JP2014214153A - 水溶液製剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有効成分としてエタネルセプトを含有する水溶液製剤において、エタネルセプトの不純物である凝集体および切断体の生成が抑制された、安定性に優れた水溶液製剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 有効成分としてエタネルセプトを含有する水溶液製剤およびその製造方法を開示する。本発明の水溶液製剤では、エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤を含有する水溶液製剤であって安定化剤がヒスチジンまたはその塩であり、緩衝剤が有機酸またはその塩であり、そしてpHが5.6から6.4である。本発明の水溶液製剤は、エタネルセプトに起因する凝集体および切断体のいずれの生成も抑制することにより、長期にわたって安定であり、優れた保存性を提供することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 有効成分としてエタネルセプトを含有する水溶液製剤およびその製造方法を開示する。本発明の水溶液製剤では、エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤を含有する水溶液製剤であって安定化剤がヒスチジンまたはその塩であり、緩衝剤が有機酸またはその塩であり、そしてpHが5.6から6.4である。本発明の水溶液製剤は、エタネルセプトに起因する凝集体および切断体のいずれの生成も抑制することにより、長期にわたって安定であり、優れた保存性を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、水溶液製剤およびその製造方法に関し、より詳細には有効成分としてエタネルセプトを含有する水溶液製剤およびその製造方法に関する。
エタネルセプト医薬組成物は、ヒトIgG1のFc領域に融合したヒトp75腫瘍壊死因子[Tumor Necrosis Factor(TNF)]受容体の細胞外ドメイン部分からなる糖蛋白質(以下、本願明細書において「エタネルセプト」という)を有効成分として含有し、体内で過剰に産生されたTNFα/LTαを捕捉(レセプター結合反応)して、細胞表面のレセプターとの結合を阻害することにより、抗リウマチ作用や抗炎症作用を発揮する、医薬組成物である(非特許文献1)。
このようなエタネルセプト製剤は、例えば、水溶液製剤として調製された後、シリンジに封入して保管される。
しかし、エタネルセプトのような多くのポリペプチドは、通常、水溶液中では不安定であり、水溶液中で凝集体あるいは切断体からなる不純物を生成することが知られている。そして、これらの不純物はもはやTNFα/LTαを捕捉し得ず、抗リウマチ作用や抗炎症作用は発揮されない。そのため、エタネルセプト製剤における水溶液中での不純物の生成を抑制する技術開発が所望されている。
当該不純物の生成を抑制するために、エタネルセプトを含有する水性製剤中に凝集抑制剤としてL−アルギニンを含有させると、エタネルセプトの不純物の一つである凝集体の生成が抑制されることが提案されている(特許文献1)。
しかし、前述の通り、エタネルセプトは水溶液中では凝集体だけではなく、切断体をも生成する。特許文献1の方法では切断体の生成が抑制されないため、不純物の生成を抑制する技術としては不十分である。
そこで、エタネルセプトの不純物である凝集体および切断体のいずれの生成をも抑制する医薬組成物の提供が所望されている。
「エンブレル(登録商標)皮下注」添付文書、2012年9月(改訂第19版)
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、有効成分としてエタネルセプトを含有する水溶液製剤において、エタネルセプトの不純物である凝集体および切断体の生成が抑制された、安定性に優れた水溶液製剤およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、所定の安定化剤および緩衝剤を選択し、かつ所定のpHに調整することにより、エタネルセプトを含有する水溶液製剤の安定性を向上させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤を含有する水溶液製剤であって、安定化剤がヒスチジンまたはその塩であり、緩衝剤が有機酸またはその塩であり、そしてpHが5.6から6.4である、製剤である。
1つの実施形態では、上記有機酸またはその塩は、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
1つの実施形態では、上記緩衝剤を、水溶液全体に対し1mMから1Mの濃度で含有する。
1つの実施形態では、上記安定化剤を、水溶液全体に対し1mMから1Mの濃度で含有する。
1つの実施形態では、本発明の水溶液製剤は、さらに、塩化ナトリウム、スクロース、およびグリシンからなる群から選択される少なくとも1種の等張化剤を含有する。
本発明はまた、水溶液製剤の製造方法であって、
ヒスチジンまたはその塩と、有機酸またはその塩とを水に溶解させて、pHが5.6から6.4である緩衝液を調製する工程;
該緩衝液にエタネルセプト原液を添加する工程;
該原液を濃縮することにより、該エタネルセプトの濃縮液を得る工程;および
該濃縮液を別の該緩衝液と合わせる工程;
を包含する、方法である。
ヒスチジンまたはその塩と、有機酸またはその塩とを水に溶解させて、pHが5.6から6.4である緩衝液を調製する工程;
該緩衝液にエタネルセプト原液を添加する工程;
該原液を濃縮することにより、該エタネルセプトの濃縮液を得る工程;および
該濃縮液を別の該緩衝液と合わせる工程;
を包含する、方法である。
1つの実施形態では、上記有機酸またはその塩は、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
1つの実施形態では、上記緩衝液を調製する工程において、さらに等張化剤が溶解される。
さらなる実施形態では、上記等張化剤は、塩化ナトリウム、スクロース、およびグリシンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
本発明によれば、有効成分であるエタネルセプトに起因する凝集体および/または切断体から構成される不純物の生成を抑制して、水溶液製剤自体の安定性を向上させることができる。当該安定性の向上により、本発明の水溶液製剤はより長期間の保管が可能である。
