JP2015010723A - 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム - Google Patents

温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2015010723A
JP2015010723A JP2013134132A JP2013134132A JP2015010723A JP 2015010723 A JP2015010723 A JP 2015010723A JP 2013134132 A JP2013134132 A JP 2013134132A JP 2013134132 A JP2013134132 A JP 2013134132A JP 2015010723 A JP2015010723 A JP 2015010723A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal
temperature
user
unit
building
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013134132A
Other languages
English (en)
Inventor
柴野 伸之
Nobuyuki Shibano
伸之 柴野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2013134132A priority Critical patent/JP2015010723A/ja
Publication of JP2015010723A publication Critical patent/JP2015010723A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Air Conditioning Control Device (AREA)

Abstract

【課題】利用者の主観による温熱特性と、利用者の身体における特定部位の皮膚温との情報を用いることによって、利用者を複数種類の温熱タイプに分類する。【解決手段】温熱特性推定装置10は、取得部11と入力部12と分類部13とを備える。取得部11は、利用者の主観による温熱特性を取得する。入力部12は、取得部11が取得した利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置23が計測した皮膚温が入力される。分類部13は、温度計測装置23が利用者の皮膚温を計測したときの快適温度、および入力部12に入力された利用者の皮膚温に基づいて、利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する。【選択図】図1

Description

本発明は、利用者の温熱特性を推定する温熱特性推定装置、推定した温熱特性を用いて環境調整機器を制御する温熱環境調整装置、推定した温熱特性を用いて建物の設計を支援する温熱設計支援装置、推定した温熱特性を用いて建物の設計を評価する温熱設計評価装置、温熱特性推定装置をコンピュータで実現するプログラムに関する。
従来より、利用者にとって快適な温熱環境が得られるように、利用者の快適環境を判断する技術が提案されている。
たとえば、特許文献1には、窓が開放されると空調装置の運転を停止し、窓が閉じられると空調装置の運転開始を可能にする構成であって、窓が閉じられたときの室温および外気温を快適環境として記憶する技術が記載されている。この構成では、窓を開放して空調装置を使用せずに外気を取り入れていた状態は、利用者にとって快適環境であったと判断し、このときの室温および外気温を記憶している。
したがって、利用者ごとの快適環境である温度が学習され、窓を閉じた状態において外気温が快適環境の値になると、窓の開放を薦めるようにメッセージを出力することが可能になっている。
特開2012−251731号公報
特許文献1に記載された構成は、利用者にとって快適環境となる温度に着目し、空調機器のみで室温を制御するのではなく、窓の開閉による室温の制御を優先させることによって、省エネルギーを図っている。
ただし、特許文献1に記載された技術では、空調装置を使用するか否かを窓の開閉に連動させているにすぎず、利用者の温熱特性は考慮されていない。ここに、温熱特性は、温熱環境に対する利用者の身体応答の特性であって、暑がり、寒がり、冷え性などの言葉で表現されている身体上の特性を意味している。したがって、たとえば、冬季において、下肢を暖めていれば上半身の気温は低くても快適環境と評価する利用者がいる一方で、全身を暖めなければ快適環境と評価しない利用者もいることになる。
本発明は、利用者の温熱特性を推定する温熱特性推定装置を提供することを目的とし、さらに、推定した温熱特性を用いて環境調整機器を制御する温熱環境調整装置、推定した温熱特性を用いて建物の設計を支援する温熱設計支援装置、推定した温熱特性を用いて建物の設計を評価する温熱設計評価装置、温熱特性推定装置をコンピュータで実現するプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る温熱特性推定装置は、利用者の主観による温熱特性を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、前記利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置が計測した皮膚温が入力される入力部と、前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、および前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温に基づいて、前記利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する分類部とを備えることを特徴とする。
