JP2014529578A - エポキシ化天然脂肪および油由来の色度低減エポキシ化エステル - Google Patents

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Abstract

【課題】フタル酸エステル可塑剤のかわりに、PVCの一次可塑剤として使用することができる色度低減エポキシ化脂肪酸エステルが提供される。【解決手段】色度低減エポキシ化脂肪酸エステルは、エステル交換法および分子間エステル交換法により、天然脂肪または油から調製され、これにより、ホウ化水素の使用によって、ASTM D1209に準拠したPt−Co色度が、50以下程度を有する物質が可能となる。【選択図】なし

Description

[0001] 本発明は、様々な動物性脂肪および植物性油由来のエポキシ化(epoxidized)脂肪酸エステルを製造する方法、ならびにそれらの方法により製造される生成物を対象とする。特に、本発明は、エポキシ化天然動物性脂肪および植物性油(「天然脂肪および油」)由来の薄色のエポキシ化脂肪酸エステルを製造する方法に関する。
[0002] こうしたエポキシ化脂肪酸エステルは、様々なポリマー組成物および最終用途にとって、再生可能な資源をベースとする、または再生可能な資源から誘導される可塑剤として使用するため、最近、かなり関心の深いものになってきた。特に、こうした物質は、ハロゲン化ポリビニル組成物に使用するために研究されてきた。
[0003] 最も一般的なハロゲン化ビニルポリマーであるポリ塩化ビニル(PVC)は、実質的に非可塑性の剛直なフォームおよび可塑化PVCフォームにおいて、商業的に応用されている。本発明には関係のない剛直なPVCは、配管工事、ダクトなどのために使用されており、この場合、高耐薬品性が必要とされるが、柔軟性または可撓性は必要ではない。一方、可塑化PVCは、革の代替品として、ならびに革張り家具、自動車の座席および他の物品向けの布カバーとしての働きの他に、フィルム、シート、ワイヤおよびケーブルの被覆材、成形型、コンベアのベルト、玩具、ならびにホースに応用されている。
[0004] おおまかに言えば、可塑剤とは、ポリ塩化ビニル(これ以降、PVC)などのポリマーと合わせて、該ポリマーに、特定の最終用途に必要な柔軟性、進展性および作業性、またはこれらの属性のいくつかの組合せを付与する物質のことである。一次および二次可塑剤を組み合わせて使用されることが多く、二次可塑剤は、作用することはなく、それ自体所望の属性をPVCに付与しないが、一次可塑剤(複数可)の有効性を改善するよう働き、また任意に、該物質が取り入れられたPVC組成物に他の特性をもたらす。
[0005] 歴史的に、大多数の一次PVC可塑剤は、石油由来のフタル酸エステルおよび安息香酸エステルの化合物であり、フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジイソノニルが、特筆すべき例である。しかし、石油の価格および入手可能性に変動があるため、こうした石油由来の可塑剤を製造して使用するには高価な場合が多い。また、石油埋蔵量が減少し、新規の供給材料にはより費用がかかり且つその確保がより難しいことが分かっているため、このままの状態が続く可能性がますます高い。さらに、ある種の石油由来のフタル酸エステル可塑剤は、人間の内分泌活動を攪乱する可能性が懸念されており、これらの懸念に対処するため、多くの国々において、行政規制が確立している。
[0006] 未改質の植物/植物性油は、PVC樹脂とほとんど相溶性はないが、エポキシ化大豆油(ESO)などのこうした油のある種の改質誘導体はPVC樹脂と相溶性があり、一次および二次可塑剤の両方として、低価格の、再生可能な資源をベースとする、石油をベースとする可塑剤の代替品としての使用に関する検討が活発に行われてきた。動物性脂肪またはとりわけ植物/植物性油などの再生可能な資源を由来とする有用な可塑剤を開発する関心は、製品組成物中に可塑剤を必要とする該製品に触れる人々に対して、こうした物質は生理的攪乱または他の被害(injury)を引き起こす可能性がより低くなると思われるという期待からも部分的に深まっている。
[0007] しかし、Beneckeらへの米国特許第6,797,753号に関連する通り、これらの改質植物性油の誘導体は、PVC中への相溶性に限界があるため、二次可塑剤としてのみ、限られた範囲で商業的に使用されてきたに過ぎない。したがって、Beneckeらおよび他の者が、一次可塑剤として使用するために、エポキシ化大豆油の有益な熱安定特性を維持しながらも、相溶性の改善した、さらなる改質物(modification)または他の植物性油由来の物質を特定しようとしている。Beneckeらの場合、植物性油由来の脂肪酸を含有しており、また該脂肪酸がアルコール(モノオールまたはポリオール)により実質的に完全にエステル化されており、該脂肪酸が実質的に完全にエポキシ化されている不飽和結合を有しており、さらに該脂肪酸がアルコール上の1つまたは複数のヒドロキシル位に実質的にランダムに付加している、一次可塑剤を報告している。特に言及した一次可塑剤には、エポキシ化ペンタエリトリトールテトラソイエート(tetrasoyate)、エポキシ化プロピレングリコールジソイエート、エポキシ化エチレングリコールジソイエート、エポキシ化大豆脂肪酸メチル(epoxidized methyl soyete)、エポキシ化スクロースオクタソイエート、およびアマニ油により分子間エステル交換されている(interesterified)大豆油のエポキシ化生成物が含まれる。
[0008] Beneckeらは、これらの可塑剤を製造することができるいくつかの方法について記載している。一実施形態では、前記特許第753号のカラム3の17〜30行目に見られる、植物性油脂肪酸を直接エステル化することにより、モノアルコールまたはポリアルコールに連結し、次に、該エステル化生成物をエポキシ化している。30行目から記載されている第2の実施形態では、直接エステル化工程が、エステル交換により置き換えられており、これにより、モノオールまたはポリオールは、植物性油脂肪酸の低級アルキルエステルと反応して所望のエステルと低級アルコールが生成し、次に該エステルがエポキシ化されている。さらに別の実施形態では、第1のエステルを第2のエステルにより分子間エステル交換し、所望のエステルをやはりエポキシ化している。
[0009] 2009年8月20日公開のWO2009/102877A1、「A Replacement Plasticizer System for Phthalate−Plasticized Formulations」は、フタル酸エステル不含系において一次可塑剤として有用なエポキシ化脂肪酸エステルであって、適切に不揮発性の石油をベースとせず、現在、フタル酸エステル可塑剤を使用している配合物(PVC、他のハロゲン化ポリマー、酸官能性ポリマー、無水官能性ポリマーおよびニトリルゴムをベースとするものを含むもの)に、熱安定性を付与する能力を有する上記エステルも同様に対象にして記載している。適切なエポキシ化脂肪酸エステル可塑剤は、エポキシ化バイオディーゼル(慣用的に、大豆油、ナタネ油またはパーム油の脂肪酸メチルエステルであるが、C1〜C14のエステルがより一般に考えられる)およびバイオディーゼルの脂肪酸エステルのエポキシ化誘導体を含むと言われている。Beneckeらと同様に、エポキシ化脂肪酸エステルを製造するために記載されている方法は、始めに脂肪酸エステルの形成、次いで該エステルのエポキシ化が必要である。
