JP2014533094A - プロ形態のマトリックスメタロプロテイナーゼの結晶構造及びアロステリックなプロセシング阻害剤 - Google Patents

プロ形態のマトリックスメタロプロテイナーゼの結晶構造及びアロステリックなプロセシング阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、プロ形態のマトリックスメタロプロテアーゼ(プロMMP)複合体とプロMMPの活性化を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子とを含む結晶、プロMMPの活性化を阻害する小分子型のアロステリックなプロセシング阻害因子を特定する方法、並びにプロMMPの活性化を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を使用する処置方法、を含む。本発明は、プロMMP9の活性化を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子に結合するプロMMP9の複合体の結晶構造に関する。本発明は更に、方法、並びに結晶、並びにプロMMP9及びプロMMP9ホモログの活性化を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子の設計、選別及び/又は最適化に関係する構造情報の使用に関する。本発明は、不適切なマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性により介在される疾患の処置に関係するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子の使用にも関する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年6月29日に出願された特許仮出願番号第61/502,510号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本発明は、一般的に、ハイスループットスクリーニング、タンパク質結晶化、X線回折解析、3次元構造体決定、分子モデリング及び構造に基づく合理的薬物設計の分野に関係する。より詳細には、本発明は、アロステリックなプロセシング阻害因子でありプロ形態のマトリックスメタロプロテアーゼ(proMMP)の活性化を阻害するリガンドの選択方法に関係し、並びに選択されたリガンドの治療用途及び予防用途での使用に関係する。関連する治療領域の例としては、一般的に、炎症、腫瘍、循環器疾患及び神経疾患が挙げられる。
本明細書を通して、特許、公開された出願、技術論文、及び学術論文を包含し得る種々の出版物は括弧内に引用され、各々の全ての引用は本明細書の末尾に見ることができる。それらの引用された各出版物はその全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、構造的に、コラーゲン、エラスチン、ラミニン及びフィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質を消化する亜鉛依存性タンパク質分解酵素と関連性のあるファミリーである。現在までに、少なくとも28種の異なる哺乳類MMPタンパク質が同定されており、基質特異性及びドメイン構造に基づきグループ分けされている。MMPの酵素活性は各種細胞型における遺伝子の発現による調節以外にも、不活性な酵素前駆体(proMMP)の活性化により、並びに内在性阻害因子及び組織性メタロプロテイナーゼ阻害因子(TIMP)による阻害により正確に調節されている。酵素は、正常な恒常性の組織再構築イベントにおいて重要な役割を果たすだけでなく、関節炎、歯周炎及び組織潰瘍形成などの数多くの結合組織疾患、並びにがん細胞の浸潤及び転移におけるマトリックスの病理学的な破壊においても重要な役割を果たすものと考えられる。
様々なMMPが上方調節され、悪性腫瘍細胞が結合組織のバリアを破壊し転移するようになる機序など、MMPの機能は腫瘍学においてよく証明されている(Vihinen,Al−aho et al.2005年)。MMPが、脈管形成において直接的な役割を果たすことも明らかであるという点からも、腫瘍学的な徴候に関係する重要な標的となっている(Handsley及びEdwards(2005年)、Rundhaug(2005年))。これらのプロセスには、例えば、MMP9、MMP2及びMT1−MMPなどのいくつかの異なる種類のMMPが関与する。
他のMMP介在性の徴候としては、変形性関節症及び関節リウマチを引き起こす軟骨及び骨の変性が挙げられる。変性は、主に、骨及び関節において、MMPにより細胞外マトリックス(ECM)が消化されることに起因する(Iannone及びLapadula、2003年)。MMP1、MMP3、MMP9及びMMP13は、全て、損傷を受けた領域周辺の組織及び体液において濃度が上昇していることが判明している。
MMPは、アテローム性動脈硬化巣の破裂、動脈瘤、並びに血管及び心筋組織の形態形成に関与するものと考えられる心血管系疾患においても機能する場合がある(George 2000,Tayebjee,Lip et al.2005)。MMP1、MMP2、MMP9及びMMP13の濃度の上昇は、多くの場合、これらの状態と関連付けられてきた。また、胃潰瘍、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、歯周病、皮膚潰瘍、肺線維症、気腫、及びマルファン症候群などのいくつかの他の病態は、全てMMP成分を有しているようである(Shah,Wilkin et al.2002)。
中枢神経系の内部でのMMPの発現変化は、神経変性疾患の状態に関連付けられ(Yong 1999)、多くの場合、脳卒中において顕著に関連付けられている(Cunningham,Wetzel et al.2005)。詳細には、虚血性又は出血性の障害後に生じる脳組織の損傷の伝播に、MMP2及びMMP9が顕著に影響することは明らかである。ヒト脳卒中患者及び動物脳卒中モデルにおける試験により、MMP2及びMMP9の発現レベル並びに活性が、いずれも虚血性イベント後に24時間にわたって急増していることが示されている。脳の内部では、MMP2及びMMP9の活性化により、微小血管内皮細胞の密着結合が破壊され、これにより血液脳関門(BBB)の透過性が上昇する。BBBの一体性にこの破壊が生じることで、炎症性因子に関係する浮腫及び湿潤が生じ、これらの両方の現象により、梗塞コア周辺(半影帯)の細胞死が増加し、かつ出血性形質転換の生じる可能性が増大する。これまでに、MMP阻害因子の投与が、脳卒中の動物モデルにおいて保護作用を示すことが明らかになっている(Yong 1999,Gu,Cui et al.2005)。更に、MMP9ノックアウト動物は、同様の脳卒中モデルにおいて、顕著な神経保護を示すことも明らかになっている(Asahi,Asahi et al.2000)。米国では、脳卒中は死亡率第3位の疾患であり、かつ身体障害を引き起こすものである。したがって、この領域では、MMP阻害因子により解決される可能性のある即時的な治療介入法の大部分が未達成であり、このような介入法が医療上必要とされている。
MMP9が、多発性硬化症(MS)の進行に機能し得ることも示唆されている。試験により、症状の活発な患者ではMMP9の血清濃度が上昇しており、かつMS病変部位周辺では濃縮されていることが示された(Opdenakker,Nelissen et al.2003)。血清MMP9活性の上昇によりCNSへの白血球の湿潤が促進されることが原因因子であり、疾患の特徴の1つとされる。MMPは、片頭痛の重症度及び長期化に関与する場合もある。片頭痛(皮質拡延性抑制)の動物モデルでは、MMP9は急速に上方調節され、活性化されてBBBを破壊し、軽度〜中度の浮腫を生じる(Gursoy−Ozdemir,Qiu et al.2004)。この脳腫脹後の血管収縮により、頭痛及び片頭痛に関連する他の症状は弱まる。皮質拡延性抑制モデルにおいて、MMP阻害因子によりBBBの開口が予防されることが示されている(Gursoy−Ozdemir,Qiu et al.2004)。関連する研究により、MMP9は、外傷性脳損傷後に、損傷を受けた脳組織において特異的に上方調節されていることが示されており(Wang,Mori et al.2002)、浮腫及び免疫細胞の湿潤に起因して脳の損傷が更に進行するものと予測される。MMPは、その他の慢性CNS疾患においても更なる機能を示す場合がある。パーキンソン病の動物モデルにおいては、MMP9は、ドーパミン作動性ニューロン毒(MPTP)を線条体に注入した後に急速に上方調節されることが判明しており(Lorenzl,Calingasan et al,2004)、かつMMP3は、集積する傾向のある形態にα−シヌクレインをプロセシングすることが判明している(Sung,Park et al.2005)。これにより、MMPは、細胞損傷時の神経系の再構築に関与すること、及び疾患の潜在的な原因因子にもなることが示唆される。アルツハイマー病の患者では、死後血漿試料を正常な対照と比較したときにMMP9が上方調節されていることが判明している(Yong 1999,Lorenzl,Albers et al.2003)。更に、アミロイドβペプチドの病的な発現により、アルツハイマー病に関係する主要な病理学的特徴である大脳のアミロイド血管症に関与する、MMP2の発現及び活性化が誘導される(Jung,Zhang et al.2003)。認知症患者から採取した脳脊髄液ではMMP9の濃度が上昇していることが判明しており、MMPは血管性認知症にも関与する可能性がある(Adair,Charlie et al.2004)。
不活性な前駆体の構造及び活性化を考慮すると、プロトタイプとなるMMPはマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)である。MMP9は、マクロファージゼラチナーゼ、ゼラチナーゼB、92kDaのゼラチナーゼ、92kDaのIV型コラゲナーゼ及びV型コラゲナーゼとしても知られる。不活性な形態のMMP9、すなわちプロMMP9は、分泌に関係するシグナル配列、プロMMP9の活性を阻害するプロペプチドドメイン、タンパク質切断に関係する触媒ドメイン、3つのII型フィブロネクチンリピートからなるII型フィブロネクチン(FnII)ドメイン、及び基質との結合を補助するものと考えられるヘモペキシン様ドメインなどの、数種類の異なるドメインにより表される。ヘモペキシン様ドメインは、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)との相互作用に関係する結合ドメインとしても機能する。MMP9の不活性な前駆体、すなわちプロMMP9は、システインスイッチ機序により維持される。この機序では、プロペプチド形態中のCysが触媒ドメイン中の亜鉛触媒と複合体を形成し、活性部位を閉鎖する(Van Wart and Birkedal−Hansen 1990)。プロMMP9の活性化は2段階の工程により生じる。Met 60の後にあり、亜鉛の配位を妨害し、かつプロペプチドと触媒ドメインとの相互作用を不安定化させる第1切断部位を、プロテアーゼが切断する。この第1の切断により、第2の切断部位Phe 107に接近することができるようになり、その後プロペプチドが除去され、成熟型の活性な形態の酵素が放出される(Nagase 1997年)。生体内でMMP9を活性化するプロテアーゼはまだ特定されていないものの、活性化は、MMP3、キマーゼ及びトリプシンの活性を通じて生じ得るというエビデンスがある(Ogata,Enghild et al.1992年、Fang,Raymond et al.1997年、Tchougounova,Lundequist et al.2005年)。
MMP9及びプロMMP9の結晶構造は報告されている。C末端の切断されたプロMMP9の構造は、解像度2.5Åで報告されている(Elkins,Ho et al.2002年)。この構造はプロドメイン、触媒ドメイン及びフィブロネクチンのII型(FnII)リピートを含有していたものの、構造は活性部位阻害因子又はアロステリックなプロセシング阻害因子を含有していなかった。その他の2報では、FnIIリピート以外のMMP9の触媒ドメインの構造が報告されている(Rowsell,Hawtin et al.(2002年)、Tochowicz,Maskos et al.(2007年))。MMP9の触媒ドメインの構造は、タンパク質のアポ部位及び活性部位の両方が阻害されている形態を示した。構造が解明されたデータによると、高度に構造ホモロジーであることが示された。構造には、FnIIリピートの存在又は非存在による大きな違いはなかったことが報告された。これまでに、残基Phe 107付近の領域に結合する化合物を特定する構造データは報告されていない。プロMMP9の構造に加え、プロMMP1(Jozic,Bourenkov et al.2005)、プロMMP2(Morgunova,Tuuttila et al.1999)、及びプロMMP3(Becker,Marcy et al.1995)の構造も報告されている。
数多くの病態への関与が実証されたことに基づき、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害因子は、幅広い疾患状態の治療に可能性があるものと広く考えられてきた。しかしながら、臨床試験においては、活性部位が非選択的なMMP阻害因子の性能は乏しいものであった。このような乏しさは、多くの場合、用量規制毒性、並びに骨格筋症候群(MSS)の発生など顕著な副作用が発現することによりもたらされる。より選択性の高いMMP阻害因子を開発することで、従来、臨床上の成功を妨げていた一部の課題を解決する助けとなることが示唆されているが、より選択性の高いMMP活性部位阻害因子を開発するにあたって、数多くの障害が存在する。MMPは、触媒作用に重要なZn2+イオンを活性部位に共有しており、かつ非常に保存されている亜鉛結合モチーフを共有する。加えて、MMPファミリーのメンバーでは、触媒ドメインの全長にわたってかなりの配列が保存されている。
本明細書には、不活性なプロ形態のタンパク質に結合し、かつ安定化させて、活性型酵素のプロセシングを阻害する、小分子型のアロステリックなプロセシング阻害因子により、不活性な酵素前駆体、すなわち、プロMMPのプロドメインを標的として、より選択性の高いMMP阻害因子を開発するための、新規のアプローチ法を記載する。MMPタンパク質のプロドメイン内部の配列同一性は著しく低く、触媒作用に重要なZn2+イオンはなく、かつ高度に保存された亜鉛結合モチーフもない。したがって、プロMMPのプロドメインを標的とするのは、MMPタンパク質の活性を阻害する際に魅力的な作用機序である。プロMMP9の活性化の阻害は、特異的なモノクローナル抗体により観察されている(Ramos−DeSimone,Moll et al.1993)。トリプシンによるプロMMP9の活性化が、Bowman−Birk阻害タンパク質及び由来するペプチド阻害因子により阻害されることも示されている(Losso,Munene et al.2004)。しかしながら、プロMMP9又は任意の他のプロMMPのタンパク質分解活性を阻害する、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子に関する報告は存在しない。本発明は、このようなアロステリックな小分子プロセシング阻害因子、並びにこのような阻害因子を使用する処置法を提供する。
一実施形態では、本発明は、プロ形態のマトリックスメタロプロテイナーゼ(プロMMP)、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMPの、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子である。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMP9の、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子である。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMP9のアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のフェニルアラニン(Phe)107により占有される空間領域を含むアロステリック結合部位において結合する(付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用している)。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMP9のアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含むアロステリック結合部位において結合する(付番は完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用している)。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログ、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMP9のホモログのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同である空間領域を含むアロステリック結合部位において結合する。
他の実施形態では、本発明はプロMMP9、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びにプロMMP9のアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子の結晶を含み、該それらの断片又はそれらの誘導体は、配列番号12を含むペプチドであるか、又は配列番号12に対して少なくとも95%配列同一性を有するペプチドである。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMPの、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、前記結晶はC2の空間群を有する。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMPの、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、かつ前記化学物質は、次の構造からなる群から選択される:
実施例1:
Figure 2014533094
実施例2:
Figure 2014533094
実施例3:
Figure 2014533094
実施例4:
Figure 2014533094
他の実施形態では、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMPのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、かつ前記結晶は、次のものからなる群から選択される寸法を有する単位胞を含む:単位胞寸法、a=91.7(Å)、b=73.7(Å)、c=79.4(Å)、単位胞寸法、a=90.7(Å)、b=73.0(Å)、c=78.2(Å)、単位胞寸法、a=91.0(Å)、b=73.6(Å)、c=78.0(Å)、及び単位胞寸法、a=90.0(Å)、b=77.1(Å)、c=75.0(Å)。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造を含み、前記化学物質は、プロMMPのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、前記原子構造は、次のものからなる群から選択される座標を含む:表11に記載の座標、表12に記載の座標、表13に記載の座標、及び表14に記載の座標。
他の実施形態では、本発明は、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造を含み、前記化学物質は、プロMMPのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、かつ前記プロMMPはプロMMP9である。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9の原子構造、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶を含み、前記化学物質は、プロMMP9のアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリック結合部位において結合する。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造を含み、前記化学物質は、プロMMP9のアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含むアロステリック結合部位において結合する(付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用している)。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造を含み、前記化学物質は、プロMMPの、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、かつ前記プロMMPは、次の:プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3、及びプロMMP13からなる群から選択された、プロMMP9のホモログである。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログ、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造を含み、前記化学物質は、プロMMP9のホモログのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、該アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同である空間領域を含むアロステリック結合部位において結合する。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位に結合する化学物質を設計、選別及び/又は最適化するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記アロステリックな結合ポケットの3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれかに従うプロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記プロMMP9のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記アロステリックな結合部位は、アポ形態のプロMMP9のフェニルアラニン(Phe)107により占有される空間領域を含み、付番は完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、段階と、(c.)前記物質と、前記アロステリックな結合部位の全ての又は一部の前記3次元構造情報との間で当てはめ演算を実行することにより、前記化学物質を設計、選択及び/又は最適化するために、(b)において特定された残基を使用する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位に結合する化学物質を設計、選別及び/又は最適化するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれかに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記プロMMP9のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記アロステリックな結合部位は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含み、付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、段階と、(c.)前記物質と、前記アロステリックな結合部位の全ての又は一部の前記3次元構造情報との間で当てはめ演算を実行することにより、前記化学物質を設計、選択及び/又は最適化するために、(b)において特定された残基を使用する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9ホモログのアロステリックな結合部位に結合する化学物質を設計、選別及び/又は最適化するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか又はいずれか1つに従うプロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記アロステリックな結合部位は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同である領域を含む、段階と、(c.)前記物質と、前記アロステリックな結合部位の全ての又は一部の前記3次元構造情報との間で当てはめ演算を実行することにより、前記化学物質を設計、選択及び/又は最適化するために、(b)において特定された残基を使用する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9ホモログのアロステリックな結合部位に結合する化学物質を設計、選別及び/又は最適化するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか又はいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記アロステリックな結合部位は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含み、付番は完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、段階と、(c.)前記物質と、前記アロステリックな結合部位の全ての又は一部の前記3次元構造情報との間で当てはめ演算を実行することにより、前記化学物質を設計、選択及び/又は最適化するために、(b)において特定された残基を使用する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位に結合する化学物質を設計、選別及び/又は最適化するための方法を含み、ここで、前記プロMMP9のホモログは、プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択され、前記方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか又はいずれか1つに従うプロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記アロステリックな結合部位は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同である領域を含む、段階と、(c.)