添加剤放出部材は添加剤を保持することが可能で、且つ所望に応じて添加剤を放出することが可能な如何なるものでもよい。例えば、添加剤放出部材は、カプセルまたは他の容器であってもよく、海綿状材料、吸収材料、ゲル材料、または他の如何なる適切な材料を含んでもよい。
添加剤は、添加剤放出部材に圧縮力が加えられたときに添加剤放出部材から放出されてもよい。いくつかの実施形態においては、添加剤は、所定の方向に放出される。
例えば、添加剤が既知の添加剤放出部材から、当該添加剤放出部材の破裂によって放出される場合、この破裂は当該添加剤放出部材の表面のどの部分においても生じる可能性がある。そのため、添加剤は周囲の喫煙品の材料内のどの方向に向かっても放出される可能性があり、添加剤を所定の方向に向かわせることはできない。また、添加剤は一般的に添加剤放出部材が破裂した位置から比較的狭い範囲に拡散して放出させてもよい。さらに、この添加剤の放出範囲は、予測不可能であり、添加剤放出部材を破裂させるために加えられた力に部分的に依存する。このことは、添加剤を喫煙品の所望の領域に確実に固着するには、添加剤放出部材内に設けられる添加剤の量を最低限必要とされる量よりも多くしなければならないことを意味する。
本発明による添加剤放出部材は、添加剤を収容した破裂可能な殻を含む。いくつかの実施形態においては、この構造は外殻および中央核を含んでもよく、添加剤はこの中央核内に保持されてもよい。この核は単に内部に添加剤が保持された空洞であってもよい。あるいは、この核は海綿状材料、吸収材料またはゲル材料を含み、この材料中に添加剤が保持されてもよい。
添加剤は如何なる適切な方法により添加剤放出部材から放出されてもよい。いくつかの実施形態においては、例えば使用者が圧縮力を加えて添加剤放出部材に及ぼされた力により、添加剤の放出が引き起こされてもよい。これは添加剤放出部材の破裂を伴ってもよい。また別の方法として、これは多孔性のまたは海綿状の材料を含む添加剤放出部材から添加剤を絞り出すことを伴ってもよい。
この添加剤放出部材は、例えば圧縮力等の力が加えられることにより添加剤放出部材が作動すると、添加剤が添加剤放出部材から強く放出、噴出、または押し出され、これにより添加剤が、従来の添加剤放出部材が破裂したときに起こりうる範囲を超えて、添加剤放出部材から遠くに且つ場合によっては広範囲に固着されるように構成してもよい。放射方向が予め決められるので、添加剤を添加剤放出部材から特定の方向に噴出されるかまたは押し出されるかもしれない。
対照的に、従来のカプセルは不規則に破裂する可能性があり、添加剤は強く放出されるのではなく、破裂したカプセルから勢いなく流れ出し、カプセル付近に比較的局所的に集中して留まってもよい。
添加剤を所定の方向に放出するように添加剤放出部材を構成することにより、添加剤の供給が改善される。添加剤の指向性放出とは、添加剤が添加剤放出部材から、予測可能で且つ一貫した特定の予め決められた方向に放出されることを意味する。指向性放出は、外殻の指向性破裂の結果であってもよく、この破裂に対応するものであってもよい。この破裂によって添加剤のその方向への放出が促進される。特定の三次元形状は、本質的に、圧縮力に対応して予測可能な形態で破裂するので、使用する添加剤放出部材の形状により添加剤放出部材からの添加剤の指向性放出を決定付けることが可能である。例えば、添加剤放出部材の外殻の破裂により、添加剤を所定の方向へ指向性放出させることができる。
いくつかの実施形態においては、外殻は、圧縮により予測可能で且つ一貫した形態で破裂する三次元形状を有している。例えば、添加剤放出部材に加えられた圧縮力を、外殻の所定の部分で大きくなるように集中させて、この三次元形状により外殻を破裂させることで、外殻の破裂が予測可能で且つ一貫したものとなっていてもよい。このような加えられた力の集中は、球形または他の対称な形状を有した外殻、例えば円形、六角形またはそれ以外の規則的で整合の取れた断面形状を有した管等では起こり得ないため、いくつかの実施形態においては、外殻は、このような三次元形状を持たない。また、このような加えられた圧縮力の集中は、外殻が、添加剤放出部材が組み込まれた喫煙品の長手方向の軸と直交する平面に関して対称な三次元形状を有している場合にも起こり得ない。そのため、いくつかの実施形態においては、外殻は、このような三次元形状を持たない。
いくつかの実施形態においては、外殻が破裂する前、および/または外殻が破裂した時点に圧縮力が加えられると、中央核内の添加剤を所定の方向に押す三次元形状を外殻が有していることは有利である。添加剤の移動は、外殻の破裂に寄与してもよく、添加剤が殻に圧力を加えてもよい。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は球形ではない。いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、卵形、円錐形、半球形、台形または角錐形である。
いくつかの実施形態においては、外殻は、2つ以上の部材を組み合わせて密閉することにより形成されたものではなく、単一の部材により形成されている。
添加剤放出部材は、添加剤放出部材の外殻の脆弱な線、点および/または領域によって、指向性を持って添加剤を放出することをより強く促されてもよい。この脆弱な部分は、添加剤放出部材に圧縮力が加えられたときに、添加剤放出部材の残りの部分に優先して破裂するように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、この脆弱な線、点または領域は、外殻の材料に穴または溝を設けることによってではなく、外殻の三次元形状によって形成される。また、添加剤放出部材は2種類の異なる材料を含み、その一方が本質的に他方よりも破裂しやすいものであってもよい。
添加剤放出部材は、添付の図面の実施形態に示されるように、カプセルであってもよい。カプセルは、一般的に、ゼラチン製であってもよい外殻と添加剤を含む内核とを含む。
