本発明のポリペプチドを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記エラスターゼ阻害剤は、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対す阻害活性を有する。
前記エラスターゼ阻害剤における前記ポリペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記エラスターゼ阻害剤は、前記ポリペプチドそのものであってもよい。
−その他の成分−
前記エラスターゼ阻害剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エラスターゼ阻害剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−添加剤又は補助剤−−
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エラスターゼ阻害剤は、前記ポリペプチドを含むため、前記エラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れるので、医薬組成物、化粧料組成物などとして、好適に利用可能である。
なお、前記エラスターゼ阻害剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物と併せて使用されてもよい。また、前記エラスターゼ阻害剤は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中に、配合された状態で使用されてもよい。
(エラスターゼの水解活性阻害剤)
本発明のエラスターゼの水解活性阻害剤は、本発明のポリペプチドを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記エラスターゼの水解活性阻害剤は、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する。
前記エラスターゼの水解活性阻害剤における前記ポリペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記エラスターゼの水解活性阻害剤は、前記ポリペプチドそのものであってもよい。
−その他の成分−
前記エラスターゼの水解活性阻害剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記エラスターゼ阻害剤で記載したその他の成分と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エラスターゼの水解活性阻害剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エラスターゼの水解活性阻害剤は、前記ポリペプチドを含むため、前記エラスターゼが有する水解活性を阻害することができ、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れるので、医薬組成物、化粧料組成物などとして、好適に利用可能である。
なお、前記エラスターゼの水解活性阻害剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物と併せて使用されてもよい。また、前記エラスターゼの水解活性阻害剤は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中に、配合された状態で使用されてもよい。
(医薬組成物)
前記医薬組成物は、本発明のエラスターゼ阻害剤、及びエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記医薬組成物における前記エラスターゼ阻害剤、及びエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記医薬組成物は、前記エラスターゼ阻害剤そのものであってもよいし、前記エラスターゼの水解活性阻害剤そのものであってもよいし、前記エラスターゼ阻害剤及び前記エラスターゼの水解活性阻害剤からなるものであってもよい。
−その他の成分−
前記医薬組成物における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記エラスターゼ阻害剤で記載したその他の成分と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記医薬組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記医薬組成物は、前記ポリペプチドを含むため、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができるので、肺アスペルギルス症などの病原性Aspergillusが産生するエラスターゼが病原因子となる疾患や、ヒト好中球エラスターゼの亢進により発症する皮膚トラブルなどの諸疾患などに対する医薬組成物として、好適に利用可能である。
なお、前記医薬組成物は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物と併せて使用されてもよい。また、前記医薬組成物は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中に、配合された状態で使用されてもよい。
<剤形>
前記エラスターゼ阻害剤、エラスターゼの水解活性阻害剤、又は医薬組成物の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。これらの剤形の前記エラスターゼ阻害剤、エラスターゼの水解活性阻害剤、又は医薬組成物は、常法に従い製造することができる。
−固形剤−
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
−半固形剤−
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
−液剤−
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
<投与>