[0010] エポキシ化大豆脂肪酸メチルエステル(epoxidized methyl soyete esters)は、Beneckeらおよび先ほど議論した前記出願WO’877の両方において主に特徴づけられる通り、エポキシ化大豆油から始めて、アルコール分解により製造(Kuesterらへの米国特許第3,070,608号を参照されたい)されることも知られており、この場合、例えば、ESO(エポキシ化大豆油)は、触媒としてナトリウムメトキシドの存在下で、過剰モルのメタノールと反応して、EMSを生成する。ESOからEMSに行き着くまでのエポキシドの総含有量は、相対的に変化しないものとしてカラム1の21〜22行目に示されており、わずかな減少または減少が全くないことを示している。
[0011] 述べてきたように、これらの参照および他の参照において記載されている、様々な再生可能な資源をベースとする可塑剤は、少なくとも部分的に、現在のフタル酸エステル可塑剤の当座の代替品を提供する目的をもって、開発されてきた。多くの属性に関して、これらの公知の方法により製造されるエポキシ化脂肪酸エステル可塑剤は、それらが取って代わろうとするフタル酸エステル可塑剤と比較した場合、実質的に等価の、または確かに商業的に許容可能なレベルの性能を実際に示すことができる。
[0012] 非常に重要な属性の一つは色である。ある特定の一般的な用途または使用背景において、可塑化組成物は、無色で透明であることの両方が望ましい。一例は、医療および他の使用向けの透明なプラスチック製チューブの製造にあろう。着色組成物が使用される(および所望の最終色が黒以外である)非常に多くの他の用途では、所望の色を実現することができるよう、薄色可塑剤が同様に必要とされている。例には、玩具、自動車の内装および外装、布用インク、ビニル製床材(これは、非黄色の摩耗層およびその下に透明な白色物が必要である)、ならびに無数の他の消費者用品および産業用品が含まれると思われ、この場合、色は重要な差別化およびマーケティング手段となる。それ以前までこのように幅広く使用されてきたフタル酸エステル可塑剤は、10〜20の範囲のPt−Co色度を有しており、またBeneckeら、Kuesterら、または前記出願WO’877のいずれも、各場合において製造されたエポキシ化エステルのPt−Co色度は明確に示していない一方、本発明者らは、前記出願WO’877およびBeneckeらにおいて記載されている方法によるエポキシ化大豆脂肪酸メチル可塑剤の製造において、Pt−Co色度値がフタル酸エステル可塑剤に関連するものよりも高いことを見いだし、したがって、この重要な属性における改善が必要であった。
[0013] 一態様では、本発明は、アルコールとエポキシ化天然脂肪または油を反応させて、エポキシ化脂肪酸エステルを形成させるのに有効な条件下で、該アルコール、該エポキシ化天然脂肪または油、およびホウ化水素をエステル交換触媒と混合することにより、エポキシ化天然脂肪または油から色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを製造する方法であって、前記エポキシ化脂肪酸エステルが、上記触媒の存在下で、かつ上記同一条件であるがホウ化水素を使用せずに、エポキシ化天然脂肪または油とアルコールを反応させて得られるエポキシ化脂肪酸エステルと比較して、Pt−Co色度の低減を示す上記方法の提供において、この必要性に対処するものである。一実施形態では、ホウ化水素は、触媒を導入する前に、エポキシ化天然脂肪または油およびアルコールを含む反応混合物に含まれている。代替的実施形態では、ホウ化水素および触媒は、同時または実質的に同時に、エポキシ化天然脂肪または油、およびアルコールを含む反応混合物中に取り入れられる。さらに別の実施形態では、ホウ化水素は、触媒の導入前、およびそれと同時の両方で、反応混合物に取り入れることができる。どのような場合でも、ホウ化水素は一般に、触媒と比較すると、反応混合物のより少ない成分となる。関連する態様では、本発明は、こうした方法により製造される色度低減エポキシ化脂肪酸エステル、および一次可塑剤としての色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを含む可塑化ポリマー組成物、とりわけフタル酸エステル不含または実質的にフタル酸エステル不含であり、かつフタル酸エステルの一次可塑剤の置き換えとして、本発明の色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを含む可塑化ポリマー組成物を対象としている。
[0014] 第2の態様では、本発明は、第2のエステルとエポキシ化天然脂肪または油を反応させて、1つまたは複数のエポキシ化脂肪酸エステルを形成させるのに有効な条件下で、該エポキシ化天然脂肪または油、該第2のエステル、およびホウ化水素を、分子間エステル交換触媒と混合することにより、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルまたはこうしたエステルのブレンドを製造する方法であって、前記エポキシ化脂肪酸エステルが、上記触媒の存在下で、かつ上記同一条件であるがホウ化水素を使用せずに、エポキシ化天然脂肪または油と第2のエステルを反応させて得られるエポキシ化脂肪酸エステル(複数可)と比較して、Pt−Co色度の低減を示す前記方法に関する。一実施形態では、ホウ化水素は、触媒を導入する前に、エポキシ化天然脂肪または油および第2のエステルを含む反応混合物に含まれている。代替的実施形態では、ホウ化水素および触媒は、同時または実質的に同時に、エポキシ化天然脂肪または油、および第2のエステルを含む反応混合物中に取り入れられる。さらに別の実施形態では、ホウ化水素は、触媒の導入前、およびそれと同時の両方で、反応混合物に取り入れることができる。どのような場合でも、ホウ化水素は一般に、触媒と比較して、反応混合物のより少ない成分となる。関連する態様では、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルおよびこうしたエステルのブレンドは、そうして製造された色度低減脂肪酸エステル(複数可)を含む、可塑化ポリマー組成物(とりわけ、フタル酸エステル不含、または実質的にフタル酸エステル不含組成物)と共に提供される。
[0015] 本発明の改良したエステル交換法および分子間エステル交換法の一方または両方において、ホウ化水素の予備処理が以下に例示する通りに使用されエステル交換または分子間エステル交換を実施する過程において、ホウ化水素の色度低減または発色阻害有効性を改善することができる。ホウ化水素が予備処理なしに含まれる分子間エステル交換例においては、同じ目的のために、好ましくは非求核性アルコール(例えば、t−ブタノール)などのさらなる添加剤がかわりに、ホウ化水素を含む反応混合物中に含まれる。
[0016] 本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,126,018号(Poppeに対する)では、分子蒸留またはさらなる脱色工程(例えば、炭素処理、漂白など)を必要としないと思われる、望ましい薄色を有するジヒドロキシポリオールエステル生成物を実現するポリオールエステルを製造できることが発見された。より詳細には、エステル交換触媒およびホウ化水素の存在下で、プロピレングリコールを植物性油脂肪酸メチルエステルまたはポリ不飽和植物性油からの他の脂肪酸のC1〜C5アルキルエステルなどの脂肪酸エステルと反応させることにより、ラテックス塗料中の不揮発性の融合助剤としての使用に許容可能と思われる、薄色プロピレングリコールモノエステルを製造することができることが確定された。言及した他のジヒドロキシポリオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが含まれていた。
