JP2014521058A - FeLV感染症を診断するためのネコ白血病ウイルス膜貫通タンパク質p15E - Google Patents

FeLV感染症を診断するためのネコ白血病ウイルス膜貫通タンパク質p15E Download PDF

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Abstract

本発明は、対象においてFeLV感染を検出するための方法を提供し、対象から得られた試料は、p15(E)抗体結合段階において、組換え膜貫通p15Eタンパク質とインビトロで接触する。
【選択図】図1

Description

背景
FeLV感染症は、貧血、腫瘍、および免疫不全などの多面的な臨床兆候を誘導し得る獣医学的に重要な疾患である。有効なワクチンがあるにもかかわらず、FeLV感染症は依然として存在しているが、大部分の研究対象集団において著しく異なっている(Levyら,2006,J Am Vet Med Assoc.228(3):371−6)。
感染後、FeLVは最初に局所リンパ節または扁桃腺において複製する。感染したリンパ球はウイルスを骨髄に運び、ウイルスは高速で複製し、最終的には血流を経由して全身に広がる。FeLVが骨髄および血液の細胞へ組み込まれることで、ネコはプロウイルス陽性となる。ウイルスが血液中で検出できる場合、ネコはウイルス血症になる。膀胱の粘膜および/または腸および唾液腺の上皮の感染により、FeLVは新たな感染サイクルを開始することがある。
FeLVの診断は、主に血漿、血清、または全血中におけるウイルスまたはウイルス抗原の検出に依存している。最も一般的な血清学的検査では、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によりFeLVp27抗原の存在を検出するか(Lutzら,J.Immunol.Methods 56,209−220(1983)、Lutzら,Am J Vet Res.44(11):2054−9)、または、免疫蛍光抗体試験(IFA)により感染した白血球および血小板の細胞質中でFeLV構造抗原を検出する(Hardyら,1991,J Am Vet Med Assoc.199(10):1327−35;ibid.1365−73)。さらに、ウェスタンブロット分析によってFeLV抗体の存在が検出される。
あるいは、非血清学的診断としては、ウイルスの単離(Jarrett OおよびGaniere JP.Vet Rec.138(1):7−11)、またはプロウイルス(FeLV DNA)およびウイルス量(FeLV RNA)を検出するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Hofmann−Lehmann Rら,2001.J Gen Virol.82(Pt 7):1589−96,Herring IPら,2001.Vet Ophthalmol.4(2):119−26,Jacksonら,1996.J Vet Diagn Invest.8(1):25−30)を含む。これらの方法の大部分は時間がかかり、および/または費用がかかる特徴により、それらは実用的かつ臨床的な使用には適していない。FeLV感染症を予測するために抗体検出はどの程度信頼できるのか、およびどの抗体が適しているのかに関する証拠が提供されていないため、診断のためにFeLV抗体を検出する血清学的検査は今まで利用することができなかった。
感染したネコにおけるFeLV疾患の結果はかなり予測することが不可能である。それらは、不稔性(プロウイルス陰性)、進行性(持続的にp27陽性、プロウイルス陽性、FeLV RNA陽性、ウイルス単離陽性)、および退行性(p27陰性、一過性抗原血症後に、または一過性抗原血症なしでプロウイルス陽性)と称される。
しかしながら、血液中でプロウイルス陰性のままであろうネコが血清転換し、FeLV感染症が発生したことが明らかになったと報告されている(Gomes−Keller MAら,2009.Vet Microbiol.134(3−4):208−17;Major Aら,2010.Vet Res.41(2):17.)。これらのネコにおける疾患検出は、面倒で費用のかかる血清学的手順(ネコのオンコルナウイルス結合細胞膜抗原に対する免疫蛍光検査法‘FOCMA‐試験’)によってのみ可能である。
今までは、FeLVに対する抗体の検出は、ネコ集団における内因性FeLV(enFeLV)の広範囲に及ぶ存在のために、獣医学診療における診断の手段として限られた意義しかなかった。enFeLVは免疫系によって許容されないため抗体が誘発され(Langhammerら,2006.Immunology.117(2):229−37)、それは外因性FeLVに対する抗体と区別できない。PCRのみが、内因性FeLVと外因性FeLVの間を区別することができる。したがって、FeLV抗体はこれまで診断パラメータとして有用であると考えられていなかった。さらにいくつかの研究では、FeLVの様々なエピトープに対する十分な抗体反応を検出することができなかった。
Fontenotおよび共同研究者(J Clin Microbiol.(1992)30(7):1885−90)は、予測FeLV膜貫通免疫優性ドメイン(Imd‐TMペプチド、26個のアミノ酸長)の反応性を分析し、血清学における診断薬としてのその可能性を調査した。引用研究では、ペプチドはFeLVに感染したネコからの血清を用いて、無視できるだけのレベルの反応性を示し、それは著者をImd‐TMペプチドはFeLV診断には有用ではないという結論に導いた。
