JP2015034456A - 地中免震壁構造および地中免震壁材料の設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁構造および地中免震壁材料の設計方法を提供する。【解決手段】周辺地盤1と構造物2との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁3の材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、地中免震壁3に作用する周辺地盤1による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した側方土圧以上の吸水膨張圧を有する材料を、地中免震壁3を構成する材料として使用するようにする。【選択図】図4

Description

本発明は、地震時の開削トンネルなどの地中構造物への応力低減を図るための地盤変位吸収免震構造を構成する地中免震壁構造および地中免震壁材料の設計方法に関するものである。
従来、地震時の開削トンネルなどの地中構造物への応力低減を図るための地盤変位吸収免震構造が知られている(例えば、特許文献1または2を参照)。図4は、特許文献1の地盤変位吸収免震構造の概略斜視図である。図4に示すように、周辺地盤1中に埋設された地中構造物2に沿って地中免震壁3を設ける場合には、地中免震壁3に作用する土圧に対して十分に対抗でき長期的安定性が確保できる材料である一方で、免震効果を発揮するためには、材料の剛性が小さいことが望ましいとされ、この両者がバランスよく設定された地中免震壁が求められている。
上記の特許文献1は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、地中免震壁の長期安定性を確保できるうえ、地震時の開削トンネルなどの地中構造物への応力低減を図ることができる地盤変位吸収免震構造を下記の(1)〜(4)の工夫を施して実現している。
(1)図4に示すように、周辺地盤1と構造物2の間に、吸水膨潤性の粘土系材料からなる連続した壁状の免震層3(地中壁または地中免震壁)を設置する。
(2)地中壁を構成する粘土系材料として、ベントナイトと水の混合物、あるいは、ベントナイトと骨材(砂礫等の土質材料あるいはガラスビーズ等の長期変質しにくい人工材料)と水の混合物を用いる。
(3)地中壁を構成する粘土系材料においてベントナイトと水の混合物からなる材料で満たされている領域は、ベントナイト乾燥密度の値において300〜1200kg/mの範囲であることを特徴とする。
(4)地中壁を構成する粘土系材料のベントナイトと骨材と水の混合物からなる材料において、ベントナイトと水で満たされている領域(骨材領域を除いた領域を満たしているベントナイトと水の混合物)は、ベントナイト乾燥密度の値において300〜1200kg/mの範囲であることを特徴とする。
一方、特許文献2の地中壁の構築方法は、ベントナイト100%配合の材料に限らずに、所定のベントナイト有効乾燥密度となるように調整したベントナイトの材料、またはベントナイトと骨材の混合物の材料を袋体に詰めたものを、地中空間に充てんする工程を有するものである。しかし、周囲の地盤から受ける側方土圧に対して、どのように配合設計するのかについての具体的な方法は明らかではなかった。
ところで、上記の特許文献1は、連続する地中壁でありながら、土圧に対抗できる膨潤圧(吸水膨張圧)を発揮する吸水膨張性粘土(例えばベントナイト)を使うことによって、地中壁の構造形態を維持するところに特徴があった。一方、免震効果をアップするためには、よりせん断剛性の小さい(別の特性で言えば、横波速度Vsが小さい)材料を地中壁材料として使えることが望ましい。
例えば、非特許文献1によれば、図5に示すように、地中壁(免震壁)材料のせん断波速度Vsの周辺地盤のせん断波速度に対する比(Vs比)が小さいほど、躯体部(構造物)のせん断力の低減率(対策後/対策前)が小さくなるので免震効果は大きい。しかし、本発明の発明者の一人による研究によれば、例えば周辺地盤のせん断波速度Vsを100m/sとすると、図6のグラフに示すように、せん断波速度Vsが20m/sのベントナイト材料をつくることはできるが、図7に示すように、その乾燥密度ρのベントナイト材料の膨張圧は0.03MPaを下回るため、周辺地盤から受ける側圧に比べて小さくなってしまう、という知見が得られている。したがって、吸水膨張圧による地中壁の安定性維持に替わる材料の工夫が望まれていた。
特開2012−031662号公報 特開2012−031663号公報
張至鎬、福武毅芳他、「ベントナイトを用いた地中構造物の免震壁構造の検討(その2:FEM解析による免震効果の考察)」、土木学会第65回年次学術講演会、平成22年9月