(水溶液製剤)
まず、本発明の水溶液製剤について説明する。
まず、本発明の水溶液製剤について説明する。
本発明の水溶液製剤は、エタネルセプトを含有する医薬組成物である。
本発明を構成するエタネルセプトは、本発明における有効成分であって、抗関節リウマチ薬として有用な、ヒトIgG1のFc領域と分子量75kDa(p75)のヒト腫瘍壊死因子II型受容体(TNFR−II)の細胞外ドメインが融合したサブユニットの二量体からなる糖蛋白質(ポリペプチド)である。エタネルセプトは、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を利用した遺伝子組換えにより産生され得る。エタネルセプトサブユニットは、934アミノ酸からなり、約150,000ダルトンの分子量を有する。
本発明の水溶液製剤におけるエタネルセプトの含有量は、特に限定されないが、例えば、1mg/mL〜150mg/mLであり、好ましくは5mg/mL〜100mg/mLである。エタネルセプトの含有量が、1mg/mL未満であると、医薬組成物として充分に機能しないおそれがある。エタネルセプトの含有量が、150mg/mLを上回ると、製剤中で沈殿を生じるおそれがある。
本発明の水溶液製剤は、当該エタネルセプトとともに安定化剤および緩衝剤を含有する。
本発明における安定化剤はヒスチジンまたはその塩である。ヒスチジンの塩の例としては、特に限定されないが、ヒスチジンの塩酸塩が挙げられる。本発明において、安定化剤は、このようなヒスチジンまたはその塩の単独から構成されていてもよく、2種以上を組合せて構成されていてもよい。
本発明の水溶液製剤における安定化剤の濃度は、必ずしも限定されないが、水溶液全体を基準として、好ましくは1mM〜1Mであり、より好ましくは10mM〜100mMであり、さらにより好ましくは25mM〜50mMである。安定化剤の濃度が1mM未満であると、エタネルセプトの不純物の生成を充分に抑制することができず、水溶液製剤の保管を通じて凝集体や切断体が多く生成するおそれがある。安定化剤の濃度が1Mを超えると、もはや浸透圧が過度に高く、医薬組成物として適切でなくなるおそれがある。
ここで、本明細書中に用いられる用語「凝集体」とは、エタネルセプト分子が凝集してできた高分子量のポリペプチドを指して言う。また、本明細書中に用いられる用語「切断体」とは、エタネルセプト分子内の任意の箇所におけるペプチド結合が切断して得られた断片からなる低分子量のポリペプチドを指して言う。
本発明における緩衝剤は有機酸またはその塩である。緩衝剤の例としては、特に限定されないが、クエン酸およびその塩(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸カリウム)、酢酸およびその塩(例えば、酢酸アンモニウム、酢酸カルシウム、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム)、酒石酸およびその塩(例えば、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウムおよび酒石酸ナトリウムカリウム)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)およびその塩(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩)が挙げられる。緩衝剤としては、特にクエン酸およびその塩が好ましい。
本発明の水溶液製剤における緩衝剤の濃度は、必ずしも限定されないが、水溶液全体を基準として、好ましくは1mM〜1Mであり、より好ましくは10mM〜100mMであり、さらにより好ましくは25mM〜50mMである。緩衝剤の濃度が1mM未満であると、エタネルセプトの不純物の生成を充分に抑制することができず、水溶液製剤の保管を通じて凝集体や切断体が多く生成するおそれがある。緩衝剤の濃度が1Mを超えると、もはや浸透圧が過度に高く、医薬組成物として適切でなくなるおそれがある。
本発明の水溶液製剤は、上記エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤を水に溶解させてなる水溶液である。
本発明の水溶液製剤はまた、上記緩衝剤、安定化剤、等張化剤およびその他の添加剤の水溶液に対し、必要に応じて水酸化ナトリウム、塩酸などを添加することにより、所定のpHに調整してもよい。本発明の水溶液製剤のpHは、5.6〜6.4であり、より好ましくは5.7〜6.3であり、さらにより好ましくは6.0である。本発明を構成するエタネルセプトは、溶解される緩衝液のpHによっても、その不純物である凝集体および切断体の生成率を大きく変化させる。特に、pH6.4を上回るより塩基性側に傾けると、凝集体の生成が促進される。一方、pH5.6を下回るより酸性側に傾けると、切断体の生成が促進される。したがって、本発明においてはこのようなpH範囲が保持されている。
本発明の水溶液製剤はまた、必要に応じて等張化剤を含有していてもよい。等張化剤の例としては、必ずしも限定されないが、塩化ナトリウム、スクロースおよびグリシン、ならびにこれらの組合せが挙げられる。等張化剤の含有量もまた、必ずしも限定されないが、水溶液全体の浸透圧が、140mOsm〜780mOsmとなるよう設定される。
本発明の水溶液製剤は、薬学的に許容され得る他の添加剤または賦形剤を含有していてもよい。添加剤および/または賦形剤は、必ずしも限定されないが、例えば、糖またはポリオール類(ラクトース、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルトース、イノシトール、トレハロース、グルコース);高分子(例えば、血清アルブミン(ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒトSAまたは組換えHA)、デキストラン、PVA、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)乳酸重合体);非水性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールのような多価アルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルホルムアミド(DMF));アミノ酸(例えばアスパラギン酸、メチオニン、プロリン、L−セリン、グルタミン酸またはその塩、アラニン、フェニルアラニン、リシン塩酸塩、サルコシンおよびγ−アミノ酪酸);界面活性剤(例えばTween80、Tween20、SDS、ポリソルベート、およびポリオキシエチレンコポリマー);その他の添加剤(例えば、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、トリメチルアミンN−オキシド、ベタイン、金属イオン(例えば、亜鉛、銅、カルシウム、マンガン及びマグネシウム)、CHAPS、モノラウレート、および2−O−β−マンノグリセレート);またはこれらの組合せが挙げられる。当該添加剤および/または賦形剤の含有量は、特に限定されず、上記エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤による効果を阻害しない程度において、当業者によって適切な量が設定され得る。
