JP2015034797A - 抗体固定化担体およびその製造方法 - Google Patents

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勝義 林
Katsuyoshi Hayashi
勝義 林
弦 岩崎
Gen Iwasaki
弦 岩崎
鈴代 井上
Suzuyo Inoe
鈴代 井上
為近 恵美
Emi Tamechika
恵美 為近
まどか 高井
Madoka Takai
まどか 高井
勇祐 千村
Yusuke Chimura
勇祐 千村
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Abstract

【課題】抗体の認識部位を測定試料側に配向させ、非特異吸着を抑制した状態で、測定領域に抗体を固定できるようにする。
【解決手段】固定層103は、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体より構成され、ミクロ相分離されて、第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域104および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域105を備える。また、第1パターン領域104に固定され、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体106を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、抗体を用いた分析に適用される抗体固定化担体およびその製造方法に関する。
種々のタンパク質など生理活性物質の生体試料における分析方法として、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)などの免疫測定法がある。この免疫測定法では、対象とするタンパク質に対して特異的に相互作用する抗体を用い、これらの特異的な相互作用(抗原抗体反応)に基づいて対象とするタンパク質を感度よく検出している。免疫測定法は、分析対象の目的とする生理活性物質以外の物質による妨害が少ないことから、複雑な前処理をあまり必要とせずにある程度高感度な分析が可能であることが特徴である。免疫測定法は、感度や分析操作性の観点、また、測定に必要な抗体性能の長期安定化の観点が、今後ますます必要になるものと考えられる。
このような免疫測定法による分析では、測定領域に固定した抗体に対するタンパク質の相互作用の有無を、酵素標識した2次元抗体を使い酵素反応を利用して吸光度や蛍光強度により検出している。蛍光標識した2次抗体の蛍光強度による検出法、更には、固定化抗体と相互作用するタンパク質を、例えば、よく知られた表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した屈折率変化の測定により検出する技術が用いられる。このように、抗体を用いた分析では、測定領域に抗体を固定することが重要となる。
抗体は、一般的に、物理的吸着法,化学的結合法,あるいは高分子担体法を用い、測定領域に固定している。ここで、物理吸着とは、例えば、測定領域に設けられている金属や高分子基材と抗体との間の疎水性相互作用や静電的相互作用,ファンデルワールス力などの物理的相互作用により、上述した基材に抗体が吸着することを指す。しかしながら、この吸着は、結合力が弱いため、長時間測定溶液に晒されると、抗体が基材より脱離するために実用的な固定法とは言いがたい。
上述した物理吸着に対し、化学的結合法は、抗体を金属薄膜に化学的結合力で固定することを指す。この方法では、例えば金属薄膜を金(Au)で構成すると、Auとメルカプチド結合を介して抗体をAuに固定することが多い。また、高分子担体法では、高分子担体に、抗体を包括固定(ハイドロゲル構造)する。更に、高分子に活性エステル基などタンパク質のアミノ基とアミド結合する官能基を導入させて固定化する。
高感度な免疫測定には、検出できる信号の強度を高めるための抗体の配向性の制御と、ノイズを低減するための非特異吸着の抑制が重要となる。抗体の配向制御については、プロテインAの配向を制御して基材へ固定し、この上に抗体を固定して抗体の配向性を制御することで、抗原抗体反応の平衡解離定数が小さくできることが報告されている(非特許文献1参照)。また、ポリエチレングリコール(PEG)などの材料を用いて非特異吸着の抑制と固定化抗体の配向を制御する技術も提案されている(非特許分2参照)。現在、固定化された抗体を様々な検出器と組み合わせ、疾病マーカーなどの生体分子の分析が行われている。例えば、前述したSPRや、電気化学、蛍光、化学発光を原理とするバイオ分析方法が提案されている。
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ところで、抗体などの生体分子は、熱や光などの外部の刺激により変性し易いため、抗原に対する認識性能を長期間維持することが難しいという問題がある。更に、上述したように、所定の検出方法に組み合わせるために測定領域に抗体を固定し、また、抗原に対する認識能を高めるために、抗体の認識部位を測定試料側に配向させ、更に測定対象物質以外の生体分子の非特異吸着を抑制することが重要となる。しかしこれらを同時に実現することが容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、抗体の認識部位を測定試料側に配向させ、非特異吸着を抑制した状態で、測定領域に抗体を固定できるようにすることを目的とする。
