JP2015008733A - 超音波処理装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができる超音波処理装置を提供する。【解決手段】粘弾性係数演算部44は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号を用いて、エラストグラフィのために、検査対象を含む被写体(内部)の粘弾性係数とその空間的変化である微分を演算する。粘弾性係数演算部44は、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)と、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)、およびSaturation(彩度:1)を画像合成部46に出力する。【選択図】図1

Description

本開示は、超音波処理装置および方法に関し、特に、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができるようにした超音波処理装置および方法に関する。
超音波を用いて組織の硬さを評価するエラストグラフィにおいては、組織に偏在する硬さの異なる部位を表現するために、主に色(HSV表色系のHue)の情報を利用している。
しかしながら、部位毎の硬さの違いが微小な場合、色による表現では人間の視覚によって十分な差異を検知することが困難な場合がある。
差異の小さな部位を描き分けるためにはROI(Region of Interet:注目領域)の設定を狭くして粘弾性係数のダイナミックレンジを狭め、色による表現階調を細分化する方式がとられる。ただし、この場合、同時に大局的な硬さの違いを表現することができなかった。また、もともと差の大きくない部位をROIとして設定することは困難であり、かつROIの設定変更による検査時間も増大してしまう。
そこで、特許文献1または特許文献2などに記載の技術が提案されている。特許文献1においては、計測された弾性のヒストグラムを計算し、適切な閾値設定によって硬さの異なる部位の描出を明瞭化することが記載されている。
特許文献2においては、信号処理によって部位の抽出を行い、その結果を表示画像に重畳する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術も与えられたROI内部での表示最適化となり、大局的な硬さの分布と局所的な分布で見え方が異なってしまう。また、特許文献2に記載の技術には、各種閾値による処理や、経験的結果に基づく処理が含まれており、粘弾性係数そのものの認識処理結果を提示するのは、検査者である人間による解釈をミスリードする恐れもある。
国際公開2010/044385号 国際公開2005/025425号
以上のように、エラストグラフィ(粘弾性係数)の表示においては、あくまでも物理量を検査者に分かりやすく提示することを目的とすべきであり、判断は検査者にゆだねなければならない。したがって、検査者が組織の形状を判断するに十分な情報(群)を認知可能な情報として提示すべきである。
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができるものである。
本開示の一側面の超音波処理装置は、プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数の算出を行う粘弾性係数算出部と、前記粘弾性係数算出部により算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する空間的変化量算出部とを備える。
前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の色情報として出力することができる。
前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数のビーム方向の空間的変化量を算出することができる。
前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数の素子方向の空間的変化量を算出することができる。
前記粘弾性係数の空間的変化量は、前記粘弾性係数の微分値である。
前記粘弾性係数は、歪みである。
前記粘弾性係数は、弾性率である。
前記空間的変化量算出部により出力された明るさ情報および前記粘弾性係数算出部により出力された色情報に、前記被写体に関する画像を合成する画像合成部をさらに備えることができる。
前記被写体に関する画像は、前記超音波信号から取得されるBrightness画像である。
前記被写体に関する画像は、外部から取得される前記被写体の内視鏡画像である。
前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する立体画像を表示する際のデプス(Depth)情報として出力することができる。
前記空間的変化量算出部により出力された明るさ情報に基づいて、前記粘弾性係数に関する画像の表示を制御する表示制御部をさらに備えることができる。