図1は、喫煙可能な材料(この実施形態においてはタバコ)の円筒形のロッド11と、フィルター12とを含む喫煙品10を示している。フィルター12は、プラグラッパー(図示略)によって包まれた、実質的に円筒形のフィルター材13のプラグを含む。
喫煙可能な材料を含むロッド11は、このタバコロッド11の端部がフィルター12の端部に接するように、フィルター12と位置合わせされている。このロッドは、従来法に従ってラッパー(図示略)に包まれ、且つチッピング紙(図示略)でフィルター12と連結されている。
添加剤放出部材14は、この実施形態においては風味剤(メンソール等)である添加剤15を含み、フィルター12の内部に配置されている。図示された実施形態においては、添加剤放出部材はゼラチンカプセルである。添加剤放出部材は、より丸みを帯びた形状を有した第1の端部14aと、より尖った形状を有した第2の端部14bとを含む卵形の(または卵のような形に成形された)構造を有している。
卵形の添加剤放出部材14は、実質的にフィルター12の中心に配置されており、添加剤放出部材14の長手方向の軸がフィルター12の長手方向の軸と一致している。卵形の添加剤放出部材は、より丸みを帯びた端部14aがフィルターの遠位(タバコロッド)端部を向き、より尖った端部14bがフィルターの吸い口端部を向くように配置されている。この添加剤放出部材の形状、および添加剤放出部材構造に設定された脆弱な線(図示略)のために、添加剤放出部材の尖った端部14bは、力を受けたときに、添加剤放出部材14の残りの部分よりも破裂しやすい。
使用時には、添付の図面において矢印Aにより示されるように、添加剤放出部材14の領域でフィルター12に圧縮力が作用することにより、添加剤放出部材の破裂と風味剤15の放出が引き起こされる。添加剤放出部材の形状および卵形の添加剤放出部材14の壁の特定の構造的な脆弱部分のために、尖った端部14bで所定の形態の破裂が生じ、風味剤が添加剤放出部材からフィルターの吸い口端部に向かってフィルター材13内に放出される。実質的に、添加剤放出部材の側方またはタバコロッド端部側に向かっては、添加剤放出部材14の内容物は、フィルター材13に全く入り込まない。
従って、添加剤放出部材構造の形状および脆弱な領域のために、添加剤放出部材によって保持された添加剤は、制御された形態で所定の方向に指向性を持って放出される。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、圧縮可能な海綿状多孔性材料を含んでもよい。添加剤は、海綿状材料内に分布されてもよく、且つ場合によっては海綿状材料によって吸収されてもよい。海綿状材料は、拡散によって、または圧縮されたときに、添加剤を放出することができる。海綿状材料は、徐々に圧縮可能で、且つ部分的に圧縮されたときに含有添加剤の少なくとも一部を放出するように構成された、添加剤が含浸された吸収材料の本体であってもよい。海綿状材料は、クローズドセル構造、特にクローズドセル発泡体構造を有したマトリックスを含んでもよい。クローズドセル発泡体により、マトリックスは添加剤を収容することができる複数の小さな空洞を有したものとなる。これらの空洞は、発泡体の材料によって閉じられており、添加剤を、選択的に放出されるまで保持する。クローズドセル発泡体は圧縮力が加えられたときに添加剤を放出するように構成されてもよい。
海綿状材料は、第2の材料に覆われてもよく、この第2の材料は、海綿状材料を取り囲む外殻を形成してもよい。この外側の材料は、内容物の放出が望まれ、使用者により加えられた外力によって外殻が破裂し、添加剤が海綿状材料から絞り出されるまで、煙変性材料を海綿状材料内に保持する機能を果たしてもよい。
他の実施形態においては、この海綿状材料は、添加剤を保持することが可能な、如何なる多孔性材料によって代替されてもよい。この材料は、例えば吸収材料またはゲル材料であってもよい。
いくつかの実施形態においては、添加放出部材は、圧縮力が加えられたときに、添加剤が添加剤放出部材から放出されるか、噴出されるかまたは押し出されるように、場合によっては強く押し出されるように構成される。例えば、添加剤放出部材は、添加剤が添加剤放出部材の狭い領域を介して放出されるように構成されてもよい。その場合、圧縮力に対応して、添加剤は、添加剤放出部材からこの狭い領域を介して外に押し出されてもよい。これにより、添加剤を、既知の添加剤放出部材から放出させたときに起こりうる範囲を超えて、添加剤放出部材から遠くに固着させることができ、且つ/または、より広範囲に固着させることができ、且つ/または、フィルターの所定の領域に固着することができる。
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の添加剤放出部材が、さらに、第2の添加剤放出部材、または鞘、あるいはその類似物に保持されてもよい。これにより、添加剤の指向性放出がより強力に制御される。また、これは、不測のまたは過早な破損、あるいは偶発的な漏出からのより強力な保護も与えることができる。このようにして、例えば、添加剤放出部材の安定性、強度、破裂耐性、製造時の加工の容易さ等を調整するために、単一の壁または多重の壁を有した添加剤放出部材を用いることができる。
添加剤放出部材は、核を含んでもよく、この核は、例えば1つまたは複数の隔壁または他の内部障壁により、2つまたは3つ以上の別々のチェンバーに分割されてもよい。この隔壁または障壁は、添加剤放出部材と同じ材料から構成されてもよく、異なる材料が用いられてもよい。この隔壁または障壁は、壊れやすいものであってもよく、あるいは、例えば非常に強固であるかまたは柔軟であることにより、非常に耐久性の高いものであってもよい。
添加剤放出部材の核の別々のチェンバーは、同じ添加剤を含んでもよく、異なる添加剤を含んでもよい。これらのチェンバーは、複合的な試薬を含んでもよく、それらの試薬のうちの1つまたは複数は、単独では添加剤として機能しなくてもよいが、それらの試薬は、互いに反応するかまたは混ざり合って添加剤を生成する。2つのさらなる添加剤が化学的に反応して、例えば発熱または吸熱反応を生じてもよい。それらの添加剤は、反応してエステルを生成する有機酸とアルコールであってもよい。
