JP2014502868A - 睡眠時無呼吸を治療するためのシステム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気道形成組織の閉塞型虚脱を緩和する方法、及びこの方法を実施するためのデバイスを提供する。
【解決手段】気道疾患を治療するための方法において、気道インターフェース組織に、第1アンカー端部及び第2アンカー端部を有する軸線方向に延びるインプラントを移植し、前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に非伸張性であり、内側インプラント部分が、伸張性であり、非睡眠中に通常の生理的機能を可能にするように構成されており、さらに、睡眠中に気道閉塞を緩和するように構成されている、方法、及びこの方法を実施するための閉塞型気道疾患を治療するためのインプラントが提供される。
【参考図】図55

Description

本願は、2010年11月30日に出願された米国仮特許出願第61/418,238号、及び2010年12月3日に出願された米国仮特許出願第61/419,690号の優先権を主張するものである。
本発明は、閉塞型睡眠時無呼吸を治療するための方法及びデバイスに関し、更に詳細には、閉塞型睡眠時無呼吸の症状を持つ患者の気道を開放することに関する。
睡眠時無呼吸は、睡眠中の10秒又はそれ以上に亘る呼吸停止と定義される。通常の睡眠中、咽頭筋が弛緩し、気道が狭まる。閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)の患者は、睡眠中、上気道が通常よりもかなり大きく狭まり、無呼吸発作中、完全に虚脱することにより気流を停止する。空気流の欠乏に対する反応で、患者は、少なくとも呼吸を再開するのに十分な程度まで覚醒する。無呼吸発作及びこれと関連した覚醒が毎晩数百回も生じ、睡眠をひどく破壊する。閉塞型睡眠時無呼吸は肥満型の人で一般的であるが、そうした人々に限られず、口咽頭気道の狭窄による症状である。
周期的酸素脱飽和及び途切れ途切れの就眠パターンにより、疾患の特徴的症状である日中の眠気が生じる。睡眠時無呼吸によるこの他の症状には、慢性頭痛及び抑鬱症、並びに不眠症、集中力、記憶、管理機能、及び身体的巧みさの低下等の能力低下が含まれる。最終的には、睡眠時無呼吸は、死亡率の上昇及び生命を脅かす共存症と強い相関を示す。心臓学的合併症には、高血圧症、鬱血性心不全、冠状動脈不全、心律動異常、及び心房細動が含まれる。OSAは、米国では、非常に一般的な病気である。およそ1800万人のアメリカ人が軽度乃至重度のOSAに罹患しており、その多くが診断未確定である。その理由の一つには、本人が自分の病状に気づいていないことが挙げられる。
OSAの治療は、生活習慣を指示通りに変更することにより開始される。これには、通常は、体重の減少、睡眠習慣(睡眠姿勢や枕の位置)に気をつけること、又は舌を喉の奥から離しておくのを補助する夜間に着用できる口内器具を使用することが含まれる。比較的強い物理的干渉には、患者が着用した、呼吸器に連結されたマスクを通して気道に正圧を提供する呼吸補助システムを使用することが含まれる。幾つかの場合では、投薬治療介入が有効であるが、これは、一般的には、日中の眠気に対処しようとするものであって、根本的な原因に対処するものではない。鼻手術、扁桃切除術、及び/又はアデノイド切除術、軟口蓋、口蓋垂、又は舌の根元の一部を除去すること、又は下顎に取り付けて舌の根元を前方に引っ張ることによって舌の根元を前方に移動すること等の幾つかの外科的処置を行うことができる。手術によるこうしたアプローチは極めて侵襲的であり、かくして最後の手段であり、病状を確実に緩和又は治癒するとは限らない。治療上の信頼性が比較的大きいことを約束する侵襲性が比較的小さい手順が必要とされている。更に、この手順により副作用又は他の望ましからぬ結果が生じた場合に手順の効果をなくす又は修正できるようにするため、元に戻す手順を行うことができる、又は他の方法で手順を修正できることが必要とされている。更に、組織を過度に切断したり、医師がこうした修正手順を行うことを患者に躊躇させる侵襲性を必要としない方法で、手順を元に戻す又は修正することを行う必要がある。
米国仮特許出願第61/418,238号 米国仮特許出願第61/419,690号
本発明は、気道形成組織の閉塞型虚脱を緩和する方法、及びこの方法を実施するためのデバイスに関する。
本方法及びデバイスによる治療効果がある患者は、閉塞型睡眠時無呼吸を患っている患者である。本方法は、デバイスを組織の所定の部位に埋め込む工程と、デバイスの生体分解性部分を生体分解し、デバイスの形状を変え、気道形成組織の再構築(remodeling)を行う工程とを含む。埋め込まれたデバイスは、気道形成組織部位が通常の生理的機能を持つように、気道形成組織部位と形態が一致する大きさ及び形状を備えており、弾性変形可能な部分及び生体分解性部分を含む。本方法の代表的な実施例では、気道形成組織の再構築により、気道が睡眠中に塞がらないようにし、更に、代表的には、気道がこのようにして塞がらないようにすることにより、無呼吸発作の頻度を低下する。再構築には、気道が睡眠中に虚脱する傾向を少なくするように、気道と関連した組織を再形成すること、又は位置又は形態を変更することが含まれる。
気道は、口から肺までのその長さに沿って様々な組織で形成されている。方法の実施例は、エラストマー製デバイス等の弾性インプラントを、例えば軟口蓋、舌、舌の根元、及び喉頭壁、代表的には喉頭壁の後部分及び横部分を含むこうした組織の任意の一つ又はそれ以上に埋め込む工程を含む。
幾つかの実施例では、デバイスは、埋め込まれた場合に形状が変形した状態にあり、生体分解性部分が生体分解されることによりインプラントの張力が加わった形状が解放され、当該部位に引っ込め力を加える。
デバイスの生体分解性部分の生体分解性に関し、これは数日乃至数カ月の範囲の期間に亘って生じる。幾つかの実施例では、生体分解作用は、生体分解性部分の生体に露呈された表面積の生体分解性部分の体積に対する比と相関する速度で進む。
方法の幾つかの実施例では、生体分解作用は、デバイスの形状が大幅に変化する前に組織部位がインプラントの埋め込みにより回復するのに十分にゆっくりとした速度で生じる。こうした実施例の幾つかでは、組織部位の回復には、デバイスの周囲に線維組織が形成することが含まれる。これによりデバイスは当該部位で安定し、インプラント部位及びその周囲組織の形状を再形成する上で大きな利点をもたらす。幾つかの実施例ではインプラントの埋め込み後、治癒反応即ち埋め込みによる創傷の回復の部分として、新たに形成された線維組織が、デバイスの穴、小孔、又は隙間に入り込む。方法の幾つかの実施例では、生体分解性材料に予め組み込んだ生理活性剤(bioactive agent) が、デバイスの生体分解性部分の生体分解に従って生体分解性部分から放出され、又は溶出する。
本明細書に説明した方法の別の態様では、睡眠中の気道の閉塞型虚脱を緩和するためのデバイスを形成する方法が提供される。この方法には、弾性変形可能な材料により、生体分解性材料を受け入れるための部位を持つ、デバイスの好ましい形状と対応する初期形状を形成する工程と、弾性変形可能な材料により形成された初期形状を好ましくない形状に変更する、即ち気道形成部位と形態が一致する埋め込み可能形状の大きさ及び形態を持ち、埋め込み後に通常の生理的機能を提供する形状に変更する工程と、生体分解性材料を受け入れ部位に組み込むことによって埋め込み可能形状を安定化する工程とが含まれる。これらの方法の実施例の幾つかにおいて、弾性変形可能な材料の初期形状を変更する工程は、デバイスの埋め込み後にデバイスから埋め込み部位に力が伝達されたとき、気道を再構築するのに十分な力を吸収する工程を含む。更に、力のその大きさは、代表的には、気道の実質的に通常の又は受け入れ可能な生理的機能を可能にするように移動することができない程度まで気道を再構築するには不十分である。
上述のように、開示の幾つかの態様は、更に、気道の閉塞を緩和するためのデバイスを提供する。気道の閉塞は、代表的には、睡眠中に生じる。デバイスの実施例は、気道形成組織部位と一致する大きさ及び形状を持ち、当該部位の通常の生理的機能を提供する埋め込み可能デバイスを含む。デバイスは、弾性変形可能な部分及び生体分解性部分を含む。
幾つかの実施例では、弾性変形可能な部分は、生体分解性部分によって変形形状に拘束された好ましい形状を有し、デバイスは、生体分解性部分が分解する際に弾性変形可能な部分の好ましい形状に向かって戻るように形成されている。幾つかの実施例では、好ましい形態は、睡眠中に気道を比較的大きく開放するように気道の形状を再構築するようになっている。
デバイスの代表的な実施例では、弾性変形可能な部分は、金属又はポリマーのうちの任意の一つ又はそれ以上を含んでいてもよい。これらの実施例では、弾性変形可能な金属は、ステンレス鋼、超弾性ニッケルチタニウム合金のうちの任意の一つ又はそれ以上を含んでいてもよく、弾性変形可能なポリマーは、シリコーンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリオレフィンのうちの任意の一つ又はそれ以上を含んでいてもよい。幾つかの実施例では、生体分解性部分は、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグラチン、ポリグラチン910、ポリ−L−ラクチド、ポリヒドロキシアルカエート、スタート、セルロース、キトサン、又は構造タンパク質のうちの任意の一つ又はそれ以上を含んでいてもよい。
デバイスの幾つかの実施例は、デバイスが埋め込まれた組織と係合するようになった部分を含み、これらの実施例のうちの幾つかでは、そのようになった部分は、組織が内方成長する部位を含む。このような内方成長は、デバイス及び組織を近接して保持するのに役立ち、これにより、デバイスの形状変化と一致するように埋め込み部位の再構築が促進される。最後に、幾つかの実施例では、埋め込み可能なデバイスは、デバイスが埋め込み部位に埋め込まれたとき、気道形成組織の埋め込み部位の周囲の通常の生理的移動を可能にする上で十分な弾性を持つように形成される。
他の実施例では、デバイスが埋め込まれた組織と係合するようになったデバイスの部分は、埋め込み後に、組織がインプラントを通って関連し、組織プラグを形成する部位を含む。こうした部位は、かくして、インプラントへの組織の対応する付着を生じることなくインプラントと隣接組織との間に取り付け部を形成する。この種の構成は、組織に効果的に取り付けることができ且つ組織を移動できるが、組織から容易に取り外すことができるインプラントを提供できる。組織プラグは、インプラントとインプラント周囲の組織とを関連することによって形成でき、又は組織がインプラントを通って治癒し、かくして周囲組織のアイランドを形成することによって形成できる。インプラントは、一つ又はそれ以上の周囲組織を含んでいてもよく、これによりインプラントを隣接した組織に取り付けることができる。幾つかの実施例では、インプラントの近位端は患者の下顎に固定され、インプラントの一つ又はそれ以上の遠位端は組織プラグに解放自在に固定される。
幾つかの実施例では、気道疾患を治療するための方法が、気道インターフェース組織に、軸線方向に非伸張性である第1アンカー端部及び第2アンカー端部を有する軸線方向に延びるインプラントを移植する工程を含む。これらの実施例では、内側インプラント部分が、伸張性であり、非睡眠中に通常の生理的機能を可能にするように構成されており、さらに、睡眠中に気道閉塞を緩和するように構成されている。
幾つかの実施例では、気道疾患を治療するための方法が、気道インターフェース組織に、軸線方向に非伸張性である第1アンカー端部及び第2アンカー端部を有する軸線方向に延びるインプラントを移植する工程を含む。これらの実施例の幾つかでは、各アンカー端部は、インプラントの全体長さの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、又は40%の軸線長さを有する。これらの実施例の幾つかでは、各アンカー端部は、少なくとも4mm、6mm、8mm、10mm、又は12mm軸線方向に延びている。
幾つかの実施例では、気道疾患を治療するための方法が、気道インターフェース組織に、第1アンカー端部及び第2アンカー端部、並びに第1アンカー端部と第2アンカー端部の間の内側部分を有する軸線方向に延びるインプラントを移植する工程を含む。これらの実施例では、インプラント内側部分は、弾性であり、インプラントの全体長さの少なくとも40%、50%、60%、又は70%軸線方向に延びている。これらの実施例の幾つかでは、インプラント内側部分は、弾性であり、静止状態でインプラントの全体長さの少なくとも10mm、12mm、14mm、又は16mm軸線方向に延びている。