Langhammerら,(Immunology.2006;117(2):229−37)は、細胞外ドメイン(AA476‐583)を含むFeLVp15Eポリペプチドを組換え生成し、FeLVに感染したネコはp15Eに対する抗体を作ったが、ELISAにおける反応は低かったことを示した。エピトープマッピングにより、p15E免疫ネコからの血清により検出されたエピトープを含めて、FeLV感染動物からの血清により認識される様々なエピトープが示されたが、感染した動物における反応はワクチン接種を受けた動物よりも弱かった。該研究から、自然FeLV感染はp15Eに特異的な抗体の弱い誘導、および中和抗体の少ない誘導をもたらすことが結論付けられた。
Levy et al.,2006,J Am Vet Med Assoc.228(3):371−6 Lutz et al.J. Immunol.Methods 56,209−220(1983) Lutz et al.,Am J Vet Res.44(11):2054−9 IFA;Hardy et al.,1991,J Am Vet Med Assoc.199(10):1327−35;ibid.1365−73 Jarrett O and Ganiere JP.Vet Rec.138(1):7−11 Hofmann−Lehmann R et al.2001.J Gen Virol.82(Pt 7):1589−96 Herring IP et al.2001.Vet Ophthalmol.4(2):1 19−26 Jackson et al.,1996.J Vet Diagn Invest.8(1):25−30 Gomes−Keller MA et al.2009.Vet Microbiol.134(3−4):208−17 Major A et al.2010.Vet Res.41(2):17 Langhammer et al.2006.Immunology.1 17(2):229−37 Fontenot et al.,J Clin Microbiol.(1992)30(7):1885−90
本発明の目的は、いくつかの実施形態において、ネコにおけるFeLV感染を検出するため、特にp27陽性ウイルス血症の非存在下で潜伏伝染性のFeLV感染を診断するための、安全かつ経済的な方法および手段を提供することである。この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
本明細書において使用される「FeLV感染」は、生殖細胞系における内因性FeLV配列の存在の対語として、外因性FeLVの存在および複製を指す。
本発明のある実施形態の基礎は、感染を例えばELISAによるp27の検出などの従来の方法によって検出することができない場合であっても、N末端アミノ酸配列を含む組換え膜貫通タンパク質p15Eへの抗体の結合は、過去及び現在のFeLV感染を検出するための重要な診断能力の手段であるという、驚くべき知見にある。
本発明は、FeLV診断における別のアプローチとして、血清学における4つのFeLV抗原:組換えenv遺伝子産物(p45)、全ウイルス、FeLV TM C領域からの短いペプチド、および全細胞質配列を含む組換えp15E、の有用性に関する研究の成果である。実験的に感染し、かつ免疫されたネコからだけでなく、現地調査のネコからの血清をELISAで調べた。各試料から、プロウイルス、p27、および免疫の状態を知った。
平均O.D.(y軸)に対して血清型(x軸)をプロットした図である。ELISAにより組換えp15E調製物において免疫原性汚染物質が存在しないことが示されている。 SPFネコおよびプロウイルス陽性(p27陽性およびp27陰性のネコ)を含む実験的に感染したネコに対するプロウイルスの経験的受信者動作特性(ROC)曲線を示す図である。様々なカットオフで、真陽性率(感度、y軸)を偽陽性率(1‐特異度、x軸)に対してプロットされている。 カットオフ(x軸)に対してプロットした感度×特異度(y軸)により、実験的に感染したネコに対する最適なカットオフ値の決定を示す図である。暗線は、特異度≧80%を表し、矢印は、カットオフポイントを示している。 現地調査ネコに対するプロウイルスの経験的受信者動作特性(ROC)曲線を示す図である。様々なカットオフで、真陽性率(感度、y軸)が偽陽性率(1‐特異度、x軸)に対してプロットされている。 カットオフ(x軸)に対してプロットした感度×特異度(y軸)により、実験的に感染したネコに対する最適なカットオフ値の決定を示す図である。 決定のための種々の方法の間の一致度の程度を示している(コーエンのk(=カッパ)値)図である。 相対的OD値を表すy軸および研究で使用されるさまざまなワクチンのx軸により、実験的にワクチン接種したネコにおけるp15E反応性を示す図である。灰色バー:ワクチン接種前の8週齢のSPFネコ、白色バー:チャレンジ実験前に2回ワクチン接種した後の同じ子ネコ。 相対的OD値を表すy軸および抗原のx軸により、ワクチン接種した現地調査のネコにおける4つの異なる抗原調製物に対する反応性を示す図である。
発明の第1の態様によれば、対象においてFeLV感染を検出する方法が提供され、前記対象から得られた試料は、組換え膜貫通タンパク質p15E、またはp15EのN末端アミノ酸配列を含むその断片とインビトロで接触し、組換えp15Eタンパク質に結合することができる試料中に含まれる抗体の存在が検出される。
本発明の他の態様では、対象においてFeLV感染を検出する方法が提供され、前記対象から得られた試料は、(a)完全な膜貫通p15Eタンパク質、および(b)envポリタンパク質前駆体からのp15Eタンパク質切断後の前記p15Eタンパク質のN末端を含む膜貫通p15Eタンパク質の断片、から選択されるタンパク質と接触する。
本発明の他の態様では、対象においてFeLV感染を検出する方法が提供され、前記対象から得られた試料は、SEQ ID 001のアミノ酸配列を含むp15Eタンパク質、またはSEQ ID 001と90%以上同一である配列とインビトロで接触し、p15Eタンパク質に結合することができる試料中に含まれる抗体の存在が検出される。