本発明に係る抗体固定化担体は、基板の上に形成された測定領域と、測定領域に形成され、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体より構成され、ミクロ相分離されて、第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域が形成された固定層と、第1パターン領域に固定され、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体とを備える。
上記抗体固定化担体において、第1ブロック鎖は、3−(Methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silaneなどの疎水基を有するメタクリル系モノマーによるブロックコポリマーから構成されていればよい。また、第2ブロック鎖は、2−Methacryloyloxyethyl phosphorylcholineなどの親水性の双性イオン型モノマーによるブロックコポリマーから構成されていればよい。この場合、ブロック共重合体は、第1ブロック鎖−b−第2ブロック鎖−b−第1ブロック鎖の構造のトリブロックコポリマーとされている。なお、基板の上に形成された流路を備え、測定領域は、流路の一部に形成されているようにすればよい。
本発明に係る抗体固定化担体の製造方法は、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体を作製する第1工程と、ブロック共重合体の膜を基板の上に形成された測定領域に形成し、ミクロ相分離させて第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域を備える固定層を測定領域に形成する第2工程と、固定層の第1パターン領域に、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体を固定する第3工程とを備える。
上記抗体固定化担体の製造方法において、第1ブロック鎖は、3−(Methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silaneなどの疎水基を有するメタクリル系モノマーによるポリマーから構成し、第2ブロック鎖は、2−Methacryloyloxyethyl phosphorylcholineなどの親水性の双性イオン型モノマーによるポリマーから構成する。この場合、ブロック共重合体は、第1ブロック鎖−b−第2ブロック鎖−b−第1ブロック鎖の構造のトリブロックコポリマーとする。
以上説明したことにより、本発明によれば、抗体の認識部位を測定試料側に配向させ、非特異吸着を抑制した状態で、測定領域に抗体を固定できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における抗体固定化担体の構成を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態において作製した固定層の試料の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察結果を示す写真である。 図3は、本発明の実施の形態において作製した抗体固定化担体を用いた蛍光測定結果を示す特性図である。 図4は、本発明の実施の形態における抗体固定化担体を用いた測定チップ用基板の作製方法を説明する工程図である。 図5は、本発明の実施の形態における抗体固定化担体を用いた測定チップおよび測定システムの構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における抗体固定化担体の構成を模式的に示す斜視図である。この抗体固定化担体は、基板101の上に形成された測定領域102と、測定領域102に形成された固定層103とを備える。
固定層103は、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体より構成され、ミクロ相分離されて、第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域104および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域105を備える。また、抗体固定化担体は、第1パターン領域104に固定され、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体106を備える。
第1パターン領域104を構成する第1ブロック鎖は、3−(Methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silane(MPTSSi)などの疎水基を有するメタクリル系モノマーによるポリマーである。また、第2パターン領域105を構成する第2ブロック鎖は、2−Methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)などの親水性の双性イオン型モノマーによるポリマーである。上述したブロック共重合体は、第1ブロック鎖−b−第2ブロック鎖−b−第1ブロック鎖の構造のトリブロックコポリマーとされている。