本発明の水溶液製剤は、液体自体の状態でまたは凍結した状態での長期間保存することができる。
本発明の水溶液製剤は、例えば、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ヴェーグナー病、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、C型肝炎、子宮内膜症、喘息、悪液質、乾癬及びアトピー性皮膚炎などのための医薬組成物として使用され得る。本発明の水溶性製剤の用量は、疾患の種類および重篤度、患者の年齢、体重、および身長、病歴、ならびにエタネルセプトに対する応答の程度等に依存して、医師により適切な量、投与方法、投与期間等が適宜選択され得る。
(水溶液製剤の製造方法)
次に、本発明の水溶液製剤の製造方法の一例について説明する。
次に、本発明の水溶液製剤の製造方法の一例について説明する。
本発明の製造方法においては、まず、ヒスチジンまたはその塩と、有機酸またはその塩とが水に溶解され、pHが5.6から6.4である緩衝液が調製される。
水(例えば、純水、蒸留水、またはイオン交換水)への、ヒスチジンまたはその塩(上記安定化剤)および有機酸またはその塩(上記緩衝剤)の溶解の様式は特に限定されない。また、当該安定化剤および緩衝剤の溶解順序も特に限定されない。
この緩衝液の調製にあたっては、上記安定化剤および緩衝剤以外に、必要に応じて等張化剤、他の添加剤、賦形剤等が添加されてもよい。
このようにして調製された緩衝液のpHは、5.6〜6.4であり、より好ましくは5.7〜6.3であり、さらにより好ましくは6.0である。さらに当該緩衝液の浸透圧は、必ずしも限定されないが、例えば、140mOsm〜780mOsmであり、好ましくは250mOsm〜315mOsmである。なお、この調製された緩衝液は、その後の工程に使用するために、予め少なくとも2つに分けておくか、あるいは予め少なくとも2種類を別々に調製しておくことが好ましい。
次いで、上記得られた緩衝液(の1つ)にエタネルセプト原液が添加され、原水溶液が調製される。
緩衝液へのエタネルセプト原液の添加様式は特に限定されず、当業者が通常用いる任意の手段を使用することができる。さらに添加の際に設定される温度もまた特に限定されない。
その後、上記原水溶液を濃縮することにより、エタネルセプトが濃縮された濃縮液を得ることができる。
原水溶液の濃縮は、当業者に周知の手段を用いて行われる。濃縮にあたって付与される条件および温度もまた特に限定されず、当業者によって任意の条件および温度が選択される。
なお、本発明で用いられる濃縮においては、一定の分子量以上の分子は通過し得ない程度の細孔を有する限外ろ過膜が使用される。1つの実施形態では、濃縮にあたり、原水溶液は、例えば、分画分子量30kDa以下の分子濾過膜からなるタンジェンシャルフロータイプの膜カセットを用いて濃縮が施される。ごく少量であれば、所望の分子ろ過膜の施されたチューブで構成される遠心式フィルターユニットが使用され得る。当該フィルターユニットは、さらに濾液チューブに挿入されて2重構造の遠心式限外ろ過チューブを形成していてもよい。このような濃縮を通じて、エタネルセプトは分子濾過膜を通過することなく、濃度が高くなる一方で、当初エタネルセプト原液に含まれていた不要な塩類,緩衝液成分を効率的に濾過することができる。このようにして、エタネルセプト原液を構成する溶液成分が緩衝液に置換されたエタネルセプトの濃縮液を得ることができる。
このような濃縮(置換)の操作は、濃縮液において安定化剤、および緩衝剤について予め設定した含有量となるまで繰り返し行われてもよい。例えば、得られた濃縮液に新たに上記緩衝液を添加し、再度濃縮の操作が行われてもよい。
次いで、得られた濃縮液が別の上記緩衝液と合わされる。
上記濃縮液と緩衝液とは、上記エタネルセプト、安定化剤、および緩衝剤について当業者が予め設定した含有量となるように、所定の割合で混合され得る。なお、合わせて得られた水溶液は必要に応じて無菌濾過フィルター等を用いて濾過されてもよい。
得られた水溶液は、例えば、滅菌済みのバイアル、シリンジやスクリューキャップチューブに封入される。
このようにして、本発明の水溶液製剤を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
50mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が120mM(9.0g/L)となるように溶解させた液と50mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が120mM(9.0g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧294mOsm)を調製した。
50mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が120mM(9.0g/L)となるように溶解させた液と50mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が120mM(9.0g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧294mOsm)を調製した。