前記エラスターゼ阻害剤、エラスターゼの水解活性阻害剤、又は医薬組成物の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、例えば、局所投与法、経腸投与法、非経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬組成物や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いることができる。
(化粧料組成物)
前記化粧料組成物は、本発明のエラスターゼ阻害剤、及びエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記化粧料組成物における前記エラスターゼ阻害剤、及びエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記化粧料組成物は、前記エラスターゼ阻害剤そのものであってもよいし、前記エラスターゼの水解活性阻害剤そのものであってもよいし、前記エラスターゼ阻害剤及び前記エラスターゼの水解活性阻害剤からなるものであってもよい。
−その他の成分−
前記化粧料組成物における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材又は担体、添加剤、その他の活性成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記化粧料組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−基材又は担体−−
前記基材又は担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭化水素、脂肪酸、トリ脂肪酸グリセリド、高級アルコール、シリコーン油、グリコールアセタート、グリコールエステル、グリコールジニトラート、セルロース誘導体、エステル類、多糖類、低級アルコール、グリコールエーテル、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−添加剤−−
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、パール光沢付与剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−その他の活性成分−−
前記その他の活性成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗酸化成分、老化防止成分、抗炎症成分、美白成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、血行促進成分、保湿成分、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、紫外線吸収成分、紫外線散乱成分、洗浄成分、抗菌成分、収斂成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記化粧料組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、パップ剤、不織布等のシートに薬液を含浸させたシート剤、及びリップスティックのようなスティック剤などが挙げられる。
前記化粧料組成物の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基礎化粧料、洗浄用化粧料、メークアップ化粧料、入浴剤などが挙げられる。
前記基礎化粧料の具体例としては、化粧水、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリームなどが挙げられる。
前記洗浄用化粧料の具体例としては、洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンスなどが挙げられる。
前記メークアップ化粧料の具体例としては、ファンデーション、化粧下地、リップクリーム、口紅、チークカラーなどが挙げられる。
前記化粧料組成物は、常法に従い製造することができる。
前記化粧料組成物は、前記ポリペプチドを含むため、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する優れた阻害活性を有し、熱及びpHに対して安定であり、かつ、安全性に優れ、更には、エラスターゼが有する水解活性をも阻害することができるので、ヒト好中球エラスターゼの亢進により発症する皮膚トラブルなどを緩和する化粧料組成物として、好適に利用可能である。
以下、製造例及び試験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの製造例及び試験例に何ら限定されるものではない。
(製造例1:エラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチド)
A. oryzae RIB40株(独立行政法人酒類総合研究所より入手)をPDA(Potato Dexitrose Agar、Difco社製)斜面培地で30℃、5日間培養した後、1質量%のYCB(Yeast Carbon Base、Difco社製)と、1質量%のCasamino acid(和光純薬工業株式会社製)とを含む液体培地100mLに3白金耳接種し、37℃で2週間静置培養した。
培養4日目に培養液を採取し、Dismic−25CSフィルター(ADVANTEC社製)でろ過し、滅菌したろ液を精製に用いた。
前記培養ろ液を、0.01M NaClを含む0.01M Tris−HCl(pH7.2)を用いて、4℃で一晩透析した後、DE−52−celluloseカラム(Whatman Biochemical社製)にアプライした。次に、0.01M NaClを含む0.01M Tris−HCl(pH7.2)で素通り画分を溶出させた後、塩濃度を0.01Mから0.5Mまで上昇させて、流速13.5mL/時間で溶出させ、3mLずつ分画した。
<各画分のエラスターゼに対する阻害活性の確認>
前記分画した各画分のエラスターゼに対する阻害活性(以下、「エラスターゼ阻害活性」と称することがある)を以下のようにして調べた。
