JP2014229359A - 色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感型太陽電池の設計方法、ならびに色素増感型太陽電池の製造方法。 - Google Patents

色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感型太陽電池の設計方法、ならびに色素増感型太陽電池の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】低照度下で光電変換効率が高い色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感電池用固体電解質の設計方法、並びに色素増感型太陽電池の製造方法の提供を主目的とする。【解決手段】電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池であって、上記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0?10−6F以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、低照度下における光電変換効率が高い色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感型太陽電池の設計方法、ならびに上記設計方法を用いた色素増感型太陽電池の製造方法に関する。
近年、二酸化炭素の増加が原因とされる地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が進められている。中でも環境に対する負荷が小さく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池に関する積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、および化合物半導体太陽電池などが既に実用化されているが、これらの太陽電池は製造コストが高い等の問題がある。そこで、環境負荷が小さく、かつ製造コストを削減できる太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され、研究開発が進められている。
色素増感型太陽電池の一般的な構成としては、基板上に電極を有する2枚の導電性基板が封止部材を介して対向し、上記導電性基板の対向領域内に色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層および電解質層が上記封止部材の内側に形成された構成を有するものである。上述の構成を有する色素増感型太陽電池は、一方の導電性基板の基板側から太陽光を受光することにより、多孔質層における金属酸化物半導体微粒子の表面に吸着した色素増感剤が励起され、励起された電子(負電荷)が導電性基板上の電極へ伝導し、外部回路を通じて対向する他方の導電性基板へ伝導される。その後、酸化還元対を介して色素増感剤の基底準位に電子が戻ることにより発電するものである。
このとき、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する能力、すなわち、光電変換効率が高い程、色素増感型太陽電池として優れた電池特性を有することできる。
上述の構成から成る色素増感型太陽電池においては、上記電解質層として液状の電解質、中でもヨウ素またはヨウ化物イオン等のヨウ素類を含有する電解液が一般的に使用されている。しかし、封止部材を用いて上記電解質層を封止したとしても、電解液が液漏れや揮発等により枯渇し、光電変換効率が著しく低下するという問題があった。また、ヨウ素類を含有する電解液を用いる場合、ヨウ素類が封止部材等の周辺部材を腐食させてしまうことから、耐腐食性に優れた高価な周辺部材等を用いる必要があり、製造コストが高くなるといった問題があった。
そこで、上記問題に対し、電解液の代わりに固体電解質を用いた電解質層を有する色素増感型太陽電池の検討が進められており(特許文献1参照)、中でも、ヨウ素類を含まない中性の導電性有機物から成る固体電解質を用いた固体電解質層(以下、非ヨウ素系固体電解質層とする場合がある。)を有する色素増感型太陽電池の開発が検討されている。
電解質層を固体とすることにより、電解質の液漏れや揮発等が生じないことから、電解質の枯渇による光電変換効率の低下が生じにくいという利点を有する。また、上記固体電解質層は導電性基板上等に直接積層させることができるため、封止部材を設けて一対の導電性基板を隔離する必要がない。このため、色素増感型太陽電池の軽量化および製造コストの低減を図ることも可能である。
さらに、非ヨウ素系固体電解質層とすることにより、ヨウ素類による周辺部材等の腐食が生じないため、耐腐食性に優れた高価な周辺部材等を用いる必要がなく製造コストが抑えられるとともに、色素増感型太陽電池の耐久性の向上を図ることが可能となる。
特開2005−44697号公報
ところで、上述の様な固体電解質層を有する色素増感型太陽電池は、主に屋外での使用が想定され、数万lx〜数十万lx程度の高照度下において高い電池特性を有することが求められている。例えば、特許文献1では、固体電解質層を有する色素増感型太陽電池において、高電流密度で動作することになる高照度の光に対する光電変換効率が、主に固体電解質層の抵抗に支配されることを特定し、交流インピーダンス法により測定される固体電解質層の抵抗を所定値以下に規定することで、高照度下における光電変換効率の向上を可能としている。
一方で、上述の色素増感型太陽電池は、数lx〜数百lxの低照度の光に対して、他種の太陽電池よりも比較的高い光電変換効率を示すことが可能であるという利点を有する。そのため、近年では、屋内用途として、低照度の光を利用して発電する色素増感型太陽電池の開発が進められている。
しかし、上述したように、従来の色素増感型太陽電池は高照度の光を利用した発電を想定したものであり、高照度下では高い光電変換効率を示すことが可能であるのに対し、低照度下では高照度下と同等レベルの光電変換効率を示すことが困難である。そのため、従来の色素増感型太陽電池を屋内用途として転用しても、所望の電池特性が得られないという問題がある。
また、特許文献1で開示されるように、色素増感型太陽電池の固体電解質層の抵抗を規定しても、低照度下においては光電変換効率の向上が図れないという問題がある。すなわち、光電変換効率を支配する要因は照度の高低により異なるものと推量され、低照度下の光電変換効率を支配する要因については、特定に至る検討がなされていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低照度下における光電変換効率が高い色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感型太陽電池の設計方法、ならびに上記設計方法を用いた色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記実情に鑑みて鋭意研究を行った結果、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含む固体電解質層、すなわち、非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池において、低電流密度で動作することになる低照度の光に対する光電変換効率が、上記非ヨウ素系固体電解質層のバルクの静電容量(以下、単に「静電容量」と略する場合がある。)に支配されることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池であって、上記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池を提供する。
本発明によれば、ヨウ素を含まない中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層を有し、上述の測定方法により特定される上記固体電解質層の静電容量を所定の範囲内とすることにより、色素増感型太陽電池の低照度下における光電変換効率を向上させることができる。
上記発明においては、上記中性の導電性有機物がspiro−MeOTADであることが好ましい。
また、上記発明においては、上記イオン化添加剤がLiイオンを含むものであることが好ましい。Liイオンにより中性の導電性有機物をイオン化させて導電性を向上させることができ、また、上記固体電解質層と多孔質層とが混在する領域に含まれる金属酸化物半導体微粒子のコンダクションバンドがLiイオンによりシフトされ、上記領域の界面が改質されることで光電変換効率を向上させることができるからである。
また、本発明は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池が複数個連結された色素増感型太陽電池モジュールであって、上記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池モジュールを提供する。