図1は、健康な人間の気道の解剖学的構造の概観を、咽頭鼻部、咽頭口部、及び下咽頭に特に注意を払って示す図である。 図2Aは、舌の根元が後方に移動することにより咽頭口部領域が閉塞した不全状態の気道を示す図である。 図2Bは、口蓋の閉鎖による不全状態の気道を示す図である。 図3Aは、インプラントの端部を治療部位に固定するため、組織プラグが内部で成長する開口部がインプラントの端部に設けられた、OSAインプラントシステムの細長いインプラント構成要素を示す図である。 図3Bは、組織部位にある図3Aのインプラントの端部分の断面図である。 図3Cは、図3Aと同様の別の細長いインプラントの実施例を示す図である。 図3Dは、別の細長いインプラントの実施例を示す図である。 図4は、本発明の態様と対応する別の細長いインプラントを示す図である。 図5Aは、切断工具を含む、修正可能なOSAインプラントの第2構成要素を示す図である。 図5Bは、使用方法における図5Aの切断工具を示す図である。 図6は、図5A及び図5Bに示すのと同様の変形例の切断工具を示す図である。 図7Aは、本発明の態様と対応する別の細長いインプラントを示す図である。 図7Bは、別の細長いインプラントの実施例を示す図である。 図7Cは、別の細長いインプラントの実施例を示す図である。 図7Dは、多くの平面に多数の開口部が設けられた別の細長いインプラントの実施例を示す図である。 図7Eは、マグネシウム又はマグネシウム合金製の生体分解性材料又はエレメントによって、張力が加わった非静止状態に解放自在に維持されるように形成されたエラストマー部分を含むOSAインプラントを示す部分断面図である。 図8Aは、インプラントをその場で切断するための切断工具の別の実施例の作用端を示す図である。 図8Bは、修正手順でインプラントを切断するための切断工具の別の実施例を示す図である。 図9は、内側部分の表面が付着エネルギが小さいように形成された別のインプラントを示す図である。 図10は、本発明の態様と対応する別の細長いインプラントを示す図である。 図11は、外部刺激に応じて破壊できる破壊部分を含む、本発明の態様と対応する別のインプラントを示す図である。 図12は、インプラントの破壊部分を作動した後の、組織部位にある図11のインプラントを示す断面図である。 図13Aは、直流により破壊できる、電解により破壊できる部分を含む変形例のインプラントを示す図である。 図13Bは、インプラントの電解連結部分を賦勢した後の、組織部位にある図13Aのインプラントを示す断面図である。 図14は、組織プラグを切断するための切断ワイヤを含む変形例の修正可能なインプラントの端部分を示す図である。 図15は、切断ワイヤ賦勢プロセス時の、組織部位にある図14のインプラントを示す断面図である。 図16は、複数の組織プラグを切断するための切断ワイヤを含む、変形例の修正可能なインプラントの端部分を示す図である。 図17は、変形例の修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図18A及び図18Bは、図17の修正可能なインプラントの端部分を示す図である。 図19は、変形例の修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図20は、インプラントによって組織に加えられる引っ込め力を埋め込み後にその場で調節できる修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図21は、引っ込め力を埋め込み後にその場で調節できる変形例の修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図22は、引っ込め力を埋め込み後にその場で調節できる別の修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図23は、引っ込め力を埋め込み後にその場で調節できる別の修正可能なOSAインプラントを示す図である。 図24は、第1及び第2のアンカー端が患者の舌の特定の部位に埋め込まれたOSAインプラントを示す図である。 図25は、患者の舌の別の特定の部位に埋め込まれた図24のOSAインプラントを示す図である。 図26は、直線的に差し向けられた力を様々な別個のベクトルで加えるため、第1及び第2のアンカー端の各々が患者の舌に埋め込まれた複数のOSAインプラントを示す図である。 図27は、直線的に差し向けられた力を様々な別個のベクトルで加えるため、第1及び第2のアンカー端の各々が患者の舌に埋め込まれた複数のOSAインプラントを示す図である。 図28A、図28B、及び図28Cは、個々のインプラント本体がその場で連結手段によって互いに連結される、直線的に差し向けられた力を様々な別個のベクトルで加えるための別のOSAインプラントシステムを示す図である。 図29A及び図29Bは、直線的に差し向けられた力を様々な別個のベクトルで異なる配向で加えるための、図28A、図28B、及び図28CのOSAインプラントシステムと同様の別のOSAインプラントシステムを示す図である。 図30は、図24に示すOSAインプラントを患者の舌の特定の部位に展開するためのカニューレ装置の使用方法を示す図である。 図31は、図30のカニューレ装置の作用端並びに図24のOSAインプラントを展開するための押しロッド即ちスタイレット機構を示す図である。 図32A及び図32Bは、本発明の概略OSAインプラントを選択された角度で患者の舌に展開するための変形例の入れ子式カニューレ装置の使用方法を示す図である。 図33は、OSAインプラントを患者の舌に展開するため、患者の皮膚を貫通するカニューレ装置の使用方法を示す図である。 図34は、OSAインプラントを患者の舌に展開するため、湾曲したカニューレ装置の使用方法を示す図である。 図35Aは、第1及び第2のレッグを持つ一体のV字形状インプラント本体、及び直線的に差し向けられた力を様々な別個のベクトルで加えるため、患者の舌に埋め込まれた固定端を含む別のOSAインプラントを示す図である。 図35Bは、線維形成応答を使用し、直線的に差し向けられた力を様々なベクトルで加えるための第1及び第2のレッグを持つV字形状インプラントをその場で形成する、第1及び第2のOSAインプラントを示す図である。 図36は、収縮筋繊維の軸線に対して横方向に延びるように形成されたアンカー端部分のエレメントを備えて形成された別のOSAインプラントを示す図である。 図37は、細長い弾性部分、及びこの弾性部分と協働し、インプラントを伸長された応力が加わった位置に一時的に維持するための細長い生体分解性部分とを含む別のOSAインプラントを示す図である。 図38Aは、インプラントを直線状にすることによって舌を移動できる、湾曲形態を持つOSAインプラントを示す図である。 図38Bは、直線状形状をなしており、舌が気道閉塞方向に向かって後方に変位した状態の図38Aの湾曲したインプラントを示す図である。 図39は、患者の舌に水平平面内に埋め込んだ、図38Aの湾曲したインプラントを示す図である。 図40Aは、弾性インプラントを直線状にすることによって舌を移動できる、S字形状インプラント即ち蛇行インプラントを垂直配向で示す図である。 図40Bは、直線状形状をなしており、舌が後方に変位した状態の図40Aの蛇行インプラントを示す図である。 図41は、インプラントを直線状にすることによって舌を移動できる、螺旋状に湾曲したインプラントを示す図である。 図42は、連結手段が第1及び第2の端部と隣接して設けられており、インプラントが患者の舌に垂直配向で配置された、ループを持つ別の種類のインプラント即ち包囲OSAインプラントを示す図である。 図43は、患者の舌に水平配向で配置された、図41におけるのと同様の包囲インプラントを示す図である。 図44Aは、第1及び第2のトロカールエレメント及びガイドブロックを含む、図42及び図43の包囲インプラントを埋め込むように形成されたデバイスを示す図である。 図44Bは、包囲インプラントを組織に埋め込み、展開するため、図44Aのデバイスの作用端を使用する工程を概略に示す図である。 図44Cは、包囲インプラントを組織に埋め込み、展開するため、図44Aのデバイスの作用端を使用する工程を概略に示す図である。 図44Dは、包囲インプラントを組織に埋め込み、展開するため、図44Aのデバイスの作用端を使用する工程を概略に示す図である。 図44Eは、包囲インプラントを組織に埋め込み、展開するため、図44Aのデバイスの作用端を使用する工程を概略に示す図である。 図44Fは、第1及び第2のトロカール間を完全に橋渡しした包囲インプラントを示す図である。 図44Gは、トロカールシステムが患者の近くにあり、トロカールが抜かれており、インプラントを所定の場所に残した状態を示す図である。 図44Hは、ループ状インプラント即ち包囲インプラントを形成するようにインプラントの二つの端部を固定的に連結する工程を含む、方法の最終工程を示す図である。 図45は、ループ状インプラント即ち包囲インプラントの様々な形状を示す図である。 図46は、アンカーとして役立つように端部がオトガイ舌骨筋の周囲に固定的に連結されたループ状インプラント即ち包囲インプラントを示す図である。 図47は、二つの固定が下顎と隣接した前位置にある、U字形状又はV字形状のインプラントを示す図である。 図48は、V字形状のレッグの遠位端に二つのアンカーが設けられた、患者の舌で水平配向のV字形状インプラントを示す図である。 図49は、V字形状のレッグの遠位端に二つのアンカーが設けられた、患者の舌で垂直配向のV字形状インプラントを示す図である。 図50Aは、図48のV字形状インプラントを患者の舌に埋め込むためのデバイス及び方法の第1工程を示す図である。二つの湾曲したトンネルが、V字形状インプラントのレッグ用のポケットを形成する。 図50Bは、トンネルをなくし、遠位端にフックが設けられた湾曲した二つの押しロッドがインプラントのアンカー端を所定の場所に押し、維持する、続いて行われる方法の工程を示す図である。 図50Cは、V字形状インプラントをその最終的な位置に残してトロカールを引っ込めた後の患者の舌を示す図である 図51は、オトガイ舌骨筋の周囲に固定された、図50Cに示すV字形状インプラントを示す図である。 図52は、包囲部分がオトガイ舌骨筋の周囲に固定され、直線状部分の固定端が舌の根元の近くにある組み合わせインプラントを示す図である。 図53Aは、軸線方向に非弾性のアンカー端部と、弾性の内側部分とを備え、患者の舌の特定の部位に移植されるように構成されたインプラント本体の他の実施例を示す図である。 図53Bは、軸線方向に非弾性のアンカー端部と、弾性の内側部分とを備え、患者の舌の特定の部位に移植されるように構成されたインプラント本体の他の実施例を示す図である。 図54は、非伸張可能な内部エレメントを示す図53Bのインプラント本体のアンカー端部の拡大図である。 図55は、軸線方向に非弾性のアンカー端部と、弾性の内側部分とを備え、患者の舌の特定の部位に移植されるように構成された図53A又は図53Bのインプラントを示す図である。 図56は、軸線方向に非弾性のアンカー端部と、弾性の内側部分とを備え、患者の舌の特定の部位に移植された図53に示されるような多数のインプラントを示す図である。
A.咽頭の解剖学的構造
図1は、咽頭気道4を形成する構造の矢状図である。これらの構造の幾つかは、様々な状況で、気道4を通る空気通路を閉塞し即ち塞ぐ程度に不全状態になり、及びかくして、閉塞型睡眠時無呼吸の原因となる場合がある。咽頭は、上から下まで、咽頭鼻部1、咽頭口部2、及び下咽頭3に分けられる。図1の状態からの変化を図2A及び図2Bに示す。
図2A及び図2Bは、咽頭気道の様々なレベルでの気道閉塞部位5を示す。図2Aは、例えば、咽頭口部2のレベルでの閉塞5を示す。この場合、舌16の根元及び肥厚した咽頭後壁22が互いに当たって虚脱する。図2Bは、口蓋で気道が不全状態に陥った状態を示す。気道の閉塞が咽頭鼻部1のレベルで生じ、細長い及び/又はパタパタとした軟骨が肥厚した咽頭後壁22に対して虚脱する場合もある。更に、下咽頭3のレベルで閉塞が生じ、細長い軟口蓋6及びパタパタとした喉頭蓋12が咽頭壁22に対して虚脱する場合もある。
図1乃至図2Bを参照すると、咽頭鼻部は、軟口蓋6のレベルの又はそれよりも上の咽頭の部分である。咽頭鼻部では、鼻中隔湾曲症又は鼻道拡張により上気道に抵抗が生じたり塞がったりする場合がある。稀ではあるが、ポリープ、嚢胞、又は腫瘍等の鼻のマスが閉塞の原因となる場合がある。咽頭口部2は、軟口蓋6から喉頭蓋12の上縁までの構造を含み、これには硬口蓋14の下面、舌16、咽頭後壁22、及び下顎骨24並びに扁桃及び口蓋舌弓が含まれる。下顎骨の厚さは、代表的には、約5mm乃至約10mmであり、前側と側方の厚さがほぼ同じである。咽頭口部2での閉塞は、熟睡中又はノンレム睡眠中の筋肉の活動の低下により、睡眠中に舌16が後方に変位することによる。変位した舌16は軟口蓋6を後方に押し、咽頭鼻部1を咽頭口部2から閉鎖する。舌16は、咽頭後壁22とも接触し、これにより気道が更に閉塞される。
下咽頭3は、喉頭蓋12の上縁から輪状軟骨の下縁までの領域を含む。下咽頭3は、更に、自由に浮動するU字形状の骨である舌骨28を含む。舌骨28は、その他の如何なる骨にも関節連結されていない。舌骨28は、様々な筋肉及び連結組織によって周囲構造に取り付けられている。舌骨28は舌16の下にあり且つ甲状軟骨30の上にある。甲状舌骨膜及び甲状舌骨筋が舌骨28の下縁及び甲状軟骨30に取り付けられている。喉頭蓋12は、舌骨28の下後方にあり、舌骨喉頭蓋靱帯によって舌骨に取り付けられている。舌骨の前側はオトガイ舌骨筋によって下顎骨24の下後方に取り付けられている。下咽頭3の下には、更に、気管32及び食道34が示してある。
B.修正可能なOSAインプラント