Jap.J.Med.Mycol.36:235−243 1995の記載に基づいて精製したA.fumigatus由来のエラスターゼと、前記各画分の粗酵素液の等量混合液0.1mLとを37℃で15分間反応させた後、この混合液に、50mM Tris−HCl(pH7.5)を0.9mL、基質液(50mM Glu−Ala−Ala−Pro−Leu−pNA(株式会社ペプチド研究所)を20μL加えた。これを37℃で30分間反応させた後、10% トリクロロ酢酸(TCA)溶液1mLを加えて反応を止めた。この反応液に0.1% 亜硫酸ナトリウム溶液、0.5% スルファミン酸アンモニウム溶液、及び0.1% N−ナフチルエチレンジアミン溶液を0.2mLずつ、ボルテックスでよく攪拌しながら、この順番で加え、10分間後、550nmの吸光度を測定した。
また、前記エラスターゼインヒビターを加えない場合をブランクとして同様にして測定した。
前記測定の結果から、以下の式(1)より、エラスターゼ阻害活性を求めた。
エラスターゼ阻害活性(%)={(A−B)/A}×100 ・・・ 式(1)
A:エラスターゼインヒビターを加えなかった場合の吸光度
B:エラスターゼを加えた場合の吸光度
前記エラスターゼ阻害活性の確認によりエラスターゼ阻害活性が確認された画分を集め、5mM Tris−HCl(pH7.2)を用いて、4℃で一晩透析した。これを凍結濃縮した後、Sephadex G−75カラム(Pharmacia Fine Chemical社製)にアプライし、0.01M NaClを含む0.01M Tris−HCl(pH7.2)を用い、流速7.2mL/時間で溶出させ、3mLずつ分画した。
前記分画した各画分について、前記エラスターゼ阻害活性の確認と同様にしてエラスターゼ阻害活性を確認したところ、フラクション番号95〜145が50%以上のエラスターゼ阻害活性を有していた。これらのフラクションの中で、比較的強いエラスターゼ阻害活性を有し、多くのタンパク質と分離できたフラクション番号95〜139を集め、逆相HPLCに注入した。なお、前記逆相HPLCの条件は、以下の通りである。
−逆相HPLCの条件−
・ 装置 : MODEL302(ギルソン社製)
・ カラム : Develosil Packed Column ODS−HG−5
・ 溶出液 : 溶液A・・・0.1% TFA含有水、溶液B・・・0.1% TFA含有アセトニトリル
・ 溶出条件 : 溶液B 0体積%→50体積%/25分間
・ 流量 : 1.0mL/分間
・ 検出 : 215nm(紫外部)
前記逆相HPLCにおいて、15.5分付近の単一ピークを集め、前記エラスターゼ阻害活性の確認と同様にしてエラスターゼ阻害活性を測定した結果、90%以上の阻害活性が認められたため、前記15.5分付近の単一ピークがエラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチド(以下、「エラスターゼインヒビター」、若しくは「AOEI」と称することがある)であると推定し、以下の諸性質を調べた。
(試験例1:エラスターゼインヒビターの分子質量)
前記エラスターゼインヒビターを含む画分を凍結乾燥し、前処理としてサンプルを0.1体積%TFA(trifluoro asetic acid)水溶液50μLで溶解した後、マトリックス(sinapinic acid)と混和した。
MALDI/TOF−MS(matrix−assisted laser desorption/ionization−time of flight mass spectrometry、Applied Biosystems社製)による分子質量の測定を行った結果、前記エラスターゼインヒビターの分子質量は6,300.54であることが分かった(図1参照)。
(試験例2:エラスターゼインヒビターの熱安定性)
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターを10mM Tris−HCl(pH7.2)にて4℃で、一晩透析し、約60ng/mLに調製した。これを500μLのナイクロチューブに加え、37℃、50℃、60℃、80℃、又は100℃で10分間のヒートブロックによる加熱を行った後、前記製造例1に記載のエラスターゼ阻害活性の確認と同様にしてエラスターゼ阻害活性を測定した。その結果、100℃で加熱した場合であっても、エラスターゼ阻害活性がほぼ100%残っており、前記エラスターゼインヒビターが、熱に対し強固な安定性を有することが分かった。
(試験例3:エラスターゼインヒビターのpH安定性)
pH6、pH7、pH8、又はpH9の溶液を、pH6は0.1M 酢酸緩衝液を用い、pH7〜9は0.1M Tris−HCl緩衝液を用いて調整した。
前記各pH緩衝液と、前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビター(10mM Tris−HCl(pH7.2)溶液;約60ng/mL)との等量混合溶液を4℃で一晩放置した後、これを10mM Tris−HCl(pH7.2)で、2時間透析した。
前記透析処理液のエラスターゼ阻害活性を、前記製造例1に記載のエラスターゼ阻害活性の確認と同様にして測定した結果、少なくともpH6〜9では阻害活性がほぼ100%残存しており、この範囲のpH(人体のpH域に相当)では安定であることが分かった。
(試験例4:エラスターゼインヒビターの特異性)
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターの各種エラスターゼに対する阻害活性を以下のようにして調べた。
−基質溶液の調製−
表1に記載の基質を50mMになるようにDMSO(Dimetyl sulhoxide)で溶解し、これを基質溶液とした。
−酵素溶液の調製−
表1に記載のエラスターゼ(600ng/mL)と、前記エラスターゼインヒビター(約60ng/mL)との等量混合液0.1mLを37℃で15分間反応させた後、前記混合液に50mM Tris−HCl(pH7.5)0.9mLを加え、これを酵素溶液とした。
なお、Aspergillus fumigatus由来エラスターゼは、Jap.J.Med.Mycol.36:235−243 1995の記載に基づいて精製したエラスターゼであり、Aspergillus flavus由来エラスターゼは、Jap.J.Med.Mycol.38:53−59 1997の記載に基づいて精製したエラスターゼである。
−阻害活性測定−