本発明によれば、ヨウ素を含まない中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層を有し、上述の測定方法により特定される上記固体電解質層の静電容量を所定の範囲内とすることにより、低照度下において高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池モジュールとすることができる。
上記発明においては、上記中性の導電性有機物がspiro−MeOTADであることが好ましい。
また、上記発明においては、上記イオン化添加剤がLiイオンを含むものであることが好ましい。Liイオンにより中性の導電性有機物をイオン化させて導電性を向上させることができ、また、上記固体電解質層と多孔質層とが混在する領域に含まれる金属酸化物半導体微粒子のコンダクションバンドがLiイオンによりシフトされ、上記領域の界面が改質されることで光電変換効率を向上させることができるからである。
また、本発明は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の設計方法であって、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、上記中性の導電性有機物および上記イオン化添加剤の含有量を調整して上記固体電解質層の処方を決定することを特徴とする色素増感型太陽電池の設計方法を提供する。
本発明によれば、想定される使用環境下での照度領域(照度範囲と称する場合がある。)において光電変換効率が最大となるように、中性の導電性有機物の含有量および添加するイオン化添加剤の量を調整して固体電解質層の処方を決定することにより、照度範囲に応じて高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を設計することができる。
また、本発明は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、上記中性の導電性有機物および上記イオン化添加剤の含有量を調整して上記固体電解質層の処方を決定する設計方法に基づいて行う処方決定工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、想定される使用環境下での照度領域において光電変換効率が最大となるように、中性の導電性有機物の含有量および添加するイオン化添加剤の量を調整して固体電解質層の処方を決定する処方決定工程を有することにより、照度範囲に応じて高い光電変換効率を示すことが可能な色素増感型太陽電池を製造することができる。
本発明によれば、固体電解質層が中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を有し、交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングしたときに、コールコールプロットにおける円弧の頂点が特定の周波数域にあるときの上記固体電解質層の静電容量を所定の範囲内とすることにより、数lx〜数百lx程度の低照度下において高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池とすることができるという効果を奏する。
本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。 非ヨウ素系固体電解質層におけるイオン化添加剤の含有量(イオン濃度)、静電容量および抵抗の関係を説明するための相関図である。 非ヨウ素系固体電解質層の静電容量と光電変換効率との関係を説明するための相関図である。 本発明の色素増感型太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。 色素増感型太陽電池における、照度ごとの光電変換効率の推移を静電容量別に示した説明図である。 実施例および比較例についての照度200lx相当下における光電変換効率とイオン化添加剤のイオン濃度との関係を示す相関図である。
以下、本発明の色素増感型太陽電池、色素増感型太陽電池モジュール、および色素増感型太陽電池の設計方法、ならびに上記設計方法を用いた色素増感型太陽電池の製造方法に関する。
なお、以下の説明において、「中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層」を「非ヨウ素系固体電解質層」と称する場合がある。
A.色素増感型太陽電池
まず、本発明の色素増感型太陽電池について説明する。本発明の色素増感型太陽電池は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池であって、上記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。本発明の色素増感型太陽電池10は、電極としての機能を備えた導電性基板1と、バッファ層2と、色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層3と、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層4と、金属電極膜5とがこの順で積層されたものである。なお、上記固体電解質層4は、一部が上記多孔質層3に浸透した領域A(以下、混在領域と称する場合がある。)を有する。
また、固体電解質4は、交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とするものである。
固体電解質層を有する色素増感型太陽電池においては、一般的に数万lx〜数十万lx程度の高照度の光を利用して発電することが想定され、高照度下において高い光電変換効率を有することが求められている。例えば、特許文献1では、高照度下における色素増感型太陽電池の光電変換効率の向上を図る方法として、上記色素増感型太陽電池の高照度の光に対する光電変換効率が主に固体電解質層の抵抗に支配されることから、交流インピーダンス法により測定される抵抗を所定値以下に規定することにより、高照度下における光電変換効率を向上させる方法が開示されている。
しかし、本発明者は、数lx〜数百lx程度の低照度の光の利用を目的とする色素増感型太陽電池においては、固体電解質層の抵抗を調整しても低照度下における光電変換効率の向上が図れないという知見を得る共に、照度の高低および照度領域によって色素増感型太陽電池の光電変換効率を支配する要因が異なることを見出した。
そこで、本発明者は、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含む固体電解質層、すなわち非ヨウ素系固体電解質層を用い、上記非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池において光電変換効率を支配する要因について研究を重ねた結果、低照度下における光電変換効率は、上記非ヨウ素系固体電解質層のバルクの静電容量に支配され、上記静電容量が大きいと色素増感型太陽電池は高い光電変換効率が得られないことを特定した。
以下、低照度下における光電変換効率が非ヨウ素系固体電解質層の静電容量に支配される理由について、上記非ヨウ素系固体電解質層の特徴等と併せて説明する。
まず、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含む固体電解質層(非ヨウ素系固体電解質層)内における静電容量と抵抗との関係について説明する。
図2は、非ヨウ素系固体電解質層におけるイオン化添加剤の含有量(イオン濃度)、静電容量および抵抗の関係を説明するための相関図である。なお、実線Aはイオン化添加剤の含有量(イオン濃度)に対する静電容量、破線Bはイオン化添加剤の含有量(イオン濃度)に対する抵抗を示す。
非ヨウ素系固体電解質層では、中性の導電性有機物にイオン化添加剤を添加して当該導電性有機物をイオン化することにより、導電性を発揮することができる。このとき、含有されるイオン化添加剤の量を決定することにより、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量および抵抗が固定される。すなわち、イオン化添加剤の量が多いと、静電容量が大きく、導電性が高くなるため抵抗の小さい非ヨウ素系固体電解質層になるという傾向を有する。一方、イオン化添加剤の量が少ないと、静電容量が小さく、また、中性の導電性有機物はイオン化されず導電性を有さないため抵抗の大きい非ヨウ素系固体電解質層になるという傾向を有する。
なお、図2より、イオン化添加剤の含有量(イオン濃度)と、上記非ヨウ素系固体電解質層の静電容量とは略比例の関係を有すると解される。
また、色素増感型太陽電池においては、太陽光の照射により負電荷を発生するが、負電荷量は照射光の照度の大きさに相当することから、照度値を負電荷の相対数に換算することができる。例えば、数lx〜数百lx程度の低照度では、相対値で数〜数百程度の負電荷が発生し、数万lx〜数十万lx程度の高照度では、相対値で数万〜数十万程度の負電荷が発生すると想定することができる。
ここで、非ヨウ素系固体電解質層に含有されるイオン化添加剤は正の電荷を帯びることから、発生した負電荷はイオン化添加剤と結合することで失活する場合がある。発生する総負電荷量に対して失活する負電荷量の割合が多くなると、色素増感型太陽電池の出力電流量の低下に繋がり、高い電池特性が得られない。
上述した非ヨウ素系固体電解質層の特徴等を元に、色素増感型太陽電池の光電変換効率を支配する要因について、高照度下と低照度下とに分けて説明する。