前記物質と、前記アロステリックな結合部位の全ての又は一部の前記3次元構造情報との間で当てはめ演算を実行することにより、前記化学物質を設計、選択及び/又は最適化するために、(b)において特定された残基を使用する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか又はいずれか1つに従うプロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記化学物質の結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するための方法を含み、方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従う前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階と、(b.)前記化学物質の結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含み、付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するための方法を含み、方法は、(a.)コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか又はいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階であって、前記コンピュータは、前記3次元モデルの生成手段を含む、段階と、(b.)前記化学物質の結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログの領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む、方法。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、ここで、前記コンピュータは、表11〜14のいずれか1つに従うアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされたデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成するための手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従う前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階と、(b.)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、ここで、前記コンピュータは表11〜14のいずれか1つに従ってアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされたデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成するための手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従う前記プロMMP9のアロステリックな結合部位の構造座標を使用する段階と、(b.)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、(e)第2の化学物質を用い、段階(a)〜(d)を繰り返す段階と、(f)前記第1又は第2の化学物質について前記定量された会合度に基づき、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する前記第1又は第2の化学物質の少なくとも一部を選択する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、前記コンピュータは、表11〜14のいずれか従うアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされたデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成する手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階と(b.)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログの領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のアロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、ここで、前記コンピュータは、表11〜14のいずれかに従うアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされたデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成するための手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階と、(b)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログの領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、(e)第2の化学物質を用い、段階(a)〜(d)を繰り返す段階と、(f)前記第1又は第2の化学物質について前記定量された会合度に基づき、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する前記第1又は第2の化学物質の少なくとも一部を選択する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の全ての又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、ここで、前記MMP9のホモログは、プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択され、前記コンピュータは、表11〜14のいずれか従うアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされたデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成する手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階と(b.)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログの領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、プロMMP9ホモログのアロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する化学物質の性能を評価するために、コンピュータを使用する方法を含み、ここで、前記MMP9のホモログは、プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3、及びプロMMP13からなる群から選択され、ここで、前記コンピュータは表11〜14のいずれかに従うアロステリックな結合部位の構造座標によりコードされた記録されたデータ記憶素材を含む機械可読なデータ格納素材を含む、機械可読なデータ記憶媒体と、アロステリックな結合部位の3次元グラフィック表示を生成するための手段と、を含み、前記方法は、(a.)前記コンピュータ上で前記プロMMP9のホモログのアロステリックな結合部位の3次元モデルを生成するために、表11〜14のいずれか1つに従うプロMMP9の構造座標を使用する段階と、(b.)前記化学物質のアロステリックな結合部位を特定する段階であって、前記結合部位は、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログの領域を含む、段階と、(c.)前記化学物質と、前記(b)で特定されたアロステリックな結合部位の全て又は一部との間で当てはめ演算を実行するために計算手段を使用する段階と、(d.)前記化学物質と、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部との間の会合度を定量するために、前記当てはめ演算の結果を解析する段階と、(e)第2の化学物質を用い、段階(a)〜(d)を繰り返す段階と、(f)前記第1又は第2の化学物質について前記定量された会合度に基づき、前記アロステリックな結合部位の全て又は一部と会合する前記第1又は第2の化学物質の少なくとも一部を選択する段階と、を含む。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、並びにそれらの溶媒和物、水和物、互変異性体、又は製薬上許容され得る塩、からなる群から選択される化学物質を使用して、プロマトリックスメタロプロテアーゼ(プロMMP)の活性化を阻害する方法を含む。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子及び製薬上許容され得る担体を含む医薬組成物を使用して、プロMMPの活性化を阻害する方法を含む。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、並びにそれらの溶媒和物、水和物、互変異性体、又は製薬上許容され得る塩、からなる群から選択される化学物質を使用して、プロMMPの活性化を阻害する方法を含み、ここで、前記プロMMPはプロMMP9であり、かつ前記化学物質は、アポ形態のプロMMP9のフェニルアラニン(Phe)107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合し、付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわち、プロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、並びにそれらの溶媒和物、水和物、互変異性体、又は製薬上許容され得る塩、からなる群から選択される化学物質を使用して、プロMMPの活性化を阻害する方法を含み、ここで、前記プロMMPはプロMMP9であり、かつ前記化学物質は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含むアロステリックな結合部位に結合し、付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわち、プロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子及び製薬上許容され得る担体を含む医薬組成物を使用して、プロMMPの活性化を阻害する方法を含み、ここで、前記プロMMPはプロMMP9であり、かつ前記化学物質は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、並びにそれらの溶媒和物、水和物、互変異性体、又は製薬上許容され得る塩、からなる群から選択される化学物質を使用して、プロマトリックスメタロプロテアーゼ(プロMMP)の活性化を阻害する方法を含み、前記プロMMPは、次の:プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択されるMMP9ホモログであり、かつ前記化学物質は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域とホモログである領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子及び製薬上許容され得る担体を含む医薬組成物を使用して、プロMMPの活性化を阻害する方法を含み、ここで、前記プロMMPは、次の:プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択されるMMP9ホモログであり、かつ前記化学物質は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域とホモログである空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPの活性を阻害する少なくとも1つのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を有効な量で投与することにより、哺乳類においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を阻害する方法を含む。
他の実施形態では、本発明は、MMPの活性を阻害する少なくとも1つのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を有効な量で投与することにより、哺乳類においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を阻害する方法を含み、ここで、前記MMPはMMP9であり、前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子はアポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPの活性を阻害する少なくとも1つのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を有効な量で投与することにより、哺乳類においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を阻害する方法を含み、ここで、前記MMPはMMP9であり、前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含むアロステリックな結合部位に結合し、付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである。
他の実施形態では、本発明は、MMPの活性を阻害する少なくとも1つのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を有効な量で投与することにより、哺乳類においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を阻害する方法を含み、前記MMPは、次の:MMP1、MMP2、MMP3及びMMP13からなる群から選択されるMMP9のホモログであり、前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同な領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含む。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、前記症候群、疾患又は疾病は、MMPの高発現すなわちMMPの過剰発現と関連付けられ、あるいはMMPの高発現又はMMPの過剰発現と関連付けられる症候群、疾患又は疾病に伴う状態である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、前記症候群、疾患又は疾病は、次の:腫瘍性疾患、変形性関節症、リウマチ様関節炎、循環器疾患、胃潰瘍、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸症候群、歯周病、皮膚潰瘍、肝線維症、気腫、マルファン症候群、脳卒中、多発性硬化症、喘息、腹部大動脈瘤、冠動脈疾患、特発性肺線維症、腎線維症、及び片頭痛からなる群から選択される。
他の実施形態では、本発明は、MMPの活性を阻害する少なくとも1つのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子を有効な量で投与することにより、哺乳類においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を阻害する方法を含み、前記MMPは、次の:MMP1、MMP2、MMP3及びMMP13からなる群から選択されるMMP9のホモログであり、前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域と相同な領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記MMPはMMP9であり、前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は、MMPの高発現すなわちMMPの過剰発現と関連付けられ、あるいはMMPの高発現又はMMPの過剰発現と関連付けられる症候群、疾患又は疾病に伴う状態であり、前記MMPはMMP9であり、かつ前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は、次の:腫瘍性疾患、変形性関節症、リウマチ様関節炎、循環器疾患、胃潰瘍、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸症候群、歯周病、皮膚潰瘍、肝線維症、気腫、マルファン症候群、脳卒中、多発性硬化症、喘息、腹部大動脈瘤、冠動脈疾患、特発性肺線維症、腎線維症、及び片頭痛からなる群から選択され、前記MMPはMMP9であり、かつ前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記MMPは次の:MMP1、MMP2、MMP3及びMMP13からなる群から選択される、MMP9のホモログであり、かつ前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域とホモログである領域を含むアロステリックな結合部位に結合する。
他の実施形態では、本発明は、MMPにより介在される症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は、MMPの高発現すなわちMMPの過剰発現と関連付けられ、あるいはMMPの高発現又はMMPの過剰発現と関連付けられる症候群、疾患又は疾病に伴う状態であり、前記MMPは、次の:MMP1、MMP2、MMP3及びMMP13からなる群から選択される、MMP9のホモログであり、かつ前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域とホモログである領域を含むアロステリックな結合部位を含む。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は、次の:腫瘍性疾患、変形性関節症、リウマチ様関節炎、循環器疾患、胃潰瘍、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸症候群、歯周病、皮膚潰瘍、肝線維症、気腫、マルファン症候群、脳卒中、多発性硬化症、喘息、腹部大動脈瘤、冠動脈疾患、特発性肺線維症、腎線維症、及び片頭痛からなる群から選択され、前記MMPは、次の:MMP1、MMP2、MMP3及びMMP13からなる群から選択される、MMP9のホモログであり、かつ前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子は、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される空間領域とホモログである領域を含むアロステリックな結合部位と結合する。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は腫瘍性疾患であり、卵巣がんである。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は循環器疾患であり、かつ前記循環器疾患は、次の:アテローム性動脈硬化プラークの破裂、動脈瘤、血管組織の形態形成、冠動脈疾患及び心筋組織の形態形成からなる群から選択される。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、ここで、前記症候群、疾患又は疾病は循環器疾患であり、かつ該循環器疾患はアテローム性動脈硬化巣の破裂である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は、関節リウマチである。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は喘息である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は、慢性閉塞性肺疾患である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は、炎症性腸症候群である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は、腹部大動脈瘤である。
他の実施形態では、本発明は、症候群、疾患又は疾病を予防、処置又は寛解させるための方法を含み、前記方法は、MMPの活性を阻害するアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、あるいはアロステリックなプロセシング阻害因子を含む形態、組成物又は薬剤を、これらを必要としている対象者に有効な量で投与する工程を含み、かつ前記症候群、疾患又は疾病は、変形性関節症である。
本発明の追加の実施形態及び利点は、本開示に包含される発明の詳細、スキーム、実施例及び請求項から明らかとなろう。
ここで本発明の実施形態を、添付の図面を参照し、例示のみの目的で説明する。
連鎖球菌細胞壁のペプチドグリカン多糖類の腹腔内投与により関節炎を誘導した後に雌性Lewisラットから採取した滑膜細胞におけるプロMMP9の活性化に対する、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、すなわち実施例2の効果を実証する、2種類の酵素を用いたウェスタンブロット。マウスモノクローナル抗体、mAb L51/82により、プロ形態及びプロセシングを受けた形態のMMP9が検出された。マウスモノクローナル抗体により、実施例2が、80kD活性形態のMMP9の出現並びに86kD形態のタンパク質の出現を用量依存的に減少させたことが示された(図1A、レーン3〜6)。ウサギポリクローナル抗体pAb−1246により80kD活性形態のMMP9が検出されたものの、100kD形態のプロMMP9は認識されなかった。ウサギポリクローナル抗体により、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子が、80kD活性形態のMMP9の出現を用量依存的に減少させたことが示された(図1B、レーン2〜6)。 連鎖球菌細胞壁のペプチドグリカン多糖類(SCW)の腹腔内投与により関節炎を誘導した後に、雌性Lewisラットから採取した脛骨−足根骨関節(足首)においてプロMMP9が増加していたこと及び活性型MMP9画像化していたことを実証する、ウェスタンブロット。生理食塩水を投与したラットの健常な足首では、mAb−L51/82により約100kDプロMMP9及び約80kD形態の活性型MMP9が少量検出された(図2A、レーン1及び2)。SCW投与から5日及び18日後の足首破砕液では、プロMMP9の量は著しく増加していた(図2A、それぞれレーン3〜5、及び6〜8)。80kDの活性型MMP9の量は、SCW投与の5日後に中程度に増加しており(図2A、レーン3〜5)、SCW投与の18日後には顕著に増加していた(図2A、レーン6〜8)。生理食塩水を投与したラットの健常な足首では、mAb−1246により80kDの活性型MMP9が少量検出された(図2B、レーン1及び2)。80kD活性型MMP9は、SCW投与の5日後に中程度に増加しており(図2A、レーン3〜5)、SCW投与の18日後には顕著に増加していた(図2A、レーン6〜8)。 連鎖球菌細胞壁のペプチドグリカン多糖類(SCW)の腹腔内投与により関節炎を誘導した後に雌性Lewisラットから採取した脛骨−足根骨関節(足首)におけるプロMMP9の活性化に対する、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子、すなわち実施例2の効果を実証する、2種類の酵素を用いたウェスタンブロット。プロMMP9及び活性型MMP9の両方が、SCWにより誘導し賦形剤処理したラットの足首に豊富に存在していた(図3A及び3B、レーン1〜3)。実施例2によるラットの処置では、プロMMP−9の存在量は減少していなかった(図3A、レーン4〜9)。しかしながら、実施例2によりラットを処置した場合、pAb−1246(図3B、レーン4〜9)及び同様にmAb−L51/(図3A、レーン4〜9)により検出された活性型の80kDの形態のMMP9が著しく減少した。 阻害されたプロMMP9(暗色構造)とアポプロMMP9(明色構造)とを重ね合わせた図。位置を置き換えたループの正確な配置は異なる阻害因子により変化し得る一方で、全ての阻害因子は同様のポケットに結合し、結合が切断されて活性型酵素が形成されることを予防する。AはプロMMP9と実施例2との複合体であり、BはプロMMP9と実施例3との複合体であり、CはプロMMP9と実施例4との複合体である。 阻害されたプロMMP9(暗色構造)とアポプロMMP9(明色構造)とを重ね合わせた図。位置を置き換えたループの正確な配置は異なる阻害因子により変化し得る一方で、全ての阻害因子は同様のポケットに結合し、結合が切断されて活性型酵素が形成されることを予防する。AはプロMMP9と実施例2との複合体であり、BはプロMMP9と実施例3との複合体であり、CはプロMMP9と実施例4との複合体である。 阻害されたプロMMP9(暗色構造)とアポプロMMP9(明色構造)とを重ね合わせた図。位置を置き換えたループの正確な配置は異なる阻害因子により変化し得る一方で、全ての阻害因子は同様のポケットに結合し、結合が切断されて活性型酵素が形成されることを予防する。AはプロMMP9と実施例2との複合体であり、BはプロMMP9と実施例3との複合体であり、CはプロMMP9と実施例4との複合体である。 アポプロMMP9(印を付した構造)により阻害されたプロMMP9の構造を重ねあわせて示す。阻害因子をボール及び棒様に示し、構造をリボン様に示す。位置を置き換えたループの正確な配置は異なる阻害因子により変化し得る一方で、全ての阻害因子は同様のポケットに結合し、結合が切断されて活性型酵素が形成されることを予防する。実施例2、実施例3及び実施例4を阻害因子として示す。 プロMMP9構造の露出表面。触媒ドメインにおける残基の接触表面は暗灰色に着色し、プロドメインの残基に由来する接触表面は中間の濃さの灰色で着色してある。 これまでに決定されているプロMMP構造のオーバーラップ構造。このオーバーラップにより、類似する三次構造が、触媒ドメインとの接触により活性化される最終的な切断部位を有するその他のMMPプロドメインにも存在することが示される。 ヒトMMPファミリーのプロドメインの配列アラインメント。これらのドメインの三次構造は、構造が決定され、残りのMMPの配列から同様の折りたたみを有することが予想される4本のヘリックス束からなる。触媒ドメインのキャビティを充填する多様な残基が存在するものの、一般的な様式の安定化は同様のままである。