図3Aは、気道疾患又は閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)を治療するための修正可能なインプラントを提供するキット又はシステムの例示の実施例の第1構成要素を示す。例示のキットの第2構成要素は、治療部位に挿入するための、当該技術分野で及び同時継続出願で周知の導入器である。図3Aでは、細長いデバイス即ちインプラント本体100Aは、通穴106A及び106Bが設けられた第1及び第2の端部分105A及び105Bを有する。インプラント本体100Aの内側部分110が軸線111に沿って延びており、これは、シリコーン等の生体親和性エラストマー材料で形成されている。本体内側部分110の平均断面積は、1mm2乃至10mm2の範囲内にあってもよく、円形、楕円形、平らな形状、多角形、又は他の適当な形状を備えていてもよい。幾つかの実施例では、内側部分の弾性係数は、0.5MPa乃至10MPaの範囲内にあってもよく、現在継続中の米国特許出願第11/969,201号に記載されているように、患者の気道組織に、取り外し自在に、張力が加わった状態で埋め込まれるように形成されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
図3A及び図3Bを参照すると、インプラント本体100Aの通穴106A及び106Bは、これらの通穴を通って組織プラグ112が成長し、これによって第1及び第2の端部分105A及び105Bを選択された組織部位に固定するように形成されていることがわかる。一部を切除して図3Bに示す図は、通穴を通って成長した組織プラグ112が、インプラントの本体部分115によって包囲されることを概略に示す。包囲本体部分115は断面が小さいエレメントであり、以下に説明するように、切断、破壊、分離、分解によりインプラントを組織部位120から外すことができる。エレメントは、ポリマー又は他の材料で形成されていてもよい。以下に説明する他の実施例では、組織プラグ112を切断することによりインプラントを組織部位120から外してもよい。一実施例では、組織プラグ112の平均断面、及びかくして通穴106A及び106Bを横切る寸法は、約0.5mm乃至10mm又はそれ以上であってもよい。通穴106A及び106Bは、平面図でみて円形形状であってもよいし、その他の平面形状を備えていてもよい。端部分105A及び105Bの形状は同じであってもよいし異なっていてもよく、例えば、患者の舌を治療するように形成されたインプラントは、舌の根元については端部分の通穴106Bが実質的に大きく、下顎に近い端部分が比較的小さい。
図3Cは、通穴106Bを拡大した端部分105Bを持つ別のインプラント本体100Bを示す。組織は、通穴106Bを通って成長し、端部分を当該部位に固定する組織プラグを形成する。例えば、図3Cのインプラント本体100Bの通穴106Bは長軸121を持ち、インプラント本体の内側部分110の軸線111とほぼ直交して延びる寸法が大きくなっている。使用では、組織プラグの大きい方の寸法が、軸線111と整合したインプラントのエラストマー製内側部分110によって組織に加えられる引っ張り力に良好に抵抗する。
図3Dは、気道疾患を治療するための図3Cの修正可能なインプラントと同様の修正可能なインプラントの別の実施例100Cを示す。このインプラントには、端部分105Bの通穴106Bの包囲部分115の末端部分126に、通穴106Bを通って成長する組織プラグと干渉できる不規則な形状の表面特徴128が設けられている。これらの表面特徴128は、インプラント本体100Cの内側部分110によって引っ張り力又は引っ込め力が加えられた状態で端部分を固定位置に維持するのを補助できる波形、テクスチャー、出っ張り、隆起部、等を含んでいてもよい。図3Dのインプラント本体100Cでは、端部分105Bは、弾性係数が比較的低く内側部分110の弾性係数とほぼ同じ材料でできた近位部分130、及び引っ張り力が加わった状態で変形しないように弾性係数が比較的高い末端部分126を含む包囲エレメント115を備えていてもよい。
図4は、修正可能なインプラントの別の実施例100Dを示す。このインプラントは、少なくとも一方の端部分105Bの包囲部分115の近位方向に面する部分に窪み特徴140が設けられており、この窪み特徴140が、切断工具の切断ブレード即ち切断縁部144(仮想線で示す)を差し向け且つ受け入れるようになっていることを除くと、上述の実施例のインプラントと同様である。切断工具は、インプラント本体の包囲部分を切断し、インプラントを治療部位から取り出すことができるようにするための工具である。以下に(図5B参照)説明するように、切断工具145は、端部分を切断するため、インプラントの内側部分110に沿って前進できる。次いで、インプラント全体を埋め込み部位から引き出すことができる。本発明の別の態様では、包囲部分115の窪み特徴140により、切断縁部144を、ポリマーエレメントを切断縁部144で切断するのに必要な力が限られる断面減少部分148に差し向けることができる。
図5A及び図5Bは、修正可能なOSAインプラントシステムの第2構成要素を示す。
ここでは、工具145は、遠位切断縁部144を持つ細長い部材を含む。工具の一実施例は、細長いインプラント本体100Dを受け入れるため、全体に亘って貫通した通路152を有する。この工具145の使用にあたり、インプラント本体の第1端部を組織から外し、即ち切断し、次いで通路152に通す。その後、図5Bに示すように、インプラントの近位端を保持しながら工具145を遠位方向に前進し、切断縁部144で包囲部分115切断する。図5Bでは、エレメントを容易に切断し、かくしてインプラントを組織プラグ112(図3B参照)から外すため、窪み特徴140及び断面減少部分148(図4参照)が切断縁部144をどのように差し向けるのかがわかる。工具145は、剛性であってもよいし、先が尖ったハイポチューブ等の半剛性の部材であってもよい。当該技術分野で周知のように、工具は、更に、偏向可能(deflectable) であってもよいし、関節連結可能であってもよいし、操向可能であってもよい。別の実施例では、工具は、切断縁部144を提供するブレード挿入体が設けられた可撓性プラスチック材料製であってもよい。図5B及び図3Bを参照すると、切断した端部は可撓性であり、インプラントを部位120(図3B参照)から抜くために組織プラグの周囲から引っ込めることができるということがわかる。
図6は、修正可能なインプラントシステムの別の第2工具構成要素を示す。この図では、工具145’は、同様に、遠位切断縁部144を備えた細長い部材で形成されている。
一実施例では、工具の端部には、通路152の側部に沿って長さ方向隙間155が設けられている。これにより、工具をインプラント本体の内側部分110に被せて挿入した後に前進し、図5A及び図5Bに概略に示すようにインプラントを切断できる。図6に示すように、工具端部は、デバイスをインプラントに被せて挿入するときに隙間155を撓ませて開放できるように、隙間155の両側に可撓性エレメント158が設けられたポリマー部材で形成されていてもよい。図示のように、遠位切断縁部144は、ポリマー部材に埋め込んだ金属製ブレード挿入体でできていてもよい。
図7A、図7B、及び図7Cは、様々な形態の複数の通穴206が設けられたインプラント200A、200B、及び200Cの実施例を示す。これらの実施例では、端部は平らであり、開口部が設けられている。かくして、使用では、インプラント端部を組織部位に固定するため、通穴を通って成長する複数の組織プラグがある。
図7Dは、複数の通穴202が設けられた比較的平坦な端部201を持つインプラント200Dの別の実施例を示す。一実施例では、端部は、インプラントの軸線111に対して様々な半径方向角度で延びる複数のエレメント204を有し、各エレメント204には一つ又はそれ以上の通穴が設けられている。
図7Eは、端部205A及び205B及び内側部分206を持つインプラント本体200Eを示す。内側部分206は、軸線方向に伸ばし、張力を加えたエラストマー材料でできている。内側部分206は、マグネシウム又はマグネシウム合金等で形成された参照番号208を付した生体分解性部分によって、軸線方向に伸ばされた非静止状態に解放自在に且つ一時的に維持される。この実施例では、生体分解性部分は、ホイル状の壁即ち薄壁を持つチューブ状部材、複数のチューブ状薄壁セグメント、又は生体分解性材料でできた一つ又はそれ以上の捲線又は組紐で形成されていてもよい。薄壁材料は、図7Eに示すように小孔が設けられていてもよい。薄壁生体分解性材料又は捲線又は組紐の生体分解性フィラメントは、非常に細く(薄く)、2週間乃至52週間の範囲の選択された時間間隔で溶解し、体内に吸収されるようになっている。別の実施例では、生体分解性部分は、直線状形態又は螺旋状形態でインプラント本体の内部に配置されていてもよい。
図8Aは、例えば図3A乃至図3D、図4、又は図7A乃至図7Dのインプラントを除去するため、インプラントの端部分を切断するようになった細長い工具の作用端部210を示す。工具は、図5A及び図6の工具と同様に機能する。工具は、インプラント本体の細長い内側部分を受け入れる中央ボア212を有する。図8Aでわかるように、作用端部210は、例えば図3Aのインプラント100Aの端部分115に押し被せるためのノッチ214が設けられた二つの同心のハイポチューブを含む。医師は、これらのハイポチューブを近位ハンドル端部から逆方向に回転できる。作用端部のブレード縁部215及び216は鋏機構と同様に機能し、インプラント本体を切断する。その後、インプラントを治療部位から容易に取り外すことができる。図8Bは、インプラント本体部分を受け入れることができる向き合ったノッチ214及び214’を持ち、ブレード縁部215及び216を回転してインプラントを切断できる、同様の切断工具の別の作用端部210’を示す。
図9は、インプラントの表面特徴が異なっていることを除くと、上述の実施例と同様のインプラント220の別の実施例を示す。端部即ち包囲部分225は、滑らかな又は僅かにテクスチャーを付けた表面特徴を備えていてもよく、内側部分230は、使用中に組織がインプラントに対して滑ることができるようにする超疎水性表面232を持つエラストマー材料等の高度に潤滑性の表面を備えていてもよい。かくして、本発明の方法は、デバイスを気道インターフェース(airway-interface) 組織に埋め込む工程と、インプラントの端部分の少なくとも一つの通穴を通して組織が成長できるようにすることによってインプラントの第1及び第2の端部分を組織に固定する工程と、組織による気道の閉塞を緩和するための引っ張り力をインプラントのエラストマー製部分が加えることができるようにする工程とを含み、インプラントの超疎水性表面により、組織が前記表面に付着することを阻止する。超疎水性表面は、当該技術分野で周知のように、生体親和性ポリマーで提供できる。
図9を参照すると、本発明の別の態様では、細長いインプラント本体は、気道インターフェースに埋め込まれるように形成されており、本体表面の少なくとも一部の湿潤接触角(wetting contact angle) は、組織の付着を阻止するため、及び組織が滑るようにするため、70°よりも大きい。他の実施例では、本体表面の少なくとも一部の湿潤接触角は85°よりも大きく、又は100°よりも大きい。
本発明の別の態様では、図9を更に参照すると、細長いインプラント本体は、気道インターフェースに埋め込まれるように形成されており、本体表面の少なくとも一部の付着エネルギ(adhesive energy) は、100dynes/cmよりも小さく、75dynes/cmよりも小さく、又は50dynes/cmよりも小さい。
図10は、インプラントの遠位端部分258を切断するため、切断工具255を通すように形成された通路254が内側部分252に設けられていることを除くと上述の実施例と同様の修正可能なOSAインプラント250の別の実施例を示す。通路254には、反対側の端部(図示せず)に設けられたアクセス穴によってアクセスできる。アクセス穴は、マーカーを撮影することによって、マーカーを視覚的に観察することによって、所定の場所に残したガイドワイヤ又は他の適当な手段又は機構によって確認できる。切断工具255は、鋏部材、先が丸い工具から延ばすことができるブレード、遠位方向又は近位方向に向いた任意のブレード、及び/又はインプラント端部258を切断するようになった何らかの種類の熱エネルギ放射器でできている。
図11は、外部刺激によって切断でき即ち破壊できる、参照番号282を付した破壊部分を持つ修正可能なOSAインプラント280の別の変形例を示す。一実施例では、インプラントの内側部分283は、電源285に取り外し可能に接続できる電気接点即ち延長リード284A及び284Bを含む。図11では、インプラント本体は、上文中に説明したようにエラストマー材料で形成されており、破壊部分282は、導電性ドープトポリマー(doped polymer) 部分でできている。このポリマー部分は、高圧高周波電流の非常に短いバーストが加わったとき、ヒューズとして作用する。破壊部分282の両側は、インプラントに埋め込まれた又はインプラントと一緒に型成形された電気リード288A及び288Bに接続されている。医療用血管内インプラントを取り外すためのヒューズ効果を得るため、このようなドープトポリマーを使用することは、2002年10月1日に賦与されたトルックァイ等の米国特許第,6,458,127号に開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。同様のドープトポリマーを図11の修正可能なOSAインプラントで使用できる。