いくつかの実施形態では、前記タンパク質は組換えタンパク質である。
本発明の文脈において、用語「組換え」は、タンパク質が、例えば(a)p15Eの細胞質領域のN末端アミノ酸配列を含むp15E膜貫通タンパク質の配列をコードする遺伝子の宿主細胞中で発現することによって、または(b)無細胞系において、例えば個々のアミノ酸の固相合成によって、合成的に生成されることを意味する。
対象は、FeLVに感染しやすい宿主、例えば飼い猫(Felis catus)、スペインオオヤマネコ(Lynx pardinus)、またはヨーロッパヤマネコ(Felis silvestris silvestris)である。試料は、抗体を含み得る任意の対象の試料である。最も好ましい試料は、全血試料または血清試料である。
本発明の好ましい態様によれば、組換えタンパク質は、SEQ ID 001(FeLV‐Aのアミノ酸446‐642;GenBank:AAA93093.1)のアミノ酸配列、またはSEQ ID 001と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一である配列から基本的に成る、または構成される。
本発明の文脈における同一性は、位置ごとの配列比較の結果を表す単一の定量的パラメータである。配列比較の方法は当技術分野で周知であり、公的に利用可能であるBLASTアルゴリズムが例としてある。
試料と組換え膜貫通タンパク質とが接触した後、組換え膜貫通タンパク質への抗体の結合が検出される。抗体結合のこのような検出は、例えば結合パートナーの一方、好ましくは組換えタンパク質が結合している表面の物理的性質を測定することによって、直接行うことができる。このような方法の例としては、水晶微量天秤または表面プラズモン(BIACORE社)実験がある。
あるいは、p15Eに対する抗体の存在は、例えばウェスタンブロットまたはELISA型の方法によって間接的に検出することができ、それには対象種のガンマ免疫グロブリンの一定部分に特異的な検出抗体またはリガンドが用いられ、検出抗体の結合は、例えば検出抗体を標識することによって検出される。
好ましい標識は発色酵素であり、それは基質を生成物に変換し、生成物形成の速度または量は分析法によって検出することができる。例としては西洋ワサビペルオキシダーゼがある。好ましい標識の他の種類としては、発光タンパク質(例えばルシフェラーゼ)、または蛍光タンパク質(例えばGFP)、または蛍光色素もしくは燐光色素がある。
一実施形態によれば、FeLV感染の検出方法は、組換えp15のN末端配列を含む組換えp15に結合する抗体の存在を検出することに加えて、試料中のFeLVp27タンパク質の存在を検出する工程を含む。
p27の検出は、均一または不均一アッセイとして、試料をp27に対する抗体に接触させることによって達成することができる。p27に対して反応する抗体は表面に結合させることができ、p27の結合は、上記に記載したように表面プラズモン共鳴または同等の技術によって直接測定することができる。同様に、p27に対する抗体は、表面にp27を結合させるために使用され得、結合したp27は、二次抗体に結合した検出可能な標識を有する二次抗体によって測定することができる。
一実施形態において、本発明の方法はp27の検出を含み、前記試料中におけるp27タンパク質の存在と合わせて膜貫通p15Eタンパク質への抗体の結合は、FeLVウイルス血症を示し、試料中における前記p27タンパク質非存在下での膜貫通p15Eタンパク質への抗体の結合は、FeLVに対する免疫を示す。
試料を組換えp15Eタンパク質に接触させる前の段階として、p27の検出を行ってもよい。p27タンパク質の検出は、対象における急性のFeLVウイルス血症の指標であるため、p15Eと接触させることによるさらなる分別分析の必要性を取り除く。しかしながら、試料がp27に対して陰性を示した場合、試料をp15Eと接触させて、対象が過去にFeLVにさらされていたか、および潜伏感染の可能性があるかを確立する。
あるいは、p27およびp15Eの検出を組み合わせることで、いずれかの因子の個別の検出よりも複雑でないワークフローを与える。検出反応条件によって、p15Eの後にp27を検出することが好ましい場合がある。
FeLVp27の検出は、p27に特異的な抗体またはリガンドによって達成することができ、それは上記に記載したように標識することができる。p27の検出およびp15Eの検出が同時に行われる実施例では、2つの抗原に対する抗体の標識は異なっていなければならない。
同様に、他の好ましい実施形態によれば、p45に対する抗体の存在は、p15E膜貫通タンパク質に対する抗体に加えて、場合によってはp27の存在に加えて検出することができる。p45に対する抗体の存在は、p15Eに対する抗体の存在を検出するために用いられる手段と同様の手段によって達成可能である。
p45に対する抗体を検出することの利点は、p45は全ての商業ワクチンに共通する抗原であるため、以前にFeLVに対するワクチン接種を受けたことがある対象が検出されることである。
本発明の第1の態様による方法は、結合パートナーの一方が表面に結合して他のパートナーの結合を検出する二相系として必ずしも実施される必要はない。このような表面‐液体系は、現在のところ操作が容易であり、ELISA読み取り機の遍在性、および試薬の安定供給のために商業市場を支配しているが、均一相検出システムは、同様にリガンドへの抗体の結合を確実に示すことができると当技術分野で知られている。均一相近接検出システムの一例は、Alpha Screen技術(Perkin Elmer社)であり、それにより光誘起一重項酸素種は近くのパートナーにおいて化学発光を起こす。