添加剤放出部材は、0.5kpと2.5kpとの間、例えば1kpと2kpとの間の圧潰強度を有してもよい。例えば添加剤放出部材が、後述のような支持構造である第2の要素と共に喫煙品の内部に組み込まれている場合には、より高い圧潰強度およびより低い圧潰強度とすることもできる。このような構造は、より高い圧潰強度を有した添加剤放出部材を使用することを可能にしつつ、添加剤放出部材の圧潰または破裂を容易にすることができる。
添加剤放出部材の大きさは、必要とされる添加剤の体積に依存してもよく、同様に、添加剤の体積は、求められる添加剤の効能および煙の改質の程度を含む因子の数に依存してもよい。
添加剤放出部材の体積はできるだけ大きい方が好ましく、それにより、できるだけ多くの添加剤を提供して煙をできるだけ大きく改質することができる。しかしながら、添加剤放出部材は、喫煙品または喫煙品のフィルターの濾過または吸い込み特性が受け入れがたいものになるほどに、大きくすべきではない。さらに、添加剤放出部材の大きさが大きくなるほど、不測の破損、および/または添加剤放出部材からの添加剤の不測の放出の危険性も増大する。
添加剤が既知の添加剤放出部材から放出される場合、この放出は当該添加剤放出部材の表面のどの部分からも生じる可能性がある。そのため、添加剤は添加剤放出部材から周囲の喫煙品の材料内のどの方向に向かっても放出される可能性がある。また、添加剤は一般的に添加剤放出部材からの放出位置から比較的狭い範囲に拡散して放出されるかもしれない。さらに、この添加剤の放出範囲は、予測不可能であり、例えば添加剤放出部材に加えられた力に部分的に依存するかもしれない。既知の添加剤放出部材からの添加剤の放出方向および放出範囲は予測不可能なので、添加剤を喫煙品の所望の領域に確実に固着するには、添加剤放出部材内に設けられる添加剤の量を最低限必要とされる量よりも多くしなければならない。そのため、添加剤放出部材自体もより大きくしなければならない。これに対し、本発明の添加剤放出部材からは、添加剤は、予め決められており、制御されており、且つ予測可能な方向に指向性放出される。そのため、従来可能であった程度に比べて、添加剤の拡散がより効果的であり、より小さな添加剤放出部材を使用することができる。あるいは、従来使用されていた添加剤放出部材と同様の大きさを有する添加剤放出部材を使用することにより、喫煙品の内部の所定の位置に、はるかに多量の添加剤を供給することができる。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、添付の図1に示されるように、喫煙品または喫煙品のフィルター内の長手方向に配置されてもよい。即ち、添加剤放出部材の最長寸法方向が喫煙品の長手方向の軸と実質的に平行であってもよい。
添加剤放出部材をフィルターの長手方向の軸と位置合わせすることにより、添加剤を添加剤放出部材からフィルターの長手方向の軸と平行な方向に放出することができる。実際には、添加剤は、フィルター内の如何なる特定の方向に放出されてもよく、フィルターの特定の領域に向かって放出されてもよい。この領域は、例えば空洞であってもよく、フィルター材の特定の領域であってもよく、または喫煙品のフィルターの外縁領域であってもよい。添加剤が放出される領域は、第2の添加剤等の活性要素を含んでもよく、この第2の添加剤は添加剤放出部材に保持されてもよく、保持されなくてもよい。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材の長さは、1mmと15mmとの間、好ましくは3mmと10mmとの間であってもよい。添加剤放出部材の直径は、0.1mmから4mmの範囲内、より好ましくは1mmと3mmとの間であってもよい。
仮に多量の添加剤が必要な場合には、複数の添加剤放出部材を使用してもよい。これらの添加剤放出部材は全て、添加剤を指向性放出する添加剤放出部材であってもよく、または既知の添加剤放出部材と、添加剤を指向性放出する添加剤放出部材との組み合わせであってもよい。これらの添加剤放出部材は、同じ形状を有してもよく、異なる形状を有してもよい。また、これらの添加剤放出部材は、同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。複数の添加剤放出部材を使用する場合、これらに同じ添加剤を収容してもよく、異なる添加剤を組み合わせて収容してもよい。複数の添加剤放出部材は、添加剤を例えば同じ方向に放出してもよく、互いに向かって放出してもよく、共通の目標領域に向かって放出してもよい。
複数の添加剤放出部材は、喫煙品への一度の圧縮力の入力に応じて実質的に同時に添加剤を放出するように設計されてもよい。あるいは、複数の添加剤放出部材が存在する場合、全ての添加剤放出部材から添加剤を放出させるために、喫煙品に逐次的に複数回の力を加える必要があってもよい。これらの添加剤放出部材は、添加剤を実質的に喫煙品の内部の同じ位置に指向性放出するように構成されてもよく、あるいは、各添加剤放出部材は、添加剤を異なる目標領域に指向性放出してもよい。
喫煙品は、2つ、3つ、4つまたはそれよりも多くの添加剤放出部材を含んでもよい。複数の添加剤放出部材は、例えば喫煙品の長手方向に沿って一定の間隔をあけて配置されてもよい。あるいは、複数の添加剤放出部材は、例えば塊として喫煙品のフィルター内に配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、フィルター材の2つの部分の間に形成された空洞の内部に配置されてもよい。
本発明による喫煙品内の添加剤放出部材からの添加剤の指向性放出は、特定の形状を有する添加剤放出部材によって達成することができる。異なる三次元形状は、圧縮力等の力が加えられたときに、予測可能な方法でそれらの内容物を放出する固有の能力を有する。従って、異なる形状の添加剤放出部材を使用することにより、予め決められており、高度に制御されており、且つ予測可能な方法および方向にて確実に添加剤を指向性放出させることができる。