図12は、図11のOSAインプラント280の使用方法を示す。更に詳細には、治療の修正を行うための方法を示す。図12は、高周波電流を電源285からインプラントの破壊部分282に送出し、これを溶融し、切断し、かくして、インプラントを組織プラグの周囲から取り出すことができるようにしたことを示す。
図13A及び図13Bは、参照番号282を付した破壊部分がインプラントの内側部分に設けられた修正可能なOSAインプラント290の別の実施例を示す。外部刺激により破壊部分を賦勢し、破壊できる。破壊部分は、その後、インプラントの包囲部分115をその場に残す。その場に残ったインプラントの部分は、次のインプラント用の固定として使用できる。一実施例では、図13A及び図13Bに示すように、破壊部分282は、電解ワイヤ(electrolytic wire) でできていてもよい。電解ワイヤは、当該技術分野で周知のように、直流電流で短時間で破壊できる。コイル塞栓術でコイル状にしたワイヤのインプラントを切り離すためのこのような電解ワイヤは、動脈瘤インプラント及び治療の分野で周知である。
図11乃至図13Bは、二つの形態の破壊部分を持つOSAインプラントを示すが、同様のインプラントは、高周波電流、直流電源、光エネルギ、誘導加熱、等の任意の外部刺激により切断又は破壊される破壊部分を備えていてもよく、これらは本発明の範疇に含まれるということは理解されるべきである。
図14及び図15は、修正可能なOSAインプラント300の別の実施例を示す。このインプラントもまた、少なくとも一方の端部に参照番号315を付した包囲部分を備えている。包囲部分は、通穴320を通って成長する組織プラグ316を取り囲む。一実施例では、インプラントには、第1及び第2のワイヤ端部324A及び324Bがインプラントの一つ又はそれ以上の通路を通ってループをなして延びる切断ワイヤ322が設けられている。切断ワイヤ322は、通穴320を取り囲むインプラントの表面に埋め込まれていてもよい。図15でわかるように、ループ状切断ワイヤ322を近位方向に引っ張って組織プラグ316を切断できる。これにより、インプラントは、取り付けられた状態から外れる。図14では、切断ワイヤ端部324A及び324Bは、インプラントのエラストマー製の内側部分の使用中の伸び縮みに関わらないように、インプラントの内側部分で蛇行形態をなしていてもよい。切断ワイヤにアクセスし、インプラント300に対して引っ張ったとき、組織プラグ316を切断できる。切断ワイヤを図15に示すように作動するときにインプラントを安定させるため、この他の工具(図示せず)を使用してもよいということは理解されるべきである。切断ワイヤ322は、任意の形態の細いワイヤ、又はアブレーシブワイヤ(abrasive wire) 、又は電源(図示せず)に接続された抵抗加熱ワイヤであってもよい。
図16は、別の修正可能なOSAインプラント300’を示す。このインプラントは図14及び図15のインプラントと同様であり、インプラント本体の包囲端部分内の通穴320を通って成長した複数の組織プラグ316を切断するように形成された切断ワイヤ322’を含む。
図17は、上述のインプラント及びシステムと同様に修正を行うようになった別の修正可能なOSAインプラント400を示す。このインプラントでは、細長いデバイス即ちインプラント本体は、通穴406A及び406Bが設けられた第1及び第2の端部分405A及び405Bを有する。インプラント本体400の内側部分411は軸線に沿って延びており、シリコーン等の生体親和性エラストマー材料で形成されている。この実施例では、内側部分は、第1及び第2の延長部分415A及び415Bを含み、これらの部分の一方が他方の部分の通路416に入れ子になっており、近位ループ及び遠位ループ、即ち組織プラグを受け入れるための通穴406A及び406Bを形成する包囲端部分を形成する。図17及び図18Aからわかるように、両延長部分415A及び415Bはエラストマー材料製であり、かくして、これらが協働することによりOSAインプラントの所望の引っ込め力を提供する。
図18A及び図18Bを参照すると、インプラントの内側部分又は近位部分で第2延長部分415Bを切断した場合、又は第1及び第2の延長部分415A及び415Bを近位部分又は内側部分で切断した場合、第1延長部分415A即ち外延長部分を近位方向に引っ張ることができ、次いで、切断した第2延長部分415Bを組織プラグ422の周囲の経路から出すことができるということがわかる。かくして、インプラントを近位部分又は内側部分で切断でき、遠隔の位置からインプラントを治療部位から引き出すことができる。
図19は、修正手順に適合した別のOSAインプラント450を示す。このインプラントは、通穴456A及び456Bが設けられた第1及び第2の端部分455A及び455Bを持つ細長いインプラント本体を含む。この実施例は、内側部分458がエラストマー材料製の延長部分460A及び460Bを含むという点で、図17のインプラントと同様である。これらの延長部分が協働し、OSAインプラントの所望の引っ込め力を提供する。延長部分460A及び460Bは、エラストマー製の薄いスリーブ464に入っている。スリーブの端部には、スリーブの通路内への組織の内方成長を阻止するため、引裂き部分即ちティアアウェイ(tear away) 部分465が設けられている。インプラントの内側部分を切断した後に延長部分460A又は460Bの端部に引っ張り力を加えることによって、インプラントの他方の自由端を、図18に示す方法と同様に組織プラグの周囲から抜くということは理解されよう。この方法によってインプラントの両端を治療部位から取り外すことができる。
C.力をその場で調節できるOSAインプラント
別の種類のOSAインプラントは、インプラントを治療部位に埋め込んだ後、インプラントによって加えられる力をその場で調節するための手段を含む。このような調節により、インプラントによって治療部位に加えられる力を強くしたり弱くしたりできる。インプラントによって加えられるこのような力の調節は、治療の定期的評価等の特定のイベント時に行ってもよい。更に、調節は、アルゴリズムに基づいて所定のスケジュールで行ってもよいし、ランダムに行ってもよい。一例では、患者の体重の増減により、インプラントによって加えられる力を調節する必要が出る。この他の要因には、患者の病状の悪化、加齢、インプラント周囲の局所的組織の再形成、インプラントの老化即ちインプラントの材料特性の劣化が含まれる。以下に説明する幾つかの実施例では、第1状態と第2状態との間でその場で繰り返し容易に調節でき、例えば、日々の睡眠期間及び覚醒期間に合わせて調節できるインプラントシステムを提供できる。かくして、このような調節可能な実施例は、睡眠中に必要な場合にだけ、組織引っ込め力を加えることができる。こうした実施例の一つの利点は、インプラントが発生する引っ込め力が覚醒中に治療部位の組織に加わらないようにでき、このような引っ込め力が常に加わることによる組織再形成をなくすか或いは大幅に制限するということである。
図20は、インプラントによって加えられる引っ込め力を埋め込み後にその場で調節することを最小の侵襲性で行うようになった修正可能なOSAインプラント500を示す。
この実施例では、インプラントは、OSAインプラントによって加えられる引っ込め力を低い方に調節するように形成されている。図20では、細長いインプラント本体は、端部分505に連結された複数の延長エレメント502を有する。これらのエレメント502は、インプラントによって加えられた引っ込め力を減少するため、個々に切断できる。延長エレメント502の数は、2個乃至20個又はそれ以上であってもよい。
図21は、複数の延長エレメント502がエラストマー製の薄壁スリーブ522に収容されていること以外は上述の実施例と同様に機能する修正可能なOSAインプラント520を示す。更に、幾つかの又は各々の延長エレメント502の軸線方向部分525がスリーブ522又はインプラントの端部分530の外に突出しており、こうした部分を切断できる。弾性係数が非常に低いシリコーン等の軟質の充填体即ちティアアウェイ材料532を延長エレメント502がスリーブ522から突出する場所の周囲に形成し、デバイスの内部チャンネル内への組織の内方成長を阻止してもよい。使用では、医師は弾性エラストマー502を取り上げて切断でき、充填体材料532はこのプロセスで除去される。この場合も、エラストマー製のエレメントを切断し、下方への引っ込め力の大きさを設定するための侵襲的アクセスを最小にするため、任意の形態の切断工具を使用できる。
図22は、ターゲット組織に加えられる引っ込め力を埋め込み前にその場で調節するようになったOSAインプラント600を示す。一つの方法では、組織再構築により、加えられた引っ込め力が経時的に増大するのが望ましいものと仮定すると、比較的大きな引っ込め力が望ましい。図22では、細長いインプラント本体の内側部分606には、アクセス可能な第1端部612から遠方の端部615まで延びる内部チャンネル610が設けられている。各端部612及び615は、組織の内方成長を阻止するがニードルを挿入できるようにするため、シリコーンで形成されていてもよい。チャンネル端部612及び615は、インプラントの比較的剛性の端部分に配置されていてもよい。この場合、インプラント本体の内側部分は、所望の引っ込め力を提供するため、エラストマーで形成されている。一実施例では、チャンネル610は、虚脱し、平らになる寸法を備えているが、参照番号620を付した少なくとも一つの追加のエラストマー製エレメントの挿入を受け入れることができる。図23から、端部トグル624を備えたエラストマー製エレメント620を可撓性ニードル部材(図示せず)のボアに挿入し、インプラントのチャンネルに挿入することがわかる。その結果、これらのトグルが解放され、エレメント620に張力が加わった状態になる。これにより、インプラント600の内側部分606と一緒に組織に加える引っ込め力を追加する。同様に、インプラント600及び/又はエラストマー製エレメント620の端部をクリップ止めし、図20及び図21に示すシステム及び方法におけるように、加えられる引っ込め力を減少してもよい。
かくして、一般的には、本発明の態様と対応する図20乃至図23のシステム及びインプラントは、気道インターフェース組織部位の通常の生理的機能に適合するように、当該部位と形態が一致する大きさ及び形状の細長いインプラントを含む。インプラントの内側部分は、エラストマー材料で、引っ込め力を当該部位に加えるように形成されており、インプラントによって加えられる引っ込め力をその場で調節するための調節手段が設けられている。
D.非整合変位力を加えるためのOSAインプラント
図24乃至図27を参照して本発明の別の態様を説明する。この態様では、引張力又は変位力を少なくとも二つの非整合方向即ち別々の方向又はベクトルで加えるため、一つの弾性インプラント(又は複数の弾性インプラント)を気道インターフェース組織に位置決めできる。これらを識別可能ベクトルと呼んでもよい。図24及び図25に示す代表的な実施例では、本発明の態様と対応するインプラント700は直線状構造をなしていてもよく、二つのアンカー端部702a及び702bが組織内に固定点即ち固定領域705a及び705bを形成する。これらの固定点705a及び705bは、真っ直ぐな又は実質的に真っ直ぐな弾性部分710又はインプラントのばねエレメントによって連結されており、前記弾性部分又はばねエレメントが前記固定点705a及び705b間に引張力及び/又は引張変位を加える。図24の実施例では、インプラント700は前記固定点705a及び705b間に力及び/又は変位を加え、患者の舌を変位し及び/又は患者の舌に力を加えるように作用するが、適当な寸法のインプラントを患者の気道と隣接した軟口蓋又は咽頭構造に導入してもよいということは理解されるべきである。図25は、インプラント700が組織で様々な配向をとってもよいということを示す。次に、図26及び図27を参照すると、図24及び図25の弾性インプラントと同様の実質的に直線状の複数の弾性インプラント700が複数の組織固定点715を提供してもよいということがわかる。この場合、これらのインプラントの弾性部分即ちばね部分710は、所望の臨床効果を達成するため、引張力又は変位力を提供するように機能する。動物で試験を行ったところ、二つのインプラントが力を被験者の舌に二つの異なる方向で加えると、インプラントの性能が、単一のインプラントで力を一方向に加えた場合と比較して向上する。
図28A、図28B、及び図28Cは、本発明の態様によるインプラントシステムの別の実施例を概略に示す。この実施例は第1及び第2の弾性エレメント720A及び720Bを含み、これらのエレメントが参照番号725a、725b、及び725cを付した三つの固定点を組織に形成する。図28Aは、上文中に説明したアンカー端部728a及び728bを持つ第1弾性エレメント720Aの埋め込みを示す。少なくとも一方の端部は、第2弾性エレメント720Bのフックエレメント732に連結できるループ730等の取り付けエレメントを持つように形成されている。かくして、図28A及び図28Bは弾性エレメントの埋め込み工程を示す。先ず最初に、図28Aに示すように弾性エレメント720Aを所望の場所に埋め込む。次いで、図28Bに示すように、弾性エレメント720Bを、そのフック732が弾性エレメント720Aのループ730と隣接するように、その所望の場所に位置決めする。次いで、図28Cに示すように、ループ730をフック732に連結し、固定リンクインプラント構造を形成する。かくして、この固定リンクインプラント構造は、二つの非整合ベクトルAA及びBBで力を加える。これらのインプラントは、順次埋め込んだ後にその場で連結され、V字形状インプラントシステムを形成するということは理解されよう。図28A、図28B、及び図28Cのインプラント構造は、埋め込み前、埋め込み中、又は埋め込み後、接着剤、スナップ嵌め特徴、フック及びループ、クランプ、ラチェット、キー嵌め、等によって、又は縫合糸、接合部、クランプ、又は他の連結手段等の別体の取り付け手段によって連結できる弾性エレメント又はばねエレメント等の構成要素を含んでいてもよいということは理解されるべきである。別の実施例では、別々のインプラント本体の二つの端部分を互いに近付けて配置し、身体の線維形成応答(fibrotic response) 又は創傷治癒反応により、これらの二つの端部分を連結してもよい。