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁構造および地中免震壁材料の設計方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る地中免震壁構造は、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の構造であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造は、上述した発明において、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造は、上述した発明において、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて設計した前記混合材料からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造は、上述した発明において、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたことを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造は、上述した発明において、前記混合材料の骨材配合率を、ベントナイト密度に応じて予め取得した骨材配合率とせん断波速度との関係に基づいて設計した骨材配合率としたことを特徴とする。
また、本発明に係る地中免震壁材料の設計方法は、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の前記材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法は、上述した発明において、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法は、上述した発明において、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて、前記混合材料を設計することを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法は、上述した発明において、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたことを特徴とする。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法は、上述した発明において、骨材配合率とせん断波速度との関係をベントナイト密度に応じて予め取得しておき、取得した前記関係に基づいて、前記混合材料の骨材配合率を設計することを特徴とする。
本発明に係る地中免震壁構造によれば、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の構造であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料からなるので、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁構造を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料からなるので、骨材の粒子密度がベントナイトの粒子密度よりも大きいならば、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができるという効果を奏する。また、材料の水中重量は大きくできて、せん断波速度はそれほど大きくならない材料をつくることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて設計した前記混合材料からなるので、このような材料を採用して構築した地中免震壁構造は、周辺地盤から受けるより側圧係数の大きい場合の土圧に対して十分に対抗できるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたので、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。その結果、ベントナイト100%配合の材料に比べてより小さい剛性(柔らかさ)を有する地中免震壁構造を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、前記混合材料の骨材配合率を、ベントナイト密度に応じて予め取得した骨材配合率とせん断波速度との関係に基づいて設計した骨材配合率としたので、地中免震壁の免震効果と常時の安定性を高める効果に対する信頼性がより高められた地中免震壁構造を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る地中免震壁材料の設計方法によれば、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の前記材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用するので、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用するので、骨材の粒子密度がベントナイトの粒子密度よりも大きいならば、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができるという効果を奏する。