本発明の他の態様によれば、特に、対象におけるFeLVウイルスの検出またはFeLV感染症の診断に使用するために、SEQ ID 001のアミノ酸配列、または様々な実施形態において、SEQ ID 001と90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一である配列を有する、単離された組換えタンパク質が提供される。
SEQ ID 001
episl tvalmlgglt vggiaagvgt gtkalletaq frqlqmamht diqaleesis aleksltsls evvlqnrrgl dilflqeggl caalkeeccf yadhtglvrd nmaklrerlk qrqqlfdsqq gwfegwfnrs pwfttlissi mgpllillli llfgpcilnr lvqfvkdris vvqaliltqq yqqikqydpd rp
一実施形態によれば、SEQ ID 001のアミノ酸配列、または他の実施形態においてSEQ ID 001と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一である配列を有する組換えタンパク質は、表面に結合される。
より好ましい実施形態では、この表面は、マイクロタイタープレートの空洞の表面、例えばELISAキットの一部として、ラボオンチップ装置の表面、水晶微量天秤の表面、またはプラズモン共鳴チップの表面である。同様に、この表面はニトロセルロース膜またはガラス繊維膜であってもよい。
本発明の他の態様によれば、上記で定義した表面の一つ以上はFeLVの血清学的検出のためのキットに含まれている。好ましい実施形態において、このキットはさらに、標識された抗ネコ免疫グロブリン抗体を含む。より好ましい実施形態では、標識は発色酵素、発光または蛍光のタンパク質もしくは色素を含む群からの1つ以上の標識を含む。最も好ましい実施態様では、キットはさらに、p27タンパク質の血清学的検出のためのリガンドを含む。
本発明の第1の態様による適したリガンドはまた、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、またはSELEXなどの発展的方法によって作成することが可能であり、ポリペプチドまたはオリゴヌクレオチドが標的物質に対するそれらの結合親和性に応じて選択される。
さらに、より高い親和性阻害剤は、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列における発展および選択の反復ラウンドによって特定することができる。
本発明の基礎となる研究の目的は、非感染のネコと感染したネコとを区別するため、およびワクチン接種を受けたネコの抗体レベルを評価するために、血清学における診断薬としての種々のFeLV成分の可能性を分析することであった。原理の証明として、実験的に感染したネコを試験した。診断の可能性に関して、最善の試験抗原はOD=0.0495でのカットオフで、95.7%の診断感度および100%の特異度を有する組換えFeLV膜貫通(TM)タンパク質p15Eであるが、EPK211、FL‐74およびp45は適していないことを実証することができた。現地調査のネコにおけるp15Eに対するカットオフ値は、77.1%の診断感度および85.6%の特異度で、OD=0.1625に決定された。
p15Eで試験したほぼ全てのSPF血清はenFeLVに対する抗体を持っていなかったが、ある種類がenFeLVに対する抗体の増加したレベルを有し得る可能性を我々は排除してはならない。ほぼ全てのネコはFeLVと接触した後に血清転換し、我々は、ネコがFeLVに感染した確率はp27陰性のネコでは高いがp15E陽性のネコでは低いことを明言することができる。
しかしながら、p15Eはウイルス血症のネコと免疫性のネコとの間を区別することができず、そのためp27はウイルス血症を検出するために診断においてより一層必要とされていることが示される。
ネコにワクチン接種を割り当てるために、FeLV抗原に対してだけでなく、FeLV抗体も試験することが有用であろう。そうすることで動物の潜在的な免疫力に関する情報を取得することができ、それはワクチン接種を不必要なものにするかもしれない。
ネコ白血病ウイルスまたは狂犬病のワクチン含む特定のワクチン、およびワクチン接種の手続きは、ネコ注射部位関連肉腫(FISAS)と関係することが示唆されており、それは浸潤性の挙動を有する局所侵襲性肉腫の形成、および全症例の25‐70%における転移の確率を特徴とする悪性疾患である。FISASは、10,000匹のネコ当たり、わずか1‐10匹において発生することが報告されている。
抗体検査では、免疫動物だけでなく、FeLVに接触したことがないネコも検出しなければならず、診療する獣医にとって臨床的に有用なものとするために、内因性のFeLVに対する抗体を検出してはならない。FeLV未感作動物は、FeLVによる後の感染を避けるために、ワクチン接種のための候補である。
獣医師は、FISASの危険性を伴うさらなるワクチン接種を避けるために免疫ネコの検出により多くの重点を置くか、または後のワクチン接種のために感染していないネコの検出により多くの重点を置くかどうかを選択する必要がある。
カットオフを超えるp15EOD値を有するネコは免疫があると考えられ(p27ELISAが陰性の場合)、カットオフ未満にOD値を有するネコは未感作でFeLVの影響を受けやすいと考えられ、ワクチン接種をする必要がある。
カットオフを超えるワクチン接種を受けたネコは、感染によって免疫があると考えられ、ワクチン接種を受けない。これらのネコはFeLVに感染する危険性はない。カットオフ未満のワクチン接種を受けたネコは、FeLVの影響を受けやすいと考えられるため、再びワクチン接種を受ける。
ほとんど全てのネコがLeucogenで免疫された場所では(例えば本明細書に関連する現地調査において:98%)、獣医師はネコがワクチン接種を受けていることを確認するために、p45 ELISAを用いてp15E陰性のネコを試験して、ワクチン接種によるFISASの(小さな)危険性を排除することができる。