上述したように、 本発明では、抗体の性能を安定に保持するための親水性ユニット(第2パターン領域105)と抗体106を吸着させるための疎水性ユニット(第1パターン領域104)を組み合わせた相分離構造を有する固定層103を備えるところに特徴がある。ここで、MPCより構成するポリマーは、優れた生体適合性材料として知られており、タンパク質の吸着抑制とタンパク質の変性抑制効果を有している。
このような特徴を有するMPCポリマーとMPTSSiポリマーとの相溶性の低さから、これらのブロック共重合体は、相分離構造を形成する。相分離構造における疎水性部(第1パターン領域104)の寸法(面積)は、各ブロック鎖の分量で制御でき、この制御により決定した寸法とした島状の複数の疎水性の領域によって抗体の配向性を制御する。例えば、抗体106は、認識部位を測定試料側に配向させた状態で、第1パターン領域104に固定されるようになる。
ここで、例えば、SPRによる装置で用いる金薄膜や電極材料と固定層との結合のためには、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を用いればよい。上述したブロック共重合体による固定層の形成では、例えば、ブロック共重合体の溶液を基板の上に溶媒キャスティング法などにより塗布して膜を形成すればよい。この場合、まず、RAFT重合でポリマーを重合し、この後、適当な溶媒に溶解したポリマーを塗布することになる。
この重合で用いるRAFT剤は、4−Cyano−4−(phenylcarbonothioylthio)pentanoic acid(CPD)を用いることができる。重合終了後に形成されたブロック共重合体による固定層のポリマー末端に結合しているチオカルボニルチオ基は、水素化ホウ素ナトリウムによって容易に還元され反応性の高いチオール基に変換でき、チオール結合によって金薄膜と結合することができるものと考えられる。
次に、固定層についてより詳細に説明する。以下では、まず、基板としてBK7ガラスを用いる。また、この基板の上にAu薄膜を形成し、ここを測定領域として固定層を形成する。
まず、次に示す工程により、ブロック共重合体を合成する。まず、重合溶媒をトルエンとし、RAFT剤をCPDとし、MPTSSiをRAFT重合させ、Poly(MPTSSi)を合成した。得られた重合溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)あるいはメタノール貧溶媒に滴下した後、得られた沈殿を減圧乾燥させた。
次に、合成したPoly(MPTSSi)に、MPCモノマーをRAFT重合させ、Poly(MPTSSi−b−MPC)を合成した。得られた重合溶液を貧溶媒であるヘキサンに滴下して再沈殿させ、得られた沈殿を減圧乾燥させた。
次に合成したPoly(MPTSSi−b−MPC)に、MPTSSiモノマーをRAFT重合させ、Poly(MPTSSi−b−MPC−b−MPTSSi)を合成した。このようにして合成したブロック共重合体の膜を基板の上の測定領域に形成し、ミクロ相分離させて第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域を備える固定層を測定領域に形成する。合成したブロック共重合体の溶液を、所望とする測定領域に塗布することで固定層を形成すればよい。また、固定層を形成した後、後述するように、固定層の第1パターン領域に、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体の一端を固定する。
この例では、疎水性部(第2パターン領域105)、親水性部(第1パターン領域104)の寸法を変化させるために、次に示すように、上述した重合ステップにおける各材料の比(仕込み比)を変化させ、3種類の相分離構造を有する固定層の試料を作製した。第1に、CPD/MPTSSi/MPC/MPTSSiを1/10/50/10としたPSMS10を作製した。第2に、CPD/MPTSSi/MPC/MPTSSiを1/20/100/20としたPSMS20を作製した。第3に、CPD/MPTSSi/MPC/MPTSSiを1/40/200/40としたPSMS40を作製した。なお、上記数値は、モノマーのユニット数である。
作製した試料は、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察により、MPTSSiのドメインとMPCのドメインに分離した構造であることが確認されている。1例としてPSMS40により形成した固定層のTEM像を図2に示す。ここでは、ドメイン寸法を調べるために、オスミニウム酸(OsO4)で染色している。図2では、疎水性部であるMPTSSiのドメインが、より濃い色で(暗く)見えている。これは、PSMS10およびPSMS20でも同様であることが確認されている。また、各試料では、各モノマーの比に応じてドメインの直径とドメイン中心間距離が変化することを確認している。
以下の表1に、TEM像によるドメイン・マトリックス解析の結果を示す。表1中に示した面積比とは、図2のTEM像から求めた疎水性の部分と親水性の部分の面積比である。なお、ドメイン直径およびドメイン中心間距離は、MPTSSiのドメインに関するものであり、単位はnmである。また、面積比の単位は%である。MPCのドメインの中に、島状の複数のMPTSSiによるドメインが形成される。また、複数のMPTSSiのドメインは、周囲のMPCドメインの中に島状に配置され、各々は、おおよそ正三角形を基本格子とする格子の格子点に配置された状態となる。