図29A及び図29Bは、患者の舌での配向が異なる第1及び第2の弾性エレメント740A及び740Bを含むインプラントシステムの別の実施例を概略に示す。各インプラントは、上文中に説明したように、弾性内側部分を有する。このインプラントシステムもまた、図29Bに示すように三つの固定点即ち745a、745b、及び745cを提供する。ループ−フック特徴又は他の同様の手段によって、第1インプラントを第2インプラントに固定的に取り付けることができる。上文中に説明したように、これらのインプラントは、順次埋め込んだ後にその場で連結され、V字形状インプラントシステムを形成する。幾つかの実施例では、V字形状インプラントのレッグ間の角度は、埋め込み部位に応じて約10°乃至約90°の範囲内にある。他の実施例では、V字形状インプラントのレッグ間の角度は、約10°乃至約170°である。V字形状インプラントのレッグの長さ並びにV字形状インプラントの各レッグによって加えられる力は変化してもよい。
一般的には、上文中に開示したインプラントを患者の舌及び/又は口蓋に埋め込むとき(図35参照)、インプラントの位置が、加えられる力の位置及び方向、及び周囲組織の変位に影響を及ぼす。インプラントは、様々な臨床効果を得るために様々な位置に配置してもよく、特定の解剖学的及び生理学的構造を含む各患者のOSAの性質及び詳細に基づいて個々の患者に合わせて特注してもよい。例えば、患者が、舌の下後領域が後咽頭壁に当たることと関連した閉塞を患っている場合には、直線状インプラントの一端を舌の下側に配置する埋め込み位置が適当である(図24参照)。別の例では、患者が、舌の上後領域が後咽頭壁に当たることと関連した閉塞を患っている場合には、直線状インプラントの一端を舌の比較的高い場所に配置する埋め込み位置が適当である(図25参照)。同様に、本開示のインプラントは、患者の特定の必要に対処するため、及び所望の臨床効果を得るため、一つ又はそれ以上のインプラントを使用して舌及び軟口蓋内の様々な場所に配置してもよい。
一般的には、気道疾患を治療するための本発明の態様による方法は、少なくとも二つの非整合方向又はベクトルで組織に引張力を加えるように形成された少なくとも一つの弾性インプラントを気道インターフェース組織に埋め込む工程を含む。かくして、これらの非整合ベクトルは、組織内に配置された実質的に直線状の細長いインプラントによって組織に加えられた、図28CのベクトルAA及びBB等の非整合ベクトルを形成する。
方法の一態様では、異なる固定部位間を延びる第1及び第2の本体部分を持つように形成された単一のインプラントによって、組織に、直線的に差し向けられた複数の力を非整合ベクトルで加えることができる(図35参照)。方法の別の態様では、こうした力を少なくとも第1及び第2の非整合ベクトルで加えるため、少なくとも第1及び第2のインプラントを埋め込んでもよい。インプラントの任意の実施例では、細長い弾性本体は、インプラントを上文中に説明したように延長位置に一時的に維持する生体分解性材料と協働する。更に、上文中に説明したように、インプラントを受け入れるターゲット気道インターフェース組織には、患者の舌、軟口蓋、及び/又は咽頭組織が含まれる。
次に図30乃至図34を参照すると、これらの図には、患者の舌又は軟口蓋内にインプラントを配置することと関連した本発明の様々な態様が示してある。埋め込みは様々な方法で行われてもよく、代表的には、図30に概略に示すように、ニードル状カニューレ760を挿入することによって行われる。直視下手術(open surgery)又は他の侵襲性が最小の手術技術を使用してもよいということは理解されるべきである。図31に示す先が尖ったカニューレ760の一実施例では、インプラント本体770がカニューレのボア772に入っている。細い押しロッド即ちスタイレット部材775の遠位端777がインプラント本体の遠位部分778と解放自在に係合する。係合は、インプラント本体の遠位端に連結するためのフック又は他のアタッチメント手段によって行われる。スタイレット775はカニューレのボア772内に可撓性インプラント本体の側方に置かれ、前記スタイレットを押すとスタイレットの遠位端がインプラント770を前記カニューレから押し出し、即ち展開し、展開中に前記インプラントが妨害されたり引っ掛かったりすることがない。
更に、インプラントをターゲット組織部位に一杯に延ばした状態で(即ち団子にならずに)展開できる。方法の別の態様では、カニューレをターゲット部位に導入した後、医師がスタイレット775を固定位置に維持すると同時にカニューレ760を引っ込め、かくしてインプラント本体770をターゲット部位に展開する。
開示のインプラントは、図30乃至図34に示すように、直線状の、湾曲した、関節連結された、変形可能な、及び/又は入れ子式のカニューレ760によって舌内に配置されてもよい。カニューレは、上文中に説明した任意のアクセス点を通して導入されてもよい。舌内の埋め込み部位へのアクセス経路には、図30及び図32A、図32Bに示す舌下位置(口腔内で舌の前部分の下側)を介するアクセス、図33及び図34に示す顎下位置(下顎の前部分の下)を介するアクセス、後舌位置(舌の後面)を介するアクセス、又はインプラントを適切に位置決めできるこの他の任意のアクセス点が含まれる。
軟口蓋内の埋め込み部位へのアクセス経路には、口腔内位置(軟口蓋と硬口蓋の接合部と隣接した口腔内)、鼻腔内位置(軟口蓋と硬口蓋の接合部と隣接した鼻腔内)、又はインプラントを適切に位置決めできる軟口蓋又は硬口蓋に沿ったこの他の任意のアクセス点を介するアクセスが含まれる。
一例では、図30は舌下位置に挿入した直線状カニューレを示す。これにより、前固定が下顎の上部分と隣接して配置された状態で実質的に真っ直ぐに配置される。別の例では、図32A及び図32Bは、舌下位置に挿入された、角度をなした、曲げることができる、又は関節連結されたカニューレ780及び入れ子式の第2カニューレ782を示す。これにより、実質的に直線状のインプラントが、インプラントの前アンカー部分が下顎の上部分と隣接して配置された状態で配置される。
図33は、顎下位置に挿入された直線状カニューレ760を示す。これにより、実質的に直線状のインプラントが、前固定が下顎の下部分と隣接して配置された状態で配置される。別の例では、図34は、顎下位置から挿入された湾曲したカニューレを示す。これにより、前固定が下顎の中間レベル位置と隣接して配置された状態で僅かに湾曲して配置される。
別の実施例では、第2スリーブは、形状記憶を備えていてもよく(例えばニチノール)、又はプラスチック製スリーブであってもよい。
上文中に説明した開示のインプラントは、実質的に可撓性であり、代表的には、シリコーン、ウレタン、フルオロエラストマー、又は他の生体親和性材料エラストマー、ポリエチレンテレフタレート(例えばダクロン(ダクロン(Dacron)は登録商標である))、又は他のファイバ、生体吸収性ポリマー、可撓性金属等の可撓性材料及び/又は弾性材料で形成されている。インプラントの可撓性により、このようなインプラントを容易に展開でき、インプラント本体がカニューレのボアに引っ掛かることなく、直線状の、湾曲した、又は関節連結された小断面のカニューレを通して埋め込むことができる。湾曲した即ち曲がったカニューレを通して、剛性のインプラント材料又は設計で可能であるよりも長いインプラントを送出できる。
このようなインプラントが実質的に可撓性であるため、特に細い直線状の湾曲した変形可能な又は関節連結されたカニューレ等を使用する場合、カニューレを通してインプラントを押すのでなく引っ張るのが有利である。このような湾曲した又は直線状のカニューレから可撓性インプラントを引っ張る即ち展開することの主な利点は、バンチング、座屈、又はカニューレのボア内での引っ掛かりに対する抵抗を増大することである。展開方法のこの態様により、このような可撓性インプラントをカニューレのきつい屈曲部を通して送出でき、かくして、舌下空間を通した舌内への送出等の届き難い場所に埋め込むことができる。更に、引っ張ることにより、それ以外の場合よりも長いインプラントを送出できる。別の実施例では、インプラントの端部分だけを変形できる。
図35Aは、様々な患者の舌で様々な方向に展開できる第1及び第2の弾性エレメント(「レッグ」)792A及び792Bを持つ一体のインプラント本体を含むインプラント790の別の実施例を示す。図35Aのインプラント790は、湾曲した二つの弾性スタイレットを支持する主カニューレ(又はスロットが設けられ副カニューレ(図示せず))によって埋め込むことができるということがわかる。弾性スタイレットは、主カニューレから展開される。この場合も、インプラント790は、図35に示すように三つの固定点795a、795b、及び795cを提供する。上文中に説明したようにV字形状インプラント790はレッグ792Aと792Bとの間に任意の適当な角度を形成し、V字形状インプラントの各レッグによって任意の適当な力を加えることができる。
図35Bは、少なくとも一部が近接した状態で導入された第1及び第2のOSAインプラント796A及び796Bを示す。その後、参照番号798で示す線維形成応答が生じることにより、インプラントの端部を効果的に連結し、第1及び第2のインプラントが直線的に差し向けられた力を異なるベクトルで加えるV字形状インプラントを形成する。
開示の例示のインプラントには、インプラントに沿った様々な位置、例えば端部にアンカー部分を形成でき、又はインプラントの弾性エレメント又はばねエレメントの長さに沿って、又は弾性エレメント又はばねエレメントと隣接してアンカー部分が分配される。これらのアンカー部分は、インプラントを組織に取り付けるのに役立つ。組織には、軟質及び硬質の組織及び構造が含まれ、これらの構造には、皮膚、粘膜、筋肉、筋膜、腱、靱帯、軟骨、又は骨が含まれる。これは、弾性エレメント又はばねエレメントが前記軟質組織、硬質組織、又は構造に力及び/又は変位を加えることができるようにするためである。
患者の舌内で使用される場合、このようなインプラントのアンカー部分は、舌の筋肉内に直接的取り付け部位を形成できる。舌の筋肉には、オトガイ舌骨筋、オトガイ舌筋、垂直舌筋、横舌筋、及び縦舌筋が含まれる。舌のオトガイ舌骨筋、オトガイ舌筋、及び垂直舌筋は、下顎の中央前部分のこれらの筋肉の取り付け部位から実質的に所定方向に延び、横舌筋及び縦舌筋がある口腔の後上に向かって等エントロピーで(isentropically)で外方に扇状に拡がっている。上文中に説明したように、インプラントのアンカー部分は、アンカー部分の通穴を通ってインプラント本体のアンカー部分のチャンネル、通路、小孔、又は他の隙間空間内に内方成長する組織プラグによって取り付けることができる。
開示のインプラントは、等エントロピー(isentropic)筋組織が内方成長して前記固定に取り付けられ、特定の特性を示すように、特定の配向で埋め込まれる。これらの特性には、前記筋組織への取り付けの加速又は遅延、取り付けの強弱、等エントロピー強化取り付け、取り付け強度の増減、疼痛の減少及び/又は取り付け感度の低下が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の別の態様では、インプラント800(図36参照)は、組織プラグ又は組織が成長し、インプラント端部の、望ましからぬ、組織平面内、例えば筋繊維808の表面に沿った移動に抵抗する端部分即ちアンカー部分805A及び805Bを有する。図36は、患者の舌での筋繊維808の配向を示す。更に詳細には、図36を参照すると、インプラント800の端部分805A及び805Bの各々には、このような筋繊維808の選択された寸法に対して横方向に延びるように形成されたエレメント810が設けられている。筋繊維に対して横方向に延びる特徴即ちエレメント810の長さは、少なくとも2mmであってもよいし、4mmであってもよいし、6mmであってもよいし、又は8mmであってもよく、これにより、インプラントが筋繊維間組織平面内で移動しないようにする。
本発明の別の態様では、アンカー部分の一つ又はそれ以上が複合構造を備えていてもよい(例えば、ポリエステル繊維強化シリコーンゴム又は実質的に非弾性のポリマー又は金属)。複合構造は、アンカー部分が伸びることにより生じる、加えられた力の低下を制限する。
本発明の方法の別の態様では、図36を参照すると、インプラントの弾性部分によって加えられた力が収縮筋繊維の収縮方向(軸線)と実質的に整合するようにインプラント本体800を患者の舌等のターゲット部位に位置決めする。インプラント本体800のアンカー部分は、このような収縮筋繊維808の軸線に対して実質的に横方向に延びるエレメントと係合する。