[0017] 本発明は、少なくとも一部には、出発原料として考えられるエポキシ化天然脂肪または油中のエポキシド官能性に不安定な性質があるにもかかわらず、第1の態様によるエステル交換法または第2の態様による分子間エステル交換法により、エポキシ化天然脂肪または油から色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを製造することもできるという発見に基づくものである。
[0018] 同様に、ホウ化水素の添加およびエポキシ化天然脂肪または油から開始することは、Beneckeらまたは上記出願WO’877の公知の方法に従って製造されるエポキシ化脂肪酸エステルを使用して調製される等価な組成物と比較して、本発明の色度低減エポキシ化脂肪酸エステルが取り入れられている可塑化ポリマー組成物の他の商業的に関連する性能属性に著しく影響を及ぼすようには見えない。したがって、より詳細に以下の実施例において実証する通り、本教示により製造されるエポキシ化大豆脂肪酸メチル(EMS)可塑剤は、こうした公知の方法により製造されるEMS可塑剤に比べて、関連性能属性において実質的に等価であることを実証しているが、同時にPt−Co色度の改善も実現する。
[0019] 「大豆油のエポキシ化メチルエステルなどの脂肪酸エステルから製造されるエポキシドは揮発性が高すぎるので、PVCの有用な可塑剤として働かない」(1頁、30〜31行)ということが上記出願WO’877において示されたことを考慮すると、特定の色度低減エポキシ化脂肪酸エステル、すなわちEMSに関すると、このことは、追加的にかなり重要な知見である。色度低減エポキシ化大豆脂肪酸メチルエステルは、バイオディーゼルの生産経済性または入手可能性に依存(ひいては、燃料の需要、価格および使用形態にある程度依存することになる)するよりはむしろ、エポキシ化大豆油(その需要と供給は、ESOを二次可塑剤および熱安定化剤として使用することができる同じ可塑化PVC組成物に対する需要と少なくともある程度関係し、燃料市場における条件には関係しない)の供給可能性に付随して本発明により製造することができる。
[0020] 色度低減EMSおよびESO由来の他のエポキシ化大豆油エステル誘導体を製造することができるということは、やはり、色度低減EMSおよび薄色エポキシ化大豆油誘導体を製造するための供給材料として使用される同じESOもまた、二次可塑剤および熱安定化剤として、ESOの従来的な役割でこれらの製品と合わせることもでき、その結果、ESOは、供給材料と色度低減剤(reduced color)の一部のどちらにもすることができ、完全に再生可能な資源をベースとするフタル酸エステル不含の可塑剤系を提供することができる事実の点で利点がある。
[0021] 一般用語では、また上記の通り、本発明により可能となる色度低減エポキシ化脂肪酸エステルは、所望に応じてエステル交換法および分子間エステル交換法の両方によって製造することができる。第1の態様によるエステル交換法では、エポキシ化天然脂肪または油は、アルコール、ホウ化水素、およびエステル交換触媒と合わされて、上記エポキシ化天然脂肪または油とアルコールが反応してエポキシ化脂肪酸エステルを形成し、このエステルは、上記エステル交換触媒の存在下で、同一の条件下ではあるがホウ化水素を使用せずにエポキシ化天然脂肪または油とアルコールが反応して得られるエポキシ化脂肪酸エステルと比較すると、Pt−Co色度が低減していることを示す。一実施形態では、ホウ化水素は、触媒の導入前に、エポキシ化天然脂肪または油およびアルコールを含む反応混合物中に含まれる。代替的実施形態では、ホウ化水素および触媒は、同時または実質的に同時に、エポキシ化天然脂肪または油、およびアルコールを含む反応混合物中に取り入れられる。さらに別の実施形態では、ホウ化水素は、触媒の導入前、およびそれと同時の両方で、含ませることができる。どのような場合でも、以下にさらに詳しく述べる通り、ホウ化水素は、触媒と比較して、反応混合物のより少ない成分となる。
[0022] Pt−Co色度における改善程度は、他の考慮するものの中では、使用する具体的な天然脂肪または油に依存することを予期し得る。しかし、好ましくは、先ほど要約した本方法は、ホウ化水素を使用せずに生成されると考えられる物質のPt−Co色度の80パーセント以下のPt−Co色度(以下の実施例で示される方法で決定される)を有するエポキシ化脂肪酸エステルを生成することになり、より好ましくは、ホウ化水素を使用せずに生成されると考えられる物質のPt−Co色度の65パーセント以下であり、最も好ましくは、該物質のPt−Co色度の50パーセント以下である。
[0023] 好ましくは、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルのPt−Co色度が150以下、より好ましくは90以下、最も好ましくは50以下となるよう、本エステル交換法の文脈において色の改善程度が実現し、その結果、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルは、Pt−Co色度特性が同等の、フタル酸エステル可塑剤の満足のいく代替品となり得る。この点において、ホウ化水素を含有させること、ならびにホウ化水素の量およびエステル交換法の他の条件の選定により、望ましいPt−Co色度の基準を満たす物質が実現しない場合、1つまたは複数の、他の公知の脱色技法、例えば、炭素処理または漂白を同様に使用することができる。
[0024] エポキシ化天然脂肪または油は、動物または植物(野菜を含む)源に由来することができる。好ましくは、エポキシ化天然脂肪または油は、植物性油または種子油、例えば遺伝子組み換え油、大豆油、アマニ油、トウモロコシ油、ひまわり油、キャノーラ油、なたね油、ココナッツ油、パーム核油、パーム油、綿実油、落花生油、オリーブオイル、トール油、サフラワー油およびそれらの誘導体および混合物である。好ましくは、油は、上記の群から選択されるポリ不飽和油である。最も好ましくは、ポリ不飽和油は、C18:3またはそれより高級な脂肪酸に乏しいものである。十分にレベルの低いC18:3またはそれより高級な脂肪酸を有する任意のポリ不飽和油が本方法に適しているが、好ましくは、油はサフラワー油、ひまわり油またはトウモロコシ油である。好ましい油は、C18:3またはそれより高級なポリ不飽和脂肪酸を2パーセント未満しか含んでいない。より好ましくは、油はC18:3またはそれより高級なポリ不飽和脂肪酸を1パーセント未満しか含んでいない。さらに、2パーセント未満のリノレン酸を含むポリ不飽和油が好ましい。より好ましくは、リノレン酸含有量は、1パーセント未満である。
[0025] エステル交換用のアルコール反応物は、エステル交換触媒の存在下で、エポキシ化天然脂肪または油と共にエポキシ化脂肪酸エステルを形成することになる、幅広い様々な脂肪族または環式の一価(monohydric)、二価または多価アルコールの任意のものから広く選択することができるが、芳香族アルコールはそれほど好ましくない。1〜20個の炭素原子を有する一価の脂肪族アルコールが好ましく、また、一級、二級および三級アルコールを考慮することができるが、一価の一級脂肪族アルコールがより好ましい。例えば、色度低減エポキシ化大豆脂肪酸メチルエステル、大豆脂肪酸エチルエステルおよび大豆脂肪酸ベンジルエステルを供給するためには、メチル、エチルおよびベンジル一価一級脂肪族アルコールが特に好ましい。