前記酵素溶液に20μLの前記基質溶液を加え、37℃で30分間反応させた後、10%TCA(トリクロロ酢酸)を1mL加えて反応を停止させた。前記反応を停止させた溶液に、0.1%亜硫酸ナトリウム溶液と、0.5%スルファミン酸アンモニウム溶液とをこの順番に加え、溶液をボルテックス等で十分混和した後、0.1% N−ナフチルエチレンジアミン溶液を加えた後、約10分間後の550nmの吸光度を測定した。
また、前記エラスターゼインヒビターを加えない場合をブランクとして同様にして測定した。
前記測定の結果から、以下の前記式(1)より、エラスターゼ阻害活性を求めた。結果を表1に示す。
表1中、「Suc」は「Succinyl」を表し、「pNA」は「p−nitroanilide」を表す。
前記表1の結果から、前記エラスターゼインヒビターは、A. fumigatus由来のエラスターゼ、及びA. flavus由来のエラスターゼに対しては強い阻害活性を示した。また、ヒト好中球(Human leukocytes)エラスターゼに対しても阻害活性を示した。一方、ブタ膵臓(Porcine pancreas)エラスターゼに対しては阻害活性を示さなかった。
(試験例5−1:エラスターゼの水解活性を阻害する作用−1−1)
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターが、エラスターゼの水解活性を阻害するか否かを、OuyangとTengの方法(Biochem.Biophys.Acta.42:298−308,1974)に準拠し、以下のようにして試験した。
ヒト血清フィブリノーゲン(シグマ社製)を0.1質量%になるよう生理食塩水に溶解したものを基質溶液とした。
前記基質溶液1mLに、試験例4と同様にして調製したA. fumigatus由来エラスターゼを100μL加え、37℃で反応させ、経時的(0分間、5分間、15分間、30分間、60分間、120分間、180分間)に50μLずつ取り、等量の反応停止液(4% SDS、4% メルカプトエタノール、及び10mM 尿素を含有する10mM リン酸緩衝液)を加え、37℃で1時間インキュベートした。
これらをサンプルとして、12%ポリアクリルアミドを支持体としたSDSスラブ電気泳動を行った。結果を図2Aに示す。
(試験例5−2:エラスターゼの水解活性を阻害する作用−1−2)
前記試験例5−1において、エラスターゼ100μLを基質溶液に加えていた点を、以下のようにして調製した、エラスターゼと、エラスターゼインヒビターとの混合液の100μLを基質溶液に加えた以外は、試験例5−1と同様にして試験した。結果を図2Bに示す。
−混合液の調製−
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビター100μL(約60ng/mL)と、試験例4と同様にして調製したA. fumigatus由来エラスターゼ100μL(600ng/mL)とを混和し、37℃で15分間インキュベートし、エラスターゼと、エラスターゼインヒビターとの混合液とした。
図2A及び図2Bでは、左から順に、マーカー(Std.)、0分間(0)、5分間(5)、15分間(15)、30分間(30)、60分間(60)、120分間(120)、180分間(180)の結果を示す。
図2A及び図2Bの結果から、エラスターゼは時間の経過とともにヒト血清フィブリノーゲンを水解したが、エラスターゼインヒビターの存在下ではその水解は阻害された。
(試験例6−1:エラスターゼの水解活性を阻害する作用−2−1)
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターが、エラスターゼの水解活性を阻害するか否かを、以下のようにして試験した。
コラーゲンtypeI(和光純薬工業株式会社製)を生理食塩水に溶解し、3mg/mLとしたものを基質溶液とした。
前記基質溶液900μLに、試験例4と同様にして調製したA. fumigatus由来エラスターゼを100μL加え、37℃で反応させ、経時的(0分間、5分間、15分間、30分間、60分間、120分間、180分間)に100μLずつ取り、60℃で20分間加温して反応を停止させた。
これらに、4% SDS、及び3% メルカプトエタノールを含む10mM リン酸ナトリウム水溶液(pH7.2)を100μL加え、10%のポリアクリルアミドを支持体としたSDSスラブ電気泳動を行った。結果を図3Aに示す。
(試験例6−2:エラスターゼの水解活性を阻害する作用−2−2)
前記試験例6−1において、エラスターゼ100μLを基質溶液に加えていた点を、以下のようにして調製した、エラスターゼ(600ng/mL)と、エラスターゼインヒビター(約60ng/mL)との混合液の100μLを基質溶液に加えた以外は、試験例6−1と同様にして試験した。結果を図3Bに示す。
−混合液の調製−
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターと、試験例4と同様にして調製したA. fumigatus由来エラスターゼとを等量混和し、37℃で15分間インキュベートし、エラスターゼと、エラスターゼインヒビターとの混合液とした。
図3A及び図3Bでは、左から順に、マーカー(Std.)、0分間(0)、5分間(5)、15分間(15)、30分間(30)、60分間(60)、120分間(120)、180分間(180)の結果を示す。
図3A及び図3Bの結果から、エラスターゼは時間の経過とともにコラーゲンtypeIを水解したが、エラスターゼインヒビターの存在下ではその水解は阻害された。
(試験例7−1:エラスターゼによるエラスチンの水解活性を阻害する作用−1)
エラスチン(シグマ社製)を含有した培地(エラスチン 1質量%、ペプトン 1質量%、グルコース 2質量%,酵母エキス 0.5質量%、pH7.2)において、A. fumigatus(独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院より入手)を穿刺培養し、37℃で10日間培養した結果、培地中に含まれるエラスチンが分解された(図4A参照)。
(試験例7−2:エラスターゼによるエラスチンの水解活性を阻害する作用−2)
前記試験例7−2において、培地に前記製造例1で得られたエラスチンインヒビターを約3ng含有させた以外は、試験例7−1と同様にして試験した結果、エラスチンの水解が阻害された(図4B参照)。