本開示の一側面の超音波処理方法は、超音波処理装置が、プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数を算出し、算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、算出された空間的変化量を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する。
本開示の一側面においては、プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数が算出される。そして、算出された粘弾性係数の空間的変化量が算出され、算出された空間的変化量が、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力される。
本開示によれば、粘弾性係数を画像として表示することができる。特に、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができる。
本技術を適用した超音波画像診断装置の構成例を示すブロック図である。 被写体の粘弾性係数の微分値の例を示す図である。 Bモード画像と粘弾性係数の表示画像の例を示す図である。 超音波信号処理の例について説明するフローチャートである。 粘弾性係数演算部の構成例を示すブロック図である。 奥行き方向の空間微分による表現の例を示す図である。 素子方向の空間微分による表現の例を示す図である。 コンピュータの構成例を示すブロック図である。
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(超音波画像診断装置)
2.第2の実施の形態(コンピュータ)
<第1の実施の形態>
[超音波画像診断装置の構成例]
図1は、本技術を適用した超音波処理装置としての、超音波画像診断装置の構成例を示す図である。
図1に示される超音波画像診断装置11は、超音波を用いて被写体(対象物)の内部の画像(すなわち、超音波画像)を撮影し、表示する装置である。超音波画像診断装置11は、例えば、医療用として患者の身体の内部や胎児などの撮影に用いられたり、手術中に臓器や組織に直接当てて用いられたり、工業用として製品の内部の断面などの撮影に用いられたりする。
特に、この超音波画像診断装置11は、被写体の超音波画像を撮影し、超音波を用いて組織の硬さを評価(検査)するエラストグラフィのため、粘弾性係数に関する画像を表示する。なお、本明細書において、粘弾性係数とは、粘弾性率そのものではなく、粘弾性を表す何らかの係数を意味するものとする。粘弾性係数は、静的エラストグラフィの場合、例えば、歪であり、動的エラストグラフィの場合、例えば、弾性率である。
超音波画像診断装置11は、超音波プローブ21、超音波信号処理部22、および画像表示部23を含むように構成されている。
超音波プローブ21は、被写体(生体;例えば、皮膚)などに押しつけて、被写体の画像を撮影する部位である。なお、超音波プローブ21は、1Dアレイであってもよいし、2Dアレイであってもよい。
超音波プローブ21は、例えば、複数の振動子(トランスデューサ)が配列されるアレイ振動子からなり、複数の振動子は、被写体と接する側に配列される。超音波プローブ21は、超音波信号処理部22の送受分離部42からの超音波信号に基づいて、被写体に対して超音波ビームを送出する。また、超音波プローブ21は、被写体からの反射波(被写体によって反射、拡散させられた信号)を受信し、受信した信号を送受分離部42に供給する。
超音波信号処理部22は、送信BF部41、送受分離部42、受信BF部43、粘弾性係数演算部44、画像化信号処理部45、画像合成部46、およびスキャンコンバータ47を含むように構成されている。
送信BF部41は、超音波信号(波形)を生成する処理である送信ビームフォーミング処理を行い、送信ビームフォーミング処理後の信号を送受分離部42に出力する。
送受分離部42は、超音波信号の送信と受信とを切り替えるスイッチである。送受分離部42は、送信BF部41からの超音波信号を受信し、受信した超音波信号を、超音波プローブ21に供給する。送受分離部42は、超音波プローブ21からの超音波信号を受信し、受信した超音波信号を、受信BF部43に供給する。
受信BF部43は、送受分離部42から受信した信号に対して、受信ビームフォーミング処理を行う。受信ビームフォーミング処理とは、具体的には、測定領域内の対象点から超音波プローブ21内の振動子までの距離に基づいて、各振動子の受信波の各々を遅延させた各信号を加算する処理(以下、整相加算処理と適宜称する)によって受信波の位相をそろえ、測定領域内の対象点からの反射波の強度を示す反射波検出信号(以下、RF信号と適宜称する)を生成する処理である。
受信BF部43は、受信ビームフォーミング処理後(整相加算後)のRF信号を、粘弾性係数演算部44および画像化信号処理部45に供給する。
粘弾性係数演算部44は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号を用いて、エラストグラフィのために、検査対象を含む被写体(内部)の粘弾性係数とその空間的変化量である空間微分を演算する。なお、空間的変化量の例としては、空間微分の他に、例えば、隣接間の差分、または垂直、水平方向の相関値などがあげられる。粘弾性係数演算部44は、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)と、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)、およびSaturation(彩度:1)を画像合成部46に出力する。
