JP2014515663A5 - - Google Patents

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ポリマースキャフォールドの一様なクリンピングおよび展開方法
本発明は、薬剤溶出医療装置に関し、より詳細には、ポリマースキャフォールド(ポリマー骨格、polymer scaffold)を送達バルーンにクリンピングするプロセスに関する。
当技術では、ポリマースキャフォールドがクリンピング(圧着)およびバルーン膨張力等の外部負荷を受ける場合、その構造的完全性を保持する能力に影響を与える様々な要因が認識されている。当技術によれば、塑性変形により展開状態に拡張される形式のポリマー製生体吸収スキャフォールドを、類似機能をもつ金属製ステントと差別化する特徴は数多くあり、しかも重要である。事実、金属製ステントの挙動予測に使用される一般的な分析方法または実験方法/モデルの幾つかは、不適切ではないにしても、信頼性に欠けるきらいがある。すなわち、バルーン膨張型スキャフォールド(以後スキャフォールドと称する)のポリマー製耐負荷部分の強い非線形性を示す挙動を、高い信頼性と一貫性をもって予測する方法/モデルとして使用するのは、信頼性に欠けるきらいがある。これらのモデルは一般に、スキャフォールドを体内に埋め込むのに必要とされる程度の許容できる確実性を提供できず、または実験データを予測/予見することができない。
ポリマースキャフォールドに使用できると考えられるポリマー材料、例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(D−ラクチド−co−グリコリド)、またはD−ラクチドが10%未満のポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)(PLLA−co−PDLA)、およびPLLD/PDLA立体錯体を、以下に述べる幾つかの方法において、ステント形成用金属材料との比較を通じて説明することができる。適切なポリマーは強度対重量比が低く、金属の場合と等価な機械的特性を提供するには、より多い材料が必要なことを意味する。従って、血管の壁を所望の半径で支持するのに必要な強度をステントに持たせるため、ストラットはより厚く、より幅広に作製しなければならない。このようなポリマーで作製されたスキャフォールドは脆くなりやすく、破壊靭性が限定される。材料固有の異方性および速度依存非弾性特性(すなわち、材料の強度/スティフネスが当該材料を変形させる速度に応じて変化する)は、ポリマー、特にPLLAまたはPLGA等の生体吸収性ポリマーを扱う際に、その複雑さを増すだけである。
末梢血管用スキャフォールドに対する課題の1つは、バルーンが膨張する際に、スキャフォールドをバルーンにクリンピングすることと、スキャフォールドを拡張させることである。一方では、クリンピング状態、またはクリンピング状態からバルーンで拡張した場合のいずれかにおいて、構造欠陥、すなわち破壊または過度のクラック、を招くことなくスキャフォールドを所望のサイズにクリンピングできない場合に問題が生じる。他方、スキャフォールドをクリンピングし、展開できるが、展開状態で一様に展開されない、という問題が生じる。これらのケースでは、不規則に展開されたリングおよび/またはセルに対し、一様でない展開の結果として設計限界を上回る負荷が加わり、血管内で急激な寿命の低下または疲労寿命の短縮が起こるため、スキャフォールドは急性の破損、または疲労破損を生じ易い。
更に、曲がりくねった生体構造を通じて移動する間、送達バルーン上にクリンピングされたスキャフォールドを保つ保持力が、バルーンからスキャフォールドが容易に脱落してしまうのを防ぐほど十分でないことがある。スキャフォールドが十分な力でバルーン上に保持されない場合、例えば、クリンピングした後、スキャフォールドにリコイル(スプリングバックによる戻り)があるとか、バルーンとスキャフォールド間の摩擦係数が低すぎる場合、カテーテルの遠位端が曲がったり、および/または送達シースの壁に当たったりして、スキャフォールドがバルーンから外れてしまうことがある。金属のステントでは、ステントを目標の部位に移動させる間、バルーンとの保持力を増加させる幾つかの周知の方法がある。しかし、バルーン上にスキャフォールドを保持するためのこれまでに提案された方法は、ポリマースキャフォールドに対しては改良の余地があり、不適切である。
金属ステントを送達バルーンにクリンピングする方法の一例は、ステントをクリンパー(クリンプに用いる用具)に配置し、温度を上昇させてバルーン材のコンプライアンスをより高くし、バルーン材がステントのストラット内の間隙に容易に広がるようにする方法である。更に、ステントがクリンピングされている間のバルーン圧を維持して、ステントのバルーンへの保持力を増大させる。開始時のプレクリンピングの後、ステントを送達バルーン上に配置し、ステントの温度が上昇している間、バルーン圧力のもとで僅かにリコイルさせる。このステップの後、バルーンが加圧されている間、ステントはバルーンにクリンピングされる。ステントの直径は大きくなったり小さくなったりを繰り返す。更に、これらのクリンピングステップの間、バルーン圧力は急に供給してもよく、または、一定値を保持してもよい。本プロセスの更なる詳細は、2010年9月30日出願の米国出願番号12/895,646号(整理番号50623.1358)に記載されている。
本技術で、以前、バルーンで拡張したポリマースキャフォールドを送達バルーン上に保持するための方法が改良された。一実施例では、スキャフォールドはポリマーのTGより十分低い温度で送達バルーンにクリンピングされる。次いで、バルーン両端の間に配置されるスキャフォールドは、バルーンの両端から熱的に遮断される。次いで、バルーン両端が約85℃(185°F)に加熱され、両端でバルーン材の直径が拡張する。拡張したバルーン両端は、スキャフォールド両端に隣接する盛り上がった端部を形成して、バルーンからスキャフォールドが外れるのを防ぐ。一実施例では、ポリイミド−ポリエーテルブロック共重合体(PEBAX)バルーンにクリンピングされたポリ(L−ラクチド)(PLLA)スキャフォールドで、このプロセスは約0.35ポンドの保持力をもたらした。本プロセスの一実施例は、US6666880に記載されている。
ポリマースキャフォールドのクリンピングの別の実施例が、本出願と発明者が同一のUS8046897に記載されている。‘897特許によれば、バルーンを膨張させるか、または部分的に膨張させてからクリンピングする。スキャフォールドはバルーン上に配置される。温度を例えば30〜50℃に上昇させてクリンピングすることができる。
フィルムヘッド型クリンパーを用いてステントをバルーンにクリンピングする。図8Aを参照すると、クリンピングの前に、クリンピングブレードとステントの間に非粘着材の清浄なシートを配置するために使用される3本のロール123、124、125を含むクリンピングアセンブリ20の斜視図が示されている。例えば、上部のロール125は、裏打ちシートに保持されるシートを保持する。シートは、クリンパーヘッド20内の回転メカニズム(不図示)により裏打ちシートから引き出される。第2シートが中央ロール124から供給される。クリンピング後、第1および第2(使用済)のシートは、下ロール123により集められる。非粘着シートを分配するローラの代替として、適合性のある薄い保護シース(鞘、sheath)内でステントをカバーしてからクリンピングしてもよい。
図8Bは、第1シート125aおよび第2シート124aを楔22およびクリンピングアセンブリ20の開口部内のステント100に対して配置する方法を示す。図示のように、2枚のシートはそれぞれ、ステント100の両側で2枚のブレード22の間を通過し、クリンピングアセンブリのアイリス(虹彩)状の寸法が収束ブレード22を介して小さくなるように、余分なシート材料を引き寄せる張力T1およびT2が加えられる。
供給される非粘着材料のシート(つまり保護シース)を用いて、治療薬で覆われているステントによってクリンパーブレードに被覆材が形成されるのを防止する。シート125a、124aは、各クリンピングシーケンスの後、新規シートに交換される。各クリンピング後に清浄なシートを送り出すことにより、前回クリンピングしたステントからの被膜材が堆積して汚染されるのを防止する。交換可能なシートを用いて、前回のステントクリンピングによる被膜材汚染または堆積の危険を避け、異なる薬品で被膜したステントを同一のクリンピングアセンブリによりクリンピングできる。
バルーンからポリマースキャフォールドを一様に展開する方法を改良するために、スキャフォールドとバルーン間の保持力を増大させるために、スキャフォールドを目標の部位に送達させるための最小断面形状を得るために、ポリマースキャフォールドを送達バルーンにクリンピングする方法を改良する余地が依然として存在する。
本発明は、スキャフォールドとバルーン間の保持力を維持または改良しつつ、バルーン膨張送達システムを介してポリマースキャフォールド拡張の一様性を増大させる方法を提供する。本発明の好適な使用方法は、送達バルーンに冠状動脈スキャフォールドをクリンピングすることである。
バルーンを加圧させながらスキャフォールドをバルーンにクリンピングする方法を含むクリンピングプロセスにより、送達バルーンにクリンピングされたポリマースキャフォールドの保持力を増加させることが可能なことは実証されている。すなわち、クリンパーブレードによりスキャフォールドの外径が収縮している時にバルーンを加圧する。このクリンピングプロセスの更なる特徴には、ポリマー材料のガラス転移温度(TG)に近い温度までスキャフォールドを加熱するステップ、およびその静定期間(放置期間)中にバルーン圧力を加えるステップ(すなわち、スキャフォールドの直径が一定に保たれる間、バルーン圧力を加える)を含む。
バルーン膨張型ポリマースキャフォールドでは、埋込み部位に安全に送達するのを保証するためのスキャフォールドをバルーンにクリンピングするプロセス、および無傷のスキャフォールドの拡張および埋込みを修正する必要があることが分かった。特に、クリンピングプロセスに対する以下の3つの要件を全て確実に満たすような特定の修正が必要なことが分かった:
・[構造的完全性]:スキャフォールドがバルーンにクリンピングされたり、またはバルーンにより拡張されたりする場合、スキャフォールドの構造的な完全性への損傷を避けること。
・[埋込み位置までの安全な送達]:埋込み部位まで移動する間にスキャフォールドがバルーンから脱落または分離しないこと。
・[拡張の一様性]:構造的欠陥および/または疲労寿命の短縮を招くことがあるスキャフォールドリングの非一様な拡張を避けること。
拡張一様性の要件に関して最近分かったことであるが、他の2つの要件を満たしていても、バルーンが膨張するときに初期のクリンピングプロセスにより一様な方法で拡張されない場合がある。結果として、スキャフォールドの半径方向の強度およびスティフネス(剛性)を提供するリングストラットおよび/またはセル構造が、応力および歪の不均一な分布を引き継ぐ。過度に拡張したセルは正常より高い応力および歪を支えるよう要求され、一方、隣接する拡張不足のセルは活用されないままとなる。バルーンに導かれて過度に拡張したセルと関係する応力および歪は、展開時の材料の最大応力および歪のレベルを越えることがあり、クラック形成または破損が生じたり、疲労寿命または破砕耐性が低下したりする可能性がある。その場合、埋込みの数日後または数週間後に直ちに破砕が発生することになる。
上記目的に照らし、本発明は、バルーンにクリンピングされたポリマースキャフォールドの拡張一様性を改良するため、ほぼ全体をクリンピングするために送達バルーンを膨張させるステップを含むクリンピングプロセスを提供する。例えば、スキャフォールドをバルーン上に配置して、バルーンおよびスキャフォールドをクリンパーヘッド内に挿入する直前に、送達バルーンを膨張させてもよく、次いで、スキャフォールド直径が、クリンピング前の直径の約50%以上に縮小するまで、ほぼこの圧力を維持する。
一実施の形態では、最終のクリンピングステップの直前までバルーンは加圧される。例えば、バルーンは、スキャフォールド直径を約25%だけ、または約10%だけ更に縮小させる最終のクリンピングステップまで加圧される。
バルーン加圧は一定値、例えば、137.9〜482.65kPa(20〜70psi)に設定してもよく、またはクリンピング中に複数の値に設定してもよい。例を挙げると、スキャフォールドが特定のクリンピング直径に達した後、例えば、スキャフォールド直径をほぼ40〜50%まで縮小させた後、バルーン圧力を低下させてもよい。一実施例では、クリンピングプロセス中のスキャフォールドの大小の直径とそれぞれ対応する2つのプログラムされたバルーン圧力設定(高圧および低圧)、例えば、約1034.25kPa(150psi)およびほぼ137.9〜482.65kPa(20〜70psi)の設定がある。