この温熱特性推定装置において、前記分類部は、前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温を用いて、前記利用者の皮膚温について平均値および分布の指標を推定する推定部と、前記快適温度と前記平均値と前記分布の指標とを、前記温熱タイプに対応付けて記憶している記憶部と、前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、前記推定部が推定した前記利用者に関する前記平均値および前記分布の指標を、前記記憶部に照合することにより、前記記憶部から前記利用者の前記温熱タイプを抽出する照合部とを備えることが好ましい。
この温熱特性推定装置において、前記取得部は、前記利用者の主観による温熱特性の申告を入力装置から取得することが好ましい。
本発明に係る温熱環境調整装置は、上述した温熱特性推定装置と、建物の温熱環境を調整する環境調整機器の動作状態を制御する制御装置と、前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプに適した温熱環境が形成されるように、前記温熱タイプに応じて前記制御装置の制御内容を指示する指示装置とを備えることを特徴とする。
本発明に係る温熱設計支援装置は、上述した温熱特性推定装置と、建物の設計前に、前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプに応じて、前記建物の温熱性能および間取り、前記建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む前記建物の設計条件を提案する提案装置とを備えることを特徴とする。
本発明に係る温熱設計評価装置は、上述した温熱特性推定装置と、建物の設計後に、前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプと、建物の温熱性能および間取り、前記建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む前記建物の設計条件から求められる前記建物の温熱環境と、前記利用者の前記温熱タイプとの適合度を評価する評価装置とを備えることを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、利用者の主観による温熱特性を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、前記利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置が計測した皮膚温が入力される入力部と、前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、および前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温に基づいて、前記利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する分類部とを備える温熱特性推定装置として機能させるものである。
本発明の構成によれば、利用者の主観による温熱特性と、利用者の身体における特定部位の皮膚温との情報を用いることによって、利用者の皮膚温の温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類するから、温熱タイプによって、利用者の温熱特性を推定することが可能になるという利点を有する。
また、利用者の温熱タイプが分かることにより、温熱タイプに合わせて環境調整機器を制御することが可能になり、温熱タイプに合わせた建物の設計、温熱タイプに対する建物の評価などが可能になる。
実施形態を示すブロック図である。 同上における個人差の概念を示す図である。 同上に用いる記憶部の構成例を示す図である。 実施形態の温度環境調整装置を示すブロック図である。 実施形態の温熱設計支援装置を示すブロック図である。 実施形態の温熱設計評価装置を示すブロック図である。
図1に示すように、以下に説明する温熱特性推定装置10は、取得部11と入力部12と分類部13とを備える。取得部11は、利用者の主観による温熱特性を取得する。入力部12は、取得部11が取得した利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置23が計測した皮膚温が入力される。分類部13は、温度計測装置23が利用者の皮膚温を計測したときの快適温度、および入力部12に入力された利用者の皮膚温に基づいて、利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する。