画像化信号処理部45は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号に対して信号処理を行い、輝度画像(B(Brightness)モード画像)に変換する。画像化信号処理部45は、変換されたBモード画像を、画像合成部46に供給する。
画像合成部46は、粘弾性係数演算部44から入力される各HSV(Hue, Value(lightness or Brightness), Saturation)の値をある比率でブレンドし、さらに、画像化信号処理部45からのBモード画像も合成して、表示用画像を生成する。画像合成部46は、生成された表示用画像をRGB表色系に色変換して、スキャンコンバータ47に出力する。
スキャンコンバータ47は、画像合成部46からの表示用画像を画像表示部23に表示させる。
画像表示部23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、スキャンコンバータ47からの表示用画像を表示する。なお、画像表示部23が立体表示可能な場合、画像合成部46は、上述した演算の他に、Hueをデプス値として各サンプル点に与えて画像を生成するようにしてもよい。
以上のように、超音波画像診断装置11においては、粘弾性係数を画像として(粘弾性係数を画像化して)表示する際に、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)に加えて、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)が出力される。
これにより、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができる。
[本技術の概要と効果]
まず、図2および図3を参照して、本技術の概要と効果について説明する。
図2は、縦軸が粘弾性係数の微分値を表し、横軸が被写体の表面からの深度を表している。深度17付近と深度47付近で粘弾性係数の微分値に大きな変化があり、深度17乃至47には、それ以外の部位と異なる硬さの部位が存在していることがわかる。
図3の例においては、Bモード画像аと色による粘弾性係数の表示画像b、およびb-モード画像Aと本技術による表示画像B、すなわち色と明るさ(輝度)による粘弾性係数の表示画像Bが示されている。
人間の視覚認知の特性は、色の変化よりも輝度の変化に敏感である。また、人間の視覚認知の特性は、同じ色でも暖色の方が寒色よりも変化に敏感である。
エラストグラフィの場合、臨床的には周囲より硬い領域を見つけることが目的であるが、硬い物体には、主に寒色系が割り当てられいたため、そもそも諧調表現が弱かった。
本技術の場合、すでにエラストグラフィとして認知されているHue(色)へのマッピング方法は変更せずに、色よりも視覚認知が敏感な明るさ(すなわち、輝度)の情報が付加される。これにより、硬さの違いをより明瞭に描くことができる。
また、粘弾性係数そのものではなく粘弾性係数の微分値を明るさ(輝度)に割り当てる。例えば、図2に示されるように、粘弾性係数の微分値において、立ち下がりを白っぽく表示させ、立ち上がりを黒っぽく表示させる。
これにより、図3の色と明るさによる粘弾性係数の表示画像Bに示されるように、色による粘弾性係数の表示画像bと比して、硬さの異なる部位の境界付近が明瞭となり、硬さの異なる部位の形状把握のサポートにつながる。
なお、粘弾性係数の表示画像Bだけを表示してもよいが、粘弾性係数の表示画像Bに、Bモード画像を重畳して表示してもよい。硬さの異なる部位の境界付近をより明瞭化することができる。
以下、具体的に説明していく。なお、以下の具体的な説明は、静的エストラグラフィ(粘弾性係数=歪)の例で行っていくが、動的エストラグラフィの場合も表示方法に関しては同様のアプローチをとることが可能である。
また、以下においては、HSV表色系のそれぞれのダイナミックレンジが、
Hue 0度(赤)、−120度(緑)、−240度(青)
Saturation 0.0(無彩色)、−1.0(純色)
Value 0.0(最低輝度、明るさ0、黒)、−1.0(最高輝度、明るさ100%、無彩色の場合は白)
として記述される。
[超音波信号処理の例]
まず、図4のフローチャートを参照して、エラストグラフィのための超音波信号処理について説明する。なお、この超音波信号処理を行う場合の粘弾性係数演算部44は、図5に示されるように構成される。
図5の例において、粘弾性係数演算部44は、粘弾性係数算出部111、空間微分部112、およびカラーマッピング部113を含むように構成されている。
粘弾性係数算出部111は、RF信号の入力に対して粘弾性係数の算出を行う。粘弾性係数算出部111は、算出された粘弾性係数を、空間微分部112およびカラーマッピング部113に出力する。
空間微分部112は、粘弾性係数算出部111からの粘弾性係数に対して空間微分を計算する。空間微分部112は、計算した微分値をカラーマッピング部113に出力する。