別の実施例では、クリンピングプロセスには、バルーンに対するスキャフォールドの直径が十分大きくて、バルーンに予め配置されている折畳みひだのほとんど全てを取り除くことが可能になっているときのバルーン加圧プロセスが含まれる。その後、この膨張した状態で、スキャフォールドは、直径のサイズが約50%(以上)に縮小するまでバルーンにクリンピングされる。
別の実施の形態によれば、クリンピング前、およびクリンピング中のバルーン加圧プロセスを含むクリンピングプロセスでは、スキャフォールドとバルーンをクリンピングし、それによってスキャフォールドとバルーンが完全にクリンピングされた状態(例えば、スキャフォールドおよびバルーン上に拘束シースが配置されてリコイルを抑える時点)になると、ほぼ全ての予め配置された折畳みひだが取り除かれる。
別の実施の形態によれば、クリンピングステップには、最初の直径縮小と最後の直径縮小との間に1回だけ、または3回だけ、または多くても3回の静定期間を含めることができる。
別の実施の形態によれば、クリンピングプロセスは、スキャフォールド直径をそのクリンピング前のサイズの僅か30%まで縮小させる。このプロセスによれば、スキャフォールド直径は最初のクリンピング後に更にほぼ60〜70%まで縮小し、スキャフォールド直径が更にほぼ60〜70%まで縮小した場合は静定期間がない。
好適な実施の形態では、クリンピングプロセスにアライメント(alignment)チェックが含まれる。アライメントチェックの間、バルーンの膨張状態を維持することが好ましい。他の実施の形態では、アライメントチェックを省くことができ、スキャフォールドをバルーンに完全にクリンピングした後だけ、クリンパーからスキャフォールドを取り外す。
開示する実施の形態によるプロセスには、幾つかのクリンピングステップを含めることができる。クリンピングステップは、静定期間、またはクリンピングヘッドの動きにより直径が意図的にではなく小さな直径に変更される場合の他の期間、に分けられる。幾つかの実施の形態によれば、静定期間にバルーン圧力が供給されてスキャフォールドのストラットのいくらかのミスアライメントが修正され、および/または後続のクリンピングステップにおける更なるミスアライメントが防止される。初期の1つ以上のクリンピングステップの後、部分的にクリンピングされたスキャフォールドは、クリンパーヘッドから取り外されてバルーンとのアライメントをチェックされる。このステップは、本開示で最終アライメントまたは最終アライメントチェックステップと呼ばれる。アライメントチェックの後、スキャフォールドをクリンパーに戻して最終クリンピングを実施する。スキャフォールドストラットの間隙にバルーン材を更に押し込めるようバルーンを加圧しながら最終の直径縮小を実行してもよい。最終クリンピングステップの間にバルーンが加圧されると、バルーン上にクリンピングされたスキャフォールドの保持力または引き剥がし力の著しい増加が見られた。
本発明の一態様では、バルーン圧力が加えられている間にクリンピングされたスキャフォールドは、最終のクリンピングステップでバルーン圧力が供給されないこと以外は同一のプロセスを用いてクリンピングされたスキャフォールドより保持力が少なくとも0.5ポンド増加した。スキャフォールドは、チューブ状に延伸された前駆体を作製してからスキャフォールドに切り出してもよい。材料はPLLAまたはPLGAで構成されるポリマーとすることができる。クリンピング温度はポリマーのTGの下限値より5〜15℃低い温度とすることができる。
本発明の別の態様では、クリンピングしたとき、少なくとも2.5分の1にまでスキャフォールドの直径は小さくなり、1.0ポンドを超える保持力を有する。スキャフォールドは約1.3mm(0.05インチ)のクリンピングされた直径と約18mmの長さを有する。クリンピングプロセスには、クリンピング前のスキャフォールドの直径から約50%まで縮小させた後、バルーンを加圧するステップが含まれる。
本発明の別の態様では、最終アライメント前の静定期間中のバルーン圧力は、最終アライメント後に加えるバルーン圧力の約2倍である。
本開示の別の態様によれば、アライメントをチェックするためにスキャフォールドを取り外す前に第1クリンピング量が発生し、第2クリンピング量はアライメント後に発生する。スキャフォールドの直径が大きくなる程、スキャフォールドのストラット間に更に大量のバルーン材が押し込まれる。但し、直径が大きくなると、スキャフォールドはバルーン上を更に動き廻るようになる(バルーン材が第1クリンピング時の量でスキャフォールドのストラット間に押し込められた場合、バルーンマーカーに対するスキャフォールドの長手方向の位置調整を行うことが更に困難になるということもある)。本発明のこの態様によれば、最終的なアライメントを達成するべくバルーン上のスキャフォールドのアライメント調整を十分可能にするようスキャフォールドをクリンピングするために、クリンピングの第1と第2の量が部分的に選択される。それにより、ストラット間の間隙が十分なサイズのままでありながらスキャフォールドはバルーン上を移動しなくなり、最終クリンピングの間にバルーン材を間隙に押し込んでスキャフォールドの保持力を増大させることができる。一実施の形態では、スキャフォールドの直径を約50%だけ縮小させ、次いで、アライメントをチェックするために取り外される。次いで、スキャフォールドは更に約33%だけクリンピングされて、最終的なクリンピング直径になる。本実施の形態では、スキャフォールドを形成するチューブの直径は、展開サイズかまたは展開サイズより大きい。展開サイズ未満かそれを越える直径を有するチューブから形成されるそれぞれ最終クリンピングサイズが同一のスキャフォールドでは、約50%の縮小率は、それぞれ50%未満または50%を越えてもよい。
一実施の形態では、最終アライメント後の直径縮小率に対する最終アライメント前の直径縮小率の比率は約1.5とすることができる。例えば、最終アライメント前にスキャフォールド直径を50%縮小させてから最終アライメント後に33%縮小させることができる。
単一のクリンピングステップでの直径縮小量は、ポリマー材料内の応力が緩和するように直径で40%縮小を越えないよう制限してもよい。スキャフォールドの最適な直径縮小量およびその率は、概して、材料およびクリンピング中のスキャフォールド温度がTGにどれくらい近いかに依存する。例えば、3つのクリンピングステップを有するプロセスの直径縮小は、PLLAスキャフォールドでは約20%、40%および30%とし、クリンピング温度は約48℃とすることができる。スキャフォールド直径は、最初に20%だけサイズを縮小させてから静定期間を続け、次いで38%だけサイズを縮小させて第2静定期間を続け、そして最終ステップ中にスキャフォールド保持力を増加させるようバルーン圧力を供給して更に33%最終クリンピング直径まで縮小させる。これらのクリンピング率では、3.5mmスキャフォールドは3.5mmから1.19mmまで直径が縮小する筈である。
本発明の別の態様によれば、バルーンで拡張したスキャフォールドをバルーンにクリンピングするための方法であって:およそTG−lowの下限値を有するガラス転移温度範囲によって特徴付けられるPLLAを含むチューブを提供するステップと、その半径方向スティフネスを増加するよう前記チューブを半径方向に拡張するステップと、円周方向に連なるW字形を有する閉じたセル、およびW字形セルを連結する直線リンクのストラットを形成するステップを含む、半径方向に拡張したチューブからスキャフォールドを形成するステップと、スキャフォールドがTG−lowのほぼ5〜15℃下のクリンピング温度を有する間にスキャフォールドをバルーンにクリンピングするステップであって、スキャフォールドの直径寸法を縮小させているときにバルーン内の圧力を維持するステップを含むクリンピングステップとを含む方法。
本発明の別の態様によれば、スキャフォールドをバルーンに固定するための方法であって、スキャフォールドがおよそTGとTGの15℃下との間の温度となる間にスキャフォールドをバルーンにクリンピングするステップであって、スキャフォールドは、PLLAまたはPLGAを含むポリマーから作製され、前記クリンピングステップは:(a)スキャフォールドの直径を開始サイズから第1サイズに縮小させるステップと、(b)ポリマー内の応力緩和を可能にするために第1静定期間中は第1サイズを維持するステップと、(c)スキャフォールドの直径を第1サイズから第2サイズに縮小させるステップと、(d)バルーンが第1圧力を有する間、ポリマー内の応力緩和を可能にするために第2静定期間中は第2サイズを維持するステップと、(e)スキャフォールドの直径を第2サイズから第3サイズに縮小させるステップと、(f)バルーンが第1圧力を有する間、ポリマー内の応力緩和を可能にするために第3の静定期間中は第3のサイズを維持するステップと、(g)第3のサイズから第4のサイズへとスキャフォールド直径を縮小させるステップであって、スキャフォールドの直径を第3のサイズから第4のサイズへと縮小させている間はバルーンが第2圧力を有する直径縮小ステップとを含む、クリンピングステップを含む。
本発明の方法および装置の範囲は、米国特許公開第2010/0004735号および米国特許公開第2008/0275537号に実質的に記載されているスキャフォールドをクリンピングするために使用するプロセスも含む。スキャフォールドを形成するチューブの厚さは、0.10〜0.18mm、あるいは更に薄く約0.152mmとしてもよい。スキャフォールドはPLLAで作製することができる。また、スキャフォールドは、PEBAXバルーンにクリンピングすることができる。
文献の引用
個々の刊行物または特許明細書を、あたかも特別にかつ個々に参照して組み込んでいるかのごとく、本明細書に記載する全ての刊行物および特許明細書を参照して本明細書に組み込む。取り込まれた刊行物または特許と、本明細書との間に、何らかの矛盾した用語および/または語句の使用法がある場合、これらの用語および/または語句は、それらが本明細書で使用される方法では矛盾のない意味を有する。
図1Aは、ポリマースキャフォールドをバルーンにクリンピングするためのフロープロセスの実施例である。
図1Bは、図1Aのフロープロセスのクリンピング部分をグラフ形式で示す。スキャフォールド直径と時間との関係をプロットし、クリンピングプロセスの各ステップの間に供給されるバルーン圧力を示す。
図2Aは、図1A、図1Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン遠位端近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図2Bは、図1A、図1Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン中央近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図2Cは、図1A、図1Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン近位端近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図3は、図1A、図1Bのクリンピングプロセスを用いてバルーンにクリンピングされたスキャフォールドに対するバルーン膨張後のスキャフォールドの一部を示す。
図4Aは、ポリマースキャフォールドをバルーンにクリンピングするためのフロープロセスの他の実施例である。
図4Bは、図4Aのフロープロセスのクリンピング部分をグラフ形式で示す。スキャフォールド直径と時間との関係をプロットし、クリンピングプロセスの各ステップの間に供給されるバルーン圧力を示す。
図5Aは、ポリマースキャフォールドをバルーンにクリンピングするためのフロープロセスの他の実施例である。
図5Bは、図5Aのフロープロセスのクリンピング部分をグラフ形式で示す。スキャフォールド直径と時間との関係をプロットし、クリンピングプロセスの各ステップの間に供給されるバルーン圧力を示す。
図6Aは、図4A、図4Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン遠位端近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図6Bは、図4A、図4Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン中央近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図6Cは、図4A、図4Bのクリンピングプロセス完了後のバルーン近位端近傍とカテーテル軸周辺のバルーン折畳みひだの配置を示す(クリンピングされたスキャフォールドは不図示)。
図7は、本開示によりバルーンにクリンピングするためのスキャフォールドの一部の一実施例を示す。
図8Aは、従来技術のフィルムヘッド型クリンパーの斜視図である。
図8Bは、図8Aのフィルムヘッド型クリンパーのクリンパージョーがステント上に降りているときのヘッドの前面図である。