次に、実際にイムノアッセイ(生化学的分析)を実施した結果について説明する。まず、抗体固定化担体を構成する固定層にはPSMS40を用いた。ここでは、PSMS40を96穴ウェルプレートにディップコートして固定層とした。はじめに、一次抗体として抗ヒト血清アルブミン(human serum albumin;HSA)抗体を用い、上述した固定層の上にHSA溶液を滴下して固定した。この後、洗浄、ブロッキングを行い、HSA標準溶液を滴下した。次いで、再び洗浄を行い、最後に二次抗体として、蛍光試薬であるFITC(fluorescein isothiocyanate)が標識された抗HSA抗体溶液を、固定層(抗体固定化担体)の上に滴下した。
この際の蛍光測定結果を図3に示す。図3において、実線(黒四角)がPSMS40を用いて形成した固定層を備える場合であり、点線(黒丸)がこの固定層を形成していない場合(未コート)である。図3に示す結果より、FITC標識抗HSA抗体の濃度が400ng/mLのとき、S/N比は以下のように求めることができる。
まずシグナルは、「シグナル(S)=(400ng/mLにおける蛍光強度)−(0ng/mLにおける蛍光強度)=11443−5172=6271」により求めることができる。次に、PSMS40を用いた場合の、FITC標識抗HSA抗体の濃度が400 ng/mLにおけるノイズは、「ノイズ(N)=標準偏差=444」である。よって、S/N比は、「S/N=6271/444=14.1」と算出される。
PSMS40をコートしない場合と比較すると、抗体固定領域はPSMS40は30%程度しかないのにも関わらず、抗原濃度が400ng/mLのときS/N比14.1は、未コートの場合と比べて2倍程度高いことがわかった。
上述した結果は、PSMS40による固定層では、目的どおり固定化された抗体の配向性が向上したことによる影響が考えられる。固定層において、第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域(親水性ドメイン)は、水溶液中では膨潤する。一方で、第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域(疎水性ドメイン)は、水溶液中でも膨潤しない。この結果、疎水性ドメインとこの周囲の膨潤した親水性ドメインとにより凹部が形成された状態となり、凹部の底に相当する疎水性ドメインに固定された抗体は、凹部の形状により配向性が向上するものと考えられる。
また、上述した結果は、PSMS40による固定層の疎水性ドメインに固定された抗体がMPCからなる親水性ドメインによって変性を抑制され、活性を失わなかったためと考えられる。
次に、PSMS40をマイクロ流路内の金薄膜上にコートして固定層とした測定チップとSPR測定装置を用いてイムノアッセイを実施した結果について説明する。測定チップは、金薄膜が蒸着されたBK7基板と、高さ50mm、幅0.5mm、長さ10mmの流路が形成されたポリジメチルシロキサン(PDMS)による流路基板で構成されている。
図4に測定チップ用基板の作製方法を示す。まず、はじめに、図4の(a)に示すように、BK7ガラスによる基板301を用意し、図4の(b)に示すように、基板301の上の所定箇所にAu薄膜302を形成する。次に、基板301の上に上述したPSMS40を塗布し、図4の(c)に示すように、固定層303を形成する。次に、図4の(d)に示すように、流路となる開口部304aを備える厚さ50μmの両面粘着シート304を基板301に貼り付ける。
次に、図4の(e)に示すように、直径0.5mmの貫通孔306を備える上部基板305を両面粘着シート304に貼り付ける。上部基板305は、例えば、PDMSから構成されている。例えば、所定の容器にPDMS溶液を収容し、85℃・2時間の条件で加熱することで上部基板305を形成すればよい。
次に、図4の(f)に示すように、貫通孔306にチューブ307を接続し、また、一方のチューブ307にシリンジ308およびシリンジポンプ309を接続し、抗HSA抗体溶液を、開口部304aによる流路内に供給し、固定層303における第1ブロック鎖の層よりなる疎水性の複数の第1パターン領域(疎水性ドメイン)の各々に抗HSA抗体を固定する。
最後に、上述したチップ305に流路基板を貼り合わせることで、流路を備える測定チップとする。測定チップと測定システムの概略図を図5に示す。図5の(a)は測定チップの上面図であり、(b)は断面図である。
また、図5の(c)は、測定システムの構成を示している。このシステムは、上述した構成の測定チップ501と、測定チップ501の2つの貫通孔に接続されたチューブ502,503と、チューブ502に接続されたシリンジ504とを備える。また、測定チップ501は、SPR測定装置505の測定部に設置されて用いられる。なお、SPR測定装置505で測定された測定データは、図示しないコンピュータに転送されて記憶される。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)と主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えた機器であり、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した転送や記憶などの各機能が実現される。