カラーマッピング部113は、粘弾性係数算出部111からの粘弾性係数をHueにマッピングし、空間微分部112からの粘弾性係数の微分値をValueにマッピングする。カラーマッピング部113は、マッピングされた各HSVの値を、画像合成部46に出力する。すなわち、粘弾性係数算出部111は、計算した粘弾性係数を、粘弾性係数に関する画像を表示する際の色情報としてカラーマッピング部113に出力する。また、空間微分部112は、計算した微分値を、粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報としてカラーマッピング部113に出力する。
図4に戻り、超音波画像診断装置11において、ビームの送信が指示されると、送信BF部41は、送信ビームフォーミング処理を開始する。これに対応して、ステップS21において、送受分離部42は、超音波信号を取得する。
具体的には、送信BF部41は、図示せぬ操作部などを介して入力されるユーザの指示信号に応じて、超音波信号(波形)を生成する処理である送信ビームフォーミング処理を行い、送信ビームフォーミング処理後の信号を送受分離部42に出力する。送受分離部42は、送信BF部41からの超音波信号を受信し、受信した超音波信号を、超音波プローブ21に出力する。
超音波プローブ21は、送受分離部42からの超音波信号に基づいて、被写体に対して超音波ビームを送出する。また、超音波プローブ21は、被写体からの反射波(被写体によって反射、拡散させられた信号)を受信し、受信した信号を送受分離部42に供給する。送受分離部42は、超音波プローブ21からの超音波信号を取得し、取得した超音波信号を、受信BF部43に供給する。
ステップS22において、受信BF部43は、送受分離部42からの超音波信号を整相加算する。すなわち、受信BF部43は、送受分離部42からの超音波信号に対して、受信ビームフォーミング処理を行い、処理後(整相加算後)のRF信号を、粘弾性係数演算部44および画像化信号処理部45に供給する。
ステップS23において、粘弾性係数演算部44の粘弾性係数算出部111は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号から粘弾性係数を算出する。粘弾性係数の適宜や計算方法は様々であるので、ここでは割愛する。ここで求められる粘弾性係数は、式(1)で表わされる。
Figure 2015008733
ここで、tは時間(同時に深さ方向の距離)、eは、アレイ(素子)方向の位置である。
粘弾性係数算出部111は、算出された粘弾性係数を空間微分部112およびカラーマッピング部113に出力する。
ステップS24において、空間微分部112は、空間微分を行う。すなわち、空間微分部112は、粘弾性係数算出部111からの粘弾性係数に対して空間微分を計算する。
具体的に説明すると、ここでは、奥行き方向(すなわち、ビーム方向)の空間微分のみを計算する第1の方法の場合と、奥行き方向の空間微分に素子方向の空間微分を加えて計算する第2の方法の場合(2ケース)の2つのケースがある。奥行き方向の空間微分は、式(2)で表わされ、奥行き方向の空間微分に素子方向の空間微分を加えた場合の空間微分は、式(3)で表わされる。
Figure 2015008733
Figure 2015008733
ここで、kは、奥行き方向と素子方向のブレンド比率である。
また、離散値としての式(2)は、次の式(4)および式(5)で求められる。
Figure 2015008733
Figure 2015008733
このようにすることで、第1の方法の場合、図6に示されるように、上下方向の硬さの違いを表現可能であり、具体的には、周囲よりも硬い物体の境界のうち、上側がより明るく、下側がより暗く表現される。また第2の方法の場合、第1の方法の場合に加えて、さらに、図7に示されるように、左右方向の硬さの違いを表現可能であり、具体的には、周囲よりも硬い物体の境界のうち、右側がより明るく、左側がより暗く表現される。逆にしてもよいが、逆にするよりも、硬い物質が手前に認知されやすくなる。
なお、素子方向の空間微分のみを計算する第3の方法で空間微分を求めるようにしてもよい。素子方向の境界は、Bモード画像では検出されないので、素子方向への硬い物質の認知度を向上させることができる。
また、これより先は、粘弾性係数εおよび空間微分値ε’とそれぞれ記述していく。空間微分部112は、計算した微分値ε’をカラーマッピング部113に出力する。
図5に戻って、ステップS25において、カラーマッピング部113は、カラーマッピングを行う。すなわち、カラーマッピング部113は、粘弾性係数算出部111からの粘弾性係数をHueにマッピングし、空間微分部112からの粘弾性係数の微分値をValueにマッピングする。なお、このとき、Saturationは常に1とされる。
Hue値は、次の式(6)のようにマッピングされる。
Figure 2015008733
ここで、εcenterは、正規化の基準値である。フレーム内のεの平均値でもよいし、経験的に求めた数値でも構わない。NhardとNsoftはそれぞれ基準値より硬い側および柔らかい側の正規化係数である。平均値に応じて適応的に制御するようにしてもよいし、固定値としてもよい。また、NhardとNsoftが同一であってもよい。εcenterとNによる正規化の結果は、0乃至120(center)と乃至240の範囲になるように設定される。