エタネルセプトを原薬として100mgを含む水溶液(エタネルセプト原液)4mLに、上記で調製したクエン酸緩衝液約11mLを混合して原水溶液を調製し、当該原水溶液を遠心式フィルターユニット(分画分子量:30kDa,メルク株式会社製)に注入し、チューブにセットして限外ろ過デバイスを得た。このデバイスを遠心機(型番:CR−21/日立工機株式会社製)にセットして、設定温度20℃にて回転数3000rpmで遠心し、フィルターユニット内の液量が1mL以下となるまで原水溶液を濃縮した。遠心後、限外濾過膜を通過した廃液を捨てた後、該フィルターユニット内に残存する濃縮液にさらに上記緩衝液14mLを注入して、遠心濾過を上記と同様にして行った。なお、各遠心濾過の操作において、得られた濃縮液の吸光度を測定し、吸光度から算出されるエタネルセプトの濃度が約50mg/mLとなるまで当該遠心濃縮の操作を(2回以上)繰り返し、エタネルセプト濃縮液を得た。
次いで、得られたエタネルセプト濃縮液に上記で調製した緩衝液を添加して、合わせた水溶液を1回凍結させた後、融解処理した。その後、0.22μmの無菌濾過用フィルターを用いて無菌濾過し、予め121℃にて20分間オートクレーブ処理することにより滅菌した1.5mLのスクリューキャップチューブに封入することにより、エタネルセプトの濃度が47.1mg/mLである医薬組成物の水溶液を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(実施例2)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が190mM(14.25g/L)となるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が190mM(14.25g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧299mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が49.5mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が190mM(14.25g/L)となるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が190mM(14.25g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧299mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が49.5mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(実施例3)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が80mM(4.68g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が80mM(4.68g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧294mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が80mM(4.68g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が80mM(4.68g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧294mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(実施例4)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、50mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が40mM(2.34g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と50mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が40mM(2.34g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧288mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、50mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が40mM(2.34g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と50mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が40mM(2.34g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0に調整した緩衝液(液浸透圧288mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本実施例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(比較例1)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMリン酸二水素ナトリウム溶液にアルギニン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、アルギニン塩酸塩の濃度が25mM(5.27g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.84g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMリン酸一水素ナトリウム二水和物溶液にアルギニン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、アルギニン塩酸塩の濃度が25mM(5.27g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.84g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH6.3の緩衝液(液浸透圧306mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.2mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMリン酸二水素ナトリウム溶液にアルギニン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