図9A〜図9Cは、図7に示すようなクリンピング前のパターンを有するスキャフォールドがバルーンカテーテルのバルーンにクリンピングされた場合の断面写真である。図9Aは、バルーン遠位端付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図9Bは、バルーン中央付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図9Cは、バルーン近位端付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図9A〜図9Cのクリンピングされたスキャフォールドおよびバルーンは図1A、図1Bのプロセスを用いて得られた。
図10は、バルーンが膨張した後の図7に示すものと類似のパターンを有するスキャフォールドを示す写真である。この写真に示すスキャフォールドは図1A、図1Bのプロセスを用いて拡張された。この写真に示すように、スキャフォールドは非一様な拡張を示し、スキャフォールドのリングに破砕が見られる。
図11A〜図11Cは、図7に示すようなクリンピング前のパターンを有するスキャフォールドがバルーンカテーテルのバルーンにクリンピングされた場合の断面写真である。図11Aは、バルーン遠位端付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図11Bは、バルーン中央付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図11Cは、バルーン近位端付近のバルーンの折畳みひだの断面形状を示す。図11A〜図11Cのクリンピングされたスキャフォールドおよびバルーンは図4A、図4Bのプロセスを用いて得られた。
図12は、バルーンが膨張した後の図7に示すものと類似のパターンを有するスキャフォールドを示す写真である。この写真に示すスキャフォールドは図4A、図4Bのプロセスを用いて拡張された。この写真に示すように、スキャフォールドはより一様な拡張を示し、スキャフォールドのリングに破砕が見られない。
図13Aは、図7に示すものと類似のパターンを有するスキャフォールドのFINESCAN画像である。スキャフォールドは、図1A、図1Bのプロセスを用いてクリンピングされた。次いで、スキャフォールドはバルーンの膨張により拡張された。この画像に示すように、スキャフォールドは非一様な拡張を示す。
図13Bは、図7に示すものと類似のパターンを有するスキャフォールドのFINESCAN画像である。スキャフォールドは、図4A、図4Bのプロセスを用いてクリンピングされた。次いで、スキャフォールドはバルーンの膨張により拡張された。この画像に示すように、スキャフォールドは図13Aのスキャフォールドよりも一様な拡張を示す。
「ガラス転移温度」TGは、一般に大気圧においてポリマーのアモルファス領域が脆いガラス質状態から、固体の変形可能なつまり延性のある状態に変化する温度である。換言すると、TGは、ポリマー鎖に部分的かつ顕著な動きが始まる温度に対応する。アモルファスまたは半結晶ポリマーが温度上昇に曝されると、ポリマーの膨張係数および熱容量が温度上昇につれてともに増大し、分子運動が盛んになることを示す。温度が上昇したとき、試料内の実際のモル体積は一定のままなので、より高い膨張係数が、その系と関係する自由体積の増加を示し、従って分子の運動自由度が増加する。増加する熱容量は、運動によって増加する熱消散と一致する。所与のポリマーのTGは加熱速度に依存することがあり、かつポリマーの熱履歴による影響を受けることがある。更に、ポリマーの化学構造が運動性に影響を与えることにより、ガラス転移は著しく影響を受ける。
ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)およびポリ(L−ラクチド)(PLLA)は、本明細書に記載するスキャフォールドを形成するために使用される半結晶性ポリマークラスの例である。PLLAはホモポリマー、PLGAはコポリマーである。PLGAで構築されたスキャフォールド内のグリコリド(GA)の割合は変更でき、TGの低い方の範囲に影響を与える。例えば、マトリックス(基質)材料内に占めるGAの割合は0〜15%の間で変更してもよい。PLLAではガラス転移は約55℃で開始される。ほぼ0%〜15%のGAの増加により、PLGAのTGの下側範囲をそれに応じて約5℃だけ下げることができる。約5%のGAを含むPLGAではクリンピングの温度範囲がほぼ46〜53℃となる。約15%のGAを含むPLGAではクリンピングの温度範囲がほぼ43〜50℃となる。
一実施の形態では、PLLAの押出によりチューブが形成される。米国特許公開第2010/00025894号に記載のチューブ形成プロセスを用いてこのチューブを形成する。次いで、完成し、固体化したPLLAのポリマーチューブをブロー成形プロセスにより半径方向および軸方向に変形することができ、この場合、チューブの長手方向の軸に沿って所定の長手方向速度で変形が進行する。例えば、ブロー成形は、米国特許公開第2009/0001633号の記載に基づいて実行できる。チューブが形成された後のこの2軸の変形は、この膨張処理なしでチューブから切り出したスキャフォールド構造部材の機械的特性を著しく改良することができる。ポリマーチューブが受ける半径方向の膨張の程度により、誘導された円周方向の分子または結晶の配向度が特徴付けられる。好適な実施の形態では、半径方向の膨張率、つまりREレシオ(ratio)は開始時のチューブ内径の約450%であり、軸方向の膨張率、つまりAEレシオは開始時のチューブ長さの約150%である。RAおよびAEの比率は米国特許公開第2010/00025894号で規定されている。
スキャフォールドの外径(上記プロセスにより作製されたスキャフォールド)は、使用が見込まれる場所、例えば、体内の指定の場所つまり部位により指定できる。但し、外径は、その治療をする間に通常必要とされる外径の近似に過ぎない。例えば、治療薬の効果があると、崩壊する広範囲の石灰化を起こしていることがあり、血管内でスキャフォールドが外れる可能性がある。更に、血管の壁の断面が円形であると仮定することはできず、その実際のサイズは近似にすぎないので、医師は、スキャフォールドが確実にその場所に留まるようスキャフォールドを過大に拡張するよう選定できる。このため、時にはスキャフォールドの予想展開直径より大きな直径のチューブを使用する方が好ましいことがある。
先に説明したように、スキャフォールドの製作には金属ステントにない課題が存在する。特に、1つの課題はスキャフォールドの製作であり、その意味するところは、負荷を支えるストラット網には、管腔を支持する必要性から、半径方向強度およびスティフネスを提供するリング要素、または部材をリンクするコネクタが含まれているということである。特に、強度を低下させることなく顕著な塑性変形、例えば、ストラットのクラックまたは破砕、に耐えることができるスキャフォールドを製作する挑戦が継続している。一実施の形態では、完全にクリンピングされた直径に対する展開直径の比は約2.5である。本実施の形態では、クリンピングされた直径は、開始直径の僅か約40%の外径に相当する。従って、展開したとき、薬剤溶出スキャフォールドは、クリンピング直径のサイズの少なくとも約2.5倍のサイズに増加することが要求される。
一つの特別な実施例では、スキャフォールドは外径3.5mmの2軸膨張チューブで形成され、これはほぼ展開直径に相当する(スキャフォールドは管腔内で4.0mmまで安全に拡張できる)。クリンピングメカニズムのアイリスは直径1.1mm(0.044インチ)に達し、静定期間185秒の間維持される(すなわち、スキャフォールドはクリンピングメカニズム内で外径1.1mm(0.044インチ)に保たれる)。その後、クリンパーから取り出すと、スキャフォールド上に配置された拘束シースがあるにも拘わらず、スキャフォールドをクリンパーから取り外した直後にスキャフォールドはリコイルする。次いで、スキャフォールドおよびシースに放射線滅菌が施される。使用時点での、すなわち、医療従事者が拘束シースを外した時点でのスキャフォールドの外径は、約1.3mm(0.052インチ)、つまり開始時のチューブ直径3.5mmのほぼ35〜40%である。クリンピングメカニズム内にある時、スキャフォールドは開始チューブサイズのほぼ30〜35%になる。
スキャフォールドが直面する更なる課題は、適切な保持力をスキャフォールドとバルーン間に確立できるようにするための、バルーンにクリンピングされるスキャフォールドの能力の問題である。バルーンにクリンピングされるスキャフォールドの「保持力」は、スキャフォールド―バルーンのセットがバルーンからスキャフォールドが外れる前に耐えることができる、血管を通って進む方向に沿うスキャフォールドに加えられる最大の力を意味する。バルーン上のスキャフォールドの保持力はクリンピングプロセスにより設定され、それによってスキャフォールドはバルーンの表面上で塑性変形されて、スキャフォールドがバルーンから外れるのに耐える係合を形成する。バルーン上のスキャフォールドの保持力に影響する要因は数多くある。それらにはバルーンとスキャフォールド間の面と面の接触の程度、バルーンとスキャフォールド表面の摩擦係数、およびスキャフォールドのストラット間へのバルーン材の突出つまり拡張の程度が含まれる。同様に、スキャフォールドの剥離力つまり保持力の大きさは大抵その長さによって変化する。従って、同一のクリンピングプロセスを長いスキャフォールドと短いスキャフォールドの両方に用いて曲がりくねった組織にカテーテルを挿入すると、長いスキャフォールドよりも短いスキャフォールドの方がバルーンから外れ易くなる。
金属ステントでは、1つ以上の上記特性の改良を経て、バルーン上のステントの保持力を改善するための数多くの公知の方法がある;但し、先に説明したように、スキャフォールドと金属ステントの機械的特性が異なるので、スキャフォールドに対しては適切でないか、または有用性が限られている。これらの差異の内で最も注目すべきは、バルーン膨張型スキャフォールド製作に適したポリマー材料の脆性対金属ステントの脆性、およびポリマー材の熱に対する感度である。金属ステントは十分に変形させて所望の保持力を得ることができるが、ポリマースキャフォールドではクラックまたは脆性関連の問題を避けつつ利用できる変形範囲は比べると大きく限られている。加熱が金属ステントの保持力を増加させるのに効果があることは分かっている。しかしながら、金属ステントで使用される熱レベルはポリマー材のTG範囲内またはそれを超える温度と一致することが多いので、ポリマー材に逆効果を与えることがある。そのため、金属ステントの保持力を増加させる公知の加熱法は、スキャフォールドとバルーン間の保持力を増加させるのには不適切と見られがちである。
金属ステントと比較した時、クリンピングされたポリマースキャフォールドの高い保持力を達成するのは、基本的に2つの理由から更なる挑戦を必要としている。第1の理由は、クリンピング状態のストラット間に利用可能なスペースが少なく、バルーン材がストラット間で拡張されるのが妨げられることである。結果として、ストラットとバルーン材の間の近接または干渉が少なくなるが、以前は、その干渉/近接はバルーンに加えられる金属ステントの保持力の増加に寄与していた。この条件から、十分な展開半径強度を提供するためには、スキャフォールドのストラットを金属ステントと比較して更に幅広く、かつ厚く作製する必要があるという結果が得られる。更に、金属ステントがクリンピング直径に近いチューブから切り出すことができるのに対して、ポリマースキャフォールドは、ほぼ完全に膨張した直径のチューブから作製されるので、クリンピングされた構成でのストラット間のスペースが更に減少する。第2に、バルーンへの保持力を増加させるために使用した温度範囲に、ポリマーはより敏感である。TG内、またはTGを超えてスキャフォールドを加熱すると、ポリマー材料の分子配向に著しい変化が引き起こされ、スキャフォールドが展開直径まで塑性変形された場合に強度不足となる。
2010年4月30日に出願された米国特許出願第12/772、116号(US20110270383)(整理番号62571.399)(‘116出願)は、クリンピングされたスキャフォールドの保持力への影響を調査するために実施された研究について記載している。原理的に、この研究は、血管を支持するために展開した時のスキャフォールドの機械的特性に悪影響を与えることなく保持力を改良できるように、スキャフォールド材料のTGに対する温度範囲を特定した。PLLAでは、クリンピング温度がほぼ40〜55℃のスキャフォールドの圧力および保持時間を調整することでスキャフォールドの保持力を改良し、ほぼ45〜51℃および約48℃がPLLAスキャフォールドの好適な温度となることを見いだした。更に、‘116出願は、スキャフォールドを中間の直径までクリンピングし、次いで、バルーンを収縮させてから、再膨張させ、続いて最終のクリンピング直径までスキャフォールドをクリンピングして細くすると、保持力が改良できることを見いだした。‘116出願は、PLGAについても、この材料のTGを考慮し、プロセスおよびスキャフォールドパターンの他の特性を想定した場合の類似の結果を考察している。約5%のGAを含むPLGAでは、クリンピングの温度範囲は、ほぼ46〜53℃とすることができる。約15%のGAを含むPLGAでは、クリンピングの温度範囲はほぼ43〜50℃である。