一方、Value値も同様に、次の式(7)のようにマッピングされる。
Figure 2015008733
ここで、Ndiffは、Valueεが0.0乃至1.0の範囲になるように設定される。
カラーマッピング部113は、マッピングされた各HSVの値を、画像合成部46に出力する。
ステップS26において、画像化信号処理部45は、Bモード画像化を行う。すなわち、画像化信号処理部45は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号に対して、検波、フィルタリングなどの信号処理を行い、輝度(Brihtness)画像(Bモード画像)に変換する。
そして、画像化信号処理部45は、次の式(8)に示されるように、Brihtnessを、ValueBにマッピングする。
Figure 2015008733
ただし、Brihtnessは、既に0.0乃至1.0に正規化されているものとする。なお、画像化信号処理部45においてHueとSaturationは出力されない。
画像化信号処理部45は、マッピングされたValueBを画像合成部46に出力する。
ステップS27において、画像合成部46は、カラーマッピング部113からのHSVと、画像化信号処理部45からのValueBを次の式(9)に示されるように合成して、表示用画像を生成する。粘弾性係数はROI(Region of Interet:注目領域)の設定などにより観測されたすべての点で計算されるとは限らない。そのため、粘弾性係数演算部44の出力の有無によって合成結果は変化する。
Figure 2015008733
ただし、mは全体のValueにBモードの強さをどの程度反映させるかの係数である。m=0.0は、エラストグラフィの結果に、Bモード画像を重畳せず、輝度はε’のみで決まることを示す。m=1.0は、輝度はBモードのみで決まり、ε’には依存しないことを示す。
また、(ValueB-0.5)GainB+CenterBの項は、エラストグラフィの表現の際にValueをそのままBモードの値としてしまうと、Bモード上で輝度の低い領域にほとんど色がのらないことを防ぐため、エラストグラフィの結果があるピクセルに対しては中央値を高い値に持ち上げる。
画像合成部46は、以上のようにして求められたHue,Saturation,Valueの値をRGBの値に変換し、表示用画像としてスキャンコンバータ47に出力する。
ステップS28において、スキャンコンバータ47は、画像合成部46からの表示用画像(RGBの値)を、LCDなどで構成される画像表示部23に表示させる。
上述したように、人間の視覚認知の特性は、色の変化よりも輝度の変化に敏感である。また、人間の視覚認知の特性は、同じ色でも暖色の方が寒色よりも変化に敏感である。
本技術においては、すでにエラストグラフィとして認知されているHue(色)へのマッピング方法は変更せずに、色よりも視覚認知が敏感な明るさ(すなわち、輝度)の情報が付加される。これにより、硬さの違いをより明瞭に描くことができる。
また、粘弾性係数そのものではなく粘弾性係数の微分値を明るさ(輝度)に割り当てるため、硬さの異なる部位の境界付近が明瞭となり、硬さの異なる部位の形状の把握のサポートにもつながる。輝度の変化に対して敏感な認知特性により、境界付近の硬さの変化も的確に把握することが可能である。そのため、病巣の湿潤度合いなども通常のエラストグラフィ(Hueのみ)と比較して、判断材料となる情報を増加させることができると考えられる。
さらに、本技術による表示は、通常のディスプレイ(モニタ)への表示の場合でも、疑似的な立体感を誘発させる。つまり、この表示は、硬い領域が周囲よりも手前に飛び出して見える効果を与える。
この本技術による表示方法は、立体表示が可能なディスプレイに対してエラストグラフィの結果を提示する際にも立体感の強調効果をもたらすことができる。粘弾性係数値をそのままdepthに割り当てて立体表現を行う場合に比べ、さらに、微分値を輝度に重畳することにより、疑似的な照明モデルを定義したレンダリングと同等の表現を行うことができる。この表現により、組織の粘弾性係数の違いを、幾何学的凹凸として知覚できるため、検査者への情報の提示能力をさらに高めることができる。
以上により、本技術によれば、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができる。これにより、例えば、病変の見逃しを防止するなど、検査精度を向上させることができる。
なお、上記説明においては、HSV表色系を例に説明したが、本技術は、例えば、YUVなど、色と輝度を用いる表色系や色空間であればどの表色系や色空間に適用することも可能である。
また、粘弾性係数の画面表示時に、粘弾性係数を色に割り当て、さらに、空間微分を明るさに割り当てるだけでなく、例えば、上述したように、粘弾性係数を立体映像の深さ(Depth)情報として利用し、3D表示制御装置などと組み合わせて、立体表現する際にも、同様に、空間微分を明るさに割り当てて表現することも可能である。