[0026] 本方法に使用するために選択される触媒は、エステル交換反応の実施に適する任意の触媒とすることができ、こうした触媒の多くは公知である。好ましくは、本方法で使用される触媒は、アルカリ触媒である。より好ましくは、触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、またはSigma−Aldrich Co.社からの1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(CAS 244187−81−3)などのN−複素環式カルベン触媒(しかし、他のN−カルベン触媒および調製方法は、必要以上の実験をすることなく、当業者の能力の範囲内にあろう)からなる群から選択される。最も好ましくは、本方法で使用される触媒は、ナトリウムメトキシドである。
[0027] ホウ化水素物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムおよび水素化ホウ素リチウムからなる群から選択することができる。決まった手順の実験により、熟練者は、ある特定の色度低減を生じることになる量のホウ化水素の量、および公知の追加の脱色技法の使用が望ましいかを迅速に決定することができよう。好ましくは、ホウ化水素は、反応物および触媒の1.0重量パーセント〜0.0001重量パーセントの間の量で存在する。より好ましくは、ホウ化水素の量は0.1パーセント〜0.001パーセントの間にある。よりホウ化水素量が多いほど、対応する程度のさらなる改善が生成物のPt−Co色度にないまま、またはPt−Co色度のさらなる改善を本当に必要としない状況下で、望ましいエステル交換プロセスを阻害する傾向を持ち得るので、いかなる場合においても、触媒は好ましくは、ホウ化水素と比較して、反応混合物のより大きい部分を占める。
[0028] 一実施形態では、エポキシ化天然脂肪または油と、アルコールとのエステル交換に対するホウ化水素の考えられる阻害効果を回避する一助のために、ホウ化水素は、触媒の導入、およびエステル交換プロセスの開始前に、エポキシ化天然脂肪または油とアルコールを含む反応混合物中に含まれる。代替的実施形態では、ホウ化水素および触媒は、エポキシ化天然脂肪または油およびアルコールを含む反応混合物に同時に取り入れられるか、または十分同時に取り入れられ、その結果、ホウ化水素は、進行中のエステル交換反応を実質的に阻害しない。さらに別の実施形態では、ホウ化水素の量は、触媒の導入前、およびそれと同時の両方で、導入することができるのは当然である。
[0029] 以下に例示する通り、ホウ化水素の予備処理もまた使用することができ、これによりホウ化水素は、触媒と合わされる前に、一時の間、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)と溶液中で合わされる。以下でもっと徹底的に説明する分子間エステル交換の背景では、この方法におけるホウ化水素の予備処理は、少なくとも、分子間エステル交換触媒および分子間エステル交換プロセスに関係するホウ化水素のある阻害効果を回避する一助になると考えられるが、先ほど示した通り、ホウ化水素の予備処理は、本エステル交換の背景でも同様に使用することができる。
[0030] 使用される方法の条件の点で、合わせたエポキシ化天然脂肪または油とアルコールは、エステル交換触媒およびホウ化水素の存在下で加熱されて、エポキシ化天然脂肪または油のエステル交換が行われる。好ましくは、合わせた出発原料は、N、ArまたはCOなどの不活性雰囲気中、わずかな真空下で、40℃〜70℃の間の温度まで加熱される。より好ましくは、温度範囲は40℃〜55℃である。反応物は、好ましくは無溶媒(neat)で使用され、反応は、水分の非存在下、連続撹拌しながら行われる。雰囲気はOが含まれず、上で挙げたものなどの不活性ガスから構成されるのが好ましい。合わせた混合物は、上記の温度範囲までゆっくり加熱される。エステル交換プロセスにおいて、生成物への十分な転化が起こるまで、温度は上記の範囲内に維持される。好ましくは、本反応は、実質的に完結するまで、継続されることになる。次に、反応混合物は冷却され、触媒がクエン酸またはリン酸などの酸により中和される。次に、色度低減エポキシ化脂肪酸エステル生成物は、従来の手段により残留未反応エポキシ化天然脂肪または油から分離することができる。
[0031] 本発明の色度低減エポキシ化エステル(エステル交換または分子間エステル交換のどちらか一方により製造される)は、ハロゲン化ポリマー、酸官能性ポリマー、無水官能基性ポリマーおよびニトリルゴムを含む、様々なポリマー中に、一次または二次可塑剤として使用することを意図することができる。例示的なハロゲン化ポリマーはPVCポリマーであり、この場合、本明細書で使用する「PVC」または「ポリ塩化ビニル」は、塩化ビニルのホモポリマー、および酢酸ビニル、プロピレン、エチレン、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチルおよび他のエチレン性不飽和コモノマーなどのコモノマーを通常、最大20%まで含む塩化ビニルとのコポリマーを網羅するものと理解される。他のハロゲン化ポリマーの例には、ポリビニルハライドポリマー、塩素化ポリオレフィンおよび塩素化ゴムが含まれる。適切な酸官能性ポリマーには、アクリル酸官能性ポリマー、ならびにアクリルポリマー、およびガラス転移を低減するまたは靱性を改善するために可塑が必要な他のポリマーが含まれる。
[0032] 一次可塑剤として使用する場合、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルは、好ましくはポリマー組成物の少なくとも20重量パーセント含まれることができ、より好ましくは少なくともポリマー組成物の30重量パーセント含まれることになり、最も好ましくはポリマー組成物の少なくとも50重量パーセント含まれることになる。
[0033] 本発明の可塑化ポリマー組成物は、本発明の色度低減エポキシ化エステルの他に、様々な種類の添加剤を含めて、他のすべての点で従来の方法で配合することができることに留意されたい。色度低減エポキシ化エステルが、好ましい実施形態において、一次/二次可塑剤系の一次可塑剤として使用される場合、例えば、エポキシ化大豆油などの再生可能なものをベースとする二次可塑剤および熱安定化剤を加えることができ、または、熱安定性、潤滑性または耐候性からなる1つまたは複数の特性を改善するために、他の二次可塑剤(石油をベースとする可塑剤を含む)または紫外線吸収剤、充てん剤、酸化防止剤、静電防止剤、かぶり防止剤(anti-fogging agent)、顔料、染料、架橋助剤などの他の添加剤を本組成物に取り入れることができる。ある実施形態では、本発明の色度低減エポキシ化エステルは、フタル酸ジオクチル、他のフタル酸エステル、クエン酸エステル、安息香酸エステル、トリメリット酸エステル(trimellitates)、および他の脂肪族ジエステルなどの他の一次可塑剤と組み合わせて使用することもできるが、好ましくは、本発明の可塑化ポリマー組成物は、どのようなフタル酸エステルも含まないことになり、さらに再生可能なものをベースとするかまたはバイオベースの可塑剤しか実質的に含まないことになる。