まず、高照度下で色素増感型太陽電池を使用する場合、光照射により相対値で数万〜数十万単位の大量の負電荷が発生する。このとき、出力電流量を多く得るためには、大量の負電荷が層内を移動しやすいこと、すなわち、非ヨウ素系固体電解質層の抵抗が小さいことが求められる。このことから、高照度下においては、非ヨウ素系固体電解質層の抵抗の大小が、色素増感型太陽電池の光電変換効率に大きく影響すると推量される。
なお、上述したように抵抗の小さい非ヨウ素系固体電解質層においては、静電容量が大きくイオン化添加剤の含有量も多いため、負電荷の失活量が増加することも想定される。しかし、大量の負電荷が発生することから、総負電荷量に対する失活量の割合は非常に小さいことから、高照度下においては負電荷の失活による出力電流量への影響は殆どないものと言える。
一方、低照度下で色素増感型太陽電池を使用する場合、光照射により発生する負電荷量は相対値で数〜数百単位であり、高照度下での発生量と比較して微量である。このとき、例えば、静電容量の大きい非ヨウ素系固体電解質層内においては、多量のイオン化添加剤が存在するため多くの負電荷が失活してしまい、総負電荷量に対する失活量の割合が増大することで、色素増感型太陽電池の出力電流量が著しく減少してしまうと想定される。そのため、負電荷の失活量を抑えるためには、非ヨウ素系固体電解質層内の静電容量が小さいこと、すなわち、イオン化添加剤の含有量が少ないことが求められる。
このことから、低照度下においては、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量の大小が色素増感型太陽電池の光電変換効率に大きく影響すると推量される。
つまり、図2で例示される非ヨウ素系固体電解質層において、イオン化添加剤の添加量(イオン濃度)が大きいほど、高照度用途の色素増感型太陽電池に好適であり、図2においてイオン化添加剤の添加量(イオン濃度)が小さいほど、低照度用途の色素増感型太陽電池に好適であると推量される。
本発明者は、上述の理由から低照度下においては色素増感型太陽電池の光電変換効率が、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量により支配されることを見出し、上記静電容量を所定の範囲内に規定することにより、低照度下においても高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池とすることを可能とした。すなわち、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層を用い、交流インピーダンスの測定を行い、その結果を等価回路にフィッティングしたときに、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの上記固体電解質層の静電容量を3.0×10−6F以下とすることにより、本発明を完成するに至った。
本発明における固体電解質層の静電容量は、交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングしたときに、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの値をいう。具体的には、以下の方法により測定される。
まず、東陽テクニカ製インピーダンス測定装置(Solartron SI1260およびSI1287)を用いた通常測定により色素増感型太陽電池のコールコールプロット図を作成する。次に、専用ソフトZ-plotを使用して等価回路フィッティングを実施する。標準的な等価回路としては、1つの直列抵抗Rと3つのRC要素を直列接続した等価回路を使用する。フィッティングの合致度が低い場合には、RC要素を適宜追加することもできる。
次に、等価回路を構成するRC要素の中で、コールコールプロットで描画した際の円弧の頂点座標における周波数が5kHzから10kHzの範囲内となるRC要素を特定し、このRC要素の静電容量を本発明における固体電解質層の静電容量とする。
図3は、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量と照度200lx相当下における光電変換効率との関係を説明するための相関図である。図3で例示されるように、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量が小さい程、照度200lx相当下における光電変換効率は上昇する傾向を有する。なお、図3中の矢印で示される部分は、非ヨウ素系固体電解質層内にイオン化添加剤を含まない場合である。このとき非ヨウ素系固体電解質層の静電容量は最も小さくなるが、中性の導電性有機物のイオン化が起こらず非ヨウ素系固体電解質層が導電性を有さないこととなる。つまり、非ヨウ素系固体電解質層内において電荷が移動できないため抵抗が高くなり、結果として高い光電変換効率が得られないと推量される。
このように、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量と低照度下における光電変換効率とは、図3で示される相関関係を有することから、本発明における固体電解質については、上述の測定方法に基づく静電容量を3.0×10−6F以下とすることが好ましく、中でも2.0× 10−8F〜7.0×10−7Fの範囲内が好ましく、特に5.0×10−8F〜5.0×10−7Fの範囲内とすることが好ましい。静電容量を上記範囲内とすることにより、200lx相当の低照度下において、色素増感型太陽電池が高い光電変換効率を有することができる。なお、静電容量の下限値としては、9.0×10−9F以上であることが好ましい。
なお、本発明における固体電解質層の静電容量は、多孔質層に浸漬した領域を含めた、上記固体電解質層の静電容量の平均をいう。
本発明の色素増感型太陽電池は、固体電解質層、多孔質層、導電性基板および金属電極膜を少なくとも有するものである。
以下、各構成について詳細に説明する。
1.固体電解質層
本発明における固体電解質層は、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有するものである。すなわち、上記固体電解質層は非ヨウ素系である。また、本発明における固体電解質層は、交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする。
(1)導電性有機物
導電性有機物は、ヨウ素を含まず、中性で導電性を有するものであれば低分子でもよく、高分子でもよいが、低分子であることが好ましい。導電性有機物として、アミン骨格を有する導電性低分子有機物、チオフェンもしくはその誘導体、あるいはアニリン若しくはその誘導体の重合反応による導電性高分子有機物等が挙げられる。
アミン骨格を有する導電性低分子有機物としては、例えば、トリス−ビフェニル−4−イル−アミンに代表される芳香族アミン誘導体、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミンに代表されるトリアリールジアミン類、4,4´,4´´−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)に代表される中心にトリフェニルアミン骨格を有したスターバースト型のトリアリールアミン類、1,3,5−トリス(N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ)ベンゼン(p-DPA-TDAB)に代表される中心にベンゼン骨格を有したスターバースト型のトリアリールアミン類、2,2´,7,7´−テトラキス(N,N´−ジ(4−メトキシフェニル)アミン)−9,9´−スピロビフルオレン(spiro-MeOTAD)に代表される中心にスピロ骨格を有するトリアリールアミン類の化合物等が挙げられる。
また、重合体の代表例としては3,4−エチレンジオキシチオフェンやn−ヘキシルチオフェンを反応して得られる重合体などが挙げられ、重合体の繰り返し単位に対応するモノマーは重合の前に、二量体或いは三量体等の多量体化したもの(オリゴマー化した化合物)を用いても良い。この場合、二量体等の多量体を用いることにより、モノマーを用いる場合に比し、重合体形成時の酸化電位が小さくなり、重合体の合成速度が短縮されて好ましい。
また、上述した導電性低分子有機物を高分子鎖に導入したもの、またはこれらの材料を高分子の主鎖としたものを用いることもできる。
中でも、本発明においては、中性の導電性有機物として、スピロ骨格を有するトリアリールアミン類が好ましく、特に、2,2´,7,7´−テトラキス(N,N´−ジ(4−メトキシフェニル)アミン)−9,9´−スピロビフルオレン(spiro-MeOTAD)を用いることが好ましい。
(2)イオン化添加剤
本発明におけるイオン化添加剤としては、上述した導電性有機物をイオン化することが可能なものあればよく、例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属イオン、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属イオンを含むもの等が挙げられる。