p15Eは、非感染動物から感染動物を区別するために使用することができるが、ワクチン接種を受けたネコの大部分はp15E ELISAに対して計算されるカットオフよりも低い抗体値を有するので、この抗原はワクチン接種を明確に検出するのには有用ではない。したがって、p15Eはこれまでの知見(Lutz Hら,1980.Cancer Res.40(10):3642−51)と一致して、ワクチン接種よりもむしろ感染を読み出すようである。
4つの抗原の間、および実験的に感染したネコと現地調査のネコとの間の著しい差異を、本発明の基礎となる調査において観察した。最も顕著な差異は、第1に、p15Eは他の全ての抗原に比べて群を抜いて最も強力な診断薬であり、これは実験的に感染したネコにおいてだけでなく、現地調査のネコでも同様である。
第2に、実験的に感染したネコにおけるp15Eの検査の特異度は現地調査のネコよりも良く、それはおそらく現地調査のネコとは対照的に、実験的に感染したネコからの試料は特定かつ規定された時点で採取していたためであろう。
現地調査のネコは、多くの場合、未知の経緯、不明確な年齢、および試料採取の不明確な時点を有する。さらに、特に、現地調査のネコが捨て猫の場合、現地調査のネコがFeLVによって、種々のFeLVサブタイプによって、または他のウイルスによって何回感染したかは分からず、それは異なる検査の特異度の説明に役立つ。これらの要因は、実験的に感染したネコのデータと比較して、現地調査のネコのデータのカットオフ値およびカッパ値が上昇するという猫の免疫状態があまり明確でない結果をもたらし得る。
本発明の基礎となる研究では、SPFネコ、実験的に感染したネコ、および4つのFeLV抗原、すなわち組換えenv遺伝子産物、全ウイルス、FeLV膜貫通タンパク質からの15個のアミノ酸長ペプチド、および組換えp15Eに免疫があるネコからの血清の反応性を体系的に評価した。
間接ELISAを用いて、FeLV感染症の診断のための代替的アプローチとして、ネコがFeLVと接触したことがあるかまたはないかどうかの証拠を求めた。本明細書に提示するp15Eの結果に基づいて、血清学的結果は、少なくとも部分的にPCRに取って代わる、ネコの感染状態を評価するのに有益な支持を示すという結論に達した。
材料および方法
間接酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、FeLVの診断に役立つその能力を評価するために開発した。そして、FeLV膜貫通タンパク質からの短いペプチド、組換えenv遺伝子産物(p45)、全FeLV抗原、および組換えp15Eを抗原として用いた。実験的に感染し、かつワクチン接種したネコからの血清、および現地調査のネコの血清を、抗原に対するそれらの反応性について調査した。
ELISAのための抗原
p45:FeLV‐Aエンベロープ糖タンパク質のgp70表面ユニット(ワクチン抗原)の非グリコシル化組換え変異体(Jarrett OおよびGaniere JP.1996.Vet Rec.138(1):7−11.)。抗原懸濁液(Leucogen(登録商標)、Virbac Schweiz AG社、グラットブルック、スイス)を、0.1mlの3%水酸化アルミニウムゲルおよび10μgのキラヤの精製抽出物をアジュバントとして添加した。
全ウイルス:全ウイルスは、FL‐74細胞に由来する。このリンパ芽球FOCMA(オンコウイルス関連細胞膜抗原)細胞株をFeLVABCに慢性的に感染させた(Jarrettら,1973.J Gen Virol.20(2):169−75.)。ウイルスをショ糖密度勾配で精製した。
EPK211:この合成15アミノ酸ペプチド(Ac−GWFEGWFNRSPWFTT−NH2)は、p15EのFeLVカルボキシ末端領域の一部を模倣している。これは、固相ペプチド合成により合成し、分析用高圧液体クロマトグラフィーで精製した(純度>85%)。
p15E:FeLVエンベロープ糖タンパク質の組換え膜貫通部分(TM)を生成するために、FeLV‐Aのアミノ酸446‐642をコードするDNA配列(GenBank:AAA93093.1)をpCRII Topoベクター(Invitrogen社、ルツェルン、スイス)でクローニングし、大腸菌(E.coli)Top10細胞において発現させた。
p15Eを含む融合タンパク質をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。ELISAに使用するタンパク質を7.5mMトリス‐Cl緩衝液pH8.0に対して透析した。生成物をウェスタンブロット分析によって確認した。p15E中の大腸菌残渣の存在を、大腸菌成分に対して免疫した3匹のウサギからの3つの異なる抗大腸菌血清(血清1、2および3)(図1を参照のこと)を用いてELISAにより決定した。精製したp15(E)の調製物中に微量の大腸菌成分のみが存在していたことが結果から示された。
血清および血漿の試料
4つの抗原に対する抗体について試験するために、種々のワクチン研究の血清および血漿を用いた。第1研究からの試料(n/群=9)は:1群‐ワクチン接種を受けていない対照動物。2群‐Eurifel(登録商標)(新名称:Purevax(登録商標);Merial社、リヨン、フランス)でワクチン接種。EurifelはFeLV‐A env、gag、およびpolの一部を含む、非アジュバントカナリア痘ベクター化生ワクチン(ALVAC)である。3群‐全ウイルスFeLVを死滅させた多価ワクチンである、Fel‐O‐Vax(登録商標)LV−KIV(Fort Dodge社、アイオワ州、米国)でワクチン接種。ワクチンは二回皮下注射した。2回目のワクチン接種から四週間後に、各ネコにFeLV‐A/Glasgow‐1(Jarrettら,1996.J Gen Virol.20(2):169−75.)をチャレンジした。