一般的に、これは非対称形状の添加剤放出部材の使用を含んでもよい。非対称形状の添加剤放出部材は、その非対称性の結果として、予測可能な方法で添加剤を放出する固有の能力を有する。添加剤放出部材は、例えば(添付の図1に示されるような)略卵形、円錐形、半球形、台形、角錐形等であってもよい。ただし、いくつかの実施形態においては、扁球状、楕円体状、立方体状等の、より対称性のある形状の添加剤放出部材を使用してもよい。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は非球形である。添加剤放出部材は、例えば製薬業界で放出部材に用いられるような、両端が半球形となっている円筒部を有する葉巻形であってもよく、葉巻形でなくてもよい。
添加剤放出部材の構造にさらに脆弱な線、点または領域を設けることにより、一層確実に、添加剤の放出が所望の形態に従い、添加剤が所定の方向に放出されるようにすることができる。
このような所定の脆弱な領域は、さまざまな方法で設けることができる。例えば、添加剤放出部材は、所望の領域が脆弱化されているか、または所望の領域に高い弾性が付与された外殻を含んでもよい。例えば、選択した領域で殻の厚さを厚くすることにより、添加剤放出部材の特定の領域の強度を高めることができる。脆弱な点は、殻の厚さの薄い領域または刻線によって形成することができる。
力が加えられたときに添加剤を放出する能力が本質的に異なる2種類の材料を含む添加剤放出部材を使用してもよい。この場合、より弾性の低い材料により、添加剤放出部材に力が加えられたときに添加剤が指向性放出される領域または窓を形成することができる。
また、添加剤放出部材の形成方法によって、添加剤が予測可能に指向性放出されるようにしてもよい。例えば、添加剤放出部材は、1つまたは複数の継ぎ目で結合された複数の部分を含む複数部分結合添加剤放出部材であってもよい。この場合、添加剤放出部材は、継ぎ目部分に沿って破裂するように構成されてもよい。いくつかの別の実施形態においては、添加剤放出部材の外殻は、単一の部分から形成される。
核は、例えば1つまたは複数の隔壁または他の内部障壁により、2つまたはそれよりも多く(例えば3つ、4つまたは5つ)の別々のチェンバーに分割されてもよい。この場合、核の別々のチェンバーは、同じ添加剤を含んでもよく、異なる添加剤を含んでもよい。また、これらのチェンバーは、2種類の試薬を含んでもよく、それらの試薬のうちの一方または双方は添加剤として機能しなくてもよいが、それらの試薬は、互いに反応するかまたは混ざり合って添加剤を生成する。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、一層確実に添加剤を添加剤放出部材から所定の方向に放出させるように機能する第2の要素と共に、喫煙品の内部に組み込まれてもよい。
第2の要素は、喫煙品に加えられた力を特定の方法で添加剤放出部材に向かわせるように機能してもよい。例えば、第2の要素は、添加剤放出部材の特定の領域に力が加えられることを防止する防護物であってもよい。第2の要素は、添加剤放出部材を圧縮する反応面を含んでもよい。あるいは、第2の要素は、喫煙品に加えられた力を添加剤放出部材の特定の領域に集中させてもよい。
第2の要素は、添加剤放出部材支持構造であってもよい。支持構造とは、添加剤放出部材を支持する構造であり、且つ喫煙品の内部に配置することができる構造である。添加剤放出部材支持構造により、添加剤放出部材からの添加剤の放出を制御することができる。支持構造は、喫煙品に加えられた力を添加剤放出部材の特定の領域に集中させるように機能してもよい。例えば、支持構造は、喫煙品に力が加えられたときに添加剤放出部材に接触して、これにより添加剤放出部材の所定の領域に力を集中させる突起または点を含んでもよい。
この支持構造により、所定の方向への添加剤の放出を補助することに加えて、添加剤放出部材からの添加剤の放出のさらなる制御が可能である。例えば、放出時期、放出量、および/または放出の持続時間の観点から放出を制御することができる。
図2Aおよび図2Bは、第2の実施形態による添加剤放出部材20を示す。この添加剤放出部材は、支持構造21内に配置されている。
図示された実施形態においては、添加剤放出部材はゼラチンカプセルである。添加剤放出部材は、より丸みを帯びた形状を有した第1の端部20aと、より尖った形状を有した第2の端部20bとを含む卵形の(または卵のような形に成形された)構造を有している。
添加剤放出部材支持構造21の外周は、この支持構造が用いられる喫煙品の外周と合致しているか、または当該喫煙品の外周よりも僅かに小さなものとなっている。支持構造21は、複数の軸方向畝22を有した環形、または中空円筒形の形状を有する。図示された実施形態においては、支持構造は、8個の畝を有する。他の実施形態においては、支持構造は、2個と16個との間の個数の畝を有してもよい。例えば、支持構造は、3個、4個、5個、6個、7個、9個、10個、11個、12個、13個、14個または15個の畝を有してもよい。
別の言い方をすると、いくつかの実施形態においては、図2Aおよび図2Bの支持構造は、複数の連結された花弁または葉状部を有した花紋形の形状となっている。各花弁または葉状部は、1個の半径方向外側部分と2個の略放射状部分を含む。半径方向外側部分は、喫煙品の内側の円筒面に接触するように適合された半径方向外側面と、その反対側の半径方向内側面を有する。半径方向外側面は、第1の端部および第2の端部を有し、これらの端部がそれぞれ各略放射状部分の半径方向外側端部に結合されている。各略放射状部分は、図示されるように、前記半径方向外側端部と半径方向内側端部を含む。各花弁または葉状部の半径方向内側端部は、隣接する花弁または葉状部の半径方向内側端部に結合されている。そのため、支持構造は、僅かに拡径されることにより、添加剤放出部材を掴んで保持するように作用する。
添加剤放出部材支持構造21の外周面においては、前記畝は軸方向溝23の形状をとっている。支持構造の内側面においては、前記畝は、支持構造21の中央核内に突出した先細の端部24を有している。