、アルギニン塩酸塩の濃度が25mM(5.27g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.84g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMリン酸一水素ナトリウム二水和物溶液にアルギニン塩酸塩、塩化ナトリウムおよびスクロースを、アルギニン塩酸塩の濃度が25mM(5.27g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.84g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH6.3の緩衝液(液浸透圧306mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.2mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(比較例2)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMリン酸二水素ナトリウム溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が266mM(19.95g/L)となるように溶解させた液と25mMリン酸一水素ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が266mM(19.95g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH6.0の緩衝液(液浸透圧349mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.2mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMリン酸二水素ナトリウム溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が266mM(19.95g/L)となるように溶解させた液と25mMリン酸一水素ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩およびグリシンを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、かつグリシンの濃度が266mM(19.95g/L)となるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH6.0の緩衝液(液浸透圧349mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が47.2mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(比較例3)
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH5.5の緩衝液(液浸透圧332mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が48.9mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で調製した緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、かつスクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合した、pH5.5の緩衝液(液浸透圧332mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が48.9mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
(比較例4)
実施例1で得られた緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、スクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、スクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.5に調製した緩衝液(液浸透圧341mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が46.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1で得られた緩衝液の代わりに、25mMクエン酸一水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、スクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液と25mMクエン酸三ナトリウム二水和物溶液にヒスチジン塩酸塩、塩化ナトリウム、およびスクロースを、ヒスチジン塩酸塩の濃度が25mM(4.79g/L)であり、塩化ナトリウムの濃度が100mM(5.85g/L)であり、スクロースの濃度が10mg/mLとなるように溶解させた液とをそれぞれ適量混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.5に調製した緩衝液(液浸透圧341mOsm)を調製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エタネルセプトの濃度が46.7mg/mLである医薬組成物を得た(表1)。なお、本比較例で得られた医薬組成物のpHは上記緩衝液について調整したpHと変化がないことを確認した。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた8種類の医薬組成物を、設定温度37℃にて遮光下でインキュベータに3週間保存した。
各保存サンプルをドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)およびサイズ排除クロマトグラフィーでそれぞれ以下のようにして分析した。
(SDS−PAGE)
還元剤として2−メルカプトエタノールを用いて還元したエタネルセプトと、還元しない(非還元の)エタネルセプトをそれぞれ用意して、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によりポリペプチド断片を分離し、銀染色法により染色した。