1997年に行われた第2の研究からの試料(n/群=14)は:1群‐ワクチン接種を受けていない対照群。2群‐不活性化(または死滅)抗原から成る、Fevaxyn(登録商標)FeLV(Solvay Animal Health社、メンドータ ハイツ、ミネソタ州、米国)でワクチン接種。3群‐Fel‐O‐Vax(登録商標)LV‐KIVでワクチン接種し、4群はLeucogen(登録商標)を接種した。ワクチンは二回皮下注射した。2回目のワクチン接種から四週間後に、各ネコにFeLV‐A/Glasgow‐1をチャレンジした。
両研究において、チャレンジ暴露の前日およびその日に血液を採取した。その後、試料を15週目まで毎週採取した。さらに、我々は、チャレンジから8週または10週後のワクチン未接種の対照群からの血漿を使用した(n=47)。抗体に対する長期的な影響について、我々はワクチン未接種であるがチャレンジした対象群からの血清を使用した。我々はまた、若いSPFネコ(n=90)、成体の血液ドナー(SPF)ネコ(n=20)からの血漿も使用し、かつ長期的な影響のために、我々は22週間チャレンジしていない状態のネコから成る研究からの陰性対照群(n=4)を試験した。ワクチン接種したネコの反応性を試験するために、我々はワクチン研究からの全ての群を使用し、ワクチン接種前、およびワクチン接種後/FeLV‐Aでのチャレンジ前にネコを試験した。
個人所有のネコ(n=294)からの血清も使用し、M.A.Gomes−Keller(2006 J Clin Microbiol.44(3):916−22.)によって2004年4月から2005年1月まで採取した。ネコのワクチン接種状態に関する情報は、血液試料を採取していた獣医師から得た。
試験した全ての血清、プロウイルス、およびp27について、結果が入手できた。現地調査のネコの血清を表1にまとめる。
Figure 2014521058
酵素結合免疫吸着検定法
ELISAは公開されている方法に基づいた(Engvall EおよびPerlmann P.1972.J Immunol.109(1):129−35,Vollerら,1976,Bull World Health Organ.53(1):55−65.)。
抗FeLVp45および抗FeLV全ウイルス(‘FL‐74’)の抗体を前に記載したようにELISAより測定した(Lutz Hら,1980.Cancer Res.40(10):3642−51,Lehmann Rら,1991.J Am Vet Med Assoc.199(10):1446−52.)。p45および全ウイルスを100ng/ウェルの最終濃度で使用した。EPK211およびp15Eは0.005%のSDSと合わせて25ng/ウェルの最終濃度で使用した。血漿および血清を1:200に希釈した。affiniPureヤギ抗ネコIgG(H+L)ペルオキシダーゼ結合二次抗体(Milan Analytica AG社、ラインフェルデン、スイス)を1:3000に希釈して使用した。ELISAプレートを、415nmの吸光度で光学密度(OD)値を測定するために、分光光度計(Spectramax plus 384、Molecular Devices社、カリフォルニア州、米国)を用いて評価した。陽性および陰性の対照血清を、実行の間の比較性を確保するために内部標準として使用した。
p15Eの純度は、大腸菌の特異的エピトープに対する抗体を含む3つの異なるウサギ血清を用いて試験した。ELISAは、affiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)ペルオキシダーゼ結合二次抗体(Milan Analytica社)を用いて上記のように行った。
データ分析および統計
ELISA OD値を標準化した:(OD値(試料)−OD値(陰性対照))/(OD値(陽性対照)−OD値(陰性対照))。
ソフトウェアパッケージNCSS(登録商標)バージョン07.1.20(LLC Kaysville社、ユタ州、米国)、およびPASW(登録商標)統計ソフトウェアバージョン18.0.2(Polar Engineering and Consulting社、ニキスキー、米国)を受信者動作特性(ROC)分析に使用し、かつWin Episcope 2.0(登録商標)ソフトウェア(Borland International社)をカッパ値の計算に使用した。成体のSPFネコと若いSPFネコとの間の平均値の差を比較するために、一元配置分散分析(one−way ANOVA)およびWelch/Brown−Forsythe試験を使用した。
結果:
要約すると、p45、全ウイルス、およびペプチドは、抗原薬として不適当であることが見出された。p15Eでは、実験的に感染したネコからの血清を用いて、95.7%の診断感度および100%の特異度が示された。現地調査のネコの血清および異なるカットオフを用いて、p15E対プロウイルスPCRからは、77.1%の診断感度および85.6%の特異度が示された。
ワクチン接種したネコはp15Eに対する低い抗体レベルのみを示し、それは抗p15E抗体がワクチン接種よりも感染の証拠であることを示している。
組換えp15Eの純度。
大腸菌細胞中で産生したp15Eの純度を、大腸菌抗原で免疫したウサギからの3つの異なる血清を用いて、組換えp15Eでコーティングしたウェル上でELISAによって試験した。我々は残渣の大腸菌成分に対する抗体レベルを測定した(図1)。ODは最大0.117であり(血清2)、それは陰性対照(OD=0.106)に相当するものである。他の2つの大腸菌血清はさらに低いOD値を示した。
全てのカットオフ率は、上記に記載の実験に由来する生データに対応する。当業者は、類似の方法により導出されたデータにカットオフ率を割り当てることができ、それは異なるODの生データをもたらす。
実験的に感染したネコにおける抗体レベル。