スキャフォールドポリマーのTGの範囲に十分入る温度まで加熱しながらバルーンにスキャフォールドをクリンピングする場合、スキャフォールドを後で展開する時に強度低下を生じるポリマー鎖の再配列が起きる傾向が強い。許容できないクラック形成(クラックの数または範囲のいずれかの)、空洞または明らかな破砕が後続の試験で観察された。クリンピング温度が上昇してポリマーのTGと較べて高すぎた場合、スキャフォールドが変形した時に開始時のチューブ直径でのマトリックス材料の復元力は削除されるか改編される。結果として、スキャフォールドが後で生理学的状態、例えば体温、のもとで拡張した場合、体温における脆性により、およびその開始時直径からの分子鎖配列の欠如により、更にクラックを形成し易くなる。バルーンにクリンピングされた場合、保持力およびスキャフォールドの完全性は、概して高温になるほど改善されるが、但し、温度が高くなり過ぎて、例えばTGを超えた場合、後で展開した時にスキャフォールドはその構造的完全性を失う。他方、転移温度の約15℃下の温度までスキャフォールドが加熱された場合や、または全く加熱されなかった場合、スキャフォールドの保持力の著しい改善は見られない。最も効果的な範囲はTGの約15℃下からほぼTGまでの間であることが判明した。
‘116出願は、上記の、かつ関連する予期せぬ結果が以下の方法で説明できることを明らかにしている。ポリマースキャフォールドが、そのTGの僅かに下(例えば、TGの5〜15℃下)の温度でクリンピングされる場合、材料の応力限界を超えることなくスキャフォールドの変形を支援するよう自由に運動できるマトリックス材料の非常に短い分子鎖がある。同時に、より長いマトリックスの分子鎖は配列をほぼ維持し、従って、開始チューブが膨張した時の配向セットを失わず無傷のままである。そうすることにより、スキャフォールド保持力が良好になる直径までスキャフォールドをクリンピングして細くすることができ、一方、大多数のポリマー鎖の配向は同一となって、最終製品、すなわち、スキャフォールドが展開して血管を支持するとき、の所望の強度および破壊靱性を確保するはずである。
‘116出願の図1は、最終クリンピング直径1.1mm(0.044インチ)にクリンピングされる3.0mm(0.118インチ)スキャフォールドのクリンピングプロセスのフローを示す。3.0mm(0.118インチ)から1.1mm(0.044インチ)への直径縮小は、PLLAスキャフォールド温度が約48℃の温度に上昇する「クリンピング前」手順に続く、2.1、1.6および1.8mm(0.083、0.063および0.07インチ)の3つの中間クリンピング直径を含む。スキャフォールドが中間クリンピング直径のいずれかに達すると、30、15および10秒のそれぞれの静定期間中、クリンパージョーがクリンピング直径で保持される。最終クリンピング直径が得られた後、クリンパージョーは約200秒間最終クリンピング直径で保持される。送達バルーン、すなわちPEBAXバルーンは、30、15および10秒の静定期間中117.215kPa(17psi)の圧力まで膨張する。中間のクリンピングステージの静定期間は、ポリマー材が応力緩和してからスキャフォールド直径を更に縮小させることを可能にするプロセスに含まれる。クリンパーのアイリスがクリンパージョーの作動により小さくなる前にバルーンは縮小する。従って、‘116出願の実施例では、バルーンは、スキャフォールド直径を縮小させているときは常に膨張していない。
‘116出願に記載の発明を実践するとステント保持力が改良されたにもかかわらず、スキャフォールド保持力を更に増加させることが望まれている。例えば、冠状動脈スキャフォールドでは、少なくとも0.7ポンド、好適には1.0ポンドを超えるバルーン−スキャフォールド保持力(すなわちスキャフォールドをバルーンから引き剥がすのに必要な力)が望まれている。
クリンピングされたポリマースキャフォールドの構造的完全性を維持しながら、高い保持力を達成するためのプロセスが提案されている。このような一プロセスが、本出願と同一の譲受人を有する同時係属出願第13/089,225号(整理番号65271.517)(‘225出願)に記載されている。この開示には、長さ18mm、クリンピング前直径3.5mmのスキャフォールドの保持力を、‘116出願のデータを生み出すために使用されたプロセスを少なくとも0.5ポンド上回る方法が提案されている。
図1A、図1Bはそれぞれ、直径3.5mm、長さ18mmのスキャフォールドのクリンピング方法のフロープロセスおよびグラフである(図1A、図1Bは‘225出願からの引用)。ステージ間に直径縮小ステップをもつ5つの一連の「ステージ」の観点から本方法を説明する。各「ステージ」は、静定期間中にクリンパージョーが一定直径のまま維持される期間を指す。スキャフォールド直径はこれらの期間中一定に保持される。グラフのボックス20および10は、アイリス直径が縮小しているときの時間を特定する(上記の同一技法を図4B、図5Bでも使用)。
図1A、図1Bの「最終アライメント」または「最終アライメントの検証」のステップに先行するステージでは、スキャフォールドおよびバルーンをクリンパーから外してアライメントチェックする場合、バルーンを膨張させて、後続のクリンピングステップ中の先行するクリンピングステップにおいて平面からの外れ、または不規則な動きまたはストラットの捻れを最小化する。これら静定期間中にバルーンを膨張させてこの結果を達成する利点の幾つかは、2010年8月23日に出願の米国特許出願第12/861,719号(US20120042501)(整理番号62571.448)(‘719出願)に記載されている。
先に説明したように、ポリマースキャフォールド、特に、ミスアライメントポリマースキャフォールドは、対応する金属ステントよりもクリンパー内で損傷を受けやすい。クリンパー内でポリマースキャフォールドに「僅かな」ミスアライメントあると、損傷を受ける機会が金属ステントよりはるかに多い。言うまでもなく、クリンパー内にある時の金属ステントのストラットの捻れや曲がりを避ける必要性はすでに知られている。しかし、ブレードの縁によりストラットに働く局部的に不規則な力、つまり非一様な力に対して遙かに強い耐性をもつ金属ステントと異なり、ポリマーストラットは、クリンピング力が非一様に加えられると容易に歪む。ストラットが近接している(金属ステントと同等なスティフネスを提供するために、より厚く幅広いストラットの必要があり、時には、クリンピング中により大きな直径縮小が必要なことがあるため)ことにより、クリンピング状態でスキャフォールド構造の面が捻れたり重なったりする原因となるストラット隣接の機会が増える。従って、ポリマースキャフォールドに加わる不規則つまり非一様なクリンピング力の影響は、金属ステントの場合より更に大きくなる。その差異は、展開されるポリマースキャフォールドのクラックおよび/または破砕の事例における不規則な捻れまたは曲がりを示す証拠から明らかである。
静定期間中の個々のストラットの更に局部的な支持は、ストラットが近接ストラットと捻れ合ったりまたは重なったりする傾向があるのを矯正すると考えられる(他のストラットと捻れ合ったり重なったりする傾向があるストラットは、スキャフォールドがより大きな直径であった時に以前の僅かな面外の曲がりまたは捻れがあったストラットと言われる)。基本的に、静定期間中のバルーン圧力はストラットの腔側に有益な補正力を加えると考えられ、後続のステップでクリンパーブレードが適用されるとき、更に重なったり、または捻れたりするストラットの潜在能力を抑制するよう働く。
より大きな直径からクリンピングして小さくする場合(例えば、図1Aで3.5〜2.8mm(0.136〜0.11インチ)、スキャフォールドが乗っている収縮したバルーンより直径がずっと大きいので、スキャフォールドに利用できる小さな安定化支持がある。このように、何らかの非一様に加えられる初期のクリンピング力、またはミスアライメント、例えば、ポリマー表面上の残留静電気によるもの、がスキャフォールド直径を更に縮小させるとより顕著な不規則な曲げを開始することがある。ブレードとスキャフォールド表面間の摩擦、またはポリマー表面を滑ることによって発生する静電気の残留や蓄積も、スキャフォールドのこの不規則な変形の原因と考えられる。静定期間中に内部からスキャフォールドを支持する(支える)ようバルーンを膨張させた場合、最終クリンピング直径(スキャフォールドをクリンパーから外した時の直径)で見られるストラットの不規則な曲がりおよび捻れはほとんど減少した。クリンパー軸に対する適切な配向にスキャフォールドをより維持することができた。
図1A、図1Bを再度参照すると、スキャフォールドは部分的にクリンピングされ、次いで、クリンパーから外されてバルーン上のアライメントをチェックされる(静定期間としてステージI、II、III)。次いで、スキャフォールドはクリンパーに戻されて最終クリンピングステップ、例えば、ステージIVで1.1mm(0.044インチ)まで縮小させてから静定ステージVが実行される。これらの最終ステップ中は、バルーンにはほぼ一定の圧力が加えられている。初期のクリンピングステップと異なり、スキャフォールドが最終直径にクリンピングされる場合にはバルーンは加圧される。「中間圧力」ステップがないときの、すなわち最終クリンピングのほぼ大気圧のバルーン圧力の同一プロセスと比較すると、最終クリンピング中のバルーン圧力の存在(「中間圧力」ステップ)によりバルーンに対するスキャフォールドの保持力が大きく増加した。別々に説明したが、最終クリンピングまたは直径縮小ステップ中にバルーンを加圧すると、バルーンに対するスキャフォールドの保持力が非常に高くなった。
バルーン材に加えられる対向するバルーン圧力によりスキャフォールドがクリンピングされるとき、最終クリンピング中のスキャフォールドストラット内の間隙に対向するバルーン材が、より頻繁に中間にある間隙を拡張する傾向があったために、著しく増加した保持力が達成されたと考えられる。この圧力がなければ、最終クリンピング中に間隙サイズが狭くなった場合に、バルーン材が間隙から逃げる傾向があった。直径のサイズを縮小させている場合、バルーン材が間隙から逃げるのではなく、むしろバルーン圧力が間隙内にバルーン材を多く押し込んだことが基本となっている。
注意すべきは、「中間圧力」ステップが、スキャフォールド保持力の差を生み出す量に適したバルーン圧力のためにバルーン損傷を起こすのではないかという懸念があった、ということである。著しい直径縮小を有するスキャフォールドのストラット間の間隙および比較的厚いストラット間の間隙は、金属ステントのストラットの間隙よりも狭い。バルーン材をより狭いスペースに押し込むのは、バルーン材がストラット間に過度に挟まれて、それにより、バルーンに損傷を与えるだろうという懸念を惹起した。一実施例では、初期の静定期間中(ステージI、IIおよびIII)に加えられる圧力は、図1A、図1Bに示すように、最終クリンピングステップ中に加えられる圧力の約2倍である(それぞれ1034.25kPa(150psi)および482.65kPa(70psi)。バルーン圧力のこの比(すなわち、約2.5mm(0.1インチ)および約1.8mm(0.07インチ)の直径、約3.5mmのクリンピング前直径および約1.1mm(0.044インチ)の最終クリンピング直径に対応する約150:70、図1A、図1B)は、前述の懸念にもかかわらず、良好な結果を生み出すことがわかった。他の圧力比、または圧力値の増加がこれらの結果を上回るかもしれないと考えられる。しかしながら、見いだされたのは、中間圧力ステップ中に加えられた圧力の比較的中庸な量は、スキャフォールド保持力の著しい改良を生み出すことができ、それにより、バルーンおよび/またはスキャフォールドの損傷の危険性が低下する、ということであった。
‘225出願によれば、バルーン圧力は中間圧力ステップ中に一定レベルで設定するというよりバースト状で加えられる。更に、前回の部分的なクリンピングステップ中のバルーン圧力を用いるという利点がある。スキャフォールドが初期のクリンピングステップに続いて再アライメントされるので、初期のクリンピングステップ中のバルーン圧力を用いる利点が、増加した保持力を支えているとは余り考えられない。むしろ、スキャフォールド直径が縮小しているので、バルーン圧力は、スキャフォールドストラットの不規則な捻れまたは曲がりを防ぐのを助けているのかもしれない(上記説明の理由のため)。
[実施例1]