中でも、上記イオン化添加剤が、Liイオンを含むものであることが好ましい。イオン化添加剤に含有されるLiイオンは、中性の導電性有機物をイオン化させて導電性を向上させることが可能である。また、本発明における固体電解質層の一部は、多孔質層に浸漬した混在領域を有するが、イオン化添加剤としてLiイオンを含むことにより、金属酸化物半導体微粒子のコンダクションバンドがシフトされ、上記混在領域の界面が改質され光電変換効率を向上させることが可能となる。
Liイオンを含むイオン化添加剤としては、例えば、リチウムジフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、(4,4,4−トリフルオロブチル酸オキサラト)ホウ酸リチウム(LiTFOB)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(Li(CSON)、リチウムトリフラート(LiCFSO)、リチウムテトラフルオロアルミナート(LiAlF)、チオシアン酸リチウム(LiSCN)、リチウムテトラシアノボレート(LiTCB)、等のリチウム塩が挙げられる。
中でも、本発明においてはリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)が好ましい。TFSI基は、カチオンイオンとの配位力が低いために、イオン化添加剤の添加によりイオン化された導電性有機物のカチオンが、イオン化添加剤のカウンターイオン(TFSI基)により中和されることで導電性が低下することがないためである。
上記固体電解質層におけるイオン化添加剤の含有量としては、固体電解質層が上述の静電容量を示すことができる量であればよく、イオン添加剤の種類や含まれるイオンの価数等に応じて適宜調整することができる。また、イオン化添加剤の含有量は、上述する中性の導電性有機物との濃度比で規定することが重要である。すなわち、中性の導電性有機物の濃度を1としたときに、固体電解質層におけるイオン化添加剤の含有量として、Liイオン濃度が0.00006倍〜0.03倍の範囲内となる含有量であることが好ましく、中でも0.0003倍〜0.018倍の範囲内となる含有量であることが好ましく、特に0.0006倍〜0.006倍の範囲内となる含有量であることが好ましい.
具体的には、イオン化添加剤がリチウム塩であり、中性の導電性有機物の濃度が163mMの場合、固体電解質層におけるイオン化添加剤のLiイオン濃度が0.01mM〜5.0mMの範囲内であることが好ましく、中でも0.05mM〜3.0mMの範囲内であることが好ましく、特に0.1mM〜1.0mMの範囲内であることが好ましい。
(3)固体電解質層
固体電解質層の厚さとしては、20nm〜2000nmの範囲内が好ましく、中でも50nm〜1200nmの範囲内が好ましく、特に100nm〜800nmの範囲内であることが好ましい。固体電解質層の厚さが上記範囲に満たない場合は、上記固体電解質層が十分に機能せず色素増感型太陽電池の光電変換効率が低下する可能性がある。一方、上記範囲を超える場合は、本発明の色素増感型太陽電池を薄膜に形成することが困難になる可能性がある。なお、上記厚さには、多孔質層との混在領域は含まないものとする。
また、固体電解質層の抵抗としては、イオン化添加剤の含有量によって適宜決定されるものであるが、10Ω〜100Ω程度であることが好ましい。固体電解質層の抵抗が上記範囲よりも大きいと、層内において電荷の移動が起こりにくく、所望の出力電流量が得られないことから、電池としての機能を果たさない場合がある。なお、上記抵抗は、静電容量と同様に、交流インピーダンス法を用いて測定することができる。交流インピーダンス法による測定については、既述の通りである。
固体電解質層の形成方法としては、後述する多孔質層上に所望の膜厚で形成できる方法であれば特に限定されないが、例えば、上述した材料を含む固体電解質層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を後述する多孔質層上に塗布した後、乾燥により固化させる方法等を挙げることができる。上記方法により多孔質層に当該塗布液が浸透し、多孔質層の材料と固体電解質層の材料とが混在する混在領域が形成されるからである。
上記固体電解質層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ダイコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、スロットダイコート法、スライドダイコート法、ディップコート法、マイクロバーコート法、マイクロバーリバースコート法や、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法を挙げることができる。
2.導電性基板
本発明における導電性基板は、電極としての機能を備えたものであり、一方の面に色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層が形成されるものである。
上記導電性基板としては、透明基板上に透明電極膜を有する第1態様と、金属箔からなる第2態様とがある。
以下、各態様について説明する。
(1)第1態様
上記導電性基板の第1態様は、透明基板上に透明電極膜を有するものである。すなわち、上記第1態様は、透明導電性基板となる。
(a)透明基板
透明基板としては、白板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス、セラミックス、合成石英等の無機透明基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂基板、有機無機ハイブリッドシート等を用いることができる。中でも、ガラス基材が好ましい。また、上記透明基板は、フレキシブル性を有するものが好ましく、1種類のみを単独で用いても良く、また、2種以上を積層して用いても良い。なお、「フレキシブル性を有する」とは、JIS R1601のファインセラミックスの曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
また、上記透明基板は、耐熱性、耐候性、並びに水蒸気および酸素のガスバリア性等に優れていることが好ましいことから、上記透明基板上には、任意のガスバリア層を設けてもよい。
上記透明基板の厚さは、本発明の色素増感型太陽電池の形状等に応じて適宜設定されるものであるが、通常、5μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、中でも10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、特に25μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚さが小さすぎると、導電性基板が充分な機械的強度を得ることができない可能性があり、一方、厚さが大きすぎると、加工適性を損なう可能性があるからである。
(b)透明電極膜
上記透明電極膜に用いられる材料としては、金属酸化物、導電性高分子材料等を挙げられる。上記金属酸化物としては、例えば、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、不純物ドープ酸化インジウム(In)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)等を挙げることができる。中でも導電性および光透過性の両方に優れている点から、FTO、ITOを用いることが好ましい。
一方、上記導電性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン(PA)、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ならびにこれらの誘導体等を挙げることができる。また、これらを2種以上混合して用いることもできる。
透明電極膜の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、中でも90%以上が好ましく、特に92%以上であることが好ましい。透明電極膜の全光線透過率が上記範囲であることにより、照射光が十分に導電性基板を透過することができ、多孔質層にて光を効率的に吸収することができるからである。なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
透明電極膜のシート抵抗としては、500Ω/□以下であることが好ましく、中でも300Ω/□以下であることが好ましく、特に50Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗が上記範囲より大きいと、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
透明電極膜は、単一膜からなる構成であってもよく、また、複数の膜が積層された構成であってもよい。複数の膜が積層された構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる材料からなる膜が積層された態様や、互いに異なる金属酸化物からなる膜が積層された態様を挙げることができる。