偽陽性率(1−特異度)に対して真陽性率(感度)をプロットした受信者動作曲線(ROC)に、実験的に感染したネコおよび現地調査のネコを表示してそれらを比較することで、異なるFeLV抗原の診断的有用性を評価および比較した。
ROC分析では、感染し、プロウイルス陽性(血清転換)のネコから、非感染、プロウイルス陰性で、特定病原体未感染(SPF)のネコを区別するカットオフポイントを選択することで、最適な検査の特異度および感度がもたらされる。実験的に感染したネコの評価により原理の証明が表された。
ゴールドスタンダードとしてプロウイルスを使用して、全ての抗原のROC曲線を図2に示す。原則として、最適なカットオフは、特異度≧80%、および感度×特異度は最大として定義した(図3)。抗原p15Eは、ROC空間の左側の境界および上部の境界に沿って優れた曲線を示した(図2)。OD=0.0495のカットオフを選択し、感度(95.7%)と特異度(100%)との間で最善のトレードオフを表した。EPK211に対する最適なカットオフ(−0.039)は、65.7%の感度および81.1%の特異度を示し、一方でp45(カットオフ0.016)は80%の感度および88.9%の特異度を示した。全ウイルスは、−0.007のカットオフで65.7%の感度および81.1%の特異度を示した。
大部分のネコが6歳を超える、異なる年齢の20匹の成体の血液ドナーネコ(SPF)からの血清も試験した。それらは若いSPFネコの一定のデータセットを有するために、原理証明の研究には含まなかった。これら20匹の動物も、4つ全ての抗原で試験した(データは示していない)。
簡潔には、p≦0.01の4つ全ての抗原に対する平均値の差異が観察され、それは若いSPFネコの値と比較して、成体動物のOD値はより分散し、かつ上昇する傾向を有し、これは年齢がこの抗体検査に重要であることを示している。
SPFネコおよびチャレンジした対照群のネコからの抗体に関する長期的な影響も検討した。SPF血清は22週間の間低いレベルのままであり、チャレンジしたネコ(免疫およびウイルス血症)からの血清は感染から4週間後に上昇し、高いレベルのままであった(データは示していない)。
分類された2つのデータセット間の一致度における偶然補正型測度を表すコーエンのk(カッパ)値は、p15Eとプロウイルスとの間における一致度のほぼ完璧なレベル(k=0.96)を示した(図6)。
プロウイルスと、p45、全ウイルス‘FL‐74’、およびEPK211との間の一致度は、0.47−0.70の間の範囲のより低いレベルを示した。抗原のペア間における一致度は満足のいく良好なレベルを示したが、p15Eとプロウイルスとの間の一致度よりも低い。
現地調査のネコにおける抗体レベル
ゴールドスタンダードとしてプロウイルスを使用したROC分析による現地調査のネコの評価(図4)は、抗原p15Eに対してよい方向を示し、それは他の抗原とは著しく対照的である。
現地調査の値は全体的に増加したため、このデータセットのために新たなカットオフポイントを決定しなければならなかった。プロウイルス陽性に加えて免疫もされた8匹のネコはこの研究から除外した。(表1)最適なカットオフは、特異度≧80%、および感度×特異度は最大として定義し(図5)、p15Eに対してOD=0.163と計算され、77.1%の感度および85.6%の特異度(特異度≧80%)がもたらされた。
FL‐74は、カットオフ0.647で42.9%の感度および80.1%の特異度を示し、p45Eはカットオフ0.531で40%の感度および81.1%の特異度を示し、かつEPK211はカットオフ2.411で17.1%の感度および84.6%の特異度を有していた。
コーエンのk値(特異度≧80%)は、実験的に感染したネコのk値と比較してより低いレベルを示し、それはROC分析で評価した2つのデータセット間の差異と一致した。最高の一致度レベルは、プロウイルスに対してプロットしたp15Eによって達成された(k=0.55)(図6)。
それとは著しく対照的に、他の抗原のペア、およびプロウイルスと抗原とのペアは、わずか0.08〜0.42のレベルにしか到達しなかったため、明らかに不十分であった。これらの結果から、p15Eとプロウイルスとの間の一致度は、p15Eと他の抗原との如何なる組み合わせよりもはるかに優れていることが示された。
p15(E)血清学対プロウイルスの結果における診断感度および特異度が、実験的に感染したネコに比べて現地調査のネコにおいて低かったという事実は、Majorら(2010)によって記載されているように、低レベルのFeLVのへの曝露により、血液中にプロウイルスDNAが存在しない状態で血清転換が誘導され得るという知見によって説明することができる。
実験的感染は、常に比較的高含量のFeLVチャレンジウイルスを用いて注入することで行われ、プロウイルス陽性および血清転換がもたらされる。これとは対照的に、現地におけるFeLVによる感染は、ネコが様々な感染圧力にさらされる結果、低ウイルス量の存在下で血清転換するという点で、非常に可変的でなければならない。したがって、現地調査のネコにおけるp15(E)血清学の一見低い診断特異度は、血液中のプロウイルスの非存在下でのp15(E)への血清転換を正しく反映している。
実験的にワクチン接種したネコ
ワクチン接種した動物の反応を見るために、若い8週齢のSPFネコからの血清を、ワクチン接種前のワクチン研究の開始時、および再度、2回のワクチン接種の後、チャレンジ感染の前に試験した。
結果をボックスプロットにまとめている(図7)。p45に対する結果から、全65匹のネコ(プラセボなし)のうち、56.92%はカットオフを超えたが、予想したように、Leucogen(登録商標)で免疫した場合には100%がカットオフを上回った。全FeLV抗原(FL‐74)は、抗体反応の全体的な増加を示した(90.77%がカットオフを超えた;Leucogen(登録商標)をワクチン接種した場合は100%)。