[0034] 一次可塑剤として本発明の色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを使用し、かつ好ましくはESOまたはある種の他のバイオベースの二次可塑剤を含んで調製されるポリマー組成物は、様々な最終用途に商業的に応用されることになり、この場合、色(または、実質的に無色)が重要である。適切な最終用途の例には、インク、プラスチゾル、ビニルコンパウンディング、ワイヤ用被覆材、医療用具、床材、玩具、ならびに自動車部品および内装がある。
[0035] 本発明の第2の態様による分子間エステル交換法では、エポキシ化天然脂肪または油は、第2のエステル、ホウ化水素、および分子間エステル交換触媒と合わされて、このエポキシ化天然脂肪または油と第2のエステルが反応し、エポキシ化脂肪酸エステルまたはエステルブレンドが形成し、前記エステルまたはブレンドは、上記分子間エステル交換触媒の存在下で、上記と同一の条件下ではあるがホウ化水素の使用なしにエポキシ化天然脂肪または油と第2のエステルが反応して得られるエポキシ化脂肪酸エステルまたはエステルブレンドと比較すると、Pt−Co色度の低減を示す。一実施形態では、ホウ化水素は、触媒の導入前に、エポキシ化天然脂肪または油、および第2のエステルを含む反応混合物に含まれる。代替的実施形態では、ホウ化水素および触媒は、エポキシ化天然脂肪または油、および第2のエステルを含む反応混合物中に同時に取り入れられる(または実質的にそのようにされる)。さらに別の実施形態では、ホウ化水素は、分子間エステル交換触媒の導入前、およびそれと同時の両方で、含ませることができる。どのような場合でも、以下にさらに詳しく述べる通り、ホウ化水素は、触媒と比較して、反応混合物のより少ない成分となる。
[0036] ホウ化水素は、予備処理し、例えばジグライム溶液中の反応混合物に導入してもよいが、予備処理しない場合、それに応じて、好ましくは、非求核性アルコール(例えば、t−ブタノール)などのさらなる添加剤が反応混合物中に伴うことになる。あるいは、さらなる添加剤は、予備処理工程なしに使用されてもよい。以下の実施例において、単にホウ化水素の使用により、Pt−Co色度にかなりの改善が実現しているように思われない分子間エステル交換を実施した。予備処理工程が含まれていた場合、改善の程度は、特筆すべきものがあったが、Pt−Co色度は、出発原料のESOおよび置き換えをねらったフタル酸エステル可塑剤と比較すると、依然として高いものであった。しかし、さらなる添加剤をt−ブタノールの形態で含んだ場合、出発原料のESOにより示されたものとほぼ同等、およびそれより優れているPt−Co色度を実現することができた。
[0037] 好ましくは、エステル交換の背景にある通り、分子間エステル交換において生成されるエポキシ化脂肪酸エステルまたはエステルブレンドは、ホウ化水素を使用せずに生成されると考えられる物質のPt−Co色度の80パーセント以下、より好ましくは該物質のPt−Co色度の65パーセント以下、最も好ましくは50パーセント以下を示すことになる。
[0038] 好ましくは、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルまたはエステルブレンドのPt−Co色度が200以下、より好ましくは90以下、最も好ましくは50以下となるように、分子間エステル交換法の背景において色度改善の程度が実現し、その結果、色度低減エポキシ化脂肪酸エステルは、Pt−Co色度特性が同等の、満足のできるフタル酸エステル可塑剤の代替品となり得る。この点において、予備処理したホウ化水素、および/または非求核性アルコールなどのさらなる添加剤の含有、ホウ化水素および/またはさらなる添加剤の量、ならびに分子間エステル交換の他のパラメータの選定により、望ましいPt−Co色度の規準を満たす物質が実現しない場合、1つまたは複数の他の公知の脱色技法、例えば、炭素処理または漂白を同様に使用することもできる。
[0039] エポキシ化天然脂肪または油は、既に記載した通りとすることができ、ホウ化水素も同様とすることができる。第2のエステルは、エポキシ化天然脂肪または油と共に分子間エステル交換を受けて、所与の用途に関心の持たれるエポキシ化脂肪酸エステルをもたらすことになる、幅広い様々な脂肪族または環式のモノエステル、ジエステルまたはポリエステルの任意のものから広く選択することができるが、PVC用の一次可塑剤としてとりわけ使用するためのエポキシ化脂肪酸エステルを製造する点では、特に、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ベンジルを含む、脂肪族および芳香族アルコールの酢酸エステルが好ましい。
[0040] 触媒は、分子間エステル交換反応の実施に適する任意の触媒とすることができ、こうした触媒の多くは公知である。好ましくは、本方法で使用される触媒は、アルカリ触媒である。より好ましくは、触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、またはSigma−Aldrich Co.社からの1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(CAS 244187−81−3)などのN−複素環式カルベン触媒(しかし、他のN−カルベン触媒および調製方法は、必要以上の実験をすることなく、当業者の能力の範囲内にあろう)からなる群から選択される。最も好ましくは、本方法で使用される触媒は、ナトリウムメトキシドである。
[0041] 使用される方法条件の点で、合わせたエポキシ化天然脂肪または油、および第2のエステルは、触媒およびホウ化水素の存在下で加熱されて、エポキシ化天然脂肪または油の分子間エステル交換が行われる。好ましくは、合わせた出発原料は、N、ArまたはCOなどの不活性雰囲気中、わずかに真空下で、40℃〜70℃の間の温度に加熱される。より好ましくは、温度範囲は40℃〜55℃である。反応物は、好ましくは無溶媒で使用され、反応は、水分の非存在下、連続撹拌しながら行われる。雰囲気はOが含まれず、上で挙げたものなどの不活性ガスから構成されるのが好ましい。合わせた混合物は、上記の温度範囲までゆっくり加熱される。生成物への十分な転化が起こるまで、温度は上記の範囲内に維持される。好ましくは、本反応は、実質的に完結するまで、継続されることになる。次に、反応混合物は冷却され、触媒がクエン酸またはリン酸などの酸により中和される。次に、色度低減エポキシ化脂肪酸エステル生成物は、例えば、非限定的な以下の実施例で示される通り、液−液抽出により、残留未反応エポキシ化天然脂肪または油から分離することができる。
[0042] 実施例1
[0043] メタノール100グラム中のナトリウムメトキシド500ミリグラムの撹拌溶液に、水素化ホウ素ナトリウム300ミリグラムを加えた。次に、この混合物を、追加のメタノール400グラム中のエポキシ化大豆油500グラムの溶液に加えた。反応混合物を、アルゴン下で撹拌し、摂氏45度までゆっくりと加熱し、次に、3時間撹拌しながら摂氏45度に維持した。
[0044] 反応混合物の加熱をやめ、混合物を約摂氏35度まで冷却し、この時点で、クエン酸10グラムの水溶液を加えて、混合物を中和した。撹拌しながら10分後、フラスコの内容物を分液漏斗に移した。脱イオン水約100mlを加えて、別個の分離可能な有機相および水相を生じさせた。有機相を回収して、さらなる脱イオン水で3回洗浄(もちろん各洗浄後の有機相を繰り返し回収する)した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した。乾燥剤をろ過により除き、得られた生成物(薄色の粘性オイル)を真空下で一晩、乾燥した。