また、材料の水中重量は大きくできて、せん断波速度はそれほど大きくならない材料をつくることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて、前記混合材料を設計するので、このような材料を採用して構築した地中免震壁構造は、周辺地盤から受けるより側圧係数の大きい場合の土圧に対して十分に対抗できるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたので、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。その結果、ベントナイト100%配合の材料に比べてより小さい剛性(柔らかさ)を有する地中免震壁を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、骨材配合率とせん断波速度との関係をベントナイト密度に応じて予め取得しておき、取得した前記関係に基づいて、前記混合材料の骨材配合率を設計するので、地中免震壁の免震効果を維持しつつ、常時の安定性を高める設計方法の信頼性をより高めることができるという効果を奏する。
図1−1は、周辺地盤の側方土圧の分布を概念的に示した図である。 図1−2は、有効ベントナイト乾燥密度と吸水膨張圧の関係を示す図である。 図2−1は、ベントナイトに骨材を均質に混合して水で湿潤(飽和状態)にしたときの顕微鏡で見たイメージを示す断面図である。 図2−2は、ベントナイト乾燥密度とせん断波速度の関係を示す図である。 図2−3は、骨材配合率とせん断波速度の関係を示す図である。 図3−1は、図2−1のベントナイトと骨材の混合材料の重量比と体積比を模式的に示した概念図である。 図3−2は、3種類の密度値を深度に応じて設計した例をプロットしたグラフ図である。 図3−3は、深度と土圧の関係をプロットしたグラフ図である。 図4は、従来の地盤変位吸収免震構造およびこれを構成する地中免震壁構造を示す概略斜視図である。 図5は、地中壁材料のせん断波速度の周辺地盤のせん断波速度に対する比と免震効果の関係を示す図である。 図6は、ベントナイト乾燥密度とせん断波速度の関係を示す図である。 図7は、ベントナイト乾燥密度と膨張圧(膨潤圧)の関係を示す図である。
以下に、本発明に係る地中免震壁構造およびその設計方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1について説明する。
本発明の実施例1の地中免震壁材料の設計方法は、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の前記材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とするものである。また、本発明の実施例1の地中免震壁構造は、この方法により構築されるものである。
図1−1は、周辺地盤の側方土圧の分布を概念的に示した図である。表1は、本実施例で想定した周辺地盤からの側方土圧を、側圧係数Kをパラメータとして周辺地盤の湿潤密度と側圧係数Kから深度毎に求めた表である。このときの計算条件は下記のとおりである。
(1)地中壁の材料はベントナイト100%配合のものとした。
(2)周辺地盤の湿潤密度(飽和状態)は2.2g/cmとした。
(3)側圧係数Kは0.25、0.50、1.0と仮定した。
Figure 2015034456
図1−2は、有効ベントナイト乾燥密度(単位体積の材料において骨材が占める空間を除いた空間に存在しているベントナイトの乾燥重量)と吸水膨張圧の関係を例示したグラフである。この図は、回帰式を求めるために用いている。なお、これに関する具体的な方法については、本出願人によって出願された特願2012−233093に記載の方法を用いて行なうことができる。
例えば、吸水膨張圧Pswell(MPa)は下記の式(1)で計算することができる。
Figure 2015034456
上記の関係式(1)を変形することによって、下記の式(2)で膨張圧の値から有効ベントナイト乾燥密度ρdB(g/cm)を計算することができる。
Figure 2015034456
上記の式(2)を使って、周辺地盤から作用する側方土圧にバランスする地中壁材料の有効ベントナイト乾燥密度を求めた結果を一例として表2に示す。
Figure 2015034456
このように、膨張圧の値と有効ベントナイト乾燥密度ρdB(g/cm)の関係式を使うことによって、地中免震壁の材料の設計を具体的に実施することができる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
本発明の実施例2の地中免震壁材料の設計方法は、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とするものである。また、本発明の実施例2の地中免震壁構造は、この方法により構築されるものである。