定義
一般に、生物工学及び化学と同様に、本発明の説明は、多くの技術用語の使用を必要とする。あまり徹底的に行うのは実用的ではないが、これらの用語の幾つかの定義は、容易に参照できるように、本明細書に提供される。別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。他の用語に対する定義もまた、本明細書の他の場所で出現し得る。しかしながら、本明細書に提供される定義は、常に、定義された用語の意図した範囲及び意味を考慮しなければならない。本願に記載されているものと類似した又は等価な任意の方法及び部材を本発明の実施において使用することができるが、好ましい方法及び部材を記載する。
用語「具備する(comprising)」は「主として備えるが、必ずしも単独で備えるのではない」ことを意味する。更に、「含む(comprise及びcomprises)」等、単語「具備する(comprising)」の変化形はそれに応じて変化した意味を有する。
本明細書で使用するとき、用語「含有する(containing)」、「有する(having)」及び「包含する(including)」は、幅広い非限定的な意味で用いる。
本明細書で使用するとき、「配列」とは、例えば、ポリペプチド中のアミノ酸の順序又はポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序のような、モノマーがポリマー中に生じる線形順序(linear order)を意味する。
「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、本明細書では互換的に用いられ、アミノ酸残基がペプチド結合又は修飾ペプチド結合により結合したアミノ酸鎖を指す。アミノ酸鎖は、2アミノ酸を超える任意の長さのものであってもよい。特に指定のない限り、「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、その種々の修飾形態をも包含する。このような修飾形態は、自然発生的に修飾された形態であっても化学的に修飾された形態であってもよい。修飾された形態の例としては、限定するものではないが、グリコシル化形態、リン酸化形態、ミリストイル化形態、パルミトイル化形態、リボシル化形態、アセチル化形態、ユビキチン化形態などが挙げられる。修飾には、分子内架橋、並びに脂質、フラビン、ビオチン、ポリエチレングリコール又はそれらの誘導体などの各種基との共有結合も包含される。更に、修飾には、環化、分岐及び架橋も包含することができる。更に、遺伝子のコドンによりコードされた従来の20種のアミノ酸以外のアミノ酸もまた、ポリペプチドに含まれることができる。
本明細書で使用するとき、タンパク質又は核酸分子は、タンパク質又は核酸分子が、実質的に、タンパク質又は核酸の源からの汚染物質から分離される場合、「単離された」と考えられる。
本明細書で使用するとき、「天然タンパク質」という用語は、その天然源又は有機体から単離されたタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含むタンパク質を指す。
本明細書で使用するとき、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸のL異性体を指す。天然に存在するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシルグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、及びリシンである。具体的に指示されない限り、全てのアミノ酸は、本願において、L型であるものを指す。
本明細書で使用するとき、「非天然アミノ酸」という用語は、タンパク質に天然に見出されないアミノ酸を指す。例えば、セレノメチオニンである。
本明細書で使用するとき、「正電荷を持つアミノ酸」という用語は、正常な生理学的条件下で、正電荷を持つ側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。正電荷を持つ天然に存在するアミノ酸の例は、アルギニン、リシン、及びヒスチジンである。
本明細書で使用するとき、「負電荷を持つアミノ酸」という用語は、正常な生理学的条件下で、負電荷を持つ側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。負電荷を持つ天然に存在するアミノ酸の例は、アスパラギン酸及びグルタミン酸である。
本明細書で使用するとき、「疎水性アミノ酸」という用語は、水中で相対的に不溶性である、非荷電の非極性の側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。天然に存在する疎水性アミノ酸の例は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンである。
本明細書で使用するとき、「親水性アミノ酸」という用語は、水中で相対的に可溶性である、非荷電の極性の側鎖を有するあらゆるアミノ酸を包含する。天然に存在する親水性アミノ酸の例は、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、及びシステインである。
本明細書で使用するとき、「核酸」は、本明細書で定義されるように、タンパク質又はペプチドをコードするか、又はこのようなペプチドをコードする核酸配列に相補的であるか、又は適切な厳密性条件下で、このような核酸にハイブリダイズし、それに安定的に結合した状態である、RNA又はDNAとして定義される。核酸配列は、それぞれT、A、C、G、及びUと略される、チミジン、アデニン、シトシン、グアニン、及びウラシルの塩基の天然ヌクレオチド、並びに/又は天然ヌクレオチドの合成類似体から構成されてよい。
用語「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴ」は、比較的短鎖の、例えば100残基長未満の一本鎖DNA又はRNA配列を指す。多くの手法に関し、約16〜25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが有用であるものの、場合により約25ヌクレオチド長超のオリゴヌクレオチドを使用することもできる。幾つかのオリゴヌクレオチドは、核酸の相補鎖を合成するための「プライマー」として使用してよい。例えば、DNAプライマーは、相補的核酸配列とハイブリダイズして、DNAポリメラーゼを用いた反応における相補的DNA鎖の合成の準備をすることができる。オリゴヌクレオチドはまた、幾つかの核酸検出方法におけるハイブリダイゼーション、例えばノーザンブロッティング又は原位置ハイブリダイゼーションにも有用である。
「組み換え体」とは、分子生物学技術を用いてその自然状態以外の何かに修飾されている、核酸、核酸にコードされたタンパク質、細胞、又はウイルス粒子を指す。例えば、組み換え細胞は、細胞の自然(非組み換え)形態には見出されないヌクレオチド配列を含有してよく、又は、別の方法では異常に低発現した、若しくは全く発現しない自然遺伝子を発現してよい。組み換え細胞は細胞の自然形態に見出される遺伝子を含有してもよく、遺伝子は人工的手段によって修飾され細胞に再導入される。この用語はまた、細胞から核酸を取り除くことなく修飾されている内因性核酸を含有する細胞も包含し、このような修飾としては、例えば、遺伝子置換及び部位特異的変異により得られるものが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「高い厳密性」という用語は、2つの核酸がハイブリダイズされ得、かつ、例えば、2つの核酸のハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの期間中、使用される、溶液中の塩及び/又は洗剤の濃度、溶液の温度を包含し得る、条件を指す。したがって、本明細書で使用するとき、「高い厳密性」という用語は、このような核酸が、高度の相補性を共有する場合のみ、2つの核酸のハイブリダイゼーションを助長する溶液中の条件を指す。相補性度は、約90%〜100%の範囲が包含され得るが、これらに限定されない。したがって、「高い厳密性」条件は、異なる温度、並びに洗剤、塩、及び二価カチオンの種々の濃度を含む、緩衝液の使用が含まれ得るが、これらに限定されない。
本明細書で使用するとき、「ベクトル」とは、異種核酸が挿入され得る又は挿入される核酸分子を指す。幾つかのベクトルが宿主細胞に導入されて、ベクトルの複製、又はベクトル若しくは作成物によってコードされるタンパク質の発現が可能になり得る。ベクトルは、典型的には、選択マーカー、例えば、薬剤耐性を可能にするタンパク質をコードする遺伝子、複製配列の開始点、及び異種配列の挿入を可能にする多重クローニング部位を有する。ベクトルは、典型的には、プラスミドベースであり、小文字の「p」に続く文字及び/又は数の組み合わせにより指定される。本明細書で開示された出発プラスミドは、市販のもの若しくは無制限に公的に入手可能なもののいずれか、又は当該技術分野において公知の手順を適用することにより、入手可能なプラスミドから構築されてもよい。本発明に従って使用され得る多くのプラスミド並びに他のクローニング及び発現ベクトルは周知であり、当業者に容易に入手可能である。更に、当業者は、本発明における使用に好適な任意の数の他のプラスミドを容易に構築できる。本発明における、このようなプラスミド並びに他のベクトルの性質、構築及び使用は、本開示から当業者に容易に明らかとなる。
本明細書で使用するとき、「プロMMP」は、プロ形態のマトリックスメタロプロテイナーゼ(マトリックスメタロプロテアーゼとしても既知)を発現させた結果として得られるタンパク質を指すために使用される。この用語の意味する範囲内では、プロMMPには、プロMMP遺伝子又はcDNA、欠失、置換及び短縮化、並びにこれらの修飾形態を含むこれらの変異体によりコードされる全てのタンパク質が包含されるものと理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「プロMMP」には、活性型へのプロセシングを完全には受けていない、一部プロセシングを受けた状態のプロMMPも包含される。
本明細書で使用するとき、用語「MMP9のホモログ」又は「MMP9ホモログ」は、ヒトプロMMP9と構造又は配列がホモログであり、かつ活性型へとプロセシングを受けた場合にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)タンパク質の活性を有する、分子を指す。ヒトMMP9ホモログの例としては、限定するものではないが、ヒトプロMMP1、ヒトプロMMP2、ヒトプロMMP3、ヒトプロMMP9、ヒトプロMMP13、並びに保存的置換、付加、欠失又はこれらの組み合わせを含むプロMMPを包含するその他の種由来のプロMMPが挙げられる。非限定例として、ヒトプロMMP9には、配列番号12、並びに配列番号12と少なくとも約70%アミノ酸配列同一性を有するそれらの変異体、又は好ましくは配列番号12と80%、85%、90%及び95%配列同一性を有するそれらの変異体、あるいは好ましくは、配列番号12と少なくとも約95%以上配列同一性を有するそれらの変異体が含まれる。
本明細書で使用するとき、用語「ホモログな領域」及び「〜とホモログな領域」は、異なる一次アミノ酸配列を有するものの、最終的な二次及び三次構造が類似するタンパク質の領域を指す。本発明での使用が企図されるホモログ領域としては、限定するものではないが、アポ形態のプロMMP9のPhe 107により占有される領域を包含し、かつプロMMP9のアロステリックな結合部位とホモログな領域が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「活性化」は、不活性なプロ型のマトリックスメタロプロテイナーゼ(プロMMP)から活性型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)への変化を生じさせるプロセシングを指す。
本明細書で使用するとき、用語「活性」又は「活性型」は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)により発揮され、標準的な手法により生体内又は生体外で測定される活性を指す。このような活性の例としては、限定するものではないが、触媒活性又はリガンド若しくはそれらの類似体に対する結合能などの直接的な活性、転写活性の変化又はMMP活性により直接的に若しくは間接的に調節される遺伝子若しくは遺伝子産物のレベルの変更、MMP活性により発現が直接的に若しくは間接的に影響を受ける場合のある他のタンパク質に対する酵素活性の変更、又はMMP活性の変更により得られる細胞生理の機能的な変更が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「アロステリックな」は、活性部位以外の結合部位に結合することを指す。
本明細書で使用するとき、用語「活性部位」は、活性型MMP上の領域、あるいはヒトMMP若しくはホモログの触媒活性に直接関与する活性型MMPの構造モチーフ上の領域を指す。
本明細書で使用するとき、用語「プロセシング阻害因子」、「活性阻害因子」及び「活性化阻害因子」は、全て、活性型形態へのプロMMPのプロセシングを阻害し、ひいては生体外又は生体内において測定され得るMMP活性を調節する能力を有するリガンドを指す。プロセシング阻害因子としては、小分子(好ましくは約1,000ダルトン未満)が好ましい。
本明細書で使用するとき、用語「小分子」は、分子量が約1,000未満の任意の分子又は化合物質を指す。
本明細書で使用するとき、用語「化合物質」は、化合物、少なくとも2つの化合物の複合体、及びこのような化合物又は複合体の断片を指す。例えば、化学改質は、リガンド、基質、ヌクレオチド三リン酸、ヌクレオチド二リン酸、リン酸塩、ヌクレオチド、アゴニスト、作動剤、拮抗剤、阻害因子、抗体、薬剤、ペプチド、タンパク質又は化合物であり得る。
本明細書で使用するとき、用語「リガンド」は、ヒトMMP又はプロMMP、MMP又はプロMMPのサブユニット、MMP又はプロMMPのドメイン、MMP又はプロMMPの標的構造モチーフ、MMP又はプロMMPの断片、と結合する又はこれらに結合する任意の分子又は化学改質を指す。したがって、リガンドとしては、限定するものではないが、プロMMPに結合してプロMMPの活性型MMPへのプロセシングを阻害するプロセシング阻害因子が挙げられる。リガンドとしては、小分子(好ましくは約1,000ダルトン未満)が好ましい。
本明細書で使用するとき、プロMMPタンパク質に関し使用する場合、用語「アポ」及び「アポ型」は、アロステリックな結合部位に、アロステリックなプロセシング阻害因子を結合していないプロMMPタンパク質を指す。
本明細書で使用するとき、原子、分子、又は化学基の会合に関連して使用された場合の「結合する」、「結合すること」、「結合」、「結合された」又は「結合した」という用語は、2個以上の原子、分子、又は化学基のいずれかが物理的に接触又は会合していることを指す。
本明細書で使用するとき、用語「結合部位」又は「結合ポケット」は、MMP又はプロMMP、並びにリガンドと、MMP又はプロMMPとを含む複合体分子の領域を指し、結果として、MMP又はプロMMPの一次アミノ酸配列及び/又はその立体構造、望ましくは、他の化学物質又はリガンド、補因子、阻害因子若しくは他の種類の修飾因子を指す。
本明細書で使用するとき、「標的構造モチーフ」、「標的モチーフ」又は「ドメイン」とは、任意の合理的に選択された配列若しくは配列の組み合わせを指し、この配列は、プロMMP又はMMPの折り畳み時に形成される3次元配置若しくは電子密度マップに基づいて選択される。当該技術分野において既知の種々の標的モチーフがある。タンパク質の標的モチーフには、酵素活性部位、阻害因子結合部位、アロステリック結合部位、構造サブドメイン、エピトープ、機能ドメイン、及びシグナル配列が挙げられるが、これらに限定されない。入力及び出力手段の種々の構造形式が、本発明のコンピュータベースのシステムにおいて、情報を入力及び出力するために使用され得る。
化合物を「選択すること」、「選択する」、「選択された」、「特定する」、「特定」若しくは「特定された」という用語により、(a)タンパク質錯体若しくはその相互作用するタンパク質メンバーの調節物質であることが以前に未知の群から化合物を選ぶこと、並びに(b)タンパク質錯体若しくはその相互作用するタンパク質メンバーを結合する若しくはその機能及び活性を調節することが可能であることが既知である化合物を試験することの双方を包含することを意図している。化合物は、限定するものではないが、小分子有機又は無機化合物及び天然又は合成分子などの数多くの化学的分類を包含する。好ましくは、それらは小有機化合物、即ち、1,000ダルトン未満の分子量を有するものである。
「高スループットアッセイ」又は「高スループットスクリーニング」という用語は、複数のサンプルの容易なスクリーニングを同時に、かつ/若しくは迅速な連続で可能にするアッセイ設計を指し、ロボット操作の能力を包含し得る。高スループットアッセイの別の所望の特性は、試薬の使用を低減する、又は所望の分析を成し遂げるための操作の数を最低限に抑えるように最適化したアッセイ設計である。高スループットアッセイ形式の例は、液体を取り扱う実験に使用される96ウェル、384ウェル、及び1536ウェルプレート、若しくは「ラボチップ(lab on a chip)」マイクロチャンネルチップが挙げられるが、これらに限定されない。プラスチック型及び液体取扱装置の小型化が進行すると、又は改良型アッセイ装置が設計されると、本発明の型を用いてより多くの試料を処理できることは、当業者に周知である。本発明は、プロMMPと相互作用するよう意図され又は設計された新規化合物を試験するために利用することのできる、任意のハイスループットなスクリーニング法を包含する。高スループットスクリーニングにおける一般情報に関しては、例えば、(Devlin(編集者)1998)、及び米国特許番号(US5763263)を参照のこと。
本明細書で使用するとき、「原子座標」又は「構造座標」という用語は、各原子に対して、X、Y、Z、及びBを包含する、タンパク質データバンク(PDB)形式において、プロMMP又はMMPの結晶における原子の位置を説明する、数学的座標を指す。結晶から得られた回折データを使用して、結晶の反復単位の電子密度マップを計算する。電子密度マップは、結晶内の個々の原子の位置(即ち、X、Y、及びZ座標)を構築するために使用され得る。当業者は、X線結晶学によって決定される一組の構造座標が、標準誤差が伴うことを理解している。
「原子型」という用語は、座標が測定された化学元素を指す。
「X」、「Y」、及び「Z」という用語は、選択された結晶学的原点に関して測定された元素の結晶学的に決定された原子位置を指す。「B」という用語は、その平均位置に関して原子位置の平均偏差を測定する熱因子を指す。
本明細書で使用するとき、「結晶」という用語は、X線を回折する分子のいずれかの3次元配列アレイを指す。
本明細書で使用するとき、組成物内の「担体」という用語は、製品を混合する希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。
本明細書で使用するとき、構造−活性相関の省略である「SAR」という用語は、化合物の活性/性質とその化学構造との間の相関に関する構造−活性/構造的性質関係を集合的に指す。
本明細書で使用するとき、「分子構造」という用語は、特定の化合物の分子又は分子の錯体の3次元配列を指す(例えば、プロMMP及びアロステリックなプロセシング阻害因子と相互作用するリガンドの3次元構造)。
本明細書で使用するとき、「分子モデル化」という用語は、分子の外観の現実的モデルを作成し、リガンドの構造活性相関に関する予測を立てるために、計算方法、好ましくはコンピュータ支援方法の使用を指す。分子モデル化に使用される方法は、分子グラフィックスから計算化学に及ぶ。
本明細書で使用するとき、「分子モデル」という用語は、共有結合により連結された分子の原子の3次元配列、又は1個以上の分子を含む錯体、例えばタンパク質−リガンド複合体の原子の3次元配列を指す。
本明細書で使用するとき、「分子グラフィックス」という用語は、分子の3次元(3D)表示、例えば、コンピュータ支援の計算方法を用いて作成された3D表示を指す。
本明細書で使用するとき、「コンピュータ読み取り可能な媒体」とは、コンピュータによって読み取り、かつ直接アクセスすることができる、任意の媒体を指す。このような媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープ等の磁気的記憶媒体、光ディスク若しくはCD−ROM等の光学的記憶媒体、RAM及びROM等の電気的記憶媒体、並びに、磁気/光学的記憶媒体等のこれらのカテゴリーのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するとき、「記録される」とは、コンピュータ読み取り可能な媒体における記憶情報のための方法を指す。当業者は、コンピュータ読み取り可能な媒体における情報を記録するために、現在公知の方法のいずれかを容易に採用し、本発明のアミノ酸配列及び/又は原子座標/X線回折データ情報を含む製品を生産することができる。
本明細書で使用するとき、「コンピュータベースのシステム」とは、本発明の配列及び/又はX線回折データを分析するために使用される、ハードウェア手段、ソフトウェア手段、及びデータ記憶手段を指す。本発明のコンピュータベースのシステムの最小ハードウェア手段には、中央演算処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、及びデータ記憶手段が包含される。当業者には、本発明で用いるのに、現在利用可能なコンピュータベースのシステムのどれが適しているかが容易に理解されよう。モニター等の可視化デバイスは、構造データを視覚化するために任意に提供される。
上記のように、本発明のコンピュータベースのシステムは、本発明の配列及び/若しくは原子座標/X線回折データをその中に記憶するデータ記憶手段、並びに分析手段を支援し、かつ実施するために必要なハードウェア手段及びソフトウェア手段を含む。本明細書で使用するとき、「データ記憶手段」とは、本発明の配列若しくは原子座標/X線回折データを記憶することができるメモリ、又は本発明の配列若しくはX線データをそこに記録する製品にアクセスすることができるメモリアクセス手段を指す。
本明細書で使用するとき、「検索手段」又は「分析手段」とは、標的配列若しくは標的構造モチーフをデータ記憶手段内に記憶された配列若しくはX線データと比較するためにコンピュータベースのシステムにおいて実施される、1つ以上のプログラムを指す。検索手段は、特定の標的配列若しくは標的モチーフを適合させるタンパク質の断片若しくは領域を同定するために使用される。種々の既知のアルゴリズムは、公的に開示され、検索手段を実行するための種々の市販のソフトウェアが、本発明のコンピュータベースのシステムに使用され得る。当業者は、コンピュータ分析を実行するために、利用可能なアルゴリズムのうちのいずれか1つ又は実装するソフトウェアパッケージが、現行のコンピュータベースのシステムで用いるのに、適用され得ることを容易に理解されよう。
本明細書で使用するとき、「計算化学」という用語は、分子の物理的かつ化学的性質の計算を指す。
本明細書で使用するとき、「分子置換」という用語は、未知結晶の観察された回折パターンを説明するために最善であるように、本発明に記載の前記原子座標を配置及び位置決定することによる、座標が未知のプロMMPとアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体の結晶の予備的モデルを生成することを含む方法を指す。次いで、このモデルから位相を算出し、観察された振幅と組み合わせて、座標が未知の構造の近似的フーリエ合成を与えることができる(Rossmann 1972)。
本明細書で使用するとき、「ホモログ」という用語は、第2の供給源からのタンパク質、コード核酸分子、若しくはそれらのいずれの機能性ドメインと、少なくとも約70%若しくは75%の配列同一性、又は少なくとも約80%の配列同一性、又は更に好ましくは、少なくとも約85%の配列同一性、又はなお更に好ましくは、少なくとも約90%の配列同一性、及び最も好ましくは、少なくとも約95%、97%若しくは99%のアミノ酸若しくは核酸配列同一性を有する第1の供給源からの前記タンパク質からの、タンパク質、若しくは機能性ドメインをコードする、プロMMP分子又は核酸分子を指す。第2の供給源は、一次アミノ酸若しくはヌクレオチド配列を変化させるいずれかの利用可能な手段により遺伝子的に改変された第1の供給源からの分子の1つの変形であってもよく、又は第1の供給源のものと同一若しくは異なる種からであってもよい。
「二乗平均平方根」という用語は、平均値からの偏差の二乗の相加平均の平方根を意味する。
本明細書で使用するとき、「水素結合」という用語は、ただ1個の原子に共有結合する水素を共有し、一方で他と相互作用する2個の親水性原子(OあるいはNのいずれか)を指す。
本明細書で使用するとき、「疎水性相互作用」という用語は、2個の疎水性残基又は原子(例えば、炭素)により行われる相互作用を指す。
本明細書で使用するとき、「共役系」という用語は、電子が全系内で完全に非局在化されている、互いに隣接する2個以上の二重結合を指す。これは、芳香族残基も包含する。
本明細書で使用するとき、「芳香族残基」という用語は、非局在化共役系を有する側鎖を有するアミノ酸を指す。芳香族残基の例は、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンである。
本明細書で使用するとき、「R又はS−異性体」という用語は、国際純正応用化学連合(IUPAC)により採択されたカーン−インゴルド−プレログ系(Cahn-Ingold-Prelog System)に従ってキラル炭素の2種の可能な立体異性体を指す。キラル炭素に付着する各基は、第1に、キラル炭素に直接付着する原子の原子番号に基づいて順位又は優先a、b、c、若しくはdに割り当てられる。最高の原子番号を有する基が最高の順位aを与えられ、次に高い原子番号を有する基が次の順位bを与えられ、以下同様である。次いで、最低の順位(d)の基を観点から外す。aからb次いでcへの経路のトレースが反時計廻りの場合には、異性体は(S)と命名され、反対方向の時計廻りの場合に、異性体は(R)と命名される。
本明細書で使用するとき、「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の配向においてのみ異なる個別の分子の全ての異性体に対する一般的用語である。それは、エナンチオマー及び互いの鏡像ではない1個以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を包含する。