上述したシステムにより、まず、リン酸緩衝溶液(PBS)を測定チップの流路内に導入し、この状態における流路内の屈折率をSPR測定装置505により測定しておく。次に、PBSで満たされている流路内にHSA溶液を導入する。HSAの導入によって、流路中の固定層における疎水性ドメインに固定されている抗体にHSAが相互作用して捕捉され、流路内の屈折率が変化する。PBS溶液導入からHSA溶液導入への屈折率の変化量から、未知のHSA濃度を定量することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体より構成され、ミクロ相分離されて、第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域が形成された固定層の第1パターン領域に、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体の一端を固定するようにしたので、抗体の認識部位を測定試料側に配向させ、非特異吸着を抑制した状態で、測定領域に抗体を固定できるようになる。
このように構成した抗体固定化担体を用いることで、例えば血液等に含まれるタンパク質等の濃度の定量を行うことができる。また、上述では、測定装置としてSPR測定装置を用いたが、抗原抗体反応を検出するあらゆる測定装置との組み合わせにより生体物質の測定システム構築することが可能である。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基板、102…測定領域、103…固定層、104…第1パターン領域、105…第2パターン領域、106…抗体。

Claims (9)

  1. 基板の上に形成された測定領域と、
    前記測定領域に形成され、互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体より構成され、ミクロ相分離されて、前記第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および前記第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域が形成された固定層と、
    前記第1パターン領域に固定され、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体と
    を備えることを特徴とする抗体固定化担体。
  2. 請求項1記載の抗体固定化担体において、
    前記第1ブロック鎖は、疎水基を有するメタクリル系モノマーによるポリマーから構成され、
    前記第2ブロック鎖は、親水性の双性イオン型モノマーによるポリマーから構成されている
    ことを特徴とする抗体固定化担体。
  3. 請求項1または2記載の抗体固定化担体において、
    前記第1ブロック鎖は、3−(Methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silaneから構成され、
    前記第2ブロック鎖は、2−Methacryloyloxyethyl phosphorylcholineから構成されている
    ことを特徴とする抗体固定化担体。
  4. 請求項3記載の抗体固定化担体において、
    前記ブロック共重合体は、第1ブロック鎖−b−第2ブロック鎖−b−第1ブロック鎖の構造のトリブロックコポリマーとされていることを特徴とする抗体固定化担体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体固定化担体において、
    前記基板の上に形成された流路を備え、
    前記測定領域は、前記流路の一部に形成されていることを特徴とする抗体固定化担体。
  6. 互いに異なる表面自由エネルギーを持つ少なくとも第1ブロック鎖および第2ブロック鎖から構成されたブロック共重合体を作製する第1工程と、
    前記ブロック共重合体の膜を基板の上に形成された測定領域に形成し、ミクロ相分離させて前記第1ブロック鎖の相よりなる疎水性の複数の第1パターン領域および前記第2ブロック鎖の相よりなる親水性の第2パターン領域を備える固定層を前記測定領域に形成する第2工程と、
    前記固定層の前記第1パターン領域に、検出対象となるタンパク質と特異的に相互作用する抗体を固定する第3工程と
    を備えることを特徴とする抗体固定化担体の製造方法。
  7. 請求項6記載の抗体固定化担体の製造方法において、
    前記第1ブロック鎖は、疎水基を有するメタクリル系モノマーによるポリマーから構成し、
    前記第2ブロック鎖は、親水性の双性イオン型モノマーによるポリマーから構成する
    ことを特徴とする抗体固定化担体の製造方法。
  8. 請求項6または7記載の抗体固定化担体の製造方法において、
    前記第1ブロック鎖は、3−(Methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silaneから構成し、
    前記第2ブロック鎖は、2−Methacryloyloxyethyl phosphorylcholineから構成する
    ことを特徴とする抗体固定化担体の製造方法。
  9. 請求項8記載の抗体固定化担体の製造方法において、
    前記ブロック共重合体は、第1ブロック鎖−b−第2ブロック鎖−b−第1ブロック鎖の構造のトリブロックコポリマーとすることを特徴とする抗体固定化担体の製造方法。
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