図1Aの3.5mmスキャフォールド製造および送達バルーンへのクリンピングのフロープロセスの更なる詳細を説明する。図1Bは、静定期間中および中間圧力ステップ(すなわち、ステージIVおよびステージVの間のクリンピング)に加えられる1034.25kPa(150psi)または482.65kPa(70psi)のバルーン圧力を伴うスキャフォールドの直径対時間のグラフ形式で図1Aのフロー図のクリンピング部を説明する。スキャフォールドは、金属クリンパーブレードとスキャフォールドの間に配置された複数のフィルムシートを有するクリンパーを用いてクリンピングされた。この特殊な形式のクリンパーは図8A、図8Bと関連させて既に説明した。
上記の説明のように、スキャフォールドは、PLLAまたはPLGA前駆体から作製され、その前駆体を2軸拡張してチューブを形成し、次いでレーザーでチューブからスキャフォールドを切り出す。次に、バルーンマーカー間にスキャフォールドを配置し、クリンパーのアイリスによりスキャフォールドを整列させるステップを含むクリンピング前手順を実行する。帯電防止エアガンを用いてスキャフォールドとアイリスチャンバ内部の脱イオン化を行う。脱イオン化ステップは、2010年5月7日出願の米国特許出願第12/776,317号(62571.398)に詳細に記載されているように、ポリマー表面間の滑り接触で発生する静電荷蓄積から生じるスキャフォールドのミスアライメントを低減させるのに必要なことが見いだされた。
[ステージI]:スキャフォールド(バルーンカテーテルのバルーンに支持されている)がクリンピングヘッド内に配置される。クリンピング温度は、クリンパージョーを適切な温度に加熱し、スキャフォールドをジョーと熱接触させることにより得られる。クリンパージョーを3.5mm(0.136インチ)に設定し、この位置を約10秒間維持してスキャフォールド温度をスキャフォールド材のTGに近いがTG未満のクリンピング温度まで上昇させる(例えば、図1のPLLAスキャフォールドのクリンピング温度は48±3℃である)。より一般的には、スキャフォールド温度はポリマー材料のTGより5〜15℃低い温度である。図1A、図1Bに示すクリンピングプロセスでは、スキャフォールドがクリンパーヘッド内にあるときは常にクリンピング温度にあるか、またはその温度まで上昇させる(例えば、48±3℃)。
スキャフォールドがクリンピング温度に達してから、クリンパーアイリスを閉じてスキャフォールド直径を3.5mm(0.136インチ)から約2.8mm(0.11インチ)、すなわち約20%の直径縮小率まで縮小させる。この直径縮小ステップ(ステージI→ステージII)の間、バルーン圧力をほぼ大気温度(大気圧力)に維持する。約20%の直径縮小が約5.2秒間にわたって起きる。後続の直径縮小ステップと比較すると、この直径縮小はストラット角度が最も広くなるので、より低速で行われる。見いだされたのは、低速の直径縮小により、スキャフォールド構造内の圧縮一様性が高くなる、すなわち、ストラットおよび/またはリンクの構造の不規則な曲がりまたは捻れがなく、スキャフォールド構造をより一様に圧縮できる、という観点からみて歩留まりが著しく改善されたということである。クリンピングプロセスのこの態様に関する更なる詳細は‘719出願に記載されている。
[ステージII]:クリンパージョーは直径2.8mm(0.11インチ)に保持され、バルーンは1034.25kPa(150psi)の圧力まで膨張し、スキャフォールドとバルーンはこの構成で静定期間30秒の間、クリンピング温度で維持される。先に説明したように、バルーンを1034.25kPa(150psi)まで膨張させて、スキャフォールド構造の安定化、およびアイリス直径が縮小されているときに発生したかもしれない何らかのミスアライメントまたはストラット捻れの補正を支援する。
30秒の静定期間が完了した後、バルーン圧力はほぼ大気圧に戻り、クリンパーアイリスは2.8mm(0.11インチ)から1.7mm(0.068インチ)、つまり38%の直径縮小に移る。この第2の直径縮小つまりクリンピングステップ(ステージII→ステージIII)の間、バルーン圧力はほぼ周囲温度(大気圧力)に維持される。この約38%の直径縮小は1秒間にわたって起きる。約50%の直径縮小により、最終のアライメントステップでスキャフォールドを再度アライメントする能力を保持しながら、バルーンとスキャフォールドの係合間の許容できるバランスを達成できることがわかった。スキャフォールドが最終アライメント前に余りにきつくクリンピングされた場合、バルーンマーカー間にスキャフォールドを再配置することが困難になる。最終アライメント前に余りに緩くクリンピングされた場合は、最終アライメント後に再度スキャフォールドをシフトできる。言うまでもなく、このバランスはバルーン材のストラット間の利用可能なスペースも考慮すべきである。
[ステージIII]:クリンパージョーは直径1.7mm(0.068インチ)に保たれ、バルーンは圧力1034.25kPa(150psi)に再度膨張され、スキャフォールドおよびバルーンは、クリンピング温度で15秒の静定期間中この構成で維持されて、スキャフォールド直径が更にほぼ38%だけ縮小した場合に発現したかもしれない何らかの捻れまたはミスアライメントを補正、または除去する。
[最終アライメントステップ]:15秒の静定期間が完了した後、スキャフォールドおよびバルーンはクリンパーから外されてバルーン上のスキャフォールドアライメントがチェックされる。このアライメントには目視検査と、必要な場合にはバルーンマーカー間にスキャフォールドを配置する手動調整とが含まれる。代替として、2010年7月7日出願の米国特許出願第12/831,878号(整理番号62571.425)に記載されているように、アライメントは自動プロセスで実行される。
先に説明したように、スキャフォールドの開始直径つまりクリンピング前直径は、スキャフォールドの展開直径とほぼ等しいか、またはそれより大きく、最終クリンピング直径のほぼ2.5〜3.0倍である。膨張したチューブおよびクリンピング前スキャフォールドの直径は、図示の実施例の最終クリンピングサイズの2.93倍である。スキャフォールドの直径が縮小されると、クリンパージョーがスキャフォールドに正味ゼロの長手方向の力を加えないという可能性、および/またはスキャフォールドがバルーン表面に届いた時に僅かにミスアライメントとなる可能性、に結びつくスキャフォールドとバルーンの直径の差は、様々な必要性への手掛かりを有する。
すなわち、バルーン上のスキャフォールドの再アライメント、またはアライメント検証の必要性、つまりスキャフォールドがバルーンマーカー間に配置されていることを確認する必要性、への手掛かりを有する。
クリンピングプロセスを中断する追加の時間消費型のアライメントステップは、2つの理由から金属ステントでは不要であるのが普通である。第1に、金属ステントでは開始直径が最終直径に極めて近く、この意味は、ステントを正規の位置に保持するバルーンとステントの相互作用が比較的速やかに行われるということである。第2の理由は、金属ステントで使用される速いクリンピング速度では、バルーン表面上を長手方向にシフトするステントの能力が低いのが普通である。金属ステントは比較的早い速度でクリンピングできるが、その一方でポリマースキャフォールドのクリンピング速度は、一般に、監視されるべきであり、かつ遅くすべきことが多い(金属クリンピング速度より)。その理由は、クリンピングされ、そして展開される状態におけるポリマースキャフォールドの構造的完全性は、クリンピング速度により影響を受けるからである。金属は速度に依存しない材料特性を示すが、ポリマーは粘弾性であり、速度に依存する材料応答を示す。大きな歪または置換速度を受けるポリマーは高い応力を受けやすく、かつ柔軟性が乏しい。
ステージIIIの後、スキャフォールドの直径は、開始直径のほぼ1/2に縮小されている。場合によっては、スキャフォールド直径がクリンピング前直径のサイズのほぼ50%に縮小されるまでではなく、スキャフォールドが更にクリンピングされて縮小した場合、スキャフォールドとバルーンの相互作用は、バルーン上のスキャフォールドの長手方向のシフトを妨げるのに十分である。図1Aの実施例では、スキャフォールドがクリンピング前の直径の約50%に達すると、最終アライメントステップが実行される。
[ステージIV]:スキャフォールドとバルーンはクリンパーに配置される。ジョーは直径1.8mm(0.07インチ)まで閉じられ、バルーンは482.65kPa(70psi)の圧力(本実施例の中間圧力ステップで使用される圧力)に膨張している。その後、スキャフォールドは、約2.6秒の間、1.1mm(0.044インチ)の最終クリンピング直径、すなわち約33%の直径縮小までクリンピングされ、一方、バルーン圧力は482.65kPa(70psi)に維持される。1.1mm(0.044インチ)への最終の直径縮小を始める前に、スキャフォールドのクリンピング温度に戻す時間を確保するために482.65kPa(70psi)のバルーン圧力で10秒の静定期間が実行される。
図1Bに示すように、ステージIVのステップの開始時にバルーン圧力は482.65kPa(70psi)に設定されるが、この設定は、後続のステージIVの静定中と、1.8mm(0.07インチ)から1.1mm(0.044インチ)への後続の直径縮小つまり約33%の縮小時(「中間圧力」)と、ステージVの静定中には変更されない。この圧力は482.65kPa(70psi)を維持するようには調整されない;このように、中間圧力ステップ中のバルーン圧力は482.65kPa(70psi)から幾らか変更するよう期待される。
[ステージV]:スキャフォールドが直径1.8mm(0.07インチ)から1.1mm(0.044インチ)に縮小した後、バルーン圧力は約15秒間、482.65kPa(70psi)に維持される。
ステージVの静定期間に続いて、バルーン圧力はほぼ大気圧に戻り、クリンパージョーは185秒の静定期間中、最終クリンピング直径に保持される。この最終静定期間中は、スキャフォールドのリコイルの程度が減少する。185秒の静定期間の直後に、スキャフォールドは外され、保持シースはリコイルを減少させるようスキャフォールド上に配置される。
試行が実施され‘225出願で報告されて(下記に再現)、最終クリンピング直径1.1mm(0.044インチ)にクリンピングし、かつPEBAXバルーンにクリンピングした3.5mm×18mmのPLLAスキャフォールドの引き剥がし力つまり保持力の可能性を評価した。下記の表は、これらの試行による結果を示す。図1A、図1Bのプロセスを用いて9回試行したスキャフォールドの保持力の平均値は、「管理ケース」の保持力の平均値より著しく高かった。「管理ケース」は、すなわち図1A、図1Bと同一のプロセスであるが、最終クリンピングステージで直径を1.8mm(0.07インチ)から1.1mm(0.044インチ)に縮小した時のバルーン圧力がない場合である。これらの試行中に用いたスキャフォールドは、図7に示すように、実質的に同一のパターンを有する。5つのテストケースの統計値を以下に示す。
Figure 2014515663
先行する静定期間のほぼ1/2の圧力だけ最終クリンピング中のバルーンを加圧すると保持力に大きな差が出るはず、ということは以前には考えられなかったので上記結果は予想外であった。この結果は「管理」ケースを上回り約30%から約88%の保持力の改良を実証している。
[実施例2]
図1A、図1Bで説明したプロセスは、末梢動脈で使用するよう意図されたスキャフォールド、例えば、同時係属の出願第13/015,474号(整理番号104584.10)に記載されているスキャフォールドをクリンピングする際に使用するために修正した形式で採用された。但し、この末梢動脈スキャフォールドに適用した場合、見いだされたのは、スキャフォールドが非一様な膨張特性を示したということである。この問題を解決するために、修正したクリンピングプロセスが考案された。このプロセスは、本出願と同一の譲受人を有する同時係属出願13/194,162(整理番号104584.19)(‘162出願)に記載されている。提案されたプロセスは表1に要約されている。
Figure 2014515663
図1A、図1Bで説明したプロセス(末梢動脈スキャフォールドで使用するために修正されたプロセス)と比較すると、最終クリンピングステップ中だけバルーン圧力が加えられている。このステップの前ではバルーンは加圧されなかった。ステップ5および7の間、バルーンを加圧しないことにより分かったことは、図2A〜図2Cと関連させて以下に説明するように、静定期間中にもバルーンを加圧させた場合(ステップ5および7)バルーンの周辺に存在するバルーンの折畳みひだの非対称または非一様な配置と比較して、バルーンが元のバルーンの折畳みひだを程度の差はあれ保持したということである。‘162出願によれば、表1のプロセスに従ってバルーン圧力を加えた場合、バルーンを膨張させたスキャフォールドでは膨張の一様性の実質的な改良が達成できる。