本明細書で使用するとき、「キラル中心」という用語は、4個の異なる基が付着している炭素原子を指す。
本明細書で使用するとき、「エナンチオマー」又は「エナンチオマー的」という用語は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがって光学的に活性である分子を指し、エナンチオマーは、偏光面を1つの方向で回転させ、その鏡像は、偏光面を反対の方向で回転させる。
本明細書で使用するとき、「ラセミ」という用語は、エナンチオマーの等量部の混合物を指し、これは光学的に活性である。
本明細書で使用するとき、「分解能」という用語は、分子の2つのエナンチオマー形態の1つの分離又は濃縮又は枯渇を指す。本願の文脈において、「分解能」という用語はまた、回折実験によって分解され得る、細部の量も指す。言い換えると、タンパク質結晶回折パターンの本来的な不規則性は、いくらかの回折角θmaxで消失するため、逆格子の相当する距離dminは、ブラッグの法則によって決定される。タンパク質結晶学の実際では、タンパク質電子密度の見かけ分解能は、dminの、データがマップの計算に含有される最小格子距離において、通常引用される。
本明細書で使用するとき、「共有結合」又は「原子価結合」という用語は、結合分子により、通常は対で、電子を共有して創成される分子内の2個の原子間の化学結合を指す。
本明細書で使用するとき、「非共有結合」という用語は、原子及び/又は分子の間の共有結合の形成に関与しない原子及び/又は分子の間の相互作用を指す。
用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。本発明の目的上、組成物は、担体をしばしば含むが、常にというわけではない。
本明細書で使用される際、用語「対象」は、治療、観察、又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
本開示の医薬組成物又は本開示の複合薬の、治療的及び予防的目的に対する有効量を判定するための方法は、同一組成物において製剤化されるかどうかに関わらず、当該技術分野で既知である。治療的目的で、本明細書に使用される際、用語「治療的有効量」は、研究者、獣医、医師、若しくは他の臨床医によって探求される、組織系、動物、又はヒトにおいて、治療される疾患又は障害の症状の緩和を含む、単独又は組み合わせで、生物学的応答又は薬効的応答を引き出す、それぞれの活性化合物あるいは医薬品の量を意味する。予防的目的(すなわち、障害の発症又は進行の阻害)について、用語「治療的有効量」は、研究者、獣医、医師、若しくは他の臨床医によって探求されるような、対象において、単独又は組み合わせで、障害を治療するか、又はその発症若しくは進行を阻害する、それぞれの活性化合物あるいは医薬品の量を指す。したがって、本発明は、例えば、(a)それぞれの薬物が、独立して治療的有効量又は予防的有効量で投与される、(b)組み合わせのうちの少なくとも1つの薬物が、単独で投与される場合に、治療量以下又は予防量以下の量で投与されるが、本発明による第2又は追加の薬物との組み合わせで投与される場合に、治療的又は予防的な量で投与される、あるいは(c)両方(又はそれ以上)の薬物が、単独で投与される場合に、治療量以下又は予防量以下の量で投与されるが、共に投与される場合には治療的又は予防的な量で投与される、2つ以上の薬物の組み合わせを提供する。
用語「製薬上許容され得る塩」は、非毒性の製薬上許容され得る塩を意味する(Berge,Bighley et al.1977,Gould 1986)。しかしながら、当業者に周知の他の塩も、本発明による化合物又は製薬上許容できる塩の調製に有用であり得る。代表的な有機又は無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸又はトリフルオロ酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な有機又は無機塩基としては、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などの塩基性又はカチオン性塩が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において与えられる図及び実施例は例示のためのものであり、本発明及びその種々の実施形態を限定しないものであるということが最初に理解されるべきである。
本発明は、プロMMPと、プロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体を含む結晶、並びにプロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子を特定するための方法、並びにアロステリックなプロセシング阻害因子によりプロMMPの活性化を阻害する方法、を包含する。非限定例では、プロMMPはヒトプロMMP9であり、アロステリックなプロセシング阻害因子は分子量が約1000ダルトンを超えない小分子である。
遺伝子操作を受けた形態及び断片
遺伝子操作を受けたプロMMP又はそれらの断片、例えば、2つ以上のアミノ酸によ規定されるプロドメインを含む遺伝子操作型又は断片は、合成法又は組み換え法など、何らかの利用可能な手法により製造することができる。次に、このような断片を本明細書に記載される通りのアッセイに使用して、例えば、限定するものではないが、ハイスループットアッセイに使用して、予期されるリガンド及び断片内のプロドメインとの相互作用を検出することができる。
本発明の形態及び断片の組み換え発現又は産生のために、形態又は断片をコードする核酸分子が、調製され得る。本発明の改変形態又は断片をコードする核酸分子は、遺伝子コードの縮退のため、配列が異なってもよく、又はアミノ酸配列が異なるタンパク質若しくはタンパク質断片をコードするため、配列が異なってもよい。2個以上のかかる核酸分子間のホモのロジー又は配列同一性は、配列類似検索のために適応されているプログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastx(Karlin及びAltschul 1990)及び(Altschul 1993)によって採用されるアルゴリズムを用いて、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって決定される。
BLASTプログラムによって使用されるアプローチは、クエリー配列とデータベース配列との間の類似セグメントを最初に考慮し、次いで、同定された全てのマッチの統計的有意性を評価し、最後に事前に選択された有意性の閾値を満足するマッチを総合するものである。配列データベースの同様の探索における基本的な課題に関係する議論については、(Altschul,Boguski et al.1994)を参照されたい。ヒストグラム、記述、アラインメント、エクスペクト(即ち、データベース配列に対するマッチを報告する統計的有意閾値)、カットオフ、マトリックス、及びフィルタの検索パラメータは、デフォルト設定である。blastp、blastx、tblastn、及びtblastxによって使用されるデフォルト評点マトリックスの考察に関しては、(Henikoff 1992)を参照のこと。
本発明のコード核酸分子又はその断片(即ち、合成オリゴヌクレオチド)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのプローブ又は特異性プライマーとして、又は本発明のタンパク質をコードする遺伝子配列を合成するために使用されるものは、化学技術、例えば、(Matteucci及びCaruthers 1981)のホスホトリエステル法によって、又は自動化合成方法を用いて容易に合成することができる。加えて、より大きいDNAセグメントは、周知の方法、例えば、遺伝子の種々の調節セグメントを画定するオリゴヌクレオチドの群の合成、次いで、完全な改変された遺伝子を構築するためのオリゴヌクレオチドの連結によって容易に調製することができる。
本発明のコード核酸分子は、診断及びプローブの目的のための検出可能な標識を含有するように、更に改変され得る。種々のかかる標識は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載のコード分子と共に容易に採用することができる。好適な標識には、ビオチン、放射能標識ヌクレオチド等が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、標識されたコード核酸分子を得るために、いずれかの当該技術分野で既知の標識を採用することができる。
本発明は、本明細書に記載される、タンパク質又はタンパク質断片に対するコード配列を含有する組み換えDNA分子(rDNA)を更に提供する。本明細書で使用するとき、rDNA分子は、分子操作されたDNA分子である。rDNA分子を生成する方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、(Sambrook,Fritsch et al.1989)を参照されたい。好ましいrDNA分子において、コードDNA配列は、発現制御配列及び/又はベクトル配列に操作可能に連結されている。
本発明のタンパク質コード配列の1つが操作可能に連結されているベクトル及び発現制御配列の選択は、当該技術分野において周知のように、所望の機能的性質(例えば、タンパク質発現、及び形質転換される宿主細胞)に直接に依存する。本発明のベクトルは、宿主染色体内への複製又は挿入、及び好ましくは、rDNA分子中に包含される構造遺伝子の発現も指令することができる。
操作可能に連結されたタンパク質コード配列の発現を制御するために使用される発現制御因子は、当該技術分野において既知であり、誘導可能なプロモータ、構成的プロモータ、分泌シグナル、及び他の制御因子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導可能なプロモータは、例えば、宿主細胞の媒体内の栄養物に応答するように容易に制御される。
本発明は、本発明のタンパク質又はタンパク質断片をコードする核酸分子を用いて形質転換された宿主細胞も更に提供する。宿主細胞は、原核性又は真核性のいずれであってもよい。細胞株が細胞培養方法に適合し、発現ベクトルの増殖及び遺伝子産物の発現に適合する限り、本発明のタンパク質の発現のために有用な真核細胞は限定されない。好ましい真核宿主細胞には、昆虫、酵母、及び哺乳類細胞が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい真核生物宿主細胞としては、ヨウトガ(Sf9又はSf21)昆虫細胞及びヒト胚性腎細胞(HEK細胞)が挙げられる。
本発明の形質転換された宿主細胞は、組み換えタンパク質の産生を可能とする条件下で培養されてもよい。任意に、組み換えタンパク質は、媒体から又は細胞から単離され、タンパク質の回収及び精製は、ある不純物が容認できるような場合によっては、必要ではない場合がある。
特定のアッセイ、例えば、アッセイに必要な試薬と共に任意に包装した上記の核酸分子、タンパク質、タンパク質断片、ベクトル及び/又は宿主細胞のいずれかを用いてキットを調製してもよい。このようなキットにおいて、タンパク質、タンパク質断片又は他の試薬は、固体支持体、例えば、ガラス又はプラスチックビーズに付着させてもよい。
高スループットアッセイ
化合物同定方法は、以下に記載のものを含むが、これらに限定されない、従来の実験アッセイ形式を用いて、又は高スループットアッセイにおいて、実施することができる。
イムノアッセイ
イムノアッセイは、例えば、生物学的液体のような錯体混合物中で、通常は低濃度で特定の生物化学物質の測定のために使用される技術の一群である。アッセイは、それらの相補性抗原に対して特異性及び高い親和性を有する、適切に調製され、選択された抗体に依存する。測定される物質は、必要な場合には、免疫原性巨大分子あるいはハプテン性小分子のいずれかの抗原性でなければならない。各試料に、既知で限定された量の特異性抗体を添加し、多くの場合に、結合:遊離比として表される、それと混合する抗原の割合を、抗体からのシグナルを定量化することによって推定する。定量化は、多くの容易に識別可能な標識を用いて達成され得、ラジオイムノアッセイ(RIA)の放射性同位体、フルオロイムノアッセイ(FIA)の蛍光性分子、スピンイムノアッセイの安定な遊離基、化学発光イムノアッセイ(CLIA)の化学発光分子、免疫金アッセイのコロイド状金粒子、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の酵素が挙げられるが、これらに限定されない、種々の型のアッセイに使用することができる。
通常のイムノアッセイ形式は、ELISAであり、これは、放射能化学の危険及び蛍光検出系の経費を回避する。代わりに、ELISAは、不溶性担持面上に連結され得る抗体(又は抗原)を使用し、次いで、試験溶液中の関連する抗原(又は抗体)を「捕捉」するために使用することに基づく、定量的イムノアッセイの1つの形態である。次いで、抗原−抗体錯体は、捕捉抗原(又は抗体)、又はその後の「検出」抗体(又は抗原)に共有結合され得る適切な酵素の活性を測定することによって検出される。ELISA技術における更なる情報に関しては、例えば、(Crowther 1995)、(Kemeny(編集者)及びChallacombe(編集者)1988)、(Kemeny 1991)、並びに(Ishikawa 1999)を参照のこと。
比色分析
酵素の比色分析アッセイは、多くの場合、比色計を用いて、化合物の標準及び試験量の双方と試薬との反応により発生する色を比較することによって、化合物の濃度又は量を決定する、定量的化学分析方法である。比色計は、目視に又は光電的に色強度又は色強度の差異を測定する装置である。例えば、βガラクトシダーゼ酵素活性による標準的な比色分析は、当業者によく知られており、例えば、(Norton and Coffin 1985)を参照されたい。比色分析は、例えば、標準的な比色βガラクトシダーゼアッセイ(Sambrook,Fritsch et al.1989)において、O−ニトロフェニル−β−D−ガラクト−ピラノシド(ONPG,シグマ)を基質として使用して、細胞可溶化物の精製画分又は未精製画分に実施することができる。米国特許番号(US5733720)に記載されるように、自動化された比色分析アッセイも、β−ガラクトシダーゼ活性の検出に利用可能である。
蛍光アッセイ
酵素によって作用した後、蛍光を発する酵素基質は、一般的に、周知である。このような蛍光基質は、典型的には、例えば、共有化学結合を通して互いに結合する、2つの構成要素を有する。1つの構成要素は、まず光エネルギーを受け入れ、次いで、光エネルギーを発光することによって、蛍光を発することが可能な蛍光分子である。他の構成要素は、2つの構成要素が互いに共有結合する場合、蛍光分子が光エネルギーを受け入れる、又は発光するのを防ぐ実体である。適切な酵素の存在下で、酵素は、2つの構成要素間で共有結合を切断し、蛍光分子が、光エネルギーを受け入れ、発光することを可能にするために、1つの構成要素を他の構成要素から分離する。換言すれば、酵素は、蛍光分子を遊離し、それが蛍光を発するようにする。理想的には、蛍光基質は、水性緩衝液中で可溶性かつ安定性があり、それらに作用する酵素に対して高親和性があり、かつ、酵素作用に強いシグナルを産出すべきである(US5998593A)。
蛍光酵素基質の蛍光構成要素から発光された蛍光を検出する工程は、一般的には、2つの工程において達成される。蛍光分子は、第1に、光エネルギーを励起し、次いで、蛍光構成要素から発光した蛍光を検出する。概して、蛍光分子は、例えば、レーザー又は別の好適な光源からの光エネルギーを用いて励起することができる。蛍光は、蛍光分子によって発光される波長の光エネルギーを検出するように設計される装置を用いて検出される。このような励起及び発光検出システムは、概して、特定の波長範囲で動作するように設計される(US5998593A)。
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)は、TRF(時間分解蛍光法)及びFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)の原理を合わせたものである。この組み合わせは、TRFのもつ、低バックグラウンドであるという利点と、FRETのもつ、アッセイフォーマットが均一であるという利点とを兼ね備える。時間分解蛍光法(TRF)には、ランタニドと呼ばれる希土類金属に特有の性質に関係する利点がある。具体的には、ランタニドは、従来のフルオロフォアと比較してストークシフトが大きく、放出半減期が非常に長い。TRFアッセイで一般的に使用されるランタニドは、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)及びジスプロシウム(Dy)である。ランタニドは、光を吸収しかつ分子内のプロセスを介してランタニドへと放出する有機基と複合体形成する。FRETは2通りのフルオロフォア、すなわちドナー及びアクセプターを使用する。所定の距離内に互いに近接しているならば、エネルギー源によるドナーの励起(例えば、閃光灯又はレーザー蛍光光度計)により、アクセプターへのエネルギー遷移が引き起こされる。次に、アクセプターが所定の波長の光を放出する。このエネルギー遷移をもとに、蛍光標識を有する各パートナーとカップリングさせ、エネルギーの遷移度を検出することにより、生体分子間の分子間相互作用を評価することができる。エネルギー遷移の指標としてより重要なアクセプター放射は、未結合のアッセイ成分から結合成分を分離せずとも検出することができる(Klostermeier and Millar 2001)。
Thermofluor(登録商標)アッセイ
ThermoFluor(登録商標)アッセイは、リガンドの結合親和性を評価する古典的な手法(Pantoliano,Petrella et al.2001)に基づくものである。この手法は一般的なものであり、広範な系に適用することができ、かつ平衡結合定数(すなわち、真のKD値)を介する理論的な解釈に基づく厳密なものである。当該技術は、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(1,8−ANS)等の染料の蛍光強度の変化をモニタリングする。蛍光染料は、水性環境下でクエンチされるが、変性タンパク質の疎水性コアに結合すると直ぐに蛍光性を増加する。
この実験では、安定度は温度の着実な上昇としてモニターされ、動力学又は平衡理論のいずれかにより、高温下で、全体の半分がアンフォールディングなものに遷移するようになる結合リガンドの平衡値を決定し、ΔTmとして記載する。リガンド結合及びタンパク質安定性の両方に関し、平衡定数の関数は、添加したリガンドのΔTmに依存する。更に、タンパク質安定性に対する結合エネルギーの寄与率は、生成物の結合定数及びリガンド濃度により求めることができることから、化合物の結合により生じる結果は、一定の単一濃度のリガンド下でのΔTmの大きさを基に比較することができる。したがって、化合物の力価は、ΔTm値(「スクリーニング」モード)又はKD値(完全な用量反応曲線)のいずれかの順位序列として比較することができる。測定可能なKD値のダイナミックレンジは約200uM〜<10pMであり、解像度は、リガンド溶解度に応じた上限のみに制限される。
3−Dimensional Pharmaceuticalsにより開発されたThermofluor(登録商標)装置で、同種の384ウェルプレート系アッセイを実施する(Pantoliano,Petrella et al.2001;Matulis,Kranz et al.2005)。アッセイ成分は、典型的には、緩衝液中に、リガンドと共に又はリガンドは含有せずに、染料(25〜100μM、典型的には1,8−ANS又はダポキシルスルホンアミド)を添加したタンパク質(1〜5μM)を含有する。アッセイ容量は典型的には2〜4uLであり、適切な384ウェル熱サイクラーアッセイプレートに分注し、蒸発を防ぐため1uLのシリコーンオイルを積層した。アッセイは、384ウェルプレートの温度に周囲温度から高温へと勾配をつけ、温度の漸増に応じた色素蛍光の変化をイメージ化し、CCDカメラによりプレートベースで色素の蛍光を測定するというものである。タンパク質アンフォールディングエネルギー及びリガンド結合エネルギーは、立証されている生物物理学的指針に基づき定量化される。
3次元構造のモデリング
本明細書で提供される原子座標データ、又はホモログなタンパク質に由来する座標データを使用して、プロMMPと、プロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体の3次元モデルを構築することができる。いずれかの利用可能な計算方法を使用して、3次元モデルを構築してもよい。出発点として、プロMMP又はプロMMPホモログの結晶性バージョンにおける分子又は原子の集合体(assemblage)から得たX線回折パターンが、結晶学及びX線回折技術の当業者には周知のツールを用いて、電子密度マップを構築するために使用することができる。次いで、公開された出版物中の回折データ及び/又は補足実験からのいずれかから取り出した追加の位相情報を再構築を完成するために使用してもよい。
電子密度の構築のためのX線回折データを収集、解析、及び利用する基本概念及び手順に関しては、例えば、(Campbell 1984)、(Canto及びSchimmel 1980)、(Brunger 1993)、(Woolfson 1997)、(Drenth 1999)、(Tsirelson及びOzerov 1996)、並びに米国特許US5942428A号、US6037117A号、US5200910A号、及びUS5365456A号を参照されたい。
分子モデル化の基本情報に関しては、例えば、(Schlecht 1998)、(Gans,Amann et al.1996)、(Cohen(編集者)1996)、及び(Smith 1996)を参照のこと。分子モデル化の詳細な情報を提供する米国特許には、米国特許(US4906122A号、US5030103A号、US5583973A号、US5612894A号、US5994503A号、US6071700A号、US6075014A号、US6075123A号、US6080576A号、US6093573A号)を参照されたい。
リガンドを同定及び設計するために原子座標を使用する方法
本明細書に記載の原子座標、又は本明細書に記載のこれらの座標と実質的に同一である若しくはホモログである座標を、任意の利用可能な手法とともに使用して、プロMMPと、プロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体の3次元モデルを構築することができ、並びにプロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子の同定及び設計することができる。このような方法により、当業者による、プロMMPと、プロMMPの活性化を阻害するアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体又はそれらのサブドメインを含む関連する分子の3次元構造の解析及び分子モデリングを可能にする形態で、アミノ酸配列及び/又はX線回折データが提供される。
例えば、3次元モデリングは、本明細書に記載のものなどのX線回折パターンをもとに実験的に求められた座標を使用して実施することもできる。例えば、このようなモデリングとしては、限定するものではないが、実際の構造の描図、実際の構造の物理モデルの構築、並びに座標を用いた関係するサブユニット及びプロMMP:リガンド及びプロMMPサブユニット:リガンド複合体の決定が挙げられる。このような分子モデリングでは、既知のX線回折分子モデリングアルゴリズム又は分子モデリングソフトウェアを利用して、プロMMPとプロMMPの活性化を阻害するリガンドとの複合体の3次元構造に対応する原子座標を生成することができる。
上記のように、分子モデリングは、既知の結晶構造に配列として同定できるように、関連する分子の実際的なモデルを構築するために、計算方法、好ましくはコンピュータ支援方法の使用を含む。分子モデリングは、プロMMPの構造、及び又は既知のリガンド若しくは他の分子と複合体形成したプロMMPの構造から開始して、プロMMPに結合する新規分子をモデリングすることも包含する。リガンドモデル化に利用される方法は、分子グラフィックス(即ち、3D表示)からリガンドの結合若しくはリガンドの活性に関する予測を立てるための計算化学(即ち、物理的及び化学的性質の計算)に、新規のリガンドの設計に、及び化学合成のための薬物のようなリガンドを包含する新規分子の予測に、集合的に合理的薬物設計と呼ばれる方法にまで及ぶ。
理論的薬物設計の1つのアプローチは、活性部位又はアロステリックな結合部位に結合し得る既知の分子構造について探索するというものである。分子モデル化を用いて、合理的薬物設計プログラムは、ある部位内に適合し得る薬物の一連の異なる分子構造を調査でき、どの構造か部位に実際に良く適合するかを決定することができる3次元環境内で移動させることによって、決定することができる。
代替的ではあるが、関連する合理的薬物設計アプローチは、プロMMPと追加的に有利な相互作用を行うために、小分子リガンドとの錯体の既知の構造から出発し、小分子の改変物をモデル化する。
本発明は、プロMMPのアロステリックなプロセシング阻害因子として機能する、小分子リガンドなどのリガンドを、設計及び選別するための分子及びコンピュータモデリング技術を包含する。例えば、本明細書に記載する通り、本発明は、プロMMPに結合し、プロMMPの触媒活性型タンパク質へのプロセシングを阻害するリガンドの設計を包含する。好ましくは、但し、非限定例ではあるが、リガンドはプロMMP9に結合し、プロMMP9の触媒活性型プロMMP9へのプロセシングを阻害する。他の非限定的な実施例では、本発明は、プロMMP9と本発明のアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体の原子座標を使用して、アロステリックなプロセシング阻害因子を設計する方法を提供する。
本発明の原子座標は、プロMMPに対し相互作用をするのに最適の部位を決定して、プロMMPに関係する有望なアロステリックなプロセシング阻害因子を同定するために、各種異なる化学的特徴から構成される異なる分子を有するプロMMPの結晶を探索するのに必要とされる情報も提供する。例えば、溶媒で飽和した結晶から収集した高分解能X線回折データは、溶媒分子の各タイプが粘着する場所の決定を可能にする。次いで、それらの部位に結合する小分子を設計及び合成して、活性を調節する能力に関して試験できる(Travis 1993)。
本発明はまた、プロMMPに全体として又は部分的に結合することができる化学的実体、薬剤、リガンド、又は化合物の小分子データベース及びライブラリをコンピュータ的にスクリーニングするための方法も包含する。このスクリーニングにおいて、結合部位又は部位へのかかる実体又は化合物の適合の質は、形状相補性により、又は推定された相互作用エネルギーのいずれかにより判定され得る(Meng,Shoichet et al.1992)。