図2Bに示すように、添加剤放出部材20は、添加剤放出部材支持構造21の中央に配置されてもよい。これにより、添加剤放出部材20の長手方向の軸が実質的に支持構造21の長手方向の軸と一致する。
支持構造の突起24の端部は、添加剤放出部材20を受ける形状とされている。特に、対向する突起24の先細の端部同士の間の距離は、カプセル20の直径よりも大きい。このカプセルは、突起24に設けられたフランジ25によって添加剤放出部材支持構造内に保持される。
軸方向畝22により、特に軸方向と直交する如何なる方向から添加剤放出部材支持構造に加えられた圧縮力に対しても、添加剤放出部材支持構造21の剛性は低くなっている。例えば使用者の指によって加えられたこのような力に応じて、添加剤放出部材支持構造21は、略円形から、より楕円に近い断面形状に変形する。
使用時には、圧縮力に応じた変形により、支持構造21の少なくとも1対の対向する突起24同士の間の距離が狭まる。この力は、これらの突起24を介して添加剤放出部材の丸みを帯びた端部20aの表面の所定の位置に伝達される。
添加剤放出部材構造に設定された脆弱な線(図示略)のために、添加剤放出部材の尖った端部14bは、力を受けたときに、添加剤放出部材14の残りの部分よりも破裂しやすい。
支持構造21に圧縮力が加えられると、添加剤放出部材20は、尖った端部14bで所定の形態で破裂し、添加剤が所定の方向に指向性放出される。
図3は、支持構造21の内部に配置された第2の実施形態による添加剤放出部材20を含む喫煙品の拡大図を示す。喫煙品は、喫煙可能な材料のロッド26とフィルター27を含む。フィルター27は、その内部において、添加剤放出部材20を保持した支持構造21が2個の酢酸セルロースフィルター材セクション28、29の間に配置された三段フィルター構造となっている。これらのフィルターセクション同士は、プラグラッパー(図示略)で結合されてフィルター27を形成し、且つ従来法に従ってチッピング紙(図示略)で喫煙可能な材料のロッド26と連結されている。
使用時には、使用者がフィルター27の支持構造21の領域に対してフィルターの軸方向と直交する如何なる方向に力を加えても、前述のように、支持構造が変形し、添加剤放出部材20から所定の方向に添加剤が放出される。
添加剤放出部材支持構造の大きさおよび形状は、使用する添加剤放出部材の大きさおよび形状と組み合わせて決定することが好ましい。このようにして、添加剤放出部材を支持構造によって支持することができ、且つ添加剤の放出が求められるときまで、添加剤放出部材を支持構造によって物理的に保護することができる。
一実施形態においては、添加剤放出部材支持構造は、当該支持構造が使用される喫煙品の断面形状と実質的に同様の断面形状を有する。例えば、従来の紙タバコに使用される支持構造は、断面形状が円形であってもよい。これにより、支持構造を、喫煙品に形状、構成または強度を与えるように機能させることもできる。
添加剤放出部材支持構造は、その外面に、1つまたは複数の凸部、溝、隆起した要素、またはそれ以外の平滑面からの乖離を含んでもよい。また、支持構造は、断面が円形ではなく、六角形または他の多角形、楕円形、あるいは不規則な形状であってもよい。このような要素は、喫煙品の使用者にとって感知可能なものであるため、喫煙品または喫煙品のフィルター内の添加剤放出部材支持構造の位置、および添加剤放出部材から添加剤を放出させるために作動力を加えるべき支持構造の領域の手掛かりを与えることができる。また、添加剤放出部材支持構造は、添加剤が添加剤放出部材から放出されたことを使用者に報知してもよい。報知は、可聴音および/または感知可能な支持構造の形態の変化によるものであってもよい。
添加剤放出部材支持構造は、考え得る如何なる機構を介して添加剤放出部材から添加剤を放出させてもよい。支持構造は、添加剤放出部材に作動力を加えて、圧送による放出、指向性放出、多段階放出、または1回だけの放出によって添加剤を放出させるように構成してもよい。放出の種類は、特定の種類および形状の支持構造および使用される添加剤放出部材、並びにそれらの構成材料に依存する。
添加剤放出部材支持構造は、成形プラスチック構造であってもよい。いくつかの実施形態においては、支持構造は、PLA(ポリ乳酸)、CA(酢酸セルロース)またはPVOH(ポリビニルアルコール)等の生分解プラスチックにより製造されてもよい。ただし、原則として、当業者に知られた、あらゆる成形可能なプラスチック、セラミック、澱粉、紙、または他の適切な材料を用いて支持構造を製造することができる。
添加剤放出部材支持構造は、1回だけの放出によって、複数回の放出によって、または、例えば放出が支持構造に加えられた力の強さまたは持続時間に比例する可変式の放出によって、添加剤を添加剤放出部材から放出させてもよい。これは、支持構造の構成材料を適切に選択することにより達成することができる。例えば、支持構造が柔軟なプラスチックから成形されている場合、支持構造は、力が加えられて作動した後、元の形状に戻ることができる。この場合、添加剤放出部材の特性によっては、その後に支持部材に力を加えることにより、添加剤放出部材からさらに添加剤を放出させることができる。これに対し、支持構造が例えば柔軟性のないプラスチック等の、柔軟性のない材料から作られている場合、支持構造は、作動されると壊れる。このような構成により、支持構造の作動を1回のみに限定することができ、その結果、添加剤放出部材は添加剤を1回だけ放出して供給することができる。
いくつかの実施形態においては、第2の要素は、添加剤放出部材からの添加剤の指向性放出を直接的に補助するように機能してもよい。例えば、第2の要素は、添加剤放出部材からの添加剤の指向性放出を補助する漏斗、溝、または吸収材料であってもよい。添加剤放出部材が喫煙品のフィルター内に存在する実施形態においては、喫煙品のフィルター内で吸収材料等の芯要素を使用することによって指向性放出を強化することができる。いくつかの実施形態においては、吸収材料は、フィルター材よりも吸収性の高いものであり、例えば酢酸セルロース等の繊維のトウであってもよい。例えば、フィルター内の、添加剤放出部材からの添加剤の指向性放出が望まれる領域に、1つまたは複数の芯要素が添加剤放出部材に隣接して配置されてもよい。このようにして、1つまたは複数の芯要素によって添加剤を所望の方向に導くことができる。
