JP2014219150A - シート状ヒートパイプ及びその製造方法並びに電子装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このシート状ヒートパイプとしては、例えば、以下のようなものがある。
まず、樹脂からなるシート状コンテナの内部に蒸気流路、及び、溝やエッチング等による加工によって形成された毛細管流路を設け、さらに蒸気流路の閉塞防止のために複数の支柱を設けたシート状ヒートパイプがある。これを第1の技術という。
また、シート状コンテナとしての金属箔にシーラント層を介して金属製繊維メッシュからなるウィックを貼り付けたシート状ヒートパイプもある。これを第3の技術という。
また、上述の第2の技術では、めっき層を形成する際に、金属粉末焼結体の空隙を完全に埋めてしまわないようにする必要があるが、これは難しい。このため、金属粉末焼結体の空隙がめっき層によって完全に埋められてしまい、毛細管流路が確保できなくなるおそれがある。
そこで、シート状コンテナの材料に多孔質体を用いて、毛細管流路の形成工程を不要とし、毛細管流路を確実に確保できるようにしたい。
本シート状ヒートパイプの製造方法は、多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナを作製する工程と、シート状コンテナを構成する多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を微粒子で塞ぐ工程とを含むことを要件とする。
本実施形態にかかるシート状ヒートパイプは、例えばコンピュータ(例えばサーバ、パーソナルコンピュータ、モバイル機器)などの電子装置に備えられる電子部品(例えばCPUやLSIチップなどの発熱である電子部品;発熱部品)を冷却するためのものである。なお、電子装置は電子機器ともいう。また、シート状ヒートパイプを薄型シート状ヒートパイプともいう。
ここでは、シート状コンテナ2は、樹脂製多孔質体からなる。つまり、シート状コンテナ2を構成する多孔質体は、樹脂製多孔質体である。この樹脂製多孔質体は、例えばポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂(粉末;微粒子)を焼結させた多孔質の樹脂焼結体(樹脂粉末焼結体;樹脂微粒子焼結体)である。なお、材料となる樹脂粉末は例えばUVやプラズマ照射あるいは化学的に親水処理したものを用いるのが好ましい。なお、多孔質体をウィックともいう。また、樹脂製多孔質体を、多孔質樹脂、多孔質樹脂フィルム、又は、樹脂製多孔質ウィックともいう。
この場合、シート状コンテナの外側表面を例えばめっき膜で覆うことが考えられる。しかしながら、シート状コンテナは薄膜であるため、めっき膜を形成する際に、めっき液が浸透して、多孔質体の孔を完全に埋めてしまわないようにするのは難しい。また、多孔質体の孔がめっき膜によって完全に埋められてしまい、毛細管流路が確保できなくなるおそれもある。また、シート状コンテナの外側表面に接着剤によって金属箔を貼り付けることも考えられる。しかしながら、シート状コンテナは薄膜であるため、接着剤で貼り付ける際に、接着剤が浸透して、多孔質体の孔が接着剤によって完全に埋められてしまい、毛細管流路が確保できなくなるおそれがある。そして、毛細管流路が確実に確保できなくなると、十分な性能を有するシート状ヒートパイプを実現するのが難しくなる。
このように、シート状コンテナ2を構成する多孔質体の孔2Aの外側表面2Bに露出している端部のみ(孔2Aの外側表面付近のみ)が微粒子3で塞がれているため、毛細管流路を確実に確保することができ、十分な性能を有するシート状ヒートパイプを実現することが可能となる。
つまり、まず、図2(A)〜図2(E)に示すように、多孔質体からなり、蒸気流路4を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナ2を作製する。
ここでは、例えばポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂を焼結させた多孔質の樹脂焼結体からなる樹脂製多孔質体を用いて、以下のようにして、シート状コンテナ2を作製する。
そして、図2(E)に示すように、これらの上部シート2Y及び下部シート2Xの周囲に形成された接合部同士を、例えば熱融着によって接合して、上部シート2Yと下部シート2Xとを貼り合わせる。
なお、この場合、柱状スペーサ5も樹脂製多孔質体からなり、この樹脂製多孔質体からなる柱状スペーサ5によって内部空間が仕切られて複数の蒸気流路4が形成されることになる。また、この場合、柱状スペーサ5は、高さが約0.1mmとなり、幅が約0.5mmとなり、長さが約0.5mmとなる。なお、柱状スペーサ5は上部シート2Yに接触するようにしても良い。また、接合部2XA,2YAは、幅が約2.25mmとなる。また、蒸気流路4は、その断面の幅が約0.5mmとなり、高さが約0.1mmとなる。