図37は、伸ばした位置に一時的に維持できる可撓性インプラント820の別の実施例を示す。この実施例では、インプラント820は、生体吸収性材料(例えば生吸収性ポリマー)製の半剛性ロッド825を支持する。ロッド825は、インプラント本体の表面上に設けられた特徴に埋め込まれ又は係止される。かくして、十分な座屈強度を備えたインプラントを形成できる。そのため、インプラント820及び生吸収性ロッド825を引っ掛かったりバンチングを生じることなく、直線状の、湾曲した、又は関節連結されたカニューレを通して押すことができる。この実施例は、図31のスタイレット展開でなく、別のインプラント展開手段を提供する。
E.インプラント力/移動パラメータ
インプラント力閾値。開示のインプラントは、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)を治療するため、舌及び軟口蓋を含む患者の気道内の解剖学的構造に力及び変位を加える。治療は、通常の呼吸中に気道を開放するように前記解剖学的構造の位置を変えることによって、又は前記解剖学的構造に力を加えることによって行われる。前記インプラントによって前記解剖学的構造に加えられる力は、患者の睡眠時に気道を開放するように前記構造を十分に移動し、即ち変位する上で十分であるが、周囲組織やインプラントを損傷したり、適切な気道機能を妨げたり、通常の会話及び嚥下等の舌の適正な機能を妨げたりする程大きくはない。
患者の睡眠時及び完全に寛いでいる時のOSAと関連した気道閉塞をなくすために開示の一つ又はそれ以上のインプラントを患者の舌で使用する場合、前記インプラントは、通常の呼吸中に気道を開放できるのに十分な力を提供する。通常の呼吸中に気道を開放する上で必要な力は、舌自体の重量よりも小さい。これは、通常の呼吸では、気道を開放するのを補助するように作用する内部圧力が提供されるためである。通常の呼吸中に気道を開放しておくために前記インプラントによって供給される最小力を、治療効果についての最小閾値と呼ぶ。舌内又は舌と隣接して設置された一つ又はそれ以上のインプラントについてのこの最小閾値力は、幾つかの実施例では約0.5Nであり、他の実施例では約1.5Nであり、更に他の実施例では最小閾値力は約3.5Nである。
患者の睡眠時及び完全に寛いでいる時のOSAと関連した気道閉塞をなくすために開示の一つ又はそれ以上のインプラントを患者の軟口蓋で使用する場合、前記インプラントは、軟口蓋を前記患者の喉の後壁から逸らして離すのに十分な力を提供し、かくして、気道を開放状態に置く。舌の場合と同様に、通常の呼吸中に気道を開放する上で必要な力は、軟口蓋自体の重量よりも小さい。これは、通常の呼吸では、気道を開放するのを補助するように作用する内部圧力が提供されるためである。通常の呼吸中に気道を開放しておくために前記インプラントによって供給される最小力を、治療効果についての最小閾値と呼ぶ。軟口蓋内又は軟口蓋と隣接して設置された一つ又はそれ以上のインプラントについてのこの最小閾値力は、幾つかの実施例では約0.2Nであり、他の実施例では約0.5Nであり、更に他の実施例では最小閾値力は約1.0Nである。
〔インプラント運動(motion)閾値〕
開示のインプラントは、舌及び軟口蓋を含む患者の気道内の解剖学的構造の位置を変えることによって閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)を阻止するため、前記解剖学的構造に力及び変位を加える。前記インプラントによって前記解剖学的構造に加えられた変位は、患者の睡眠時に気道が塞がらないように前記構造を十分に移動し、又は変位するのに十分に大きいが、有害な副作用を生じる程大きくはない。このような副作用には、舌又は軟口蓋の機能の制限、会話及び/又は嚥下に有害な副作用が及ぼされること、呼吸困難、組織の望ましからぬ経時的再構築、軟組織又は硬組織に対する損傷、及び舌や軟口蓋等の前記軟構造が他の解剖学的構造と干渉すること、又はその他の望ましからぬ作用を及ぼすことが含まれる。
開示のインプラントは、舌に埋め込まれたとき、舌に力及び変位を加え、患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時の通常の呼吸中に患者の気道を開放状態にしておくことができる。上文中に説明したように、望ましからぬ副作用を伴わない、舌の最大変位を、治療効果についての最小閾値変位と呼ぶ。舌内又は舌と隣接して設置された一つ又はそれ以上のインプラントについてのこの最大閾値変位は、幾つかの実施例では約0.5mm乃至約20mmであり、他の実施例では約1.0mm乃至約15mmであり、更に他の実施例では約1.0mm乃至約10.0mmである。
開示のインプラントは、軟口蓋に埋め込まれた場合、軟口蓋に力及び変位を提供でき、患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時、通常の呼吸中に患者の気道を開存状態にできる。上文中に説明したように、望ましからぬ副作用を伴わない、軟口蓋の最大変位を、治療効果についての最大閾値変位と呼ぶ。軟口蓋内又は軟口蓋と隣接して設置された一つ又はそれ以上のインプラントについてのこの最大閾値変位は、幾つかの実施例では約0.5mm乃至約5.0mmである。
開示のインプラントは、舌に埋め込まれた場合、患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時の通常の呼吸中に舌が気道を塞がないようにするのに必要な最小閾値力と、それ以上では、会話、嚥下、及び呼吸等の気道及び舌の通常の機能にインプラントが悪影響を及ぼす最大変位閾値との間に有効治療手術範囲(effective therapeutic window of operation) を提供する。有効治療範囲は、上文中に説明した力及び変位に基づいて定められる。
開示のインプラントは、軟口蓋に埋め込まれた場合、患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時に軟口蓋が気道を塞がないようにするのに必要な最小閾値力と、それ以上では、会話、嚥下、及び呼吸等を含む、気道及び口の通常の機能にインプラントが悪影響を及ぼす最大変位閾値との間に有効治療手術範囲を提供する。この有効治療範囲は、上文中に説明した力及び変位に基づいて定められる。
〔舌内でインプラントが及ぼす力/運動方向〕
患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時に気道が塞がらないようにするため、開示の一つ又はそれ以上のインプラントを患者の舌で使用する場合、前記インプラントは、通常の呼吸中に気道を開放するのに十分な力を提供する。一つ又はそれ以上のインプラントは、患者の舌に所望の力及び偏向を加えるのに使用されてもよい。前記インプラントは、舌内又は舌と隣接して設置された一つ又はそれ以上の位置で使用されてもよく、これらのインプラントは、舌内又は舌と隣接した一つ又はそれ以上の位置に固定されてもよく、力及び/又は偏向を一つ又はそれ以上の方向に及び舌内又は舌と隣接した二つ又はそれ以上の位置間で加えてもよい。
前記インプラントは、OSAを生じる舌による気道の閉塞を緩和するように使用されてもよい。これには、一般的には、舌の後領域を変位すること及び/又は舌の後領域に力を加えて前記後領域を前方向に後咽頭壁から離すことが含まれ、これにより、通常の呼吸を維持できるように気道の開口部が閉鎖しないようにする。前記力及び/又は変位は、舌の後領域全体、舌の後領域の非常に限られた場所、舌の後領域の直線状影響領域(即ち、気道を開存状態にするチャンネルを形成するように、頭蓋側から下方に延びる直線状領域)、又はこれらの任意の組み合わせに影響を及ぼすように作用する。
一つの例示の実施例では、単一のインプラントを使用し、頭部が前方に向いた状態の直立した患者で見て、舌の後領域にほぼ水平方向前方に力を加える(図24参照)。別の例示の実施例では、単一のインプラントを使用し、頭部が前方に向いた状態の直立した患者で見て、舌の後領域に、水平方向に対して所定の傾斜角度で前方に力を加える(図25参照)。
本発明の別の実施例では、舌内で三つのインプラントを使用し、通常の呼吸中に空気の移動方向に延びる長さ方向開放領域を前記舌と咽頭後壁との間に形成するように、舌の後領域に力を加える。この実施例の三つのインプラントは異なる方向に作用を及ぼし、舌に作用する力及び変位を所望の通りに正味分配する(図26参照)。本発明の別の実施例では、舌内で四つのインプラントを使用し、舌に亘って分配された力を加える。これらのインプラントは、作用を様々な方向に及ぼし、舌に作用する力及び変位を所望の通りに正味分配する(図27参照)。
一つ以上のインプラントを使用する場合、これらのインプラントの組は、全て、互いに関して、及び周囲の解剖学的構造に対して任意の配向で配置される。これには、直線状配置、平行配置、平らな配列(これには三角形構造が含まれるがこれに限定されない)、立体的配列、又はこれらの構成の任意の組み合わせが含まれる。これらのインプラントは、任意の多数のインプラントを直線状に並べた状態で即ちマルチリニア(multi-linear)で接合されてもよく、直線状にならないように即ちノンリニア(non-linear)で接合されてもよく、又は多数のインプラントが直線状セグメントをなすように接合されてもよい。これらの一例を図28A、図28B、及び図28Cを参照して説明する。これらの図では、二つの直線状の弾性エレメント又はばねエレメント720A及び720Bを連結し、これらの二つの直線状エレメントの各々の一端のところで、組織に、共通の固定点725aを形成する。第1及び第2の直線状エレメントの他端は、組織に、追加の固定点725b及び725cを形成する。このようにして、固定点725b及び725cを共通の固定点725aの方向に引っ張り、双線型即ちバイリニア(bi-linear) インプラント構造を形成する。伸長によって、及びこのようにして、直線状エレメントで複雑なマルチリニア構造即ちネットワークを形成し、所望の臨床効果を達成してもよい。同様に、マルチリニア構成要素を形成する二つ又はそれ以上のインプラントを関連して使用し、所望の臨床効果を達成してもよい。別の態様では、製造プロセス中、接合された即ち関連した構造を形成するように弾性エレメント又はばねエレメントを形成してもよい。
〔軟口蓋内でインプラントが及ぼす力/運動方向〕
患者の睡眠時及び患者が完全に寛いでいる時に気道が塞がらないようにするために開示の一つ又はそれ以上のインプラントを患者の軟口蓋内で使用する場合、前記インプラントは、通常の呼吸中に気道を開放するのに十分な力を提供する。患者の軟口蓋に所望の力及び偏向を加えるため、一つ又はそれ以上のインプラントを使用してもよい。前記インプラントは、軟口蓋内の又は軟口蓋と隣接した一つ又はそれ以上の場所で使用されてもよく、軟口蓋内の又は軟口蓋と隣接した一つ又はそれ以上の場所に固定されてもよく、一つ又はそれ以上の方向に、及び軟口蓋内の又は軟口蓋と隣接した二つ又はそれ以上の場所の間で力及び/又は偏向を加えてもよい。
前記インプラントは、OSAを生じる軟口蓋による気道の閉塞を緩和する又はなくすように使用されてもよい。一般的には、これには、軟口蓋の後領域を変位すること、及び/又は前記後領域を前方向に引っ張って咽頭壁から離し、通常の呼吸中に気道を開放状態にする力を軟口蓋の後領域に加えることが含まれる。更に詳細には、前記軟口蓋内の前記インプラントは、軟口蓋を下方及び前方向に湾曲して前記気道の開放状態に影響を及ぼそうとするものである。前記力及び/又は変位は、軟口蓋の後領域全体に影響を及ぼしてもよく、軟口蓋の前領域の非常に限られた場所に影響を及ぼしてもよく、軟口蓋の後領域の直線状領域に影響を及ぼしてもよく、又はこれらの任意の組み合わせを行ってもよい。
一つの例示の実施例では、単一のインプラントを使用して軟口蓋の後領域に力を加えることにより、軟口蓋を湾曲し、軟口蓋を咽頭壁から離す。本発明の別の態様では、軟口蓋に力及び変位を加えて前記軟口蓋を湾曲することにより前記軟口蓋を咽頭壁から離すように変位するため、軟口蓋内で二つのインプラントを異なる角度で及び異なる場所で使用する。
図24乃至図37を参照して上文中に説明したOSAインプラントは、全体として直線的に差し向けられた力を気道インターフェース組織に加えるようになったインプラント本体及び方法を説明する。次に説明する他の実施例は、組織を変位するように形成された、又は力を非直線状ベクトルで加えるように形成されたインプラントに関する。これらのインプラントは、単独で、又は力を直線的に差し向ける上文中に説明したインプラントと組み合わせて使用できる。一実施例では、図38A及び図38Bは、固定端902a、902bを持つ弾性OSAインプラント900を示す。このインプラントは、静止状態で湾曲しており、湾曲した又は直線状の経路のいずれかで埋め込むことができ、例えば患者の舌に垂直配向で埋め込むことができる(図38A参照)。図38Bでは、舌の根元904が後方に変位すると、インプラントが直線状形態に向かって移動し、弾性インプラントが力を前方及び上方に加え、気道との干渉をなくすということがわかる。図38A及び図38Bのインプラントは、組織に固定するための任意の適当な端部、例えば組織プラグによって上文中に説明したように固定される一つ又はそれ以上の通穴が設けられた端部分を備えていてもよい。