[0045] 乾燥したEMS生成物を1H NMRによって分析し、ヒドロキシル価および酸価を、精製油の産業界での標準的な試験であるAOCS Tx 1a−66およびAOCS Te 2a−64により、それぞれ決定した。ヨウ素価は、AOCS法Cd 1−25により決定し、オキシラン酸素価はAOCS法Cd 9−57により決定し、また生成物のPt−Coハーゼン(Hazen)色度は、ASTM D1209に準拠して決定した。
[0046] この試験結果は、平均ヒドロキシル価0.4927、酸価0.4446、ヨウ素価0.9048、オキシラン酸素価6.5697パーセント、およびPt−Coハーゼン色度57を示した。
[0047] 実施例2
[0048] 色度低減エポキシ化大豆脂肪酸メチル生成物は、本明細書に記載した通りに調製した、多くのEMSロットを複合する(compositing)ことにより生成した。具体的には、その調製がこの実施例2に述べられている3つのEMSロットを、その調製が以下の実施例7〜9の中で報告されているEMS物質と共に複合した。
[0049] 本実施例により取り扱った3つの成分のロットの中で、2つは同じように調製した。これらについては、ESOを摂氏85度に1時間加熱することにより、エポキシ化大豆油1500グラムを最初に乾燥した。次に、乾燥ESOを、無水メタノール1500グラムと共に反応器に加え、窒素雰囲気下、摂氏55度で撹拌した。ナトリウムメトキシド(4g)および水素化ホウ素ナトリウム(1g)の混合物を、この反応器に加えた。1時間の撹拌後、NMR分析は、この反応が完結しているものとして示した。次に、生成混合物をクエン酸のメタノール溶液(クエン酸25g)により中和し、過剰のメタノールを真空下で除去した。グリセロール相が形成して反応器の底に沈み、除去した。残りの有機相は、脱イオン水で3回洗浄し、次に、硫酸マグネシウムで乾燥した。次に、ろ過により硫酸マグネシウムを除去した際に、残存しているEMS生成物を真空下で一晩乾燥した。第3のロットは、生成混合物をクエン酸のメタノール溶液ではなく、クエン酸の水溶液により中和した以外、同じ方法で調製した。この第3のロットにおいて形成した(中和およびその後の過剰メタノールの除去後)エマルションを破壊し、最初の2つのロットにおける場合と同様に、残存有機相を処理しながら、水層を除去した。このように調製された複合EMS試料のPt−Coハーゼン色度は、43(ASTM D1209により)と求まった。
[0050] 比較例1
[0051] 実施例1および2において調製した色度低減EMS物質を含むPVC組成物と、以下の実施例5および6において比較するための、公知の方法によって調製し、PVC組成物に含まれる「対照」となるEMS用に、Beneckeらの前記特許753号(US6,797,753)のカラム3の30行目から記載されているエステル交換法を使用した。得られた先行技術のEMSは、Pt−Coハーゼン色度103を示した。
[0052] 実施例3
[0053] 水素化ホウ素ナトリウム(1g、0.026M)のジグライム(10mL)溶液をN下、55℃で撹拌しながら、エポキシ化大豆油(850g)に加えた。この混合物を1時間激しく撹拌し、この時点で、無水酢酸エチル(150g、1.7M)を加えた。次に、この混合物にメタノール中のナトリウムメトキシド(30%、NaOMe3g、0.056M)を加えた。この反応混合物を3時間、激しく撹拌した。
[0054] H NMR分析によって確認した通り、反応は酢酸エチルが完全に消費して完結した。生成混合物は、クエン酸溶液(クエン酸20g、0.1M)を添加することにより中和した。この混合物に、石油エーテル(500mL)を加えた。混合物を分液漏斗に加えると、2つの相が形成した。水相を除去し、有機相を脱イオン水により3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。石油エーテルを減圧下で除去すると、エポキシ化エステルの分子間エステル交換生成混合物が得られた。
[0055] 次に、混合エステル生成物のPt−Co色度をASTM D1209に準拠すると、出発原料のESOが105のPt−Co色度であるのに比較して、139と求まった。
[0056] 実施例4
[0057] さらなる分子間エステル交換は、さらなる添加剤として非求核性アルコールを使用して、この実施例のために実施した。ESO(50グラム、0.53mol)を、最初に真空下、130℃で30分間乾燥した。酢酸エチル(108.43mL、97.80グラム)を飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを使用し、乾燥モレキュラーシーブ4Å上で、水素化カルシウムから蒸留した。次に、乾燥ESOおよび酢酸エチルを撹拌子および冷却器を装備した250の丸底フラスコに、窒素雰囲気下で加えた。t−ブタノール(11.47mL、8.89グラム)を硫酸マグネシウムで脱水し、モレキュラーシーブ4Å上で水素化カルシウムから蒸留し、次に、シリンジにより上記フラスコに加え、続いて、粉末のカリウムt−ブトキシド(0.38グラム)および水素化ホウ素ナトリウム(0.12グラム)を加えた。反応混合物を45℃で16時間加熱した。反応物をクエン酸水溶液により中和し、次に水で3回洗浄した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、過剰の酢酸エチルをロータリーエバポレータで除去した。
[0058] 出発ESO供給材料のPt−Co色度が104であることに比較して、分子間エステル交換生成物は、Pt−Co色度88を示した。
[0059] 比較例2
[0060] 実施例4を、水素化ホウ素ナトリウムを反応物に加えなかったことを除いて、再現した。分子間エステル交換生成物のPt−Coは180であり、実施例4のPt−Co色度数の2倍を超えた。
[0061] 比較例3
[0062] 水素化ホウ素ナトリウムまたはt−ブタノールを添加しなかったことおよび反応の間、反応物を還流に保持したことを除いて、実施例4および比較例2にある通り、同じ手順に従った。出発ESO供給材料が104であることに比べ、分子間エステル交換生成物のPt−Co色度は、480と高いものであった。
[0063] 実施例5および6
[0064] 実施例5および6については、可塑化PVC組成物は、比較例1からの先行技術の方法によるEMSから、および実施例1および2においてそれぞれ調製した本発明の色度低減エポキシ化大豆脂肪酸メチルから調製した。先行技術の方法によるEMSに対応する「対照」PVC組成物および実施例5と6のそれぞれのためのPVC組成物は、問題のEMS可塑剤を70重量部、およびTherm−Chek(商標)LOHF 120 Ba/Zn安定化剤(Ferro, Inc.社、Cleveland OH)を2重量部含む、PolyOne,Inc.社(Avon Lake、OH)からのGeon(商標)121 AR ホモポリマーPVC分散樹脂を100重量部から構成された。秤量した粉末固体を、1ガロンのミキシングボウルに導入した。これらの物質を、3−Speed Hobart Paddle Mixerの一番遅い速度で撹拌しながら合わせ、液体成分を固体成分にゆっくりと加えた。内容物を約30分間混合し、この混合物に真空を施し(大きなデシケーター中など)、取り込まれた空気を低減した。
[0065] 以下のプロトコルに準拠し、いくつかの試験をPVC組成物について行った。