さらに、上記説明においては、粘弾性係数値、粘弾性係数の微分値、1が割り当てられたHSVに、Bモード画像を合成して表示する例を説明したが、Bモード画像を合成することなしに表示させてもよい。また、合成する画像としては、Bモード画像だけに限らず、どんな画像であってもよい。具体的には、弾性係数値、粘弾性係数の微分値、1が割り当てられ得たHSVに、被写体に関する画像として、被写体のCT画像、被写体のMRI画像、被写体の内視鏡画像(内視鏡により撮影されたビデオ画像または静止画像)などを合成することも可能である。
なお、本技術は、医療用途および非医療用途のいずれにも用いることが可能である。また、本技術は、人間だけでなく、例えば、動物や植物、人工物など、超音波により被写体の断面の撮影を行う様々な場面に用いることができる。
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
<第2の実施の形態>
[コンピュータの構成例]
図8は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403は、バス404により相互に接続されている。
バス404には、さらに、入出力インタフェース405が接続されている。入出力インタフェース405には、入力部406、出力部407、記憶部408、通信部409、およびドライブ410が接続されている。
入力部406は、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる。出力部407は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部408は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部409は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ410は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体411を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU401が、例えば、記憶部408に記憶されているプログラムを入出力インタフェース405及びバス404を介してRAM403にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU401)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体411に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記録媒体411をドライブ410に装着することにより、入出力インタフェース405を介して、記憶部408にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部409で受信し、記憶部408にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM402や記憶部408に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置、ブロック、手段などにより構成される全体的な装置を意味するものである。
なお、本開示における実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有するであれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例また修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数を算出する粘弾性係数算出部と、
前記粘弾性係数算出部により算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する空間的変化量算出部と
を備える超音波処理装置。
(2) 前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の色情報として出力する
前記(1)に記載の超音波処理装置。
(3) 前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数のビーム方向の空間的変化量を算出する
前記(1)または(2)に記載の超音波処理装置。
(4) 前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数の素子方向の空間的変化量を算出する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(5) 前記粘弾性係数の空間的変化量は、前記粘弾性係数の微分値である
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(6) 前記粘弾性係数は、歪みである
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(7) 前記粘弾性係数は、弾性率である