‘162出願で報告された一様な膨張の結果は希望を与えてくれるが、注意すべきは、冠状動脈スキャフォールドとは違って、末梢動脈スキャフォールドをクリンピングするためのプロセスは、スキャフォールドが曲がりくねった血管を通って進む時に、バルーン上にスキャフォールドを確実に留めるのに必要な手段を追加しなくても、概して十分なステント保持力を生み出すということである。同じことを冠状動脈スキャフォールドに適用することは出来ない。
末梢動脈スキャフォールドは、冠状動脈スキャフォールドよりずっと長いのが普通である(保持力はスキャフォールドの長さに比例する)。従って、ユニット長当たりの保持力が比較的低くても末梢動脈では許容できるが、ユニット長当たりの同一保持力は冠状動脈スキャフォールドでは許容できない場合もある。従って、両者がユニット長さ当たりの保持力を増加させ、冠状動脈スキャフォールドのより一様な拡張を生じる冠状動脈スキャフォールドのクリンピングプロセスの必要性がある。
図1A、図1Bに再度戻って、長さ18mm(冠状動脈スキャフォールドでは典型的なサイズ)の冠状動脈スキャフォールドに適用した場合、先に説明したように、このプロセスは以前のクリンピング方法を越えて保持力を増加させた。同じく先に説明したように、バルーンは、スキャフォールドが部分的にクリンピングされた後だけ膨張させ、バルーン圧力は静定時間中および最終クリンピングステップ(すなわち、「中間圧力ステップ」)中だけ加えられる。
好適な実施の形態では、バルーンを膨張させるか、または少なくとも部分的に膨張させてから、スキャフォールド直径をクリンパー内で縮小させる。更に、クリンピング時間の一部の間だけではなく、図1A、図1Bの実施例の場合と同様に、バルーン圧力を実質的にクリンピングプロセス全体で維持する。バルーン圧力は実施例にあるようにほぼ一定値で維持するか(下記)、またはスキャフォールドのクリンピング状態によって変化させてもよい。
例えば、バルーン膨張は1034.25kPa(150psi)で開始し、次いで、スキャフォールドがクリンピングで縮小すると圧力を減じる。例えば、1034.25kPa(150psi)から482.65kPa(70psi)に下げるか、または1034.25から137.9〜482.65kPa(150から20〜70psi)まで下げるか、またはクリンパーアイリスが事前に指定した直径に達した後、482.65から137.9kPa(70から20psi)まで下げる。他の実施の形態では、アイリスが第1直径、例えば、クリンピング前直径、となる場合のバルーン圧力と、第2直径、例えば、最終クリンピングの直前、となる場合のバルーン圧力との比率は約7:1、または対応するアイリス直径が約3:1〜2:1では約2:1とすることができる。(例えば、バルーン圧力は、クリンピング前のアイリス直径(ステージI)では、最終クリンピング直前のアイリス直径のバルーン圧力より約7/2倍高い)。
膨張した、または部分的に膨張したバルーンを継続して維持すること、またはほとんどのクリンピングプロセス中に次第に膨張圧力を減少させることは、今のところ、膨張させたバルーンがスキャフォールドのクリンピング構成から展開構成へのより一様な拡張を助成するという結果に基づき好ましいと考えられる。更に、クリンピングプロセス中にバルーン圧力を維持することにより、更に大きな保持力を生み出すことさえできると考えられる。これらの発見および/または洞察は、拡張したスキャフォールド、および図1A、図1Bのプロセスを用いてクリンピングされたスキャフォールド用のバルーンの断面の調査に基づく。
図2A〜図2Cは、スキャフォールドが図1A、図1Bのプロセスを用いて完全にクリンピングされた場合に観察される配置、またはバルーンの折畳みひだの分布を示すための図面である。図2A〜図2Cに示すのはカテーテル軸4およびバルーン8である(図面にバルーン形状を明瞭に示すためクリンピングされるスキャフォールドは図示されていない)。図2Aは、バルーン遠位端に近いカテーテル軸廻りのバルーン折畳みひだの配置を示す。図2Bはバルーン中央に近いカテーテル軸廻りのバルーン折畳みひだの配置を示す。図2Cはバルーン近位端に近いカテーテル軸廻りのバルーン折畳みひだの配置を示す(バルーンの遠位端、中央、および近位端の部分から撮影したバルーンにクリンピングされたスキャフォールドの断面写真を図9A〜図9Cに示す)。
これら3つの図面または写真のそれぞれに示すように、カテーテル軸4の円周の約半分は、折り畳まれていないバルーン材の単一の層が横断している。軸の円周の残りの半分は、互いにまとまった幾つかのバルーン折畳みひだを有する。この方法で配置され、クリンピングされたステントと係合する折畳みひだを有するバルーンに圧力が加えられた場合、得られるバルーンの膨張は、セクションB’上に広がるバルーン材と隣接するスキャフォールドストラットよりも、領域A’内にまとまったバルーンの折畳みひだに隣接するストラットに高い膨張力を与える。その結果が、図3に示すような非一様に拡張されたスキャフォールドパターンである(図13Aは図1A、図1Bのプロセスを用いてクリンピングした後の拡張されたスキャフォールドのFINESCAN画像である)。図10は、拡張されたスキャフォールドを示す。このスキャフォールドは図1A、図1Bのプロセスを用いてクリンピングされ、次いでバルーンにより拡張された。スキャフォールドはリングの非一様な拡張を示し、破砕されたストラットが存在する。
図3と図7(拡張後の理想的なスキャフォールドパターン)を比較するとバルーンの折畳みひだの非一様な配置の結果が明らかになる。セル領域、例えば、236’および236”の形状は不規則である。これらの不規則な形状のセルは、幾つかのリングが設計角度を超えて拡張され、他のリングが設計角度まで拡張されていないことを示す。拡張し過ぎた角度は、頂点でクラックの伝搬を招き、場合によっては、頂点、または頂点近傍でリングの欠陥を招くことがある。最終結果は、意図した拡張直径、例えば約3.5mmであるが、リングストラット間の応力の分布は不均一で、拡張されたスキャフォールドの構造的完全性に影響する。
クリンピングプロセスの好適な実施の形態の例を挙げる。2つの実施例を提供する。各実施例では、図1A、図1Bで先に説明した同一プロセスの幾つかも注記の部分を除いて適用する。従って、他に説明がない限り、図1A、図1Bについての上記説明をもこれらの実施例に適用する。
[実施例3]
図4A、図4Bは、好適な実施の形態によるクリンピングプロセスの第1実施例と関係するステップを説明する。図4Bは、図4Aのフロー図のクリンピング部をグラフ形式で説明したものであり、実質的に全てのクリンピングプロセスを通じて約137.9〜482.65kPa(20〜70psi)のバルーン圧力が加えられる場合のスキャフォールド直径と時間との関係を示したグラフである。例えば、バルーン圧力は、好適なクリンピングプロセスのステージIVの完了まで137.9〜482.65kPa(20〜70psi)で維持される。
[ステージI]:バルーンカテーテルの膨張したバルーン上で支持されるスキャフォールドが、クリンピングヘッド内に配置される。膨張して、この状態でスキャフォールドを支持する場合のバルーンは、好適には、実質的に全ての折畳みひだを消し去る。
スキャフォールドがクリンピング温度に達した後、クリンパーのアイリスが閉じて、スキャフォールド内径(ID)が加圧されたバルーンの外径(OD)より僅かに小さくなるようにスキャフォールド内径を縮小させる(例えば、3.5mm(0.136インチ))から約3.0mm(0.12インチ)まで、つまり約15%の直径縮小)。
[ステージII]:クリンパージョーは直径3.0mm(0.12インチ)で保持され、第2静定期間中はクリンピング温度でこの直径を維持する。
[最終アライメントステップ]:第2静定期間が完了後、スキャフォールドとバルーンはクリンパーから外されてバルーン上のスキャフォールドアライメントがチェックされる。
ステージIIの後、スキャフォールドの直径は開始直径の約80〜85%に縮小されている。観察されたことは、スキャフォールド直径がクリンピング前直径のサイズの約80〜85%に縮小されると、スキャフォールドとバルーンの相互作用は、スキャフォールドが更にクリンピングされて縮小した場合でも、加圧されたバルーン上のスキャフォールドの長手方向移動を防ぐのに十分であるということである。従って、図4A、図4Bの実施例では、スキャフォールドがバルーンのクリンピング前直径の約80〜85%に達すると、最終アライメントステップが実行されるが、これは完全には膨張していない構成、例えば、137.9〜482.65kPa(20〜70psi)まで膨張させた状態で行うが好適であるアライメント。本開示によるクリンピングのためのバルーン膨張圧力は、バルーンの公称膨張圧力、例えば、3.0mmバルーンでは709.1kPa(7気圧(atm))、の割合で表してもよい。従って、実施例における膨張圧力137.9〜482.65kPa(20〜70psi)と709.1kPa(7atm)の公称膨張圧力とでは、クリンピングバルーン圧力は、バルーンの公称膨張圧力の約20%〜約80%に相当する筈である。1823.4kPa(18atm)以上かそれを越える膨張圧力を有するバルーンでは(公称3.0mm膨張バルーンでは約3.5mm)、クリンピングバルーン圧力は、1823.4kPa(18atm)以上かそれを越える膨張バルーン圧力の約10%から約30%に相当する筈である。
[ステージIII]:スキャフォールドおよびバルーンをクリンパーに戻す。ジョーはステージIIで設定されたものと同一または類似の直径に閉じられている。その直径は、スキャフォールドをクリンパーから外して(アライメントチェックのため)、僅かにリコイルさせた時のスキャフォールドODを僅かに下回るようにしてもよい。第3の静定時間中はクリンパージョーをこの直径で保持する。この時間はスキャフォールドがクリンピング温度に戻るのに必要な時間としてもよい。
次いで、バルーンが加圧されずに、折畳みひだがランダムに分布する場合、ほぼバルーンのODに対応するIDまでアイリス直径を縮小させる。すなわち、スキャフォールドが加圧されたとき、スキャフォールドがバルーンのOD近くまでクリンピングされて縮小すると、予め作製してあるほとんど全ての折畳みひだがランダムなひだに置換されるように収縮する。例えば、ほぼ全てのひだが無くなるようにバルーンが膨張し、次いで収縮した後、大気圧で約1.5mm(0.06インチ)がバルーンのODにほぼ相当する場合、アイリスの直径は3.5mmスキャフォールドで約1.5mm(0.06インチ)まで縮小する。この直径減少の後、スキャフォールドODは、ステージIIIでの直径の約50%であり、その開始、またはクリンピング前ODの約40%である。
[ステージIV]:スキャフォールドODが開始直径の約40%に縮小した後、クリンパージョーは第3静定時間中この直径を保持する。
ステージIVの静定期間に続いて、バルーンを収縮させるかまたは大気圧に戻し、クリンパーのアイリスを最終クリンピングODまで縮小させる。例えば、1.1mm(0.044)インチつまりクリンピング前のODの約30%まで縮小させる。このバルーン収縮は、アイリス直径が最終クリンピング直径まで縮小される間、またはその直前まで加圧ガスをバルーンに供給するバルブを開くことにより行われる。
次いで、クリンパージョーが約165秒間の静定期間中最終クリンピング直径で保持される。この最終静定期間は、クリンピングされたスキャフォールドがクリンパーから取り外された時のリコイル量を減少させることを目的とする。165秒の第2静定時間の直後にスキャフォールドが取り外され、保持シースがスキャフォールド上に配置されリコイル低減を更に補助する。最終ステージクリンピングの後に漏洩試験を実施してもよい。
ほとんどのクリンピングステップ(例えば、最終クリンピングステップまで)を通じてバルーンを加圧する前述の好適なクリンピングプロセスの実施例は2つの利点を提供すると期待される。第1の利点はスキャフォールドとバルーン間の保持力が増加することである。ほとんどのクリンピングステップを通じてバルーンの圧力を維持することにより、より多くのバルーン材がスキャフォールドのストラット間に配置されるようになる。これは、特にストラット間のスペースが最大になる時、例えば、ステージIとIIの間の直径縮小の時に、クリンピングがバルーン加圧なしで行われるか、またはスキャフォールド直径が縮小した後だけ加圧される場合よりも多くのバルーン材がスキャフォールドに押し付けられるからである。更に、いずれかの直径縮小の前に実質的に取り除かれる折畳みひだにより、バルーン材はより柔軟になることが期待される。このように、スキャフォールドをクリンピングしている時に、スキャフォールドとカテーテル軸の間で圧迫されるバルーン材よりも多いバルーン材がストラット間に拡張できる。