透明電極膜の厚さとしては、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、中でも10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。厚さが上記範囲よりも大きいと、均質な透明電極膜を形成することが困難となる場合や、全光線透過率が低下して良好な光電変換効率を得ることができない場合がある。一方厚さが上記範囲よりも小さいと、導電性基板の導電性が不足する場合がある。なお、上記厚さは、透明電極膜が複数の膜から構成される場合には、すべての膜の厚さを合計した総厚さを指すものとする。
透明電極膜は通常、パターン状に形成されるものである。透明電極膜のパターン形状としては、所望の色素増感型太陽電池を得ることが可能であれば特に限定されず、用途、形状等により適宜選択されるものであるが、例えばストライプ状等が好ましい。
(c)第1態様
本態様の導電性基板は、少なくとも透明基板、透明電極膜を有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。本態様に用いられる任意の構成としては、例えば、上記導電性基板に接するように形成され、導電性材料からなる補助電極を挙げることができる。このような補助電極が形成されていることにより、上記導電性基板の導電性が不足する場合に、それを補充することができるため、本発明の色素増感型太陽電池をより光電変換効率に優れたものにできるという利点がある。
本態様の導電性基板の形成方法としては、透明基板上に所望の形状の透明電極膜を形成出来る方法であれば良く、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ディップコート法等の一般的な電極の形成方法を用いることができる。
(2)第2態様
上記導電性基板の第2態様は、金属箔からなるものである。すなわち、上記第2態様は、透明性を有さない導電性基板となる。
本態様においては、金属箔それ自体が電極としての機能を有するため、上記第1態様のように透明電極膜を有する必要がない。
金属箔としては、フレキシブル性を有するものである限り特に限定されないが、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、白金、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、亜鉛、各種ステンレスおよびそれらの合金等が挙げられる。中でも、チタン、クロム、タングステン、各種ステンレスおよびそれらの合金が望ましい。
上記金属箔の厚みとしては、フレキシブル性を有し一方の表面に多孔質層を形成することが可能な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、5μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜500μmの範囲内であることがより好ましく、20μm〜200μmの範囲内であることがさらに好ましい。
3.金属電極膜
本発明における金属電極膜は、電極としての機能を有するものである。また、上記金属電極膜は、上述の導電性基板と対向する様に配置され、一方の表面に固体電解質層が形成されるものである。
上記金属電極膜は、上述した導電性基板の態様に応じて、透明性の有無を適宜選択することができる。
例えば、上記導電性基板が第1態様である場合は、上記金属電極膜は透明性を有するものであっても良く、有さないものであっても良い。中でも、上記導電性基板が第1態様である場合は、上記金属電極膜は透明性を有するものであることが好ましい。本発明の色素増感型太陽電池において、導電性基板側および金属電極膜側のどちらからも照射光を受光することができるからである。また、導電性基板側および金属電極膜側のどちらも透明性を有することから、色素増感型太陽電池を高い視認性を備えるものとすることができる。一方、上記導電性基板が第2態様である場合は、上記金属電極膜は透明性を有するものでる。上記導電性基板が透明性を有さないため、上記金属電極膜を受光面とする必要があるからである。
以下、本発明における金属電極膜について、透明性を有する場合を第1態様、透明性を有さない場合を第2態様として説明する。
上記金属電極膜の第1態様は、透明性を有する金属膜から成るものでものである。透明性を有する金属膜の材料としては、上述した「2.導電性基板 (1)第1態様 (b)透明電極膜」の項で説明した金属酸化物を用いることができる。
上記金属電極膜の第2態様は、透明性を有さない金属膜から成るものである。透明性を有さない金属膜の材料としては、上述した「2.導電性基板 (2)第2態様」の項で説明した金属材料を用いることができる。
上記金属電極膜は、上述した導電性基板と同等のフレキシブル性を有することが好ましい。また、上記金属電極膜の厚みとしては、50nm〜2000nmの範囲内であることが好ましい。上記厚みを50nm以下とすると導電性が不足する場合があり、一方、2000nm以上とすると不必要な程度にまで過剰に導電性を高めることになり、金属電極膜を成膜する際のコストの増加に繋がる場合があるからである。
さらに、上記金属電極膜が透明性を有する場合の全光線透過率については、上述した「2.導電性基板 (1)第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記金属電極膜の形成方法としては、後述する多孔質層上に所望の膜厚で形成出来る方法であれば特に限定されず、一般的な金属膜の形成方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
4.多孔質層
本発明における多孔質層は、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含むものである。
(1)金属酸化物半導体微粒子
上記金属酸化物半導体微粒子としては、半導体特性を備える金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではない。上記金属酸化物半導体微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、Fe、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。中でも本発明においては、TiOからなる金属酸化物半導体微粒子を用いることが最も好ましい。TiOは特に半導体特性に優れるからである。
なお、金属酸化物半導体微粒子は、上記の金属酸化物を単体で用いてもよく、複数種類の金属酸化物を併用してもよい。
上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径としては、通常、1nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。なお、上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径は一次粒径を意味するものとする。
(2)色素増感剤
上記色素増感剤としては、光を吸収して起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。このような色素増感剤としては、有機色素または金属錯体色素を挙げることができる。上記有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系、インドリン系、カルバゾール系の色素が挙げられる。本発明においてはこれらの有機色素の中でも、クマリン系色素を用いることが好ましい。また、上記金属錯体色素としてはルテニウム系色素を用いることが好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素を用いることが好ましい。このようなルテニウム錯体は吸収する光の波長範囲が広いため、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
(3)多孔質層
多孔質層には、上記金属酸化物半導体微粒子の他に任意の成分が含まれていてもよい。本発明における任意の成分としては、例えば、樹脂を挙げることができる。上記多孔質層に樹脂が含有されることにより、本発明における多孔質層の脆性を改善することができるからである。上記樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カプロラクタン等を挙げることができる。
多孔質層の厚さとしては、従来のヨウ素類を含有する電解質層を用いた色素増感型太陽電池における多孔質層の厚さよりも小さいことが好ましく、具体的には、2μm程度の厚さであることが好ましい。上述した本発明の非ヨウ素系固体電解質層はヨウ素類を含まないため、従来のヨウ素類を含有する電解質層よりも導電性が低い傾向を有する。そのため、多孔質層の厚さが大きすぎると、電荷の移動の際に上記多孔質層内において熱損失が起こり、変換された電力エネルギーが失われて取り出せない場合があるからである。
多孔質層の形成方法としては、所望の厚みで多孔質層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な多孔質層の形成方法で用いられるものと同様とすることができる。例えば、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層形成用塗布液を導電性基板上に塗布して焼成処理もしくは乾燥処理した後に、表面に上記色素増感剤を付着させて形成する方法、多孔質層形成用塗布液に予め色素増感剤を含ませて導電性基板上に塗布し、焼成処理もしくは乾燥処理をすることにより形成する方法等がある。