分類部13は、推定部131と記憶部132と照合部133とを備えることが好ましい。推定部131は、入力部12に入力された利用者の皮膚温を用いて、利用者の皮膚温について平均値および分布の指標を推定する。記憶部132は、前記快適温度と前記平均値と前記分布の指標とを、温熱タイプに対応付けて記憶している。照合部133は、温度計測装置23が利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、推定部131が推定した利用者に関する前記平均値および前記分布の指標を、記憶部132に照合することにより、記憶部132から利用者の温熱タイプを抽出する。取得部11は、利用者の主観による温熱特性の申告を入力装置21から取得することが好ましい。
以下、本実施形態の構成を詳述する。本実施形態は、利用者が「ちょうどよい」と評価する温熱環境を作り出すために、温熱環境に対する利用者の感応特性を簡易な方法で類別し、類別した感応特性を用いて、利用者における身体の各部位の皮膚温を推定する構成を採用している。また、利用者の感応特性から身体の各部位の皮膚温を推定するために、あらかじめ被験者について皮膚温を計測したデータに基づいて作成したデータベースが用いられる。
温度に対する人の体感は、周囲環境の温度だけではなく、湿度や気流の速度なども含まれるが、以下の説明では、温熱環境の因子は標準環境の温度のみとする。標準環境は、相対湿度50%、気流速0.1m/s、活動量1.0met、着衣量0.6cloである。標準環境と異なる場合には、ASHRAEの標準有効温度SETを求め、他の要因を温度に換算してから温度のみを取り扱う。以下では、人の周囲環境の温度(気温)を「環境温度」と呼ぶ。また、温熱環境の快適性は、各人の主観による評価とし、「暑い」「ちょうどよい」「寒い」の3段階、または「暑い」「やや暑い」「ちょうどよい」「やや寒い」「寒い」の5段階で評価する。また、温熱環境の快適性は、さらに多段階(たとえば、9段階)で評価してもよい。
人が「ちょうどよい」と評価する温熱環境には個人差があることが知られている。図2は、30人の被験者について、「ちょうどよい」と評価した環境温度(以下、「ちょうどよい」と評価する環境温度を、「快適温度」という)と人数との関係を示している。図からわかるように、快適温度と人数との関係は正規分布に近くなり、快適温度は一意に決定できない。すなわち、人数が最大になる快適温度を中心として、快適温度には分布が生じる。
また、快適温度は、人によって異なるだけではなく、季節によっても変化する。たとえば、冷暖房の際の目安となる温度は、夏季では26〜28℃、冬季では20〜22℃であり、季節ごとの快適温度は、この程度の温度を中心に分布していると考えられる。
さらに、各人の快適性は、環境温度の平均値だけでは決まらず、身体の部位ごとの環境温度によっても変化することが知られている。たとえば、室内の場合、冬季における室温(たとえば、床面から1.5mの高さの気温)が多くの人にとって快適温度である22℃であるとしても、床面の温度が15℃であれば、「寒い」と評価される確率が高い。この例では、身体の上部の温度が快適温度であっても、身体の下部の温度が低い場合に、体感としての温度は快適温度よりも下がることを意味している。
したがって、環境温度の代表値(身体の特定部位に対応する気温、身体に対する平均の気温など)が快適温度であったとしても、身体の各部位の温度分布によっては、「ちょうどよい」という評価が得られない可能性がある。近年の研究では、人の温熱感覚は、身体の部位ごとの皮膚温(皮膚表面温度)の温度分布と温度変化との影響を受けるという知見が得られている。すなわち、身体に7〜64部位を設定し、各部位の皮膚温と温熱感覚との関係を評価すると、それぞれの部位に快適温度が存在するという結果が得られている。
以上のことから、人にとっての温熱感覚は、身体における皮膚温の温度分布を総合した結果であると考えられる。たとえば、手や足のような身体の末梢部位の皮膚温が快適温度より低く、「寒い」場合には、身体の他の部位の皮膚温が快適温度であったとしても、皮膚温の温度分布を総合した温熱感覚は、「寒い」という評価になる。
要するに、温熱環境が「ちょうどよい」と評価されるには、皮膚温の代表値だけではなく、皮膚温の温度分布を総合しなければならない。しかも、快適温度は人によって異なっているから、「ちょうどよい」と評価される皮膚温の温度分布も人によって異なることが予想される。
本実施形態は、「ちょうどよい」と評価される皮膚温の温度分布を複数種類の型(タイプ)に類別したデータベースを生成している。温度分布の型を、以下では「温熱タイプ」と呼ぶ。すなわち、利用者に適した温熱環境を作り出す場合、当人の温熱タイプがわかれば、このデータベースを用いることにより、当人が「ちょうどよい」と評価する皮膚温の温度分布を求めることができる。当人が「ちょうどよい」と評価する皮膚温の温度分布がわかれば、その温度分布に近い温熱環境を生成することによって、当人が「ちょうどよい」と評価する温熱環境を作り出すことが可能になる。以下では、「ちょうどよい」と評価する温熱環境を、「快適環境」という。
上述のようなデータベースは、複数の被験者について皮膚温の温度分布を計測した結果に基づいて作成される。被験者については、実質的に温度分布がない室内で室温を当人にとっての快適温度に維持した状態で、身体の複数の部位(7〜64部位)について皮膚温を計測する。室温は、たとえば0.5℃あるいは1℃刻みで調整される。このような計測を行うことにより、室温の快適温度と皮膚温の温度分布との関係が得られる。また、皮膚温の温度分布を用いて、皮膚温の平均値および標準偏差も算出される。