図2−1は、ベントナイトに骨材を均質に混合して水で湿潤(飽和状態)にしたときの顕微鏡で見たイメージを示す断面図である。骨材が直径の等しい球体からなる場合を想定すると、理論的には六方最密充てんしたときの体積百分率は74%である。したがって、体積百分率が60%以下となるように骨材を混合するならば、図2−1に示すように、骨材を構成する骨材粒子相互は接触することはなく、各骨材粒子は、骨材粒子と骨材粒子の間で水を吸水してゲル化したベントナイトゲルで囲まれている。ベントナイト配合率は重量比で計算するので、ベントナイト粒子と骨材粒子の粒子密度が同等であるならば、ベントナイト配合率40%以上であればこの条件を満たすことになる。骨材粒子密度がベントナイト粒子密度よりも大きいならば、ベントナイトをより多く配合することができる。
骨材粒子相互が接触しているならば、せん断波は骨材粒子を伝わっていく。その結果、混合材料のせん断波速度はベントナイト100%配合の材料に比べて大きくなる。しかし、骨材粒子が相互に接触していないならば、せん断波速度はベントナイト100%のベントナイトゲル領域を伝わる。結果として、材料の水中重量は大きくできて、せん断波速度はそれほど大きくならない材料をつくることができる(疎密波速度は骨材の伝播速度の影響を受けやすいが、せん断波速度は受けにくい。)。
(実施例2の変形例)
次に、本発明の実施例2の変形例について説明する。
上述したように、ベントナイトと骨材の混合材料における骨材配合率(=1−ベントナイト配合率)が60%以下であれば、骨材粒子の間を埋めているベントナイトゲルの密度に応じて免震効果が維持でき、骨材を混合することで骨材とベントナイトの混合体としての密度が増加し、自重効果により常時の安定性が増す。
この場合、実際にどの程度の骨材配合率まで免震効果が維持できるのか、また、骨材粒子の間を埋めているベントナイト部分の密度による効果の違い等についても、設計段階で予め把握できるようにして設計の信頼性を高めることが望ましい。
ところで、地中免震壁の免震性能はせん断波速度に依存し、せん断波速度が小さいほうがより免震性能がよい。図2−2は、地中免震壁をベントナイトのみで構築した場合のせん断波速度とベントナイトの乾燥密度との関係を示している。免震性能が高い材料の例として、図2−2に示したような乾燥密度に換算した値が0.4Mg/mと0.6Mg/mの湿潤ベントナイト材料(水で飽和している材料)に対して骨材を混合した混合材料を作り、骨材配合率を大きくした場合の、骨材とベントナイトの混合材料のせん断波速度を測定した結果を図2−3に示す。骨材配合率は、全体(骨材とベントナイトの混合材料)の重量に対する骨材重量の割合である。
図2−3に示すように、ベントナイト部分の密度がより低い0.4Mg/mの場合には、骨材配合率60%程度までせん断波速度は変化せず、60%を超えた場合にもせん断波速度の増加率はわずかである。
一方、ベントナイト部分の密度がより高い0.6Mg/mの場合には、骨材配合率40%程度まではせん断波速度は変化しないが、それを超えた場合は、せん断波速度は大きく増加することがわかる。
これより、地中免震壁をベントナイトに骨材を配合した混合材料で構築する場合には、ベントナイト部分の密度が小さい場合は骨材配合率60%以下として設計することができるが、ベントナイト部分の密度が高くなると免震効果を維持できる骨材配合率の範囲が狭まることから、予め実験データを取得して設計をする必要がある。
そこで、本発明の実施例2の変形例の地中免震壁材料の設計方法は、上記に鑑みてなされたものであって、骨材配合率とせん断波速度との関係をベントナイト密度に応じて予め取得しておき、取得した前記関係に基づいて、前記混合材料の骨材配合率を設計することを特徴とするものである。また、本発明の実施例2の変形例の地中免震壁構造は、この方法により構築されるものである。
例えば、図2−3の関係に基づいて設計する場合には、ベントナイト部分の密度がより低い0.4Mg/mの条件では、混合材料の骨材配合率を60%以下に設計することができる。一方、ベントナイト部分の密度がより高い0.6Mg/mの条件では、混合材料の骨材配合率を40%以下に設計することが望ましい。
このように、本実施例2の変形例によれば、骨材配合率やベントナイト密度を変化させてせん断波速度を取得することで、地中免震壁の免震効果を維持しつつ、常時の安定性を高める設計方法の信頼性をより高めることができる。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。
本発明の実施例3の地中免震壁材料の設計方法は、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて、前記混合材料を設計することを特徴とするものである。また、本発明の実施例3の地中免震壁構造は、この方法により構築されるものである。