5.色素増感型太陽電池
本発明の色素増感型太陽電池は、上述した非ヨウ素系固体電解質層、導電性基板、金属電極膜および多孔質層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の構成を有していてもよい。
以下、本発明において想定される他の構成について説明する。
(1)バッファ層
本発明においては、上記導電性基板と上記多孔質層との間にバッファ層を有することが好ましい。その理由について、以下に説明する。
本発明の色素増感型太陽電池は、上述したように、上記非ヨウ素系固体電解質層の一部が上記多孔質層に浸漬した混在領域を有するものである。
一般的に、色素増感型太陽電池は、多孔質層において担持された色素増感剤を介して固体電解質層との間で電荷の移動を行うが、このとき高効率で電荷の移動が行われるように、上記色素増感剤と固体電解質層との接触界面を多く確保することが求められる。そのため、上記混在領域を有することにより、上記接触界面を多く確保することを可能としている。
ここで、本来、固体電解質層は金属電極膜側にのみ電荷を伝達する必要がある。しかし、上述の混在領域を有する場合、上記固体電解質層は導電性基板と接触するため上記導電性基板にも電荷を伝達させてしまう。そのため、導電性基板と金属電極膜とを分極させることができなくなるという問題がある。
このため、上記導電性基板と上記多孔質層との間にバッファ層を設けることにより、本発明における非ヨウ素系固体電解質層と導電性基板との接触を防ぐことができ、上記混在領域において電荷移動の効率を高めることにより光電変換効率の向上を図ることができる。
上記バッファ層の材料としては、緻密な層を形成することができ、バッファ層自体が半導体と同様の整流性、すなわち、多孔質層からは電荷を受け取るが、固体電解質層からは電荷を受け取らない機能を有することが可能な材料であれば特に限定されないが、例えば、酸化チタン等が好ましい。
上記バッファ層の厚さとしては、非ヨウ素系固体電解質層と導電性基板との接触を防ぐことが可能な厚さであれば特に限定されるものではないが、例えば、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
上記バッファ層の形成方法としては、所望の膜厚で形成出来る方法であれば特に限定されるものではない。例えば、四塩化チタン水溶液をバッファ層形成溶液とし、当該溶液内に導電性基板を浸漬させることにより形成する浸漬法を用いることができる。また、チタンアルコキシドを有機溶剤に溶解したバッファ層形成溶液を、スプレー熱分解薄膜形成装置を用いて、高温に保持した導電性基板上に噴霧しながら同時に焼成する噴霧法を用いることができる。なお、上記噴霧法を用いる場合、導電性基板の温度は元の温度(バッファ層形成溶液を噴霧する前の導電性基板の温度)を焼成温度に保持し、噴霧中も元の温度に対し±10℃の範囲で導電性基板の温度を保持することが好ましい。
(2)色素増感型太陽電池
本発明の色素増感型太陽電池は、上述の導電性基板または金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有するものであり、透明性を有する電極側を照射光の受光面とすることにより電池としての機能が発揮される。導電性基板および金属電極膜の透明性については、既述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の色素増感型太陽電池は、低照度下において高い光電変換効率を示すものであるが、具体的には、照度200lx相当下での光電変換層効率が2%以上であることが好ましく、中でも3%以上であることが好ましく、特に4.2%以上であることが好ましい。照度200lx相当下における光電変換効率が上記範囲よりも小さいと、低照度において十分な量の電力を発生させることができず、低照度用の色素増感型太陽電池として実用的ではない場合がある。
なお、上記光電変換効率は、ソーラーシミュレーター(分光計器社製 分光感度測定装置 CEP2000)を用い、照射条件を0.2mW/cm、AM1.5としたときの値である。
6.色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法としては、導電性基板と対向する金属電極膜との間に上述した材料を有する固体電解質層および多孔質層が積層された層構成とすることが可能な方法であれば特に限定されるものではない。
例えば、電極としての機能を備えた導電性基板の片面に、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層形成用塗布液を塗布および焼成して多孔質層を形成し、上記多孔質層の表面に色素増感剤を吸着させた後、その上から上述の固体電解質層形成用塗布液を所望の方法で塗布して固体電解質層を形成し、上記固体電解質層上に金属電極膜を成膜することにより、本発明の色素増感型太陽電池を製造することが出来る。なお、各部位の詳しい形成方法については、上述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
B.色素増感型太陽電池モジュール
次に、本発明の色素増感型太陽電池モジュールについて説明する。本発明の色素増感型太陽電池モジュールは、電極としての機能を備えた導電性基板、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池が複数個連結された色素増感型太陽電池モジュールであって、上記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池モジュールについて、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明の色素増感型太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。図4に例示されるように、本発明の色素増感型太陽電池モジュール20は、1枚板の電極としての機能を備えた導電性基板1上に、バッファ層2、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層3、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層4が積層され、導電性基板1と対向するように金属電極膜5を有するものである。なお、上記固体電解質層4は、一部が上記多孔質層3に浸透した混在領域Aを有する。
また、固体電解質層3は、交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層の静電容量を所定の範囲内とすることにより、低照度下において高い光電変換効率を有する色素増感型太陽電池モジュールとすることができる。
本発明の色素増感型太陽電池モジュールに用いられる色素増感型太陽電池については、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明において複数の色素増感型太陽電池が連結された態様としては、特に限定されないが、上述の色素増感型太陽電池が直列に連結された態様であってもよく、並列に連結された態様であってもよい。
また、複数の色素増感型太陽電池が連結された態様としては、1対の導電性基板および金属電極膜の間に、少なくとも上述した固体電解質層、多孔質層等が複数形成された態様であってもよく、「A.色素増感型太陽電池」の項において説明した色素増感型太陽電池を別個独立に形成し、外部配線等によって連結された態様であってもよい。
C.色素増感型太陽電池の設計方法
次に、本発明の.色素増感型太陽電池の設計方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の設計方法は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の設計方法であって、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、上記中性の導電性有機物および上記イオン化添加剤の含有量を調整して上記固体電解質層の処方を決定することを特徴とする。
上述の「A.色素増感型太陽電池」の項で説明したように、高照度下における色素増感型太陽電池の光電変換効率は、非ヨウ素系固体電解質層の抵抗が小さい程、すなわち、静電容量が大きくなるほど向上する。
一方、低照度下における色素増感型太陽電池の光電変換効率は、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量に支配され、上記静電容量が小さいほど向上する。
これらの光電変換効率の傾向は、固体電解質層に含まれる導電性有機物およびイオン化添加剤の種類に因らず、上記静電容量の大小により一義的に決まると推量される。