本発明に従ってプロMMPに結合する、又はプロMMPの活性化を阻害するリガンドの設計には、2つの因子を検討することが包含される。まず、化合物は物理的及び構造的にプロMMPと会合し得るものでなくてはならない。本明細書に記載の共有相互作用に加え、水素結合、ファンデルワールス及び疎水性相互作用などの非共有分子相互作用は、プロMMPとリガンドとの会合に重要である。第2に、リガンドは、プロMMPとの会合を可能にさせる立体構造を想定することのできるものでなくてはならない。リガンドのある部分は、プロMMPとの会合に直接的に関与し得ないが、これらの部分は、それでも、分子の全体的立体配座に影響することもある。同様に、これは、リガンドの結合親和性、治療効力、薬剤類似品質、及び効力に著しく影響することもある。かかる立体配座の必要条件は、プロMMPの活性部位又は他の領域の全て若しくは一部分と関連するリガンドの全体的3次元構造及び配向、又はプロMMPと直接的に相互作用する数種の化学実体を含む化合物の機能性基の間の間隔を包含する。
プロMMPに結合し、プロMMPの活性化を阻害するリガンドの可能性又は予測される能力は、実際に合成する前に解析し、コンピュータモデリング技術を使用して試験することができる。与えられたリガンドの理論的構造が、それとプロMMPとの間の不十分な相互作用及び会合を示唆する場合には、リガンドの合成及び試験を避けてもよい。しかしながら、コンピュータモデル化が、強い相互作用を示す場合には、分子を合成し、プロMMPと相互作用するその能力に関して試験してもよい。この様式で、作用がないリガンドの合成を避けることができる。他の場合では、モデリングを基に不活性型のリガンドを合成し、プロMMPの特定の領域と相互作用するその他の化合物を設計するのに使用することのできるSAE(構造活性相関)の開発を補助するために試験することができる。
当業者であれば、プロMMPと会合する能力、及びより好ましくは本発明に記載の通りのプロMMPの個々の結合ポケットと会合し得る能力をもとに、リガンドとして使用するための化学物質、断片、化合物、又はその他の剤を選別するためのいくつかの方法のうちのいずれかを使用することができる。非限定例では、プロMMPは、ヒトプロMMP9である。本手法では、例えば、プロMMP又はリガンドと複合体形成しているプロMMPの原子座標をもとにコンピュータスクリーン上でアロステリックな結合部位を確認するなど、目視観察により開始することもできる。選択された化学的実体、化合物、又は剤は、種々の配向で位置決めされるか、又はプロMMPの個別の結合ポケット内にドッキングされてもよい。ドッキングは、限定するものではないが、Accelrys,Inc.,San Diego,CA.から入手可能なQUANTA;Tripos,St.Louis,Missouriから入手可能なSYBYL;次いで、標準分子機構力場を用いるエネルギー最小化及び分子力学、例えば、Accelrys,Inc.,San Diego,CAから入手可能なCHARMm;及びUniversity of California,San FranciscoのAMBERのようなソフトウェアを用いて、実施することができる。
専門のコンピュータプログラムが、化学的実体を選択するプロセス中で支援してもよい。これらには、Oxford University,Oxford,UKから入手可能なGRID(Goodford 1985)、Molecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能なMCSS(Miranker及びKarplus 1991)、Scripps Research Institute,La Jolla,CAから入手可能なAUTODOCK(Goodsell及びOlsen 1990)、及びUniversity of California,San Francisco,Californiaから入手可能なDOCK(Kuntz,Blaney et al.1982)が挙げられるが、これらに限定されない。
種々の官能基特性を有するプローブと巨大分子表面との間の可能性がある相互作用部位を決定するプログラムであるGRIDのようなソフトウェアの使用は、類似の阻害性タンパク質又は化合物の構造を決定するために表面部位を解析するために使用される。プローブとして分子上の適当な阻害剤の基(例えば、プロトン化一級アミン)を使用するGRID計算は、好適なエネルギー等高線レベルで接近可能な位置の周囲の電位ホットスポットを同定するために使用される。プログラムDOCKは、活性部位又はリガンド結合部位を解析し、相補的立体性質を有するリガンドを示唆するために使用され得る。
好適な化学物質、化合物、又は剤を有望なリガンドとして選別したならば、これらを単一のリガンド、化合物、アンタゴニスト(阻害因子)アゴニスト(活性化因子)、又はインバースアゴニストへと組み立てることができる。アセンブリは、3次元イメージ上で互いに断片の関係を目視検査して進めてもよい。これは、QUANTA又はSYBYLのようなソフトウェアを用いて手作業のモデル構築により続けてもよい。
個別の化学的実体、化合物、又は薬剤の接続を支援するために有用なプログラムとしては、CAVEAT(Bartlett,Shea et al.1989);MDL Information Systems,San Leandro,CAから入手可能なMACCS−3D等の3Dデータベースシステム(Martin 1992);及びMolecular Simulations,Burlington,Massachusettsから入手可能なHOOKが挙げられるがこれらに限定されない。
ファーマコフォア(pharmacophore)仮説を試験し、スクリーニングのための化合物を選択する3次元データベースを検索する数種の方法が利用可能である。これらには、プログラムCAVEAT(Bacon及びMoult 1992)が包含される。例えば、CAVEATは、すでに活性部位に位置付けられるいずれかの数の化学的断片を接続するための「スペーサー」として機能し得る環状化合物のデータベースを使用する。これにより、当業者は、緊密な結合に必要と既知又は予想される断片を接続する数百の可能な方法を迅速に生み出すことが可能である。
上記のように、プロMMPのアロステリックなプロセシング阻害因子を1回の1つの化学的実体という段階方法により構築を行なう代わりに、このようなリガンドは、空いた結合部位を用いて、あるいは所望により既知の分子のある部分を含むかのいずれかで、全体として、又は「新規に」設計され得る。これらの方法は、Biosym Technologies,San Diego,CAから入手可能なLUDI(Bohm 1992)、Molecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能なLEGEND(Nishibata及びItai 1991)、及びTripos Associates,St.Louis,Mo,.USAから入手可能なLeapFrogを包含する。
例えば、プログラムLUDIは、その中に水素結合及び疎水性断片の両方が位置する相互作用部位の表を決定することができる。次いで、LUDIは、4つの異なる相互作用部位を断片に接続するリンカーのライブラリを使用する。次いで、より小さい「架橋」基、例えば、−CH2−及び−COO−がこれらの断片を接続するために使用される。例えば、酵素DHFRに対して、周知の阻害剤メトトレキセート(methotrexate)内の鍵となる官能基の配置がLUDIにより再作成された。例えば、(Rotstein及びMurcko 1993)も参照のこと。
他の分子モデル化技術も本発明に従って使用してもよい。例えば、(Cohen,Blaney et al.1990)を参照されたい。例えば、(Navia及びMurcko 1992)も参照のこと。
上記の方法により、リガンドが設計されるか又は選択されると、リガンドがプロMMPと結合又は会合し得る親和性は、計算的評価により、及び/又は化合物を合成した後の生物学的活性の試験により試験及び最適化され得る。リガンドは、全体的結合エネルギーが類似する1つ以上の立体配座でプロMMPと相互作用し得る。そのような場合、結合の変形エネルギーは、遊離リガンドのエネルギーと、リガンドがプロMMPに結合した場合に観察される立体配座の平均エネルギーとの差であると考えられる。
プロMMPを結合又は会合するように設計又は選択されたリガンドは、その結合状態において、好ましくはプロMMPとの反発静電相互作用が失われるように計算により更に最適化され得る。このような非相補性(例えば、静電性)相互作用は、反発性電荷−電荷、双極子−双極子、及び電荷−双極子相互作用を包含する。具体的には、リガンドが結合する場合の化合物とプロMMPとの間の全ての静電気相互作用の和は、好ましくは、結合エンタルピーに対して中立又は有利な寄与となる。弱い結合性化合物はまた、SARを決定するためにこれらの方法によっても設計され得る。
特定のコンピュータソフトウェアが、化合物変形エネルギー及び静電相互作用を評価するめに当該技術分野において利用可能である。かかる使用のために設計されたプログラムの例には、Gaussian 92、改訂C(Frisch,Trucks et al.1992)、AMBER、University of California,San Francisco、Accelrys,Inc.,San Diego,CAから入手可能なQUANTA及びCHARMm、並びにBiosysm Technologies Inc.,San Diego,CA,USAから入手可能なInsight II/Discoverを包含される。他のハードウェアシステム及びソフトウェアパッケージは、当業者には公知であろう。
上記のように、プロMMPと会合するリガンドが最適に選択又は設計されると、その結合特性を改善又は変更するために、その原子又は側基の幾つかで置換を行い得る。一般的に、最初の置換は、保存的、即ち、置換基が当初の基とほぼ同じ大きさ、形状、疎水性、及び電荷を有する。当然ながら、立体配座を改変すると、当該技術分野において既知の構成成分は、回避されることが理解されるべきである。このような置換されたリガンドは、上記に詳述した同一の計算機的方法によりプロMMPへの適合の効率を解析され得る。
リガンドを設計する際の構造ホモロジーモデリングの使用
本発明は、アロステリックなプロセシング阻害因子を設計するために、原子座標並びにプロMMP及びアロステリックなプロセシング阻害因子と複合体形成しているプロMMPの構造を使用して、プロMMPと又はプロMMPに関係する他のタンパク質とより緊密に結合する又はより特異的に相互作用するリガンド及びそれらの誘導体が得られるような改変の設計を開始することを包含する。プロMMPと出発リガンドとの錯体の構造は、適用できる工業界及び他の使用物(例えば、医薬品)のための他の所望の性質、例えば、化学的安定性、溶解度、又は膜透過性を有する新規リガンドを作製するために、そのリガンドの改変を誘導するために使用することができる(Lipinski,Lombardo et al.1997)。
X線回折データを収集するために、プロMMPの安定的な結晶に当該技術分野で既知及び未知のリガンドを拡散させて、又は浸漬して、複合体を形成させることもできる。あるいは、当該技術分野で既知及び未知のリガンドは、結晶化の前にリガンドとプロMMPを混合することにより、プロMMPと共結晶化させることもできる。非限定例では、プロMMPは、ヒトプロMMP9である。
親和性が高く非常に特異的な化合物をあつらえて製造するにあたって、アロステリックなプロセシング阻害因子と複合体形成させた本発明のヒトプロMMP9の構造を、対象とするものとは異なる選別されたプロMMP分子の構造と比較することができ、並びに対象とするものとは異なるプロMMP分子の構造を変更させて、本発明において提供されるアロステリックな結合部位に記載される構造上の特徴をもたせることにより、ハイブリッド構造を構築することができる。このモデル化が達成されるプロセスは、ホモロジー構造モデル化と称される。このモデル化は、本発明の既知の構造から側鎖を除去し、それらを、側鎖が立体的に妥当な位置に配置されるよう対象とするものとは異なるプロMMP分子の側鎖により体系的に置換することにより、計算的に行うことができる。このように、標的及び非標的分子の結合部位の空隙の形状がいかに異なるかを理解することができる。したがって、このプロセスは、所望の標的分子に緊密に、かつ特異的に結合し得るが、同時に非標的分子への結合が立体的に阻止され得る化合物を作製するために、結合リガンドをいかに化学的に改変することができるかに関する情報を提供する。同様に、溶媒に面する結合リガンドの部分の知識は、追加の製薬学的目的のための他の官能基の導入を可能とするであろう。非標的酵素に対するよりも更に緊密に標的酵素に緊密に結合するリガンドを設計するためのホモロジー構造モデル化の使用は、広範な適用性を有する。詳細には、非限定例では、ホモロジー構造モデリングは、ヒトプロMMP9などの対象とするプロMMPに対し高親和性を有する化合物の設計に適用することができる。
データベース及びコンピュータシステム
プロMMP又はその一部分のコンピュータの分子モデル化に有用なプロMMPのアミノ酸配列若しくはヌクレオチド配列及び/又はX線回折データは、その使用を容易にするために種々の媒体中で提供され得る。本実施形態の一適用法では、プロMMPとアロステリックなプロセシング阻害因子との複合体、あるいはそれらの少なくとも1つのプロMMPサブドメインのX線回折データに属するデータを含むデータベースは、コンピュータ可読の媒体に記録される。当業者は、いずれかの現在公知のコンピュータ読み取り可能な媒体が、本発明のアミノ酸配列及び/又はX線回折データをその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を含む製品を創成するために、どのようにして使用することができるかを容易に理解することができる。
種々のデータ記憶構造は、本発明のアミノ酸配列及び/又は原子座標/X線回折データをその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を創成するために、当業者により利用可能である。データ記憶構造の選択は、概して、記憶された情報へのアクセスに選択される手段に基づくであろう。加えて、種々のデータ処理プログラム及びフォーマットを使用して、コンピュータ読み取り可能な媒体上の本発明の配列及びX線回折データ情報を記憶することができる。配列情報は、市販のソフトウェア、例えば、WordPerfect及びMICROSOFT Word中にフォーマットされたワード処理テキストファイルで表されるか、又はASCIIファイルの形態で表され、データベースアプリケーション、例えば、DB2、Sybase、Oracle等内に記憶することができる。本発明の情報をその上に記録しているコンピュータ読み取り可能な媒体を取得するために、当業者は、容易にデータ処理構造フォーマット(例えば、テキストファイル又はデータベース)の幾つかを適合させることができる。
X線回折データに基づく配列及び/又は原子座標を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することにより、当業者は、関連する分子、サブドメイン、擬似体、又はそのリガンドをモデル化するために配列及び原子座標又はX線回折データに日常的にアクセスすることができる。コンピュータアルゴリズムは、公的かつ商業的に利用可能であり、当業者が、コンピュータ読み取り可能な媒体中に提供されるこのデータにアクセスし、分子モデル化及び/又はRDD(合理的薬物設計)のためにそれを解析することを可能にする。例えば、(Mary Ann Liebert(Publishers)1995)を参照のこと。
本発明は、本明細書中に記載の配列及び/又は回折データを含む、システム、具体的には、コンピュータベースのシステムを更に提供する。このようなシステムを設計して、プロMMPの活性化を阻害するリガンドとプロMMPとの複合体、又はそれらの少なくとも1つのサブドメインなどの情報を利用し、構造決定及び理論的薬物設計(RDD)を行う。限定されない例は、UNIX系ソフトウェア、Windows NT又はIBM OS/2オペレーティングシステムで機能するSilicon Graphics Incorporated及びSun Microsystemsから入手可能なマイクロコンピュータワークステーションである。
種々の比較手段がまた、原子座標/X線回折データから一部誘導された構造モチーフ又は電子密度マップを同定するために、標的配列若しくは標的モチーフとデータ記憶手段とを比較するために使用することができる。当業者は、公的に利用可能なコンピュータモデル化プログラムのいずれか1つが、本発明のコンピュータベースのシステムのための検索手段として使用することができることを容易に認めることができる。
本発明を利用する総合手順
本発明により、プロMMPの活性化を阻害するリガンドの、合理的薬物設計(RDD)用分子モデリングが提供される。上記のように、薬物設計パラダイムでは、コンピュータモデリングプログラムを使用して、タンパク質上の部位と相互作用することが期待される有望なリガンドを決定する。次いで、有望なリガンドを、活性及び/又は結合及び/又は相互作用に関してスクリーニングする。プロMMPに関係するリガンドのスクリーニング方法は、MMPの少なくとも1つの生物活性に関係するアッセイから選択することができる。
したがって、本発明により提供されるツール及び方法論は、所望の様式において、標的と結合するリガンドを同定及び設計するための手順中に使用され得る。このような手順は、反復プロセスを利用し、これによって、リガンドが合成、試験、及び特徴付けられる。新規のリガンドは、最初のリガンドの試験及び特性付けで得られた情報に基づいて設計でき、次いで、このような新規に同定されたリガンドは、それ自体を試験及び特徴付けすることができる。この一連のプロセスは、所望の結合性質を有するリガンドが得られるまで、必要に応じて何回も反復され得る。
本発明は、本発明の選択された化合物中の構造非対称の結果として生じる、立体異性体、並びに光学異性体、例えば、鏡像異性体の混合物並びに個別の鏡像異性体及びジアステレオマーを包含することを企画すると理解されるべきである。
本明細書中の方法によって開示又は発見されたリガンドの幾つかは、1個以上の不斉中心を含有してもよく、それ故に、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じる。本発明はまた、全てのこのような可能な形態、並びにそれらのラセミ及び分割された形態及びこれらの混合物を包含することを意味する。本明細書中に記載又は発見されたリガンドが、オレフィン性二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含有する場合、別途に特定しない限り、それはE及びZ幾何異性体を包含することを意図する。全ての互変異性体も同様に本発明に包含されることを意図する。
更に説明しなくても、当業者は、上記の記述及び下記の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を作製及び使用し、特許請求する方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を特異的に指摘するものであって、本開示の残部をいかようにも限定するものと解釈されない。
化合物例
(実施例1):N−[2−(2−メトキシ−フェニルアミノ)−4’−メチル−[4,5’]ビチアゾリル−2’−イル]−アセトアミド)
Figure 2014533094
実施例1は、ChemBridgeにより市販の化合物である。
実施例2:3−(2’,4’−ジメチル−[4,5’]ビチアゾリル−2−イルアミノ)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド・HBr
Figure 2014533094
実施例2:工程a
2−ブロモ−1−(2,4−ジメチル−チアゾール−5−イル)−エタノン・HBr
Figure 2014533094
臭素(11.9mL、231.5mmol)の1,4−ジオキサン(200mL)懸濁液を、1−(2,4−ジメチル−チアゾール−5−イル)−エタノン(28.75g、185.2mmol、Alfa)の1,4−ジオキサン(200mL)撹拌溶液に加えた。混合物を50℃で25時間撹拌し、得られたクリーム色の懸濁液を室温に冷却し、濾過し、2:1ヘプタン:EtOAc(体積/体積)により洗浄した。EtOHから再結晶化させて、白色粉末として表題化合物を得た。
実施例2:工程b
4−フルオロ−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド
Figure 2014533094
J.Med.Chem.2006,49,1173に記載の手順に従い、市販の2−フルオロニトロベンゼン(10.00g、70.87mmol)及びクロロスルホン酸(21mL)を加熱して、95℃で18時間還流した後、室温に冷却した。次に、この溶液を、iPrOH(225mL)と濃NH4OH(54mL)水溶液とからなる溶液に−35℃にて1時間かけて滴加し、0.5時間撹拌した。溶液を−35℃に維持しつつ、pHが酸性になるまで濃HCl水溶液を添加した。次に溶液を蒸発させてiPrOHをある程度除去し、水を加え、溶液を再度蒸発させてほとんどのiPrOHを除去した。更に水を加えて溶液を濾過し、固体を1N HCl水溶液及び水で洗浄し、表題化合物を得た。
実施例2:工程c
4−イソプロポキシ−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド
Figure 2014533094
イソプロパノール(225mL)及びナトリウム金属(1.92g,83.6mmol)小片を加熱して2.5時間還流し、ナトリウムを消費させた。得られた溶液には、加熱を続けたまま4−フルオロ−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(8.37g、38.0mmol、実施例2、工程b)のTHF/iPrOH(1/1、体積/体積、150mL)溶液を10分かけて加え、室温で3.5時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc及びブライン及び1N HCl水溶液に分配した。次に有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、蒸発させて、表題化合物を得た。
実施例2:工程d
3−アミノ−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド
Figure 2014533094
水素化ホウ素ナトリウム(1.88g、49.6mmol)を、0℃にて塩化ニッケル(II)六水和物(3.93g、16.5mmol)のメタノール溶液(60mL)にゆっくりと加え、得られた黒色懸濁液を23℃で30分撹拌した。混合物を0℃に冷却し、4−イソプロポキシ−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(8.6g、33.0mmol、実施例2、工程c)と、続いて水素化ホウ素ナトリウム(4.38g、115.6mmol)とを加えた。得られた黒色懸濁液を23℃で30分撹拌した。反応混合物に水を加えて過剰なNaBH4をクエンチした後、NaHCO3飽和水溶液を添加した。生成物をジクロロメタンで抽出し、有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、蒸発させて、表題化合物を得た。
実施例2:工程e
4−イソプロポキシ−3−イソチオシアナト−ベンゼンスルホンアミド
Figure 2014533094
重炭酸ナトリウム(16.8g、199.5mmol)の水溶液(400mL)を、3−アミノ−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド(15.3g、66.5mmol、実施例2、工程d)のクロロホルム水溶液(クロロホルム及び水各200mL)に加えた。次にチオホスゲン(6.37mL、83.1mmol)を加えた。二相溶液を室温で1.5時間撹拌した。相を分離させ、水相をCH2Cl2で抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮して、黄褐色の固体として表題の粗生成物を得た。
実施例2:工程f
4−イソプロポキシ−3−チオウレイド−ベンゼンスルホンアミド
Figure 2014533094
4−イソプロポキシ−3−イソチオシアナト−ベンゼンスルホンアミド(17.8g、65.2mmol、実施例2、工程e)の粗生成物を、2MアンモニアMeOH溶液(250mL)で処理し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。次に、反応混合物を約半量に濃縮させて、黄褐色の固体が大量に沈殿させた。懸濁液を0℃で30分冷却し、濾過した。固体をメタノール及びエーテルで洗浄し、クリーム色の固体として表題化合物を得た。
(実施例2)
3−(2’,4’−ジメチル−[4,5’]ビチアゾリル−2−イルアミノ)−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド・HBr
Figure 2014533094
2−ブロモ−1−(2,4−ジメチル−チアゾール−5−イル)−エタノン・HBr(1.07g、3.39mmol、実施例2、工程a)及び4−イソプロポキシ−3−チオウレイド−ベンゼンスルホンアミド(0.98g、3.39mmol、実施例2、工程f)のエタノール(15mL)混合物を室温で2日間撹拌した。混合物を濾過し、冷EtOHで洗浄し、風乾させて、白色粉末として表題化合物を得た。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 9.67(s,1H),9.00(d,J=2.26Hz,1H),7.43(dd,J=2.07,8.48Hz,1H),7.21(d,J=8.67Hz,1H),7.14(br.s.,2H),7.07(s,1H),4.80(sept,J=6.03Hz,1H),2.65(s,3H),1.36(d,J=6.03Hz,6H);MS m/e 425.1(M+H)。
実施例3:3−(2’−アミノ−4’−メチル−[4,5’]ビチアゾリル−2−イルアミノ)−4−メトキシ−ベンズアミド・HBr
Figure 2014533094
実施例3:工程a
1−(2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−イル)2−ブロモ−エタノン
Figure 2014533094
国際公開第2005/068444号に記載の通りに1−(2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−イル)−2−ブロモ−エタノン・HBrを調製した。対応する遊離塩基を変換させるために、粗反応混合物を氷冷飽和NaHCO3水溶液にゆっくりと加えた。真空濾過により沈殿を回収し、Et2Oで洗浄した。EtOHから粗生成物を再結晶化し、オレンジ色の粉末として表題化合物を得た。
実施例3:工程b
4−メトキシ−3−チオウレイド−ベンズアミド
Figure 2014533094