[0066] ペースト粘度−プラスチゾル検体のペースト粘度とは、低せん断下における、プラスチゾルの流動挙動のことを述べたものである。所与の用途に対する分散型樹脂の適性は、プラスチゾルの粘度特性に依存しており、注入法、キャスティング法、成形法、および浸漬法における性能を示す。ペースト粘度試験(ブルックフィールド(Brookfield)粘度試験)は、ブルックフィールドRVFD粘度計を使用して、ASTM手順D1824に準拠して実質的に実施した。測定は、分あたり2回転(RPM)および20RPMにて室温で行った。初期にペースト粘度が低いことは、取り扱いの容易さのために望ましいことであり、好ましくは、経時的にできるだけ小さく増加することであり、したがって、ペースト粘度測定は、28日間かけて、いくつかの時点に繰り返し行い、プラスチゾル検体のペースト粘度の安定性を決定した。
[0067] 脱泡性(air release)−脱泡性試験は、プラスチゾルからの混入した空気の相対的な放出速度を決定するために行う。液状プラスチゾルを4オンスのポリプロピレンカップまたは同等なものに注ぎ入れ、スパチュラにより、このプラスチゾルを激しく1分間撹拌する。取り込まれた空気が表面に浮上する際、気泡が壊れる速度を観察し、記録する。「優秀(Excellent)」から「不良(Poor)」までの相対的格付けを、参照配合物との比較により定める。「優秀」な脱泡性(5分)は、Geon(商標)121AR樹脂100部、フタル酸ジイソノニル(DINP)67部、エポキシ化大豆油(ESO)3部およびTherm−Chek(商標)LOHF 120安定化剤2部を含む参照配合物で得られた。「不良」な脱泡性(60分超)は、Geon(商標)121AR樹脂100部、フタル酸ベンジルブチル(BBP)67部、ESO3部およびTherm−Chek(商標)LOHF 120安定化剤2部を含む参照配合物で得られた。
[0068] 硬度−ショアA硬度試験は、Shore Durometer Gageを用い、ASTM D2240に準拠して実質的に行い、プラスチゾルの硬度値を決定する。硬度は可塑剤の有効性の指標である。2種の異なる可塑剤を、他の点では同一のプラスチゾル中に等レベルで取り入れる場合、柔軟なプラスチゾルを与える可塑剤ほど、有効性が高い可塑剤である。
[0069] 熱安定性−Metrastat熱安定性試験を使用して、高温における、プラスチゾルフィルムの熱安定性を測定する。プラスチゾルの溶融シートを調製し、片(strip)の長さに沿って、様々な時間、高温にさらす。優れたプラスチゾルは、変色または焦げることがなく、試験後も柔軟性を維持している。プラスチゾルの溶融シートは、20ミル(0.020”)の延伸棒を用い、熱に安定な表面(離型基材(release substrate))上にプラスチゾルを「ドローダウン」することにより調製する。離型基材は、少なくとも200℃(390°F)で5分間、持ちこたえる能力がなければならない。溶融シート(「ドローダウン」)は、200℃(390°F)のオーブン中で3分間溶融する。溶融シートを室温で最低15分間冷却した後、離型基材からはがす。25cm(9.75インチ)×2.5cm(1インチ)の寸法となる試料片を、溶融シートから裁断する。Metrastat(商標)オーブンは、191℃(375°F)にあらかじめ加熱しておき、試料片をMetrastat(商標)オーブンの移動トレー上に置く。1時間の暴露サイクルを始める。トレーが移動するにつれて、試料片は0〜60分のグラジエント時間をかけて、オーブン温度にさらされる。サイクルが完了すると、試料片を1時間冷却し、この試料が高熱にさらされていた時間を示す、表示紙上にマウントする。
[0070] ゲル化−ゲル曲線およびゲル化温度試験を行い、CarriMed(商標)CSL−2 500レオメーターにより、上昇温度下におけるプラスチゾルの粘度を測定する。ゲル化温度は、可塑剤の溶媒和力を示す。ゲル化温度がより低いことは、溶媒和力がより大きいことを示しており、プラスチゾルの低粘度を維持するのにより少ない熱しか必要としないので、スクリーン印刷、浸漬コーティングおよび軟性ゴムコンパウンド調製などの用途において便宜上好ましい。粘度は温度の関数としてプロットし、プロットの解析により、およそのゲル化温度が示される。水平な4センチメートルのスチール製スピンドルをレオメーターのロータに取り付け、決まった手順の較正を行い、レオメーターのPeltier板とスピンドル間の間隔を較正する。5sec−1の一定せん断速度で、秒あたり0.1℃(0.18°F)の速度で、20℃から100℃(68°Fから212°F)までの温度上昇をレオメーターのソフトウエアにプログラムする。プラスチゾル試料2グラムをPeltier板に搭載し、上記プログラムを開始する。温度傾斜を終えて、片対数表上に、結果を粘度出力対温度としてプロットし、ゲル曲線を作成する。次に、ゲル曲線の2つの領域に対し、線を漸次的に手描きしてX軸方向に延長し、それらが交差するようにする。次に、ゲル化温度は、手描き線の交点に対応する温度を確認することにより概算される。
[0071] 熱損失−熱損失試験を溶融プラスチゾルに適用し、熱老化中におけるパーセント質量損失率を測定する。揮発した可塑剤は、新車のフロントガラスの内装などの、表面近くを汚す恐れがあるので、熱損失は低いのが望ましい。熱安定性試験の場合のように、プラスチゾルの溶融シートを実質的に調製する。正方形の試料(5.0cm×5.0cm(2インチ×2インチ))を、型抜きまたは裁断し、+/−0.0001gまで秤量する。この試料を7日間および/または14日間かけて、82℃(180°F)のオーブン中にインキュベートし、再秤量の前に30分間冷却する。熱損失は、試料の元の重量の割合として表される。
[0072] 可塑剤の揮発性−可塑剤の揮発性試験を使用して、プラスチゾルの加工に影響を及ぼす恐れのある可塑剤の相対的な揮発性を測定する。とりわけ、コンパウンド済み(押し出し済み)プラスチゾルには、揮発性のより低い可塑剤が望ましい。可塑剤試料1グラムを正確に秤量(+/−0.0001g)し、204℃(400°F)で3分間、オーブン中でインキュベートする。重量損失を測定し、重量損失百分率を可塑剤の揮発性として報告する。
[0073] 浸出試験−液状プラスチゾル15+/−0.5グラムを用いて、アルミニウム製秤量用皿中に、溶融プラスチゾルディスクを製造する。プラスチゾル試料1つ当たり3枚のディスクを調製する。プラスチゾルは、400°Fにあらかじめ加熱したオーブン中で10分間、溶融する。ディスクは、水中で迅速に冷却し、アルミニウム製皿から取り出す。浸出を測定するため、2枚の溶融プラスチゾルディスクを重ねたもの(stack)を、少なくとも4週間、180°Fのオーブン中でインキュベートする。これらのディスクを24時間後、および少なくとも4週間、毎週検査し、室温で保管した同一の参照片と比較する。浸出液(exudation)の目視可能な存在を確認し、浸出量を目視検査により決定する。浸出値は、以下の範囲、すなわち、微量−少量−中量−多量の一つに分類するものとして定める。
[0074] 様々な試験の特定の結果を以下の表1に報告する。表1に、先行技術品、わずかに異なる色度低減度を有する本発明の2種の色度低減実施例品(実施例5および6)を取り入れたPVCプラスチゾルにおける他の性能属性を比較できるよう、先行技術、および比較例1、ならびに実施例1および2において本発明の色度低減可塑剤に対して測定したPt−Coハーゼン色度値を再現する。
[0075]
Figure 2014529578
[0076] 実施例7