すなわち、データベースに格納されるデータは、図3に示すように、快適温度である室温と、皮膚温の平均値と、皮膚温の標準偏差との組み合わせによって、温熱タイプが特定されるように構成される。つまり、データベースを構成する記憶部132(図1参照)には、図3に示す形式でデータが格納される。また、データベースは季節ごとに分けて作成される。
図示例では、冬季用のデータベースであって、快適温度である室温は、19〜23℃の範囲で1℃刻みに分類されている。また、身体の各部位の皮膚温をθi(iは部位を表す)とするとき、皮膚温の平均値θmは、θm=(Σθi)/Nであり(Nは部位数)、標準偏差σは、σ=[{Σ(θi−θm)}/N]1/2である。ここに、Σはi=1〜Nの総和を表す。皮膚温の平均値は、たとえば30〜34℃の範囲で1℃刻みに分類される。
温熱タイプの分類に、皮膚温の分散を用いているのは、たとえば、冷え性の人では、手や足のような身体の末梢部位の皮膚温が低下しやすく、皮膚温の分散が大きくなるからである。
このデータベースを用いるには、利用者について、快適温度となる室温、皮膚温の平均値、皮膚温の標準偏差(分布)を、温熱タイプを求めるためのパラメータとして知る必要がある。これらのパラメータが分かれば、データベースにパラメータを当て嵌めることによって、パラメータを有する利用者について、身体の各部位の皮膚温が求められる。さらに、身体の各部位の皮膚温が分かれば、各部位の皮膚温に近づける温熱環境を生成することが可能になる。要するに、パラメータにより温熱タイプを特定すると、皮膚温の分布に応じた温熱環境を生成することが可能になる。
以下では、図3に示すデータベースが作成されている場合に、データベースを利用して利用者にとっての快適環境を求めるための構成について説明する。データベースを利用するには、上述したように、温熱タイプを特定するための3種類のパラメータが必要であるが、利用者にとっての快適環境を作り出すために、多箇所の皮膚温を計測することは困難である。つまり、快適温度となる室温は計測することができるとしても、皮膚温の平均値、皮膚温の標準偏差を実測することは困難である。
そこで、温熱タイプを特定する利用者について、皮膚温の平均値と皮膚温の標準偏差とを推定するために、以下の3段階で情報を取得する。
段階1:アンケートの記述、チェックリストの記述、問診などによって、当人の主観による温熱特性を申告させる。当人に温熱特性を申告させる際には、アンケートあるいはチェックリストを表記した紙を用いるほか、ディスプレイ装置の画面に表示するようにしてもよい。この作業によって、利用者について、暑がり、寒がり、冷え性などの温熱特性の情報が得られる。
段階2:空調装置の制御により室内の気温を制御し、利用者が「ちょうどよい」と申告した温度を快適温度に定める。また、皮膚温の平均値を求めるために、快適温度が申告されてから身体が順応する程度の時間(たとえば、30分)が経過した後に、身体のうち簡易に皮膚温を計測できる複数部位について皮膚温を計測する。皮膚温を計測する部位は、着衣の状態で皮膚が露出している部位が望ましい。たとえば、手、首、顔などの複数部位の皮膚温が計測される。また、これらの部位は、利用者の温熱タイプによって温度差が生じやすい箇所を含むように選択されていることが望ましい。計測される部位の皮膚温と、皮膚温の平均値との関係は既知であって、皮膚温の平均値が簡易に推定される。
段階3:皮膚温に関する標準偏差は、手の皮膚温(つまり、末梢部位の皮膚温)と段階2で求めた皮膚温の平均値との関係から推定される。皮膚温に関する標準偏差を求める際には、利用者について、段階1で求めた温熱特性の情報も補助的に用いられる。
以上のように、段階1により利用者の温熱特性が推定され、段階2では皮膚温の平均値が推定され、段階3において皮膚温の標準偏差が推定される。
上述の処理を可能にするために、図1に示すように、上述した申告の入力を行うための入力装置21を備える。入力装置21は、アンケート、チェックリスト、問診などの結果を入力するために用いられるか、申告する人がディスプレイ装置に表示されたアンケート、チェックリストなどに対する回答を対話的に入力するために用いられる。
利用者の温熱タイプを類別する温熱特性推定装置(以下、「処理装置」という)10は、入力装置21から入力された情報を取得する取得部11を備え、取得部11が入力装置21から取得した申告の内容は推論部14に入力される。推論部14は、複数の項目からなる申告の内容を温熱特性に対応付けて記憶しており、取得部11から受け取った申告の各項目に基づいて温熱特性を抽出する。さらに、推論部14は、温熱特性に応じて快適温度の代表値を記憶しており、抽出した温熱特性に対応する快適温度を抽出する。推論部14が抽出した快適温度は、環境調整機器としての空調装置22を制御する制御部15に与えられる。
環境調整機器は、空調装置22に限らず、他の冷房装置、他の暖房装置からも選択可能であり、複数種類の冷房装置と暖房装置とを組み合わせて用いることも可能である。さらに、環境調整機器は、換気扇、送風機のような強制換気装置を含んでいてもよく、また、窓、ガラリのような自然換気装置を含んでいてもよい。
制御部15は、利用者が存在する部屋の室温を調節する空調装置22に対して、推論部14が抽出した快適温度を設定温度とするように指示する。さらに、制御部15は、利用者が「ちょうどよい」と評価する室温になるように、空調装置22の設定温度を微調整する。