還流下で3−アミノ−4−メトキシベンズアミド(2.49g、15.0mmol、Alfa)のアセトン(30mL)溶液にベンゾイルイソイオシアナート(2.22mL、16.5mmol)を加え、還流下で混合物を30分撹拌した後、水に注いだ。真空濾過により沈殿を回収し、10% NaOH水溶液(15mL)で処理した。混合物を加熱して40分還流し、室温に冷却し、氷を加えた6N HCl水溶液に注ぎ入れた。濃NH4OH水溶液により、混合物をpH 10へと塩基性化し、得られる白色固体沈殿物を真空濾過により回収し、粗表題化合物を得て、これを更に精製することなく使用した。
(実施例3)
3−(2’−アミノ−4’−メチル−[4,5’]ビチアゾリル−2−イルアミノ)−4−メトキシ−ベンズアミド・HBr
Figure 2014533094
1−(2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−イル)−2−ブロモ−エタノン(270mg、1.15mmol、実施例3、工程a)及び4−メトキシ−3−チオウレイド−ベンズアミド(259mg、1.15mmol、実施例3、工程b)と、エタノール(5mL)との混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を濾過し、EtOHで洗浄し、風乾した。EtOH水溶液から粗生成物を再結晶化させた。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.82(s,1H),9.25(br.s.,2H),8.79(s,1H),7.80(br.s.,1H),7.57(d,J=7.9Hz,1H),7.00〜7.17(m,3H),3.92(s,3H),2.45(s,3H).MS m/e 362.1(M+H)。
実施例4:(4−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(6−メチル−6H−イミダゾ[4’,5’:3,4]ベンゾ[2,1−d]チアゾール−2−イル)−アミン・TFA
Figure 2014533094
実施例4:工程a
3−イソチオシアナト−4−メトキシ−ピリジン
Figure 2014533094
4℃で撹拌しながら、3−アミノ−4−メトキシピリジン(2.01g、16.2mmol)及びNaHCO3(4.08g、48.6mmol)と、CHCl3水溶液(1:1,50mL)とからなる混合物に、チオホスゲン(1.5mL、19.6mmol)を滴加した。添加終了後、アイスバスを取り外した。混合物を4時間撹拌し、有機層を分離させ、水相をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色固体として表題化合物を得た。
実施例4:工程b
1−(4−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−チオ尿素
Figure 2014533094
4−アミノ−1−メチルベンゾイミダゾール(0.100g、0.679mmol)及び3−イソチオシアナト−4−メトキシ−ピリジン(0.113mg、0.680mmol、実施例4、工程a)とDMFの混合物を室温で64時間撹拌した。DMFを真空下で除去後、残渣を水で処理した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて表題化合物を表題化合物の第一画分を得た。ろ液を濃縮し、油性の茶色残渣を真空下で乾燥し、表題化合物の第二画分を得た。
(実施例4)
(4−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(6−メチル−6H−イミダゾ[4’,5’:3,4]ベンゾ[2,1−d]チアゾール−2−イル)−アミン・TFA
Figure 2014533094
1−(4−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−チオ尿素(213mg、0.68mmol、実施例4、工程b)の酢酸(1mL)溶液を、0.50M Br2(1.09mL、0.544mmol)の酢酸溶液により一晩処理する。真空下でHOAcを蒸発させた後、CF3CO2Hを加え、次に真空下で除去した。残渣を少量のDMSOに溶解させ、水/アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸により溶出を行ってHPLCを実施し、茶色固体として表題化合物を得た。1H NMR(400MHz,MeOH−d4)δ=10.47(d,J=1.0Hz,1H),9.41(s,1H),8.50(dd,J=1.2,6.6Hz,1H),7.99(d,J=8.8Hz,1H),7.71(d,J=8.8Hz,1H),7.66(d,J=6.6Hz,1H),4.30(s,3H),4.19(s,3H);MS m/e 312(M+H)。
クローン化、発現及び精製
ヒトプロMMP9のクローン化
全てのヒトプロMMP9コンストラクトのアミノ酸付番は、UniProtKB/Swiss−Prot P14780の、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)に基づくものであった。1つのコンストラクト、プロMMP9(20〜445)(配列番号2)は、既に公開されている結晶構造に基づくものである(Elkins,Ho et al.2002)。コンストラクトは、N末端のシグナルペプチドを欠損しており、かつC末端のヘモペキシン様ドメインも欠損している。N端末の短縮されたコンストラクトは、既に報告されているプロMMP9構造において最初に観察され得る電子密度及び単一のアミノ酸をC末端から除去して、プロMMP9(29〜444)(配列番号3)を精製した後でN末端が短縮されるようにも設計した。3つのフィブロネクチンII型ドメイン(ΔFnII)、すなわちアミノ酸216〜390を除いた、他の短縮型コンストラクトも合成した。ΔFnIIコンストラクトはプロMMP9(29〜444;ΔFnII)(配列番号4)、プロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)及びプロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)であった。FnIIドメインをもたないプロMMP9タンパク質による結合試験により、化合物が、野生型タンパク質と比較して類似する親和性で結合することが示された(データ不掲載)。
FnIIドメインを欠失したプロMMP9(29〜444;ΔFnII)(配列番号4)、プロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)及びプロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)のコンストラクトを作製するために、異なる短縮型プロMMP9をコードしているプラスミドをテンプレートとして使用してPCRを行い、それぞれ第29〜215/391〜444、67〜215/391〜444、及び20〜215/391〜445番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸対に対応するDNA断片を2つ作製した。オーバーラッピングPCRを使用して、断片を連結させた。5’プライマーはNde1部位及び開始メチオニンを有し、3’プライマーは終止コドン及びBgl2部位を有した。最終的なPCR産物をTOPO TAクローニングベクター(インビトロジェン)にクローン化し、配列を確認した。続いて、Nde1及びBgl2によりベクターを消化し、配列をT7発現ベクターpET11a(Novagen)のNde1及びBamH1部位にサブクローニングした。
短縮型ヒトプロMMP9の発現
大腸菌での発現に際し、全ての短縮型プロMMP9コンストラクトをBL21(DE3)RIL細胞(Stratagene)に形質転換させた。グリセロールストックから起こした細胞を、220rpmで振盪しながら37℃下でLB+アンピシリン(100μg/mL)により一晩培養した。一晩培養物をLB+アンピシリン(100ug/mL)で1:100継代し、220rpmで振盪しながら37℃下で維持した。ODが0.6に到達するまで、サンプルを回収し、A600測定値をモニターした。1mM IPTGにより培養物に発現誘導を行い、記載の増殖条件下で維持した。発現誘導から3時間後に6000×gで10分遠心し、培養物を回収した。プロテアーゼ阻害因子を添加した1X PBSでペレットを洗浄し、−80℃で保管した。
短縮型ヒトプロMMP9の精製
大腸菌から短縮型プロMMP9タンパク質を精製するため、細胞ペレットを、25mM Na2HPO4(pH 7)、150mM NaCl、10mL/g細胞ペレットに懸濁した。細胞をダウンス型ホモジナイザーで均質化し、次にマイクロフルダイザー(Microfluidics International Corporation,M−110Y型)により2回処理した。可溶化液を4℃下で、32,000×gで45分遠心分離した。上清を廃棄した。ペレットを25mM Na2HPO4(pH 7)、150mM NaCl、10mM DTT、1mM EDTA、10mL/g細胞ペレットに懸濁した。ペレットをダウンス型ホモジナイザーで均質化し、次に32,000×gで4℃で45分遠心分離した。上清を廃棄した。ペレットを7M尿素、25mMトリス(pH 7.5)、10mM DTT、1mM EDTA、6.5mL/g細胞ペレットに懸濁し、次にダウンス型ホモジナイザーで可溶化し、周囲温度で約16時間撹拌した。可溶化したタンパク質溶液をpH 7.5に調整し、45,000×gで4℃で45分遠心分離し、変性したプロMMP9を含有している上清を0.8マイクロメートルに濾過した。製造元の指示に従い、緩衝液A(7M尿素、25mM Tris(pH 7.5))、及び緩衝液B(7M尿素、25mM Tris(pH 7.5)、1.0M NaCl)を使用し、5mL HiTrap Q Sepharose HPカラム(GE Healthcare)を用意した。流速2.5mL/分でタンパク質溶液をHiTrapにかけた。ベースライン吸光度が約3.5CVになるまで緩衝液Aでカラムを洗浄した。プロMMP9は、0%緩衝液B〜12%緩衝液Bの直線勾配で溶出させた(12CV)。画分を回収し、SDS−PAGE(Novex)で解析し、純度に基づいてプールした。プールしたタンパク質を、溶液(20mM Tris(pH 7.5)、200mM NaCl、5mM CaCl2、1mM ZnCl2、0.7M L−アルギニン、10mM還元型及び1mM酸化型グルタチオン)に滴加し、周囲温度で撹拌して再生し、4℃で約16時間撹拌した。リフォールディングさせたタンパク質を、10,000MWCOメンブレンを取り付けたJumbo Sep遠心濃縮機(Pall)により約2.5mg/mLに濃縮した。濃縮したタンパク質溶液を、20mM Tris(pH 7.5)/150mM NaClに対して4℃で約16時間透析した。透析したタンパク質溶液を前述同様に0.8マイクロメートルに濾過して清澄化し、4℃で45,000×gで15分遠心分離し、0.2マイクロメートルに濾過し、2mg/mLに濃縮した。濃縮したタンパク質を、20mM Tris(pH 7.5)/200mM NaClで平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 200カラム(GE Healthcare)で精製した。画分をSDS−PAGEにより解析し、純度に基づいてプールした。プールしたタンパク質を前述同様にJumbo Sep濃縮器で濃縮し、4℃で16,000×gで10分間遠心分離した。バイオラッド・プロテインアッセイ(バイオラッドラボラトリーズ,Inc.)を使用し、標準としてウシ血清アルブミンを用いタンパク質濃度を測定した。上清を小分けし、液体窒素中で凍結させ、−80℃で保存した。
完全長ヒトプロMMP9
pcDNA3.1発現ベクターを使用して、HEK293細胞又はCOS−1細胞において、完全長プロMMP9(1〜707)(配列番号1)を分泌タンパク質として発現させた。HEK293細胞又はCOS−1細胞において分泌タンパク質として発現させた場合、シグナルペプチド、すなわち完全長プロMMP9(1〜707)(配列番号1)のアミノ酸1〜19は同時翻訳により除去する。最終的に精製されるプロMMP9(1〜707)(配列番号1)タンパク質はシグナルペプチドを欠損している。
プロMMP9(1〜707)(配列番号1)コンストラクトにより形質転換を行う前に、HEK293細胞は最終濃度0.1%でpluronic acid(F−68)を添加した無血清培地(Freestyle 293)による懸濁培養に順応させた(振盪フラスコ)。細胞密度が1.2×106個/mLに達したならば、細胞には、標準法を用い一過性形質転換を行った。接着細胞培養物及び無血清培地を入れたフラスコで、COS−1細胞の一過性トランスフェクトを行った。HEK293及びCOS−1細胞の両方で、プロMMP9(1〜707)(配列番号1)タンパク質を精製するために馴化培地を回収した。最終濃度が50mMになるよう、1.0M HEPES(pH 7.5)を9L馴化培地に加えた。10,000MWCO(GEヘルスケア)中空繊維カートリッジを取り付けたKvicklab濃縮器により、培地を600mLに濃縮させた。この濃縮液を、4℃にて6,000×gで15分間遠心分離して清澄化し、次に10,000MWCO膜を用いJumbo Sep延伸濃縮器(Pall)により更に400mLに濃縮した。濃縮したタンパク質を、50mM HEPES(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij 35に対し4℃で一晩透析した後、新しい透析緩衝液で更に数時間4℃にて透析を続けた。透析したタンパク質を、4℃にて6,000×gで15分間遠心分離し、0.45マイクロメートルで濾過した。直径2.5cmのEconoカラム(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ)中で、12mLゼラチンセファロース4B樹脂(GEヘルスケア)を50mM HEPES(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij 35で平衡化した。平衡化したゼラチンセファロース樹脂上に、重力流が約3mL/分になるよう、濾過したタンパク質溶液を充填した。樹脂を10CV 50mM HEPES(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij 35で洗浄し、30mL 50mM HEPES(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij 35、10% DMSOで溶出し、5mL画分で回収した。A280吸光度によりタンパク質を含有していることが確認された画分を、4℃にて一晩、画分の体積の500倍量の50mM HEPES(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij 35に対して透析した。2回新しい緩衝液と交換しつつ、更に24時間透析を続けた。透析した画分をSDS−PAGEで解析し、純度に基づきプールした。プールしたタンパク質を、10,000MWCOメンブレンを取り付けたJumbo Sep遠心濃縮機(Pall)により約1.2mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度は、DC(商標)タンパク質アッセイ(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ.)により測定した。タンパク質を小分けし、液体窒素中で凍結させ、−80℃で保存した。
完全長ラットプロMMP9
完全長ラットプロMMP9コンストラクトのアミノ酸付番は、UniProtKB/Swiss−Prot P50282の、完全長のラットマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜708)(配列番号11)に基づくものであった。完全長ラットプロMMP9は、完全長ヒトプロMMP9についての記載と同様の方法により産生した。手短に述べると、pcDNA3.1発現ベクターを使用して、HEK293細胞において、完全長ラットプロMMP9(1〜708)(配列番号11)を分泌タンパク質として発現させた。HEK293細胞において発現させて培地に分泌させた場合、シグナルペプチドは同時翻訳により除去し、よって最終的な完全長ラットプロMMP9(1〜708)(配列番号11)タンパク質の精製品は、シグナルペプチドを欠損している。
ヒトプロMMP13
プロMMP13配列は、UniProtKB/Swiss−Prot P45452、すなわちプロMMP13(1〜268)(配列番号7)のアミノ酸1〜268であった。発現コンストラクトには、インビトロジェンGatewayシステムで使用するための、C末端Tev切断配列に隣接する組み換え配列を含有させた。インビトロジェンGateway組み換え試薬を用い、エントリーベクターにコンストラクトを組み込んだ。得られたコンストラクトを、C末端6Xヒスチジンタグを含有させたHEK293発現ベクターに移入させた。HEK293細胞を利用し、一過性トランスフェクトによりタンパク質を発現させ、培地に分泌させた。HEK293細胞において発現させ、培地に分泌させた場合、シグナルペプチド、すなわちプロMMP13(1〜268)(配列番号7)のアミノ酸1〜19は同時翻訳により除去する。最終的に精製されるプロMMP13(1〜268)(配列番号7)タンパク質はシグナルペプチドを欠損している。HEK293培地を回収し、遠心分離した。培地をGEヘルスケアのHisTrap FFカラムに充填し、緩衝液A(20mM Tris(pH 7.5)、200mM NaCl、2mM CaCl2、10mMイミダゾール)で洗浄し、緩衝液B(20mM Tris(pH 7.5)、200mM NaCl、2mM CaCl2 200mMイミダゾール)で溶出した。溶出したタンパク質を、緩衝液C(20mM HEPES(pH 7.4)、100mM NaCl、0.5mM CaCl2)で平衡化したSuperdex 200カラムに充填した。プロMMP13(1〜268)(配列番号7)を含有している画分をプールし、2mg/mL超に濃縮した。
ヒト触媒型MMP3
触媒型MMP3は、UniProtKB/Swiss−Prot P08254の、ヒトMMP3の第100番目〜第265番目のアミノ酸である(MMP3(100〜265)(配列番号8))。対応するヌクレオチド配列をpET28bベクターにサブクローン化してC末端6Xヒスチジンタグを付加し、大腸菌による発現にこのコンストラクトを使用した。標準的手法により、4.5M尿素により可溶化した封入体から純度95%超でタンパク質を精製した。精製タンパク質のアリコートを−70℃で保存した。組み換え型ヒト触媒型MMP3の精製品は、市販品を利用することもできる(例えば、Calbiochem(登録商標),444217)。
生物学的アッセイ
ThermoFluor(登録商標)アッセイ
一般化されたThermoFluor(登録商標)法
ThermoFluor(登録商標)(TF)アッセイは、タンパク質の熱安定性を測定する、384ウェルプレート系結合アッセイである(Pantoliano,Petrella et al.2001;Matulis,Kranz et al.2005)。この実験は、Johnson & Johnson Pharmaceutical Research & Development,LLCから販売されている機器を使用して実施した。全ての実験において、1,8−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(1,8−ANS)(インビトロジェン:A−47)をTF色素として使用した。
予め分注したプレートにおいて、化合物を100% DMSOで段階希釈して、一連の11本のカラムに配置した(Greiner Bio−one:781280)。カラム12及び24は、DMSO参照として使用し、化合物は含有させなかった。複数の化合物濃度反応試験の際には、Cartesian Hummingbirdリキッドハンドラー(DigiLab,Holliston,MA)を使用し、化合物のアリコート(50nL)をロボット制御により黒色384ウェルポリプロピレンPCRマイクロプレート(Abgene:TF−0384/k)に予め直接分注した。化合物を分配した後、タンパク質及び染料溶液を加えて、最終測定容積を3μLとした。測定溶液の上に1μLのシリコーンオイル(Fluka、タイプDC 200:85411)を載せて、蒸発を防いだ。
ロボットにより、測定プレートを、温度制御されたPCRタイプのサーマルブロックに搭載し、全ての実験について傾斜速度1℃/分で40〜90℃に加熱した。蛍光は、光ファイバーを介して供給し、バンドパスフィルター(380〜400nm;>6ODカットオフ)でフィルターされた紫外線(Hamamatsu LC6)を連続照射し測定した。全384ウェルプレートの蛍光発光は、500±25nmで検出するために、濾過されたCCDカメラ(Sensys、Roper Scientific)を用いて光強度を測定することによって検出し、これにより、全ての384ウェルの同時に、かつ独立した読み込みを得た。各温度にて、曝露時間20秒で単一像を回収し、アッセイプレートの所定の面積におけるピクセル強度の合計を温度に対して記録し、標準方程式に代入してTm(Pantoliano,Petrella et al.2001)を得た。
示差走査熱量計(DSC)を使用し、及びThermoFluor(登録商標)データをもとに、各プロMMPに結合する化合物を一致させるのに必要な熱力学的パラメータを推定した。分子量と、ThermoFluor(登録商標)の添加データをもとに、アンフォールディングな各タンパク質の熱容量を推定した。アンフォールディング曲線を単独で割り当てたた後、12種のリガンド濃度群のデータを各化合物の単一のKDに割り当てた。
ThermoFluor(登録商標)を取り付けたプロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)
タンパク質試料の調製時には、必ずPD−10自然落下型カラム(GE Healthcare)を使用し、脱塩緩衝液による交換工程を行った。脱塩緩衝液の交換を行った後、タンパク質を最終アッセイ濃度の3.5μMプロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)に希釈した。算出吸光係数ε280=33900M-1cm-1、算出分子量22.6kDa及び算出pI 5.20をもとに、分光光度測定によりプロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)の濃度を測定した。ThermoFluor(登録商標)の参照条件は次の通りに定義した:80μg/mL(3.5μM)プロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)、50μM 1,8−ANS、pH 7.0緩衝液(50mM HEPES(pH 7.0)、100mM NaCl、0.001% Tween−20、2.5mM MgCl2、300μM CaCl2)。プロMMP9(67〜444;ΔFnII)(配列番号5)の熱力学的パラメータは次の通りである:Tm(℃)=63(+/−0.1)、ΔU(Tm)(cal mol-1)=105000(+/−5000)、ΔU(Tm)(cal mol-1-1)=450、ΔUp(cal mol-1-1)=2000。
ThermoFluor(登録商標)を取り付けたプロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)
タンパク質試料の調製時には、PD−10自然落下型カラム(GE Healthcare)を使用し、脱塩緩衝液による交換工程を行った。脱塩緩衝液の交換を行った後、タンパク質を最終アッセイ濃度の2.8μMプロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)に希釈した。算出吸光係数ε280=39880M-1cm-1、算出分子量28.2kDa及び算出pI 5.5をもとに、分光光度測定によりプロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)の濃度を測定した。ThermoFluor(登録商標)の参照条件は次の通りに定義した:80μg/mL(2.8μM)プロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)、50μM 1,8−ANS、pH 7.0緩衝液(50mM HEPES(pH 7.0)、100mM NaCl、0.001% Tween−20、2.5mM MgCl2、300μM CaCl2)。プロMMP9(20〜445;ΔFnII)(配列番号6)の熱力学的パラメータは次の通りである:Tm(℃)=72(+/−0.1)、ΔU(Tm)(cal mol-1)=160000(+/−5000)、ΔU(Tm)(cal mol-1-1)=434、ΔUp(cal mol-1-1)=2400。
ThermoFluor(登録商標)を取り付けたプロMMP13(1〜268)(配列番号7)
プロMMP13(1〜268)(配列番号7)タンパク質試料の調製時には、PD−10自然落下型カラム(GE Healthcare)を使用し、脱塩緩衝液による交換工程を行った。脱塩緩衝液の交換を行った後、タンパク質を最終アッセイ濃度の3.5μMに希釈した。算出吸光係数ε280=37000M-1cm-1、算出分子量30.8kDa及び算出pI 5.33をもとに、分光光度測定によりプロMMP13(1〜268)(配列番号7)の濃度を測定した。ThermoFluor(登録商標)の参照条件は次の通りに定義した:100μg/mLプロMMP13(1〜268)(配列番号7)、25μM 1,8−ANS、pH 7.0緩衝液(50mM HEPES(pH 7.0)、100mM NaCl、0.001% Tween−20、2.5mM MgCl2、300μM CaCl2)。プロMMP13(1〜268)(配列番号7)の熱力学的パラメータは次の通りである:Tm(℃)=67(+/−0.1)、ΔU(Tm)(cal mol-1)=107000(+/−5000)、ΔU(Tm)(cal mol-1-1)=318、ΔUp(cal mol-1-1)=2600。
Figure 2014533094
酵素アッセイ
プロMMP9/MMP3 P126活性化アッセイ