任意に吸収材料を含む芯要素を使用することにより、添加剤が添加剤放出部材から放出された後の特定の方向への添加剤の輸送を促進することもできる。添加剤は、フィルター材に浸透する場合よりも早い速度で芯要素に浸透することができる。また、添加剤を芯要素に沿ってまたは芯要素を通して優先的に導くことができる。そのため、芯要素により、添加剤が主に拡散する方向を決定することができ、且つ/または、添加剤の移動距離を変化させることができる。例えば、特定の形状の芯要素を特定の位置に組み込むことにより、添加剤を特定の方向に輸送することができる。吸収材料の細い糸は、添加剤をより長距離輸送するための芯要素として特に効果的である。例えば、1本または複数本の吸収材料の糸を添加剤放出部材から放射状に延在させて、添加剤を輸送することができる経路を設けてもよい。このようにして、添加剤を喫煙品の外面に向かわせることもできる。
如何なる適切な吸収材料を使用してもよく、例えば非捲縮酢酸セルロース糸、ヒドロキシメチルセルロース等の他のセルロース系材料、澱粉、または発泡ポリビニルアルコールを使用してもよい。
いくつかの実施形態においては、添加剤放出部材は、壊れやすい材料で構成されてもよい。添加剤放出部材は、通常、単一部分により構成された添加剤放出部材である。一実施形態においては、添加剤放出部材は、低溶解性で高分子量のポリビニルアルコールから成る。複数の適切な代替材料が知られており、例えば、製薬業界で典型的に利用される添加剤放出部材を使用してもよい。このような添加剤放出部材は、例えばゼラチンを基礎材料とするものであってもよく、または変性セルロース等の高分子材料から形成されたものであってもよい。使用されてもよい変性セルロースの1種は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。添加剤放出部材の製造に使用するのに適しているかもしれない多くの生分解性材料が知られており、それらは、高分子量ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、プラスターチ(登録商標)材料、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸等のポリヒドロキシアルカン酸、およびゼイン由来バイオプラスチックを含む。
あるいは、添加剤放出部材は、例えばパスタ等の中空の食品材料、または押出成型された再生タバコ材料の中空管を含んでもよい。有利には、添加剤放出部材材料の内壁をワニス、またはシリコーン等の防水材料で被覆することにより、長期にわたって液体内容物の吸収、または液体内容物による劣化を防止して、添加剤放出部材材料の剛性を維持することができる。
あるいは、添加剤放出部材は、室温および喫煙温度ではその形状および強度を維持するが、外力が加えられたときには破裂可能な蝋、樹脂、天然または合成ゴム、ラテックス、あるいはプラスチック材料により構成されてもよい。好適な蝋の例は、蜜蝋、カンデリラ蝋、カルナバ蝋、セラック蝋、カランダ蝋、サトウキビ蝋、ギンバイカ蝋、および石油蝋を含む。
添加剤放出部材を構成するのに好適な樹脂は、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、エステルゴム、フェノール樹脂、およびロジン系樹脂を含む。好ましいゴムは、アラビアゴム、イナゴマメゴム、グアーゴム、アルギン酸塩、カラギナン、およびペクチンを含む。
カプセルが海綿状多孔性材料を含むいくつかの実施形態においては、如何なる適切な海綿状材料を使用してもよい。海綿状材料は発泡材料であってもよく、発泡材料はポリビニルアルコール(PVOH)等の発泡プラスチックポリマーであってもよい。
添加剤放出部材は、例えば煙の流路に添加されて煙の組成または性質を変えることができる如何なる物質であってもよい添加剤を含む。
添加剤放出部材内に保持される添加剤は、脱臭剤、希釈剤、吸収剤、または気流を改質することができる他の如何なる物質であってもよい。添加剤は水であってもよい。法令で許される場合には、添加剤は風味剤であってもよい。
本明細書で用いられる用語「風味」および「風味剤」とは、法令で許される場合に、成人消費者向け製品において所望の味または香りを作り出すために使用することができる材料を言う。これらは、抽出物(例えばカンゾウ、アジサイ、ホオバ、カモミール、コロハ、チョウジ、メンソール、ハッカ、アニス果、シナモン、薬草、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー類、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、ヒメウイキョウ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、薬用サルビア、ウイキョウ、オールスパイス、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、またはハッカ属の如何なる種に由来するハッカ油)、香味促進剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚器受容体部位活性剤または刺激剤、糖および/または糖代替品(例えばスクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、またはマンニトール)、および木炭、葉緑素、無機質、植物性薬品、または口臭消臭剤等の他の添加剤を含んでもよい。これらは、模造、合成または天然成分であってもよく、これらの混合物であってもよい。これらは、例えば油、液体または粉体等の如何なる適切な形態であってもよい。
いくつかの実施形態においては、添加剤はメンソールまたは水を含んでもよい。