図5は、色素増感型太陽電池における、照度ごとの光電変換効率の推移を静電容量別に示した説明図である。図5で例示されるように、例えば、静電容量が3.4×10−7Fを示す非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池では、数lx〜数百lxの範囲内において光電変換効率が最も高くなり、高照度となるにつれて光電変化効率が低下する。また、例えば、静電容量が3.6×10−5Fを示す非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池では、光電変換効率は低照度において低いものの、照度の増加に伴い上昇し、数万lx〜数十万lxの範囲内において最も高い光電変換効率を示すことができる。さらに、例えば、静電容量が1.6×10−6Fを示す非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池では、全照度領域において同程度の光電変化効率を示すことができる。
このように、非ヨウ素系固体電解質層の静電容量の大小により、色素増感型太陽電池の光電変化効率が最も高くなるときの照度領域が変化するといえる。
ここで、非ヨウ素系固体電解質層においては、中性の導電性有機物をイオン化させるために用いられるイオン化添加剤の含有量、すなわち、イオン化添加剤のイオン濃度が、上記非ヨウ素系固体電解質層の静電容量と略比例の関係を有することから、非ヨウ素系固体電解質層を有する色素増感型太陽電池の光電変換効率を、上記非ヨウ素系固体電解質層内のイオン化添加剤の含有量により規定することを可能とした。
すなわち、本発明によれば、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、固体電解質層中の中性の導電性有機物の含有量および添加するイオン化添加剤の量を調整し、上記固体電解質層の処方を決定することにより、照度領域に応じて高い光電変換効率を示すことが可能な色素増感型太陽電池を設計することを可能とするものである。
本発明の色素増感型太陽電池の設計方法については、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、中性の導電性有機物の含有量および添加するイオン化添加剤の量を調整して固体電解質層の処方を決定することが可能な方法であれば特に限定されるものではない。例えば、以下に説明する各工程を経て固体電解質層の処方を決定することにより、本発明の色素増感型太陽電池を設計することができる。
1.評価用色素増感型太陽電池作製工程
まず、評価用色素増感型太陽電池(以下、評価用電池とする。)を作製する。このとき、固体電解質層を構成する中性の導電性有機物およびイオン化添加剤のうち、少なくともイオン化添加剤の含有量について条件を振り、上記イオン化添加剤のイオン濃度(mM)の異なる評価用電池を複数作製することが好ましい。なお、イオン化添加剤の含有量の振り方は、特に限定されるものではない。
評価用電池の作製方法については、実際の色素増感型太陽電池と同様の構成、すなわち導電性基板と対向する金属電極膜との間に上述の材料を含む固体電解質層および多孔質層が積層された層構成とすることが可能な方法であれば特に限定されるものではない。例えば、上述の「A.色素増感型太陽電池」の項で説明した方法等を用いて、評価用電池を作製することができる。
なお、各構成部位の材料等については、上述の「A.色素増感型太陽電池」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
2.光電変換効率測定工程
次に、照射する光の照度条件を複数振り、各照度の光を評価用電池に照射してそのときの光電変換効率を測定する。光電変換効率が最も高くなるとき(以下、最大光電変換効率とする。)のイオン化添加剤の含有量、ならびにイオン化添加剤のイオン濃度を特定する。これにより、特定の照度下において最大光電変換効率を示すときの導電性有機物およびイオン化添加剤の含有量を特定することができ、本発明における固体電解質層の処方を決定することが可能となる。
光電変換効率の測定方法および測定条件については、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項で説明した方法と同様の方法を用いることが好ましい。なお、照度の振り方は、特に限定されるものではない。
3.色素増感型太陽電池の設計方法
本発明によれば、例えば、上述した各工程を行い固体電解質層の処方を決定することにより、照度領域に応じて高い光電変換効率を示すことが可能な色素増感型太陽電池を設計することができる。
また、固体電解質層の処方を決定する工程として、上述した工程の他に、「2.光電変換効率測定工程」により得られた特定照度における最大光電変換効率と、そのときのイオン化添加剤のイオン濃度との相関から、検量線を作成する検量線作成工程を有することが好ましい。上記検量線を作成することにより、新たな色素増感型太陽電池を設計する際に、その都度評価用電池を作製しなくても、上記検量線から特定の照度下において最大光電変換効率を示すために必要なイオン化添加剤のイオン濃度を算出することができる。算出されたイオン濃度となるように導電性有機物およびイオン化添加剤の含有量を調整することにより固体電解質層の処方を決定することが可能となる。
また、少なくとも「2.光電変換効率測定工程」を行う前に、予め目的とする色素増感型太陽電池の使用環境に応じて照度領域を規定する照度規定工程を有していても良い。照度規定工程とは、具体的には、目的とする色素増感型太陽電池を低照度に特化した用途とする場合、照度範囲を数lx〜数百lxの範囲で規定し、高照度に特化した用途とする場合、照度範囲を数万lx〜数十万lxの範囲で規定するものである。さらに、目的とする色素増感型太陽電池を全照度用途とする場合は、数lx〜数十万lxの範囲で規定するものである。
本発明の色素増感型太陽電池の設計方法において、固体電解質層以外の各部位についての設計方法については特に限定されるものではなく、一般に用いられる方法に従い設計することが可能である。
D.色素増感型太陽電池の製造方法
次に、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、電極としての機能を備えた導電性基板、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、および金属電極膜がこの順で積層され、上記導電性基板または上記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、上記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、上記中性の導電性有機物および上記イオン化添加剤の含有量を調整して上記固体電解質層の処方を決定する設計方法に基づいて行う処方決定工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、想定される使用環境下での照度領域において光電変換効率が最大となるように、中性の導電性有機物の含有量および添加するイオン化添加剤の量を調整して固体電解質層の処方を決定する処方決定工程を有することにより、照度領域に応じて高い光電変換効率を示すことが可能な色素増感型太陽電池を製造することができる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.処方決定工程
本発明における処方決定工程は、色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、上記中性の導電性有機物および上記イオン化添加剤の含有量を調整して上記固体電解質層の処方を決定する設計方法に基づいて行うものである。
本工程において使用される固体電解質層の材料等については、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程において用いられる固体電解質層の処方を決定する設計方法については、上述した「C.色素増感型太陽電池の設計方法」の項で説明した設計方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、「C.色素増感型太陽電池の設計方法」の項において、検量線作成工程を有する場合は、当該工程により得られた検量線を用いて固体電解質層の処方を決定することができる。
2.色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、上述した処方決定工程の他に、任意の工程を有していてもよい。例えば、導電性基板を準備する導電性基板準備工程、上記導電性基板上に金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を形成する多孔質層形成工程、色素増感剤を上記金属酸化物半導体微粒子に坦持させる坦持工程、上述の処方決定工程により得られた処方からなる固体電解質層の材料を多孔質層上に塗布し、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程、上記固体電解質層上に金属電極膜を成膜する金属電極膜形成工程等がある。