次に、図3(B)に示すように、上述のようにして作製されたシート状コンテナ2の6つの外側表面2Bのうち一面の外側表面2Bが金属微粒子3に接するように、平面状に並べられた金属微粒子3上に、治具9に取り付けられたシート状コンテナ2を載置する。
次に、金属微粒子3にシート状コンテナ2の他の外側表面2Bを押し当て、押圧しながら、シート状コンテナ2を、前後方向、左右方向、斜め方向に動かして、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aに金属微粒子3を押し込む(図4参照)。これにより、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aに、外側表面2Bから金属微粒子3の直径分だけ、金属微粒子3が埋め込まれ、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aの他の外側表面2Bに露出している端部が金属微粒子3で塞がれる。
ところで、例えば、シート状コンテナ2を作製する工程で、径の異なる複数の孔2Aを有する多孔質体(即ち、孔径分布を有する多孔質体)を用いてシート状コンテナ2を作製した場合には、この微粒子3で塞ぐ工程で、多孔質体の複数の孔2Aのそれぞれを、径の異なる複数の微粒子3で塞ぐ。この場合、多孔質体の複数の孔2Aを、径が大きい孔2Aから順に、孔2Aの径に応じた径を有する微粒子3で塞ぐのが好ましい。
まず、図5に示すように、最も大きい径を有する微粒子3A(3)である、直径約20μmの金属微粒子3Aを、平板上に平面状に並べて配置する。そして、上述のようにして、シート状コンテナ2の6つの外側表面2Bの全てに対して、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aのうち最も径の大きい孔2AX(ここでは直径約20μmの孔2AX)の端部を、直径約20μmの金属微粒子3Aで塞ぐ処理を行なう。
次に、図示していないが、最も大きい径を有する金属微粒子3Aよりも小さい径を有する金属微粒子3、例えば直径約19μmの金属微粒子3を、平板上に平面状に並べて配置する。そして、上述のようにして、シート状コンテナ2の6つの外側表面2Bの全てに対して、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aのうち最も径の大きい孔2AXよりも小さい径を有する孔2AY(例えば直径約19μmの孔2AY)の端部を、例えば直径約19μmの金属微粒子3で塞ぐ処理を行なう。
このようにして、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aの直径が約2〜約20μmの範囲で分布している場合に、樹脂製多孔質体の複数の孔2Aを、径が大きい孔2Aから順に、孔2Aの径に応じた径を有する金属微粒子3で塞ぐことができる。
なお、ここでは、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aの直径が約2〜約20μmの範囲で分布している場合を例に挙げて説明しているが、シート状コンテナ2を構成する樹脂製多孔質体の孔2Aの直径が分布していない場合、例えば約20μmで均一になっている場合には、直径約20μmの金属微粒子3で塞ぐ処理を行なうだけで良い。
また、後述の金属層6を形成する工程で、無電解めっきで金属めっき層7を形成する場合、無電解めっき時に触媒となりうる金属微粒子(例えばPd、Au、Ni、Cu、Coなどの金属からなる金属微粒子)でシート状コンテナ2を構成する多孔質体の孔2Aの外側表面2Bに露出している端部を塞ぐのが好ましい。
ここでは、図2(G)に示すように、樹脂製多孔質体の孔2Aが金属微粒子3で塞がれているシート状コンテナ2の外側表面2Bを覆う金属層6として、無電解めっきで、熱伝導性に優れるCuを用いて、Cuめっき層7(金属めっき層;第1金属めっき層)を形成する。この場合、Cuめっき層7の厚さは、約2〜約3μmである。これにより、気密性を確保することができる。なお、ここでは、金属層6として、Cuめっき層7を形成しているが、これに限られるものではなく、無電解めっきで、熱伝導性に優れるAuを用いて、Auめっき層7(金属めっき層;第1金属めっき層)を形成しても良い。なお、無電解めっきを化学めっきともいう。
このようにして、本実施形態にかかるシート状ヒートパイプ1を製造することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
(付記1)
多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナと、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を塞ぐ微粒子とを備えることを特徴とするシート状ヒートパイプ。
前記多孔質体は、径の異なる複数の孔を有し、
前記微粒子として、前記多孔質体の前記複数の孔のそれぞれを塞ぐ、径の異なる複数の微粒子を備えることを特徴とする、付記1に記載のシート状ヒートパイプ。
(付記3)