図39は、患者の舌の水平平面に埋め込んだ図38A及び図38Bのインプラントと同様の湾曲したインプラント910を示す。かくして、インプラント910は組織を部分的に取り囲み、伸ばされたときに力を多くのベクトルで加え、舌を前方に気道から離すように移動する。図39のインプラントは、上文中に説明した湾曲した導入器を使用して埋め込むことができる。
図40A及び図40Bは、患者の舌内で静止状態で蛇行形状又はS字形状をなす別のインプラント920を示す。図40Bからわかるように、舌の根元904が後方に変位すると、インプラントが伸ばされ、弾性インプラントが力を前方に及び前記蛇行状態に向かって加え、舌の組織を圧縮し、気道との干渉をなくす。図41は、患者の舌内で静止状態で螺旋状形状の別のインプラント930を示す。このインプラント930は、図40A及び図40Bの蛇行インプラントとして機能し、患者の舌に圧縮力及び前方に差し向けられた力を加える。
図42は、ループ状インプラント即ち組織包囲インプラントを含む、別の種類のOSAインプラント940を示す。このインプラントは少なくとも一部が弾性材料で形成されており、舌の組織又は他の気道インターフェースを包囲する。このような包囲インプラント940は、以下に詳細に説明する導入器システムを使用して埋め込むことができる。インプラントの第1及び第2の端部分942a及び942bは、連結手段によって連結されている。連結手段には参照番号945が付してあり、クリップ、スナップ嵌め特徴、ピン、ラチェット、縫合糸、杭、クランプ、溶接部、融着可能材料、接着剤等であってもよい。
端部間部分は、長い曲線状軸線を備えていてもよく、内側部分は、軸線に沿った引張力に合わせて形成されていてもよい。このような包囲インプラントは、包囲した組織に内方に差し向けられた弾性力及び圧縮力を加えることができ、これにより組織を再構築し、組織の容積を小さくする。これと同時に、弾性包囲インプラントは、力を複数のベクトルで加え、インプラント及びこのインプラントと係合した包囲ループの外側の組織を、ターゲット部位でのその経路内でインプラント及びこのインプラントと係合した組織の静止状態の形状に向かって戻す。図42のインプラントは、力を組織にゆっくりと選択された期間に亘って加えることができるように、上文中に説明した生体分解性エレメントで形成されていてもよい。図42を更に参照すると、包囲インプラントは、第1及び第2のレッグをなして交差後部分948まで延びる前部分946を有し、第1(前)部分946は第1弾性を有し、第2(後)部分948は第2弾性を有する。一実施例では、インプラントの前部分946の弾性は後部分948よりも大きく、後部分948は、加えられた力を舌の所定の領域に亘って分配するようになっている。別の態様では、後領域は、一つ以上の弾性を備えていてもよい。
図43は、組織包囲インプラントが患者の舌に水平方向配向で配置されていることを除くと図42のインプラントと同様の包囲OSAインプラント950を示す。図42及び図43の包囲インプラント等の複数の包囲インプラントを患者に埋め込んでもよいということは理解されるべきである。
図44Aは、図42のOSAインプラント等の包囲型インプラントを埋め込むようになった導入器システム960を示す。導入器システム960は概略に示してあり、導入器システム960は、第1及び第2のトロカールエレメント962A及び962Bと、これらのトロカールを案内するように形成されたガイドブロック即ちガイド部材964とを含む。ガイドブロック964は、トロカールをガイドブロックから組織内に延ばすとき、トロカールを所定の方向に及び相対的角度で案内する。更に、システム960は、押し引きロッド即ち制御ロッド965A及び965Bを含む。これらのロッドは、トロカールエレメント962A及び962Bの夫々のボア内に摺動自在に収容されている。図44A及び図44Bでは、予め湾曲が付けてあり、尖ったチップ968を持つ解放自在の可撓性トンネルエレメント966が制御ロッド965Aに解放自在に連結されているということがわかる。トンネルエレメント966の遠位端には、通穴970又は他のグリップ特徴が形成されている。これにより、エレメント966を第2制御ロッド965Bに連結できる。トンネルエレメント966には湾曲が予め形成されており、トロカールエレメント962Aの遠位ポート972Aからトンネルエレメント966を前進するとき、エレメントが湾曲した経路を辿って他方のトロカールエレメント962Bの遠位ポート972Bに前進するように、形状記憶合金で形成されていてもよい。
図44Bは、使用方法における図44Aのシステムの作用端の概略断面図を示す。トロカールエレメント962A及び962Bの遠位部分は、ガイドブロック964からターゲット組織部位内に前進した状態で示してある。図44Bは、トロカールエレメント962A内の通路内の引っ込め位置(図示せず)から、ポート972Aの外側に延ばした第1位置まで移動したトンネルエレメントを示す。図42に示す種類の包囲インプラント940がトンネルエレメント966に解放自在に連結されていることがわかる。幾つかの実施例では、連結は、組織を通してトンネルエレメント及びインプラントを前進する際にインプラントを保持し、トンネルエレメントに設けられたフックによって行われる。フックは、トンネルエレメントの引っ込め時に開放される。別の実施例では、連結は、留め金によって、又は当業者によってよく理解されるその他のエレメントによって行われる。図44Cは、方法の次の工程を示す。この工程では、トンネルエレメント966の遠位端が反対側のトロカールエレメント962Bのポート972Bに入るまでロッド965Aを前進することによって、湾曲したトンネルエレメント966が更に延ばしてある。その後、制御ロッド965Bを近位方向に移動し、係合フック又は他の係合エレメント975をトンネルエレメント966の開口部970と係合する。
図44Dは、続いて行われる工程を示す。この工程では、制御ロッド965Bを近位方向に更に移動し、トンネルエレメント966が組織に形成した経路を通してOSAインプラント940を引っ張り、次いでトロカールエレメント962Bのポート972Bに入れる。図44Eは別の工程を示す。この工程では、インプラント940は、端部942a及び942bが向き合ったトロカールエレメント962A及び962B間を完全に橋渡しした状態で配置されており、医師は両トロカールエレメントを組織部位から引き出してインプラントを放出し、インプラントを周囲組織内の所定の場粗に残す準備を行うことができる。
次に図44F及び図44Gを参照すると、これらの図には、図44Eと関連した工程が、患者の舌への随意の顎下アクセスで概略に示してある。図44Fは、インプラント940が、図44Eに示すように、トロカール962A及び962B間を完全に橋渡しした状態を示す。図44Gは、トロカールエレメント962A及び962Bを抜き、インプラント940を所定の場所に残した状態を示す。図44Hは、方法の最終工程を示す。この工程では、インプラント940の第1及び第2の端部942a及び942bを上文中に説明した任意の取り付け手段945によって、又は線維組織によって互いに取り付け、これにより包囲インプラント945を形成する。一実施例では、インプラント端部を線維組織によって互いに取り付ける。線維組織は、インプラントに対する線維形成応答により互いに実質的に接触するように、インプラント端部を互いに十分に近接して配置することにより形成される。線維組織は、組織を通してトンネルを形成し(例えば、トロカール、又はスタイレット、又は他の手段を使用する)、インプラント端部間の隙間の幾分か又は全てを通してチャンネルを形成することにより形成される。チャンネルに対する治癒応答により線維形成応答が生じる。
図45は、ループ状インプラント即ち組織包囲インプラント980a乃至980hの様々な形状及び形態を示す。
図46は、固定として役立つように端部がオトガイ舌骨筋の周囲に固定的に連結されたループ状インプラント即ち組織包囲インプラント980aを示す。
図47は、二つのアンカー端部986a及び986bが、上文中に説明したように下顎987と隣接した前位置にある、U字形状又はV字形状のインプラント985を示す。このインプラントは、端部986が方法の最終工程で連結されないことを除き、図44A乃至図44Hに示すのと同じ方法で配置できる。
図48及び図49は、V字形状のレッグの遠位端に二つのアンカー部分902a及び902bが設けられたV字形状インプラント900を示す。図48は、水平配向のインプラント900を示し、図49は、垂直配向のインプラント900を示す。図50A乃至図50Cは、このようなV字形状インプラントを単一の投入点を通して埋め込むための装置及び方法を概略に示す。図50Aには、組織に挿入できる先が尖ったトロカールスリーブ910を持つトロカール905が開示されている。トロカールスリーブ910の通路912を通して、湾曲した第1及び第2のトンネラー(tunneler)915A及び915Bを組織内に延ばし、図49に示すV字形状インプラント等のV字形状インプラントのレッグを受け入れるポケットを形成する。トンネラーは弾性の湾曲した端部を備えていてもよい。トンネラーは形状記憶合金で形成されていてもよい。トンネラー915A及び915Bは、U字形状の横断面形状を備えており、長さ方向スロットによりインプラントの放出及び展開を行うことができるということは理解されよう。図50Bは、近位方向に引き出したトンネラー915A及び915Bを示す。スタイレット920A及び920Bが、端部902a及び902bを掴むことによって、インプラント900をターゲット位置に維持する。
図50Cは、最終的な展開位置のV字形状インプラント900を示す。インプラント端部902a及び902bは、上文中に説明したように、組織プラグによって組織に固定される。
図51は、オトガイ舌骨筋982の周囲に固定した、図50A乃至図50CのV字形状インプラント900を示す。
図52は、組織が通って成長する通穴936が設けられた固定端935まで延びる直線状インプラント部分930に取り付け手段928が連結された、上文中に説明した特徴の組み合わせを備えた変形例のOSAインプラント920を示す。包囲部分925は、オトガイ舌骨筋982を包囲する。
次いで、図53A-図53Bを参照すると、他のOSAインプラント1000及び1005が示されている。各インプラント本体は、非睡眠インターバル中に通常の生理的機能を可能にし、睡眠インターバル中に気道閉塞を緩和するのに十分な引っ込め力をインプラント軸線1008に沿って印加することができる弾性部分を含む。さらに詳しくは、図53Aに示されているインプラントは、軸線1008を中心にして延びる第1アンカー端部1010a及び第2アンカー端部1010bを有し、第1アンカー端部1010aと第2アンカー端部1010bの間には内側部分1115がある。第1アンカー端部1010a及び第2アンカー端部1010b並びに内側部分1115は、シリコーン等の適当な生物適合性エラストマーでできているのがよい。さらに、第1アンカー端部1010a及び第2アンカー端部1010bは、組織内に固定されるように構成されており、それ故、前に説明したように開口1118、或いは他の組織内成長特徴を有している。前に説明したように、内側部分1115は、端部1010a及び1010b内への初期内成長期間中伸張された状態に解放可能に維持されるのがよい。特に関心があることには、端部1010a及び1010bは、可撓性ではあるが、軸線方向に非伸張性すなわち非弾性である。端部1010a及び1010bの非弾性特徴は、軸線方向力がアンカー端部の長さを変えないので、組織内成長がより効果的に起こることを可能にする。さらに、インプラントが、引っ込め力を印加するのに使用された後、各アンカー端部1010a及び1010bは、アンカー端部が軸線方向に弾性であったとしたならば印加されるかもしれないより大きな力が内側弾性部分1115により近い組織に印加されることなく、端部の長さに沿って組織に係合する。弾性アンカー端部特徴は、たとえ非常に小さいものであっても、時間が経つにつれて望ましくない組織再構築に仕する恐れがある、したがって、本開示の幾つかの実施例によれば、わずかな軸線方向弾性すら見せないアンカー端部を有するインプラントが提供される。
図54を参照すると、OSAインプラントのアンカー端部1010aが、該アンカー端部1010aに埋め込まれた非伸張性の補強用フィラメント又はエレメント1022によって軸線方向に非弾性に作られているのがわかる。かかるフィラメント1022は、非弾性の、可撓性ポリマー(例えば、ケブラー(登録商標)又はポリエステル)、金属ワイヤ(例えば、ステンレス鋼、NiTi)、炭素繊維等であるのがよい。フィラメント1022は、実質的に線形エレメントであるのがよく、或いは、当業者では知られているような編まれた、織られた、織られていない、又は編組された構造であるのがよい。別の実施例では、アンカー端部は、補強用フィラメント又はエレメントを付加することなく非伸張性材料でできていてもよい。図54から理解できるように、端部1010aは、このように軸線方向に非弾性ではあるが、軸線1008に対して可撓性であり、かつ捩り可能である。