HEK293細胞から精製した完全長のプロMMP9(1〜707)(配列番号1)と、触媒型MMP9による切断に応じ蛍光を発するペプチド(Mca−PLGL−Dpa−AR−NH2、BioMol P−126)を使用し、触媒型MMP3、MMP3(100〜265)(配列番号8)によるプロMMP9活性化阻害について化合物を評価した。使用したアッセイ緩衝液は、50mM Hepes(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij−35からなる。DMSOは試験化合物の添加により最終濃度が2%となるように含有させた。アッセイ日に、HEK293細胞から精製したプロMMP9(1〜707)(配列番号1)と、MMP3(100〜265)(配列番号8)とをアッセイ緩衝液により400nMに希釈した。反応容量は50μLであった。96ウェル黒色プレート(Costar 3915)中で、アッセイ緩衝液44μLを、試験化合物1.0μL、HEK293細胞から精製した400nMプロMMP9(1〜707)(配列番号1)2.5μLと混合し、400nM MMP3(100〜265)(配列番号8)2.5μLにより反応を開始した。プレートをシーリングし、37℃で80分インキュベートした。最終濃度は、HEK293細胞から精製したプロMMP9(1〜707)(配列番号1)が20nM、及びMMP3(100〜265)(配列番号8)が20nMであり、試験化合物の濃度はIC50について角括弧で記載する通りに変化させた。80分インキュベートした直後に、50μL 40μM P−126基質(新しくアッセイ緩衝液に希釈したもの)を加え、それにより生じる、MMP9の触媒性と関連付けられる活性の動態を、Spectramax Gemini XPSリーダー(Molecular Devices)を使用して、37℃で10〜15分間、328nmにおける励起、393nmにおける放出によりモニターした。これらの条件下では、残留MMP3によるP−126に対する反応は最小限のものであった。IC50を決定するにあたり、4パラメータロジスティック曲線(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア)を使用して初期速度をプロットした。
プロMMP13/プラスミンP126活性化アッセイ
触媒型MMP13による切断に応じ蛍光を発するペプチド(Mca−PLGL−Dpa−AR−NH2、BioMol P−126)を使用して、プラスミンによるプロMMP13の活性化の阻害について化合物を評価した。使用したアッセイ緩衝液は、50mM Hepes(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij−35からなる。DMSOは試験化合物の添加により最終濃度が2%となるように含有させた。アッセイ日に、HEK293細胞から精製したプロMMP13(1〜268)(配列番号7)と、プラスミンとを、それぞれアッセイ緩衝液により160nM及び320nMに希釈した。反応容量は50μLであった。96ウェル黒色プレート(Costar 3915)中で、アッセイ緩衝液44μLを試験化合物1.0μL、160nMプロMMP13(1〜268)(配列番号7)2.5μLと混合し、320nMプラスミン2.5μLにより反応を開始した。プレートをシーリングし、37℃で40分インキュベートした。最終濃度は、プロMMP13(1〜268)(配列番号7)が8nM、及びプラスミンが16nMであり、試験化合物の濃度はIC50について角括弧で記載する通りに変化させた。40分インキュベートした直後に、40μM P−126基質(新しくアッセイ緩衝液に希釈したもの)50μLを加え、それにより生じる、MMP13の触媒性と関連付けられる活性の動態を、Spectramax Gemini XPSリーダー(Molecular Devices)を使用して、37℃で10〜15分間、328nmにおける励起、393nmにおける放出によりモニターした。プラスミンは、これらの条件下ではP−126基質に対し反応しなかった。IC50を決定するにあたり、4パラメータロジスティック曲線(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア)を使用して初期速度をプロットした。
プロMMP9/MMP3 DQゼラチン活性化アッセイ
活性型MMP9による切断に応じて蛍光を発する、クエンチしたフルオレセインゼラチン基質(DQゼラチン、インビトロジェンD12054)を使用して、MMP3の触媒によるプロMMP9の活性化の阻害について化合物を評価した。使用したアッセイ緩衝液は、50mM Hepes(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij−35からなる。DMSOは試験化合物の添加により最終濃度が0.2%となるように含有させた。アッセイ当日に、COS−1細胞由来の完全長のプロMMP9(1〜707)(配列番号1)及び触媒型MMP3(100〜265)(配列番号8)を、それぞれアッセイ緩衝液により60nM及び30nMに希釈した。試験化合物のDMSO溶液を、4X最終濃度のアッセイ緩衝液により250倍希釈した。反応容量は12μLであり、全ての反応は3重に実施した。384ウェルの半量プレート(Perkin Elmer ProxiPlate 384 F Plus,6008260)中で、試験化合物のアッセイ緩衝液溶液4μLを、COS−1細胞由来の60nM完全長のプロMMP9(1〜707)(配列番号1)4μLと混合した。プレートをシーリングし、37℃で30分インキュベートした。最終濃度は、COS−1細胞から精製したプロMMP9(1〜707)(配列番号1)が10nM、及びMMP3(100〜265)(配列番号8)が20nMであり、試験化合物の濃度はIC50について角括弧で記載する通りに変化させた。30分インキュベートした直後に、40μg/mL DQゼラチン基質(新しくアッセイ緩衝液に希釈したもの)を4μL加え、室温で10分間インキュベートした。50mM EDTAを4μL加えて反応を停止させ、それにより生じた、MMP9の触媒性と関連付けられる活性を、Envision蛍光リーダー(Perkin Elmer)を使用して、485nmにおける励起、535nmにおける放出により測定した。これらの条件下では、残留MMP3によるDQゼラチンに対する反応は最小限のものであった。適切な陽性対照(DMSOのみを含有させたアッセイ緩衝液)及び陰性対照(反応開始前にEDTAを添加したもの)により試験化合物の阻害率を評価した。IC50を決定するにあたり、阻害率(%)対試験化合物濃度のプロットを、4パラメータロジスティック曲線(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア)に代入した。
触媒酵素アッセイ
プロMMP9の活性化アッセイにおいて活性を示した化合物を選択し、続いて、触媒型MMP3及び触媒型MMP9アッセイにおいて試験した。触媒型MMP3又は触媒型MMP9を阻害した化合物は、プロMMP9活性化アッセイにおいて偽陽性を示すものと考えられた。
触媒型MMP3
触媒型MMP3による切断に応じて蛍光を発するペプチド(Mca−RPKPVE−Nva−WRK(Dnp)−NH2,Bachem M2110)を使用し、ヒト触媒型MMP3、MMP3(100〜265)(配列番号8)、の阻害について化合物を評価した。使用したアッセイ緩衝液は、50mM Hepes(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij−35からなる。DMSOは試験化合物の添加により最終濃度が2%となるように含有させた。反応容量は100μLであった。96ウェル黒色プレート(Costar 3915)中で、アッセイ緩衝液44μLを、試験化合物1.0μL及び400nM触媒型ヒトMMP3 5μLと混合し、混合物を37℃で10分間プレインキュベートした。40μM M−2110基質(新しくアッセイ緩衝液に希釈したもの)50μLにより反応を開始し、それにより生じた、触媒型MMP3と関連付けられる活性の動態を、Spectramax Gemini XPSリーダー(Molecular Devices)を使用して、37℃で5〜15分間、328nmにおける励起、393nmにおける放出によりモニターした。必要があれば、IC50を決定するにあたり、4パラメータロジスティック曲線(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア)を使用して初期速度をプロットした。使用した最終濃度は、20nM触媒型MMP3及び20μM M2110基質であった。
触媒型MMP9
触媒型MMP9による切断に応じ蛍光を発するペプチド(Mca−PLGL−Dpa−AR−NH2、BioMol P−126)を使用して、ヒト触媒型MMP9(BioMol SE−244)の阻害について化合物を評価した。使用したアッセイ緩衝液は、50mM Hepes(pH 7.5)、10mM CaCl2、0.05% Brij−35からなる。DMSOは試験化合物の添加により最終濃度が2%となるように含有させた。反応容量は100μLであった。96ウェル黒色プレート(Costar 3915)中で、アッセイ緩衝液44μLを、試験化合物1.0μL及び100nM触媒型ヒトMMP9 5μLと混合し、混合物を37℃で10分間プレインキュベートした。40μM P−126基質(新しくアッセイ緩衝液に希釈したもの)50μLにより反応を開始し、それにより生じた、触媒型MMP9と関連付けられる活性の動態を、Spectramax Gemini XPSリーダー(Molecular Devices)を使用して、37℃で5〜15分間、328nmにおける励起、393nmにおける放出によりモニターした。必要があれば、IC50を決定するにあたり、4パラメータロジスティック曲線(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア)を使用して初期速度をプロットした。使用した最終濃度は、5nM触媒型MMP9及び20μM P−126基質であった。
Figure 2014533094
細胞系アッセイ
ラット滑膜細胞培養物におけるプロMMP9の活性化
滑膜細胞の初代培養株は、関節炎ラットの関節周囲の組織に由来するものであった。関節炎は、レンサ球菌細胞壁のペプチドグリカン多糖類の腹腔内投与により雌性Lewisラットに誘導した(Cromartie,Craddock et al.1977)。関節炎を発症したラットを屠殺し、後肢を切断し、70%エタノールに簡単に浸した後、滅菌フードに配置した。皮膚を除去し、メスを使用して、頚骨−足根関節周囲の炎症を起こしている組織を回収した。ラット6匹分をプールし、約8mm3片に刻み、15%ウシ胎児血清(FCS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。翌週には、細胞は組織片から遊走し、増殖し、接着細胞の単層を形成した。毎週、0.05%トリプシンにより培養プレートから滑膜細胞を剥離させ、10% FCSを添加したDMEMにより1:4比で継代した。9回継代した滑膜細胞を使用して、実施例2が、MMP9の活性化を阻害する能力について研究した。
コラーゲンゲル中で培養し、腫瘍壊死因子−α(TNFα)により刺激を行い、ラット滑膜細胞にMMP9を自然に発現させ、MMP9を活性化させた(図1及び表3)。8倍量の氷冷3.8mg/mLラット尾コラーゲン(シグマカタログ番号C3867−1VL)溶液を、1倍量の1M重炭酸ナトリウム及び1倍量の10×ロズウェルパーク記念研究所培地と混合した。1N水酸化ナトリウムにより混合物のpHをpH 7に調整し、pHを調製した当量のコラーゲン溶液を、0.8×106個/mLの滑膜細胞を含有しているDMEMと混合した。0.5mL容量をCostar 24ウェル培養皿に分注し、37℃かつ5% CO2下に30分間置き、この間にコラーゲン溶液にゲルを形成させた。各ゲルを取り外して、0.05% BSA及び100ng/mLマウスTNFα(R&D Systemsカタログ番号410−MT−010)を含有するよう調節した1mL/ウェルDMEMを含有させた12ウェルCostarプレートに入れた。プレートを10秒間撹拌して、コラーゲンゲルをウェルの底部に付着させないようにした。37℃かつ5%CO2下で一晩培養した後、更に0.05% BSA及び所望される最終濃度の4倍濃度の実施例2を含有させた0.5mL DMEMを含有するようウェルを調節した(最終的な培地容量は2mLであった)。プレートを更に48時間培養し、このとき、ゼラチン−セファロース(GE Healthcareカタログ番号17−0956−01)の50%スラリー40μL/mLを含有させた新しいエッペンドルフチューブに馴化培地を1mL回収した。試料を4℃で2時間回転させ、1分×200gで遠心分離した。上清を廃棄した。ゼラチン−セファロースペレットを氷冷DMEM 1mLで洗浄し、2X還元レムリ緩衝液50μLに再懸濁し、95℃で5分加熱した。15μLの溶出タンパク質を4〜12% NuPAGEゲルで分離し、0.45μM孔径のニトロセルロースにブロットを転写した。次に、ブロットをブロッキング緩衝液(5%ミルクを添加したTris緩衝食塩水(0.1% Tween−20含有))中で室温で1時間インキュベートし、1μg/mL一次抗体を含有させたブロッキング緩衝液により一晩標識し(4℃)した。次に、ブロッキング緩衝液に1/10,000希釈したヤギ抗マウスIgG−HRP又はヤギ抗ウサギIgG−HRP(Santa Cruz)により、ブロットを室温で1時間標識し、SuperSignal(登録商標)West Fempto Maximum Sensitivity基質を使用して検出した。ChemiDocイメージングシステム(BioRad Laboratories)及びQuantity One(登録商標)イメージソフトウェアを使用して、化学発光シグナルを解析した。電気泳動の移動度は、標準(Novex Sharp Pre−Stained Protein Standards P/N 57318)の移動度をもとに評価した。
マウスmAb−L51/82(UC Davis/NIH NeuroMab Facility,Antibody Incorporated)を使用して、プロMMP9及び加工型MMP9を検出した。滑膜細胞馴化培地は、約80kD形態のMMP9を含有していた(図1A、レーン2)。0.37〜10μM実施例2(図1A、レーン3〜6)の存在下では、80kDの活性型MMP9は添加量に応じて減少し、約86kDの形態が出現した。10μM実施例2の存在下では、86kDの形態が主となった(図1A、レーン6)。レーン1には、完全長のラットプロMMP9(1〜708)(配列番号11)3ngと、完全長のラットプロMMP9(1〜708)(配列番号11)をMMP3の触媒作用により触媒型ラットMMP9へと変換させたもの3ngとを含有させた標準を充填した。滑膜細胞馴化培地中に存在する80kD形態の電気泳動による移動度は、活性型MMP9標準によるものと同様であった。実施例2の存在下で滑膜細胞により産生された86kD形態は、約100kDの移動度で泳動される完全長のラットプロMMP9(1〜708)(配列番号11)標準よりも移動度が大きいことが実証された。86kDの形態は、これまでに報告されている、システインスイッチを保持しかつ触媒活性を欠いている、不完全にプロセシングを受けた中間形態のものと移動度が類似していることが実証された(Ogata,Enghild et al.1992)。
プロMMP9は、R106及びF107間が切断されたときに活性化される(Ogata,Enghild et al.1992)。既に報告されているのと同様の手法を用い(Duncan,Richardson et al.1998)、ウサギポリクローナル抗体(pAb−1246)により、活性型MMP9のN端末の新しいエピトープを生成した。ウサギを、ペプチド、すなわちヒトMMP9(107〜113)(配列番号9)とキーホールリンペットヘモシアニンとの複合体により免疫及び追加免疫し、並びにFQTFEGD複合アガロースアフィニティ樹脂を使用して100mMグリシン(pH 2.5)により溶出を行い、血清から抗体を親和性精製した。N端末に新しいエピトープをもつ抗体を、配列中の他のエピトープを認識する抗体から分離するため、溶出した抗体をPBSで透析し、アガロースとペプチド、すなわちヒトプロMMP9(99〜113)(配列番号10)との複合体と混合して交差吸着させた。N端末に新しいエピトープをもつ抗体を含有している未結合画分を回収し、pAb−1246と命名した。
図1Bでは、レーン1は、pAb−1246は80kDの活性型MMP9標準に結合したものの、100kDプロMMP9標準は認識しなかったことを実証する。pAb−1246は滑膜細胞馴化培地において80kDの活性型MMP9を検出し、実施例2は添加量に応じて活性型MMP9を減少させた(図1B、レーン2〜6)。バンドの化学発光強度を直接測定した。これを表3に掲載する。活性型MMP9の産生は、IC50約1.1μMで実施例2により阻害された。pAb−1246は86kD形態を認識せず、それ以上の成熟が実施例2により阻害されているおそらくは中間体形態を表しているという更なるエビデンスが提供された。
Figure 2014533094
ヒト胎性肺線維芽細胞培養物によるプロMMP9の活性化
胎性肺線維芽細胞の培養において、プロMMP9の活性化型MMP9への成熟を阻害する能力について、実施例2を更に評価した(HFL−1、アメリカ培養細胞系統保存機関番号CCL−153)。ラット滑膜細胞とは異なり、HFL−1細胞は、好中球エラスターゼを添加しない場合にはプロMMP9を活性型へとプロセシングすることができない。エラスターゼが組み換え型プロMMP9のプロセシングを直接引き起こすことはなかった(データ不掲載)。むしろ、本アッセイにおいて、エラスターゼ機能は、内因性のMMP9活性化経路を抑制する組織性メタロプロテアーゼ阻害因子(TIMP)を不活性化させるものであり得る(Skold,Liu et al.1999)。
10% FCSを添加したDMEM中で、単層培養によりHLF−1を維持し、継代数5〜15のものを使用した。ラットSCW滑膜細胞(上記vida)について記載した通り、コラーゲンゲルにHLF−1を包埋した。0.4×106個の細胞を含有させた0.5mLのゲルを取り外して、0.05% BSA及び100ng/mLヒトTNFα(R&D Systemsカタログ番号210−TA/CF)を含有するよう調節した1mL/ウェルDMEMを含有させた12ウェルのCostarプレートに入れた。一晩培養後(37℃かつ5% CO2)、0.05% BSAを含有しかつ13.2μM実施例2を含有している又は不含有である(実施例2の最終濃度は3.3μM)追加の0.5mL DMEMを含有するよう、ウェルを調節した。次に、培養物を調節して30nMヒトエラスターゼ(Innovative Research)を含有させた。ラット滑膜細胞培養物(上記vida)について記載した通り、プレートを更に72時間培養し、このときMMP9を馴化培地に分泌させ、ゼラチン−セファロースに結合させ、ウェスタンブロット解析により評価した。mAb−51/82により、HFL−1培養物中に3種類の形態のMMP9が検出された。
これらは、ラット組み換え型プロMMP9と移動度が同様である約100kDの形態と、ラット活性型MMP9と移動度が同様である約80kDの形態と、約86kDの中間体の形態と、を包含した。バンド強度を表4に提供する。実施例2の非存在下では、MMP9のほとんどは80kD形態として存在した。実施例2の存在下では、80kD形態は微小画分であり、かつシグナルのほぼ半分は、各100kD及び86kD形態により示された。3つのバンドの合計シグナルは、実施例2の存在時又は非存在時と同様であった。これらのデータにより、100kD及び86kD形態のMMP9は、実施例2により効果的に安定化され、かつ80kD形態の形成が抑制されることが示される。
Figure 2014533094
80kD形態が成熟な活性型MMP9であるのか判断し、かつ本アッセイにおいてMMP9成熟阻害因子としての実施例2の力価を求めるために、第2の実験を実施した。コラーゲンゲルに包埋したHFL−1細胞を、上記の通りにTNFαの存在下で一晩培養し、次に30nMエラスターゼを含有するよう培養物を調整し、更に72時間、実施例2の濃度をもとに類別した。72時間で、馴化培地に分泌されたMMP9をゼラチン−セファロースに結合させ、活性型MMP9のN端末の新しいエピトープに対して産生させたpAb−1246を使用して、活性型MMP9について、ウエスタンブロット解析により評価した(表5)。実施例2の非存在下では、pAb−1246は、電気泳動移動度が約80kDであるMMP9を容易に検出した。実施例2は、HFL−1培養物がプロMMP9を活性型MMP9へとプロセシングする能力を効果的に阻害した。約0.3μMの実施例2のIC50を以って投与範囲にわたって阻害が生じた。
Figure 2014533094
生体内試験
生体内におけるプロMMP9の発現及び活性化は、ラットSCWの関節炎と関係がある。
報告によれば、MMP9タンパク質の発現は、関節リウマチ患者の滑液において上昇している(Gruber,Sorbi et al.1996)。予備研究を実施して、関節炎モデルのラットにおいてMMP9の発現及び活性化を評価した。
連鎖球菌細胞壁(SCW)プロテオグリカン−多糖類(PG−PS)を腹腔内投与することにより、雌性Lewisラットにおいて多発性関節炎を誘導することができる(Cromartie,Craddock et al.1977)。このモデルは、急性期(第3〜7日)のものであり、すなわち、補体及び好中球依存性であり、回復する。PG−GSに対するT細胞特異的な免疫の発生により、慢性びらん相が第10日目に始まる。PG−GSは消化耐性を示し、滑膜マクロファージに1ヶ月も存在する。関節リウマチ同様、SCWにより誘導される関節炎もTNF阻害因子により減少するものであり、かつSCWにより誘導される関節炎がマクロファージに依存すること(Richards,Williams et al.2001)、並びに滑膜組織マクロファージ数が関節リウマチの重症度に関係付けられる(Haringman,Gerlag et al.2005)ことから、SCW関節炎は、有望な治療薬を試験する際に魅力的なモデルとなる。
SCW PG−PS 10S(Beckton Dickinsonカタログ番号210866)の生理食塩水懸濁液を30秒間ボルテックスにかけ、注射前にプローブ型の超音波処理器より3分間超音波処理した。23ゲージの針を取り付けた1mLシリンジを使用し、5〜6週齢の雌性Lewis(LEW/N)ラット(80〜100g)の腹部の左側下部にSCW PG−PS(ラムノース15μg/体重1g)を腹腔内投与した。同様の手法により対照(無疾患)ラットを生理食塩水で処理した。対照群のラットは5日目に屠殺し、並びにSCW投与群のラットは急性の炎症が最大に示された場合には5日目、あるいは慢性の炎症が示された場合には18日目に屠殺した。
後肢の皮膚を剥ぎ、脛骨−足根骨関節部のすぐ上及び中足骨の下で切断し、脛骨−足根骨関節部(足首)を計量し、ドライアイス上で瞬間凍結し、ハンマー及びアンビルを使用して粉砕した。粉砕した組織を3倍量(重量:体積)の氷冷均質化緩衝液(50mM Tris(pH 7.5)、150mM NaCl、5mM EDTA、1% Triton X100、0.05% Brij 30、10%ジメチルスルホキシド、及びコンプリート、EDTA−フリープロテアーゼインヒビターカクテル錠(ロシュ・ダイアグノスティックス)を含有)に懸濁した。懸濁した組織を、Kinematica AG Polytron及びダウンス型ホモジナイザーにより順に破砕した。破砕液を16,000×gで4℃で10分間遠心分離し、可溶性画分を保存した。PD MiniTrapTM G−25脱塩カラム(GEヘルスケア)を使用して、各可溶性画分からジメチルスルホキシドを除去した。DMSOを非添加の破砕液(0.25mL)を、等量の結合緩衝液(すなわち、ジメチルスルホキシドを不含有の均質化緩衝液)により希釈し、ゼラチン複合セファロースの50%スラリーを50μL含有するよう調節した。4℃で2時間回転させた後、ビーズを結合緩衝液により2回洗浄し、95℃で5分間、加熱しながら2×還元Laemmli緩衝液100μLに溶出した。溶出液(20μL)を4〜12% NuPAGEゲルで分離し、0.45μM孔径ニトロセルロースに転写し、滑膜細胞及びHFL−1細胞の馴化培地中のMMP9の形態の検出に関し上記した通りにmAb−L51/82及びpAb−1246を使用してプロMMP9、活性型MMP9、並びにその他のプロセシングを受けたMMP9を検出するために、免疫ブロットした。
生理食塩水を投与したラットの健常な足首では、mAb−L51/82により約100kD(プロMMP9)及び約80kD形態のMMP9が少量検出された(図2A、レーン1及び2)。SCW投与から5日及び18日後の足首破砕液では、プロMMP9は著しく増加していた(図2A、それぞれレーン3〜5、及び6〜8)。80kD MMP9は、SCW投与の5日後には穏やかに増加しており(図2A、レーン3〜5)、SCW投与の18日後には顕著に増加していた(図2A、レーン6〜8)。生理食塩水を投与したラットの健常な足首では、mAb−1246により80kDに活性型MMP9が少量検出された(図2B、レーン1及び2)。80kD活性型MMP9は、SCW投与の5日後に穏やかに増加しており(図2A、レーン3〜5)、SCW投与の18日後には顕著に増加していた(図2A、レーン6〜8)。
SCW関節炎を有するラットにおける実施例2の有効性
SCWにより誘導した関節炎を有するラットにおいて活性型MMP9の増加が観察されたため、我々は、次に実施例2が疾患の重症度を減少させる能力、及び活性型MMP9を減少させる能力を測定することにした。
実施例2は、SCWにより誘導した関節炎を有するラットの足首の膨張を減少させた。
関節炎を誘導するため、5〜6週齢の雌性Lewis(LEW/N)ラット(80〜100g)に、上記の通りにSCW PG−PSを腹腔内投与した。18日後には関節炎が十分に発症していた。キャリパーを使用して、各ラットの左及び右後足首の幅(前側表面から後ろ側表面まで)を測定した。各足首3回ずつ測定して平均し、足首の厚みに基づきランダムに処理群に割りつけた(表6)。開始から18日目に、ランダム化したラット関節炎群(n=5匹/群)には、賦形剤又は5、20若しくは50mg/kg実施例2 BIDを蛍光投与した。賦形剤は、2%(体積:体積)N−メチルピロリドン、5%(体積:体積)グリセリン、及び20%(重量:体積)captisolを含有している水性混合物から構成した。処置は26日の朝まで毎日連続的に行った。
18日目には、足首の平均厚は、無疾患ラットと比較して平均して4.4mM超増加していた。8日間の処置期間にわたる足首厚の測定値によると、賦形剤のみで処理したラットは、次第に、より深刻な関節炎を示すようになった(表6)。実施例2により処置した場合、足首厚の測定値は用量依存的に減少した。26日目には、足首厚の増加と関係する疾患は、5、20及び50mg/kgの実施例2の投与により、それぞれ27、37及び46%減少していた。
Figure 2014533094
膨張及び紅斑に基づき、後肢の炎症に臨床スコアを割り当てた。18日目には、SCW PG−PSにより誘導したほとんど全てのラットが、8点スケール中8点の臨床スコアを有していた(表7)。実施例2による処置により、臨床スコア測定値の用量依存的な減少が誘導され、特に20mg/kgでの投与により顕著な効果が観察された(表7)。
Figure 2014533094
実施例2は、SCWにより関節炎を誘導したラットの足首において活性型MMP9を減少させたことがウェスタンブロット解析により実証された。