「ちょうどよい」という利用者の評価は、上述した入力装置21から入力される。つまり、空調装置22の設定温度を微調整している期間において、入力装置21から「ちょうどよい」という評価が入力されると、その時点の設定温度を、利用者にとっての快適温度とみなす。なお、空調装置22の設定温度を微調整する期間において、設定温度は一定(たとえば、0.5℃、1℃から選択される)刻み幅で変化させ、設定温度の変更のたびに利用者が馴化するまで(10〜30分)設定温度を維持した後に、次の設定温度に変更する。
処理装置10は、温度計測装置23が計測した皮膚温の情報が入力される入力部12を備える。手を含む複数部位の皮膚温の情報が温度計測装置23から入力されると、入力部12は、推定部131に皮膚温の情報を入力する。推定部131は、温度計測装置23に計測される複数部位の皮膚温の情報と、利用者の全身の皮膚温の平均値および皮膚温の標準偏差(分布の指標)との対応関係を記憶しており、皮膚温の情報から皮膚温の平均値および標準偏差を推定する。皮膚温の分布の指標は、標準偏差のほか分散を用いることも可能である。
以上のようにして、処理装置10は、利用者について、快適温度と皮膚温の平均値および標準偏差とを推定する。快適温度と皮膚音の平均値および標準偏差は、照合部133に入力される。照合部133は、上述したデータベースを構築する記憶部132に、快適温度と皮膚音の平均値および標準偏差とを照合し、記憶部132に格納された情報から利用者の温熱タイプを推定する。
上述したように、推定部131、記憶部132、照合部133により、温度計測装置23が利用者の皮膚音を計測したときの快適温度と、利用者の特定の複数部位の皮膚音とから、利用者の温熱タイプが分類される。言い換えると、推定部131、記憶部132、照合部133により、温熱タイプを分類する分類部13が構成される。分類部13で分類された利用者の温熱タイプは、処理装置10の出力部16から取り出される。
上述した処理装置10は、プログラムに従って動作するデバイスを、主なハードウェア要素として備える。この種のデバイスは、プロセッサをメモリと一体に備えるマイコンのほか、メモリを別に設けるプロセッサなどが用いられる。すなわち、コンピュータを、上述した処理装置10として機能させるプログラムが提供される。プログラムは、ROM(Read Only Memory)に搭載されるほか、インターネットのような電気通信回線を通して提供されるか、コンピュータで読取可能な記録媒体を用いて提供される。
利用者に関する身体の各部位の皮膚温の情報は、温熱環境の設計または温熱環境の制御に用いられる。以下では、温熱環境の設計のために、身体の各部位の皮膚温の情報を用いる例を説明する。すなわち、空調装置22の設定温度を制御する温熱環境調整装置30(図4)と、建物の設計条件を提案する温熱設計支援装置40(図5)と、既存の建物の温熱環境を評価する温熱設計評価装置50(図6)とについて簡単に説明する。
図4に示すように、温熱環境調整装置30は、上述した処理装置10と制御装置31と指示装置32とを備える。制御装置31は、建物の温熱環境を調整する環境調整機器(たとえば、空調機器33)の動作状態を制御する。指示装置32は、分類部13が分類した利用者の温熱タイプに適した温熱環境が形成されるように、温熱タイプに応じて制御装置31の制御内容を指示する。
したがって、温熱環境調整装置30は、利用者の温熱タイプに合う温熱環境が得られるように、環境調整機器を制御することになり、利用者が「ちょうどよい」と評価する温度環境を作り出すことができる。
一方、図5に示すように、温熱設計支援装置40は、上述した処理装置10と提案装置41とを備える。提案装置41は、建物の設計前に、分類部13が分類した利用者の温熱タイプに応じて、建物の温熱性能および間取り、建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む建物の設計条件を提案する。
温熱環境を設計する例としては、建物の新築や改装(リフォーム)のときが考えられる。建物の利用者(居住者)に関する温熱タイプが求められていれば、建物において温熱環境に影響を与える設計条件を、利用者の温熱タイプに適合するように定めることが可能になる。温熱環境に影響を与える設計条件は、建物の方位、壁や窓の位置および寸法、間取りを含み、さらに、設計条件は、床、天井、壁の断熱性能(熱損失、熱透過率、材質など)を含む。さらに、建物の新築時や改装時であって、環境調整機器を新たに導入する場合には、住人の温熱タイプに応じて環境調整機器の種類が設計条件に含まれる。
環境調整機器は、上述したように、冷房装置および暖房装置のほか、強制換気換気と自然換気装置とを含む。とくに、自然換気装置をできるだけ利用することによって、省エネルギーになるから、断熱性能だけではなく、自然換気装置の配置は重要である。したがって、提案装置41は、設計条件を定めるためのパラメータとして、利用者の温熱タイプだけではなく、建物の立地もパラメータとして利用する。すなわち、設計条件を定めるパラメータは、建物の周囲の地形および建物、季節ごとの外気温の平均値なども含む。
提案装置41は、これらの設計条件を様々に変化させ、建物の室内における温熱環境(温度分布)についてのシミュレーションを行うことによって、利用者の温熱タイプに対して、「ちょうどよい」温熱環境が得られやすいか否かを評価することが望ましい。シミュレーションによって得られる室内の温度分布は、高さ方向の温度分布であって、足元、手先、頭部などの温度を求めることができればよい。高さ方向の温度分布は、室内の場所によって異なる。したがて、提案装置41は、高さ方向の温度分布を、室内の代表位置(たとえば、部屋の中央付近)について求める。あるいはまた、提案装置41は、高さ方向の温度分布を、室内全体での平均値として求める。言い換えると、提案装置41は、室内の温度を床面からの高さごとに層別し、各層ごとの温度の平均値を各層の温度に用いることによって、室内の高さ方向における温度分布を求める。