バルーン加圧の第2の利点は、バルーンが膨張するときのクリンピングされるスキャフォールドのより一様な拡張である。バルーンが開始時点から膨張する際、何らかのクリンピングが行われる前で、取り付けられたスキャフォールド内にひだを広げるためのバルーンが利用できるスペースが最も広い場合、バルーン材が、クリンピング後にカテーテル軸の円周廻りに、より一様に配置されるようになる。スキャフォールドが部分的にクリンピングされた後に(従ってバルーンが完全にひだを広げるのに利用可能なスペースがあまり残っていない)バルーンが膨張する場合の様に、バルーンが部分的にしか膨張しない場合、考えられることは、ひだまたは部分的なひだの存在によりクリンピング中にバルーン材が移動し、つまりずれて、それにより、クリンピング後にカテーテル軸の円周廻りのバルーン材の非一様な分布が増えるという結果になるということである。この種の挙動を図2A〜図2Cに示す。
図6A〜図6Cは、図4A、図4Bの好適なプロセスを用いてスキャフォールド(不図示)を完全にクリンピングした場合に観察された配置つまりバルーンの折畳みひだの分布を説明するための図である(バルーンの遠位、中央および近位部分から撮影したバルーンにクリンピングされたスキャフォールドの断面の写真は図11A〜図11Cで提供)。図6Aは、バルーンの遠位端近傍のカテーテル軸の円周廻りのバルーンの折畳みひだの配置を示す。図6Bは、バルーンの中央近傍のカテーテル軸の円周廻りのバルーンの折畳みひだの配置を示す。図6Cは、バルーンの近位端近傍のカテーテル軸の円周廻りのバルーンの折畳みひだの配置を示す。先に説明した対応する図2A〜図2Cと比較すると、図6A〜図6Cはカテーテル軸の円周廻りに、より均一に分散したバルーン材を示す。見いだされたのは、バルーン材が図6A〜図6Cに示すものと類似の方法で配置された場合、拡張されたスキャフォールドの非一様性が少なく、過度の膨張によって起きるスキャフォールドのストラットのクラックまたは破砕の事例が少なかったということである。
図13Bは、図4A、図4Bのプロセスを用いてクリンピングされた後、拡張されたスキャフォールドのFINESCAN画像を示す。図12は、本プロセスを用いてクリンピングされた後に拡張されたスキャフォールドの斜視図を示す。言うまでもなく、図13Aおよび図10のそれぞれとこれらの写真を比較することにより、図4A、図4Bのプロセスを用いてクリンピングした場合は、スキャフォールドが図1A、図1Bのプロセスを用いてクリンピングされた場合より一様にスキャフォールドが拡張されることが分かる。
[実施例4]
図5A、図5Bは、好適な実施の形態によるクリンピングプロセスの別の実施例と関係付けられたステップを説明する。図5Bは、図5Aのフロー図のクリンピング部分をスキャフォールド直径対時間の図形式で説明する。前回の実施例と同様に、約137.9〜482.65kPa(20〜70psi)のバルーン圧力がほぼ全てのクリンピングプロセスを通じて加えられる。この場合、バルーン圧力は、スキャフォールド直径がクリンピング前直径の約35%に達するまで維持される。更に、本実施例では、最終のアライメントチェックに続いて、最終クリンピング直径に達するまでアイリス直径がゆっくりと連続的に縮小される。
[ステージI]:バルーン―カテーテルの膨張したバルーンに支持されるスキャフォールドは、クリンパーヘッド内に配置される。この方法でスキャフォールドを拡張させ、支持する場合のバルーンは、ほぼ全ての折畳みひだを広げることが好ましい。
スキャフォールドがクリンピング温度に達した後、クリンパーのアイリスが閉じて、加圧されるバルーンの外径(OD)より僅かに小さくなるようにスキャフォールドの内径(ID)を縮小させる(例えば、3.5mm(0.136インチ)から約3.0mm(0.12インチ)、つまり約15%の直径縮小)。
[ステージII]:クリンパージョーは直径3.0mm(0.12インチ)で保持され、第2静定期間中はこの直径をクリンピング温度で維持する。
[最終アライメントステップ]:第2静定期間が終了した後、スキャフォールドとバルーンはクリンパーから取り外されて、バルーン上のスキャフォールドアライメントがチェックされる。
ステージIIの後、スキャフォールドの直径は開始直径の約80〜85%に縮小されている(前回の実施例と同様)。
スキャフォールドおよびバルーンはクリンパーに戻される。ジョーは、クリンパーから取り外されて(アライメントチェックのため)僅かにリコイルする時のスキャフォールドODより僅かに小さくてもよい直径約3.0mm(0.12インチ)まで閉じられる。次いで、アイリス直径が3.0mm(0.12インチ)から約1.3mm(0.05インチ)までゆっくりと縮小されて(例えば、約100〜120秒の期間に1.8mm(0.07インチ)縮小)、クラックが発生しないように粘弾性材料を変形させる。このステップ中の直径縮小は約40%である。アライメントチェックに続くこの直径縮小は、代わりに使用時にスキャフォールドが拘束シースから取り外されるときのスキャフォールド直径にほぼ一致させてもよい。
アイリスの直径が約0.05に達した場合、アイリス直径が1.1mm(0.044インチ)に達するまでゆっくりと縮小し続ける間にバルーン圧力は開放される。直径0.044に達すると、スキャフォールドはクリンパーから取り外され、拘束シースがスキャフォールドに被せられてリコイルを減少させる。
先の実施例と同様な、バルーンを膨張させてから、何らかのクリンピングを行い、かつアイリスの直径が約1.3mm(0.05インチ)に達するまでバルーン圧力の維持をする方法で考えられることは、この好適なクリンピングプロセスはスキャフォールドとバルーン間の保持力を増加させ、より一様なスキャフォールドの拡張が得られる、ということである。
[好適なスキャフォールドパターン]
先に注記したように、好適な実施の形態では、スキャフォールドはYang & JOW他への米国特許出願第12/447,758号(US2010/0004735)に記載されたパターンを有する。PLLAに適しているスキャフォールドのパターンの他の実施例は、米国特許公開第2008/0275537号に記載されている。図7は、US2010/0004735に記載のストラットパターン200の中間部216の詳細図を示す。中間部には、直線のリングストラット230を有するリング212、および曲線状のヒンジ要素232が含まれる。リングストラット230は、ヒンジ要素232により相互に接続されている。ヒンジ要素232はたわみに適合していてリング212を非変形構成から変形構成へ移行させる。線B―Bは、US2010/0004735で図示されている中心軸224に垂直な基準面上にある。リング212が非変形構成状態にある場合、各リングストラット230は、基準面に対して非ゼロの角度Xで配向される。非ゼロの角度Xは20°〜30°であり、より狭くは25°または約25°である。また、クリンピング前の状態では、リングストラット230は互いに対して内部角Yで配向される。内部角Yは120°〜130°であり、より狭くは125°または約125°である。半径方向の拡張のような、他の要素との組合せでは、少なくとも120°の内部角を有すると、スキャフォールドを展開したときに高いフープ強度が得られる。内部角が180°未満であると、クリンピング中のスキャフォールドストラットへの損傷を最小にしつつ、スキャフォールドをクリンピングさせることができ、クリンピング前の開始直径より大きな展開直径へのスキャフォールドの拡張も可能となる。リンクストラット234はリング212に接続されている。リンクストラット234は平行に、つまりスキャフォールドの孔の軸にほぼ平行に配向されている。リングストラット230、ヒンジ要素232、およびリンクストラット234は複数のW字形の閉じたセル236を画成する。1つのW字形の閉じたセル236の境界つまり周辺は明瞭にするために図2では暗くしてある。図7では、W字形は反時計回りに90°回転させてある。W字形の閉じたセル236のそれぞれに、6つの他のW字形の閉じたセル236が接して取り囲んでいて、それぞれのW字形の閉じたセル236の周辺が、他の6つのW字形の閉じたセル236の周辺部分と融合していることを意味する。W字形の閉じたセル236はそれぞれ、他の6つのW字形の閉じたセル236に隣接、つまり接触している。
図7を参照すると、それぞれのW字形の閉じたセル236の周辺には、8本のリングストラット230、2本のリンクストラット234、および10個のヒンジ要素232が含まれる。8本のリングストラットの内の4本は、セル周辺の近位側を形成し、他の4本のリングストラットは、セル周辺の遠位側を形成する。近位側および遠位側の対向するリングストラットは互いに平行、またはほぼ平行である。ヒンジ要素232のそれぞれの内部には、交差する点238があり、それに向かってリングストラット230およびリンクストラット234が集まる。リングストラット230およびリンクストラット234のそれぞれの端部に隣接して交差点238がある。リングストラット230の端部に隣接する両交差点の間の距離240は、ストラットパターン200の中間部216内のリングストラット230毎に同一またはほぼ同一である。距離242は、中間部216内のリンクストラット234毎に同一またはほぼ同一である。リングストラット230は、リングストラットの個々の長手方向の軸213に沿う寸法で一様な幅237を有する。リングストラット幅234は0.15〜0.18mmであり、より狭くは0.165mmまたは約0.165mmである。リンクストラット234は、リンクストラットの個々の長手方向の軸213に沿う寸法で一様な幅239を有する。リンクストラット幅239は0.11〜0.14mmであり、より狭くは0.127mmまたはほぼ0.127mmである。リングストラット230およびリンクストラット234は同一またはほぼ同一の半径方向厚さを有し、その厚さは0.10mm〜0.18mm、より狭くは0.152mmまたは約0.152mmである。
図7に示すように、W字形の閉じたセル236それぞれの内部スペースは、線A―Aに平行な軸方向寸法244および線B―Bに平行な円周方向寸法246を有する。中間部216の各W字形状の閉じたセル236内部の円周方向位置に対して、軸方向寸法244は一定またはほぼ一定である。すなわち、セル236の上端および下端に隣接する軸方向寸法244Aは、その両端から更に離れた軸方向寸法244Bと同一またはほぼ同一である。軸方向および円周方向の寸法244、246は、中間部216の複数のW字形の閉じたセル236の間では同一である。
図7から言うまでもなく、直線状のリングストラット230および直線状のリンクストラット234を備えるスキャフォールドのストラットパターンは、半径方向に拡張され、かつ軸方向に拡張されたポリマーチューブから形成されたものである。リングストラット230は、非変形構成から変形構成に移行できる複数のリング212を画成する。各リングは中心点を有し、少なくとも2つの中心点がスキャフォールドの中心軸を画成する。リンクストラット234は、スキャフォールドの中心軸に平行またはほぼ平行に配向される。リンクストラット234はリング212同士を互いに連結する。リンクストラット234およびリングストラット230はW字形の閉じたセル236を画成する。W字形の各セル236は他のW字形セルに隣接する。各リング212上のリングストラット230およびヒンジ要素232は、一連のクレストおよびトラフを交互に画成する。各リング212上の各クレストは、リンクストラット234の内の1つにより、隣接するリング上の別のクレストに連結されるので、W字形セルがオフセットした「レンガ」配置を形成する。
図示した本発明の実施の形態の上記説明は、要約に記載されることを含み、網羅的であることを意図せず、または本発明を開示された形そのものに限定することを意図しない。本発明の特定の実施の形態およびその実施例を説明を目的として本明細書で説明したが、関連技術に習熟した者には言うまでもなく本発明の範囲内で様々な改変が可能である。
これらの改変は上記詳細な説明の範囲内で本発明に対してなすことができる。クレーム内で使用される用語は、本発明を本明細書で開示された特定の実施の形態に限定するものと解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は、クレームにより全体的に決定されるべきであり、確立されたクレーム解釈の原則に従って解釈されるべきである。
[第1の局面]
医療機器を作製するの方法であって:
ほぼTG−lowの下限値を有するガラス転移温度範囲により特徴付けられるPLLAを含むチューブを提供するステップと、
半径方向スティフネスを増加させるよう前記チューブを半径方向に拡張させるステップと、
前記半径方向に拡張させたチューブからスキャフォールドを形成するステップであって、前記スキャフォールドがクリンピング前の直径を有する、スキャフォールドを形成するステップと、
クリンピング装置を用いて、前記スキャフォールドをバルーンにクリンピングするステップであって、前記バルーンを膨張させるステップと、前記TG−lowのほぼ5〜15℃下のクリンピング温度を前記スキャフォールドが有する間に、前記スキャフォールドを前記膨張させたバルーンにクリンピングするステップとを含む、前記クリンピングするステップとを備える、
方法。
[第2の局面]
前記スキャフォールド直径が、前記クリンピング前の直径から前記クリンピング前の直径の少なくとも半分に減少するまで、前記バルーンを膨張させる、