表6及び7で報告した試験では、ラットは、26日目に、AM投与から4時間後に屠殺した。右後肢から回収した足首は、上記の通りの手順で加工した。プロ及び活性型MMP9は、SCWにより誘導し賦形剤処理したラットの足首に豊富に存在していた(図3A及び3B、レーン1〜3)。実施例2によるラットの処置では、プロMMP9の存在量は減少していなかった(図3A、レーン4〜9)。しかしながら、実施例2によりラットを処置した場合、pAb−1246(図3B、レーン4〜9対1〜3)及びmAb−L51/82(図3A、レーン4〜9対1〜3)により検出された活性型の80kDの形態のMMP9が著しく減少した。
実施例2は、SCW関節炎を有するラットの肝臓においてMMP9の介在するゼラチナーゼ活性を減少させた。
In situザイモグラフィーにより、組織において活性型のMMP9を評価するための代替的なアプローチが提供される(Frederiks及びMook、2004年)。組織切片を、フルオレセインにより標識したゼラチンに重ねあわせる。この際、標識は、フルオレセインの発色をクエンチさせる(DQ)のに十分な密度である。DQ−ゼラチンのタンパク質分解により、分解部位において、フルオレセインがクエンチ効果から開放されて、明るい緑色の蛍光が生じる。In situザイモグラフィーは凍結切片を使用する必要があることから、石灰化した組織では問題が生じる。しかしながら、SCW関節炎モデルのその他の特徴としては、肝肉芽腫性疾患の発症が挙げられ(Wahl,Allen et al.1986)、報告によれば、MMP9は、マイコバクテリアに応答した肉芽腫におけるマクロファージの補充に役割を果たす(Talylor,Hattle et al.2006)。これらを踏まえ、SCW処置ラットに生じる肝肉芽腫を、In situザイモグラフィーにより活性型MMP9について評価した。
上記の通り、5〜6週齢の雌性Lewis(LEW/N)ラット(80〜100g)に、生理食塩水又はSCW PG−PSを腹腔内投与した。28日目に肉芽腫性の応答が良好に得られたところで、ラットを屠殺し、肝臓をOCTクライオセクショニング培地中で凍結させ、Cryome HM 500 Mクライオトームにより10μMの切片を切り出し、ガラス製顕微鏡スライドに載せた。切片を簡単に風乾した。2つの主要なゼラチナーゼMMP9及びMMP2の活性部位を直接認識するモノクローナル抗体により肝臓切片を処置し、MMP9を、肝臓におけるゼラチナーゼ活性源として確認した。MMP9(Calbiochem、クローン6−6B)又はMMP2(Millipore、クローンCA−4001)を直接認識する100μg/mLマウスモノクローナル中和抗体50μL、又はPBSにより、肝臓切片を室温で1時間覆った。組織を一度PBSですすぎ洗いし、ブロットし、簡単に風乾し、次に脱イオン水に1mg/mLで溶解した後1%(重量/体積)low gelling point agarose type VII(シグマ)のPBS溶液に1:10希釈したDQ−ゼラチン(インビトロジェン)で覆った。切片をカバーガラスで覆い、室温で暗所で20分間インキュベートし、SlideBook(商標)イメージングソフトウェア(Intelligent Imaging Innovations,Inc.(Philadelphia,PA);version 5.0)を使用し、蛍光検出器(fluorescence optics)を取り付けたOlympus IX80倒立顕微鏡で撮像した。蛍光強度を測定した(表8)。ゼラチナーゼ活性は、生理食塩水で処置したラットと比較して、SCW関節炎を有するラットから得られた肝肉芽種切片で豊富に発現していた。肝肉芽種切片における活性は、抗MMP9モノクローナル抗体による処置ではほぼ完全に阻害されていたが、抗MMP2モノクローナル抗体による処置では阻害されていなかった。
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次に、in situザイモグラフィーを使用し、賦形剤あるいは実施例2を投与したラットにおける活性型MMP9の相対的な存在量について評価した。5〜6週齢の雌性Lewis(LEW/N)ラット(80〜100g)に、生理食塩水又はSCW PG−PSを腹腔内投与した。開始から25日目に、ラットをランダムに群に割りつけ(n=3匹/群)、賦形剤又は20若しくは50mg/kg実施例2 BIDを経口投与した。賦形剤は、2%(体積:体積)N−メチルピロリドン、5%(体積:体積)グリセリン、及び20%(重量:体積)captisolを含有している水性混合物から構成した。処置は28日の朝まで毎日連続的に行った。28日目の午前の投与から4時間後にラットを屠殺し、in situザイモグラフィーにより活性型MMP9について肝臓を評価した(表9)。ゼラチナーゼ活性は、SCW誘導ラットにおいて顕著に増加したが、この活性は、50mg/kg実施例2で処置したラットでは約80%減少していた。
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結晶化及びデータ収集
1μLのタンパク質を、1μLの溶液(25% PEG 8K、1%グリセロール、0.2M硫酸アンモニウム及び100mMカコジル酸ナトリウム(pH 5.5))に加え、アポプロMMP9(29〜444 ΔFnII)(配列番号4)の結晶を成長させた。安定化溶液に20%グリセロールを加え、抗凍結剤溶液を調製した。MXpress serviceにより、ESRFビームラインID23にて、アポプロMMP9(29〜444 ΔFnII)(配列番号4)結晶のX線データを収集した。結晶は1.7Åで回折した。結晶は、単位胞の大きさがa=90.3Å b=73.2Å c=77.5Å,β=106.3である空間群C2に形成された。プロMMP9(29〜444 ΔFnII)構造についての探索分子(search molecule)として、既に報告されているプロMMP9構造を使用し、プログラムEPMR(Kissinger,Gehlhaar et al.1999)を用い、分子置換法により構造を解析した。非対称ユニットにおいて2分子のプロMMP9(29〜444 ΔFnII)(配列番号4)が確認された。プログラムCNXによりデータを精密化した。R−factorは20.9 R−free 23.2であった。タンパク質の全体的な折りたたみは、公開されている構造と非常に類似していた。末端の電子密度において認識可能な最初の残基はAsp 41であった。プロMMP9(29〜444 ΔFnII)(配列番号4)タンパク質結晶のN端末配列の配列決定により、結晶化させた材料のN端末残基がLeu 35であったことが示された。すなわち、プロMMP9(29〜444 ΔFn)(配列番号4)タンパク質は、タンパク質の発現、精製又は結晶化時に、更にN末端においてプロセシングを受けていたことが示唆された。精製タンパク質の質量分析により、N末端の更なるプロセシングは、発現又は精製時に生じていたことが確認された。したがって、結晶形態のプロMMP9は実際にプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)であった。
実施例1との今日結晶化試験では結晶は生成されなかった。24時間浸漬し、アポプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)結晶と実施例1(5% DMSO中1mM)との複合体を生成することにより、Advanced Photon Source(Chicago)よりIMCA−CATビームラインで一連のデータを得た。結晶は解像度2.9Åで回折した。プログラムCNXによりデータを精密化した。構造のR−factorは30.0であり、R−freeは34.8であった。開始時の電子密度マップからは、阻害因子が存在し、かつ非対称ユニットの1分子において、Phe 107付近の残基の配置が変化していることが示唆された。タンパク質に生じた変化は残基107周辺に集中しており、分子全体(亜鉛結合部位を含む)に伝播するものではなかった。
24時間浸漬しプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)との複合体を生成させた数多くのその他の化合物に関してもデータを収集した。データは、Rigaku 007 HF発生装置及びSaturn 94 CCD検出器により収集した。d*trekプログラム(Pflugrath 1999)によりデータを加工し、プログラムPhenix(Adams,Grosse−Kunstleve et al.2002)により精密化した。選別したデータ組に関する、相関するデータ収集統計値は、表10に見ることができる。電子密度マップの点検にはプログラムCoot(Emsley及びCowtan 2004)、Pymol(DeLano Scientific)及びQuanta(Accelerys)を使用した。Pymol及びMoe(Schrodinger)により図を作成した。
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X線構造の考察
はじめに、アポ型プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)を結晶化した。既に報告されている、FnIIドメイン(Elkins、Ho et al.2002)を含有しているプロMMP9構造のものと比較してかなり高い解像度で(1.7Å対2.5Å)アポ構造を決定したが、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)の構造は、FnIIドメインを含有しているタンパク質の形態に存在している残基と本質的に同一であった。したがって、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)構造中のFnIIドメインを除去しても、既に報告されている完全長の構造と比較して、触媒ドメインの全体的な構造に変化は生じなかった。詳細には、切断部位の残基Phe 107周囲の残基の主鎖原子は、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)構造並びにFnIIドメインを含有している既に報告されているプロMMP9構造と類似する位置にあった。
実施例1の結合
実施例1が結合するには、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)のプロ領域中のいくつかの残基が再配向する必要がある。阻害因子のフェノキシ部分は、アポタンパク質中のPhe 107により占有される空間領域に結合する。この位置は立体構造的に亜鉛から6Å離れた位置にあたる。Cys 99は、化合物及び亜鉛間の領域をブロックし、すなわち実施例1と亜鉛が直接接近することはない。フェノキシ酸素に関し水素結合が観察されないことから、特異的な水素結合相互作用よりも、この基の方が、芳香環電子の変更において、より重要な役割を担う可能性がある。フェノキシ基付近に存在する残基には、Val 101、Pro 102、Tyr 179、His 190(立体構造的に亜鉛と協調する)及びPhe 192が包含される。実施例1内部のチアゾール環は、プロドメイン及びHis 405(触媒的に亜鉛と協調する)から残基Phe 110付近に配置される。硫酸チアゾールと主鎖カルボニルのAla 191との間には2.8Åの距離が観察された。阻害因子の非存在下でのプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)構造では、実施例1の構造において2つのチアゾール環により占有される空間は、5つの溶媒分子により占有される。末端メチルチアゾール環は残基Leu 114及びAsp 410の付近に配置される。興味深いことに、アセトアミド基は、アポプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)構造中のArg 108のグアニジノ基と同じ位置に配置される。
Cys 99(システインスイッチ)の相互作用は、阻害及び非阻害プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)間で一致したままである。触媒的又は構造的亜鉛イオンのいずれの亜鉛座標に関しても亜鉛座標に違いはなかった。実際に、再配向は残基103及び108間の領域に集中していた。
実施例2の結合
実施例2が結合するには、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)のプロ領域中のいくつかの残基が再配向する必要がある。阻害因子の1−メチルエトキシ−ベンゼンスルホンアミドは、アポタンパク質中のPhe 107により占有される空間領域に結合する。この位置は立体構造的に亜鉛から6Å離れた位置にあたる。Cys 99は、化合物及び亜鉛間の領域をブロックし、すなわち実施例2と亜鉛が直接接近することはない。タンパク質において、アニリンNHとAla 191のカルボニル酸素との間には水素結合が観察される。スルホンアミドは、タンパク質に対し水素結合も形成する。窒素はGly 105のNHに結合し、かつ酸素はPhe 107及びGln 108のアミド窒素と結合を形成する。1−メチルエトキシ−ベンゼンスルホンアミド基付近に存在する残基には、Gly 100、Val 101、Pro 102、Leu 104、Gly 105、Arg 106、Phe 107、Gln 108、Phe 110、Tyr 179、His 190(立体構造的に亜鉛と協調する)、Ala 191及びPhe 192が包含される。実施例2内部のチアゾール環は、プロドメイン及びPro 192(触媒的に亜鉛と協調する)及びHis 405付近に配置される。実施例2外部のチアゾール環は、残基Arg 106、Leu 114及びAsp 410付近に配置される。これらの2つのチアゾール環は、タンパク質と直接的な水素結合を形成するものではない。
実施例3の結合
実施例3が結合するには、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)のプロ領域中のいくつかの残基が再配向する必要がある。阻害因子のメトキシベンゼンアミド部分は、アポタンパク質中のPhe 107により占有される空間領域に結合する。この位置は立体構造的に亜鉛から6Å離れた位置にあたる。Cys 99は、化合物及び亜鉛間の領域をブロックし、すなわち実施例2と亜鉛が直接接近することはない。タンパク質において、アニリンNHとAla 191のカルボニル酸素との間には水素結合が観察される。アミドは、タンパク質に対し水素結合も形成する。窒素はGly 105のNHに結合し、かつ酸素はPhe 107及びGln 108のアミド窒素と結合を形成する。メトキシベンゼンアミド基付近に存在する残基には、Gly 100、Val 101、Pro 102、Leu 104、Gly 105、Arg 106、Phe 107、Gln 108、Phe 110、Tyr 179、His 190(立体構造的に亜鉛と協調する)、Ala 191及びPhe 192が包含される。実施例3内部のチアゾール環は、プロドメイン及びPro 192(触媒的に亜鉛と協調する)及びHis 405付近に配置される。実施例2外部のチアゾール環は、残基Arg 106、Leu 114及びAsp 410付近に配置される。これらの2つのチアゾール環は、タンパク質と直接的な水素結合を形成するものではない。
実施例4の結合
実施例4が結合するには、プロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)のプロ領域中のいくつかの残基が再配向する必要がある。阻害因子のメトキシ−ピリジン部分は、アポタンパク質中のPhe 107により占有される空間領域に結合する。この位置は立体構造的に亜鉛から6Å離れた位置にあたる。Cys 99は、化合物及び亜鉛間の領域をブロックし、すなわち実施例2と亜鉛が直接接近することはない。タンパク質において、アニリンNHとAla 191のカルボニル酸素との間には水素結合が観察される。メトキシ−ピリジン基付近に存在する残基には、Val 101、Pro 102、Arg 106、Gln 108、Phe 110、Tyr 179、His 190(立体構造的に亜鉛と協調する)、Ala 191及びPhe 192が包含される。実施例4のメチル−イミダゾ−ベンゾチアゾール環は、残基Arg 106、Leu 114、Pro 192、His 405(触媒的に亜鉛と協調する)及びAsp410付近に配置される。この縮合環はタンパク質と直接的な水素結合は形成しない。
上記化合物のいずれかの浸漬により、化合物の結合と一致する電子密度が首尾よく示された。残基103〜108を含有するループは、適合する化合物の結合を認識する。しばしばループは化合物と直接的な水素結合を形成し、更に相互作用を安定化させる。各種化合物との複合体において、このループの正確な配向には、変化が見られる。実施例1について言えば、このループは乱れたままである。実施例2、実施例3及び実施例4の構造では、完全なループと関係する電子密度が観察された。切断しやすい結合を形成し、切断されることで活性な酵素を形成するPhe 107及びArg 106の配置を置き換えることにより、化合物結合構造間に劇的な変化が見られる。しかしながら、一般的な効果は、これらの残基を切断から保護するというものである。
上記の通り、フェノキシ基は、アポプロMMP9(35〜444 ΔFnII)(配列番号12)構造においてはPhe 107により占有されるポケットで結合する。本質的には、阻害因子の芳香環は、フェニルアラニン残基の芳香環を置き換える。成熟型酵素では、ポケットはPhe 110により占有される。プロMMP1の構造において、切断部位の残基は障害されているものの、HEPES分子はこれらの阻害因子と同様の領域に結合することが判明している。
いくつかの異なるプロテアーゼによりプロMMP9を活性化することはできるものの、本明細書に記載の化合物は、必ずプロMMP9の最適基質性を低下させるよう機能する。データから、化合物はMMP3又はMMP9の触媒化アッセイを阻害しないことが判明している。化合物は、切断部位付近の残基の可動性を制限するよう機能する可能性がある。これらの残基が、プロMMP9を生産性のある基質にさせないような立体構造において安定化されている場合、これらの残基により活性化の阻害が導かれる。上記の通り、触媒的に活性なタンパク質において、Phe 110はこの配置を占有する。この部位に化合物が結合することで、触媒作用及び活性化に必要とされるこの位置へのPhe 110の移動が妨害される。Phe 107の挙動に加え、一部の構造ではArg 106は異なる環境に置かれ、かつAsp 410は回転して、Arg 106の側鎖と二座の相互作用を形成する。塩橋により、プロMMP9を生産性のある基質として供給することのできない立体構造に留めることができる。
アロステリックな結合部位
プロMMP9のアロステリックな結合部位のコアは、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410から構成され、ここで付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである。この部位は、重要な残基であるフェニルアラニン(Phe)107が「ネイティブ」なプロ酵素において占有する結合表面を形成する。アロステリックなプロセシング阻害因子はこの部位に結合し、結合部位のフラップを形成する置き換えられたループ(残基104〜108)と相互作用することもできる。このループは可動性のものであり、阻害因子と接触しかつ相互作用することのできる数多くの異なる立体構造を有する。ループとのこれらの相互作用は阻害因子特異的なものである。
選択性
他の全てのMMPに対するこれらの化合物の選択性はまだ確認されていないものの、本化合物は、触媒機能が活性な酵素の活性部位に結合する既存のMMP阻害因子と比べて、はるかに良好な特異性を有するようである。立体構造的に、これらの化合物を結合させるは、いくつかの残基を劇的に移動させる必要があり、並びにMMPプロドメインの最終的な切断部位の配列同一性を、活性部位よりも著しく劣るものにする必要がある。望ましい薬物動態特性を示す選択的なMMP阻害因子の製造が歴史的に困難であったことを考慮すると、プロMMPの活性化を阻害する化合物の同定は重大な発見である。
モデリング及びその他のMMP
この阻害方法は、MMPの配列アラインメントに基づきその他のMMPに拡張することができることが望ましく、モデリングにより、他のプロMMPは、活性化阻害因子を適切に結合させるのと同様の様式で再配向させ得ることが示唆されている。プロMMPにおいて、プロ領域の全体的な二次構造は保存されている。これらのプロドメインの三次構造は構造が決定され、残りのMMPの配列から同様の折りたたみを有することが予想される4本のヘリックス束からなる。更に、プロMMPはシステインスイッチの結合に関係する類似するポケットを有し、かつ各種残基が触媒ドメインのキャビティを充填し、安定時の一般様式を同一に保つ。
注目すべきはプロMMP1構造であり、切断部位の領域が障害されていることから、これらの残基は可動性のものであることが示唆される。更に、MMP3により活性型へと切断を受けるMMP1及びMMP3は、いずれもS1親水性残基及びS1’Phe残基を含有する切断部位を有する。実際のところ、プロMMP3構造は、アポプロMMP9構造におけるPhe 107と非常に類似した配置でS1’Pheを有する。図7は、現在の全てのプロMMP構造(MMP9(pdb1L6J)、MMP1(pdb1SU3)及びMMP2(pdb1CK7))のオーバーラップを示す。MMPファミリーのプロドメインの配列アライメントを図8に示す。
この阻害方法が、実際に、他のMMPに拡張可能なものであるというエビデンスが、プロMMP9及びプロMMP13の両方の活性化を阻害する活性を示した数多くの化合物について実証された。例えば、表2を参照すると、実施例2によりプロMMP9及びプロMMP13の両方の活性が阻害されたことが示される。更に、ThermoFluor(登録商標)により、数多くの化合物がプロMMP9及びプロMMP13の両方と結合することも実証された。例えば、プロMM9及びプロMMP13を使用し化合物を選択した際のThermoFluor(登録商標)データを示す表1を参照されたい。
座標
表11、12、13及び14には、異なるアロステリックなプロセシング阻害因子例と複合体形成させたプロMMP9の代表的な構造に関係する座標を掲載する。表15には、アポ形態のプロMMP9の座標を掲載する。
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Claims (16)

  1. プロ形態のマトリックスメタロプロテイナーゼ(プロMMP)、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質を含む結晶であって、前記化学物質が、前記プロMMPの、アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子である、結晶。
  2. 前記プロMMPがプロMMP9である、請求項1に記載の結晶。
  3. 前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子が、アポ形態のプロMMP9においてフェニルアラニン(Phe)107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合し、ここで付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、請求項2に記載の結晶。
  4. 前記アロステリックな結合部位が、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含み、ここで付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、請求項3に記載の結晶。
  5. 前記プロMMPが、プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択されるプロMMP9のホモログである、請求項1に記載の結晶。
  6. 前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子が、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログな空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する、請求項5に記載の結晶。
  7. 前記断片又はそれらの誘導体が、配列番号12を含むペプチドであるか、又は配列番号12と少なくとも95%配列同一性を有するペプチドである、請求項1に記載の結晶。
  8. 前記結晶が、C2の空間群を有する、請求項1に記載の結晶。
  9. 前記化学物質が、以下の構造からなる群より選択される、請求項1に記載の結晶:
    実施例1:
    Figure 2014533094
    実施例2:
    Figure 2014533094
    実施例3:
    Figure 2014533094
    実施例4:
    Figure 2014533094
  10. 前記結晶が、単位胞寸法、a=91.7(Å)、b=73.7(Å)、c=79.4(Å)、単位胞寸法、a=90.7(Å)、b=73.0(Å)、c=78.2(Å)、単位胞寸法、a=91.0(Å)、b=73.6(Å)、c=78.0(Å)及び単位胞寸法、a=90.0(Å)、b=77.1(Å)、c=75.0(Å)、からなる群から選択された寸法を有する単位胞を含む、請求項1に記載の結晶。
  11. プロMMP、又はそれらの断片、又はそれらの標的とする構造モチーフ、又はそれらの誘導体、並びに化学物質の原子構造であって、前記化学物質が、前記プロMMPのアロステリックな小分子型プロセシング阻害因子であり、前記原子構造が、次の:表11に記載の座標、表12に記載の座標、表13に記載の座標、及び表14に記載の座標からなる群から選択される座標を含む、原子構造。
  12. 前記プロMMPがプロMMP9である、請求項11に記載の原子構造。
  13. 前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子が、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する、請求項12に記載の原子構造。
  14. 前記アロステリックな結合部位が、アミノ酸残基100〜102、110、114、177〜179、190〜193及び405〜410を含み、ここで付番は、完全長のヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体、すなわちプロMMP9(1〜707)(配列番号1)より採用するものである、請求項13に記載の原子構造。
  15. 前記プロMMPが、プロMMP1、プロMMP2、プロMMP3及びプロMMP13からなる群から選択されるプロMMP9のホモログである、請求項11に記載の原子構造。
  16. 前記アロステリックな小分子型プロセシング阻害因子が、アポ形態のプロMMP9においてPhe 107により占有される空間領域とホモログな空間領域を含むアロステリックな結合部位に結合する、請求項15に記載の原子構造。
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