風味は、タバコ風味であってもよい。風味が液体形態で供給される場合、タバコ風味は、タバコ抽出物に由来してもよい。風味が固体生成物に由来する場合、この生成物は、細断された形態、微粒子形態または顆粒形態、あるいは再生タバコ薄板材料の形態のタバコ葉であってもよい。
添加剤は、粉末等の固体、液体風味剤、脱臭剤、水等の液体、または芳香性組成物等の気体であってもよい。
添加剤放出部材の製造方法は、要求される正確な組成および形状に依存してもよい。如何なる適切な製造方法を使用してもよい。例えば、吹込成形、射出成型、三次元印刷、および回転成形型の使用を含む技術を使用してもよい。複数の技術を組み合わせて使用してもよい。
添加剤放出部材は着色されてもよい。例えば、添加剤放出部材は、着色剤を含んでもよい。着色剤を使用することにより、製造工程中に、添加剤放出部材をより容易に喫煙品または喫煙品のフィルターの内部に配置することができる。また、特に添加剤放出部材を喫煙品の内部に部分的にのみ封入することを意図した場合、あるいは、例えばチッピング紙に透明な窓部を設けることを意図した場合には、着色剤によって喫煙品に注意を引く外観を与えることができる。
また、添加剤放出部材内に保持される添加剤が着色されてもよい。これにより、添加剤が添加剤放出部材から指向性放出されるのが見えるので、添加剤がうまく放出されたことを使用者にさらに視覚的に示すことができる。これは、添加剤放出部材が複数の添加剤の組み合わせを含み、1つの添加剤が着色され、この添加剤が他の着色されていない1つまたは複数の添加剤の放出を示す役目を果たす場合には、特に有用であるかもしれない。
添加剤が着色されている場合、添加剤放出部材により、その色が観察される喫煙品または喫煙品フィルターの領域に添加剤が指向性放出されることが望ましいかもしれない。例えば、添加剤は、喫煙品の外周領域等の外縁領域に、または吸い口端部に向かって指向性放出されてもよい。着色された添加剤は、喫煙品の透明な窓部を介して見ることができる部分に指向性放出されてもよい。
いくつかの実施形態においては、喫煙品は、フィルター内等の喫煙品内の添加剤放出部材を可視化することができる透明な窓部を含んでもよい。このようにして、使用者は、フィルター内の添加剤放出部材を可視化することができ、且つ添加剤が放出されたか否か視覚的に判断することができる。
透明な窓部の効果を生じさせるために、チッピング紙または他のラッパーは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、酢酸セルロース膜、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリ酸化エチレン(PEOX)、ポリエチレン、セロファン、ネーチャーフレックス(登録商標)、ポリ乳酸、プラスターチ(登録商標)材料、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸等のポリヒドロキシアルカン酸、およびゼイン由来バイオプラスチックの1つであってもよいがそれに限定されない1片の透明材料を含んでもよい。チッピング紙または他のラップ紙は、窓部を画定する、被膜が施されない透明な部分を残して、特定の部分に不透明な被膜を有してもよい。
添加剤放出部材は、如何なる適切な方法を使用して製造されてもよく、添加剤放出部材の製造方法は、当然ながら、要求される正確な組成および構成に依存する。同時押出、回転塗布、液滴形成、界面重合、溶媒蒸発および環状噴流形成等の技術を含む如何なる適切な添加剤放出部材の製造方法を使用してもよい。
添加剤放出部材が継ぎ目のないカプセルであるいくつかの実施形態においては、カプセルは、同時押出法を使用して製造されてもよい。同時押出法とは、後に殻とカプセルの内容物(または核)とを形成する2つの液体を同期的に押し出すことである。第1の(同時押出)工程は、液体殻材料の内側に液体核材料を有する液滴を形成することを含む。この同時押出工程の後、カプセルは、例えば冷却または硬化剤への浸漬によって固化される。その後、カプセルに洗浄、余剰液体の除去、着色、追加被膜の形成等の種々の処理が施されてもよい。
あるいは、環状噴流形成法を使用してもよい。この方法は、液体核材料の内側噴流と液体殻材料の外側噴流とを噴出する二重の同心噴流を利用する。液体流が壊れて液滴となり、架橋イオンの存在、pH差、温度変化等によって誘発される相転移により、液体殻材料が固化する。
添加剤放出部材が蝋カプセルを含むいくつかの実施態様においては、例えば液体核材料の溶液を小さな結晶が形成されるまで凍結させることを含む方法によってカプセルが形成されてもよい。この方法によると、結晶は、その後、溶融した蝋に滴下され、低温の結晶の周囲に蝋被膜が形成された後、へらによって取り出される。被覆されたカプセルが室温に達すると、凍結していた核材料が徐々に液体になる。
発泡海綿状材料は、発泡押出法を使用して作られてもよい。
添加剤放出部材は、喫煙品内のどの位置に組み込まれてもよく、例えば、添加剤放出部材は喫煙品のフィルター内に配置されてもよい。
喫煙品は、通常、喫煙可能な材料のロッドとフィルターを含む。これらは、煙が喫煙品内に吸い込まれる遠位(点火)端部から吸い口端部まで長手方向に延在している。指向性放出の結果として、添加剤は、喫煙品または喫煙品フィルターの特定の領域に向かって放出されてもよい。添加剤放出部材は、喫煙品の長手方向の軸と位置合わせされた方向、言い換えれば吸い口端部または遠位端部の方向に添加剤を指向性放出するように構成されてもよい。喫煙品をこの領域に放出することにより、添加剤と煙との相互作用の度合いを最大限に高めることができる。
喫煙品は、喫煙品または喫煙品フィルターのどの領域であってもよい喫煙品または喫煙品フィルターの特定の領域に向かって添加剤を指向性放出するように構成された1つまたは複数の添加剤放出部材を含んでもよい。
この領域は、添加剤放出部材から放出された添加剤によって活性化される材料を含んでもよい。例えば、この材料は、溶液中で活性状態となるものであり、そのため水または特定の溶媒形態の添加剤の作用によって活性化される固体を含んでもよい。