還元剤として2−メルカプトエタノールを用いて還元したエタネルセプトと、還元しない(非還元の)エタネルセプトをそれぞれ用意して、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によりポリペプチド断片を分離し、銀染色法により染色した。
還元したエタネルセプトのSDS−PAGEでは、75kDa付近のバンドを主バンドとし、これより泳動距離の短い(上方に位置する)バンドを凝集体のバンド、泳動距離の長い(下方に位置する)バンドを切断体のバンドとした。一方、非還元のエタネルセプトのSDS−PAGEでは、150kDa付近のバンドを主バンドとし、これより泳動距離の短い(上方に位置する)バンドを凝集体のバンド、泳動距離の長い(下方に位置する)バンドを切断体のバンドとした。
測定条件は、表2の通りであった。
還元したエタネルセプトのSDS−PAGEでは、75kDaの指標付近に高い強度のバンドを確認することができ、25kDa〜37kDa付近にも高い強度のバンドを確認することができた。一方、非還元のエタネルセプトのSDS−PAGEでは、150kDaの指標付近に高い強度のバンドを確認することができ、75kDa〜100kDa付近にも高い強度のバンドを確認することができた。
(サイズ排除クロマトグラフィー)
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた8種類の医薬組成物について、インキュベータ保存開始時、保存1週間後、保存2週間後、および保存3週間後の4時点において、サイズ排除クロマトグラフィーにより試験した。試験には、保存された医薬組成物に、エタネルセプト濃度として約0.2mg/mLとなるようにそれぞれの実施例または比較例で使用した緩衝液で希釈して調製した試料溶液(各50μL)を試験サンプルとして使用した。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた8種類の医薬組成物について、インキュベータ保存開始時、保存1週間後、保存2週間後、および保存3週間後の4時点において、サイズ排除クロマトグラフィーにより試験した。試験には、保存された医薬組成物に、エタネルセプト濃度として約0.2mg/mLとなるようにそれぞれの実施例または比較例で使用した緩衝液で希釈して調製した試料溶液(各50μL)を試験サンプルとして使用した。
試験条件は、表3の通りであった。
得られたクロマトグラフィーの主ピークの面積(A1)、主ピークより前に溶出する個々のピークの合計面積(A2)、および主ピークより後に溶出する溶媒ピークを除いた個々のピークの合計面積(A3)を自動積分法により測定し、次式によりエタネルセプトの不純物である凝集体および切断体の量を算出した。
得られた結果を表4および図1〜4に示す。
表4および図1〜4に示すように、エタネルセプトの不純物の合計量について、実施例1〜4と比較例1〜4とを比較すると、実施例1〜4それぞれの不純物の合計量は、特に、保存1週間後、および保存2週間後の時点において比較例1〜4の不純物の合計量を下回っていた。
したがって、実施例1〜4で得られた医薬組成物は、製剤中のエタネルセプトの保存安定性を向上させていたことがわかる。特に、比較例1は安定化剤および緩衝剤のいずれもが実施例で使用したものと異なるが、比較例1が最も不純物量が高い値を示していた。このことから考えて、本実施例で使用した安定化剤および緩衝剤の組合せは、製剤中のエタネルセプトの保存安定性の向上に寄与していたことがわかる。
また、比較例3で調製した緩衝液の液性が最も酸性側(pH5.5)にあり、得られたエタネルセプトの切断体量が最も多い結果となった。一方、比較例4で調製した緩衝液の液性が最も塩基性側(pH6.5)にあり、得られたエタネルセプトの凝集体量が最も多い結果となった。これに対し、緩衝液の液性をpH5.6〜6.4の範囲内に調整することにより、製剤中のエタネルセプトの保存安定性が効果的に向上していたことがわかる。
本発明によれば、有効成分であるエタネルセプトの安定性を高めることができる。このことにより、医薬組成物としての長期間の保存性を高めることができる。本発明の水溶液製剤は、例えば、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ヴェーグナー病、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、C型肝炎、子宮内膜症、喘息、悪液質、乾癬及びアトピー性皮膚炎などのための医薬組成物として有用である。
Claims (9)
- エタネルセプト、安定化剤および緩衝剤を含有する水溶液製剤であって、
安定化剤がヒスチジンまたはその塩であり、
緩衝剤が有機酸またはその塩であり、そして
pHが5.6から6.4である、製剤。 - 前記有機酸またはその塩が、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の水溶液製剤。
- 前記緩衝剤を、水溶液全体に対し1mMから1Mの濃度で含有する、請求項1または2に記載の水溶液製剤。
- 前記安定化剤を、水溶液全体に対し1mMから1Mの濃度で含有する、請求項1から3のいずれかに記載の水溶液製剤。
- さらに、塩化ナトリウム、スクロースおよびグリシンからなる群から選択される少なくとも1種の等張化剤を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の水溶液製剤。
- 水溶液製剤の製造方法であって、
ヒスチジンまたはその塩と、有機酸またはその塩とを水に溶解させて、pHが5.6から6.4である緩衝液を調製する工程;
該緩衝液にエタネルセプト原液を添加する工程;
該原液を濃縮することにより、該エタネルセプトの濃縮液を得る工程;および
該濃縮液を別の該緩衝液と合わせる工程;
を包含する、方法。 - 前記有機酸またはその塩が、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項6に記載の方法。
- 前記緩衝液を調製する工程において、さらに等張化剤が溶解される、請求項6または7に記載の方法。
- 前記等張化剤が、塩化ナトリウム、スクロースおよびグリシンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項8に記載の方法。
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