上述のように、提案装置41は、利用者の温熱タイプ、建物の立地、建物の他の制約条件(床面積など)などを用いることにより、設計条件の範囲を絞り込み、絞り込まれた設計条件の範囲内で、条件を変更してシミュレーションを行う。シミュレーションの際の設計条件は、利用者にとって「ちょうどよい」温熱環境が得られる確率が年間を通じてできるだけ高くなるように調整される。
ただし、シミュレーションを行う設計条件の範囲は絞り込まれているとは言え、設計条件の最適化には、多数の設計条件について温熱環境の評価を行う必要になる。そのため、提案装置41は、モンテカルロ法、遺伝的アルゴリズムなどのように、比較的よい解を有限時間で抽出できる方法を用いて設計条件に関する解を求めることが望ましい。
ところで、建物の小規模の改装(リフォーム)を考える場合、あるいは新たな環境調整機器の導入を考える場合などに、意思決定のために現状の温熱環境を評価したいことがある。温熱設計評価装置50は、このような目的で用いられる。
図6に示すように、温熱設計評価装置50は、上述した処理装置10と評価装置51とを備える。評価装置51は、建物の設計後に、分類部13が分類した利用者の温熱タイプと、建物の温熱性能および間取り、建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む建物の設計条件から求められる建物の温熱環境と、利用者の温熱タイプとの適合度を評価する。
評価装置51は、建物の設計条件を用いて温熱環境のシミュレーションを行い、シミュレーションの結果と、処理装置10が求めた利用者の温熱タイプとの整合性を評価する。シミュレーションは、提案装置41と同様に、室内の代表位置における高さ方向の温度分布、あるいは高さ方向の温度分布について室内のすべての場所での平均値を求める。
評価装置51は、室内の高さ方向の温度分布が求まると、高さ方向の温度分布と利用者の温熱タイプとの相性(適合度)を評価する。利用者の温熱タイプは皮膚温の分布の型を表しているから、評価装置51は、シミュレーションで求めた部屋の高さ方向の温度分布と、利用者の温熱タイプについて求められた温度分布との差を評価する。また、温熱タイプとの適合度が規定した範囲内であれば、提案装置41は、建物の設計変更および新たな環境調整機器の導入を薦めることはなく、適合度が規定した範囲を逸脱していれば、建物の設計変更あるいは新たな環境調整機器の導入を促す通知を行う。
なお、上述した実施形態は本発明の一例であって、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
10 温熱特性推定装置
11 取得部
12 入力部
13 分類部
21 入力装置
22 空調装置
23 温度計測装置
30 温熱環境調整装置
31 制御装置
32 指示装置
40 温熱設計支援装置
41 提案装置
50 温熱設計評価装置
51 評価装置
131 推定部
132 記憶部
133 照合部

Claims (7)

  1. 利用者の主観による温熱特性を取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、前記利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置が計測した皮膚温が入力される入力部と、
    前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、および前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温に基づいて、前記利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する分類部とを備える
    ことを特徴とする温熱特性推定装置。
  2. 前記分類部は、
    前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温を用いて、前記利用者の皮膚温について平均値および分布の指標を推定する推定部と、
    前記快適温度と前記平均値と前記分布の指標とを、前記温熱タイプに対応付けて記憶している記憶部と、
    前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、前記推定部が推定した前記利用者に関する前記平均値および前記分布の指標を、前記記憶部に照合することにより、前記記憶部から前記利用者の前記温熱タイプを抽出する照合部とを備える
    請求項1記載の温熱特性推定装置。
  3. 前記取得部は、前記利用者の主観による温熱特性の申告を入力装置から取得する
    請求項1又は2記載の温熱特性推定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱特性推定装置と、
    建物の温熱環境を調整する環境調整機器の動作状態を制御する制御装置と、
    前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプに適した温熱環境が形成されるように、前記温熱タイプに応じて前記制御装置の制御内容を指示する指示装置とを備える