図53Aおよび図53Bはさらに、固定部の軸線方向長さAL(ないしAL’)が、内側部分の軸線方向長さML(ないしML’)、かくして、全体のインプラント長さに対して、インプラントに印加される所望の量の軸線方向引っ込め力に依存する選択された関係を有するのがよいことを示している。例えば、図53Aでは、1つの実施例では、各アンカー端部の長さALは、3.0ニュートンの引っ込め力を印加するように構成された内側部分1115を有するインプラントの全体長さの15%であるのがよい。図53Bは、各アンカー端部の長さAL’がインプラントの全体長さの35%であるのがよく、長さML’を有する内側部分1115がなお3.0ニュートンの引っ込め力を印加するように構成されるのがよい別の実施例を示している。この実施例では、時間が経つにつれて組織再構築の可能性を減少させるであろう固定長さの増大の故に、図53Bの設計が好ましい。
図55は、アンカー端部1010a及び1010bの各々が、特定の組織部位、例えば、舌の基部に近い組織および下顎骨に近い組織に適した軸線方向長さAL’を有する患者の舌に移植される図53Aおよび図53Bに示した型式の単一のインプラント1005を示している。これらの端部長さは、同じであっても、異なっていてもよく、図56に概略的に示されているように、多数のインプラントを使用してもよい。例えば、図56の多数のインプラントは、集合的に引っ込め力を印加することができ、1つのインプラントの代わりに、所望の力を、個々のインプラント1005が印加する力がより小さくて印加するのに使用することができ、それによって、1つのアンカー端部に印加される再構築力を減少させることができる。
一般的には、閉塞型気道疾患を治療するための本発明によるインプラントは、軸線を有し、気道インターフェース組織に移植されるように構成された細長いインプラント本体を含み、前記インプラント本体は、第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、前記内側部分は、軸線方向に服従性であり、前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に非服従性である。第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、内部で又は貫通して組織成長できるように構成されており、さらに、非睡眠中および睡眠中に通常の生理的機能を可能にする。インプラント端部は、埋め込まれた非伸張性構造をもつエラストマーでできている。インプラント端部は、非等方性弾性を有するのがよい。内側部分1115は、エラストマー、又は埋め込まれたらせんばねエレメントを備えエラストマーでできているのがよい。内側部分は、等方性弾性を有するのがよい。インプラントは、喉頭蓋、軟口蓋、喉頭壁、及び舌組織に移植されるように構成されるのがよい。
1つの実施例では、インプラントは、第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、各アンカー端部は、静止状態においてインプラントの全体長さの少なくとも20%、25%、30%、35%、又は40%の軸線長さを有する。インプラント端部は、少なくとも4mm、6mm、8mm、10mm、又は12mmの軸線方向長さを有するのがよい。
別の実施例では、インプラントは、第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、内側部分は、インプラント内側部分は、弾性であり、インプラントの全体長さの少なくとも40%、50%、60%、又は70%の軸線方向長さを有する。
幾つかの実施例(図示せず)では、1つ又はそれ以上の軸線方向に非服従性のアンカー端部は各々、単一のループ材料を含むのがよい。単一のループは、組織が貫通して成長できるように寸法決めされ、構成された孔を備えるのがよい。図54に示されているような非伸張性の補強用フィラメント又はエレメントが、ループの周囲のまわりに延びているのがよい。
一般的には、気道疾患を治療するための方法が、患者の舌にインプラントを移植する工程を含み、インプラントは、組織に取り付けられる第1アンカー端部及び第2アンカー端部と、第1アンカー端部と第2アンカー端部の間の張力がかけられた内側部分とを含み、内側部分は、20kPa以下、15kPa以下、10kPa以下、5kPa以下の圧力を加えるように構成されている。
一般的には、気道疾患を治療するための方法が、気道インターフェース組織内にインプラント本体を移植する工程を含み、インプラント本体は、部位の生理的機能と適合する仕方で形成され、組織に選択された力を印加するように寸法及び形状決めされており、インプラントは、電磁的問合せを受け入れ、前記部位の生理的機能中にインプラント本体の作動パラメータに応答するように構成されている。
添付図面に示すインプラントの実施例は、患者の舌、口蓋、又は気道インターフェース組織の他の部位と適合する大きさ及び形状を備えていてもよく、当該部位の通常の生理的機能に適合する配向及び方法で配置されてもよい。全体の寸法は、人間の患者の解剖学的寸法のばらつきに従って変化してもよく、及びかくして本明細書中で言及した寸法は、単に例示のための概算値であり、限定を意図したものではない。任意の実施例において、伸ばした状態での長さは、代表的には、約2cm乃至約10cmの範囲内にあり、これは解放自在に伸ばした状態であり、インプラントの収縮状態での長さは、約1cm乃至約6cmの範囲内にある。試験によれば、これらの長さを使用するのが有利である。
特段の記載がなされていないけれども、本明細書中で使用した全ての技術用語の意味は、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解するのと同じである。本明細書中、特定の方法、デバイス、及び材料を説明したが、本発明を実施するに当たり、本明細書中に記載したのと同様の又は同等の任意の方法及び材料を使用してもよい。本発明のデバイス及び方法の実施例を幾分詳細に及び例示として説明したが、こうした例示は単に明瞭に理解することを目的としたものであって、限定を意図したものではない。
本明細書中、本発明の理解を図るために様々な用語を使用したが、これらの様々な用語の意味には、その共通の言語学的又は文法的変化が含まれるということは理解されよう。
更に、デバイス又は機器と関連した用語には、商標、ブランド名、又は共通名が含まれるということは理解されよう。これらは現在の例として提供されたものであって、本発明はこうした文字列によって限定されない。現在の用語によって表される対象のサブセットの現在の用語又は表示の派生語として無理なく理解される、後日導入された用語は、現在の用語によって説明されたものであると理解される。
本発明の理解を促すため、幾つかの理論的考慮を行ったが、特許請求の範囲はこのような理論によって括られるものではない。本明細書中、本発明の実施例と気道の解剖学的及び生理的構造との関わり方、一般的には睡眠中に気道を開放することを説明した。理論的には、デバイスを埋め込む実施例が、気道をこのように開放することによって、無呼吸発作の発生を緩和するものと考えられる。更に、本発明の任意の実施例の任意の一つ又はそれ以上の特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の他の実施例の任意の一つ又はそれ以上の特徴と組み合わせてもよい。更に、本発明の方法及びデバイスを、気道の表面組織に介入することによって気道に対して治療上の利点を提供するものとして説明したが、このようなデバイス及び実施例は、体内の他の部位、特に管腔部位の治療に適用してもよいということは理解されるべきである。更に、本発明は、例示の目的で説明した実施例に限定されず、各エレメントの等価性の全範囲を含む本願に添付の特許請求の範囲のみによって限定されるということは理解されるべきである。
100A インプラント本体
106A、106B 通穴
105A、105B 端部分
110、1115 内側部分
111 軸線
112 組織プラグ
120 組織部位
1010a 第1アンカー端部
1010b 第2アンカー端部

Claims (21)

  1. 閉塞型気道疾患を治療するためのインプラントであって、
    軸線を有し、気道インターフェース組織に移植されるように構成された細長いインプラント本体を含むインプラントにおいて、
    前記インプラント本体は、第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、
    前記内側部分は、軸線方向に服従性であり、前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に非服従性である、インプラント。
  2. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、内部で又は貫通して組織成長できるように構成されており、さらに、非睡眠中および睡眠中に通常の生理的機能を可能にする、インプラント。
  3. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、埋め込まれた非伸張性構造をもつエラストマーでできている、インプラント。
  4. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に伸張することなく曲げ及び/又は捩り可能に構成されている、インプラント。
  5. 請求項4に記載のインプラントにおいて、
    前記非伸張性構造は、少なくとも1つのポリマーフィラメントを含む、インプラント。
  6. 請求項4に記載のインプラントにおいて、
    前記非伸張性構造は、少なくとも1つの金属フィラメントを含む、インプラント。
  7. 請求項4に記載のインプラントにおいて、
    前記非伸張性構造は、編組された、織られた、又は編まれたフィラメントを含む、インプラント。
  8. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、組織が貫通成長するための少なくとも1つの開口を含む、インプラント。
  9. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記内側部分は、エラストマーでできている、インプラント。
  10. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記内側部分は、ばねエレメントでできている、インプラント。
  11. 請求項1に記載のインプラントにおいて、
    前記内側部分は、非睡眠中に通常の生理的機能を可能にするように構成されており、さらに、睡眠中に気道閉塞を緩和するように構成されている、インプラント。
  12. 閉塞型気道疾患を治療するためのインプラントであって、
    軸線を有し、気道インターフェース組織に移植されるように構成された細長いインプラント本体を含むインプラントにおいて、
    前記インプラント本体は、第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、
    前記内側部分は、等方性モジュラスを有し、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、非等方性モジュラスを有する、インプラント。
  13. 請求項12に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、埋め込まれた非伸張性構造をもつエラストマーでできている、インプラント。
  14. 閉塞型気道疾患を治療するためのインプラントであって、
    軸線を有し、気道インターフェース組織に移植されるように構成された細長いインプラント本体を含むインプラントにおいて、
    前記インプラント本体は、組織内に固定されるように構成された第1アンカー端部と第2アンカー端部との間で延びる内側部分を有し、
    前記各アンカー端部は、インプラントの全体長さの少なくとも15%の軸線長さを有する、インプラント。
  15. 請求項14に記載のインプラントにおいて、
    気道インターフェース組織は、喉頭蓋、軟口蓋、喉頭壁、及び舌組織を含む、インプラント。
  16. 請求項14に記載のインプラントにおいて、
    前記各アンカー端部は、静止状態においてインプラントの全体長さの少なくとも20%、25%、30%、35%、又は40%の軸線長さを有する、インプラント。
  17. 請求項14に記載のインプラントにおいて、
    前記各アンカー端部は、少なくとも4mm、6mm、8mm、10mm、又は12mmの軸線方向長さである、インプラント。
  18. 請求項14に記載のインプラントにおいて、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に非伸張性である、インプラント。
  19. 請求項14に記載のインプラントにおいて、
    前記内側部分は、軸線方向に伸張性である、インプラント。
  20. 請求項19に記載のインプラントにおいて、
    前記内側部分は、非睡眠中に通常の生理的機能を可能にするように構成されており、さらに、睡眠中に気道閉塞を緩和するように構成されている、インプラント。
  21. 気道疾患を治療するための方法において、
    気道インターフェース組織に、第1アンカー端部及び第2アンカー端部を有する軸線方向に延びるインプラントを移植し、
    前記第1アンカー端部及び第2アンカー端部は、軸線方向に非伸張性であり、
    内側インプラント部分が、伸張性であり、非睡眠中に通常の生理的機能を可能にするように構成されており、さらに、睡眠中に気道閉塞を緩和するように構成されている、方法。
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