添加剤の指向性放出の目標領域は、他の活性材料を含んでも含まなくてもよいフィルターの中心の空洞であってもよい。例えば、この空洞は、結晶性の風味剤であって、溶媒形態の添加剤が空洞内に指向性放出されてその結晶に接触したときに活性化される風味剤を含んでもよい。あるいは、この空洞は、水形態の添加剤に対し感受性を有する材料、例えば水と接触して色を変えたり、溶解したり、音を立てたり、風味または香気を発したりする材料を含んでもよい。
添加剤が指向性放出される特定の領域は、フィルター材中に均一に分布された複数の小さな顆粒の形態の固体材料を含むフィルター材の領域であってもよい。このような構成は、例えば顆粒状の結晶性風味剤が、溶媒添加剤を含む添加剤放出部材と組み合わされて使用される場合に有用であるかもしれない。この場合、喫煙品が使用されている間、添加剤を連続して放出して風味剤を供給することができる複数の添加剤放出部材を使用してもよい。この構成では、添加剤は、顆粒を含んだフィルター材の同じまたは異なる領域に指向性放出されてもよい。
添加剤が指向性放出される領域は、喫煙品の外周面またはその近傍領域、あるいはフィルターの吸い口端部領域等の、喫煙品または喫煙品フィルターの外縁領域であってもよい。このような構成は、例えば、添加剤が喫煙品に注意を引く外観を与えるためおよび/または添加剤が放出されたことを視覚的に示すための着色剤である場合、例えば添加剤放出部材が着色剤を第2の添加剤と併せて含む場合に好適であるかもしれない。また、この構成は、添加剤が喫煙品からの香気の拡散を促進するための香気物質である場合にも好適であるかもしれない。
喫煙品または喫煙品フィルターは、それぞれ別々の添加剤放出部材に保持された2つまたはそれ以上の添加剤を含んでもよい。この構成は、例えば、2つまたはそれ以上の添加剤が化学的に反応する場合、あるいは、これらの添加剤が酸化、拡散、または他の時間と共に強度が低下する状況に晒される場合に好適であるかもしれない。
これらの2つまたはそれ以上の添加剤放出部材は、添加剤を互いに向かって指向性放出するように構成されてもよい。このような構成は、例えば、これらの添加剤が化学的に反応して、発熱または吸熱反応や、香気または気体を放出する反応あるいは色または他の視覚的な効果を生み出す反応を生じる場合に有用であるかもしれない。
これらの2つまたはそれ以上の添加剤放出部材は、添加剤をフィルターの共通の領域に向かって指向性放出するように構成されてもよい。これは、相当量の添加剤をフィルターの特定の領域に供給する必要がある場合、例えば、添加剤が水であり、フィルターの目標領域が水膨潤性、水溶性または水分解性材料等の水感受性材料を含む場合に好適であるかもしれない。
本発明の添加剤放出部材は、添加剤を指向性放出するように構成されているので、添加剤放出部材を喫煙品または喫煙品フィルターに挿入する方向を制御すべきである。
本発明の特定の形状の添加剤放出部材は、添加剤放出部材挿入工程を補助することができる。例えば、添付の図1および図2に示される卵形の添加剤放出部材と同様に、添加剤放出部材の重心が添加剤放出部材の幾何学的な中心に位置しない場合、添加剤放出部材は必然的に特定の方向を指向する。この特性を利用することにより、添加剤放出部材を確実に喫煙品内に所望の方向に向けて挿入することができる。
一般的に、添加剤放出部材は、喫煙品のフィルターに挿入されてもよく、如何なる適切な方法を使用して添加剤放出部材をフィルターに挿入してもよい。例えば、適切な装置は、連続したフィルター材を当該材料の供給源(例えば梱、ボビン、またはその類似物)から供給する手段を含んでもよい。この装置は、さらに、個々の添加剤放出部材をフィルター材内に所定の間隔をおいて挿入または固着する添加剤放出部材挿入装置を含んでもよい。内部に添加剤放出部材が固着されたフィルター材は、その後、後に所定の間隔で所望の長さに分割されて本発明の個々のフィルターを形成する連続したロッドを供給するロッド製造手段に受け入れられてもよい。
如何なる適切な代替技術も、適用可能ならば使用されてもよい。例えば、添加剤放出部材はフィルター内の空洞に挿入されてもよく、あるいは既知の二段または三段フィルター結合技術が使用されてもよい。添加剤放出部材は、垂直供給法を使用してフィルター内に組み込まれてもよい。
本発明の実施形態は、非制限的な例として、例えば風味、添加剤、放出物、成分等に関する法令等の関係法令に適合するように構成される。例えば、本発明は、本発明の実施に係る喫煙品がカプセルからの煙改質剤の放出前、放出中および放出後において関係法令に準拠するように構成されてもよい。
種々の問題に対処して当業技術を向上させるために、本明細書の全体は、例として、特許請求の範囲に規定される1つまたは複数の発明が実施され、優れた添加剤の放出および添加剤放出部材並びにこの添加剤放出部材を含む製品を提供することができる種々の実施形態を示す。本明細書に開示した利点および特徴は、実施形態の代表的な例に過ぎず、非包括的且つ/または非排他的なものである。これらは、特許請求の範囲に規定される特徴の理解を助け、特許請求の範囲に規定される特徴を教示するために提示されているに過ぎない。本明細書に開示した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって画定される本明細書の開示を限定するもの、または特許請求の範囲の均等物を限定するものと看做されるべきではないこと、並びに、本明細書の開示の範囲および/または趣旨から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができ、且つ変更を加えることができることは、理解されるべきである。種々の実施形態は、適宜、本明細書に開示された要素、成分、特徴、部分、工程、方法等の種々の組み合わせを含んでよく、これらの組み合わせにより構成されてもよく、本質的にこれらの組み合わせにより構成されてもよい。さらに、本明細書の開示は、現時点では特許請求の範囲に規定していないが、将来的に特許請求の範囲に規定することができる発明を含む。