    ことを特徴とする温熱環境調整装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱特性推定装置と、
    建物の設計前に、前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプに応じて、前記建物の温熱性能および間取り、前記建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む前記建物の設計条件を提案する提案装置とを備える
    ことを特徴とする温熱設計支援装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱特性推定装置と、
    建物の設計後に、前記分類部が分類した前記利用者の前記温熱タイプと、建物の温熱性能および間取り、前記建物の温熱環境を調整する環境調整機器の種類を含む前記建物の設計条件から求められる前記建物の温熱環境と、前記利用者の前記温熱タイプとの適合度を評価する評価装置とを備える
    ことを特徴とする温熱設計評価装置。
  7. コンピュータを、
    利用者の主観による温熱特性を取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記利用者の温熱特性から推定される快適温度の温熱環境において、前記利用者の身体における特定の複数部位について温度計測装置が計測した皮膚温が入力される入力部と、
    前記温度計測装置が前記利用者の皮膚温を計測したときの前記快適温度、および前記入力部に入力された前記利用者の皮膚温に基づいて、前記利用者の皮膚温について温度分布の型である複数種類の温熱タイプに分類する分類部とを備える温熱特性推定装置として機能させる
    プログラム。
JP2013134132A 2013-06-26 2013-06-26 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム Pending JP2015010723A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013134132A JP2015010723A (ja) 2013-06-26 2013-06-26 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013134132A JP2015010723A (ja) 2013-06-26 2013-06-26 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015010723A true JP2015010723A (ja) 2015-01-19

Family

ID=52304046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013134132A Pending JP2015010723A (ja) 2013-06-26 2013-06-26 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015010723A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019078269A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 清華大学 空気調和制御装置
CN114440422A (zh) * 2022-03-22 2022-05-06 中国标准化研究院 一种基于额头皮肤温度的空调温度调节方法
US11953220B2 (en) 2020-03-18 2024-04-09 Mitsubishi Electric Corporation Comfort-analyzing device, environment-control command device, and comfort-analyzing method

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019078269A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 清華大学 空気調和制御装置
JPWO2019078269A1 (ja) * 2017-10-18 2020-10-22 清華大学Tsinghua University 空気調和制御装置
US11953220B2 (en) 2020-03-18 2024-04-09 Mitsubishi Electric Corporation Comfort-analyzing device, environment-control command device, and comfort-analyzing method
CN114440422A (zh) * 2022-03-22 2022-05-06 中国标准化研究院 一种基于额头皮肤温度的空调温度调节方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ganesh et al. Investigation of indoor environment quality and factors affecting human comfort: A critical review