対照的に、抗体検出のための抗原としてのEPK211の使用では、58.46%がカットオフを超え、Leucogen(登録商標)でワクチン接種した40%のネコがカットオフを超えた。組換えp15Eでは、44.62%のネコはカットオフを超え、Leucogen(登録商標)でワクチン接種した動物の13.3%がカットオフを超えた。
現地調査からのワクチン接種したネコ
全てのプロウイルス陰性ネコのうち、50匹のネコにワクチン接種した(表1)。8匹のネコは、免疫されている他に、それらはプロウイルス陽性またはさらにはウイルス血症でもあるため、本研究から除外した(表1)。研究に考慮された98%の全ての動物は、Leucogen(登録商標)を受け、大部分はFeligen(登録商標)(Virbac Schweiz AG社、グラットブルック、スイス;ネコ汎白血球減少症およびネコ鼻気管炎/ネコインフルエンザ用)と組み合わせて適用した。
結果(図8)から、抗体反応は抗原p45(70%)、全ウイルス(42%)、およびEPK211(24%)を用いて明確に増加したことが示された。p15EはLeucogenワクチン接種ネコに対して低い反応性を示し、16%のケースでカットオフポイントを超えた。

Claims (15)

  1. 対象における過去または現在のFeLV感染検出方法であって、
    前記対象から得られた試料を、SEQ ID 001のアミノ酸配列またはSEQ ID 001と90%以上同一である配列を含むタンパク質と接触させる工程と、
    抗体の前記タンパク質への結合を検出する工程と
    を備えたことを特徴とするFeLV感染検出方法。
  2. 請求項1に記載のFeLV感染検出方法であって、前記タンパク質は単離された組換えタンパク質であることを特徴とする、FeLV感染検出方法。
  3. 請求項1または2に記載のFeLV感染検出方法であって、前記試料中においてFeLVp27タンパク質の存在を検出する工程をさらに備えたことを特徴とする、FeLV感染検出方法。
  4. 請求項3に記載のFeLV感染検出方法であって、
    a.前記抗体の前記膜貫通p15Eタンパク質への結合、および前記試料中における前記p27タンパク質の存在は、FeLVウイルス血症を示し、
    b.前記抗体の前記膜貫通p15Eタンパク質への結合、および前記試料中における前記p27タンパク質の非存在は、FeLVに対する免疫を示す
    ことを特徴とする、FeLV感染検出方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のFeLV感染検出方法であって、
    前記試料中においてFeLVp45タンパク質に対する前記抗体の存在を検出する工程をさらに備えたことを特徴とする、FeLV感染検出方法。
  6. 対象におけるFeLV感染を検出または診断する場合の、SEQ ID 001のアミノ酸配列またはSEQ ID 001と90%以上同一である配列を含む組換えタンパク質の使用方法。
  7. SEQ ID 001のアミノ酸配列またはSEQ ID 001と90%以上同一である配列を含む単離された組換えタンパク質を備えたことを特徴とする表面。
  8. 請求項7に記載の表面であって、ニトロセルロース膜、ガラス繊維膜、マイクロタイタープレートの空洞、プラズモン共鳴チップ、または水晶微量天秤の表面であることを特徴とする、表面。
  9. FeLVの血清学的検出用キットであって、SEQ ID 001のアミノ酸配列またはSEQ ID 001と90%以上同一である配列を含む単離された組換えp15Eタンパク質を含むことを特徴とするFeLVの血清学的検出用キット。
  10. 請求項9に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、標識を含む抗ネコ免疫グロブリン抗体をさらに含むことを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
  11. 請求項10に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、前記標識は発色酵素、発光タンパク質、または蛍光のタンパク質もしくは色素であることを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
  12. 請求項9乃至11のいずれか一項に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、FeLVp27タンパク質に対するリガンドをさらに含むことを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
  13. 請求項9または10に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、単離されたFeLVp45タンパク質をさらに含むことを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
  14. 請求項9乃至13のいずれか一項に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、前記単離された組換えp15Eタンパク質、前記FeLVp27に対するリガンド、および/または前記単離されたFeLVp45タンパク質は表面に結合されていることを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
  15. 請求項14に記載のFeLVの血清学的検出用キットであって、前記リガンドはガンマ免疫グロブリンであることを特徴とする、FeLVの血清学的検出用キット。
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