(試験例8:エラスターゼインヒビターのアミノ酸配列)
前記製造例1で得られたエラスターゼインヒビターのアミノ酸配列を、Model 491 Protein Sequencer/Model 611 PTH Analyzer Online System(Applied Biosystems社製)を用いて解析した。その結果、ネイティブのエラスターゼインヒビターのアミノ酸配列は、N末端より49残基まで決定された。
前記配列について、独立行政法人酒類総合研究所の麹菌ESTデータベース(http://nribf21.nrib.go.jp/EST2/index.html)にて確認したところ、機能未知のポリペプチドであるAoEST2608に該当した。前記配列は、A. fumigatus、及びA. flavusにはなく、新規なエラスターゼインヒビターと考えられた。前記エラスターゼインヒビターのアミノ酸配列は、cDNAから決定されたポリペプチドのアミノ酸配列を一部補い、配列番号:1に示した。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有し、下記(a)及び(b)のいずれかであることを特徴とするポリペプチドである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
<2> Aspergillus oryzae由来である前記<1>に記載のポリペプチドである。
<3> エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する作用を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のポリペプチドである。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリペプチドを含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリペプチドを含有し、エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害することを特徴とするエラスターゼの水解活性阻害剤である。
<6> 前記<4>に記載のエラスターゼ阻害剤、及び前記<5>に記載のエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする医薬組成物である。
<7> 前記<4>に記載のエラスターゼ阻害剤、及び前記<5>に記載のエラスターゼの水解活性阻害剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化粧料組成物である。
<8> Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードし、下記(a)から(d)のいずれかであることを特徴とするDNAである。
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
(c)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNA。
(d)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
<9> 前記<8>に記載のDNAを含有することを特徴とする組換えベクターである。
<10> 前記<9>に記載の組換えベクターにより形質転換されたことを特徴とする形質転換体である。
<11> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法であって、
麹菌、及び前記<10>に記載の形質転換体の少なくともいずれかを培養する工程と、
前記培養物から前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリペプチドを採取する工程とを含むことを特徴とするポリペプチドの製造方法である。

Claims (6)

  1. Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有し、下記(a)及び(b)のいずれかであることを特徴とするポリペプチド。
    (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
    (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  2. Aspergillus oryzae由来である請求項1に記載のポリペプチド。
  3. エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害する作用を有する請求項1から2のいずれかに記載のポリペプチド。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチドを含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチドを含有し、エラスターゼが有する、ヒトフィブリノーゲンの水解活性、及びI型コラーゲンの水解活性の少なくともいずれかを阻害することを特徴とするエラスターゼの水解活性阻害剤。
  6. Aspergillus fumigatus由来エラスターゼ、Aspergillus flavus由来エラスターゼ、及びヒト好中球エラスターゼから選択される少なくとも1種のエラスターゼに対する阻害活性を有するポリペプチドをコードし、下記(a)から(d)のいずれかであることを特徴とするDNA。
    (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
    (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
    (c)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNA。
    (d)配列番号:2で示される塩基配列を含むDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
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