各工程において用いられる材料等については、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。また、各工程における形成方法については、従来より色素増感型太陽電池の製造に用いられる一般的な方法を用いることができる。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法としては、上述した処方決定工程を行い、導電性基板と対向する金属電極膜との間に上述の材料を有する固体電解質層および多孔質層が積層された層構成を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、上記各工程の実施順についても適宜設定することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(導電性基板の作製)
導電性基板として、ガラス板の一方の表面上にフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が形成された導電性基板(日本板硝子社製、表面抵抗率6Ω/□)を用意した。
(バッファ層の形成)
上記導電性基板のFTO膜面に、酸化チタンペースト(日本触媒製)をスクリーン印刷法により塗布し、その後500℃で30分焼成することで、膜厚2μmのバッファ層を形成した。
(多孔質層の形成)
続いて、色素増感剤としてのルテニウム錯体(シス−ビス(チオシアナト)−N,N−ビス(2,2´−ジピリジル−4,4´−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物、Solaronix社製)を、濃度が3×10−4mol/Lとなるように無水エタノール中に溶解させて色素溶液を調製し、この溶液に上述のバッファ層を有する導電性基板を室温で12時間浸漬させた。その後、色素溶液から引き上げ、付着した色素溶液を無水エタノールにより洗浄後、風乾した。これにより、酸化チタンに色素増感剤が担持された多孔質層を導電性基板上に形成した。
(固体電解質層の形成)
続いて、中性の導電性有機物としてspiro‐MeOTAD(2,2´7,7´-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenyl-amine)-9,9´-spirobifluorene、分子量1225.42、163mMクロロベンゼン溶液、Lumtec社製)、およびイオン化添加剤としてLiTFSI(LithiumBis(Trifluoromethanesulfonyl)Imide、分子量287.08、0.8mMクロロベンゼン溶液、東京化成工業社製)を混合して調製した固体電解質層形成用塗布液をスピンコート法により上述の多孔質層上に塗布して膜厚300nmの固体電解質層を形成した。
(金属電極膜の形成)
続いて、金属電極膜として、上述の固体電解質層上に真空蒸着法を用いて膜厚200nmの銀電極膜を形成し、色素増感型太陽電池を得た。
[実施例2]
Spiro-MeOTADの濃度を163mM、LiTFSIの濃度を5mMとして固体電解質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で色素増感型太陽電池を得た。
[比較例1]
Spiro-MeOTADの濃度を163mM、LiTFSIの濃度を20mMとして固体電解質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で色素増感型太陽電池を得た。
[比較例2]
LiTFSIを添加せずに固体電解質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で色素増感型太陽電池を得た。
(評価1)
実施例および比較例で得られた色素増感型太陽電池について、ソーラーシミュレーター(分光計器社製 分光感度測定装置 CEP2000、照度条件:0.2mW/cm、AM1.5)を用いて、照度200lx相当となる条件下で光電変換効率を測定した。
(評価2)
実施例および比較例で得られた色素増感型太陽電池について、光照射下で交流インピーダンス測定を行い、インピーダンス測定結果を等価回路にフィッティングさせたときのコールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量を求めた。なお、交流インピーダンス測定方法および等価回路へのフィッティング方法については、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項で説明した方法を用いて行った。
実施例および比較例の色素増感型太陽電池について、上記円弧の頂点が5kHzから10kHzにある静電容量におけるLiTFSI濃度と、評価1で得られた照度200lx相当下での光電変換効率の相関を求めた。その結果を表1および図6に示す。
(結果)
実施例および比較例の結果から、所定の条件により測定される静電容量を3.0×10−6F以下とすることにより、200lx相当の低照度下での光電変換効率を2%以上とすることができ、電池特性を向上させることが可能である。また、上記静電容量は、Spiro-MeOTADおよびLiTFSIの含有量(濃度)により調整され、静電容量が大きいほど光電変換効率が低下する傾向が示唆された。
1 … 導電性基板
3 … 固体電解質層
4 … 多孔質層
5 … 金属電極膜
10 … 色素増感型太陽電池
20 … 色素増感型太陽電池モジュール

Claims (8)

  1. 電極としての機能を備えた導電性基板、
    色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、
    中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、
    および金属電極膜がこの順で積層され、
    前記導電性基板または前記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池であって、
    前記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記中性の導電性有機物がspiro−MeOTADであることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記イオン化添加剤がLiイオンを含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 電極としての機能を備えた導電性基板、
    色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、
    中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、
    および金属電極膜がこの順で積層され、
    前記導電性基板または前記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池が複数個連結された色素増感型太陽電池モジュールであって、
    前記固体電解質層の交流インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングし、コールコールプロットにおける円弧の頂点が5kHz〜10kHzの周波数域にあるときの静電容量が3.0×10−6F以下であることを特徴とする色素増感型太陽電池モジュール。
  5. 前記中性の導電性有機物がspiro−MeOTADであることを特徴とする請求項4に記載の色素増感型太陽電池モジュール。
  6. 前記イオン化添加剤がLiイオンを含むものであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の色素増感型太陽電池モジュール。
  7. 電極としての機能を備えた導電性基板、
    色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、
    中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、
    および金属電極膜がこの順で積層され、
    前記導電性基板または前記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の設計方法であって、
    前記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、前記中性の導電性有機物および前記イオン化添加剤の含有量を調整して前記固体電解質層の処方を決定することを特徴とする色素増感型太陽電池の設計方法。
  8. 電極としての機能を備えた導電性基板、
    色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層、
    中性の導電性有機物およびイオン化添加剤を含有する固体電解質層、
    および金属電極膜がこの順で積層され、
    前記導電性基板または前記金属電極膜の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
    前記色素増感型太陽電池の光電変換効率が使用環境下での照度領域内において最大となるように、前記中性の導電性有機物および前記イオン化添加剤の含有量を調整して前記固体電解質層の処方を決定する設計方法に基づいて行う処方決定工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
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