[0077] 加熱マントルおよび制御器を据え付けた5リットルの丸底フラスコ中に、モル過剰量の無水メタノール(1800グラム)と共に、PlasChek 775(商標)エポキシ化大豆油(Ferro Corporation社、Cleveland、OH)1500グラムを入れた。追加のメタノール(200グラム)、水素化ホウ素ナトリウム(2g)および30%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(20グラム)をプレミックスした後、上記フラスコに加えた。摂氏40度まで加熱を始めながら、窒素を撹拌している混合物に通気した。次に、窒素流を停止した。窒素雰囲気下、摂氏40〜45度で、NMRにより反応の進行を3時間定期的に確認した後、反応が完結し、生成混合物を約摂氏35度までわずかに冷却し、次に50%クエン酸水溶液40グラムにより中和した。分液漏斗中で、脱イオン水による一連の洗浄により、生成混合物から塩を除去した。生成混合物を無水硫酸マグネシウム粉末で脱水し、ろ過して、残留揮発物を、ロータリーエバポレータを使用して除いた。ASTM D1209に準拠して試験した場合、この方法で製造したEMSは、Pt−Coハーゼン色度41を示した。
[0078] 実施例8
[0079] 実施例8は、より大きい12リットルの丸底フラスコ中で、ESO4000グラム、無水メタノール4300グラム、およびメタノール200グラムと30%ナトリウムメトキシドのメタノール53グラムと水素化ホウ素ナトリウム5.3グラムとのプレミックスを合わせて用い、実施例7と本質的に同じ方法で行った。反応の完結時に、実施例7における場合のように、洗浄および乾燥することにより、EMSは約45のPt−Co色度を示した。
[0080] 実施例9
[0081] 実施例8は、同じ物質および手順を使用して、同じ装置中で再現した。試験時、EMSの最終生成物は、Pt−Co色度44を有した。
[0082] とりわけ実施例5および6から観察することができる通り、いくつかのPVCプラスチゾル組成物中で使用されている可塑剤のPt−Co色度にかなりの低減があるにもかかわらず、表1において報告している、先行技術および本発明の色度低減可塑剤から製造したPVCプラスチゾル自体の特性はかなり匹敵している。Metrastat熱安定性、ゲル化/ゲル化温度および浸出に関する、表1に示していない結果も同様に、非常に匹敵していることが分かった。

Claims (27)

  1. ASTM D1209により測定されるPt−Coハーゼン色度が90以下である、天然脂肪または油のエポキシ化脂肪酸エステル。
  2. Pt−Coハーゼン色度が50以下である、請求項1に記載のエポキシ化脂肪酸エステル。
  3. ハロゲン化ポリマー、酸官能性ポリマー、無水官能性ポリマーおよびニトリルゴムからなる群から選択される1種または複数のポリマーと、請求項2または請求項1に記載の1種または複数のエポキシ化脂肪酸エステルとから成る可塑化ポリマー組成物。
  4. 前記ポリマーがPVCである、請求項3に記載の可塑化ポリマー組成物。
  5. 1種または複数のエポキシ化脂肪酸エステルが、組成物の少なくとも20重量%含まれる、請求項3に記載の可塑化ポリマー組成物。
  6. 1種または複数の前記エステルが、組成物の少なくとも30重量%含まれる、請求項5に記載の可塑化ポリマー組成物。
  7. 1種または複数の前記エステルが、組成物の少なくとも50重量%含まれる、請求項6に記載の可塑化ポリマー組成物。
  8. 少なくとも実質的にフタル酸エステルを含まない、請求項3に記載の可塑化ポリマー組成物。
  9. フタル酸エステルを含まない、請求項8に記載の可塑化ポリマー組成物。
  10. エポキシ化天然脂肪または油から色度低減エポキシ化脂肪酸エステルを製造する方法であって、アルコール、エポキシ化天然脂肪または油およびホウ化水素とエステル交換触媒とを、アルコールとエポキシ化天然脂肪または油を反応させるのに有効な条件下で合わせる工程であって、前記触媒の存在下でかつ同一条件であるがホウ化水素を使用せずにアルコールとエポキシ化天然脂肪または油を反応させて得られるエポキシ化脂肪酸エステルと比較して低減したPt−Co色度を示すエポキシ化脂肪酸エステルを形成する工程を含む、方法。
  11. 前記触媒に密接に接触させるのに先立って、ホウ化水素がジグライムと合わせることにより予備処理される、請求項10に記載の方法。
  12. ホウ化水素が、全体の0.0001〜1.0重量パーセントの間で反応混合物中に存在する、請求項10に記載の方法。
  13. ホウ化水素が、全体の0.001パーセント〜0.1重量パーセントの間にある、請求項12に記載の方法。
  14. ホウ化水素が、触媒の導入前に、エポキシ化天然脂肪または油を含む反応混合物に含まれている、請求項10に記載の方法。
  15. ホウ化水素が、触媒と同時または実質的に同時に、反応混合物に含まれる、請求項10に記載の方法。
  16. 前記色度低減エポキシ化脂肪酸エステルのPt−Co色度が、同一条件および同一触媒を使用するがホウ化水素を使用せずに生成されるエステル物質のPt−Co色度の80パーセント以下である、請求項10に記載の方法。
  17. ホウ化水素を使用した生成物のPt−Co色度が、ホウ化水素を使用せずに生成されるPt−Co色度の65パーセント以下である、請求項16に記載の方法。
  18. ホウ化水素を使用した生成物のPt−Co色度が、ホウ化水素を使用せずに生成されるPt−Co色度の50パーセント以下である、請求項16に記載の方法。
  19. エポキシ化天然脂肪または油から色度低減エポキシ化脂肪酸エステルまたはエステル混合物を製造する方法であって、エポキシ化天然脂肪または油、第2のエステルおよびホウ化水素と、分子間エステル交換触媒とを、第2のエステルとエポキシ化天然脂肪または油を反応させるのに有効な条件下で合わせる工程であって、前記触媒の存在下でかつ同一条件であるがホウ化水素を使用せずに第2のエステルとエポキシ化天然脂肪または油を反応させて得られるエポキシ化脂肪酸エステルまたはエステル混合物と比較して、低減したPt−Co色度を示すエポキシ化脂肪酸エステルまたはエステル混合物を形成する工程を含む、方法。
  20. 前記触媒に密接に接触させるのに先立って、ホウ化水素がジグライムと混合することにより予備処理されるか、または前記反応混合物が非求核性アルコールを含むか、あるいは両方の条件を満たす、請求項19に記載の方法。
  21. ホウ化水素が、全体の0.0001〜1.0重量パーセントの間で前記反応混合物中に存在する、請求項19に記載の方法。
  22. ホウ化水素が、全体の0.001パーセント〜0.1重量パーセントの間にある、請求項21に記載の方法。
  23. ホウ化水素が、触媒の導入前に、エポキシ化天然脂肪または油を含む反応混合物に含まれている、請求項19に記載の方法。
  24. ホウ化水素が、触媒と同時または実質的に同時に、反応混合物に含まれる、請求項19に記載の方法。
  25. 色度低減エポキシ化脂肪酸エステルまたはエステル混合物のPt−Co色度が、同一条件および同一触媒を使用するがホウ化水素を使用せずに生成されるエステル物質のPt−Co色度の80パーセント以下である、請求項19に記載の方法。
  26. ホウ化水素を使用した生成物のPt−Co色度が、ホウ化水素を使用せずに生成されるPt−Co色度の65パーセント以下である、請求項19に記載の方法。
  27. ホウ化水素を使用した生成物のPt−Co色度が、ホウ化水素を使用せずに生成されるPt−Co色度の50パーセント以下である、請求項19に記載の方法。
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