表3−1、表3−2は、側方土圧係数Kに応じた膨張圧を有する有効ベントナイト乾燥密度を本実施例の方法により計算した後に、ベントナイト配合率B/(B+S)をパラメータにして地中壁材料の乾燥密度、湿潤(飽和)密度、水中単位体積重量(水中重量)、地中壁の有効鉛直土圧(地中壁の土被り有効土圧)を計算した結果を示したものである。ここで、Bは単位体積当たりのベントナイトの重量、Sは単位体積当たりの骨材の重量である。
このときの計算条件としては、下記の特性値を使用している。
(1)周辺地盤の湿潤密度(地盤密度)は2.2(g/cm)と仮定する。
(2)ベントナイトの膨張圧にバランスする側方土圧は土圧係数K=0.5を仮定する。
表3−1は、ベントナイト配合率を0.7にした場合の計算結果である。
Figure 2015034456
表3−2は、ベントナイト配合率を0.6にした場合の計算結果である。
Figure 2015034456
上記の各表においては、周辺地盤の有効鉛直土圧の値を例示しているが、地中壁材料を骨材混合材料にした場合には、以下に示すように、ベントナイトの膨張圧にバランスする側方土圧係数0.5よりも大きな下記の地盤土圧に対応可能な材料となっている。
表3−1はベントナイト配合率を0.7にした場合であるが、深度20mにおいて地盤の土被り土圧(鉛直土圧)×0.89倍相当の土圧0.214MPaに相当していることがわかる。
表3−2はベントナイト配合率を0.6にした場合であるが、深度20mにおいて地盤の土被り土圧(鉛直土圧)×0.91倍相当の土圧0.219MPaに相当していることがわかる。
以上の計算例に示すように、骨材配合を工夫することによって、地中壁材料の水中単位体積重量を重くすることができ、結果として、周辺地盤からの土圧による変形作用に対して、より有利に地中壁の安定性を確保できる。
図3−1〜図3−3に、地中免震壁の土質材料の設計例を示す。この設計例は、ベントナイト配合率を0.6に設定し、ベントナイトによる吸水膨張圧が周辺地盤の土被り圧の0.5倍の側圧に相当するように配合・密度を設計した例である。
図3−1は、図2−1に示すベントナイトと骨材の混合材料の重量比と体積比を模式的に示したものである。図3−1によれば、ベントナイトと骨材の混合材料の配合および密度の計算式は、次のようになる。
骨材の体積 V
ベントナイトの体積 V
水の体積 V
骨材の重量 M
ベントナイトの重量 M
水の重量 M
単位体積なので、 V=V+V+V=1
混合材料の乾燥密度 ρ=(M+M)/V
混合材料の湿潤密度 ρsat
有効ベントナイト乾燥密度 ρdB
骨材の粒子密度 G
ベントナイトの粒子密度 G=2.80(g/cm
水の密度 ρ=M/V=1(g/cm
ベントナイト配合率を a=M/(M+M
とすると、
=G×V, M=G×V
=a/(1−a)×M , M=(1−a)/a×M
より
=ρdB/[1+(1−a)/a×ρdB/G
=(1−a)/a×M
ρ=(M+M)/V
=M+M
=(ρdB×G)/[a×G+(1−a)×ρdB
ρsat=ρ+1−ρdB/[a+(1−a)×ρdB/G]×[(1−a)/G−a/G
図3−2は、下記の3種類の密度値を、深さに応じて設計した例をプロットしたグラフである。
(1)有効ベントナイト乾燥密度の値(ベントナイト100%配合で設計した場合の乾燥密度に相当する)(図中記号:ρdB
(2)配合率60%で混合材料にした場合の有効ベントナイト乾燥密度が同等となる場合の乾燥密度(ベントナイトの粒子密度を2.80(g/cm)、骨材として粒子密度2.60(g/cm)の骨材を採用した場合の値)(図中記号:ρ
(3)配合率60%の混合材料が水で飽和している場合の湿潤密度(図中記号:ρsat
図3−3は、深度と土圧の関係をプロットしたグラフである。土圧は下記の4種類の値を示した。
(1)地盤から作用する側方土圧(側圧係数0.5の場合)(図中記号:K=0.5)
(2)地盤から作用する側方土圧(側圧係数1.0の場合)(図中記号:K=1.0)
(3)地中壁材料を配合率60%で混合材料にした場合の吸水膨張圧(図中記号:Pswell)。なお、図3−3ではPswellが側圧係数0.5の場合の側方土圧に一致するように設計した例なので、側方土圧K=0.5のプロットと膨張圧Pswellのプロットは重なっている。
(4)配合率60%で混合材料にした場合の水中単位体積重量に基づく地中壁材料の有効土被り圧(鉛直土圧)(図中記号:(ρsat−ρ)・h)
図3−2および図3−3のプロット図から下記のことがわかる。
(1)図3−3に示すように、地中壁材料の吸水膨張圧は、周辺地盤から受ける側方土圧条件において、側圧係数0.5よりも大きく、側圧係数1.0よりも小さい。
(2)一方、地中壁を構成する土質材料の有効土被り圧は、深度20mにおいて、地盤から受ける側方土圧条件において側圧係数0.89相当であり、側圧係数1.0とした場合の側方土圧にほぼ匹敵している。
(3)すなわち、このように材料設計した地中免震壁は、周辺地盤から受ける側圧に対して、吸水膨張圧に基づく圧力による耐圧性能よりも、地中壁土質材料の有効土被り圧による耐圧性能が優れている。
このような材料を採用して構築した地中免震壁構造は、周辺地盤から受けるより側圧係数の大きい場合の土圧に対して十分に対抗できるため有効である。また、上記のようにして、地中免震壁構造を構成する材料を設計する方法も有効である。