Shahzad et al. Advanced personal comfort system (APCS) for the workplace: A review and case study
Liu et al. A neural network evaluation model for individual thermal comfort
Zhou et al. Optimization of ventilation system design and operation in office environment, Part I: Methodology
Kwong et al. Thermal comfort assessment and potential for energy efficiency enhancement in modern tropical buildings: A review
JP5038757B2 (ja) 空調制御システム
Ali et al. IoT-based smart air conditioning control for thermal comfort
Turhan et al. Development of a personalized thermal comfort driven controller for HVAC systems
Dhaka et al. Quantification of thermal adaptation in air-conditioned buildings of composite climate, India
Aryal et al. Smart desks to promote comfort, health, and productivity in offices: A vision for future workplaces
CN106796046A (zh) 智能环境调控引擎、智能环境调节系统和设备
Mao et al. Performance evaluation of an air conditioning system with different heights of supply outlet applied to a sleeping environment
JP2007155173A (ja) 冷暖房機器制御システム
Yang et al. Computational fluid dynamics study and evaluation of different personalized exhaust devices
Ackerly et al. Data collection methods for assessing adaptive comfort in mixed-mode buildings and personal comfort systems
Nicol Thermal comfort
Cheng et al. Energy efficient thermal comfort control for cyber-physical home system
Tadepalli et al. Influence of ceiling fan induced non-uniform thermal environment on thermal comfort and spatial adaptation in living room seat layout
Altayeva et al. Intelligent microclimate control system based on IoT
Belmans et al. Set-up and evaluation of a virtual test bed for simulating and comparing single-and mixed-mode ventilation strategies
JP2015010723A (ja) 温熱特性推定装置、温熱環境調整装置、温熱設計支援装置、温熱設計評価装置、プログラム
Yau et al. A review of human thermal comfort model in predicting human–environment interaction in non-uniform environmental conditions
von Grabe Using the instance-based learning paradigm to model energy-relevant occupant behaviors in buildings
Bonte et al. An occupant behavior model based on artificial intelligence for energy building simulation
Roelofsen A new methodology for the evaluation of the perceived air quality depending on the air pollution, caused by human bioeffluents, the temperature, the humidity as well as the air velocity

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150312