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(8) 前記空間的変化量算出部により出力された明るさ情報および前記粘弾性係数算出部により出力された色情報に、前記被写体に関する画像を合成する画像合成部を
さらに備える前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(9) 前記被写体に関する画像は、前記超音波信号から取得されるBrightness画像である
(8)に記載の超音波処理装置。
(10) 前記被写体に関する画像は、外部から取得される前記被写体の内視鏡画像である
(8)に記載の超音波処理装置。
(11) 前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する立体画像を表示する際のデプス(Depth)情報として出力する
前記(1)に記載の超音波処理装置。
(12) 前記粘弾性係数算出部により出力された明るさ情報に基づいて、前記粘弾性係数に関する画像の表示を制御する表示制御部
をさらに備える前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の超音波処理装置。
(13) 超音波処理装置が、
プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数を算出し、
算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、
算出された空間的変化量を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する
超音波処理方法。
11 超音波画像診断装置, 21 超音波プローブ, 22 超音波信号処理部, 23 画像表示部, 41 送信BF部, 42 送受分離部, 43 受信BF部, 44 粘弾性係数演算部, 45 画像化信号処理部, 46 画像合成部, 47 スキャンコンバータ, 111 粘弾性係数算出部, 112 空間微分部, 113 カラーマッピング部

Claims (13)

  1. プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数を算出する粘弾性係数算出部と、
    前記粘弾性係数算出部により算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する空間的変化量算出部と
    を備える超音波処理装置。
  2. 前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の色情報として出力する
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  3. 前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数のビーム方向の空間的変化量を算出する
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  4. 前記空間的変化量算出部は、前記被写体の粘弾性係数の素子方向の空間的変化量を算出する
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  5. 前記粘弾性係数の空間的変化量は、前記粘弾性係数の微分値である
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  6. 前記粘弾性係数は、歪みである
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  7. 前記粘弾性係数は、弾性率である
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  8. 前記空間的変化量算出部により出力された明るさ情報および前記粘弾性係数算出部により出力された色情報に、前記被写体に関する画像を合成する画像合成部を
    さらに備える請求項2に記載の超音波処理装置。
  9. 前記被写体に関する画像は、前記超音波信号から取得されるBrightness画像である
    請求項8に記載の超音波処理装置。
  10. 前記被写体に関する画像は、外部から取得される前記被写体の内視鏡画像である
    請求項8に記載の超音波処理装置。
  11. 前記粘弾性係数算出部は、算出された粘弾性係数を、前記粘弾性係数に関する立体画像を表示する際のデプス(Depth)情報として出力する
    請求項1に記載の超音波処理装置。
  12. 前記空間的変化量算出部により出力された明るさ情報に基づいて、前記粘弾性係数に関する画像の表示を制御する表示制御部
    をさらに備える請求項1に記載の超音波処理装置。
  13. 超音波処理装置が、
    プローブの振動子より取得される超音波信号から、被写体の粘弾性係数を算出し、
    算出された粘弾性係数の空間的変化量を算出し、
    算出された空間的変化量を、前記粘弾性係数に関する画像を表示する際の明るさ情報として出力する
    超音波処理方法。
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