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。
本発明の実施例4の地中免震壁材料の設計方法は、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたことを特徴とするものである。また、本発明の実施例4の地中免震壁構造は、この方法により構築されるものである。
図3−2に示した土圧バランスは、骨材として粒子密度がより大きく重い骨材を採用することで、有効ベントナイト乾燥密度をより小さく設計することができる。その結果、ベントナイト100%配合の材料に比べてより小さい剛性(柔らかさ)を有する地中壁を構築することができる。
例えば、骨材として下記の材料を想定してみることにする。
(a)クロマイト砂:密度2.81(g/cm)。これは、クロム鉄鉱石の破砕品で鋳造型枠材として市販されている。
(b)鉄の粒子:密度7.874(g/cm
(c)他にも磁鉄鉱の密度は5.2(g/cm)であり、銅金属の密度は8.96(g/cm)であるから、密度が大きく本実施例の骨材の候補となる。
表4−1は、骨材にクロマイト砂2.81(g/cm)を採用した場合の配合・密度設計結果である。ベントナイト配合率を0.7にした場合、深度20mにおいて地盤の土被り土圧(鉛直土圧)×0.933倍相当の土圧に対抗できる0.224MPaの土被り圧を有しており、これは骨材粒子密度2.60(g/cm)の場合のベントナイト配合率0.6に匹敵する。なおかつ、有効ベントナイト乾燥密度はより小さく設計できている。すなわち、地中壁をより柔らかい材料で構成することができ、地盤土圧に十分に対抗することができる。
Figure 2015034456
表4−2は、骨材に鉄粒子7.874(g/cm)を採用した場合の配合・密度設計結果である。ベントナイト配合率を0.8にした場合、深度20mにおいて地盤の土被り土圧(鉛直土圧)×0.95倍相当の土圧に対抗できる0.229MPaの土被り圧を有しており、かつ、有効ベントナイト乾燥密度はより小さく設計することができている。すなわち、さらに柔らかい材料を採用し、より地盤土圧に対抗できる地中壁を構築することができる。
Figure 2015034456
以上説明したように、本発明に係る地中免震壁構造によれば、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の構造であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料からなるので、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁構造を提供することができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料からなるので、骨材の粒子密度がベントナイトの粒子密度よりも大きいならば、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。また、材料の水中重量は大きくできて、せん断波速度はそれほど大きくならない材料をつくることができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて設計した前記混合材料からなるので、このような材料を採用して構築した地中免震壁構造は、周辺地盤から受けるより側圧係数の大きい場合の土圧に対して十分に対抗できる。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたので、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。その結果、ベントナイト100%配合の材料に比べてより小さい剛性(柔らかさ)を有する地中免震壁構造を提供することができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁構造によれば、前記混合材料の骨材配合率を、ベントナイト密度に応じて予め取得した骨材配合率とせん断波速度との関係に基づいて設計した骨材配合率としたので、地中免震壁の免震効果と常時の安定性を高める効果に対する信頼性がより高められた地中免震壁構造を提供することができる。