第1の局面の方法。
[第3の局面]
記クリンピングするステップが、第1クリンピングステップ、最終アライメントステップ、次いで最終クリンピングステップを含み、
前記バルーンを前記最終クリンピングステップまで膨張させる、
第2の局面の方法。
[第4の局面]
前記スキャフォールド直径は、前記第1クリンピングステップの間にほぼ80〜85%まで減少する、
第3の局面の方法。
[第5の局面]
前記クリンピング温度が、約48℃である、
第4の局面の方法。
[第6の局面]
前記第1クリンピングステップの後、前記スキャフォールドが第1静定期間中第1直径で維持された後、第3クリンピングステップが続き、前記スキャフォールドは約50%まで更に減少する、
第3の局面の方法。
[第7の局面]
最終的にクリンピングされた直径が、前記クリンピング前の直径の少なくともほぼ30〜35%である、
第2の局面の方法。
[第8の局面]
前記バルーンが膨張前に予め配置されている折畳みひだを有し、前記バルーンが膨張すると、実質的に全ての折畳みひだが前記バルーンから除去される、
第2の局面の方法。
[第9の局面]
前記スキャフォールド直径が最終直径に達した後、クリンパー装置から前記スキャフォールドを取り外すステップを更に含み、
前記スキャフォールドが前記最終直径に達した場合、前記予め配置されている折畳みひだは、前記バルーンにほぼ存在しない、
第2の局面の方法。
[第10の局面]
前記クリンピングするステップは、少なくとも第1、第2および最終クリンピングステップを含み、前記第1および第2クリンピングステップ中に前記バルーンを膨張させ、
前記スキャフォールド直径を前記第1クリンピングステップの間に少なくとも80〜85%まで減少させ、前記第2クリンピングステップの間に更に約50%まで減少させる、
第2の局面の方法。
[第11の局面]
前記スキャフォールドが前記第1クリンピングステップの後、クリンパー装置から取り外される、
第10の局面の方法。
[第12の局面]
前記バルーン圧力が一定圧力となるようにプリセットされている、
第2の局面の方法。
[第13の局面]
前記クリンピングするステップが、第1クリンピングステップ、最終アライメントステップ、次いで最終クリンピングステップを含み、
前記バルーン圧力は、前記最終クリンピングステップの間のみ維持される、
第1の局面の方法。
[第14の局面]
前記スキャフォールド直径を前記第1クリンピングステップの間に約50%まで減少させ、前記最終クリンピングステップの間に約30%まで減少させる、
第13の局面の方法。
[第15の局面]
前記クリンピング温度が、約48℃である、
第14の局面の方法。
[第16の局面]
前記第1クリンピングステップに続いて、前記バルーンが膨張し、前記スキャフォールドが第1静定期間中に第1直径で維持された後、第3クリンピングステップが続き、
前記バルーンが前記第1静定期間中に前記最終クリンピングステップ中の前記バルーン圧力の約2倍の圧力まで膨張する、
第13の局面の方法。
[第17の局面]
前記スキャフォールドの最終クリンピング直径が、1.0ポンドを超える保持力を有し、前記スキャフォールドが18mm以下の長さを有し、かつ最終クリンピング直径が、クリンピング前の前記スキャフォールドの直径より少なくとも2.5倍小さい、
第1の局面の方法。
[第18の局面]
クリンピング装置を用いてバルーンにスキャフォールドを固定するための方法であって、前記バルーンは予め配置されている折畳みひだを有し:
前記スキャフォールドがほぼTGとTGの15℃下との間の温度を有している間に、前記スキャフォールドを前記バルーンにクリンピングするステップであって、
前記スキャフォールドはPLLAまたはPLGAを含むポリマーで作製され:
(a)前記スキャフォールドを前記バルーン上に配置するステップと、
(b)前記スキャフォールドの直径を開始時サイズから第1サイズに減少させるステップと、
(c)前記ポリマー内の応力緩和を可能にするために第1静定期間中は前記第1サイズを維持するステップと、
(d)前記スキャフォールド直径を前記第1サイズから第2サイズに減少させるステップと、
(e)第2静定期間中は前記第2サイズを維持するステップと、
(f)前記スキャフォールド直径を前記第2サイズから第3サイズまで減少させるステップとを含み、
前記バルーンは、前記ステップ(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の間は膨張した状態にあり、前記ステップ(f)の後は、実質的に前記予め配置してある折畳みひだが前記バルーンに存在しないか、または、
前記第2静定期間中は前記バルーンが第1圧力を有し、かつ前記スキャフォールド直径が前記第2サイズから前記第3サイズまで減少している間は前記バルーンが第2圧力を有する、前記クリンピングするステップを備える、
方法。
[第19の局面]
前記ポリマーは、PLLAまたはPLGAを含む、
第18の局面の方法。
[第20の局面]
前記ポリマーはPLGAを含み、前記温度の範囲はほぼ43〜54℃であり、前記PLGAのGA含有量はほぼ15%〜0%である、
第19の局面の方法。
[第21の局面]
前記スキャフォールドは、円周方向に連なるW字形状を有する閉じたセルを有し、直線のリンクストラットが前記W字形状のセルを連結している、
第18の局面の方法。
[第22の局面]
前記第3サイズは、前記開始サイズの約30%である、
第18の局面の方法。
[第23の局面]
前記スキャフォールド直径は、前記ステップ(d)で約50%までサイズが減少する、
第18の局面の方法。
[第24の局面]
前記ポリマーは、PLLAまたはPLGAを含む、
第18の局面の方法。
[第25の局面]
前記ポリマーはPLGAを含み、前記温度の範囲はほぼ43〜54℃であり、前記PLGAのGA含有量はほぼ15%〜0%である、
第24の局面の方法。
[第26の局面]
前記スキャフォールドは、円周方向に連なるW字形状を有する閉じたセルを有し、直線のリンクストラットが前記W字形状のセルを連結している、
第18の局面の方法。
[第27の局面]
前記スキャフォールド直径は、前記ステップ(e)で約30%までサイズが減少する、
第18の局面の方法。
[第28の局面]
前記スキャフォールド直径は、前記ステップ(a)からステップ(d)で約50%までサイズが減少する、
第18の局面の方法。
[第29の局面]
前記スキャフォールドは、クリンパー機構でクリンピングされ、
更に、前記スキャフォールド直径が前記第2サイズまで減少した後、前記クリンパー機構から前記スキャフォールドを取り外すステップを含み、
前記スキャフォールドは、その直径が50%まで減少した後、前記クリンパーから取り外され、
前記スキャフォールド直径は、前記第3サイズに達すると更に約30%だけ減少する、
第18の局面の方法。
[第30の局面]
前記第1圧力は、前記第2圧力の約2倍である、
第29の局面の方法。
[第31の局面]
クリンピング装置を用いてスキャフォールドをバルーンに固定するための方法であって、前記バルーンは予め配置された折畳みひだを有し、前記スキャフォールドを前記バルーンにクリンピングするステップを備え:
前記クリンピングするステップは、
前記バルーンを膨張させるステップと、
TG−lowとTG−lowのほぼ5〜15℃下の間のクリンピング温度を前記スキャフォールドが有する間に、前記スキャフォールドを前記膨張させたバルーンにクリンピングする膨張バルーンクリンピングステップとを含み、
前記クリンピングするステップは、開始スキャフォールドサイズから第1クリンピングサイズまでの第1の減少の後に、少なくとも1つの静定期間を含み、
前記スキャフォールド直径は、前記第1静定期間前に約15%だけ減少し、前記第1静定期間後に更に約60%まで減少する、
方法。
[第32の局面]
前記スキャフォールド直径は、更に約60%まで減少した後、更に10%だけ減少し、前記追加の60%と前記追加の10%の直径減少との間には静定期間がない、
第31の局面の方法。
[第33の局面]
前記スキャフォールドが最終クリンピング直径に達した場合、前記予め配置されている折畳みひだは前記バルーンに実質的に存在しない、
第31の局面の方法。
[第34の局面]
前記クリンピングするステップには、開始スキャフォールドサイズから第1クリンピングサイズまでの第1の直径減少の後、1つの静定期間しか含まれない、
第31の局面の方法。
[第35の局面]
前記バルーンは、前記公称バルーン膨張圧力のほぼ20〜80%まで、または前記バルーンの過膨張もしくは最大膨張圧力のほぼ10〜30%まで、膨張させられる、
第2の局面または第19の局面の方法。

Claims (15)

  1. 医療機器を作製するの方法であって:
    ほぼTG−lowの下限値を有するガラス転移温度範囲により特徴付けられるPLLAを含むチューブを提供するステップと、
    半径方向スティフネスを増加させるよう前記チューブを半径方向に拡張させるステップと、
    前記半径方向に拡張させたチューブからスキャフォールドを形成するステップであって、前記スキャフォールドがクリンピング前の直径を有する、スキャフォールドを形成するステップと、
    クリンピング装置を用いて、前記スキャフォールドをバルーンにクリンピングするステップであって、前記バルーンを膨張させるステップと、前記TG−lowのほぼ5〜15℃下のクリンピング温度を前記スキャフォールドが有する間に、前記スキャフォールドを前記膨張させたバルーンにクリンピングするステップとを含む、前記クリンピングするステップとを備え
    前記スキャフォールド直径が、前記クリンピング前の直径から前記クリンピング前の直径の少なくとも半分に減少するまで、前記バルーンを膨張させる、
    方法。
  2. 前記クリンピングするステップが、第1クリンピングステップ、最終アライメントステップ、次いで最終クリンピングステップを含み、
    前記バルーンを前記最終クリンピングステップまで膨張させる、
    請求項の方法。
  3. 前記スキャフォールド直径は、前記第1クリンピングステップの間にほぼ80〜85%まで減少する、
    請求項の方法。
  4. 前記クリンピング温度が、約48℃である、
    請求項の方法。
  5. 前記第1クリンピングステップの後、前記スキャフォールドが第1静定期間中第1直径で維持された後、第3クリンピングステップが続き、前記スキャフォールドは約50%まで更に減少する、
    請求項の方法。
  6. 最終的にクリンピングされた直径が、前記クリンピング前の直径の少なくともほぼ30〜35%である、
    請求項1〜5のいずれかの方法。
  7. 前記バルーンが膨張前に予め配置されている折畳みひだを有し、前記バルーンが膨張すると、実質的に全ての折畳みひだが前記バルーンから除去される、
    請求項1〜6のいずれかの方法。
  8. 前記スキャフォールド直径が最終直径に達した後、クリンピング装置から前記スキャフォールドを取り外すステップを更に含み、
    前記スキャフォールドが前記最終直径に達した場合、前記予め配置されている折畳みひだは、前記バルーンにほぼ存在しない、
    請求項1〜5のいずれかの方法。
  9. 前記クリンピングするステップは、少なくとも第1、第2および最終クリンピングステップを含み、前記第1および第2クリンピングステップ中に前記バルーンを膨張させ、
    前記スキャフォールド直径を前記第1クリンピングステップの間に少なくとも80〜85%まで減少させ、前記第2クリンピングステップの間に更に約50%まで減少させる、
    請求項の方法。
  10. 前記バルーン圧力が一定圧力となるようにプリセットされている、
    請求項の方法。
  11. 前記クリンピングするステップが、第1クリンピングステップ、最終アライメントステップ、次いで最終クリンピングステップを含む、
    請求項1の方法。
  12. 前記スキャフォールド直径を前記第1クリンピングステップの間に約50%まで減少させ、前記最終クリンピングステップの間に約30%まで減少させる、
    請求項11の方法。
  13. 前記クリンピング温度が、約48℃である、
    請求項12の方法。
  14. 前記第1クリンピングステップに続いて、前記バルーンが膨張し、前記スキャフォールドが第1静定期間中に第1直径で維持された後、第3クリンピングステップが続き、
    前記バルーンが前記第1静定期間中に前記最終クリンピングステップ中の前記バルーン圧力の約2倍の圧力まで膨張する、
    請求項11〜13のいずれかの方法。
  15. 前記スキャフォールドの最終クリンピング直径が、0.454kg(1.0ポンドを超える保持力を有し、前記スキャフォールドが18mm以下の長さを有し、かつ最終クリンピング直径が、クリンピング前の前記スキャフォールドの直径より少なくとも2.5倍小さい、
    請求項1の方法。
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