前記多孔質体の孔が前記微粒子で塞がれている前記シート状コンテナの外側表面を覆う金属層を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のシート状ヒートパイプ。
多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナを作製する工程と、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を微粒子で塞ぐ工程とを含むことを特徴とするシート状ヒートパイプの製造方法。
前記シート状コンテナを作製する工程で、径の異なる複数の孔を有する多孔質体を用いて前記シート状コンテナを作製し、
前記微粒子で塞ぐ工程で、前記多孔質体の前記複数の孔のそれぞれを、径の異なる複数の微粒子で塞ぐことを特徴とする、付記4に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
前記微粒子で塞ぐ工程で、前記多孔質体の前記複数の孔を、径が大きい孔から順に、前記孔の径に応じた径を有する微粒子で塞ぐことを特徴とする、付記5に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
(付記7)
前記微粒子で塞ぐ工程の後に、前記多孔質体の孔が前記微粒子で塞がれている前記シート状コンテナの外側表面を覆う金属層を設ける工程を含むことを特徴とする、付記4〜6のいずれか1項に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
前記金属層を設ける工程で、前記多孔質体の孔が前記微粒子で塞がれている前記シート状コンテナの外側表面を覆う前記金属層として、無電解めっきで第1金属層を形成し、電解めっきで前記第1金属層を覆う第2金属層を形成することを特徴とする、付記7に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
前記微粒子で塞ぐ工程で、無電解めっき時に触媒となりうる金属微粒子で前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を塞ぐことを特徴とする、付記8に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
(付記10)
配線基板上に設けられた電子部品と、
前記電子部品を冷却するシート状ヒートパイプとを備え、
前記シート状ヒートパイプは、
多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナと、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を塞ぐ微粒子とを備えることを特徴とする電子装置。
2 シート状コンテナ
2A 多孔質体の孔
2AX 最も径の大きい孔
2AY 最も径の大きい孔よりも小さい径を有する孔
2B シート状コンテナ(多孔質体)の外側表面
2X 下部シート
2Y 上部シート
2XA,2YA 接合部
3 微粒子
3A 最も大きい径を有する微粒子
4 蒸気流路
5 柱状スペーサ
6 金属層
7 Cuめっき層(金属めっき層;第1金属めっき層;第1金属層)
8 Cuめっき層(金属めっき層;第2金属めっき層;第2金属層)
9 治具
10 注入口
11 金属管
11X 金属管の端部
Claims (5)
- 多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナと、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を塞ぐ微粒子とを備えることを特徴とするシート状ヒートパイプ。 - 前記多孔質体の孔が前記微粒子で塞がれている前記シート状コンテナの外側表面を覆う金属層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシート状ヒートパイプ。
- 多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナを作製する工程と、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を微粒子で塞ぐ工程とを含むことを特徴とするシート状ヒートパイプの製造方法。 - 前記微粒子で塞ぐ工程の後に、前記多孔質体の孔が前記微粒子で塞がれている前記シート状コンテナの外側表面を覆う金属層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のシート状ヒートパイプの製造方法。
- 配線基板上に設けられた電子部品と、
前記電子部品を冷却するシート状ヒートパイプとを備え、
前記シート状ヒートパイプは、
多孔質体からなり、蒸気流路を有し、作動流体が封入されるシート状コンテナと、
前記シート状コンテナを構成する前記多孔質体の孔の外側表面に露出している端部を塞ぐ微粒子とを備えることを特徴とする電子装置。
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