また、本発明に係る地中免震壁材料の設計方法によれば、周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の前記材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用するので、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁を提供することができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用するので、骨材の粒子密度がベントナイトの粒子密度よりも大きいならば、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。また、材料の水中重量は大きくできて、せん断波速度はそれほど大きくならない材料をつくることができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて、前記混合材料を設計するので、このような材料を採用して構築した地中免震壁構造は、周辺地盤から受けるより側圧係数の大きい場合の土圧に対して十分に対抗できる。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたので、有効ベントナイト乾燥密度をより小さくすることができる。その結果、ベントナイト100%配合の材料に比べてより小さい剛性(柔らかさ)を有する地中免震壁を提供することができる。
また、本発明に係る他の地中免震壁材料の設計方法によれば、骨材配合率とせん断波速度との関係をベントナイト密度に応じて予め取得しておき、取得した前記関係に基づいて、前記混合材料の骨材配合率を設計するので、地中免震壁の免震効果を維持しつつ、常時の安定性を高める設計方法の信頼性をより高めることができる。
以上のように、本発明に係る地中免震壁構造および地中免震壁材料の設計方法は、地震時の開削トンネルなどの地中構造物への応力低減を図るための地盤変位吸収免震構造を構成する地中免震壁構造に有用であり、特に、周辺地盤から受ける側方土圧に対して十分に対抗できる地中免震壁構造を設計・構築するのに適している。
1 周辺地盤
2 地中構造物
3 地中免震壁(地中壁)

Claims (10)

  1. 周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の構造であって、
    前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料からなることを特徴とする地中免震壁構造。
  2. 前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料からなることを特徴とする請求項1に記載の地中免震壁構造。
  3. 予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて設計した前記混合材料からなることを特徴とする請求項2に記載の地中免震壁構造。
  4. ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたことを特徴とする請求項2または3に記載の地中免震壁構造。
  5. 前記混合材料の骨材配合率を、ベントナイト密度に応じて予め取得した骨材配合率とせん断波速度との関係に基づいて設計した骨材配合率としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の地中免震壁構造。
  6. 周辺地盤と構造物との間に設けられ、ベントナイトを含む材料により構成される連続した壁状の地中免震壁の前記材料を設計する地中免震壁材料の設計方法であって、
    前記地中免震壁に作用する前記周辺地盤による側方土圧を、鉛直土圧に対する割合である側方土圧係数を用いて設定し、設定した前記側方土圧にバランスした吸水膨張圧、または、設定した前記側方土圧以上の吸水膨張圧を有する前記材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とする地中免震壁材料の設計方法。
  7. 前記地中免震壁を構成する材料はベントナイトと骨材とからなる混合材料であり、前記混合材料の自重および水中重量を、ベントナイトを100%配合した材料の自重および水中重量よりもそれぞれ重くし、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧にバランスした前記混合材料、または、前記地中免震壁の土被り圧が前記周辺地盤の土被り圧の0.5倍以上である前記混合材料を、前記地中免震壁を構成する材料として使用することを特徴とする請求項6に記載の地中免震壁材料の設計方法。
  8. 予め設定したベントナイト配合率を用いて前記混合材料の湿潤重量と水中重量を計算し、この水中重量を深さ方向に積分した値を前記地中免震壁を構成する材料の鉛直土圧として求め、この鉛直土圧と前記周辺地盤の鉛直土圧の接近度合いに基づいて、前記混合材料を設計することを特徴とする請求項7に記載の地中免震壁材料の設計方法。
  9. ベントナイトに混合する前記骨材として粒子密度が大きい骨材を使用し、前記地中免震壁を構成する材料の水中重量を大きくしたことを特徴とする請求項7または8に記載の地中免震壁材料の設計方法。
  10. 骨材配合率とせん断波速度との関係をベントナイト密度に応じて予め取得しておき、取得した前記関係に基づいて、前記混合材料の骨材配合率を設計することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の地中免震壁材料の設計方法。
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